説明

駆動制御装置、駆動制御方法および撮像装置

【課題】簡素な検出回路により移動部材を駆動するコイルから発生する磁気成分を検出して、安定した移動部材の駆動を制御する。
【解決手段】移動部材14を駆動する移動部材駆動部106と、移動部材の制御目標位置を演算する目標位置演算部102と、移動部材駆動部から発生する磁気成分を検出する磁気成分検出部108と、磁気成分検出部により検出された磁気成分から所定の磁気成分を減算する磁気成分減算部110と,磁気成分減算部により減算された磁気成分に基づいて、移動部材の現在位置を検出する現在位置検出部112、移動部材14が目標位置演算部102により演算された制御目標位置に追従するように、現在位置と制御目標位置との差分に応じて移動部材の駆動を制御する制御部104とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動制御装置、駆動制御方法および撮像装置に関し、特に、移動部材を駆動する移動部材駆動制御部から検出される磁気成分に基づいて、移動部材の駆動を制御する駆動制御装置、駆動制御方法および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、操作性の向上を目的として手振れ補正機能を有するカメラシステムが多く提案されている。従来の手振れ補正機能を備えたカメラにおいては、角速度センサ等を用いて手ぶれ振動を検出して、その検出量に基づきレンズやCCD(Charge Coupled Devices)の位置を調整することにより手振れを補正している。レンズやCCDの位置の検出には、磁石およびホール素子を利用した位置検出方法が知られている。磁石およびホール素子を用いて位置を検出する方法は、例えば露出を決定する絞りであるアイリス羽を開閉させるためのアイリスメータの位置を検出する場合にも利用することができる(例えば特許文献1、特許文献2)。
【0003】
カメラのレンズを手振れに応じて駆動させるためには、レンズを移動させる移動部材の駆動を制御する必要がある。移動部材の駆動には、ボイスコイルモータ(以下、VCMと称する。)を用いることができる。VCMは、磁石とコイルからなり、磁石とコイルから発生する磁界の駆動力により移動部材が駆動される。そして、駆動した移動部材の位置を検出するために、上述した磁石およびホール素子が用いられる。ホール素子は、磁石から発生する磁気を検出して、移動部材の現在位置を検出する。移動部材の現在位置を正しく検出することにより、検出した手振れ振動に応じて算出された制御目標位置に移動部材を駆動させることが可能となる。
【0004】
【特許文献1】特開平8−9668号公報
【特許文献2】特開平8−280188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、磁石とコイルを用いて移動部材を駆動する場合に、磁石の位置を検出するホール素子が、磁石から発生する磁気だけでなく、コイルに流れる電流によって発生する磁気も検出してしまい、磁石の位置を正しく検出できない場合があった。すなわち、コイルから発生する磁気の影響により磁石の位置を正しく検出できず、移動部材の現在位置を正しく検出できないために、移動部材を制御目標位置に正確に駆動することができず、安定した移動部材の駆動制御をすることができないという問題があった。
【0006】
そこで、ホール素子専用の磁石を設けてホール素子をコイルから遠ざけたり、磁石を大きくしてホール素子をコイルの外側に配置したりして、コイルから発生する磁気の影響を低減させたりしていた。しかし、ホール素子専用の磁石を設けたり、磁石を大きくしたりすることにより、装置のサイズが大きくなったりコストが嵩むという問題があった。また、コイルから発生する磁気の影響を低減するために、複雑な制御回路を構築しなければならないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、簡素な検出回路により移動部材を駆動するコイルから発生する磁気成分を検出して、安定した移動部材の駆動を制御することが可能な、新規かつ改良された駆動制御装置、駆動制御方法および撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、移動部材を駆動するための移動部材駆動部と、前記移動部材の制御目標位置を演算する目標位置演算部と、前記移動部材駆動部から発生する磁気成分を検出する磁気成分検出部と、前記磁気成分検出部により検出された磁気成分から所定の磁気成分を減算する磁気成分減算部と、前記磁気成分減算部により減算された磁気成分に基づいて、前記移動部材の現在位置を検出する現在位置検出部と、前記移動部材が前記目標位置演算部により演算された前記制御目標位置に追従するように、前記現在位置と前記制御目標位置との差分に応じて前記移動部材の駆動を制御する制御部と、を備える駆動制御装置が提供される。
【0009】
かかる構成によれば、移動部材を駆動する移動部材駆動部から発生する磁気成分を検出して、検出された磁気成分から所定の磁気成分を磁気成分減算部により減算する。制御部は、目標位置演算部により演算された制御目標位置と、磁気成分減算部により減算された磁気成分に基づいて検出された現在位置とを比較して、移動部材が制御目標位置に追従するように、移動部材の駆動を制御する。磁気成分減算部により減算される所定の磁気成分とは、駆動制御装置の制御を不安定化させる要素となる不要な磁気成分である。
【0010】
