電源装置およびそれを備えた画像形成装置
【課題】商業交流電源の電圧に歪が生じても商業交流電源の電圧を従来よりも正確に検知できるようにする。
【解決手段】ゼロクロスおよび電圧検出回路120は、ダイオードブリッジ2からの出力電圧のピーク値または1次電界コンデンサ3からの直流電圧に対応したデューティ比のパルス波を生成する。CPU29は、パルス波を受信し、パルス波のデューティ比を求め、デューティ比から商業交流電源1の電圧を推定する。ダイオードブリッジ2からの出力電圧のピーク値または1次電界コンデンサ3からの直流電圧は歪みの影響を受けにくいため、本発明では、従来よりも正確に商業交流電源1の電圧を検知できるようになる。
【解決手段】ゼロクロスおよび電圧検出回路120は、ダイオードブリッジ2からの出力電圧のピーク値または1次電界コンデンサ3からの直流電圧に対応したデューティ比のパルス波を生成する。CPU29は、パルス波を受信し、パルス波のデューティ比を求め、デューティ比から商業交流電源1の電圧を推定する。ダイオードブリッジ2からの出力電圧のピーク値または1次電界コンデンサ3からの直流電圧は歪みの影響を受けにくいため、本発明では、従来よりも正確に商業交流電源1の電圧を検知できるようになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置にかかり、とりわけ、トナー像を記録媒体に定着させる画像形成装置に電力を供給する電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器を国内だけでなく国外でも販売するために、各地域の商業交流電源の電圧に対応させることが望まれている。様々な電圧に対応した電源装置をユニバーサル電源装置と呼ぶことにする。
【0003】
一方で、トナー像を加熱して記録媒体に定着させる画像形成装置の定着制御方式についてもユニバーサル化することが必要となっている。定着制御方式のユニバーサル化では、商業交流電源の電圧を正確に検出し、検出した電圧に応じて制御方法を選択することが重要である。特許文献1によれば、商業交流電源の電圧のゼロクロスポイントに対して電圧をクランプさせ、商業交流電源の電圧に依存したデューティ比のパルス波を出力させる電圧検知回路が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−110839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の発明では、商業交流電源の電圧をツェナーダイオードでクランプして商業交流電源の電圧に比例してデューティ比が変化するパルス波に変換している。そのため、特許文献1の発明では、商業交流電源の電圧の歪が生じると容易にデューティ比が変化し、電圧を誤検知してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、商業交流電源の電圧に歪が生じても商業交流電源の電圧を従来よりも正確に検知できるようにすることを目的とする。なお、他の副次的な目的については明細書の全体から理解できよう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決すべく、
商業交流電源の電圧を整流する整流回路と、
整流回路からの出力電圧を平滑する平滑回路と、
平滑回路からの直流電圧、整流回路からの出力電圧のピーク値または商業交流電源の電圧の積分値に対応したデューティ比のパルス波を生成するパルス波生成回路と、
パルス波を入力し、パルス波のデューティ比を求め、パルス波のデューティ比に対応した電圧を商業交流電源の電圧として推定する推定回路と
を備えたことを特徴とする電源装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、平滑回路からの直流電圧、整流回路からの出力電圧のピーク値または商業交流電源の電圧の積分値に対応したデューティ比のパルス波が生成される。平滑回路からの直流電圧、整流回路からの出力電圧のピーク値および商業交流電源の電圧の積分値はいずれも商業交流電源の電圧の歪の影響を受けにくい。そのため、本発明では、従来よりも正確に商業交流電源の電圧を検知できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1における画像形成装置の回路図
【図2】実施例1におけるタイムチャート
【図3】商業交流電源の全波整流後の電圧波形
【図4】実施例2における画像形成装置の回路図
【図5】実施例2におけるタイムチャート
【図6】位相制御を説明するタイムチャート
【図7】波数制御を説明するタイムチャート
【図8】実施例3におけるフローチャート
【図9】ヒータ温度についてのタイムチャート
【図10】基本構成における画像形成装置の回路図
【図11】基本構成における商業交流電源の電圧を検知する仕組みを説明するタイムチャート
【図12】基本構成における商業交流電源の電圧に歪が生じた際のタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
[基本構成]
<ACDC電源110>
図10は画像形成装置に電力を供給する電源装置の基本構成を示すである。記録媒体に画像を形成する画像形成装置は、印刷装置、プリンタ、複写機、複合機、ファクシミリとして製品化されることがある。記録媒体は、記録材、用紙、シート、転写材、転写紙と呼ばれることもある。
【0011】
商業交流電源1は正弦波の交流電圧を出力する電源である。商業交流電源1の電圧は地域によって異なり、たとえば、100V〜200Vである。商業交流電源1の電圧は全波整流するダイオードブリッジ2で整流され、平滑用の1次電解コンデンサ3で直流電圧に変換される。電源IC4は、画像形成装置の2次側へ絶縁された状態で電力を供給するACDC電源110を制御する制御ユニットである。ここでは説明の便宜上、ACDC電源110をフライバック方式の電源とするが、他の電源方式であってもよい。
【0012】
以下に電源IC4の動作を説明する。電源IC4を起動する起動抵抗5を経由して電流が電源IC4へ供給される。電源IC4の制御部に電力を供給するVcc端子6には平滑用のVcc用コンデンサ7が接続されている。そのため、徐々にVcc端子6の電圧が上昇する。やがて、Vcc端子6の電圧が所定の電圧に達すると電源IC4が起動する。電源IC4は、電力を2次側に伝達するトランス8へ電力供給するために、トランス駆動用FET9のスイッチングを開始する。トランス駆動用FET9のスイッチングが開始されると、トランス8の2次側端子から2次整流ダイオード10を経由し電流が2次側へ供給される。この電流は2次平滑コンデンサ11にて直流電圧に平滑される。やがて2次平滑コンデンサ11の端子間電圧である24V電圧が上昇していくと、トランス8の2次巻線8−1電圧に比例した電圧がトランス8のドライブ巻線8−2に発生する。整流用のドライブ巻線用整流ダイオード12を経由し、Vcc端子6へ電力が供給される。このようにして、継続的に電源IC4の制御部へ電力が供給される。トランス駆動用FET用電流検出抵抗13はトランス駆動用FET9へ流れる電流を検出する抵抗である。トランス駆動用FET用電流検出抵抗13の両端に発生する電圧は電源IC4へ出力される。電源IC4は所定の電圧を検知すると、トランス駆動用FET9をOFFさせる。
【0013】
次に24V電圧を一定に制御する回路動作の説明を行う。24V電圧は電圧検出抵抗14で分圧され、分圧された電圧はシャントレギュレータ15の入力端子へ出力される。シャントレギュレータ15は基準電圧と入力端子電圧を比較し、その差分をカソード端子から出力する。差分は、フォトカプラA17により2次側から1次側へ伝達され、電源IC4のフィードバック端子16へ伝達される。電源IC4はフィードバック端子16の電圧に従ってトランス8へ供給する電流量を制御し、24V電圧を一定の電圧に制御する。なお、フィードバック保証用コンデンサ18とフィードバック保証用抵抗19は24V電圧の位相と利得を補償する。シャントレギュレータ電流制限抵抗20はシャントレギュレータ15のカソード端子に流れ込む電流を制限する。フィードバック端子ノイズ除去用コンデンサ21はフィードバック端子16の耐ノイズ性を向上させる。なお、24V電圧は、主に画像形成装置を駆動するアクチュエータ(不図示)へ供給される。
【0014】
<3.3V電圧生成用DCDCコンバータ回路111>
次に画像形成装置の制御を司るCPU29や低電圧系回路へ電力を供給する3.3V電圧生成用DCDCコンバータ回路111の説明を行う。24V電圧が上昇すると、24Vから3.3Vに電圧を降圧するDCDCコンバータ制御IC22が起動する。DCDCコンバータ制御IC22は24Vラインと3.3Vラインを接続するDCDCコンバータ用FET23をONさせる。DCDCコンバータ用FET23がONすると、チョークコイル24に電流が流れ、3.3V電圧を平滑するDCDCコンバータ用電解コンデンサ25が充電される。これにより3.3V電圧が上昇を開始する。チョークコイル24に流れる電流は、この電流を制限するDCDCコンバータ用電流制限抵抗26に流れる。その両端に発生する電圧がDCDCコンバータ制御IC22に伝達される。この電圧が所定の電圧に達すると、DCDCコンバータ用FET23がチョークコイル24の電流を遮断する。チョークコイル24の電流が遮断されると、その両端に逆起電力が発生し、DCDCコンバータ用FET23のドレイン端子電圧がGND電圧よりも低下する。これにより、回生用ダイオード27を経由してGNDからチョークコイル24に電流が流れる。
【0015】
続いて、3.3V電圧の制御について説明を行う。3.3V電圧は3.3V電圧検出抵抗28により分圧される。DCDCコンバータ制御IC22はこの分圧値を読み取ることで、3.3V電圧を検出する。DCDCコンバータ制御IC22は基準電圧と分圧値を比較し、分圧値が基準値に近づくようにDCDCコンバータ用FET23のオン・デューティを制御する。これにより3.3V電圧が一定に制御される。
【0016】
<ゼロクロス検出回路112>
