説明

非ステロイド系グルココルチコイド受容体リガンドとしてのフェニル−ピラゾール誘導体

式(I)(式中、Aは、2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル、5-フルオロ-2-メトキシ-フェニルまたは5-フルオロ-2-ヒドロキシ-フェニルを表し、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、フッ素または塩素を表す)で表される化合物、またはその生理的に機能性の誘導体。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非ステロイド系化合物およびその調製方法、該化合物を含む医薬組成物および該組成物の調製、ならびに治療処置(特に炎症の治療)用の医薬品の製造における該化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
核受容体は、遺伝子発現の調節に関与する、構造的に関連したタンパク質の一クラスである。ステロイドホルモン受容体は、その天然リガンドに典型的にはエストラジオール(エストロゲン受容体)、プロゲステロン(プロゲステロン受容体)およびコルチゾール(グルココルチコイド受容体)のような内在性ステロイドが含まれるこのファミリーのサブセットである。これらの受容体に対する人工リガンドは、ヒトの健康、特に広範な炎症状態を治療するためのグルココルチコイドアゴニストの使用において重要な役割を果たす。
【0003】
グルココルチコイドは、トランスアクチベーション(transactivation:転写活性)およびトランスリプレッション(transrepression:転写抑制)の少なくとも2つの細胞内機構を介してグルココルチコイド受容体(GR)でそれらの作用を発揮する(Schacke,H.、Docke,W-D.およびAsadullah,K. (2002) Pharmacol and Therapeutics 96:23-43; Ray,A.、Siegel,M.D.、Prefontaine,K.E.およびRay,P. (1995) Chest 107:139S;ならびにKonig,H.、Ponta,H.、Rahmsdorf,H.J.およびHerrlich,P. (1992) EMBO J 11:2241-2246参照)。トランスアクチベーションは、遺伝子プロモータ内の異なるデオキシリボ核酸(DNA)グルココルチコイド応答エレメント(GRE)とのグルココルチコイド受容体の直接的な結合を必要とし、常にではないが通常、下流遺伝子産物の転写を増強する。最近、GRは、GRがDNAに直接結合しない別の経路(転写抑制)を介して遺伝子発現を制御できることも示された。この機構は、GRと他の転写因子(特にNFkBおよびAP1)との相互作用を必要とし、それらの転写前活性の阻害をもたらす(Schacke,H.、Docke,W-D.およびAsadullah,K. (2002) Pharmacol and Therapeutics 96:23-43;ならびにRay,A.、Siegel,M.D.、Prefontaine,K.E.およびRay,P. (1995) Chest 107:139S)。炎症応答に関与する遺伝子の多くは、NFkBおよびAP1経路を介して転写活性化されるため、グルココルチコイドによるこの経路の阻害は、それらの抗炎症効果を説明することができる(Barnes,P.J.およびAdcock,I. (1993) Trend Pharmacol Sci 14:436-441; Cato,A.C.およびWade,E. (1996) Bioessays 18:371-378参照)。
【0004】
広範な症状を治療する上でのグルココルチコイドの有効性にもかかわらず、いくつかの副作用が内因性コルチゾールの病的増加、または外因性の(特に全身投与された)グルココルチコイドの使用と関連している。これらには、骨密度の低下(Wong,C.A.、Walsh,L.J.、Smith,C.J.ら、(2000) Lancet 355:1399-1403)、成長の緩慢化(Allen,D.B. (2000) Allergy 55: suppl 62, 15-18)、皮膚挫傷(Pauwels,R.A.、Lofdahl,C.G.、Latinen,L.A.ら、(1999) N Engl J Med 340:1948-1953)、白内障の発生(Cumming,R.G.、Mitchell,P.およびLeeder,S.R. (1997) N Engl J Med 337:8-14)、ならびに脂質とグルコース代謝の調節障害(Faul,J.L.、Tormey,W.、Tormey,V.およびBurke,C. (1998) BMJ 317:1491;ならびにAndrews,R.C.およびWalker,B.R. (1999) Clin Sci 96:513-523)が含まれる。こうした副作用は、根本的な病状を治療するのに使用できるグルココルチコイドの用量をしばしば制限して、治療の効果を低下せしめるほどに深刻である。
【0005】
トランスアクチベーション-GRE経路の過度の活性化は、これらの副作用のいくつかを媒介しうることが示唆された(Schacke,H.、Docke,W-D.およびAsadullah,K. (2002) Pharmacol and Therapeutics 96:23-43参照)。したがって、トランスアクチベーション経路と比べてトランスリプレッション経路を選択的に調節するグルココルチコイドの開発は、優れた抗炎症対副作用の治療指数を有し、患者のより効果的で安全な治療を可能にする。この新しいクラスのグルココルチコイドを使用して、現在のグルココルチコイドによって目下治療されている疾患の全範囲をより効果的に、より安全に治療できると考えられる。
【0006】
現在知られているグルココルチコイドは、炎症、組織拒絶、自己免疫、白血病やリンパ腫などの様々な悪性疾患、クッシング症候群、リウマチ熱、多発性結節性動脈炎、肉芽腫性多発性動脈炎、骨髄細胞系統の阻害、免疫増殖/アポトーシス、HPA軸の抑制および調節、過コルチゾール血症(hypercortisolemia)、Th1/Th2サイトカインバランスの調節、慢性腎臓病、脳卒中および脊髄損傷、過カルシウム血症、高血糖、急性副腎不全、慢性一次性副腎不全、二次性副腎不全、副腎皮質過形性、脳水腫、血小板減少およびリトル病の治療に有用であることがわかっている。
【0007】
グルココルチコイドは、炎症性腸疾患、全身性紅斑性狼瘡、多発性結節性動脈炎、ヴェグナー肉芽腫症、巨細胞性動脈炎、慢性関節リウマチ、変形性関節症、季節性鼻炎、アレルギー性鼻炎、血管神経性鼻炎、じんま疹、血管神経性浮腫、慢性閉塞性肺疾患、喘息、腱炎、滑液包炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、自己免疫慢性活性肝炎、臓器移植、肝炎および肝硬変などの全身性炎症を伴う疾病状態に特に有用である。グルココルチコイドはまた、免疫刺激剤および抑制剤、ならびに創傷治癒剤および組織修復剤としても使用されている。
【0008】
グルココルチコイドはさらに、炎症性頭皮脱毛症、皮下脂肪組織炎、乾癬、円板状紅斑性狼瘡、炎症嚢胆、アトピー性皮膚炎、円板状紅斑性狼瘡、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、全身性紅斑性狼瘡、皮膚筋炎、妊娠性疱疹、好酸球性筋膜炎、再発性多発性軟骨炎、炎症性脈管炎、類肉腫症、スウィート病、1型反応性らい病、毛細血管性血管腫、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、扁平苔癬、剥脱性皮膚炎、結節性紅斑、面皰、多毛症、中毒性表皮壊死症、多形性紅斑および皮膚T細胞リンパ腫などの疾病の治療にも使用されてきた。
【0009】
WO 00/32584、WO 02/10143、WO 03/082827、WO 05/003098およびWO 05/030213には、特定の非ステロイド系抗炎症薬が開示されている。
【発明の開示】
【0010】
本発明は、式(I):
【化1】

