説明

駆動装置、プリントヘッド及び画像形成装置

【課題】同時点灯する複数の発光サイリスタのゲート間に流れる回り込み電流を略ゼロにして、発光出力の変動を防止する。
【解決手段】多数の発光サイリスタが配列され、これらが複数の組(例えば、偶数と奇数の組)に分けられ、各組の発光サイリスタ列が、複数のドライバ181により、各組毎に時分割に駆動されるプリントヘッドにおいて、同一組に属する発光サイリスタ列における各発光サイリスタのゲートを、複数の発光サイリスタのゲート間を電気的に分離するための分離回路としての個別のバッファ(例えば、163)を介して、共通配線GLにそれぞれ接続して共通に駆動する構成になっている。そのため、同時点灯する発光サイリスタのゲート間に流れる回り込み電流を略ゼロにすることができる。これにより、回り込み電流が流れることで生じる発光出力の変動を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被駆動素子である3端子発光素子(例えば、発光素子である発光サイリスタ等)が複数配列された発光素子アレイを選択的に、且つサイクル毎に時分割駆動を行う駆動装置と、この駆動装置を有するプリントヘッドと、このプリントヘッドを有する電子写真プリンタ等の画像形成装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、下記の特許文献1に記載されているように、画像形成装置(例えば、電子写真プロセスを用いた電子写真プリンタ)における露光装置に用いられるプリントヘッドにおいては、多数の発光サイリスタを配列して発光素子アレイを構成している。多数の発光サイリスタは、ゲートが共通配線にそれぞれ接続され、そのアノードとゲート同士が並列に接続され、駆動回路により、そのアノード・カソード間に駆動電流を流すか否かにより、発光/非発光状態を切り替えて、点灯させる発光サイリスタを時分割に切り替える構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−194978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のプリントヘッドにおいては、発光サイリスタの総数が数千個に及び、同時に点灯する発光サイリスタも多数に及ぶため、同時に点灯する発光サイリスタのゲート間に回り込み電流を生じ、それによって発光サイリスタのアノード・カソード間に流れる駆動電流に増減を生じ、発光出力が変動してしまう。その結果、前記プリントヘッドを用いた画像形成装置では、印刷濃度にむらを生じてしまい、十分な印刷品位を得ることができないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の駆動装置は、各々、電源と接続される第1端子と、前記第1端子との間に駆動電流を流すための第2端子と、前記第1端子及び前記第2端子間の導通状態を制御する制御端子とを有し、前記第1端子同士が共通接続された複数の3端子発光素子が、複数の組に分けられ、前記各組における前記複数の3端子発光素子を前記各組毎に時分割に駆動する駆動装置であって、前記各3端子発光素子の前記第2端子に対して前記駆動電流をそれぞれ供給する複数の駆動回路と、前記各組における前記複数の3端子発光素子の前記制御端子を共通接続する共通配線と、複数の分離回路とを有することを特徴とする。
【0006】
前記複数の分離回路は、各々、前記共通配線に接続される第3端子と前記各3端子発光素子の前記制御端子に接続される第4端子とを有し、前記第3端子又は前記第4端子にそれぞれ入力される信号のレベルをシフトして前記第4端子又は前記第3端子からそれぞれ出力する回路である。
【0007】
本発明のプリントヘッドは、複数の3端子発光素子(例えば、発光サイリスタ)と、前記発明の駆動装置とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の画像形成装置は、前記発明のプリントヘッドを備え、前記プリントヘッドにより露光されて記録媒体に画像を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の駆動装置及びプリントヘッドによれば、複数の3端子発光素子の制御端子間に電気的な分離手段としての分離回路を設けたので、同時点灯する3端子発光素子の制御端子間に流れる回り込み電流を略ゼロにすることができる。これにより、回り込み電流が流れることで生じる発光出力の変動を未然に防止できる。
【0010】
本発明の画像形成装置によれば、前記発光出力の変動を防止できるので、プリントヘッドに起因する印刷濃度むらを解消して、印刷品位に優れた画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明の実施例1における図6中のドライバIC100の詳細な構成を示すブロック図である。
【図2】図2は本発明の実施例1における画像形成装置を示す概略の構成図である。
【図3】図3は図2中のプリントヘッド13の構成を示す概略の断面図である。
【図4】図4は図3中の基板ユニットを示す斜視図である。
【図5】図5は図2の画像形成装置1におけるプリンタ制御回路の構成を示すブロック図である。
【図6】図6は図5中のプリントヘッド13の回路構成を示すブロック図である。
【図7】図7は図6中の発光サイリスタ210を示す構成図である。
【図8】図8は図1中のメモリ回路151の構成を示す回路図である。
【図9】図9は図1中のマルチプレクサ161の構成を示す回路図である。
【図10】図10は図1中のドライバ181の構成を示す回路図である。
【図11】図11は図1中の制御回路141の構成を示す回路図である。
【図12】図12は図1中の制御回路142の構成を示す回路図である。
【図13】図13は図1中の制御電圧発生回路170の構成を示す回路図である。
【図14】図14は図1中の個別のバッファ163の構造を示す模式図であり、
【図15】図15は図6のプリントヘッド13に対して行われる補正データ転送処理と、その後に行われる印刷データ転送の様子を概略的に示すタイミングチャートである。
【図16】図16は図6のプリントヘッド13を用いて印刷を行う場合の動作を示すタイミングチャートである。
【図17】図17は図15のA部とB部の詳細を示すタイミングチャートである。
【図18】図18は図15のC部とD部の詳細を示すタイミングチャートである。
【図19】図19は図15のE部とF部の詳細を示すタイミングチャートである。
【図20】図20は図15のG部とH部の詳細を示すタイミングチャートである。
【図21−1】図21−1は図7に示す発光サイリスタ210のターンオン過程を示す動作説明図である。
【図21−2】図21−2は本実施例1に対する比較例を示す動作説明図である。
【図21−3】図21−3は図7に示す複数の発光サイリスタ210が同時に点灯した場合の挙動を示す動作説明図である。
【図22】図22は本発明の実施例2における個別のバッファの構造を示す模式図である。
【図23−1】図23−1は図7に示す発光サイリスタ210のターンオン過程を示す動作説明図である。
【図23−2】図23−2は図7に示す複数の発光サイリスタ210が同時に点灯した場合の挙動を示す動作説明図である。
【図24】図24は本発明の実施例2における個別のバッファの変形例1を示す模式図である。
【図25】図25は本発明の実施例2における個別のバッファの変形例2を示す模式図である。
【図26】図26は本発明の実施例2における個別のバッファの変形例3を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0013】
(実施例1の画像形成装置)
図2は、本発明の実施例1における画像形成装置を示す概略の構成図である。
【0014】
この画像形成装置1は、被駆動素子(例えば、発光素子としての3端子発光素子である発光サイリスタ)を用いた3端子発光素子アレイとしての発光素子アレイを有する露光装置(例えば、プリントヘッド)が搭載されたタンデム型電子写真カラープリンタであり、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色の画像を各々に形成する4つのプロセスユニット10−1〜10−4を有し、これらが記録媒体(例えば、用紙)20の搬送経路の上流側から順に配置されている。各プロセスユニット10−1〜10−4の内部構成は共通しているため、例えば、マゼンタのプロセスユニット10−3を例にとり、これらの内部構成を説明する。
【0015】
プロセスユニット10−3には、像担持体としての感光体(例えば、感光体ドラム)11が図2中の矢印方向に回転可能に配置されている。感光体ドラム11の周囲には、この回転方向上流側から順に、感光体ドラム11の表面に電荷を供給して帯電させる帯電装置12と、帯電された感光体ドラム11の表面に選択的に光を照射して静電潜像を形成する露光装置としてのプリントヘッド13が配設されている。更に、静電潜像が形成された感光体ドラム11の表面に、マゼンタ(所定色)のトナーを付着させて顕像を発生させる現像器14と、感光体ドラム11上のトナーの顕像を転写した際に残留したトナーを除去するクリーニング装置15が配設されている。なお、これら各装置に用いられているドラム又はローラは、図示しない駆動源からギア等を経由して動力が伝達され回転する。
【0016】
画像形成装置1の下部には、用紙20を堆積した状態で収納する用紙カセット21が装着され、その上方に、用紙20を1枚ずつ分離させて搬送するためのホッピングローラ22が配設されている。用紙20の搬送方向におけるホッピングローラ22の下流側には、ピンチローラ23,24と共に用紙20を挟持することによってこの用紙20を搬送する搬送ローラ25と、用紙20の斜行を修正し、プロセスユニット10−1に搬送するレジストローラ26とが配設されている。これらのホッピングローラ22、搬送ローラ25及びレジストローラ26は、図示しない駆動源からギア等を経由して動力が伝達され回転する。
【0017】
プロセスユニット10−1〜10−4の各感光体ドラム11に対向する位置には、それぞれ半導電性のゴム等によって形成された転写ローラ27が配設されている。各転写ローラ27には、感光体ドラム11上に付着されたトナーによる顕像を用紙20に転写する転写時に、各感光体ドラム11の表面電位とこれら各転写ローラ27の表面電位に電位差を持たせるための電位が印加されている。
【0018】
プロセスユニット10−4の下流には、定着器28が配設されている。定着器28は、加熱ローラとバックアップローラとを有し、用紙20上に転写されたトナーを加圧・加熱することによって定着する装置であり、この下流に、排出ローラ29,30、排出部のピンチローラ31,32、及び用紙スタッカ部33が設けられている。排出ローラ29,30は、定着器28から排出された用紙20を、排出部のピンチローラ31,32と共に挟持し、用紙スタッカ部33に搬送する。これらの定着器28及び排出ローラ29等は、図示しない駆動源からギア等を経由して動力が伝達されて回転する。
【0019】
このように構成される画像形成装置1は、次のように動作する。
先ず、用紙カセット21に堆積した状態で収納されている用紙20が、ホッピングローラ22によって、上から1枚ずつ分離されて搬送される。続いて、この用紙20は、搬送ローラ25、レジストローラ26及びピンチローラ23,24に挟持されて、プロセスユニット10−1の感光体ドラム11と転写ローラ27の間に搬送される。その後、用紙20は、感光体ドラム11及び転写ローラ27に挟持され、その記録面にトナー像が転写されると同時に感光体ドラム10−1の回転によって搬送される。同様にして、用紙20は、順次プロセスユニット10−2〜10−4を通過し、その通過過程で、各プリントヘッド13により形成された静電潜像を各現像器14によって現像した各色のトナー像が、その記録面に順次転写されて重ね合わされる。
【0020】
このようにして記録面上に各色のトナー像が重ね合わされた後、定着器28によってトナー像が定着された用紙20は、排出ローラ29,30及びピンチローラ31,32に挟持されて、画像形成装置1の外部の用紙スタッカ部33に排出される。以上の過程を経て、カラー画像が用紙20上に形成される。
【0021】
(実施例1のプリントヘッド)
図3は、図2中のプリントヘッド13の構成を示す概略の断面図である。図4は、図3中の基板ユニットを示す斜視図である。
【0022】
図3に示すプリントヘッド13は、ベース部材13aを有し、このベース部材13a上に、図4に示す基板ユニットが固定されている。基板ユニットは、ベース部材13a上に固定されるプリント基板13bと、このプリント基板13b上に接着剤等で固定され、シフトレジスタ等が集積された複数の駆動装置(例えば、ドライバ集積回路、以下「ドライバIC」という。)100と、この各ドライバIC100上に接着剤等で固定された複数のチップ状の発光素子列(例えば、発光サイリスタ列)からなる発光素子アレイ200とにより構成されている。各発光素子アレイ200と各ドライバIC100とは、図示しない薄膜配線等により電気的に接続され、更に、各ドライバIC100中の複数の端子とプリント基板13b上の図示しない配線パッドとが、ボンディングワイヤ13gにより電気的に接続されている。
【0023】
複数の発光素子アレイ200上には、柱状の光学素子を多数配列してなるレンズアレイ(例えば、ロッドレンズアレイ)13cが配置され、このロッドレンズアレイ13cがホルダ13dにより固定されている。ベース部材13a、プリント基板13b及びホルダ13dは、クランプ部材13e,13fにより固定されている。
【0024】
(プリンタ制御回路)
図5は、図2の画像形成装置1におけるプリンタ制御回路の構成を示すブロック図である。
【0025】
