説明

非極性基体をコーティングする方法およびプライマー組成物

この発明は、シラン官能性の1以上の非極性重合体を含むプライマーを非極性基体上に塗布する段階、そしてその後に顔料入りコーティングの1以上の層をプライマー層上に塗布する段階を含む、非極性基体をコーティングする方法に関する。さらなる面では、この発明は、非極性基体用のプライマーに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非極性基体を処理する方法およびプライマーに関する。非極性基体は、電子の自由運動を許さない材料の基体、たとえば熱可塑性ポリオレフィン性の基体である。熱可塑性オレフィン、たとえばポリプロピレンの使用は、特に自動車産業において、当該材料の低コストおよびその成形性およびリサイクル可能性の故に増加し続けている。しかし、当該材料の非常に低い表面張力のために、当該基体を塗装するには特別の前処理技術が要求される。
【背景技術】
【0002】
しばしば使用される前処理技術は、たとえば火炎処理またはコロナ放電である。これらの技術は、大きな安全上の欠陥を持つ。他の前処理技術は、接着促進剤、たとえば塩素化ポリオレフィンの使用である。塩素化ポリオレフィンに基づいたコーティングは、一般に低固形分で塗布され、そして後続のコーティング層の静電塗装を容易にするために通常、伝導性にされる。しかし、塩素化ポリオレフィンは高価であり、そして化学的耐性に負の影響を持つことが見出された。
【0003】
さらに、非塩素化ポリオレフィンが試みられたが、塩素化ポリオレフィンと同じように、これらの接着促進剤は、化学的耐性を減少する。その上、当該プライマー上に塗布された後続のコーティング膜への接着性は、特定のトップコートにだけ効果を示すことが見出された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、非極性基体並びにプライマーの層上に塗布された後続のコーティング層に、化学的耐性を減少することなく、良好な接着を示すプライマーを提供することである。本発明のさらなる目的は、非極性基体をコーティングし、良好なプライマー/基体間接着並びにプライマーとプライマー上に塗布された後続のコーティングとの間の良好な接着が得られる方法である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、シラン官能性の1以上の非極性重合体を含むプライマーを基体上に塗布する段階、そして顔料入りコーティングの層をプライマー層上に塗布する段階を含む、非極性基体をコーティングする方法によって達成される。非極性重合体は、シラン官能性基以外にはイオン性または他の極性基を実質的に含まない主鎖を持つ重合体である。この点に関して、「実質的に含まない」とは、重合体の約5重量%未満、好ましくは約1重量%未満を意味する。
【発明の効果】
【0006】
本発明に従う方法は、高温ベークまたは低温ベークのベースコート/クリアコート系でコーティングされたときにも、優れたプライマー−基体間接着を生じることが見出された。驚くべきことに、プライマーは、非極性基体だけでなく、プライマー上に塗布された、一般に、より極性の性質を持つ後続の顔料入りコーティング層にも優れた接着性を示した。本発明に従う方法を使用してコーティングされた基体は、良好な化学的耐性、特にガソリン耐性、並びに熱衝撃および噴射水流試験での良好な結果を示す。該プライマーは、熱可塑性ポリオレフィン性の基体、たとえばゴム変性ポリプロピレン基体に特に適していることは明白であった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に従うプライマーの実施態様で使用されることができる好適なシラン変性重合体は、シラン変性ポリオレフィン、特にアルファーポリオレフィン、オレフィンの単独または共重合体、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレン−プロピレン、エチレン−ヘキシレン、エチレン−ブチレン−スチレン、エチレン−ビニルエステル(たとえば、エチレン−酢酸ビニル)、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(たとえば、エチレン−アクリル酸エチル、エチレン−アクリル酸メチルおよびエチレン−アクリル酸ブチル)である。商業的に入手できるシラン変性ポリオレフィンの特に好適な例は、Degussa社から入手できるVestolast(商標)206である。
【0008】
プライマーに使用される重合体は、重合体の20重量%まで、たとえば0.1〜10重量%、または0.5〜6重量%のシラン官能基を含むことができる。
【0009】
