説明

高温用超音波探触子

【課題】高温の被検体38に対する超音波を用いた探傷や厚み測定等の各種検査を精度良く実施する。
【解決手段】導電性材料の被検体38に対向する開口2を有する導電性材料で形成された筐体21の外面に信号端子24設け、筐体21内に振動子28を収納すると共に、一端が信号端子24の正極33側に電気的に接続され、他端が振動子28の上面に当接して振動子28を被検体38に付勢する正極側ばね部材30と、一端が筐体21に固定され他端が被検体38に当接する負極側ばね部材35とを設けることによって、230℃〜240℃の溶融点温度のはんだの使用を排除し、結果的に、高温の被検体の検査を実施できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体に対して超音波を伝搬させて被検体に対する各種検査を行うための超音波探触子に係わり、特に、高温の被検体に対する検査を行う高温用超音波探触子に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼板等の被検体の内部に存在する欠陥の検出や、鋼板等の被検体の厚み測定を簡易に実施する手法として、超音波検査手法が広く実用化されている。この超音波検査手法においては、被検体に対して超音波を送受信する超音波探触子が用いられる。超音波探触子には、被検体の表面に対して斜め方向に超音波を入射させる斜角型の超音波探触子と、被検体の表面に対して垂直方向に超音波を入射させる垂直型の超音波探触子とがある。
【0003】
図10(a)、(b)は垂直型の超音波探触子の断面図及び外観図である。導電性金属材料で、下端に開口2を有する円筒形に形成された筐体1の上面に信号端子3が取付けられている。筐体1内には例えばアクリル樹脂等で円柱形に形成されたダンパー材4が収納されている。このダンパー材4の下面に、例えば水晶、チタン酸バリウム系磁器、セラミック、ニオブ酸鉛系磁器等の圧電材料で形成された円盤状の振動子5が貼付けられている。
【0004】
なお、振動子5の上面及び下面は導電性膜6、7がコーティングされている。円柱形のダンパー材4の軸心に穿設された貫通孔9内に、導電性膜6がコーティングされた振動子5の上面と信号端子3の正極9とを接続するリード線8が収納されている。なお、リード線8は振動子5にコーティングされた導電性膜6及び信号端子3の円筒状の正極9に「はんだ」で接続されている。
【0005】
さらに、振動子5の下面にコーティングされた導電性膜7はリード線11を介して、筐体1の開口2部の内周面に接続されている。なお、リード線11は振動子5にコーティングされた導電性膜7及び筐体1の開口2部の内周面に「はんだ」で接続されている。信号端子3の負極12は筐体1に対して、例えば、一体形成されているので、導電性膜6がコーティングされた振動子5の下面は信号端子の負極12と電気的に接続される。なお、導電性膜6がコーティングされた振動子5の下面には、この振動子5を保護するための保護膜13が貼付けられている。
【0006】
なお、実際の測定時には、信号端子3に図示しない超音波測定装置から信号が入出力されるコネクタ14が装着される。
【0007】
このような構成の垂直型の超音波探触子15を被検体16の表面に図示しない治具で押し当てた状態で、超音波測定装置から、例えば繰返し周波数500Hzのパルス信号をコネクタ14、信号端子3、リード線8を介して振動子5に印加すると、振動子5から、振動子5の厚みで定まる例えば振動周波数5MHzを有した繰返し周波数500Hzの超音波パルス17が被検体16の表面に対して垂直方向に入射して、被検体16内を垂直方向に伝搬する。被検体16内を伝搬している超音波パルス17が欠陥又は被検体16の底面に当接すると、元来た経路を逆進して振動子5へ入力される。
【0008】
なお、高温用の超音波探触子は、例えば、特許文献1に報告されている。
【特許文献1】特開平10―339722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら上述した超音波探触子においてもまだ解消すべき次のような課題があった。
【0010】
