説明

高圧ガス噴射衝突熱処理システム

【課題】ワークピースを熱処理するための炉を提供すること。
【解決手段】ワークピースを熱処理するための炉であって、前記炉内のワークピースに加熱流体媒質を導くことができる、少なくとも1つの流体衝突装置を含む、少なくとも1つの高圧加熱区間を備え、前記流体衝突装置は、前記ワークピースから約6インチ未満にあり、および/または少なくとも4,000フィート/分で、前記ワークピースに前記加熱流体媒質を導くことができる、炉を提供する。前記炉は、前記ワークピースを回転させるための回転機構、前記ワークピースを反転させるための握持機構、および/または前記高圧加熱区間から下流に空気循環システムをさらに備えることが可能である。前記システムは、プロセス制御温度ステーションおよび/または砂再生システムを更に備えることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して鋳造処理の分野に関し、より詳しくは金属鋳造の熱処理に関する。
【背景技術】
【0002】
金属処理の分野では、金属ワークピースの熱処理には、得られる所望の特性を達成するためにかなりの時間を必要とすることが公知である。したがって、ワークピースの熱処理に必要な時間を減じることが、終始必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
例えば、本発明は、以下を提供する。
(項目1)
ワークピースを熱処理するための炉であって、
上記炉内のワークピースに加熱流体媒質を導くことができる、少なくとも1つの流体衝突装置を含む、少なくとも1つの高圧加熱区間を備え、上記流体衝突装置は、上記ワークピースから約6インチ未満にある、炉。
(項目2)
上記流体衝突装置は、上記ワークピースから約4インチ未満にある、項目1に記載の炉。
(項目3)
上記流体衝突装置は、上記ワークピースから約2インチにある、項目1に記載の炉。
(項目4)
上記流体衝突装置および上記ワークピースのうちの少なくとも1つは、所定の間隔で振動させることができる、項目1に記載の炉。
(項目5)
上記流体衝突装置は、約4,000フィート/分で、上記ワークピースに上記加熱流体媒質を導くことができる、項目1に記載の炉。
(項目6)
上記ワークピースを回転させるための回転機構、および上記ワークピースを反転させるための握持機構のうちの少なくとも1つをさらに備える、項目1に記載の炉。
(項目7)
上記高圧加熱区間から下流に空気循環システムを含む、少なくとも1つの均熱区間を備える、項目1に記載の炉。
(項目8)
ワークピースを熱処理するための炉であって、
約4,000乃至約40,000フィート/分で、加熱流体媒質を供給することができる、少なくとも1つの流体衝突装置を含む、少なくとも1つの高圧加熱区間と、
空気循環システムを含む、少なくとも1つの均熱区間と、を備える炉。
(項目9)
上記流体衝突装置は、約8,000乃至約12,000フィート/分で、加熱流体媒質を供給することができる、項目8に記載の炉。
(項目10)
上記流体衝突装置および上記ワークピースのうちの少なくとも1つは、所定の間隔で振動させることができる、項目8に記載の炉。
(項目11)
上記衝突装置は、チャネリングダクトシステムによって提供されるノズルである、項目8に記載の炉。
(項目12)
上記ワークピースを回転させるための回転機構、および上記ワークピースを反転させるための握持機構のうちの少なくとも1つをさらに備える、項目8に記載の炉。
(項目13)
金属ワークピースを処理するためのシステムであって、
炉を含む熱処理ステーションであって、上記炉は、上記炉内のワークピースに加熱流体媒質を導くことができる、少なくとも1つの流体衝突装置を含む、少なくとも1つの高圧加熱区間を備える、熱処理ステーションと、
熱処理ステーションから下流の急冷ステーションと、を備えるシステム。
(項目14)
上記熱処理ステーションから上流に配置されたプロセス制御温度ステーションをさらに備え、上記プロセス制御温度ステーションは、熱源と連通する温度検出装置を含み、上記温度検出装置および上記熱源が連通して、上記ワークピースの金属のプロセス制御温度に、またはこの温度より高く上記ワークピースの温度を保持する、項目13に記載のシステム。
(項目15)
上記プロセス制御温度は、上記ワークピースの温度が1分間下回ると、上記ワークピースの所望の特性を達成するために、1分を超える更なる熱処理を必要とする温度である、項目14に記載のシステム。
(項目16)
上記炉は、ワークピースのためのエントリ区間と、
上記エントリ区間内の温度測定装置と、
上記温度測定装置と連通する転送機構と、を含み、
上記温度測定装置によって排除温度を検出したときに、上記転送機構が、上記炉に入れる前に上記ワークピースを取り除く、項目13に記載のシステム。
(項目17)
入口、出口、およびそれらの間の砂の巡回経路を画定する複数のバッフルを含むチャンバと、
上記チャンバに熱を供給するための発熱体と、
上記砂に上記チャンバを通過させるための流動化空気分配装置と、を含む砂再生システムをさらに備える、項目13に記載のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0004】
添付図面を参照して本明細書を読み、理解することで、本発明の種々の目的、特徴、および利点が明らかになるだろう。図面に示される寸法は、本発明の一実施態様の一例だけを表すものである。「Z」(例、Z1、Z2など)によって表されるセグメントは、複数の区間のある炉の個々の区間を表す。
【図1】本発明に従って熱処理することが可能な、例示的な鋳造の斜視図である。
【図2】本発明による例示的なシステムの平面図である。
【図3】図2の線A−Aに沿って示される例示的な熱処理炉の断面図である。
【図4】図2の線B−Bに沿って示される例示的なエージングオーブンの断面図である。
【図5】図2の線C−Cに沿って示される例示的なエージングオーブンの断面図である。
【図6】本発明による別の例示的なシステムの平面図である。
【図7】図6に示される例示的な炉の断面図である。
【図8】図6に示される例示的なエージングオーブンおよび冷却器の断面図である。
【図9】図6の線D−Dに沿って示される炉の「昇温」区間の断面図である。
【図10】図6の線E−Eに沿って示される炉の「均熱」区間の断面図である。
【図11】本発明に従って使用することが可能な、例示的な回転式ポスト注入処理システムの平面図である。
【図12】図11の例示的な熱処理炉の昇温区間またはエージングオーブンの断面図である。
【図13】図11の例示的な熱処理路の均熱区間またはエージングオーブンの断面図である。
【図14】図14Aは、本発明に従って使用することが可能な、別の例示的な回転式熱処理炉の平面図である。図14Bは、図14aの線F−Fに沿って示される炉の断面図である。図14Cは、図14aおよび14bの例示的な加熱区間のうちの1つの拡大図である。
【図15】本発明の種々の側面によって使用することが可能な、例示的な砂再生プロセスの略図である。
【図16】コア除去ユニットが炉を備える、例示的な統合したコア除去および砂再生システムの略図である。
【図17】図16に示される炉の断面図である。
【図18】図16に示される炉の一部の別の断面図である。
【図19】図18の線19−19に沿って示される炉の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
簡潔に説明すると、本発明は、1つ以上の金属ワークピースを処理するためのシステムに関するものである。ワークピースは、金属鋳造物、鍛造金属鋼片、または熱処理を必要とするか、またはその効果が得られる他の金属ワークピースであってよい。システムは、砂型または金属ダイ、また状況に応じて1つ以上の砂コアを使用して形成されるワークピースと、砂型、コア、または金属ダイを用いずに形成されるワークピースと、熱処理の前に砂型、コア、および/またはダイが取り除かれるワークピースの熱処理に使用することが可能である。本発明のシステムは、少なくとも1つの「昇温」区間を備えた熱処理炉を含む。システムは、熱処理および/または鋳型およびコアの除去中に、ワークピースを回転および反転させるための機構を含むことが可能である。
【0006】
米国特許出願第60/623,716号(2004年10月29日出願)、および米国特許出願第60/667,230号(2005年4月1日出願)は、参照することによりその全体がここに組み込まれる。
【0007】
(ワークピースの形成)
ホイール、または自動車用シリンダヘッドやエンジンブロックなどの金属ワークピースの形成に使用されるプロセスは、当業者に公知であり、本願明細書においてはその概要のみが記載される。
【0008】
例えば、代表的な鍛造プロセスは、予備成形した金属ブランクに機械的な力を受けさせて、金属を所望の形状にさせることを伴う。インプレッションダイ(または「型打ち」)鍛造は、概して、所望の部分の形状を有する2つのダイの間で金属をプレスすることを伴う。冷間鍛造は、概して機械的な力を加えて、ほぼ周囲温度またはそれ以上で金属を変形させることを伴う。自由鍛造は、概して平坦な、非形状的(unprofiled)ダイの使用を伴う。シームレスの圧延リング鍛造は、厚い円形の金属片に穴を開け、続けて圧延および絞りを行って薄いリングを作製することを伴う。
【0009】
さらに別の例として、代表的な高圧鋳造プロセス(別名「溶湯鍛造」)は、溶融金属を2分割型加熱ダイの下半分に注入することを伴う。金属が凝固し始めたときに、ダイの上半分を閉じて冷却金属に圧力を加える。あまり圧力が高くないので、より精密な部品を形成することができる。
【0010】
さらに別の例として、代表的な金属鋳造プロセスは、概して、溶融金属または金属合金を鋳型またはダイに注入して、鋳造物を形成することを伴う。溶融金属は、高圧下で、または低圧下(例、重力供給方式)でダイに注入することが可能である。形成すべき所望の鋳造物の外観の特徴は、鋳型またはダイの内面に提供される。鋳造物には、鋳型の除去、コアの除去(使用時)、熱処理、砂コアからの砂の再生(使用時)、および(時折)エージングといった、種々の処理ステップを組み合わせて行う。
