説明

駐車支援装置

【課題】ユーザがジョイスティック等の遠隔操作手段を用いて、容易に目標駐車位置を設定することが可能な駐車支援装置を提供する。
【解決手段】目標駐車枠により目標駐車位置を設定し、該設定された目標駐車位置に車両を駐車させるための支援を行う駐車支援装置であって、車両周辺の撮像画像上に重畳表示されたポインタを遠隔から操作するための遠隔操作手段と、遠隔操作手段を用いてユーザから入力された座標位置に目標駐車枠を直接移動させる直接移動手段と、遠隔操作手段を用いて撮像画像上に重畳表示された方向ボタンをユーザが選択することにより、該選択された方向ボタンに関連付けられた方向に目標駐車枠を移動させる方向移動手段と、遠隔操作手段の操作によって、直接移動手段による直接移動モードと方向移動手段による方向移動モードとを切替える切替え手段と、目標駐車位置に車両を自動誘導させる制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車支援装置に関し、より特定的には、車両を駐車すべき目標駐車位置を設定し、設定された目標駐車位置に車両を自動的に駐車させる駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両を駐車させる際に、車両を駐車すべき目標駐車位置を設定し、その設定された位置に車両を自動的に駐車させる駐車支援の技術が存在する。目標駐車位置を設定する方法として、例えば、特許文献1に記載の駐車支援システムでは、次のようにして目標駐車位置を設定する。すなわち、車両の後退操作時に、初期的に表示装置に目標駐車枠が表示される。この初期的に表示された目標駐車枠は、車両の操舵輪の最大舵角による後退により、車両が現位置から角度90°旋回したときの位置を表す枠である。そして、ユーザは、初期的に表示された目標駐車枠を、ジョイスティックを用いて回転させることによって、所望の位置および角度に目標駐車枠を配置し、目標駐車位置を設定する。そして、特許文献1に記載の駐車支援システムは、設定された目標駐車位置に、車両を自動的に駐車させる。
【特許文献1】特開2004−106615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のように、特許文献1に記載の駐車支援システムでは、初期的に表示される目標駐車枠は、車両の現在位置から車両を最大舵角で後退させた場合の位置に表示される。目標駐車枠を所望の位置に設定するためには、ユーザは、ジョイスティックを用いて目標駐車枠を所望の駐車区画に収まるように回転させなければならない。しかしながら、ジョイスティックを用いて目標駐車枠を所望の駐車区画に収まるように回転させる場合は、ユーザは、非常に細やかな操作をする必要がある。一般に、ジョイスティックによる操作は、細やかな調整操作が難しく、目標駐車位置の設定が困難となる。従って、特許文献1に記載の駐車支援システムでは、ユーザにはジョイスティックの高度な操作能力が必要となり、目標駐車位置を設定するために時間を要し、ユーザに不快感を与えてしまうことがある。また、特許文献1に記載の駐車支援システムでは、初期的に表示される目標駐車枠を回転させることによって目標駐車位置を設定するものであり、初期的に表示される目標駐車枠を回転させても所望の駐車区画に目標駐車枠が収まらない場合は、ユーザは車両を予め前後に移動させなければならない。
【0004】
それ故、本発明の目的は、ユーザがジョイスティック等の遠隔操作手段を用いて目標駐車位置を設定する際に、容易かつ迅速に目標駐車位置を設定することが可能な駐車支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る駐車支援装置は、
車両周辺を映し出した撮像画像上に重畳表示される目標駐車枠により目標駐車位置を設定し、該設定された目標駐車位置に車両を駐車させるための支援を行う駐車支援装置であって、
上記撮像画像を表示する表示装置から離れた位置にあり、上記撮像画像上に重畳表示されたポインタを遠隔から操作するための遠隔操作手段と、
上記遠隔操作手段を用いてユーザから入力された座標位置に上記目標駐車枠を直接移動させる直接移動手段と、
上記遠隔操作手段を用いて上記撮像画像上に重畳表示された方向ボタンをユーザが選択することにより、該選択された方向ボタンに関連付けられた方向に上記目標駐車枠を移動させる方向移動手段と、
