説明

食品生成物、および調理済み食材中の油脂および脂肪含量を減少させるための方法

油脂および/または脂肪中で食材を調理するための方法を提供する。乾燥タンパク質混合物、乾燥アルカリ性タンパク質混合物、水性アルカリ性タンパク質混合物または水性酸性タンパク質を、調理の前に、食材に対して添加する。乾燥タンパク質混合物、乾燥アルカリ性タンパク質混合物、水性アルカリ性タンパク質混合物および水性酸性タンパク質溶液は、筋原繊維およびサルコメアを実質的に含まない、筋原線維タンパク質および筋形質タンパク質を含む。調理中、食材により吸収される油脂および/または脂肪の量を実質的に減少させる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、仮出願シリアル番号60/529,929(2003年12月16日に出願)に基づくものであり、そして出願シリアル番号10/252,873(2002年9月24日に出願)の一部継続出願である、出願シリアル番号10/378,139(2003年3月4日に出願)の一部継続出願である。
【0002】
発明の背景
本発明は、調理済み食材中の油脂および脂肪含量を調節するための方法に関する。より具体的には、本発明は、動物筋肉タンパク質または動物筋肉タンパク質に由来するペプチド組成物を利用して、食材中の油脂および脂肪含量を調整する方法に関し、そしてこの方法において利用される食品生成物に関する。
【0003】
本発明の前は、獣肉、野菜、魚、ナッツ、ペストリー、フリッター、ドーナツなどの油脂および/または脂肪中高温で調理される食品は、油脂および/または脂肪を吸収する。これらの調理方法は、一般的に“高脂肪フライ”または“ソテー”と呼ばれる。食材が脂肪および/または油脂中で一部だけしか調理されていない場合、調理済み食材は“フライしたもの(par fried)”と呼ばれる。油で揚げた食材は、次に焼くことにより完全に調理する。このようにして調理される場合、調理済み食材は、望ましくないことに脂肪または油脂を吸収し、それによりその栄養価値および食事的価値が減少する。調理中、食材による脂肪または油脂の吸収を減少させるための以前の溶液は、食材を加熱した油脂または脂肪と接触させる前に、ペクチンなどの物質で食材をコートするためのものである。この溶液は好ましくない。というのも、食材による顕著な油脂または脂肪吸収が依然として生じるからである。
【0004】
したがって、調理中、食材による油脂または脂肪の吸収を最小にしまたは阻害しながら、調理することができる、魚、獣肉、野菜、ペストリーなどを含む食材の形態を提供することが好ましい。さらに、調理する元々の食材よりも栄養価が低いということがない食材の形態または調理する元々の食材よりも栄養価がさらに高められる食材の形態を提供することが好ましい。さらに、未調理食材中の大部分の水分または添加された風味またはスパイスが、調理中にも残存するような、食材の形態を提供することが好ましい。
【0005】
発明の概要
本発明により、液体の油脂および/または脂肪(バターを含む)を用いて調理される未調理食材が、動物筋肉組織由来の乾燥タンパク質混合物または動物筋肉組織由来のタンパク質混合物の水性酸性溶液および/または混合物に由来するかまたはタンパク質混合物の水性酸性溶液に由来するペプチド組成物を用いて、コーティングされ、注入され、混合される。タンパク質混合物は、U.S.特許6,005,073;6,288,216;6,136,959;および/または6,451,975(これらの全ては、全体を参照文献として本明細書中に援用する)中に開示された方法の一つにより得られた、筋原線維タンパク質および筋形質タンパク質の混合物を含む。本明細書中で使用される場合、“乾燥タンパク質混合物”という用語は、動物筋肉組織由来の筋原線維タンパク質および筋形質タンパク質の脱水されたタンパク質混合物であって、水性酸性溶液(pH 4.0以下)または水性アルカリ性溶液(pH 10.5以上)から得られるもの、のことを意味する。乾燥タンパク質混合物はまた、タンパク質混合物および水の全重量に対して、約15重量%未満の水を含有し、好ましくは約3〜10重量%の水、最も好ましくは約3〜7重量%の水を含有する。0%の水を含有する乾燥タンパク質混合物が本発明では有用であるが、一般的には0〜3重量%の水を含有する乾燥粉末は、商業的規模で処理するには危険である可能性がある。タンパク質混合物および水の全重量に対して、約15重量%より多い水を含有する筋原線維タンパク質および筋形質タンパク質の固体混合物は、本発明においては望ましくない。というのも、それらは、微生物的に信頼性がないからである。
【0006】
本明細書中で使用される場合、“水性酸性タンパク質溶液”という用語は、動物筋肉組織由来の筋原線維タンパク質および筋形質タンパク質の水溶液であって、pH 4.0またはそれ未満のpH、好ましくはpH 3.5またはそれ未満のpH、最も好ましくはpH約2.5〜約3.5のpHを有するが、タンパク質機能性に対して悪影響を与える程低くはないpHを有するものを意味する。水性酸性タンパク質溶液は、以下に記載される方法によるか、または乾燥タンパク質混合物を水中または医薬グレードまたは食品グレードの許容可能な水性酸性溶液中に溶解することにより、動物筋肉組織から直接的に取得することができる。
【0007】
本明細書中で使用される場合、“水性アルカリ性タンパク質溶液”という用語は、筋原線維タンパク質および筋形質タンパク質のpH約10.5〜約12.0のpHを有する水溶液を意味する。水性アルカリ性タンパク質溶液は、以下に記載する方法により、動物筋肉組織から直接的に取得することができる。乾燥アルカリ性タンパク質混合物は、凍結乾燥、蒸発またはスプレー乾燥などの方法により、水性アルカリ性タンパク質溶液を乾燥させることにより取得される。
【0008】
