説明

高周波電力増幅回路

【課題】 出力レベルを検出して出力電力のフィードバック制御を行なう無線通信システムにおいて、出力レベルの低い領域における出力電力検出回路の検出感度を上げ、高精度で出力電力をフィードバック制御することができる高周波電力増幅回路を提供する。
【解決手段】 高周波の入力信号を増幅する電力増幅回路(210)の出力電力の検出を行なう出力電力検出回路(220)を、電力増幅回路から取り出された交流信号をそれぞれ検波可能な前段と後段の2つの検波回路(221,222)で構成する。また、電力増幅回路の出力線の途中に設けられたカプラと前段の検波回路との間に設けられた第1入力容量素子(Ci1)と、前記カプラと後段の検波回路との間に設けられた第2入力容量素子(Ci2)とを設け、第1入力容量素子は第2入力容量素子よりも容量値が大きくなるように設定したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の無線通信装置に使用され高周波の送信信号を増幅して出力する高周波電力増幅回路に適用して有効な技術に関し、特に出力電力のフィードバック制御に必要な出力レベルの検出を行なう出力電力検出回路を備えた高周波電力増幅回路に利用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話機等の無線通信装置(移動体通信装置)における送信側出力部には、変調後の信号を増幅する高周波電力増幅回路が組み込まれている。そして、ベースバンド回路もしくはマイクロプロセッサ等の制御回路から要求される送信レベルに応じて高周波電力増幅回路の出力電力を制御するため、高周波電力増幅回路の出力レベルを検出して帰還をかけることが行なわれている。その出力レベルの検出は、従来は一般に、カプラやダイオード検波回路などを使用して行なっており、検波回路は高周波電力増幅回路とは別個の半導体集積回路として構成されることが多かった。そのため、従来の高周波電力増幅回路の出力電力検出方式は、高周波電力増幅回路や検波回路を搭載した電子部品としてのモジュールの小型化が困難であった。
【0003】
さらに、近年の携帯電話機においては、搬送波の位相を送信データに応じてシフトするGMSK(Gaussian Minimum Shift Keying )と呼ばれる位相変調方式で行ない880〜915MHz帯の周波数を使用するGSM(Global System for Mobile Communication)と呼ばれる通信方式の他に例えば1710〜1785MHz帯の周波数を使用するDCS(Digital Cellular System)のような通信方式の信号を扱えるデュアルバンド方式の携帯電話機が提案されている。かかる携帯電話機に使用される高周波電力増幅回路では、出力パワーアンプも各バンドに応じて設けられるため、その出力レベルを検出するカプラやダイオード検波回路も各バンドに応じてそれぞれ必要になるので、一層小型化が困難になる。
【0004】
そこで、本出願人は、高周波の送信信号を増幅する電力増幅用トランジスタの入力信号を受け電力増幅用トランジスタに流れる電流に比例した電流を流す出力検出用トランジスタおよび該トランジスタの電流を転写するカレントミラー回路を設け、カレントミラー回路の転写先の電流を電圧に変換して出力レベルの検出信号とし、該検出信号とベースバンド回路から供給される出力レベル指示信号とを比較して入力電位差に応じた出力制御電圧Vapcを生成して電力増幅用トランジスタのバイアスを制御し、出力レベルの制御を行なう電流検出方式の無線通信システムに関する発明をなした。
【特許文献1】特開2004−140518号
【特許文献2】特開2001−016116号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者等は、本出願人が開発した電流検出方式の高周波電力増幅回路における出力レベル指示信号Vrampと出力電力Poutとの関係を検討した。その結果、出力レベルの高い領域における制御感度が最適になるように感度を設定すると出力レベルの低い領域における制御感度が低くて精度が劣化する。また、出力レベルの低い領域における制御感度が最適になるように感度を設定すると出力レベルの高い領域における制御感度が高すぎて出力レベルが高い領域で検波回路の出力が飽和してしまい所望のパワー制御が行なえなくなることが明らかになった。
【0006】
そこで、電流検出回路の後段に、n乗根回路もしくは対数変換回路を設けることにより上記課題を解決した発明をなし出願した(特許文献1)。また、電流検出方式の検出回路と同一の構成を有する検出回路に、カプラから取り出された信号を入れて出力電力を検出する方式を検討した。その結果、比較的良好な検波出力が得られることが分かった。
【0007】
しかしながら、近年、GSM系の携帯電話機においては、最大出力電力が30〜35dBmと、従来の最大出力電力である25〜30dBmに比較して上昇しており、例えば5dBmといった低出力から35dBmといった高出力まで検出できるように検波回路を構成すると、検出回路の後段にn乗根回路等を入れたとしても低出力レベルの領域における検出感度が低く、十分な検出電圧が得られないため、所望のパワー制御が行なえない。また、パワーの低い領域におけるパワー制御ループの特性にばらつきが生じるという課題があることが明らかになった。
【0008】