移動部材駆動部から発生する磁気成分により、移動部材駆動部の現在位置、すなわち移動部材の現在位置を検出することができる。しかし、移動部材駆動部から発生する磁気成分には、移動部材駆動部の現在位置を正しく検出できない要素となる不要な磁気成分が含まれている場合がある。この場合、移動部材駆動部の現在位置を正しく検出できず、制御部が移動部材の駆動を正しく制御できずに、駆動制御装置の制御が不安定となってしまう。 しかし、上記したように、磁気成分減算部により不要な磁気成分を減算することにより、正しく移動部材の現在位置を検出することが可能となる。そして、移動部材の現在位置を正しく検出することができれば、移動部材を安定して目標位置に追従させることができ、駆動制御の安定化を図ることができる。
【0011】
また、前記移動部材駆動部は、磁石と、前記磁石と対向して設けられるコイルと、を備え、前記磁気成分検出部により検出される磁気成分は、前記磁石および前記コイルから発生する磁気成分であり、前記磁気成分減算部は、前記コイルから発生する所定の周波数帯域の磁気成分を、前記磁気成分検出部により検出された磁気成分から減算するようにしてもよい。かかる構成によれば、移動部材は、磁石とコイルから発生する磁界の駆動力により駆動される。具体的には、磁石が発生する磁界中においてコイルに電流を流したときに、フレミングの左手の法則によって発生する方向の駆動力を用いて移動部材をその方向に駆動する。
【0012】
磁気成分検出部は、磁石とコイルから発生する磁気成分を検出する。磁気成分検出部には、ホール素子などを例示できるが、ホール素子は、通常磁石から発生する磁気を検出して、ホール素子と磁石との移動距離を検出することにより、移動部材の現在位置を検出する。しかし、ホール素子により検出される磁気成分に、コイルから発生する磁気成分が影響する場合には、磁石との移動距離を正しく検出できず、移動部材の現在位置を正しく検出することができない。したがって、磁気成分減算部により、コイルの磁気成分を減算することにより、ホール素子は、磁石との移動距離を正しく検出することができ、移動部材の現在位置を正しく検出することができることとなる。
【0013】
また、上記構成によれば、磁気成分検出部であるホール素子をコイルから発生する磁気成分の影響を受ける場所や、その影響を受けやすい場所に設置することができる。したがって、ホール素子専用の磁石を設けたり、磁石を大きくしたりする必要がなく、磁石のコストダウン、駆動制御装置の縮小化が実現して、かつ安定した駆動制御の性能を確保することができる。
【0014】
また、制御部は、磁気成分に基づいて前記移動部材駆動部を制御しており、前記磁気成分減算部は、前記制御部から前記移動部材駆動部に入力される磁気成分を所定のバンドパスフィルタにより抽出し、抽出した当該磁気成分を前記磁気成分検出部により検出された磁気成分から減算するようにしてもよい。前記バンドパスフィルタのカットオフ周波数は、前記駆動制御装置の制御特性に基づいて設定されるようにしてもよい。また、バンドパスフィルタは、カットオフ周波数を300Hzとするハイパスフィルタと、カットオフ周波数を3kHzとするローパスフィルタとを組み合わせた回路であってもよい。
【0015】
かかる構成によれば、移動部材駆動部に入力される磁気成分から、バンドパスフィルタにより抽出した磁気成分を減算することができる。バンドパスフィルタのカットオフ周波数は、駆動制御装置の制御特性を観測して設定される。駆動制御装置の制御特性とは、例えば、駆動制御装置のオープンループ特性などを例示することができる。これにより、駆動制御装置を不安定にさせ、発振の原因となる磁気成分を減算することができる。また、予め、抽出する周波数帯域を設定したバンドパスフィルタを用いて磁気成分を検出することにより、複雑な処理を行うことなく、簡易な回路により駆動制御装置の安定化を図ることが可能となる。
【0016】
また、磁気成分減算部は、前記制御部に所定の周波数の正弦波が入力された場合の前記移動部材駆動部により発生する所定の周波数帯域の磁気成分を、前記磁気成分検出部により検出された磁気成分から減算するようにしてもよい。また、磁気成分減算部は、前記制御部に所定の周波数の正弦波が入力されることにより検出される前記駆動制御装置の制御特性に基づいて磁気成分を算出し、当該算出された磁気成分を、前記磁気成分検出部により検出された磁気成分から減算するようにしてもよい。制御部に入力される正弦波は、周波数400Hzの正弦波であってもよい。
【0017】
かかる構成によれば、制御部に所定の周波数の正弦波を入力して、移動部材駆動部により発生する磁気成分を、磁気成分検出部により検出された磁気成分から減算する。制御部に所定の周波数の正弦波を入力することにより、手振れ等の外的要因を駆動制御装置自体で発生させることができる。そして、発生させた外的要因に対する移動部材の駆動を観察することにより、駆動制御装置の制御特性を観測することができる。これにより、駆動制御装置1台1台の制御特性を観測しなくとも、駆動制御装置の組み立て後のテスト工程などにおいて、適切に磁気成分を減算することができる。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、移動部材の制御目標を演算するステップと、移動部材を駆動するための移動部材駆動部から発生する磁気成分を検出するステップと、検出された磁気成分から所定の磁気成分を減算するステップと、減算された磁気成分に基づいて、移動部材の現在位置を検出するステップと、移動部材が制御目標位置に追従するように、現在位置と制御目標位置の差分に応じて移動部材の駆動を制御するステップと、を含む駆動制御方法が提供される。
