説明

高周波誘電加熱定着装置及びこれを用いた画像形成装置

【課題】 信頼性が高く、かつ均一定着が可能な高周波誘電加熱定着装置、及びこの定着方法を用いた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】未定着画像が形成された枚葉状の記録紙100を加熱定着する高周波誘電加熱定着装置に関する。記録紙1を搬送する搬送手段2,7,8と、搬送手段の駆動制御を行う駆動制御手段9と、記録紙1の搬送経路に垂直方向に前記被加熱定着物の寸法と略同じ高周波印加領域を、搬送経路に沿って所定寸法の高周波印加領域を形成するために配設された複数の電極3と、電極に極性の異なる高周波電界を印加する高周波発生手段4と、高周波発生手段からの高周波発生を制御する高周波制御手段5とから構成し、記録紙1の全領域が前記電極3で同時に同時間加熱されるものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像定着装置及びこの画像定着装置を用いた画像形成装置に係り、特に高周波誘電加熱定着装置及びこれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の機能を有する画像形成装置は画像情報(記録情報)に基づいて紙、布、プラスチックシート、OHP用シート等の被記録媒体に文字や記号等を含む画像を記録する。
【0003】
このような画像形成装置には種々の方式があるが、そのうち、インクジェット方式、及び電子写真方式を採用した画像形成装置が画像形成速度、カラー化の容易性、及びランニングコストの点で優れており家庭、オフィスなどで広く普及している。
【0004】
はじめに、このような画像形成装置の構成について図5を参照して説明する。画像形成装置は給紙部(I)、画像形成部(II)、定着部(III)、及び排紙部(IV)から構成さ
れている。
【0005】
給紙部(I)では、不図示の給紙トレイから被記録媒体(以下記録紙100と記す)が給紙され、この記録紙100は一対のローラ101により画像形成部(II)に搬送(矢印A方向)される。
【0006】
画像形成部(II)では、記録紙100は駆動ローラ102と従動ローラ103に架け渡された搬送ベルト104により記録紙100が搬送(矢印B方向)されると同時に記録紙100上に未定着の画像が形成され、その後定着部(III)に搬送される。
【0007】
ここで、画像形成方式としてはインクジェット方式の例を示した。ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各インクを吐出する記録ヘッド105A〜105Dが搬送ベルト104の搬送方向に順次配置されている。また、記録ヘッド105A〜105Dにはほぼ記録紙100の幅(紙面垂直方向)に渡って所定の間隔でノズルが形成(ライン型記録ヘッド)されている。従って、搬送ベルト104により記録紙100が定着部(III)に搬送
された場合、記録紙の全領域に所望の未定着画像が形成されている。
【0008】
このようなインクジェット方式の場合、特にカラー画像が形成される場合、記録ヘッド105A〜105Dから吐出されたインク量は多量となり、通常の環境下での急速なインクの乾燥による定着は困難となる。このため、インクが乾燥しない状態(未定着)でインクが排紙部(IV)の排紙トレイに搬送されると、搬送中に記録紙100の裏面にインクが浸透(裏抜け)して画像を劣化させたり、排紙トレイでインクが他の記録紙の裏面に写ったりする(裏写り)などの悪影響を及ぼすこととなる。
【0009】
定着部(III)では、記録紙100は駆動ローラ106と従動ローラ107間に架け渡
された搬送ベルト108により搬送(矢印C方向)されて記録紙100上の画像が定着され、その後排紙部(IV)へと搬送される。
【0010】
ここで、インク加熱定着方式としては各種方式が提案されているが、特許文献1や特許文献2などで提案されている高周波誘電加熱定着方式を好適に用いることができる。ここでは、特許文献2に示される高周波誘電加熱方式の例を示す。
【0011】
