説明

駆動装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】駆動機構の組み立て時に、他の部品に接触することによって生じる回転伝達車の損傷を抑止する。
【解決手段】駆動機構100は、小径回転伝達車112及び大径回転伝達車114を有する多段回転伝達車110と、大径回転伝達車114に当接して多段回転伝達車110に回転を伝達する回転伝達車120と、多段回転伝達車110及び回転伝達車120を収容する収容部130と、収容部130を構成するカバー部材140とを備える。収容部130は、回転伝達車120及び大径回転伝達車114を収容する第1収容部131と第2収容部132とを有する。カバー部材140は、第1収容部131を構成する板状部142と、第1収容部131及び第2収容部132を連通させる挿通孔144と、板状部142から回転軸方向Cに突出する筒状部146と、第2収容部132に収容される小径回転伝達車112の一部を外部に露出させる開口部148とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機、プリンタ、ファクシミリ、又はこれらの複合機等の画像形成装置は、一般的に、複数の像担持体(感光体ドラム)と、像担持体に形成された静電潜像をトナー画像に変換する現像器と、像担持体に形成されたトナー画像を用紙等の被転写材に転写する転写部と、被転写材に転写されたトナー画像を被転写材に定着させる定着部と、を備える。
【0003】
画像形成装置においては、画像形成装置の小型化が要求されており、この要求に伴って、駆動機構にも、小型化が要求されている。また、上述の画像形成装置以外の各種装置においても、その小型化が要求されており、この要求に伴って、各種装置に備えられた駆動機構にも小型化が要求されている。
【0004】
一般的な駆動機構は、例えば、板金部と、板金部に支軸されたシャフトと、シャフトに支軸されたドラム部と、板金に堅固に組み付けられた駆動部とを備え、駆動部の出力軸に組み付けられた駆動歯車はドラム部に組み付けられる従動歯車に噛合している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−100923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の駆動機構は、駆動歯車や従動歯車を覆うカバー部材に相当する部品が少ないので、例えば、駆動機構の組み立て時に、回転伝達車である駆動歯車や従動歯車が筐体のフレームと接触して、駆動歯車や従動歯車が損傷する恐れがある。特に、駆動機構が小型化されると、その恐れは顕著になる。
【0007】
本発明は、駆動機構の組み立て時に、他の部品に接触することによって生じる回転伝達車の損傷を抑止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、小径回転伝達車及び前記小径回転伝達車と同軸にかつ相対的回転不能に形成された大径回転伝達車を有する多段回転伝達車と、前記大径回転伝達車に当接して前記多段回転伝達車に回転を伝達する回転伝達車と、前記多段回転伝達車及び回転伝達車を収容する収容部であって、前記回転伝達車及び前記大径回転伝達車を収容する第1収容部と、前記第1収容部における前記多段回転伝達車の回転軸方向に連続して形成される第2収容部と、を有する収容部と、前記収容部を構成するカバー部材であって、前記第1収容部を構成する板状部と、前記板状部に形成され前記第1収容部と前記第2収容部とを連通させると共に、前記小径回転伝達車を回転可能かつ挿通可能に形成される挿通孔と、前記第2収容部を構成し前記板状部から回転軸方向に突出して形成される筒状部と、前記筒状部に形成され前記第2収容部に収容される小径回転伝達車の一部を外部に露出させる開口部とを有するカバー部材と、を備える駆動機構に関する。
【0009】
前記筒状部は、前記回転軸方向において前記大径回転伝達車と反対側に端部に配置され、前記小径回転伝達車の端部における一部を覆う端部カバー部を有し、前記端部カバー部は、前記端部カバー部の外側面が前記板状部の外側面に対して並行になると共に、前記回転軸方向において突出して位置するよう形成されることが好ましい。
【0010】
また、本発明は、平面状の外側面部及び前記外側面部に形成された貫通孔部を有する筐体と、前記筐体の内部に配置され、被転写材を搬送する給紙搬送部と、前記筐体の内部に配置され、前記被転写材にトナー画像を転写する画像形成部と、前記筐体の内部に配置され、前記被転写材に転写されたトナー画像を前記被転写材に定着させる定着部と、前記筐体の外部に前記板状部が前記外側面部に面同士が面当接するよう配置されると共に、前記筐体の内部に前記筒状部が前記貫通孔部を介して挿入して配置され、前記給紙搬送部、前記画像形成部及び前記定着部からなる群より選択される少なくとも1つを直接又は間接的に回転駆動させる上述記載の駆動機構と、を備える画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、駆動機構は、小径回転伝達車が板状部から回転軸方向に突出して形成される筒状部にほとんど覆われているので、駆動機構の組み立て時に、他の部品に接触することによって生じる回転伝達車の損傷を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態としてのプリンタ1における各構成要素の配置を説明するための正面図である。
【図2】駆動機構100の外観斜視図である。
【図3】図2に示した駆動機構100の別の方向からの外観斜視図である。
【図4】図2に示した駆動機構100の部分拡大断面図である。
【図5】図2に示した駆動機構100の別の部分拡大断面図である。
【図6】図2に示した駆動機構100に取り付けプレートを組み付けた状態を示す斜視図である。
【図7】図2に示した駆動機構100に取り付けプレートを組み付けた状態を示す別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態を説明する。
図1により、第1実施形態の画像形成装置としてのプリンタ1における全体構造を説明する。図1は、本発明の第1実施形態としてのプリンタ1における各構成要素の配置を説明するための正面図である。