上記遠隔操作手段の操作によって、上記直接移動手段による直接移動モードと上記方向移動手段による方向移動モードとを切替える切替え手段と、
上記目標駐車枠の位置に合わせて設定された上記目標駐車位置に車両を自動誘導させる制御手段とを備える。
【0006】
本発明によれば、ユーザは、直接移動モードと方向移動モードの2つの移動モードによって目標駐車枠を移動させることができる。また、ユーザは、遠隔操作手段の操作により直接移動モードと方向移動モードとを切替えることができる。これにより、ユーザは、遠隔操作手段を用いた場合においても、容易かつ迅速に目標駐車枠を所望の位置に移動させることができる。
【0007】
本発明においては、
上記切替え手段は、上記遠隔操作手段の操作により上記ポインタが上記撮像画像上の所定の位置に移動した場合、上記方向移動モードに切替え、上記ポインタが上記所定の位置以外の位置に移動した場合、上記直接移動モードに切替えることが好ましい。
【0008】
この構成によれば、ユーザは遠隔操作手段を操作することによりポインタを所定の位置に移動させることによって、移動モードを直接移動モードと方向移動モードとの間で切替えることができる。これにより、簡単な操作で移動モードを切替えることができる。
【0009】
本発明においては、
上記所定の位置は、上記方向ボタンを含むボタン表示領域であることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、ユーザは、ポインタを方向ボタンが配置された領域に移動させることによって、直接移動モードから方向移動モードに切替えることができる。また、ユーザは、ポインタを方向ボタンが配置されていない領域に移動させることによって、方向移動モードから直接移動モードに切替えることができる。これにより、ユーザは容易に移動モードを切替えることができる。
【0011】
本発明においては、
上記切替え手段は、上記直接移動モードから上記方向移動モードに切り替わった場合に、上記直接移動モードのときと異なる表示方法により、上記方向ボタンを表示することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ユーザは直接移動モードから方向移動モードに切り替わったことを容易に認識することができる。
【0013】
本発明においては、
前記切替え手段は、前記直接移動モードから前記方向移動モードに切り替わった場合に、前記直接移動モードのときよりも前記方向ボタンを含むボタン表示領域を拡大表示することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、方向ボタンを拡大表示させることにより、ユーザは、直接移動モードから方向移動モードに切り替わったことを容易に認識することができる。さらに、ユーザは、所望の方向ボタンを容易に選択することができる。
【0015】
本発明においては、上記遠隔操作手段は、ジョイスティックであることが好ましい。
【0016】
上記によれば、ジョイスティックを操作することにより、遠隔操作が可能となる。
【0017】
本発明においては、
上記ジョイスティックは、ユーザが操作を行うレバーと、上記切替え手段からの信号に応じて上記レバーの操作に対して作用力を発生させるアクチュエータとを含み、
上記切替え手段は、上記撮像画像上の所定領域近傍に上記ポインタが移動した場合、該領域へ上記ポインタが引き込まれるような引き込み力、または、該領域に対して上記ポインタが反発するような反力のいずれか一方を上記レバーに発生させるための信号を上記ジョイスティックに送信することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、ポインタが所定の領域に移動した場合、その領域に対して引き込み力、または、反力をジョイスティックに発生させることができる。これにより、ユーザは、容易にジョイスティックの操作が可能となる。
【0019】
本発明においては、
上記切替え手段は、上記直接移動モードにおいて、上記方向ボタンの表示領域近傍に上記ポインタが移動した場合に、該ボタン画像の表示領域へ上記ポインタが引き込まれるような引き込み力を上記レバーに発生させるための信号を上記ジョイスティックに送信することが好ましい。
【0020】
この構成によれば、直接移動モードから方向移動モードに切替える際、方向ボタンの表示領域への引き込み力をジョイスティックのレバーに発生させることができる。これにより、直接移動モードから方向移動モードに切替える際、ジョイスティックの操作が容易になる。
