説明

高意匠性インモールド転写フィルムおよび高意匠性インモールド成型品

【課題】ホログラムや光輝性パターンの図柄を任意の部分に設けた、高意匠性インモールド転写フィルム、およびそれを用いた高意匠性インモールド成型品を提供する。
【解決手段】ホログラム転写フィルムや光輝性パターンの転写フィルムから、サーマルヘッドで印字して、ホログラムや光輝性パターンの図柄をインモールド転写フィルム上に形成することにより高意匠性インモールド転写フィルムをオンデマンドで製造する。カラーの図柄22はレジンタイプの溶融転写フィルムから、サーマルヘッドで印字して形成する。インモールド転写フィルム35上に形成されるホログラムや光輝性パターンの図柄21は高精細であり、100μm以下の細線や、75lpiの線数の網点画像を形成する。該高意匠性インモールド転写フィルム35を使用してインモールド成型することにより、高意匠性インモールド成型品を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高意匠性インモールド転写フィルムと高意匠性インモールド成型品に関し、高意匠性インモールド転写フィルムは、インモールド転写フィルムのベースフィルムに、ホログラム転写フィルムや光輝性パターンの転写フィルムからホログラムや光輝性パターンの図柄を転写し、さらにレジンタイプの溶融型転写フィルムでカラーまたはモノクロの図柄を転写して得るものである。また、該インモールド転写フィルムを使用してインモールド成型することにより、高意匠性インモールド成型品を得るものである。
本発明により、ホログラムや光輝性パターンの任意の図柄をインモールド転写フィルムの任意の部分に設けることが可能となり、従来にない高意匠性インモールド転写フィルムや高意匠性インモールド成型品を得ることができる。
【0002】
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。
【0003】
また、シート又はフィルムのJIS−K6900での定義では、シートとは薄く一般にその厚さが長さと幅のわりには小さい平らな製品をいい、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通例、ロールの形で供給されるものをいう。従って、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かではなく、明確に区別しにくいので、本明細書ではシートとフィルムの両方を含めて「フィルム」と定義する。
【0004】
光輝性パターンの「光輝性」とは、レリーフ形状がヘアライン柄、万線柄、マット柄、回折格子等であるようなマイクロオーダーのレリーフ形状で、反射層との作用で特異な光学的な意匠性を有する効果をいう。
【0005】
電離放射線とは、電磁波が有する量子エネルギーで区分する場合もあるが、本明細書では、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線を包含するものと定義する。従って、電離放射線としては、紫外線(UV)、可視光線、ガンマー線、X線、または電子線(EB)などが適用できるが、紫外線(UV)や電子線(EB)が好適である。電離放射線で硬化する電離放射線硬化性樹脂は、紫外線硬化の場合は光重合開始剤、及び/又は光重合促進剤を添加し、エネルギーの高い電子線硬化の場合は添加しないで良く、また、適正な触媒が存在すれば、熱エネルギーでも硬化できる。
なお、本明細書では、電離放射線硬化性樹脂とは電離放射線を照射しない硬化する前の前駆体であり、電離放射線を照射して硬化したものを電離放射線硬化樹脂と呼ぶ。
【背景技術】
【0006】
(従来技術の主なる用途)従来のインモールド転写フィルムと、該転写フィルムを使用して製造される成型品は、インテリア、装身具、自動車内部のパネル、ラジオ、テレビ、電卓、OA機器等の家庭電化製品などの意匠性が必要な製品を飾ることに利用されてきた、また住居内の床材、壁材、天井材などの加飾にも使われている。
【0007】
また、ホログラムは、偽造防止用途としてのセキュリティ性や、その他の高意匠性が必要とされる製品に、貼着や漉き込みなどで被転写体へ移行させることで、例えば、紙幣、株券、証券、証書、商品券、小切手、手形、入場券、通帳類、ギフト券、乗車券、車馬券、印紙、切手、鑑賞券、入場証、通行証、チケット等の金券類、キャッシュカード、クレジットカード、IDカード、プリペイドカード、メンバーズカード、ICカード、光カードなどのカード類、グリーティングカード、ハガキ、名刺、運転免許証、パスポート等の各種証明書やその他証明写真類、などに利用されてきた、さらに、回折格子などの光輝性パターンは、カートン、ケース、軟包装材などの包装材料、POP用品などの高意匠性包装製品に使用されてきた。
【0008】
(背景技術)インモールド成型は、ベースフィルムに剥離可能な図柄層を設けた転写フィルムを金型内に挿入し、射出成形時に高圧で注入された高熱に溶融した樹脂が冷却する過程で図柄層がベースフィルムより剥がれ、金型内で図柄層が成形品表面に転写される加飾方法である。したがって、金型から取り出した時点で、すでに加飾された製品が出来上がっている成型法である。
【0009】
溶融型転写フィルムは、一般的にはサーマルヘッドの熱で溶融するワックスを使用するが、本発明の場合、インモールド成型時には溶融した樹脂が高速でインモールド転写フィルム面に接触するため、ワックスが融けたり流動したりして、形成されていた図柄が毀損されてしまう。
レジンタイプの溶融転写材料は、もともとは各種カード類への記録に使われている。カード類は読み取り装置やゲートなどに出し入れされるため、記録された図柄や文字の耐久性が必要である。レジンタイプの溶融転写材料は耐久性があり、軟化することはあっても熱で融けることはないので本発明で使用される。通常では転写しにくい材料ではあるが、剥離層や接着層等を設けるなどの層構成により、サーマルヘッドで転写が可能となる。
【0010】
ホログラムは、一般に光の干渉パターンを記録したものであって、光源や見る角度に応じて色彩変化や三次元画像を視覚的に認識可能にしたものである。このホログラムの形成には高度な技術が必要とされ、またホログラム像の僅かな歪みも視覚的に容易に識別可能であることから、従来、物品の偽造や変造防止等を目的として利用されている。
また、ホログラムにはレリーフ型ホログラムと、体積型ホログラムがあり本発明に利用されるのはレリーフ型ホログラムである。レリーフ型ホログラムは、レーザー光線を物体に当てて反射してくる物体光と、レーザーの参照光が重なってできる干渉縞を、微小な凹凸に変換してその表面にアルミなどの反射層を蒸着したものである。光輝性パターンもマイクロオーダーのレリーフ形状で、反射層との作用で特異な光学的な意匠性を有する効果を持つ。そのため、包装材料に特殊な意匠を付与する方法として利用されてきた。
【0011】
(先行技術)従来、インモールド転写フィルムに形成されたホログラムや光輝性パターンを、成型品の曲面のほぼ全面に加飾することは試みられていた。例えば特許文献1に示すように、インモールド成型時のホログラム転写は立体物の曲面への転写である。平面への転写とは異なり立体物の曲面への転写では、高圧で射出成型される樹脂の温度は高温であるため、立体部分では溶融した高温の射出成型樹脂の流れと圧力によって、転写フィルムが伸張したり、シワができたり、画像が流れたりすることがある。また、熱や圧力でホログラムや光輝性パターンが白化するなどの問題があった。さらに、ホログラム自体の伸びや収縮は光回折効果を劣化させホログラムの輝度を低下させることになるという問題もある。
しかしながら特許文献1に記載のホログラムは、インモールド転写フィルム上にサーマルヘッドで転写されたものではなく、本発明を示唆する記述もない。
【0012】
また、カード類に部分的にホログラムを転写するためのパッチ転写媒体というものも検討されている。たとえば特許文献2には、基材上にハーフカット処理をしてパッチとされたホログラム転写媒体が記載されている。
しかしながら、転写の対象とするものはカード類の平面への転写であり、本発明のような、立体物の曲面への転写ではない。
さらに、ホログラムや回折格子などのレリーフ構造を、カード類などの物品にサーマルヘッドで転写できる転写フィルムは、例えば特許文献3に記載されている。しかしながら記載されている転写サイズの最小の面積は段落番号(0090)に記載されている0.04mm2の面積のドットであり、本発明のような高い解像度でホログラムや光輝性パターンの図柄を転写させるようなものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2010-214796号公報
【特許文献2】特開2010-162774号公報
【特許文献3】特開2004−98455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
インモールド成型でホログラムや光輝性パターンを成型品の全面に加飾する場合、これまでは既に転写フィルム上に形成された図柄以外には、任意の図柄を形成することはできず、意匠表現に制約があった。
また、パッチ状にハーフカットされたあらかじめ形状が決められたホログラムや光輝性パターンは、カード類などの平面上には転写できるが、スタンプ法で立体成型品に直接転写することはできなかった。また、スタンプでベースフィルムに転写することは可能であるが、別工程となりコストアップとなる。また曲面への熱転写プレス機の購入などの、初期費用も余分にかかることになる。
【0015】
さらに、カード類などの平面上にホログラムや光輝性パターンをサーマルヘッドで、ベタで転写可能なホログラム転写フィルムは存在するが、インモールド転写フィルムの任意の箇所に、ホログラムや光輝性パターンの任意の高解像度の図柄を、サーマルヘッドで転写することはできなかった。
【0016】
以上のようにこれまでは、オンデマンドで任意のカラー図柄や、ホログラムや光輝性パターンを、立体成型品に加飾することはできなかった。
