説明

非ステロイド型男性ホルモン受容体作用剤、その調製方法、薬学組成物及び用途

本発明は、一般式Iに示される構造を有する非ステロイド型男性ホルモン受容体作用剤化合物、或いはその薬学的に受容可能な塩およびその調製方法に関し、さらに、一般式Iに示される構造を有する化合物、或いはその薬学的に受容可能な塩を含む薬学組成物に関する。また、一般式Iの化合物、或いはその薬学的に受容可能な塩は、男性ホルモン受容体の拮抗活性を有するため、前立腺肥大症、前立腺癌、女性の多毛症、重症の男性ホルモン性脱毛症とアクネなどの症状あるいは疾病を予防または/および治療する非ステロイド型薬物の調製において、応用されることができる。


・・・(I)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物化学分野に関し、より詳しくは非ステロイド型男性ホルモン受容体作用剤、その調製方法、薬学組成物及び前立腺肥大、前立腺癌、女性の多毛症、重症の男性ホルモン性脱毛症やアクネ等の症状あるいは疾病を予防又は/および治療する薬物の調製における用途に関する。
【背景技術】
【0002】
男性ホルモン(Androgen)は人体の重要なステロイド類性ホルモンであり、相応の特異的な受容体との結合により細胞の分化と組織の生長を促進し、数多くの重要な生理機能、例えば男性胎児の生殖器(例えば前立腺、精嚢、副睾丸など)の形成、第二次性徴の発育と維持、精子の発生などに関与している。男性あるいは女性の体内にはすべて一定の割合の男性ホルモン、例えばアンドロステロン、ジヒドロテストステロン(dihydrotestosterone)や副腎アンドロステロンなどが存在している。男性ホルモンは、男性ホルモン受容体(Androgen Receptor、AR)との結合により重要な生理効果を発揮している。男性ホルモンあるいはその受容体の代謝と機能の障害は、多くの疾病の誘発あるいは疾病過程の加速を招くことができ、例えば前立腺肥大、前立腺癌、男性不妊症、女性の多毛症、重症の男性ホルモン性脱毛症やアクネ等があり、これらの疾病としては患者の生理と心理健康に深刻な影響を与えることだけではなく、彼らの生活品質を大きく低下させている。
【0003】
良性前立腺肥大は、前立腺の尿道周辺にある細胞の良性(非癌性)腺腫様増殖であり、癌ではないため、その生長は緩慢で、且つ体の他の部分までに拡散しない。良性前立腺肥大は、泌尿外科で最もよく見られる疾病の一種であり、すでに男性の健康を脅す隠れた弊害になっている。臨床の統計により、男性が40−79歳の間になると良性前立腺肥大症の発症率はおよそ50%、80歳以上になると80%に達することが示されている。さらに、生活リズムの加速に伴い、良性前立腺肥大症の患者の数が増え続け、且つ若くなる傾向を現している。良性前立腺肥大症は、患者の日常生活に不便を招くと同時に、多種類の潜在的な合併症、例えば急性尿閉、尿路感染、肉眼的血尿、膀胱憩室、結石、水腎症及び腎不全などを引き起こしやすい。研究によると、患者体内のジヒドロテストステロン(dihydrotestosterone)は良性前立腺肥大症の主要な誘因であることが確認されている。
【0004】
前立腺癌は、一種類の深刻な男性老年疾病であり、欧米では発症率と死亡率が非常に高く、男性の悪性腫瘍の首位[Landis SH, Murray T, 1998,CA Cancer J.Clin.48,6−29]を占めている。我が国の前立腺癌の発症率は欧米の国より低いが、ここ数年高齢化、伝統的な飲食構造の変化に伴い、これらの疾病に対する診断技術の向上にも係らず、発症率は増加する傾向を呈している。臨床調査によると、このような患者には、低年齢化の傾向が現れ、特にコンピュータオペレーターやタクシー運転手などの長時間坐って作業する人によく見られている。前立腺肥大症/前立腺癌の病因学研究とその臨床治療は、すでに世界の医学界の注目を集めている。
【0005】
ARタンパクは、核受容体の大家族の一つで、リガンド活性化の転写因子に属し、図1に示すように、N末端ドメイン(N Terminal Domain,NTD)、DNA結合ドメイン(DNA Binding Domain,DBD)とリガンド結合ドメイン(Ligand Binding Domain,LBD)[He B,Kemppainen JA,1999,J Biol. Chem. 274(52),37219−25]の3つの結合ドメインを有している。男性ホルモンとARのLBDが複合物を形成した後、標的遺伝子のプロモーター領域に位置するアンドロジェン反応部分(Androgen Response Element,ARE)と結合し、標的遺伝子発現の活性化或いは抑制の作用を果たすことができ、したがって標的組織の生理機能をコントロールすることができる。前立腺は男性ホルモン作用の重要な標的器官であり、男性ホルモンは胎生期から泌尿器の尿生殖洞の内胚葉に分布するARと結合し、前立腺表皮細胞型分化を引き起こし、且つ前立腺の特異性タンパクの生成を誘発する。さらに、男性ホルモンは、成熟した腺体の中に、前立腺上皮細胞の分裂と増殖を促進することによって器官の形態と機能を維持することができる[Waller AS,Sharrard RM,2000,J.Mol.Endocrinol.24(3),339−351]。なお、男性ホルモンは、さらに前立腺の細胞代謝活動、例えば脂類の生物合成などを調節することができ、そしていくつかの前立腺の特異性表現タンパク質(例えば前立腺特異性抗原、Rrostate−specific Antigen、PSA)等の発生を制御できる。
【0006】
男性ホルモンとその受容体の作用メカニズムは、一連の複雑かつ精密なシグナル伝達過程を含むが、両者の特異性結合はその中に重要な役割を果たしている。数多くのAR関連疾病は、ホルモンレベルの異常、或いは受容体の機能障害のため、正常な相互作用のバランスが破壊されたことにより起きている。患者において、薬物を用いて受容体の活性化レベルを強化或いは抑制することによって、関連する疾病の治療効果に達する。そのため、ARを標的点として、受容体機能を調節する薬物を発見することが全世界の研究の焦点になっている。男性ホルモンとAR作用を干渉できる薬物は、その効果によって男性ホルモンのアゴニストと拮抗剤に分けることができる。男性ホルモン拮抗剤は、従来から前立腺肥大症/前立腺癌の治療における重要な手段(特に末期の病例)であり、該拮抗剤は腫瘍発生部位のARを競争結合し、細胞が男性ホルモンに対する摂取を遮断し、男性ホルモンが標的器官に対する効果を抑えることにより、腫瘍細胞の生長を抑制し、腫瘍の体積を減少させ、疾病の発生過程を遅らせる[Leewansangtong S,1998,Endocrine−related Cancer 5,325−339]。他の男性ホルモンを抑制する治療方法、例えば睾丸切除術、黄体形成ホルモン放出ホルモン類似物或いはテストステロン合成酵素(如5−還元酵素)阻害剤の服用などと比較すると、AR拮抗剤は、男性ホルモンとARの結合を遮断でき[Hong−Chiang,C,Hiroshi M,1999,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96,11173−11177]、前者の不足を補足できる。また、AR拮抗剤は、さらに女性の多毛症、重症の男性ホルモン性脱毛症やアクネなどのよくある病症を治療できる。現在広く応用されている男性ホルモン拮抗剤はステロイド型と非ステロイド型の2種類に分けられる。ステロイド型薬物としては酢酸シプロテイン(Cyproterone Acetate, CPA)などがあり、非ステロイド型薬物としてはフルタミド(Flutamide)、ニルタミド(Nilutamide)およびビカルタミド(Bicalutamide, Casodex)などが挙げられる。
【0007】
非ステロイド型抗男性ホルモン薬物は、ARに対して高い選択性を有し、他のステロイド型ホルモン受容体に対してホルモン様あるいは抗ホルモン作用を発生しないため、臨床応用に広く使われている。しかし、従来市販の抗男性ホルモン薬物は、以下のような問題を有している。まず、患者が服用した後様々な副作用、例えば胃腸の不快感、吐き気、嘔吐、不眠、無力、頭痛、不安、視力のぼんやり、性欲の減退などの症状が顕れている。次に、前立腺肥大症/前立腺癌の患者がある種類の抗男性ホルモン薬物を単独に服用すると、「抗アンドロゲン除去症候群」(Antiandrogen Withdrawal Syndrome、 AWS)を発生されることがあり、その表現としては、投与してから一定期間後に、本来抑えられていたPSAのレベルがすぐ上昇し、腫瘍の体積が増大し、薬の服用を停止するかあるいは他の抗男性ホルモン薬物を使い換えざるを得ないのである[Dicker AP,2003,Lancet Oncol.4(1),30−36;Laufer M,Sinibaldi VJ,1999,Urology 54(4),745]。AWSの発生メカニズムはまだ明らかではないが、前立腺細胞のARが遺伝子の突然変異を起こすことによって、もとの拮抗作用を発揮する薬物が逆にARを活性化する効果を起こすことに起因すると考えられる[Brinkmann AO、 Trapman J,2000,Adv.Pharmacol.47,317−341]。そのため、臨床においては、新しい化学構造を有する抗男性ホルモンの新薬の研究と開発が期待されている。
【0008】
【非特許文献1】Landis SH, Murray T, 1998,CA Cancer J.Clin.48,6−29
【非特許文献2】He B,Kemppainen JA,1999,J Biol. Chem. 274(52),37219−25
【非特許文献3】Waller AS,Sharrard RM,2000,J.Mol.Endocrinol.24(3),339−351
【非特許文献4】Leewansangtong S,1998,Endocrine−related Cancer 5,325−339
【非特許文献5】Hong−Chiang,C,Hiroshi M,1999,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96,11173−11177
【非特許文献6】Dicker AP,2003,Lancet Oncol.4(1),30−36;Laufer M,Sinibaldi VJ,1999,Urology 54(4),745
【非特許文献7】Brinkmann AO、 Trapman J,2000,Adv.Pharmacol.47,317−341
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明では、量処理スクリーニングと後継構造活性相関の研究により、3シリーズの非ステロイド型小分子化合物の合成と最適化を完成した。受容体競争結合試験によると、本発明に係る代表的な化合物のARに対する親和力が0.2μM以下であり、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の同時トランスフェクション細胞レベルの測定ではそれがAR拮抗活性を有していることが明らかになり、新型の男性ホルモン受容体作用剤としての開発可能性が示されている。
【0010】
したがって、本発明は、下記一般式Iに示される構造を有する非ステロイド型男性ホルモン受容体作用剤の化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩を提供することを目的としている。
【0011】
本発明は、下記一般式Iに示される化合物の調製方法を提供することをもう一つの目的としている。
【0012】
本発明は、下記一般式Iに示される化合物、或いはその薬学的に受容可能な塩を含む薬物組成物を提供することをもう一つの目的としている。
【0013】
本発明は、前立腺肥大症、前立腺癌、女性の多毛症、重症の男性ホルモン性脱毛症あるいはアクネなどの症状あるいは疾病を予防または/および治療する非ステロイド型薬物の調製においての、下記一般式Iに示される化合物、或いはその薬学的に受容可能な塩の用途を提供することをもう一つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る非ステロイド型男性ホルモン受容体作用剤である化合物あるいはその薬学的に受容可能な塩は、下記の一般式Iに示される構造を有している、
【化1】