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、レンズまたは撮像素子とレンズまたは撮像素子を移動させる移動部材を備えた撮像装置であって、撮像装置の振動を検出する振動検出部と、振動検出部により検出された振動に基づいて移動部材の制御目標位置を演算する目標位置演算部と、移動部材を駆動する移動部材駆動部と、移動部材駆動部から発生する磁気成分を検出する磁気成分検出部と、磁気成分検出部により検出された磁気成分から所定の磁気成分を減算する磁気成分減算部と、磁気成分減算部により減算された磁気成分に基づいて、移動部材の現在位置を検出する現在位置検出部と、移動部材が目標位置演算部により演算された制御目標位置に追従するように、現在位置と制御目標位置との差分に応じて移動部材の駆動を制御する制御部と、を備える撮像装置が提供される。
【0020】
かかる構成によれば、手振れ等による振動をジャイロセンサ等の振動検出部により検出して、検出された振動に基づいて移動部材の制御目標位置を演算する。ここで、撮像素子とは、例えばCCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を例示できる。また、移動部材とは、例えば、撮像装置に備わる手振れ補正用のアクチュエータなどを例示できる。撮像装置に備わるレンズまたは撮像素子の位置を調整することにより手振れを補正している場合には、レンズまたは撮像素子を保持する保持部が移動部材となる。そして、移動部材が制御目標位置に移動されると、移動部材を駆動する移動部材駆動部から発生する磁気成分が検出され、検出された磁気成分から所定の磁気成分を磁気成分減算部により減算する。制御部は、目標位置演算部により演算された制御目標位置と、磁気成分減算部により減算された磁気成分に基づいて検出された現在位置とを比較して、移動部材が制御目標位置に追従するように、移動部材の駆動を制御する。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、簡素な検出回路により移動部材を駆動するコイルから発生する磁気成分を検出して、安定した移動部材の駆動を制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
(本発明の実施形態の概要)
まず、本発明の実施形態にかかる駆動制御装置100の概要について説明する。本実施形態においては、カメラ等の撮像装置に備わる駆動制御装置100に本発明の駆動制御装置を適用して説明する。図1は、本実施形態にかかる駆動制御装置100を備えたカメラ10の一断面図である。図1に示したように、カメラ10のレンズ12は、移動部材14により保持され、移動部材14が移動することにより、レンズ12が移動する。移動部材14は、駆動制御装置100により駆動制御される。駆動制御装置100は、磁石16と、コイル18と、ホール素子20などを備える。駆動制御装置100の機能構成については後で詳述する。
【0024】
手振れ補正機能を備えたカメラ10においては、角速度センサ等を用いて手振れ振動を検出して、その検出量に基づきレンズの位置を調整することにより手振れを補正している。図1に示したように、レンズ12は移動部材14により保持されているため、レンズの位置の調整は、移動部材14の駆動を制御することにより行われる。移動部材14は、ボイスコイルモータ(VCM)により駆動される。VCMは、磁石16およびコイル18からなり、磁石16とコイル18から発生する磁界の駆動力により駆動される。具体的には、磁石16が発生する磁界中においてコイル18に電流を流したときに、フレミングの左手の法則によって発生する方向(図1のY方向)の駆動力を用いて移動部材14をその方向に駆動する。したがって、コイル18の電流の大きさを調整することにより、移動部材14の駆動を制御することができる。本実施形態においては、レンズの位置を調整することにより手振れを補正する構成としたが、かかる例に限定されず、例えば、CCDやCMOSなどの撮像素子の位置を調整することにより手振れを補正する構成としてもよい。
【0025】
移動部材14の駆動を制御する駆動制御装置100は、移動部材14の現在位置を検出して、移動部材14が目標位置に位置するように移動部材14の駆動を制御する。具体的には、角速度センサ等を用いて検出された検出量に基づいて算出された移動部材14の目標位置と、移動部材14の現在位置との差分に応じてコイル18の電流量を調整することにより移動部材14の駆動を制御する。
【0026】
移動部材14の現在位置は、磁石16およびホール素子20を用いて検出される。具体的には、磁石16から発生する磁気を検出して、ホール素子20が磁石16との移動距離を検出することにより、移動部材14の現在位置を検出する。例えば、コイル18が固定されている場合には、磁石16が移動することにより移動部材14が磁石16とともに移動する。この場合、ホール素子20は固定され、磁石16から発生する磁気を検知することにより、磁石16の移動量を検出することができる。また、磁石16が固定されている場合には、コイル18が移動することにより移動部材14がコイル18とともに移動する。この場合、ホール素子20はコイル18ととともに移動して、磁石16から発生する磁気を検知することにより、磁石16からの移動量を検出し、移動部材14の現在位置を検出する。以上、駆動制御装置100の概要を説明した。
【0027】
次に、図2に基づいて、本実施形態にかかる駆動制御装置100の機能構成を説明する。図2は、本実施形態にかかる駆動制御装置100の機能構成を示したブロック図である。図2に示したように、駆動制御装置100は、目標位置演算部102と、現在位置検出部112と、制御部104と、移動部材駆動部106と、磁気成分検出部108と、磁気成分減算部110と、現在位置検出部112などを備える。