そこで本発明はインモールド成型において、カラー図柄と共に高解像度のホログラムや光輝性パターンの図柄をインモールド転写フィルムの任意の部分に設けることにより、従来にない高意匠性インモールド転写フィルムを提供しようとするものである。また、該転写フィルムを利用して、高意匠性インモールド成型品を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によるインモールド転写フィルムは、基材上に、離型層、ハードコート層、接着層、図柄層を順次積層してなり、図柄層にはレジンタイプの溶融転写材料で形成された図柄と、レリーフタイプのホログラムの図柄または光輝性パターンの図柄があり、該図柄が、サーマルプリンタによってレジンタイプの溶融転写フィルムおよび、レリーフタイプのホログラム転写フィルム、または光輝性パターン転写フィルムから、転写された図柄であることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明によるインモールド転写フィルムは、基材上に、離型層、ハードコート層、接着層、図柄層を順次積層しており、図柄層にはレジンタイプの溶融転写材料で形成された図柄と、レリーフタイプのホログラムの図柄または光輝性パターンの図柄があり、該図柄が、サーマルプリンタによってレジンタイプの溶融転写フィルムおよび、レリーフタイプのホログラム転写フィルム、または光輝性パターン転写フィルムから、転写された図柄であり、レリーフタイプのホログラムの図柄または光輝性パターンの転写された図柄が、75lpiの網点で形成されていることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明によるインモールド転写フィルムは、基材上に、離型層、ハードコート層、接着層、図柄層を順次積層しており、図柄層にはレジンタイプの溶融転写材料で形成された図柄と、レリーフタイプのホログラムの図柄または光輝性パターンの図柄があり、該図柄が、サーマルプリンタによってレジンタイプの溶融転写フィルムおよび、レリーフタイプのホログラム転写フィルム、または光輝性パターン転写フィルムから転写された図柄であり、レリーフタイプのホログラムの図柄または光輝性パターンの転写された図柄のなかの細線のうち、幅が70μmから100μmの細線があることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明によるインモールド成型品は、レジンタイプの溶融転写材料で形成された図柄と、レリーフタイプのホログラムの図柄または光輝性パターンの図柄で加飾された成型品であって、インモールド転写時に収縮または延伸されずに、等倍で転写された箇所の図柄層において、レリーフタイプのホログラム図柄または光輝性パターンの図柄の網点が、75lpiの網点であることを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明によるインモールド成型品は、レジンタイプの溶融転写材料で形成された図柄と、レリーフタイプのホログラムの図柄または光輝性パターンの図柄で加飾された成型品であって、インモールド転写時に収縮または延伸された転写フィルムの箇所の図柄層において、レリーフタイプのホログラムの図柄または光輝性パターンの図柄の網点が、75lpiの網点解像度に、収縮または延伸された部分の線収縮率または線延伸率で割った網点解像度になっていることを特徴とするものである。
【0022】
上記の課題を解決するために本発明では、インモールド転写フィルムに図柄層を形成する方法として、サーマルプリンタを用いてレリーフタイプのホログラム転写フィルムや光輝性パターンの転写フィルムから、インモールド転写フィルムのベースフィルム31上に高解像度の図柄を転写し、ついでサーマルプリンタを用いてレジンタイプの溶融転写フィルムから、該ベースフィルム上にカラー図柄を転写することで、高い意匠性を持つインモールド転写フィルムを作ることができる。また、必要に応じて転写された図柄上に接着層を設けてもよい。
【0023】
上記転写フィルムを使って製造したインモールド成型品は、下記の構成で加飾されることになる。
成型樹脂/接着層(必要に応じ)/カラー図柄/ホログラムや光輝性パターンの図柄/接着層/ハードコート層
両図柄内にはそれぞれの転写フィルムにおける層構造が存在するが、ここでは省略している。その他、インモールド転写フィルムには必要に応じて、プライマー層、接着層、反射層、表面保護層などがあっても良い。
【0024】
レリーフタイプの該図柄が透明ホログラムや透明の光輝性パターンであれば、その下のレジンタイプの溶融転写の図柄が透明ホログラムや透明の光輝性パターンを透かして観察できる。
レリーフタイプの該図柄が不透明金属を蒸着した反射型ホログラムや反射型光輝性パターンであれば、反射ホログラムや反射型光輝性パターンの図柄を網点で形成するか、図柄の形成を全面ではなく部分的にすることにより、下に形成されている溶融転写材料の図柄を見ることができる。
【0025】
インモールド転写フィルムのベースフィルム(図1)(基材/離型層/ハードコート層/接着層)へ、図柄を転写する順序を逆にして、レジンタイプの溶融転写フィルムで先にカラーまたはモノクロの図柄を転写し、その後レリーフタイプのホログラムや光輝性パターンの図柄を転写すると、成型転写後は溶融転写材料の図柄が上面にでて、ホログラムや光輝性パターンの図柄が隠れてしまう。この場合も溶融転写材料の図柄を網点で形成するか、または、図柄の形成を全面ではなく部分的にすることにより、下に形成されているホログラムや光輝性パターンの図柄を見ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、任意のカラーまたはモノクロの図柄をオンデマンドでベースフィルムに転写できる。また、レリーフタイプのホログラムや光輝性パターンの図柄もオンデマンドで、高解像度の任意のパターンでインモールド転写フィルムのベースフィルムに転写することで、オンデマンドの図柄のインモールド転写フィルムを得ることができる。該転写フィルムを用いるインモールド成型で、世界に一つしかない加飾成型品を得ることができる。複数個必要な場合は必要な数だけ該転写フィルムを出力すればよい。
このようにして本発明では、任意のカラーやモノクロの図柄とホログラムや光輝性パターンの任意の図柄を持つ、高意匠性インモールド転写フィルムを得ることができる。該転写フィルムを用いるインモールド成型で、カラーまたはモノクロの図柄とホログラムや光輝性パターンの図柄で加飾された、従来にない高意匠性成型品を得ることができる。
【0027】
さらに、任意のカラーまたはモノクロの図柄とホログラムや光輝性パターンの任意のパターンの図柄以外にも、ベースフィルムにあらかじめ画像を印刷することにより、印刷画像と任意のカラーまたはモノクロの図柄、ホログラムや光輝性パターンの任意のパターンの図柄を組み合せた、表現力に富んだ意匠を成型品に加飾することができる。
【0028】
これまでにないさらに優れた効果として、レリーフタイプのホログラムや光輝性パターンの転写フィルム、サーマルヘッドで転写して得られる図柄は高い解像度をもち、従来にない意匠性を成型品にもたらすことができる。本発明においては、ホログラムや光輝性パターンの図柄を、100μm以下の細線でベースフィルムへの転写が可能であり、サーマルヘッドからみるとあい隣り合う2つの発熱素子でそのような細線が形成される。この時、発熱素子1つでは斜めの線や円などの細線が形成されない。例えば斜めの線は点線になってしまう。少なくとも2つのあい隣り合う発熱素子で細線を印字することにより、印字方向45度を含むあらゆる傾きの細線の記録が可能となる。
【0029】
そのような細線で形成されたホログラムや光輝性パターンの図柄は、成型品の形状に応じて光り方が変化し、かつ下地や他の色との輝度差によるくっきりした線文字を表現することが可能になった。このような細線を転写するには箔切れ性能が良好でなければならず、転写される材料の材質や厚みが重要である。
【0030】
さらに、網点で図柄を形成することで得られるこれまでにない効果は、網点面積率を変えることにより反射強度を変えられることである。
例えば、DNPという図柄を網点面積率70%で転写した場合と、網点面積率40%で転写した場合、同じDNPという図柄であっても反射強度が異なり、異なる意匠性を付与することができる。
本発明のように、ホログラムや光輝性パターンの図柄を75lpiの線数で、網点形状で転写することにより、成型品の形状に応じて光り方が変化し、かつ網点面積率に応じた輝度の制御が可能となり、ホログラムや光輝性パターンの図柄がカラーまたはモノクロの図柄の上部にあっても下地の色や画像を透けてみせることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】インモールド転写フィルムのベースフィルムの模式断面図である
【図2】ホログラム転写フィルムまたは光輝性パターンの転写フィルムの模式断面図である。
【図3】溶融転写フィルムの模式断面図である。
【図4】本発明の1実施例を示す、ホログラムや光輝性パターンの図柄を持つインモールド転写フィルムの模式断面図である。
【図5】本発明の1実施例を示す、ホログラムや光輝性パターンの図柄と、カラー図柄を持つインモールド転写フィルムの模式断面図である。
【図6】本発明の1実施例を示す、ホログラムや光輝性パターンの図柄と、カラー図柄と接着層を持つ、インモールド転写フィルムの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、インモールド転写フィルムのベースフィルム31の模式断面図である。1は接着層、2はハードコート層、3は離型層、4は基材である。
構成として、基材4/離型層3/ハードコート層2/接着層1、となる。
【0033】
図2は、ホログラムまたは光輝性パターンの転写フィルム32の模式断面図である。5は耐熱滑性層、6は基材、7は剥離層、8はホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層、9は接着層である。16は金属反射層または透明反射層である。