【0011】
(式中、
Aは、2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル、5-フルオロ-2-メトキシ-フェニルまたは5-フルオロ-2-ヒドロキシ-フェニルを表し;
R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、フッ素または塩素を表す)
で表される化合物およびその生理的に機能性の誘導体(以後「本発明の化合物」という)を提供する。
【0012】
本発明の化合物は、上記式(I)に示されるように、1つのキラル中心を含み、2R立体配置を有する。一実施形態において、2R異性体は、対応する2S異性体を実質的に含まない。さらなる実施形態において、2R異性体は、5重量%未満、例えば2重量%未満、1重量%未満の対応する2S異性体を含む。
【0013】
本明細書で用いる、基または基の一部としての「アルキル」という用語は、特定数の炭素原子を含む直鎖または枝分れの炭化水素鎖を意味する。例えば、C1-C6アルキルは、少なくとも1個、多くても6個の炭素原子を含む直鎖または枝分れアルキルを意味する。本明細書で用いる「アルキル」の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、イソブチル、イソプロピル、t-ブチルおよびヘキシルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0014】
一実施形態において、Aは2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イルを表す。他の実施形態において、Aは5-フルオロ-2-メトキシ-フェニルを表す。さらなる実施形態において、Aは5-フルオロ-2-ヒドロキシ-フェニルを表す。
【0015】
一実施形態において、R1は水素またはフッ素を表し、R2は水素、フッ素または塩素を表す。さらなる実施形態において、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素またはフッ素を表す。例えば、R1は水素で、R2はフッ素である。
【0016】
一実施形態において、式(I)の化合物は、
(2R)-5-アミノ-N-[4-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-N-[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-N-[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-(2-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-1-(2,4-ジフルオロフェニル)-N-[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-1-(4-クロロフェニル)-N-[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-N-[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-N-[4-(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-N-[4-(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-(2-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-1-(2,4-ジフルオロフェニル)-N-[4-(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-1-(4-クロロフェニル)-N-[4-(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-N-[4-(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-N-[4-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-(2-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-N-[4-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-1-(2,4-ジフルオロフェニル)-N-[4-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;もしくは
(2R)-5-アミノ-1-(4-クロロフェニル)-N-[4-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;または
その生理的に機能性の誘導体である。
【0017】
本発明の化合物は、グルココルチコイド受容体に結合し、グルココルチコイド受容体アゴニスト活性を有すると考えられ、プロゲステロン受容体に対してよりもグルココルチコイド受容体に対して増大した選択性を示すことができ、かつ/またはトランスアクチベーション活性を減じながらトランスリプレッション活性を維持する点で有利な選択性を有し、それにより、関連した副作用がほとんどないか、または副作用がより軽い、抗炎症特性を提供することができる。
【0018】
本発明は、式(I)の化合物の生理的に機能性の誘導体を含む。用語「生理的に機能性の誘導体」とは、例えば、体内で式(I)の化合物に変換可能であることにより、遊離の式(I)の化合物と同じ生理的機能を有する式(I)の化合物の化学的誘導体を意味し、受容者に投与したとき、式(I)の化合物またはその活性代謝産物もしくは残留物を(直接または間接的に)提供することができる、式(I)の化合物の医薬として許容可能なエステル、カーボネート、カルバメート、塩および溶媒和物、ならびに式(I)の化合物の医薬として許容可能なエステル、カーボネート、カルバメートまたは塩の溶媒和物を含む。したがって、本発明の一実施形態は、式(I)の化合物と、その塩および溶媒和物を包含する。本発明の他の実施形態は、式(I)の化合物とその塩を包含する。本発明のさらなる実施形態は、式(I)の化合物を含む。
【0019】
式(I)の化合物およびその生理的に機能性の誘導体の、医薬としての使用に好適な塩および溶媒和物は、対イオンまたは会合される溶媒が製薬上許容されるものである。しかし、製薬上許容されない対イオンまたは会合溶媒を有する塩および溶媒和物も、例えば他の式(I)の化合物およびその医薬として許容可能な塩、溶媒和物、ならびにその生理的に機能性の誘導体を調製する際の中間体として使用するために、本発明の範囲に含まれる。
【0020】
本発明による好適な塩としては、有機および無機の酸または塩基により形成された塩が含まれる。医薬として許容可能な酸付加塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフェニル酢酸、スルファミン酸、スルファニル酸、コハク酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、オキサロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アリールスルホン酸(例えば、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸またはナフタレンジスルホン酸)、サリチル酸、グルタル酸、グルコン酸、トリカルバリル酸、桂皮酸、置換桂皮酸(フェニル、メチル、メトキシまたはハロ置換桂皮酸、例えば4-メチルおよび4-メトキシ桂皮酸を含む)、アスコルビン酸、オレイン酸、ナフトエ酸、ヒドロキシナフトエ酸(例えば、1-または3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸)、ナフタレンアクリル酸(例えば、ナフタレン-2-アクリル酸)、安息香酸、4-メトキシ安息香酸、2-または4-ヒドロキシ安息香酸、4-クロロ安息香酸、4-フェニル安息香酸、ベンゼンアクリル酸(例えば、1,4-ベンゼンジアクリル酸)およびイセチオン酸から形成された塩が挙げられる。医薬として許容可能な塩基塩としては、アンモニウム塩、ナトリウムおよびカリウムの塩などのアルカリ金属塩、カルシウムおよびマグネシウムの塩などのアルカリ土類金属塩、ならびにジクロロヘキシルアミンおよびN-メチル-D-グルカミンなどの有機塩基の塩が挙げられる。
【0021】
溶媒和物の例としては、水和物が挙げられる。
【0022】
本発明の化合物は、特に局所投与したときに、有益な抗炎症または抗アレルギー効果を有することが期待され、それは、例えば、グルココルチコイド受容体に結合して、該受容体を介した応答を誘発する能力によって実証される。したがって、本発明の化合物を炎症性および/またはアレルギー性疾患の治療に使用することができる。
【0023】
本発明の化合物が有用であると期待される疾病状態の例としては、湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、掻痒症、剥脱性皮膚炎、天疱瘡および過敏性反応などの皮膚疾患;喘息(アレルゲン誘発喘息反応を含む)、鼻炎(花粉症を含む)、鼻ポリープ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患および線維症などの鼻、喉または肺の炎症状態;潰瘍性大腸炎およびクローン病などの炎症性腸状態;慢性関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、側頭動脈炎、結節性多発性動脈炎、多発性筋炎、強直性脊椎炎、類肉腫症、自己免疫肝炎などの自己免疫疾患;急性およびリンパ性白血病、骨髄腫、リンパ腫などの癌;腎炎症候群;敗血症性ショック;副腎機能障害;眼炎症およびアレルギー性結膜炎;肥満;筋骨格疼痛を含む慢性炎症性疼痛;腰痛および頸部痛;捻挫および挫傷;神経障害性疼痛;交感神経持続性疼痛;筋炎;癌および線維筋腫に伴う疼痛;片頭痛に伴う疼痛;インフルエンザまたは普通の風邪などのウイルス感染に伴う疼痛;リウマチ熱;非潰瘍性消化不良などの機能的腸疾患、非心臓胸痛および過敏性腸症候群に伴う疼痛;心筋虚血に伴う疼痛;術後疼痛;頭痛;歯痛;および月経困難;精神病、例えば統合失調症、鬱病[この用語は、本明細書では、以下の疾患を含めるべく使用される:双極性鬱病、単極性鬱病、単発または再発性主要鬱病発作(精神病特徴、緊張特徴、憂鬱特徴、異型特徴または分娩後発症を伴う、または伴わない)、季節的感情障害、早発症または遅発症の、異型特徴を伴う、または伴わない気分変調障害、神経症性鬱病および社会的恐怖症、例えばアルツハイマー型の認知症、抑鬱型の分裂情動性障害に伴う鬱病、ならびに心筋梗塞、糖尿病、流産または中絶を含むがそれらに限定されない、一般的な医学的状態に起因する鬱障害]、不安障害(汎発性不安障害および社会的不安障害を含む)、パニック障害、広場恐怖症、社会的恐怖症、強迫性障害および外傷後ストレス障害、記憶障害(認知症、健忘症および加齢に伴う記憶障害を含む)、摂食行動障害(神経性食欲不振および神経性食欲異常亢進を含む)、睡眠障害(日周リズムの混乱、睡眠困難、不眠症、睡眠無呼吸およびナルコレプシーを含む)、コカイン、エタノール、ニコチン、ベンゾジアゼピン、アルコール、カフェイン、フェンシクリジン(フェンシクリジン様化合物)、アヘン(例えば、大麻、ヘロイン、モルヒネ)、アンフェタミンまたはアンフェタミン関連薬物(例えば、デキストロアンフェタミン、メチルアンフェタミン)などの薬物またはそれらの組合せの濫用からの禁断症状が挙げられる。本発明の化合物はまた、急性移植拒絶における臓器移植中の免疫系の抑制、上部呼吸器の血管性浮腫の抑制、およびアナフィラキシーショックの抑制を引き出す上でも有用性を有する。
【0024】
例えば、本発明の化合物が有用性を有することが期待される疾病状態としては、湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、掻痒症および過敏性反応などの皮膚疾患;喘息(アレルゲン誘発喘息反応を含む)、鼻炎(花粉症を含む)、鼻ポリープ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患および線維症などの鼻、喉または肺の炎症状態;潰瘍性大腸炎およびクローン病などの炎症性腸状態;ならびに慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患が挙げられる。
【0025】
本明細書中での治療への言及は、確立された症状の治療だけでなく予防にも及ぶことを当業者ならば理解するであろう。
【0026】
上述のように、本発明の化合物は、特に抗炎症薬および/または抗アレルギー薬として、ヒトまたは動物用の医薬に使用されることが期待される。
【0027】
したがって、本発明のさらなる態様として、特に慢性関節リウマチ、喘息、COPD、アレルギーおよび/または鼻炎などの炎症および/またはアレルギーの症状を有する患者の治療において、ヒトまたは動物用の医薬に使用するための本発明の化合物が提供される。
【0028】
本発明の他の態様において、湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、掻痒症および/または過敏性反応などの皮膚疾患を有する患者の治療に使用するための本発明の化合物が提供される。
【0029】
本発明の他の態様によれば、慢性関節リウマチ、喘息、COPD、アレルギーおよび/または鼻炎などの炎症および/またはアレルギー症状を有する患者の治療用の医薬品を製造するための本発明の化合物の使用が提供される。
【0030】
本発明のさらに他の態様によれば、湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、掻痒症および/または過敏性反応などの皮膚疾患を有する患者の治療用の医薬品を製造するための本発明の化合物の使用が提供される。
【0031】
さらなる態様または代替的な態様では、慢性関節リウマチ、喘息、COPD、アレルギーおよび/または鼻炎などの炎症および/またはアレルギー症状を有するヒトまたは動物被検体を治療するための方法であって、前記ヒトまたは動物被検体に治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法が提供される。
【0032】
さらなる態様または代替的な態様では、湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、掻痒症および/または過敏性反応などの皮膚疾患を有するヒトまたは動物被検体を治療するための方法であって、前記ヒトまたは動物被検体に治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法が提供される。
【0033】
本発明の化合物は便利な方法で投与するために製剤化することができ、したがって、本発明は、その範囲内に、本発明の化合物を、所望により1種以上の生理的に許容される希釈剤または担体と混合して、含む医薬組成物をも包含する。
【0034】
さらに、諸成分を混合することを含む前記医薬組成物の調製方法が提供される。
【0035】
本発明の化合物は、例えば、経口投与、経鼻投与、頬投与、舌下投与、非経口投与、局所直腸投与または他の局所投与のために製剤化することができる。
【0036】
本明細書で用いる局所投与は吹入および吸入による投与を含む。局所投与用の様々なタイプの製剤の例としては、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、フォーム剤、経皮パッチによる送達用の製剤、粉末剤、噴霧剤、エーロゾル剤、吸入器または吹入器に使用されるカプセルまたはカートリッジ、または点滴剤(例えば、点眼剤または点鼻剤)、噴霧吸入用の溶液剤/懸濁液剤、坐薬、ペッサリー、保持浣腸、およびチュアブル錠(例えばアフタ性潰瘍の治療用)、あるいはリポソームまたはマイクロカプセル製剤が挙げられる。
【0037】
例えば鼻炎の治療のために鼻に局所投与される製剤としては、加圧エーロゾル製剤、および加圧ポンプによって鼻に投与される水性製剤が挙げられる。加圧されず、鼻腔に局所投与されるように構成された製剤は、特に興味深い。好適な製剤は、この目的のために希釈剤または担体として水を含む。肺または鼻への投与のための水性製剤には、緩衝剤および張力改変剤等の従来の添加剤を含めることができる。水性製剤はまた噴霧によって鼻に投与することもできる。
【0038】
本発明の化合物は、流体ディスペンサー(例えば、流体ディスペンサーのポンプ機構に使用者の力が加わると流体製剤の一定量を分配する、分配ノズルまたは分配オリフィスを有する流体ディスペンサー)から供給するための流体製剤として処方することができる。そのような流体ディスペンサーは一般には、流体製剤の複数回の一定量の貯蔵所を備えており、その用量は連続的なポンプ作動により分配可能である。分配ノズルまたはオリフィスは、流体製剤を鼻腔に噴霧分配するために使用者の鼻腔に挿入するように構成される。前記タイプの流体ディスペンサーは、その全内容が参照により本明細書に組み込まれるWO 05/044354に記載および例示されている。ディスペンサーは、流体製剤を収容するための容器に圧縮ポンプが装着された流体排出装置を収容するハウジングを有する。ハウジングは、指で操作可能な少なくとも1つのサイドレバーを有し、該レバーはハウジングに対して内部へ移動可能であり、ハウジング内で容器を上方に動かしてポンプを圧縮させ、製剤の一定量をポンプ基部からハウジングの鼻ノズルを経て輸送する。一実施形態において、流体ディスペンサーは、WO 05/044354の図30〜40に例示される一般的なタイプのものである。
【0039】
軟膏剤、クリーム剤およびゲル剤は、例えば、水性または油性基剤に好適な増粘剤および/またはゲル化剤および/または溶媒を添加して処方されうる。こうして、前記基剤は、水および/または油(例えば、流動パラフィン、または落花生油もしくはヒマシ油等の植物油)、またはポリエチレングリコールなどの溶媒を含むことができる。基剤の性質に応じて使用される増粘剤およびゲル化剤としては、軟質パラフィン、ステアリン酸アルミニウム、セトステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、羊毛脂、蜜蝋、カルボキシポリメチレンおよびセルロース誘導体、および/またはモノステアリン酸グリセリルおよび/または非イオン性乳化剤が挙げられる。
【0040】
ローション剤は、水性または油性基剤を用いて製剤化することができ、一般には、1種以上の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤または増粘剤をも含む。
【0041】
外用のための粉末剤は、好適な粉末基剤、例えばタルク、乳糖またはデンプンを利用して形成されうる。点滴剤は、1種以上の分散剤、可溶化剤、懸濁剤または防腐剤をも含む水性または非水性の基剤を用いて処方されうる。
【0042】
噴霧組成物は、例えば、水性の溶液剤または懸濁液剤として、または好適な液化推進剤を使用して、定量噴霧式吸入器などの加圧パックから供給されるエーロゾル剤として処方されうる。吸入に好適なエーロゾル組成物は、懸濁液または溶液であり、一般には、式(I)の化合物と、フルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボンまたはそれらの混合物、特にヒドロフルオロアルカン、特に1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパンまたはそれらの混合物などの好適な推進剤と、を含むことができる。エーロゾル組成物は、当技術分野で周知のさらなる医薬用添加剤を含んでいてもよく、例えば、界面活性剤(例えば、オレイン酸、レシチン、またはWO 94/21229およびWO 98/34596に記載されるようなオリゴ乳酸もしくは誘導体)および共溶媒(例えばエタノール)を含む。
【0043】
したがって、本発明のさらなる態様として、本発明の化合物および推進剤としてのフルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボンを、場合によって界面活性剤および/または共溶媒と組み合わせて、含む医薬エーロゾル製剤が提供される。
【0044】
本発明の他の態様によれば、推進剤が1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパンおよびそれらの混合物から選択される医薬エーロゾル製剤が提供される。
【0045】
好適な緩衝剤を添加することによって、本発明の製剤を緩衝することができる。
【0046】
吸入器または吹入器で使用されるカプセルおよびカートリッジ(例えばゼラチン製)は、本発明の化合物と、乳糖またはデンプンなどの好適な粉末基剤との吸入用粉末混合物を含むよう処方されうる。各カプセルまたはカートリッジは、一般には、本発明の化合物を20μg〜10mg含むことができる。あるいは、本発明の化合物は、乳糖などの賦形剤を使用しないで提供することもできる。
【0047】
本発明による局所組成物中の本発明の活性化合物の割合は、調製される製剤の正確なタイプによって変わるが、一般には、0.001〜10重量%の範囲内になる。一般には、ほとんどのタイプの製剤について、使用される割合は、0.005〜1%、好ましくは0.01〜0.5%の範囲になる。しかし、吸入または吹入用の粉末剤では、使用割合は通常、0.1〜5%の範囲になる。
【0048】
エーロゾル製剤は、好ましくは、エーロゾル剤の各一定量または「パフ」が、20μg〜10mg、好ましくは20μg〜2000μg、より好ましくは20μg〜500μgの式(I)の化合物を含むように調整される。投与は、1日1回または1日数回、例えば2、3、4または8回とすることができ、例えば1回につき1、2または3回量を与える。エーロゾル剤による1日の合計量は、100μg〜10mg、好ましくは200μg〜2000μgの範囲になる。吸入器または吹入器でカプセルまたはカートリッジから供給される1日の合計量および1回の一定量は、一般には、エーロゾル製剤で供給される量の2倍になる。
【0049】
懸濁エーロゾル製剤の場合、微粒子(微粉化)薬物の粒径は、エーロゾル製剤の投与時に実質的にすべての薬物を肺に吸入することを可能にするような粒径であるべきであり、したがって、100ミクロン未満、望ましくは20ミクロン未満、特に、1〜10ミクロン、好ましくは1〜5ミクロン、より好ましくは2〜3ミクロンの範囲とする。
【0050】
本発明の製剤は、例えば音波処理または高剪断ミキサーを利用して、適切な容器中の所定の推進剤に本発明の化合物を分散または溶解させることによって調製されうる。この方法は、望ましくは、制御した湿度条件下で行う。
【0051】
本発明によるエーロゾル製剤の化学的および物理的安定性ならびに医薬許容性は。当業者に周知の技術によって確認することができる。したがって、例えば、成分の化学安定性は例えば製品の長期保存後にHPLC検定によって確認することができる。物理的安定性のデータは、例えば、漏れ試験、弁供給検定(作動毎の平均射出重量)、用量再現検定(作動毎の活性成分)および噴霧分散度分析といった、他の慣用分析技術から得ることができる。
【0052】
本発明による懸濁エーロゾル製剤の安定性は、従来の技術、例えば、背面光散乱装置を使用する凝集サイズ分布の測定、またはカスケードインパクション(cascade impaction)による粒径分布の測定、または「ツインインピンジャー(twin impinger)」分析法によって測定することができる。本明細書で用いる「ツインインピンジャー」検定への言及は、British Pharmacopaeia 1988、A204-207頁、付録XVII Cに規定される「装置Aを使用する加圧吸入器における放出量の付着の測定」を意味する。こうした技術によって、エーロゾル製剤の肺に「吸入され得る割合(respirable fraction)」を計算することが可能である。「吸入割合」を計算するのに用いられる1つの方法は、上記ツインインピンジャー法を用いて、作動毎に供給された活性成分の全量に対する百分率として表される、作動毎に下方衝突チャンバーに回収される活性成分の量である「微粒子割合」を参照することによる。
【0053】
「定量噴霧式吸入器」またはMDIという用語は、缶、缶を覆う固定キャップ、およびキャップ内に配置した製剤計量弁を含む装置を意味する。MDIシステムは、好適なチャネリングデバイスを含む。好適なチャネリングデバイスは、例えば、弁アクチュエータと、マウスピースアクチュエータなどの、医薬品を充填キャニスタから計量弁を経由して患者の鼻または口に供給することができる円筒状または円錐状の流路を含む。
【0054】
MDIキャニスタは、一般には、使用する推進剤の蒸気圧に耐えることが可能な容器を含み、その容器は計量弁で閉鎖される。かかる容器としては、プラスチックまたはプラスチックをコーティングしたガラス瓶、または好ましくは陽極処理、ラッカーコーティングおよび/またはプラスチックコーティング(例えば、内面の一部または全体が1種以上のフルオロカーボン重合体(場合によって1種以上の非フルオロカーボン重合体と組み合わせたもの)でコーティングされる;参照により本明細書に組み込まれるWO 96/32099を参照)が施されていてもよい金属缶、例えばアルミニウムまたはその合金の缶がある。超音波溶接、ネジ止めまたはクリンピングを介してキャップを缶に固定することができる。本明細書に教示するMDIは当術分野の方法によって製造することができる(例えば、上記ByronおよびWO 96/32099参照)。好ましくは、キャニスタにはキャップアセンブリが装着され、薬物計量弁がキャップ内に位置し、前記キャップは所定位置にクリンプされる。
【0055】
本発明の一実施形態において、缶の金属内面はフルオロポリマー(最も好ましくは非フルオロポリマーとのブレンド)でコーティングされる。本発明の他の実施形態において、缶の金属内面は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とポリエーテルスルホン(PES)のポリマーブレンドでコーティングされる。本発明のさらなる実施形態では、缶の金属内面の全体に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とポリエーテルスルホン(PES)のポリマーブレンドがコーティングされる。
【0056】
計量弁は、一定量の製剤を作動毎に供給するように、また、推進剤の弁からの漏れを防止するためのガスケットを組み込むように、設計される。ガスケットは、例えば、低密度ポリエチレン、クロロブチル、黒色および白色ブタジエン-アクリロニトリルゴム、ブチルゴムおよびネオプレンなどの、どのような好適なエラストマー材料から構成されてもよい。好適な弁は、エーロゾル産業界で良く知られている製造業者、例えばValois(フランス)(例えば、DF10、DF30、DF60)、Bespak plc(英国)(例えば、BK300、BK357)および3M-Neotechnic Ltd(英国)(例えば、Spraymiser(商標))から入手可能である。
【0057】
様々な実施形態において、MDIは、他の構造物、例えば米国特許第6,119,853号;第6,179,118号;第6,315,112号;第6,352,152号;第6,390,291号;および第6,679,374号に記載されるものを含む(しかし、これらに限定されない)、MDIを保管/収容するための外装パッケージ、ならびに米国特許第6,360,739号および第6,431,168号に記載される(しかし、これらに限定されない)ような用量計測装置と共に使用することもできる。
【0058】
医薬エーロゾル剤製造の当業者に良く知られている従来のバルク製造方法および機械を、充填キャニスタの商業生産のための大規模バッチの調製に利用することができる。こうして、例えば、懸濁エーロゾル製剤を調製するための1つのバルク製造方法では、計量弁をアルミニウム缶にクリンプして、空のキャニスタを形成する。微粒子医薬品を装入容器に添加し、液化推進剤を任意の賦形剤とともに装入容器を通して製造容器に加圧充填する。薬物懸濁液を充填機への再循環前に混合し、次いで薬物懸濁液の一定分量を計量弁を経てキャニスタに充填する。溶液エーロゾル製剤を調製するための一例のバルク製造方法では、計量弁をアルミニウム缶にクリンプして、空のキャニスタを形成する。液化推進剤を任意の賦形剤および溶解した医薬品とともに、装入容器から製造容器に加圧充填する。
【0059】
代替方法では、製剤が蒸発しないように十分に低温の条件下で液化製剤の一定分量を開放キャニスタに添加し、次いで計量弁をキャニスタにクリンプする。
【0060】
典型的には、医薬用途に向けて調製されたバッチでは、各充填キャニスタを検量し、バッチ番号でコードして、放出試験の前に保管用のトレイに詰める。
【0061】
局所外用製剤は1日当たり1回または複数回の適用によって患部に投与することができる。皮膚面には、閉鎖性ドレッシングを使用することが有利である。連続的または長期的な送達は接着性レザバーシステムにより達成することができる。
【0062】
内部投与では、本発明の化合物を、例えば、経口、非経口または直腸投与のために従来の方法で製剤化することができる。経口投与用の製剤としては、典型的には、結合剤、充填剤、滑沢剤、崩壊剤、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、防腐剤、緩衝塩、香料、着色剤および/または甘味料などの従来の添加剤を適宜含むシロップ剤、エリキシル剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤およびカプセル剤が挙げられる。しかし、以下に記載するように、投与単位剤形が好ましい。
【0063】
全身グルココルチコイド受容体アゴニスト療法が必要である場合は、一般に本発明の化合物を内部投与によって与えることができる。
【0064】
徐放性または腸溶性の製剤は、特に炎症性腸疾患の治療に有利でありうる。
【0065】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は経口投与用に製剤化される。他の実施形態では、本発明の化合物は吸入投与用に製剤化される。さらなる実施形態では、本発明の化合物は鼻腔内投与用に製剤化される。
【0066】
本発明による化合物および医薬製剤は、例えば、抗炎症薬、抗コリン作動薬(特に、M1/M2/M3受容体アンタゴニスト)、β2-アドレナリン受容体アゴニスト、抗生物質または抗ウイルス薬などの抗感染症薬、または抗ヒスタミン薬から選択される1種以上の他の治療薬と併用されるか、または治療薬を含むことができる。したがって、本発明は、さらなる態様において、本発明の化合物を、例えば、コルチコステロイドまたはNSAIDなどの抗炎症薬、抗コリン作動薬、β2-アドレナリン受容体アゴニスト、抗生物質または抗ウイルス薬などの抗感染症薬、または抗ヒスタミン薬から選択される1種以上の他の治療活性薬とともに含む組合せ物を提供する。好適な組合せ物としては、本発明の化合物をβ2-アドレナリン受容体アゴニストおよび/または抗コリン作動薬および/またはPDE-4阻害剤および/または抗ヒスタミン薬とともに含む組合せ物が挙げられる。
【0067】
本発明の一実施形態は、1種または2種の他の治療薬を含む組合せ物を包含する。
【0068】
当業者には明らかであるように、適宜、前記他の治療成分は、アルカリ金属もしくはアミン塩または酸付加塩としての塩の形態で、またはプロドラッグの形態で、またはエステル(例えば低級アルキルエステル)として、または溶媒和物(例えば水和物)として使用して、治療成分の活性および/または安定性および/または物理的特性(溶解性など)を最適化することができる。また、適宜、治療成分を光学的に純粋な形態で使用できることも明らかであろう。
【0069】
一実施形態において、本発明は、本発明の化合物をβ2-アドレナリン受容体アゴニストとともに含む組合せ物を包含する。
【0070】
β2-アドレナリン受容体アゴニストの例としては、サルメテロール(ラセミ体、またはR-エナンチオマーなどの単一のエナンチオマーであってもよい)、サルブタモール(ラセミ体、またはR-エナンチオマーなどの単一のエナンチオマーであってもよい)、フォルモテロール(ラセミ体、またはR,R-ジアステレオマーなどの単一のジアステレオマーであってもよい)、サルメファモール、フェノテロール、カルモテロール、エタンテロール、ナミンテロール、クレンブテロール、ピルブテロール、フレロブテロール、レプロテロール、バンブテロール、インダカテロールまたはテルブタリンおよびそれらの塩、例えばサルメテロールのキシナホ酸(1-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸)塩、サルブタモールの硫酸塩または遊離塩基、またはフォルモテロールのフマル酸塩が挙げられる。一実施形態において、β2-アドレナリン受容体アゴニストは、持続性作用のあるβ2-アドレナリン受容体アゴニスト、例えば24時間にわたって治療効果を有するβ2-アドレナリン受容体アゴニストである。
【0071】
持続性作用のあるβ2-アドレナリン受容体アゴニストの例としては、WO 02/66422A、WO 02/270490、WO 02/076933、WO 03/024439、WO 03/072539、WO 03/091204、WO 04/016578、WO 04/022547、WO 04/037807、WO 04/037773、WO 04/037768、WO 04/039762、WO 04/039766、WO 01/42193およびWO 03/042160に記載されているものを挙げることができる。
【0072】
持続性作用のあるβ2-アドレナリン受容体アゴニストの例としては、以下の化合物が挙げられる:
3-(4-{[6-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド;
3-(3-{[7-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}-アミノ)ヘプチル]オキシ}プロピル)ベンゼンスルホンアミド;
4-{(1R)-2-[(6-{2-[(2,6-ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
N-[2-ヒドロキシル-5-[(1R)-1-ヒドロキシ-2-[[2-4-[[(2R)-2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル]アミノ]フェニル]エチル]アミノ]エチル]フェニル]ホルムアミド;
N-2{2-[4-(3-フェニル-4-メトキシフェニル)アミノフェニル]エチル}-2-ヒドロキシ-2-(8-ヒドロキシ-2(1H)-キノリノン-5-イル)エチルアミン;および
5-[(R)-2-(2-{4-[4-(2-アミノ-2-メチル-プロポキシ)-フェニルアミノ]-フェニル}-エチルアミノ)-1-ヒドロキシ-エチル]-8-ヒドロキシ-1H-キノリン-2-オン。
【0073】
β2-アドレナリン受容体アゴニストは、硫酸、塩酸、フマル酸、ヒドロキシナフトエ酸(例えば、1-または3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸)、桂皮酸、置換桂皮酸、トリフェニル酢酸、スルファミン酸、スルファニル酸、ナフタレンアクリル酸、安息香酸、4-メトキシ安息香酸、2-または4-ヒドロキシ安息香酸、4-クロロ安息香酸および4-フェニル安息香酸から選択される医薬として許容可能な酸で形成された塩の形態であってもよい。
【0074】
抗炎症薬の例としては、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)が挙げられる。NSAIDの例としては、クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウム、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤(例えば、テオフィリン、PDE4阻害剤または混合PDE3/PDE4阻害剤)、ロイコトリエンアンタゴニスト、ロイコトリエン合成の阻害剤(例えばモンテルカスト)、iNOS阻害剤、トリプターゼおよびエラスターゼ阻害剤、ベータ-2インテグリンアンタゴニストおよびアデノシン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト(例えばアデノシン2aアゴニスト)、サイトカインアンタゴニスト(例えば、CCR3アンタゴニストなどのケモカインアンタゴニスト)またはサイトカイン合成の阻害剤、または5-リポキシゲナーゼ阻害剤が挙げられる。iNOS(誘導型一酸化窒素合成酵素)阻害剤は、好ましくは、経口投与用である。iNOS阻害剤の例としては、WO 93/13055、WO 98/30537、WO 02/50021、WO 95/34534およびWO 99/62875に開示されているものが挙げられる。CCR3阻害剤の例としては、WO 02/26722に開示されているものが挙げられる。アデノシン2aアゴニストとしては、WO 05/116037に開示されているものが挙げられる。
【0075】
一実施形態において、本発明は、特に吸入に適合させた製剤の場合、本発明の化合物とホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤との併用を提供する。本発明のこの態様に有用なPDE4特異的阻害剤は、PDE4酵素を阻害することが知られているか、またはPDE4阻害剤として作用することが見出されており、かつPDE4のみの阻害剤であって、PDE4のみならずPDE3やPDE5などのPDEファミリーの他のメンバーを阻害する化合物ではない、どのような化合物であってもよい。
【0076】
化合物としては、シス-4-シアノ-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)シクロヘキサン-1-カルボン酸、2-カルボメトキシ-4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オン、およびシス-[4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オール]が挙げられる。別の化合物は、1996年9月3日に発行された米国特許第5,552,438号に記載されるシス-4-シアノ-4-[3-(シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル]シクロヘキサン-1-カルボン酸(シロミラストとしても知られる)およびその塩、エステル、プロドラッグまたは物理的形態である。上記特許およびそれが開示する化合物は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0077】
他の化合物としては、Elbion社製のAWD-12-281 (Hofgen,N.ら、15th EFMC Int Symp Med Chem (9月6〜10日、Edinburgh) 1998、Abst 98頁;CAS参照番号247584020-9); NCS-613と命名された9-ベンジルアデニン誘導体(INSERM); ChiroscienceおよびSchering-Plough社のD-4418; CI-1018 (PD-168787)として特定され、Pfizer社に帰属するベンゾジアゼピンPDE4阻害剤; WO 99/16766 (協和発酵)に開示されるベンゾジオキソール誘導体; 協和発酵のK-34; Napp社製のV-11294A (Landells,L.J.ら、Eur Resp J[Annu Cong Eur Resp Soc (9月19〜23日、Geneva) 1998] 1998、12(Suppl.28):Abst 2393頁); Byk-Gulden社製のロフルミラスト(CAS参照番号162401-32-3)およびファラジノン(その開示内容が参照により本明細書に組み込まれているWO 99/47505); Byk-Gulden(現在Altana)によって製造され、公開された混合PDE3/PDE4阻害剤であるプマフェントリン(Pumafentrine)、(-)-p-[(4aR*,10bS*)-9-エトキシ-1,2,3,4,4a,10b-ヘキサヒドロ-8-メトキシ-2-メチルベンゾ[c][1,6]ナフチリジン-6-イル]-N,N-ジイソプロピルベンズアミド; Almirall-Prodesfarma社によって開発されているアロフィリン(arofylline); Vernalis社のVM554/UM565;またはT-440 (田辺製薬; Fuji,K.ら、J Pharmacol Exp Ther、1998、284(1):162)およびT2585が挙げられる。
【0078】
さらなる化合物は、公開国際特許出願WO 04/024728 (PCT/EP2003/014867)(Glaxo Group Ltd)、WO 04/056823 (PCT/EP2004/005494)(Glaxo Group Ltd)およびWO 04/103998 (Glaxo Group Ltd)に開示されている。
【0079】
抗コリン作動薬の例は、ムスカリン受容体でアンタゴニストとして作用する化合物、特に、M1またはM3受容体のアンタゴニスト、M1/M3またはM2/M3受容体の二重アンタゴニストまたはM1/M2/M3受容体の汎用性アンタゴニストである化合物である。吸入による投与のための例示的な化合物としては、イプラトロピウム(例えば、臭化物として、CAS 22254-24-6、Atroventの名で販売)、オキシトロピウム(例えば、臭化物として、CAS 30286-75-0)およびチオトロピウム(例えば、臭化物として、CAS 136310-93-5、Spirivaの名で販売)が挙げられる。レバトロパテ(例えば、臭化水素酸塩として、CAS 262586-79-8)およびWO 01/04118に開示されるLAS-34273も興味深い。経口投与用の例示的な化合物としては、ピレンゼピン(例えばCAS 28797-61-7)、ダリフェナシン(例えば、CAS 133099-04-4、またはEnablexの名で販売されている臭化水素酸塩としてのCAS 133099-07-7)、オキシブチニン(例えば、Ditropanの名で販売されているCAS 5633-20-5)、テロジリン(例えば、CAS 15793-40-5)、トルテロジン(例えば、CAS 124937-51-5、またはDetrolの名で販売されている酒石酸塩としてのCAS 124937-52-6)、オチロニウム(例えば、Spasmomenの名で販売されているCAS 26095-59-0)、塩化トロスピウム(例えば、CAS 10405-02-4)およびソリフェナシン(例えば、CAS 242478-37-1またはCAS 242478-38-2、またはYM-905としても知られ、Vesicareの名で販売されているコハク酸塩)が挙げられる。
【0080】
他の抗コリン作動薬としては、米国特許出願第60/487981号に開示されている式(XXI)の化合物が挙げられる:
【化2】

