説明

音楽性のアナログ信号入力を、音階信号出力に変換する電子回路変換装置。

【課題】 幻想的で魅力溢れるビート式電子楽器の音は、区切りの無い連続周波数なので演奏が極めて難しく、又音を聞いても音程の判別ができない欠点をもつ。
そこで普通の楽器と同じ音階式にすれば、と考えたのが本発明である。
問題はアナログ的な連続周波数信号を、どのようにしてディジタル的な音階に区分けし、その区分けの方法に準じた変換回路構成にするかである。
【解決手段】 音階は楽器にもよるが、所定の周波数と比率で段階的配列になっている。
そこで各音階間の等比率による境界周波数をきめ、各音階の領域を特定させ信号周波数とを相対すれば、それぞれの音階周波数が特定できる。
即ち、領域内にある全ての信号周波数は、その中心の音階周波数に収束一致させる。この“収束一致”が本発明での回路構成上、最重要点である。
変換回路はの汎用的な7つのアナログ回路構成で解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
手の接近で得られるビート検波方式電子楽器に於いて、その連続周波数の音を音階に変換することで、無接触の音階のある電子楽器にする変換回路中継装置。
【背景技術】
【0002】
シンセサイザーのルーツと言われ期待された、ビート検波方式の電子楽器テルミンは、発明から80年後の今も一部のマニアだけの普及に限定されています。
《対になった高周波発振回路共振部の片側にアンテナをつけ、人の手を近づければ分布容量の変化で発信周波数が変わる。二つの発信周波数の差で、検波回路からビート(うなり)検波出力が発生する。ここまでの回路構成を「図1」に示します。この信号を、やはりビート検波式の音量制御や、信号処理などをした音響装置が通称電子楽器“テルミン”です。》
アンテナに手を近づけて演奏する電子楽器、幻想的で魅力溢れる音なのに一般に普及しなかった。それは主に、この電子楽器特有の区切りの無い連続周波数音であり、特定の音階を探って演奏しなければならない難しさと考えられます。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
区切りの無い連続周波数の電子楽器に対して、普通の楽器と同じ音階式に出来れば、演奏の簡易化になるし、多くの特長が得られるのではと考えられます。
それには、アナログ的連続周波数を、ディジタル的な段階を持つ、音階周波数に変換する区分け方法と、それに準じた電子変換回路構成を要します。
【課題を解決するための手段】
【0004】
音階は楽器によって所定の周波数が決められており、1オクターブは2倍の周波数とされ、各音階は特定比率の段階的配列によって構成されています。
連続した周波数を、音階周波数を中心に等比率に区分けして、各音階の領域をきめます。隣あった領域の境は、境界周波数とします。但し各音階の領域間隔は、全音階の場合では半音階の比率で、半音階の場合は半々音階比率で区分けする。これで連続周波数の全ては、音域内の全音階の領域に含まれて、網羅されます。どこの領域内の周波数でも、全てその中心の音階周波数に収束一致させます。
代表的楽器ピアノの場合において、その音域の中央付近の一部を抜粋した周波数の対応関係、及び各音階の領域を区分けした境界周波数を次の表に示します。
A.連続周波数………………500…………………600…………………700Hz
B.音階周波数 440 494 523 587 659 698Hz
C.音階名 ラ シ ド レ ミ ファ
D.境界周波数 466 508 554 622 678 Hz
E.全半音階区別 全 半 全 全 半 音階
全音階比率:1.1225/半音階 :1.0595(全音階の平方根)
/半々音階:1.0293(半音階の平方根)
上記の表に於いて、例えば音階“ド”の領域は“シ”と“レ”との境界周波数の508Hz〜554Hzの範囲であり、この領域の全ての周波数の信号は“ド”の音階周波数である523Hzに変換します。
以上で連続周波数信号を音階周波数に変換する方法が解決され、次はこの変換方法に準じた回路構成の対策になります。
【0005】
上記の変換方法に準じ、本発明に関した基本的回路構成を「図2」に示します。周波数とDCレベルの関係を1KHz=1Vとして、例えば入力信号550Hz→F/V変換0.55V→コンパレータ選別“ド”→基準源0.523V→V/F変換523Hz→出力523Hz として音域内の全ての信号は変換できます。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】は、ビート検波回路の構成と具体例を示し、本発明の回路構成の信号入力になります。また他の応用への利用例も示します。