一方、カプラからの信号を検波する低感度の検波回路と高感度の検波回路を並列に設けて2つの検波回路の検波出力を合成した信号を検出検波出力とするようにした発明も提案されている(例えば特許文献2)。しかしながら、このように低感度の検波回路と高感度の検波回路を並列に設けたものにおいては、2つの検波回路の出力の切り替わり点で段差や傾きの急激な変化が生じて滑らかな出力レベルの制御が行なえなくなり、送信スペクトラムが劣化するという課題がある。
【0009】
本発明の目的は、出力レベルを検出して出力電力のフィードバック制御を行なう無線通信装置において、出力レベルの低い領域における出力電力検出回路の検出感度を上げ、高精度で出力電力をフィードバック制御することができる高周波電力増幅回路を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、検波出力に段差や傾きの急激な変化が生じるのを防止するとともに、出力電力検出回路のダイナミックレンジを広げて出力レベルの低い領域から高い領域まで比較的滑らかな出力レベル制御を行なうことができる高周波電力増幅回路を提供することにある。
【0011】
この発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴については、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を説明すれば、下記のとおりである。
【0013】
すなわち、高周波の入力信号を増幅する電力増幅回路の後段に設けられ出力電力のフィードバック制御に必要な出力レベルの検出を行なう出力電力検出回路に、電力増幅回路から取り出された交流信号をそれぞれ検波可能な前段2つの検波回路を設ける。また、電力増幅回路の出力線の途中に設けられたカプラと前段の検波回路との間に設けられた第1入力容量素子と、前記カプラと後段の第2検波回路との間に設けられた第2入力容量素子とを設け、第1入力容量素子は第2入力容量素子よりも容量値が大きくなるように設定したものである。さらに、2つの検波回路のうち前段の検波回路の検波用トランジスタは後段の検波回路の検波用トランジスタよりもサイズが小さくなるように設定した。
【0014】
上記した手段によれば、パワーの低い領域で出力電力を検波する際には前段の検波回路に第1入力容量素子を介して交流信号を充分に入力させることができる一方、出力が充分に高くなると第2入力容量素子を介して交流信号が後段の検波回路に入力されるようになる。そのため、パワーの低い領域での出力電力検出回路の感度を高め、パワーの高い領域では出力電力検出回路全体の感度が高くなり過ぎるのを回避することができ、それによって出力電力検出回路のダイナミックレンジを広げ、制御範囲全体に亘って最適な出力レベルの検出信号を出力させることができるようになる。また、2つの検波回路の間に2乗根回路を設け、前段の検波回路の出力を2乗根した電圧を後段の検波回路のバイアス電圧として与える。これにより、検出出力の切り替わりが滑らかになる。
【0015】
ここで、前記第1入力容量素子と第2入力容量素子の容量比の最適な範囲は20:1〜5:1、前段の検波回路の検波用トランジスタと後段の検波回路の検波用トランジスタのサイズ比の最適な範囲は1:1.5〜1:4である。入力容量の比とトランジスタのサイズ比がこのような範囲に設定されることにより、出力電力検出回路から最適な出力レベルの検出信号が得られる。
【発明の効果】
【0016】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0017】
すなわち、本発明に従うと、出力レベルを検出して出力電力のフィードバック制御を行なう無線通信装置において、出力レベルの低い領域における出力電力検出回路の検出感度を上げ、高精度で出力電力をフィードバック制御することができる高周波電力増幅回路を実現することができる。
【0018】
また、本発明に従うと、検波出力に段差や傾きの急激な変化が生じるのを防止するとともに、出力電力検出回路のダイナミックレンジを広げて出力レベルの低い領域から高い領域まで比較的滑らかな出力レベル制御を行なうことができる高周波電力増幅回路を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る高周波電力増幅回路の実施例の概略構成を示したものである。
【0021】
この実施例のパワーモジュール200は、入力高周波信号Pinを増幅する増幅用FETを含む高周波電力増幅器210と、該高周波電力増幅器210の出力電力を検出する出力電力検出回路220と、該出力電力検出回路220の検出出力Vdetと図示しないベースバンド回路からなどから供給される出力レベルを指示する信号Vrampとの電位差に応じたパワー制御信号Vapcを供給する誤差増幅回路(以下、誤差アンプ)230とからなる。
【0022】
上記出力電力検出回路220は、高周波電力増幅器210の出力線の途中に設けられたカプラ240により取り出された交流信号を入力とする第1検波回路221と、該第1検波回路221の出力の2乗根をとる2乗根回路222と、2乗根回路222の出力をバイアス電圧としカプラ240からの交流信号を増幅する第2検波回路223などを備える。
【0023】
上記第1検波回路221にはカプラ240により取り出された交流信号が容量素子Ci1を介して入力され、上記第2検波回路223には同じくカプラ240により取り出された交流信号が容量素子Ci2を介して入力される。容量素子Ci1にはCi2よりも大きな容量値(約10倍程度)を有する素子が使用される。Ci1をCi2よりも大きくすることにより、第1検波回路221のパワーの低い領域での検波感度を高めることができる。容量素子Ci1,Ci2は、この実施例ではオンチップの素子とされているが、外付け素子であっても良い。