【0011】
金属鋳造プロセスに使用することが可能な様々な鋳型またはダイには、これに限定されないが、生型、精密砂型、半永久鋳型、永久鋳型、およびインベストメントダイが挙げられる。
【0012】
一側面では、鋳型またはダイは、鋳鉄、鋼、または他の材料のような金属から形成することが可能な永久鋳型またはダイである。この側面では、鋳型またはダイは、そこから鋳造物を容易に取り除くためのクラムシェル型デザインとすることが可能である。別の側面では、鋳型が精密砂型であり、概して、フェノール樹脂または他の好適な有機または無機バインダ材料などのバインダと混合した、シリカ、ジルコン、他の砂、またはそれらを組み合わせたものなどの粒状材料から形成される。さらに別の側面では、鋳型は、砂およびバインダから、または鋼などの金属から、またはそれらを組み合わせたものから形成される半永久砂型である。
【0013】
本発明のこの側面および他の側面では、1つ以上のコア(図示せず)を鋳型またはダイとともに使用して、鋳型内に中空キャビティおよび/または鋳造物の細部を形成することが可能である。コアは一般に、砂材料と、必要に応じて、または望ましい場合には、フェノール樹脂、フェノールウレタンの「コールドボックス」、または他の好適な有機または無機バインダ材料のような好適なバインダから形成される。
【0014】
さらに別の側面では、鋳型は、インベストメントダイである。インベストメント鋳造プロセスは、一般に金属鋳型にワックスまたはプラスチックを注入することによって作成される、使い捨てパターンの使用を伴う。このパターンは、次いで、鋳型またはシェルを形成するために周囲温度で固化する耐火性スラリー(すなわち、シリカとバインダの水様性ペースト)を注入するか、またはこれに浸漬することによってコーティングされる。硬化後に、鋳型を反転させて、使い捨てパターン(ワックスまたはプラスチック)鋳型から溶出させる。この耐火性鋳型を完成させるために、1つ以上のセラミックコアを挿入することが可能である。インベストメント鋳造は、ほとんどの注入可能な金属または合金で行うことができる。
【0015】
図1に示されるように、各鋳型またはダイ115は、概して複数の側壁135と、上部または頂部壁140と、下部または底部壁145とを備え、これらは溶融金属が注入される内部キャビティ150を画定する。内部キャビティ150には、鋳造物125の内部の形状を形成するための起伏パターンが形成される。注入口155は、各鋳型の側壁135、頂部壁140、または底部壁145に備えられ、内部キャビティ150と連通して溶融金属が鋳型に注入または導かれるようにする。得られる鋳造物125は、1つ以上の砂コアが使用される鋳型内に同様に形成される更なるコアアパーチャまたはアクセス口160とともに、鋳型115の内部キャビティ150の形状を有する。
【0016】
加えて、鋳型は、溶融金属の貯蔵部としての機能を果たすように、1つ以上の押湯口(図示せず)を備える。これらの貯蔵部は、金属が冷えて液体から固体になるときの収縮によって形成される空隙を満たすように、余分の金属を供給する。注型品を鋳型から取り除くとき、開口部内の固化した金属は、突起または「押湯」(図示せず)として鋳造物に付着したままである。これらの押湯は不要であり、一般に機械的な手段によって取り除かれる。
【0017】
加熱エアブロアまたは他の好適なガス燃焼ヒーター機構、電気ヒーター機構、流動床、またはそれらを組み合わせたものなどの加熱源または要素を、鋳型を予熱するために注入ステーションに隣接して備えることが可能である。一般に、鋳型は、鋳造物の形成に使用される金属または合金に基づいて、所望の温度まで予熱される。例えば、アルミニウムの場合は、鋳型を約400℃乃至約600℃の温度に予熱する場合がある。鋳造物を形成するために種々の金属合金および他の金属を予熱するのに必要な種々の余熱温度は、当業者に公知であり、また約400℃乃至約600℃以上および以下の様々な温度範囲を含めることができる。加えて、いくつかの鋳型のタイプでは、注入および凝固中の鋳型の劣化を防ぐために、より低い処理温度を必要とする。そのような場合、および金属の処理温度をより高くしなければならない場合は、誘導加熱のような好適な金属温度制御方法を用いることが可能である。
【0018】
別様には、鋳型は、鋳型を加熱するための内部加熱源または要素を備えることが可能である。例えば、鋳造物を永久型金属ダイ内に形成する場合、そのダイは、鋳造物に隣接して形成された1つ以上のキャビティまたは流路を含むことが可能であり、ダイを加熱するための熱媒油のような加熱媒体を、ダイを介して受ける、および/または循環させる。その後、例えば約250℃乃至約300℃のより低温の熱媒油または他の好適な媒体を、ダイを介して導くか、または循環させて、鋳造物を冷却して鋳造物を凝固させることが可能である。次いで、より高温の(例えば、約500℃乃至約550℃に加熱した)熱媒油を、ダイを介して導いて、および/または循環させて冷却を停止させ、熱処理のために鋳造物の温度を均熱温度まで上昇させることが可能である。ダイの予熱および/またはダイへの加熱媒体の導入は、鋳造物の熱処理の開始に使用することが可能である。さらに、予熱によって、鋳造物の金属が熱処理温度に、またはその温度付近に保持され、溶融金属がダイに注入されて凝固して、熱処理のために以降の処理ステーションに送られるときの熱損失を最小限に抑える。必要に応じて、放射トンネルを介して鋳造物を運搬し、鋳造物の冷却を防いだり、最小限に抑えたりすることが可能である。
【0019】
(ワークピースの処理)
本願明細書に開示される本発明の種々の側面は、あらゆるプロセスを使用して形成した多数のタイプのワークピースを処理するために使用できるものと理解されたい。
【0020】
図2乃至10は、本発明の種々の側面による例示的な処理システムを示す。システムは、状況に応じて1つ以上の砂コアを有する、砂型で形成されるワークピースの処理に使用することが可能である(図2乃至5)。別様には、システムは、砂型またはコアを使用せずに形成されるワークピースの処理に使用することが可能である(図6乃至10)。さらに別様には、システムは、熱処理前に砂型およびコアを取り除いたワークピースの処理に使用することが可能である(図6乃至10)。
【0021】
図2は、熱処理炉210(「溶解炉」とも称する)と、急冷装置211と、エージングオーブン212と、冷却ユニット213と、を含む例示的な処理システム200を示す。炉210、エージングオーブン212、および冷却ユニット213の間の移動は、システム200の連続動作のために、ロボット手段または移動システム214によって補助される。ワークピース215は自動車のホイールとして示されているが、他のワークピースもここに考慮されるものと理解されたい。必要に応じて、図3乃至5に示されるような多段の「棚」または「スタック」システムは、炉210、オーブン212、および冷却ユニット213の容量を増加させるために使用することが可能である。炉およびオーブンを介して構成要素を運搬するための機構は、当業者に公知のバスケットまたはラックシステムを含むことが可能である。別様には、鎖216、ローラー、移動ビーム、または他の類似した機構のような、直接接触する運搬機構を用いることが可能である。
【0022】
一般に、ワークピースの形成ステーションから熱処理ステーションまたは炉への移動中、および特にワークピースを適切な時間移動させなくてもよい場合、ワークピースを鋳造場または金属処理施設の周囲環境に晒すことが可能である。その結果、ワークピースは、溶融または半溶融温度から急速に冷却されやすくなる。ワークピースが凝固できるようにするためにはいくらかの冷却が必要であるが、ワークピースの金属が冷却されたときに、本願明細書において「プロセス制御温度」または「プロセス臨界温度」と称される温度または温度範囲以下に到達すると、ワークピースを熱処理温度まで上昇させてかつ熱処理を実行するのに必要な時間が著しく増加することが発見されている。一側面では、あるタイプの金属では、ワークピースがそのプロセス制御温度を1分間下回ると、得られる所望の特性を達成するために、1分を超える更なる熱処理時間が必要であることがわかった。したがって、例えば、ワークピースの金属がわずか10分間プロセス制御温度を下回ったとしても、10分を超える更なる熱処理時間が必要となる場合がある。例えば、あるタイプの金属では、ワークピースがそのプロセス制御温度を1分間下回ると、所望の結果を達成するために、少なくとも約2分の余分な熱処理時間が必要であることがわかった。別の例として、あるタイプの金属では、ワークピースがそのプロセス制御温度を1分間下回ると、所望の結果を達成するために、少なくとも約3分の余分な熱処理時間が必要であることがわかった。さらに別の例として、あるタイプの金属では、ワークピースがそのプロセス制御温度を1分間下回ると、所望の結果を達成するために、少なくとも約4分の余分な熱処理時間が必要であることがわかった。この例では、例えば、ワークピースの金属がわずか10分間プロセス制御温度を下回ると、所望の物理的特性を達成するために、40分を超える更なる熱処理時間が必要となる場合がある。一般に、多くのワークピースは、所望の熱処理硬化を達成するために、2乃至6時間、場合によってはさらに長く熱処理を行わなければならない。これによって、より多くのエネルギを利用するので、より多くの熱処理コストがかかることになる。
【0023】
当業者は、本発明によって処理されるワークピースのプロセス制御温度が、ワークピースに使用される特定の金属および/または合金、ワークピースのサイズおよび形状、および多数の他の因子によって変化するものと理解されるだろう。
【0024】
