説明

食品未利用資源の再利用方法及び装置

【課題】一定の食品残渣物のみならず、様々な食品材料についても、安全性、栄養成分、風味を損なうことなく、安価かつ効率性の高いリサイクル方法を実現する。
【解決手段】食品未利用資源を分別し第1の粉砕機に投入する第1の工程と、投入した食品未利用資源の種別、量を入力することにより、粉砕粒度、加熱乾燥機による乾燥モードを設定するとともに、最終製品の粒度を設定する第2の工程と、投入された食品未利用資源を、第2の工程で設定された粉砕粒度となるよう第1の粉砕機を作動させる第3の工程と、所定の粒度に粉砕された粉砕物を、加熱乾燥機の乾燥室に投入する第4の工程と、第2の工程により設定された乾燥モードに基づいて、加熱乾燥機による加熱温度及び乾燥時間を設定し、乾燥室に投入した粉砕物を加熱乾燥する第5の工程と、加熱乾燥した粉砕物を第2の粉砕機に投入し、第2の工程で設定された最終製品の粒度に微粉砕する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、おから等にみられるように、食品加工の工程で発生する食品未利用資源の再利用方法及びこれを効率的に実現するため装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特に環境あるいは廃棄物処理の観点から、おからや果物、野菜の絞りかす等、一定の食品未利用資源については、乾燥させて、肥料あるいは飼料等に再利用することが行われている。
このような食品未利用資源の再利用については、下記の特許文献1、2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−227682号公報
【特許文献2】特開2003−53307号公報
【特許文献3】特開2001−124473号公報
【特許文献4】特開2004−85160号公報
【特許文献5】特開2006−17315号公報
【特許文献6】特開2005−337631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、食品未利用資源を、再度機能性食品等として再利用する場合、肥料や飼料にリサイクルする場合と比較して、次のような特性がより厳しく求められる。
(1)有害成分、雑菌の除去等求められる安全性がきわめて高いこと。
(2)食品未利用資源の栄養成分を無駄なく効率よく抽出し、本来の原材料を使用した場合と比較してより安価に再利用できること。
(3)栄養成分を所望の値に特定でき、ダイエット食品、糖尿病患者向け食品等の機能性食品あるいは添加物として製品化できること。
(4)風味が良いこと、あるいは、他の食品に添加した場合でも、その食品の風味を損なわないこと(風味特性のよいこと)。
【0005】
ところで、近年の統計では、我が国の食糧自給率は、カロリーベースで40%を下回るにもかかわらず、25%以上が廃棄されているのが現状であり、こうした廃棄対象となる多種多様の食品材料を効率よくリサイクルする技術が今日強く求められている。
しかしながら、特許文献1、2には、おから等の一定の食品残滓物についてのリサイクルが開示されているが、再利用の対象となる食品材料は、種類によって、脂質、糖質、タンパク質等の栄養成分が大きく異なり、こうした種々の食品材料に対し、適切な殺菌、不純物の除去等を確実かつ効率的に行いながら、栄養成分を無駄なく抽出し、しかも栄養成分を所定値に特定でき、かつ、風味特性のよい食品にリサイクルすることはきわめて困難であった。
【0006】
すなわち、例えば、糖質、脂質の高い食品材料をリサイクルする場合には、加熱乾燥処理に当たり、短時間で確実な殺菌を行うとともに、糖質、脂質を所望の値に調製し、かつ、風味を損ねないよう、糖質、脂質の炭化を確実に防止することが求められることになるが、現状では、各種食品材料に対応した最適な加熱乾燥方法が確立されておらず、リサイクルの対象となる食品材料及びリサイクル率が大きく制限され、歩留まりの悪化、処理時間の長期化を招き、コスト面でもリサイクルの普及を妨げているのが現状である。