このプリンタ制御回路は、画像形成装置1における印字部の内部に配設された印刷制御部40を有している。印刷制御部40は、マイクロプロセッサ、読み出し専用メモリ(ROM)、随時読み書き可能なメモリ(RAM)、信号の入出力を行う入出力ポート、及びタイマ等によって構成され、図示しない画像処理部からの制御信号SGl、及びビデオ信号(ドットマップデータを一次元的に配列したもの)SG2等によって画像形成装置全体をシーケンス制御して印刷動作を行う機能を有している。印刷制御部40には、プロセスユニット10−1〜10−4の4個のプリントヘッド13、定着器28のヒータ28a、ドライバ41,43、用紙吸入口センサ45、用紙排出口センサ46、用紙残量センサ47、用紙サイズセンサ48、定着器用温度センサ49、帯電用高圧電源50、及び転写用高圧電源51等が接続されている。ドライバ41には現像・転写プロセス用モータ(PM)42が、ドライバ43には用紙送りモータ(PM)44が、帯電用高圧電源50には現像器14が、転写用高圧電源51には転写器27が、それぞれ接続されている。
【0026】
このような構成のプリンタ制御回路では、次のような動作を行う。
印刷制御部40は、図示しない画像処理部からの制御信号SGlによって印刷指示を受信すると、先ず、温度センサ49によって定着器28内のヒータ28aが使用可能な温度範囲にあるか否かを検出し、温度範囲になければヒータ28aに通電し、使用可能な温度まで定着器28を加熱する。次に、ドライバ41を介して現像・転写プロセス用モータ42を回転させ、同時にチャージ信号SGCによって帯電用高圧電源50をオン状態にし、現像器14の帯電を行う。
【0027】
そして、セットされている図2中の用紙20の有無及び種類が用紙残量センサ47、用紙サイズセンサ48によって検出され、その用紙20に合った用紙送りが開始される。ここで、用紙送りモータ44には、図示しない遊星ギア機構が接続されており、ドライバ43を介して双方向に回転させることが可能になっている。そのため、用紙送りモータ44の回転方向を変えることにより、画像形成装置内部の異なる用紙送り用の搬送ローラ25等を選択的に駆動することができる構成となっている。
【0028】
用紙1ページの印刷開始毎に、用紙送りモータ44を最初に逆転させて、用紙吸入口センサ45が検知するまで、セットされた用紙20を予め設定された量だけ送る。続いて、正回転させて用紙20を画像形成装置内部の印刷機構内に搬送する。
【0029】
印刷制御部40は、用紙20が印刷可能な位置まで到達した時点において、図示しない画像処理部に対してタイミング信号SG3(主走査同期信号、副走査同期信号を含む)を送信し、ビデオ信号SG2を受信する。画像処理部においてページ毎に編集され、印刷制御部40に受信されたビデオ信号SG2は、印刷データHD−DATA3〜HD−DATA0として各プリントヘッド13に転送される。各プリントヘッド13は、それぞれ1ドット(ピクセル)の印字のために設けられた発光サイリスタを複数個線状に配列したものである。
【0030】
印刷制御部40は、1ライン分のビデオ信号SG2を受信すると、各プリントヘッド13にラッチ信号HD−LOADを送信し、印刷データHD−DATA3〜HD−DATA0を各プリントヘッド13内に保持させる。又、印刷制御部40は、画像処理部から次のビデオ信号SG2を受信している最中においても、各プリントヘッド13に保持した印刷データHD−DATA3〜HD−DATA0について印刷することができる。
【0031】
なお、印刷制御部40から各プリントヘッド13に送信されるクロック信号(以下単に「クロック」という。)HD−CLK、主走査同期信号HD−HSYNC−N(但し、「−N」は負論理信号を意味する。)、及び駆動オン/オフ指令信号(例えば、ストローブ信号)HD−STB−Nの内、クロックHD−CLKは、印刷データHD−DATA3〜HD−DATA0をプリントヘッド13へ送信するための信号である。
【0032】
ビデオ信号SG2の送受信は、印刷ライン毎に行われる。プリントヘッド13からの発光は、負電位に帯電された感光体ドラム11上に照射される。これにより、印刷される情報は、感光体ドラム11上において電位の上昇したドットとして潜像化される。そして、現像器14において、負電位に帯電された画像形成用のトナーが、電気的な吸引力によって各ドットに吸引され、トナー像が現像形成される。
【0033】
その後、トナー像は転写器27へ送られ、一方、転写信号SG4によって正電位に転写用高圧電源51がオン状態になり、転写器27は感光体ドラム11と転写器27との間隔を通過する用紙20上にトナー像を転写する。転写されたトナー像を有する用紙20は、ヒータ28aを内蔵する定着器28に当接して搬送され、この定着器28の熱によって用紙20に定着される。この定着された画像を有する用紙20は、更に搬送されて画像形成装置1の印刷機構から用紙排出口センサ46を通過して画像形成装置外部へ排出される。
【0034】
印刷制御部40は、用紙サイズセンサ48、及び用紙吸入口センサ45の検知に対応して、用紙20が転写器27を通過している間だけ転写用高圧電源51からの電圧を転写器27に印加する。印刷が終了し、用紙20が用紙排出口センサ46を通過すると、帯電用高圧電源50による現像器14への電圧の印加を終了し、同時に現像・転写プロセス用モータ42の回転を停止させる。以後、上記の動作を繰り返す。
【0035】
(プリントヘッドの回路構成)
図6は、図5中のプリントヘッド13の回路構成を示すブロック図である。
【0036】
このプリントヘッド13は、例えば、A4サイズの用紙に1インチ当たり600ドットの解像度で印刷可能な構成になっている。発光サイリスタ210(=210−1〜210−192,・・・)の総数は4992ドットであり、これを構成するために26個の発光素子アレイ200(=200−1,200−2,・・・)が配列されている。各発光素子アレイ200は、各々192個の発光サイリスタ210(=210−1〜210−192)を有し、各発光素子アレイ200内の各発光サイリスタ210において、第1端子(例えば、カソード)は電源(例えば、グランドGND)に共通接続され、隣接して配置される2つの発光サイリスタ210−1,210−2,・・・の第2端子(例えば、アノード)同士が接続されており、奇数(ODD)番目の発光サイリスタ210−1,・・・と偶数(EVEN)番目の発光サイリスタ210−2,・・・とは時分割に駆動される。
【0037】
26個の各発光素子アレイ200に対応して、駆動装置としての26個のドライバIC100(=100−1,100−2,・・・)が配列されている。これらの26個の各ドライバIC100は、同一の回路により構成され、隣接するドライバIC100−1,100−2,・・・がカスケード接続(縦続接続)されている。
【0038】
各ドライバIC100は、データ入力用のDATAI3〜DATAI0端子、LOAD端子、CLK端子、VREF端子、STB端子、VDD端子、GND端子、HSYNC端子、データ出力用のDATAO3〜DATAO0端子、アノード駆動用のDO96〜DO1端子、及び各DO96〜DO1端子の近傍に配置されたゲート駆動用のG2,G1端子を有している。
【0039】
例えば、アノード駆動用のDO96端子とこの近傍に配置されたゲート駆動用のG2,G1端子において、DO96端子には、隣接して配置される奇数番目の発光サイリスタ210−191及び偶数番目の発光サイリスタ210−192のアノードが共通に接続され、G2端子には、偶数番目の発光サイリスタ210−192の第3端子(例えば、ゲート)が接続され、更に、G1端子には、奇数番目の発光サイリスタ210−191のゲートが接続され、それらの発光サイリスタ210−192,210−191のカソードがグランドGNDに共通に接続されている。同様に、他のDO95〜DO1端子とこの各端子の近傍に配置されたG2,G1端子とには、他の発光サイリスタ210が接続されている。
【0040】
なお、本実施例1に対応する参考例では、各ドライバIC100毎に共通のゲート駆動用のG2,G1端子が設けられ、この共通のG2端子が偶数番目の発光サイリスタ210−2〜210−192の各ゲートに共通に接続され、共通のG1端子が奇数番目の発光サイリスタ210−1〜210−191の各ゲートに共通に接続されている。
【0041】
次に、図6のプリントヘッド13の動作を説明する。
図6に示す構成においては、印刷データHD−DATA3〜HD−DATA0は4本であり、隣接する発光サイリスタ8個のうち、奇数番目同士あるいは偶数番目同士の4画素分のデータをクロックHD−CLK毎に同時に送出する構成になっている。このため、図5の印刷制御部40から出力される印刷データHD−DATA3〜HD−DATA0は、クロックHD−CLKと共にドライバIC100−1に入力され、前記の4992ドット分のビットデータDATAI0〜DATAI3,・・・が後述する各ドライバIC100内のフリッププロップ回路(以下「FF」という。)からなるシフトレジスタ中を順次転送される。
【0042】
次に、ラッチ信号HD−LOADが全ドライバIC100(=100−1,・・・)に入力され、前記の4992ドット分のビットデータDATAI0〜DATAI3,・・・が後述する各ドライバIC100内の各FFに対応して設けられたラッチ回路にラッチされる。続いて、ビットデータDATAI0〜DATAI3,・・・とストローブ信号HD−STB−Nとによって、各発光サイリスタ210の内、高レベル(以下「Hレベル」という。)であるドットデータのDO1,DO2,・・・端子に対応するものが点灯される。
【0043】
なお、全ドライバIC100には、電源電圧VDD、グランドGND電位、時分割駆動において奇数番目の発光サイリスタ駆動であるか偶数番目の発光サイリスタ駆動であるかの初期状態を設定するための主走査同期信号HD−HSYNC−N、及び、発光サイリスタ駆動のための駆動電流値を指令するための基準電圧VREFがそれぞれ供給される。基準電圧VREFは、プリントヘッド13内に設けられた図示しない基準電圧発生回路により発生される。
【0044】
(発光サイリスタの構成)
図7(a)〜(d)は、図6中の各発光サイリスタ210(=210−1〜210−192)を示す構成図であり、同図(a)はシンボル図、同図(b)は断面構造図、同図(c)は他の形態の断面構造図、及び、同図(d)は等価回路図である。
【0045】
図7(a)に示すように、発光サイリスタ210は、第2端子としてのアノードA、第1端子としてのカソードK、及び制御端子としてのゲートGの3つの端子を有している。
【0046】
図7(b)に示すように、発光サイリスタ210は、N型層211、P型層212、及びN型層213の3層構造からなり、N型層211にカソードK、N型層213にゲートG、及びN型層213内のP型不純物領域214にアノードAがそれぞれ形成されている。
【0047】
この3層構造からなる発光サイリスタ201は、例えば、GaAsウェハ基材を用い、MOCVD(Metal Organic-Chemical Vaper Deposition)法により、GaAsウェハ基材の上層に、以下のような処理により、所定の結晶をエピタキシャル成長させることで形成される。
【0048】
先ず、GaAsウェハ基材の上に、図示しない所定の犠牲層やバッファ層をエピタキシャル成長させた後、AlGaAs基材にN型不純物を含ませたN型層211と、P型不純物を含ませ成層したP型層212と、N型不純物を含ませたN型層213とを順に積層させたNPNの3層構造からなるウェハを形成する。次いで、最上層のN型層213の一部に、フォトリソグラフィ法を用いて選択的にP型不純物領域214を形成する。更に、ドライエッチング法により溝部を形成することで、素子分離を行う。又、前記エッチングの過程で発光サイリスタ210の最下層となるN型領域の一部を露出させ、このN型領域に金属配線を形成してカソードKを形成する。それと同時に、P型不純物領域214とN型層213にも、それぞれアノードAとゲートGが形成される。
【0049】
図7(c)に示す別の形態の発光サイリスタ210は、N型層211、P型層212、N型層213、及びP型層215の4層構造からなり、N型層211にカソードK、N型層213にゲートG、及びP型層215にアノードAがそれぞれ形成されている。
【0050】
この4層構造からなる発光サイリスタ210は、例えば、GaAsウェハ基材を用い、MOCVD法により、GaAsウェハ基材の上層に、以下のような処理により、所定の結晶をエピタキシャル成長させることで作成される。
【0051】
先ず、GaAs基材の上に、図示しない所定の犠牲層やバッファ層をエピタキシャル成長させた後、AlGaAs基材にN型不純物を含ませたN型層211と、P型不純物を含ませ成層したP型層212と、N型不純物を含ませたN型層213と、P型不純物を含ませ成層したP型層215を順に積層させたPNPNの4層構造のウェハを構成する。更に、ドライエッチング法を用いて溝部を形成することで素子分離を行う。又、前記エッチングの過程で発光サイリスタ210の最下層となるN型領域の一部を露出させ、この領域に金属配線を形成してカソードKを形成する。同様に、最上層となるP型領域の一部を露出させ、この領域に金属配線を形成してアノードAを形成する。それと同時に、N型層213にゲートGが形成される。
【0052】
図7(d)には、図7(b)、(c)と対比させて描いた発光サイリスタ210の等価回路が示されている。
【0053】
発光サイリスタ210は、PNPトランジスタ(以下「PNPTR」という。)221とNPNトランジスタ(以下「NPNTR」という。)222とからなり、PNPTR221のエミッタが発光サイリスタ210のアノードAに相当し、PNPTR221のベースが発光サイリスタ210のゲートGに対応しており、このゲートGはNPNTR222のコレクタにも接続されている。又、PNPTR221のコレクタはNPNTR222のベースと接続され、NPNTR222のエミッタが発光サイリスタ210のカソードKに相当している.
