説明

高伝導化プリント基板、およびその製造方法

【課題】第1に、導体断面積を大きくとることができ、第2に、しかも高周波特性に優れており、効率が向上し、第3に、もって小型化が可能となり、第4に、しかもこれらが簡単容易に、コスト面に優れて実現される、高伝導化プリント基板およびその製造方法を提案する。
【解決手段】この高伝導化プリント基板1は、中空導体構造よりなり、絶縁基材2の外表面にパターニングされた銅箔パターン4と、銅箔パターン4を被覆する導体被膜9と、銅箔パターン4と導体被膜9間に形成された発泡中空層7とを、少なくとも有している。そして、銅箔パターン4と導体被膜9とで、導体部10が、形成されている。なお代表例では、発泡中空層7は、発泡インク等の発泡剤5の発泡により形成され、導体被膜9は、半田被膜よりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高伝導化プリント基板およびその製造方法に関する。すなわち、例えば非接触給電装置のコイルとして使用される高伝導化プリント基板、およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
《技術的背景》
例えば非接触給電装置では、定置された給電側のコイルから、電気自動車等に搭載された受電側のコイルに、電磁誘導の相互誘導作用に基づき、電力を給電する。そして、充電効率向上,大ギャップ化,コイルの小型軽量化等のニーズから、高周波交流方式が採用されると共に、その更なる高周波数化が顕著である。
勿論、非接触給電装置以外についても、例えばオーディオ機器,ゲーム器,パソコン,その他の各種の電気機器においても、高周波交流方式の採用そして高周波数化が顕著である。
【0003】
《従来技術》
さて、このような高周波交流方式の非接触給電装置その他では、そのコイルや配線として、リッツ線が多用されている。例えば、リッツ線が螺線状に巻回されて、コイルとして使用されている。
公知のようにリッツ線は、エナメル等の絶縁皮膜で被われた微細素線(導体部)を、数百本以上束ねて撚った構成よりなり、表皮効果による電流の表面集中を分散,低減する。周波数が高くなるほど顕著化する表皮効果の影響を軽減して、高周波特性を向上し、高周波交流抵抗,ジュール熱損失,電力損失等を抑制する。
しかしながらリッツ線については、極めてコスト高である、という問題が指摘されていた。すなわち、多数の微細素線をそれぞれ絶縁皮膜で被うことを要すると共に、更に、このような微細素線を束ねて撚ることを要し、製造コストが高額化していた。
これらに鑑み、リッツ線に代えてプリント基板を使用する技術が、最近提案されている。すなわち、プリント基板のパターニングされた銅箔パターン(導体部)を、高周波交流方式の機器のコイルや配線等として使用する技術が、提案されている。例えば、平面螺線状をなす巻回形状にパターニングした銅箔パターンを、コイルとして使用する。
公知のようにプリント基板は、リッツ線に比し安価に製造可能であり、遥かにコスト面に優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
上述した非接触給電装置としては、例えば、次の特許文献1に示されたものが挙げられ、リッツ線としては、例えば、特許文献2に示したものが挙げられる。
【特許文献1】特開2008−087733号公報
【特許文献2】特開平5−263377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような従来のプリント基板を使用する技術については、次の課題が指摘されていた。
《第1の問題点》
まず第1に、導体断面積を大きくとることができない、という問題が指摘されていた。すなわち、プリント基板の銅箔パターンは、その肉厚が一般的に薄かった(銅箔パターンの肉厚を厚くする工法や、多層基板も存したが、いずれも極めて高額となりコスト面に問題があった)。
そこで、このようなプリント基板の銅箔パターンを、コイルや配線等として使用した場合、銅箔パターン(導体部)が肉薄で縦方向寸法が小さい(回路高さが低い)ことに起因して、その縦断面積が規制され大きく設定できなかった。もって、導体断面積を大きくとることができず、大電流,大電力の供給ニーズに対応困難とされていた。
【0006】
《第2の問題点》
第2に、表皮効果や近接効果による効率低下も、問題となっていた。すなわち、コイルや配線等として使用されるプリント基板の銅箔パターン(導体部)については、表皮効果による電流の表面集中や、近接効果(横方向相互間の近接や、多層基板の場合の縦方向相互間の近接)による電流の分布偏在が、指摘されていた。
もって、高周波交流抵抗,ジュール熱損失,電力損失等が顕著化し、高周波特性の低下そして効率低下が指摘されていた。
【0007】
《第3の問題点》
第3に、上述した第1の導体断面積の点や、第2の表皮効果,近接効果の点に鑑み、小型化が困難視されており、実用化,普及化の大きな障害となっていた。
すなわち、この種のプリント基板の銅箔パターン(導体部)については、まず、薄い肉厚に起因した小さな導体断面積を補うために、幅広にして横断面積を大きく形成する(回路幅を広げる)ことを要する。又、表皮効果を軽減するために、多数に分岐する(回路本数を増やす)ことを要する。更に、近接効果を軽減するために、相互間隔(回路間隔)を広げることを要する。