【0081】
(式中、トロパン環に結合したアルキル鎖の好ましい配向は、エンド(endo)であり;
R31およびR32は、独立に、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖または枝分れ鎖低級アルキル基、5〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル-アルキル、2-チエニル、2-ピリジル、フェニル、4個を超えない炭素原子を有するアルキル基で置換されたフェニル、および4個を超えない炭素原子を有するアルコキシ基で置換されたフェニルからなる群から選択され;
X-は、N原子の正電荷に会合したアニオンを表す)。X-は、限定するものではないが、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸、ベンゼンスルホン酸およびトルエンスルホン酸のイオンであり、例えば、
(3-endo)-3-(2,2-ジ-2-チエニルエテニル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3-endo)-3-(2,2-ジフェニルエテニル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3-endo)-3-(2,2-ジフェニルエテニル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン4-メチルベンゼンスルホネート;
(3-endo)-8,8-ジメチル-3-[2-フェニル-2-(2-チエニル)エテニル]-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;および/または
(3-endo)-8,8-ジメチル-3-[2-フェニル-2-(2-ピリジニル)エテニル]-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド
を含む。
【0082】
さらなる抗コリン作動薬としては、米国特許出願第60/511009号に開示されている式(XXII)または(XXIII)の化合物が挙げられる:
【化3】