...... I
その中で、XはN、CH、OあるいはSであり;XはOあるいはSである場合に、Rは存在しない;
はO、NHあるいはCHRであり、その中RはH、C1〜6のアルキル基、CF、芳香族環あるいは芳香族複素環である;
とRはそれぞれH、C1〜6のアルキル基、ベンジル基、ハロゲン、OR、SR、NR、NO、CN、CF、COOR、CONR、CONHRあるいはCORであり、その中Rの定義は上記と同じである;
とRはそれぞれH、C1〜6のアルキル基、ベンジル基;R、RまたはRに自由に置換されたC3〜7のシクロアルキル基;R、RまたはRに自由に置換された芳香族環;R、RまたはRに自由に置換された芳香族複素環;あるいは(CHR)であり、nは1〜3の整数であり、その中Rの定義は上記と同じである;
はH、C1〜18のアルキル基、ベンジル基、ハロゲン原子、OR、SR、NR、NO、CN、CF;R、RとRに自由に置換されたC3〜7のシクロアルキル基;R、RとRに自由に置換された芳香族環;或いはR、RとRに自由に置換された芳香族複素環であり、その中Rの定義は上記と同じである;或いは上記RとRが縮合環を形成してもよい;
はH、C1〜18のアルキル基、ベンジル基、ハロゲン原子、OR、SR、NR,NO,CN、CF; R、RとRに自由に置換された芳香族環或いはR、RとRに自由に置換された芳香族複素環であり、その中Rの定義は上記と同じである;
その中でR、RとRはそれぞれH、C1〜18のアルキル基、ベンジル基、ハロゲン原子、OR、SR、NR、NO、CN、CF、COOR、CONR、CONHRまたはCORであり、その中Rの定義は上記と同じである;
10はC=O、CHOH、またはCH=である。
【0015】
10の定義によれば、XがNである場合に、本発明の化合物は、以下の3シリーズである。
【0016】
【化2】

【0017】
本発明に係る一般式Iに示される化合物は、XがN;R10がC=O;RがHであり;Xが存在しないことが好ましく、該化合物の具体的な構造式は次の通りである。
【0018】
【化3】

【0019】
本発明の一般式Iに示される化合物またはその薬学的に受容可能な塩において、分子の中にキラル炭素が存在する場合、それはラセミ体或いは光学活性物である。本発明に係る一般式Iの化合物は、XがNである場合に、以下の2種類の方法を用いて調製できる。その中で:
調製方法1は、
アセトフェノン誘導体、芳香族アルデヒド或いは脂肪族アルデヒドと有機アミンを原料として、極性溶媒(例えば:エタノール、メタノール、イソプロパノールなど)と、触媒としての量の濃塩酸の条件で、Mannich反応によりMannich塩基の塩酸塩を得て、適当量のアルカリで中和し、Mannich塩基(1)を得る段階と、
得られたMannich塩基に触媒水素還元法(例えば、Raney Ni/H)あるいは化学還元法(例えばNaBH、LiAlHなど)を用いて、そのカルボニル基を還元させ、化合物(2)を得る段階と、
該化合物(2)を酸触媒の条件で脱水させ(硫酸、パラトルエンスルホン酸などを触媒として、ベンゼンまたはトルエンを溶媒として用いる環流反応)、化合物(3)を得る段階と、を含み、
反応ステップは次の通りである。
【0020】
【化4】