【0021】
本発明においては、
上記切替え手段は、上記方向移動モードにおいて、上記方向ボタン近傍の所定領域に上記ポインタが移動した場合に、該方向ボタンへ上記ポインタが引き込まれるような引き込み力を上記レバーに発生させるための信号を上記ジョイスティックに送信することが好ましい。
【0022】
この構成によれば、方向移動モードにおいて、所望の方向ボタンへの引き込み力を発生させることができる。これにより、ユーザが所望の方向ボタンを選択する場合においても、ジョイスティックの操作が容易になる。
【0023】
本発明においては、
上記切替え手段は、上記直接移動モードにおいて、上記駐車支援装置を操作するために上記撮像画像上に重畳表示された所定の操作ボタン近傍に上記ポインタが移動した場合、該操作ボタンに対して上記ポインタが反発するような反力を発生させるための信号を上記ジョイスティックに送信することが好ましい。
【0024】
この構成によれば、直接移動モードにおいて、所定の操作ボタンに対してポインタが反発するような反力を発生させることができる。これにより、ユーザが誤って操作ボタンを選択することを防止することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ユーザは、遠隔操作手段を用いた場合においても、容易かつ迅速に目標駐車枠を所望の位置に移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施形態に係る駐車支援装置について、図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係る駐車支援装置の構成を示すブロック図である。図2は、直接移動手段による直接移動モードにおいて、目標駐車位置を設定する際に表示手段に表示される画像を示す図である。図3は、図2において位置X1を指定することにより目標駐車枠を移動させた後に表示手段に表示される画像を示す図である。図4は、方向移動手段による方向移動モードにおいて、目標駐車位置を設定する際に表示手段に表示される画像を示す図である。図5は、図4に示される位置から方向ボタンを用いて目標駐車枠を移動させた後に表示手段に表示される画像を示す図である。図6は、方向移動モードへの切替え時において、切替え手段がジョイスティックのレバーに引き込み力を発生させる領域を示した図である。図7は、方向移動モードの場合に、切替え手段が方向ボタン近傍の所定領域においてジョイスティックのレバーに引き込み力を発生させる様子を示した図である。図8は、直接移動モードの場合に、切替え手段が所定の操作ボタン近傍の領域においてジョイスティックのレバーに反力を発生させる様子を示した図である。
【0028】
図2では、目標駐車位置を示す目標駐車枠20、目標駐車枠20の一端である駐車基点位置21、方向移動手段12による移動方向を示す方向ボタン22、方向ボタン22の表示領域を示すボタン表示領域23、ポインタ24、および駐車支援装置1を操作するための操作ボタン25が表示されている。
【0029】
図1に示されるように、駐車支援装置1は、駐車支援ECU2と、ディスプレイ3と、バックカメラ4と、電動パワーステアリング5と、ジョイスティック6とを備える。駐車支援装置1は、車両周辺を映し出した撮像画像上に重畳表示される目標駐車枠20により目標駐車位置を設定し、該設定された目標駐車位置に車両を駐車させるために支援を行う。以下、図1における駐車支援装置1の各部について、説明する。
【0030】
(駐車支援装置1の各部の説明)
駐車支援ECU(Electronic Control Unit)2は、駐車支援装置1の制御を行うものであり、ディスプレイ3、バックカメラ4、電動パワーステアリング5、およびジョイスティック6と接続されている。駐車支援ECU2は、直接移動手段11と、方向移動手段12と、切替え手段13と、制御手段14とを含む。ユーザは、ジョイスティック6を用いて目標駐車枠20を駐車すべき位置に移動させ、目標駐車位置を設定する。目標駐車枠20は、直接移動手段11と、方向移動手段12とによって移動させることができ、ユーザは所望の位置を目標駐車位置として設定することができる。そして、制御手段14は、設定された目標駐車位置までの経路を計算し、その経路に従って自車両が走行するように電動パワーステアリング5を制御する。なお、直接移動手段11、方向移動手段12および切替え手段13については、後述する。