次に商業交流電源1の電圧のゼロクロスポイントを検出するゼロクロス検出回路112の説明を行う。商業交流電源1の電圧はゼロクロス用整流ダイオード30により半波整流され、さらにゼロクロス用分圧抵抗31により低電圧信号へ降圧される。低電圧信号化された商業交流電源1の電圧はゼロクロス用トランジスタ32によりパルス波に変換される。このパルス波は商業交流電源1の電圧がゼロクロスするタイミングで変化するゼロクロス信号である。なお、ゼロクロス用トランジスタベース抵抗33はゼロクロス用トランジスタ32のベース電流を制限する。ゼロクロス用トランジスタ32のコレクタに発生したパルス状のゼロクロス信号はゼロクロス用フォトカプラ34を経由してCPU29へ伝達される。ゼロクロス用フォトカプラ34は、1次側と2次側を絶縁した状態でゼロクロス信号を伝達する。なお、フォトダイオード電流制限抵抗35はゼロクロス用フォトカプラ34のダイオード電流を制限する。フォトトランジスタ電流制限抵抗36は、ゼロクロス用フォトカプラ34のフォトトランジスタの電流を制限する。
【0017】
<入力電圧検知回路113>
続いて、商業交流電源1の電圧の電圧値を検出する入力電圧検知回路113の説明を行う。商業交流電源1の電圧は、入力電圧検出用整流ダイオード52により半波整流される。半波整流された電圧は、ゼロクロス電圧から所定の電圧に至るまでの電圧をクランプさせる入力電圧クランプ用ツェナーダイオード37を経由して、入力電圧検出用分圧抵抗38に印加される。入力電圧検出用分圧抵抗38に分圧作用によって、高電圧信号が低電圧信号に変換される。これにより、半波整流された電圧は、ゼロクロス電圧から所定の電圧だけクランプされた低電圧信号波形に変換される。この低電圧信号化された波形は入力電圧検出用トランジスタ39によりパルス波に変換される。なお、入力電圧検出用トランジスタベース抵抗40は入力電圧検出用トランジスタのベース電流を制限する。入力電圧検出用トランジスタ39によりパルス波に変化された入力電圧検出用信号は、1次側から2次側へ絶縁された状態で信号を伝達する入力電圧検出用フォトカプラ41を経由しCPU29へ伝達される。なお、フォトダイオード電流制限抵抗42は入力電圧検出用フォトカプラ41のダイオード電流を制限する。フォトトランジスタ電流制限抵抗43は、入力電圧検出用フォトカプラ41のフォトトランジスタの電流を制限する。
【0018】
<定着装置114>
続いて記録媒体にトナー像を熱定着させる定着装置114の説明を行う。ヒータ44は記録媒体へトナー像を熱定着させる熱源である。商業交流電源1からの電力はトライアック45を経由してヒータ44に供給される。ヒータ44の温度は、熱検知素子である絶縁処理されたサーミスタ46で検知される。温度を示す検知信号はCPU29のAD変換ポートへ送信される。サーミスタ46は温度に対応して抵抗値が変化する特性を持つ素子であり、3.3Vラインと直列に接続されたヒータ温度検知用固定抵抗47に接続されている。サーミスタ46とヒータ温度検知用固定抵抗47は分圧回路を形成している。よって、その分圧値はヒータ44の温度により変化する。
【0019】
このような仕組みでヒータ44の温度をCPU29は検出している。ヒータ44の温度を所定の温度に制御するために、CPU29はトライアック45をスイッチングすることによりヒータ44への投入電力を制御している。トライアック45は、絶縁を図るためのフォトトライアックカプラ48を経由してスイッチングされる。CPU29からの信号によりフォトトライアックカプラ通電用のトランジスタ49が制御され、フォトトライアックカプラ48のフォトダイオードへの通電が行われる。なお、50はフォトトライアックカプラ通電用のトランジスタ49のベース抵抗であり、51はフォトトライアックカプラ通電用のトランジスタ49のコレクタ電流制限抵抗である。
【0020】
図11は基本構成における商業交流電源1の電圧を検知する仕組みを説明するタイムチャートである。VH、VLは、入力電圧検出用整流ダイオード52で整流された後の電圧である。VLは比較的に低い商業交流電源1の電圧の波形を示している。VHは、比較的に高い商業交流電源1の電圧の波形を示している。入力電圧検出用整流ダイオード52で整流された波形は、入力電圧クランプ用ツェナーダイオード37で所定の電圧VCでクランプされる。クランプされた波形は、入力電圧検出用トランジスタ39にてパルス波PWに変換され、入力電圧検出用フォトカプラ41でCPU29へ伝達される。商業交流電源1の電圧が比較的に低い場合は、パルス波PWのOFF幅dLが狭くなる。逆に商業交流電源1の電圧が比較的に高い場合は、パルス波PWのOFF幅dWが広くなる。CPU29は、OFF幅を計数することで、商業交流電源1の電圧を認識する。パルス波のオフ幅は、商業交流電源1の電圧に対応しているからである。商業交流電源1の電圧情報は、画像形性装置の記録媒体にトナー像を熱定着させる定着制御に用いられる。
【0021】
図12は、歪が生じた際の商業交流電源の電圧波形を図示したものである。Vnは正常な商業交流電源電圧波形である。Vdは歪が生じた商業交流電源電圧波形である。この例では、CPU29へ出力されるパルス波のOFF幅が正常な場合はdnである、歪が生じるとddとなり、相対的に狭くなってしまう。CPU29は、オフ幅から商業交流電源電圧を測定しているため、オフ幅が狭くなれば商業交流電源電圧を正確に検出できなくなってしまう。
【0022】
[実施例1]
実施例1では、商業交流電源1の電圧波形を整流回路により全波整流し、整流回路からの出力電圧のピーク値または平滑回路からの直流電圧に応じてデューティ比が変化するパルス波を生成し、このパルス波から商業交流電源1の電圧を検出する。そのため、商業交流電源の電圧波形にノイズが生じてもデューティ比は変化しにくくなる。よって、実施例1では、従来よりも正確に商業交流電源の電圧を検知できるようになる。
【0023】
また、基本構成の画像形成装置では、ゼロクロス信号と電圧検出信号の2つの信号で行っていた動作を、実施例1では夫々の情報を損なわずに1つの信号(ゼロクロス兼電圧検出信号)で行うようにする。ゼロクロス兼電圧検出信号の立ち上がりエッジのタイミングはゼロクロスのタイミングに固定し、立ち下がりエッジのタイミングを商業交流電源1の電圧値に応じて変化させる。つまり、CPU29は、ゼロクロス兼電圧検出信号の立ち上がりエッジからゼロクロスのタイミングを認識でき、デューティ比(立ち下がりエッジ)から商業交流電源1の電圧を認識できるようになる。
【0024】
図1は実施例1における画像形成装置の回路図である。基本的な回路構成は基本構成と共通しているため、同一の参照符号を付与することにより説明の簡潔化を図る。図10のゼロクロス検出回路112と入力電圧検知回路113が、図1ではゼロクロスおよび電圧検出回路120に置換されている。ゼロクロスおよび電圧検出回路120は、上述したゼロクロス兼電圧検出信号を生成する。ゼロクロス兼電圧検出信号は、ゼロクロスポイントで状態が変化し、とりわけ立ち上りエッジが急峻であり、立ち下がりエッジは所定の時定数にて立ち下がる。以下で詳細に説明するように、ゼロクロスおよび電圧検出回路120は、平滑回路からの直流電圧または整流回路からの出力電圧のピーク値に対応したデューティ比のパルス波を生成するパルス波生成回路として機能する。
【0025】
商業交流電源1の電圧はゼロクロス用整流ダイオード30により半波整流され、ゼロクロス用分圧抵抗31により低電圧信号へ変換される。低電圧化された商業交流電源1の電圧は、ゼロクロス用トランジスタ32をゼロクロスのタイミングでON/OFFさせる。ゼロクロス用トランジスタ32がターンONすると、電源IC4のVcc端子からゼロクロスポイント固定用ダイオード61を経由して瞬時に時定数設定用コンデンサ62に電流が流れ込む。ゼロクロスポイント固定用ダイオード61は、ゼロクロス用トランジスタ32のエミッタ電圧を急峻に立ち上がらせるためのダイオードである。
【0026】
一方、ゼロクロス用トランジスタ32がターンOFFすると、時定数設定用抵抗63を経由して時定数設定用コンデンサ62に充電されていた電荷が放電する。よって時定数設定用コンデンサ62には、ゼロクロスポイントで状態が変化する電圧波形であって、立ち上りエッジが急峻に立ち上がり、かつ、立ち下がりエッジが所定の時定数にて立ち下がる電圧波形が生じる。なお、コレクタ電流制限抵抗64はゼロクロス用トランジスタ32のコレクタ電流を制限する抵抗である。
【0027】
続いて、商業交流電源1の電圧検出回路の説明を行う。商業交流電源1の交流電圧は、ダイオードブリッジ2により構成された整流回路で整流され、1次電解コンデンサ3により構成された平滑回路で平滑されて直流電圧(DC電圧)に変換される。ダイオードブリッジ2は商業交流電源の電圧を整流する整流回路として機能し、1次電解コンデンサ3は整流回路からの出力電圧を平滑する平滑回路として機能する。DC電圧に変換された商業交流電源1の電圧を入力電圧検出抵抗65で分圧して降圧する。分圧された電圧値は入力電圧−デューティ変換用コンパレータ66の反転端子に入力される。一方、時定数設定用コンデンサ62に発生した電圧がコンパレータ66の非反転端子に入力される。入力電圧−デューティ変換用コンパレータ66は、立ち上りエッジがゼロクロスポイントで急峻に立ち上り、かつ、立下りエッジが商業交流電源1の電圧のピーク値に依存してデューティ比が変化するパルス状のゼロクロス兼電圧検出信号を出力端子に発生する。ゼロクロス兼電圧検出信号は、ゼロクロス兼電圧検出用フォトカプラ67を経由してCPU29へ伝達される。フォトカプラ67は、入力側と出力側とを絶縁した状態でCPU29へ信号を伝達する。なお、フォトダイオード電流制限抵抗75はゼロクロス兼電圧検出用フォトカプラ67のダイオード電流を制限する。フォトトランジスタ電流制限抵抗68はゼロクロス兼電圧検出用フォトカプラ67のフォトトランジスタ電流を制限する抵抗である。
【0028】
図2は実施例1におけるゼロクロス兼電圧検出信号を生成する過程の回路動作を説明するタイムチャートである。Vr65は入力電圧検出抵抗65で分圧された電圧であり、商業交流電源1の電圧のピーク値に比例して変化する。Vc62は時定数設定用コンデンサ62に発生する電圧である。Vc66は、この2つの電圧を比較した比較結果であり、入力電圧−デューティ変換用コンパレータ66の出力電圧波形である。
【0029】