プライマーは、典型的には、要求される粘度を得るために1以上の溶媒を含む。この目的のために、溶媒、たとえば芳香族(たとえば、キシレンおよび/またはトルエン)若しくは脂肪族炭化水素、エステル、エーテル、アルコール、ケトン、酢酸エーテルエステルまたはこれらの混合物が使用されることができる。特に好適な溶媒は、たとえばExxon−Mobil社から商業的に入手できるAromatic(商標)100であり、これは、キシレンまたはトルエンよりも良好な溶液外観を与え、そして有害な大気汚染物質のより少ない含有量を持つ芳香族炭化水素の混合物である。好適な非芳香族溶媒は、たとえばAshland Chemical社から入手できるVMP(商標)ナフサである。2以上のこれらの溶媒の混合物が使用されることもできる。たとえば、トルエン、キシレンおよび/またはVMP(商標)ナフサが、所望の乾燥特性および溶解性を得るために、単独でまたはAromatic(商標)100と一緒に使用されることができる。固形分含有量は、たとえば約15重量%〜約35重量%の範囲であることができるが、これよりも低いまたは高い固形分含有量も、それが所望であれば使用されることができる。
【0010】
湿分の影響下で、シラン基は加水分解されて、シラノールを生成する。重合体はその後で、たとえばシラノール縮合によってまたはヒドロキシ官能性重合体との反応によって、架橋されることができる。シラノール縮合反応は、シラノール縮合触媒、例としてカルボン酸金属塩、たとえばジラウリン酸ジブチルスズ、有機金属化合物、たとえばチタン酸テトラブチル、有機塩基、たとえばエチルアミン、並びに無機酸および脂肪酸によって触媒されることができる。さらなる好適な触媒が、米国特許第3,646,155号に開示されている。触媒は、任意的にプライマー組成物の0.004〜0.2重量%、たとえば0.01〜0.1重量%の量で使用されることができる。
【0011】
プライマー組成物は、さらなる成分、たとえば充填材または顔料を含むこともできる。好適な充填材は、たとえばタルクおよび炭酸カルシウムである。有機または無機の顔料、たとえば2酸化チタンが使用されることができる。伝導性顔料、たとえば伝導性カーボンブラックが使用されることもできる。
【0012】
本発明のプライマー組成物は、他の添加剤を含むこともできる。典型的な添加剤は、非限定的な例として挙げれば、分散剤、たとえば大豆レシチン;反応性希釈剤;可塑剤;レベリング剤、たとえばアクリル酸エステルオリゴマー;消泡剤、たとえばシリコーン油;有機酸の金属塩、たとえばエチルヘキサン酸コバルト;キレート化剤;レオロジー調整剤、たとえばベントナイト、熱分解シリカ、水素化ひまし油誘導体、およびモノアミンへのジ−またはトリ−イソシアナートの付加物;酸化防止剤、たとえば置換フェノール;並びにUV安定剤、たとえばベンゾフェノン、トリアゾール、安息香酸エステルおよびヒンダードビピリジルアミンである。
【0013】
プライマー組成物への1以上のアルキル化芳香族炭化水素樹脂の添加は、プライマーの缶内安定性を有意に改善することが観察された。好適な樹脂の商業的に入手できる例は、Neville Chemical社から入手できるNevchem(商標)140である。
【0014】
プライマーは、非極性基体、例として熱可塑性ポリオレフィン基体、たとえばポリプロピレンまたはポリエチレンからつくられた基体に使用するのに特に適している。
【0015】
たとえば自動車産業においては通常であるように、プライマー上に塗布されるコーティング組成物は、ベースコートであることができ、それは次にクリアコートでコーティングされる。任意的に、当該ベースコート/クリアコート系は、ウェットオンウェット法によって塗布されることができる。当該方法では、プライマーは、非極性基体上に塗布され、急速に、たとえば約5分間乾燥され、そしてベースコートでコーティングされる。ベースコート層のフラッシュ乾燥、たとえば約5分間の乾燥の後、クリアコートがベースコート上に塗布される。その後、プライマー、ベースコートおよびクリアコートは、たとえばベーキングまたはUV硬化または任意の他の適当な硬化方法によって、一緒に硬化される。
【0016】
ベースコート/クリアコート系を使用する代わりに、モノコート系が、それが必要であれば使用されることができる。モノコート系では、単一の顔料入りコーティングが、クリアコートの使用なしに、プライマー層上に塗布される。
【0017】
ベースコート、モノコートおよび/またはクリアコートは、たとえば水媒体または溶媒媒体のコーティングであることができる。溶媒媒体のベースコートは、水媒体のクリアコートと、そしてそれが所望であればその逆で、組み合わされることができる。
【0018】
ベースコート、クリアコートまたはモノコートは、任意の適当な架橋または硬化機構に基づくことができる。コーティングは、保護されたまたは潜在性の架橋体を使用する1K、すなわち単一成分系であることができる。あるいは、2K、すなわち多成分コーティングが使用されることができ、その場合には架橋体および共反応性結合剤は別々に保管され、そして塗布の直前またはその間に混合される。
【0019】
ベースコートおよびクリアコート系に好適な架橋機構は、たとえばNCO−OH架橋であり、一般的にポリイソシアナート架橋体およびヒドロキシ官能性樹脂によって、またはそれが所望であればその逆によって具体化される。
【0020】