構成として、耐熱滑性層5/基材6/剥離層7/ホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層8/金属反射層または透明反射層16/接着層9、となる。
【0034】
図3は、溶融転写フィルム33の模式断面図であり、フィルム上に、例えばシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインキが、流れ方向に沿ってパターン上に繰り替えし印刷されたものである。10は耐熱滑性層、11は基材、12は剥離層、13はカラーインキ層で、4色のインキが塗りわけられている。
構成として、耐熱滑性層10/基材11/剥離層12/カラーインキ層13、となる。
転写時の接着性を改善するため、カラーインキ層の上に接着層を設けることもある。
【0035】
カラーインキの塗りわけ方法はこの図だけに限定されるものではなく、ブラックインキのないものなど任意にパターン化できる。また、同じフィルムに多色を塗り分けるのではなく、単色のインキを別々に塗布したものを次々に転写してもよい。
【0036】
図4は、インモールド転写フィルムのベースフィルム31上に、ホログラムや光輝性パターンの転写フィルム32から、任意の図柄21をサーマルプリンタで転写した、模式断面図である。
構成として、基材4/離型層3/ハードコート層2/接着層1/ホログラムや光輝性パターンの任意の図柄21、となる。
この構成のインモールド転写フィルムを使用して、インモールド成型すると、転写される図柄層は、ハードコート層2/接着層1/ホログラムや光輝性パターンの任意の図柄21、である。
【0037】
図5は、さらにその上に溶融転写フィルム33から、カラー図柄22を転写した時のインモールド転写フィルム34の模式断面図である。
構成として、基材4/離型層3/ハードコート層2/接着層1/ホログラムや光輝性パターンの任意の図柄21/カラー図柄22、である。
この構成のインモールド転写フィルムを使用して、インモールド成型すると、転写される図柄層は、ハードコート層2/接着層1/ホログラムや光輝性パターンの任意の図柄21/カラー図柄22、である。
【0038】
図6は、さらに接着層23を設けたインモールド転写フィルム35である。図5の34の形態でもインモールド転写は可能であるが、成型品樹脂との接着をより強固にするため、必要に応じて、接着樹脂転写フィルムから接着層を転写したインモールド転写フィルム35が好んで使用される。
構成として、基材4/離型層3/ハードコート層2/接着層1/ホログラムや光輝性パターンの図柄21/レジンタイプの溶融転写カラー図柄22/接着層23、である。
この構成において、転写される図柄層は、ハードコート層2/接着層1/ホログラムや光輝性パターンの図柄21/レジンタイプの溶融転写カラー図柄22/接着層23、である。
上記層構成のうち、ホログラムや光輝性パターンの図柄21と、レジンタイプの溶融転写カラー図柄22は、上下逆転してもよい。
【0039】
『インモールド転写フィルムのベースフィルム』
(基材)インモールド転写フィルムのベースフィルム31の基材4としては、耐熱性、機械的強度、製造に耐える機械的強度、耐溶剤性などがあれば、用途に応じて種々の材料が適用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン(登録商標)(登録商標)6などのポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリメチルメタアクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリカーボネート、セロファン、セルロースアセテートなどのセルロース系フィルム、などがある。好ましくは、耐熱性、機械的強度の点で、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂のフィルムで、ポリエチレンテレフタレートが最適である。該基材の厚さは、通常、2.5〜100μm程度が適用できるが、38〜75μmがインモールド転写フィルムの用途には好ましい。
【0040】
該基材4は、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(アロイを含む)、若しくは複数層からなる積層体であっても良い。また、該基材は、延伸フィルムでも、未延伸フィルムでも良いが、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムが好ましい。該基材は、塗布に先立って塗布面へ、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー(アンカーコート、接着促進剤、易接着剤とも呼ばれる)塗布処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、などの易接着処理を行ってもよい。また、必要に応じて、充填剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。
【0041】
(離型層)離型層3としては、離型性樹脂、離型剤を含んだ樹脂、電離放射線で架橋する硬化性樹脂などがあるが、本発明ではメラミン系樹脂を用いる。該メラミン系樹脂を用いることで、後述するハードコート層2との組み合わせで安定した剥離性を発揮する。
【0042】
離型層3の形成は、該樹脂を溶媒へ分散又は溶解して、ロールコート、グラビアコート、コンマコート、プレーコートなどの印刷又はコーティング方法で、塗布し乾燥して塗膜を形成する。また、必要であれば、温度30℃〜120℃で加熱乾燥、あるいはエージングしてもよい。離型層3の厚さとしては、通常は0.01μm〜5μm程度、好ましくは0.5μm〜3μm程度である。該厚さは薄ければ薄い程良いが、1μm以上であればより良い成膜が得られて剥離力が安定する。
【0043】
(ハードコート層)ハードコート層2の一例は、樹脂組成物(1)及び樹脂組成物(2)を含む組成物を電離放射線で硬化させてなる層である。
(樹脂組成物(1))樹脂組成物(1)は(イ)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(ロ)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(ハ)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーで、電離放射線硬化性を有するウレタン変性アクリレート樹脂である。好ましいウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、具体的には、MHX405ニス((株)DNPファインケミカル製、電離放射線硬化性樹脂商品名)、ユピマーUV・V3031(三菱化学(株)製、電離放射線硬化性樹脂商品名)が例示できる。
【0044】
(樹脂組成物(2))樹脂組成物(2)はエーテル単位又はエステル単位を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーから選択した1つ又は複数である。エーテル単位又はエステル単位を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを配合することで、電離放射線硬化性があり、しかも硬化後の皮膜は超軟質で、高伸度を有し、ゴム弾性を示し、ウレタンエラストマーに近似の引張り物性を与えられるので、電離放射線硬化後の23℃における破断伸度が5%以上とすることができる。
【0045】
(エーテル単位)エーテル単位を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、耐熱性のあるオリゴマーであればよく、例えば、日本合成化学工業株式会社の商品名;紫光6630B、7510B、7630Bなどが例示できる。含有させる質量基準での割合としては、樹脂組成物(1)の100部に対して10〜30部程度、好ましくは15〜25部である。この範囲未満では耐熱性が不足し、この範囲を超えては耐熱性はよいが、ヒビ割れしやすい。
【0046】
(エステル単位)エステル単位を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、日本合成化学工業株式会社製の商品名、紫光UV3520EAなどが例示できる。 エステル単位を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることで、熱白化しない耐熱性と、立体面へ追従し割れにくい柔軟性をより向上させることができる。しかも、インモールド射出成形の際にもバリの発生が少なく、多くの矛盾点を解消することができる。
【0047】
該エステル単位を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、電離放射線硬化性で、硬化後の皮膜は超軟質で、高伸度を有し、ゴム弾性を示し、ウレタンエラストマーに近似の引張り物性を有するので、電離放射線硬化後の23℃における破断伸度が5%以上とすることができる。また、引き裂き強度、耐割れ性に優れるので、インモールド射出成形法でも、立体面へ追従し、立体成形品の表面へ転写させることができる。しかも、耐熱性も合わせ持っているので、インモールド射出成形時の熱で白化しないので、エステル単位を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの方が、硬化後の皮膜が超軟質でゴム弾性を示し、しかも、耐熱性も合わせ持っているので好ましい。
【0048】
エステル単位を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有させる質量基準での割合としては、前記(1)成分のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー100部に対して10〜45部程度、好ましくは15〜30部である。この範囲未満では高温で白化しやすく、この範囲を超えてはエンボス版への貼り付き、転写時にバリが発生しやすい。