【0054】
なお、図7に示した発光サイリスタ210では、GaAsウェハ基材上にAlGaAs層を構成したものであるが、これに限定されるものではなく、他の半導体材料(例えば、GaP、GaAsP、AlGaInP等)を用いるものであっても良く、又はサファイヤ基板上に半導体材料(例えば、GaN、AlGaN等)を成膜したものであっても良い。
【0055】
このような発光サイリスタ210(=210−1,・・・)と図6中のドライバIC100(=100−1,・・・)とからなる複合チップは、例えば、次にようにして形成される。
【0056】
前記発光サイリスタ210は、例えば、エピタキシヤルボンディング法を用いて、図6中のドライバIC100を配列したICウエハと接着され、エッチング法により、不要箇所が除去されると共に、発光サイリスタ210の端子箇所が露出される。次いで、発光サイリスタ210の各端子予定箇所と、ドライバIC100の端子部とが、フォトリソグラフィ法により形成された薄膜配線を用いて接続される。その後、ダイシング法を用いて複数のチップに分離することで、発光サイリスタ210とドライバIC100とからなる複合チップが形成される。
【0057】
(ドライバICの全体構成)
図1は、本発明の実施例1における図6中のドライバIC100の詳細な回路構成を示すブロック図である。
【0058】
このドライバIC100は、カスケード接続された複数のFF111(=FF111A1〜FF111A25,FF111B1〜FF111B25,FF111C1〜FF111C25,FF111D1〜FF111D25)からなるシフトレジスタ110を有している。シフトレジスタ110は、CLK端子から入力されるクロックHD−CLKに同期して、DATAI3〜DATAI0端子から入力される印刷データHD−DATA3〜HD−DATA0を取り込んでシフトする回路である。
【0059】
ここで、FF111A1〜FF111A25は、カスケード接続されており、ドライバIC100のDATAI0端子はFF111Alのデータ入力用D端子に接続され、FF111A24とFF1111A25のデータ出力用Q端子はセレクタ(SEL)120のデータ入力用端子A0,B0に接続され、セレクタ120のデータ出力用Y0端子がドライバ1C100のデータ出力用DATAO0端子に接続されている。同様に、FF111Bl〜FF111B25、FF111Cl〜FF111C25、及びFF111Dl〜FF111D25も、それぞれカスケード接続されており、ドライバIC100のデータ入力用DATAI1,DATAI2,DATAI3端子が、FF111B1、FF111C1、及びFF111Dlのデータ入力用D端子にそれぞれ接続されている。FF111B24とFF111B25、FF111C24とFF111C25、FF111D24とFF111D25のデータ出力用Q端子も、セレクタ120のデータ入力用A1,A2,A3,B1,B2,B3端子にそれぞれ接続され、セレクタ120のデータ出力用Y1,Y2,Y3端子が、ドライバIC100のデータ出力用DATAO1,DATAO2,DATAO3端子にそれぞれ接続されている。
【0060】
これにより、FF111Al〜FF111A25、FF111Bl〜FF111B25、FF111C1〜FF111C25、及びFF111Dl〜FF111D25は、それぞれ25段のシフトレジスタ110を構成しており、セレクタ120により、シフトレジスタ110のシフト段数を24段と25段とに切り替えることが可能な構成になっている。そのため、各ドライバIC100−1,・・・のデータ出力用DATAO0〜DATAO3端子は、次段のドライバ1C100−2,・・・のデータ入力用DATAI0〜DATAI3端子にそれぞれ接続されることになる。従って、ドライバIC100−1〜100−26の全てで構成されるシフトレジスタ110,・・・は、図5の印刷制御部40から初段のドライバ1C100−1中の駆動回路としてのドライバ(DRV)181−1に入力される印刷データHD−DATA3を、クロックHD−CLKに同期してシフトさせる24×26段あるいは25×26段のシフトレジスタを構成している。
【0061】
シフトレジスタ110の出力側には、ラッチ回路部130及びメモリ回路部150の入力側が接続されている。ラッチ回路部130の出力側にはドライバ部180が接続され、メモリ回路部150の入力側に制御回路141が接続され、そのメモリ回路部150の出力側にマルチプレクサ部160が接続されている。マルチプレクサ部160の入力側には、制御回路142が接続されている。ドライバIC100のストローブ信号入力用STB端子には、プルアップ抵抗143及び論理反転用のインバータ144が接続され、更に、ドライバIC100のラッチ信号入力用LOAD端子に、信号反転用のインバータ145が接続されている。インバータ144,145の出力端子には、2入力の否定論理積回路(以下「NAND回路」という。)146の入力端子が接続され、このNAND回路146から出力される駆動オン/オフ制御信号DRVON−Nの出力端子に、ドライバ部180の入力側が接続されている。ドライバ部180の入力側には、駆動量指令手段(例えば、制御電圧発生回路)170も接続されている。
【0062】
ここで、ラッチ回路部130は、ラッチ信号入力用LOAD端子から入力されるラッチ信号LOAD−P(但し、「−P」は正論理信号を意味する。)により、シフトレジスタ110の出力信号をラッチする回路であり、複数のラッチ回路131(=131A1,131B1,131C1,131D1〜131A24,131B24,131C24,131D24)により構成されている。各ラッチ回路131は、データ入力用D端子、ラッチ信号入力用G端子、及び反転データ出力用QN端子をそれぞれ有し、これらの出力側に、ドライバ部180が接続されている。
【0063】
メモリ回路部150は、制御回路141によりアクセス制御され、発光サイリスタ210の光量ばらつき補正のための補正データ(即ち、ドット補正データ)や各発光素子アレイ200毎の光量補正データ(即ち、チップ補正データ)、もしくは各ドライバIC100毎の固有データを格納するものである。このメモリ回路部150は、複数のメモリ回路151(=151A1,151B1,151C1,151D1〜151A24,151B24,151C24,151D24)とメモリ回路152とにより構成されている。各メモリ回路151は、データ入力用D端子、信号入力用W0〜W3端子、信号入力用E1,E2端子、データ出力用EVN端子、及びODD端子をそれぞれ有している。更に、メモリ回路152は、データ入力用D端子、信号入力用W0〜W3端子、信号入力用E1端子、データ出力用Q0〜Q3端子を有している。このメモリ回路部150の出力側には、マルチプレクサ部160及び制御電圧発生回路170が接続されている。
【0064】
メモリ回路部150を制御する制御回路141は、ラッチ信号入力用LOAD端子、ストローブ信号入力用STB端子、信号出力用W0〜W3端子、及びE1,E2端子を有し、前記補正データを複数のメモリ回路151(=151A1,151B1,151C1,151D1〜151A24,151B24,151C24,151D24)やメモリ回路152に対して書き込みする時の書き込み指令信号をW0〜W3端子、及びE1,E2端子から出力する回路である。
【0065】
マルチプレクサ部160は、制御回路142により制御され、メモリ回路部150中の複数のメモリ回路151(=151A1,151B1,151C1,151D1〜151A24,151B24,151C24,151D24)から出力されるドット補正データにおいて、隣接した発光サイリスタドットの内、奇数番目ドットの補正データと偶数番目ドットの補正データとを切り替えるものであり、複数のマルチプレサ161(=161A1,161B1,161C1,161D1〜161A24,161B24,161C24,161D24)により構成されている。各マルチプレクサ161は、データ入力用EVN端子、ODD端子、信号入力用S1N,S2N端子、及びデータ出力用Q0〜Q3端子をそれぞれ有し、これらの出力側に、ドライバ部180が接続されている。
【0066】
マルチプレクサ部160を制御する制御回路142は、主走査同期信号入力用HSYNC端子、ラッチ信号入力用LOAD端子、及び信号出力用S1N,S2N端子を有し、マルチプレクサ部160に対し奇数番目ドットの補正データと偶数番目ドットの補正データとの切り替え指令信号をS1N,S2N端子から出力する回路である。S1N端子には、ゲート駆動用の共通のバッファ162−1と、共通配線GLと、各ゲート間の電気的な分離を行う分離回路(例えば、レベルシフト機能を有する複数の個別のバッファ)163(=163−1〜163−96)とを介して、奇数番目の各発光サイリスタ210−1,210−3,・・・のゲート駆動用のG1端子がそれぞれ接続されている。更に、S2N端子にも、ゲート駆動用の共通のバッファ162−2と、共通配線GLと、各ゲート間の電気的な分離を行う分離回路(例えば、レベルシフト機能を有する複数の個別のバッファ)164(=164−1〜164−96)とを介して、偶数番目の各発光サイリスタ210−2,210−4,・・・のゲート駆動用のG2端子がそれぞれ接続されている。ゲート駆動用の共通のバッファ162−1及び162−2は、同一の回路構成である。同様に、分離回路として個別のバッファ163(=163−1〜163−96)及び164(=164−1〜164−96)も、同一の回路構成である。
【0067】
ドライバ部180の入力側に接続された制御電圧発生回路170は、データ入力用S0〜S3端子、基準電圧入力用VREF端子、及び制御電圧出力用V端子を備え、例えば、図示しないレギュレータ回路等から発生された基準電圧VREFを入力し、発光サイリスタ駆動のための駆動量指令信号(例えば、制御電圧)VcontをV端子から発生してドライバ部180へ供給する機能を有している。この制御電圧発生回路170は、発光サイリスタ210の全点灯駆動時のように電源電圧VDDが一瞬降下するような状況においても、基準電圧VREFを所定値のままとでき、発光サイリスタ駆動電流の低下を発生させない構成になっている。
【0068】
ドライバ部180は、ラッチ回路部130、NAND回路146、マルチプレクサ部160、及び制御電圧発生回路170の出力信号に基づき、発光素子アレイ200を駆動するための駆動電流を複数のアノード駆動用DO1〜DO96端子から出力する回路であり、駆動回路としての複数のドライバ181(=181−1〜181−96)により構成されている。各ドライバ181は、データ入力用Q0〜Q3端子、E端子、信号入力用S端子、制御電圧入力用V端子、及び駆動電流出力用DO端子をそれぞれ有している。
【0069】
このドライバ部180の各信号入力用S端子に共通接続されたNAND回路146には、STB端子に入力されるストローブ信号HD−STB−Nと、LOAD端子に入力されるラッチ信号LOAD−Pとが、インバータ144,145を介して入力され、このNAND回路146から駆動オン/オフ制御信号DRVON−Nが出力されてドライバ部180に供給される構成になっている。
【0070】
(図1中のメモリ回路)
図8は、図1中のメモリ回路151の構成を示す回路図である。
【0071】
図8のメモリ回路151(例えば、151A1)では、発光サイリスタ光量補正のためのドット補正データは4ビットであり、発光サイリスタ駆動電流をドット毎に16段階に調整することで光量補正を行うものとしている。
【0072】
このメモリ回路151A1には、隣接する2個(2ドット)のメモリセル回路300−1,300−2が示されている。左側のメモリセル回路300−1は、奇数番目のドット(例えば、ドットNo.1)の補正データを格納するものであり、右側のメモリセル回路300−2は、偶数番目のドット(例えば、ドットNo.2)の補正データを格納するためのものである。
【0073】
メモリ回路151A1は、シフトレジスタ110中のFF111A1のデータ出力用Q端子から出力される補正データを入力するD端子と、制御手段である制御回路141の端子E1から出力される奇数番目ドットの側のデータ書き込みを許可する書き込みイネーブル信号を入力するE1端子と、制御回路141のE2端子から出力される偶数番目ドットの側のデータ書き込みを許可する書き込みイネーブル信号を入力するE2端子と、制御回路141のW0〜W3端子から出力される書き込み制御信号を入力するW0〜W3端子と、奇数番目ドットに関する補正データを出力するODD0〜ODD3端子と、偶数番目ドットに関する補正データを出力するEVN0〜EVN3端子とを有している。
【0074】
補正データ入力用D端子には、入力された補正データを駆動するバッファ301が接続され、このバッファ301に、前記補正データの論理を反転して反転補正データを生成するインバータ302が接続されている。バッファ301の出力端子及びインバータ302の出力端子には、メモリセル回路300−1,300−2が接続されている。
【0075】
メモリセル回路300−1は、メモリ手段(例えば、メモリセル)311〜314と、バッファ301の出力データをメモリセル311〜314へ伝送するスイッチ手段(例えば、NチャネルMOSトランジスタ、以下「NMOS」という。)321〜328と、インバータ302の出力データをメモリセル311〜314へ伝送するスイッチ手段(例えば、NMOS)331〜338とを有している。
【0076】
メモリセル311は、リング状に直列接続された第1及び第2のインバータ311a,311bにより構成されている。同様に、メモリセル312は、リング状に直列接続されたインバータ312a,312bにより、メモリセル313は、リング状に直列接続されたインバータ313a,313bにより、メモリセル314は、リング状に直列接続されたインバータ314a,314bにより、それぞれ構成されている。各インバータ311a,311b,312a,312b,313a,313b,314a,314bの電源端子は、電源電圧VDD(例えば、一定の略5V)が印加されるVDD端子に接続されている。
【0077】
NMOS321,323,325,327のゲートは、書き込みイネーブル信号入力用E1端子に共通に接続され、NMOS322,324,326,328のゲートは、書き込み制御信号入力用W0,W1,W2,W3端子にそれぞれ接続されている。バッファ301の出力端子には、NMOS321,322、補正データ出力用ODD0端子及びメモリセル311の直列回路と、NMOS323,324、補正データ出力用ODD1端子及びメモリセル312の直列回路と、NMOS325,326、補正データ出力用ODD2端子及びメモリセル313の直列回路と、NMOS327,328、補正データ出力用ODD3端子及びメモリセル314の直列回路とが、共通に接続されている。
【0078】
NMOS331,333,335,337のゲートは、書き込み制御信号入力用W0,W1,W2,W3端子にそれぞれ接続され、NMOS332,334,336,338のゲートは、書き込みイネーブル信号入力用端子E1に共通に接続されている。インバータ302の出力端子には、NMOS332,331及びメモリセル311の直列回路と、NMOS334,333及びメモリセル312の直列回路と、NMOS336,335及びメモリセル313の直列回路と、NMOS338,337及びメモリセル314の直列回路とが、共通に接続されている。
【0079】