【0031】
ディスプレイ3は、駐車支援装置1の操作を行うためおよび駐車支援装置1によって駐車支援を実行中に車両後方の撮像画像を表示するための表示装置である。ディスプレイ3は、ユーザが視認可能な位置に配設されている。ディスプレイ3は、例えば、フロントガラス付近のユーザが操作することが困難な位置に配設されている。ディスプレイ3には、例えば自車両のシフトポジションが後退位置にある場合に、バックカメラ4により撮影された自車両後方の画像が表示される。なお、ディスプレイ3は、例えば、カーナビ装置の表示手段として共用されてもよい。
【0032】
バックカメラ4は、自車両後方に配設され、自車両後方の周辺環境を撮影する。バックカメラ4により撮影された画像は、駐車支援ECU2を介して、リアルタイムにディスプレイ3により表示される。
【0033】
電動パワーステアリング5は、ステアリングシャフトにトルクを発生させる電動モータを備える。電動パワーステアリング5は、自車両を操舵するためのトルクを電動モータに発生させ、制御手段14により制御されることによって、自車両を目標駐車位置に到達させる。
【0034】
ジョイスティック6は、駐車支援装置1に対する入力操作を遠隔から行うための遠隔操作手段である。ジョイスティック6は、運転者等のユーザが操作可能な位置に配置され、ディスプレイ3から離れた位置に配設される。例えば、ジョイスティック6は、運転者が操作可能なように、シフトレバー後方のコンソールボックス上部に配設される。ディスプレイ3上には、ジョイスティック6による操作位置をポイントするポインタ24が表示される。ジョイスティック6は、ポインタ24を操作するレバー(図示せず)と、ポインタ24によりポイントされた位置を指定する指定ボタン(図示せず)と、引き込み力または反力発生の信号を受信した場合に上記レバーに引き込み力または反力を発生させるアクチュエータ(図示せず)とを備える。
【0035】
以上が駐車支援装置1の各部の説明である。次に、上記した直接移動手段11、方向移動手段12および切替え手段13について、図2から図8を用いて説明する。
【0036】
直接移動手段11は、遠隔操作手段であるジョイスティック6を用いてユーザから入力された座標位置に目標駐車枠20を直接移動させる。ユーザは、ジョイスティック6のレバーを操作することによりポインタ24をディスプレイ3に表示された撮像画像上の所望の位置に移動させる。次に、ユーザは、ジョイスティック6の指定ボタンを押下することにより、ポインタ24がポイントする位置を入力する。そして、直接移動手段11は、当該ポインタ24がポイントする座標位置を取得し、その座標位置に駐車基点位置21を直接移動させ、目標駐車枠20を移動させる。
【0037】
図2では、直接移動手段11によって目標駐車枠20を移動させる前の状態が表示されている。図2において、ユーザがジョイスティック6を用いて位置X1にポインタ24を移動させ、ジョイスティック6の指定ボタンを押下すると、図3に示されるように、位置X1に駐車基点位置21が移動し、目標駐車枠20が移動する。
【0038】
方向移動手段12は、図4に示されるように、遠隔操作手段であるジョイスティック6を用いてディスプレイ3に表示された撮像画像上に重畳表示された複数の方向ボタン22(22a〜22f)の中から所望の方向を示す方向ボタン22をユーザが選択することにより、該選択された方向ボタン22に関連付けられた方向に目標駐車枠20を移動させる。ユーザは、ジョイスティック6のレバーを操作することにより、ディスプレイ3に表示された撮像画像上に重畳表示された方向ボタン22上にポインタ24を移動させる。次に、ユーザは、ジョイスティック6の指定ボタンを押下することにより、ポインタがポイントする位置に存在する方向ボタン22を選択する。そして、方向移動手段12は、当該選択された方向ボタン22が示す方向に所定距離だけ目標駐車枠20を移動させる。
【0039】
図4では、方向移動手段12によって目標駐車枠20を移動させる前の状態が表示されている。図4において、ユーザがジョイスティック6を用いて方向ボタン22aをポインタ24によりポイントし、ジョイスティック6の指定ボタンを押下すると、目標駐車枠20は方向ボタン22aが示す方向(図4では左斜め上)に所定距離だけ移動する。そして、ユーザが方向ボタン22aを複数回指定することにより、図5に示されるように、所望の位置に目標駐車枠20が移動する。