図3は、商業交流電源1の全波整流後の電圧波形を示す図である。Vnは歪が発生していない波形である。Vdは歪みの発生している波形である。実際の商業交流電源1の電圧では、波形に歪が生じてもピーク電圧が変化しないことが多い。また、ピーク電圧が変化する場合であっても落雷などにより微小な時間だけサージ状に波形が歪むだけにすぎない。よって、ピーク電圧を平滑した後の直流電圧VDCは安定している。よって、直流電圧VDCからゼロクロス兼電圧検出信号を生成し、ゼロクロス兼電圧検出信号のデューティ比から商業交流電源1の電圧を求めれば、歪みの影響が緩和された精度の高い電圧を検知できる。CPU29は、ゼロクロス兼電圧検出信号のデューティ比を商業交流電源1の電圧に変換する変換テーブルまたは変換関数をあらかじめ備えている。ここで求められた商業交流電源1の電圧の値はゼロクロス兼電圧検出信号のデューティ比から求められた商業交流電源1の電圧の推定値である。このようにCPU29は、パルス波を入力し、パルス波のデューティ比を求め、パルス波のデューティ比に対応した電圧を商業交流電源1の電圧として推定する推定回路として機能する。
【0030】
以上説明したように、商業交流電源1の電圧を整流平滑して得られた直流電圧(ピーク値)から商業交流電源1の電圧を検知するため、波形歪みの影響を受けにくくなる利点がある。さらに、本実施例では、1つの信号でゼロクロスポイント情報と商業交流電源1の電圧情報をCPU29へ伝達できる利点もある。
【0031】
なお、実施例1では、ゼロクロス兼電圧検出信号の立ち上りエッジを固定とし、立ち下がりエッジを商業交流電源1の電圧で変化させる回路を採用した。しかし、本発明のこの回路にのみ限定されるわけではない。たとえば、ゼロクロス兼電圧検出信号の立ち下がりエッジを固定とし、立ち上りエッジのタイミングを商業交流電源1の電圧で変化するように回路を構成してもよい。このように、ゼロクロスおよび電圧検出回路120は、パルス波の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジのうち一方を、商業交流電源の電圧の正負が切り替わるゼロクロスポイントに同期したタイミングで生成すればよい。また、ゼロクロスおよび電圧検出回路120は、パルス波の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジのうち他方を、平滑回路からの直流電圧または整流回路からの出力電圧のピーク値に対応したタイミングで生成すればよい。
【0032】
[実施例2]
実施例2は実施例1で説明した商業交流電源1の電圧波形を平滑した後の電圧値を検出する構成に代えて、商業交流電源1の電圧波形を積分する回路を採用する。さらに、ゼロクロス検出回路から出力されるパルス波を加工して、一方のエッジの切り替えタイミングをゼロクロスポイントで固定し、他方のエッジの切り替えタイミングを積分値に応じて可変とする。つまり、パルス波のデューティ比が積分値に対応して変化することになる。これにより、実施例2でも、ゼロクロスポイントの情報を損なわずに商業交流電源1の電圧をCPU29へ伝達できるようになる。
【0033】
図4は実施例2における画像形成装置の回路図である。図4において、実施例1と共通する部分には同一の参照符号を付与することで説明の簡潔化を図る。図1のゼロクロスおよび電圧検出回路120が図4ではゼロクロスおよび電圧検出回路121に置換されている。以下で詳細に説明するように、ゼロクロスおよび電圧検出回路121は、商業交流電源の電圧の積分値に対応したデューティ比のパルス波を生成するパルス波生成回路として機能する。
【0034】
まず、積分回路用分圧抵抗76は、商業交流電源1の電圧を高電圧信号から低電圧信号に変換(分圧)する。分圧された電圧は積分回路用ダイオード77にて整流され、積分回路用抵抗78および積分回路用コンデンサ79により構成されたCR積分回路で積分される。積分回路用コンデンサ79に発生した積分電圧は、入力電圧−デューティ変換用コンパレータの反転端子に入力される。一方、入力電圧−デューティ変換用コンパレータ66の非反転端子に入力される信号は、実施例1で説明した信号と同じである。つまり、商業交流電源1の電圧のゼロクロスポイントで波形が変化し、立ち上りエッジが急峻に立ち上り、立ち下がりエッジが所定の時定数にて立ち下がる信号である。
【0035】
実施例2では商業交流電源1の電圧の1周期毎に積分値を検出する構成とするため、積分回路用コンデンサ79を商業交流電源1の電圧の1周期毎に放電させる必要がある。そこで、この放電回路122について説明する。商業交流電源1の電圧は放電回路整流用ダイオード80で整流され、放電回路用分圧抵抗81にて分圧される。さらに、分圧された電圧は、放電回路ゼロクロス用トランジスタ82のベースへ入力され、商業交流電源1の電圧のゼロクロスポイントで信号が変化するパルス波に変換される。なお、抵抗83は放電回路ゼロクロス用トランジスタ82のベース抵抗である。抵抗84は放電回路ゼロクロス用トランジスタ82のコレクタ電流を制限するコレクタ電流制限抵抗である。
【0036】
放電回路ゼロクロス用トランジスタ82のエミッタから得られたパルス波は、パルス波を分周するためのDフリップフロップ85のクロック入力端子へ入力される。反転出力端子とD端子が直結されたDフリップフロップ85の出力端子はゼロクロス信号を1/2分周した波形を出力する。Dフリップフロップ85の出力信号は2つに分けられる。1つは、積分回路用コンデンサ79が積分を開始するタイミングで放電を行うための2入力のEXOR回路108の一方の入力端子に入力される。もう1つは、遅延用コンデンサ86と遅延用抵抗87で遅延させられてEXOR回路108の他方の入力端子に入力される。よって、EXOR回路108は、1/2分周されたゼロクロス信号のエッジが切り替わるタイミングでHighレベルとなる細いパルス信号を出力する。EXOR回路108の出力は、積分回路用コンデンサ79を放電させる積分回路用コンデンサ放電用トランジスタ88のベースに入力される。EXOR回路108がHighになったタイミングで積分回路用コンデンサ79の放電を行う。なお、抵抗89は積分回路用コンデンサ放電用トランジスタのベース抵抗である。
【0037】
以上の回路動作により、入力電圧−デューティ変換用コンパレータ66の出力信号は、商業交流電源1の電圧の1周期毎に積分された積分値がゼロクロス信号のデューティ比に変換される。そして、実施例1で説明したように、ゼロクロス兼電圧検出用フォトカプラ67にてCPU29へ絶縁した状態でゼロクロス兼電圧検出信号が伝達される。
【0038】
図5は実施例2におけるゼロクロス兼電圧検出信号を生成する過程の回路動作を説明するタイムチャートである。Vd77は、積分回路用分圧抵抗76で分圧され積分回路用ダイオード77で整流された電圧波形である。Vc79は分圧整流された電圧Vd77を積分した積分回路用コンデンサ79の電圧波形である。また、VexはEXOR回路108の出力電圧波形である。商業交流電源1の電圧の1周期毎に積分回路用コンデンサ79の放電が行われる。
【0039】
このように生成された電圧波形Vc79は、商業交流電源1の電圧の半周期ぶんの積分値に相当し、直流電圧として生成される。Vc66は、入力電圧−デューティ変換用コンパレータ66の出力信号波形であり、実施例1で説明した時定数設定用コンデンサ62に発生する電圧Vc62と、積分回路用コンデンサの電圧波形Vc79の比較結果を示している。このように、商業交流電源1の電圧の積分値に対応してデューティ比が変化するパルス波(Vc66)が得られる。
【0040】
実施例2では、実施例1と比較し簡単な回路部品の追加で商業交流電源1の電圧の積分値を検知できる。そのため、実施例2の発明は、画像形成装置のように、商業交流電源1の電圧から負荷(ヒータ44)に供給される電力を制御する機器において有効であろう。
【0041】
なお、実施例2では、ゼロクロス兼電圧検出信号の立ち上りエッジを固定とし、立ち下がりエッジのタイミングを商業交流電源1の電圧で変化させる回路について説明した。しかし、実施例1で説明したように、ゼロクロス兼電圧検出信号の立ち下がりエッジを固定とし、立ち上りエッジのタイミングを商業交流電源1の電圧で変化するように回路を構成してもよい。このように、ゼロクロスおよび電圧検出回路121は、パルス波の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジのうち一方を、商業交流電源の電圧の正負が切り替わるゼロクロスポイントに同期させて生成する。ゼロクロスおよび電圧検出回路121は、パルス波の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジのうち他方を、商業交流電源の電圧の積分値に同期させて生成する。
【0042】
[実施例3]
実施例3は、実施例1や実施例2で説明したように商業交流電源1の電圧情報に基づいて記録媒体にトナー像を熱定着させるヒータ44への通電制御方式を切り替えることを特徴とする。これにより、ヒータ44への通電電圧に有利となる通電制御方式が選択されることになる。
【0043】
記録媒体へトナー像を熱定着させるために、ヒータ44は一定の温度で発熱するように制御される。一定の温度で制御するためには、ヒータ44へ一定の電力を供給する必要がある。供給電力が一定であれば、ヒータ44への印加電圧と通電電流は互いに反比例した関係となる。つまり、印加電圧が低いと通電電流は多くなり、逆に印加電圧が高いと通電電流は少なくなる。一般的には、ヒータ44への通電電流が多い場合、商業交流電源1の送電インピーダンスにより商業交流電源1の電圧が減少し、フリッカノイズが発生することがある。フリッカノイズは、画像形成装置の近くに接続されている照明器具から発せられる光の輝度がふらつく現象のことである。商業交流電源1の半周期間においてヒータ44への通電比率を制御する位相制御を行うことで、フリッカノイズのレベルは人間が感じ取れないレベルまで緩和可能である。このように、位相制御方式は、フリッカノイズについて有利である。
【0044】
しかし、ヒータ44への通電電流が少ない状態で位相制御を行った場合、高調波規制の厳しい200V系の地域においては規格を満足できなくなる可能性がある。つまり、位相制御方式は、高調波については不利である。そこで、このような地域では、商業交流電源1の半周期を1単位として通電のON/OFFを行う波数制御を行えばよい。波数制御方式では、商業交流電源1の電圧のゼロクロスポイントでヒータ44への通電がON/OFFされる。そのため、高調波の発生を無視でき、電源装置としての高調波レベルを大幅に軽減できる。このように、波数制御方式は、高調波に対して有利であるが、フリッカノイズについては不利である。ただし、商業交流電源1の電圧が200Vの地域では、ヒータ44への通電電流値が低いため、商業交流電源1の電圧が減少しにくい。よって、フリッカノイズのレベルは問題となりにくい。このような考察から導き出せることは、商業交流電源1の電圧が低い地域では位相制御を選択し、電圧が高い地域では波数制御を選択することである。