すなわち、近年、超音波検査手法を用いて、欠陥検出や厚み測定を精度良く検査できる被検体における測定条件範囲の拡大が求められている。例えば、化学工場の各種プラントにおける配管、タンク等に対する定期的な超音波探傷や定期的な厚み測定等が要求されている。
【0011】
しかしながら、これらの配管、タンク等に対する探傷や厚み測定は、プラントを稼働状態に維持した状態で実施する必要があるので、配管、タンク等に高温の気体や液体が通流又は貯蔵されている場合には、被検体16の温度が高温になる。例えば、300℃を超える場合がある。被検体16の温度が高温になると、この被検体16に対して例えば治具等を用いて押当てられている超音波探触子15の温度も高温になる。
【0012】
図10(a)、(b)に示す超音波探触子15を構成する各部材において、温度上昇に対して最も脆弱な部材は、被検体16に保護膜13を介して接している振動子5の導電性膜6と信号端子3とを接続し、かつ、リード線11で振動子5にコーティングされた導電性膜7と開口2部とを接続する「はんだ」である。
【0013】
一般的に「鉛」と「すず」とをほぼ50%の割合で混合した「はんだ」の融点温度は約200℃程度である。「高温はんだ」と称されるものでも、その融点温度はせいぜい230℃〜240℃である。この融点温度を超える温度の被検体16を検査すると、リード線8が振動子5から離れてしまう。したがって、この超音波探触子15において検査可能な被検体の温度範囲は高くても230℃〜240℃である。
【0014】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、たとえ、はんだの溶融温度を超える高温の被検体であったとしても、この高温の被検体に対する超音波を用いた探傷や厚み測定等の各種検査を精度良く実施できる高温用超音波探触子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の高温用超音波探触子は、導電性材料の被検体に対向する開口を有する導電性材料で形成された筐体内に、一方面が被検体に当接した振動子を収納するとともに、負極側が筐体に接し振動子に対する信号を送受信するための信号端子を備えた超音波探触子において、一端が信号端子の正極側に電気的に接続され、他端が振動子の他方面に当接して振動子を被検体に付勢する正極側ばね部材と、一端が筐体に固定され他端が被検体に当接する負極側ばね部材とを備えている。
【0016】
このように構成された高温用超音波探触子においては、導電性材料で形成された筐体内に収納された振動子は正極側ばね部材にて被検体に付勢されている。さらに、振動子の他方面(上面、正極側面)は正極側ばね部材を介して、信号端子の正極側に電気的に接続されている。また、振動子の一方面(下面、負極側面)は導電性材料の被検体に接している。筐体と導電性材料の被検体との間には、負極側ばね部材が介挿されている。したがって、振動子の一方面(下面、負極側面)は信号端子の負極側に接続されている。
【0017】
このように構成された高温用超音波探触子を例えば治具等を用いて被検体に押当てた状態においては、溶融点温度が低いはんだを用いずに、振動子の他方面(上面、正極側面)と一方面(下面、負極側面)は正極側ばね部材及び負極側ばね部材を介して信号端子の正極側及び負極側に電気的に確実に接続されるので、はんだの溶融点温度を超える高温の被検体に対する超音波を用いた探傷や厚み測定等の各種検査を精度良く実施できる。
【0018】
また、別の発明の高温用超音波探触子は、導電性材料の被検体に対向する開口を有する導電性材料で形成された筐体内に、一方面が被検体に当接した振動子を収納するとともに、負極側が筐体に接し振動子に対する信号を送受信するための信号端子を備えた超音波探触子において、一端が信号端子の正極側に電気的に接続され、他端が前記振動子の他方面に当接して振動子を被検体に付勢する正極側ばね部材と、一端が筐体に固定され他端が被検体に当接する負極側ばね部材と、正極側ばね部材及び負極側ばね部材の付勢力に抗して、筐体を被検体にクランプするクランプ機構とを備えている。
【0019】