なお、特許文献3〜6は、加熱乾燥装置の構造や制御装置等が記載されているが、上述したような種々の食品材料に最適な加熱乾燥を実現する方法や機能については何ら開示されていない。
【0007】
そこで、本発明では、一定の食品未利用資源のみならず、様々な食品未利用資源についても、安全性、栄養成分、風味を損なうことなく、安価かつ効率性の高い機能性食品への再利用方法を確立し、また、これを効率よく実現できる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の実施態様では、食品未利用資源を再利用する方法において、食品未利用資源を分別し第1の粉砕機に投入する第1の工程と、第1の工程により投入した食品未利用資源の種別、量を入力することにより、第1の粉砕機による粉砕粒度、加熱乾燥機による乾燥モードを設定するとともに最終製品の粒度を設定する第2の工程と、第1の工程により投入された食品未利用資源を、第2の工程で設定された粉砕粒度となるよう第1の粉砕機を作動させる第3の工程と、第3の工程により所定の粒度に粉砕された粉砕物を、加熱乾燥機の乾燥室に投入する第4の工程と、第2の工程により設定された乾燥モードに基づいて、加熱乾燥機の乾燥室外周に設けたジャケット、あるいは、乾燥室内に直接供給する加熱流体の量、温度及び乾燥時間を設定し、乾燥室に投入した粉砕物を加熱乾燥する第5の工程と、第5の工程により加熱乾燥した粉砕物を第2の粉砕機に投入し、第2の工程で設定された最終製品の粒度に微粉砕する第6の工程とからなる食品未利用資源再利用方法により上記の課題を解決した。
【0009】
本発明の第2の実施態様では、第5の工程で、加熱乾燥機の内部空間に供給する加熱流体を低湿度の過熱水蒸気とした。
【0010】
本発明の第3の実施態様では、第5の工程で、加熱乾燥機の乾燥室内に供給する加熱流体を低湿度の加熱空気とした。
【0011】
本発明の第4の実施態様では、第4の工程により加熱乾燥した粉砕物を、第6の工程で直径150μ程度に微粉砕した。
【0012】
本発明の第5の実施態様では、上述の食品未利用資源再利用方法を効率よく実施するため、食品未利用資源を所定の粒度に粉砕する、粒度調整機構を備えた第1の粉砕機と、第1の粉砕機により粉砕された食品未利用資源を加熱乾燥し、発生した水蒸気を排出する頂部排出口と、分離された油分を排出する底部排出口とを備えた加熱乾燥機と、乾燥した加熱流体を加熱乾燥機の内周壁を加熱するジャケットと加熱乾燥機の乾燥室内に供給する加熱流体供給装置と、加熱乾燥機で加熱乾燥された所定粒度の食品未利用資源を、所定の粒度の微粉末に再粉砕する粒度調整機構を備えた第2の粉砕機とを備え、食品未利用資源の種別、量に基づいて、第1粉砕機及び第2粉砕機による粉砕粒度を調整するとともに、加熱流体供給装置から、ジャケット及び乾燥室内に供給される加熱流体の温度、風量及び供給時間を個別に制御する制御装置を備えた食品未利用資源再利用装置を提供する。
【0013】
本発明の第6の実施態様では、制御装置は、食品未利用資源の種別、量を入力する操作パネルを有し、入力された食品未利用資源の種別、量に基づいて、記憶装置から、最適な第1粉砕機及び第2粉砕機による粉砕粒度と、ジャケット及び乾燥室内にそれぞれ供給される加熱流体の温度、風量及び供給時間を読み出すようにした。
【0014】
本発明の第7の実施態様では、乾燥室の内壁及び乾燥室の内部にそれぞれ温度センサーを設けるとともに、加熱乾燥機の頂部排出口に湿度センサーを設け、制御装置は、両温度センサー及び湿度センサーの検出値に基づいて、前記ジャケット及び前記乾燥室内に供給される加熱流体の温度、風量及び供給時間を制御するようにした。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の実施態様により、一定の食品残渣物のみならず、様々な食材についても、安全性、栄養成分、風味を損なうことなく、安価かつ効率性の高い食品未利用資源再利用方法を実現できる。
【0016】
本発明の第2の実施態様により、所定の粒度に粉砕した粉砕物に、加熱流体として直接過熱水蒸気を通過させることにより、他の栄養成分を損ねることなく、脂質の分離等を可能とした。
