説明

駐車経路表示システム

【課題】立体駐車場内のユーザの車両の駐車位置、及び駐車経路をユーザの携帯通信端末の画面に表示させることが可能な駐車経路表示システムを提供する。
【解決手段】立体駐車場11内の所定の位置に設けられ、自己のID情報等を格納する複数のRFID110と、駐車する車両140に搭載されたナビゲーション装置及び携帯通信端末150とネットワーク160経由で通信して、情報提供サービスのサイトを特定するサービスサイトURLを携帯通信端末150に電子メールで送信するサービス提供メール処理部121、携帯通信端末150からの要求に応じて、駐車位置又は駐車経路の画像を検索する位置/経路画像検索処理部122、及び検索された画像を電子メールで送信する画像メール作成送信処理部123を有するサーバ120と、情報提供サービスに用いる駐車経路管理情報、地図等を保持する経路データベース130と、を備える構成を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体駐車場内に駐車する車両の駐車位置、駐車経路等の情報を車両のユーザに、通信手段を介して提供する駐車経路表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが立体駐車場に駐車する場合、ユーザは、駐車階、この階の柱、床等に表示されている記号、番号等を介して、駐車位置を記憶する。近年、自動車の普及に伴い、より多くの車両を駐車できるように立体駐車場が増えてきている。立体駐車場は、一般に、各階の構造が類似しているものが多い。
【0003】
近年、目的地までの経路を表示するシステムとして、GPS(Global
Positioning System)を利用した携帯通信端末へのナビゲーションシステムが普及してきた(例えば、特許文献1参照。)。これは、携帯通信端末が地図データを保持せず、センタサーバで地図経路の地図データを保持し、携帯通信端末から送信された目的地情報に基づいて、現在地から目的地までの経路を表示する。
【特許文献1】特開2001−204062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の経路を表示するシステムでは、ユーザの車両の駐車位置を特定して表示することができないという問題を有していた。立体駐車場は、上記のように、各階の構造が類似しているものが多いと共に、駐車階の情報、階の柱、床等に表示されている記号、番号等は特徴が少ないため、ユーザは自己の車両の駐車位置を忘れてしまい、見つけ出すのに手間取ることがしばしば起こる。
【0005】
以上の現状に鑑み、本発明の目的は、立体駐車場内のユーザの車両の駐車位置、及び駐車経路をユーザの携帯通信端末の画面に表示させることが可能な駐車経路表示システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決すべく、本発明は以下の構成を提供する。
請求項1に係る発明は、立体駐車場内の所定の位置に設けられ、少なくとも自己を一意に識別するID情報を格納する複数のRFIDと、駐車する車両に搭載されたナビゲーション装置及び前記車両のユーザが有する携帯通信端末と通信すると共に、前記ナビゲーション装置から、前記車両が駐車するまでの駐車経路情報、及び前記携帯通信端末の電子メールアドレスを受信して、前記携帯通信端末からの要求に応じて、前記車両の駐車位置又は駐車経路の情報を提供するサーバと、前記サーバが受信した駐車経路情報、及び前記携帯通信端末の電子メールアドレス、並びに、前記車両の駐車位置又は駐車経路を表す画像へのアクセス情報を記憶するデータベースと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、立体駐車場内の所定の位置に設けられ、少なくとも自己を一意に識別するID情報を格納する複数のRFIDと、駐車する車両に搭載されたナビゲーション装置及び前記車両のユーザが有する携帯通信端末と通信すると共に、前記ナビゲーション装置から、前記車両が駐車するまでの駐車経路情報、及び前記携帯通信端末の電子メールアドレスを受信して、前記携帯通信端末からの要求に応じて、前記車両の駐車位置又は駐車経路の情報を提供するサーバと、前記サーバが受信した駐車経路情報、及び前記携帯通信端末の電子メールアドレス、並びに、前記車両の駐車位置又は駐車経路を表す画像へのアクセス情報を記憶するデータベースと、を備えるため、立体駐車場内のユーザの車両の駐車位置、及び駐車経路をユーザの携帯通信端末の画面に表示させることが可能な駐車経路表示システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、実施例を示した図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明による駐車経路表示システムの一実施例を概念的に示す説明図である。駐車経路表示システムは、立体駐車場11内の所定の位置に設けられ、自己のID情報等を格納する複数のRFID(Radio Frequency IDentification)110と、駐車する車両140に搭載されたナビゲーション装置及び携帯通信端末150とネットワーク160経由で通信して、駐車に関する所定の情報提供サービスを行うサーバ120と、情報提供サービスに用いる駐車経路管理情報、地図等を保持する経路データベース130と、を備える。
【0009】
説明に先立ち、ユーザが駐車しようとする車両140に搭載されたナビゲーション装置は、RFID110からリーダを介して上記のID情報等を読み込み、読み込んだID情報及び時刻等からなる駐車経路情報を、サーバ120に電子メールで送信するための画面を表示できるものとする。ナビゲーション装置は、また、例えば、いずれかのRFID110から電子メールアドレス(以下、単にメールアドレスという。)を取得する等によって、予めサーバ120のメールアドレスを取得しているものとする。