メモリセル回路300−2は、メモリセル回路300−1の書き込みイネーブル信号入力用E1端子に代えて、書き込みイネーブル信号入力用E2端子に接続され、更に、メモリセル回路300−1の補正データ出力用ODD0〜ODD3端子に代えて、補正データ出力用EVN0〜EVN3端子に接続されている他は、メモリセル回路300−1と同様の構成である。
【0080】
(図1中のマルチプレクサ)
図9は、図1中のマルチプレクサ161の構成を示す回路図である。
【0081】
図9のマルチプレクサ161(例えば、161A1)は、メモリ回路151A1のODD0〜ODD3端子から出力される補正データODD0〜ODD3を入力するODD0端子〜ODD3端子と、メモリ回路151A1のEVN0〜EVN3端子から出力される補正データEVN0〜EVN3を入力するEVN0〜EVN3端子と、制御回路142のS1N端子及びS2N端子から出力される奇数ドットデータと偶数ドットデータとの切り替え指令信号S1N,S2Nを入力するS1N,S2N端子と、補正データQ0〜Q3を出力するQ0〜Q3端子と、入力データ切り替え用のPチャネルMOSトランジスタ(以下「PMOS」という。)341〜348とを有している。
【0082】
PMOS341,343,345,347は、S1N端子から入力される切り替え指令信号S1Nによりゲート制御され、入力側のODD0〜ODD3端子と出力側のQ0〜Q3端子との間をそれぞれオン/オフする構成になっている。更に、PMOS342,344,346,348は、S2N端子から入力される切り替え指令信号S2Nによりゲート制御され、入力側のEVN0〜EVN3端子と出力側のQ0〜Q3端子との間をそれぞれオン/オフする構成になっている。
【0083】
このようなマルチプレクサ161の構成において、スイッチ素子としてPMOS341〜348を用いているのは次の理由によるものであって、動作上の支障を防止しつつ、使用される素子数を削減することが可能な構成となっている。
【0084】
即ち、PMOS341をオンさせるために切り替え指令信号S1Nを低レベル(以下「Lレベル」という。)にする時、補正データODD0がHレベルであれば、この補正データODD0のHレベルと略等しい電圧の補正データQ0が出力される。このようにHレベルの伝達であれば、PMOS341をスイッチ素子として使用した場合でも何ら支障がない。
【0085】
一方、補正データODD0がLレベル(≒0V)であったとすると、PMOS341の第2端子であるドレーンは、このPMOS341の閾値電圧に近い電位にまで降下するものの、Lレベル(≒0V)にまで下がることはなく、Lレベルの伝達機能が完全ではない欠点を内在している。
【0086】
このような欠点を解消するため、本実施例1に対する比較例による構成においては、例えば、PMOSと並列にNMOSを接続したアナログスイッチを構成してデータ選択のためのスイッチ手段としている。この構成においては、伝達しようとする入力電圧と略等しい出力電圧を得ることができ、スイッチ手段が介在していることによる入力電圧と出力電圧の差は生じない。しかし、データ線1本当たりにPMOSとNMOSのトランジスタ対を設ける必要があり、図9の構成に比べて2倍の素子数を要し、それを配置するためのICのチップ面積を多く占有するという欠点を内在している。
【0087】
これに対し、本実施例1の図9の構成では、比較例のアナログスイッチを用いて構成した回路と比べて、半分の素子数で済むという利点を有しているものの、Lレベルの伝達機能が完全ではないという欠点を内在している。ところが、後述するように、マルチプレクサ161の出力側に接続される後段のドライバ181においては、Hレベルとして略電源電圧VDDと等しい入力電圧を要するのに対し、Lレベルとしては後述する制御電圧Vcontの電位にまで下降していれば十分であり、略0Vにまで電位降下するようなLレベル電位を必要としていない。そのため、図9に示すマルチプレクサ回路を用いることで、回路動作上の制約を回避しつつ、所要素子数を削減することができる。
【0088】
(図1中のドライバ)
図10は、図1中のドライバ181の構成を示す回路図である。
【0089】
図10のドライバ181(例えば、181−93)は、ラッチ回路131A1の反転出力用端子QNから出力される負論理の印刷データを入力する端子Eと、NAND回路146から出力される負論理の駆動オン/オフ制御信号DRVON−Nを入力するS端子と、マルチプレクサ161A1のQ0〜Q3端子から出力される補正データQ0〜Q3を入力するQ0端子〜Q3端子と、制御電圧発生回路170のV端子から出力される制御電圧Vcontを入力するV端子と、電源電圧VDDが入力されるVDD端子と、図示しない薄膜配線により接続された発光サイリスタ210のアノードに対して駆動電流を供給するDO端子(=DO93端子)とを有している。
【0090】
E端子及びS端子は、2入力の否定論理和回路(以下「NOR回路」という。)350の入力端子に接続されている。NOR回路350は、電源端子がVDD端子に接続され、グランド端子がV端子に接続されて制御電圧Vcontに保持されている。NOR回路350の出力端子とQ0〜Q3端子とは、2入力NAND回路351〜354の入力端子にそれぞれ接続されている。各NAND回路351〜354は、電源端子がVDD端子に接続され、グランド端子がV端子に接続されて制御電圧Vcontに保持されている。更に、NOR回路350の出力端子は、CMOSインバータ355を構成するPMOS355a及びNMOS355bの各ゲートに共通に接続されている。PMOS355a及びNMOS355bは、VDD端子とV端子との間に直列に接続されている。
【0091】
NAND回路351〜354の出力端子には、PMOS356〜359のゲートがそれぞれ接続され、更に、CMOSインバータ355の出力端子に、PMOS360のゲートが接続されている。各PMOS356〜360の第1端子であるソース及び第2端子であるドレーンは、VDD端子とDO端子との間に並列に接続されている。PMOS360は、発光サイリスタ210のアノードに主たる駆動電流を供給する主駆動トランジスタであり、PMOS356〜359は、発光サイリスタ210の駆動電流をドット毎に調整して光量補正するための補助駆動トランジスタである。
【0092】
ここで、VDD端子の電位と、V端子から入力される制御電圧Vcontの電位との電位差は、PMOS356〜360がオンする時のゲート・ソース間電圧に略等しく、この電圧を変化させることで、PMOS356〜360のドレーン電流を調整することが可能となる。制御電圧Vcontを供給するための図1中の制御電圧発生回路170は、基準電圧VREFを受けて、PMOS356〜360等のドレーン電流が所定値となるように制御電圧Vcontを制御するために設けられている。
【0093】
このように構成されるドライバ181−93は、次のように動作する。
E端子に入力される印刷データがオン(=Lレベル)であり、S端子に入力される駆動オン/オフ制御信号DRVON−Nがオン(=Lレベル)の時、NOR回路350の出力信号がHレベルとなる。この時、Q3〜Q0端子の補正データQ3〜Q0に従い、NAND回路351〜354の出力レベル、及びCMOSインバータ355の出力レベルが、電源電圧VDDあるいは制御電圧Vcontとなる。
【0094】
主駆動用のPMOS360は、E端子に入力される印刷データに従って駆動される。図8のメモリ回路151A1には、発光サイリスタ210の各ドットの発光ばらつきを補正するための補正データQ0〜Q3が格納されているので、この補正データQ0〜Q3が、マルチプレクサ161A1のQ0〜Q3端子から出力される。補助駆動用のPMOS356〜359は、NOR回路350の出力レベルがHレベルである時に、マルチプレクサ161A1のQ0〜Q3端子から出力される補正データQ0〜Q3に従って選択的に駆動される。
【0095】
つまり、主駆動用のPMOS360と共に、補正データQ0〜Q3に従って補助駆動用のPMOS356〜359が選択的に駆動され、PMOS360のドレーン電流に対し、選択されたPMOS356〜359の各ドレーン電流が加算された駆動電流が、DO93端子から発光サイリスタ210のアノードに供給される。
【0096】
PMOS356〜359が駆動されている時、NAND回路351〜354の出力レベルはLレベル(≒制御電圧Vcont)であるので、PMOS356〜359のゲート電圧は、略制御電圧Vcontに等しくなる。この時、PMOS355aはオフ状態にあり、NMOS355bはオン状態にあって、PMOS360のゲート電圧もまた略制御電圧Vcontに等しくなる。そのため、PMOS356〜360のドレーン電流値を、制御電圧Vcontにより一括して調整することができる。この際、NAND回路351〜354は、電源端子に電源電圧VDD、及びグランド端子に制御電圧Vcontが印加されて動作しているので、その入力信号の電圧も電源電圧VDDと制御電圧Vcontに即したものであってよく、Lレベルは必ずしも0Vであることを必要としない。従って、図9に示す構成のマルチプレクサ161を用いても、支障なく動作させることができる。
【0097】
(図1中の制御回路141)
図11は、図1中の制御回路141の構成を示す回路図である。
【0098】
この制御回路141は、正論理のラッチ信号LOAD−Pを入力するLOAD端子と、図1中のインバータ144から出力される正論理のストローブ信号STB−Pを入力するSTB端子と、書き込み制御信号W0〜W3を図1中のメモリ回路部150へ出力するW0〜W3端子と、書き込みイネーブル信号E1,E2をメモリ回路部150へ出力するE1,E2端子と、FF361〜365と、2入力のNOR回路366と、2入力の論理積回路(以下「AND回路」という。)367,368と、3入力のAND回路370〜373とを備えている。
【0099】
各FF361,362は、LOAD端子から入力されるラッチ信号LOAD−Pを入力する負論理リセット用R端子と、STB端子から入力されるストローブ信号STB−Pを入力するクロック入力用CK端子と、データ入力用D端子と、非反転データ出力用Q端子とを有している。各FF363〜365は、LOAD端子から入力されるラッチ信号LOAD−Pを入力する負論理リセット用R端子と、クロック入力用CK端子と、データ入力用D端子と、非反転データ出力用Q端子と、反転データ出力用QN端子とを有している。
【0100】
FF361,362のQ端子は、NOR回路366の入力端子と接続され、このNOR回路366の出力端子がFF361のD端子に接続されている。FF361のQ端子は、FF363のCK端子に接続され、このFF363のQN端子がD端子に接続されている。FF363のQ端子とLOAD端子とは、AND回路367の入力端子に接続され、このAND回路367の出力端子がE1端子に接続されている。FF363のQN端子とLOAD端子とは、AND回路368の入力端子に接続され、このAND回路368の出力端子がE2端子に接続されている。
【0101】
AND回路367の出力端子は、FF364,365のCK端子に接続され、このFF364,365のR端子が、LOAD端子に接続されている。FF364のQN端子は、FF365のD端子に接続されている。FF364,365のQ端子及びQN端子とFF362のQ端子とには、AND回路370〜373の入力端子が接続され、このAND回路370〜373の出力端子が、W0〜W3端子に接続されている。
【0102】
即ち、AND回路373の第1入力端子はFF365のQ端子、及び第2入力端子はFF364のQN端子にそれぞれ接続され、AND回路372の第1入力端子はFF365のQ端子、及び第2入力端子はFF364のQ端子にそれぞれ接続され、AND回路371の第1入力端子はFF365のQN端子、及び第2入力端子はFF364のQ端子にそれぞれ接続され、AND回路370の第1入力端子はFF365のQN端子、及び第2入力端子はFF364のQN端子にそれぞれ接続されている。
【0103】
(図1中の制御回路142)
図12は、図1中の制御回路142の構成を示す回路図である。
【0104】
この制御回路142は、FF381及びバッファ382,383を有している。FF381は、HSYNC端子からの負論理の主走査同期信号HSYNC−Nを入力する負論理のリセット用R端子と、LOAD端子からの正論理のラッチ信号LOAD−Pを入力するクロック入力用CK端子と、相互に接続されたデータ入力用D端子及び反転データ出力用QN端子と、非反転データ出力用Q端子とを有し、これらのQ端子及びQN端子が、バッファ382,383を介して切り替え指令信号用S2N,S1N端子にそれぞれ接続されている。
【0105】
この制御回路142では、CK端子に入力されるラッチ信号LOAD−Pに同期して、H又はLの切り替え指令信号S1N,S2NをS1N端子及びS2N端子から出力する構成になっている。
【0106】
(図1中の制御電圧発生回路)
図13は、図1中の制御電圧発生回路170の構成を示す回路図である。
【0107】
この制御電圧発生回路170は、ドライバIC100毎に1回路ずつ設けられ、演算増幅器(以下「オペアンプ」という。)391と、PMOS392と、直列接続された分圧抵抗R00〜R15からなる分圧回路393と、アナログ形のマルチプレクサ394とにより構成されている。
【0108】
オペアンプ391は、反転入力端子が基準電圧入力用VREF端子に接続され、非反転入力端子がマルチプレクサ394の出力用Y端子に接続され、出力端子がPMOS392のゲート及び制御電圧出力用V端子に接続されている。PMOS392は、図10中の各PMOS356〜360とゲート長が等しく、ソースがVDD端子に接続され、ゲートがオペアンプ391の出力端子及びV端子に接続され、ドレーンが分圧回路393を介してグランドGNDに接続されている。
【0109】
マルチプレクサ394は、直列接続された分圧抵抗R15〜R00における各接続点からのアナログ電圧が入力される16個の入力用P0〜P15端子と、アナログ電圧を出力する出力用Y端子と、図1中のメモリ回路152の出力用Q0〜Q3端子から供給される論理信号S0〜S3が入力される4個の入力用S0〜S3端子とを有し、この4本の論理信号S0〜S3により設定される16通りの信号論理の組み合わせによって、入力用P0〜P15端子の内の何れか1つの端子を選択し、この端子に印加されるアナログ電圧をY端子からオペアンプ391の非反転入力端子へ出力する回路である。換言すれば、マルチプレクサ393における入力用S3〜S0端子の論理信号レベルによって、入力用P0〜P15端子の内の何れか1つの端子が選択され、出力用Y端子との間に電流経路が形成される。
【0110】
オペアンプ391と分圧抵抗R00〜R15及びPMOS392とで構成される回路により、フィードバック制御回路が構成され、オペアンプ391の非反転入力端子の電位が、略基準電圧VREFと等しくなるように制御される。このため、PMOS392のドレーン電流Irefは、分圧抵抗R00〜R15の内、マルチプレクサ394により選択される部位の合成抵抗値と、オペアンプ391に入力される基準電圧VREFとから決定されることになる。
【0111】
例えば、マルチプレクサ394の入力用S3〜S0端子の論理値が“1111”となっていて、補正状態の最大が指令されている時、マルチプレクサ394の入力用P15端子と出力用Y端子とが導通状態になり、入力用P15端子の電圧が基準電圧VREFと略等しくなるように制御される。この結果、PMOS392のドレーン電流Irefは、
Iref=VREF/R00
となる。
【0112】