その中でX、R、R、R、R、RとRの定義は上記と同じである。
【0021】
調製方法2は、
アセトフェノン誘導体、芳香族アルデヒド或いは脂肪族アルデヒド、有機第一級アミン/第二級アミンを原料として、酸あるいはアルカリ性(例えば硫酸、塩酸、パラトルエンスルホン酸、無機性水酸化物、アルコールのナトリウムなど)の条件で、先にアセトフェノン誘導体を芳香族アルデヒド或いは脂肪族アルデヒドと縮合させ、α,β−不飽和カルボニル基化合物を生成し、さらに触媒としての量のアルカリの条件で、それは有機第一級アミン/第二級アミンとMichael付加反応により、化合物(1)を得る段階と、得られた化合物(1)を触媒水素還元法あるいは化学還元法によりそのカルボニル基を還元させ、化合物(2)を得る段階と、化合物(2)を酸触媒の条件で脱水させて化合物(3)を得る段階と、を含み、反応ステップは次の通りである。
【0022】
【化5】

【0023】
本発明に係る一般式Iの化合物は、薬学で通常の塩生成方法により、いかなる適合な酸と反応させ、その薬学的に受容可能な塩を得ることができ、上記の酸としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、燐酸などの無機酸;蟻酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸などの有機酸;メチルスルホン酸、エチルスルホン酸などのアルキルスルホン酸;ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸などのアリールスルホン酸が挙げられる。
【0024】
本発明に係る薬学組成物は、有効な治療量の一般式Iに示される化合物またはその薬学的に受容可能な塩を一種または多種含んでおり、該薬学組成物は、さらに一種あるいは多種の薬学的に受容可能なキャリヤー、または賦形剤を含んでもよい。本発明に係る薬学組成物の好ましい割合は、活性成分として一般式Iの化合物あるいはその薬学的に受容可能な塩が合計重量比率に対し50%〜99.5%を占め、ほかの部分が合計重量比率に対し50%以下を占めている。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る一般式Iの化合物あるいはその薬学的に受容可能な塩は、AR拮抗活性を有するため、前立腺肥大症、前立腺癌、女性の多毛症、重症の男性ホルモン性脱毛症、またはアクネなどの症状あるいは疾病を予防または/及び治療する非ステロイド型薬物の調製に応用されることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の内容をより詳しく説明し、且つこれらに限られないために、以下のような段落に分けて述べる。
【0027】
定義:
特別な定義がない限り、本発明に係る技術と科学の用語は、その属する分野の従来技術の一般的な理解と同じ意義を指す。ここに記載された遺伝子プールと他のデータベース由来の特許、出願、公布の出願とその他の出版物及び序列はすべて参考として引用されたものである。本発明に述べた定義が、遺伝子プールと他のデータベース由来の特許、出願、公布の出願とその他の出版物及び序列に引用された定義と相反又は異なる場合、本発明に述べた定義を基準とする。本明細書に用いられた「1」あるいは「1個」とは、「少なくとも1個」又は「1個あるいは複数個」を指す。
【0028】
本明細書に用いられた「前立腺肥大症」とは、尿道周囲にある前立腺の良性腺腫様増殖のため、ある程度膀胱流出道の閉塞性疾病あるいは症状を引き起こすことであり、「良性の前立腺肥大」とも称する。
【0029】
本明細書に用いられた「前立腺癌」とは、一種類の男性生殖系によくある悪性腫瘍であり、主に腺癌である。
【0030】
本明細書に用いられた「女性の多毛症」とは、男性ホルモン分泌の増加による疾病であり、女性における多毛症状を引き起こし、すなわち、生えるべきではない部位に多くの太長い黒毛が生え、あるいは毛髪が男性型の分布になり、眉が太くて濃く、陰毛が腹部さらに臍部までに生える現象を指す。
【0031】
本明細書に用いられた「重症の男性ホルモン性脱毛症」とは、一種類の深刻な脂漏性脱毛であり、男性型脱毛とも称する。
【0032】
本明細書に用いられた「アクネ」とは、一種類の毛包皮脂腺の慢性炎症であり、顔、胸、背によく発症することである。その症状としてにきび、丘疹、膿疱、結節、嚢胞などがあり、青年のアクネとも称する。
【0033】
本明細書に用いられたある特定の疾病の治療に使われた化合物の「有効な量」とは、当該疾病に伴う症状を十分に改善又はある程度軽減できる量を指す。この有効な量は単一の投与量で投与されてもよいし、治療プランによって投与されてもよい。この有効な量は疾病を治愈することができるが、通常は症状を改善するための投与量である。症状を改善するために、繰り返して投与する可能性もある。
【0034】
本明細書に用いられた「薬学的に受容可能な塩、エステルまたはその他の誘導体」とは、当業者が公知の方法で容易に調製できるいかなる塩、エステルあるいは誘導体を含む。このように誘導・生成された化合物は、動物と人に対し投与することができ、毒性作用がない。該化合物は、薬物の活性を有するもの又はプロドラッグ(prodrug)である。
【0035】
本明細書に用いられた「治療」とは、疾病と症状をいかなる方式で改善し、あるいはその他の有効な変化を指す。さらに治療は、本発明化合物の薬物における応用を含む。
【0036】
本明細書に用いられたある特定の薬学組成物がある特定の疾病の症状を「改善」するとは、いかなる軽減を指し、永久の、臨時の、長期の、短期の軽減を問わずに、すべて該薬学組成物に起因し、又はその使用と関係がある。
【0037】
本明細書に用いられた「ほぼ純粋」とは、十分な純度を指し、当業者が純度評価用標準分析方法の測定により不純物の存在を発現できないことである。上記の標準分析方法としては、薄層クロマトグラフィー法(TLC)、ゲル電気泳動法や高速液体クロマトグラフィー法(HPLC)が挙げられる。なお、十分な純度とは、さらに精製されても当該物質の測定可能な物理化学特性、例えば酵素活性と生物活性を変えられないことを指す。化合物を精製してほぼ純粋にする方法は、当業者にとって周知の方法である。ほぼ純粋の化合物は、立体異性体あるいは異性体の混合物である場合に、さらに精製されることにより化合物の比活性を向上する可能性がある。
【0038】
本明細書に用いられた「プロドラッグ」とは、一種類の体内投与の化合物であり、該化合物が代謝され、或いは生物学、薬物学あるいは治療学の活性形式に転化される。プロドラッグを製造するために薬物活性の化合物を修飾し、代謝過程により該活性化合物を再生させる。プロドラッグは、その代謝安定性あるいは運送の特性を変える前駆体になるように設計されるため、その副作用と毒性を抑制し、薬物の味覚を改良し、あるいは他の特性を変えることができる。当業者は、薬物代謝動力学と薬物生体内代謝の知識に基づき、いったん薬学においてその活性化合物が分かれば、該化合物のプロドラッグを設計することができる。[参照:Medicinal Chemistry A Biochemical Approch,Oxford University Press,New York,1985,pages 388−392]。
【0039】
技術用語である「基本的に」同じまたは均質或いは似ているとは、当業者の関連技術に対する理解により、前後記述の中である程度変化する場合があるが、通常は少なくとも70%、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上である。
【0040】
ここに用いられた「組成物」とは、いかなる混合物を指す。例えば溶液、懸濁液、液体、粉末、軟膏、水性、非水性あるいはそれらのいかなる組合せでもよい。ここに用いられた「連合」とは、2種類あるいは複数種類の間のいかなる連合を指す。
【0041】
ここに用いられた技術用語の「対象」とは、人と動物を含み、例えば犬、猫、牛、ブタ、齧歯動物などが挙げられる。経験のある実施者は、対象とは男性ホルモンまたは/及び男性ホルモン受容体の機能不全により引き起こされる或いはそれに伴う前立腺肥大症、前立腺癌、女性の多毛症、重症の男性ホルモン性脱毛症やアクネなどの疾病・症状の治療と予防に適切な方であると理解すべきである。
【0042】
ここに用いられたいかなる保護性官能基、アミノ酸と他の化合物の略語は、特別な説明がない限り、それらの通用の公認された略語、またはIUPAC−IUB委員会が公布した生物化学の命名と一致している。
【0043】
処方と投与量
本発明によって、本発明の化合物は、単独あるいはその他の薬剤、キャリヤー、賦形剤と連合して使われ、いかなる適切な投与ルートのために製剤として調製することができる。例えば体腔内注射、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、真皮内注射、内服あるいは局部投与などがある。当該方法は、注射投与製剤を使用でき、それを単一投与量の形式でアンプルあるいは複数投与量の容器において、添加された緩衝液とともに注射投与してもよい。製剤は、例えば懸濁液、溶液あるいは油性または水性溶媒に分散された乳液などの形式を使用してもよい。また、製剤は処方の試薬である懸濁剤、安定剤または/および分散剤などを含むことができる。また、使用前に活性成分は粉末として、適当なキャリヤー、無菌無熱源水あるいは他の溶媒と剤形になることができる。本発明の局部用薬物は、泡沫、ゲル、軟膏、グリス剤、経皮膜製剤(Leather Diaphagm)或いは膏状物を使用してもよい。
【0044】
本発明において、使用できる投与用の薬学組成物と方法は、米国特許第5,736,154号、同第6,197,801 B1号、同第5,741,511号、同第5,886,039号、同第5,941,868号、同第6,258,374 B1号と同第5,686,102号に記載された内容を含むが、これらに限定されない。
【0045】
治療あるいは予防の投与量は、病状の状況と投与ルートによって変化する。投与量と使用頻度は、年齢、体重、健康状況と患者の個体反応に応じて異なる。
【0046】
なお、注意(診療の医者も注意)すべきことは、毒性と副反応によって、必ず必要な措置をとって治療の投与量を停止、中断或いは減量することである。逆に臨床反応が不顕著(毒性と副反応を除く)であれば、医者は適切に治療プランを調整し、投与量を増量すべきである。
【0047】
いかなる適当な投与ルートを採用することができる。剤形としては、錠剤、豆形のカプセル、分散剤、懸濁剤、溶液、カプセル、膜製剤(chaff)および類似物などが挙げられる。
【0048】
実際の応用において、本発明の化合物は、単独あるいはその他の製剤と連合して使われ、通常の薬物学の混合技術により、それを薬物用キャリヤーあるいは賦形剤、例えばβ−シクロデキストリンと2−ヒドロキシ−プロピル−β−シクロデキストリンと確実に混合させることが可能である。投与の必要に応じて、一般のキャリヤー、局部あるいは非腸管ルートの特殊なキャリヤーなどを採用することができる。非腸管の剤形例えば静脈内注射、或いは注入用組成物を調製する場合は、類似の薬物媒体例えば公知の水、グリコール、油、緩衝剤、糖、防腐剤、脂質などを採用することができる。このような非腸管組成物の例としては、5%W/Vのデキストロース、生理食塩水あるいは他の溶液などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物の合計投与量は、単独あるいは他の製剤と連合して、小さい瓶の静脈注射液で投与されることができ、体積は大体1mlから2000mlまでである。投与の合計投与量によって、希釈液の量も異なる。
【0049】
本発明は、さらに治療プランを実現できる薬物キットを提供した。この薬物キットは、有効な投与量の本発明に係る化合物を薬物学に受容可能な形式として、単独あるいは他の試薬と連合させ、一つあるいは複数の容器の中に含有される。好ましい薬物の形式は、無菌の塩水、デキストロース溶液、緩衝溶液、或いは他の薬物学に受容可能な無菌の溶液と共に使用することである。また、組成物を凍結乾燥或いは乾燥してもよいが、この場合に薬物キットは、自由に選んだ一種の薬物学に受容可能な溶液、好ましくは無菌溶液を一容器の中に存在させ、再び複合物を形成して注射用溶液を得る。典型的な薬物学に受容可能な溶液としては、塩水溶液とデキストロース溶液である。
【0050】
別の実施形態において、本発明の薬物キットは、さらに組成物注射用として、好ましくは無菌形態で包装された針あるいは針筒及び/又は包装されたアルコールパットを含み、医者あるいは患者用の説明書を含んでもよい。
【0051】
以下、具体的な実施例に基づいて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【実施例】
【0052】
実施例1
3−フェニル−3−(4−クロロアニリン)−1−(4−メチルフェニル)−1−アセトンの合成
【化6】


