説明

駐車支援方法及び駐車支援装置

【課題】 記録した画像データと新たに取得した画像データとを用いた画面の更新頻度を向上することができる駐車支援方法及び駐車支援装置を提供する。
【解決手段】 ナビゲーション装置1は、カメラ25から画像データを取得し、画像データと撮像位置と対応付けて記録画像データとして画像メモリ15に格納する。また、車両が画像更新距離分移動する度に、撮像位置データに基づいて、進行方向において所定距離以上後方の撮像位置で撮像された記録画像データを読み出す描画処理部18とを備えた。描画処理部18は、車両が画像更新地点に到達した際に、読出した記録画像データの撮像位置と現在位置との相対距離に応じて、記録画像データの合成領域を選択する。そして記録画像データの合成領域の過去画像と、現在画像データの合成領域に基づく現在画像とをディスプレイ6に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車支援方法及び駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車を駐車させる際の運転操作を支援する装置として、車両後端に取り付けられた車載カメラから画像データを取得し、その画像データを運転席近傍に配設されたディスプレイに出力する駐車支援装置が知られている。この車載カメラは、通常、車両のリヤバンパーから後方の背景を撮像するものの、車両のフロア下方等は、死角領域となっている。このため、車両と駐車目標領域との相対距離、車輪止めの位置等が確認しずらい問題がある。
【0003】
この問題に対し、車載カメラから取得した画像データをメモリに蓄積し、過去に撮像された画像データを、現在の画像データと合成し、車載カメラの死角にあたる領域を表示した合成画像を出力する装置も提案されている(特許文献1参照)。この装置では、運転席よりも後方に設けられた車載カメラから、画像データを取得し、過去の画像データを蓄積する。そして、車両が後退を始めた際に、蓄積した画像データの中から、現在の車両の運転席に相当する位置で撮像した画像データを読出す。さらに、読出した画像データと、現在の画像データを運転席の位置に視点変換した画像データとを合成する。また、運転席から後方を見たときに、死角となる車両の後方ボデー、座席等にあたる領域にも、過去の画像データを合成し、その合成画像に車体の輪郭線を描画する。これにより、運転席の位置に視点を設定し、後方ボデー等の死角領域に外部背景が表示された画像が、ディスプレイに表示される。
【特許文献1】特開2003−244688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した装置では、過去画像の取得及び保存、現在位置で取得した画像データの視点変換を車両の移動に伴って、逐次行う必要がある。従って、上記の装置で、画面の更新頻度(画像の伝送枚数)を多くするには、過去画像の保存及び視点変換等の各処理を行う頻度が多くなり、各処理を高速で行う必要があるので、処理性能の高いCPU、大容量のメモリ及びハードディスク等の高価なハードウェア構成が要求されてしまう。このため、安価なハードウェア構成でも、死角領域を表示した画面の更新頻度を向上させることができる方法及び装置が求められている。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、記録した画像データと新たに取得した画像データとを用いた画面の更新頻度を向上することができる駐車支援方法及び駐車支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両の位置を特定する位置特定手段と、前記車両に設けられた撮像装置から画像データを取得する画像データ取得手段と、前記画像データを格納する画像データ記憶手段と、前記画像データに基づく画像を表示する表示手段を用いて、駐車操作を支援する駐車支援方法において、前記画像データ取得手段が取得した前記画像データを、少なくとも前記画像データを撮像した前記車両の位置と対応付けて記録画像データとして前記画像データ記憶手段に格納するとともに、前記車両が各画像更新地点に到達した際に、前記画像データ記憶手段に蓄積された前記各記録画像データの位置データに基づいて、現在位置から進行方向において所定距離以上後方の
撮像位置で撮像された前記記録画像データを読み出し、前記車両が第1の画像更新地点に到達した際に、読出した前記記録画像データの撮像位置と、新たに取得した現在画像データの撮像位置との相対距離に応じて、前記記録画像データのうち、現在の前記撮像装置の死角領域を含む合成領域を選択し、前記車両が第2の画像更新地点に到達した際に、同じ前記記録画像データのうち、前記第1の画像更新地点で選択した前記合成領域と異なる合成領域を選択し、前記記録画像データの前記合成領域であって、現在の前記撮像装置の死角領域を表示した過去画像と、前記現在画像データの所定領域に基づく現在画像とを並べた駐車支援画像を表示手段に出力することを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、車両に設けられた駐車支援装置において、前記車両の位置を特定する位置特定手段と、前記車両に設けられた撮像装置から、画像データを取得する画像データ取得手段と、取得した前記画像データを、少なくとも前記画像データを撮像した前記車両の位置と対応付けて記録画像データとして格納する画像データ記憶手段と、前記車両が各画像更新地点に到達した際に、前記画像データ記憶手段に蓄積された前記各記録画像データの位置データに基づいて、現在位置から進行方向において所定距離以上後方の撮像位置で撮像された前記記録画像データを読み出す読出手段と、前記車両が第1の画像更新地点に到達した際に、読出した前記記録画像データの撮像位置と、新たに取得した現在画像データの撮像位置との相対距離に応じて、前記記録画像データのうち、現在の前記撮像装置の死角領域を含む合成領域を選択し、前記車両が第2の画像更新地点に到達した際に、同じ前記記録画像データのうち、前記第1の画像更新地点で選択した前記合成領域と異なる合成領域を選択する領域決定手段と、前記記録画像データの前記合成領域であって、現在の前記撮像装置の死角領域を表示した過去画像と、前記現在画像データの所定領域に基づく現在画像とを並べた駐車支援画像を表示手段に出力する画像出力手段とを備えることを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の駐車支援装置において、前記画像出力手段は、前記過去画像に、現在の前記車両の位置を示す指標を描画することを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の駐車支援装置において、前記記録画像データは、俯瞰画像データに変換されて、前記画像データ記憶手段に格納されることを