説明

駆動装置

【課題】ボビンの端子台が倒れを防止することができる駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動装置は、マグネット1、ステータ2、コイル3、ボビン4、軸受け5、ロータ6、取付け版7を備える。取付け板7が、マグネットロータの回転軸と平行方向に延出した歯部7aを有し、歯部7aでボビン4cの端子台を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒形状の駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、コイルに対する通電を切り替え、外側磁極部と内側磁極部の各極性を切り替えることで、回転軸を回転させる円筒形状の駆動装置が開発され、実用化されている。本願出願人は、回転軸を中心とする直径を小さくしかつ出力を高めた駆動装置を既に提案している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6は、従来例(特許文献1)に係る駆動装置の構成を示す分解斜視図である。筒状のロータマグネット201は、外周面がN極、S極に交互に4極に着磁されている。円筒形状のコイル202は、ボビン203に巻きつけられている。コイル202は、マグネット201と同心で、軸方向に重なる位置に配置されている。
【0004】
ボビン203には、コイル202の端末をからげる端子ピンと、それらの端子ピンを支える端子台が形成されている。また端子ピンには、コイル202の給電を行う、不図示のフレキシブルプリント基板が接続されている。
【0005】
ステータ204は、マグネット201の外周面に対向し、歯形状の外側磁極部204a及び204bが形成されている。ロータ205は、軟磁性材料からなり、その一部205aがコイル202の内径部に挿入され、また別の一部205bがマグネット201の内径部に固定され、さらに出力ピンを備えている。コイル202に通電されると、マグネット201の内径部に固定された部分が内側磁極部として作用する。カバー207は駆動装置を覆う。
【0006】
この駆動装置は、コイル202への通電方向を変えることで、外側磁極部204a、204b及び内側磁極部205bの極性を切り換え、これによって、マグネット201を所定の位置まで往復回転するものである。往復回転するマグネット201の回転規制を、カバー207に設けられた案内溝207aに駆動ピン205cが当接することによって行っている。
【特許文献1】特開2004−320828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来例では、フレキシブルプリント基板が端子ピンに接続しているため、フレキシブルプリント基板の影響で、端子台が倒れやすいという欠点があった。これにより、端子台とマグネットが接触し不具合を起こすという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、ボビンの端子台の倒れを防止することができる駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の駆動装置は、周方向に着磁された円筒形状のマグネット部を持つロータと、コイルと、該コイルを巻回する本体部とコイルの端末を巻きつける端子ピン及び該端子ピンを配設する端子台を有するボビンと、前記ロータの外周面に対向し、前記コイルにより励磁される磁極部を有するステータと、外部ユニットに取付けるための取付け板を備え、前記取付け板は、前記ロータの回転軸と平行方向に延出した歯部を有し、該歯部で前記ボビンの端子台を固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の駆動装置において、取付け板は、ロータの回転軸と平行方向に延出した歯部を有し、該歯部でボビンの端子台を固定する。従って、ボビンの端子台の倒れを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る駆動装置の構成を示す分解斜視図、図2はその断面図である。
【0013】
図1及び図2において、駆動装置は、マグネット1、ステータ2、コイル3、ボビン4、軸受け5、ロータ6、取付け版7を備えている。
【0014】
マグネット1は、円筒形状に構成されており、その外周面が円周方向に複数分割され、S極及びN極に交互に着磁された着磁部を備えている。
【0015】
ステータ2は、軟磁性材料から形成されており、穴部2aを有したドーナツ状の基端部から軸方向に延出され、かつ円周方向に等間隔で形成された歯形状の外側磁極部2b、2c、2d、2eを備えている。外側磁極部2b〜2eは、マグネット1の外周面に所定の隙間をおいて対向状態に配置される。
【0016】
コイル3は、円筒形状に構成されるとともに、ボビン4に巻き付けられており、ステータ2の外側磁極部2b〜2eを励磁する。コイル3は、その外径がマグネット1の外径とほぼ同じ寸法に形成されている。
【0017】
ボビン4は、コイル3の端末をからげる端子ピン4a及び4bを有し、それらは端子台4cに配設されている。また端子台4cには、溝部4dが形成されている。
【0018】
軸受け5は、軟磁性材料から形成されており、ステータ2の穴部2aに固定され、これによって軸受け5とステータ2が磁気的に接続されるとともに、ボビン4を固定している。
【0019】
また、軸受け5の内径部において、後述するロータ6の軸部6bと嵌合することによってロータ6を回転可能に保持している。また、該嵌合部において、軸受け5とロータ6が磁気的に接続され、軸受け5は内側磁極部の一部として作用する。
【0020】
以上の構成により、軸受け5を介してステータ2とロータ6とが磁気的に接続され、磁気抵抗が小さくなるので、コイル3により発生する磁束が流れやすくなっている。