【0014】
以下の説明において、プリンタ1の前側に立った使用者から見て、左右方向をX方向とし、前後(奥行き)方向をY方向とし、上下方向をZ方向とする。
【0015】
図1に示すように、画像形成装置としてのプリンタ1は、装置本体Mと、所定の画像情報に基づいてシート状の被転写材としての用紙Tにトナー画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共にトナー画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部KHとを有する。
装置本体Mにおける外形は、筐体としてのケース体BDにより構成されている。
【0016】
図1に示すように、画像形成部GKは、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2a、2b、2c、2dと、帯電部10a、10b、10c、10dと、露光ユニットとしてのレーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dと、現像器16a、16b、16c、16dと、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dと、トナー供給部6a、6b、6c、6dと、ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dと、除電器12a、12b、12c、12dと、中間転写ベルト7と、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dと、2次転写ローラ8と、対向ローラ18と、定着部9と、を備える。
【0017】
図1に示すように、給排紙部KHは、給紙カセット52と、手差し給紙部64と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラ対80と、複数のローラ又はローラ対と、排紙部50と、を備える。なお、搬送路Lは、後述するように、第1搬送路L1と、第2搬送路L2と、第3搬送路L3と、手差し搬送路Laと、戻り搬送路Lbとの集合体である。
【0018】
以下、画像形成部GK及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。
まず、画像形成部GKについて説明する。
画像形成部GKにおいては、画像形成時に感光体ドラム2a、2b、2c、2dが回転すると順に、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対して、帯電部10a、10b、10c、10dによる帯電、レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dによる露光、現像器16a、16b、16c、16dによる現像、中間転写ベルト7及び1次転写ローラ37a、37b、37c、37dによる1次転写、除電器12a、12b、12c、12dによる除電、及びドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dによるクリーニングが行われる。
また、画像形成部GKにおいては、中間転写ベルト7、2次転写ローラ8及び対向ローラ18による2次転写、並びに定着部9による定着が行われる。
【0019】
感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、中間転写ベルト7の進行方向に対して直交する方向に延びる回転軸を中心に、図1に示した矢印の方向に回転可能に配置されている。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面には、静電潜像が形成され得る。
【0020】
帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置されている。帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を一様に正(プラス極性)に帯電させる。
【0021】
レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dは、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面から離間して配置されている。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、不図示のレーザ光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モータ等を有して構成されている。
【0022】
レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器から入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を走査露光する。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれにより走査露光されることで、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面の露光された部分の電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に静電潜像が形成される。
【0023】
現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dにそれぞれ対応して設けられ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向して配置されている。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成された静電潜像の帯電電荷が除去された箇所に各色のトナーを付着させて、カラーのトナー画像を感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成する。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの色に対応する。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向配置された現像ローラ、トナー攪拌用の攪拌ローラ等を有して構成されている。