【0024】
図2には、出力電力検出回路220の具体的な回路例が示されている。第1検波回路221は、図1に示されているカプラ240に一方の端子が接続された容量Ci1と、該容量Ci1の他方の端子がゲートに接続された検波用のNチャネルMOSFET(Metal-Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)Q1、該MOSFET Q1と直列に接続されたPチャネルMOSFET Q2、Q1のドレイン端子と接地点との間に接続された容量C2を有する。
【0025】
さらに、第1検波回路221は、外部から供給される定電流Iref1を電圧に変換し上記検波用MOSFET Q1の動作点を与えるバイアス電圧を生成するダイオード接続のMOSFET Q3と、Q3のゲート端子と接地点との間に接続された容量C1を有する。MOSFET Q3により生成されたバイアス電圧Vg1は抵抗R1を介して検波用MOSFET Q1のゲート端子に印加される。この抵抗R1と容量C1とによりロウパスフィルタが構成され、容量Ci1を介して入力される交流信号によってバイアス電圧が変動しないようにされる。
【0026】
本実施例では、第1検波回路221の検波用MOSFET Q1の上記ゲートバイアス電圧Vg1の値として、該MOSFET Q1をB級増幅動作させることができるように、Q1のしきい値電圧に近い電圧値が設定されている。これにより、MOSFET Q1には、容量Ci1を介して入力される交流信号に比例しそれを半波整流したような電流が流され、Q1のドレイン電流I1は入力交流信号の振幅に比例した直流成分を含むようにされる。この電流I1がMOSFET Q2に流され、さらにQ2とカレントミラー接続された2乗根回路222内のMOSFET Q20に流され、2乗根回路222の最終段のMOSFET Q30からI1の2乗根に相当する電流I2(=√I1)が出力され、後段の第2検波回路223へ入力される。
【0027】
第2検波回路223は、入力容量と検波用MOSトランジスタのサイズが異なるのみで上記第1検波回路221と同様の構成を有する。すなわち、図1のカプラ240に一方の端子が接続された容量Ci2と、該容量Ci2の他方の端子がゲートに接続された検波用のNチャネルMOSFET Q31、該MOSFET Q31と直列に接続されたPチャネルMOSFET Q32、Q31のドレイン端子と接地点との間に接続された容量C4を有する。
【0028】
また、第2検波回路223は、前段の2乗根回路222の出力MOSFET Q30から供給される定電流I2を電圧に変換し上記検波用MOSFET Q31の動作点を与えるバイアス電圧を生成するダイオード接続のMOSFET Q33と、Q33のゲート端子と接地点との間に接続された容量C3を有する。MOSFET Q33により生成されたバイアス電圧Vg2は抵抗R2を介して検波用MOSFET Q31のゲート端子に印加される。
【0029】
さらに、第2検波回路223は、検波用MOSFET Q31のドレイン電流I3が流されるPチャネルMOSFET Q32とカレントミラー接続されたMOSFET Q34、該MOSFET Q34と直列に接続された電流−電圧変換用MOSFET Q35を有し、Q35により電流I3を電圧に変換して出力検出電圧Vdetとして後段の誤差アンプ230へ出力される。
【0030】
2乗根回路222は、上記MOSFET Q20と直列に接続されたQ21、外部からの定電流Iref2が流されるQ11、Q11とカレントミラー接続されたQ12、Q12と直列に接続されたQ13、Q13とカレントミラー接続されたQ16,Q19,Q22を備え、Q19のドレイン端子がQ21のドレイン端子に接続されている。また、Q16と直列に接続されたQ17,Q18、Q18とカレントミラー接続されたQ15、Q15と直列に接続されたQ14を備え、Q14のゲート端子にQ16のドレイン電圧が印加され、Q17のドレイン電圧がQ21のゲート端子に印加されている。
【0031】
さらに、2乗根回路222は、上記Q20と同様に第1検波回路221のQ2とカレントミラー接続されたQ24、Q24と直列に接続されたQ25、Q25とカレントミラー接続されたQ26、定電流Iref2が流される前記Q11とカレントミラー接続されたQ23を備え、Q23のドレイン端子は前記Q26のドレイン端子に結合されている。そして、Q23,Q26の共通ドレインが、出力用MOSFET Q30とカレントミラー接続されているQ27に接続され、Q27のドレイン電圧が印加されるQ29はそのゲート端子とドレイン端子が結合されてダイオードとして動作するようにされている。
【0032】
本実施例の出力電力検出回路においては、上記第1検波回路221の入力容量Ci1と第2検波回路223の入力容量Ci2は、Ci1>Ci2とされる一方、検波用MOSFET Q1,Q31のサイズはQ1<Q31とされている。第2検波回路223の入力容量Ci2を小さくしたことにより、出力の変化が検波用MOSFET Q31にゲート端子に充分に伝達されなくなるが、その分Q31のサイズを大きくしたことにより、Q31のドレイン電流の変化が補償される。
【0033】