好適なポリイソシアナートの例は、1,6−ヘキサンジイソシアナート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、テトラメチルキシリレンジイソシアナート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアナート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、1,12−ドデカンジイソシアナート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアナート)またはビス(イソシアナートシクロヘキシル)メタンおよびこれらの付加物、たとえばビウレットまたはイソシアヌレートを含む。好適なビウレットは、たとえば1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートのビウレットであり、Desmodur(商標)NとしてBayer社から商業的に入手できる。好適なイソシアヌレートの例は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートのイソシアヌレートおよびイソホロンジイソシアナートのイソシアヌレートであり、それぞれDesmodur(商標)N−3390およびDesmodur(商標)Z−4370として、両方ともBayer社から商業的に入手できる。一般に、NCO:OH比は、0.5〜3:1、たとえば1〜2:1の範囲である。
【0021】
早すぎる架橋を防止するために、架橋体および共反応性化合物は、別々にパックされ、そして塗布の直前またはその間に混合される(一般に、2Kまたは2成分系と呼ばれる)。あるいは、架橋性官能基の一方は保護されることができ、これによって全成分の混合物を単一のパックまたは容器に詰めることが可能になる(1Kすなわち1成分系)。保護された成分は、たとえば上げられた温度、水分、光等の影響のもとに保護をはずされることができる。イソシアナートに対する好適な保護剤は、たとえばケトオキシム、マロン酸エステルまたはアセト酢酸エステルである。好適な単官能性保護剤は、たとえばマロン酸ジエチルエステル、アセト酢酸エチル、ε−カプロラクタム、ブタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、1,2,4−トリアゾール、ジメチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメチルピラゾールまたはイミダゾールである。好ましくは、保護剤は、160℃まで、より好ましくは150℃までの温度範囲内で開裂するものが使用される。
【0022】
イソシアナート架橋体は、NCO/OH硬化系においてだけでなく、活性水素を持つ官能基を含む重合体、たとえばポリチオールまたはポリアミンと組み合わされて使用されることができる。
【0023】
ヒドロキシ官能性化合物のためのさらなる好適な架橋体は、たとえばメラミン架橋体である。好適なメラミンの例は、部分的におよび完全にアルキル化されたメラミンホルムアルデヒド縮合体、たとえばメチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂である。特定の例は、ヘキサメトキシメチルメラミン(たとえば、Cymel(商標)303)、エーテルメトキシ/ブトキシメチルメラミン混合物(たとえば、Cymel(商標)1135)、高イミノ重合体性メトキシメチルメラミン(たとえば、Cymel(商標)325)であり、全ての挙げられたCymel(商標)製品は、Cytec Industries社から商業的に入手できる。
【0024】
プライマーは、任意の適当な方法、たとえばローラーコーティング、スプレー法、刷毛塗り法、流し塗り法または浸漬法によって基体に塗布されることができる。プライマーは、典型的には約5〜10マイクロメーター、たとえば6〜8マイクロメーターの乾燥膜層の厚さで塗布される。ベースコート層またはモノコート層は、一般に20〜50マイクロメーター、たとえば30〜40マイクロメーターの乾燥膜層の厚さで塗布される。クリアコートが塗布されるならば、乾燥膜層の厚さは、典型的には約40〜50マイクロメーターである。
【0025】
本発明は、さらに以下の実施例によって説明され、そして例示される。実施例においては、内容物のすべての量は、そうでなく示された以外は重量部、pbwで表される。
【実施例1】
【0026】
Degussa社から入手できるシラン変性ポリオレフィン、Vestoplast(商標)206が溶融され、そしてAromatic(商標)100中に溶解されて、20%溶液が得られた。100pbwのこの溶液が、2.4pbwの伝導性カーボンブラックおよび0.93pbwのタルクと混合され、水平型分散ミル中でガラスビーズを用いて粉砕され、ヘグマンゲージ基準で最低4の磨砕細度を達成した。その後、112pbwのトルエンおよび、ジラウリン酸ジブチルスズのAromatic(商標)100中1%溶液1.91pbwが添加された。