【0049】
ハードコート層2を樹脂組成物(1)、樹脂組成物(2)及び必要に応じてフィラーを含む組成物を含む層とすることで、次の効果を奏する。電離放射線硬化前の塗布状態のハードコート層2の塗膜は指乾状態でべとつかず、ブロッキングせずに巻き取ることができるので、ロールツーロール加工ができる。
【0050】
転写後のハードコート層2は最表面層となり、極めて過酷な環境での使用、長期間にわたる使用においても、溶剤、機械的な摩擦、及び摩耗からカラーの図柄やホログラムや光輝性パターンの図柄を保護し、傷付きにくく耐久性に優れる。また、ハードコート層2はメラミン系樹脂を用いた離型層3と界面を接しているので、安定した剥離性を有し、転写時には箔切れがよく、バリなどの発生も極めて少なくすることができる。
【0051】
(ハードコート層の形成)ハードコート層2の形成は、前述の樹脂組成物(1)及び樹脂組成物(2)成分と、必要に応じて、光重合開始剤、可塑剤、安定剤、界面活性剤等を加え、溶媒へ分散または溶解して、ロールコート、グラビアコート、コンマコート、ダイコートなどの公知のコーティング方法で塗布し乾燥した後に、電離放射線で反応(硬化)させればよい。
ハードコート層2の好ましい厚さは2μm〜10μmである。
【0052】
接着層1はアクリル樹脂以外にも、接着性を向上させるために塩酢ビ樹脂やポリエステル樹脂を添加してもよい。接着層の厚みは0.5μm〜1.0μmが好ましい。
【0053】
『ホログラムや光輝性パターンの転写フィルム』
次にホログラムや光輝性パターンの転写フィルムについて述べる
ホログラムや光輝性パターンの転写フィルム32の層構成は下記のとおり。
耐熱滑性層5/基材6/剥離層7/ホログラムを形成する樹脂層8/反射層16/接着層9
ホログラムや光輝性パターンの転写フィルム32の構成で、剥離層7とホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層8の材料として、ほぼ同じ樹脂の樹脂組成物を用いることで、剥離層7とホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層8の破断伸度をほぼ同じにすることができ、サーマルヘッドで転写する際の箔切れ性がよくなる。
【0054】
また、インモールド転写フィルムのベースフィルム31のハードコート層2も同様の樹脂組成とすることで、インモールド転写フィルムのハードコート層2及び、ホログラム転写フィルムの、剥離層7とホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層8をほぼ同じ樹脂組成物にすることにより、インモールド用転写フィルム34、35を用いて射出成型した成型品は、ハードコート層2、剥離層7、ホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層8の伸びが安定して層間での剥離もなく、熱で白化しない耐熱性と、立体面へよく追従して割れなどが少ない意匠性の高いホログラムや光輝性パターンが得られる。
【0055】
(基材)本発明のホログラムや光輝性パターンの転写フィルム32に用いられる基材7としては、従来のホログラム転写シートに使用されているものと同じ基材をそのまま用いることができる。好ましい基材の具体例としては、グラシン紙、コンデンサー紙またはパラフィン紙等の薄紙、あるいは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトンもしくはポリエーテルサルホン等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテンまたはアイオノマー等のプラスチックの延伸または未延伸フィルムが挙げられる。また、これらの材料を2種以上積層した複合フィルムも使用することができる。
しかしながら、本発明のように高い解像度でサーマルヘッドで転写する場合には、ポリエチレンテレフタレートフィルムが最適で、基材の厚さは、その強度および耐熱性等が適切になるように選択することで、通常は4.5〜12μm程度のものが好ましく用いられる。
【0056】
(剥離層)剥離層7を構成する樹脂としては、具体的にはポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエーテル樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、その他、セルロース誘導体等があり、また塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ノルボルネン系水添樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)やポリエーテルケトン樹脂(PEK)等のポリエーテルケトン類、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂等が挙げられ、これらは単独、或いは混合物として用いてもよい。
通常は、アクリル系樹脂に塩酢ビ樹脂を添加して混合したものが良好で、基材6とホログラムを形成する樹脂8との箔もちをよくすることができる。
高精細にサーマルヘッドで転写するためには、剥離層とホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層は同一の種類の樹脂であることが望ましい。全く同一ということは必要ではなく、樹脂の基本骨格や硬化の反応機構が同じで、同種類の親和性の高い樹脂であればよい。サーマルヘッドでの転写で、高い解像度を得るためには重要なポイントである。
【0057】
該剥離層組成物(インキ)を、公知のコーティング法又は印刷法で塗布し乾燥する。コ
ーティング法としては、例えば、ロールコート、リバースロールコート、トランスファー
ロールコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、などが適用できる。この剥離
層の厚さは、通常は乾燥時で0.1μm〜10μm程度、好ましくは0.2μm〜0.5μmである。剥離層と後述するホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層は、互いに親和性のある樹脂群より選択され、剥離層とホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層は一緒に転写されるので、高い解像度をえるためには2つの層の厚みの合計は1.0μm前後であることが好ましい。
【0058】
(ホログラムや光輝性パターンの種類)
本発明のホログラム転写フィルムにおけるホログラムや光輝性パターンは、合成樹脂層の片面に、レリーフホログラムの微細凹凸が形成された層である。
元となるホログラムの種類にはいろいろあり、レリーフホログラム、フルネルホログラム、レーザー再生ホログラム(イメージホログラムなど)、白色光再生ホログラム(レインボーホログラムや光輝性パターン)、カラーホログラム、コンピュータホログラム、ホログラフィック回折格子等が挙げられる。
光輝性パターンは、レリーフ形状がヘアライン柄、万線柄、マット柄、回折格子等であるようなマイクロオーダーのレリーフ形状で、反射層との作用で特異な光学的な意匠性を有する効果をいう。これもホログラムと同様の微細凹凸が形成された層である。
【0059】
(ホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層)ホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層8を構成する合成樹脂としては、射出成型時の高温、高圧に耐えるためには硬化性樹脂が好ましい。
ホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層8としては、インモールド転写フィルムのベースフィルム31のハードコート層2に使用した、樹脂組成物(1)及び樹脂組成物(2)を使うことも可能であり、加えて(3)のシリコーンオイル又は反応性シリコーンを添加した組成物を電離放射線で硬化させてなる層とすることもできる。しかしながら、特に樹脂組成物(1)や樹脂組成物(2)の混合物に限定されることはない。一例としてウレタン変性アクリレート樹脂をベースとする硬化性樹脂が利用できる。
【0060】
シリコーン(3)としては、シリコーンオイル又は反応性シリコーンである。反応性シリコーンは電離放射線で硬化時に樹脂と反応し結合して一体化したり、一部は反応せずに残留するものもある。該反応性シリコーンとしてはアクリル変性、メタクリル変性、又はエポキシ変性などで変性した反応性シリコーンで、該反応性シリコーンを含有させる質量基準での割合としては、前記(1)と(2)成分の合計100部に対して、0.1〜10質量部程度、好ましくは0.3〜5質量部である。この範囲未満ではレリーフの賦型時にプレススタンパとの剥離が不十分であり、密着したり、版に転移したり、逆にプレススタンパを汚染したりして、賦型できなかったり、賦型性が悪かったりする。また、この範囲を超えてはホログラム層面への金属反射層の密着性が低く、ホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層8と金属反射層との間で剥離し商品価値を失ってしまう。
【0061】
ホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層8、を樹脂組成物(1)樹脂組成物(2)及びシリコーン(3)を含む組成物を電離放射線で硬化させてなる層とすることで、次の効果を奏する。(A)電離放射線硬化前の塗布状態のホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層8の塗膜は指乾状態でべとつかず、ブロッキングせずに巻き取ることができるので、ロールツーロール加工ができる。(B)ホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層8へはシリコーンを含ませることで、賦型性がよいので、レリーフ構造を容易に賦型でき、賦型後に電離放射線で硬化できる。また、ホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層8は伸縮が大きな立体的な成形品へ転写しても、伸縮へ追従性がよく、割れや白化などのホログラムや光輝性パターンの効果の低下が少ない意匠性に優れたホログラムや光輝性パターンを立体面へ転写することができる。