要旨とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか1項に記載の駐車支援装置において、前記記録画像データのうち、前記現在画像データの前記所定領域と合成する前記各合成領域は、前記車両の進行方向に相当する方向において、互いにずれていることを要旨とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のいずれか1項に記載の駐車支援装置において、前記記録画像データは、撮像位置での前記車両の舵角情報又は方位情報がさらに対応付けられるとともに、前記記録画像データに含まれる前記舵角情報又は方位情報に基づく過去舵角と、現在の舵角との相対角度に基づいて、前記記録画像データを回転変換する回転変換手段をさらに備えたことを要旨とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項2〜6のいずれか1項に記載の駐車支援装置において、前記領域決定手段は、前記車両が前記各画像更新地点に到達した際に、前記記録画像データに対して予め設定された複数の各合成領域のうち、いずれか1つを選択することを要旨とする。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項2〜7のいずれか1項に記載の駐車支援装置において、前記領域決定手段は、前記記録画像データに対して予め設定された第1又は第2合成領域のうち、一方を選択することを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1又は2に記載の発明によれば、過去画像と現在画像とを用いた駐車支援画像を画像更新地点毎に出力するときに、異なる画像更新地点で同じ記録画像データを用いる。そして、その記録画像データのうち、更新地点によって、出力する合成領域を変更する。このため、駐車支援画像を更新する際に、記録画像データを繰り返し用いることができるので、記録画像データを記録する頻度を少なくすることができる。このため、装置への負荷を軽減しながら、駐車支援画像の更新頻度を多くすることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、過去画像に、現在の車両の位置を示す指標が描画される。このため、過去画像上の車両の位置を確認することができるので、駐車目標領域と車両とのずれを把握できる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、記録画像データは、俯瞰画像データに変換されたデータである。このため、車両の現在位置で撮像した記録画像データとの連続性が向上する。
請求項5に記載の発明によれば、各合成領域は、表示手段の表示領域内における車両の進行方向においてずれている。このため、進行方向において異なる撮像位置で撮像された各現在画像データと合成するときに、異なる合成領域を選択することで、現在画像と過去画像との連続性を保つことができる。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、記録画像データには、舵角情報又は方位情報が対応付けられる。そして、回転変換手段により、その舵角情報又は方位情報に基づく過去舵角と、現在の舵角とに基づいて、記録画像データが回転変換される。このため、過去画像を現在画像と表示した際に、過去画像及び現在画像の連続性を向上できる。
【0017】
請求項7に記載の発明によれば、車両が画像更新地点に到達した際に、領域設定手段により、記録画像データに設定された複数の領域のうち、いずれか1つが選択される。このため、画像更新地点に到達した際に、合成領域をその都度決定する必要がないので、処理を軽減化することができる。
【0018】
請求項8に記載の発明によれば、領域設定手段は、予め設定された2つの合成領域のうち、いずれか一方を選択する。このため、処理の複雑化を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の駐車支援方法及び駐車支援装置を、車両(自動車)に実装されたナビゲーション装置に具体化した一実施形態を図1〜図10に従って説明する。図1は、ナビゲーション装置1の構成を説明するブロック図である。
【0020】
図1に示すように、ナビゲーション装置1は、制御装置2を備えている。制御装置2は、主制御を行う位置特定手段及び読出手段としての制御部3、メインメモリ4及びROM5を備えている。制御部3は、CPU等から構成され、ROM5に格納された経路案内プログラム、駐車支援プログラム等、各種プログラムに従って各種処理を行う。メインメモリ4は、作業用のRAMであって、駐車支援のための各種変数が格納されている。
【0021】
また、ROM5には、輪郭描画データ5aが格納されている。輪郭描画データ5aは、ナビゲーション装置1を実装した、図2に示す車両Cの輪郭を描画するためのデータである。輪郭描画データ5aを、表示手段としてのディスプレイ6(図1参照)に出力すると、図6に示すような、指標としての補助線47が描画される。補助線47は、車体外郭を示す外郭描画線45と、各後輪CR(図2参照)を示す後輪描画線46とを有している。
【0022】
また、図1に示すように、制御装置2は、位置特定手段を構成するGPS受信部7を備えている。GPS受信部7は、GPS衛星からの電波を受信する。制御部3は、GPS受信部7から入力した位置検出信号に基づいて、緯度・経度・高度等の車両Cの絶対位置を定期的に算出する。
【0023】
さらに、制御装置2は、車両側インターフェース部(車両側I/F部8)を備えている。制御部3は、この車両側I/F部8を介して、シフトポジション信号SP、舵角情報としての舵角センサ信号ST、車速信号VS及び方位検出信号DSからなる車両データを入力する。
【0024】
シフトポジション信号SPは、例えばシフトポジションスイッチ20から出力された信号であって、現在のシフトポジションを示す。舵角センサ信号STは、ステアリング舵角センサ21から出力された信号であって、現在の車両Cの舵角を示す。車速信号VSは、車輪の回転速度を検出する車速センサ22から出力されたパルス信号であって、制御部3は、そのパルス信号に基づき、車両Cの速度とを算出するとともに、入力パルス数に基づき車両Cの移動距離を算出する。方位検出信号DSは、車両Cの方位を示し、車両Cに設けられたジャイロセンサ23から出力される。
【0025】
制御部3は、これらの車速信号VS及び方位検出信号DSに基づいて、自律航法データを生成し、GPS受信部7に基づき算出した自車位置を補正する。本実施形態では、ナビゲーション装置1の位置を、自車位置として算出する。
【0026】