一側面では、いくつかの合金または金属に対するプロセス制御温度を、約400℃とすることが可能である。別の側面では、プロセス制御温度を、約400℃乃至約600℃とすることが可能である。別の側面では、プロセス制御温度を、約600℃乃至約800℃とすることが可能である。さらに別の側面では、プロセス制御温度を、約800℃乃至約1000℃とすることが可能である。さらに別の側面では、いくつかの合金または金属(例、鉄)に対するプロセス制御温度を、約1000℃乃至1300℃とすることが可能である。ある特定の例では、アルミニウム/銅合金のプロセス制御温度を、約400℃乃至約470℃とすることが可能である。この例では、プロセス制御温度は、概して大部分の銅合金の溶体化熱処理温度以下であり、一般的に約475℃乃至約495℃である。本願明細書には特定の例が記載されているが、ワークピースに使用される特定の金属および/または合金、ワークピースのサイズおよび形状、および多数の他の因子に基づいて、プロセス制御温度をあらゆる温度とすることが可能であると理解されるだろう。
【0025】
ワークピースの金属が所望のプロセス制御温度の範囲内にあるとき、ワークピースは、一般に、十分に冷却されて要求どおりに凝固する。しかし、ワークピースの金属が、そのプロセス制御温度を下回る冷却が可能な場合、ワークピースは、例えば、アルミニウム/銅合金に対して約475℃乃至約495℃、またはアルミニウム/マグネシウム合金に対して約510℃乃至570℃の、所望の熱処理温度に到達させるために、ワークピースの金属がプロセス制御温度より低温に1分間冷却されると、例えば1分を超える加熱時間を必要とする場合があることがわかった。したがって、短時間であってもワークピースをそのプロセス制御温度より低温に冷却した場合、適切かつ完全にワークピースを熱処理するのに必要な時間が著しく増加する場合がある。加えて、複数のワークピースが単一のバッチ内の熱処理ステーションを介して処理されるバッチ処理システムでは、ワークピース全体のバッチに対する熱処理時間が、概して、そのバッチ内で最も低い温度のワークピースに必要な熱処理時間に基づくということを認識されたい。その結果、バッチ内の処理されるワークピースのうちの1つが、例えば約10分間、そのプロセス制御温度より低い温度に冷却された場合、一般に、全てのワークピースが適切かつ完全に熱処理されるようにするために、バッチ全体には、例えば少なくとも40分間の熱処理が必要になる。
【0026】
従って、本発明の種々の側面は、(鋳型内または鋳型から分離した)ワークピースを注入ステーションから熱処理ステーションまたは炉まで移動および/または運搬させるように構成され、一方で、金属のプロセス制御温度以上であるが、ワークピースの凝固を可能にするために、その所望の熱処理温度以下の温度で、溶融金属の冷却を停止するように構成されたシステムを目的とする。したがって、本発明の種々の側面は、ワークピースを実質的にプロセス制御温度以上に確実に保持するために、ワークピースの温度を監視するためのシステムを含む。例えば、熱電対または他の類似した温度検出装置またはシステムをワークピース上に、またはこれに隣接して配置するか、あるいはワークピースの注入ステーションから熱処理炉への移動経路に沿って離れた場所に配置して、実質的に連続的な監視を提供することができる。別様には、十分に頻繁であると判断される間隔での定期的な監視を行うことも可能である。当該の装置は、温度測定または検出装置および熱源が協働して、ワークピースの温度を、実質的にそのワークピースの金属のプロセス制御温度以上に保持することが可能であるように、熱源と連通させることが可能である。ワークピースの温度は、ワークピース上またはその中の1つの特定の位置で測定するか、ワークピース上またはその中の複数の位置の温度を測定することによって計算した平均温度とするか、または特定の用途の必要性または要求に応じた他の態様で測定することが可能であると理解されるだろう。したがって、例えば、ワークピースの温度は、ワークピース上またはその中の複数の位置で測定することが可能であり、温度の値全体は、検出された最低温度、検出された最高温度、検出された中央温度、検出された平均温度、またはそれらの変化を組み合わせたものであると計算または判断することが可能である。
【0027】
加えて、熱処理炉への投入の前に、ワークピースを、入口または排除区間を通過させることが可能であり、その区間では、各ワークピースの温度を監視して、ワークピースが必要とされる温度まで冷却されたかどうかを判断し、また熱処理温度まで温度を上昇させるための過剰量のエネルギを判断する。投入区間は、種々の図を通じて概ね示されているように、プロセス制御温度ステーション内に含めるか、または別個の区間とすることが可能である。ワークピースの温度は、熱電対のようなあらゆる好適な温度検出または測定装置によって測定して、ワークピースの温度が、予め設定した、または所定の排除温度に到達したか、またはそれを下回ったかどうかを判断することが可能である。一側面では、所定の排除温度は、ワークピースの金属に対するプロセス制御温度より低い温度(例、約10℃乃至約20℃)とすることが可能である。別の側面では、所定の排除温度は、熱処理炉またはオーブンの熱処理温度より低い温度(例、約10℃乃至約20℃)とすることが可能である。ワークピースが所定の温度以下の温度まで冷却された場合、制御システムは、移動または除去機構に排除信号を送信することが可能である。不良状態または信号の検出に応えて、対象のワークピースを更なる評価のために識別するか、または移動ラインから取り除くことが可能である。ワークピースは、これに限定されないが、ロボットアームまたは他の自動装置を含む、あらゆる好適な機構または装置によって取り除くか、またはオペレータが手動で取り除くことが可能である。
【0028】
上述のように、ワークピースの温度は、ワークピース上またはその中の1つの特定の位置で測定するか、ワークピース上またはその中の複数の位置の温度を測定することによって計算した平均温度とするか、または特定の用途の必要性または要求に応じた他の態様で測定することが可能であると理解されるだろう。したがって、例えば、ワークピースの温度は、ワークピース上またはその中の複数の位置で測定することが可能であり、温度の値全体は、検出された最低温度、検出された最高温度、検出された中央温度、検出された平均温度、またはそれらの変化を組み合わせたものであると計算または判断することが可能である。
【0029】
鋳型を使用する場合、その鋳型を予熱して、金属の温度を所定のプロセス制御温度に、またはそれ以上に保持することを補助することが可能である。加えて、または代替的に、注入または形成ステーションを熱処理炉に隣接して配置して、鋳型が注入ステーションから炉に移動されるときの、鋳型および/またはワークピースの温度の損失を制限することが可能である。さらに、温度停止チャンバ、放射トンネル、または他のデバイスまたはシステムを炉への入口またはその近くで使用して、金属の温度をプロセス制御温度以上に保持することが可能である。ワークピースの温度をプロセス制御温度以上に保持することの利点は、米国特許出願第10/051,666号に詳述されており、参照することによりその全体が本願明細書に組み込まれる。しかし、いくつかのプロセスでは、所定のプロセス制御温度未満で、ワークピースを熱処理炉に投入する場合がある。
【0030】
必要に応じて、任意の外部砂型の全てまたは一部を、炉への投入前に取り除くことが可能である。砂型を取り除くための様々な技術は、米国特許第6,622,775号に記載されており、参照することによりその全体が本願明細書に組み込まれる。鋳型を取り除くための更なる技術は、米国特許出願第10/616,750号に記載されており、参照することによりその全体が本願明細書に組み込まれる。業界において公知の他の機械的な技術(彫刻、振動など)も、ここに考慮される。取り除いた砂型は、以下に詳述するように、砂リクレーマに転用することが可能であり、砂は、再使用のために浄化するか、または再生のために炉に堆積させる。
【0031】
図2を参照する。炉210およびエージングオーブン212は、それぞれ1つ以上の高圧加熱区間(「昇温」区間)218a、218b、218c、218d、218eを組み込むことが可能であり、従来の大量の通気ではなく(またはこれに加えて)、各ワークピース215への局所的な有向の高圧流体流を提供する。使用されるワークピースのタイプに基づいて、高圧加熱は、種々の利点を提供することができる。
【0032】
例えば、いかなる鋳型またはコアも使用されない場合(または取り除かれた場合)、本発明のシステムは、熱処理時間を20%も減じることがわかった。加えて、ワークピースでの流体の高圧衝突は、型抜きおよび/またはコア抜きの時間、および全体の熱処理時間が減じることがわかった。鋳型/コアが可燃性の組成を用いて形成される場合、流体媒質は、酸素を加えてバインダの燃焼を活性化させることによって、鋳型/コアの除去も向上させる。鋳型/コアが無機または有機水溶性組成物から形成される場合、加圧流体媒質は、鋳型/コアへの加圧流体の直接接触(吹き付け)の反応による除去を支援する。さらに、媒体の実際の「強力な」力は、ワークピースから鋳型および/またはコアの一部を取り除くことによって、鋳型および/またはコア組成物の除去を支援することができる。一例として、これに限定されないが、1つ以上のノズルをワークピースの2インチ以内に配置することによって、ワークピース周辺に保持された砂を50%も減じることが可能である。熱処理時間は、特定のバインダ組成物によってさらに減じることができると考えられる。
【0033】
図3および4は、それぞれ熱処理炉210内の例示的な昇温区間218a、218eと、図2のエージングオーブン212とを示す。昇温区間218a、218eは、ワークピース215の流体の流れを導くための流体チャネリングダクトシステム219、219’を含む。システムは、1つ以上のバーナー220、220’によって加熱することが可能な空気または他の流体の供給を含む。チャネリングダクトシステム219、219’は、要素221、221’で示される1つ以上のオリフィス、スロット、ノズル、衝突管、または当業者に公知の流体循環装置またはシステム(集合的に「衝突装置」)を経て、ワークピースに空気を導く。チャネリングダクトシステムは、ワークピースの公知の位置に対応する所定の配列に向けられた、1つ以上のオリフィス、スロット、ノズル、または衝突管を備えた昇熱区間を通じて逐次的に配置された、複数の区間またはステーションを含むことが可能である。各ステーションは、電子制御システムを介してリモートで制御することが可能である。