これらに基づき、コイルや配線等として使用される銅箔パターンが、全体的に大型化してしまい、プリント基板の小型化が難しい状況にあった。
【0008】
《本発明について》
本発明の高伝導化プリント基板、およびその製造方法は、このような実情に鑑み、上記従来技術の課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、第1に、導体断面積を大きくとることができ、第2に、従って高周波特性に優れており、効率が向上し、第3に、もって小型化が可能となり、第4に、しかもこれらが簡単容易に、コスト面に優れて実現される、高伝導化プリント基板およびその製造方法を提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
《各請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、特許請求の範囲に記載したように、次のとおりである。
請求項1については、次のとおり。
請求項1の高伝導化プリント基板は、中空導体構造よりなり、絶縁基材の外表面にパターニングされた銅箔パターンと、該銅箔パターンを被覆する導体被膜と、該銅箔パターンと導体被膜間に形成された発泡中空層とを、少なくとも有している。そして、該銅箔パターンと導体被膜とで導体部が形成されていること、を特徴とする。
請求項2については、次のとおり。
請求項2の高伝導化プリント基板は、請求項1において、該発泡中空層は、発泡剤の発泡により形成され、該導体被膜は、半田被膜よりなること、を特徴とする。
請求項3については、次のとおり。
請求項3の高伝導化プリント基板は、請求項2において、該銅箔パターンと該半田被膜で形成される該導体部が、コイルとして使用されること、を特徴とする。
【0010】
請求項4については、次のとおり。
請求項4の高伝導化プリント基板の製造方法では、まず、絶縁基材の外表面に貼り付けられた銅箔をパターニングして、銅箔パターンを形成し、次に、該銅箔パターンのセンターラインエリアに、発泡剤を塗布した後、該発泡剤を熱硬化性樹脂被膜にて被覆する。
それから、該発泡剤を加熱により発泡させて、発泡中空層を形成してから、該熱硬化性樹脂被膜の外表面に導電材粉をコーティングすると共に、該熱硬化性樹脂被膜を加熱により硬化させる。そして、該熱硬化性樹脂被膜、導電材粉、および外部露出している該銅箔パターンの残エリアを、導体被膜にて被覆する。
もって、該銅箔パターン、導電材粉、導体被膜にて、導体部が形成されると共に、該銅箔パターンと導体被膜間に、該熱硬化性樹脂被膜と共に該発泡中空層が形成された、中空導体構造の高伝導化プリント基板が製造されること、を特徴とする。
【0011】
請求項5については、次のとおり。
請求項5の高伝導化プリント基板の製造方法では、まず、発泡剤が層状にサンドイッチ介装された銅箔を、絶縁基材の外表面に貼り付け、次に、外側の該銅箔をパターニングして、銅箔パターンを外側に形成する。
それから、外側に該銅箔パターンが形成されたエリア以外の該発泡剤を除去した後、内側の該銅箔をパターニングして、外側の該銅箔パターンに見合った銅箔パターンを、内側に形成する。そして、該発泡剤を加熱により発泡させて発泡中空層を形成しつつ、外側,内側の該銅箔パターンおよび該発泡中空層について、それぞれ外部露出している外表面を、導体被膜にて被覆する。
もって、外側,内側の該銅箔パターンと該導体被膜にて、導体部が形成されると共に、外側,内側の該銅箔パターン間に該発泡中空層が形成された、中空導体構造の高伝導化プリント基板が製造されること、を特徴とする。
【0012】
請求項6については、次のとおり。
請求項6の高伝導化プリント基板の製造方法では、まず、発泡剤が層状にサンドイッチ介装された銅箔を、絶縁基材の外表面に貼り付け、次に、外側の該銅箔をパターニングして、銅箔パターンを外側に形成する。
それから、外側に該銅箔パターンが形成されたエリア以外の該発泡剤を除去した後、該発泡剤を加熱により発泡させて、発泡中空層を形成する。そして、外側の該銅箔パターン、該発泡中空層、および内側の該銅箔について、それぞれ外部露出している外表面を、無電解銅メッキにより被覆してから、該無電解銅メッキおよび内側の該銅箔を、パターニングする。
もって、外側,内側の該銅箔パターンと無電解銅メッキパターンにて、導体部が形成されると共に、外側,内側の該銅箔パターン間に該発泡中空層が形成された、中空導体構造の高伝導化プリント基板が製造されること、を特徴とする。
【0013】
《作用等について》
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)製造方法その1は、銅箔のパターニング、発泡剤の塗布,発泡、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂被膜の形成、銅粉等の導電材粉のコーティング、半田被膜等の導体被膜の形成、等の工程を辿る。