【0024】
トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対応して設けられており、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、イエローのトナー、シアンのトナー、マゼンタのトナー、ブラックのトナーを収容する。
【0025】
トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれは、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5d及び現像器16a、16b、16c、16dにそれぞれ対応して設けられており、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれに収容された各色のトナーを、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給する。トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれと現像器16a、16b、16c、16dそれぞれとは、トナー搬送装置500a、500b、500c、500dによって結ばれている。
【0026】
中間転写ベルト7には、感光体ドラム2a、2b、2c、2dに形成された各色のトナー画像が順次1次転写される。中間転写ベルト7は、従動ローラ35、駆動ローラとして機能する対向ローラ18、テンションローラ36等に掛け渡されている。テンションローラ36が中間転写ベルト7を内側から外側に付勢するため、中間転写ベルト7には所定の張力が与えられる。
【0027】
中間転写ベルト7を挟んで感光体ドラム2a、2b、2c、2dと反対の側には、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれが対向して配置されている。
【0028】
中間転写ベルト7は、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれと、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれとにより挟み込まれる。この挟み込まれた部分は、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面に押し当てられる。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれと1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれとの間で、それぞれ1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dが形成されている。1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dそれぞれにおいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに形成された各色のトナー画像が中間転写ベルト7に順次1次転写される。これにより、中間転写ベルト7には、フルカラーのトナー画像が形成される。
【0029】
1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれには、不図示の1次転写バイアス印加部により、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに形成された各色のトナー画像を中間転写ベルト7に転写させるための1次転写バイアスが印加される。
【0030】
除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置されている。除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に光を照射することにより、1次転写が行われた後の感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を除電する(電荷を除去する)。
【0031】
ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置されている。ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に1次転写後に残存したトナーや付着物を除去すると共に、除去されたトナー等を所定の回収機構へ搬送して、回収させる。
【0032】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に1次転写されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させる。2次転写ローラ8には、不図示の2次転写バイアス印加部により、中間転写ベルト7に形成されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに転写させるための2次転写バイアスが印加される。
【0033】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に対して当接したり離間したりする。具体的には、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に当接される当接位置と中間転写ベルト7から離間する離間位置とに移動可能に構成されている。詳細には、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7の表面に1次転写されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させる場合には当接位置に配置され、他の場合には離間位置に配置される。