【0034】
これに限定されないが、流体媒質をワークピースに衝突させるのに必要な実際の距離、流体媒質の流れのパターンのデザイン、および他の流れのパラメータを含む、ノズル、スロットなどの位置およびデザインは、ワークピースのタイプおよびサイズに依存する。
【0035】
本発明の一側面によれば、少なくとも1つのノズルまたは他の衝突装置は、直径約1/8インチ幅乃至6インチ幅の開口部を有することが可能である。一側面では、少なくとも1つの衝突装置は、約1/8インチ幅の開口部を有する。別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、約1/4インチ幅の開口部を有する。別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、約3/8インチ幅の開口部を有する。さらに別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、約1/2インチ幅の開口部を有する。さらに別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、約5/8インチ幅の開口部を有する。さらに別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、約3/4インチ幅の開口部を有する。別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、約7/8インチ幅の開口部を有する。他の衝突装置の開口幅がここに考慮される。
【0036】
更なる一側面では、少なくとも1つの衝突装置は、直径約1インチ幅未満の開口部を有する。別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、約2インチ幅未満の開口部を有する。さらに別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、約3インチ幅未満の開口部を有する。さらに別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、約4インチ幅未満の開口部を有する。更なる一側面では、少なくとも1つの衝突装置は、約5インチ幅未満の開口部を有する。別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、約6インチ幅未満の開口部を有する。本願明細書には、特定の衝突装置の開口幅および幅の範囲が述べられているが、本発明に従ってあらゆる好適な衝突装置の直径を使用して、所望の結果を達成することが可能であると理解されるだろう。したがって、他の口直径がここに考慮される。
【0037】
本発明の別の側面によれば、少なくとも1つのノズルまたは他の衝突装置を、ワークピースから約0.5インチ乃至約10インチに配置して、鋳型、ワークピース、および/またはコア上およびその周辺に衝突させるか、または噴射することが可能である。一側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約1乃至約8インチにある。別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約2乃至約6インチにある。さらに別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約1.5乃至約3インチにある。別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約3乃至約7インチにある。別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約4乃至約9インチにある。さらに別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約1乃至約4インチにある。別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約2乃至約5インチにある。さらに別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約0.5乃至約6インチにある。さらに別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約1乃至約4インチにある。
【0038】
例えば、一側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約10インチにある。別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約9インチにある。さらに別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約8インチにある。さらに別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約7インチにある。別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約6インチの周にある。さらに別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約5インチにある。さらに別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約4インチにある。別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約3インチにある。さらに別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約2インチにある。さらに別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約1インチにある。
【0039】
さらに別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約10インチ未満にある。別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約9インチ未満にある。さらに別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約8インチ未満にある。更なる一側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約7インチ未満にある。別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約6インチ未満にある。さらに別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約5インチ未満にある。更なる一側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約4インチ未満にある。別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約3インチ未満にある。さらに別の側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約2インチ未満にある。更なる一側面では、少なくとも1つの衝突装置は、ワークピースから約1インチ未満にある。本願明細書には、様々な距離の範囲が記載されているが、必要に応じて各衝突装置を配置して所望の結果を達成することが可能であると理解されるだろう。したがって、多数の他の可能な位置がここに考慮される。
【0040】
流体媒質は、概して、毎分約4,000乃至40,000フィート(ft/分)の放出速度で、ワークピースに供給することが可能である。一側面では、流体媒質は、衝突装置から約4,000乃至約20,000ft/分の速度で放出される。別の側面では、流体媒質は、衝突装置から約8,000乃至約25,000ft/分の速度で放出される。さらに別の側面では、流体媒質は、衝突装置から約6,000乃至約15,000ft/分の速度で放出される。さらに別の側面では、流体媒質は、衝突装置から約15,000乃至約30,000ft/分の速度で放出される。更なる一側面では、流体媒質は、衝突装置から約5,000乃至約12,000ft/分の速度で放出される。1つの特定の側面では、流体媒質は、衝突装置から約10,000ft/分の速度で放出される。別の側面では、流体媒質は、衝突装置から約7,000乃至約13,000ft/分の速度で放出される。さらに別の側面では、流体媒質は、衝突装置から約18,000乃至約22,000ft/分の速度で放出される。さらに別の側面では、流体媒質は、衝突装置から約9,000乃至約14,000ft/分の速度で放出される。更なる一側面では、流体媒質は、衝突装置から約5,000乃至約17,000ft/分の速度で放出される。
【0041】