【0045】
図6は、位相制御を説明するタイムチャートである。VCは商業交流電源の電圧波形である。CPU29はゼロクロスポイントから所定の位相Ph1でトライアック45をONさせることで、ヒータ44に電流を通電させる。よって、ヒータ44へ通電される電流Ihは図6に示すような波形となる。
【0046】
図7は、波数制御を説明するタイムチャートである。Vhは、ヒータ44への印加電圧である。そのうち、実線部はヒータ44へ商業交流電源1の電圧が印加されていることを示し、破線部はヒータ44へ商業交流電源1の電圧が印加されていないことを示している。波数制御では、ゼロクロスポイントで通電をON/OFFする。そのため、ヒータ44への通電は、商業交流電源1の半周期毎になる。
【0047】
図8は、上記現象に鑑み、位相制御と波数制御の切り替えを行う実施例3を示すフローチャートである。初めに画像形装置への電力の投入が開始されると、CPU29がフローチャートに従って制御を実行する。
【0048】
S801で、CPU29は、商業交流電源1の電圧を検知する。電圧の検知方式は実施例1または実施例2で説明した通りである。
【0049】
S802で、CPU29は、検知した電圧を閾値と比較し、検知した電圧が閾値以上であるかどうかを判定する。この判定処理は、電源装置が設置された地域が高電圧の地域かまたは低電圧の地域かを判定する処理である。また、この判定処理は、商業交流電源1の電圧が高電圧(例:200V)かまたは低電圧(例:100V)の地域かを判定する処理である。閾値は、例えば、160Vである。CPU29は、検知電圧が160V未満であれば100V系地域と判定し、S804に進む。S804で、CPU29は、ヒータ44への通電制御方式として位相制御方式を選択する。一方、検知電圧が160V以上であれば200V系地域と判定し、S805に進む。S805で、CPU29は、ヒータ44への通電制御方式として波数制御方式を選択する。画像形成が終了すると、S806で、CPU29は、スタンバイ状態へ移行する。スタンバイ状態においてプリント命令を受信すると、CPU29は、画像形成を実行する。
【0050】
このように、CPU29は、商業交流電源の電圧の推定値が閾値以上でなければ位相制御方式を用いて電力を調整し、推定値が閾値以上であれば位相制御方式を用いて電力を調整する。これにより、高調波とフリッカノイズを緩和することができる。
【0051】
[実施例4]
実施例4は、実施例1や実施例2で説明した商業交流電源1の電圧情報に基づいてヒータ44への電力投入を制御する発明である。初めにヒータ44への電力供給を開始してからヒータ44が目標温度に達するまでのヒータ立ち上げ制御に関して説明する。
【0052】
図9は、ヒータ温度についてのタイムチャートである。TIは理想的な電力をヒータ44へ投入した場合のヒータ温度を示している。実施例3や実施例4では、CPU29が、商業交流電源の電圧の推定値と定着装置114のヒータ抵抗の抵抗値Rとから商業交流電源1から定着装置に供給される電力を求め、この電力を調整することで定着装置114の温度を目標温度に維持する制御回路である。ヒータ44への通電を開始すると、一定の電力が投入され、ヒータ立ち上げ温度TT0までヒータ44の温度は上昇する。ヒータ立ち上げ温度TT0以上になると、ヒータ温度は、記録媒体にトナー像を定着するための一定温度TT1に調節される。
【0053】
次に、理想的な電力よりもヒータ立ち上げ時の投入電力が多かった場合の説明を行う。図9において、THは過剰な電力をヒータ44へ投入した場合のヒータ温度を示している。ヒータ温度がヒータ立ち上げ温度TT0以上になると、CPU29は、ヒータ温度が記録媒体にトナー像を定着するための一定温度TT1となるようにヒータ44への電力を制御する。しかし、ヒータ44や周囲部品の余熱により、ヒータ温度は一定温度TT1を通過してしまい、いわゆるオーバシュートが発生する。オーバシュート量が大きいと、CPU29は、異常状態が発生したものと判定してしまうおそれがある。一定温度TT1に収束するまでの時間が通常よりも多く必要となるおそれもある。制御時間が長くなると、画像の形成が遅れるため、画像形成装置のユーザビリティが低下するだろう。
【0054】
続いて、理想的な電力よりも、ヒータ立ち上げ時の投入電力が少なかった場合の説明を行う。TLは不足した電力をヒータ44へ投入した場合のヒータ温度である。この場合、ヒータ44に過剰に電力を投入した場合と異なり、ヒータ温度にオーバシュートが発生することはない。しかし、温度上昇の速度が遅いため、ヒータ温度が目標温度に到達するまでの時間が通常よりも多く必要となってしまう。
【0055】
このようにヒータ44の立ち上げ制御時は理想の投入電力から多くても少なくても問題がある。ヒータ44の温度を短い時間で一定温度TT1に到達させるためには、CPU29は、理想の電力をヒータ44に投入する必要がある。
【0056】
続いて、理想の電力をヒータ44に投入する方法を説明する。
【0057】
ヒータ44への投入電力は、
電力=Ih×Ih×R
=Vh×Vh/R
で示される。ここで、Ihはヒータ44への通電電流である。Rは、ヒータ44の抵抗値である。Vhは、ヒータ44への印加電圧である。
【0058】
ヒータ44への投入電流Ihは、トライアック45への電流の通電時間を制御することで調整可能である。上記の数式より、ヒータ44への通電電流Ihとヒータ44への印加電圧Vhは反比例の関係にある。よって、CPU29は、ヒータ44への印加電圧Vhを検知できれば、一意的にヒータ44への通電電流Ihを決定できる。このように、CPU29は、商業交流電源の電圧の推定値と定着装置のヒータ抵抗の抵抗値から求められた定着装置に供給される電力からヒータ抵抗に通電する電流を決定する決定回路として機能する。
【0059】
そこで、実施例1、実施例2記載の画像形成装置では、CPU29が、ヒータ44への印加電圧Vhである商業交流電源1の電圧VCを検知し、その検知電圧に基づきヒータ44への通電電流Ihを決定する。これにより理想的な電力をヒータ44へ投入できる。特に、実施例2では商業交流電源1の電圧波形の積分値を検知しているため、商業交流電源1の電圧波形が歪んでもヒータ44への投入電力を一定に出来る利点がある。
【0060】
続いて、画像形成装置の最大電力規制について説明を行う。画像形成装置では様々なケースにおいて最大電力を規制される場合がある。例えば、ヒータ44への過度な電力投入の防止のための電力制限や商業交流電源1の電力制限などである。ヒータ44の抵抗値Rは一定のばらつきの個体差を有した固定値であり、電力の上限値も固定である。よって、商業交流電源1の電圧を測定できれば、CPU29は、電力の上限値に対応したヒータ44への最大投入電流Ih_maxを決定できる。CPU29は、決定した最大投入電流Ih_maxに対応したトライアック45の最大ON幅を算出する。これにより、ヒータ44への最大電力を制限することが可能となる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置にかかり、とりわけ、トナー像を記録媒体に定着させる画像形成装置に電力を供給する電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器を国内だけでなく国外でも販売するために、各地域の商業交流電源の電圧に対応させることが望まれている。様々な電圧に対応した電源装置をユニバーサル電源装置と呼ぶことにする。
【0003】
一方で、トナー像を加熱して記録媒体に定着させる画像形成装置の定着制御方式についてもユニバーサル化することが必要となっている。定着制御方式のユニバーサル化では、商業交流電源の電圧を正確に検出し、検出した電圧に応じて制御方法を選択することが重要である。特許文献1によれば、商業交流電源の電圧のゼロクロスポイントに対して電圧をクランプさせ、商業交流電源の電圧に依存したデューティ比のパルス波を出力させる電圧検知回路が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−110839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の発明では、商業交流電源の電圧をツェナーダイオードでクランプして商業交流電源の電圧に比例してデューティ比が変化するパルス波に変換している。そのため、特許文献1の発明では、商業交流電源の電圧の歪が生じると容易にデューティ比が変化し、電圧を誤検知してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、商業交流電源の電圧に歪が生じても商業交流電源の電圧を従来よりも正確に検知できるようにすることを目的とする。なお、他の副次的な目的については明細書の全体から理解できよう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決すべく、
商業交流電源の電圧を整流する整流回路と、
整流回路からの出力電圧を平滑する平滑回路と、
平滑回路からの直流電圧、整流回路からの出力電圧のピーク値または商業交流電源の電圧の積分値に対応したデューティ比のパルス波を生成するパルス波生成回路と、
パルス波を入力し、パルス波のデューティ比を求め、パルス波のデューティ比に対応した電圧を商業交流電源の電圧として推定する推定回路と
を備えたことを特徴とする電源装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、平滑回路からの直流電圧、整流回路からの出力電圧のピーク値または商業交流電源の電圧の積分値に対応したデューティ比のパルス波が生成される。平滑回路からの直流電圧、整流回路からの出力電圧のピーク値および商業交流電源の電圧の積分値はいずれも商業交流電源の電圧の歪の影響を受けにくい。そのため、本発明では、従来よりも正確に商業交流電源の電圧を検知できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1における画像形成装置の回路図
【図2】実施例1におけるタイムチャート
【図3】商業交流電源の全波整流後の電圧波形
【図4】実施例2における画像形成装置の回路図
【図5】実施例2におけるタイムチャート
【図6】位相制御を説明するタイムチャート
【図7】波数制御を説明するタイムチャート
【図8】実施例3におけるフローチャート