上記第1検波回路221の入力容量Ci1と第2検波回路223の入力容量Ci2の容量比は、20:1〜5:1程度が望ましい。具体的な容量値としては、使用するカプラの特性にもよるがCi1は10pF程度、Ci2は0.5〜2pF程度が望ましい。なお、この容量値は、カプラとして、検波感度dVdet/dVoutが0.1V/V、dVdet/dPoutが5mV/dBのものを用いた場合のものである。また、Q1とQ31のサイズ比は、1:1.5〜1:4程度が望ましい。具体的には、Q1のゲート幅Wgを100μmとした場合、Q31のゲート幅Wgの望ましい範囲は、150〜400μmさらに望ましい範囲は200〜300μmである。
【0034】
図3には、本実施例の出力電力検出回路の出力特性をシミュレーションによって求めた結果を示す。図3において、◆印は出力電力Poutを−45dBmから35dBmまで変化させたときの第1検波回路221の出力電圧をプロットしたもの、△印は出力電力Poutを−45dBmから35dBmまで変化させたときの本実施例の出力電力回路の出力である第2検波回路223の出力電圧をプロットしたものである。第2検波回路223の単独の特性を分かりやすくするため、第2検波回路223に2乗根回路222の出力を入力する代わりに第1検波回路221と同じバイアス電圧を与えた状態で、出力電力Poutを−45dBmから35dBmまで変化させたときの第2検波回路223の出力電圧を□印で示した。
【0035】
図3の◆印と□印を比較すると、第1検波回路221の出力の方が第2検波回路223の出力よりも早い段階で飽和することが分かる。かかる特性を有する第1検波回路221の出力を2乗根回路222で2乗根し、第2検波回路223にバイアス電圧として与えることにより、△印で示すように、パワーの低い領域でのレベルを抑え、30〜35dBmのようなパワーの高い領域まで飽和しない検出電圧Vdetを出力させることができる。
【0036】
また、比較のため、1段の検波回路のみとした場合の検出電圧Vdetの特性を一点鎖線Aで示す。この特性線Aは、第1検波回路221の出力飽和する35dBmのときの電圧が約2V近傍に来るように回路の素子の定数を設定したときのものであり、第1検波回路221の出力電圧をプロットした◆印を結んだ線と相似形になる。この特性線Aと本実施例の出力電力回路の出力である第2検波回路223の出力電圧をプロットした△印を結んだ線と比較すると、Aの方がパワーの低い領域での検出電圧Vdetのレベルが低いことが分かる。
【0037】
このようにパワーの低い領域での検出電圧Vdetのレベルが低いと、パワーの低い領域におけるパワー制御ループの特性にばらつきが生じ易くなるが、本実施例の出力電力検出回路を適用すると、1段検波の場合よりもパワーの低い領域での検出電圧Vdetのレベルを高めることができ、それによってパワーの低い領域におけるパワー制御ループの特性のばらつきを小さくすることができる。
【0038】
また、本実施例のように、第1検波回路221の入力容量Ci1と第2検波回路223の入力容量Ci2の関係をCi1>Ci2とし、検波用MOSFET Q1,Q31のサイズをQ1<Q31とした場合、温度変動に伴う出力電力の変動幅が小さくなるという利点がある。
【0039】
図4(A)には、入力容量をCi1=Ci2とし、検波用MOSFET Q1,Q31のサイズをQ1=Q31とした場合における出力電力検出回路の検出電圧Vdetと出力電力Poutとの関係をシミュレーションによって調べた結果を示す。また、図4(B)には、本実施例のように、入力容量の関係をCi1>Ci2とし、検波用MOSFET Q1,Q31のサイズをQ1<Q31とした場合における出力電力検出回路の検出電圧Vdetと出力電力Poutとの関係をシミュレーションによって調べた結果を示す。図4において、◆印は温度が25℃の場合の特性、□印は温度が−25℃の場合の特性、△印は温度が85℃の場合の特性を示す。図4(A)と図4(B)を比較すると、本実施例の方が、温度変動に伴う出力電力の変動幅が小さくなることが分かる。
【0040】
なお、図2の実施例では、出力電力回路の検出電圧Vdetをそのまま誤差アンプ230に入力しているが、出力電力回路の検出電圧Vdetから第1検波回路221の検波用MOSFET Q1のゲート端子に印加されるバイアス電圧Vg1を差し引く減算回路を設けてVdetとVg1との差分の電圧を誤差アンプ230に入力するようにしてもよい。これにより、誤差アンプ230に入力される電圧を、バイアス電圧Vg1による直流成分を含まない純粋な出力電力の交流成分に比例した検出電圧とすることができる。
【0041】
また、誤差アンプ230を介さず検出電圧Vdetをパワー制御信号Vapcの代わりとして高周波電力増幅器210へ入力するように構成してもよい。
【0042】
図2に示されている2乗根回路222は、一例であってこれに限定されるものでなく、例えば特開2004−140518号公報の図6に示されているような回路であっても良い。本発明は、検波回路等同一の半導体チップ上に形成される回路とプロセスの整合性の良い2乗根回路であればどのような回路形式の回路であってもよく、回路形式は発明の要旨ではないので、詳しい動作の説明は省略する。
【0043】
図5は、本発明の出力電力検出回路を適用した高周波電力増幅回路をモジュール(以下、パワーモジュールと称する)として構成した場合のより具体的な構成例を示したものである。なお、本明細書においては、表面や内部にプリント配線が施されたセラミック基板のような絶縁基板に複数の半導体チップとディスクリート部品が実装されて上記プリント配線やボンディングワイヤで各部品が所定の役割を果たすように結合されることであたかも一つの電子部品として扱えるように構成されたものをモジュールと称する。