【0034】
中間転写ベルト7における2次転写ローラ8とは反対側には、対向ローラ18が配置されている。中間転写ベルト7は、2次転写ローラ8と対向ローラ18とによって挟み込まれる。そして、用紙Tは中間転写ベルト7の外面(トナー画像が1次転写された面)に押し当てられる。中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間に2次転写ニップN2が形成されている。2次転写ニップN2において、中間転写ベルト7に1次転写されたフルカラーのトナー画像が用紙Tに2次転写されている。
【0035】
定着部9は、用紙Tに2次転写されたトナー画像を構成する各色のトナーを溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。定着部9は、ヒータにより加熱される加熱回転体9aと、加熱回転体9aに圧接される加圧回転体9bと、を備える。加熱回転体9aと加圧回転体9bとは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟み込んで加圧すると共に、搬送する。加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間に挟まれた状態で用紙Tが搬送されることによって、用紙Tに転写されたトナーは、溶融及び加圧をされることで用紙Tに定着される。
【0036】
次に、給排紙部KHについて説明する。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する給紙カセット52が配置されている。給紙カセット52は、装置本体Mのケース体BDから水平方向に引き出し可能に構成されている。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板60が配置されている。給紙カセット52には、用紙Tが載置板60の上に積層された状態で収容されている。載置板60に載置された用紙Tは、給紙カセット52の用紙送り出し側の端部(図1において右側の端部)に配置されているカセット給紙部51により搬送路Lに送り出されている。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラ対81とからなる重送防止機構を備える。給紙ローラ対81は、後術する駆動機構100によって回転駆動される。
【0037】
装置本体Mの右側面(図1において右側)には、手差し給紙部64が設けられる。手差し給紙部64は、給紙カセット52にセットされている用紙Tとは異なる大きさや種類の用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部64は、閉状態において装置本体Mの右側面の一部を構成する手差しトレイ65と、給紙コロ66とを備える。手差しトレイ65は、その下端が給紙コロ66の近傍に回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ65には、用紙Tが載置されている。給紙コロ66は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを手差し搬送路Laに給紙する。
【0038】
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から2次転写ニップN2までの第1搬送路L1と、2次転写ニップN2から定着部9までの第2搬送路L2と、定着部9から排紙部50までの第3搬送路L3と、手差し給紙部64から供給される用紙を第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を下流側から上流側へ搬送する用紙を、表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻り搬送路Lbと、を備える。
【0039】
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻り搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。
第1分岐部Q1は、戻し搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部である。
【0040】
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と2次転写ニップN2との間)には、用紙Tを検出するための用紙検出センサ(図示せず)と、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とタイミングを合わせるためのレジストローラ対80とが配置されている。前記用紙検出センサは、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラ対80の直前(搬送方向における上流側)に配置されている。レジストローラ対80は、前記用紙検出センサからの検出信号情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして用紙Tを搬送する。
【0041】
第1搬送路L1における第1合流部P1と第2合流部P2との間には、中間ローラ対82が配置されている。中間ローラ対82は、給紙ローラ対81に関して用紙搬送方向の下流側に配置され、給紙ローラ対81より搬送されている用紙Tを挟持して、レジストローラ対80へ搬送する。
【0042】
戻し搬送路Lbは、用紙Tに両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(未印刷面)を中間転写ベルト7に対向させるために設けられた搬送路である。戻し搬送路Lbによって、第1分岐部Q1から排紙部50側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第1搬送路L1に戻して、2次転写ローラ8の上流側に配置されたレジストローラ対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tには、2次転写ニップN2において未印刷面に対してトナー画像が転写されている。