【0062】
ホログラムや光輝性パターンの微小レリーフの形成は、前記剥離層の上に上記の(1)、(2)、(3)及び、必要に応じて(4)成分として、光重合開始剤、可塑剤、安定剤、界面活性剤等を加え、溶媒へ分散または溶解して、ロールコート、グラビアコート、コンマコート、ダイコートなどの公知のコーティング方法で塗布し乾燥した後、レリーフを賦型する、レリーフの賦型は電離放射線で反応(硬化)させる前に行う。ホログラムや光輝性パターンを形成する層の厚みは0.3μm〜2.0μm程度であり、前記剥離層3とあわせて0.5μm〜2.0μm程度の厚みが解像度よく転写するのに適切である。より好ましいのは、ホログラムや光輝性パターンを形成する層の厚みと前記剥離層の厚みを合わせて0.8μm〜1.2μmであり、最も好ましいのは1.0μmである。合計の厚みが0.5μm以下ではホログラムや光輝性パターンが観察しにくくなり、合計の厚みが2.0μmを越えると材料構成や要求性能にもよるが解像度よく転写することが難しくなる。
【0063】
(ホログラムや光輝性パターンの形成と硬化)次に、ホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層8の表面には、ホログラムなどの光回折効果の発現する所定のレリーフ構造を賦型し、硬化させる。
通常、ホログラムは物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラムや光輝性パターンのレーザー再生ホログラム、及びレインボーホログラムや光輝性パターンの白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などがある。レリーフ形状は凹凸形状であり、特にホログラムに限定されるものではなく、微細な凹凸形状を有する光拡散、光散乱、光反射、光回折などの機能を発現するものでもよく、例えば、フーリエ変換やレンチキュラーレンズ、光回折パターン、モスアイ、が形成されたものがある。また、光回折機能はないが、特異な光輝性を発現するヘアライン柄、マット柄、万線柄、干渉パターンなどでもよい。
【0064】
これらのレリーフ形状の作製方法としてはホログラム撮影記録手段を利用して作製されたホログラムや回折格子の他に、干渉や回折という光学計算に基づいて電子線描画装置等を用いて作製されたホログラムや回折格子をあげることもできる。また、ヘアライン柄や万線柄のような比較的大きなパターンなどは機械切削法でもよい。これらのホログラムや回折格子を単一に、若しくは多重に記録しても、組み合わせて記録しても良い。これらの原版は公知の材料、方法で作成することができ、通常、感光性材料を塗布したガラス板を用いたレーザー光干渉法、電子線レジスト材料を塗布したガラス板に電子線描画装置を用いてパターン作製する電子線描画法をなどが適用できる。
【0065】
(レリーフの賦型)ホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層8面へ、上記のレリーフ形状を賦形(複製ともいう)する。ホログラムの賦型は、公知の方法によって形成でき、例えば、回折格子やホログラムの干渉縞を表面凹凸のレリーフとして記録する場合には、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型(スタンパという)として用い、上記樹脂層上に前記原版を重ねて加熱ロールなどの適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。
【0066】
(レリーフの硬化)ホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層8は、スタンパでエンボス中、又はエンボス後に、電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂を硬化させる。上記の電離放射線硬化性樹脂は、レリーフを形成後に、電離放射線を照射して硬化(反応)させると電離放射線硬化樹脂ホログラムや光輝性パターンとなる。同時に剥離層7も硬化させると、二つの層が一体化され箔切れ性は向上する。
【0067】
(レリーフの絵柄)ホログラムや光輝性パターンの絵柄を擬似連続絵柄とすることが好ましい。擬似連続絵柄はプレス型(スタンパという)を作成する際に、小さなレリーフ版の複数を、精度よく突合せてつなぎ目を目立たなくしたり、つなぎ目を樹脂で埋めたりすればよい。このように、擬似連続絵柄とすることで、できるだけ大きな面積、又は好ましくは全面とすることもできる。大面積又は全面のホログラム絵柄を背景とし他の任意な印刷絵柄と、同調させたり、合わせたりして、さらなる特異な意匠性を向上させることができる。
【0068】
(金属反射層と透明反射層)金属反射層または透明反射層16は、所定のレリーフ構造を設けたホログラムや光輝性パターンのパターン面のレリーフ面へ、設けることができる。光を反射する金属薄膜を用いると不透明タイプのホログラムとなり、透明な物質でレリーフ形成層と屈折率差がある場合は透明タイプとなるが、いずれも本発明に使用できる。反射層は、昇華、真空蒸着、スパッタリング、反応性スパッタリング、イオンプレーティング、電気メッキ等の公知の方法で形成可能である。
【0069】
(金属反射層)不透明タイプのホログラムを形成する金属薄膜層としては、例えば、Cr、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Ge、Al、Mg、Sb、Pb、Pd、Cd、Bi、Sn、Se、In、Ga、Rb等の金属及びその酸化物、窒化物等を単独若しくは2種類以上組み合わせて形成される薄膜である。上記金属薄膜層の中でもAl、Cr、Ni、Ag、Au等が特に好ましく、その膜厚は1〜10,000nm、望ましくは20〜200nmの範囲である。
【0070】
(透明反射層)透明反射層は、レリーフの反射及び/又は回折効果を高めるので、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率がホログラムや光輝性パターン硬化層の屈折率とは異なることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラムなどの光輝性を視認できるから、透明なホログラムや光輝性パターンを作製することができる。
透明タイプのホログラムを形成する透明反射層は、ホログラム効果を発現できる光透過性のものであれば、いかなる材料のものも使用できる。例えば、レリーフ形成層の樹脂と屈折率の異なる透明材料が挙げられる。この場合の屈折率はレリーフ形成層の樹脂の屈折率より大きくても、小さくてもよいが、屈折率の差は0.1以上が好ましく、より好ましくは0.5以上であり、1.0以上が最適である。好適に使用される透明タイプ反射層としては、酸化チタン(TiO2)、硫化亜鉛(ZnS)、Cu・Al複合金属酸化物等が挙げられる。
【0071】
例えば、ホログラムや光輝性パターンが形成された層8よりも光屈折率の高い薄膜、および光屈折率の低い薄膜とがあり、前者の例としては、ZnS、TiO2、Al23、Sb23、SiO、SnO2、ITO等があり、後者の例としては、LiF、MgF2、AlF3がある。好ましくは、金属酸化物又は窒化物であり、具体的には、Be、Mg、Ca、Cr、Mn、Cu、Ag、Al、Sn、In、Te、Fe、Co、Zn、Ge、Pb、Cd、Bi、Se、Ga、Rb、Sb、Pb、Ni、Sr、Ba、La、Ce、Au等の酸化物又は窒化物他はそれらを2種以上混合したもの等が例示できる。またアルミニウム等の一般的な光反射性の金属薄膜も、厚みが200Å以下になると、透明性が出て使用できる。透明金属化合物の形成は、金属の薄膜と同様、ホログラムや光輝性パターンが形成された層8のレリーフ面に、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVDなどの真空薄膜法などにより設ければよい。
【0072】
(接着層)接着層9は、ホログラムや光輝性パターンの図柄を被転写体と強固に接着させるためのものであり、公知の加熱されると溶融または軟化して接着効果を発揮する感熱接着剤が適用でき、その材質は、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、アセタール樹脂、ブチラール樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂、ゴム系樹脂、アイオノマー樹脂等の従来の接着剤として既知のものが広く使用できる。また必要に応じて、各種添加剤を加えて、有機溶媒へ溶解又は分散させて、接着層組成物(インキ)を用意して、公知のコーティング法又は印刷法で塗布し乾燥して、形成できる。接着層は、その膜厚は0.1μm〜50μm、望ましくは0.5μm〜1.5μmであることが好ましい。尚、被転写体表面が感熱接着性を有した材質であれば、接着層を設ける必要は無いが、高解像度で転写するためには、ホログラム転写フィルムや光輝性パターン転写フィルムおよび、被転写体となるインモールド転写フィルムのベースフィルムの両方に接着層があることが望ましい。
【0073】