本発明に従い、粉末形状、脱水形状、または小粒子形状の筋原線維タンパク質および筋形質タンパク質の乾燥タンパク質混合物または乾燥アルカリ性タンパク質混合物、またはまたは乾燥タンパク質混合物に由来するペプチド組成物を、調理する食材の表面に適用し、調理する食材に注入し、および/またはハンバーガーやソーセージなどの調理する食材(挽いたもの、細切れにしたもの、あるいは薄くスライスしたもの)と混合する。あるいは、水性酸性タンパク質溶液または水性アルカリ性タンパク質溶液、あるいは水性酸性タンパク質溶液または水性アルカリ性タンパク質溶液に由来するペプチド組成物を、食材の表面に適用することができ、またはそれを食材と混合することができ、またはそれを食材中に注入することができる。次いで、乾燥タンパク質混合物、乾燥アルカリ性タンパク質混合物、水性アルカリ性タンパク質溶液または水性酸性タンパク質溶液、もしくはそれらに由来するペプチド組成物を含有する食材を、食材による油脂および/または脂肪の吸収を最小にしながら、液体油脂および/または脂肪中、高温で調理することができる。乾燥タンパク質混合物または水性酸性タンパク質溶液、もしくはそれらに由来するペプチド組成物により処理しなかった食材を油脂および/または脂肪中で調理した後と比較して、本発明にしたがって処理した食材を油脂および/または脂肪中で調理した後の脂肪および/または油脂の重量の差異は、油脂および/または脂肪が約10〜約70%低下し、より好ましくは油脂および/または脂肪が約30〜約70%低下する。さらに、調理中に利用されたもののうち吸収された脂肪または油脂の量を実質的に減少させるため、所定重量の食材を調理するために必要とされる油脂または脂肪の量は、付随して実質的に減少する。
【0009】
あるいは、本発明に従い、粉末形状、脱水形状、または小粒子形状の筋原線維タンパク質および筋形質タンパク質の乾燥アルカリ性タンパク質混合物、または乾燥アルカリ性タンパク質混合物に由来するペプチド組成物を、調理する食材の表面に適用し、調理する食材中に注入し、および/またはハンバーガーやソーセージなどの調理する食材(挽いたもの、細切れにしたもの、あるいは薄くスライスしたもの)と混合する。あるいは、水性アルカリ性タンパク質溶液または水性アルカリ性タンパク質溶液に由来するペプチド組成物を、食材の表面に適用することができ、またはそれを食材と混合することができ、またはそれを食材中に注入することができる。次いで、乾燥タンパク質混合物または水性アルカリ性タンパク質溶液、もしくはそれらに由来するペプチド組成物を含有する食材を、食材による油脂および/または脂肪の吸収を最小にしながら、液体油脂および/または脂肪中、高温で調理することができる。乾燥アルカリ性タンパク質混合物または水性アルカリ性タンパク質溶液、もしくはそれらに由来するペプチド組成物により処理しなかった食材を油脂および/または脂肪で調理した後と比較して、本発明にしたがって処理した食材を油脂および/または脂肪中で調理した後の脂肪および/または油脂の重量の差異は、油脂および/または脂肪が約10〜約70%低下し、好ましくは油脂および/または脂肪が約30〜約70%低下する。さらに、調理中に利用されたもののうち吸収された脂肪または油脂の量を実質的に減少させるため、所定重量の食材を調理するために必要とされる油脂または脂肪の量は、付随して実質的に減少する。
【0010】
本発明において有用なペプチド組成物は、乾燥タンパク質混合物、水性酸性タンパク質溶液、水性アルカリ性タンパク質溶液、または乾燥アルカリ性タンパク質混合物を、タンパク質のpHでタンパク質をペプチド組成物へと変換する酵素組成物と接触させることにより取得する。ペプチド組成物は、乾燥ペプチド組成物、水性酸性ペプチド組成物、水性アルカリ性ペプチド溶液、または乾燥アルカリ性ペプチド混合物であってもよい。
【0011】
具体的な態様の説明
本発明に従い、油脂および/または脂肪中で調理する食材を、動物筋肉組織由来の筋原線維タンパク質および筋形質タンパク質の乾燥タンパク質混合物、乾燥アルカリ性タンパク質混合物、水性酸性タンパク質溶液、または水性アルカリ性タンパク質溶液および/または乾燥タンパク質混合物、乾燥アルカリ性タンパク質混合物、水性酸性タンパク質溶液、または水性アルカリ性タンパク質溶液に由来するペプチド組成物によりコーティングし、それを注入し、および/またはそれと混合する。乾燥タンパク質混合物、乾燥タンパク質アルカリ性混合物、水性アルカリ性タンパク質溶液および水性酸性タンパク質溶液を、U.S.特許6,005,073;6,288,216;6,136,959;および6,451,975(これらの全ては、全体を参考文献として本明細書中に援用する)中に開示された方法により取得する。本発明中で利用されるペプチド組成物は、乾燥タンパク質混合物、水性酸性タンパク質溶液、乾燥アルカリ性タンパク質混合物、または水性アルカリ性タンパク質溶液を、タンパク質をペプチドに変換する酵素と接触させることにより取得する。この乾燥タンパク質混合物は、4種の方法のうちの一つにより取得する。2種の方法(酸性方法)においては、動物筋肉組織を小型組織粒子に形成し、次いでそれを十分な酸と混合してpHが4.0以下、好ましくは3.5以下、そして最も好ましくは約2.5〜約3.5ではあるが動物組織タンパク質を悪く修飾する程は低いpHではない組織溶液を形成する。これらの2種類のプロセスのうちの一つにおいて、溶液を遠心分離にかけ、一番下の膜脂質層、水性酸性タンパク質溶液の中間層、そして中性脂質(脂肪および油脂)の上層を形成する。次いで、水性酸性タンパク質溶液の中間層を、膜脂質層から、または膜脂質層および中性脂質層の両方から、分離する。これらの2種類のプロセスのうちの2番目において、開始動物筋肉組織が、所望しない膜脂質、油脂および/または脂肪を低濃度にしか含有しないため、遠心工程は行わない。これらのプロセスの両方ともにおいて、タンパク質混合物は、筋原繊維およびサルコメアを含まない。これらのプロセスの両方ともにおいて、水性酸性タンパク質溶液中のタンパク質は、遠心分離(使用する場合)後に、水性酸性溶液を蒸発、スプレー乾燥、または凍結乾燥などにより乾燥させて、水性酸性タンパク質溶液中に溶解した際に低pHを有する乾燥タンパク質混合物を形成することにより回収する。あるいは、水性酸性タンパク質溶液を溶液を乾燥することなく、未調理食材に使用することができる。これらの2種類の酸性プロセスの一方を使用して、乾燥タンパク質混合物または水性酸性タンパク質溶液を取得することが好ましい。別の代替的なプロセスにおいては、水性酸性タンパク質溶液中のタンパク質を沈殿し、そして回収し、医薬的に許容可能な酸または食品グレードの酸と混合して、所望の粘度を有する水性酸性タンパク質溶液を形成することができる。別の代替的プロセスにおいては、酸性タンパク質溶液中のタンパク質を、塩基を使用して約10.5〜12のpHにまで上昇させ、水性アルカリ性タンパク質溶液を形成することができる。
【0012】