【0083】
(式中、
示されているH原子は、エキソ(exo)位にあり;
R41-は、N原子の正電荷に会合したアニオンを表し; R41-は、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸、ベンゼンスルホン酸およびトルエンスルホン酸であるが、それらに限定されず;
R42およびR43は、独立に、(好ましくは1〜6個の炭素原子を有する)直鎖または枝分れ鎖低級アルキル基、(5〜6個の炭素原子を有する)シクロアルキル基、(6〜10個の炭素原子を有する)シクロアルキル-アルキル、(5〜6個の炭素原子およびヘテロ原子としてのNまたはOを有する)ヘテロシクロアルキル、(6〜10個の炭素原子およびヘテロ原子としてのNまたはOを有する)ヘテロシクロアルキル-アルキル、アリール、場合によって置換されたアリール、ヘテロアリールおよび場合によって置換されたヘテロアリールからなる群から選択され;
R44は、(C1-C6)アルキル、(C3-C12)シクロアルキル、(C3-C7)ヘテロシクロアルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C12)シクロアルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C7)ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C1-C6)アルキル-アリール、(C1-C6)アルキル-ヘテロアリール、-OR45、-CH2OR45、-CH2OH、-CN、-CF3、-CH2O(CO)R46、-CO2R47、 -CH2NH2、-CH2N(R47)SO2R45、-SO2N(R47)(R48)、-CON(R47)(R48)、-CH2N(R48)CO(R46)、-CH2N(R48)SO2(R46)、-CH2N(R48)CO2(R45)、-CH2N(R48)CONH(R47)からなる群から選択され;
R45は、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C12)シクロアルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C7)ヘテロシクロアルキル、(C1-C6)アルキル-アリール、(C1-C6)アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択され;
R46は、(C1-C6)アルキル、(C3-C12)シクロアルキル、(C3-C7)ヘテロシクロアルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C12)シクロアルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C7)ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C1-C6)アルキル-アリール、(C1-C6)アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択され;
R47およびR48は、独立に、H、(C1-C6)アルキル、(C3-C12)シクロアルキル、(C3-C7)ヘテロシクロアルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C12)シクロアルキル、(C1-C6)アルキル(C3-C7)ヘテロシクロアルキル、(C1-C6)アルキル-アリールおよび(C1-C6)アルキル-ヘテロアリールからなる群から選択される)。例えば、
(endo)-3-(2-メトキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピオニトリル;
(endo)-8-メチル-3-(2,2,2-トリフェニル-エチル)-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタン;
3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピオンアミド;
3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピオン酸;
(endo)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(endo)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロパン-1-オール;
N-ベンジル-3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピオンアミド;
(endo)-3-(2-カルバモイル-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
1-ベンジル-3-[3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-尿素;
1-エチル-3-[3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-尿素;
N-[3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-アセトアミド;
N-[3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-ベンズアミド;
3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-プロピオニトリル;
(endo)-3-(2-シアノ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
N-[3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-ベンゼンスルホンアミド;
[3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-尿素;
N-[3-((endo)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-メタンスルホンアミド;および/または
(endo)-3-{2,2-ジフェニル-3-[(1-フェニル-メタノイル)-アミノ]-プロピル}-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド
を含む。
【0084】
さらなる化合物としては、
(endo)-3-(2-メトキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(endo)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(endo)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(endo)-3-(2-カルバモイル-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(endo)-3-(2-シアノ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;および/または
(endo)-3-{2,2-ジフェニル-3-[(1-フェニル-メタノイル)-アミノ]-プロピル}-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド
が挙げられる。
【0085】
抗ヒスタミン薬(H1受容体アンタゴニストとも呼ばれる)の例には、H1受容体を阻害し、かつヒトでの使用に安全である、多くの公知のアンタゴニストが含まれる。第1の世代のアンタゴニストとしては、エタノールアミン、エチレンジアミンおよびアルキルアミンの誘導体、例えばジフェニルヒドラミン、ピリラミン、クレマスチン、クロルフェニラミンが挙げられる。非鎮静性の第2の世代のアンタゴニストとしては、ロラチジン、デスロラチジン、テルフェナジン、アステミゾール、アクリバスチン、アゼラスチン、レボセチリジン、フェキソフェナジンおよびセチリジンが挙げられる。
【0086】
抗ヒスタミン薬の例としては、ロラチジン、デスロラチジン、フェキソフェナジン、セチリジン、レボカバスチン、オロパタジン、アムレキサノクスおよびエピナスチンが挙げられる。
【0087】
一実施形態において、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩を、H1アンタゴニストとともに含む組合せ物を提供する。H1アンタゴニストの例としては、限定することなく、アメレキサノクス、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロムフェニラミン、セチリジン、レボセチリジン、エフレチリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスカルボエトキシロラタジン、ドキシラミン、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、メクリジン、ノラステミゾール、オロパタジン、ピクマスト、ピリルアミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジンおよびトリプロリジン、特にセチリジン、レボセチリジン、エフレチリジンおよびフェキソフェナジンが挙げられる。さらなる実施形態において、本発明は、式(I)の化合物またはその医薬として許容可能な塩を、H3アンタゴニスト(および/または逆アゴニスト)とともに含む組合せ物を提供する。H3アンタゴニストの例としては、例えば、WO 2004/035556およびWO 2006/045416に開示される化合物が挙げられる。本発明の化合物と併用することができる他のヒスタミン受容体アンタゴニストとしては、H4受容体のアンタゴニスト(および/または逆アゴニスト)、例えばJablonowskiら、J.Med.Chem.46:3957-3960(2003)に開示されている化合物が挙げられる。
【0088】
したがって、本発明は、さらなる態様において、他の治療活性剤をさらに含む医薬組成物を提供する。
【0089】
したがって、本発明は、さらなる態様において、前記治療活性剤がβ2-アドレナリン受容体アゴニストである医薬組成物を提供する。
【0090】
したがって、本発明は、さらなる態様において、本発明の化合物とPDE4阻害剤との組合せを含む医薬組成物を提供する。
【0091】
したがって、本発明は、さらなる態様において、本発明の化合物をPDE4阻害剤とともに含む組合せ物を提供する。
【0092】
したがって、本発明は、さらなる態様において、本発明の化合物をβ2-アドレナリン受容体アゴニストとともに含む組合せ物を提供する。
【0093】
したがって、本発明は、さらなる態様において、本発明の化合物を抗コリン作動薬とともに含む組合せ物を提供する。
【0094】
したがって、本発明は、さらなる態様において、本発明の化合物を抗ヒスタミン薬とともに含む組合せ物を提供する。
【0095】
したがって、本発明は、さらなる態様において、本発明の化合物をPDE4阻害剤およびβ2-アドレナリン受容体アゴニストとともに含む組合せ物を提供する。
【0096】
したがって、本発明は、さらなる態様において、本発明の化合物を抗コリン作動薬およびPDE4阻害剤とともに含む組合せ物を提供する。
【0097】
上記組合せ物は医薬製剤の形態で使用するために便利に提供することができ、かくして、上記組合せ物を製薬上許容可能な希釈剤または担体とともに含む医薬製剤は、本発明のさらなる態様を表す。
【0098】
こうした組合せの個々の化合物は、個別のまたは組合せ医薬製剤で順次または同時に投与することができる。個々の化合物を、組合せ医薬製剤で同時に投与することができる。公知の治療薬の適切な投与量は、当業者に容易に理解されるであろう。
【0099】
式(I)の化合物を調製するための本発明による方法は、式(II):
【化4】