(耐熱滑性層)ホログラム転写フィルムや光輝性パターン転写フィルムでは、必要に応じて、基材の裏面、すなわち少なくとも剥離層、レリーフ形成層、反射層、接着層の転写層の設けてある面と反対面に、転写層を被転写体へ転写する手段としてのサーマルヘッドの熱によるスティッキングやシワ等の悪影響を防止するために、耐熱滑性層5を設けることができる。耐熱滑性層を形成する樹脂としては、従来公知のものであればよく、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アクリルポリオール樹脂、ポリウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、ポリエーテルアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタン樹脂又はエポキシ樹脂のプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセトプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
【0074】
これらの樹脂からなる耐熱滑性層5に添加、あるいは上塗りする滑り性付与剤としては、燐酸エステル、シリコーンオイル、グラファイトパウダー、シリコーン系グラフトポリマー、フッ素系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等のシリコーン重合体が挙げられるが、好ましくは、ポリオール、例えば、ポリアルコール高分子化合物とポリイソシアネート化合物及び燐酸エステル系化合物からなる層であり、更に有機フィラー等の充填剤を添加することがより好ましい。耐熱滑性層は、上記に記載した樹脂、滑り性付与剤、更に充填剤を、適当な溶剤により、溶解又は分散させて、耐熱滑性層形成用インキを調製し、これを、上記の基材の裏面に、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースコーティング法等の形成手段により塗布し、乾燥して形成することができる。
【0075】
『感熱転写材料』
(レジンタイプの感熱転写材料)通常の溶融転写材料は、加熱印字時に溶融して転写するワックスタイプが主流であるが、本発明のインモールド転写時には、高温で高圧の溶融した樹脂が転写フィルムに直接接触するので、ワックスで形成された画像は流れてしまう。
そのため、本発明のインモールド転写フィルムに用いる感熱転写材料は、レジンタイプの溶融転写材料を用いる。
レジンタイプの溶融転写材料はいろいろ提案されているが、例えばポリエステルフィルムのような基材の上に剥離層、着色インク層を積層することで得られる。
【0076】
(剥離層)剥離層としてはアクリル樹脂が使用される。基材との接着性を改善し箔もちをよくするために、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂やポリエステル樹脂が添加される。
適切な厚みは乾燥重量で0.7〜1.2g/m2で、最適な厚みは0.8g/m2である。
【0077】
(耐熱層)
剥離層が設けられた基材の反対側には、サーマルヘッドの熱で基材が破損されないように耐熱層を設ける。アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン微粒子、金属石鹸などを必要に応じ配合する。適切な厚みは乾燥重量で0.2〜0.5g/m2である。最適な厚みは0.3g/m2である。
【0078】
(着色インキ層)上記の基材フィルムの上に剥離層を介して形成される着色インキ層は、樹脂バインダーと着色剤及び必要に応じて、分散剤、帯電防止剤など、種々の添加剤を加えた塗布液から形成する。上記の樹脂バインダーとしては、天然樹脂、又はその誘導体、天然又は合成ゴム及びその誘導体、繊維素及びその誘導体、常温では固体状の溶剤可溶の合成樹脂、オリゴマー等の中から適宜に選択し、必要に応じて可塑剤、界面活性剤、滑剤、流動性調整剤等の助剤を加えることもできる。具体的な樹脂成分は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂、スチレン・アクリル樹脂、スチレン樹脂、アイオノマー、スチレン・アクリロニトリル樹脂、アミド樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリプロピレン、セルロース誘導体、塩化ゴム、環化ゴム等がある。これらのなかでも、塩素化ポリプロピレン、アクリル樹脂を、主バインダーとしたものは熱転写時の膜切れもよく好ましく使用できる。着色剤として、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、ホワイトなどの各着色剤が、従来公知の染料、顔料より適宜選択可能である。
適切な厚みは乾燥重量で0.4〜1.0g/m2である。最適な厚みは0.6g/m2である。
【0079】
『サーマルヘッド』
使用するサーマルヘッドとしては、市販の適切なサーマルヘッドが利用できる。本発明に使用したサーマルヘッドについて説明するが、特に他のサーマルヘッドの使用を妨げるものではない。
本発明で使用したサーマルヘッドAの発熱素子の仕様は以下の通り
記録幅 357.3mm
発熱素子数 8448ドット
発熱素子ピッチ 0.0423mm
解像度 600dpi (23.64ドット/mm)
発熱素子サイズ
横幅 0.029mm
縦幅 0.076mm
【0080】
600dpiの解像度で記録できるサーマルヘッドは、市販のサーマルヘッドとしては最高の解像度である。1200dpiのサーマルヘッドも試作レベルでは存在するが、大量に購入できるものとしては600dpiが最高である。それ以下では300dpiの解像度となる。半導体の製造と同じで、サーマルヘッドの記録解像度は倍々の数字で解像度があがりその中間はない。
この高解像度のサーマルヘッドと、高解像度で転写が可能な本発明のホログラム転写フィルムや光輝性パターン転写フィルムの組み合わせで、これまでにない高解像度の網点を記録することができる。本発明ではホログラムや光輝性パターンの図柄を75lpiの線数で網点表現が可能である。これまではこのような高解像度でホログラムや光輝性パターンの網点を転写することはできなかった。
【0081】
網点を形成する方法として、横幅方向に8ドットの発熱素子群に分けて、8ドットでひとつの網点を打たせるように、駆動信号をコントロールする。印字の流れ方向には縦方向に4ドット印字して、横8ドット、縦4ドットの印字サイズでひとつの網点を形成させたとすると、理論上は32階調の網点画像が形成できる。
送りピッチを勘案すればより多くの階調も表現可能である。
転写される網点の最大サイズは、
横幅= 0.0423mm(発熱素子ピッチ)×8=0.3384mm
であり、網点の縦の長さは、ドット間隔を開けない送りピッチで印字すると、
縦長さ=0.076×4=0.304mm
となる。つまり、横幅0.338mm、縦長0.304mmの範囲で網点画像を印字できる。通常は、一つのドットを印字して網点のサイズを変化させて階調を表現する。あるいは、ランダムな小ドットを上記範囲内で印字した合計の面積で、階調を表現することも可能である。
【0082】
インチ当たりの網点の線数は計算上75.06lpiとなり、
25.4mm÷0.3384mm=75.06lpi
有効数字を考慮すれば75lpiの線数の網点の図柄の転写が可能であるといってよい。 1網点の横幅の発熱素子のドット数を多くすれば、さらに高階調の図柄が転写されるが 線数は75lpiより解像度は落ちる。
サーマルヘッドの発熱素子のサイズが大きくなれば、当然ながら網点の線数は75lpiより印刷の解像度は落ちる。
【0083】
本発明では、レリーフタイプのホログラムや光輝性パターンの転写フィルムから100μm以下の細線で、ベースフィルムへの転写が可能である。これは本発明に使用するホログラム転写フィルムや光輝性パターンの転写フィルムと、インモールド転写フィルムのベースフィルムの組み合わせで可能となる。
サーマルヘッドで細線を記録する場合、必ずあい隣り合う2つの発熱素子で細線を記録する必要がある。それは線を記録する方向が転写フィルムの送り方向だけではなく、送り方向と角度を持つ線も存在するからである。特に転写フィルムの送り方向と45度の角度をなす細線は、1つの発熱素子では切れ切れの点線になるため、必ずあい隣り合う2つの発熱素子で細線を記録する必要がある。
【0084】
記録される細線の幅は、転写フィルムの送り方向では2つの発熱素子の幅と、発熱素子間の間隔を加えたものである。理論上は
ドット間の発熱しない部分と、発熱素子1ドットを加えたものが発熱素子ピッチであるから、
1ドット+隣接ドット間隔=発熱素子ピッチ=0.0423mm
そうすると発熱素子2ドットと隣接ドットの間隔を加えると、
2ドット+隣接ドット間隔=0.0423+0.029=0.0713mm
理論上の転写フィルムの送り方向では理論値71.3μmの幅の細線となる。
転写フィルムの送り方向と45度をなす細線の幅の理論値は、
71.3μm×√2=100.8μm
となる。
【0085】
サーマルヘッドの記録特性として、発熱素子の端の温度は発熱素子の中央に比べて温度は低くなるので、発熱素子の端部は転写しにくくなる。そのため、実際に転写される細線はドットを繋げたような形状となり、発熱素子中央部で太く、端部で細くなる。
本発明においても、あい隣り合う2つの発熱素子で記録される細線は70μm〜100μmであった。
【0086】
転写フィルムのベースフィルム(31)上に、ホログラムや光輝性パターンの図柄を高精細な線幅で転写することはこれまでできなかった。また、ホログラムや光輝性パターンの図柄を高階調の網点で転写することはできなかった。
さらに、ホログラムや光輝性パターンの図柄とレジンタイプのカラー図柄を合わせて、インモールド成型した成型品上に転写して、高意匠性の成型品を得ることはこれまではできなかった。
【0087】
このような、高精細の記録が可能になった理由の一つは、ホログラムや光輝性パターンの転写フィルムに転写時の接着性を向上させるために接着層を設け、さらに被転写体となるインモールド転写フィルムのベースフィルムにも、接着性を向上させるために接着層を設けてある点にある。転写フィルムと被転写体の両方に接着層があることが一つの大きな要件である。
【0088】