乾燥アルカリ性タンパク質混合物を取得するための手段をも提供する2種類のその他のプロセス(アルカリ性プロセス)において、動物筋肉組織を小型組織粒子に形成し、次いでそれらを十分な塩基水溶液と混合して、少なくとも75%の動物筋肉タンパク質を可溶化したがしかし動物組織タンパク質を悪く修飾するほどは高いpHではない、すなわち約10.5〜約12のpHである組織溶液を形成する。一つのプロセスにおいて、溶液を遠心して、一番下の膜脂質層、中間水性タンパク質リッチ層および中性脂質(脂肪および油脂)の上層を形成する。次いで、中間水性アルカリ性タンパク質-リッチ層を膜脂質層から、または膜脂質層および中性脂質層の両方から分離する。2番目のプロセスにおいては、開始動物筋肉タンパク質が、所望しない膜脂質、油脂および/または脂肪を低濃度しか含有しないため、遠心分離工程を行わない。これらのプロセスの両方ともにおいて、タンパク質混合物は、筋原繊維およびサルコメアを含まない。これらのプロセスの両方ともにおいて、水性アルカリ性タンパク質溶液をこの時点で回収することができる。これらのプロセスの両方ともにおいて、タンパク質-リッチ水性相のpHを、約4.0以下、好ましくは約3.5以下、そして最も好ましくは約2.0〜3.5のpHにまで低下させ、水性酸性タンパク質溶液を形成することができる。これらのプロセスの両方ともにおいて、水性酸性タンパク質溶液中タンパク質を、遠心分離(使用する場合)後に、水性酸性タンパク質溶液を蒸発、スプレー乾燥または凍結乾燥などにより乾燥させて、水性酸性溶液中に溶解した際に低pHを有する粉末生成物を形成することにより回収する。あるいは、水性酸性タンパク質溶液を、乾燥させることなく、食材に直接的に使用することができる。遠心分離(使用する場合)後に回収した約10.5〜12.0のpHを有する水性アルカリ性溶液中のタンパク質を、スプレー乾燥、蒸発、または凍結乾燥などにより乾燥させて、粉末生成物を形成することができる。
【0013】
次いで、乾燥タンパク質混合物、乾燥アルカリ性タンパク質混合物、水性酸性タンパク質溶液、または水性アルカリ性タンパク質溶液を、未調理食材にコーティングし、未調理食材中に注入し、および/または未調理食材と混合する。乾燥タンパク質混合物、乾燥アルカリ性タンパク質混合物、水性酸性タンパク質溶液、または水性酸性タンパク質溶液および/またはそれらに由来するペプチド組成物を、単独でまたはパン粉コーティングまたはバッターコーティング、乾燥もみダレ、クラッカーミール、コーンミールなどの従来からの食品添加物または栄養添加物と混合して、使用することができる。乾燥タンパク質混合物、乾燥アルカリ性タンパク質混合物、水性アルカリ性タンパク質溶液または水性酸性タンパク質溶液および/またはそれらに由来するペプチド組成物を、未調理食材の表面に塗布具を用いてコーティングすることができ、または容器または反転装置または減圧反転装置中の酸性タンパク質水溶液、乾燥アルカリ性タンパク質混合物、または水性アルカリ性タンパク質溶液または乾燥酸性タンパク質混合物を含有する溶液中にまたはマリネ中にて、未調理食材をひっくり返しながら浸漬することにより、コーティングすることができる。乾燥タンパク質混合物、乾燥アルカリ性タンパク質混合物、水性酸性タンパク質溶液または水性アルカリ性タンパク質溶液はまた、バター風味またはニンニク風味などを含有することができる。
【0014】
まとめると、本発明において使用する乾燥タンパク質混合物、乾燥アルカリ性タンパク質混合物、水性アルカリ性タンパク質混合物または水性酸性タンパク質溶液を、以下の代表的な方法により取得することができる:
1. 細分した動物筋肉組織のpHを、約3.5未満のpHにまで低下させ、酸性タンパク質溶液を形成し、この溶液を遠心分離して、脂質リッチ相と水性相とを形成し、そして本発明において使用することができきる膜脂質を実質的に含まない水性酸性タンパク質溶液を回収する。
【0015】
2. 方法1により取得した水性酸性タンパク質溶液をスプレー乾燥して、本発明において使用することができる膜脂質を実質的に含まない乾燥タンパク質混合物を形成する。
3. 方法1において取得した水性酸性タンパク質溶液を凍結乾燥しまたは蒸発させ、本発明において使用することができる膜脂質を実質的に含まない乾燥タンパク質混合物を形成する。
【0016】
4. 方法1に由来する水性酸性タンパク質溶液のpHを約pH 5.0〜5.5にまで上昇させて、タンパク質の沈殿を起こさせ、そして次いで、最小容量中の酸を使用してタンパク質を約4.5以下のpHにまで戻し調整し、水性酸性タンパク質溶液を濃縮させて1.6〜15%のタンパク質にする。
【0017】
5. 細分した動物筋肉組織のpHを低下させ、本発明において使用することができる水性酸性タンパク質溶液を形成する。
6. 方法5により取得した水性酸性タンパク質溶液をスプレー乾燥して、本発明において使用することができる乾燥タンパク質混合物を形成する。
【0018】
7. 方法5により取得した水性酸性タンパク質溶液を凍結乾燥しまたは蒸発させて、本発明において使用することができる乾燥タンパク質混合物を形成する。
8. 方法5に由来する水性酸性タンパク質溶液のpHを、約pH 5.0〜5.5にまで上昇させ、タンパク質の沈殿を生じさせ、そして次いで、最小容量中の酸を使用してタンパク質を約4.0以下のpHにまで戻し調整し、水性酸性タンパク質溶液を濃縮させて約1.6〜15%のタンパク質にする。
【0019】
9. 細分した動物筋肉組織のpHを約10.5以上のpHにまで上昇させ、溶液を遠心分離して、脂質リッチ相と水性相とを形成し、そして水性アルカリ性タンパク質溶液を回収する。一態様において、水性アルカリ性溶液のpH を約4.0未満のpHにまで低下させて、本発明において使用することができる膜脂質を実質的に含まない水性酸性タンパク質溶液を取得する。第二の態様において、水性アルカリ性溶液のpHを約5.0〜5.5にまで低下させて、タンパク質を沈殿させ、沈殿タンパク質のpHを4.0以下のpHにまで低下させて濃縮水性酸性タンパク質溶液を形成し、そして濃縮水性酸性溶液を使用するかまたは溶液を乾燥させそして回収した乾燥タンパク質を使用する。
【0020】
10. 方法9により取得した水性酸性タンパク質溶液をスプレー乾燥して、本発明において使用することができる膜脂質を実質的に含まない乾燥タンパク質混合物を形成する。
11. 方法9により取得した水性酸性タンパク質溶液を凍結乾燥しまたは蒸発させて、本発明において使用することができる膜脂質を実質的に含まない乾燥酸性タンパク質混合物を形成する。
【0021】
12. 方法9に由来する水性酸性タンパク質溶液のpHを約pH 5.0〜5.5にまで上昇させ、タンパク質の沈殿を起こさせ、そして次いで、最小容量中の酸を使用してタンパク質を約4.0以下のpHにまで戻し調整し、水性酸性溶液を濃縮させて1. 6-15%のタンパク質にする。