一側面では、流体媒質は、衝突装置から少なくとも約4,000ft/分の速度で放出される。別の側面では、流体媒質は、衝突装置から少なくとも約5,000ft/分の速度で放出される。さらに別の側面では、流体媒質は、衝突装置から少なくとも約6,000ft/分の速度で放出される。別の側面では、流体媒質は、衝突装置から少なくとも約7,000ft/分の速度で放出される。さらに別の側面では、流体媒質は、衝突装置から少なくとも約8,000ft/分の速度で放出される。さらに別の側面では、流体媒質は、衝突装置から少なくとも約10,000ft/分の速度で放出される。別の側面では、流体媒質は、衝突装置から少なくとも約11,000ft/分の速度で放出される。更なる一側面では、流体媒質は、衝突装置から少なくとも約12,000ft/分の速度で放出される。別の側面では、流体媒質は、衝突装置から少なくとも約13,000ft/分の速度で放出される。さらに別の側面では、流体媒質は、衝突装置から少なくとも約14,000ft/分の速度で放出される。別の側面では、流体媒質は、衝突装置から少なくとも約15,000ft/分の速度で放出される。さらに別の側面では、流体媒質は、衝突装置から少なくとも約16,000ft/分の速度で放出される。さらに別の側面では、流体媒質は、衝突装置から少なくとも約17,000ft/分の速度で放出される。別の側面では、流体媒質は、衝突装置から少なくとも約18,000ft/分の速度で放出される。更なる一側面では、流体媒質は、衝突装置から少なくとも約19,000ft/分の速度で放出される。別の側面では、流体媒質は、衝突装置から少なくとも約20,000ft/分の速度で放出される。さらに別の側面では、流体媒質は、衝突装置から少なくとも約25,000ft/分の速度で放出される。別の側面では、流体媒質は、衝突装置から少なくとも約30,000ft/分の速度で放出される。さらに別の側面では、流体媒質は、衝突装置から少なくとも約35,000ft/分の速度で放出される。本願明細書には、様々な速度および速度の範囲が記載されているが、本発明に従って他の速度を使用して所望の結果を達成することが可能であると理解されるだろう。したがって、多数の他の速度およびその範囲がここに考慮される。
【0042】
流体媒質は、概して、ノズルまたは他の衝突装置から、約50乃至500立法フィート/分/フィート(scfm/ft)の流量でワークピースに供給することが可能である。一側面では、流体媒質は、約50乃至約100scfm/ftの流量でワークピースに供給される。別の側面では、流体媒質は、約100乃至約150scfm/ftの流量でワークピースに供給される。別の側面では、流体媒質は、約150乃至約200scfm/ftの流量でワークピースに供給される。別の側面では、流体媒質は、約200乃至約250scfm/ftの流量でワークピースに供給される。別の側面では、流体媒質は、約250乃至約300scfm/ftの流量でワークピースに供給される。さらに別の側面では、流体媒質は、約300乃至約350scfm/ftの流量でワークピースに供給される。さらに別の側面では、流体媒質は、約350乃至約400scfm/ftの流量でワークピースに供給される。別の側面では、流体媒質は、約400乃至約450scfm/ftの流量でワークピースに供給される。さらに別の側面では、流体媒質は、約450乃至約500scfm/ftの流量でワークピースに供給される。1つの特定の側面では、流体媒質は、約250scfm/ftの流量でワークピースに供給される。
【0043】
別の側面では、流体媒質は、少なくとも約25scfm/ftの流量でワークピースに供給される。さらに別の側面では、流体媒質は、少なくとも約50scfm/ftの流量でワークピースに供給される。別の側面では、流体媒質は、少なくとも約75scfm/ftの流量でワークピースに供給される。別の側面では、流体媒質は、少なくとも約100scfm/ftの流量でワークピースに供給される。更なる一側面では、流体媒質は、少なくとも約125scfm/ftの流量でワークピースに供給される。別の側面では、流体媒質は、少なくとも約150scfm/ftの流量でワークピースに供給される。さらに別の側面では、流体媒質は、少なくとも約175scfm/ftの流量でワークピースに供給される。さらに別の側面では、流体媒質は、少なくとも約200scfm/ftの流量でワークピースに供給される。別の側面では、流体媒質は、少なくとも約225scfm/ftの流量でワークピースに供給される。更なる一側面では、流体媒質は、少なくとも約250scfm/ftの流量でワークピースに供給される。別の側面では、流体媒質は、少なくとも約275scfm/ftの流量でワークピースに供給される。さらに別の側面では、流体媒質は、少なくとも約300scfm/ftの流量でワークピースに供給される。さらに別の側面では、流体媒質は、少なくとも約325scfm/ftの流量でワークピースに供給される。別の側面では、流体媒質は、少なくとも約350scfm/ftの流量でワークピースに供給される。さらに別の側面では、流体媒質は、少なくとも約375scfm/ftの流量でワークピースに供給される。さらに別の側面では、流体媒質は、少なくとも約400scfm/ftの流量でワークピースに供給される。別の側面では、流体媒質は、少なくとも約425scfm/ftの流量でワークピースに供給される。さらに別の側面では、流体媒質は、少なくとも約450scfm/ftの流量でワークピースに供給される。別の側面では、流体媒質は、少なくとも約475scfm/ftの流量でワークピースに供給される。本願明細書には、様々な流量および流量の範囲が記載されているが、本発明に従って他の流量を使用して所望の結果を達成することが可能であると理解されるだろう。したがって、多数の他の流量およびその範囲がここに考慮される。
【0044】
流体媒質は、概して、約3乃至約20水柱インチ(インチWC)の圧力でワークピースに供給することが可能である。一側面では、流体媒質は、約5乃至約12インチWCの圧力でワークピースに供給される。別の側面では、流体媒質は、約5乃至約8インチWCの圧力でワークピースに供給される。さらに別の側面では、流体媒質は、約9乃至約12インチWCの圧力でワークピースに供給される。さらに別の側面では、流体媒質は、約3乃至約6インチWCの圧力でワークピースに供給される。
【0045】
別の側面では、流体媒質は、少なくとも約3インチWCの圧力でワークピースに供給される。さらに別の側面では、流体媒質は、少なくとも約4インチWCの圧力でワークピースに供給される。さらに別の側面では、流体媒質は、少なくとも約5インチWCの圧力でワークピースに供給される。別の側面では、流体媒質は、少なくとも約6インチWCの圧力でワークピースに供給される。さらに別の側面では、流体媒質は、少なくとも約7インチWCの圧力でワークピースに供給される。さらに別の側面では、流体媒質は、少なくとも約8インチWCの圧力でワークピースに供給される。さらに別の側面では、流体媒質は、少なくとも約9インチWCの圧力でワークピースに供給される。別の側面では、流体媒質は、少なくとも約10インチWCの圧力でワークピースに供給される。さらに別の側面では、流体媒質は、少なくとも約11インチWCの圧力で、ワークピースに供給される。本願明細書には、様々な圧力および圧力の範囲が記載されているが、本発明に従って他の圧力を使用して所望の結果を達成することが可能であると理解されるだろう。したがって、多数の他の圧力およびその範囲は、ここに考慮される。
【0046】
必要に応じて、流体をワークピースの特定の部分に導いて、必要な場合に流体の流れを局所化することが可能である。加えて、必要に応じて、流体をワークピースの1つ以上の表面に導いて、衝突流体の作用を高めることが可能である。
【0047】
ワークピースまたは衝突装置のいずれかまたは両方を、振動、回転させるか、またはランダムにあるいは所定の間隔または更なる流体媒質の衝突を達成するような間隔で移動させることによって、プロセスの効率を向上させることが可能である。ワークピースまたは衝突装置は、一般に最高約40ft/分のレートまたは速度で移動させることが可能である。一側面では、ワークピースまたは衝突装置は、約0.5乃至5ft/分で振動、回転、または移動させることが可能である。さらに別の側面では、ワークピースまたは衝突装置は、約5乃至10ft/分で振動、回転、または移動させることが可能である。さらに別の側面では、ワークピースまたは衝突装置は、約10乃至15ft/分で振動、回転、または移動させることが可能である。別の側面では、ワークピースまたは衝突装置は、約15乃至20ft/分で振動、回転、または移動させることが可能である。さらに別の側面では、ワークピースまたは衝突装置は、約20乃至25ft/分で振動、回転、または移動させることが可能である。さらに別の側面では、ワークピースまたは衝突装置は、約25乃至30ft/分で振動、回転、または移動させることが可能である。別の側面では、ワークピースまたは衝突装置は、約30乃至35ft/分で振動、回転、または移動させることが可能である。更なる一側面では、ワークピースまたは衝突装置は、約35乃至40ft/分で振動、回転、または移動させることが可能である。本願明細書には、様々な移動速度およびその範囲が記載されているが、本発明に従って他の移動速度を使用して所望の結果を達成することが可能であると理解されるだろう。したがって、多数の他の速度およびその範囲がここに考慮される。
【0048】
ワークピースまたは衝突装置を振動させる場合、ワークピースまたは衝突装置は、それが移動する各方向に、例えば約3乃至36インチの距離を変位させることが可能である。一側面では、ワークピースまたは衝突装置は、それが移動する各方向に、約3乃至約5インチの距離を変位される。別の側面では、ワークピースまたは衝突装置は、それが移動する各方向に、約7乃至約10インチの距離を変位される。さらに別の側面では、ワークピースまたは衝突装置は、それが移動する各方向に、約10乃至約15インチの距離を変位される。別の側面では、ワークピースまたは衝突装置は、それが移動する各方向に、約15乃至約20インチの距離を変位される。さらに別の側面では、ワークピースまたは衝突装置は、それが移動する各方向に、約20乃至約25インチの距離を変位される。さらに別の側面では、ワークピースまたは衝突装置は、それが移動する各方向に、約25乃至約30インチの距離を変位される。別の側面では、ワークピースまたは衝突装置は、それが移動する各方向に、約30乃至約36インチの距離を変位される。本願明細書には、多数の変位距離が記載されているが、ワークピースまたは衝突装置は、所望の距離(例えば、ワークピースの寸法に実質的に等しい距離)の達成に必要な距離を変位させることが可能であると理解されるだろう。したがって、多数の他の変位距離がここに考慮される。
【0049】