【0010】
RFID110は、自己を一意に特定するID情報を格納し、車両140に搭載されたリーダを介してID情報をナビゲーション装置に提供可能になっている。そして、RFID110は、立体駐車場11内の入口、各階の出入口、各駐車位置等の所定の位置、又はこれらの近傍に設けられたポール内に、ID情報に基づいて、一般に、駐車経路及び駐車位置を一意に特定できるように配置されている。
【0011】
サーバ120は、ユーザのナビゲーション装置から送信された、ナビゲーション装置を特定するナビゲーションID、駐車経路情報、及び携帯通信端末150のメールアドレスを受信して、情報提供サービスのサイトを特定するサービスサイトURL(Uniform Resource Locator)を携帯通信端末150に電子メールで送信するサービス提供メール処理部121と、携帯通信端末150からの要求に応じて、駐車位置又は駐車経路の画像を検索する位置/経路画像検索処理部122と、検索された画像を電子メールで送信する画像メール作成送信処理部123と、を有する。
【0012】
ここで、ユーザが電子メール中のサービスサイトURLをクリックしたとき、表示はサービス開始用のメニュー画面に遷移し、このメニュー画面には、駐車位置又は駐車経路の画像の提供等の、受けようとするサービスの項目が選択可能に表示され、ユーザがいずれかの項目を選択したとき、選択された項目がサーバに送信されるようになっている。
【0013】
図2は、データベースに格納される駐車経路管理情報の一例を示す説明図である。経路データベース130は、駐車経路管理情報として、例えば、ユーザを一意に識別するユーザ識別情報、駐車経路情報、及び駐車を管理する駐車グループIDを記憶する。ユーザ識別情報としては、例えば、図2に示すように、ユーザの携帯通信端末150のメールアドレス201と、ナビゲーションID202と、がある。また、駐車経路情報としては、例えば、図2に示すように、対象のRFIDが設置された位置を通過した日時203と、このRFIDを特定するRFIDのID情報204と、がある。駐車グループID205は、ユーザ識別情報及び駐車経路情報に対応させて、完了した駐車毎に割り当てられる情報である。
【0014】
図3は、経路データベースが格納する画像データの管理の一実施例を示す説明図である。経路データベースは、日時でソートした駐車経路情報中の隣り合う2つのRFIDのID情報のうちの、過去寄りのRFIDのID情報(以下、FROM−RFIDといい、これによって特定されるRFIDを通過元RFIDという。)301と、現在寄りのRFIDのID情報(以下、TO−RFIDといい、これによって特定されるRFIDを通過先RFIDという。)302と、を保持する。経路データベースは、また、FROM−RFID301とTO−RFID302によって特定される通過元RFIDと通過先RFIDとの間の経路の画像データ304にリンクするための画像リンク用URL303を、FROM−RFID301とTO−RFID302に対応させて保持する。なお、画像データ304は、立体駐車場の管理に用いられる、サーバ、データベース等中に記憶されるのでもよい。ここで、FROM−RFID301、TO−RFID302、及び画像リンク用URL303は、経路データベースの代わりにサーバのマスタデータベースに記憶されるのでもよい。
【0015】
図4は、ユーザが駐車位置及び駐車経路の情報を取得するまでの操作及び処理を説明するシーケンス図である。
まず、ナビゲーション装置401は、ユーザの操作に応じて、駐車場の入口から駐車位置までの駐車経路を、日時とRFIDのID情報とを対応させた駐車経路情報として送信するか否かをユーザに選択させる、選択画面を表示する(S401)。ユーザが駐車経路情報を送信することを選択した場合、ナビゲーション装置401は、サーバ403のメールアドレスを用いて、インターネット等の所定のネットワーク経由で駐車経路情報をサーバ403に送信する(S402)。
【0016】
次に、サーバ403は、サービス提供メールを作成して(S403)、ユーザの携帯通信端末402に送信する(S404)。図5は、サーバがサービス提供メールを送信する前までの処理を説明するフローチャートである。サーバ403のサービス提供メール処理部121は、ナビゲーション装置401から送信された、ナビゲーションID、駐車経路情報、及び携帯通信端末402のメールアドレスを受信し(S501)、受信した情報を経路データベース130等の所定のデータベースに格納し(S502)、受信したメールアドレスとサービスサイトURLを用いてサービス提供メールを作成する(S503)。
【0017】
ここで、駐車位置を確認するには、ユーザは、受信した電子メール中のサービスサイトURLをクリックしてサービス開始のメニュー画面に遷移し、自己が受けようとするサービスを選択する。携帯通信端末402は、ユーザの操作に応じて、受信した電子メールを表示し、ユーザが電子メール中のサービスサイトURLをクリックしたとき、メニュー画面中のサービスの項目を表示してユーザに選択させ(S405)、ユーザが選択した項目を電子メールでサーバ403に送信する(S406)。
【0018】
サービスの項目を受信したサーバ403は、ユーザが選択した駐車位置又は駐車経路の画像を検索し(S407)、検索された画像をユーザの携帯通信端末402に送信する電子メールを作成し(S408)、送信する(S409)。ステップS409で送信された電子メールを受信することによって、ユーザは、上記で選択したサービスの項目に応じて、駐車位置又は駐車経路の画像を携帯通信端末402に表示させることができる。