また、制御装置2は、地図データ記憶部9を備えている。地図データ記憶部9には、経路データ9a及び地図描画データ9bが格納されている。経路データ9aは、ノードデータ及びリンクデータを有し、制御部3は、この経路データ9aを用い、ROM5に格納された経路案内プログラムに従って、経路探索及び経路案内を行う。また、制御部3は、上記したように算出した自車位置と、走行軌跡、経路データ9aを照合して、自車位置を適切な道路上に位置決めすることにより、自車位置の精度を高めるようになっている。地図描画データ9bは、広範囲から狭範囲の地図を描画した地図画面6aをディスプレイ6に表示するためのデータであって、経路データ9aと対応付けられている。
【0027】
さらに、ナビゲーション装置1は、ディスプレイ6及びスピーカ11を備えている。ディスプレイ6は、タッチパネルであって、車両Cが前進する際には、制御部3による駆動制御により、地図画面6aを表示する。また、車両Cが後退する際には、制御部3による駆動制御により、駐車補助モードに切り替えられる。駐車補助モードには、第1及び第2表示モードが設定され、第1表示モードでは、車両Cの後方を、撮像装置としてのバックモニタカメラ(以下、カメラ25という)により撮像したバックモニタ画面(図示省略)を表示する。第2表示モードでは、異なる地点で撮像した複数の画像データを用いた駐車支援画面40(図10参照)を表示する。スピーカ11は、制御装置2が備える音声出力部12からの出力信号に基づき、案内経路等を案内する案内音又は案内音声を出力する。
【0028】
また、制御装置2は、画像データ取得手段としての画像データ取得部10を備えている。画像データ取得部10は、制御部3の制御により、車両Cに設けられたカメラ25を駆動制御して、車両Cの後退に従って、各地点における画像データG(図3参照)を取得する。また、画像データ取得部10は、車両Cが、路面上の各地点を示すための図2に示す車両座標系(X,Y)において、予め定められた画像取得距離D1だけ移動する度に、画像データGを逐次取得する。本実施形態では、画像取得距離D1は、500mmに設定されている。
【0029】
図2に示すように、カメラ25は、車両Cのうち、車幅方向(車両座標系のY軸方向)
の略中央位置に、光軸を下方に向けて取り付けられている。このカメラ25は、カラー画像を撮像し、アナログ/デジタル変換された画像データGを生成するデジタルカメラであって、広角レンズ、ミラー等から構成される光学機構と、CCD撮像素子と(いずれも図示せず)を備えている。カメラ25は、例えば左右140度の後方視野を有し、車両Cの後方路面の約数メートルを可視範囲Zとしている。また、カメラ25の撮像範囲には、リヤバンパーRBの隅部BCを除く、中央部BMが含まれている。
【0030】
カメラ25によって生成された画像データGは、例えば、図5(a)に示すような画像30を表示し、その画像30には、リヤバンパーRBの隅部BCを除いた中央部BMを撮像した後端画像39が下端に表示されている。また、画像30は、カメラ25が広角レンズを用いているため、周辺の画像が歪む、いわゆる歪曲収差が生じているが、運転者が見て直感的に理解できる程度の歪みになっている。また、画像30は、車室内のバックミラーに映る像と同様になるように、左右反転されて出力されている。
【0031】
また、図1に示すように、制御装置2は、ユーザ入力I/F部17を備えている。ユーザ入力I/F部17は、タッチパネルや、ディスプレイ6に隣設された操作スイッチ16がユーザにより入力操作されると、入力操作に応じた入力信号を制御部3に出力する。
【0032】
さらに、制御装置2は、読出手段、領域決定手段、画像出力手段及び回転変換手段を構成する描画処理部18を備えている。描画処理部18は、画像処理を行う演算部や、ディスプレイ6に表示するための出力データを一時格納するVRAM(いずれも図示省略)等を備えている。
【0033】
描画処理部18は、画像取得距離D1ごとに画像データ取得部10が取得した画像データGを、記録画像データとしての俯瞰画像データG1に変換する。このとき、描画処理部18は、ROM5等に格納された図示しない座標変換テーブルを読込んで、ディスプレイ6の画像表示領域6z内の画素座標を、テーブルで対応づけられた変換先の画素座標に変換する。これにより、画像データGは、現在のカメラ25の光軸と路面との交点の鉛直方向上方であって、カメラ25の高さ位置とほぼ同じ位置に設定された仮想視点から可視範囲Zを見下ろした俯瞰画像データG1に変換される。その結果、図5(a)に示すような画像データGに基づく画像30が、図5(b)に示すように、より高い位置から可視範囲Zを見下ろした俯瞰画像31に変換される。
【0034】
描画処理部18が俯瞰画像データG1を生成すると、制御部3は、図3に模式的に示すように、画像データGを撮像した位置を、位置データとしての撮像位置データ13として俯瞰画像データG1に添付する。また、舵角センサ信号STに基づく舵角を、舵角情報としての舵角データ14として添付する。そして、撮像位置データ13及び舵角データ14が添付された俯瞰画像データG1を、記録データG2として、画像データ記憶手段としての画像メモリ15(図1参照)に格納する。即ち、画像メモリ15には、車両Cが画像取得距離D1を移動する度に撮像された各記録データG2が蓄積される。また、添付される撮像位置データ13は、絶対座標でもよいし、基準位置からの相対座標でもよい。さらに、舵角データ14ではなく、方位検出信号DSに基づく方位データ(方位情報)を俯瞰画像データG1に添付するようにしてもよい。
【0035】
また、描画処理部18は、車両Cが後退した際に、制御部3の制御に従って、第1表示モードの処理を行う。描画処理部18は、車両Cの現在位置で撮像した画像データGを画像データ取得部10から取得し、車両C後方を撮像したバックモニタ画面(図示省略)をディスプレイ6に表示する。そして、車両Cの移動に伴い画面を更新する。
【0036】
第2表示モードの際は、描画処理部18は、制御部3の制御により、図10に示すよう
な駐車支援画面40を出力する。詳述すると、まず、描画処理部18は、図4に示す、撮像位置としての初期位置Aから、所定距離としての合成用距離D3分移動するまで、画像取得距離D1ごとに、記録データG2を画像メモリ15に蓄積する。尚、本実施形態では、合成用距離D3は、1mに設定されている。
【0037】
車両Cが、初期位置Aから合成用距離D3だけ後退し、図4(b)に示すように、第1の画像更新地点としての位置Bに到達すると、描画処理部18は、画像データ取得部10から、車両Cの現在位置である、位置Bで撮像された画像データGを取得する。この現在の自車位置で撮像された画像データGを、現在画像データG3という。また、描画処理部18は、図5(c)に示すように、現在画像データG3のうち、リヤバンパーRBを撮像した後端画像39を含み、車両Cに近い領域を撮像した合成領域S3を、俯瞰画像データG1と合成する領域とする。尚、合成領域S3を区画する画素座標は、一定となっている。