【図9】ヒータ温度についてのタイムチャート
【図10】基本構成における画像形成装置の回路図
【図11】基本構成における商業交流電源の電圧を検知する仕組みを説明するタイムチャート
【図12】基本構成における商業交流電源の電圧に歪が生じた際のタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
[基本構成]
<ACDC電源110>
図10は画像形成装置に電力を供給する電源装置の基本構成を示すである。記録媒体に画像を形成する画像形成装置は、印刷装置、プリンタ、複写機、複合機、ファクシミリとして製品化されることがある。記録媒体は、記録材、用紙、シート、転写材、転写紙と呼ばれることもある。
【0011】
商業交流電源1は正弦波の交流電圧を出力する電源である。商業交流電源1の電圧は地域によって異なり、たとえば、100V〜200Vである。商業交流電源1の電圧は全波整流するダイオードブリッジ2で整流され、平滑用の1次電解コンデンサ3で直流電圧に変換される。電源IC4は、画像形成装置の2次側へ絶縁された状態で電力を供給するACDC電源110を制御する制御ユニットである。ここでは説明の便宜上、ACDC電源110をフライバック方式の電源とするが、他の電源方式であってもよい。
【0012】
以下に電源IC4の動作を説明する。電源IC4を起動する起動抵抗5を経由して電流が電源IC4へ供給される。電源IC4の制御部に電力を供給するVcc端子6には平滑用のVcc用コンデンサ7が接続されている。そのため、徐々にVcc端子6の電圧が上昇する。やがて、Vcc端子6の電圧が所定の電圧に達すると電源IC4が起動する。電源IC4は、電力を2次側に伝達するトランス8へ電力供給するために、トランス駆動用FET9のスイッチングを開始する。トランス駆動用FET9のスイッチングが開始されると、トランス8の2次側端子から2次整流ダイオード10を経由し電流が2次側へ供給される。この電流は2次平滑コンデンサ11にて直流電圧に平滑される。やがて2次平滑コンデンサ11の端子間電圧である24V電圧が上昇していくと、トランス8の2次巻線8−1電圧に比例した電圧がトランス8のドライブ巻線8−2に発生する。整流用のドライブ巻線用整流ダイオード12を経由し、Vcc端子6へ電力が供給される。このようにして、継続的に電源IC4の制御部へ電力が供給される。トランス駆動用FET用電流検出抵抗13はトランス駆動用FET9へ流れる電流を検出する抵抗である。トランス駆動用FET用電流検出抵抗13の両端に発生する電圧は電源IC4へ出力される。電源IC4は所定の電圧を検知すると、トランス駆動用FET9をOFFさせる。
【0013】
次に24V電圧を一定に制御する回路動作の説明を行う。24V電圧は電圧検出抵抗14で分圧され、分圧された電圧はシャントレギュレータ15の入力端子へ出力される。シャントレギュレータ15は基準電圧と入力端子電圧を比較し、その差分をカソード端子から出力する。差分は、フォトカプラA17により2次側から1次側へ伝達され、電源IC4のフィードバック端子16へ伝達される。電源IC4はフィードバック端子16の電圧に従ってトランス8へ供給する電流量を制御し、24V電圧を一定の電圧に制御する。なお、フィードバック保証用コンデンサ18とフィードバック保証用抵抗19は24V電圧の位相と利得を補償する。シャントレギュレータ電流制限抵抗20はシャントレギュレータ15のカソード端子に流れ込む電流を制限する。フィードバック端子ノイズ除去用コンデンサ21はフィードバック端子16の耐ノイズ性を向上させる。なお、24V電圧は、主に画像形成装置を駆動するアクチュエータ(不図示)へ供給される。
【0014】
<3.3V電圧生成用DCDCコンバータ回路111>
次に画像形成装置の制御を司るCPU29や低電圧系回路へ電力を供給する3.3V電圧生成用DCDCコンバータ回路111の説明を行う。24V電圧が上昇すると、24Vから3.3Vに電圧を降圧するDCDCコンバータ制御IC22が起動する。DCDCコンバータ制御IC22は24Vラインと3.3Vラインを接続するDCDCコンバータ用FET23をONさせる。DCDCコンバータ用FET23がONすると、チョークコイル24に電流が流れ、3.3V電圧を平滑するDCDCコンバータ用電解コンデンサ25が充電される。これにより3.3V電圧が上昇を開始する。チョークコイル24に流れる電流は、この電流を制限するDCDCコンバータ用電流制限抵抗26に流れる。その両端に発生する電圧がDCDCコンバータ制御IC22に伝達される。この電圧が所定の電圧に達すると、DCDCコンバータ用FET23がチョークコイル24の電流を遮断する。チョークコイル24の電流が遮断されると、その両端に逆起電力が発生し、DCDCコンバータ用FET23のドレイン端子電圧がGND電圧よりも低下する。これにより、回生用ダイオード27を経由してGNDからチョークコイル24に電流が流れる。
【0015】
続いて、3.3V電圧の制御について説明を行う。3.3V電圧は3.3V電圧検出抵抗28により分圧される。DCDCコンバータ制御IC22はこの分圧値を読み取ることで、3.3V電圧を検出する。DCDCコンバータ制御IC22は基準電圧と分圧値を比較し、分圧値が基準値に近づくようにDCDCコンバータ用FET23のオン・デューティを制御する。これにより3.3V電圧が一定に制御される。
【0016】
<ゼロクロス検出回路112>
次に商業交流電源1の電圧のゼロクロスポイントを検出するゼロクロス検出回路112の説明を行う。商業交流電源1の電圧はゼロクロス用整流ダイオード30により半波整流され、さらにゼロクロス用分圧抵抗31により低電圧信号へ降圧される。低電圧信号化された商業交流電源1の電圧はゼロクロス用トランジスタ32によりパルス波に変換される。このパルス波は商業交流電源1の電圧がゼロクロスするタイミングで変化するゼロクロス信号である。なお、ゼロクロス用トランジスタベース抵抗33はゼロクロス用トランジスタ32のベース電流を制限する。ゼロクロス用トランジスタ32のコレクタに発生したパルス状のゼロクロス信号はゼロクロス用フォトカプラ34を経由してCPU29へ伝達される。ゼロクロス用フォトカプラ34は、1次側と2次側を絶縁した状態でゼロクロス信号を伝達する。なお、フォトダイオード電流制限抵抗35はゼロクロス用フォトカプラ34のダイオード電流を制限する。フォトトランジスタ電流制限抵抗36は、ゼロクロス用フォトカプラ34のフォトトランジスタの電流を制限する。
【0017】
<入力電圧検知回路113>
続いて、商業交流電源1の電圧の電圧値を検出する入力電圧検知回路113の説明を行う。商業交流電源1の電圧は、入力電圧検出用整流ダイオード52により半波整流される。半波整流された電圧は、ゼロクロス電圧から所定の電圧に至るまでの電圧をクランプさせる入力電圧クランプ用ツェナーダイオード37を経由して、入力電圧検出用分圧抵抗38に印加される。入力電圧検出用分圧抵抗38に分圧作用によって、高電圧信号が低電圧信号に変換される。これにより、半波整流された電圧は、ゼロクロス電圧から所定の電圧だけクランプされた低電圧信号波形に変換される。この低電圧信号化された波形は入力電圧検出用トランジスタ39によりパルス波に変換される。なお、入力電圧検出用トランジスタベース抵抗40は入力電圧検出用トランジスタのベース電流を制限する。入力電圧検出用トランジスタ39によりパルス波に変化された入力電圧検出用信号は、1次側から2次側へ絶縁された状態で信号を伝達する入力電圧検出用フォトカプラ41を経由しCPU29へ伝達される。なお、フォトダイオード電流制限抵抗42は入力電圧検出用フォトカプラ41のダイオード電流を制限する。フォトトランジスタ電流制限抵抗43は、入力電圧検出用フォトカプラ41のフォトトランジスタの電流を制限する。
【0018】
<定着装置114>
続いて記録媒体にトナー像を熱定着させる定着装置114の説明を行う。ヒータ44は記録媒体へトナー像を熱定着させる熱源である。商業交流電源1からの電力はトライアック45を経由してヒータ44に供給される。ヒータ44の温度は、熱検知素子である絶縁処理されたサーミスタ46で検知される。温度を示す検知信号はCPU29のAD変換ポートへ送信される。サーミスタ46は温度に対応して抵抗値が変化する特性を持つ素子であり、3.3Vラインと直列に接続されたヒータ温度検知用固定抵抗47に接続されている。サーミスタ46とヒータ温度検知用固定抵抗47は分圧回路を形成している。よって、その分圧値はヒータ44の温度により変化する。
【0019】
このような仕組みでヒータ44の温度をCPU29は検出している。ヒータ44の温度を所定の温度に制御するために、CPU29はトライアック45をスイッチングすることによりヒータ44への投入電力を制御している。トライアック45は、絶縁を図るためのフォトトライアックカプラ48を経由してスイッチングされる。CPU29からの信号によりフォトトライアックカプラ通電用のトランジスタ49が制御され、フォトトライアックカプラ48のフォトダイオードへの通電が行われる。なお、50はフォトトライアックカプラ通電用のトランジスタ49のベース抵抗であり、51はフォトトライアックカプラ通電用のトランジスタ49のコレクタ電流制限抵抗である。
【0020】
図11は基本構成における商業交流電源1の電圧を検知する仕組みを説明するタイムチャートである。VH、VLは、入力電圧検出用整流ダイオード52で整流された後の電圧である。VLは比較的に低い商業交流電源1の電圧の波形を示している。VHは、比較的に高い商業交流電源1の電圧の波形を示している。入力電圧検出用整流ダイオード52で整流された波形は、入力電圧クランプ用ツェナーダイオード37で所定の電圧VCでクランプされる。クランプされた波形は、入力電圧検出用トランジスタ39にてパルス波PWに変換され、入力電圧検出用フォトカプラ41でCPU29へ伝達される。商業交流電源1の電圧が比較的に低い場合は、パルス波PWのOFF幅dLが狭くなる。逆に商業交流電源1の電圧が比較的に高い場合は、パルス波PWのOFF幅dWが広くなる。CPU29は、OFF幅を計数することで、商業交流電源1の電圧を認識する。パルス波のオフ幅は、商業交流電源1の電圧に対応しているからである。商業交流電源1の電圧情報は、画像形性装置の記録媒体にトナー像を熱定着させる定着制御に用いられる。
【0021】