【0043】
第1分岐部Q1には、整流部材58が設けられている。整流部材58は、定着部9から搬出され第3搬送路L3を上流側から下流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、排紙部50に向かう方向に整流すると共に、排紙部50から第3搬送路L3を下流側から上流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、戻し搬送路Lbに向かう方向に整流する。
【0044】
第3搬送路L3における端部には、排紙部50が形成されている。排紙部50は、装置本体Mの上部に配置されている。排紙部50は、装置本体Mの左側面側(図1において左側)に向けて開口している。排紙部50は、用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。排紙部50は、排出ローラ対53を有している。排出ローラ対53によって、第3搬送路L3を上流側から下流側に搬送されている用紙Tを装置本体Mの外部に排紙すると共に、排紙部50において用紙Tの搬送方向を反転させて用紙Tを第3搬送路L3の上流側に向けて搬送することができる。
【0045】
排紙部50の開口側には、排紙集積部M1が形成されている。排紙集積部M1は、装置本体Mの上面(外面)に形成されている。排紙集積部M1は、装置本体Mの上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mの上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、所定のトナー画像が形成され排紙部50から排紙された用紙Tが積層して集積される。
なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサ(不図示)が配置されている。
【0046】
次に、図1を参照して、第1実施形態のプリンタ1の動作について、簡単に説明する。
まず、給紙カセット52に収容された用紙Tに片面印刷を行う場合について説明する。
給紙カセット52に収容された用紙Tは、前送りコロ61及び給紙ローラ対81によって第1搬送路L1に送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、中間ローラ対82により、レジストローラ対80に搬送される。
レジストローラ対80においては、用紙Tのスキュー補正や、画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とのタイミング調整が行われる。
【0047】
レジストローラ対80から排出された用紙Tは、第1搬送路L1を介して中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間(2次転写ニップN2)に導入される。そして、用紙Tには、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間において、トナー画像が転写される。
その後、用紙Tは、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間から排出され、第2搬送路L2を介して、定着部9における加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間の定着ニップに導入される。そして、定着ニップにおいてトナーが溶融し、トナーが用紙Tに定着される。
【0048】
次いで、用紙Tは、第3搬送路L3を通して排紙部50に搬送され、排出ローラ対53により排紙部50から排紙集積部M1に排出される。
このようにして、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷が完了する。
【0049】
手差しトレイ65に載置された用紙Tに片面印刷を行う場合には、手差しトレイ65に載置された用紙Tは、給紙コロ66によって手差し搬送路Laに送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、レジストローラ対80に搬送される。それ以降の動作は、前述した、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷の動作と同様であり、説明を省略する。
【0050】
次に、両面印刷を行う場合のプリンタ1の動作について説明する。
片面印刷の場合には、前述した通り、片面印刷がされた用紙Tが、排紙部50から排紙集積部M1に排出されて印刷動作が完了する。
これに対し、両面印刷を行う場合には、片面印刷がされた用紙Tが、戻し搬送路Lbを介して、片面印刷時とは表裏反転して、レジストローラ対80に再度搬送されることにより、用紙Tに両面印刷が施される。
【0051】
詳述すると、片面印刷がされた用紙Tが排出ローラ対53により排紙部50から排出されるまでは、前述した片面印刷の動作と同様である。而して、両面印刷の場合には、片面印刷がされた用紙Tが排出ローラ対53により保持されている状態において、排出ローラ対53の回転を停止させ、逆方向に回転させる。このように排出ローラ対53を逆方向に回転させると、排出ローラ対53に保持されている用紙Tは、第3搬送路L3を逆方向(排紙部50から第1分岐部Q1に向かう方向)に搬送される。
【0052】
前述したように、用紙Tが、第3搬送路L3を逆方向に搬送されると、整流部材58により、用紙Tは、戻し搬送路Lbへ整流され、その後、第2合流部P2を介して、第1搬送路L1に合流する。ここで、用紙Tは、片面印刷時とは表裏反転している。
【0053】
さらに、用紙Tは、レジストローラ対80により前記補正又は前記調整が行われ、第1搬送路L1を介して、2次転写ニップN2に導入される。用紙Tは、戻し搬送路Lbを経由することにより、未印刷面が中間転写ベルト7に対向するので、未印刷面にトナー画像が転写され、その結果、両面印刷が施される。
【0054】
<駆動機構>