(2)製造方法その2は、発泡剤が介装された銅箔を用いると共に、内側,外側銅箔のパターニング、発泡剤の発泡、導体被膜の形成、等の工程を辿る。
(3)製造方法その3は、発泡剤が介装された銅箔を用いると共に、外側銅箔のパターニング、発泡剤の発泡、無電解銅メッキ、無電解銅メッキと内側銅箔のパターニング、等の工程を辿る。
(4)このように、この高伝導化プリント基板は、銅箔のパターニング工程を基本としつつ、発泡剤,熱硬化性樹脂,導電材粉,導体被膜,無電解銅メッキ等に関する工程を付加して、製造される。このように、簡単容易に製造される。
(5)製造された高伝導化プリント基板は、その導体部が、銅箔パターンと導体被膜や無電解銅メッキパターンとで形成されるので、導体部縦断面積そして導体断面積を大きくとることができる。
(6)更に、中空導体構造よりなり、導体部間に発泡中空層が形成されるので、表皮効果による電流の表面集中が低減される。又、導体部の縦断面積を大きくとることができるので、導体断面積を大きくとるために、導体部の横断面積を広げることを要しなくなり、もって、導体部相互間隔を適切に広く維持,確保可能となり、近接効果による電流の分布偏在も低減される。
(7)このように、この高伝導化プリント基板は、導体断面積を大きくとることができ、表皮効果や近接効果も軽減できるので、小型化への道が開ける。
(8)さてそこで、本発明の高伝導化プリント基板、およびその製造方法は、次の効果を発揮する。
【発明の効果】
【0014】
《第1の効果》
第1に、導体断面積を大きくとることができる。
すなわち、本発明に係る高伝導化プリント基板、および本発明に係る製造方法で製造された高伝導化プリント基板は、銅箔パターンと、半田被膜等の導体被膜や無電解銅メッキとで、導体部が多重的,立体的,3次元的な層状に形成されている。
そこで、銅箔パターンのみにて導体部が形成されていた前述したこの種従来技術のプリント基板に比し、導体被膜や無電解銅メッキの分だけ、導体部の縦断面積そして導体断面積を、大きく取ることができる。
もって、非接触給電装置,その他の高周波交流方式の機器のコイル,配線,その他として使用した場合、大電流,大電力の供給ニーズに対応可能である。勿論、直流方式の配線,その他として使用した場合も、これに準じる。
【0015】
《第2の効果》
第2に、しかも高周波特性に優れており、効率が向上する。
すなわち、本発明に係る高伝導化プリント基板、および本発明に係る製造方法で製造された高伝導化プリント基板は、導体部間に発泡中空層が形成された、中空導体構造よりなる。
そこで、銅箔パターンのみにて導体部が形成され中空部が存しなかった、前述したこの種従来技術のプリント基板に比し、表皮効果が軽減され、もって高周波交流抵抗,ジュール熱損失,電力損失等が抑制される。
本発明の高伝導化プリント基板は、このように高周波特性に優れており、高周波交流方式の非接触給電装置,高周波用配線基板,インバーター,コアレスモーター,その他の機器のコイル,配線,その他として使用した場合、効率が向上する。
他方、導体部の縦断面積を大きくとることができ、導体部の横断面積を広げることを要しないので、導体部の相互間隔を適切に広く維持可能である。もって近接効果が軽減され、この面からも高周波特性等に優れている。
【0016】
《第3の効果》
第3に、もって小型化が可能となる。
すなわち、本発明に係る高伝導化プリント基板、および本発明に係る製造方法で製造された高伝導化プリント基板は、上述したように、導体断面積を大きくとることができ、表皮効果や近接効果も軽減される。
そこで、銅箔パターンのみにて導体部が形成され、中空部も存しなかった前述したこの種従来技術のプリント基板に比し、小型化が実現される。導体部を幅広化したり、より多数に分岐したり、相互間隔を広げたりすること等を要せず、もって大型化してしまうことは回避される。
もって、本発明の高伝導化プリント基板は、高周波交流方式の非接触給電装置,その他の機器のコイル,配線,その他として実用化への道が開け、急速な普及化が期待される。
【0017】
《第4の効果》
第4に、しかもこれらは簡単容易に、コスト面に優れて実現される。
すなわち、本発明に係る高伝導化プリント基板、および本発明に係る製造方法で製造された高伝導化プリント基板は、従来より一般的なパターニング工程を基本としつつ、発泡剤,熱硬化性樹脂,導体被膜,無電解銅メッキ等に関する工程を付加するだけで、簡単容易に、コスト面に優れて製造される。
この種プリント基板の従来技術に関連して前述した、銅箔パターンの肉厚を厚くする工法や多層基板と比較しても、更にはリッツ線を用いる従来技術と比較しても、極めて安価となる。
又、パターニング技術を基本として製造されるので、形状設定や寸法設定等も自在である。勿論、リジッド基板についてもフレキシブル基板についても、変わりなく適用可能である。
これらの面からも、本発明の高伝導化プリント基板は、高周波交流方式の非接触給電装置,その他の機器のコイル,配線,その他として、実用化,普及化が期待される。
このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る高伝導化プリント基板の製造方法について、発明を実施するための形態の説明に供し、製造方法その1の正断面説明図である。そして(1)図は、その第1工程の要部等、(2)図は、第2工程の要部、(3)図は、第3工程の要部、(4)図は、第4工程の要部、(5)図は、第5工程の要部、(6)図は、第6工程の要部を示す。
【図2】同発明を実施するための形態の説明に供し、製造方法その2の正断面説明図である。そして(1)図は、その第1工程の要部等、(2)図は、第2工程の要部、(3)図は、第3工程の要部、(4)図は、第4工程の要部、(5)図は、第5工程の要部、(6)図は、第6工程の要部を示す。
【図3】同発明を実施するための形態の説明に供し、製造方法その3の正断面説明図である。そして(1)図は、その第1工程の要部等、(2)図は、第2工程の要部、(3)図は、第3工程の要部、(4)図は、第4工程の要部、(5)図は、第5工程の要部、(6)図は、第6工程の要部を示す。
【図4】本発明に係る高伝導化プリント基板について、発明を実施するための形態の説明に供し、拡大した要部の正断面説明図である。そして、(1)図は第1例を、(2)図は第2例を、(3)図は第3例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。
《製造方法その1について》
まず、図1を参照して、本発明に係る高伝導化プリント基板1の製造方法その1について、説明する。
図1の(1)図に示したように、この製造方法の第1工程では、まず最初に、絶縁基材2の外表面に貼り付けられた銅箔3をパターニングして、銅箔パターン4が形成される。
このような第1工程について、更に詳述する。まず前提として、製造される高伝導化プリント基板1としては、硬質のリジッド基板と柔軟なフレキシブル基板とが考えられる。前者の絶縁基材2としては、例えばガラスエポキシ,ガラスクロス,セラミックス等が用いられ、後者の絶縁基材2としては、ポリイミドフィルム,アラミドフィルム等が用いられる。
このような絶縁基材2の外表面(図示例では表面が対象だが、表面と裏面の両面を対象とすることも可能。両面の場合は、上述および以下に述べる所が、表面のみならず裏面についても実施される)に対し、銅箔3が、圧延,電解,メッキ,その他により形成され、もって銅張り積層板として準備される。
そして、銅箔3が、パターニングされることにより、銅箔パターン4が絶縁基材2外表面に形成される。パターニング方式としては、公知のとおり各種方式が知られているが、例えばサブトラクティブ法が代表的である。
サブトラクティブ法では、絶縁基材2に銅箔3が貼り付けられた銅張り積層板に、感光性レジストを塗布した後、回路のネガフィルムをあてて露光し、回路形成部分以外のレジストを、現像により溶解除去する。そして、露出した回路形成部分以外の銅箔3を、エッチングにより溶解除去した後、回路形成部分のレジストを剥離する。
このようなパターニング工程を辿ることにより、絶縁基材2の外表面に残った銅箔3にて、例えば平面螺線状・コイル状をなす巻回形状にパターニングされた銅箔パターン4(プリント配線,導体回路)が、形成される。
【0020】
次に、図1の(2)図に示したように、この製造方法の第2工程では、上述により形成された銅箔パターン4のセンターラインエリアに、発泡剤5が吹き付け等により塗布される。
発泡剤5としては、発泡インクが代表的に使用されるが、後述するように熱風等にて加熱することにより、発泡,膨張して気泡を発生する材料よりなる。そして発泡剤5は、銅箔パターン4の幅方向中央部に適当な幅で、つまりセンターラインをカバーしつつセンターラインよりも幅広のエリアに、塗布される。
それから、図1の(3)図に示したように、この製造方法の第3工程では、発泡剤5は、乾燥後に熱硬化性樹脂被膜6にて被覆される。
すなわち上述したように、絶縁基材2に設けられた銅箔パターン4に塗布された発泡剤5は、エポキシ樹脂,その他熱硬化性樹脂が塗布され、もって形成された熱硬化性樹脂被膜6にて、被覆される。この熱硬化性樹脂としては、その硬化温度が、次に述べる発泡剤5の加熱発泡温度より高いものが使用される。
【0021】
しかる後、図1の(4)図に示したように、この製造方法の第4工程では、発泡剤5を加熱により発泡させることにより、発泡中空層7が形成される。
すなわち発泡剤5は、被覆するエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂被膜6が硬化しない温度で、加熱発泡される。発泡により形成される発泡中空層7は、勿論、完全中空である必要はなく、細かい気泡の集合体よりなると共に、各気泡を形成する発泡インク成分や、混入した熱硬化性樹脂等をも包含する概念として、把握される。
次に、図1の(5)図に示したように、この製造方法の第5工程では、熱硬化性樹脂被膜6の外表面に、導電材粉8をコーティングすると共に、熱硬化性樹脂被膜6を加熱により硬化させる。
すなわち、上述により形成された発泡中空層7を被覆しているエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂被膜6について、その外表面に導電材粉8がコーティングされる。導電材粉8としては、銅粉,スズ粉,その他の導体粉が使用される。そして、コーティングと共に又はコーティング後すぐに、熱硬化性樹脂被膜6が硬化温度にて加熱硬化される。