上述した高周波誘電加熱定着方式では、被記録媒体であり、被加熱定着物である記録紙100の搬送方向に複数の電極109(図5では4本の例を示している)が配置される。これらの電極109には交互に極性の異なる高周波電圧が高周波発生回路110から印加される。また、高周波発生回路110のON,OFFや電圧制御などを行う目的で制御回路111が設けられる。これら極性の異なる電極109間に高周波電圧が印加され、電極間に発生する電界内を記録紙100が搬送されることとなり、周知の高周波誘電加熱の原理でインク自身、記録紙100中の水分、及び紙自身が加熱される。なお、このような高周波誘電加熱定着では搬送ベルト108の加熱防止が画像均一定着の観点から必要である。このため、搬送ベルト108としては、誘電損失係数の小さいポリプロピレン、ポリエチレン、ポリテトトラフルオロエチレンなどの樹脂が用いられる。また、搬送ベルト108への記録紙100の保持方式としては、エアー吸着方式を好適に採用することができる。また、このような高周波誘電加熱定着では高周波電界の周囲への漏洩防止が必要であり、このためシールド部材112の配置が必要である。
【0012】
排紙部(IV)では、記録紙100は一対のローラ113により不図示の排紙トレイなどに搬送(矢印D方向)される。
【0013】
次に、高周波誘電加熱による定着方法について説明する。特許文献1の技術では、高周波が印加される電極109の記録紙100の搬送方向の寸法(電極ゾーン)は、この記録紙100の搬送方向の寸法より短く設定されており、記録紙100は連続的に搬送されながら高周波により加熱定着される。
【0014】
また、特許文献2の技術では、記録紙100は連続的に搬送され、電極ゾーンと被加熱物との関係をセンサで検出している。そして、この関係に対応して、均一加熱のために被加熱物の搬送速度を制御するようにしている。すなわち、図6(a)で示すように、センサ114で記録紙100の先端位置を検出し、電極ゾーンWeに記録紙100の先端が入った場合、及び図6(c)で示すように電極ゾーンWeに記録紙100の一部が残った場合は搬送ベルト108の搬送速度を遅くし、図6(b)で示すように電極ゾーンWeに記録紙100の寸法Wpが全部入った場合は搬送ベルト108の搬送速度を一定の速度としている。
【特許文献1】特公昭49−038171
【特許文献2】特開平08−096951
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、上述した高周波誘電加熱定着方法では、記録紙が先端から後端へと部分的に加熱定着されることとなる。このような定着方法はインク、記録紙内の水分、及び記録紙自身の加熱によって達成される。従って、記録紙に部分的に定着が行われる場合には、記録紙の定着部と未定着部との間に機械的な応力が発生し、記録紙が変形されてしまうこととなる。このような記録紙の変形が起こると、極端な場合は、記録紙が搬送ベルトから外れてジャムの原因となってしまう場合がある。また、ジャムまで至らない場合でも、搬送ベルトと記録紙間に浮きが発生する場合がある。この場合、電極と記録紙間の距離が変化するために記録紙を横切る電界強度が変化し、結果として不均一定着の原因となるという不具合がある。
【0016】
また、画像形成方式が電子写真方式の場合の定着では、トナー、記録紙内の水分、及び記録紙自身の加熱が行われるが、部分的に定着が行われる場合には、インクジェット方式の場合と同様にジャムや不均一定着が起こることとなる。
【0017】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、信頼性が高く、かつ均一定着が可能
な高周波誘電加熱定着方法、及びこの定着方法を用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1の発明は、前記被加熱定着物を搬送する搬送手段と、前記搬送手段の駆動制御を行う駆動制御手段と、前記搬送手段の搬送経路に垂直方向に前記被加熱定着物の寸法と略同じ高周波印加領域を、前記搬送経路に沿って所定寸法の高周波印加領域を形成するために配設された複数の電極と、前記電極に極性の異なる高周波電界を印加する高周波発生手段と、前記高周波発生手段からの高周波発生を制御する高周波制御手段とを備え、前記被加熱物の全領域が前記電極により同時に同時間加熱されることを特徴とする。
【0019】
請求項2の発明は、請求項1の高周波誘電加熱定着装置において、前記高周波印加領域を前記被加熱物の搬送経路方向の寸法と略一致させ、前記被加熱定着物が前記搬送手段により前記高周波印加領域に到達した時点で前記被加熱定着物の搬送を停止して所定時間の加熱を行い、その後再度被加熱定着物を搬送することを特徴とする。