図12は、歪が生じた際の商業交流電源の電圧波形を図示したものである。Vnは正常な商業交流電源電圧波形である。Vdは歪が生じた商業交流電源電圧波形である。この例では、CPU29へ出力されるパルス波のOFF幅が正常な場合はdnである、歪が生じるとddとなり、相対的に狭くなってしまう。CPU29は、オフ幅から商業交流電源電圧を測定しているため、オフ幅が狭くなれば商業交流電源電圧を正確に検出できなくなってしまう。
【0022】
[実施例1]
実施例1では、商業交流電源1の電圧波形を整流回路により全波整流し、整流回路からの出力電圧のピーク値または平滑回路からの直流電圧に応じてデューティ比が変化するパルス波を生成し、このパルス波から商業交流電源1の電圧を検出する。そのため、商業交流電源の電圧波形にノイズが生じてもデューティ比は変化しにくくなる。よって、実施例1では、従来よりも正確に商業交流電源の電圧を検知できるようになる。
【0023】
また、基本構成の画像形成装置では、ゼロクロス信号と電圧検出信号の2つの信号で行っていた動作を、実施例1では夫々の情報を損なわずに1つの信号(ゼロクロス兼電圧検出信号)で行うようにする。ゼロクロス兼電圧検出信号の立ち上がりエッジのタイミングはゼロクロスのタイミングに固定し、立ち下がりエッジのタイミングを商業交流電源1の電圧値に応じて変化させる。つまり、CPU29は、ゼロクロス兼電圧検出信号の立ち上がりエッジからゼロクロスのタイミングを認識でき、デューティ比(立ち下がりエッジ)から商業交流電源1の電圧を認識できるようになる。
【0024】
図1は実施例1における画像形成装置の回路図である。基本的な回路構成は基本構成と共通しているため、同一の参照符号を付与することにより説明の簡潔化を図る。図10のゼロクロス検出回路112と入力電圧検知回路113が、図1ではゼロクロスおよび電圧検出回路120に置換されている。ゼロクロスおよび電圧検出回路120は、上述したゼロクロス兼電圧検出信号を生成する。ゼロクロス兼電圧検出信号は、ゼロクロスポイントで状態が変化し、とりわけ立ち上りエッジが急峻であり、立ち下がりエッジは所定の時定数にて立ち下がる。以下で詳細に説明するように、ゼロクロスおよび電圧検出回路120は、平滑回路からの直流電圧または整流回路からの出力電圧のピーク値に対応したデューティ比のパルス波を生成するパルス波生成回路として機能する。
【0025】
商業交流電源1の電圧はゼロクロス用整流ダイオード30により半波整流され、ゼロクロス用分圧抵抗31により低電圧信号へ変換される。低電圧化された商業交流電源1の電圧は、ゼロクロス用トランジスタ32をゼロクロスのタイミングでON/OFFさせる。ゼロクロス用トランジスタ32がターンONすると、電源IC4のVcc端子からゼロクロスポイント固定用ダイオード61を経由して瞬時に時定数設定用コンデンサ62に電流が流れ込む。ゼロクロスポイント固定用ダイオード61は、ゼロクロス用トランジスタ32のエミッタ電圧を急峻に立ち上がらせるためのダイオードである。
【0026】
一方、ゼロクロス用トランジスタ32がターンOFFすると、時定数設定用抵抗63を経由して時定数設定用コンデンサ62に充電されていた電荷が放電する。よって時定数設定用コンデンサ62には、ゼロクロスポイントで状態が変化する電圧波形であって、立ち上りエッジが急峻に立ち上がり、かつ、立ち下がりエッジが所定の時定数にて立ち下がる電圧波形が生じる。なお、コレクタ電流制限抵抗64はゼロクロス用トランジスタ32のコレクタ電流を制限する抵抗である。
【0027】
続いて、商業交流電源1の電圧検出回路の説明を行う。商業交流電源1の交流電圧は、ダイオードブリッジ2により構成された整流回路で整流され、1次電解コンデンサ3により構成された平滑回路で平滑されて直流電圧(DC電圧)に変換される。ダイオードブリッジ2は商業交流電源の電圧を整流する整流回路として機能し、1次電解コンデンサ3は整流回路からの出力電圧を平滑する平滑回路として機能する。DC電圧に変換された商業交流電源1の電圧を入力電圧検出抵抗65で分圧して降圧する。分圧された電圧値は入力電圧−デューティ変換用コンパレータ66の反転端子に入力される。一方、時定数設定用コンデンサ62に発生した電圧がコンパレータ66の非反転端子に入力される。入力電圧−デューティ変換用コンパレータ66は、立ち上りエッジがゼロクロスポイントで急峻に立ち上り、かつ、立下りエッジが商業交流電源1の電圧のピーク値に依存してデューティ比が変化するパルス状のゼロクロス兼電圧検出信号を出力端子に発生する。ゼロクロス兼電圧検出信号は、ゼロクロス兼電圧検出用フォトカプラ67を経由してCPU29へ伝達される。フォトカプラ67は、入力側と出力側とを絶縁した状態でCPU29へ信号を伝達する。なお、フォトダイオード電流制限抵抗75はゼロクロス兼電圧検出用フォトカプラ67のダイオード電流を制限する。フォトトランジスタ電流制限抵抗68はゼロクロス兼電圧検出用フォトカプラ67のフォトトランジスタ電流を制限する抵抗である。
【0028】
図2は実施例1におけるゼロクロス兼電圧検出信号を生成する過程の回路動作を説明するタイムチャートである。Vr65は入力電圧検出抵抗65で分圧された電圧であり、商業交流電源1の電圧のピーク値に比例して変化する。Vc62は時定数設定用コンデンサ62に発生する電圧である。Vc66は、この2つの電圧を比較した比較結果であり、入力電圧−デューティ変換用コンパレータ66の出力電圧波形である。
【0029】
図3は、商業交流電源1の全波整流後の電圧波形を示す図である。Vnは歪が発生していない波形である。Vdは歪みの発生している波形である。実際の商業交流電源1の電圧では、波形に歪が生じてもピーク電圧が変化しないことが多い。また、ピーク電圧が変化する場合であっても落雷などにより微小な時間だけサージ状に波形が歪むだけにすぎない。よって、ピーク電圧を平滑した後の直流電圧VDCは安定している。よって、直流電圧VDCからゼロクロス兼電圧検出信号を生成し、ゼロクロス兼電圧検出信号のデューティ比から商業交流電源1の電圧を求めれば、歪みの影響が緩和された精度の高い電圧を検知できる。CPU29は、ゼロクロス兼電圧検出信号のデューティ比を商業交流電源1の電圧に変換する変換テーブルまたは変換関数をあらかじめ備えている。ここで求められた商業交流電源1の電圧の値はゼロクロス兼電圧検出信号のデューティ比から求められた商業交流電源1の電圧の推定値である。このようにCPU29は、パルス波を入力し、パルス波のデューティ比を求め、パルス波のデューティ比に対応した電圧を商業交流電源1の電圧として推定する推定回路として機能する。
【0030】
以上説明したように、商業交流電源1の電圧を整流平滑して得られた直流電圧(ピーク値)から商業交流電源1の電圧を検知するため、波形歪みの影響を受けにくくなる利点がある。さらに、本実施例では、1つの信号でゼロクロスポイント情報と商業交流電源1の電圧情報をCPU29へ伝達できる利点もある。
【0031】
なお、実施例1では、ゼロクロス兼電圧検出信号の立ち上りエッジを固定とし、立ち下がりエッジを商業交流電源1の電圧で変化させる回路を採用した。しかし、本発明のこの回路にのみ限定されるわけではない。たとえば、ゼロクロス兼電圧検出信号の立ち下がりエッジを固定とし、立ち上りエッジのタイミングを商業交流電源1の電圧で変化するように回路を構成してもよい。このように、ゼロクロスおよび電圧検出回路120は、パルス波の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジのうち一方を、商業交流電源の電圧の正負が切り替わるゼロクロスポイントに同期したタイミングで生成すればよい。また、ゼロクロスおよび電圧検出回路120は、パルス波の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジのうち他方を、平滑回路からの直流電圧または整流回路からの出力電圧のピーク値に対応したタイミングで生成すればよい。
【0032】
[実施例2]
実施例2は実施例1で説明した商業交流電源1の電圧波形を平滑した後の電圧値を検出する構成に代えて、商業交流電源1の電圧波形を積分する回路を採用する。さらに、ゼロクロス検出回路から出力されるパルス波を加工して、一方のエッジの切り替えタイミングをゼロクロスポイントで固定し、他方のエッジの切り替えタイミングを積分値に応じて可変とする。つまり、パルス波のデューティ比が積分値に対応して変化することになる。これにより、実施例2でも、ゼロクロスポイントの情報を損なわずに商業交流電源1の電圧をCPU29へ伝達できるようになる。
【0033】
図4は実施例2における画像形成装置の回路図である。図4において、実施例1と共通する部分には同一の参照符号を付与することで説明の簡潔化を図る。図1のゼロクロスおよび電圧検出回路120が図4ではゼロクロスおよび電圧検出回路121に置換されている。以下で詳細に説明するように、ゼロクロスおよび電圧検出回路121は、商業交流電源の電圧の積分値に対応したデューティ比のパルス波を生成するパルス波生成回路として機能する。
【0034】
まず、積分回路用分圧抵抗76は、商業交流電源1の電圧を高電圧信号から低電圧信号に変換(分圧)する。分圧された電圧は積分回路用ダイオード77にて整流され、積分回路用抵抗78および積分回路用コンデンサ79により構成されたCR積分回路で積分される。積分回路用コンデンサ79に発生した積分電圧は、入力電圧−デューティ変換用コンパレータの反転端子に入力される。一方、入力電圧−デューティ変換用コンパレータ66の非反転端子に入力される信号は、実施例1で説明した信号と同じである。つまり、商業交流電源1の電圧のゼロクロスポイントで波形が変化し、立ち上りエッジが急峻に立ち上り、立ち下がりエッジが所定の時定数にて立ち下がる信号である。
【0035】
実施例2では商業交流電源1の電圧の1周期毎に積分値を検出する構成とするため、積分回路用コンデンサ79を商業交流電源1の電圧の1周期毎に放電させる必要がある。そこで、この放電回路122について説明する。商業交流電源1の電圧は放電回路整流用ダイオード80で整流され、放電回路用分圧抵抗81にて分圧される。さらに、分圧された電圧は、放電回路ゼロクロス用トランジスタ82のベースへ入力され、商業交流電源1の電圧のゼロクロスポイントで信号が変化するパルス波に変換される。なお、抵抗83は放電回路ゼロクロス用トランジスタ82のベース抵抗である。抵抗84は放電回路ゼロクロス用トランジスタ82のコレクタ電流を制限するコレクタ電流制限抵抗である。
【0036】