【0022】
13. 細分した動物筋肉組織のpHを約10.5以上のpHにまで上昇させ、水性アルカリ性タンパク質溶液を形成する。一態様において、水性アルカリ性タンパク質溶液のpHを約4.0以下にまで低下させ、本発明において使用することができる水性酸性タンパク質溶液を形成する。第二の態様において、水性アルカリ性溶液のpHを約5.0〜5.5にまで低下させてタンパク質を沈殿させ、沈殿タンパク質のpHを4.0以下のpHにまで低下させて濃縮水性酸性溶液を形成し、濃縮水性酸性タンパク質溶液を使用するか、または溶液を乾燥させそして回収された乾燥タンパク質混合物を使用する。
【0023】
14. 方法13により取得した水性酸性タンパク質溶液をスプレー乾燥して、本発明において使用することができる乾燥タンパク質混合物を形成する。
15. 方法13により取得した水性酸性タンパク質溶液を凍結乾燥しまたは蒸発させて、本発明において使用することができる乾燥タンパク質混合物を形成する。
【0024】
本発明において使用するタンパク質生成物は、顕著な量の筋形質タンパク質も含有する主として筋原線維タンパク質を含む。未調理食材と混合された、未調理食材中に注入されたおよび/または未調理食材上にコーティングされたタンパク質生成物中の筋形質タンパク質は、乾燥タンパク質混合物、乾燥アルカリ性タンパク質混合物、水性アルカリ性タンパク質溶液および/または水性酸性タンパク質溶液中のタンパク質の全重量に対して、筋形質タンパク質重量の約8%以上、好ましくは約10%以上、より好ましくは約15%以上、そして最も好ましくは約18%以上、最大で約30%を含む。
【0025】
開始タンパク質は、獣肉または魚肉に由来するものであり、甲殻類動物肉組織を含む。代表的な適切な魚肉には、骨を取り除いたカレイ、ヒラメ、ハドック(haddock)、タラ(cod)、スズキ、サケ、マグロ、マス、などが含まれる。代表的な適切な甲殻類動物には、ムキエビ(shelled shrimp)、ザリガニ、ロブスター、ホタテ、カキ、または殻付きエビなどが含まれる。代表的な適切な獣肉には、牛肉、羊肉、豚肉、シカ肉、子牛肉、水牛肉など;鶏肉、機械的に骨を取り除いた鳥肉、七面鳥、アヒル、狩猟鳥、またはガチョウなどの鳥肉が含まれる。
【0026】
本発明の一態様に従って、筋原線維タンパク質および筋形質タンパク質の乾燥タンパク質混合物、乾燥アルカリ性タンパク質混合物、水性アルカリ性タンパク質溶液または水性酸性タンパク質溶液を、タンパク質をペプチドに転換し、調理済み食材の水分を保持するため、食材を調理する前に食材に対して添加するペプチド組成物を生成する、1またはそれ以上の酵素と混合する。酵素は、エクソプロテアーゼであってもよく、そして酸性pH、アルカリ性pHまたは中性pHでペプチドを生成する様に活性であってもよい。酸性pHで有用な代表的な適切な酵素には、Enzeco Fungal Acid Protease(Enzyme Development Corp., New York, NY);Newlase A (Amano, Troy, VA);およびMilezyme 3.5(Miles Laboratories, Elkhart, IN)またはこれらの組み合わせが含まれる。アルカリ性pHで有用な代表的な適切な酵素には、Alcalase 2.4 LFG(Novozymes, Denmark)が含まれる。中性pHで有用な代表的な適切な酵素には、Neutrase 0.8L(Novozymes, Denmark)およびパパイン(Penta, Livingston, NJ)またはこれらの組み合わせが含まれる。ペプチドが形成された後、それらのpHを、単独でまたは本発明のタンパク質組成物と混合して、約4.0以下のpHまたは約10.5〜約12.0のpHに調整することができ、その後調理する未調理食材に対してそれらを適用する。
【0027】
酵素は、酵素およびタンパク質の全重量に対して、重量で約0.02%〜約2%、好ましくは約0.05%〜約0.5%の量で、約4℃〜約55℃、好ましくは約25℃〜約40℃の温度で、約5分〜約24時間、好ましくは約0.5時間〜約2時間のあいだ、使用する。混合するタンパク質組成物のpHを変化させることにより、酵素を不活性化することができる。次いで、タンパク質組成物と酵素組成物との反応により形成されたペプチドを、反応が起こる溶液を乾燥させることにより回収することができる。乾燥は、蒸発、スプレー乾燥、凍結乾燥、などにより行うことができる。生成されるペプチドは、中性pHの水中で瞬間的に可溶である。ペプチド組成物を、上述した目的のため、未調理食材に対して添加することができる。
【0028】
本発明において有用なペプチド生成物は、ペプチド重量に基づいて、約1重量%未満の脂質および油脂(全体)、好ましくは約0.2%重量%未満の脂肪および油脂を含有する。さらに、本発明において使用されるペプチド生成物は、ペプチド重量に基づいて、約2重量%の未満の灰分、好ましくは約約0.2%重量%の脂肪および油脂を含有する。この低量の灰分含量は、タンパク質開始物質を水で洗浄することにより達成される。灰分は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄、またはリンなどのミネラルとして定義される。さらに、本発明のペプチド生成物は、瞬間的に水に可溶であり、透明な溶液を形成する。
【0029】
さらに、本発明のペプチド生成物は、一般的には、L, a, b性能による比色により測定された場合に、それらの由来となる同様の加水分解していないタンパク質単離物の白色度単位(color whiteness units)と比較して、より淡い白色度単位を有する。このより淡い色は、牛肉、豚肉または鶏肉などの獣肉に由来する本発明の加水分解ペプチドならびに深海魚などの魚から得られた暗色筋肉組織に由来する本発明のペプチドにより、見いだされる。透明の水溶液を形成するためにより簡単に水中にペプチド生成物を溶解することができるため、この淡い色の特性は好ましい。
【0030】
白色度単位は、L, a, b値を式:100[(100-L)2+a2+b20.5を用いて変換することにより決定する。色は、3刺激比色計を使用して、当該技術分野において周知のRichard Hunterにより開発された普遍的に採用される“L, a, b”反対型スケールを使用して、測定される。“L”は、白から黒の範囲の光の測定値である。“a”値は緑から赤の範囲を測定し、そして“b”値は青から黄の範囲を測定する。これらの3つの座標を用いて、三次元値をいずれの色にも割り振ることができる。