【0022】
そして、図1の(6)図に示したように、この製造方法の第6工程では、熱硬化性樹脂被膜6、導電材粉8、および外部露出している銅箔パターン4の残エリアが、導体被膜9にて被覆される。
すなわち、銅箔パターン4のセンターラインエリア中心に形成されると共に導電材粉8がコーティングされた熱硬化性樹脂被膜6、および銅箔パターン4の露出エリア、つまりセンターラインエリア以外の残エリアについて、導体被膜9による被覆が実施される。熱硬化性樹脂被膜6が導電材粉8でコーティングされているので、導体被膜9による被覆は順調に実施される。
導体被膜9としては、半田槽に全体的に浸漬して形成される半田被膜が代表的であるが、その他の金属被膜も考えられる。
なお、この第1例の製造方法において、発泡剤5を使用しない変化例も考えられる。すなわち、塗布後に盛り上がったまま硬化する樹脂を使用し、もって発泡中空層7の代わりとすることも考えられる。
【0023】
図1に示した第1例の製造方法では、上述したように、(1)図〜(6)図に示した第1〜第6工程を辿ることにより、図4の(1)図に示した高伝導化プリント基板1が製造される。
すなわち、絶縁基材2の外表面について、銅箔パターン4、導電材粉8、導体被膜9にて、導体部10が形成されると共に、導体部10の銅箔パターン4と導体被膜9間に、熱硬化性樹脂被膜6と共に発泡中空層7が形成された、中空導体構造の高伝導化プリント基板1が製造される。
製造方法その1については、以上のとおり。
【0024】
《製造方法その2について》
次に、図2を参照して、本発明に係る高伝導化プリント基板1の製造方法その2について、説明する。
なお、製造方法その2について、製造方法その1において前述した所に準じる構成や機能等については、同符号を付し、その説明は省略する。
この製造方法その2では、まず、図2の(1)図に示したように、この製造方法の第1工程では、絶縁基材2の外表面に、発泡剤5が層状にサンドイッチ介装された銅箔3が、貼り付けられる。
すなわち、外側の銅箔3と内側の銅箔3との間に、発泡インク等の発泡剤5が、層状をなして挟まれサンドイッチ状に介装されると共に、内側の銅箔3が絶縁基材2の外表面に貼り付けられる。
【0025】
次に、図2の(2)図に示したように、この製造方法の第2工程では、このように貼り付けられた銅箔3の外側の銅箔3がパターニングされ、もって外側の銅箔パターン4が形成される。
それから、図2の(3)図に示したように、この製造方法の第3工程では、外側の銅箔パターン4が形成されたエリア以外の発泡剤5が、その溶剤による溶解等により除去される。
すなわち、外側の銅箔パターン4で被われたエリアの発泡剤5を除き、その他エリアの発泡剤5が除去される。つまり、内側の銅箔3を被っている発泡剤5は、外側の銅箔パターン4直下のものを除き除去され、もって除去部分について、内側の銅箔3が露出される。
しかる後、図2の(4)図に示したように、この製造方法の第4工程では、このように露出した内側の銅箔3をパターニングすることにより、外側の銅箔パターン4に見合った内側の銅箔パターン4が、形成される。
すなわち、内側の銅箔3をパターニングして形成される内側の銅箔パターン4は、前述により形成されていた外側の銅箔パターン4に見合った、同一パターンよりなる。もって、内側の銅箔パターン4と、サンドイッチ介装された発泡剤5と、外側の銅箔パターン4とにより、3層構造が形成される。
【0026】
それから、図2の(5)図,(6)図に示したように、この製造方法の第5,第6工程では、発泡剤5を加熱により発泡させて発泡中空層7を形成しつつ、外側,内側の銅箔パターン4,4および発泡中空層7について、それぞれ外部露出している外表面が、導体被膜9にて被覆される。
すなわち、この第5,第6工程では、半田被膜等の導体被膜9が形成されつつ、同時併行的に、発泡剤5が加熱により発泡されて、発泡中空層7が形成される。なお導体被膜9の形成は、外側の銅箔パターン4の頂面および側面と、発泡剤5そして発泡中空層7の側面と、内側の銅箔パターン4の側面と、について行われる。
ところで図示例では、図2の(5)図に示したように、発泡剤5を発泡させると共に、1回目の導体被膜9を形成する第5工程の後に、つまり発泡中空層7の形成後に、図2の(6)図の第6工程において、2回目の導体被膜9が形成される。このように、2度にわたり形成することにより、半田被膜等の導体被膜9は重ねられて、より厚くより確実に形成される。
この場合、1回目の導体被膜9例えば半田被膜形成用の半田の融点温度(高温タイプ例えば200℃)より、2回目の導体被膜9例えば半田被膜形成用の半田は、融点温度が低いもの(低温タイプ例えば160℃)が使用される。これにより、2回目に際し1回目が融解する虞がなくなる。
なお、この第2例の製造方法において、発泡剤5の発泡は、図示例のように第5工程ではなく、準備段階の第1工程やそれ以前に、実施しておくようにしてもよい。
【0027】
図2に示した第2例の製造方法では、上述したように、(1)図〜(6)図に示した第1〜第6工程を辿ることにより、図4の(2)図に示した高伝導化プリント基板1が製造される。