【0020】
請求項3の発明は、請求項1の高周波誘電加熱定着装置において、前記高周波印加領域を前記被加熱物の搬送経路方向の寸法の略2倍と一致させ、前記被加熱定着物が前記高周波印加領域を連続的に搬送される間に加熱定着することを特徴とする。
【0021】
請求項4の発明は、請求項1の高周波誘電加熱定着装置において、前記高周波印加領域を前記被加熱物の搬送経路方向の寸法と略一致させ、前記搬送手段は前記被加熱定着物を前記電極の上下を周回するように搬送し、前記被加熱定着物が前記高周波印加領域を連続的に搬送される間に加熱定着することを特徴とする。
【0022】
請求項5の発明は、高周波誘電加熱定着装置において、請求項1に記載の高周波誘電加熱定着装置において、前記複数の電極と、前記被加熱定着物を前記電極の上下を周回するように搬送する搬送手段との間隔を同じとすることを特徴とする。
【0023】
請求項6の発明は、高周波誘電加熱定着装置において、請求項3ないし5のいずれかの高周波誘電加熱定着装置において、連続して搬送される前記被加熱定着物間の距離を前記被加熱物の搬送経路方向の寸法と略一致させることを特徴とする。
【0024】
請求項7の発明は、高周波誘電加熱定着装置において、請求項1の高周波誘電加熱定着装置において、前記高周波印加領域を前記被加熱物の搬送経路方向の寸法の略2倍と一致させ、前記高圧制御手段は前記複数の電極を個別に制御可能とし、前記被加熱定着物の搬送に伴って前記高周波印加領域の前記被加熱定着物部分の電極に高周波電界を印加し、前記被加熱定着物が前記高周波印加領域を連続的に搬送される間に加熱定着することを特徴とする。
【0025】
請求項8の発明は、画像形成装置において、未定着画像を形成する画像形成手段と、前記未定着画像を定着させる定着手段とを備えた画像形成装置において、前記定着手段として、請求項1ないし7のいずれかの記載の高周波誘電加熱定着装置を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る高周波誘電加熱定着装置、及びこの高周波誘電加熱定着装置を有する画像形成によれば、被加熱定着物の全域が同時に同一時間加熱定着される構成としたため、加熱定着時の被加熱定着物の変形を防止することが可能となり、信頼性が高く、かつ均一定着が可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下本発明を実施するための最良の形態としての実施例を図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0028】
まず、本発明に係る高周波誘電加熱定着装置の第一の実施例について説明する。高周波誘電加熱定着装置は、被加熱定着物である記録紙1の搬送方向に4本の電極3が配置され、電極3には交互に極性の異なる高周波電圧が高周波発生回路4から印加される。また、高周波発生回路4のON,OFFや電圧制御などを行うため高周波制御回路5が設けられている。これら極性の異なる電極3間に高周波電圧が印加され、電極間に発生する電界内を記録紙1が搬送ベルト2によって搬送(矢印C方向)されることにより、周知の高周波
誘電加熱の原理でインク自身、記録紙1中の水分、及び紙自身が加熱される。
【0029】
図1(a)は図5で説明した定着装置の記録紙寸法Wpと電極ゾーンWeの間係、及び定着開始時の記録紙1の位置を示している。
【0030】
。搬送ベルト2の搬送方向にはの電極3(図1では4本の例を示している)が配置される。これらの電極3には交互に極性の異なる高周波電圧が高周波発生回路4から印加される。
【0031】
これらの電極3の高周波印加領域である電極ゾーンWeは記録紙1の寸法Wpと略同じ寸法に設定されている。また、これら電極の幅(紙面垂直方向)は記録紙1の幅より少し大きめに設定されている。また、高周波発生回路4のON,OFFや電圧制御などを行う目的で制御回路5が設けられている。また、制御回路5のための記録紙1の先端検知を行うセンサ6が設けられる。また、搬送ベルトは駆動ローラ7、従動ローラ8間に架け渡せられており、駆動ローラ7には搬送ベルト2の駆動制御を行う駆動制御回路9が設けられている。
【0032】
図1(b)はセンサ6の出力を、図1(c)は高周波発生回路4の出力を、図1(d)は駆動制御回路9の出力を各々示している。
【0033】