【0019】
図6は、サーバがユーザの要求に応じた画像を提供する電子メールを作成するまでの処理について説明するフローチャートである。
ステップS406でサービスの項目が送信されると、サーバの位置/経路画像検索処理部は、電子メールでサービスの項目を受信し、この電子メールからメールアドレスを取得し(S601)、取得したメールアドレスを用いて駐車経路管理情報中のユーザの駐車経路情報を検索し(S602)、検索されたユーザの駐車経路情報を日時に関してソートする(S603)。
【0020】
次に、サーバの位置/経路画像検索処理部は、電子メールで受信したサービスの項目が駐車位置と駐車経路のうちのいずれを指定しているかを判定する(S604)。サービスの項目が駐車位置を指定していると判定した場合、サーバの位置/経路画像検索処理部は、ソートした駐車経路情報中の、最後及び1つ前の日時のRFIDを取得し(S605)、取得した1対のRFIDで特定される画像を、対応する画像リンク用URLに基づいて取得する(S606)。
【0021】
一方、サービスの項目が駐車経路を指定していると判定した場合、サーバの位置/経路画像検索処理部は、ソートした駐車経路情報中の、日時が最後のRFIDに割り当てられた駐車グループIDに対応する全てのRFIDを取得し(S607)、取得したRFIDで特定される経路の画像を、画像リンク用URLに基づいて取得する(S608)。
【0022】
ステップS606及びS608で画像が取得されたとき、サーバの画像メール作成送信処理部は、取得された駐車位置の画像又は駐車経路の画像を送信するための電子メールを作成する(S609)。作成された電子メールは、上記のステップS409で携帯通信端末電子に送信される。
【0023】
図7は、ユーザの携帯通信端末に表示される、駐車経路の画像の一例を示す図である。図7には4つの画像が示され、左上の画像から始まり、右上の画像、右下の画像、そして、左下の画像の順番に駐車経路の画像が携帯通信端末に表示される(画像間の太矢印参照)。駐車経路の画像の表示は、駐車位置が表示されるまで行われる。図7において、左上の画像(704)には、入口に設けられた通過元RFID(701)と通過先RFID(702)とを結んだ経路(703)が示されている。最後に表示される左下の画像中に、駐車しているユーザの車両を示すアイコン705が表示される。
【0024】
図8は、ユーザの携帯通信端末に表示される、駐車位置の画像の一例を示す図である。駐車位置は、図8に示すように、ユーザの車両を示すアイコン801を用いて表示される。駐車位置の画像には、駐車位置を特定する文字等が付加されるのでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による駐車経路表示システムの一実施例を概念的に示す説明図である。
【図2】データベースに格納される駐車経路管理情報の一例を示す説明図である。
【図3】経路データベースが格納する画像データの管理の一実施例を示す説明図である。
【図4】ユーザが駐車位置及び駐車経路の情報を取得するまでの操作及び処理を説明するシーケンス図である。
【図5】サーバがサービス提供メールを送信する前までの処理を説明するフローチャートである。
【図6】サーバがユーザの要求に応じた画像を提供する電子メールを作成するまでの処理について説明するフローチャートである。
【図7】ユーザの携帯通信端末に表示される、駐車経路の画像の一例を示す図である。
【図8】ユーザの携帯通信端末に表示される、駐車位置の画像の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
11 立体駐車場
110 RFID
111 ポール
120 サーバ
121 サービス提供メール処理部
122 位置/経路画像検索処理部
123 画像メール作成送信処理部
130 駐車データベース
140、801 車両
150 携帯通信端末
160 ネットワーク
201 メールアドレス
202 ナビゲーションID
203 日時
204 RFIDのID情報
205 駐車グループID
301 FROM−RFID
302 TO−RFID
303 画像リンク用URL
304 画像データ
401 ナビゲーション装置
402 携帯通信端末
403 サーバ
701 通過元RFID
702 通過先RFID
703 経路
704 画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体駐車場内の所定の位置に設けられ、少なくとも自己を一意に識別するID情報を格納する複数のRFIDと、
駐車する車両に搭載されたナビゲーション装置及び前記車両のユーザが有する携帯通信端末と通信すると共に、前記ナビゲーション装置から、前記車両が駐車するまでの駐車経路情報、及び前記携帯通信端末の電子メールアドレスを受信して、前記携帯通信端末からの要求に応じて、前記車両の駐車位置又は駐車経路の情報を提供するサーバと、
前記サーバが受信した駐車経路情報、及び前記携帯通信端末の電子メールアドレス、並びに、前記車両の駐車位置又は駐車経路を表す画像へのアクセス情報を記憶するデータベースと、を備えることを特徴とする駐車経路表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−134722(P2008−134722A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318955(P2006−318955)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】