一方、入力用S3〜S0端子の論理値が“0111”となっていて、補正状態の中間が指令されている時、マルチプレクサ394の入力用P7端子と出力用Y端子とが導通状態になり、入力用P7端子の電圧が基準電圧VREFと略等しくなるように制御される。この結果、PMOS392のドレーン電流Irefは、
Iref=VREF/(R00+R01+・・・+R07+R08)
となる。
【0113】
更に、入力用S3〜S0端子の論理値が“0000”となっていて、補正状態の最小が指令されている時、マルチプレクサ394の入力用P0端子と出力用Y端子とが導通状態となり、入力用P0端子の電圧が前記基準電圧VREFと略等しくなるように制御される。この結果、PMOS392のドレーン電流Irefは、
Iref=VREF/(R00+R01+・・・+R14+R15)
となる。
【0114】
このように、図10中のPMOS356〜360と図13中のPMOS392とは、ゲート長が相等しく構成され、これらPMOSが飽和領域で動作するように制御されているので、各PMOSはカレントミラーの関係となり、PMOS356〜360がオン状態となる時、基準電圧VREFに比例するドレーン電流Irefを生じる。この結果、マルチプレクサ394の入力用S3〜S0端子に与える論理値状態により、ドレーン電流Irefを16段階に調整することができ、図10中のPMOS356〜360のドレーン電流もまた16段階に調整可能とすることができる。
【0115】
(図1中の個別のバッファ)
図14(a)〜(d)は、図1中の個別のバッファ163の構造を示す模式図であり、同図(a)は回路シンボルを示す図、同図(b)は同図(a)の回路構成を示す図、同図(c)は同図(b)の回路をICとして実現したときの概略の断面構造を示す図、及び、同図(d)は同図(b)、(c)の電圧/電流特性を示す図である。
【0116】
図14(a)に示すように、個別のバッファ163は、第3端子(例えば、入力側の第1端子)T1及び第4端子(出力側の第2端子)T2を有している。
【0117】
なお、図1中の他の個別のバッファ164は、バッファ163と同一の回路構成であるので、以下、バッファ163についてのみ説明する。
【0118】
図14(b)に示すように、個別のバッファ163は、例えば、第1トランジスタ(例えば、NPNTR401と第2トランジスタ(例えば、NPNTR)402とを有し、これらが入力側の第1端子T1と出力側の第2端子T2との間に逆並列状態に接続されている。即ち、NPNTR401のコレクタ及びベースとNPNTR402のエミッタとは、第1端子T1に接続され、NPNTR401のエミッタとNPNTR402のコレクタ及びベースとが、第2端子T2に接続されている。このバッファ163は、第1端子T1及び第2端子T2間に印加される印加電圧の絶対値が所定電圧以上となると、この印加電圧の極性に応じた向きの電流を生じる特性を有している。
【0119】
図14(c)に示すように、IC等が形成されているP型不純物を含んだP型基材410上の所定箇所には、N型不純物を注入してNウェル領域411が形成されている。Nウェル領域411内には、P型不純物を注入してPウェル領域412が形成され、更に、そのPウェル領域412内に、N型不純物を拡散させてN型領域413が形成されている。
【0120】
なお、図14(c)においては図面を簡略化するために、ゲート酸化膜、コンタクトホール、保護膜であるパッシベーション膜等の図示を省略している。図示しない金属配線により、N型領域413がエミッタEに、Pウェル領域412がベースBに、Nウェル領域411がコレクタCにそれぞれ接続され、NPNTR401又は402が構成されている。
【0121】
図14(d)に示すバッファ163の電圧/電流特性図において、横軸は図14 (b)の第1端子T1と第2端子T2間に印加される電圧(V)、縦軸は第1端子T1と第2端子T2間に流れる電流(I)を示している。この特性図から明らかなように、第1端子T1と第2端子T2間に印加される電圧Vの絶対値が電圧Vfを越えると、電流Iが流れる特性となっている。その電圧Vfは、NPNTR401,402のベース・エミッタ間の順電圧(即ち、ベース・エミッタ間電圧Veb)に等しく、図14(c)のバッファ163をシリコン基材を用いて形成した場合における電圧Vfの典型例は、約0.6Vである。
【0122】
(プリントヘッドの全体の動作)
図15は、本発明の実施例1における画像形成装置1の電源投入後に、図6のプリントヘッド13に対して行われる補正データ転送処理と、その後に行われる印刷データ転送の様子を概略的に示すタイミングチャートである。
【0123】
補正データの転送開始に先立ち、引き続くデータ転送が補正データであることを示すため、ラッチ信号HD−LOADをHレベルとする(I部)。
【0124】
次いで、奇数番目に属するドットについて1ドット当たり4ビットからなる補正データの内、bit3のものを印刷データHD−DATA3〜HD−DATA0からクロックHD−CLKに同期して入力して、図1のFF111A1〜FF111D24で構成されるシフトレジスタ110中へシフト入力する。シフト入力が完了すると、A部に示すように、ストローブ信号HD−STB−Nが3パルス入力され、図11の制御回路141の動作が行われる。
【0125】
図15中のQ1,Q2,Q3,Q4,Q5は、図11中のFF361,362,363,365,364の各出力端子であり、E1,E2は、AND回路367,368から出力される書き込みイネーブル信号であり、W3〜W0は、AND回路370〜373から出力される書き込み制御信号である。更に、SlN,S2Nは、図12中のバッファ382,383から出力される奇数ドットデータと偶数トッドデータとの切り替え指令信号である。
【0126】
図15のA部において、ストローブ信号HD−STB−Nの1パルス目が入力されると、J部に示すように、Q1端子の信号が発生し、次いでストローブ信号HD−STB−Nの2パルス目で、K部に示すように、Q2端子の信号が発生する。又、Q1端子の信号が立ち上がる毎にQ3端子の信号が状態反転し、L部に示すように、Q3端子の信号がHレベルに遷移する。Q3端子の信号の遷移に引き続き、書き込みイネーブル信号E1,E2が発生する。
【0127】
書き込みイネーブル信号E1の立ち上がりエッジに引き続き、M部に示すように、Q4端子の信号が立ち上がり、書き込みイネーブル信号E1の次の立ち上がりで、Q5端子の信号が立ち上がり、更に、書き込みイネーブル信号Elの次の立ち上がりで、Q4端子の信号が立ち下がり、書き込みイネーブル信号Elの次の立ち上がりで、Q5端子の信号が立ち下がる。
【0128】
書き込み制御信号W3〜W0は、Q2端子の信号に引き続いて発生するものであるが、O部、P部に示すように、書き込み制御信号W3が2回に亘って出力され、次いで、各書き込み制御信号W2,Wl,W0においても、それぞれ2パルスずつ発生する。
【0129】
各書き込み制御信号W3〜W0のパルスが発生する毎に、図8のメモリ回路151にデータの書き込みが行われ、書き込み制御信号W3〜W0の1パルス目で、メモリセル回路300−1内の奇数ドット用メモリセル311〜314へのデータ書き込みが行われ、2パルス目で、メモリセル回路300−1内の偶数ドット用メモリセルへのデータ書き込みが行われる。
【0130】
前記1パルス目の書き込み制御信号W3〜W0(O部等)は、A部、C部、E部、G部について入力されたストローブ信号HD−STB−Nを基に発生されるものであり、前記2パルス目の書き込み制御信号W3〜W0(P部等)は、B部、D部、F部、H部について入力されたストローブ信号HD−STB−Nを基に発生されるものである。
【0131】
以上の過程を経て、補正データb3〜b0(Odd=ODD3〜ODD0,Even=EVN3〜EVN0)のbit3〜bit0の全てのデータ書き込みが完了すると、Q部に示すように、ラッチ信号HD−LOADをLレベルにして、印刷データHD−DATA3〜HD−DATA0の転送が可能な状態に遷移する。1ラインの印刷開始に際し、引き続くデータ転送が奇数ドットのものであることを示すため、主走査同期信号HD−HSYNC−Nが入力される(R部)。
【0132】
次いで、U部で奇数ドットの印刷データHD−DATA3〜HD−DATA0が転送され、S部のラッチ信号HD−LOADのパルスにより、シフトレジスタ110にシフト入力された印刷データHD−DATA3〜HD−DATA0が、ラッチ部130にラッチされる。
【0133】
更に、W部に示すように、ストローブ信号HD−STB−NがLレベルへと遷移して、発光サイリスタ210−1,210−2,・・・の発光駆動が行われる。印刷データHD−DATA3〜HD−DATA0がオン状態であると、W部やX部のストローブ信号HD−STB−NがLレベルとなる期間、発光サイリスタ210−1,210−2,・・・が発光駆動されることになる。
【0134】
同様にV部では、偶数ドットのデータ転送が行われ、このデータはT部のパルスによりラッチされる。なお、図1に示すように、制御回路142から出力される切り替え指令信号S1Nは、図1のバッファ162−1,163(=163−1〜163−96)を介してゲート駆動信号G1となり、奇数番目の発光サイリスタ210−1,210−3,・・・のゲートが駆動される。更に、制御回路142から出力される切り替え指令信号S2Nは、図1のバッファ162−2,164(=164−1〜164−96)を介してゲート駆動信号G2となり、偶数番目の発光サイリスタ210−2,210−4,・・・のゲートが駆動される。
【0135】
(プリントヘッドの印刷動作)
図16は、図6のプリントヘッド13を用いて印刷を行う場合の動作を示すタイミングチャートである。
【0136】
発光サイリスタ210の時分割駆動の開始に先立ち、主走査同期信号HD−HSYNC−Nが入力される(A部)。次いでB部において、奇数番目の発光サイリスタ210−1,210−3,・・・の駆動データ(0dd印刷データ)を転送するため、クロックHD−CLKに同期して印刷データHD−DATA3〜HD−DATA0が入力される。なお、本プリントヘッド13においては26個のドライバIC100(=100−1,100−2,・・・)がカスケードに接続され、各ドライバIC100毎に96個の発光サイリスタ駆動用の端子DO1〜DO96を備えており、1パルスのクロックHD−CLKにより、4画素分の印刷データHD−DATA3〜HD−DATA0が一度に転送される。このため、一度のデータ転送に必要なクロックパルス数は、
96/4*26=24*26=624
である。
【0137】
B部において、1ラインデータのうち、奇数ドットのデータの転送が完了すると、C部に示すように、ラッチ信号HD−LOADが入力され、FF111A1,111B1,111C1,111D1〜111A25,111B25,111C25,111D25で構成されるシフトレジスタ110を介して入力された印刷データHD−DATA3〜HD−DATA0は、ラッチ回路部130にラッチされる。この時、発光サイリスタ210のゲート駆動信号G1がLレベルとなり(L部)、ゲート駆動信号G2がHレベルとされる(N部)。
【0138】
次いで、発光サイリスタ210の駆動を指示するためのストローブ信号HD−STB−Nが入力される(D部)。これにより、ドライバIC100(=100−1,100−2,・・・)のD01〜D096端子は、印刷データHD−DATA3〜HD−DATA0による指令値に基づき選択的にオン状態となって、駆動電流が出力される(Q部)。この時、駆動される発光サイリスタ210は、G1端子がゲートに接続される奇数番目の発光サイリスタ210−1,210−3,・・・である。このため、ドライバIC100のDO1端子から駆動電流が出力された場合、発光サイリスタ210−1のアノード・カソードを経てグランドGNDへと至る電流経路が形成される。
【0139】
一方、発光サイリスタ210−2は、ゲートのレベルがHレベルとなっていてオフ状態とされ、ドライバIC100のDO1端子からの駆動電流が流れず、消灯状態のままとされる。この結果、発光サイリスタ210−1が発光して、図2中の感光体ドラム11上の静電潜像を形成することで、印刷ドットを発生する。
【0140】
F部において、負論理のストローブ信号HD−STB−NがHレベルとなると、ドライバIC100による駆動はオフ状態となって、発光サイリスタ210−1,210−2,・・・がすべて消灯される(R部)。
【0141】
更に、E部において、偶数番目の発光サイリスタ210−2,210−4,・・・の駆動データ(Even印刷データ)を転送するために、クロックHD−CLKに同期して印刷データHD−DATA3〜HD−DATA0が入力される。なお、本プリントヘッド13においては、26個のドライバIC100(=100−1,100−2,・・・)がカスケードに接続され、各ICドライバ100毎に96個の発光サイリスタ駆動用の端子DO1〜DO96を備えており、1パルスのクロックHD−CLKにより、4画素分の印刷データHD−DATA3〜HD−DATA0が一度に転送されるため、一度のデータ転送に必要なクロックパルス数は、
96/4*26=24*26=624
である。
【0142】
E部において、1ラインデータの内、偶数ドットのデータ(Even印刷データ)の転送が完了すると、G部に示すように、ラッチ信号HD−LOADが入力され、シフトレジスタ110を介して入力されたデータがラッチ回路部130にラッチされる。この時、発光サイリスタ210のゲート駆動信号G1がHレベルとなり(M部)、ゲート駆動信号G2がLレベルとされる(0部)。
【0143】
次いで、発光サイリスタ210の駆動を指示するためのストローブ信号HD−STB−Nが入力される(H部)。これにより、ドライバIC100(=100−1,100−2,・・・)のDO1〜DO96端子は、印刷データHD−DATA3〜HD−DATA0による指令値に基づき選択的にオン状態となって、駆動電流が出力される(S部)。この時駆動される発光サイリスタ210は、G2端子がゲートに接続される偶数番目の発光サイリスタ210−2,210−4,・・・である。このため、ドライバIC100のDO1端子から駆動電流が出力された場合、発光サイリスタ210−2のアノード・カソードを経てグランドGNDへと至る電流経路が形成されることになる。
【0144】
一方、発光サイリスタ210−1は、ゲートのレベルがHレベルとなっていてオフ状態とされ、ドライバIC100のDO1端子からの駆動電流が流れず、消灯状態のままとされる。この結果、発光サイリスタ210−2が発光して、図2中の感光体ドラム11上の静電潜像を形成することで印刷ドットを発生する。
【0145】
J部において、負論理のストローブ信号HD−STB−NがHレベルとなると、ドライバIC100による駆動はオフ状態となって、発光サイリスタ210−1,210−2,・・・がすべて消灯される(T部)。
【0146】
このように、発光サイリスタ列のうち、奇数番目の発光サイリスタ210−1,210−3,・・・と偶数番目の発光サイリスタ210−2,210−4,・・・とを順に時分割に駆動することで、1ライン分の発光サイリスタ210−1,210−2,・・・の駆動を行うことができる。
【0147】
(補正データ転送の詳細)
図17〜図20は、図15のタイミングチャートにおいてドライバ1C100(=100−1,100−2,・・・)を1チップのみに簡略化した場合における補正データ転送の詳細波形を示すタイミングチャートである。
【0148】