【0031】
本発明にしたがって、筋原線維タンパク質および筋形質タンパク質の水性酸性タンパク質溶液、水性アルカリ性タンパク質溶液、乾燥アルカリ性タンパク質混合物または乾燥タンパク質混合物および/またはそれらに由来するペプチド組成物を、調理する未調理食材の表面に適用し、または調理する未調理食材中に注入しおよび/または調理する未調理食材と混合する。本発明の好ましい態様において、未調理食材に、上述したタンパク質および/またはペプチド組成物を注入しかつコーティングする。乾燥タンパク質混合物、乾燥アルカリ性タンパク質混合物、水性アルカリ性タンパク質溶液または水性酸性タンパク質溶液を、単独でまたはそれらに由来するペプチド組成物と組み合わせて使用することができる。あるいは、ペプチド組成物を未調理食材に対して単独で添加することができる。
【0032】
本明細書中で使用される場合、用語“表面”は、未調理食材の隣接した(1または複数の)表面から、90度に位置する未調理食材の表面である。さらに、用語“表面”は、互いに90度に位置する2つの隣接する表面を連結する連結表面を含んでいてもよい。好ましくは、未調理食材の全表面を、乾燥酸性タンパク質混合物、乾燥アルカリ性タンパク質混合物、水性アルカリ性タンパク質溶液または水性酸性タンパク質溶液を用いてコーティングする。次いで、タンパク質および/またはペプチドを含有する未調理食材を、調理した食材による油脂および/または脂肪の吸収を実質的に阻害しながら、油脂および/または脂肪中にて高温で調理することができる。
【0033】
本発明の一側面において、ハンバーガーなどの挽いた獣肉または魚肉などの粒状食材、またはドーナツ用ペストリーなどの食材混合物は、通常は、未調理食材の重量に基づいて約0.03〜約18重量%、好ましくは未調理食材の重量に基づいて約0.5〜10重量%、そして最も好ましくは未調理食材の重量に基づいて約0.5〜約7重量%のタンパク質混合物を含む重量比で、筋原線維タンパク質および筋形質タンパク質を含む乾燥タンパク質混合物、乾燥アルカリ性タンパク質混合物、水性アルカリ性タンパク質溶液または水性酸性タンパク質溶液および/またはそれに由来するペプチド組成物と混合する。さらに、水性酸性タンパク質溶液、水性アルカリ性タンパク質溶液またはそれらに由来するペプチド溶液を、事前調理済み食材の重量および/または事前調理済み食材のペプチド重量に基づいて、同一比で食材に添加することができる。乾燥タンパク質混合物、乾燥アルカリ性タンパク質混合物、水性アルカリ性タンパク質混合物または水性酸性タンパク質溶液および/またはそれらに由来するペプチド組成物を食材の少なくとも1つの表面に対して適用する場合、添加するタンパク質および/またはペプチド混合物の量は、未調理食材と混合する場合に上述したのと同一の重量比である。約0.03重量%未満のタンパク質および/またはペプチド混合物または水性酸性タンパク質および/またはペプチド溶液を使用する場合、油脂および/または脂肪吸収の阻害は観察されない。約15重量%以上のタンパク質および/またはペプチドを使用する場合、未調理食材は、望ましくない程に堅くなる可能性がある。
【0034】
未調理食材の調理を行うために使用することができる硬化油脂または非硬化油脂を含む適切な油脂および/または脂肪は、ラード、ピーナツ油、コーン油、野菜油、キャノーラ油、オリーブ油、パーム油、ココナッツ油、ゴマ油、ひまわり油、バター、これらの混合物などを含む、調理に従来から利用されてきたものである。
【0035】
本発明にしたがって修飾される未調理食材は、甲殻類動物、ジャガイモまたはタマネギなどの野菜、テンプラを含む、獣肉、鳥肉および魚肉;ナッツ、マッシュルームの他、バッター組成物、ペストリー組成物などの小麦粉ベースの食材、ニワトリ;を含む。代表的な適した魚肉には、骨を取り除いたカレイ、ヒラメ、ハドック(haddock)、タラ(cod)、スズキ、サケ、マグロ、マス、などが含まれる。代表的な適した甲殻類動物には、ムキエビ(shelled shrimp)、ザリガニ、ロブスター、ホタテ、カキ、または殻付きエビなどが含まれる。代表的な適切な獣肉には、ハム、牛肉、羊肉、豚肉、シカ肉、子牛肉、水牛肉など;ニワトリ、機械的に骨を取り除いた鳥肉、シチメンチョウ、カモ、狩猟鳥またはガチョウなどの鳥肉;が含まれ、いずれもフィレーの形状であるか、またはハンバーグなどの挽肉の形状である。スペアリブ、ラムチョップ、またはポークチョップなど、骨が獣肉の可食性に悪い影響を与えない場合には、獣肉には動物の骨が含まれていてもよい。さらに、ソーセージ組成物、ホットドッグ組成物、乳化製品などの動物筋肉組織を含む処理した(processed)獣肉生成物を、乾燥タンパク質混合物、乾燥アルカリ性タンパク質混合物、水性アルカリ性タンパク質溶液または水性酸性タンパク質溶液、またはこれらに由来するペプチド組成物を用いてコーティングし、注入し、または混合することができ、もしくはこれらの添加方法の組み合わせを使用することができる。ソーセージ組成物およびホットドッグ組成物には、挽いた獣肉または魚肉、セージなどのハーブ、スパイス、砂糖、コショウ、塩、および当該技術分野において周知である酪農製品などの充填剤が含まれる。代表的な野菜には、ジャガイモ、ニンジン、カリフラワー、タマネギ、トウモロコシなどが含まれる。さらなる食材には、マッシュルーム、ナッツの他、コーンミール、クラッカーミールまたはダスティングミールなどの追加の食材を含んでいてもよい、小麦粉、卵およびミルクを含むものなどのバッター組成物、が含まれる。
【0036】
次いで、乾燥タンパク質混合物、乾燥アルカリ性タンパク質混合物、水性アルカリ性タンパク質溶液または水性酸性タンパク質溶液および/またはペプチド組成物を含有する食材を、唐揚げ(deep fat frying)、ソテー(pan frying)などの従来からの方法により、油脂および/または脂肪を用いて調理することができる。本発明により提供される未調理食材は、本発明のタンパク質および/またはペプチド組成物なしの同一の未調理食材と比較して、重量にして約10%〜約70%、好ましくは約30%〜約70%削減された油脂および/または脂肪を含有することが見いだされた。所定重量の所定のタイプの食材を調理するために必要な脂肪または油脂の量もまた、それに対応して減少される。
【0037】