【0038】
さらに、描画処理部18は、初期位置Aと現在位置(位置B)との相対距離に応じて、俯瞰画像データG1のうち、現在画像データG3の合成領域S3と合成する領域を決定する。図5(b)に示すように、俯瞰画像データG1の合成領域は、第1及び第2合成領域S1,S2が設定されている。第1及び第2合成領域S1,S2は、矩形状の領域であって、第1合成領域S1は、ディスプレイ6の画像表示領域6zの幅と同じ幅であって、画像表示領域6zのうち、車両C側の最下端から、車両Cの進行方向(x軸方向)において、略半分までの長さになっている。第2合成領域S2は、第1合成領域S1と同じ面積であって、第1合成領域S1よりも車両Cの進行方向(x軸方向)にずれている。尚、ここで合成とは、俯瞰画像データG1の第1又は第2合成領域S1,S2と、現在画像データG3の合成領域S3とを、画像表示領域6zの異なる領域に並べて表示した画面の生成も含むものとする。
【0039】
また、第1合成領域S1は、車両Cの現在位置と、俯瞰画像データG1の撮像位置との相対距離が、所定距離(合成用距離D3)である場合に、描画処理部18によって選択される領域である。そして、第1合成領域S1は、俯瞰画像データG1の撮像位置から合成用距離D3だけ移動した際に、カメラ25の死角(フロア下方)となる背景を撮像した領域となっており、合成用距離D3だけ後退した位置で撮像した現在画像データG3の撮像範囲と連続するように設定されている。
【0040】
第2合成領域S2は、車両Cの現在位置と、最も近い俯瞰画像データG1の撮像位置との相対距離が、上記した所定距離(合成用距離D3)よりも大きいとき、描画処理部18によって選択される領域である。即ち、第2合成領域S2は、俯瞰画像データG1の撮像位置から合成用距離D3+所定距離(画像更新距離D2)移動した際に、カメラ25の死角(フロア下方)となる背景を撮像した領域となっており、合成用距離D3+所定距離分後退した位置で撮像した現在画像データG3の撮像範囲と連続するように設定されている。
【0041】
この第2合成領域S2の上端及び下端の画素座標は、第1合成領域S1よりも、画素座標を示す画面座標系(x,y)において、車両Cの進行方向にあたるx軸方向に所定量だけずれている。この所定量は、画像を更新するタイミングを示す画像更新距離D2等によって定められ、画像更新距離D2が短く設定されていると、ずれ量は短くなる。尚、図5(b)では、第1及び第2合成領域S1,S2を判別しやすくするため、ずれ量を大きくして図示しているが、実際は第1及び第2合成領域S1,S2のずれ量は図示したずれ量よりも小さいものとする。尚、本実施形態では、画像更新距離D2は、100mmに設定されている。
【0042】
車両Cが、図4(b)に示すように、位置Bに到達したとき、初期位置Aと位置Bとの相対距離は合成用距離D3(1m)である。このため、描画処理部18は、図5(b)に示す第1及び第2合成領域S1,S2のうち、位置Bで撮像した現在画像データG3の合成領域S3との連続性を有し、現在のカメラ25の死角領域(車体フロア下方及びその周辺)を含む第1合成領域S1を選択する。
【0043】
その結果、図5(b)に示す、俯瞰画像31のうち、第1合成領域S1の過去画像31aが、図5(c)に示す、現在画像データG3の現在画像32aと連続するように合成され、図5(d)に示す合成画像33がディスプレイ6に出力される。
【0044】
また、描画処理部18は、この合成画像33の過去画像31aに上記した補助線47を重畳して描画する。これにより、図10に示す駐車支援画面40がディスプレイ6に出力される。駐車支援画面40のうち、進行方向(画面座標系においてx軸方向)と反対側(下方)には、過去画像31aが表示され、進行方向(上部)には、現在画像32aが表示されている。過去画像31aは、現在位置(位置B)での、車両Cのフロア下方に相当する領域の画像である。従って、この過去画像31aに、車両Cの輪郭を示す補助線47を表示することで、過去画像31aにおける車両Cの位置を示すことができる。
【0045】
また、現在画像32aの下端には、リヤバンパーRBの位置を示す後端画像39が表示されているので、車両Cの後端と、障害物、駐車枠を標示する白線、又は車輪止めとの相対距離がわかる。さらに、現在画像32aには、車幅を延長した車幅延長線37と、現在の舵角に基づいた進路を示す予想軌跡線38とが表示されている。尚、図10では、車両Cが後方へ直進する場合を説明したため、車幅延長線37は予想軌跡線38に重ねられている。また、駐車支援画面40には、第2表示モードから第1表示モードに切替える操作部43、予想軌跡線38等の消去を指示する操作部44が表示されている。
【0046】
さらに、車両Cが位置Bからさらに画像更新距離D2だけ後退し、図4(c)に示すように、第2の画像更新地点としての位置Cに到達すると、描画処理部18は、進行方向(X軸方向)において、位置Cから合成用距離D3だけ後方の位置に最も近い撮像位置データ13が対応付けられた記録データG2を読出す。
【0047】
即ち、位置Cから、合成用距離D3だけ後方の地点は、初期位置Aから100mmの位置であるが、記録データG2は初期位置Aから500mmの間隔で記録されているので、その位置では画像データGが撮像されていない。従って、ここでは、位置Cから合成用距離D3だけ後方の地点に近い位置で撮像された記録データG2のうち、進行方向において後方にある初期位置Aの記録データG2を読出す。尚、車両座標系(X,Y)は、路面上の車両Cの位置を示す。
【0048】
そして、描画処理部18は、読出された記録データG2のうち、位置Cで撮像した現在画像データG3の合成領域S3と合成するための領域を決定する。このとき、描画処理部18は、初期位置Aと位置Cとの相対距離が、合成用距離D3よりも大きいと判断する。このため、描画処理部18は、図5(b)に示す第1及び第2合成領域S1,S2のうち、位置Cで撮像した現在画像データG3の合成領域S3との連続性を有し、現在のカメラ25の死角領域(車体フロア下方及びその周辺)を含む第2合成領域S2を選択する。
【0049】
そして、描画処理部18は、図5(e)に示すように、位置Cで撮像した現在画像データG3の画像34のうち、合成領域S3の現在画像34aと、初期位置Aの記録データG2のうち、第2合成領域S2の過去画像31bとを、ディスプレイ6に出力する。その結果、図5(f)に示すように合成画像35が生成される。さらに、描画処理部18は、この合成画像35の過去画像31bに、上記した補助線47を描画する。その結果、駐車支
援画面40が更新される。
【0050】