【0040】
切替え手段13は、遠隔操作手段であるジョイスティック6の操作によって、直接移動手段11による直接移動モードと方向移動手段12による方向移動モードとを切替える。上述のように、目標駐車枠20を所望の位置に移動させる方法として、直接移動手段11による方法と、方向移動手段12による方法とがある。切替え手段13は、これら2つの移動手段による移動モードの切替えを行う。
【0041】
切替え手段13による移動モードの切替えは、次のようにして行われる。すなわち、ポインタ24がポイントする位置が、ジョイスティック6の操作によってボタン表示領域23の外部からボタン表示領域23の内部に移動した場合、直接移動モードから方向移動モードに切り替わる。直接移動モード(例えば図2)から方向移動モード(例えば図4)に切り替わる際、図4に示されるように、切替え手段13は、ボタン表示領域23を直接移動モードのときよりも拡大して表示する。本実施形態では、図4に示されるように、ボタン表示領域23および方向ボタン22が直接移動モードのときと比較して125%に拡大して表示される。これにより、方向移動モードにおいて、ユーザは、方向移動モードに切り替わったことを認識することができ、所望の方向ボタン22を容易に選択することができる。なお、方向移動モードに切り替わった際に、直接移動モードのときと異なるようにボタン表示領域23の色を変えてもよい。
【0042】
逆に、ポインタ24がポイントする位置が、ジョイスティック6の操作によってボタン表示領域23の内部からボタン表示領域23の外部に移動した場合、方向移動モードから直接移動モードに切り替わる。方向移動モードから直接移動モードに切り替わる際、切替え手段13は、ボタン表示領域23および方向ボタン22の大きさを元に戻す。
【0043】
このように、ジョイスティック6を操作しポインタ24の位置を移動させることによって、移動モードを直接移動手段11による直接移動モードと方向移動手段12による方向移動モードの間で切替える。従って、ユーザは、これら2つのモード使い分けることによって、目標駐車枠20を所望の位置に簡単かつ迅速に移動させることができる。また、ポインタ24の位置を移動させることによってこれらの移動モードを切替えることができるため、ジョイスティック6を用いた場合においても、非常に簡単に目標駐車位置を設定することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、ジョイスティック6を操作し、ポインタ24の位置をボタン表示領域23内に移動させることにより移動モードを切替えたが、他の実施形態では、異なる方法により移動モードを切替えてもよい。例えば、撮像画像上に表示された切替ボタンをポインタ24によりポイントすることにより、移動モードを切替えてもよい。また、本実施形態では、遠隔操作手段としてジョイスティックを用いたが、他の実施形態では、ジョイスティック以外のものを用いてもよい。例えば、トラックボールを用いてもよい。また、タッチパッドを用いてもよい。
【0045】
次に、直接移動モードから方向移動モードへの切替えの際に、ユーザにとってジョイスティック6の操作を容易にするためのより具体的な方法について、図6を用いて説明する。
【0046】
図6に示されるように、直接移動モードから方向移動モードに切り替わる場合において、ユーザがジョイスティック6を操作することによりポインタ24の位置がボタン表示領域23の近傍に移動したとき、切替え手段13は、ポインタ24がボタン表示領域23内に引き込まれるような引き込み力(ポインタ24が引き込み矢印40の方向に移動するような力)をジョイスティック6のレバーに発生させる。図6では、ボタン表示領域23の周囲を取り囲むように破線で示された引き込み領域27が表示されており、引き込み力の方向が引き込み矢印40で示されている。例えば、ユーザがジョイスティック6を操作することによりポインタ24が図6に示す位置に移動した場合、ポインタ24がボタン表示領域23の方向(図6における上方)に引き込まれるようにジョイスティック6のレバーに引き込み力を発生させる。すなわち、切替え手段13は、ポインタ24がボタン表示領域23内に引き込まれるような引き込み力をジョイスティック6のレバーに発生させるための信号をジョイスティック6に送信する。引き込み力発生の信号を受信したジョイスティック6は、アクチュエータを用いてボタン表示領域23の内部に向かう力を発生させる。例えば、ポインタ24の座標位置からボタン表示領域23の外郭上の最も近い点に向かう方向に、引き込み力を発生させる。なお、図6に示された引き込み矢印40および引き込み領域27は、説明の便宜上示されたものであり、実際には表示されない。