【0100】
(式中、R1およびR2は、式(I)の化合物について上に定義した通りである)
のカルボン酸またはその活性化誘導体を、式(III):
【化5】

【0101】
(式中、基Aは、式(I)の化合物について上に定義した通りである)
のアミンまたはその保護誘導体とカップリングさせることを含む。
【0102】
式(II)の化合物は、例えば酸ハロゲン化物または酸無水物として必要に応じて活性化することができる。一実施形態において、式(III)の化合物は保護されない。
【0103】
カップリングは、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルまたはテトラヒドロフランなどの不活性溶媒中で0℃から還流温度または80℃(いずれか低い方)の適度な温度で、「Advanced Organic Chemistry」第5版、M.B.SmithおよびJ.March、Wiley、2001、508-510頁および「Comprehensive Organic Transformations」R.C.Larock、VCH、1989、972-976頁に記載されるような標準アミドカップリング試薬を使用して、実施することができる。一実施形態において、この反応は、溶媒としてジメチルホルムアミドを用いて、塩基としてトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチレルアミンの存在下に、カップリング剤としてO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロリン酸塩を使用して、実施される。
【0104】
Aが2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イルまたは5-フルオロ-2-メトキシ-フェニルを表す式(III)の化合物は、ラセミ体として記載されている(WO 03/082827、WO 04/063163)。式(III)の化合物の個々のエナンチオマーは、例えば、ラセミ体(III)またはその保護形態(IV)のキラルカラム上でのHPLCによる分離によって得ることができる:
【化6】

【0105】
(式中、A基は、式(I)の化合物について上に定義した通りであり、Pは、エナンチオマー分離後に除去される保護基を表す)。
【0106】
一実施形態において、Pは、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)またはベンジル保護基を表す。しかし、当業者は、代替として他の保護基の使用を想定することが可能である。CBZまたはベンジル保護基は、例えば、炭素担持パラジウムなどの好適な触媒による水素化分解によって除去することができる。
【0107】
化合物(IV)における保護基Pが、例えば(R)-1-フェニルエチルアミン誘導体(V):
【化7】

【0108】
において、特定の立体化学のさらなるキラル中心を含む場合は、得られたジアステレオマーを非キラル性の支持体上でのクロマトグラフィーによって分離することができる。前述のように、異性体分離に続く水素化分解による脱保護は、化合物(III)の単一のエナンチオマーをもたらす。
【0109】
式(IV)の化合物は、ラセミ体アミン(III)の保護によって直接調製することができる。あるいはまた、式(IV)および(V)の中間体は、エポキシド(VI):
【化8】

【0110】
(式中、基Aは、式(I)の化合物について上に定義した通りである)をアミンP-NH2と反応させることによって調製することができる。
【0111】
エポキシド開環反応は、カリウムtert-ブトキシドなどの強塩基の存在下に、0〜100℃の範囲の適度の温度、最も一般的には20℃(または室温)で、N,N-ジメチルホルムアミドなどの双極非プロトン溶媒中にて実施することができる。あるいは、これらのエポキシド開環反応は、マイクロ波反応器において100〜200℃の範囲の高温、最も一般的には150℃にて、溶媒の不在下で、または少量のN-メチルピロリジノンなどの非求核性の高沸点溶媒を用いて、実施することができる。(R)-(+)-1-フェニルエチルアミンとの反応では、化合物(V)を得るためのエポキシド開環を50℃にてエタノール溶液中で都合よく実施することができる。
【0112】
Aが2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イルまたは5-フルオロ-2-メトキシ-フェニルを表す式(VI)の化合物は、WO 04/063163に記載されている。Aが5-フルオロ-2-メトキシ-フェニルを表す式(VI)の化合物はまた、WO 05/234250、WO 05/040145およびBioorg. Med. Chem. Letters. 2006, 16, 654-657に個別のエナンチオマーとして記載されている。
【0113】
あるいは、Aが5-フルオロ-2-ヒドロキシ-フェニルである式(I)の化合物は、Aが5-フルオロ-2-メトキシ-フェニルを表す式(I)の化合物を、例えばジクロロメタン溶液中の三臭化ホウ素と反応させることによって、直接調製することができる。
【0114】
式(II)の化合物は、文献で知られているか、または式(VII):
【化9】