本発明の一側面において、乾燥タンパク質混合物、乾燥アルカリ性タンパク質混合物、水性酸性タンパク質溶液、水性アルカリ性タンパク質溶液および/またはペプチド溶液に対して、または乾燥タンパク質および/またはペプチド混合物を含有するバッターなどのコーティング剤に対して、エタノールを添加することにより、エタノールなしでタンパク質および/またはペプチドを添加した場合と比較して、脂肪および/または油脂中で調理した食材中の脂肪および/または油脂をさらに減少させることが見いだされた。この作用が見いだされるためのエタノールの濃度は、バッターおよび添加するタンパク質および/またはペプチドの全重量に対して、約0.5〜約5重量%、好ましくは約1%〜約5重量%である。
【0038】
以下の実施例は本発明を説明するものであり、本発明を限定することを目的としない。パーセント(%)は、対照の非処置バッターにより吸収された脂肪および/または油脂と比較した場合の、本発明の組成物中の吸収された脂肪および/または油脂の相対的な低減を反映している(本発明の組成物と対照の脂肪および/または油脂グラム×100)。全ての生成物は、Silliker Laboratory(Allentown, PA)にて解析した。解析方法は:灰分(AOAC 938. 08);脂肪(AOAC 948.15);水分(AOAC 952.08A);タンパク質(AOAC 991.20. 1);炭水化物(計算値);脂肪由来カロリー(計算値)および全カロリー(Atwater Factors)であった。
【実施例】
【0039】
実施例1:唐揚げでの油脂バリアとして作用するためのタラタンパク質の使用
水和したバッターを、バッターミックス(Newly Weds Foods, Chicago, IL)を水、単離タラタンパク質、および一例ではエタノールと混ぜることにより作成した。タラタンパク質を、US特許6,005,073に記載された技術を使用して、pH 3.0で単離した。再水和したバッターの最終濃度重量%は、以下の通りであった:
【0040】
【表1】

【0041】
全てのバッター組成物は、ほぼ同一の粘度を有した。2回凍結したアラスカセイス(pollock)の4オンスの予めカットしたポーションを、魚のポーションに前粉末をつけるのを可能にするように、薄いバッター混合物を用いて予めバッター処理した。次いで、このポーションをクラッカーミールで前粉末をつけ、そして余分な前粉末を払い落とした。12個のポーションを、続いて上述のバッター(#1〜#3)のいずれか一つ(各ポーションにつき、4種類)に浸漬した。バッターに浸漬したセイスポーションを、水分が除去されるまで、全てを一緒に、カ氏350度にて非硬化キャノーラ油中で調理して唐揚げにした。ポーションを、引き続いて個別にカ氏-20度にて冷凍した。全脂肪および/または油脂の結果は、#1のサンプルについては17.99重量%、#2のサンプルについては13.56%、そして#3のサンプルについては11.58%であった。このことは、対照(#1)と比較して#2では19.1%の脂肪の低減となり、そして対照と比較してサンプル#3では35.6%の脂肪の低減となると解釈される。
【0042】
実施例2:パン粉をつけた商品魚ポーションにおける脂肪取り込みを低減しまたは調節するための抽出セイスタンパク質
セイスタンパク質溶液を、US特許No. 6,451,975にしたがって作製し、そして限外濾過および500,000 NWCOメンブレンフィルター(Koch Membrane, Wilmington, MA)を使用して濃縮した。商品としての2.5オンスの生パン粉付き角形セイスを入手し、その後フライした。
【0043】
凍結セイス小片を挽き(Stephan Micro-cut, Columbus, OH)そして次いでリン酸、pH 3.0中で酸性化して、セイスタンパク質溶液、3重量%溶液の溶解した固体を形成した。限外濾過ののち、約2重量部のタンパク質溶液に対応する3部のブリックス溶液を回収した。
【0044】
2.5オンスのセイスポーションの半分を、セイスタンパク質(3%ブリックス)中に浸漬し、そして過剰なタンパク質(付いたものの全6%)を振り落とし、その後唐揚げ中におき、約3分15秒間かけて完全に調理した。対照は、同一ロットのポーションから得たが、添加タンパク質なしで唐揚げにした。生成物を凍結し、そして混合物サンプルとして各サンプルのポーションを3〜4回の繰り返したものを組み合わせることにより、解析した。
【0045】
【表2】

【0046】
タンパク質を使用して減少された脂肪量は、パン粉付きセイスポーションでは36%であった。
実施例3:フライ生成物中の脂肪取り込みを低減しまたは調節するための水和タンパク質を使用したコーティング
メルルーサ(hake)タンパク質溶液を、US特許No. 6,451,975にしたがって作製し、そして限外濾過および500,000 NWCOメンブレン(Koch Membrane, Wilmington, MA)を使用して濃縮した。凍結メルルーサ小片を挽き(Stephan Micro-cut, Columbus, OH)そして次いでリン酸、pH 3.0中で酸性化して、セイスタンパク質溶液、3重量%溶液の溶解した固体を形成した。限外濾過ののち、1.8〜2部(透過ブリックス%は、1〜1.2重量/%のタンパク質溶液)に対応する3部のブリックス溶液を回収した。メルルーサタンパク質溶液を、別々のビーカー中で9.9℃にて60分間、タンパク質溶解酵素とインキュベートした。酵素濃度は、0.1%(w/w)であった。ペプシン(Fisher Chemical, Fair Lawn, NJ)を、pH 3.06に調整した生成物に対して添加した。酵素処理したタンパク質溶液の粘度における実質的な減衰が、インキュベーション期間のあいだに生じた。Zahn粘度計を使用して、Zahn秒で測定する粘度読み取り値は、ペプシン処理したサンプル中16%低減された。水和タンパク質溶液を、浸漬物としてその後使用した。
【0047】
くさび形(0.75オンス)を、凍結セイスブロックから切り出し、そしてクランチーコーティングシステム(Newly Wed Foods, Chicago, IL)を使用して、バッター/前粉末/バッター/パン粉の順に配列した。パン粉をつけたポーション(1.5オンス)を約1秒間水和タンパク質溶液中に浸漬し、そして水気を切ってから凍結した。浸漬した凍結ポーションを、23秒間、カ氏375度にて硬化大豆油でフライし、凍結しそして解析した。
【0048】
【表3】

【0049】
全てのサンプルは、非浸漬対照と比較して、フライの工程のあいだの脂肪取り込みを低減する際に有効であった。「対照非浸漬」、および「非水和浸漬pH 3.06」では、最も許容可能な色を有するサンプルが精製された。ペプチドを使用することにより低下された脂肪量は、非浸漬対照と比較して、20.1%であった。