振動サイクルを完了するのに必要な時間は、概して約2秒乃至約10分とすることが可能である。一側面では、振動サイクルは、約5秒乃至約1分である。別の側面では、振動サイクルは、約2乃至約20秒である。さらに別の側面では、振動サイクルは、約20乃至約40秒である。さらに別の側面では、振動サイクルは、約40秒乃至約1分である。別の側面では、振動サイクルは、約1乃至約3分である。さらに別の側面では、振動サイクルは、約3乃至約6分である。さらに別の側面では、振動サイクルは、約6乃至約10分である。本願明細書には、特定の振動サイクルが記載されているが、必要に応じて他の振動サイクルを使用して所望の結果を達成することが可能であると理解されるだろう。したがって、多数の他の振動サイクル時間がここに考慮される。
【0050】
本発明に従って使用される流体媒質の温度は、概して約400℃乃至約600℃とすることが可能である。一側面では、流体媒質の温度は、約450℃乃至約550℃である。別の側面では、流体媒質の温度は、約490℃乃至約540℃である。さらに別の側面では、流体媒質の温度は、約425℃乃至約600℃である。さらに別の側面では、流体媒質の温度は、約475℃乃至約575℃である。別の側面では、流体媒質の温度は、約450℃乃至約500℃である。さらに別の側面では、流体媒質の温度は、約500℃乃至約550℃である。本願明細書には、特定の温度が記載されているが、必要に応じて他の温度を使用して所望の結果を達成することが可能であると理解されるだろう。したがって、多数の他の流体媒質の温度がここに考慮される。
【0051】
図3に示されるように、コアの有無に関わらずにワークピースを砂型で形成する場合、ワークピースから鋳型および/またはコアの一部を取り除いて砕いたときに、例えば上述したように、その小塊は、以降の再生および再利用のためにホッパー222に収集される。
【0052】
再び図2を参照する。炉210および/またはエージングオーブン212は、従来の空気循環システムを用いた1つ以上の「均熱区間」224a、224b、224cを含む。例えば、炉は、その後に1つ以上の均熱区間が続く、1つ以上の昇温区間を含むことが可能である。図5は、昇温区間の後に使用することが可能な、バッフル226および再循環ファン228のシステムを備えた従来の質量流システムを備えた例示的な「均熱区間」を示す。
【0053】
図6乃至10は、本発明による別の例示的なポスト注入処理システム300を示す。図6のシステムは、図2乃至5の説明に従って構成されて機能する構成要素(例、複数の炉310、エージングオーブン312、冷却器313)を含む。しかし、種々の構成要素のレイアウトは、図2のそれと異なる。
【0054】
図6の例示的なシステムは、熱処理炉310内の昇温区間314および均熱区間316a、316b、316c、316d、316e、ならびにエージングオーブン312内の昇温区間314a’、314b’とともに示されている。図6乃至10に示されるシステムは、例えば、砂型を用いずにワークピースを形成する場合、または熱処理炉に投入する前に鋳型とコアが取り除かれる場合に用いることが可能である。図3の要素222に示されるような砂型の収集ホッパーは必要でないかもしれないが、システムは、砂型によって形成されるワークピースに対応できるように、当該のホッパーを含めることが可能である。
【0055】
当業者は、本発明が線形(直線)流炉に関連して記載および説明されているが、他のデザインの炉およびオーブンを使用することも可能であると理解されるだろう。例えば、図11乃至14に示されるように、本発明は、「回転式」処理システムとともに使用することが可能である。図11に示されるように、回転式路システム400は、概して、それぞれがワークピース416を保持および移動するための回転可能な炉床414、414’をふくむ、熱処理炉410と、エージングオーブン412とを備える。炉410は、一般に、ワークピース416を炉410内に配置できるようにする外部周囲壁420内の入口418と、内部周囲壁424上の出口422とを含む。必要に応じて、入口418を注入ステーション(図示せず)に隣接させて、炉410への移動中の熱損失を最小限に抑えることが可能である。各回転式炉およびオーブンは、ロボット手段または他の移動運搬システムによって、別の回転式炉、オーブン、または他の処理ステーションに接続することが可能である。一側面では、ロボット手段または運搬システムでは、各回転式炉またはオーブン内の一組の、および/または登録可能な位置に構成要素を配置する。
【0056】
ワークピースは、環状チャンバ内の炉床414a、414bを回転させることによって、回転式熱処理炉410およびエージングオーブン412内を移動する。炉床は、連続的に、またはインデックスをつけた位置を通して回転させて、部品の受け取りまたは排出を行うか、またはこれを停止させることが可能である。さらに、炉床は、流体媒質がワークピースの表面を移動できるように、またプロセスの効率を補助するように、十分な期間ワークピース(またはノズル)の振動を停止させることが可能である。
【0057】
移動を容易にするために、炉床は、例えば、炉床の下面上の円形トラックの上を動くホイール上に支持される。炉床は、例えば、遊星歯車(ラチェット機構)に沿って炉床を押したり引いたりする、歯車駆動のアクチュエータによって移動する。駆動機構は、加速、通常の運転速度、減速といった炉床の動きを調整するための速度制御を含み、炉床を振動させるために使用して、炉およびオーブンの内部ノズルから構成要素への更なる流体媒質の衝突を達成することが可能である。移動可能な炉床および炉の内側と外側の壁に沿ってシールを設けて、熱または流体の漏れを防ぐことが可能である。
【0058】
図12および13に示されるように、可動炉床は、例えばラックまたは棚システム426、426’を含み、複数のレベルのワークピースをシステムを介して装填および処理できるようにすることが可能である。ワークピースがラックシステム内に装填されると、それぞれの炉またはエージングオーブンの外周と同心の経路上で、角(円)運動(0°乃至360°)によって、炉を介してラックシステム上を運搬される。1つ以上のプッシャ、アクチュエータ、または駆動装置は、回転式炉床を移動させるために使用することが可能である。
【0059】
熱処理炉410および/またはエージングオーブン412は、1つ以上の昇温区間428と、1つ以上の均熱区間430とを含むことが可能である。昇温区間および均熱区間は、上述のものと類似した構成を有するか、または各ワークピースに流体を直接衝突させるような、他の好適な様態に構成することが可能である。図12は、図11の熱処理炉またはエージングオーブン412の例示的な昇温区間428内の複数のワークピース432を示す。空気ノズル434は、ワークピース432の近傍に配置されて、ワークピースに空気または他の流体を直接衝突させる。図13は、図11の熱処理炉410またはエージングオーブン412の例示的な均熱区間430内の複数のワークピース432を示す。
【0060】
図14a乃至14cは、本発明に従って使用することが可能な、別の例示的な回転式熱処理炉を示す。炉510は、ワークピース514を出し入れする開口部512と、熱処理が完了してワークピースが取り除かれるまで、種々の区間を通してワークピース514を支持および移動するための回転可能な炉516とを含む。図14aに示される炉510は、複数の加熱区間518a、518b、518c、518d、518e、518f、518gを含む。図14bに示されるように、種々の区間は、上述の加熱区間と同様に、それぞれ類似した様態で構成され、ダクト520を介して導かれワークピース514の各部に衝突させる流体源(例、空気)を含む。しかし、1つ以上の区間(例、区間518a、518b)は、必要に応じて、より高い温度で動作させて、所望の熱処理の結果を達成することが可能である。図14cに最良に示されるように、ワークピース514の垂直支持材524および水平支持材526が格子またはメッシュなどの浸透性の材料から形成される、上述のような棚システム522にワークピース514を配置することが可能である。該当する場合には、砂型および/またはコアの小塊がワークピースから落下するときに、更なる燃焼のために、空気の流れで固定流動床528にその小塊を押し流す。流動床528からの熱は、空気冷却装置に取り込まれて、ワークピースの表面への衝突に使用される。
【0061】
状況に応じて、炉および/またはエージングオーブンは、ワークピースを回転および/または反転させて、ワークピースの種々の面または表面をダクトまたはノズルに近づけさせることができる、という機能を含む。加えて、ワークピースを反転させることによって、あらゆる遊離した砂およびバインダ(使用した場合)をワークピースから落下させることができる。
【0062】
一側面では、棚またはスタックシステムは、ワークピースに取り付けられるクランプまたはメカニズム(図示せず)を含む炉内に、少なくとも部分的に回転機構を含む。必要に応じて、クランプを押湯に取り付けて、ワークピースへの損傷を防ぐことが可能である。クランプは、サドル内でワークピースを持ち上げて反転させる機械的な装置に取り付けることが可能である。その際に、コアから遊離したあらゆる砂を、ワークピースから落とすことができる。ワークピースを所定の時間、または所定の間隔で回転させて、熱処理および/またはワークピースからのコアの除去を促進することが可能である。
【0063】
別の側面では、炉は、ワークピースを取り扱うための少なくとも1つの爪または握持装置を含む。この爪は、ワークピースに接触して十分な圧力を加えて、ワークピースを持ち上げて移動させて、炉内にワークピースを配置できるようにする、複数の機械的な「指」を含むことが可能である。加えて、爪は、コアから遊離した砂をワークピースから落とすことができるように、ワークピースを握持して反転させることができる機能を含むことが可能である。爪は、ワークピース全体を握持するか、または例えば押湯によってワークピースを握持するために使用することが可能である。該当する場合には、バインダが燃焼してコアがワークピースから外れたときに、爪には、ワークピースへの握持を自動的に強める機能を提供することが可能である。爪はロボットであってよく、所望の熱処理時間または温度で、ワークピースを1つずつ移動させるようにプログラムすることが可能である。爪は、同様に、または代わりに、必要または要求に応じてオペレータが特定のワークピースを手動で移動させることができるように、電子制御を介して手動で制御することが可能である。