すなわち、絶縁基材2の外表面について、外側,内側の銅箔パターン4,4と導体被膜9にて、導体部10が形成されると共に、このような導体部10の銅箔パターン4,4間に、発泡中空層7が形成された、中空導体構造の高伝導化プリント基板1が製造される。
製造方法その2については、以上のとおり。
【0028】
《製造方法その3について》
次に、図3を参照して、本発明に係る高伝導化プリント基板1の製造方法その3について、説明する。
なお、製造方法その3について、製造方法その1や製造方法その2において前述した所に準じる構成や機能等については、同符号を付し、その説明は省略する。
この製造方法その3では、まず、図3の(1)図,(2)図,(3)図に示したように、この製造方法の第1工程では、絶縁基材2の外表面に、発泡剤5が層状にサンドイッチ介装された銅箔3が、貼り付けられる。それから第2工程では、外側の銅箔3をパターニングして、外側の銅箔パターン4が形成され、第3工程では、外側の銅箔パターン4が形成されたエリア以外の発泡剤5が除去される。これらの各工程は、前述した製造方法その2と同一である。
【0029】
それから、図3の(4)図に示したように、この製造方法の第4工程では、前述した製造方法その2とは異なり、発泡剤5を加熱により発泡させ、もって発泡中空層7が形成される。
しかる後、図3の(5)図に示したように、この製造方法の第5工程では、外側の銅箔パターン4、内側の銅箔3、および発泡中空層7について、それぞれ外部露出している外表面が、無電解銅メッキ11により被覆される。
すなわち、外側の銅箔4の頂面および側面と、形成された発泡中空層7と、まだパターニングされていない内側の銅箔3とを対象に、無電解銅メッキ11が実施され、もって、これらの外表面が無電解銅メッキ11にて被覆される。発泡中空層7については、無電解銅メッキ11が形成されやすいように、予め発泡剤5の段階で無電解メッキプライマー剤を混入しておくと良い。
なお無電解銅メッキ11は、電流を流さない化学メッキよりなるが、公知技術につき、その説明は省略する。又、このように実施される無電解銅メッキ11に際し、絶縁基材2に形成されていたスルーホール内についても、同時実施することが考えられる。
そして、図3の(6)図に示したように、この製造方法の第6工程では、無電解銅メッキ11および内側の銅箔3が、パターニングされる。すなわち、公知のパターニング技術により、2層をなす外側の無電解銅メッキ11と内側の銅箔3とが、一緒にパターニングされ、もって、無電解銅メッキパターン12と内側の銅箔パターン4とが、同一パターンで同時形成される。
なお、この第3例の製造方法において、発泡剤5の発泡は、図示例のように第4工程ではなく、外側の銅箔パターン4に無電解銅メッキ11を実施する第5工程において、同時実施するようにしてもよい。更には、第1工程やそれ以前に、実施しておくようにしてもよい。
【0030】
図3に示した第3例の製造方法では、上述したように、(1)図〜(6)図に示した第1〜第6工程を辿ることにより、図4の(3)図に示した高伝導化プリント基板1が製造される。
すなわち、絶縁基材2の外表面について、外側,内側の銅箔パターン4,4と無電解銅メッキパターン12にて、導体部10が形成されると共に、このような導体部10の銅箔パターン4,4間に発泡中空層7が形成された、中空導体構造の高伝導化プリント基板1が製造される。
製造方法その3については、以上のとおり。
【0031】
《高伝導化プリント基板1について》
次に、図4を参照して、製造された高伝導化プリント基板1について、説明する。この高伝導化プリント基板1は、中空導体構造よりなり、絶縁基材2の外表面にパターニングされた銅箔パターン4と、銅箔パターン4を被覆する導体被膜9と、銅箔パターン4と導体被膜9間に形成された発泡中空層7とを、少なくとも有している。
そして、銅箔パターン4と導体被膜9とで、導体部10が形成されており、代表例では、発泡中空層7は発泡剤5の発泡により形成され、導体被膜9は半田被膜よりなる。
【0032】
そして、前述した図1の製造方法その1で製造された第1例の高伝導化プリント基板1は、図4の(1)図に示したように、導体被膜9側の導体部10には、導電材粉8が付帯されており、サンドイッチ介装された発泡中空層7には、熱硬化性樹脂被膜6が付随している。
又、図2の製造方法その2で製造された第2例の高伝導化プリント基板1は、図4の(2)図に示したように、外側,内側の銅箔パターン4,4と導体被膜9とで、導体部10が形成されると共に、このように形成された導体部10の銅箔パターン4,4間に、発泡中空層7が形成されている。
つまり、絶縁基材2の外表面にパターニングされた内側導体部10の銅箔パターン4と、外側導体部10の導体被膜9側の銅箔パターン4との間に、発泡中空層7がサンドイッチ介装されている。
更に、図3の製造方法その3で製造された第3例の高伝導化プリント基板1は、図4の(3)図に示したように、外側,内側の銅箔パターン4,4と無電解銅メッキパターン12とで導体部10が形成されると共に、このように形成された導体部10の銅箔パターン4,4間に、発泡中空層7が形成されている。