【0115】
(式中、R4は基:
【化10】

【0116】
を表し、R3はC1-C6アルキルを表す)の化合物を、式(VIII):
【化11】

【0117】
(式中、R1およびR2基は、式(I)の化合物について定義した通りである)のアリールヒドラジンと反応させ、その後エステル官能基を酸官能基に脱保護することによって調製されうる。一実施形態において、R3はエチルを表す。
【0118】
カップリングはエタノール中で還流下に実施することが有利である。あるいはまた、カップリングは、エタノール中トリエチルアミンまたはジイソプロピルアミンなどの塩基の存在下で還流することによって、式(VII)の化合物を式(VIII)の化合物の塩(例えば塩酸塩)と反応させることによって達成することができる。
【0119】
続いて、エタノール中で水酸化ナトリウムなどの強塩基の存在下に還流することによって酸基の脱保護を行い、式(II)の化合物を得ることができる。
【0120】
式(VIII)のアリールヒドラジンは、商業的に入手可能であるか、または当業者に知られている方法に従って製造されうる。
【0121】
合成における中間体としてエナンチオマーの混合物を使用する場合は、式(I)の化合物をエナンチオマーの混合物の形で調製することができる。本発明の化合物の2R異性体は、従来の技術、例えばキラルカラムでのHPLCによって混合物から単離することができる。
【0122】
あるいは、エナンチオマーの分離を合成の初期段階で実施することができ、例えば、中間体(III)、(IV)または(VI)の化合物の個々のエナンチオマーを使用し、それによって、合成の最終段階としてエナンチオマーの分離を実施する必要性をなくすことができる。後者の方法は、理論上は、より効率的であるため、好ましい。
【0123】
特定の式(II)の化合物、例えば5-アミノ-1-(2,4-ジフルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(R1=R2=Fである式(II)の化合物)は新規であり、本発明の一態様を構成する。
【0124】
式(III)の化合物は新規であり、本発明の一態様を構成する。
【0125】
特定の式(IV)および(V)の化合物も、異性体の混合物として、または単一のエナンチオマーもしくはジアステレオマーとして新規であり、本発明のさらなる態様を構成する。
【0126】
本発明の化合物を含む組成物も本発明の一態様を構成する。
【0127】
さらに、本発明の1種以上の化合物を含む製剤を調製するための方法は、本発明の一態様を構成する。
【0128】
生理的に許容されない式(I)の化合物またはその誘導体は、他の式(I)の化合物またはその生理的に機能性の誘導体を調製する際の中間体として有用でありうる。
【0129】
本発明の化合物は、予測される薬物動態的および薬力学的挙動により、良好な抗炎症特性を示すことが期待できる。それらはまた、魅力的な副作用プロフィルを有することが期待でき(このことは、例えば、プロゲステロン受容体と比べてグルココルチコイド受容体に対する選択性の向上および/またはトランスアクチベーションと比べてグルココルチコイド受容体媒介トランスリプレッションに対する選択性の向上によって実証される)、また、ヒト患者における簡便な治療計画と適合することが期待される。
【0130】
次に、本発明を以下の非限定的な実施例によって説明することにする。
【実施例】
【0131】
略語

【0132】
LCMSシステム
使用したLCMSシステムは、以下の通りであった:
・ カラム: 内径3.3cm×4.6mm、Supelco社製の3μmのABZ+PLUS
・ 流速: 3ml/分
・ 注入量: 5μl
・ 温度: 室温
・ UV検出範囲: 215〜330nm
溶媒: A: 0.1%ギ酸+10mM 酢酸アンモニウム
B: 95%アセトニトリル+0.05%ギ酸

【0133】
質量に基づいた自動分離(Mass-Directed Autopreparation)
システム1
Micromass ZQプラットフォームを使用して精製を行った。カラムは、固定相粒径が5μmの100mm×20mmのSupelco LCABZ++であった。
【0134】
溶媒: A: 水+0.1%ギ酸
B: MeCN:水(95:5)+0.05%ギ酸
勾配: 10分間に対して50〜90%B
流速: 20mL/分
システム2
Agilent 1100シリーズプラットフォームを使用して精製を行った。カラムは、固定相粒径が5μmの212mm×100mm Zorbax Eclipse XDB-C18 prep HTであった。
【0135】
溶媒: A: 水+0.1%TFA
B: MeCN+0.1%TFA
勾配: 1分間の90%Aから9分間にわたる95%Bへの変化
流速: 20mL/分
【0136】
円二色法
Applied Photophysics Chirascan分光光度計で200〜350nmの範囲にわたって、アセトニトリルを溶媒として使用して、室温にて円二色法を行った。
【0137】
中間体1および2: 4-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-1,1,1-トリフルオロ-4-メチル-2-({[(1R)-1-フェニルエチル]アミノ}メチル)-2-ペンタノール
【化12】

【0138】
(R)-(+)-1-フェニルエチルアミン(4.43mL、34.9mmol)を無水EtOH(3mL)に溶解させた氷冷溶液に、ラセミ体7-{1,1-ジメチル-2-[2-(トリフルオロメチル)-2-オキシラニル]エチル}-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン(WO 04/063163、1g、3.49mmol)を滴下した。次いで、反応混合物を50℃で一晩加熱し、室温まで冷却し、真空蒸発させた。残渣を50gシリカSPEカートリッジに加え、トルエン中0.5%NH3で溶出させた。適切な画分を一緒にし、真空蒸発させて無色の油(1.486g)を得た。この油を質量に基づいた自動分離(システム1)にかけて、中間体1 (2S異性体、314mg)、中間体2 (2R異性体、334mg)+混合画分(480mg)を得た。混合画分を質量に基づいた自動分離に再度かけて、さらなる中間体1 (90mg)、中間体2 (125mg)+混合画分(160mg)を得た。中間体1を含む画分を互いに混ぜ合わせ、中間体2を含む画分も同様にした。
【0139】
中間体1 (2S異性体):
イソプロパノールから徐々に蒸発させることによって得られた三斜晶系結晶に対する単結晶X線構造は、2S立体配置を確定した。
LCMS: tRET=2.86分; MH+=408、融点 65〜68℃
中間体2 (2R異性体):
LCMS: tRET=2.94分; MH+=408
【0140】
中間体3: (2R)-2-(アミノメチル)-4-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-1,1,1-トリフルオロ-4-メチル-2-ペンタノール
【化13】

【0141】
(2R)-4-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-1,1,1-トリフルオロ-4-メチル-2-({[(1R)-1-フェニルエチル]アミノ}メチル)-2-ペンタノール(中間体2)(480mg、1.178mmol)をEtOH(13mL)に溶解させ、10%パラジウム炭素(119mg)を用いて50psi、室温で5時間にわたって水素化した。触媒を微小繊維フィルタパッドおよびセライトで濾過して除去した。セライトをEtOHで数回洗浄した。濾液を真空蒸発させて、淡灰色の固体(330mg)として表題化合物を得、それをさらに精製することなく使用した。
LCMS: tRET=2.43分; MH+=304
【0142】
中間体4および5: [4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]カルバミン酸フェニルメチル
【化14】

【0143】
ラセミ体2-(アミノメチル)-1,1,1-トリフルオロ-4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-4-メチル-2-ペンタノール(WO 03/082827、894mg、2.89mmol)をDCM(15mL)に溶解させた。N-(ベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(1.08g、4.34mmol)を添加し、この混合物を5分間攪拌した。トリエチルアミン(804μL、5.78mmol)を添加し、攪拌を3.5時間継続した後、反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、真空蒸発させた。100gシリカのカートリッジおよびシクロヘキサン:EtOAc=100:0から0:100の溶媒勾配を用いるFlashmaster IIにより1時間にわたり残渣を精製することによって、油(1.12g)としてのラセミ体生成物を得た。この油を2インチ×20cmのChiralpak ADカラムにアプライして、ヘプタン:IPA=97.5:2.5を用いて流速75mL/分で溶出したところ、約41分後に中間体4(2R異性体、443mg)、約60分後に中間体5(2S異性体、441mg)が得られた。
【0144】
中間体4(2R異性体):
分析キラルHPLC(25×0.46cm Chiralpak ADカラム、1mL/分で溶出するヘプタン:IPA=97.5:2.5): 7.9分
LCMS: tRET=3.75分; MH+=444
中間体5(2S異性体):
分析キラルHPLC(25×0.46cm Chiralpak ADカラム、1mL/分で溶出するヘプタン:IPA=97.5:2.5): 9.8分
LCMS: tRET=3.75分; MH+=444
【0145】
中間体6および7: 1,1,1-トリフルオロ-4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-4-メチル-2-({[(1R)-1-フェニルエチル]アミノ}メチル)-2-ペンタノール
【化15】

【0146】
ラセミ体2-{2-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-メチルプロピル}-2-(トリフルオロメチル)オキシラン(WO 04/063163、600mg、2.05mmol)を無水EtOH(3mL)に溶解させた攪拌溶液に、(R)-(+)-1-フェニルエチルアミン(1.31mL、10.3mmol)を添加した。次いで、反応混合物を攪拌し、50℃にて窒素下で5日間加熱し、室温まで冷却させ、真空蒸発させた。残渣を70gシリカのSPEカートリッジにアプライし、トルエン中0.5%NH3で溶出させた。適切な画分を一緒にし、真空蒸発させて無色の油(991mg)を得た。この油の710mgを、2インチ×15cmのChiralpak ADカラムでのキラルHPCにかけ、25%アセトニトリル/リン酸アンモニウム(pH4.9)を用いて流速70mL/分で溶出することによって分離したところ、17.5分後に中間体6(2S異性体、230mg)、24.8分後に中間体7(2R異性体、200mg)が得られた。
【0147】
中間体6(2S異性体):
EtOAcから徐々に蒸発させることによって得られた斜方晶に対する単結晶X線構造は、2S立体配置を確定した。
LCMS: tRET=2.81分; MH+=414
中間体7(2R異性体):
LCMS: tRET=2.91分; MH+=414
【0148】
中間体8: (2R)-2-(アミノメチル)-1,1,1-トリフルオロ-4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-4-メチル-2-ペンタノール
【化16】