ベンズアルデヒド10.60g(0.1mol)、4−クロロアニリン12.76g(0.1mol)、無水エタノール150mlを反応瓶の中に添加し、室温で10分間攪拌した後、4−メチルアセトフェノン13.42g(0.1mol)と触媒としての量の濃塩酸を添加し、次に室温で20時間攪拌しながら反応を行った。反応が終わった後、反応液を一晩冷却させ、抽出ろ過により析出した固体を無水エタノールで洗浄した。得られた固体を95%のエタノール150mlの中に懸濁させ、室温で2時間攪拌し、飽和のNaHCOで溶液をアルカリ性になるまで中和し、1時間攪拌し続けて、抽出ろ過し、少量の無水エタノールでろ過ケーキを洗浄し、粗製物をアルコール/水の混合溶媒(体積の比1:1)で再結晶させて、針状の結晶25.61gを得た。収率は73.2%である。
【0053】
mp 152〜154℃;HNMR(CDCl):7.79(2H,d,J=8.2Hz,Ar−H),7.12〜7.42(7H,m,Ar−H),7.02(2H,d,J=8.8Hz,Ar−H),6.50(2H,d,J=8.8Hz,Ar−H),4.92(1H,dd,J=7.4Hz,CH),3.45(2H,t,J=7.4Hz,CH),2.40(3H,s,CH);MS(FAB):350(M+H)。
【0054】
実施例2
3−フェニル基−3−(4−ブロムアニリン)−1−(4−メチルフェニル基)−1−アセトンの合成
【化7】


ベンズアルデヒド10.60g(0.1mol)、4−ブロムアニリン17.20g(0.1mol)、無水エタノール150mlを反応瓶の中に添加し、室温で10分間攪拌した後、4−メチルアセトフェノン13.42g(0.1mol)と触媒ついての量の濃塩酸を添加し、室温で24時間攪拌しながら反応を行った。反応が終わった後に、反応液を一晩冷却させ、抽出ろ過により析出した固体を無水エタノールで洗浄した。得られた固体を95%エタノール180mlの中に懸濁させ、さらに室温で1.5時間攪拌して、飽和のNaHCOで溶液をアルカリ性になるまで中和して、抽出ろ過し、少量の無水エタノールでろ過ケーキを洗浄し、粗製物をアルコール/水の混合溶媒(体積比1:1)で再結晶させて、針状の結晶28.04gを得た。収率は71.1%である。
【0055】
mp 147〜149℃;HNMR(CDCl):7.79(2H,d,J=8.2Hz,Ar−H),7.12〜7.42(7H,m,Ar−H),6.79(2H,d,J=8.1Hz,Ar−H),6.42(2H,d,J=8.1Hz,Ar−H),4.91(1H,dd,J=7.4Hz,CH),3.49(1H,d,J=7.4Hz,CH),3.42(1H,d,J=7.4Hz,CH),2.40(3H,s,CH);MS(FAB):395(M+H)。
【0056】
実施例3
3−フェニル−3−(4−ニトロアニリン)−1−(4−メチルフェニル)−1−アセトンの合成
【化8】