【0028】
目標位置演算部102は、駆動制御装置100のマイクロコンピュータ120に備えられ、移動部材14の制御目標位置を演算する機能を有する。移動部材14の制御目標位置は、例えば、ジャイロセンサ(図示せず)等により検出された手振れ振動に基づいて演算することができる。目標位置演算部102は、演算した制御目標位置を、制御部104に提供する。
【0029】
移動部材駆動部106は、移動部材14を駆動する機能を有する。移動部材駆動部106は、例えば、VCMを例示することができ、VCMは図1に示した磁石16とコイル18からなる。上記したように、磁石16とコイル18から発生する磁界の駆動力により移動部材14を駆動する。移動部材駆動部106は、後述する制御部104による制御により、移動部材14を所望の位置に駆動させる。
【0030】
磁気成分検出部108は、移動部材駆動部106から発生する磁気成分を検出する機能を有する。磁気成分検出部108は、図1に示したホール素子20を例示できる。上記したように磁気成分検出部108であるホール素子20は、磁石16から発生する磁気を検出して、磁石16からの移動量を検出している。しかし、磁気成分検出部108は、磁石16から発生する磁気成分のみでなく、コイル18から発生する磁気成分も検出している。コイル18から発生する磁気のサーボループに対する影響は、コイル18に流れる電流の周波数によって異なる。すなわち、周波数が高い場合にはコイル18から発生する磁気のサーボループに対する影響が大きく、周波数が低い場合にはコイル18から発生する磁気のサーボループに対する影響が小さい。コイル18から発生する磁気の影響が大きい場合には、磁石16の移動量の検出精度に大きく影響してしまうこととなる。本実施形態においては、後述するように、コイル18から発生する磁気のサーボループに対する影響が大きくなる領域、すなわち周波数が高い領域を抽出して、コイル18から発生する磁気のサーボループに対する影響を下げている。これにより、磁石16の移動量を正しく検出できることとなる。磁気成分検出部108により検出された磁気成分は、磁気成分減算部110に提供される。
【0031】
磁気成分減算部110は、磁気成分検出部108により検出された磁気成分から所定の磁気成分を減算する機能を有する。磁気成分減算部110には、例えば、信号増幅器(アンプ)などを例示することができる。上記したように、磁気成分検出部108により検出された磁気成分は、磁石16とコイル18から発生する磁気成分を含んでいる。しかし、本来、移動部材14の現在位置は、磁石16から発生する磁気を検出することにより把握されるものである。すなわち、磁石16から発生する磁気により、磁石16からの移動量が検出され、その移動量から移動部材14の現在位置が把握されるものである。
【0032】
したがって、磁気成分検出部108により検出される磁気成分に、コイル18から発生する磁気成分が含まれている場合には、磁石16の位置を正しく検知することができないこととなってしまう。磁石16の位置を正しく検知できないと、移動部材14の位置を正しく把握することができない。そこで、磁気成分減算部110は、磁気成分検出部108により検出された磁気成分から、所定の磁気成分、すなわちコイル18から発生する磁気成分に相当する磁気成分を減算することにより、減算された磁気成分に基づいて正しく磁石16の位置を検出することが可能となる。
【0033】
ここで図3に基づいて、コイル18から発生する磁気について説明する。図3は、コイル18から発生する磁気について説明する説明図である。図3に示した移動部材駆動部106においては、コイル18が固定され、磁石16が移動する構成となっている。この場合、ホール素子20は固定され、磁石16から発生する磁気を検知することにより、磁石16の移動量を検出することができる。しかし、上記したように、ホール素子20は、磁石16からの磁気だけでなく、コイル18から発生する磁気も検出している。コイル18に流れる電流の周波数が低い場合にはコイル18から発生する磁気のサーボループに対する影響度は低いが、コイル18に流れる電流の周波数が特定の周波数以上となった場合にはコイル18から発生する磁気のサーボループに対する影響度が高くなる。
【0034】
図4に基づいて、コイル18から発生する磁気の影響について説明する。図4は、コイル18から発生する磁気が影響する場合のホール素子20の出力信号を測定した結果を示すグラフである。図4の横軸はコイル18に流れる電流の周波数であり、縦軸は磁石16の実際の移動量とホール素子20の出力の比率を測定した結果である。図4に示したグラフ500から、周波数が200Hz付近までは磁石16の移動量とホール素子20の出力の比は一定であるが、周波数が400Hz以上では、磁石16の移動量とホール素子20の出力の比が大きくなっていることがわかる。
【0035】
これは、周波数が200Hz付近までは磁石16の移動量に対して、ホール素子20の出力が比例しているが、周波数400Hz以上では、磁石16の移動量に対して、ホール素子20の出力が比例していないことを表している。磁石16の移動量は−40db/decの傾きで減少し、周波数400Hz付近では数um以下となっている。したがって、周波数が400Hz以上の場合に、数um以下の磁石16の移動量を検知しようとすると、コイル18から発生する磁気が大きく影響してしまうこととなる。
【0036】