【0017】
本発明の第3の実施態様により、加熱流体として、低湿度の加熱空気を用いることにより、ボイラー等を使用することなく、低価格で、所定の粒度に粉砕した粉砕物の乾燥を可能とした。
【0018】
本発明の第4の実施態様により、第5の工程小麦粉と同程度の直径150μ程度に微粉砕することにより、リサイクル食品の利用性を大きく広げることができる。
【0019】
本発明の第5の実施態様の食品未利用資源再利用装置により、上述した食品未利用資源再利用方法を効率よく実現することができ、さらに第6、第7の実施態様では、記乾燥室内に供給される加熱流体の温度、風量及び供給時間が、自動的に設定されるので、オペレータの負担を大きく低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明を適用する食品リサイクルシステムの全体構成図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図1を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0022】
図1は、本発明を適用した食品リサイクルシステムの全体構成図を示す。
再利用の対象となる食品未利用資源は、まず分別された上でホッパー1に投入され、第1の粉砕機2により、所定の粒度に粉砕される。その際、余分の水分、油分は、第1の粉砕機2の下部に設けた排出口3から排出される。
なお、第1の粉砕機2は、粉砕粒度を適宜調整する粒度調整装置を有しており、後述する制御装置28からの指令により、所定の粒度に粉砕した上で、排出口3から粉砕物を排出するようになっている。
【0023】
所定の粒度となった食品未利用資源は、投入スクリュー5により、乾燥機3の本体4下部に設けられた原料入り口4aに送給され、乾燥機本体4内部の乾燥室に順次送り込まれ、加熱乾燥される。
【0024】
乾燥機3の構造について説明する。
乾燥機本体4の内部の乾燥室には、底部の軸受け6により回転自在に支持されている主軸7に複数本(この実施例では6本)のアーム8が交互に、かつ周方向に所定の角度ずらして上下方向に配列されている。
この主軸7は、乾燥機本体4の天井壁9に設置された攪拌機駆動モータ10に連結されており、その周方向外端に設けられた羽根11が、乾燥機本体4内の乾燥室内周壁に摺接し、回転に伴い内周壁に付着する食品材料をそぎ落としながら、乾燥機本体4の内部の乾燥室内において、粉砕機2により所定の粒度に粉砕された食品材料を攪拌する。
なお、最下端のアーム8には、乾燥機本体4の内壁底面に摺接する羽根12が設けられ、本体4の底面に再利用食品がこびりつくのを防止している。
【0025】
一方、乾燥機本体4の外周には、乾燥室内壁を覆うようにジャケット13が設けられており、このジャケット13には、蒸気供給通路14が接続され、ボイラー15から供給された、低湿度の過熱水蒸気(いわゆるドライスチーム)は、ジャケット13内を循環し、乾燥機本体4の内壁を所定温度に加熱した後、蒸気排出口16から排出されるようになっている。
【0026】
乾燥機本体4の底面には、蒸気供給通路17が接続されており、ここから乾燥機本体4の内部空間にボイラー15からの過熱蒸気が直接供給されるようになっており、食品未利用資源の粉砕物間を通過して、これを加熱することにより、油分等を分離し、水分を奪いながら、本体4頂部の天井壁9に設けた排出口18を介して排出されるようになっており、乾燥の程度を自動的に検出できるようこの排出口18近傍に湿度センサー33を設けてもよい。
なお、分離された油分等の液状物は、本体4底部に設けた排出孔32からトレー等に排出される。
【0027】
蒸気通路14及び17には、それぞれボイラー15からの蒸気を加圧するポンプ18a、18b、そして通路の開口面積を制御する流量制御弁19a、19bが設けられており、後述する制御装置28からの指令により、これらポンプ18a、18b、及び流量制御弁19a、19bを制御することにより、乾燥機本体4の乾燥室内壁温度、及び乾燥室内に直接供給される過熱蒸気の温度及び量、さらには供給時間を制御して、様々な加熱乾燥モードを選択できるようになっている。