このように構成された高温用超音波探触子においては、筐体を被検体にクランプするクランプ機構が設けられているので、別途、検査時に高温用超音波探触子を被検体に押当てるための治具を準備する必要がない。
【0020】
また、別の発明の高温用超音波探触子は、非導電性材料の被検体に対向する開口を有する導電性材料で形成された筐体内に、一方面が被検体に当接した振動子を収納するとともに、負極側が筐体に接し振動子に対する信号を送受信するための信号端子を備えた超音波探触子において、一端が信号端子の正極側に電気的に接続され、他端が振動子の他方面に当接して振動子を被検体に付勢する正極側ばね部材と、一端が筐体に固定され他端が導電性膜がコーティングされた被検体に当接する負極側ばね部材と、正極側ばね部材及び負極側ばね部材の付勢力に抗して、筐体を被検体にクランプするクランプ機構とを備えている。
【0021】
このように構成された高温用超音波探触子においては、被検体が非導電性材料の場合においては、この被検体の振動子が当接する部分には導電性膜がコーティングされているので、振動子の一方面(下面、負極側面)はコーティングされた導電性膜、負極側ばね部材及び筐体を介して信号端子の負極側に電気的に確実に接続される。したがって、非導電性材料の高温の被検体であっても、この非導電性材料の高温の被検体に対する超音波を用いた探傷や厚み測定等の各種検査を精度良く実施できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の高温用超音波探触子においては、ばね部材でもって振動子に対する信号の送受信と振動子の被検体に対する付勢を行っているので、ばね部材が振動子から離れることはない。その結果、従来のはんだを用いる必要はないので、はんだの溶融温度を超える温度の被検体であったとしても、この高温の被検体に対する超音波を用いた探傷や厚み測定等の各種検査を精度良く実施できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の各実施形態を図面を用いて説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図1(a)、(b)は本発明の第1実施形態に係わる高温用超音波探触子の断面図及び上面図である。
【0025】
この第1実施形態の高温用超音波探触子20においては、導電性金属材料で、下端に開口22を有する円筒形に形成された筐体21の上端の蓋23に信号端子24が取付けられている。筐体21内にはダンパーケース25で覆われたダンパー材26が収納されている。このダンパー材26の上面にストッパー材27が収納されている。ダンパー材26の下面に、例えば水晶、チタン酸バリウム系磁器、セラミック、ニオブ酸鉛系磁器等の圧電材料で形成された円盤状の振動子28が、落下しない程度に緩やかに貼付けられている。
【0026】
なお、振動子28の上面及び下面は導電性膜がコーティングされている。円柱形のダンパー材26、円柱形のストパー材27の軸心に穿設された貫通孔29内に、正極側ばね部材としての導電性材料で形成されたコイルばね30が収納されている。コイルばね30の上端はストパー材27に固定された電極板31に当接しており、コイルばね30の上端は電極板31、リード線32を介して、信号端子24の正極33に接続されている。コイルばね30の下端は導電性膜がコーティングされている振動子28の上面に当接している。そして、コイルばね30の上端位置は電極板31位置に固定されているので、振動子28は、コイルばね30により下方に付勢されており、振動子28の下面は、筐体21の下端開口22から例えば1mm程度下方へ露出している。
【0027】
円筒形に形成された筐体21の外周面の下方位置には、段部34が形成されており、この環状の段部34に、負極側ばね部材としての導電性材料で形成されたコイルばね35が挿入されている。コイルばね35の下端は、筐体21の下端開口22から例えば10mm程度下方へ露出している。なお、このコイルばね35のばね定数(反発力)は非常に小さく、図2に示すように、この高温用超音波探触子20を平板状の被検体38の上面に載置すると、高温用超音波探触子20の重力にて、コイルばね35が圧縮され、被検体38の上面が振動子28の導電性膜がコーティングされた下面に当接する。