つまり、絶縁基材2の外表面にパターニングされた内側導体部10の銅箔パターン4と、外側導体部10の無電解銅メッキパターン12側の銅箔パターン4との間に、発泡中空層7がサンドイッチ介装されている。
【0033】
そして、このように製造される高伝導化プリント基板1は、銅箔パターン4等で形成される導体部10が、例えば平面螺線状をなす巻回形状にパターニングされることにより、コイルとして使用される。又、例えば配線回路状にパターニングされることにより、配線材として使用される。
又、図示例は、絶縁基材2の表面(片面)にのみ、銅箔パターン4等の導体部10が形成された、いわゆる片面基板よりなるが、本発明の高伝導化プリント基板1は、これに限定されるものではなく、絶縁基材2の表裏両面に導体部10が形成された、いわゆる両面基板にも勿論適用可能である。両面基板の表裏の導体部10は、スルーホール等を介して導通一体化されるが、表裏の導体部10で形成されたコイル間が導通一体化されるケースや、表裏の導体部10の導通一体化によりコイルが形成されるケースが、考えられる。
片面基板のコイルとして使用される場合、絶縁基材2について、例えば、コイル形成面の反対面にフェライトコア等の磁心コアが貼り付けられる。
高伝導化プリント基板1については、以上のとおり。
【0034】
《作用等》
本発明の高伝導化プリント基板1、およびその製造方法は、以上説明したように構成されている。そこで、以下のようになる。
(1)図1に示した製造方法その1では、銅箔3のパターニング、発泡剤5の塗布,発泡、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂被膜6による被覆,硬化、銅粉等の導電材粉8のコーティング、半田被膜等の導体被膜9による被覆、等の各工程を組み合わせたことにより、中空導体構造の高伝導化プリント基板1が製造される。
【0035】
(2)図2に示した製造方法その2では、発泡剤5がサンドイッチ介装された銅箔3,3を用いると共に、外側の銅箔3のパターニング、内側の銅箔3のパターニング、発泡剤5の発泡、導体被膜9による被覆、等の各工程を組み合わせたことにより、中空導体構造の高伝導化プリント基板1が製造される。
【0036】
(3)図3に示した製造方法その3では、発泡剤5がサンドイッチ介装された銅箔3,3を用いると共に、外側の銅箔3のパターニング、発泡剤5の発泡、無電解銅メッキ11、無電解銅メッキ11と内側の銅箔3のパターニング、等の各工程を組み合わせたことにより、中空導体構造の高伝導化プリント基板1が製造される。
【0037】
(4)このように、本発明の高伝導化プリント基板1は、銅箔3のパターニング工程を基本として、製造される。露光,現像,エッチング,剥離等の工程を辿る、従来より一般的なパターニング技術を基本として、製造される。
そしてこれに、発泡剤5の塗布,発泡、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂被膜6による被覆、導電材粉8によるコーティング、半田被膜等の導体被膜9による被覆や、無電解銅メッキ11、等の工程を付加することにより、製造される。
このように、この高伝導化プリント基板1は、簡単な工程により、容易に製造可能である。
【0038】
(5)さて、このように製造された高伝導化プリント基板1は、その導体部10が、銅箔パターン4のみならず、半田被膜等の導体被膜9や無電解銅メッキパターン12も加わって構成され、縦横に形成されている(図1の(6)図,図2の(6)図,図3の(6)図や、図4の(1)図,(2)図,(3)図等を参照)。
そこで、導体部10の縦断面積と共に表面積をも、大きくとることが可能となる。この高伝導化プリント基板1は、付加された導体被膜9や無電解銅メッキパターン12により、導体部10は元の銅箔パターン4に比べて頂面及び2つの側面により、その表面積をより大きくすることができる。
つまり、導体部10の横幅が同一の場合、発泡中空層7により導体部10の高さを大きくとることが可能となり、もって、導体断面積と表面積を大きくとることができる。
【0039】
(6)更に、この高伝導化プリント基板1では、絶縁基材2外表面に形成された銅箔パターン4(第2例や第3例では内側の銅箔パターン4)と、導体被膜9や無電解銅メッキパターン12との間に、(第2例や第3例では外側の銅箔パターン4を介し、)発泡中空層7が形成されている(図1の(6)図,図2の(6)図,図3の(6)図や、図4の(1)図,(2)図,(3)図等を参照)。
このように中空導体構造よりなり、導体部10間に、空気や樹脂よりなる発泡中空層7が、形成されている。導電率の低い絶縁層として、又、コイルとして使用された場合は、透磁率の低い磁束不通過層として、発泡中空層7が形成されている。
【0040】
そこで、この高伝導化プリント基板1では、その導体部10について、周波数が高くなるほど顕著化する表皮効果による電流の表面集中が、分散,低減される。もって、前述したように導体断面積が大きいにも拘らず、高周波交流抵抗が抑制,軽減される。