また、ホログラム転写フィルムや光輝性パターン転写フィルムの、剥離層とホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層が、ほぼ同じ樹脂の樹脂組成物を用いること、あるいは互いに親和性のある樹脂群より選択されることで、ホログラムの賦形性能とインクリボンの箔切れ性能を両立させた。また、剥離層とホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層は一緒に転写されるので、高い解像度をえるためには2つの層の厚みの合計は0.8μm〜1.2μmであることが好ましい。特に好ましいのは剥離層とホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層の厚みの合計は1.0μmである。
【0089】
細線や網点で形成された図柄は、成型品の形状に応じて光り方が変化し、かつ下地や他の色との輝度差によるコントラストが印象的である。
しかも、得られる図柄はオンデマンドの任意の画像であり、必要な製品だけをつくれるので省資源の社会の流れにもあっている。
【0090】
(実施例1)
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるも
のではない。
『インモールド転写フィルムのベースフィルム』
(離型層とハードコート層)
基材4として厚さ50μmのPETフィルムを用い、該基材4の一方の面へ、グラビアコート法で、TCM01メジューム(大日本インキ社製、メラミン樹脂商品名)塗工液を乾燥後膜厚2μmになるように塗布し乾燥して、180℃20秒間焼き付けて、離型層3を形成した。
該離型層3面へ、下記のハードコート層塗工液をグラビアリバースコーターで乾燥後の厚さが5μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて、未硬化のハードコート層2とした。
【0091】
<ハードコート層の塗工液組成>
MHX405ニス(株式会社DNPファインケミカル製) 80部
紫光UV3520EA(日本合成化学工業株式会社製、エステル単位含有)20部
ポリエチレンワックス(平均粒径5μm) 4部
光重合開始剤(商品名イルガキュア184) 5部
溶媒(メチルイソブチルケトン:トルエン=1:1) 300部
【0092】
次に、この未硬化のハードコート層14面へ、下記のプライマー層塗工液をグラビアコーターで乾燥後の厚さが0.2μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて、プライマー層とした。
<プライマー層塗工液組成>
酢酸ビニル塩化ビニル共重合樹脂 10部
ポリエステル系樹脂 10部
溶媒(トルエン:酢酸エチル=1:1) 80部
【0093】
次に、プライマー層面へ、下記の接着層樹塗工液をグラビアリバースコーターで乾燥後の厚さが1μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて、接着層1を形成した。
<接着層の塗工液組成>
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 30部
アクリル樹脂 10部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 70部
その後、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させて、ハードコート層2を形成した。
【0094】
『ホログラム転写フィルムや光輝性パターンの転写フィルム』
厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)製、ルミラー)を基材とし、その一方の面に、剥離層、ホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層、透明反射層、接着層を順次、以下の条件にて、積層させてホログラムや光輝性パターンの転写フィルムを作製した。但し、基材の他方の面には、下記組成の耐熱滑性層塗工液により、グラビアコーティングにより、乾燥時1.0μmの厚さになるように塗布、乾燥して、耐熱滑性層5を予め形成しておいた。
<耐熱滑性層の塗工液組成>
スチレン−アクリルニトリル共重合体 18部
(ダイセル化学工業株式会社製:セビアンNA)
ポリエステル樹脂(ユニチカ株式会社製:エリーテルUE−3200) 1部
ジンクステアリンホスフェート(堺化学工業株式会社製:LBT−1830) 9部
尿素樹脂架橋粉末(有機フィラー、粒径0.14μm:日本化成株式会社製) 9部
メラミン樹脂架橋粉末 4 .5部
(株式会社日本触媒製:エポスターS、粒径0.3μm)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 80部
【0095】
(剥離層)
<剥離層の塗工液組成>
MHX405ニス(株式会社DNPファインケミカル製) 80部
紫光UV3520EA(日本合成化学工業株式会社製、エステル単位含有) 20部
熱可塑性樹脂(ポリエステル、バイロン29SS) 2部 (東洋紡績株式会社製)
光重合開始剤 (商品名イルガキュア184) 5部
溶媒(メチルイソブチルケトン:トルエン=1:1) 300部
剥離層は、上記組成の剥離層塗工液により、グラビアコーティングにより、乾燥時0.5μmの厚さになるように塗布、乾燥して形成した。
【0096】
(ホログラムを形成する樹脂層)
<レリーフ形成用塗工液組成>
MHX405ニス(株式会社DNPファインケミカル製) 80部
紫光UV3520EA(日本合成化学工業株式会社製、エステル単位含有) 20部
反応性シリコーン(信越化学工業(株)製、商品名X−22−2445)0.15部
光重合開始剤 (商品名イルガキュア184) 5部
溶媒(メチルイソブチルケトン:トルエン=1:1) 300部
上記のレリーフ形成用塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥後の厚さが0.5μmになるように、塗工し100℃で乾燥させた。
乾燥した層は電離放射線硬化前であり、塗膜は粘着性ではなかった。
【0097】
(レリーフの賦型と硬化)
電子線描画で回折格子の線を描画したレジストを現像してマスターを得、周知の方法でプレス型を作成した。プレス型を複製装置のエンボスローラーに貼着して、ホログラムを形成する層へ、相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して離型層と光輝性パターンのレリーフ層を硬化させた。また、物体光と参照光を結像させたホログラムの画像を得、マスターを得た後、以後同様にしてホログラムレリーフ像を得た。
【0098】
(透明反射層の蒸着)
さらに、上記のホログラムや光輝性パターンのレリーフ層の上に、TiO2を真空蒸着法により、厚さ500Åの透明反射層を形成した。さらに透明反射層の上に、下記組成の接着層塗工液により、グラビアコーティングにより、乾燥時1.0μmの厚さになるように塗布、乾燥して接着層を形成した。
【0099】
<接着層塗工液組成>
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 30部
アクリル樹脂 10部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 70部
【0100】
『レジンタイプの溶融転写フィルム』
厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラー)の一方の面に、予め下記組成耐熱層用塗工液をバーコーターにより、固形分塗布量が0.3g/m2になるように塗布、乾燥して、耐熱層を形成しておく。
<耐熱層の塗工液組成>
ポリメチルメタクリレート樹脂 11.1部
(BR−85、三菱レイヨン株式会社製)
ポリエステル樹脂 0.3部
(エリーテルUE−3200、ユニチカ株式会社製)
ジンクステアリルホスフェート 5.7部
(LBT−1830、堺化学工業株式会社製)
メラミンアルデヒド縮合物 2.9部
(株式会社日本触媒製:エポスターS、粒径0.3μm)
トルエン 0.6部
MEK 79.4部
【0101】
次に上記フィルムの他方の面に、下記に示す組成の剥離層の塗工液をバーコーターにより、固形分塗布量が0.5g/m2 になるように塗布し、剥離層に使用している樹脂粒子の最低製膜温度よりも5〜10℃程度低い温度で乾燥して剥離層を形成する。
<剥離層の塗工液組成>
ポリメチルメタクリレート樹脂(BR−83、三菱レイヨン株式会社製) 21部
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂 9部
(SOLBIN C、日信化学工業株式会社製)
ポリエステル樹脂(バイロン200、東洋紡績株式会社製) 0.2部
トルエン 34.4部
MEK 34.4部
【0102】
(黒色インキリボンの作製)さらに、その剥離層の上に、下記に示す組成の各着色インキ層用塗工液をバーコーターにより、固形分塗布量が1.1g/m2 になるように塗布し、上記の剥離層と同条件で乾燥して着色インキ層を形成する。
<黒色層塗工液組成>
黒顔料(C.I.NoPBk−7) 41.1部
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂 10.7部
(SOLBIN C、日信化学工業株式会社製)
トルエン 24.1部
MEK 24.1部
【0103】
(シアンインキリボンの作製)黒色層用塗工液を下記組成のシアン層塗工液に替えて、その乾燥塗布量が0.6g/m2となるように塗布した以外は、黒色インクリボンと同様にして、シアンインキリボンを作製した。
<シアン層塗工液>
青顔料(C.I.No.PB15:4) 11.5部
アクリル樹脂(BR−83、三菱レイヨン株式会社製) 15.75部
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂 5.25部