記録紙1の先端検知からt1時間後に、記録紙1の寸法Wpがちょうど電極ゾーンWeの寸法と一致する状態(図1(a))となる。この時、搬送ベルト2の搬送をTh時間停止する。また、この時刻t1のタイミングで制御回路5は高周波発生回路4を介して電極3へ高周波電圧を印加してTh時間の間加熱定着する。この加熱定着後には高周波発生回路4の出力がOFFされると同時に、搬送ベルト2の搬送が開始される。この後、センサ6の出力に基づき、次の記録紙の加熱定着を行う。
【0034】
以上述べた定着方法では、記録紙1の寸法Wpを電極ゾーンWeと略一致させ、記録紙1の搬送を停止した状態で所定時間の加熱定着が行われる。
【0035】
このため、記録紙1の先端から後端の全領域が同一時間の間、同時に加熱定着されるため記録紙1の加熱定着時の変形を防止することができる。
【実施例2】
【0036】
次に、本発明に係る高周波誘電加熱定着装置の第二の実施例について説明する。
【0037】
ここで、図2(a)は記録紙寸法Wpと電極ゾーンWeの間係、及び加熱定着開始、終了時の記録紙の状態を示している。また、図2(b)は記録紙寸法Wp、電極ゾーンWe、及び記録紙間隔の間係、及び次の加熱定着開始時の記録紙の状態を示している。また、
図2(c)はセンサ6の出力を、図2(d)は高周波発生回路4の出力を各々示している。
【0038】
記録紙1は駆動制御回路9により搬送ベルト2上を連続的に搬送される。ここで、電極ゾーンWeは記録紙1の寸法Wpの略2倍に設定されており、記録紙1の先端検知からt1時間後に、記録紙1はその寸法Wpがちょうど電極ゾーンWeの寸法Weの前半半分領域と一致する状態(図2(a)の記録紙が実線の場合)となる。この時刻t1で、搬送ベルト2の搬送は継続したままで、制御回路5は高周波発生回路4を介して電極3へ高周波電圧を時刻t2までTh時間の間印加して加熱定着する。加熱定着終了時の時間t2では、記録紙1はちょうど電極ゾーンWeの後半半分領域(図2(a)の記録紙が破線の場合)に位置し、記録紙1はその先端から後端が同時に、同一時間だけ加熱定着される構成となっている。
【0039】
この時刻t2で、搬送ベルト2の搬送は継続したままで、高周波発生回路4の出力がOFFされ、この後、時刻t3で再びONされ次の加熱定着が行われる。この時、記録紙1間の距離を記録紙1の寸法Wpと略同じとすることにより、時刻t3では定着済みの記録紙1は排紙部(IV)へと排出され(図2(b)の記録紙が実線の場合)、次の記録紙1が、その寸法Wpがちょうど電極ゾーンWeの寸法の前半部分領域と一致する状態(図2(b)の記録紙が破線の場合)となっている。このため、以上説明した工程を繰り返すことにより次の記録紙の加熱定着を行うことができる。
【0040】
以上述べた定着方法では、電極ゾーンの寸法を記録紙寸法の2倍と略一致させ、記録紙間距離を記録紙寸法と略一致する状態で記録紙を連続的に搬送しながら加熱定着が行われる。
【0041】
このため、記録紙の先端から後端の全領域が同一時間の間、同時に加熱定着され、記録紙1の変形を防止することができると共に加熱定着速度を速くすることができる。
【実施例3】
【0042】
次に、本発明に係る高周波誘電加熱定着装置の第三の実施例について説明する。ここで、図3(a)は記録紙寸法Wpと電極ゾーンWeの間係、及び加熱定着開始、終了時の記録紙の状態を示している。また、図3(b)は次の加熱定着開始時の記録紙の状態を示している。また、図3(c)はセンサ6の出力を、図3(d)は高周波発生回路4の出力を各々示している。
【0043】
記録紙1は駆動制御回路9により搬送ベルト2上を連続的に搬送される。ここで、電極ゾーンWeは記録紙1の寸法Wpと略同じ寸法に設定されている。記録紙1の先端検知からt1時間後には記録紙1の寸法Wpがちょうど電極ゾーンWe領域と一致する状態(図3(a)の記録紙が実線の場合)となる。この時、搬送ベルト2の搬送は継続したままで、制御回路5は高周波発生回路4を介して電極3へ高周波電界を時刻t2までTh時間の間印加して加熱定着する。ここで、搬送ベルト2は前記被加熱定着物を前記電極の上下を周回するように搬送している。従って、均一加熱の点から複数の電極と被加熱定着物を搬送する搬送手段との間隔を同じにする必要がある。
加熱定着終了時の時刻t2では、記録紙1は搬送ベルト2に吸着された状態で、電極ゾーンの反対側(図3(a)の記録紙が破線の場合)に位置し、記録紙1はその先端から後端が同時に、同一時間だけ加熱され加熱終了する構成となっている。