磁石16の移動量とホール素子20の出力の比が一定でない場合には、ホール素子20により検出された磁気成分を磁石16の移動量とすることができず、ホール素子20により磁石16の位置を検出することができなくなってしまう。そこで、ホール素子20により検出される磁気成分から、コイル18から発生する磁気成分を減算することにより、磁石16の位置を正しく検出できることとなる。
【0037】
図2に戻り、現在位置検出部112は、磁気成分減算部110により減算された磁気成分に基づいて、移動部材14の現在位置を検出する機能を有する。現在位置検出部112は、目標位置演算部102と同様に、駆動制御装置100のマイクロコンピュータ120に備えられていてもよい。現在位置検出部112は、検出した現在位置を制御部104に提供する。
【0038】
制御部104は、移動部材14が目標位置演算部102により演算された制御目標位置に追従するように、移動部材14の現在位置と制御目標位置との差分に応じて移動部材14の駆動を制御する機能を有する。制御部104は、例えば、サーボ回路などを例示することができる。また、現在位置と制御目標位置との差分は、マイコン120により演算して、演算結果を制御部104に提供するようにしてもよい。
【0039】
制御部104は、移動部材駆動部106の駆動を制御することにより、間接的に移動部材14の駆動を制御している。移動部材駆動部106が駆動されると、移動部材駆動部106から磁気が発生し、発生した磁気成分が検出されて、移動部材14の現在位置が検出される。そして、再び検出された現在位置と制御目標位置との比較が行われて、制御部104により移動部材14の駆動を制御するフィードバック制御となっている。以上、駆動制御装置100の機能構成について説明した。
【0040】
本実施形態によれば、移動部材を駆動する移動部材駆動部106から発生する磁気成分を検出して、検出された磁気成分から制御を不安定化させる所定の磁気成分を磁気成分減算部110により減算する。制御部104は、目標位置演算部102により演算された制御目標位置と、磁気成分減算部110により減算された磁気成分に基づいて検出された現在位置とを比較して、移動部材14が、制御目標位置に追従するように、移動部材の駆動を制御する。これにより、磁気成分検出部108を構成するホール素子20をコイル18から発生する磁気成分の影響を受ける場所や、その影響を受けやすい場所に設置することができる。したがって、ホール素子専用の磁石を設けたり、磁石を大きくしたりする必要がなく、磁石のコストダウン、駆動制御装置100の縮小化が実現して、かつ安定したサーボ性能を確保することができる。
【0041】
次に、本実施形態の駆動制御装置100における駆動制御方法について説明する。図5は、駆動制御装置100における駆動制御方法を示すフローチャートである。図5に示したように、まず、ジャイロセンサ等により検出された手振れ振動に基づいて、制御目標位置を演算する(S102)。そして、ホール素子20などにより構成される磁気成分検出部108により、移動部材駆動部106の磁気成分が検出される(S104)。上記したように、移動部材駆動部106は、磁石16およびコイル18が含まれており、ステップS104において、磁石16およびコイル18から発生される磁気成分が検出される。ステップS104において検出された磁気成分から、駆動制御装置100の制御を不安定化させる所定の磁気成分を減算する(S106)。上記したように、ステップS106において減算される磁気成分は、コイル18から発生される磁気成分に基づくものである。
【0042】
ステップS106において減算された磁気成分から、移動部材14の現在位置を検出する(S108)。移動部材14は、移動部材駆動部106により駆動されるため、移動部材14の現在位置は、移動部材駆動部106の現在位置を検出することにより検知することができる。そして、ステップS102において演算された制御目標位置と、ステップS110において検出された現在位置との差分を算出する(S110)。ステップS110において、現在位置と制御目標位置との差があるか否かが判定される(S112)。ステップS112において現在位置と制御目標位置との差がないと判定された場合、すなわち、移動部材14が制御目標位置に駆動された場合には、処理を終了する。一方、ステップS112において、現在位置と制御目標位置との差があると判定された場合には、ステップS104〜ステップS112までの処理を再度実施する。以上、本実施形態の駆動制御装置100における駆動制御方法について説明した。
【0043】
次に、図6に基づいて、一般的な手振れ補正制御について説明する。図6は、一般的な手振れ補正制御を示すブロック図である。図6に示したように、ジャイロセンサ302により検知された手振れ振動は、アンプ304により増幅された後、マイクロコンピュータ306に入力される。また、ホールセンサ318によりCCDやレンズ314の位置が検出され、ホールセンサ318から出力された信号も、アンプ316により増幅された後、マイクロコンピュータ306に入力される。マイクロコンピュータ306は、ジャイロセンサ302から入力された手振れ振動に基づいて、アクチュエータ312の駆動を補正するための移動距離を算出する。そして、マイクロコンピュータ306は、算出した値と、ホールセンサ318により検出された値とを比較して、比較結果をサーボ回路308に入力する。
【0044】