【0047】
なお、方向移動モードから直接移動モードへの切替えの際には、切替え手段13は上述した引き込み力を発生させない。
【0048】
次に、方向移動モードにおいて、ユーザがジョイスティック6を用いて所望の方向ボタン22を選択する際に、ジョイスティック6の操作を容易にするための方法について、図7を用いて説明する。
【0049】
直接移動モードにおいてボタン表示領域23への引き込み力を発生させたのと同様に、方向移動モードにおいて、ユーザが複数の方向ボタン22(22a〜22f)の中から1つの方向ボタン22を選択する際、切替え手段13は、その方向ボタン22への引き込み力をジョイスティック6のレバーに発生させる。図7に示されるように、方向移動モードにおいて、各方向ボタン22が配置された領域の近傍にポインタ24が移動した場合、切替え手段13は、ポインタ24の位置から最も近い位置に存在する1つの方向ボタン22への引き込み力をジョイスティック6のレバーに発生させる。図7では、発生する引き込み力の方向を示す引き込み矢印40が示されている。
【0050】
具体的には、全ての方向ボタン22を含む1つの領域が各方向ボタン22の部分領域に分割される。図7では、各方向ボタン22にそれぞれ対応する部分領域が破線により示されている。切替え手段13は、この部分領域内にポインタ24が移動した場合、ポインタ24がその部分領域内の方向ボタン22の中心位置28へ向かうように(図7では方向ボタン22aの中心位置28に向かうように)、ジョイスティック6のレバーに引き込み力を発生させる。また、ある方向ボタン22(例えば方向ボタン22a)から別の方向ボタン22(例えば方向ボタン22b)にポインタ24を移動させる場合は、ユーザはジョイスティック6のレバーを操作することによってポインタ24を移動させる。ポインタ24の位置が、方向ボタン22bの部分領域に移動した場合、切替え手段13は、方向ボタン22bに向かってジョイスティック6のレバーに引き込み力を発生させる。なお、引き込み矢印40および部分領域を示す破線は、説明の便宜上示されたのもであり、実際には表示されない。
【0051】
このように方向ボタン22にポインタ24が引き込まれるような引き込み力をジョイスティック6のレバーに発生させることによって、ユーザは所望の方向ボタン22の方向にジョイスティック6のレバーを倒すだけで、ポインタ24はその方向ボタン22上に確実かつ迅速に移動する。従って、ジョイスティック6を用いた場合でも、ユーザは所望の方向ボタン22を容易に選択することができ、目標駐車枠20を所望の位置に移動させることができる。
【0052】
また、直接移動モードにおいて、駐車支援装置1の操作のための操作ボタン25に対して、ポインタ24が反発するような反力をジョイスティック6のレバーに発生させてもよい。図8に示されるように、例えば、所定の操作ボタン25(左右切替ボタン25b、ヘルプボタン25c、戻るボタン25d)の反力発生領域29にポインタ24が移動した場合、切替え手段13は、上述した引き込み力とは反対方向(図8では反力矢印41の方向)の反力をジョイスティック6のレバーに発生させる。
【0053】
直接移動モードの際、ユーザは、所望の位置に目標駐車枠20を直接移動させようとしている。操作ボタン25は、駐車支援装置1を操作するためのボタンであり、様々な機能を利用するために選択される。操作ボタン25には、目標駐車枠20を移動させる際に必ずしも頻繁に使用されるものではないボタン(例えば上述したヘルプボタン25c等)が存在する。従って、そのような操作ボタン25に対してポインタ24が反発するような反力をジョイスティック6のレバーに発生させることにより、ユーザが直接移動モードの際に、誤って操作ボタン25をポインタ24で選択することを防止することができる。一方、操作ボタン25の1つであるOKボタン25aの近傍には反力発生領域29が設定されていない。OKボタン25aは、目標駐車枠20が表示された位置を目標駐車位置として設定するために、ユーザにより押下される。従って、OKボタン25aはユーザにより選択される頻度が高いボタンであるため、OKボタン25aに対する反力を発生させない。これにより、直接移動モードの際、ユーザが適切な操作を容易に行うことができる。