また、車両Cが操舵されながら後退している場合には、描画処理部18は、舵角センサ信号STに基づく現在の舵角と、読み出した画像データGに添付された舵角データ14に基づく過去舵角との相対角度に基づき、俯瞰画像データG1を、現在のカメラ視点VCを仮想視点とした画像データに回転変換する。このとき、描画処理部18は、ROM5に格納された図示しない回転変換テーブルを用いて、俯瞰画像データG1の各座標を、紐付けられた変換先の座標に変換する。尚、回転変換テーブルは、相対角度ごとのテーブルが格納されている。
【0051】
次に、本実施形態の駐車支援処理の処理手順について、図7〜図9に従って説明する。まず、制御部3は、ナビゲーション装置1の起動後、ROM5に格納された駐車支援プログラムに従って、図7に示すように、シフトポジションスイッチ20から入力したシフトポジション信号SPに基づき、車両Cの変速機がリバースレンジであるか否かの判断を繰り返す(ステップS1)。
【0052】
リバースレンジである場合には(ステップS1においてYES)、その位置を初期位置として、駐車支援画面40を表示する第2表示モードであるか否かを判断する(ステップS2)。この第2表示モードは、ディスプレイ6に表示された操作部43、又はディスプレイ6に隣設された操作スイッチ16によって選択可能になっている。第2表示モードを起動する設定がなされると、メインメモリ4に格納されたモード起動フラグがオン状態に設定される。
【0053】
制御部3は、メインメモリ4に格納されたモード起動フラグがオフ状態であると判断すると、(ステップS2においてNO)、描画処理部18を制御して、第1表示モードを行う(ステップS3)。モード起動フラグがオン状態であると判断すると(ステップS2においてYES)、ステップS4に進む。
【0054】
図8に示すように、ステップS4では、制御部3は、各種パラメータを初期化する。このパラメータとしては、記録用カウンタLn1、画像更新用カウンタLn2がある。記録用カウンタLn1は、画像データGを取得する画像取得距離D1に到達したか否かを判断するためのカウンタである。画像更新用カウンタLn2は、駐車支援画面40を更新する画像更新距離D2に到達したか否かを判断するためのカウンタである。本実施形態では、記録用カウンタLn1及び画像更新用カウンタLn2は、メインメモリ4に格納されている。
【0055】
パラメータの初期化が行われると、制御部3は、画像データ取得部10を介して、カメラ25から画像データGを取得する(ステップS5)。さらに、その取得した画像データGを、描画処理部18により、俯瞰画像データG1に座標変換する(ステップS6)。また、制御部3は、ほぼ同時に、車両側I/F部8を介して、シフトポジション信号SP、舵角センサ信号ST、車速信号VS、方位検出信号DS等の車両データを取得する(ステップS7)。さらに、GPS受信部7と、車速信号VS、方位検出信号DSとに基づき、自車位置を算出する。
【0056】
そして、制御部3は、描画処理部18を制御して、車両Cの現在位置を示す撮像位置データ13と、舵角センサ信号STに基づく舵角データ14とを俯瞰画像データG1に添付して、記録データG2として画像メモリ15に格納する(S8)。これにより、車両Cが初期位置Aにあるときに、初期位置Aで撮像された俯瞰画像データG1が、初期位置Aの撮像位置データ13及び舵角データ14と対応付けられて格納される。
【0057】
初期位置Aの記録データG2を格納すると、制御部3は、車速信号VSに基づき、車両Cの後退を示すパルスが入力されたか否かを判断する(ステップS9)。後退パルスを入力した場合には(ステップS9においてYES)、記録用カウンタLn1に、「1」等の入力パルス数を加算する(ステップS10)。また、画像更新用カウンタLn2に、「1」等を加算して、画像更新用カウンタLn2を更新する(ステップS11)。
【0058】
そして、制御部3は、記録用カウンタLn1に相当する移動距離が、画像取得距離D1(500mm)以上であるか否かを判断する(ステップS12)。例えば、車両Cが初期位置Aから100mm後方の位置にあるとき、画像取得距離D1に到達していないと判断して(ステップS12においてNO)、ステップS18に進む。
【0059】
ステップS18では、制御部3は、画像更新用カウンタLn2に基づき、入力パルス数のカウントを開始した位置(初期位置A)からの移動距離を算出し、その移動距離が画像更新距離D2(100mm)以上であるか否かを判断する。例えば、車両Cが、初期位置Aから画像更新距離D2(100mm)だけ後退した位置にあるとき、画像更新用カウンタLn2に基づく移動距離が、画像更新距離D2以上であると判断し(ステップS18においてYES)、ステップS19に進む。尚、画像更新用カウンタLn2に基づく移動距離が、画像更新距離D2に満たない場合(ステップS18においてNO)には、ステップS9に戻る。
【0060】
図9に示すように、ステップS19では、制御部3は、画像メモリ15内を検索して、車両Cの現在位置から、合成用距離D3以上後方の位置で撮像された記録データG2が、画像メモリ15に格納されているか判断する。具体的には、制御部3は、各記録データG2内の撮像位置データ13に基づき移動軌跡を算出し、現在位置から、進行方向において合成用距離D3以上後方の位置で撮像された記録データG2を検索する。例えば、車両Cが、初期位置Aから図4(b)に示す位置Bの間の位置にある場合には、現在位置から合成用距離D3(1m)以上後方の位置で撮像された記録データG2が記録されていないと判断して(ステップS19においてNO)、ステップS9に戻る。尚、算出した移動軌跡の座標は、メインメモリ4に一時格納する。
【0061】
そして、ステップS9〜ステップS11を繰り返し、車両Cが、初期位置Aから500mm後方の位置に到達した場合には、ステップS12では、記録用カウンタLn1が、画像取得距離D1以上である(ステップS12においてYES)と判断する。このとき、画像データ取得部10は、ステップS5と同様に、カメラ25から、画像データGを取得する(ステップS13)。そして、ステップS7と同様に、車両データを取得し(ステップS14)、俯瞰画像データG1に座標変換するとともに(S15)、俯瞰画像データG1を、記録データG2として画像メモリ15に格納する(ステップS16)。
【0062】
さらに、制御部3は、記録用カウンタLn1を、初期値にリセットする(ステップS17)。即ち、ステップS12〜S17では、車両Cが画像取得距離D1だけ移動するたびに取得された画像データGを座標変換し、生成した俯瞰画像データG1を、撮像位置データ13、及び舵角データ14とともに画像メモリ15にそれぞれ蓄積される。
【0063】
そして、制御部3は、車両Cがさらに後退して、車両Cが図4(b)に示す位置Bに到達したとき、ステップS19において、現在位置から合成用距離D3以上後方の位置で撮像された記録データG2があると判断する。さらに、描画処理部18は、該当する記録データG2を読出す(S20)。読出した記録データG2の舵角データ14に基づく過去舵角が現在舵角と異なる場合には、描画処理部18は、過去舵角と現在舵角との相対角度に基づいて、回転変換を行う。