【0149】
方法A: (2R)-[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]カルバミン酸フェニルメチル(中間体4)経由
(2R)-[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]カルバミン酸フェニルメチル(中間体4)(343mg、0.774mmol)をEtOH(25mL)に溶解させ、10%パラジウム炭素(34mg)を用いて室温、3バールで4時間にわたって水素化した。触媒をセライトで濾過して除き、濾液を真空蒸発させて灰色の固体(213mg)として表題化合物を得、それをさらに精製することなく使用した。
LCMS: tRET=2.38分; MH+=310
円二色法(セル長:0.5cm; 濃度:230μM)
221.0nm(de=-1.25)および280.4nm(de=-0.76)
【0150】
方法B: (2R)-1,1,1-トリフルオロ-4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-4-メチル-2-({[(1R)-1-フェニルエチル]アミノ}メチル)-2-ペンタノール(中間体7)経由
(2R)-1,1,1-トリフルオロ-4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-4-メチル-2-({[(1R)-1-フェニルエチル]アミノ}メチル)-2-ペンタノール(中間体7)(200mg、0.48mmol)をEtOH(8mL)に溶解させ、10%パラジウム炭素(100mg)を用いて53psi、室温で16時間にわたって水素化した。触媒をセライトで濾過して除いた。セライトをEtOHで数回洗浄した。濾液を真空蒸発させて、淡黄色の油(158mg)として表題化合物を得、それをさらに精製することなく使用した。
LCMS: tRET=2.38分; MH+=310
円二色法(セル長:0.5cm; 濃度:230μM)
222.0nm(de=-0.96)および280.8nm(de=-0.69)
【0151】
中間体9: 5-アミノ-1-(2,4-ジフルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボン酸エチル
【化17】

【0152】
2,4-ジフルオロフェニルヒドラジン塩酸塩(9.24g、51.17mmol)および(エトキシメチレン)シアノ酢酸エチル(10.35g、61.41mmol)をEtOH(200mL)と一緒に攪拌した。DIPEA(7.94g、61.41mmol)を添加し、この混合物を一晩攪拌還流し、冷却し、真空蒸発させた。残渣をDCMと水とに分配した。有機相を分離し、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させて暗褐色の固体(15.17g)を得た。この物質を、この物質のさらなる分離から得られた1.29gと一緒にした。シリカカラムにかけて、ヘキサン中10〜20%EtOAcの溶媒勾配で溶出して精製したところ、黄色固体(8.46g)として表題化合物が得られた。
LCMS: tRET=2.70分; MH+=268
【0153】
中間体10: 5-アミノ-1-(2,4-ジフルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボン酸
【化18】

【0154】
5-アミノ-1-(2,4-ジフルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボン酸エチル(中間体9)(6.8g、25.5mmol)と、1MのNaOH溶液(100mL)と、EtOH(20mL)との混合物を70℃で2.5時間加熱し、冷却し、2M塩酸(50mL)でpHを7に調節した。析出した固体を濾別し、水で洗浄し、週末にかけて真空中40℃で乾燥させて、表題化合物(5.1g)を得、それをさらに精製することなく使用した。
LCMS: tRET=2.20分; MH+=240
【0155】
中間体11: 1,1,1-トリフルオロ-4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-4-メチル-2-{[(フェニルメチル)アミノ]メチル}-2-ペンタノール
【化19】

【0156】
ベンジルアミン(38.6mL、0.353mol)を、ラセミ体2-{2-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-メチルプロピル}-2-(トリフルオロメチル)オキシラン(WO 04/063163に従って調製可能; 50g、0.171mol)をEtOH(500mL)に溶解させた攪拌溶液に20℃で一度に添加し、得られた混合物を80℃で一晩加熱した。溶媒を減圧下で除去し、得られた油をシクロヘキサン中4%EtOAcで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、白色固体(65.1g)として表題化合物を得た。
LCMS: tRET=2.83分; MH+=400
【0157】
中間体12: 2-(アミノメチル)-1,1,1-トリフルオロ-4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-4-メチル-2-ペンタノール
【化20】

【0158】
1,1,1-トリフルオロ-4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-4-メチル-2-{[(フェニルメチル)アミノ]メチル}-2-ペンタノール(中間体17、63g、0.158mol)を、窒素パージ容器に入れたEtOH(1.07L)中の10%パラジウム炭素(12.6g、50%湿)の攪拌液に20℃で添加した。さらなる水素の消費がなくなるまで、混合物を20℃、大気圧で水素化した。次いで、懸濁液をセライトおよびガラス繊維濾紙で濾過して触媒を除去し、ケーキをEtOH(120mL)で洗浄した。一緒にした濾液および洗浄液を減圧下で蒸発させて、淡灰色の固体(47.5g)としての表題化合物を得た。
LCMS: tRET=2.37分; MH+=310
【0159】
中間体13: 5-アミノ-N-[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
【化21】

【0160】
HATU(28.1g、73.9mmol)を、DMF(230mL)中の5-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(16.5g、74.6mmol)およびDIPEA(38mL、218mmol)の攪拌混合物に20℃で添加した。この混合物を20℃で20分間攪拌し、そのとき2-(アミノメチル)-1,1,1-トリフルオロ-4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-4-メチル-2-ペンタノール(中間体12、23g、74.4mmol)を添加した。得られた溶液を一晩攪拌し、次いで水(700mL)に注ぎ、ジイソプロピルエーテル(2×350mL)で抽出した。有機相を分離し、水(350mL)および塩水(350mL)で連続的に洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をシクロヘキサン中20%EtOAcで溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、白色固体(33.2g)としての表題化合物を得た。
LCMS: tRET=3.57分; MH+=513
【0161】
実施例1: (2R)-5-アミノ-N-[4-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
【化22】

【0162】
5-アミノ-1-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(18mg、0.087mmol)を無水DMF(1.5mL)に溶解させ、DIPEA(29μL、0.168mmol)を添加した後、HATU(33mg、0.087mmol)を添加した。反応物を窒素下で室温にて10分間攪拌させ、次いで(2R)-2-(アミノメチル)-4-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-1,1,1-トリフルオロ-4-メチル-2-ペンタノール(中間体3)(20.4mg、0.067mmol)を無水DMF(0.5mL)に溶解させた溶液を添加した。この反応混合物を18時間攪拌し、次いで塩水/水1:1とEtOAcとに分配した。有機層を分離し、疎水性フリットに通し、真空蒸発させて、黄色の残渣を得た。質量に基づいた自動分離(システム1)によって表題化合物(27mg)を得た。
LCMS: tRET=3.70分; MH+=489
【0163】
実施例2: (2R)-5-アミノ-N-[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
【化23】

【0164】
方法A
HATU(27.4mg、0.072mmol)をDMF(200μL)に溶解した溶液に、DIPEA(21μL、0.12mmol)を添加し、得られた溶液を5-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(15.9mg、0.072mmol)に添加し、この混合物を10分間振盪した。(2R)-2-(アミノメチル)-1,1,1-トリフルオロ-4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-4-メチル-2-ペンタノール(中間体8)(18.6mg、0.06mmol)をDMF(200μL)に溶解した溶液を添加し、この混合物を10分間振盪し、次いで18時間放置した。DMFを真空除去し、残渣をクロロホルム(300μL)に溶解して、500mgアミノプロピルSPEカートリッジにアプライした。クロロホルム(2mL)で溶出させた後、クロロホルム画分を蒸発させて、表題化合物(32.8mg)を得た。
LCMS: tRET=3.66分; MH+=513
【0165】
方法B
5-アミノ-N-[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(中間体13、1.3g)を21×5cm Chiralcel OD 20ミクロンカラムでの分離用キラルHPLCによって、そのエナンチオマーに分離した。カラムに注入するためにラセミ体をtert-ブチルメチルエーテル(14mL)に溶解させ、それをn-ヘプタン:EtOH(75:25)により流速75mL/分で6分間、次に150mL/分で3分間溶出させた。2番目に溶出する2Rエナンチオマーを6.6分から8.2分の間に溶出する画分に回収し、それを蒸発させて、白色固体(585mg)としての表題化合物を得た。
LCMS: tRET=3.57分; MH+=513。分析キラルHPLC (Chiralcel OD分析カラム(250×4.6mm)を用いてn-ヘプタン:EtOH 70:30により流速0.8mL/分、カラム温度25℃で溶出する)は、キラル純度が99.3%であることを示した。
【0166】
実施例3: (2R)-5-アミノ-N-[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-(2-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
【化24】

【0167】
(2R)-2-(アミノメチル)-1,1,1-トリフルオロ-4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-4-メチル-2-ペンタノール(中間体8)および5-アミノ-1-(2-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボン酸から、実施例2と同様にして調製した。
LCMS: tRET=3.61分; MH+=513
【0168】
実施例4: (2R)-5-アミノ-1-(2,4-ジフルオロフェニル)-N-[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
【化25】

【0169】
(2R)-2-(アミノメチル)-1,1,1-トリフルオロ-4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-4-メチル-2-ペンタノール(中間体8)および5-アミノ-1-(2,4-ジフルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(中間体10)から、実施例2と同様にして調製した。ただし、質量に基づいた自動分離(システム2)によるさらなる精製を行った。
LCMS: tRET=3.64分; MH+=531
【0170】
実施例5: (2R)-5-アミノ-1-(4-クロロフェニル)-N-[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
【化26】

【0171】
(2R)-2-(アミノメチル)-1,1,1-トリフルオロ-4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-4-メチル-2-ペンタノール(中間体8)および5-アミノ-1-(4-クロロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボン酸から、実施例2と同様にして調製した。
LCMS: tRET=3.79分; MH+=529/531
【0172】
実施例6: (2R)-5-アミノ-N-[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
【化27】

【0173】
(2R)-2-(アミノメチル)-1,1,1-トリフルオロ-4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-4-メチル-2-ペンタノール(中間体8)および5-アミノ-1-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸から、実施例2と同様にして調製した。
LCMS: tRET=3.65分; MH+=495
【0174】
実施例7: (2R)-5-アミノ-N-[4-(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
【化28】

【0175】
(2R)-5-アミノ-N-[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(実施例2)(20.4mg)をDCM(200μL)に溶解させた。三臭化ホウ素の溶液(DCM中1M、500μL)を添加し、この混合物を18時間放置してから氷冷し、メタノール(0.5mL)で反応を停止させた。混合物を蒸発させ、残渣を質量に基づいた自動分離(システム2)によって精製して表題化合物(12.4mg)を得た。
LCMS: tRET=3.50分; MH+=499
【0176】
実施例8: (2R)-5-アミノ-N-[4-(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-(2-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
【化29】

【0177】
(2R)-5-アミノ-N-[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-(2-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(実施例3)から、実施例7と同様にして調製した。
LCMS: tRET=3.44分; MH+=499
【0178】
実施例9: (2R)-5-アミノ-1-(2,4-ジフルオロフェニル)-N-[4-(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
【化30】

【0179】
(2R)-5-アミノ-1-(2,4-ジフルオロフェニル)-N-[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(実施例4)から、実施例7と同様にして調製した。
LCMS: tRET=3.46分; MH+=517
【0180】
実施例10: (2R)-5-アミノ-1-(4-クロロフェニル)-N-[4-(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
【化31】