【0054】
なお、本実施形態では、方向ボタン22へポインタ24が引き込まれるような引き込み力および操作ボタン25に対してポインタ24が反発するような反力をジョイスティック6のレバーに発生させたが、直接移動モードまたは方向移動モードにおいて、ポインタ24が所定の領域に移動した場合、その領域へポインタ24が引き込まれるような引き込み力、または、その領域に対してポインタ24が反発するような反力を発生させてもよい。例えば、直接移動モードにおいて、撮像画像上に表示された車両周辺の障害物が表示された領域に対して、反力を発生させてもよい。また、直接移動モードおよび方向移動モードにおいて、目標駐車位置の候補となる領域を予め算出し、その領域へ引き込み力を発生させてもよい。例えば、直接移動モードにおいて、目標駐車位置の候補となる領域の近傍にポインタ24が移動した場合、その領域への引き込み力を発生させてもよい。さらに、方向移動モードにおいて、目標駐車枠20が目標駐車位置の候補となる領域に向かうような方向ボタン22への引き込み力を発生させてもよい。
【0055】
以上のように、撮像画像上の所定領域近傍にポインタ24が移動した場合、切替え手段13は、ポインタ24がその領域へ引き込まれるような引き込み力、または、その領域に対して反発するような反力のいずれかの力(作用力)をジョイスティック6のレバーに発生させるために、ジョイスティック6に信号を送信する。具体的には、撮像画像上に表示されたボタン画像(上記方向ボタン22および操作ボタン25)に対して、ジョイスティック6に引き込み力、または反力を、そのボタン画像が有する機能と操作状態とに基づいて発生させる。すなわち、例えば、上述したように、方向移動モードにおいては、ユーザは、方向ボタン22が示す方向に目標駐車枠20を移動させようとしている。従って、この場合、ユーザは方向ボタン22を選択する意思が強いと考えられるため、方向ボタン22への引き込み力を発生させる。また、直接移動モードにおいては、ユーザは、ポインタ24の位置に目標駐車枠20を直接移動させようとしており、操作ボタン25の中には、ユーザにより選択される頻度が低いものがある。従って、このような場合、その操作ボタン25への引き込み力を発生させるよりも反力を発生させる。これにより、ユーザは、ジョイスティック6の操作をより容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、本発明は、ユーザが遠隔操作手段を用いて目標駐車位置を設定する際に、容易に目標駐車位置を設定することが可能であり、例えば、車両用の駐車支援装置として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態に係る駐車支援装置の構成を示すブロック図
【図2】直接移動手段による直接移動モードにおいて、目標駐車位置を設定する際に表示手段に表示される画像を示す図
【図3】図2において位置X1を指定することにより目標駐車枠を移動させた後に表示手段に表示される画像を示す図
【図4】方向移動手段による方向移動モードにおいて、目標駐車位置を設定する際に表示手段に表示される画像を示す図
【図5】図4に示される位置から方向ボタンを用いて目標駐車枠を移動させた後に表示手段に表示される画像を示す図
【図6】方向移動モードへの切替え時において、切替え手段がジョイスティックのレバーに引き込み力を発生させる領域を示した図
【図7】方向移動モードの場合に、切替え手段が方向ボタン近傍の所定領域においてジョイスティックのレバーに引き込み力を発生させる様子を示した図
【図8】直接移動モードの場合に、切替え手段が所定の操作ボタン近傍の領域においてジョイスティックのレバーに反力を発生させる様子を示した図
【符号の説明】
【0058】
1 駐車支援装置
2 駐車支援ECU
3 ディスプレイ
4 バックカメラ
5 電動パワーステアリング
6 ジョイスティック
11 直接移動手段
12 方向移動手段
13 切替え手段
14 制御手段
20 目標駐車枠
21 駐車基点位置
22 方向ボタン
23 ボタン表示領域
24 ポインタ
25 操作ボタン
27 引き込み領域
28 中心位置
29 反力発生領域
40 引き込み矢印