【0028】
乾燥機3による乾燥が終了した食品未利用資源の粉砕物は、モータ20により駆動される排出スクリュー21により、送給路22を介して、モータ23により駆動されるクラッシャーあるいはミルを組み合わせてなる第2の粉砕機24に送給され、第1の粉砕機により粉砕された食品材料を再度微粉砕し、最終製品に求められる粒度に微粒化する。
なお、第2の粉砕機24も、粉砕粒度を適宜調整する粒度調整装置を有しており、後述する制御装置28からの指令により、所定の微粒子に粉砕した上で、最終製品として排出するようになっている。
【0029】
第1の粉砕機2の駆動モータ25、投入スクリュー5を駆動するモータ26,攪拌機駆動モータ10、ボイラー15から供給される蒸気温度、ポンプ18a、18b、及び流量制御弁19a、19b、及び第2の粉砕機24を駆動するモータ23等、食品リサイクルシステムを構成する各機器を総合的に制御する制御装置28について説明する。
制御装置28のコンソール29には、食品材料の種別、処理量等を設定入力する操作ボタンが配列されており、操作ボタンの設定により、第1の粉砕機2による粉砕粒度、乾燥機3による乾燥モード、及び第2の粉砕機24による最終製品の粒度を設定できるようになっている。
【0030】
制御装置28には、入出力インターフェースを介して、乾燥機本体4の内壁温度を検出する第1温度センサー30、乾燥機本体4内部の乾燥室内の温度を検出する第2温度センサー31からの検出値、及び排出口18近傍に湿度センサー33を設けた場合はその検出値が入力されており、コンソール29により設定された乾燥モードにしたがって、攪拌機駆動モータ10の回転速度及び運転時間、ボイラー15から供給される過熱水蒸気の温度、ポンプ18a、18bの回転速度、流量制御弁19a、19bの開度のそれぞれを制御する。
なお、これらの制御量は、入力された再利用食品の種別及び投入量に応じて、オペレータがその都度、調整ダイアル等により適宜定めてもよいし、制御装置28の記憶装置に記憶したマップから最適値を呼び出して自動的に定めてもよい。
さらに、上述したように、排出口18近傍に湿度センサー33を設けた場合は、所望の乾燥度が得られるよう、湿度センサー33の検出値に基づいて自動的にこれらの制御量を調整するようにしてもよい。
【0031】
ここで、上述の食品リサイクルシステムを利用した、本発明による食品リサイクル方法について説明する。
【0032】
まず、収集された食品未利用資源は種別毎に分別されたうえで、ホッパー1を介して、第1の粉砕機2に投入した後、制御装置28のコンソール29の操作ボタンにより、分別した再利用食品の種別及び投入量を入力し、対話方式で、乾燥モードを選択する。
【0033】
制御装置28は、食品未利用資源の種別毎に、第1の粉砕機2により最適な粉砕が行われるよう、第1の粉砕機2を駆動する駆動モータ25の回転速度及び運転時間を選定し、もっとも効率的な加熱乾燥が行われる粒度に粉砕する。
【0034】
例えば、水分の高い食品材料をリサイクルする場合は、急速に乾燥させる必要があることから、第1温度センサー30、第2温度センサー31の検出値に基づいて、ボイラー15から供給される水蒸気温度を高め、乾燥機本体4の内壁の温度を高温に設定するとともに、過熱水蒸気、すなわち、液相分がきわめて少ないドライスチームが、蒸気供給通路17から乾燥機本体4の内部に直接供給されるよう、ポンプ18bの運転速度及び流量制御弁19bの開度を制御する。
これにより、乾燥機本体4内部において、ドライスチームを食品材料の粉砕物間に通過して、水分を分離しつつ乾燥させ、所望の乾燥度合いとなるまで、運転を継続させる。
なお、その際、乾燥機本体4の内壁に再利用食品がこびりつくのを防止するとともに、低温でも短時間で乾燥が終了するよう、攪拌機駆動モータ10の回転速度を高めに制御している。
【0035】