【0044】
図5に示されている高周波電力増幅器210は、入力高周波信号Pinを増幅する増幅用FETを含む高周波電力増幅部211と、該高周波電力増幅部211の各段の増幅用FETにバイアス電圧を与えて各FETに流すアイドル電流を制御するバイアス回路212とからなる。
【0045】
特に制限されるものでないが、この実施例の高周波電力増幅部210は、3個の電力増幅用FET11、12、13を備え、このうち後段のFET12,13はそれぞれ前段のFET11,12のドレイン端子にゲート端子が接続され、全体で3段の増幅回路として構成されている。また、各段のFET11,12,13のゲート端子には、バイアス回路212から供給されるゲートバイアス電圧Vb1,Vb2,Vb3が印加され、これらの電圧に応じたアイドル電流が各FET11,12,13にそれぞれ流されるようにされている。
【0046】
バイアス回路212は、誤差アンプ230から供給される制御電圧Vapcを入力電圧として受けるオペアンプOP1と、該オペアンプOP1の出力をゲート端子に受けるMOSFET Q40と、Q40と直列に接続された抵抗R10と、Q40とゲート共通接続されてカレントミラー回路を構成するMOSFET Q41,Q42,Q43と、これらのMOSFET Q41,Q42,Q43とそれぞれ直列に接続されたダイオード接続のMOSFET Qb1,Qb2,Qb3とを備える。Q40のドレイン電圧がオペアンプOP1の反転入力端子にフィードバックされることにより、Q40にはVapcに応じた電流I0が流され、さらにQ40とQ41〜Q43のサイズ比に応じて電流I0に比例した電流がQ41,Q42,Q43に流され、その電流がQb1,Qb2,Qb3により電圧に変換され、これがそれぞれ抵抗R11,R12,R13を介して前記増幅用FET11,12,13のゲートにバイアス電圧として印加される。
【0047】
上記MOSFET Q40とQ41,Q42,Q43は増幅用FET11〜13に応じてそれぞれ所定のサイズ比となるように設定され、これによって、誤差アンプ230からの制御電圧Vapcに比例したアイドル電流が増幅用FET11〜13に流される。抵抗R11〜R13は、入力端子からの高周波信号の漏れによってバイアス用MOSFET Qb1〜Qb3の電流が変化しないように抑制する働きをする。各段のFET11,12,13のドレイン端子にはそれぞれ電源電圧Vddが印加されている。初段のFET11のゲート端子と入力端子INとの間には、直流カットの容量素子C11が設けられ、これらの回路及び素子を介して高周波信号PinがFET11のゲート端子に入力される。
【0048】
初段のFET11のドレイン端子と2段目のFET12のゲート端子との間には直流カットの容量素子C12が、また、2段目のFET12のドレイン端子と最終段のFET13のゲート端子との間には直流カットの容量素子C13が接続されている。そして、最終段のFET13のドレイン端子がインピーダンス整合回路241および容量素子C14を介して出力端子OUTに接続されており、高周波入力信号Pinの直流成分をカットし交流成分を増幅した信号Poutを出力する。
【0049】
なお、この実施例のパワーモジュール200は、電力増幅部211の各素子(直流カットの容量素子C11〜C13を除く)およびバイアス回路212の各素子と、出力電力検出回路220の各素子が、単結晶シリコンのような1個の半導体チップ上に半導体集積回路として構成されている。そして、この半導体集積回路と、電力増幅部211の容量素子C11〜C13と、インピーダンス整合回路241、直流カットの容量素子C14、マイクロカプラ240とが、1つのセラミック基板上に実装されてパワーモジュールとして構成されている。インピーダンス整合回路241を構成するインダクタは、半導体チップのパッド間に接続されたボンディングワイヤあるいはモジュール基板上に形成されたマイクロストリップラインにより形成することができる。
【0050】
図5では、カレントミラー方式で増幅用FET11〜13にバイアスを与えるように構成されたバイアス回路が示されているが、誤差アンプ230から制御電圧Vapcを所定の抵抗比で分割して増幅用FET11〜13のバイアス電圧を生成する抵抗分圧回路であっても良い。
【0051】
本実施例の出力電力検出回路を使用した高周波電力増幅回路では、前述したように検波出力Vdet−出力電力Pout特性の温度変動が小さいため、図6に示すように、出力電力Poutの偏差ΔPoutを目標の範囲内に収めることができる。図6において、実線は温度Taがその変動許容範囲の最大値(85℃)である場合における標準値(25℃)での出力電力Poutからの変化分ΔPoutをシミュレーションにより求めたもの、破線は温度Taがその変動許容範囲の最小値(−20℃)である場合における標準値での出力電力Poutからの変化分ΔPoutを実測により求めたものである。
【0052】
GSMの規格では、出力電力Poutの偏差ΔPoutは、出力電力が5dBm〜11dBmの範囲では±6dB、出力電力が11dBm〜35dBmの範囲では±4dBと定められている。図6において、一点鎖線で示されているのは、GSMの規格およびユーザーの要望を考慮して本発明者ら決定した目標範囲を示す制限線である。図6より、本実施例を適用することにより、出力電力Poutの偏差ΔPoutをほぼ目標範囲内に収めることができることが分かる。
【0053】