【図2】は本発明に関する基本的な回路構成を示します。次に、回路▲1▼〜▲7▼の役割を簡単に説明をします。▲1▼.F/V変換回路 又は DCレベル変換アンプ回路 入力信号の周波数Fsに比例したDCレベルVinに変換。この回路採用で変換の相互関係は、比例だけでなく例えば拡大、縮小、シフトなどの設定は自由にできます。例Fs=550Hz→Vin=0.55V 入力信号がセンサーなどDCの場合は、DCレベル変換アンプ回路にします。▲2▼.ウィンド・コンパレータ回路 全音域を例えば3オクターブ22音階とすれば、同数の回路をもち区分けされた境界周波数に対応した上限,下限の基準レベル列の各々23をもつ窓枠で、入力Vinと対応比較され、音域の中から一つだけの該当する音階レベルを分離選別して、特定の音階信号として出力。例Vin=0.55V→領域:音階“ド”の出力信号。▲3▼.レベル選択回路/▲4▼基準電圧源配列 音域の全音階数22(上記例)のアナログ・スイッチ選別回路と、全音階周波数Fmに相対した、各々の基準レベル配列22の基準電圧源が接続されています。コンパレータ出力信号によって、その中から所定のレベルVrが選択され、出力されます。例 領域“ド”→Vr=0.523V ▲5▼.V/F変換回路 選択された基準電圧源の入力レベルVrに比例した、所定の音階周波数Fmに変換。この回路採用で、変換の相互関係はF/V変換と同じで、設定が自由。また音色を決める出力波形も方形波、ノコギリ波、疑似正弦波等の選択も自由で効果音信号も直接に挿入できます。 例 Vr=0.523V→Fm=523Hz ▲6▼.効果音回路 電子楽器に必要なビブラート、トレモロ、エコー等の効果音信号発生回路です。▲7▼.波形変換フィルター 信号波形とフィルターの組み合わせによって、電子楽器特有の音色になるべき合成をし、音階変換出力Fout(=Fm)として出力されます。
【発明の効果】
【0007】
本発明による新たな特長は
1.音階の周波数領域幅が広がり、演奏がしやすくなる。
2.音階の光表示(ランプ、LED)ができる。
3.多種多様な音色をつくれる効果音発生回路との組み合わせが簡単である。
4.入力信号(ビート音、計測センサー等)に対し、音階周波数の拡大・縮小・移行変換設定は自由にできる。
【0008】
アンテナに手をかざして演奏すれば、心地よく馴染みやすい“ドレミファ・・・”の音階に変換した音楽を奏でる、全く新しい無接触型電子楽器。
【0009】
そして人が近づけば、従来の嫌悪感の警報音に対し、音楽的で優しい音階の音(効果音回路、波形変換フィルターで可能)で知らせる警戒、警報回路装置。
【0010】
目でのデータ観測から、耳で音を聞き音階を区別判読して、概略データを伝達する方法として、アナログ・センサー等からのDCレベル信号を、音階に区分け変換し嫌悪感の無い音楽的で優しい音を発生させる。その音を聞いて音階を判読し、対応する伝達・操作・加工作業等に利用するための音階変換回路装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手の接近で得られる、ビート信号発生器からの連続周波数検波出力を信号入力とし、音階の配列比率に対応した周波数に区分けさせ、領域内の周波数は全て、その音階周波数に収束一致させて変換する、電子楽器用変換回路中継装置。
【請求項2】
連続周波数を音階周波数に変換する方法の、利用目的を空巣窃盗等の防犯対策として、要所にアンテナを設置し、人が近づけば音階が変わり、優しい音楽的な電子音で知らせる警戒、警報回路装置。
【請求項3】
アナログ・センサー等の概略データ信号を、音階周波数に変換して音を発生させ、音を耳で聞き音階を区別判読して対応する、伝達方法と音階変換回路装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−52228(P2008−52228A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−253458(P2006−253458)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(506316845)
【Fターム(参考)】