なお、豆腐製造段階で排出されるおからを再利用する場合は、上述のようにドライスチームを通過させることにより、残存する豆乳分が抽出され、乾燥機本体4の内部に連通する排出口32から採取することができ、タンパク質や繊維質が豊富で雑味のない乾燥生成物を得ることができる。
【0036】
一方、糖質の高い食品材料の場合は、蒸気温度が高すぎると、糖質分が炭化し風味を損ねるおそれがあるので、乾燥機本体4の内壁を、糖質が炭化しない程度の温度となるよう、第1温度センサー30、第2温度センサー31の検出値に基づいて、ボイラー15から供給される水蒸気温度を低めに設定し、ポンプ18bの回転速度、流量制御弁19bの開度を制御して、低温の水蒸気を食品材料の粉砕物間に通過させ糖質分の調製を行った上で、所望の乾燥度となるまで、ポンプ13a及び流量制御弁14aを制御して、乾燥機本体4の内壁を所定温度に維持する。
なお、その際、乾燥機本体4の内壁に再利用食品の脂質がこびりつくのを防止するとともに、低温でも短時間で乾燥が終了するよう、攪拌機駆動モータ61の回転速度を高めに制御している。
【0037】
脂質が高い食品材料の場合は、糖質が高い食品材料の場合より、乾燥機本体4の内壁温度及び乾燥機本体4の内部空間に供給される水蒸気温度をより高めに設定すればよいが、脂質を所定値以下に抑制するためには、これらの温度をやや下げ、より長時間の乾燥を行い、脂質を排出口32から分離排出する必要がある。
【0038】
また、食品材料の特性によっては、乾燥機本体4の内壁温度のみを制御する加熱乾燥モード、あるいは乾燥機本体4の乾燥室内に直接供給される水蒸気温度のみを制御する加熱乾燥モードも選択できるようになっている。
【0039】
以上のように、制御装置28のコンソール29により設定された食品未利用資源の種別、処理量等に応じて、乾燥機本体の内壁温度、乾燥機本体4の内部空間に供給される水蒸気温度及び攪拌機駆動モータ10の回転速度がそれぞれ制御され、食品材料の栄養素に応じ、最適な加熱乾燥モードが実行される。
なお、制御装置28は、所望の乾燥が終了した時点で、乾燥機本体4の下部に設けた排出スクリュー21を駆動するモータ20を駆動して、乾燥の終了した食品材料を第2の粉砕機24に排出する。
【0040】
第2の粉砕機24は、所望の乾燥が終了し、所定の粒度を有する食品材料を、最終製品に求められる粒度に微粒化するものあり、クラッシャーあるいはミルを組み合わせたものであり、制御装置28のコンソール29により、最終リサイクル製品が予め設定された粒度となるよう、処理時間あるいはミルの間隙等が調整され、所望の粒度となるまで微粉砕を行うように構成されている。
【0041】
例えば、タンパク質、食物繊維を豊富に含み、小麦粉等に混入させる機能性食品に再生する場合は、小麦粉と同程度の直径150μに微粒化すればよい。
【0042】
以上のとおり、制御装置28は、オペレータがコンソール29の操作ボタンを操作することにより、入力された食品材料の種別及び量に基づいて、実験等により予め定められた乾燥モードを自動的に選定し、前述のように、第1の粉砕機2の駆動モータ25、投入スクリュー5を駆動するモータ26,攪拌機駆動モータ10、ボイラー15から供給される蒸気温度、ポンプ18a、18b、及び流量制御弁19a、19b、及び第2の粉砕機等、食品リサイクルシステムを構成する各機器を総合的に制御するので、非常に簡単な操作で、種々の食品材料を最適にリサイクルすることができる。
【0043】
なお、上記実施例では、加熱乾燥機3のジャケット13及び乾燥室内に直接供給される流体として、低湿度の過熱水蒸気を採用したが、食品未利用資源の種別や、最終製品の用途によっては、低湿度の加熱空気を採用してもよい。
その場合には、ボイラー15に代え、例えば除湿器で低湿度とした外気をヒーターで所定温度に加熱し、ファンで加熱乾燥機3のジャケット13及び乾燥室内に供給するようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の食品未利用資源を再利用する方法によれば、おから等の食品残渣物のみならず、家庭、レストラン、食品販売店で、食べ残しあるいは売れ残り等の食品未利用資源を広く再利用して、安全な食品添加物等を安価に製造し、販売に供することができる。