放電回路ゼロクロス用トランジスタ82のエミッタから得られたパルス波は、パルス波を分周するためのDフリップフロップ85のクロック入力端子へ入力される。反転出力端子とD端子が直結されたDフリップフロップ85の出力端子はゼロクロス信号を1/2分周した波形を出力する。Dフリップフロップ85の出力信号は2つに分けられる。1つは、積分回路用コンデンサ79が積分を開始するタイミングで放電を行うための2入力のEXOR回路108の一方の入力端子に入力される。もう1つは、遅延用コンデンサ86と遅延用抵抗87で遅延させられてEXOR回路108の他方の入力端子に入力される。よって、EXOR回路108は、1/2分周されたゼロクロス信号のエッジが切り替わるタイミングでHighレベルとなる細いパルス信号を出力する。EXOR回路108の出力は、積分回路用コンデンサ79を放電させる積分回路用コンデンサ放電用トランジスタ88のベースに入力される。EXOR回路108がHighになったタイミングで積分回路用コンデンサ79の放電を行う。なお、抵抗89は積分回路用コンデンサ放電用トランジスタのベース抵抗である。
【0037】
以上の回路動作により、入力電圧−デューティ変換用コンパレータ66の出力信号は、商業交流電源1の電圧の1周期毎に積分された積分値がゼロクロス信号のデューティ比に変換される。そして、実施例1で説明したように、ゼロクロス兼電圧検出用フォトカプラ67にてCPU29へ絶縁した状態でゼロクロス兼電圧検出信号が伝達される。
【0038】
図5は実施例2におけるゼロクロス兼電圧検出信号を生成する過程の回路動作を説明するタイムチャートである。Vd77は、積分回路用分圧抵抗76で分圧され積分回路用ダイオード77で整流された電圧波形である。Vc79は分圧整流された電圧Vd77を積分した積分回路用コンデンサ79の電圧波形である。また、VexはEXOR回路108の出力電圧波形である。商業交流電源1の電圧の1周期毎に積分回路用コンデンサ79の放電が行われる。
【0039】
このように生成された電圧波形Vc79は、商業交流電源1の電圧の半周期ぶんの積分値に相当し、直流電圧として生成される。Vc66は、入力電圧−デューティ変換用コンパレータ66の出力信号波形であり、実施例1で説明した時定数設定用コンデンサ62に発生する電圧Vc62と、積分回路用コンデンサの電圧波形Vc79の比較結果を示している。このように、商業交流電源1の電圧の積分値に対応してデューティ比が変化するパルス波(Vc66)が得られる。
【0040】
実施例2では、実施例1と比較し簡単な回路部品の追加で商業交流電源1の電圧の積分値を検知できる。そのため、実施例2の発明は、画像形成装置のように、商業交流電源1の電圧から負荷(ヒータ44)に供給される電力を制御する機器において有効であろう。
【0041】
なお、実施例2では、ゼロクロス兼電圧検出信号の立ち上りエッジを固定とし、立ち下がりエッジのタイミングを商業交流電源1の電圧で変化させる回路について説明した。しかし、実施例1で説明したように、ゼロクロス兼電圧検出信号の立ち下がりエッジを固定とし、立ち上りエッジのタイミングを商業交流電源1の電圧で変化するように回路を構成してもよい。このように、ゼロクロスおよび電圧検出回路121は、パルス波の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジのうち一方を、商業交流電源の電圧の正負が切り替わるゼロクロスポイントに同期させて生成する。ゼロクロスおよび電圧検出回路121は、パルス波の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジのうち他方を、商業交流電源の電圧の積分値に同期させて生成する。
【0042】
[実施例3]
実施例3は、実施例1や実施例2で説明したように商業交流電源1の電圧情報に基づいて記録媒体にトナー像を熱定着させるヒータ44への通電制御方式を切り替えることを特徴とする。これにより、ヒータ44への通電電圧に有利となる通電制御方式が選択されることになる。
【0043】
記録媒体へトナー像を熱定着させるために、ヒータ44は一定の温度で発熱するように制御される。一定の温度で制御するためには、ヒータ44へ一定の電力を供給する必要がある。供給電力が一定であれば、ヒータ44への印加電圧と通電電流は互いに反比例した関係となる。つまり、印加電圧が低いと通電電流は多くなり、逆に印加電圧が高いと通電電流は少なくなる。一般的には、ヒータ44への通電電流が多い場合、商業交流電源1の送電インピーダンスにより商業交流電源1の電圧が減少し、フリッカノイズが発生することがある。フリッカノイズは、画像形成装置の近くに接続されている照明器具から発せられる光の輝度がふらつく現象のことである。商業交流電源1の半周期間においてヒータ44への通電比率を制御する位相制御を行うことで、フリッカノイズのレベルは人間が感じ取れないレベルまで緩和可能である。このように、位相制御方式は、フリッカノイズについて有利である。
【0044】
しかし、ヒータ44への通電電流が少ない状態で位相制御を行った場合、高調波規制の厳しい200V系の地域においては規格を満足できなくなる可能性がある。つまり、位相制御方式は、高調波については不利である。そこで、このような地域では、商業交流電源1の半周期を1単位として通電のON/OFFを行う波数制御を行えばよい。波数制御方式では、商業交流電源1の電圧のゼロクロスポイントでヒータ44への通電がON/OFFされる。そのため、高調波の発生を無視でき、電源装置としての高調波レベルを大幅に軽減できる。このように、波数制御方式は、高調波に対して有利であるが、フリッカノイズについては不利である。ただし、商業交流電源1の電圧が200Vの地域では、ヒータ44への通電電流値が低いため、商業交流電源1の電圧が減少しにくい。よって、フリッカノイズのレベルは問題となりにくい。このような考察から導き出せることは、商業交流電源1の電圧が低い地域では位相制御を選択し、電圧が高い地域では波数制御を選択することである。
【0045】
図6は、位相制御を説明するタイムチャートである。VCは商業交流電源の電圧波形である。CPU29はゼロクロスポイントから所定の位相Ph1でトライアック45をONさせることで、ヒータ44に電流を通電させる。よって、ヒータ44へ通電される電流Ihは図6に示すような波形となる。
【0046】
図7は、波数制御を説明するタイムチャートである。Vhは、ヒータ44への印加電圧である。そのうち、実線部はヒータ44へ商業交流電源1の電圧が印加されていることを示し、破線部はヒータ44へ商業交流電源1の電圧が印加されていないことを示している。波数制御では、ゼロクロスポイントで通電をON/OFFする。そのため、ヒータ44への通電は、商業交流電源1の半周期毎になる。
【0047】
図8は、上記現象に鑑み、位相制御と波数制御の切り替えを行う実施例3を示すフローチャートである。初めに画像形装置への電力の投入が開始されると、CPU29がフローチャートに従って制御を実行する。
【0048】
S801で、CPU29は、商業交流電源1の電圧を検知する。電圧の検知方式は実施例1または実施例2で説明した通りである。
【0049】
S802で、CPU29は、検知した電圧を閾値と比較し、検知した電圧が閾値以上であるかどうかを判定する。この判定処理は、電源装置が設置された地域が高電圧の地域かまたは低電圧の地域かを判定する処理である。また、この判定処理は、商業交流電源1の電圧が高電圧(例:200V)かまたは低電圧(例:100V)の地域かを判定する処理である。閾値は、例えば、160Vである。CPU29は、検知電圧が160V未満であれば100V系地域と判定し、S804に進む。S804で、CPU29は、ヒータ44への通電制御方式として位相制御方式を選択する。一方、検知電圧が160V以上であれば200V系地域と判定し、S805に進む。S805で、CPU29は、ヒータ44への通電制御方式として波数制御方式を選択する。画像形成が終了すると、S806で、CPU29は、スタンバイ状態へ移行する。スタンバイ状態においてプリント命令を受信すると、CPU29は、画像形成を実行する。
【0050】
このように、CPU29は、商業交流電源の電圧の推定値が閾値以上でなければ位相制御方式を用いて電力を調整し、推定値が閾値以上であれば位相制御方式を用いて電力を調整する。これにより、高調波とフリッカノイズを緩和することができる。
【0051】
[実施例4]
実施例4は、実施例1や実施例2で説明した商業交流電源1の電圧情報に基づいてヒータ44への電力投入を制御する発明である。初めにヒータ44への電力供給を開始してからヒータ44が目標温度に達するまでのヒータ立ち上げ制御に関して説明する。
【0052】
図9は、ヒータ温度についてのタイムチャートである。TIは理想的な電力をヒータ44へ投入した場合のヒータ温度を示している。実施例3や実施例4では、CPU29が、商業交流電源の電圧の推定値と定着装置114のヒータ抵抗の抵抗値Rとから商業交流電源1から定着装置に供給される電力を求め、この電力を調整することで定着装置114の温度を目標温度に維持する制御回路である。ヒータ44への通電を開始すると、一定の電力が投入され、ヒータ立ち上げ温度TT0までヒータ44の温度は上昇する。ヒータ立ち上げ温度TT0以上になると、ヒータ温度は、記録媒体にトナー像を定着するための一定温度TT1に調節される。
【0053】
次に、理想的な電力よりもヒータ立ち上げ時の投入電力が多かった場合の説明を行う。図9において、THは過剰な電力をヒータ44へ投入した場合のヒータ温度を示している。ヒータ温度がヒータ立ち上げ温度TT0以上になると、CPU29は、ヒータ温度が記録媒体にトナー像を定着するための一定温度TT1となるようにヒータ44への電力を制御する。しかし、ヒータ44や周囲部品の余熱により、ヒータ温度は一定温度TT1を通過してしまい、いわゆるオーバシュートが発生する。オーバシュート量が大きいと、CPU29は、異常状態が発生したものと判定してしまうおそれがある。一定温度TT1に収束するまでの時間が通常よりも多く必要となるおそれもある。制御時間が長くなると、画像の形成が遅れるため、画像形成装置のユーザビリティが低下するだろう。
【0054】
続いて、理想的な電力よりも、ヒータ立ち上げ時の投入電力が少なかった場合の説明を行う。TLは不足した電力をヒータ44へ投入した場合のヒータ温度である。この場合、ヒータ44に過剰に電力を投入した場合と異なり、ヒータ温度にオーバシュートが発生することはない。しかし、温度上昇の速度が遅いため、ヒータ温度が目標温度に到達するまでの時間が通常よりも多く必要となってしまう。