41 反力矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両周辺を映し出した撮像画像上に重畳表示される目標駐車枠により目標駐車位置を設定し、該設定された目標駐車位置に車両を駐車させるための支援を行う駐車支援装置であって、
前記撮像画像を表示する表示装置から離れた位置にあり、前記撮像画像上に重畳表示されたポインタを遠隔から操作するための遠隔操作手段と、
前記遠隔操作手段を用いてユーザから入力された座標位置に前記目標駐車枠を直接移動させる直接移動手段と、
前記遠隔操作手段を用いて前記撮像画像上に重畳表示された方向ボタンをユーザが選択することにより、該選択された方向ボタンに関連付けられた方向に前記目標駐車枠を移動させる方向移動手段と、
前記遠隔操作手段の操作によって、前記直接移動手段による直接移動モードと前記方向移動手段による方向移動モードとを切替える切替え手段と、
前記目標駐車枠の位置に合わせて設定された前記目標駐車位置に車両を自動誘導させる制御手段とを備える、駐車支援装置。
【請求項2】
前記切替え手段は、前記遠隔操作手段の操作により前記ポインタが前記撮像画像上の所定の位置に移動した場合、前記方向移動モードに切替え、前記ポインタが前記所定の位置以外の位置に移動した場合、前記直接移動モードに切替えることを特徴とする、請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記所定の位置は、前記方向ボタンを含むボタン表示領域であることを特徴とする、請求項2に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記切替え手段は、前記直接移動モードから前記方向移動モードに切り替わった場合に、前記直接移動モードのときと異なる表示方法により、前記方向ボタンを表示することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の駐車支援装置。
【請求項5】
前記切替え手段は、前記直接移動モードから前記方向移動モードに切り替わった場合に、前記直接移動モードのときよりも前記方向ボタンを含むボタン表示領域を拡大表示することを特徴とする、請求項4に記載の駐車支援装置。
【請求項6】
前記遠隔操作手段は、ジョイスティックであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の駐車支援装置。
【請求項7】
前記ジョイスティックは、ユーザが操作を行うレバーと、前記切替え手段からの信号に応じて前記レバーの操作に対して作用力を発生させるアクチュエータとを含み、
前記切替え手段は、前記撮像画像上の所定領域近傍に前記ポインタが移動した場合、該領域へ前記ポインタが引き込まれるような引き込み力、または、該領域に対して前記ポインタが反発するような反力のいずれか一方を前記レバーに発生させるための信号を前記ジョイスティックに送信することを特徴とする、請求項6に記載の駐車支援装置。
【請求項8】
前記切替え手段は、前記直接移動モードにおいて、前記方向ボタンの表示領域近傍に前記ポインタが移動した場合に、該方向ボタンの表示領域へ前記ポインタが引き込まれるような引き込み力を前記レバーに発生させるための信号を前記ジョイスティックに送信することを特徴とする、請求項7に記載の駐車支援装置。
【請求項9】
前記切替え手段は、前記方向移動モードにおいて、前記方向ボタン近傍の所定領域に前記ポインタが移動した場合に、該方向ボタンへ前記ポインタが引き込まれるような引き込み力を前記レバーに発生させるための信号を前記ジョイスティックに送信することを特徴とする、請求項7に記載の駐車支援装置。
【請求項10】
前記切替え手段は、前記直接移動モードにおいて、前記駐車支援装置を操作するために前記撮像画像上に重畳表示された所定の操作ボタン近傍に前記ポインタが移動した場合、該操作ボタンに対して前記ポインタが反発するような反力を発生させるための信号を前記ジョイスティックに送信することを特徴とする、請求項7に記載の駐車支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−95027(P2010−95027A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−265265(P2008−265265)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】