比較のため、図2の実施例と同様な構成を有する出力電力検出回路を使用した高周波電力増幅回路で、入力容量Ci1,Ci2の容量比のみ最適化し、検波用MOSFET Q1,Q31のサイズ比は最適化しなかった場合において、出力電力Poutの偏差ΔPoutを求めた結果を図7に示す。また、逆に、検波用MOSFET Q1,Q31のサイズ比のみ最適化し、入力容量Ci1,Ci2の容量比は最適化しなかった場合において、出力電力Poutの偏差ΔPoutを求めた結果を図8に示す。
【0054】
図7および図8を参照すると、図7の場合は、温度Taがその変動許容範囲の最小値(−20℃)である場合にパワーの低い領域で出力電力Poutの偏差ΔPoutが目標範囲から外れ、図8の場合は、温度Taがその変動許容範囲の最大値(85℃)である場合にパワーの高い領域で出力電力Poutの偏差ΔPoutが目標範囲から外れることが分かる。
【0055】
図9は、前記実施例のパワーモジュールを適用して有効な無線通信システムの一例として、GSMとDCSの2つの通信方式の無線通信が可能なシステムの概略の構成を示す。
【0056】
図9において、ANTは信号電波の送受信用アンテナ、110は変復調を行なう変復調回路や送信データ(ベースバンド信号)に基づいてI,Q信号を生成したり受信信号から抽出されたI,Q信号を処理する回路を有する半導体集積回路化された高周波信号処理回路(以下、ベースバンドICと称する)である。このベースバンドIC110と、受信信号を増幅するロウノイズアンプLNA1,LNA2、送信信号から高調波成分を除去するバンドパスフィルタBPF1,BPF2、受信信号から不要波を除去するバンドパスフィルタBPF3,BPF4などが1つのパッケージに実装されて電子デバイス(以下、RFデバイスと称する)として構成されている。ロウノイズアンプLNA1,LNA2は、ベースバンドIC110に内蔵させることも可能である。
【0057】
ベースバンドIC110には、GSMとDCSの送信信号をそれぞれアップンコンバートするミキサTx‐MIX1,Tx-MIX2、GSMとDCSの受信信号をそれぞれダウンコンバートするミキサRx‐MIX1,Rx-MIX2、これらのミキサで送信信号や受信信号とミキシングされる発振信号を発生する発振器VCO1〜VCO4、GSMとDCSの送信信号をそれぞれ増幅する可変利得アンプGCA1,GAC2が設けられている。
【0058】
また、図9において、200はベースバンドIC110から供給される高周波の送信信号を増幅する前記実施例のパワーモジュール、300は送信信号に含まれる高調波などのノイズを除去するフィルタLPF1,LPF2、GSMの信号とDCSの信号を合成したり分離したりする分波器DPX1,DPX2、送受信の切替えスイッチT/R−SWなどを含むフロントエンド・モジュールである。パワーモジュール200には、GSM用のパワーアンプ211aとDCS用のパワーアンプ211bとが設けられている。
【0059】
図9に示されているように、この実施例では、ベースバンドIC110から高周波電力増幅回路のパワーアンプ211a,211bのバイアス回路212に対してGSMかDCSかを示すモード選択信号VBANDが供給され、バイアス回路212はこの制御信号VBANDに基づいて、モードに応じたバイアス電流を生成しパワーアンプ211aと211bのいずれかに供給する。図9におけるバイアス回路230は、図4のMOSFET Q40〜Q43のカレントミラー回路とバイアス用MOSFET Qb1〜Qb3からなる回路をGSM用とDCS用にそれぞれ備えるとともに、選択回路などを付加した回路である。
【0060】
なお、上記のようなGSMとDCSのデュアルバンド通信システムにおいては、GSM側のパワーアンプ211aの出力電力とDCS側のパワーアンプ211bの出力電力の最大レベルはそれぞれ規格によって規定されていて異なっている。そのため、出力電力検出回路220および誤差アンプ230は共通の回路として設けられる一方、バイアス回路はGSM用とDCS用にそれぞれ設けられており、制御信号VBANDに応じていずれか一方を選択的に動作状態にさせることができるように構成される。
【0061】
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば前記実施例では、高周波電力増幅部の増幅用トランジスタ11〜13にMOSFETを用いているが、バイポーラ・トランジスタやGaAsMESFET、ヘテロ接合バイポーラ・トランジスタ(HBT)、HEMT(High Electron Mobility Transistor)等他のトランジスタを用いることも可能である。
【0062】
また、前記実施例では、高周波電力増幅部の増幅段が3段の場合を示したが、増幅段は1段あるいは2段であっても良い。また、出力電力検出回路220の出力部に設けられる電流−電圧変換用MOSFET Q35は抵抗素子であっても良い。
【0063】
さらに、前記実施例では、第2検波回路223の出力を誤差アンプ230へ入力しているが、第2検波回路223の出力と2乗根回路222の出力を合成したものを電圧に変換して誤差アンプ230へ入力するように構成しても良い。具体的には、例えば図2の回路において、MOSFET Q34と並列にQ30と同一のゲート電圧をゲート端子に受けI2と同一もしくは比例する電流を流すMOSFETを設け、その電流をQ34の電流と合流させてQ35へ流して電圧に変換するように構成する。ただし、その場合には、入力容量Ci1,Ci2の最適な容量比および検波用MOSFET Q1,Q31の最適なサイズ比は、前記実施例のものとは異なる範囲としても良い。