【0055】
このようにヒータ44の立ち上げ制御時は理想の投入電力から多くても少なくても問題がある。ヒータ44の温度を短い時間で一定温度TT1に到達させるためには、CPU29は、理想の電力をヒータ44に投入する必要がある。
【0056】
続いて、理想の電力をヒータ44に投入する方法を説明する。
【0057】
ヒータ44への投入電力は、
電力=Ih×Ih×R
=Vh×Vh/R
で示される。ここで、Ihはヒータ44への通電電流である。Rは、ヒータ44の抵抗値である。Vhは、ヒータ44への印加電圧である。
【0058】
ヒータ44への投入電流Ihは、トライアック45への電流の通電時間を制御することで調整可能である。上記の数式より、ヒータ44への通電電流Ihとヒータ44への印加電圧Vhは反比例の関係にある。よって、CPU29は、ヒータ44への印加電圧Vhを検知できれば、一意的にヒータ44への通電電流Ihを決定できる。このように、CPU29は、商業交流電源の電圧の推定値と定着装置のヒータ抵抗の抵抗値から求められた定着装置に供給される電力からヒータ抵抗に通電する電流を決定する決定回路として機能する。
【0059】
そこで、実施例1、実施例2記載の画像形成装置では、CPU29が、ヒータ44への印加電圧Vhである商業交流電源1の電圧VCを検知し、その検知電圧に基づきヒータ44への通電電流Ihを決定する。これにより理想的な電力をヒータ44へ投入できる。特に、実施例2では商業交流電源1の電圧波形の積分値を検知しているため、商業交流電源1の電圧波形が歪んでもヒータ44への投入電力を一定に出来る利点がある。
【0060】
続いて、画像形成装置の最大電力規制について説明を行う。画像形成装置では様々なケースにおいて最大電力を規制される場合がある。例えば、ヒータ44への過度な電力投入の防止のための電力制限や商業交流電源1の電力制限などである。ヒータ44の抵抗値Rは一定のばらつきの個体差を有した固定値であり、電力の上限値も固定である。よって、商業交流電源1の電圧を測定できれば、CPU29は、電力の上限値に対応したヒータ44への最大投入電流Ih_maxを決定できる。CPU29は、決定した最大投入電流Ih_maxに対応したトライアック45の最大ON幅を算出する。これにより、ヒータ44への最大電力を制限することが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商業交流電源の電圧を整流する整流回路と、
前記整流回路からの出力電圧を平滑する平滑回路と、
前記平滑回路からの直流電圧、前記整流回路からの出力電圧のピーク値または前記商業交流電源の電圧の積分値に対応したデューティ比のパルス波を生成するパルス波生成回路と、
前記パルス波生成回路が生成したパルス波を入力し、前記パルス波のデューティ比を求め、前記パルス波のデューティ比に対応した電圧を前記商業交流電源の電圧として推定する推定回路と
を備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記パルス波生成回路は、
前記パルス波の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジのうち一方を、前記商業交流電源の電圧の正負が切り替わるゼロクロスポイントに同期したタイミングで生成し、
前記パルス波の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジのうち他方を、前記平滑回路からの直流電圧、前記整流回路からの出力電圧のピーク値または前記商業交流電源の電圧の積分値に対応したタイミングで生成することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
商業交流電源の電圧を整流する整流回路と、前記整流回路からの出力電圧を平滑する平滑回路と、前記平滑回路からの直流電圧、前記整流回路からの出力電圧のピーク値または前記商業交流電源の電圧の積分値に対応したデューティ比のパルス波を生成するパルス波生成回路と、前記パルス波を入力し、前記パルス波のデューティ比を求め、前記パルス波のデューティ比に対応した電圧を前記商業交流電源の電圧として推定する推定回路とを備えた電源装置と、
記録媒体にトナー像を定着させる定着装置と、
前記推定回路により推定された前記商業交流電源の電圧の推定値と前記定着装置のヒータ抵抗の抵抗値から前記商業交流電源から前記定着装置に供給される電力を求め、該電力を調整することで前記定着装置の温度を目標温度に維持する制御回路と
を備え、
前記制御回路は、
前記推定回路により推定された前記商業交流電源の電圧の推定値が閾値以上でなければ位相制御方式を用いて前記電力を調整し、前記推定値が前記閾値以上であれば位相制御方式を用いて前記電力を調整することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記パルス波生成回路は、
前記パルス波の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジのうち一方を、前記商業交流電源の電圧の正負が切り替わるゼロクロスポイントに同期したタイミングで生成し、
前記パルス波の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジのうち他方を、前記平滑回路からの直流電圧、前記整流回路からの出力電圧のピーク値または前記商業交流電源の電圧の積分値に対応したタイミングで生成することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記商業交流電源の電圧の推定値と前記定着装置のヒータ抵抗の抵抗値とから求められた前記定着装置に供給される電力から、前記ヒータ抵抗に通電する電流を決定することを特徴とすることを特徴とする請求項3または4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記パルス波生成回路は、前記商業交流電源の電圧の積分値に対応したデューティ比のパルス波を生成する回路であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項1】
商業交流電源の電圧を整流する整流回路と、
前記整流回路からの出力電圧を平滑する平滑回路と、
前記平滑回路からの直流電圧、前記整流回路からの出力電圧のピーク値または前記商業交流電源の電圧の積分値に対応したデューティ比のパルス波を生成するパルス波生成回路と、
前記パルス波生成回路が生成したパルス波を入力し、前記パルス波のデューティ比を求め、前記パルス波のデューティ比に対応した電圧を前記商業交流電源の電圧として推定する推定回路と
を備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記パルス波生成回路は、
前記パルス波の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジのうち一方を、前記商業交流電源の電圧の正負が切り替わるゼロクロスポイントに同期したタイミングで生成し、
前記パルス波の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジのうち他方を、前記平滑回路からの直流電圧、前記整流回路からの出力電圧のピーク値または前記商業交流電源の電圧の積分値に対応したタイミングで生成することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
商業交流電源の電圧を整流する整流回路と、前記整流回路からの出力電圧を平滑する平滑回路と、前記平滑回路からの直流電圧、前記整流回路からの出力電圧のピーク値または前記商業交流電源の電圧の積分値に対応したデューティ比のパルス波を生成するパルス波生成回路と、前記パルス波を入力し、前記パルス波のデューティ比を求め、前記パルス波のデューティ比に対応した電圧を前記商業交流電源の電圧として推定する推定回路とを備えた電源装置と、
記録媒体にトナー像を定着させる定着装置と、
前記推定回路により推定された前記商業交流電源の電圧の推定値と前記定着装置のヒータ抵抗の抵抗値から前記商業交流電源から前記定着装置に供給される電力を求め、該電力を調整することで前記定着装置の温度を目標温度に維持する制御回路と
を備え、
前記制御回路は、
前記推定回路により推定された前記商業交流電源の電圧の推定値が閾値以上でなければ位相制御方式を用いて前記電力を調整し、前記推定値が前記閾値以上であれば位相制御方式を用いて前記電力を調整することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記パルス波生成回路は、
前記パルス波の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジのうち一方を、前記商業交流電源の電圧の正負が切り替わるゼロクロスポイントに同期したタイミングで生成し、
前記パルス波の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジのうち他方を、前記平滑回路からの直流電圧、前記整流回路からの出力電圧のピーク値または前記商業交流電源の電圧の積分値に対応したタイミングで生成することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記商業交流電源の電圧の推定値と前記定着装置のヒータ抵抗の抵抗値とから求められた前記定着装置に供給される電力から、前記ヒータ抵抗に通電する電流を決定することを特徴とすることを特徴とする請求項3または4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記パルス波生成回路は、前記商業交流電源の電圧の積分値に対応したデューティ比のパルス波を生成する回路であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−252405(P2012−252405A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122594(P2011−122594)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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