【0064】
さらに、描画処理部18は、俯瞰画像データG1の合成領域を決定する(ステップS21)。即ち、上記したように、車両Cが位置Bにあるときは、初期位置Aとの相対距離が合成用距離D3であると判断して、図5(b)に示す第1及び第2合成領域S1,S2のうち、第1合成領域S1を選択する。
【0065】
そして、描画処理部18は、画像データ取得部10を介して、現在位置(位置B)で撮像した現在画像データG3を取得し(ステップS22)、現在画像データG3の合成領域S3と、俯瞰画像データG1の第1合成領域S1とを並べた、合成データを作成する(ステップS23)。そして、その合成データを、ディスプレイ6の画像表示領域6zに出力する(ステップS24)。その結果、図5(b)に示す俯瞰画像データG1と、図5(c)に示す現在画像データG3に基づき、図5(d)に示す合成画像33が表示される。
【0066】
さらに、描画処理部18は、合成画像33に補助線47等を重畳して描画するとともに、操作部43、車幅延長線37と予想軌跡線38とを描画して、図10に示す駐車支援画面40をディスプレイ6に表示する。
【0067】
駐車支援画面40をディスプレイ6に出力すると、制御部3は、画像更新用カウンタLn2をリセットする(ステップS25)。そして、駐車支援画面40を出力する第2表示モードがオフ状態であるか否かを判断する(ステップS26)。つまり、運転者が、第2表示モードを中止したかどうかを判断する。具体的には、タッチパネル操作や、操作スイッチ16が入力操作され、ユーザ入力I/F部17にて、第2表示モードを終了するための入力信号を入力したか否かを判断する。
【0068】
第2表示モードがオン状態である場合(ステップS26においてNO)、ステップS9に戻る。第2表示モードがオフ状態である場合(ステップS26においてYES)、駐車補助モードを終了させるトリガを入力したか否かを判断する(ステップS27)。この終了トリガとしては、車両Cに設けられた図示しない電子制御装置(ECU)等から出力された、イグニッションオフを示す信号等、シフトポジションの変更を示す信号等がある。
【0069】
第2表示モードがオン状態である場合(ステップS26においてYES)、ステップS9〜S18を繰り返す。そして、車両Cが図4(c)に示す位置Cに到達すると、ステップS9において、制御部3は、算出した移動軌跡に基づき、現在の位置Cから合成用距離D3以上後方の位置で撮像された記録データG2の有無を判断する。具体的には、位置C(初期位置Aから進行方向において1.1m前方の位置)から合成用距離D3だけ後方の位置(初期位置Aから100mmの位置)では、記録データG2の記録を行っていないので、進行方向において合成用距離D3以上後方の撮像位置のうち、現在位置に最も近い撮像位置での記録データG2を読出す。ここでは、初期位置Aで撮像された記録データG2を再度読出す。即ち、車両Cが位置Bに到達したときに用いた記録データG2を、進行方向において位置Bから画像更新距離D2だけ前方の位置Cに到達したときにも用いる。
【0070】
初期位置Aで撮像された記録データG2を読出すと、描画処理部18は、合成領域を決定する(ステップS21)。ここでは、現在の位置Cと初期位置Aとの相対距離は、合成用距離D3よりも大きい距離であるので、図5(b)に示す第2合成領域S2を選択する。そして、描画処理部18は、位置Cで撮像した現在画像データG3を取得する(ステップS22)。このとき取得した現在画像データG3が、図5(e)に示すような画像34であるとすると、現在画像データG3の合成領域S3の現在画像34aと、図5(b)に示す、俯瞰画像データG1の第2合成領域S2の過去画像31bとを合成し(ステップS23)、図5(f)に示す合成画像35をディスプレイ6に表示する(ステップS24)。この合成画像35は、図5(d)に示す合成画像33よりも、車両座標系において進行方向前方の画像を表示している。また、図5(f)に示す合成画像35は、俯瞰画像に変
換された俯瞰画像データG1の第2合成領域S2を用いることにより、位置Bで用いた俯瞰画像データG1と同じデータを用いても、過去画像31bと現在画像34aとの連続性に違和感がない。また、このように、駐車支援画面40を更新するときに、記録データG2を複数回(本実施形態では最大5回)用いることにより、画像データGの取得、俯瞰画像データG1への変換処理、保存処理による装置への負荷を軽減できる。このため、駐車支援画面40の単位時間当たりの更新回数を多くすることができる。
【0071】
さらに、描画処理部18は、図5(f)に示す合成画像35に、補助線47、操作部43等を描画して、駐車支援画面40を更新する。更新後、制御部3は、画像更新用カウンタLn2をリセットする(ステップS25)。
【0072】
このように、車両Cが合成用距離D3だけ後退した後は、制御部3の制御により、描画処理部18は、画像取得距離D1ごとに記録データG2を画像メモリ15に蓄積する。そして、同じ記録データG2を複数回利用し、画像更新距離D2ごとに駐車支援画面40を更新していく。
【0073】
そして、駐車操作が完了し、イグニッションモジュールのオフ信号等、終了トリガを入力した場合(ステップS27においてYES)、制御部3は、駐車補助モードを終了する。
【0074】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、ナビゲーション装置1は、画像取得距離D1ごとに撮像した画像データGを、撮像位置データ13及び舵角データ14と対応付けて、記録データG2として画像メモリ15に蓄積するようにした。また、車両Cが画像更新距離D2分移動する度に、記録データG2の撮像位置データ13に基づいて、進行方向において、合成用距離D3以上後方で撮像された記録データG2を読み出すようにした。さらに、記録データG2内の撮像位置データ13と、現在位置との相対距離に基づいて、記録データG2内の俯瞰画像データG1のうち、現在画像データG3と合成する合成領域S1,S2を選択するようにした。そして、選択した第1又は第2合成領域S1,S2と、現在画像データG3の合成領域S3とを合成し、合成画像33,35をディスプレイ6に表示するようにした。
【0075】
従って、駐車支援画面40を更新するときに、記録データG2を複数回用いるため、画像データGの取得、俯瞰画像データG1への変換処理、保存処理等を軽減することができる。また、画像メモリ15に格納される記録データG2を最小限とすることができる。このため、高価なハードウェア構成を採用しなくても、駐車支援画面40の更新間隔を短縮化し、動画の画面更新頻度に近づけることができる。
【0076】
(2)上記実施形態では、描画処理部18は、画像取得距離D1ごとに撮像した画像データGを、俯瞰画像データG1に座標変換するようにした。このため、過去画像31a,31bと、現在画像32a,34aとを並べた場合の違和感を軽減し、駐車支援画面40を、運転者が直感的に理解できる画面にすることができる。