【0027】
得られたプライマー組成物が、熱可塑性材料(Basell社の反応器グレードTPO、CA 186 AC)の1連のパネル上に、約5〜10μmの乾燥膜厚さで塗布された。その後、2成分溶媒媒体ウレタンベースコートが、約38μmの乾燥膜厚さで塗布された。ベースコートは、イソシアナート架橋体によって架橋されたヒドロキシ官能性ポリエステルに基づいていた。プライマーおよびベースコートは、5分間室温でフラッシュ乾燥された。その後、ヒドロキシ官能性アクリル樹脂およびイソシアナート架橋体に基づいた2成分ウレタンクリアコートが塗布された。10分のフラッシュ乾燥後、全系は80℃で30分間ベークされた。
【実施例2】
【0028】
実施例1が、別のベースコート/クリアコート系を用いたこと以外は繰り返された。ベースコートは、ポリエステルポリオールおよびメラミン架橋体に基づいた1成分溶媒媒体組成物であった。クリアコートは、ポリウレタンポリオールおよびメラミン架橋体に基づいた1成分溶媒媒体組成物であった。塗布後、全系は120℃の温度で30分間ベークされた。
【0029】
パネルは、表1に明細を示された試験方法を使用して、General Motors社の仕様に従って試験された。
【0030】
【表1】

【0031】
(比較例A)
非シラン変性グレード、Vestoplast(商標)708が溶融され、そしてAromatic(商標)100中に溶解されて、20%溶液が得られた。これらのグレードのそれぞれから、ジラウリン酸ジブチルスズのAromatic(商標)100中1%溶液を加えないこと以外は、実施例1のそれと同じようなプライマー組成物がつくられた。得られたプライマー組成物は、熱可塑性材料(Basell社の反応器グレードTPO、CA 186 AC)の1連のパネル上に、約5〜10μmの乾燥膜厚さで塗布された。その後、ベースコート/クリアコートが、実施例1に記載されたように塗布され、そしてベークされた。
【0032】
GM社の試験方法、GM9071Pに従って接着性の試験をすると、ベースコートはプライマー層に接着性を持たないことが観察された。
【0033】
(比較例B)
比較例Aが、Vestoplast(商標)708の代わりにVestoplast(商標)828を使用して繰り返された。Vestoplast(商標)828は、シラン官能性基を持たないポリオレフィンである。試験結果は比較例Aにおけるのと同じであった。
【0034】
(比較例CおよびD)
実施例1および2が、両方の場合とも、Rohm and Haas社のHP 21054−4B1として商業的に入手できる塩素化ポリオレフィンプライマーを使用して繰り返された。試験結果は、実施例1および2のそれと同じようであった。
【実施例3】
【0035】
Vestoplast(商標)206が溶融され、そしてAromatic(商標)100中に溶解されて、20%溶液が得られた。71.04pbwのこの溶液が、4.3pbwのAromatic(商標)150、3.27pbwのAromatic(商標)100および25pbwのVMPナフサと混合された。その後、ジラウリン酸ジブチルスズのAromatic(商標)100中1%溶液0.69pbwが混合物に加えられた。
【0036】
得られた透明なプライマー組成物が、成形着色(MIC)TPO基体(Sequel 1140 YBTA)上に、約5〜10μmの乾燥膜厚さでスプレーされた。プライマーは、5分間室温でフラッシュ乾燥された。
【0037】
その後、2成分溶媒媒体ウレタンベースコートが、約38μmの乾燥膜厚さで塗布された。ベースコートは、イソシアナート架橋体によって架橋されたヒドロキシ官能性ポリエステルに基づいていた。ベースコートは、5分間室温でフラッシュ乾燥された。その後、ヒドロキシ官能性アクリル樹脂およびイソシアナート架橋体に基づいた2成分ウレタンクリアコートが塗布された。10分のフラッシュ乾燥後、全系は80℃で30分間ベークされた。
【0038】
パネルは、General Motors社の試験手順GM4465PおよびGM9071Pに従って、240時間湿潤下接着性を試験された。試験結果は、湿気に曝露後に接着性の損失またはブリスター生成がないという試験手順の判断基準を満たしていた。
【0039】
押出グレードTPO(Sequel E3000およびIndure 1500 HG)基体を使用した実験を繰り返しても同じ結果が得られた。
【実施例4】
【0040】
透明なプライマーが、実施例3と同じようにつくられ、成形着色(MIC)TPO基体(Sequel 1140 YBTA)上に、約5〜10μmの乾燥膜厚さで塗布された。プライマーは、5分間室温でフラッシュ乾燥された。
【0041】
ポリエステルポリオールおよびメラミン架橋体に基づいた1成分ベースコートが、プライマー処理された基体上に塗布された。その後、ポリウレタンポリオールおよびメラミン架橋体に基づいた1成分溶媒媒体クリアコートが塗布された。塗布後、全系が120℃の温度で30分間ベークされた。
【0042】