【0044】
この加熱定着後t2で、搬送ベルト2の搬送は継続したままで、高周波発生回路4の出力がOFFされ、この後時間t3で再びONされ次の定着が行われる。この時、記録紙1間の距離を記録紙1の寸法Wpと略同じとすることにより、時刻t3では定着済みの記録
紙1は排紙部(IV)へと排出され(図3(b)の記録紙が実線の場合)、次の記録紙1が、その寸法Wpがちょうど電極ゾーンWeの寸法の領域と一致する状態(図3(b)の記録紙が破線の場合)となっている。このため、以上説明した工程を繰り返すことにより次の記録紙の加熱定着を行うことができる。なお、記録紙1を排紙部(IV)へと排出するためには不図示の周知の機構により、記録紙1を反転させることができる。
【0045】
以上述べた定着方法では、電極ゾーンの寸法を記録紙寸法と略一致させ、記録紙間距離を記録紙寸法と略一致させ、記録紙を記録紙搬送方向に配置された電極の上下を通過させながら連続搬送しながら加熱定着が行われる。
【0046】
このため、記録紙の先端から後端の全領域が同一時間の間同時に加熱定着され記録紙1の変形を防止することができる。また、加熱定着速度を速くすることができると同時に装置の小型化が可能となる。
【実施例4】
【0047】
次に、本発明に係る高周波誘電加熱定着装置の第三の実施形態について説明する。
【0048】
ここで、図4(a)は記録紙寸法Wpと電極ゾーンWeの間係、及び加熱定着開始時の記録紙の状態を示している。また、図4(b)は加熱定着実行時の記録紙の状態を、図4(c)加熱定着終了時の記録紙の状態を各々示している。
【0049】
記録紙1は駆動制御回路9により搬送ベルト2上を連続的に搬送される。ここで、電極ゾーンWeは記録紙1の寸法Wpの略2倍に設定されている。記録紙1の先端検知から所定時間後に、記録紙1はその寸法Wpがちょうど電極ゾーンWe寸法の前半半分領域と一致する状態(図4(a)の記録紙が実線の場合)となる。この時刻で、搬送ベルト2の搬送は継続したままで、制御回路5は高周波発生回路4を介して記録紙1に実効的に加熱定着可能な電極3を選択し高周波電圧を印加開始する。
【0050】
また、記録紙1の搬送に伴い、この加熱定着可能な電極3の位置も変化するため、記録紙1の位置に応じて(図4(b)の場合)電極3を新たに選択する。このようにして加熱定着が実行され、加熱定着が終了される直前では(図4(b)の記録紙が実線の場合)排紙部(IV)に近い電極3が選択されているが、次の記録紙をほぼ図4(a)と同等の位置に設定する(図4(b)の記録紙が実線の場合)ことができる。このため、以上説明した工程を繰り返すことにより次の記録紙の加熱定着を行うことができる。
【0051】
以上述べた定着装置では、電極ゾーンの寸法を記録紙寸法の2倍と略一致させ、記録紙を連続的搬送しながら、記録紙間搬送に伴って記録紙加熱定着用の電極群を選択するように制御して加熱定着が行われる。
このため、記録紙の先端から後端の全領域が同一時間の間同時に加熱定着され記録紙の変形を防止することができる。また、記録紙間の距離を短く設定できるため、加熱定着速度を更に速くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る高周波誘電加熱定着装置の第一の実施例を示す図であり、(a)はその概略構成をブロック図、(b)はセンサの出力を示すタイミングチャート、図1(c)は高周波発生回路の出力を示すタイミングチャート、図1(d)は駆動制御回路の出力を示すタイミングチャートである。
【図2】本発明に係る高周波誘電加熱定着装置の第二の実施例を示す図であり、(a)は記録紙寸法と電極ゾーンの間係、及び加熱定着開始、終了時の記録紙の状態を示すブロック図、(b)は記録紙寸法、電極ゾーン、及び記録紙間隔の間係、及び次の加熱定着開始時の記録紙の状態を示すブロック図、(c)はセンサの出力を示すタイミングチャート、(d)は高周波発生回路の出力を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明に係る高周波誘電加熱定着装置の第三の実施例を示す図であり、(a)は記録紙寸法と電極ゾーンの間係、及び加熱定着開始、終了時の記録紙の状態を示すブロック図、(b)は次の加熱定着開始時の記録紙の状態を示すブロック図、(c)はセンサの出力を示すタイミングチャート、(d)は高周波発生回路の出力を示すタイミングチャートである。