ここで、図17は図15のA部とB部の詳細を示すタイミングチャート、図18は図15のC部とD部の詳細を示すタイミングチャート、図19は図15のE部とF部の詳細を示すタイミングチャート、更に、図20は図15のG部とH部の詳細を示すタイミングチャートである。
【0149】
図15において、各ドライバ1C100毎に設定されるチップ補正データb3〜b0は、奇数ドット転送(例えば、A部)と偶数ドット転送(例えば、B部)の内、いずれか1回について行えば十分である。
【0150】
このため、図17〜図20においては、A部、C部、E部、G部の奇数ドットの補正データ転送時に、シフトレジスタ110の段数を1段多くなるように切り替えて、送出データ列の先頭位置にチップ補正データ(Chip−b3,Chip−b2,Chip−b1,Chip−b0等)を割り当てて送出するように工夫されている。
【0151】
(発光サイリスタの動作)
本実施例1における発光サイリスタ210(=210−1〜210−96)及びバッファ162−1,163(=163−1〜163−96)の動作(1)〜(3)を、以下説明する。
【0152】
(1) 実施例1の発光サイリスタ210のターンオン過程の説明
図21−1(a)〜(c)は、本実施例1の図7に示す発光サイリスタ210のターンオン過程を示す動作説明図であり、同図(a)、(b)は図7の発光サイリスタ210(=210−1〜210−96)のゲートを駆動するための図14のバッファ163(=163−1〜163−96)の動作を説明する要部の回路図、及び、同図(c)は発光サイリスタ210のターンオン過程を示す動作波形図である。
【0153】
図21−1(a)、(b)には、共通のバッファ162−1、個別のバッファ163−1、及び発光サイリスタ210−1の要部が抜き出され、更に、個別のバッファ163−1の内部構成及び発光サイリスタ210−1の等価回路も示されている。
【0154】
図21−1(a)、(b)において、共通のバッファ63−1は、NPNTR401及び402により構成されている。発光サイリスタ210−1は、PNPTR221及びNPNTR222により構成されている。図21−1(a)、(b)中のVbe(=Vf)はNPNTR401,402のベース・エミッタ間電圧、IbはPNPTR221のベース電流、Igは発光サイリスタ210−1のゲート電流、Vgは発光サイリスタ210−1のゲート電圧、Vaは発光サイリスタ210−1のアノード電圧、Ikは発光サイリスタ210−1のカソード電流Ikである。
【0155】
例えば、図21−1(a)において、発光サイリスタ210−1のターンオン過程を説明するために、バッファ162−1の入力端子がLレベルになっているとする。発光サイリスタ210−1を駆動するために、図6のドライバIC100中のDO1端子からアノード電流Iaが出力される。この時、バッファ162−1の出力端子はLレベルとなる。発光サイリスタ210−1のアノードに注入されたアノード電流Iaは、PNPTR221のエミッタ・ベース間をベース電流Ibとして流れ、更に、発光サイリスタ210−1のゲート電流Igとしてバッファ163−1内のNPNTR402のベース・エミッタ間を流れて、バッファ162−1の出力端子に流れ込むことになる
【0156】
バッファ162−1の出力端子はLレベルであり、この電位はグランド電位と略等しい0Vであるので、発光サイリスタ210−1のゲート電圧Vgは、NPNTR401,402のベース・エミッタ間電圧Vbeと略等しいものとなる。
【0157】
図21−1(b)において、発光サイリスタ210−1のゲート電流1gは、内部のPNPTR221のベース電流Ibに相当するものであり、このベース電流Ibが流れることで、PNPTR221がオン状態への移行を開始して、このPNPTR221のコレクタにはコレクタ電流を生じる。PNPTR221のコレクタ電流は、NPNTR222のベース電流となり、このNPNTR222をオン状態へと移行させる。PNPTR222のオン状態への移行により生じたコレクタ電流は、PNPTR221のベース電流Ibを増強し、このPNPTR221のオン状態への移行を加速させることになる。
【0158】
一方、NPNトTR222が完全にオン状態に移行した後には、そのコレクタ・エミッタ間電圧が低下して、NPNTR402のベース・エミッタ間電圧Vbeよりも小さい電圧となる。この結果、発光サイリスタ210−1のゲートからバッファ163−1の第2端子T2側に流れるゲート電流1gは略ゼロとなって、発光サイリスタ210−1のカソードには、アノード電流Iaと略等しいカソード電流Ikが流れることになり、発光サイリスタ210−1が完全にオン状態となる。
【0159】
図21−1(c)は、前記発光サイリスタ210−1のターンオン過程を説明する図で、あって、横軸にアノード電流1a、縦軸にアノード電圧Vaが示されている。
【0160】
発光サイリスタ210−1の消灯状態においてはアノード電流Iaが略ゼロであり、図21−1(c)の原点(0,0)の状態にある。発光サイリスタ210−1のターンオン開始に伴い、アノード駆動が行われると、図21−1(c)中の矢印で示したように、アノード電圧Vaが上昇して最大電圧Vpに到達する。この最大電圧Vpは、NPNTR402のベース・エミッタ間電圧Vbeと、PNPTR221のベース・エミッタ間電圧Vbeとの加算値に対応するものであり、最大電圧Vpが順方向に印加されることで、ゲート電流Ig(=PNPTR221のベース電流Ib)を生じる。
【0161】
図21−1(c)において、丸印を付して示すポイント(Ip,Vp)は、発光サイリスタ210−1のオフ領域AR1とオン遷移領域AR2の境目に相当している。次いで、アノード電流1aが増加するに伴い、アノード電圧Vaが低下していき、丸印を付して示すポイント(Iv,Vv)に到達する。このポイント(Iv,Vv)は、発光サイリスタ210−1のオン遷移領域AR2とオン領域AR3との境目に相当しており、この時のゲート電流Igは略ゼロにまで低下していて、実質的にバッファ163−1は発光サイリスタ210−1から切り離されたのと等価な状態にある。
【0162】
更にアノード電流Iaが増加するに伴い、アノード電圧Vaが増加していき、丸印を付して示すポイント(Il,Vl)に到達する。このポイント(Il,Vl)は、発光サイリスタ210−1における発光駆動の最終動作ポイントであり、ドライバIC100側から供給されるアノード電流Iaに応じた所定の発光パワーで発光駆動が行われる。
【0163】
図21−1(c)を用いて発光サイリスタ210−1のターンオン過程を説明したが、個別のバッファ163−1を設けることで、オン状態にある発光サイリスタ210−1からのゲート電流Igの流れ込みを防止して、アノード電流Iaとカソード電流Ikを略等しくしたオン状態駆動とすることができて、アノード電流Iaを調整することでそれに応じた発光パワーを得ることができる。このような動作は、バッファ162−1の出力端子と発光サイリスタ210−1のゲートとの間に個別のバッファ163−1を介在させたことによる効果である。
【0164】
仮に、通常のCMOS回路で構成したバッファ162−1と発光サイリスタ210−1のゲートとを直結した場合には、バッファ162−1のLレベル出力電位は略0Vにまで降下してしまうので、PNPTR221のベース電流Ibがバッファ162−1の出力端子側にゲート電流Igとして流れ続け、その分NPNTR222のコレクタ電流Ikが減少して、発光サイリスタ210−1のカソード電流Ikも減少してしまう。この結果、発光サイリスタ210−1の発光出力が変動してしまって所望状態で動作させることができず、発光サイリスタ210を用いてプリントヘッド13を実現することが困難になるといった不具合が生じる。
【0165】
これに対し、本実施例1によれば、ゲート駆動用の個別のバッファ163−1を設けているので、前記不具合が生じることが無くなり、印刷品位に優れた画像形成装置1を実現できる。
【0166】
(2) 比較例の同時オンの場合の動作
図21−2(a)、(b)は、本実施例1に対する比較例を示す動作説明図である。
【0167】
この図21−2(a)においては、説明を簡略化するために、共通のバッファ162−1の出力端子には、2個の発光サイリスタ210−1,210−3のみが接続され、他の発光サイリスタの図示が省略されている。更に、図21−2(b)は、図21−1(a)と対比させて描かれており、各発光サイリスタ210−1,210−3の内部等価回路が、実施例1と同様に、PNPTR221及びNPNTR222により構成されている。
【0168】
図21−2(a)に示す比較例では、共通のバッファ162−1の出力端子が、共通配線GLを介して、複数の発光サイリスタ210−1,210−3,・・・のゲートに接続されている。このような比較例の構成において、複数の発光サイリスタ210−1,210−3,・・・が同時に点灯した場合の挙動を説明する。
【0169】
図21−2(a)において、発光サイリスタ210−1,210−3の同時オンの状況を示すために、ゲート駆動用のバッファ162−1の入力レベルをLレベルとする。
【0170】
図21−2(b)において、バッファ162−1の出力レベルをLレベルとさせて発光サイリスタ210−1,210−3をオンさせた後には、発光サイリスタ210−1,210−3のゲートからバッファ162−1の出力端子に向かって流れ込む電流を略ゼロとすることができるものと仮定して、共通配線GLに接続されるバッファ162−1が破線にて描かれている。
【0171】
例えば、発光サイリスタ210−1がオンしており、このアノードからアノード電流Ia1が流入しているとする。この時、アノード電流Ia1は、I1,I2,I3の3つの電流成分の合計となる。即ち、電流I1は、図21−2において実線矢印で示すように、発光サイリスタ210−1のアノードからPNPTR221のエミッタ・コレクタ間を通り、NPNTR222のベース・エミッタ間を通してグランドGNDに至る電流である。電流I2は、破線矢印で示すように、アノードからPNPTR221のエミッタ・ベース間を通り、NPNTR222のコレクタ・エミッタ間を通してグランドGNDに至る電流である。更に、電流I3は、一点鎖線で示すように、アノードからPNPTR221のエミッタ・ベース間を通り、共通配線GLを介して他の発光サイリスタ210−3のゲートから流入して、この発光サイリスタ210−3内部のNPNTR222のコレクタ・エミッタ間を通してグランドGNDに至る電流である。
【0172】
実施例1で設定される発光サイリスタ210−1,210−3においては、この発光は主としてPNPTR221に流れる電流によって生じる特性を備えており、前記電流I1〜I3毎の発光パワー(P)の成分(Pi1,Pi2,Pi3)への寄与の大きい順に表せば、
Pi1>Pi2>Pi3
となる。そのため、一点鎖線で示す電流I3が生じることにより、本来流すべき電流I1の成分が減少して、全体としての発光出力が減少してしまうことになる。このように、比較例の構成においては、同時に発光している発光サイリスタ210−1,210−3相互に共通配線GLを介して回り込み電流I3を生じる。この回り込み電流I3の大きさは、発光サイリスタ210−1,210−3等のゲート・カソード間電圧のばらつき、駆動状態、共通配線GLの微小な配線抵抗値等によって様々に変動してしまう。この結果、光量変動により、画像形成装置1における印刷濃度にむらを生じてしまい、印刷品位を著しく低下させていたのである。
【0173】
(3) 実施例1の同時オンの場合の動作
図21−3(a)、(b)は、本実施例1の図7に示す複数の発光サイリスタ210−1,210−3,・・・が同時に点灯した場合の挙動を示す動作説明図である。
【0174】
この図21−3(a)においては、説明を簡略化するために、共通のバッファ162−1の出力端子に接続された共通配線GLには、2個の個別のバッファ163−1,163−3の第1端子T1が接続され、このバッファ163−1,163−3の第2端子T2に、2個の発光サイリスタ210−1,210−3が接続され、他のバッファ及び発光サイリスタの図示が省略されている。共通のバッファ162−1は、発光サイリスタ210−1,210−3,・・・のオン制御に伴いその入力レベルがLレベルとされるので、グランドGNDに接続して示している。
【0175】
更に、図21−3(b)は、図21−3(a)と対比させて描かれており、各個別のバッファ163−1,163−3の内部等価回路が、NPNTR401,402により構成され、更に、各発光サイリスタ210−1,210−3の内部等価回路が、PNPTR221及びNPNTR222により構成されている。図21−3(b)中のVce1は、発光サイリスタ210−1内のNPNTR222のコレクタ・エミッタ間電圧であり、Vce3は、発光サイリスタ210−3内のNPNTR222のコレクタ・エミッタ間電圧である。
【0176】
なお、図21−3(b)は、複数の発光サイリスタ210−1,210−3が同時にオンしている状況を示しているが、図21−1と同様に、本実施例1の構成を用いた個別のバッファ163−1,163−3においては、発光サイリスタ210−1,210−3のターンオン指令のために、そのバッファ163−1,163−3の第2端子T2をLレベルにして発光サイリスタ210−1,210−3をオンさせた後には、この発光サイリスタ210−1,210−3のゲートから個別のバッファ163−1,163−3の第2端子T2に向かつて流れ込む電流を略ゼロにすることができる。このため、図21−3(b)においては、共通配線GLに接続される共通のバッファ162−1の影響は除外して考えることができ、図21−3(b)においてはバッファ162−1を破線にて図示している。
【0177】
例えば、発光サイリスタ210−1がオンしており、そのアノードからアノード電流Ia1が流入しているとする。この時、発光サイリスタ210−1におけるゲート電流Igの流れる経路として、図21−3(b)中の破線矢印で示す経路を考える。破線矢印のゲート電流Igが流れると仮定すると、このゲート電流Igは、発光サイリスタ210−1内のPNPTR221のエミッタ・ベース間を通り、個別のバッファ163−1中のNPNTR402のベース・エミッタ間を通り、ベース・エミッタ間電圧Vbe分だけ電位降下した後、共通配線GLを経由して、他の個別のバッファ163−3中のNPNTR401のベース・エミッタ間を通り、ベース・エミッタ間電圧Vbe分だけ電位降下して、発光サイリスタ210−3内のNPNTR222のコレクタ・エミッタ間を経由してグランドGNDに流出する。そのため、発光サイリスタ210−1のゲートからゲート電流Igの流出側に向かつて積算した電圧Vgは、
Vg=Vbe+Vbe+Vce3
となる。
【0178】
ところが、発光サイリスタ210−1中のNPNTR222のコレクタ・エミッタ間電圧Vce1は、前記電圧Vgの計算値よりも小さいので、発光サイリスタ210−1内のPNPTR221のベースを流れたベース電流Ibは、破線矢印の経路を通ることなく、NPNTR222のコレクタ電流となって、発光サイリスタ210−1自身のカソード電流Ikとして合流することになる。
【0179】
図1及び図6から明らかなように、同時に点灯する発光サイリスタ210−1,210−3,・・・において、そのゲートには個別のバッファ163−1,163−3,・・・が配備されており、前記発光サイリスタ210−1,210−3のゲート間を流れる電流成分は発生しないことになる。この結果、発光サイリスタ210−1,210−3に供給するアノード電流Ia1,Ia3は、全てこの発光サイリスタ210−1,210−3のアノード・カソード間を流れてカソード電流Ikとなり、アノード電流Ia1,Ia3とカソード電流Ik,Ikは等しいので、発光サイリスタ210−1,210−3の発光出力は、アノード電流Ia1,Ia3のみにより変化させることができて、このアノード電流Ia1,Ia3を調整することによってその発光パワーを任意に調整することができる。