図1から図7に示すように、駆動機構100は、前後(奥行き)方向(Y方向)において、給紙ローラ対81の奥側に配置され、連結部材(不図示)を介して給紙ローラ対81を回転駆動させる。
駆動機構100は、多段回転伝達車110と、回転伝達車120と、収容部130と、カバー部材140と、を備える。
図2及び図3に示すように、駆動機構100は、外観が略直方体の形状を有し、後述する板状部142の外側面142aから、後述する筒状部146が突出している。そして、筒状部146の開口部148から、後述する多段回転伝達車110を構成する小径回転伝達車112の一部が他の回転伝達車に当接可能に露出している。
【0055】
<多段回転伝達車、回転伝達車>
駆動機構100の一部においては、図4に示すように、多段回転伝達車110は、小径回転伝達車112及び小径回転伝達車112と同軸にかつ相対的回転不能に形成された大径回転伝達車114を有する。大径回転伝達車114と小径回転伝達車112とは、互いに回転軸方向Cに同軸になるよう並んで配置される。多段回転伝達車110の回転軸の延びる方向である回転軸方向Cにおいて、小径回転伝達車112側の端部112bは、平面形状とされる。小径回転伝達車112及び大径回転伝達車114は、歯車やギア等である。多段回転伝達車110は、樹脂製の部材である。
【0056】
回転伝達車120は、大径回転伝達車114に当接して多段回転伝達車110に回転を伝達する。具体的には、回転伝達車120は、大径回転伝達車114に当接(噛合)して、多段回転伝達車110に不図示の回転駆動源からの回転駆動力を伝達する。回転伝達車120は、歯車やギア等である。図4に示すように、本実施形態において、回転伝達車120は平歯車である。
【0057】
<収容部、カバー部材>
収容部130は、多段回転伝達車110及び回転伝達車120を収容する。
収容部130は、第1収容部131と、第2収容部132とを有する。
第1収容部131は、大径回転伝達車114と、大径回転伝達車114に噛合する回転伝達車120とを、回転可能に収容する。
第1収容部131は、後述する板状部142とリブ部152と板状ケース部154とにより形成された空間である。
第2収容部132は、小径回転伝達車112を回転可能に収容する。
第2収容部132は、第1収容部131における多段回転伝達車110の回転軸方向Cに連続して形成される。
第2収容部132は、後述する筒状部146と開口部148と端部カバー部147とにより形成された空間である。
【0058】
カバー部材140は、収容部130を構成する部材である。カバー部材140は、板状部142と、挿通孔144と、筒状部146と、開口部148とを有する。
カバー部材140は、板状部142の縁部から回転軸方向Cにおいて板状部142から離れる方向に隆起し、大径回転伝達車114及び回転伝達車120を収容可能な大きさ(第2収容部132の回転軸方向Cにおける長さ(高さ))を画定するリブ部152と、リブ部152の端部側に形成された開口を覆う板状ケース部154とを有する。
【0059】
板状部142は、第1収容部131を構成する部品である。板状部142には、第1収容部131と第2収容部132とを連通させる挿通孔144が形成されている。挿通孔144は、小径回転伝達車112が挿通可能で回転可能な大きさを有する。
筒状部146は、第2収容部132を構成する。筒状部146は、板状部142の外側面142aから回転軸方向Cに突出して形成される。筒状部146は、小径回転伝達車112の外径よりも大きい内径を有する。筒状部146は、回転軸方向Cにおける小径回転伝達車112の高さ(長さ)よりも高い円筒形状である。
【0060】
筒状部146には、小径回転伝達車112の一部を外部に露出させる開口部148が形成されている。開口部148は、小径回転伝達車112が他の回転伝達車(例えば、装置本体Mの筐体内部に配置される回転伝達車)に当接可能なように、回転軸方向Cの伸びる方向にスリット状に形成されている。
開口部148は、筒状部146に形成され第2収容部132に収容される小径回転伝達車112の一部を外部に露出させる。
筒状部146は、回転軸方向Cにおいて、大径回転伝達車114と反対側の小径回転伝達車112の端部112bの一部を覆う端部カバー部147を有する。開口部148の大きさは、小径回転伝達車112は、他の回転伝達車に当接に必要な大きさであることが好ましい。したがって、小径回転伝達車112は、そのほとんどをカバー部材140によって覆われている。
【0061】
端部カバー部147は、開口部148に対応して一部が欠けた円盤形状を有する。
また、端部カバー部147は、板状部142の外側面142aと、端部カバー部147とが回転軸方向Cにおいて互いに平行になるように位置している。端部カバー部147は、回転軸方向Cにおいて突出している。
【0062】
筒状部146は、回転軸方向Cにおいて大径回転伝達車114と反対側に端部に配置され、小径回転伝達車112の端部における一部を覆う端部カバー部147を有する。
端部カバー部147は、端部カバー部147の外側面147aが板状部142の外側面142aに対して並行になると共に、回転軸方向Cにおいて突出して位置するよう形成される。
【0063】
駆動機構100の他の一部においては、図5に示すように、別の多段回転伝達車110aは、小径回転伝達車112a及び小径回転伝達車112aと同軸にかつ相対的回転不能に形成された大径回転伝達車114aを有する。小径回転伝達車112a及び大径回転伝達車114aは、歯車やギア等である。多段回転伝達車110aは、樹脂製の部材である。
【0064】
多段回転伝達車110aは、回転軸方向Cにおいて、板状部142と板状ケース部154との間の距離が、大径回転伝達車の回転軸方向Cの長さよりも大きい。そこで、回転軸方向Cにおいて、大径回転伝達車114aの小径回転伝達車112aと反対側に回転支持部115が板状ケース部154に形成されている。
大径回転伝達車114aは、回転伝達車120の他の形態である多段回転伝達車122の小径回転伝達車122aに当接している。
【0065】
図6及び図7に示すように、駆動機構100は、取り付けプレート160を介して装置本体Mの筐体710に取り付けられる。