【0181】
(2R)-5-アミノ-1-(4-クロロフェニル)-N-[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(実施例5)から、実施例7と同様にして調製した。
LCMS: tRET=3.64分; MH+=515/517
【0182】
実施例11: (2R)-5-アミノ-N-[4-(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
【化32】

【0183】
(2R)-5-アミノ-N-[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(実施例6)から、実施例7と同様にして調製した。
LCMS: tRET=3.48分; MH+=481
【0184】
実施例12: (2R)-5-アミノ-N-[4-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-(2-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
【化33】

【0185】
(2R)-2-(アミノメチル)-4-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-1,1,1-トリフルオロ-4-メチル-2-ペンタノール(中間体3)および5-アミノ-1-(2-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボン酸から、実施例2と同様にして調製した。
LCMS: tRET=3.51分; MH+=507
【0186】
実施例13: (2R)-5-アミノ-N-[4-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
【化34】

【0187】
(2R)-2-(アミノメチル)-4-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-1,1,1-トリフルオロ-4-メチル-2-ペンタノール(中間体3)および5-アミノ-1-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボン酸から、実施例2と同様にして調製した。
LCMS: tRET=3.57分; MH+=507
【0188】
実施例14: (2R)-5-アミノ-1-(2,4-ジフルオロフェニル)-N-[4-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
【化35】

【0189】
(2R)-2-(アミノメチル)-4-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-1,1,1-トリフルオロ-4-メチル-2-ペンタノール(中間体3)および(2R)-5-アミノ-1-(4-クロロフェニル)-N-[4-(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(中間体10)から、実施例2と同様にして調製した。
LCMS: tRET=3.54分; MH+=525
【0190】
実施例15: (2R)-5-アミノ-1-(4-クロロフェニル)-N-[4-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド
【化36】

【0191】
質量に基づいた自動分離(システム2)によるさらなる精製を採用したことを除いては、(2R)-2-(アミノメチル)-4-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-1,1,1-トリフルオロ-4-メチル-2-ペンタノール(中間体3)および5-アミノ-1-(4-クロロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボン酸から、実施例2と同様にして調製した。
LCMS: tRET=3.70分; MH+=523/525
【0192】
生物学的実験
グルココルチコイド受容体結合検定
グルココルチコイド受容体に結合する化合物の能力は、Alexa 555蛍光標識デキサメタゾン誘導体と競合するそれらの能力を評価することによって確認した。化合物をDMSO中で溶媒和および希釈し、検定プレートに直接移した。蛍光デキサメタゾンおよび部分的に精製した全長グルココルチコイド受容体を、GRタンパク質を安定させる緩衝剤成分とともにプレートに加えて、暗所にて室温で2時間インキュベートした。混合物からの蛍光偏光シグナルの低下を測定することにより蛍光リガンドの置換を分析することによって、各化合物の結合を評価した。
【0193】
実施例1〜15は、この検定においてpIC50>7.5のグルココルチコイド結合を有する。
【0194】
NFkB活性のグルココルチコイド媒介トランスリプレッション(転写抑制)
ヒトA549肺上皮細胞を、NFkB依存性ELAMプロモータの遠位領域の制御下で分泌型胎盤アルカリホスファターゼ遺伝子を含むように操作したが、この操作は、Ray,K.P.、Farrow,S.、Daly,M.、Talabot,F.およびSearle,N.、「Induction of the E-selectin promoter by interleukin 1 and tumour necrosis factor alpha,and inhibition by glucocorticoids(インターロイキン1および腫瘍壊死因子αによるE-セレクチンプロモーターの誘導、ならびにグルココルチコイドによる阻害)」、Biochemical Journal (1997) 328:707-15に記載されるように行った。
【0195】
化合物をDMSO中で溶媒和および希釈し、検定プレートに直接移して、DMSOの最終濃度が0.7%になるようにした。細胞(ウェル当たり40K)を添加した後、プレートを1時間インキュベートし、続いて3ng/mlのヒト組換えTNFαを添加した。インキュベーションを16時間続けた後、0.7容の検定緩衝液(1Mジエタノールアミン、0.28M NaCl、0.5mM MgCl2に溶解させた1mg/mのp-ニトロフェニルホスフェート)を添加した後、405nmにおける光学密度の経時変化を測定することによってアルカリホスファターゼ活性を測定した。用量応答曲線を作成し、該曲線からEC50値を推定した。
【0196】
実施例1〜15は、この検定においてpEC50>8.5を示す。
【0197】
プロゲステロン受容体活性の検定
T225フラスコ内の80%集密度のCV-1細胞をPBSで洗浄し、0.25%トリプシンを使用してフラスコから剥がし、Sysmex KX-21Nを使用して計数した。この細胞を、10% Hyclone、2mM L-グルタメートおよび1% Pen/Strepを含むDMEM中で140個/μlに希釈し、10%のPRb-BacMamおよび10%のMMTV-BacMamによって形質導入した。70mlの懸濁細胞を、化合物を必要な濃度で含む白色Nunc 384ウェルプレートの各ウェルに分注した。24時間後、10μlのSteady Gloをプレートの各ウェルに加えた。プレートを暗所にて10分間インキュベートしてからViewluxリーダーで読み取った。用量応答曲線を作成し、該曲線からpEC50値を推定した。
【0198】
実施例1〜11は、この検定においてpEC50<6を示す。
【0199】
上記検定での活性に従って好ましいまたはより好ましい実施例を記載する上で、異性体の混合物(ラセミ体等)中の少なくとも1つの異性体、例えばエナンチオマーが記載した活性を有することは理解されるであろう。他方のエナンチオマーは、同様の活性を有するか、より低い活性を有するか、または活性がないか、あるいは機能検定の場合には何らかのアンタゴニスト活性を有していてもよい。
【0200】
明細書、および添付の特許請求の範囲を通じて、特に断らない限り、単語「含む(comprise)」、ならびに「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」などの変形は、記載した1つの整数もしくは工程または整数群もしくは工程群を含めるが、他の整数もしくは工程または整数群もしくは工程群を排除するものではないことが理解されるであろう。
【0201】
本記載および請求項が一部を構成する本出願は任意の後続出願に関する優先権の基礎として用いることができる。後続出願の請求項は、本明細書に記載されるいずれかの構成または構成の組合せに向けることができる。それらは物、組成物、方法または用途の請求項の形態をとることができ、例として、そして限定することなく、添付の請求項を含むことができる。
【0202】
本出願に記載される特許および特許出願は、参照として本明細書に組み入れるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
Aは、2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル、5-フルオロ-2-メトキシ-フェニルまたは5-フルオロ-2-ヒドロキシ-フェニルを表し、
R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、フッ素または塩素を表す)
で表される化合物、またはその生理的に機能性の誘導体。
【請求項2】
対応する2S異性体を実質的に含まない、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
5重量%未満の対応する2S異性体を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
2重量%未満の対応する2S異性体を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
1重量%未満の対応する2S異性体を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
実施例1〜15のいずれか1つに記載の化合物、またはその生理的に機能性の誘導体。
【請求項7】
(2R)-5-アミノ-N-[4-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-N-[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-N-[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-(2-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-1-(2,4-ジフルオロフェニル)-N-[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-1-(4-クロロフェニル)-N-[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-N-[4-[5-フルオロ-2-(メチルオキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-N-[4-(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-N-[4-(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-(2-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-1-(2,4-ジフルオロフェニル)-N-[4-(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-1-(4-クロロフェニル)-N-[4-(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-N-[4-(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-N-[4-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-(2-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-N-[4-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-1-(2,4-ジフルオロフェニル)-N-[4-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
(2R)-5-アミノ-1-(4-クロロフェニル)-N-[4-(2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-7-イル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-2-(トリフルオロメチル)ペンチル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
である化合物、またはその生理的に機能性の誘導体。
【請求項8】
ヒトまたは動物用の医薬に使用するための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物、またはその生理的に機能性の誘導体。
【請求項9】
慢性関節リウマチ、喘息、COPD、アレルギーおよび/または鼻炎のような炎症および/またはアレルギーの症状を有する患者の治療に使用するための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物、またはその生理的に機能性の誘導体。
【請求項10】
湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、掻痒症および/または過敏性反応のような皮膚疾患を有する患者の治療に使用するための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物、またはその生理的に機能性の誘導体。
【請求項11】
慢性関節リウマチ、喘息、アレルギーおよび/または鼻炎のような炎症および/またはアレルギーの症状を有する患者の治療用の医薬品を製造するための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物、またはその生理的に機能性の誘導体の使用。
【請求項12】
湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、掻痒症および/または過敏性反応のような皮膚疾患を有する患者の治療用の医薬品を製造するための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物、またはその生理的に機能性の誘導体の使用。
【請求項13】
炎症および/またはアレルギーの症状を有するヒトまたは動物被検体を治療するための方法であって、前記ヒトまたは動物被検体に、有効量の請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物またはその生理的に機能性の誘導体を投与することを含む、上記方法。
【請求項14】
湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、掻痒症および/または過敏性反応のような皮膚疾患を有するヒトまたは動物被検体を治療するための方法であって、前記ヒトまたは動物被検体に、有効量の請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物またはその生理的に機能性の誘導体を投与することを含む、上記方法。
【請求項15】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物またはその生理的に機能性の誘導体を、1種以上の生理的に許容可能な希釈剤または担体と混合して含む医薬組成物。
【請求項16】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物またはその生理的に機能性の誘導体、および推進剤としてのフルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボンを、場合によって界面活性剤および/または共溶媒と組み合わせて、含む医薬エーロゾル製剤。
【請求項17】
推進剤が1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパンおよびそれらの混合物から選択される、請求項16に記載の医薬エーロゾル製剤。
【請求項18】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物またはその生理的に機能性の誘導体を、1種以上の他の治療活性剤とともに含む組合せ物。
【請求項19】
治療活性剤がβ2-アドレナリン受容体アゴニストである、請求項18に記載の組合せ物。
【請求項20】
治療活性剤がPDE4阻害剤である、請求項18に記載の組合せ物。
【請求項21】
治療活性剤が抗ヒスタミン薬である、請求項18に記載の組合せ物。
【請求項22】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物またはその生理的に機能性の誘導体を調製するための方法であって、式(II):
【化2】

(式中、R1およびR2は式(I)の化合物について定義した通りである)
のカルボン酸またはその活性化誘導体を、式(III):
【化3】

(式中、基Aは式(I)の化合物について定義した通りである)
のアミンまたはその保護誘導体とカップリングさせることを含む、上記方法。
【請求項23】
式(II):
【化4】

(式中、R1およびR2は式(I)の化合物について定義した通りである)
で表される化合物。
【請求項24】
式(III):
【化5】

(式中、Aは式(I)の化合物について定義した通りである)
で表される化合物。
【請求項25】
式(IV):
【化6】

(式中、Aは式(I)の化合物について定義した通りであり、Pは保護基である)
で表される化合物。
【請求項26】
式(V):
【化7】

(式中、Aは式(I)の化合物について定義した通りである)
で表される化合物。

【公表番号】特表2009−501147(P2009−501147A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518712(P2008−518712)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006246
【国際公開番号】WO2007/000334
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】