【0064】
さらに別の側面では、ワークピースは、炉に投入される前にサドルに配置される。サドルは、概して、金属材料から形成され、露出したコア開口部またはアクセス口でワークピースを受ける、チャンバまたは容器を画定する基部および一連の側壁を有する。サドルは、ワークピースを固定するための装置を含むことが可能であるので、サドル内のワークピースを回転および反転させて、遊離したコア材料をワークピースから落下させることができる。ワークピースを固定するための装置は、必要に応じて、例えばブラケット、クランプ、タイ、ストラップ、またはそれらを組み合わせたものなどの好適な装置とすることが可能である。サドル内にワークピースを固定するための他のデバイスがここに考慮される。
【0065】
状況に応じて、本願明細書に記載されているか、またはここに考慮される側面のうちのいずれかでは、遊離したコア材料のワークピースからの落下をさらに補助するために、揺動または振動機構を備えることが可能である。一バリエーションでは、揺動または振動機構をワークピース上の押湯に導入することによって、ワークピースへの損傷を最小限に抑えたり防いだりする。
【0066】
再び図11を参照する。ワークピース416を取り除く準備ができたときに、別のロボット手段または移動運搬システムを使用して、ワークピースを急冷ステーションまたはユニット417に運搬することが可能であり、出口422に隣接した炉410に囲まれた中央の開放領域418に配置することが可能である。一側面では、急冷媒体は、例えば毎秒約10乃至500フィート(ft/秒)(例、約200ft/秒)で、ワークピースに供給される空気とすることが可能である。別の側面では、急冷媒体は、例えば最高約50ft/秒(例、約10ft/秒)で、ワークピースに供給される水とすることが可能である。さらに別の側面では、急冷媒体は、静止流(0ft/秒の速度)とすることが可能である。さらに別の側面では、急冷媒体を組み合わせて使用することが可能である。他のクエンチ媒体および速度がここに考慮される。
【0067】
急冷プロセスが終了した後に、別の(または同じ)ロボット手段424または移動運搬システムを使用して、同じく炉410に囲まれた中央の開放領域418に配置することが可能な回転式エージングオーブン412へ、ワークピース416を配置することが可能である。回転式エージングオーブン412は、入口426および出口428が、同一の外周(内壁または外壁)に存在しうること以外は、回転式熱処理炉410と類似している。加えて、エージングオーブンの直径は、一般に炉の直径未満である。しかし、回転式熱処理炉と回転式エージングオーブンとの相対的サイズは、所与の用途によって異なる場合がある。例えば、熱処理時間よりも長いエージング時間(例えば、30乃至60分の熱処理および3時間のエージング)に対応するために、回転式エージングオーブンの外周を回転式熱処理炉よりも大きくすることが可能である。
【0068】
別のロボット手段または移動運搬システム430は、ワークピース416をエージングオーブン412から取り除き、それらを冷却ユニット432に配置して熱処理プロセスを完了させるために使用することが可能である。冷却ユニットは、例えば、ワークピースをチャンバを通過させてローラー炉床またはベルトコンベア上に移動させるときに、ワークピース周辺に吹き出される循環空気を使用する。冷却は、作業者が取り扱えるようにワークピースの温度が十分に下がるまで継続される。図11に示される一側面では、冷却ユニット432の開口部は、エージングオーブン412に隣接して配置され、出口434が回転式熱処理炉410の周辺壁の外側にあるように、回転式熱処理炉の外部の螺旋状の経路に続けることが可能である。冷却ユニットの移動方向は、上述のように、回転式熱処理炉の下方に(下に)または上方に(上に)向かう螺旋状とすることが可能である。例えば、冷却ユニットは、炉の内部から外部への湾曲した下方へ螺旋状の経路として示される。
【0069】
(砂再生機能(オプション))
本願明細書に上述したように、砂型および/またはコアを使用した場合、砂は、プロセスを通じて種々の段階で除去および再生することが可能である。再利用する前に、砂から灰の粒子または他の異粒子を取り除くために、砂洗浄器も用いることが可能である。砂再生システムの例は、米国特許第5,350,160号、第5,565,046号、第5,738,162号、および第5,829,509号、および米国特許出願第11/084321号、名称「System for Heat Treating Castings and Reclaiming Sand」(2005年3月18日出願)に記載されており、それぞれを参照することによりその全体が本願明細書に組み込まれる。熱処理鋳造、砂コアの除去、および砂の再生に対する他のシステムの例は、米国特許第5,294,094号、第5,354,038号、第5,423,370号、第5,829,509号、第6,336,809号、および第6,547,556号に記載されており、それぞれを参照することによりその全体が本願明細書に組み込まれる。
【0070】
砂再生システムの1つの具体的な例を以下に詳述する。しかし、あらゆる好適な砂再生システムおよび/または洗浄システムを、本発明の種々の側面とともに使用することが可能である。さらに、精製砂を再生するための方法およびシステムは、単独で実装するか、または例えば熱処理炉、コア除去ユニットなどの他の金属処理の構成要素に統合することが可能である。
【0071】
図15は、本発明の種々の側面と使用することが可能な、砂を再生するためのシステムおよび方法の一例を示す。一例では、砂再生チャンバまたはユニットは、廃砂が移動する経路を画定する複数のバッフルおよび/または堰を有する、加熱流動床を含む。廃砂が経路に沿って移動するとき、バインダが燃焼され、砂が精製される。バッフルの数および長さ、流動床を通過する流量、温度、および他のシステム変数を指定して、所望の砂の精製の程度を達成することが可能である。
【0072】
システム600は、入口612および出口614を有するチャンバ610を含む。廃砂Wは、入口を通過してチャンバに供給される。廃砂は、別のプロセスユニットまたはステップから直接充填するか、または再生の前に収集して貯蔵することが可能である。例えば、廃砂Wは、装置の砂システムからの乾燥した、主に粒状の廃砂を受けて貯蔵するように構成された、砂貯蔵部616に貯蔵することが可能である。貯蔵部は、様々な仕様および特徴を有することが可能である。例えば、廃砂貯蔵部は、長手方向が約18フィートで直径が約10フィートの円筒状の貯蔵部であり、約45メートルトンの砂を貯蔵することができる。貯蔵部は、不均一な砂粒の分布の分離および放出を減じるか、または取り除く、チャンバまたはバッフルのような非分離機能(図示せず)を備えた設計とすることが可能である。貯蔵部は、上部安全性レールと、アクセスハッチと、砂受けフランジと、排出フランジと、内部安全ラダーと、天盤アクセスと、砂レベル表示器(図示せず)とを含むことが可能である。貯蔵部616からの放出618は、メンテナンススライドゲートと、二重フラップ弁計量装置(図示せず)とを含むことができる。廃砂は、例えば最高で毎時約20メートルトンの調整可能な流量で、廃砂貯蔵部からメータで測定することができる。
【0073】
チャンバ610は、廃砂に含まれるバインダ材料を燃焼させるための加熱要素を備える。放射加熱要素などのあらゆる加熱要素は、システムへの熱の供給に使用することが可能である。概して、流動化媒体の温度は、一般に250℃乃至約900℃の、バインダの燃焼温度か、またはそれ以上に保持される。したがって、この側面および他の側面では、流動化媒体の温度を約490℃乃至約600℃とすることが可能である。流動化された廃砂粒子を、複数のバッフル、および状況に応じて堰によって画定された巡回経路に沿って移動させるときに、バインダが燃焼されて砂が精製される。巡回経路は、必要または要求に応じてあらゆる長さとして、所望の結果を達成することが可能である。例えば、この側面および他の側面では、経路は、約5メートル乃至15メートル(例、約10メートル)の長さとすることが可能である。流動化空気分配装置(図示せず)は、流動化媒体の流れの均一性の改善に使用することが可能である。さらに、粒子は、例えば約2300Nm/hの流量で動作される流動化送風機(図示せず)を使用して、筐体を通過させることが可能である。チャンバにおける廃砂の残存時間は、砂が出口を通ってチャンバを出る前に、その砂を実質的に精製、浄化、および再生するのに十分である。例えば、この側面および他の側面では、チャンバにおける残存時間を、約30分乃至約60分とすることが可能である。実質的に精製された砂Rは、当業者に公知のあらゆる様態で収集または貯蔵することが可能である。この側面および他の側面では、システムは、約10トン/h乃至約20トン/h(例、約15トン/h)の精製砂を生成することが可能である。
【0074】
別の例として、統合型砂コア除去および再生システムを提供することが可能である。システムは、鋳造物を取り除くためにそこを通して移動させる、少なくとも1つのチャンバを含む、コア除去ユニットを含むことが可能である。コアのけがき、分割、彫刻、粉砕、腐食、ブラスティング、または除去(集合的に「除去」)は、必要に応じて使用することが可能であり、例えば、米国特許第5,565,046号、第5,957,188号、および第5,354,038号に記載されており、それぞれを参照することによりその全体が本願明細書に組み込まれる。
【0075】
コアを中層物から取り除くときに、廃砂の小塊は、重力送りその他によって砂再生チャンバに導かれる。砂再生チャンバは、コア除去ユニットと流体連通する流動床と、流動床を介して巡回経路を画定する複数のバッフルとを含む。流動床は、バインダの燃焼温度に、またはそれ以上の温度まで加熱される。砂が巡回経路に沿って移動するときに、バインダが燃焼して砂が精製される。精製砂は、当業者が公知のあらゆる様態で収集して貯蔵することが可能である。