他方、この高伝導化プリント基板1は、前述したように、導体部10の高さを高くとることができる。そこで、導体断面積を大きくとるために、導体部10の横幅を広げることを要しなくなり、もって導体部10間の相互間隔を、適切に広く維持,確保することが可能となる。
もって、周波数が高くなるほど顕著化する近接効果による電流の分布偏在を、分散,低減でき、この面からも、高周波交流抵抗が抑制,軽減される。
【0041】
(7)このように、この高伝導化プリント基板1は、上述した(5)のように、導体断面積と表面積を大きくとることができると共に、上述した(6)のように、表皮効果や近接効果も軽減される。
そこで、導体断面積を大きく取るために、導体部10の横幅を大きく幅広に設定したり(回路幅を広げたり)、表皮効果軽減策として、導体部10をより多数に分岐したり(回路本数を増やしたり)、近接効果軽減策として、導体部10の相互間隔を広げたり(回路間隔を広げたり)することを、要しなくなる。
そこで、この高伝導化プリント基板1は、大型化が回避され小型化が促進されるようになる。
作用等については、以上のとおり。
【符号の説明】
【0042】
1高伝導化プリント基板
2 絶縁基材
3 銅箔
外側の銅箔
内側の銅箔
4 銅箔パターン
外側の銅箔パターン
内側の銅箔パターン
5 発泡剤
6 熱硬化性樹脂被膜
7 発泡中空層
8 導電材粉
9 導体被膜
10 導体部
11 無電解銅メッキ
12 無電解銅メッキパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空導体構造よりなり、絶縁基材の外表面にパターニングされた銅箔パターンと、該銅箔パターンを被覆する導体被膜と、該銅箔パターンと導体被膜間に形成された発泡中空層とを、少なくとも有しており、
該銅箔パターンと導体被膜とで導体部が形成されていること、を特徴とする高伝導化プリント基板。
【請求項2】
請求項1において、該発泡中空層は、発泡剤の発泡により形成され、該導体被膜は、半田被膜よりなること、を特徴とする高伝導化プリント基板。
【請求項3】
請求項2において、該銅箔パターンと該半田被膜で形成される該導体部が、コイルとして使用されること、を特徴とする高伝導化プリント基板。
【請求項4】
まず、絶縁基材の外表面に貼り付けられた銅箔をパターニングして、銅箔パターンを形成し、次に、該銅箔パターンのセンターラインエリアに、発泡剤を塗布した後、該発泡剤を熱硬化性樹脂被膜にて被覆し、
それから、該発泡剤を加熱により発泡させて、発泡中空層を形成してから、該熱硬化性樹脂被膜の外表面に導電材粉をコーティングすると共に、該熱硬化性樹脂被膜を加熱により硬化させてから、
該熱硬化性樹脂被膜、導電材粉、および外部露出している該銅箔パターンの残エリアを、導体被膜にて被覆することにより、
該銅箔パターン、導電材粉、導体被膜にて、導体部が形成されると共に、該銅箔パターンと導体被膜間に、該熱硬化性樹脂被膜と共に該発泡中空層が形成された、中空導体構造の高伝導化プリント基板が製造されること、を特徴とする高伝導化プリント基板の製造方法。
【請求項5】
まず、発泡剤が層状にサンドイッチ介装された銅箔を、絶縁基材の外表面に貼り付け、次に、外側の該銅箔をパターニングして、銅箔パターンを外側に形成し、
それから、外側に該銅箔パターンが形成されたエリア以外の該発泡剤を除去した後、内側の該銅箔をパターニングして、外側の該銅箔パターンに見合った銅箔パターンを、内側に形成してから、
該発泡剤を加熱により発泡させて発泡中空層を形成しつつ、外側,内側の該銅箔パターンおよび該発泡中空層について、それぞれ外部露出している外表面を、導体被膜にて被覆することにより、
外側,内側の該銅箔パターンと該導体被膜にて、導体部が形成されると共に、外側,内側の該銅箔パターン間に該発泡中空層が形成された、中空導体構造の高伝導化プリント基板が製造されること、を特徴とする高伝導化プリント基板の製造方法。
【請求項6】
まず、発泡剤が層状にサンドイッチ介装された銅箔を、絶縁基材の外表面に貼り付け、次に、外側の該銅箔をパターニングして、銅箔パターンを外側に形成し、
それから、外側に該銅箔パターンが形成されたエリア以外の該発泡剤を除去した後、該発泡剤を加熱により発泡させて、発泡中空層を形成してから、
外側の該銅箔パターン、該発泡中空層、および内側の該銅箔について、それぞれ外部露出している外表面を、無電解銅メッキにより被覆してから、該無電解銅メッキおよび内側の該銅箔を、パターニングすることにより、
外側,内側の該銅箔パターンと無電解銅メッキパターンにて、導体部が形成されると共に、外側,内側の該銅箔パターン間に該発泡中空層が形成された、中空導体構造の高伝導化プリント基板が製造されること、を特徴とする高伝導化プリント基板の製造方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−164929(P2012−164929A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26135(P2011−26135)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000187208)昭和飛行機工業株式会社 (72)
【Fターム(参考)】