【0021】
ロータ6は、軟磁性材料から形成されており、本体部6a、軸部6b、6cを備えている。ロータ6は、本体部6aにてマグネット1の内径部に固定され、本体部6aは、コイル3への通電によりステータ2の外側磁極部2b〜2eとは反対の極に励磁され、内側磁極部として作用する。
【0022】
このように、本体部(内側磁極部)6a、によりマグネット1の内径を埋める構造とするで、マグネット1の機械的強度を増大することが可能となる。また、本体部(内側磁極部)6aはバックメタルとして働き、磁気回路のパーミアンス係数は高く設定されることになるため、駆動装置が高温下の環境で使用された場合でも減磁による磁気的劣化も少なくすることが可能となる。
【0023】
取付け板7は、非磁性材料から形成されており、ボビン4の端子台4cを中心とした時に軸方向でコイルとは反対側に配置されている。また取付け板7には、軸方向に延出された歯部7aが形成されている。この取付け板7を介して、駆動装置を、例えば、シャッタユニット等の地板に取付けることが可能となる。
【0024】
以上の構成において、図2に示すように、駆動装置を組立てた際に、取付け板7の歯部7aが、ボビン4の端子台4cの溝部4dに挿入される。そうすることで、ボビン4の端子台4cは、取付け板の歯部7aで固定され、部品点数を増やすことなく、端子台4cが倒れるのを防止することができる。
【0025】
またこの構成においては、歯部7aの形状は任意であるので、ボビン4の端子台4cの大きさに合わせることが可能である。また、取付け板7は、ボビン4の端子台4cを中心とした時に軸方向でコイル3とは反対側に配置されている。
【0026】
そのため、取付け板7の歯部7aが、コイル3の端末に接触し、ショートするということなく、端子台4cの倒れを防止することが可能となる。
【0027】
[第2の実施の形態]
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る駆動装置の構成を示す断面図である。
【0028】
図3において、駆動装置は、マグネット1、ステータ12、コイル3、ボビン14、軸受け5、ロータ6、取付け板17を備えている。
【0029】
本実施の形態は、上述した第1の実施の形態に対して、下記の点において相違する。本実施の形態における上述した第1の実施の形態と同じ要素については、同一符号を付し説明を省略する。
【0030】
ボビン14は、コイル3の端末をからげる端子部14a及び14bを有し、それらは端子台14cに配設されている。また端子台14cの内径部(回転軸中心からの半径)は、ステータ12の外側磁極部の外径部と略一致している。
【0031】
取付け板17は、非磁性材料から形成されており、ボビン14の端子台14cを中心とした時に軸方向でコイルとは反対側に配置されている。また取付け板17には、軸方向に延出された歯部17aが形成されており、この歯部17aが形成される位置(回転軸中心からの半径)は、ステータ12の外側磁極部の位置と略一致している。
【0032】
つまり、端子台14cの内径部の位置(回転軸中心からの半径)と歯部17aの外形部の位置(回転軸中心からの半径)が略一致している。
【0033】
従って、取付け板17の歯部17aによって、ボビン14の端子台14cの内径部が固定され、端子台14cが倒れるのを防止することができる。さらにこの構成においては、歯部17aが形成される位置(回転軸中心からの半径)とステータ12の外側磁極部の位置とが略一致しているため、径方向に小型化を図ることが可能となる。
【0034】
[第3の実施の形態]
図4は、本発明の第3の実施の形態に係る駆動装置の構成を示す分解斜視図、図5はその断面図である。
【0035】
図4乃至図5において、駆動装置は、マグネット1、ステータ22、コイル3、ボビン24、第1の軸受け25、ロータ6、取付け版27、第2の軸受け28、位相決めリング29を備えている。
【0036】
本実施の形態は、上述した第1及び第2の実施の形態に対して、下記の点において相違する。本実施の形態における上述した第1及び第2の実施の形態と同じ要素については、同一符号を付し説明を省略する。
【0037】
ステータ22は、軟磁性材料から形成されており、穴部22aを有したドーナツ状の基端部から軸方向に延出されかつ円周方向に等間隔で形成された歯形状の外側磁極部22b、22c、22d、22eを備えている。外側磁極部22b〜22eは、マグネット1の外周面に所定の隙間をおいて対向状態に配置される。
【0038】
ボビン24は、コイル3の端末をからげる端子部24a及び24bを有し、それらは端子台24cに配設されている。また端子台24cの内径部(回転軸中心からの半径)は、ステータ22の外側磁極部22b〜22eの外径部と略一致している。
【0039】
第1の軸受け25は、軟磁性材料から形成されており、ステータ22の穴部22aに固定され、これによって軸受け25とステータ22が磁気的に接続されるとともに、ボビン24を固定している。
【0040】
また、第1の軸受け25の内径部において、ロータ6の軸部6bと嵌合することによってロータ6を回転可能に保持している。また、該嵌合部において、第1の軸受け25とロータ6とが磁気的に接続され、第1の軸受け25は内側磁極部の一部として作用する。
【0041】
以上の構成により、第1の軸受け25を介してステータ22とロータ6とが磁気的に接続され、磁気抵抗が小さくなるので、コイル3により発生する磁束が流れやすくなっている。
【0042】
取付け板27は、軟磁性材料から形成されており、ボビン24の端子台24cを中心とした時に軸方向でコイル3とは反対側に配置されている。また、取付け板27には、穴部27eを有したドーナツ状の基端部から軸方向に延出され、かつ円周方向に等間隔で形成された歯部27a、27b、27c、27dが形成されている。