【0076】
状況に応じて、砂貯蔵部からの廃砂は、コアの除去によって生じた廃砂との同時処理のために、再生システムに供給することも可能である。
【0077】
図16は、コア除去ユニットが炉を備える、例示的な統合型コア除去および砂再生システムを示す。システム620は、状況に応じて、炉624の入口622を介して流体連通する廃砂貯蔵部616を含む。炉624は、エンジンブロックおよびシリンダヘッドなどの鋳造物(図示せず)に、熱処理、砂コア材料の除去、および砂再生の処理を行う、少なくとも1つの加熱チャンバを画定する。廃砂貯蔵部616から炉624に充填された廃砂Wは、チャンバ内で浄化、再生、および精製され、出口626を通して貯蔵するか、または更なる処理に用いることができる。加えて、コア除去プロセスによって廃砂が生じたときには、同様に砂再生システムによって処理することが可能である。別様には、コア除去プロセスによって生じた廃砂の一部または全てを、以降の処理のために収集して貯蔵することが可能である。
【0078】
システム620は、炉624のチャンバと流体連通する焼却装置628を含むことが可能である。システム620は、焼却装置628と、流動化空気源632と、炉624のチャンバと流体連通する熱交換器630とを含むことも可能である。焼却装置628からの熱は、流動化空気の加熱および/または炉624のチャンバの内部の加熱に使用することが可能である。
【0079】
図17乃至19を参照する。炉624は、その上を鋳造物640が炉624を通って運搬されるローラー炉床638の下に位置する、流動化空気分配装置634および/または加熱要素(例、放射管ヒーター636)の補助物を含むことが可能である。1つ以上の堰およびバッフル642が、流動床644の領域内の、炉624のより下の区域に配置される。バッフル642は、廃砂が砂出口626を通って出口に移動しなければならない、巡回経路を画定する。炉624における廃砂の残存時間は、廃砂が炉624を出る前に、それを精製、浄化、および再生するのに十分である。一側面では、炉624は、Consolidated Engineering Corporation(Kennesaw、Georgia)から入手可能な、Number one or Number Two Sand Lion(登録商標)下部炉モジュールである。しかし、本発明に従って、他の好適な炉を使用することが可能であると理解されたい。
【0080】
炉624内に備えられる流動化加熱システムは、1つ以上の加熱要素646を含み、図17乃至19において放射加熱管として示す。加熱要素646は、炉624の加熱区間に熱を補助的に加えて、炉のドアを開けて低温の鋳造物640を投入する間の熱損失を少なくとも部分的に補う。流動化加熱システムはまた、低温の鋳造物640に放射熱も提供することが可能である。概して、流動温度は、炉の加熱温度と同じにすることができる。流動化システムはまた、流動送風機(図示せず)を含み、流動化分配装置634に圧縮空気を提供することもできる。
【0081】
炉排気焼却装置628(図16)は、当業者には明らかなように、あらゆる好適な焼却装置とすることができる。例えば、焼却装置は、最高約825℃で約1秒保つように動作させて、一酸化炭素および揮発性有機化合物を大気に放出できるレベルまで燃焼させることが可能である。一側面では、焼却装置628の容量は、約6800Nm/Hである。別の側面では、焼却装置628は、厚さ約200mmの1260°セラミック繊維の側壁断熱材を含む。他の側面では、焼却装置628は、ガス調整および制御を行う上部載置型バーナー、検査ドア、またはその両方、および当業者に公知の機能を含む。内部混合バッフル、入口プロファイリングプレート、またはそれらを組み合わせたものは、焼却装置内の十分な速度および乱流の達成に使用することが可能である。
【0082】
同様に、熱交換器630は、当業者には明らかなように、あらゆる好適な熱交換器とすることが可能である。熱交換器630は、焼却装置628からの熱を使用して、少なくとも部分的に、流動化システムで使用すべき空気を加熱することが可能である。高温の汚れた気体は、概して、焼却装置接続ダクト648から熱交換器630に入り、排気ダクトを経て排出される。一側面では、熱交換器630は、全体寸法が約4000mm×2100mm×2100mm高さのU字管型交換機である。別の側面では、熱交換器の外部ケーシングは、構造用鋼支持体のほか、他の好適な材料の鋼板である。別の側面では、熱交換器の断熱材は、75mmのミネラルウールを裏張りしたキャスタブルMC25であり、天盤の断熱材は、セラミック繊維モジュールである。さらに別の側面では、熱交換器の管系の最前列は、インコロイ800HTで形成され、残りの列は、ステンレス鋼SA−249−304Lで形成される。管系は、平均壁厚が2.1mmで直径35mmとすることが可能である。プロセス空気管束の上部マニホールドは、6mm厚の304ステンレス鋼と、炭素鋼を組み合わせたものとすることが可能である。
【0083】
再生砂Rは、出口626から高温砂傾斜コンベア650に放出される。システム620では、約3乃至約10トン/h(例、約5トン/h)の炉624で処理された鋳造物から除去された砂型材料と、約5乃至約15トン/h(例、約10トン/h)の貯蔵部616からの廃砂とが生じ、それによって、総製造割合が約10乃至約20トン/h(例、約15トン/h)の精製砂が生じる。
【0084】
再生砂は、砂が事前選別、最終選別、および冷却される、下流のプロセスユニット内の他の砂と併用することができる。種々のポスト再生ステップは、総製造容量が約10乃至約20トン/h(例、約15時間)となりうる。
【0085】
例1
種々の炉が所定の温度に到達するために必要な時間を評価した。結果を表1および2に示す。
【0086】
【表1】

【0087】
【表2】

例2
メーカーA 2バルブI−4シリンダヘッドの鋳造物(モールドのままの状態)のコア抜きに必要な時間に関する種々のパラメータの影響を評価した。例1に記述されたCPHT炉は、1000°Fの設定値で使用した。結果を表3乃至5に示す。
【0088】
【表3】

【0089】
【表4】

【0090】
【表5】

例3
例1に記述したCPHT炉を使用して、種々のワークピースのコア抜きに必要な時間に関する温度の影響を評価した。結果を表6に示す。
【0091】
【表6】

例4
上述のCHPT炉を使用して種々の処理条件を評価した。第一に、サンプルのシリンダヘッド(コアを含む)を計量した。2つの異なるタイプのシリンダヘッドを評価した。タイプRは、メーカーD 4バルブI−4ディーゼルのシリンダヘッドである。タイプSは、メーカーD 4.6L 4バルブのシリンダヘッドである。各ワークピースには、熱電対を取り付けた。コア抜きを促進するため、鋳ばりには直径1/4インチ(25 mm)の複数の穴をあけた。各ワークピースは、CPHTユニット内で、約662°F(350℃)に予熱した(試験30は予熱せず)。
【0092】
次に、押湯を上にして書くワークピースを約40分間熱処理した(試験28は60分熱処理した)。炉の設定値は、約923°F(495℃)である。
【0093】
次いで、ワークピースを約12分(またはそれ以下)で176°F(80℃)に急冷して、急冷ユニットから取り除き、残りの遊離した砂を取り除くように操作した。遊離した砂の回収および計量を行い、外観を評価した。次いで、鋳造物をハンマーで叩き(衝撃を与え)、部分的に密着した状態で残存している可能性のあるコア砂を払い落として取り除く。また、払い落とした砂の回収および計量を行い、外観を評価した。結果を表7に示す。
【0094】
表8は、試験26乃至30の更なるデータを示す。表7より、浄化した開口部を有する本発明によるワークピース(表8)も、より多くのコア除去を達成できた(表7)ことがわかる。
【0095】
加えて、特定の試験に対して、各ワークピースの硬度を、得られたシリンダヘッド上の1つ以上の位置で測定した。結果を表9に示す。
【0096】
【表7】

【0097】
【表8】

【0098】
【表9】

したがって、当業者には、上述の発明を実施するための最良の形態を考慮すれば、本発明に、幅広い実用性および用途の可能性があることが明らかに理解されるだろう。多数のバリエーション、修正、および同等の機構とともに、本願明細書にて説明したもの以外の本発明の多数の改良は、本発明の本質および範囲から逸脱することなく、本発明および上述の発明を実施するための最良の形態によって、明らかとなるか、または合理的に提案されるだろう。
【0099】
本発明は、本願明細書において特定の側面に関して説明しているが、この発明を実施するための最良の形態は、本発明の例証および例示のみを意図したものであり、単に本発明の完全かつ可能な開示を行ったものであると理解されたい。本願明細書に記載された発明を実施するための最良の形態は、本発明を制限することを意図したものでも、本発明の当該の他の実施態様、適応、バリエーション、修正、および同等の構成を除外することを意図したものでもなく、本発明は、本願明細書に添付された請求項およびその同等物によってのみ制限されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−173171(P2011−173171A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−89633(P2011−89633)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【分割の表示】特願2007−539215(P2007−539215)の分割
【原出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(501239217)コンソリデイテッド エンジニアリング カンパニー, インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】