【0180】
このように、本実施例1の構成においては、同時にオンしている発光サイリスタ210−1,210−3のゲート間には回りこみ電流を生じることはなく、そのアノード電流Ia1,Ia3により発光出力を調整することができる。
【0181】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、次の(a)、(b)のような効果がある。
【0182】
(a) 多数の発光サイリスタ210が配列され、これらが複数の組(例えば、偶数と奇数の組)に分けられ、各組の発光サイリスタ列が各組毎に時分割に駆動されるプリントヘッド13において、同一組に属する発光サイリスタ列における各発光サイリスタ210のゲートを、個別のバッファ(例えば、163)を介して共通配線GLにそれぞれ接続して共通に駆動する構成になっているので、同時点灯する発光サイリスタ(例えば、210−1,210−3,・・・)のゲート間に流れる回り込み電流を略ゼロにすることができる。これにより、回り込み電流が流れることで生じる発光出力の変動を未然に防止できる。
【0183】
(b) 発光出力の変動を防止できるので、プリントヘッド13に起因する印刷濃度むらを解消して、印刷品位に優れ、スペース効率及び光取り出し効率に優れた画像形成装置1を実現できる。即ち、プリントヘッド13を用いることにより、本実施例1のフルカラーの画像形成装置1に限らず、モノクロ、マルチカラーの画像形成装置においても効果が得られるが、特に、露光装置としてのプリントヘッド13を数多く必要とするフルカラーの画像形成装置1において一層大きな効果が得られる。
【実施例2】
【0184】
本発明の実施例2において、図2の画像形成装置1、図6のプリントヘッド13、及び図1のドライバIC100の構成は、実施例1と同様であり、本実施例2の個別のバッファの構成のみが、実施例1における図1及び図14の個別のバッファ163,164と異なるので、その異なる点を以下説明する。
【0185】
(実施例2の個別のバッファ)
図22(a)〜(d)は、本発明の実施例2における個別のバッファの構造を示す模式図であり、同図(a)は回路シンボルを示す図、同図(b)は同図(a)の回路構成を示す図、同図(c)は同図(b)の回路をICとして実現したときの概略の断面構造を示す図、及び、同図(d)は同図(b)、(c)の電圧/電流特性を示す図である。この図22において、実施例1を示す図14中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0186】
図22(a)に示すように、本実施例2における分離回路としての個別のバッファ163Aは、入力側の第1端子T1及び出力側の第2端子T2を有している。
【0187】
なお、実施例1のバッファ164は、バッファ163と同一の回路構成であり、この実施例1のバッファ164に対応する本実施例3のバッファは、バッファ163Aと同一の回路構成であるので、以下、バッファ163Aについてのみ説明する。
【0188】
図22(b)に示すように、個別のバッファ163Aは、第1トランジスタ(例えば、NPNTR)421及び第2トランジスタ(例えば、PNPTR)422を有し、これらが入力側の第1端子T1と出力側の第2端子T2との間に接続されて、バッファ回路が構成されている。即ち、NPNTR421のベースとPNPTR422のベースとは、第1端子T1に接続され、NPNTR421のコレクタが電源電圧VDD端子に接続されている。NPNTR421のエミッタは、第2端子T2及びPNPTR422のエミッタに接続され、このPNPTR422のコレクタがグランドGNDに接続されている。
【0189】
図22(c)に示すように、IC等が形成されているP型不純物を含んだP型基材410上の所定箇所には、N型不純物を注入してNウェル領域411が形成されている。Nウェル領域411内には、P型不純物を拡散させてP型領域414が形成されている。
【0190】
なお、図22(c)においては図面を簡略化するために、ゲート酸化膜、コンタクトホール、保護膜であるパッシベーション膜等の図示を省略している。図示しない金属配線により、P型領域414がエミッタEに、Nウェル領域411がベースBに、P型基材410がコレクタCにそれぞれ接続され、PNPTR422が構成されている。NPNTR421の断面構造は、実施例1のNPNTR401,402の断面構造を示す図14(c)と同様である。
【0191】
図22(d)に示すバッファ163Aの電圧/電流特性図において、横軸は図22 (b)の第1端子T1と第2端子T2間に印加される電圧(V)、縦軸は第1端子T1と第2端子T2間に流れる電流(I)を示している。この特性図から明らかなように、第1端子T1と第2端子T2間に印加される電圧Vの絶対値が電圧Vfを越えると、電流Iが流れる特性となっている。その電圧Vfは、NPNTR421及びPNPTR422のベース・エミッタ間の順電圧(即ち、ベース・エミッタ間電圧Vbe)に等しく、図22(c)のバッファ163Aをシリコン基材を用いて形成した場合における電圧Vfの典型例は、約0.6Vである。
【0192】
(発光サイリスタの動作)
本実施例2における発光サイリスタ210(=210−1〜210−96)及びバッファ162−1,163A(=163A−1〜163A−96)の動作(1)、(2)を、以下説明する。
【0193】
なお、バッファ163A(=163A−1〜163A−96)は、実施例1の図1に示すバッファ163(=163−1〜163−96)に対応している。
【0194】
(1) 実施例2の発光サイリスタ210のターンオン過程の説明
図23−1(a)〜(c)は、本実施例2の図7に示す発光サイリスタ210のターンオン過程を示す動作説明図であり、実施例1の図21−1(a)〜(c)に対応している。図23−1(a)、(b)は、図7の発光サイリスタ210(=210−1〜210−96)のゲートを駆動するための図22のバッファ163A(=163A−1〜163A−96)の動作を説明する要部の回路図、及び、図23−1(c)は、発光サイリスタ210のターンオン過程を示す動作波形図である。
【0195】
図23−1(a)、(b)には、共通のバッファ162−1、個別のバッファ163A−1、及び発光サイリスタ210−1の要部が抜き出され、更に、個別のバッファ163A−1の内部構成及び発光サイリスタ210−1の等価回路も示されている。
【0196】
図23−1(a)、(b)において、共通のバッファ63−1は、実施例1と同様に、NPNTR401及び402により構成されている。発光サイリスタ210−1は、PNPTR221及びNPNTR222により構成されている。図23−1(a)、(b)中のVbe(=Vf)はNPNTR421及びPNPTR422のベース・エミッタ間電圧、IbはPNPTR221のベース電流、Igは発光サイリスタ210−1のゲート電流、Vgは発光サイリスタ210−1のゲート電圧、Vaは発光サイリスタ210−1のアノード電圧、Ikは発光サイリスタ210−1のカソード電流Ikである。
【0197】
例えば、図23−1(a)において、発光サイリスタ210−1のターンオン過程を説明するために、バッファ162−1の入力端子がLレベルになっているとする。発光サイリスタ210−1を駆動するために、図6のドライバIC100中のDO1端子からアノード電流Iaが出力される。この時、バッファ162−1の出力端子はLレベルとなる。発光サイリスタ210−1のアノードに注入されたアノード電流Iaは、PNPTR221のエミッタ・ベース間をベース電流Ibとして流れ、更に、発光サイリスタ210−1のゲート電流Igとしてバッファ163A−1内のPNPTR422のベース・エミッタ間を流れて、バッファ162−1の出力端子に流れ込むことになる
【0198】
バッファ162−1の出力端子はLレベルであり、この電位はグランド電位と略等しい0Vであるので、発光サイリスタ210−1のゲート電圧Vgは、NPNTR421及びPNPTR422のベース・エミッタ間電圧Vbe(=Vf)と略等しいものとなる。
【0199】
図23−1(b)において、発光サイリスタ210−1のゲート電流1gは、内部のPNPTR221のベース電流Ibに相当するものであり、このベース電流Ibが流れることで、PNPTR221がオン状態への移行を開始して、このPNPTR221のコレクタにはコレクタ電流を生じる。PNPTR221のコレクタ電流は、NPNTR222のベース電流となり、このNPNTR222をオン状態へと移行させる。PNPTR222のオン状態への移行により生じたコレクタ電流は、PNPTR221のベース電流Ibを増強し、このPNPTR221のオン状態への移行を加速させることになる。
【0200】
一方、NPNTR222が完全にオン状態に移行した後には、そのコレクタ・エミッタ間電圧が低下して、PNPTR422のベース・エミッタ間電圧Vbeよりも小さい電圧となる。この結果、発光サイリスタ210−1のゲートからバッファ163A−1の第2端子T2側に流れるゲート電流1gは略ゼロとなって、発光サイリスタ210−1のカソードには、アノード電流Iaと略等しいカソード電流Ikが流れることになり、発光サイリスタ210−1が完全にオン状態となる。
【0201】
図23−1(c)は、前記発光サイリスタ210−1のターンオン過程を説明する図で、あって、横軸にアノード電流1a、縦軸にアノード電圧Vaが示されている。
【0202】
発光サイリスタ210−1の消灯状態においてはアノード電流Iaが略ゼロであり、図23−1(c)の原点(0,0)の状態にある。発光サイリスタ210−1のターンオン開始に伴い、アノード駆動が行われると、図23−1(c)中の矢印で示したように、アノード電圧Vaが上昇して最大電圧Vpに到達する。この最大電圧Vpは、PNPTR422のベース・エミッタ間電圧Vbeと、PNPTR221のベース・エミッタ間電圧Vbeとの加算値に対応するものであり、最大電圧Vpが順方向に印加されることで、ゲート電流Ig(=PNPTR221のベース電流Ib)を生じる。
【0203】
図23−1(c)において、丸印を付して示すポイント(Ip,Vp)は、発光サイリスタ210−1のオフ領域AR1とオン遷移領域AR2の境目に相当している。次いで、アノード電流1aが増加するに伴い、アノード電圧Vaが低下していき、丸印を付して示すポイント(Iv,Vv)に到達する。このポイント(Iv,Vv)は、発光サイリスタ210−1のオン遷移領域AR2とオン領域AR3との境目に相当しており、この時のゲート電流Igは略ゼロにまで低下していて、実質的にバッファ163A−1は発光サイリスタ210−1から切り離されたのと等価な状態にある。
【0204】
更にアノード電流Iaが増加するに伴い、アノード電圧Vaが増加していき、丸印を付して示すポイント(Il,Vl)に到達する。このポイント(Il,Vl)は、発光サイリスタ210−1における発光駆動の最終動作ポイントであり、ドライバIC100側から供給されるアノード電流Iaに応じた所定の発光パワーで発光駆動が行われる。
【0205】
図23−1(c)を用いて発光サイリスタ210−1のターンオン過程を説明したが、個別のバッファ163A−1を設けることで、オン状態にある発光サイリスタ210−1からのゲート電流Igの流れ込みを防止して、アノード電流Iaとカソード電流Ikを略等しくしたオン状態駆動とすることができて、アノード電流Iaを調整することでそれに応じた発光パワーを得ることができる。このような動作は、バッファ162−1の出力端子と発光サイリスタ210−1のゲートとの間に個別のバッファ163A−1を介在させたことによる効果である。
【0206】
実施例1において説明したように、仮に、通常のCMOS回路で構成したバッファ162−1と発光サイリスタ210−1のゲートとを直結した場合には、バッファ162−1のLレベル出力電位は略0Vにまで降下してしまうので、PNPTR221のベース電流Ibがバッファ162−1の出力端子側にゲート電流Igとして流れ続け、その分NPNTR222のコレクタ電流Ikが減少して、発光サイリスタ210−1のカソード電流Ikも減少してしまう。この結果、発光サイリスタ210−1の発光出力が変動してしまって所望状態で動作させることができず、発光サイリスタ210を用いてプリントヘッド13を実現することが困難になるといった不具合が生じる。
【0207】
これに対し、本実施例2によれば、ゲート駆動用の個別のバッファ163A−1を設けているので、前記不具合が生じることが無くなり、印刷品位に優れた画像形成装置1を実現できる。
【0208】
(2) 実施例2の同時オンの場合の動作
図23−2(a)、(b)は、本実施例2の図7に示す複数の発光サイリスタ210−1,210−3,・・・が同時に点灯した場合の挙動を示す動作説明図であり、実施例1の図21−3(a)、(b)に対応している。
【0209】
この図23−2(a)においては、説明を簡略化するために、共通のバッファ162−1の出力端子に接続された共通配線GLには、2個の個別のバッファ163A−1,163A−3(実施例1のバッファ163−1,163−3に対応)の第1端子T1が接続され、このバッファ163A−1,163A−3の第2端子T2に、2個の発光サイリスタ210−1,210−3が接続され、他のバッファ及び発光サイリスタの図示が省略されている。共通のバッファ162−1は、発光サイリスタ210−1,210−3,・・・のオン制御に伴いその入力レベルがLレベルとされるので、グランドGNDに接続して示している。
【0210】
更に、図23−2(b)は、図23−2(a)と対比させて描かれており、各個別のバッファ163A−1,163A−3の内部等価回路が、NPNTR421及びPNPTR422により構成され、更に、各発光サイリスタ210−1,210−3の内部等価回路が、PNPTR221及びNPNTR222により構成されている。図23−2(b)中のVce1は、発光サイリスタ210−1内のNPNTR222のコレクタ・エミッタ間電圧であり、Vce3は、発光サイリスタ210−3内のNPNTR222のコレクタ・エミッタ間電圧である。
【0211】
なお、図23−2(b)は、複数の発光サイリスタ210−1,210−3が同時にオンしている状況を示しているが、図23−1と同様に、本実施例2の構成を用いた個別のバッファ163A−1,163A−3においては、発光サイリスタ210−1,210−3のターンオン指令のために、そのバッファ163A−1,163A−3の第2端子T2をLレベルにして発光サイリスタ210−1,210−3をオンさせた後には、この発光サイリスタ210−1,210−3のゲートから個別のバッファ163A−1,163A−3の第2端子T2に向かつて流れ込む電流を略ゼロにすることができる。このため、図23−2(b)においては、共通配線GLに接続される共通のバッファ162−1の影響は除外して考えることができ、図23−2(b)においてはバッファ162−1を破線にて図示している。
【0212】