(SOLBIN C、日信化学工業株式会社製)
トルエン 33.5部
MEK 34.0部
【0104】
(マゼンタインキリボンの作製)黒色層用塗工液を下記組成のマゼンタ層塗工液に替えて、その乾燥塗布量が0.6g/m2となるように塗布した以外は、黒色インクリボンと同様にして、マゼンタインキリボンを作製した。
<マゼンタ層塗工液>
赤顔料(C.I.No.PR122) 10.8部
アクリル樹脂(BR−83、三菱レイヨン株式会社製) 11.72部
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂 7.76部
(SOLBIN C、日信化学工業株式会社製)
トルエン 34.76部
MEK 34.96部
【0105】
(イエローインキリボンの作製)黒色層用塗工液を下記組成のイエロー層塗工液に替えて、その乾燥塗布量が0.65g/m2となるように塗布した以外は、黒色インクリボンと同様にして、イエローインキリボンを作製した。
<イエロー層塗工液>
黄顔料(C.I.No.PY150) 12.0部
アクリル樹脂(BR−83、三菱レイヨン株式会社製) 16.35部
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂 5.5部
(SOLBIN C、日信化学工業株式会社製)
有機系分散剤 0.2部
トルエン 32.83部
MEK 33.33部
【0106】
着色インキ層は図3のように、一つのフィルムの上にシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのように、順次繰り返してグラビア印刷してもよいし、各色別々の着色インキリボンとして利用してもよい。着色インキ層の上に、必要であれば接着層用塗工液を任意のコーティング方法で、固形分塗布量が0.5g/m2になるように塗布してもよい。本発明の場合、インモールド転写フィルムのベースフィルムに接着層は塗布されているので、基本的にはなくてもよい。
【0107】
『インモールド転写フィルムのベースフィルムへのホログラム図柄転写』
実施例1の段落番号(0090)から段落番号(0093)に示した方法で製造した、インモールド転写フィルムのベースフィルム(31)に、段落番号(0094)から段落番号(0099)に示す方法で製造したホログラムや光輝性パターンの転写フィルム(32)を、段落番号(0079)記載のサーマルヘッドで印字して、発熱素子2ドット分の70μm〜100μmの幅の細線の図柄が得られた。
また、網点面積85%の平網と、網点面積50%、網点面積25%、網点面積10%のそれぞれの75lpiの平網の図柄を印字して、図4に示すホログラムや光輝性パターンの図柄を転写されたインモールド転写フィルムが得られた。
【0108】
『インモールド転写フィルムのベースフィルムへのカラー図柄転写』
次に、段落番号(0100)から段落番号(0106)に示した方法で製造した、レジンタイプの溶融転写フィルムをもちいて、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの転写フィルムを、段落番号(0079)に記載のサーマルヘッドを用いて、色分解されたカラー信号を順次転写して、ホログラムや光輝性パターンの図柄の上にカラー図柄が印字された、図5に示すインモールド転写フィルム(34)が得られた。
【0109】
このようにして製造したインモールド転写フィルム(34)と、さらに接着層をその上に膜厚0.8μm塗布したインモールド転写フィルム(35)を、それぞれ射出成型の型に装着しABS樹脂を230℃で成型した。型から取り出した後ベースフィルムを除いて、どちらも良好に加飾された成型物を得た。
【0110】
(比較例1)
実施例1と同様にして発熱素子3ドット分の線と、発熱素子1ドット分の細線を印字した。発熱素子3ドット分の線はきれいに印字されたが、発熱素子1ドット分の細線は点線となったり、途中で切れたりして印字できなかった。
【0111】
(実施例2)
ホログラムや光輝性パターンの転写フィルム(32)の、剥離層の厚みを0.5μm、ホログラム形成する樹脂層を0.7μmとして、剥離層とホログラムを形成する樹脂層の合計の厚みを1.2μmとした以外は実施例1と同様にした。
70μm〜100μmの細線と、各種75lpiの平網の図柄は実施例1と同様に再現できた。
【0112】
(実施例3)
ホログラムや光輝性パターンの転写フィルム32の、剥離層の厚みを0.4μm、ホログラム形成する樹脂層を0.4μmとして、剥離層とホログラムを形成する樹脂層の合計の厚みを0.8μmとした以外は実施例1と同様にした。
70μm〜100μmの細線と、各種75lpiの平網の模様は再現できたが、実施例1よりはホログラムや光輝性パターンの輝度が低下し、設計通りの性能は得られなかった。
【0113】
(比較例2)
ホログラムや光輝性パターンの転写フィルム32の、剥離層の厚みを1.2μm、ホログラム形成する樹脂層を1.3μmとして、剥離層とホログラムを形成する樹脂層の合計の厚みを2.5μmとした以外は実施例1と同様にした。
70μm〜100μmの細線は一部再現されず、各種75lpiの平網も、中間部は再現できるが高濃度部がつぶれがちであり実施例1のような図柄は再現できなかった。
【0114】
(比較例3)
ホログラムや光輝性パターンの転写フィルム32の、剥離層の厚みを0.2μm、ホログラム形成する樹脂層を0.3μmとして、剥離層とホログラムを形成する樹脂層の合計の厚みを0.5μmとした以外は実施例1と同様にした。
ホログラムや光輝性パターンの図柄自体が薄くなって、ホログラムや光輝性パターンを形成することができなかった。
【0115】
(実施例4)
実施例1の透明反射層の蒸着の代わりに、レリーフ形成層の上に、Al を真空蒸着法により、厚さ500Åの金属薄膜層を形成した以外は実施例1と同様にした。
ホログラムや光輝性パターンの、発熱素子2ドット分の70μm〜100μm幅の細線の図柄、網点面積85%の平網と、網点面積50%、網点面積25%、網点面積10%のそれぞれの75lpiの平網の図柄を上記カラー図柄の上に印字できて、射出成型物も良好であった。
【0116】
(実施例5)
実施例1で得られた加飾された成型品の、ホログラムや光輝性パターンの図柄を観察した。インモールド転写時に収縮または延伸されなかった転写フィルムの箇所の図柄層は、レリーフタイプのホログラムの図柄または光輝性パターンの図柄の網点が、75lpiの網点であった。
インモールド転写時に収縮または延伸された転写フィルムの箇所の図柄層では、レリーフタイプのホログラムの図柄または光輝性パターンの図柄の網点が、75lpiの網点解像度に、収縮または延伸された部分の線収縮率または線延伸率で割った網点解像度になっていた。
【符号の説明】
【0117】
1:接着層
2:ハードコート層
3:離型層
4:基材
5:耐熱滑性層
6:基材
7:剥離層
8:ホログラムや光輝性パターンを形成する樹脂層
9:接着層
10:耐熱滑性層
11:基材
12:離型層
13:カラーインキ層
16:金属反射層または透明反射層
21:ホログラムや光輝性パターンの図柄
22:溶融転写カラー図柄
23:接着層
31:インモールド転写フィルムのベースフィルム
32:ホログラムまたは光輝性パターンの転写フィルム
33:溶融転写フィルム
34:ホログラムや光輝性パターンの図柄及びカラー図柄を持つインモールド転写フィ
ルム
35:ホログラムや光輝性パターンの図柄、カラー図柄および接着層を持つインモール
ド転写フィルム





【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、離型層、ハードコート層、接着層、図柄層を順次積層してなり、図柄層には溶融転写材料で形成された図柄と、ホログラムの図柄、または光輝性パターンの図柄があるインモールド転写フィルムにおいて、当該図柄が、それぞれレジンタイプの溶融転写フィルムおよび、レリーフタイプのホログラム転写フィルム、または光輝性パターン転写フィルムから、サーマルプリンタによって転写された図柄であることを特徴とするインモールド転写フィルム。
【請求項2】
接着層上に転写された、レリーフタイプのホログラムの図柄または光輝性パターンの図柄が、75lpiの網点で形成されていることを特徴とする、請求項1記載のインモールド転写フィルム。
【請求項3】
接着層上に転写された、レリーフタイプのホログラムの図柄または光輝性パターンの図柄のなかの細線のうち、幅が70μmから100μmの細線があることを特徴とする、請求項1記載のインモールド転写フィルム。
【請求項4】
加飾された成型品であって、インモールド転写フィルムから転写された図柄層のなかに、レジンタイプの溶融転写材料で形成された図柄と、レリーフタイプのホログラムの図柄または光輝性パターンの図柄を持ち、インモールド転写時に収縮または延伸されずに、等倍で転写された転写フィルムの箇所の図柄層において、レリーフタイプのホログラムの図柄または光輝性パターンの図柄の網点が、75lpiの網点であることを特徴とするインモールド成型品。
【請求項5】
加飾された成型品であって、インモールド転写フィルムから転写された図柄層のなかに、レジンタイプの溶融転写フィルムから形成された図柄と、レリーフタイプのホログラムの図柄または光輝性パターンの図柄を持ち、インモールド転写時に収縮または延伸された転写フィルムの箇所の図柄層において、レリーフタイプのホログラムの図柄または光輝性パターンの図柄の網点が、75lpiの網点解像度に、収縮または延伸された部分の線収縮率または線延伸率で割った網点解像度になっていることを特徴とする、インモールド成型品。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−14081(P2013−14081A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148834(P2011−148834)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】