【0077】
(3)上記実施形態では、描画処理部18は、記録データG2内の舵角データ14に基づく過去舵角と、現在舵角との相対角度に基づき、記録データG2を回転変換するようにした。このため、車両Cが旋回した場合にも、俯瞰画像データG1をその都度回転変換することにより、過去画像31a,31b及び現在画像32a,34aの連続性を向上できる。
【0078】
(4)上記実施形態では、描画処理部18は、駐車支援画面40の過去画像31aに、
車両Cの現在位置を示す補助線47を描画するようにした。このため、過去画像31a上の車両Cの位置を確認することができるので、駐車目標領域と車両Cとのずれを把握できる。
【0079】
尚、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、第1及び第2合成領域S1,S2は、矩形状でなくてもよい。具体的には、例えば、図11に示すように、ディスプレイ6の画像表示領域6zのうち、上方の一部を除いたコの字状(「凹」状)の合成領域S4でもよい。合成領域S4は、現在の車両Cのフロア下方と、リヤバンパーRBの隅部BCにあたる死角領域とを表示する領域である。描画処理部18は、現在画像データG3の一部を、画像表示領域6zの上部に合成し、上部に配置された現在画像52と、俯瞰画像データG1の合成領域S4に基づく過去画像51とが表示された駐車支援画面50をディスプレイ6に出力する。現在画像52は、現在画像データG3を縮小した画像であって、さらには俯瞰変換したものでもよい。そして、現在画像52の両側に、リヤバンパーRBの隅部BCにあたる領域の過去画像51を配置する。このため、カメラ25の画角内に含まれない隅部BCも表示できる。また、その隅部BCにあたる位置に、現在画像52の後端画像39と連続させて、隅部BCを示す輪郭線53を描画してもよい。このようにすると、隅部BCと障害物との相対位置を把握できる。また、例えば、この合成領域S4を、画像表示領域6zの下方であって、フロア下方に相当する長方形状の合成領域と、現在画像52の両側であってリヤバンパーRBの隅部BCに相当する2つの合成領域とに区画し、合成領域S4を3つに分割するようにしてもよい。そして、各領域に用いる記録データG2を、異なるデータにしてもよい。
【0080】
・上記実施形態では、画像データGを俯瞰画像データG1に変換するときの仮想視点を、光軸と路面との交点において鉛直方向上方であって、カメラ25の高さ位置とほぼ同じ位置に設定したが、これ以外の高さに設定してもよい。
【0081】
・上記実施形態では、車速センサ22から入力したパルス数に基づき、移動量を算出し、その移動量が画像取得距離D2以上であるか否かを判断するようにした。これ以外に、入力したパルス信号の立上がりエッジを、画像更新用のトリガとし、画像更新用カウンタLn2に「1」を加算し、さらに、同じパルス信号の立ち下がりエッジもトリガとし、画像更新用カウンタLn2を更新するようにしてもよい。
【0082】
・上記実施形態では、描画処理部18は、予め設定された第1及び第2合成領域S1,S2のいずれか一方を選択するようにした。これ以外に、合成領域を予め設定せずに、俯瞰画像データG1の撮像位置と、現在位置との相対距離に応じて、合成領域を変更するようにしてもよい。
【0083】
・上記実施形態では、ナビゲーション装置1の位置を、自車位置として検出したが、カメラ25の位置でもよい。或いは、車両CのリヤバンパーRBの位置等、その他の位置にしても良い。
【0084】
・上記各実施形態では、画像取得距離D1は、500mmとしたが、その他の距離でもよい。また、画像更新距離D2を、100mmとしたが、その他の距離でもよい。また、合成用距離D3は1mとしたが、その他の値でもよい。
【0085】
・上記実施形態では、ナビゲーション装置1が車両Cの方位を検出するジャイロセンサを具備していてもよい。また、制御部3は、シフトポジションスイッチ20、ステアリング舵角センサ21等から車両データを入力するようにしたが、車両Cに設けられた図示しない電子制御装置(ECU)から、車両データを入力するようにしてもよい。
【0086】
・上記実施形態では、制御部3は、車両Cが後退を開始したことを検出した際に画像データGの蓄積を行うようにした。これ以外に、制御部3が、車両Cの後退を検出し、且つ現在の舵角が所定の舵角未満になった場合に、画像データGの蓄積を開始するようにしてもよい。このようにすると、画像データG(俯瞰画像データG1)の蓄積を必要最小限とし、画像データ入力処理、描画処理において、装置にかかる負荷を軽減することができる。
【0087】
・上記実施形態では、読出した俯瞰画像データG1の撮像位置と、車両Cの現在位置とが合成用距離D3である場合には、第1合成領域S1を選択し、合成用距離D3よりも大きい場合には、第2合成領域S2を選択するようにした。これ以外に、俯瞰画像データG1の撮像位置と現在位置との相対距離が第1の距離範囲(例えば、1m〜1.1m)である場合に、第1合成領域S1を選択し、その相対距離が第2の距離範囲(例えば1.1m超)である場合に、第2合成領域S2を選択するようにしてもよい。
【0088】
・上記実施形態では、画像取得距離D1、画像更新距離D2及び合成用距離D3の大きさに応じて、画像データGを俯瞰画像データG1に変換せずに、画像データ取得部10から取得した画像データGを記録画像データとして、撮像位置データ13等を付与して画像メモリ15に蓄積するようにしてもよい。例えば、合成用距離D3が短くなると、過去画像31a,31bと、現在画像32a,34aとの連続性が比較的良好になるので、変換処理を省略しても、合成画像33,35の連続性が保たれる。
【0089】
・カメラ25は、車両Cの後方でなく、車両Cの前方に取り付けられてもよい。このとき、車両Cが駐車目標領域に前進しながら進入するときに、駐車支援処理を行う。
・上記各実施形態では、車両Cが並列駐車する場合についてのみ説明したが、縦列駐車する場合に、現在画像データG3と、俯瞰画像データG1とをディスプレイ6に表示してもよい。
【0090】
・上記実施形態では、駐車支援装置を、ナビゲーション装置1に具体化したが、その他の車載装置に具体化してもよい。この場合、GPS受信部7や、地図データ記憶部9等が省略される。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本実施形態のナビゲーション装置の構成を説明するブロック図。
【図2】カメラの取付位置を説明する説明図。
【図3】画像メモリに格納された記録データの説明図。
【図4】画像取得、画像更新のタイミングを説明するための説明図であって、(a)は初期位置、(b)は位置B、(c)は位置Cを示す。