ベンズアルデヒド10.60g(0.1mol)、4−ニトロアニリン13.82g(0.1mol)、無水エタノール150mlを反応瓶の中に添加し、室温で10分間攪拌した後、4−メチルアセトフェノン13.42g(0.1mol)と触媒としての量の濃塩酸を添加し、次に32℃で24時間攪拌しながら反応を行った。反応が終わった後に、反応液を一晩冷却させ、抽出ろ過により析出した固体を無水エタノールで洗浄した。得られた固体を95%エタノール160mlの中に懸濁させ、さらに室温で1.5時間攪拌し、飽和のNaHCOで溶液をアルカリ性になるまで中和して、抽出ろ過し、少量の無水エタノールでろ過ケーキを洗浄し、粗製物をエタノール/水の混合溶媒(体積比1:1)で再結晶させ、結晶32.04gを得た。収率は88.9%である。
【0057】
mp 157〜159℃;HNMR(CDCl):7.79(2H,d,J=9.1Hz,Ar−H),7.78(2H,d,J=8.4Hz,Ar−H),7.22〜7.40(7H,m,Ar−H),6.50(2H,d,J=9.1Hz,p−NONH−),5.58(1H,brs,NH),5.07(1H,t,J=5.8Hz,CH),3.48(2H,d,J=5.8Hz,CH),2.40(3H,s,CH)MS(FAB):361(M+H)。
【0058】
実施例4
3−フェニル−3−(4−カルボキシアニリン)−1−(4−メチルフェニル)−1−アセトンの合成
【化9】


ベンズアルデヒド10.60g(0.1mol)、4−アミノ安息香酸13.72g(0.1mol)、無水エタノール140mlを反応瓶の中に添加し、室温で5分間攪拌した後、4−メチルアセトフェノン13.42g(0.1mol)と触媒としての量の濃塩酸を添加し、次に32℃で20時間攪拌しながら反応を行った。反応が終わった後に、反応液を一晩冷却させ、抽出ろ過により析出した固体を無水エタノールで洗浄した。得られた固体を95%エタノール170mlの中に懸濁させ、さらに室温で1.5時間攪拌し、飽和のNaHCOで溶液をアルカリ性になるまで中和して、抽出ろ過し、少量の無水エタノールでろ過ケーキを洗浄し、粗製物をエタノールで再結晶させて、結晶30.59gを得た。収率は85.1%である。
【0059】
mp 208〜210℃;HNMR(DMSO−d):7.86(2H,d,J=8.2Hz,Ar−H),7.58(2H,d,J=8.6Hz,Ar−H),6.98〜7.46(7H,m,Ar−H),6.51(2H,d,J=8.6Hz,Ar−H),5.06(1H,m,CH),3.24−3.35(2H,m,CH),2.37(3H,s,CH)MS(FAB):360(M+H)。
【0060】
実施例5
3−(4−メチルフェニル)−3−アニリン−1−(4−メチルフェニル)−1−アセトンの合成
【化10】


4−メチルベンズアルデヒド12.02g(0.1mol)、アニリン9.31g(0.1mol)、無水エタノール150mlを反応瓶の中に添加し、室温で10分間攪拌した後、4−メチルアセトフェノン13.42g(0.1mol)と触媒としての量の濃塩酸を添加し、次に32℃で21時間攪拌しながら反応を行った。反応が終わった後に、反応液を一晩冷却させ、抽出ろ過により析出した固体を無水エタノールで洗浄した。得られた固体を95%エタノール160mlの中に懸濁させ、さらに室温で2時間攪拌して、飽和のNaHCOで溶液をアルカリ性になるまで中和して、抽出ろ過し、少量の無水エタノールでろ過ケーキを洗浄し、粗製物をエタノール/水の混合溶媒(体積の比1:1)で再結晶させ、結晶24.05gを得た。収率は73.0%である。
【0061】
mp 131〜132℃;HNMR(CDCl):7.81(2H,d,J=8.1Hz,Ar−H),7.04〜7.34(9H,m,Ar−H),6.55(2H,d,J=7.8Hz,Ar−H),4.95(1H,dd,J=6.4Hz,8.0Hz,CH),3.43(1H,d,J=6.4Hz,CH),3.41(1H,d,J=8.0Hz,CH),2.40(3H,s,CH),2.30(3H,s,CH);MS(FAB):330(M+H)。
【0062】
実施例6
3−フェニル−3−(4−クロロアニリン)−1−(4−ニトロフェニル)−1−アセトンの合成
【化11】


ベンズアルデヒド10.60g(0.1mol)、4−クロロアニリン12.76g(0.1mol)、無水エタノール180mlを反応瓶の中に添加し、室温で10分間攪拌した後、4−ニトロアセトフェノン16.52g(0.1mol)と触媒としての量の濃塩酸を添加し、次に室温で26時間攪拌し反応を行った。反応が終わった後に、反応液を一晩冷却させ、抽出ろ過により析出した固体を無水エタノールで洗浄した。得られた固体を95%エタノール200mlの中に懸濁させ、さらに室温で1時間攪拌して、飽和のNaHCOで溶液をアルカリ性になるまで中和して、抽出ろ過し、少量の無水エタノールでろ過ケーキを洗浄し、粗製物をエタノール/水の混合溶媒(体積比1:1)で再結晶させて、結晶31.23gを得た。収率は82.0%である。
【0063】
HNMR(CDCl):8.26(2H,d,J=8.6Hz,Ar−H),7.99(2H,d,J=8.6Hz,Ar−H),7.23−7.52(5H,m,Ar−H),7.04(2H,d,J=6.4Hz,Ar−H),6.52(2H,d,J=6.4Hz,Ar−H),4.97(1H,t,J=6.2Hz,CH),3.54(2H,d,J=6.0Hz,CH)MS(FAB):382(M+H)。
【0064】
実施例7
3−フェニル−3−(4−クロロアニリン)−1−(4−メチルフェニル)−1−プロパノールの合成
【化12】


3−フェニル−3−(4−クロロアニリン)−1−(4−メチルフェニル)−1−アセトン6.98g(0.02mol)とメタノール120mlを反応槽の中に添加し、固体が完全に溶解するように室温で攪拌した後、触媒としての量のRaney Ni触媒を添加し、反応槽を密閉して水素で三回置換を行い、60〜70℃で水素通気の条件で12時間還元させた。反応が終わった後、室温までに冷却してろ過し、少量のメタノールでろ過ケーキを洗浄して、濾液を減圧蒸発により溶媒を除去し、粉末状の固体を得た。それをエタノール/水の混合溶媒(体積比1:1)で再結晶させることにより、結晶5.80gを得た。収率は82.6%である。
【0065】
HNMR(CDCl):7.81(2H,d,J=8.4Hz,Ar−H),7.11〜7.40(7H,m,Ar−H),7.03(2H,d,J=8.2Hz,Ar−H),6.49(2H,d,J=8.2Hz,Ar−H),5.05(1H,t,J=7.1Hz,CHOH),4.94(1H,dd,J=7.4Hz,CH),3.51(2H,m,CH),2.41(3H,s,CH)MS(FAB):351(M+)。
【0066】
実施例8
3−フェニル−3−(4−クロロアニリン)−1−(4−メチルフェニル)−1−プロペンの合成
【化13】


3−フェニル−3−(4−クロロアニリン)−1−(4−メチルフェニル)−1−プロパノール3.51g(0.01mol)、触媒としての量のパラトルエンスルホン酸とトルエン80mlを反応瓶の中に添加し、昇温還流の条件で3時間攪拌しながら反応を行った。反応が終わった後、室温まで冷却し、トルエン層を順次に飽和のNaHCO水溶液と飽和の食塩水で洗浄し、有機層を無水のNaSOで乾燥し、溶媒を減圧蒸発により除去して、残留物を無水エタノールで再結晶させることにより、白い固体2.50gを得た。収率は75.1%である。
【0067】
HNMR(CDCl):7.82(2H,d,J=8.4Hz,Ar−H),7.16〜7.42(7H,m,Ar−H),7.01(2H,d,J=8.2Hz,Ar−H),6.63(1H,dd,J=16.2Hz,7.4Hz,CH),6.46(2H,d,J=8.2Hz,Ar−H),6.32(1H,d,J=16.2Hz,CH),4.94(1H,d,J=7.4Hz,CH),2.45(3H,s,CH)MS(FAB):334(M+H)。
【0068】
実施例9
3−フェニル−3−(1−ピぺリジン)−1−(4−メチルフェニル)−1−アセトンの合成
【化14】