実施例3におけるのと同じ試験がされた。接着性の損失またはブリスター生成は起きなかった。押出グレードTPO(Sequel E3000およびIndure 1500 HG)基体を使用した実験を繰り返しても同じ結果が得られた。
【実施例5】
【0043】
Vestoplast(商標)206が溶融され、そしてAromatic(商標)100中に溶解されて、20%溶液が得られた。35.63pbwのこの溶液が、3.63pbwのAromatic(商標)100、1.66pbwの伝導性カーボンブラックおよび0.65pbwの沈降硫酸バリウム(永久白)と混合された。この混合物は、水平型分散ミル中でガラスビーズを用いて粉砕され、ヘグマンゲージ基準で最低4の磨砕細度を達成した。その後、4.2pbwのAromatic(商標)150、19.91pbwの20%Vestoplast 206溶液、19.80pbwのVMPナフサ、8.47pbwのAromatic(商標)100およびジラウリン酸ジブチルスズのAromatic(商標)100中1%溶液0.55pbwが添加された。この混合物に、アルキル化芳香族炭化水素樹脂(Neville Chemical社から入手できるNevchem(商標)140)のキシレン中20%溶液5.49pbwが添加された。この樹脂の添加は、プライマーの缶内安定性を有意に改善することが観察された。
【0044】
得られたプライマー組成物は、熱可塑性材料(Basell社の反応器グレードTPO、CA 186 AC)の1連のパネル上に、約5〜10μmの乾燥膜厚さで塗布された。その後、実施例1におけるように、2成分溶媒媒体ウレタンベースコートが、約38μmの乾燥膜厚さで塗布された。ベースコートは、イソシアナート架橋体によって架橋されたヒドロキシ官能性ポリエステルに基づいていた。プライマーおよびベースコートは、5分間室温でフラッシュ乾燥された。その後、ヒドロキシ官能性アクリル樹脂およびイソシアナート架橋体に基づいた2成分ウレタンクリアコートが塗布された。10分のフラッシュ乾燥後、全系は80℃で30分間ベークされた。パネルは、実施例1におけるのと同じように試験された。試験結果は同じようであった(表1参照)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シラン官能性の1以上の非極性重合体を含むプライマーを非極性基体上に塗布する段階、そしてその後に顔料入りコーティングの1以上の層をプライマー層上に塗布する段階を含む、非極性基体をコーティングする方法。
【請求項2】
プライマー上に塗布されるコーティング組成物がベースコートであり、そしてその後にクリアコートの1以上の層がベースコート上に塗布される、請求項1に従う方法。
【請求項3】
ベースコートおよびクリアコートがウェットオンウェットで塗布され、そしてその後の段階で一緒に硬化される、請求項2に従う方法。
【請求項4】
非極性重合体を含むプライマー組成物であって、該重合体がシラン基を含む組成物。
【請求項5】
重合体がポリオレフィンである、請求項4に従うプライマー組成物。
【請求項6】
ポリオレフィンがポリプロピレンである、請求項5に従うプライマー組成物。
【請求項7】
1以上の伝導性顔料を含む、請求項4に従うプライマー組成物。
【請求項8】
シラノール縮合触媒を含む、請求項4に従うプライマー組成物。
【請求項9】
シラノール縮合触媒が有機スズ化合物である、請求項8に従うプライマー組成物。
【請求項10】
有機スズ化合物がジラウリン酸ジブチルスズであるような、請求項8に従うプライマー組成物。
【請求項11】
重合体が重合体の20重量%まで、たとえば3〜10重量%、たとえば約5重量%のシラン官能性基を含む、請求項4に従うプライマー組成物。
【請求項12】
組成物がアルキル化芳香族炭化水素樹脂を含む、請求項4に従うプライマー組成物。
【請求項13】
組成物がAromatic(商標)100を溶媒として含む、請求項4に従うプライマー組成物。
【請求項14】
請求項1に従ってコーティングされた非極性基体。
【請求項15】
基体がポリオレフィン基体である、請求項14に従う非極性基体。
【請求項16】
ポリオレフィン基体がポリプロピレン基体である、請求項15に従う非極性基体。
【請求項17】
基体がゴム変性ポリプロピレンである、請求項16に従う非極性基体。

【公表番号】特表2006−519689(P2006−519689A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504590(P2006−504590)
【出願日】平成16年3月5日(2004.3.5)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002375
【国際公開番号】WO2004/078365
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(500286643)アクゾ ノーベル コーティングス インターナショナル ビー ヴィ (67)
【Fターム(参考)】