【0050】
実施例4:フライ生成物中の脂肪取り込みを低減しまたは調節するための、水性アルカリ性タンパク質を使用するコーティング
メルルーサ(hake)タンパク質溶液を、US特許No. 6,451,975にしたがって作製し、そして限外濾過および500, 000 NWCOメンブレン(Koch Membrane, Wilmington, MA)を使用して濃縮した。凍結メルルーサ小片を挽き(Stephan Micro-cut, Columbus, OH)そして次いでリン酸、pH 3.0中で酸性化して、セイスタンパク質溶液、3重量%溶液の溶解した固体を形成した。限外濾過ののち、1.8〜2部重量%のタンパク質溶液に対応する3%ブリックス溶液を回収した。メルルーサタンパク質溶液の一部を、2 N水酸化ナトリウム(食品グレード)を使用してアルカリ性pH(11.43)に調整し、そして浸漬物として使用した。くさび形(0.75オンス)を、凍結セイスブロックから切り出し、そしてクランチーコーティングシステム(Newly Wed Foods, Chicago, IL)を使用して、バッター/前粉末/バッター/パン粉の順に配列した。パン粉をつけたポーション(1.5オンス)を約1秒間アルカリ性タンパク質溶液中に浸漬し、そして水気を切ってから凍結した。浸漬した凍結ポーションを、23秒間、カ氏375度にて硬化大豆油でフライし、凍結しそして解析した。
【0051】
【表4】

【0052】
水性アルカリ性浸漬物は、非浸漬対照と比較して、フライの工程のあいだの脂肪取り込みを低減する際に効果的であった。pH 11.43のサンプルは、フライの前および後において、主として魚のニオイを有した。アルカリ性タンパク質を使用して低下した脂肪の量は、36. 8%であった。
【0053】
実施例5:パン粉つきおよびバッターつきフライニワトリ生成物中の脂肪取り込みを低減しまたは調節するための抽出ニワトリタンパク質
ニワトリタンパク質溶液を、US特許No. 6,451,975にしたがって作製し、そして限外濾過および500,000 NWCOメンブレンフィルター(Koch Membrane, MA)を使用して濃縮した。ニワトリ小片を挽き(Stephan Micro-cut, Columbus, OH)そして次いでリン酸、pH 3.0中で酸性化して、ニワトリタンパク質溶液、3%溶液の溶解した固体を形成した。限外濾過ののち、4.2重量%のタンパク質溶液に対応した5%のブリックス溶液を回収した(透過物は、0.8%のブリックスを有した)。全てのバッター、前粉末、およびパン粉は、Newly Weds Foods(Chicago, IL)から購入した。非凍結の4オンスのニワトリ挽肉パテを購入し、そしてコーティングする材料として使用した。
【0054】
バッターをつけた生成物について、対照は、バッターと水の50/50混合物を使用して行った。処理サンプルに関して、ニワトリタンパク質(5%ブリックス)を乾燥バッター材料中に50/50混合物で混合し、そして2 N食品グレードのリン酸を使用してpH 3.0に再調整した。追加のバッター(約10%)を硬度が対照とあうまで添加した。4オンスのパテをバッター中に浸漬し、そしてすぐにカ氏375度の唐揚げ器に入れ、45秒間フライした。
【0055】
パン粉をつけたサンプルに関して、4オンスのニワトリパテをニワトリタンパク質中に浸漬し、次いで前粉末クラッカーミールをつけ、その後バッターをつけ(タンパク質なし)そしてパン粉をつけた。パン粉をつけた生成物を、ニワトリタンパク質中に浸漬し、そして過剰なタンパク質を払い落とし、その後唐揚げ器に入れ、約3分30秒間完全に調理した。生成物を、混合物サンプルとして各サンプルのポーションを3〜4回の繰り返したものを組み合わせることにより、解析した。
【0056】
【表5】

【0057】
タンパク質を使用して減少された脂肪量は、バッター付き生成物においては26.4%、そしてパン粉付き生成物においては17.7%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪および/または油脂を用いて食材を調理するあいだ、未調理食材への脂肪および/または油脂の吸収を減少させるための方法であって:
(a)前記未調理食材に対して、
動物筋肉組織由来の筋原線維タンパク質および筋形質タンパク質の乾燥タンパク質混合物、動物筋肉組織由来の筋原線維タンパク質および筋形質タンパク質の水性酸性タンパク質溶液、および動物筋肉組織由来の筋原線維タンパク質および筋形質タンパク質由来のペプチド組成物およびタンパク質、およびこれらの混合物、からなる群から選択されたタンパク質組成物および/またはペプチド組成物を、
前記タンパク質および/またはペプチド組成物を前記未調理食材の少なくとも1つの表面に対して適用する方法、前記タンパク質および/またはペプチド組成物を前記未調理食材と混合する方法、前記タンパク質および/またはペプチド組成物混合物を前記未調理食材中に注入する方法、からなる群から選択される添加方法、そして前記添加方法の組み合わせ、により、
添加すること;
(b)工程(a)に由来する前記未調理食材およびタンパク質および/またはペプチド組成物を、油脂および/または脂肪中で調理すること;
を含む、前記方法。
【請求項2】
脂肪および/または油脂を用いて食材を調理するあいだ、未調理食材への脂肪および/または油脂の吸収を減少させるための方法であって:
(a)前記未調理食材に対して、
動物筋肉組織由来の筋原線維タンパク質および筋形質タンパク質の乾燥アルカリ性タンパク質混合物、動物筋肉組織由来の筋原線維タンパク質および筋形質タンパク質の水性アルカリ性タンパク質溶液、および動物筋肉組織由来の筋原線維タンパク質および筋形質タンパク質のタンパク質由来のペプチド組成物、およびこれらの混合物からなる群から選択されるタンパク質組成物および/またはペプチド組成物を、
前記タンパク質および/またはペプチド組成物を前記未調理食材の少なくとも1つの表面に対して適用する方法、前記タンパク質および/またはペプチド組成物を前記未調理食材と混合する方法、前記タンパク質混合物および/またはペプチド組成物を前記未調理食材中に注入する方法、からなる群から選択される添加方法、および前記添加方法の組み合わせ、により、
添加すること;そして
(b)工程(a)に由来する前記未調理食材およびタンパク質および/またはペプチド組成物を、油脂および/または脂肪中で調理すること;