サーボ308は、入力された比較結果に基づいて、ドライバ310を用いてアクチュエータ312を目標の位置へと可動させる。このとき、サーボ308は、適切にアクチュエータ312の駆動を制御するための振幅特性(ゲイン)や位相特性などの駆動制御装置30の制御特性を制御している。ゲインとは、周波数に対する出力の入力に対する振幅比であり、位相特性とは、入力と出力との位相差である。ゲインや位相特性を制御することにより、サーボループの安定化を図ることができる。サーボループの安定化を図るためのゲインおよび位相特性については後で詳細に説明する。
【0045】
ドライバ310によりアクチュエータ312が可動すると、可動した位置情報がホールセンサ318にて検知され、再びマイクロコンピュータ306からの制御目標値と比較され、サーボ308に提供される。このように、図6に示した手振れ補正制御は、マイクロコンピュータ306により算出された制御目標値とアクチュエータ312の現在位置情報とが比較されながら、手振れが補正されるというフィードバック制御となっている。以上、一般的な手振れ補正制御について説明した。
【0046】
次に、図7に基づいて、制御装置の安定性について説明する。図7は、サーボのオープンループ特性の一例を示したグラフである。図7はボード線図であり、横軸に周波数の対数、縦軸にdb単位で表した開ループ伝達関数のゲインと位相角をとり、ゲイン曲線と位相曲線を同時に表したものである。図7に示したように、ゲインが0dbを切る点をゲイン交点といい、位相曲線が−180°の切る点を位相交点という。また、位相特性が−180°と交差する周波数におけるゲインの0dbからの下がり量をゲイン余裕といい、ゲインが0dbと交差する周波数における位相特性の−180dbからの上がり量を位相余裕という。ゲイン余裕や位相余裕が小さいと、発振現象が起こりやすくなり、サーボループが不安定となる。以上より、サーボループが不安定となる条件は、以下のとおりである。
(1)ゲインが0dbのとき、位相特性が−180°に近づく場合
(2)位相特性が−180°のとき、ゲインが0dbに近づく場合
【0047】
図7のゲイン曲線のうち、実線aはコイル18から発生する磁気の影響がある場合のゲイン曲線であり、実線bはコイル18から発生する磁気の影響がない場合のゲイン曲線である。図7より、実線aはゲイン余裕が小さく、実線bはゲイン余裕が大きいことがわかる。すなわち、コイル18から発生する磁気の影響がある場合には、発振現象が起こりやすくなり、サーボループが不安定となる傾向があることがわかる。そこで、本実施形態においては、コイル18から発生する磁気を減算して、サーボループの安定化を図っている。
【0048】
上記したように、本実施形態の制御部104の一例であるサーボ308は、振幅特性(ゲイン)や位相特性などを制御しているが、振幅特性や位相特性は、ホールセンサ318により検出される磁気の影響だけでなく、増幅器(アンプ)やサーボ308自体の影響も受ける。したがって、本実施形態における駆動制御装置100においては、主にコイル18から発生する磁気を減算しているが、コイル18から発生する磁気だけでなく、駆動制御装置100を不安定にさせ、発振の原因となる磁気成分を磁気成分検出部108において検出された磁気成分から減算する必要がある。そこで、以下に減算すべき磁気成分を検知する方法について説明する。
(第1実施形態)
【0049】
図8に基づいて、第1実施形態にかかる駆動制御装置300による減算すべき磁気成分を検知する方法について説明する。図8は、第1実施形態にかかる駆動制御装置300の機能構成を示すブロック図である。ホールセンサ322は、図2の磁気成分検出部と同様の機能を有し、ドライバ334は図2の移動部材駆動部106と同様の機能を有し、アクチュエータ336は図2の移動部材14と同様の機能を有するため、詳細な説明は省略する。第1実施形態においては、センシングフィルタを用いてコイルから発生する磁気を補正(減算)しているため、本実施形態において特徴的な機能について詳細に説明する。
【0050】
センシングフィルタ330は、ドライバ334に入力される信号から、制御を不安定にさせる磁気成分を抽出する機能を有する。図9は、センシングフィルタ330の一例である。また、図10は、センシングフィルタ330の周波数特性である。図2に示したように、周波数が400Hz以上の場合にコイルから発生する磁気が大きく影響する。したがって、センシングフィルタ330は、周波数400Hz以上のコイルから発生する磁気を抽出する必要がある。具体的には、カットオフ周波数が300Hzの1次ハイパスフィルタ(HPF)とカットオフ周波数が3kHzとするローパスフィルタ(LPF)を組み合わせた回路構成である。カットオフ周波数は変更可能であり、ローパスフィルタを含まないで構成することも可能である。また、フィルター次数は1次とは限らず、ハイブースト、ローブーストフィルタに置き換えることもできる。
【0051】
図8に戻り、センシングフィルタ330により抽出された磁気成分は、アンプ332に提供される。アンプ332は、センシングフィルタ330により提供された磁気成分を適切に増幅した後、ホールアンプ324に提供する機能を有する。ホールアンプ324は、アンプ332から提供された磁気成分を減算する機能を有する。センシングフィルタ330とアンプ332とホールアンプ324は、図2の磁気成分減算部110の一例とすることができる。
【0052】