ベンズアルデヒド10.60g(0.1mol)、ピぺリジン8.52g(0.1mol)、無水エタノール150mlを反応瓶の中に添加し、室温で10分間攪拌した後、4−メチルアセトフェノン13.42g(0.1mol)と触媒としての量の濃塩酸を添加し、45℃で18時間攪拌しながら反応を行った。反応が終わった後、反応液を一晩冷却し、抽出ろ過により析出した固体を無水エタノールで洗浄した。得られた固体を95%エタノール150mlの中に懸濁させ、室温で2時間攪拌して、飽和NaHCOで溶液をアルカリ性になるまで中和し、さらに1時間攪拌を続け、抽出ろ過し、少量の無水エタノールでろ過ケーキを洗浄し、粗製物を無水エタノールで再結晶させることにより、粉末状の固体23.37gを得た。収率は76.0%である。
【0069】
HNMR(CDCl):7.76(2H,d,J=7.6Hz,Ar−H),7.12〜7.42(7H,m,Ar−H),4.92(1H,dd,J=7.4Hz,CH),3.45(2H,t,J=7.4Hz,CH),2.78(4H,m,CH),1.55(6H,m,CH)MS(FAB):307(M+)。
【0070】
実施例10
3−フェニル−3−(1−ピぺリジン)−1−(4−ニトロフェニル)−1−アセトンの合成
【化15】


ベンズアルデヒド10.60g(0.1mol)、ピぺリジン8.52g(0.1mol)、無水エタノール180mlを反応瓶の中に添加し、室温で10分間攪拌した後、4−ニトロアセトフェノン16.52g(0.1mol)と触媒としての量の濃塩酸を添加し、次に45℃で18時間攪拌しながら反応を行った。反応が終わった後、反応液を一晩冷却させ、抽出ろ過により析出した固体を無水エタノールで洗浄した。得られた固体を95%エタノール150mlの中に懸濁させ、室温で2時間攪拌して、飽和のNaHCOで溶液をアルカリ性になるまで中和し、さらに1時間攪拌を続け、抽出ろ過し、少量の無水エタノールでろ過ケーキを洗浄して、粗製物を無水エタノールで再結晶させることにより、粉末状の固体20.31gを得た。収率は60.0%である。
【0071】
HNMR(CDCl):8.27(2H,d,J=8.4Hz,Ar−H),7.96(2H,d,J=8.4Hz,Ar−H),7.18−7.49(5H,m,Ar−H),4.89(1H,t,J=6.2Hz,CH),3.54(2H,d,J=6.2Hz,CH),2.75(4H,m,CH),1.58(6H,m,CH)MS(FAB):338(M+)。
【0072】
実施例11
3−メチル−3−(4−クロロアニリン)−1−(4−メチルフェニル)−1−アセトンの合成
【化16】


アルデヒド4.84g(0.11mol)、4−クロロアニリン12.76g(0.1mol)、無水エタノール150mlを反応瓶の中に添加し、室温で5分間攪拌した後、4−メチルアセトフェノン13.42g(0.1mol)と触媒としての量の濃塩酸を添加し、室温で16時間攪拌しながら反応を行った。反応が終わった後、抽出ろ過により析出した固体を無水エタノールで洗浄した。得られた固体を無水エタノール120mlの中に懸濁させ、室温で1時間攪拌して、飽和NaHCOで溶液をアルカリ性になるまで中和し、抽出ろ過し、少量の無水エタノールでろ過ケーキを洗浄して、粗製物を無水エタノールで再結晶させることにより、粉末状の固体22.45gを得た。収率は78.0%である。
【0073】
HNMR(CDCl):7.81(2H,d,J=8.4Hz,Ar−H),7.30(2H,d,J=8.4Hz,Ar−H),7.05(2H,d,J=8.6Hz,Ar−H),6.47(2H,d,J=8.6Hz,Ar−H),4.75(1H,m,CH),3.43(2H,t,J=7.4Hz,CH),2.40(3H,s,CH),2.26(3H,d,J=6.4Hz,CH)MS(FAB):288(M+H)。
【0074】
実施例12
3−メチル−3−(4−クロロアニリン)−1−(4−メチルフェニル)−1−アセトンの合成
【化17】


イソブチルアルデヒド7.30g(0.1mol)、4−クロロアニリン12.76g(0.1mol)、無水エタノール150mlを反応瓶の中に添加し、室温で5分間攪拌した後、4−メチルアセトフェノン13.42g(0.1mol)と触媒としての量の濃塩酸を添加し、次に室温で20時間攪拌しながら反応を行った。反応が終わった後、抽出ろ過により析出した固体を無水エタノールで洗浄した。得られた固体を無水エタノール150mlの中に懸濁させ、室温で1時間攪拌して、飽和NaHCOで溶液をアルカリ性になるまで中和し、抽出ろ過し、少量の無水エタノールでろ過ケーキを洗浄して、粗製物を無水エタノールで再結晶させることにより、粉末状の固体22.11gを得た。収率は70.0%である。
【0075】
HNMR(CDCl):7.82(2H,d,J=8.4Hz,Ar−H),7.28(2H,d,J=8.4Hz,Ar−H),7.02(2H,d,J=8.8Hz,Ar−H),6.51(2H,d,J=8.8Hz,Ar−H),4.75(1H,m,CH),3.43(2H,m,CH),2.34(3H,s,CH),1.81(1H,m,CH),0.98(6H,d,J=6.4Hz,2CH)MS(FAB):316(M+H)。
【0076】
生物活性テスト
1. 材料と設備
1.1 プラスミド(plasmid)と細胞株:男性ホルモン受容体発現プラスミドとルシフェラーゼレポーター遺伝子プラスミドは、国家の新薬スクリーニングセンターにより作られた。ヒト乳癌の細胞株MDA−MB−453とヒト前立腺癌の細胞株LNCaPは、米国ATCCから購入した。
1.2 試薬:ウシ胎児血清(Fetal bovine serum、FBS、GIBCO/BRL、USA)、活性炭とデキストラン処理ウシ胎児血清(CD−FBS、Hyclone、USA)、DMEMとRPMI1640培養基(GIBCO/BRL、USA);IMEM培養基(Bioresource、USA)、ルシフェラーゼ分析試薬キット(Promega Corporation、USA)、Fugene 6(Roche Ltd.,USA)、[H]ジヒドロテストステロン(Dehydroテストステロン、DHT、Amersham、 UK)、発色液(SuperMixTM、PerkinElmer、 USA)男性ホルモン受容体タンパクは、当該受容体遺伝子が昆虫細胞の中に発現された産物である。
1.3 機器:Envision 2101 Multilabel Reader(PerkinElmer,USA)、二酸化炭素培養機(Forma、USA)、Wallac MicroBeta(登録商標)TriLux 1450(PerkinElmer, USA)、VERSAmax Microplate Reader(Molecular Devices, USA)。
【0077】
2.実験方法と結果
2.1 受容体結合活性のテスト
DMSOを用い、表1に示すDHTと本発明の各化合物の濃度勾配溶液を調製した。DHT濃度は、順次に0、0.3、1、3、10、30、100nMであり、化合物の濃度は、順次に0、0.128、0.64、3.2、16、80、400、2000nMであり、カランドリヤの各穴に、それぞれ各濃度のDHTまたは化合物の溶液5μlを添加した。さらに男性ホルモン受容体タンパクを、予め1μg/μlのアプロチニン(Aprotinin)とロイペプチン(Leupeptin)などのプロティナーゼ抑制剤を含む緩衝液(25mM NaPO、10%グリセロール(Glycerol)、10mM NaMoO、10mM KF、pH7.5)の中に添加し、さらに最終濃度が5nMになるように[H]DHTを添加し、十分に均質になるように混合した後、速やかに孔ごとに195μlの量でカランドリヤへ添加して、4℃で一晩孵化した。孵化終了後カランドリヤの孔ごとに50μlの水酸化燐灰石(HA)の溶液(25%HA、25mM NaPO、pH7.4)を添加し、振動で均質になるように混合して、10分間孵化し、その間3分ごとに一回振動した。2500rpm、3分間の遠心分離の後、上清液を除去し、沈殿を収集した。孔ごとに上記緩衝液200μlを添加し、できるだけ沈殿物を振動しないように、再度3分間遠心分離した。上清液を除去して沈殿を収集し、もう1回遠心分離し、上清液を除去して沈殿を収集した後、孔ごとに発光液300μlを添加し、振動で均質になるように混合して、Wallac MicroBeta(登録商標) TriLux 1450でデータを読み取った。その中、男性ホルモンに対する9個の化合物の親和力は、陽性薬物DHTと相当しており、そのIC50値は10nM未満であった(表1を参照する)。
【0078】
【表1】