【0043】
この歯部27a〜27dが形成される位置(軸中心からの半径)は、ステータ22の外側磁極部22b〜22eの位置と略一致している。つまり、端子台24cの内径部の位置(回転軸中心からの半径)と歯部27a〜27dの外径部の位置(回転軸中心からの半径)が略一致している。
【0044】
さらに、歯部27a〜27dは、マグネット1の外周面に所定の隙間をおいて対向状態に配置される。また取付け板27は、切欠き部、27f、27g、27h、27iを有している。
【0045】
第2の軸受け28は、軟磁性材料から形成されており、取付け板27の穴部27eに固定され、これによって第2の軸受け28と取付け板27が磁気的に接続される。また、第2の軸受け28の内径部において、ロータ6の軸部6cと嵌合することによってロータ6を回転可能に保持している。
【0046】
また、該嵌合部において、第2の軸受け28とロータ6が磁気的に接続され、第2の軸受け28は内側磁極部の一部として作用するとともに、前述した取付け板27の歯部27a〜27dは、外側磁極部として作用する。
【0047】
以上の構成により、第2の軸受け28を介して取付け板27とロータ6とが磁気的に接続され、磁気抵抗が小さくなるので、コイル3により発生する磁束が流れやすくなっている。
【0048】
位相決めリング29は、非磁性材料から形成されており、切欠き部29a、29b、29c、29d、29e、29f、29g、29hと、突起部29i、29j、29k、29lを有している。
【0049】
以上の構成において、図5に示すように、駆動装置を組立てた際に、取付け板27の歯部27aによって、ボビン24の端子台24cの内径部が固定され、端子台24cが倒れるのを防止することができる。
【0050】
さらに、この構成においては、ステータ22の外側磁極部22b〜22eが、位相決めリング29の切欠き部29a〜29cに挿入され、係合する。そして、取付け板27の歯部27a〜27dが、位相決めリング29の切欠き部29e〜29hに挿入されると同時に、位相決めリングの突起部29i〜29lが、取付け板27の切り欠き部27f〜27iに挿入、係合される。
【0051】
それによって、ステータ22の歯部27b〜27eと取付け板27の歯部27a〜27dの位相を決めることが可能となるとともに、ステータ22と取付け板27が直接接触するのを防いでいる。
【0052】
また、ステータ22の外側磁極部22b〜22eと、取付け板27の歯部27a〜27dの両方がマグネット1に対向し、かつステータ22と取付け板27が直接接触していない。そのため、取付け板27の歯部27a〜27dの歯幅を変化させることで、通電トルクを保ったまま、コギングトルクを低減、あるいは、増大させることが可能となる。
【0053】
つまり、取付け板27は、1つの部品で、ボビン24の端子台24cの倒れ防止と、コギングトルクの大きさ制御の両方を兼ねている。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る駆動装置の構成を示す分解斜視図である。
【図2】図1の駆動装置の断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る駆動装置の断面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る駆動装置の構成を示す分解斜視図である。
【図5】図4の駆動装置の断面図である。
【図6】従来の駆動装置を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
1 マグネット
2、12、22 ステータ
3 コイル
4、14、24 ボビン
5 軸受け
6 ロータ
7、17、27 取付け板
25 第1の軸受け
28 第2の軸受け
29 位相決めリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に着磁された円筒形状のマグネット部を持つロータと、コイルと、該コイルを巻回する本体部とコイルの端末を巻きつける端子ピン及び該端子ピンを配設する端子台を有するボビンと、前記ロータの外周面に対向し、前記コイルにより励磁される磁極部を有するステータと、外部ユニットに取付けるための取付け板を備え、
前記取付け板は、前記ロータの回転軸と平行方向に延出した歯部を有し、該歯部で前記ボビンの端子台を固定することを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記取付け板は、非磁性材料で形成され、前記ボビンの端子台が溝部を有し、該溝部に前記取付け板の歯部が挿入されることを特徴とする請求項1記載の駆動装置。
【請求項3】
前記取付け板は、非磁性材料で形成され、前記取付け板の歯部が、前記ボビンの端子台の内径部に接し、前記ボビンの端子台を固定することを特徴とする請求項1記載の駆動装置。
【請求項4】
前記取付け板は、軟磁性材料で形成され、前記取付け板の歯部は複数設けられ、該歯部の1つが前記ボビンの端子台の内径部に接し、前記ボビンの端子台を固定することを特徴とする請求項1記載の駆動装置。
【請求項5】
前記取付け板は、前記ロータの回転軸方向に前記ボビンを中心として、前記コイルとは反対側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−109825(P2008−109825A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−292709(P2006−292709)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】