【図5】画像データ及び現在画像データの合成処理の説明図であって、(a)及び(b)は過去の画像データの説明図、(c)及び(e)は現在画像データの説明図、(d及び(f)は合成画像の説明図。
【図6】補助線の説明図。
【図7】本実施形態の処理手順の説明図。
【図8】同処理手順の説明図。
【図9】同処理手順の説明図。
【図10】駐車支援画面の説明図。
【図11】駐車支援画面の説明図。
【符号の説明】
【0092】
1…駐車支援装置としてのナビゲーション装置、3…位置特定手段、読出手段を構成す
る制御部、6…表示手段としてのディスプレイ、7…位置特定手段を構成するGPS受信部、10…画像データ取得手段を構成する画像データ取得部、13…位置データとしての撮像位置データ、14…舵角情報としての舵角データ、15…画像データ記憶手段としての画像メモリ、18…読出手段、領域決定手段、画像出力手段及び回転変換手段を構成する描画処理部、25…撮像装置としてのカメラ、31a,31b…過去画像、32a,34a…現在画像、40…駐車支援画像としての駐車支援画面、47…指標としての補助線、51…過去画像、52…現在画像、A…撮像位置としての初期位置、B…第1の画像更新地点としての位置、C…車両、D2…画像更新距離、D3…所定距離としての合成用距離、S1,S2…第1及び第2合成領域、S3…所定領域としての合成領域、S4…合成領域、C…第2の画像更新地点としての位置、G…記録画像データとしての画像データ、G1…記録画像データとしての俯瞰画像データ、G3…現在画像データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置を特定する位置特定手段と、前記車両に設けられた撮像装置から画像データを取得する画像データ取得手段と、前記画像データを格納する画像データ記憶手段と、前記画像データに基づく画像を表示する表示手段を用いて、駐車操作を支援する駐車支援方法において、
前記画像データ取得手段が取得した前記画像データを、少なくとも前記画像データを撮像した前記車両の位置と対応付けて記録画像データとして前記画像データ記憶手段に格納するとともに、
前記車両が各画像更新地点に到達した際に、前記画像データ記憶手段に蓄積された前記各記録画像データの位置データに基づいて、現在位置から進行方向において所定距離以上後方の撮像位置で撮像された前記記録画像データを読み出し、
前記車両が第1の画像更新地点に到達した際に、読出した前記記録画像データの撮像位置と、新たに取得した現在画像データの撮像位置との相対距離に応じて、前記記録画像データのうち、現在の前記撮像装置の死角領域を含む合成領域を選択し、前記車両が第2の画像更新地点に到達した際に、同じ前記記録画像データのうち、前記第1の画像更新地点で選択した前記合成領域と異なる合成領域を選択し、
前記記録画像データの前記合成領域であって、現在の前記撮像装置の死角領域を表示した過去画像と、前記現在画像データの所定領域に基づく現在画像とを並べた駐車支援画像を表示手段に出力することを特徴とする駐車支援方法。
【請求項2】
車両に設けられた駐車支援装置において、
前記車両の位置を特定する位置特定手段と、
前記車両に設けられた撮像装置から、画像データを取得する画像データ取得手段と、
取得した前記画像データを、少なくとも前記画像データを撮像した前記車両の位置と対応付けて記録画像データとして格納する画像データ記憶手段と、
前記車両が各画像更新地点に到達した際に、前記画像データ記憶手段に蓄積された前記各記録画像データの位置データに基づいて、現在位置から進行方向において所定距離以上後方の撮像位置で撮像された前記記録画像データを読み出す読出手段と、
前記車両が第1の画像更新地点に到達した際に、読出した前記記録画像データの撮像位置と、新たに取得した現在画像データの撮像位置との相対距離に応じて、前記記録画像データのうち、現在の前記撮像装置の死角領域を含む合成領域を選択し、前記車両が第2の画像更新地点に到達した際に、同じ前記記録画像データのうち、前記第1の画像更新地点で選択した前記合成領域と異なる合成領域を選択する領域決定手段と、
前記記録画像データの前記合成領域であって、現在の前記撮像装置の死角領域を表示した過去画像と、前記現在画像データの所定領域に基づく現在画像とを並べた駐車支援画像を表示手段に出力する画像出力手段と
を備えることを特徴とする駐車支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の駐車支援装置において、
前記画像出力手段は、前記過去画像に、現在の前記車両の位置を示す指標を描画することを特徴とする駐車支援装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の駐車支援装置において、
前記記録画像データは、俯瞰画像データに変換されて、前記画像データ記憶手段に格納されることを特徴とする駐車支援装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の駐車支援装置において、
前記記録画像データのうち、前記現在画像データの前記所定領域と合成する前記各合成領域は、前記車両の進行方向に相当する方向において、互いにずれていることを特徴とす
る駐車支援装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1項に記載の駐車支援装置において、
前記記録画像データは、撮像位置での前記車両の舵角情報又は方位情報がさらに対応付けられるとともに、
前記記録画像データに含まれる前記舵角情報又は方位情報に基づく過去舵角と、現在の舵角との相対角度に基づいて、前記記録画像データを回転変換する回転変換手段をさらに備えたことを特徴とする駐車支援装置。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか1項に記載の駐車支援装置において、
前記領域決定手段は、前記車両が前記各画像更新地点に到達した際に、前記記録画像データに対して予め設定された複数の各合成領域のうち、いずれか1つを選択することを特徴とする駐車支援装置。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれか1項に記載の駐車支援装置において、
前記領域決定手段は、前記記録画像データに対して予め設定された第1又は第2合成領域のうち、一方を選択することを特徴とする駐車支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−36485(P2007−36485A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−214834(P2005−214834)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】