【0079】
2.2 レポーター遺伝子発現の測定
MDA−MB−453細胞を、10%FBSと2mM L型グルタミン酸塩(L−glutamine)を含むIMEM培養基の中に培養させた。トランスフェクション前の1日に5%CD−FBSを含むIMEM培養基に替えて、トランスフェクションには、Fugene6試薬を使用した。レポーター遺伝子キャリヤーとFugene6を1:3の割合で均質になるように混合して、一滴ごとに細胞の中に添加し、37℃と5%COの条件で6時間培養した。細胞が消化した後、20000個/100μl/穴で96穴アッセイプレートに入れ、5%CD−FBSを含むIMEM培養基で37℃、2時間培養した。被験化合物を添加し、ビカルタミドの濃度は、順次に0、0.256、1.28、6.4、32、160、800、4000nMであり、化合物MWW6032の濃度は、順次に0、2.56、12.8、64、320、1600、8000、40000nMであった。24時間培養した後、ルシフェラーゼ分析試薬キットを用いて酵素の活性を測定し、これにより男性ホルモン受容体に対する化合物の薬理活性を評価した。データを図2に示し、MWW6032は、一定の男性ホルモン受容体の拮抗活性を示している。
【0080】
2.3 前立腺癌細胞株の増殖測定
LNCaP細胞を、10%FBSと2mMのL型グルタミン酸塩(L−glutamine)を含むRPMI1640培養基に培養させた。実験前日に5%CD−FBSを含むRPMI1640培養基に替えて、90%まで成長してから融合し、パンクレアチンで消化した後、4000/90μl/穴で96穴アッセイプレートに入れ、37℃で一晩培養した。被験化合物を一定の濃度に希釈させた後、10μL/穴で細胞に添加し、ビカルタミドの濃度は、順次に0、0.64、3.2、16、80、400、2000nMであり、化合物MWW6032の濃度は、順次に0、5.12、25.6、128、640、3200、16000nMであり、30分間孵化した後アゴニストDHT(最終濃度5nM)を添加した。37℃で6日間培養し、3日目に一回薬を交換した。培養終了の直前に、MTT溶液(5mg/mL)を20μL/孔で添加し、560nmの吸光度を測定した。参照の波長は690nmである。実験データは図3に示し、当該化合物はDHTに刺激されたLNCaP細胞の増殖に対して一定の抑制作用を有し、そのIC50値は2.28μMであった。
【0081】
2.4 マウスの動物モデルによる化合物の男性ホルモン受容体拮抗活性の測定
3週齢の雄SDラット24匹を、無作為に6グループに分けて、それぞれ対比グループ(グループ1)、テストステロン(Testosterone)グループ(グループ2)、テストステロン(T)+ビカルタミド(Casodex)25のグループ(グループ3)、テストステロン(T)+ビカルタミド(Casodex)50のグループ(グループ4)、テストステロン(T)+MWW6032のグループ(グループ5)、偽手術(Sham)グループ(グループ6)とした。1週間適応させた後、偽手術グループに対し偽手術を施行し、その他の5組に対し睾丸を切除(去勢)した。手術後の8週間目に、テストステロングループに対して毎日0.25mg/kgのプロピオン酸テストステロンを皮下注射した。テストステロン+ビカルタミド25のグループに対して、毎日0.25mg/kgのプロピオン酸テストステロンの皮下注射および25mg/kgビカルタミドの胃潅流を行った。テストステロン+ビカルタミド50のグループに対し毎日0.25mg/kgのプロピオン酸テストステロンおよび50mg/kgのビカルタミドを投与した。テストステロン+MWW6032のグールプに対して毎日0.25mg/kgプロピオン酸テストステロンの皮下投与と250mg/kg化合物MWW6032の腹腔内注射をした。10日間投与し続けた後、最後の投与から24時間の時点でラットを死亡させ、それぞれ前立腺と精嚢を取り、その含水重量と乾燥重量を量り、体重(BW)を修正してから各グループ間の相違を比較した。実験の結果を表2、表3及び図4、図5に示す。プロピオン酸テストステロン(0.25mg/kg)の皮下投与は、11週齢の去勢されたSDラットに対して、明らかな薬効を有していた。25mg/kgのビカルタミドは、プロピオン酸テストステロンに対する顕著な拮抗作用を有していた。さらに、化合物MWW6032作用グループの前立腺の重さ(PW)と精嚢の重さ(SVW)は、ともにプロピオン酸テストステロングループより小さく、男性ホルモン受容体に対する拮抗活性を示した。
【0082】
【表2】

【0083】
【表3】

【0084】
3.結論
(1)化合物MWW6003、6015、6016、6021、6022、6030、6031、6032と6033は、男性ホルモン受容体競争性結合活性の実験において、良い結合活性を示し、そのIC50値が10nM以下で、DHTと相当である。
(2)レポーター遺伝子分析方法において、上記化合物(例えば、MWW6003とMWW6032)は、良い男性ホルモン受容体拮抗活性を有することが示され、そのIC50値が市販の男性ホルモン受容体拮抗剤であるビカルタミドに近づいている。
(3)化合物MWW6032は、前立腺癌の細胞株LNCaPの男性ホルモン依存性増殖に対して、一定の抑制活性を示し、そのIC50値が2.28μMであり、それは前立腺癌の治療における用途があることを示唆した。
(4)化合物MWW6032は、去勢されたラット動物モデルにおいて、プロピオン酸テストステロンの作用による前立腺と精嚢の増殖に対して一定の抑制傾向を有している。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】ARタンパクの3つの構造ドメインを示した概略図である。
【図2】レポーター遺伝子をトランスフェクション(transfection)したMDA−MB−453細胞において、MWW6032化合物とビカルタミドの作用を比較した図であって、ジヒドロテストステロン(DHT)が細胞中のルシフェラーゼの発現を誘導し、化学的な発光目盛りを増加させ、化合物が男性ホルモン受容体に対する拮抗作用は、DHTに誘導された化学発光を抑えることにより表現されている図である。
【図3】MWW6032化合物とビカルタミドがDHTに誘導されたLNCaP細胞の増殖に対する影響を調べた図であって、その結果、化合物MWW6032は、DHTに刺激されたLNCaP細胞の増殖に一定の抑制作用を有し、そのIC50値が2.28μMであったことを示す図である。
【図4】化合物MWW6032とビカルタミドがそれぞれ男性ホルモンの作用により、去勢されたラットの前立腺と精嚢組織の含水重量と乾燥重量に対する影響を調べた図であって、ビカルタミドは、プロピオン酸テストステロンの作用で前立腺と精嚢の生長に対して著しい抑制作用を有し、化合物MWW6032は、プロピオン酸テストステロンの作用で上記組織の成長に対し一定の抑制傾向を有していることを示す図である。
【図5】化合物MWW6032とビカルタミドがそれぞれ男性ホルモンの作用により、去勢されたラットの前立腺と精嚢組織の含水重量と乾燥重量に対する影響を調べた図であって、ビカルタミドは、プロピオン酸テストステロンの作用で前立腺と精嚢の生長に対して著しい抑制作用を有し、化合物MWW6032は、プロピオン酸テストステロンの作用で上記組織の成長に対し一定の抑制傾向を有していることを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式Iに示される構造を有する化合物あるいはその薬学的に受容可能な塩。
【化1】