【符号の説明】
【0045】
1・・・ホッパー
2・・・第1の粉砕機
3・・・乾燥機
15・・・ボイラー
24・・・第2の粉砕機
28・・・制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品未利用資源を再利用する方法において、
前記食品未利用資源を分別し第1の粉砕機に投入する第1の工程と、
前記第1の工程により投入した食品未利用資源の種別、量を入力することにより、第1の粉砕機による粉砕粒度、加熱乾燥機による乾燥モードを設定するとともに、最終製品の粒度を設定する第2の工程と、
前記第1の工程により投入された前記食品未利用資源を、前記第2の工程で設定された粉砕粒度となるよう前記第1の粉砕機を作動させる第3の工程と、
前記第3の工程により所定の粒度に粉砕された粉砕物を、加熱乾燥機の乾燥室に投入する第4の工程と、
前記第2の工程により設定された乾燥モードに基づいて、前記加熱乾燥機の乾燥室外周に設けたジャケット、あるいは、乾燥室内に直接供給する加熱流体の量、温度及び乾燥時間を設定し、前記乾燥室に投入した粉砕物を加熱乾燥する第5の工程と、
前記第5の工程により加熱乾燥した粉砕物を前記第2の粉砕機に投入し、前記第2の工程で設定された最終製品の粒度に微粉砕する第6の工程と、
からなる食品未利用資源再利用方法。
【請求項2】
前記第5の工程で、前記加熱乾燥機の乾燥室に供給する加熱流体を、低湿度の過熱水蒸気とした、請求項1記載の食品未利用資源再利用方法。
【請求項3】
前記第5の工程で、前記加熱乾燥機の乾燥室内に供給する加熱流体を、低湿度の加熱空気とした、請求項1記載の食品未利用資源再利用方法。
【請求項4】
前記第6の工程で、前記第3の工程により加熱乾燥した粉砕物を、直径150μ程度に微粉砕する請求項1ないし3に記載の食品未利用資源再利用方法。
【請求項5】
食品未利用資源を所定の粒度に粉砕する、粒度調整機構を備えた第1の粉砕機と、
前記第1の粉砕機により粉砕された食品未利用資源を加熱乾燥し、発生した水蒸気を排出する頂部排出口と、分離された油分を排出する底部排出口とを備えた加熱乾燥機と、
乾燥した加熱流体を前記乾燥室の内周壁を加熱するジャケットまたは前記加熱乾燥機の乾燥室内に直接供給する加熱流体供給装置と、
前記乾燥室内で加熱乾燥された所定粒度の食品未利用資源を、所定の粒度の微粉末に再粉砕する粒度調整機構を備えた第2の粉砕機とを備え、
前記食品未利用資源の種別、量に基づいて、前記第1粉砕機及び第2粉砕機による粉砕粒度を調整するとともに、前記加熱流体供給装置から、前記ジャケット及び前記乾燥室内に供給される加熱流体の温度、風量及び供給時間を個別に制御する制御装置を備えた食品未利用資源再利用装置。
【請求項6】
前記制御装置は、食品未利用資源の種別、量を入力する操作パネルを有し、入力された食品未利用資源の種別、量に基づいて、記憶装置から、最適な前記第1粉砕機及び第2粉砕機による粉砕粒度と、前記ジャケット及び前記乾燥室内にそれぞれ供給される加熱流体の温度、風量及び供給時間を読み出すようにした請求項5に記載の食品未利用資源再利用装置。
【請求項7】
前記乾燥室の内壁及び乾燥室の内部にそれぞれ温度センサーを設けるとともに、前記加熱乾燥機の頂部排出口に湿度センサーを設け、前記制御装置は、両温度センサー及び湿度センサーの検出値に基づいて、前記ジャケット及び前記乾燥室内に供給される加熱流体の温度、風量及び供給時間を制御するようにした請求項5または6に記載の食品未利用資源再利用装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−25124(P2011−25124A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171844(P2009−171844)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(508296761)株式会社共立 (4)
【Fターム(参考)】