を含む、前記方法。
【請求項3】
前記筋原線維タンパク質および筋形質タンパク質のタンパク質組成物および/またはペプチド組成物を、前記未調理食材の少なくとも1つの表面に対して適用する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記筋原線維タンパク質および筋形質タンパク質のタンパク質組成物および/またはペプチド組成物を、前記未調理食材の全ての表面に対して適用する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記筋原線維タンパク質および筋形質タンパク質のタンパク質組成物および/またはペプチド組成物を、前記未調理食材と混合する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記タンパク質組成物および/またはペプチド組成物を、前記未調理食材中に注入する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記タンパク質組成物および/またはペプチド組成物を、前記未調理食材中に注入し、そして前記未調理食材の全ての表面に対して適用する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記タンパク質組成物および/またはペプチド組成物を、前記未調理食材と混合し、そして前記未調理食材の全ての表面に対して適用する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記タンパク質組成物および/またはペプチド組成物が、動物筋肉組織由来の筋原線維タンパク質および筋形質タンパク質の乾燥タンパク質および/またはペプチド組成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記タンパク質および/またはペプチド組成物が、動物筋肉組織由来の筋原線維タンパク質および筋形質タンパク質の水性酸性タンパク質および/またはペプチド組成物溶液である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記未調理食材が魚である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記未調理食材が甲殻類動物(shell fish)である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記甲殻類動物がエビである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記未調理食材が鳥肉である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
鳥肉が、シチメンチョウ、カモ、ガチョウ、狩猟鳥、およびニワトリからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記未調理食材が獣肉である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記獣肉が、ハム、牛肉、羊肉、豚肉、子牛肉、水牛肉およびシカ肉からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記未調理食材が野菜である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項19】
前記野菜がジャガイモである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記野菜がタマネギである、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記食材が、小麦粉ベースの食材である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項22】
前記タンパク質組成物および/またはペプチド組成物が、魚の筋肉組織に由来する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記タンパク質組成物および/またはペプチド組成物が、鳥肉の筋肉組織に由来する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記タンパク質組成物および/またはペプチド組成物が、獣肉の筋肉組織に由来する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記タンパク質組成物および/またはペプチド組成物が、牛肉、羊肉、豚肉、およびこれらの混合物からなる群から選択される獣肉の筋肉組織である、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記タンパク質組成物および/またはペプチド組成物が、動物膜脂質を実質的に含まない、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記食材がソーセージ組成物中のものである、請求項1、4、7または8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記食材がホットドッグ組成物中のものである、請求項1、4、7または8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記乾燥タンパク質混合物、前記水性酸性タンパク質溶液および前記ペプチド組成物のpHが、約2.5〜約3.5のあいだである、請求項1、3〜10のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2007−513640(P2007−513640A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545661(P2006−545661)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/038769
【国際公開番号】WO2005/060487
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(505107697)プロテウス・インダストリーズ・インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】