取り付けプレート160は、板状部材161、162、163で形成されている。板状部材161は、略矩形状を有する。板状部材162は、板状部材161の長手方向の側辺部から板状部材161の表面160aに直角の方向に延びるように形成されている。板状部材163は、板状部材161の短手方向の側辺部から板状部材161の表面160aに直角の方向に延びるように形成されている。取り付けプレート160は、板状部材161、162、163が直方体の隣接する3つの面を構成するように、形成されている。
【0066】
図7に示すように、板状部材161には、駆動機構100の板状部142から突出しているカバー部材140が、挿通可能な大きさの貫通孔165が形成されている。したがって、駆動機構100の板状部142の外側面142aと、板状部材の表面160aとが略密接するように、駆動機構100を取り付けプレート160に載置すると、カバー部材140は、板状部材161の表面160aから裏面160bに通される。
【0067】
取り付けプレート160が取り付けられた駆動機構100は、筐体710の外部に板状部142が外側面部に面同士が面当接するよう配置されると共に、筐体710の内部に筒状部146が貫通孔部を介して挿入して配置されると、駆動機構100は、回転部材を直接又は間接的に回転駆動させる。
駆動機構100が回転駆動させる回転部材は、例えば、1次転写ローラ37a、37b、37c、37d、2次転写ローラ8、対向ローラ18である。
【0068】
<他の実施形態>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されていることなく、種々の形態を採用することができる。
本発明の駆動機構100は、連結部材を介して給紙ローラ対81を回転駆動させるとして説明したが、これに限定されず、感光体ドラム2a、2b、2c、2d、レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4d、現像器16a、16b、16c、16d、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5d、トナー供給部6a、6b、6c、6d、ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11d、除電器12a、12b、12c、12d、中間転写ベルト7、1次転写ローラ37a、37b、37c、37d、中間転写ベルト7、2次転写ローラ8、加熱回転体9a、又は、加圧回転体9bを回転駆動させてもよいし、これら以外の部材を回転駆動させてもよい。
また、本発明の駆動機構は、画像形成装置に備えられているとして説明したが、これらの画像形成装置以外の各種装置の駆動装置として用いてもよい。
また、本発明の画像形成装置の種類は、特に限定がなく、コピー機、プリンタ、ファクシミリ、又はこれらの複合機等であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1……プリンタ、100……駆動機構、110,110a……多段回転伝達車、112,112a……小径回転伝達車、112b……端部、114,114a……大径回転伝達車、115……回転支持部、120……回転伝達車、122……多段回転伝達車、122a……小径回転伝達車、130……収容部、131……第1収容部、132……第2収容部、140……カバー部材、142……板状部、142a……外側面、144……挿通孔、146……筒状部、147……端部カバー部、147a……外側面、148……開口部、152……リブ部、154……板状ケース部、160……取り付けプレート、160a……表面、160b……裏面、161,162,163……板状部材、165……貫通孔、710……筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小径回転伝達車及び前記小径回転伝達車と同軸にかつ相対的回転不能に形成された大径回転伝達車を有する多段回転伝達車と、
前記大径回転伝達車に当接して前記多段回転伝達車に回転を伝達する回転伝達車と、
前記多段回転伝達車及び回転伝達車を収容する収容部であって、
前記回転伝達車及び前記大径回転伝達車を収容する第1収容部と、
前記第1収容部における前記多段回転伝達車の回転軸方向に連続して形成される第2収容部と、を有する収容部と、
前記収容部を構成するカバー部材であって、
前記第1収容部を構成する板状部と、
前記板状部に形成され前記第1収容部と前記第2収容部とを連通させると共に、前記小径回転伝達車を回転可能かつ挿通可能に形成される挿通孔と、
前記第2収容部を構成し前記板状部から回転軸方向に突出して形成される筒状部と、
前記筒状部に形成され前記第2収容部に収容される小径回転伝達車の一部を外部に露出させる開口部とを有するカバー部材と、を備える
駆動機構。
【請求項2】
前記筒状部は、前記回転軸方向において前記大径回転伝達車と反対側に端部に配置され、前記小径回転伝達車の端部における一部を覆う端部カバー部を有し、
前記端部カバー部は、前記端部カバー部の外側面が前記板状部の外側面に対して並行になると共に、前記回転軸方向において突出して位置するよう形成される
請求項1に記載の駆動機構。
【請求項3】
平面状の外側面部及び前記外側面部に形成された貫通孔部を有する筐体と、
被転写材を搬送する給紙搬送部と、
前記被転写材にトナー画像を転写する画像形成部と、
前記被転写材に転写されたトナー画像を前記被転写材に定着させる定着部と、
前記筐体の外部に前記板状部が前記外側面部に面同士が面当接するよう配置されると共に、前記筐体の内部に前記筒状部が前記貫通孔部を介して挿入して配置される請求項1又は2に記載の駆動機構と、を備える
画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−214676(P2011−214676A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83907(P2010−83907)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】