【0064】
また、前記実施例の第2検波回路では、第1検波回路221と第2検波回路223との間に2乗根回路222を設けているが、2乗根回路222の代わりにn乗根回路あるいは対数変換回路を設けても良い。あるいは、適用対象や条件によっては2乗根回路を省略して第1検波回路221の出力を第2検波回路223へ与えるように構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上の説明では主として本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野である携帯電話機に用いられる高周波電力増幅回路およびパワーモジュールに適用した場合について説明したが、本発明はそれに限定されるものでなく、無線LANを構成する高周波電力増幅回路およびパワーモジュールなどに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る高周波電力増幅回路の実施例の概略構成を示すブロック図である。
【図2】出力電力検出回路の一実施例を示す回路図である。
【図3】実施例の高周波電力増幅回路における出力電力Poutと出力電力検出回路の出力電圧Vdetとの関係を示す特性図である。
【図4】図4(A)は、Ci1=Ci2、Q1=Q31とした場合における出力電力検出回路の検出電圧Vdetと出力電力Poutとの関係を実測によって調べた結果を示すグラフ、図4(B)は、本実地例のようにCi1>Ci2、Q1<Q31とした場合における出力電力検出回路の検出電圧Vdetと出力電力Poutとの関係をシミュレーションによって調べた結果を示すグラフである。
【図5】本発明の出力電力検出回路を適用した高周波電力増幅回路をモジュールとして構成した場合のより具体的な構成例を示す回路構成図である。
【図6】実施例の出力電力検出回路を適用した高周波電力増幅器のフィードバック制御系における出力電力Poutの出力偏差ΔPoutとの関係をシミュレーションにより求めた結果を示すグラフである。
【図7】実施例の出力電力検出回路と同様な構成を有する出力電力検出回路を使用した高周波電力増幅器で入力容量Ci1,Ci2の容量比のみ最適化し、検波用MOSFET Q1,Q31のサイズ比は最適化しなかった場合のフィードバック制御系における出力電力Poutの出力偏差ΔPoutとの関係を示すグラフである。
【図8】実施例の出力電力検出回路と同様な構成を有する出力電力検出回路を使用した高周波電力増幅器で検波用MOSFET Q1,Q31のサイズ比のみ最適化し、入力容量Ci1,Ci2の容量比は最適化しなかった場合のフィードバック制御系における出力電力Poutの出力偏差ΔPoutとの関係を示すグラフである。
【図9】本発明に係る高周波電力増幅回路(パワーモジュール)を適用して好適な無線通信システムの一例の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0067】
100 RFモジュール
110 ベースバンド回路(IC)
200 パワーモジュール
210 高周波電力増幅回路
211 高周波電力増幅部(パワーアンプ)
212 バイアス回路
220 出力電力検出回路
221 第1検波回路
222 2乗根回路
223 第2検波回路
230 誤差増幅回路(誤差アンプ)
240 カプラ
241 インピーダンス整合回路
300 フロントエンド・モジュール
ANT 送受信用アンテナ
LPF ロウパスフィルタ
LNA ロウノイズ・アンプ
GCA 可変利得アンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
増幅用素子と該増幅用素子にバイアスを与えるバイアス回路とを有し前記バイアス回路からのバイアスに応じて高周波の入力信号を増幅して出力する電力増幅回路と、
前記電力増幅回路の出力線の途中に設けられたカプラに一方の端子が接続された第1入力容量素子を介して入力される交流信号を検波する第1検波回路と、前記第1検波回路の出力の2乗根に比例した電圧を出力する2乗根回路と、前記2乗根回路の出力電圧を受け前記カプラに一方の端子が接続された第2入力容量素子を介して入力される交流信号を検波する第2検波回路とを有する出力電力検出回路と、を備えた高周波電力増幅回路であって、
前記第1検波回路と前記第2検波回路は、各々第1入力容量素子または第2入力容量素子を介して入力される交流信号を制御端子に受ける検波用トランジスタをそれぞれ備え、
前記第1入力容量素子は前記第2入力容量素子よりも容量値が大きく設定されていることを特徴とする高周波電力増幅回路。
【請求項2】
前記第1入力容量素子と第2入力容量素子の容量比は20:1〜5:1の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の高周波電力増幅回路。
【請求項3】
前記電力増幅回路は、前記出力電力検出回路の出力と出力レベルを指示する信号との電位差に応じた電圧を出力する誤差増幅回路を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の高周波電力増幅回路。
【請求項4】
増幅用素子と該増幅用素子にバイアスを与えるバイアス回路とを有し前記バイアス回路からのバイアスに応じて高周波の入力信号を増幅して出力する電力増幅回路と、