...... I
(そのうちXはN、CH、OあるいはSであり;XはOあるいはSである場合にRは存在しない;
はO、NHあるいはCHRであり、そのうちRはH、C1〜6のアルキル基、CF、芳香族環あるいは芳香族複素環である;
とRはそれぞれH、C1〜6のアルキル基、ベンジル基、ハロゲン原子、OR、SR、NR、NO、CN、CF、COOR、CONR、CONHRあるいはCORであり、その中でRの定義は上記と同じである;
とRはそれぞれH、C1〜6のアルキル基、ベンジル基;R、RまたはRに自由に置換されたC3〜7のシクロアルキル基;R、RまたはRに自由に置換された芳香族環;R、RまたはRに自由に置換された芳香族複素環;あるいは(CHR)であり、nは1〜3の整数、その中でRの定義は上記と同じである;
はH、C1〜18のアルキル基、ベンジル基、ハロゲン原子、OR、SR、NR、NO、CN、CF;R、RとRに自由に置換されたC3〜7のシクロアルキル基;R、RとRに自由に置換された芳香族環;あるいはR、RとRに自由に置換された芳香族複素環であり、その中でRの定義は上記と同じであり、或いは上記RはRと縮合環を形成することができる;
はH、C1〜18のアルキル基、ベンジル基、ハロゲン原子、OR、SR、NR,NO,CN、CF;R、RとRに自由に置換された芳香族環;あるいはR、RとRに自由に置換された芳香族複素環であり、その中でRの定義は上記と同じである;
そのうちR、RとRはそれぞれH、C1〜18のアルキル基、ベンジル基、ハロゲン原子、OR、SR、NR、NO、CN、CF、COOR、CONR、CONHRまたはCORであり、その中Rの定義は上記と同じである;
10はC=O、CHOH、またはCH=である。)
【請求項2】
上記XがNであることを特徴とする請求項1に記載の化合物あるいはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項3】
具体的な構造式は次の通りであり、
上記R10はC=O、RはHであり、
は存在しないことを特徴とする請求項2に記載の化合物あるいはその薬学的に受容可能な塩。
【化2】

【請求項4】
上記化合物が、3−フェニル−3−(4−クロロアニリン)−1−(4−メチルフェニル)−1−アセトン、3−フェニル−3−(4−ブロムアニリン)−1−(4−メチルフェニル)−1−アセトン、3−フェニル−3−(4−ニトロアニリン)−1−(4−メチルフェニル)−1−アセトン、3−フェニル−3−(4−カルボキシアニリン)−1−(4−メチルフェニル)−1−アセトン、3−(4−メチルフェニル)−3−アニリン−1−(4−メチルフェニル)−1−アセトン、3−フェニル−3−(4−クロロアニリン)−1−(4−ニトロフェニル)−1−アセトン、3−フェニル−3−(4−クロロアニリン)−1−(4−メチルフェニル)−1−プロパノール、3−フェニル−3−(4−クロロアニリン)−1−(4−メチルフェニル)−1−プロペン、3−フェニル−3−(1−ピぺリジン)−1−(4−メチルフェニル)−1−アセトン、3−フェニル−3−(1−ピぺリジン)−1−(4−ニトロフェニル)−1−アセトン、3−メチル−3−(4−クロロアニリン)−1−(4−メチルフェニル)−1−アセトン、又は3−メチル−3−(4−クロロアニリン)−1−(4−メチルフェニル)−1−アセトンであることを特徴とする請求項2に記載の化合物あるいはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項5】
とRがそれぞれH、ClまたはBr、RがH、Rがフェニル基またはフラン基であり、RがClまたは−NOに自由に置換されたフェニルであることを特徴とする請求項3に記載の化合物あるいはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項6】
上記薬学的に受容可能な塩は、一般式Iの化合物と塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、燐酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸との塩であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の化合物あるいはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項7】
請求項2に記載の化合物の調製方法であって、
アセトフェノン誘導体、芳香族アルデヒドあるいは脂肪族アルデヒドと有機アミンを原料として、極性溶媒と、触媒としての量の濃塩酸の条件で、Mannich反応によりMannich塩基の塩酸塩を得て、適当量のアルカリで中和し、Mannich塩基(1)を得る段階と、
得られたMannich塩基に触媒水素還元法あるいは化学還元法を用いて、そのカルボニル基を還元させ、化合物(2)を得る段階と、
該化合物(2)を酸触媒の条件で脱水させ、化合物(3)を得る段階と、を含み、
反応ステップは次の通り:
【化3】


その中X、R、R、R、R、RとRの定義は上記請求項1と同じである;
或いは該方法は、
アセトフェノン誘導体、芳香族アルデヒドあるいは脂肪族アルデヒド、有機第一級アミン/第二級アミンを原料として、酸あるいはアルカリ性の条件で、アセトフェノン誘導体を予め芳香族アルデヒド或いは脂肪族アルデヒドと縮合させ、α,β−不飽和カルボニル基化合物を生成し、次に触媒としての量のアルカリ条件で、有機第一級アミン/第二級アミンとMichael付加反応により、化合物(1)を得る段階と、
得られた化合物(1)を触媒水素還元法あるいは化学還元法によりそのカルボニル基を還元させ、化合物(2)を得る段階と、
化合物(2)を酸触媒の条件で脱水させて化合物(3)を得る段階と、を含み、
反応ステップは次の通り:
【化4】


である請求項2に記載の化合物の調製方法。
【請求項8】
有効な治療量の請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を、一種または二種以上含む薬学組成物。
【請求項9】
さらに一種または二種以上の薬学的に受容可能なキャリヤーまたは賦形剤を含むことを特徴とする請求項8に記載の薬学組成物。
【請求項10】
活性成分として上記化合物あるいはその薬学的に受容可能な塩は、合計重量比率に対して50%〜99.5%を占めることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の薬学組成物。
【請求項11】
前立腺肥大症、前立腺癌、女性の多毛症、重症の男性ホルモン性脱毛症あるいはアクネなどの症状あるいは疾病を予防または/および治療する非ステロイド型薬物の調製において、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩の用途。

【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図1】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−542210(P2008−542210A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512676(P2008−512676)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【国際出願番号】PCT/CN2006/001106
【国際公開番号】WO2006/125397
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(507388845)中国科学院上海薬物研究所 (4)
【Fターム(参考)】