ホールアンプ324により、コイルから発生する磁気が減算されることにより、駆動制御装置300の制御が不安定となる条件を安定な条件に移行することができる。また、センシングフィルタ330より磁気成分を抽出する場所については、アクチュエータのコイルの端間、またはコイルに別途取り付けることで検知できる手段によって検出することもできる。さらに、磁気成分の減算については、ホールセンサ322に減算値を直接提供する方法や、サーボフィルタ326において磁気成分を減算することも可能である。また、回路の実現においては、アナログ回路、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)などを用いたデジタル回路として構成することもできる。以上、第1実施形態について説明した。第1実施形態によれば、ホール素子専用の磁石を設けたり、磁石を大きくしたりする必要がなく、磁石のコストダウン、駆動制御装置100の縮小化が実現して、かつ安定したサーボ性能を確保することができる。さらには、制御回路の簡素化を実現できる。
(第2実施形態)
【0053】
第1実施形態では、センシングフィルタ330において抽出した磁気成分は、アンプ332において適切に増幅されてホールアンプ324に提供されている。ここで、アンプ332における適切に増幅量を設定するためには、各々の装置のオープンループ特性を検出する必要がある。すなわち、装置1台1台のオープンループ特性がわからなければ、適切な回路を組み込むことができないという問題があった。そこで、第2実施形態においては、駆動制御装置を備えたカメラ等の装置を製造した後、テスト工程において、適切な増幅量を設定することができるようにした。
【0054】
本実施形態は、所定の周波数の正弦波を入力することによりコイルから発生する磁気を補正する。図11は、所定の周波数の正弦波を入力することによりコイルから発生する磁気を補正する駆動制御装置を説明するブロック図である。図11のアクチュエータ502は、図2の移動部材14と同様の機能を有し、位置検出器504は、図2の磁気成分検出部108と同様の機能を有し、手振れ制御回路506は、図2の制御部104と同様の機能を有し、マイコン508は、図2のマイクロコンピュータ120と同様の機能を有するため、詳細な説明は省略する。本実施形態において特徴的な機能を以下説明する。
【0055】
本実施形態では、マイコン508から、サーボ帯域を越える所定の周波数(例えば400Hz)の正弦波を手振れ制御回路506に入力することによりアクチュエータを可動させ、位置検出器504に含まれるホールセンサの出力信号をマイコンにて観察する。そして、マイコンでコイル18から発生する磁気成分を観測することができ、磁気成分の観測値から、サーボループの安定化が図れるような適切な補正量を算出して、ホールセンサのアンプにて減算する。以上第2実施形態にかかる駆動制御装置500の機能について説明した。本実施形態によれば、予め装置のオープンループ特性を検出しなくとも、駆動制御装置を備えたカメラ等を製造した後に、コイルから発生する磁気成分を適切に増幅して、駆動制御装置の制御の安定化を図ることができる。
(第3実施形態)
【0056】
本実施形態では、電算処理によってコイルから発生する磁気成分の影響を回避している。図12は、電算処理によってコイルから発生する磁気成分の影響を回避する駆動制御装置600の構成を示したブロック図である。本実施形態の特徴的な機能について以下説明する。駆動制御装置600においては、ホール素子による位置信号を、A/D602においてアナログデジタル変換処理後、所望の制御特性を得るように、イコライザ604においてフィルタリング処理がなされる。そして、イコライザ604から出力された信号を、D/A606においてデジタルアナログ変換して、他の駆動信号処理部608へ入力している。
【0057】
駆動制御装置600は、コイルから発生する磁気成分の影響を回避するために、イコライザ604におけるフィルタリング処理の結果をモニタリング614において観察して、駆動制御装置600の制御を不安定にする信号を検出する。そして、D/Aオフセット612は、D/A606への入力値、または他の駆動信号処理部608への入力値に対してモニタリング614において検出された信号を、デジタルアナログ変換して、減算(OFFSET)する。または、A/Dオフセット610により、A/D602によって検出された位置信号がアナログデジタル変換された後のデータに対してモニタリング614において検出された信号を減算(OFFSET)する。以上、第3実施形態について説明した。
【0058】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0059】
例えば、上記実施形態では、カメラの手振れを補正するために搭載された手振れ補正用の移動部材の駆動制御の駆動制御に適用したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、磁石とコイルを利用して駆動を制御する際に、ホール素子を用いて駆動位置を検出する駆動制御システム全般に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態にかかる駆動制御装置を備えたカメラの一断面図である。
【図2】同実施形態にかかる駆動制御装置の機能構成を示したブロック図である。
【図3】同実施形態にかかるコイルから発生する磁気について説明する説明図である。
【図4】同実施形態にかかるホール素子の出力信号を測定した結果を示したグラフである。
【図5】同実施形態にかかる駆動制御装置における駆動制御方法を示すフローチャートである。
【図6】一般的な手振れ補正制御を示すブロック図である。
【図7】オープンループ特性の一例を示したグラフである。
【図8】第1の実施形態にかかる駆動制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【図9】同実施形態にかかるセンシングフィルタの一例である。