前記電力増幅回路の出力線の途中に設けられたカプラに一方の端子が接続された第1入力容量素子を介して入力される交流信号を検波する第1検波回路と、前記第1検波回路の出力の2乗根に比例した電圧を出力する2乗根回路と、前記2乗根回路の出力電圧を受け前記カプラに一方の端子が接続された第2入力容量素子を介して入力される交流信号を検波する第2検波回路とを有する出力電力検出回路と、を備えた高周波電力増幅回路であって、
前記第1検波回路と前記第2検波回路は、各々第1入力容量素子または第2入力容量素子を介して入力される交流信号を制御端子に受ける検波用トランジスタをそれぞれ備え、
前記第1検波回路の検波用トランジスタは前記第2検波回路の検波用トランジスタよりもサイズが小さく設定されていることを特徴とする高周波電力増幅回路。
【請求項5】
前記第1検波回路の検波用トランジスタと前記第2検波回路の検波用トランジスタはサイズ比が1:1.5〜1:4の範囲に設定されていることを特徴とする請求項4に記載の高周波電力増幅回路。
【請求項6】
前記電力増幅回路は、前記出力電力検出回路の出力と出力レベルを指示する信号との電位差に応じた電圧を出力する誤差増幅回路を更に備えていることを特徴とする請求項4に記載の高周波電力増幅回路。
【請求項7】
増幅用素子と該増幅用素子にバイアスを与えるバイアス回路とを有し前記バイアス回路からのバイアスに応じて高周波の入力信号を増幅して出力する電力増幅回路と、
前記電力増幅回路の出力線の途中に設けられたカプラに一方の端子が接続された第1入力容量素子を介して入力される交流信号を検波する第1検波回路と、前記第1検波回路の出力の2乗根に比例した電圧を出力する2乗根回路と、前記2乗根回路の出力電圧を受け前記カプラに一方の端子が接続された第2入力容量素子を介して入力される交流信号を検波する第2検波回路とを有する出力電力検出回路と、を備えた高周波電力増幅回路であって、
前記第1検波回路と前記第2検波回路は、各々第1入力容量素子または第2入力容量素子を介して入力される交流信号を制御端子に受ける検波用トランジスタをそれぞれ備え、
前記第1入力容量素子は前記第2入力容量素子よりも容量値が大きく設定され、
前記第1検波回路の検波用トランジスタは前記第2検波回路の検波用トランジスタよりもサイズが小さく設定されていることを特徴とする高周波電力増幅回路。
【請求項8】
前記第1入力容量素子と第2入力容量素子の容量比は20:1〜5:1の範囲に設定され、前記第1検波回路の検波用トランジスタと前記第2検波回路の検波用トランジスタはサイズ比が1:1.5〜1:4の範囲に設定されていることを特徴とする請求項7に記載の高周波電力増幅回路。
【請求項9】
前記出力電力検出回路は、前記2乗根回路の出力と前記第2検波回路の出力を合成したものを検出出力として出力することを特徴とする請求項7または8に記載の高周波電力増幅回路。
【請求項10】
前記第1検波回路と前記第2検波回路は、各々前記検波用トランジスタと、該検波用トランジスタと直列に接続された第2トランジスタと、該第2トランジスタとカレントミラー接続された第3トランジスタとを有することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の高周波電力増幅回路。
【請求項11】
前記電力増幅回路は、前記出力電力検出回路の出力と出力レベルを指示する信号との電位差に応じた電圧を出力する誤差増幅回路を更に備えていることを特徴とする請求項7に記載の高周波電力増幅回路。
【請求項12】
高周波の入力信号を増幅する電力増幅回路の出力を検波して該出力に応じた電圧を生成する第1検波回路と、前記第1検波回路の出力の2乗根に比例した電圧を出力する2乗根回路と、前記2乗根回路の出力電圧を受け前記電力増幅回路の出力を検波する第2検波回路とを有する出力電力検出回路を備えることを特徴とする高周波電力増幅回路。
【請求項13】
増幅用素子と該増幅用素子にバイアスを与えるバイアス回路とを有し前記バイアス回路からのバイアスに応じて高周波の入力信号を増幅して出力する電力増幅回路と、
前記電力増幅回路の出力線の途中に設けられたカプラに一方の端子が接続された第1入力容量素子を介して入力される交流信号を検波する第1検波回路と、前記第1検波回路の出力を受け前記カプラに一方の端子が接続された第2入力容量素子を介して入力される交流信号を検波する第2検波回路とを有する出力電力検出回路と、を備えた高周波電力増幅回路であって、
前記第1検波回路と前記第2検波回路は、各々第1入力容量素子または第2入力容量素子を介して入力される交流信号を制御端子に受ける検波用トランジスタをそれぞれ備え、
前記第1入力容量素子は前記第2入力容量素子よりも容量値が大きく設定され、
前記第1検波回路の検波用トランジスタは前記第2検波回路の検波用トランジスタよりもサイズが小さく設定されていることを特徴とする高周波電力増幅回路。
【請求項14】
前記電力増幅回路は、前記出力電力検出回路の出力と出力レベルを指示する信号との電位差に応じた電圧を出力する誤差増幅回路を更に備えていることを特徴とする請求項13に記載の高周波電力増幅回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−174554(P2007−174554A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−372707(P2005−372707)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】