【図4】本発明に係る高周波誘電加熱定着装置の第4の実施例を示す図であり、(a)は記録紙寸法と電極ゾーンの間係、及び加熱定着開始時の記録紙の状態、(b)は加熱定着実行時の記録紙の状態を、(c)は加熱定着終了時の記録紙の状態をそれぞれ示すブロック図である
【図5】従来の画像形成装置を示す概略構成を示すブロック図である。
【図6】(a)、(b)、(c)は図5に示した画像形成装置の作動を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
【0053】
1 記録紙
2 搬送ベルト
3 電極
4 高周波発生回路
5 制御回路
6 センサ
7 駆動ローラ
8 従動ローラ
9 駆動制御回路
100 記録紙
101 ローラ
102 駆動ローラ
103 従動ローラ
104 搬送ベルト
105A〜105D 記録ヘッド
106 駆動ローラ
107 従動ローラ
108 搬送ベルト
109 電極
110 高周波発生回路
111 制御回路
112 シールド部材
113 ローラ
114 センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱定着物を搬送する搬送手段と、前記搬送手段の駆動制御を行う駆動制御手段と、前記搬送手段の搬送経路に垂直方向に前記被加熱定着物と略同じ寸法で、前記搬送経路に沿って所定寸法の高周波印加領域を形成するために配設された複数の電極と、前記電極に極性の異なる高周波電界を印加する高周波発生手段と、前記高周波発生手段からの高周波発生を制御する高周波制御手段とを備え、前記被加熱定着物の全領域が前記電極により同時に同時間加熱されることを特徴とする高周波誘電加熱定着装置。
【請求項2】
請求項1の高周波誘電加熱定着装置において、前記高周波印加領域を前記被加熱物の前記搬送経路方向寸法と略一致させ、前記被加熱定着物が前記搬送手段により前記高周波印加領域を覆った時点で前記被加熱定着物の搬送を停止して所定時間の加熱を行い、その後再度被加熱定着物を搬送することを特徴とする高周波誘電加熱定着装置。
【請求項3】
請求項1の高周波誘電加熱定着装置において、前記高周波印加領域を前記被加熱物の前記搬送経路方向の寸法の略2倍と一致させ、前記被加熱定着物が前記高周波印加領域を連続的に搬送される間に加熱定着することを特徴とする高周波誘電加熱定着装置。
【請求項4】
請求項1の高周波誘電加熱定着装置において、前記高周波印加領域を前記被加熱物の前記搬送経路方向の寸法と略一致させ、前記搬送手段は前記被加熱定着物を前記電極の上下を周回するように搬送し、前記被加熱定着物が前記高周波印加領域を連続的に搬送される間に加熱定着することを特徴とする高周波誘電加熱定着装置。
【請求項5】
請求項4に記載の高周波誘電加熱定着装置において、前記複数の電極と、前記被加熱定着物を前記電極の上下を周回するように搬送する搬送手段との間隔を同じとすることを特徴とする高周波誘電加熱定着装置。
【請求項6】
請求項3ないし5のいずれかの高周波誘電加熱定着装置において、連続して搬送される前記被加熱定着物間の距離を前記被加熱物の前記搬送経路方向の寸法と略一致させることを特徴とする高周波誘電加熱定着装置。
【請求項7】
請求項1の高周波誘電加熱定着装置において、前記高周波印加領域を前記被加熱物の前記搬送経路方向の寸法の略2倍と一致させ、前記高圧制御手段は前記複数の電極を個別に制御可能とし、前記被加熱定着物の搬送に伴って前記高周波印加領域の前記被加熱定着物部分の電極に高周波電界を印加し、前記被加熱定着物が前記高周波印加領域を連続的に搬送される間に加熱定着することを特徴とする高周波誘電加熱定着装置。
【請求項8】
未定着画像を形成する画像形成手段と、前記未定着画像を定着させる定着手段とを備えた画像形成装置において、前記定着手段として、請求項1ないし7のいずれかの高周波誘電加熱定着装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−10889(P2006−10889A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185788(P2004−185788)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】