【図10】同実施形態にかかるセンシングフィルタの周波数特性である。
【図11】第2の実施形態にかかる駆動制御装置の構成を示したブロック図である。
【図12】第3の実施形態にかかる駆動制御装置の構成を示したブロック図である。
【符号の説明】
【0061】
10 カメラ
12 レンズ
14 移動部材
16 磁石
18 コイル
20 ホール素子
100 駆動制御装置
102 目標位置演算部
104 制御部
106 移動部材駆動部
108 磁気成分検出部
110 磁気成分減算部
112 現在位置検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動部材を駆動するための移動部材駆動部と、
前記移動部材の制御目標位置を演算する目標位置演算部と、
前記移動部材駆動部から発生する磁気成分を検出する磁気成分検出部と、
前記磁気成分検出部により検出された磁気成分から所定の磁気成分を減算する磁気成分減算部と、
前記磁気成分減算部により減算された磁気成分に基づいて、前記移動部材の現在位置を検出する現在位置検出部と、
前記移動部材が前記目標位置演算部により演算された前記制御目標位置に追従するように、前記現在位置と前記制御目標位置との差分に応じて前記移動部材の駆動を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする、駆動制御装置。
【請求項2】
前記移動部材駆動部は、
磁石と、前記磁石と対向して設けられるコイルと、を備え、
前記磁気成分検出部により検出される磁気成分は、前記磁石および前記コイルから発生する磁気成分であり、
前記磁気成分減算部は、前記コイルから発生する所定の周波数帯域の磁気成分を、前記磁気成分検出部により検出された磁気成分から減算する
ことを特徴とする、請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、磁気成分に基づいて前記移動部材駆動部を制御しており、
前記磁気成分減算部は、前記制御部から前記移動部材駆動部に入力される磁気成分を所定のバンドパスフィルタにより抽出し、抽出した当該磁気成分を前記磁気成分検出部により検出された磁気成分から減算する
ことを特徴とする、請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項4】
前記バンドパスフィルタのカットオフ周波数は、前記駆動制御装置の制御特性に基づいて設定される
ことを特徴とする、請求項3に記載の駆動制御装置。
【請求項5】
前記バンドパスフィルタは、カットオフ周波数を300Hzとするハイパスフィルタと、カットオフ周波数を3kHzとするローパスフィルタとを組み合わせた回路であることを特徴とする、請求項3に記載の駆動制御装置。
【請求項6】
前記磁気成分減算部は、前記制御部に所定の周波数の正弦波が入力された場合の前記移動部材駆動部により発生する所定の周波数帯域の磁気成分を、前記磁気成分検出部により検出された磁気成分から減算する
ことを特徴とする、請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項7】
前記磁気成分減算部は、前記制御部に所定の周波数の正弦波が入力されることにより検出される前記駆動制御装置の制御特性に基づいて磁気成分を算出し、当該算出された磁気成分を、前記磁気成分検出部により検出された磁気成分から減算する
ことを特徴とする、請求項6に記載の駆動制御装置。
【請求項8】
前記制御部に入力される正弦波は、周波数400Hzの正弦波である
ことを特徴とする、請求項6に記載の駆動制御装置。
【請求項9】
移動部材の制御目標を演算するステップと、
前記移動部材を駆動するための移動部材駆動部から発生する磁気成分を検出するステップと、
前記検出された磁気成分から所定の磁気成分を減算するステップと、
前記減算された磁気成分に基づいて、前記移動部材の現在位置を検出するステップと、
前記移動部材が前記制御目標位置に追従するように、前記現在位置と前記制御目標位置の差分に応じて前記移動部材の駆動を制御するステップと、
を含むことを特徴とする、駆動制御方法。
【請求項10】
レンズまたは撮像素子と、前記レンズまたは前記撮像素子を移動させる移動部材を備えた撮像装置であって、
前記撮像装置の振動を検出する振動検出部と、
前記振動検出部により検出された振動に基づいて前記移動部材の制御目標位置を演算する目標位置演算部と、
前記移動部材を駆動するための移動部材駆動部と、
前記移動部材駆動部から発生する磁気成分を検出する磁気成分検出部と、
前記磁気成分検出部により検出された磁気成分から所定の磁気成分を減算する磁気成分減算部と、
前記磁気成分減算部により減算された磁気成分に基づいて、前記移動部材の現在位置を検出する現在位置検出部と、
前記移動部材が前記目標位置演算部により演算された前記制御目標位置に追従するように、前記現在位置と前記制御目標位置との差分に応じて前記移動部材の駆動を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする、撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−159722(P2009−159722A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334651(P2007−334651)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】