例えば、発光サイリスタ210−1がオンしており、そのアノードからアノード電流Ia1が流入しているとする。この時、発光サイリスタ210−1におけるゲート電流Igの流れる経路として、図23−2(b)中の破線矢印で示す経路を考える。破線矢印のゲート電流Igが流れると仮定すると、このゲート電流Igは、発光サイリスタ210−1内のPNPTR221のエミッタ・ベース間を通り、個別のバッファ163A−1中のPNPTR422のベース・エミッタ間を通り、ベース・エミッタ間電圧Vbe分だけ電位降下した後、共通配線GLを経由して、他の個別のバッファ163A−3中のNPNTR421のベース・エミッタ間を通り、ベース・エミッタ間電圧Vbe分だけ電位降下して、発光サイリスタ210−3内のNPNTR222のコレクタ・エミッタ間を経由してグランドGNDに流出する。そのため、実施例1と同様に、発光サイリスタ210−1のゲートからゲート電流Igの流出側に向かつて積算した電圧Vgは、
Vg=Vbe+Vbe+Vce3
となる。
【0213】
ところが、発光サイリスタ210−1中のNPNTR222のコレクタ・エミッタ間電圧Vce1は、前記電圧Vgの計算値よりも小さいので、発光サイリスタ210−1内のPNPTR221のベースを流れたベース電流Ibは、破線矢印の経路を通ることなく、NPNTR222のコレクタ電流となって、発光サイリスタ210−1自身のカソード電流Ikとして合流することになる。
【0214】
図1及び図6から明らかなように、同時に点灯する発光サイリスタ210−1,210−3,・・・において、そのゲートには個別のバッファ163A−1,163A−3,・・・(実施例1のバッファ163−1,163−3,・・・に対応)が配備されており、前記発光サイリスタ210−1,210−3のゲート間を流れる電流成分は発生しないことになる。この結果、発光サイリスタ210−1,210−3に供給するアノード電流Ia1,Ia3は、全てこの発光サイリスタ210−1,210−3のアノード・カソード間を流れてカソード電流Ikとなり、アノード電流Ia1,Ia3とカソード電流Ik,Ikは等しいので、発光サイリスタ210−1,210−3の発光出力は、アノード電流Ia1,Ia3のみにより変化させることができて、このアノード電流Ia1,Ia3を調整することによってその発光パワーを任意に調整することができる。
【0215】
このように、本実施例2の構成においては、実施例1と同様に、同時にオンしている発光サイリスタ210−1,210−3のゲート間には回りこみ電流を生じることはなく、そのアノード電流Ia1,Ia3により発光出力を調整することができる。
【0216】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、各発光サイリスタ210のゲート側に、実施例1の個別のバッファ163又は164とは異なる回路構成の個別のバッファ163A又は164Aをそれぞれ接続したので、実施例1の効果(a)、(b)と同様の効果が得られる。
【0217】
(実施例2の個別のバッファの変形例1)
図24(a)〜(c)は、本発明の実施例2における分離回路としての個別のバッファの変形例1を示す模式図であり、同図(a)は回路シンボルを示す図、同図(b)は同図(a)の回路構成を示す図、同図(c)は同図(b)の電圧/電流特性を示す図である。この図24において、実施例2を示す図22中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0218】
図24(a)に示すように、本変形例1における個別のバッファ163Bは、入力側の第1端子T1及び出力側の第2端子T2を有している。
【0219】
図24(b)に示すように、個別のバッファ163Bは、2つのPNPTR431,432を有し、これらが入力側の第1端子T1と出力側の第2端子T2との間に接続されて、バッファ回路が構成されている。即ち、PNPTR431のエミッタとPNPTR432のベースとは、第1端子T1に接続され、PNPTR431,432のコレクタが、グランドGNDに接続され、更に、PNPTR431のベースとPNPTR432のエミッタとが、第2端子T2に接続されている。
【0220】
図24(c)に示すバッファ163Bの電圧/電流特性図において、横軸は図24 (b)の第1端子T1と第2端子T2間に印加される電圧(V)、縦軸は第1端子T1と第2端子T2間に流れる電流(I)を示している。この特性図から明らかなように、第1端子T1と第2端子T2間に印加される電圧Vの絶対値が電圧Vfを越えると、電流Iが流れる特性となっている。その電圧Vfは、PNPTR431,432のベース・エミッタ間の順電圧(即ち、ベース・エミッタ間電圧Vbe)に等しく、図24(b)のバッファ163Bをシリコン基材を用いて形成した場合における電圧Vfの典型例は、約0.6Vである。
【0221】
このような個別のバッファ163Bを各発光サイリスタ210のゲート側に接続しても、実施例2と同様の作用効果を奏することができる。
【0222】
(実施例2の個別のバッファの変形例2)
図25(a)〜(c)は、本発明の実施例2における個別のバッファの変形例2を示す模式図であり、同図(a)は回路シンボルを示す図、同図(b)は同図(a)の回路構成を示す図、同図(c)は同図(b)の電圧/電流特性を示す図である。この図25において、実施例2を示す図22中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0223】
図25(a)に示すように、本変形例2における個別のバッファ163Cは、入力側の第1端子T1及び出力側の第2端子T2を有している。
【0224】
図25(b)に示すように、個別のバッファ163Cは、2つのNPNTR441,442を有し、これらが入力側の第1端子T1と出力側の第2端子T2との間に接続されて、バッファ回路が構成されている。即ち、NPNTR441のベースとNPNTR442のエミッタとは、第1端子T1に接続され、NPNTR441,442のコレクタが、電源電圧VDD端子に接続され、更に、NPNTR441のエミッタとNPNTR442のベースとが、第2端子T2に接続されている。
【0225】
図25(c)に示すバッファ163Cの電圧/電流特性図において、横軸は図25 (b)の第1端子T1と第2端子T2間に印加される電圧(V)、縦軸は第1端子T1と第2端子T2間に流れる電流(I)を示している。この特性図から明らかなように、第1端子T1と第2端子T2間に印加される電圧Vの絶対値が電圧Vfを越えると、電流Iが流れる特性となっている。その電圧Vfは、NPNTR441,442のベース・エミッタ間の順電圧(即ち、ベース・エミッタ間電圧Vbe)に等しく、図25(b)のバッファ163Cをシリコン基材を用いて形成した場合における電圧Vfの典型例は、約0.6Vである。
【0226】
このような個別のバッファ163Cを各発光サイリスタ210のゲート側に接続しても、実施例2と同様の作用効果を奏することができる。
【0227】
(実施例2の個別のバッファの変形例3)
図26(a)〜(c)は、本発明の実施例2における個別のバッファの変形例3を示す模式図であり、同図(a)は回路シンボルを示す図、同図(b)は同図(a)の回路構成を示す図、同図(c)は同図(b)の電圧/電流特性を示す図である。この図26において、実施例2を示す図22中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0228】
図26(a)に示すように、本変形例3における個別のバッファ163Dは、入力側の第1端子T1及び出力側の第2端子T2を有している。
【0229】
図26(b)に示すように、個別のバッファ163Dは、PNPTR451及びNPNTR452を有し、これらが入力側の第1端子T1と出力側の第2端子T2との間に接続されて、バッファ回路が構成されている。即ち、PNPTR451のエミッタとNPNTR452のエミッタとは、第1端子T1に接続され、PNPTR451のコレクタが、グランドGNDに接続され、NPNTR452のコレクタが、電源電圧VDD端子に接続され、更に、PNPTR451のベースとNPNTR452のベースとが、第2端子T2に接続されている。
【0230】
図26(c)に示すバッファ163Dの電圧/電流特性図において、横軸は図26 (b)の第1端子T1と第2端子T2間に印加される電圧(V)、縦軸は第1端子T1と第2端子T2間に流れる電流(I)を示している。この特性図から明らかなように、第1端子T1と第2端子T2間に印加される電圧Vの絶対値が電圧Vfを越えると、電流Iが流れる特性となっている。その電圧Vfは、PNPTR451及びNPNTR452のベース・エミッタ間の順電圧(即ち、ベース・エミッタ間電圧Vbe)に等しく、図26(b)のバッファ163Dをシリコン基材を用いて形成した場合における電圧Vfの典型例は、約0.6Vである。
【0231】
このような個別のバッファ163Dを各発光サイリスタ210のゲート側に接続しても、実施例2と同様の作用効果を奏することができる。
【0232】
(実施例1、2の他の変形例)
本発明は、上記実施例1、2や変形例1、2、3に限定されず、その他の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(c)のようなものがある。
【0233】
(a) 実施例において、光源として用いられる発光サイリスタ210に適用した場合について説明したが、本発明は、サイリスタをスイッチング素子として用い、このスイッチング素子に例えば直列に接続された他の素子(例えば、有機エレクトロルミネセンス素子(以下「有機EL素子」という。)、表示素子等)への電圧印加制御を行う場合にも適用可能である。例えば、有機EL素子のアレイで構成される有機ELプリントヘッドを備えたプリンタ、表示素子の列を有する表示装置等において利用することができる。
【0234】
(b) 表示素子(例えば、列状あるいはマトリクス状に配列された表示素子)の駆動(即ち、電圧印加の制御)のためスイッチング素子としても用いられるサイリスタにも適用可能である。又、本発明は、3端子構造を備えたサイリスタの他、第1と第2の2つのゲート端子を備えた4端子サイリスタSCS(Silicon Semiconductor Controlled Switch)の場合にも適用可能である。
【0235】
(c) 実施例1、2における発光サイリスタ210としてPNPN構造からなるNゲート型のものを取り上げてその構成及び動作を説明したが、Pゲート型サイリスタの構成においても同様な構成で動作させることができるのはもちろん、PNPNPN構成のサイリスタであっても良く、その形態は種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0236】
1 画像形成装置
13 プリントヘッド
100,100−1,100−2 ドライバIC
162−1,162−2 共通のバッファ
163,163A,163B,163C,163D,163−1〜163−96,163A−1,163A−3,164,164−1〜164−96 個別のバッファ
180 ドライバ部
181,181−1〜181−96 ドライバ
200,200−1,200−2 発光素子アレイ
210,210−1〜210−192 発光サイリスタ
401,402,421,441,442,452 NPNTR
422,431,432,451 PNPTR

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々、電源と接続される第1端子と、前記第1端子との間に駆動電流を流すための第2端子と、前記第1端子及び前記第2端子間の導通状態を制御する制御端子とを有し、前記第1端子同士が共通接続された複数の3端子発光素子が、複数の組に分けられ、前記各組における前記複数の3端子発光素子を前記各組毎に時分割に駆動する駆動装置であって、
前記各3端子発光素子の前記第2端子に対して前記駆動電流をそれぞれ供給する複数の駆動回路と、
前記各組における前記複数の3端子発光素子の前記制御端子を共通接続する共通配線と、
各々、前記共通配線に接続される第3端子と前記各3端子発光素子の前記制御端子に接続される第4端子とを有し、前記第3端子又は前記第4端子にそれぞれ入力される信号のレベルをシフトして前記第4端子又は前記第3端子からそれぞれ出力する複数の分離回路と、
を有することを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記電源は、グランドであることを特徴とする請求項1記載の駆動装置。
【請求項3】
前記分離回路は、前記第3端子及び前記第4端子間に印加される印加電圧の絶対値が所定電圧以上となると、前記印加電圧の極性に応じた向きの電流を生じる特性を有することを特徴とする請求項1又は2記載の駆動装置。
【請求項4】
前記分離回路は、
ダイオード接続された第1トランジスタとダイオード接続された第2トランジスタとを有し、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタが前記第3端子と前記第4端子との間に逆並列状態に接続されていることを特徴とする請求項3記載の駆動装置。
【請求項5】
前記分離回路は、
第1トランジスタ及び第2トランジスタを有し、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタが前記第3端子と前記第4端子との間に接続されたバッファ回路により構成されていることを特徴とする請求項3記載の駆動装置。
【請求項6】
前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタは、バイポーラトランジスタであることを特徴とする請求項4又は5記載の駆動装置。
【請求項7】
前記3端子発光素子は、発光サイリスタであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項8】
複数の前記3端子発光素子と、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の駆動装置と、
を備えたことを特徴とするプリントヘッド。
【請求項9】
請求項8記載のプリントヘッドを備え、
前記プリントヘッドにより露光されて記録媒体に画像を形成することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21−1】
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【図21−2】
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【図21−3】
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【図22】
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【図23−1】
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【図23−2】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−233590(P2011−233590A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100208(P2010−100208)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(500002571)株式会社沖デジタルイメージング (186)
【Fターム(参考)】