【0028】
一方、信号端子24の円筒形状を有した負極36は蓋23及び筐体21を介して、コイルばね35に電気的に接続されている。上述したように、この高温用超音波探触子20を平板状の被検体38の上面に載置すると、コイルばね35の下端は導電性材料の被検体38の上面に当接するので、結果的に、実際の検査時においては、振動子28の導電性膜がコーティングされた下面は、被検体38、コイルばね35、筐体21、蓋23を介して、信号端子24の負極36に電気的に接続されることになる。また、実際の測定時には、信号端子24に図示しない超音波測定装置から信号が入出力されるコネクタ37が装着される。
【0029】
このように構成された第1実施形態の高温用超音波探触子20においては、この高温用超音波探触子20を図示しない治具を用いて、導電性材料の被検体38に押当てたり、図2に示すように、この高温用超音波探触子20を平板状の被検体38の上面に載置すると、コイルばね30にて、振動子28が被検体38の上面に付勢される。また、この状態においては、振動子28の上面は、コイルばね30、電極板31、リード線32を介して、信号端子24の正極33に接続されている。また、この状態においては、上述したように、振動子28の導電性膜がコーティングされた下面は、被検体38、コイルばね35、筐体21、蓋23を介して、信号端子24の負極36に電気的に接続される。
【0030】
したがって、この高温用超音波探触子20は図示いない超音波測定装置から入力されたパルス信号に応じて超音波パルスを被検体38に対して送受信できる。この場合、溶融点温度が低いはんだを用いずに、振動子28の上面(正極側面)と下面(負極側面)はコイルばね30、35を介して信号端子24の正極33及び負極36に電気的に確実に接続されるので、230℃〜240℃のはんだの溶融点温度を超える高温の被検体38に対する超音波を用いた探傷や厚み測定等の各種検査を精度良く実施できる。
【0031】
なお、測定可能な被検体38の上限温度は、例えば水晶、チタン酸バリウム系磁器、セラミック、ニオブ酸鉛系磁器等の圧電材料で形成された円盤状の振動子28における圧電機能が急激に劣化する二次相転移温度(キュリー点温度)である530℃(ニオブ酸鉛系磁器)である。
【0032】
(第2実施形態)
図3は本発明の第2実施形態に係わる高温用超音波探触子の断面図である。図1(a)、(b)に示す第1実施形態の高温用超音波探触子20と同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明を省略する。
【0033】
この第2実施形態の高温用超音波探触子20aにおいては、振動子28、ダンパー材26、ストパー材27、コイルばね30を収納した筐体21の外周面にネジ溝39が刻設されており、このネジ溝39にクランプ機構としての袋ナット40がねじ込まれている。
【0034】
袋ナット40の上壁には前記ネジ溝39がねじ込まれるネジ溝が刻設されたネジ孔41が形成され、袋ナット40の下壁には、図5に示す上端に大径部43aが形成された円柱状の被検体43が貫通する貫通孔42が形成されている。さらに、この円筒状の袋ナット40内には、内周面近傍にコイルばね44が収納されている。このコイルばね44の上端はネジ孔41が形成された上壁の内面に固定されている。
【0035】
この第2実施形態の高温用超音波探触子20aで検査される導電性材料で形成された被検体43は、図5示すように、上端に大径部43aが形成された円柱形状を有する。この被検体43の上面43bに高温用超音波探触子20aの振動子28の下面を当接させる。
【0036】
このような形状の被検体43を高温用超音波探触子20aに装着する手順を説明する。先ず、袋ナット40を筐体21の外周面から取り外して、この状態で、高温用超音波探触子20aの下方から被検体43の上面43bを振動子28の下面、コイルばね34、44の下端に押し当てた状態で、円筒状の袋ナット40を、貫通孔42に被検体43を貫通させた状態で、下方から筐体21の外周面に刻設されたネジ溝39に、被検体43の上面43bが振動子28の下面に当接する位置までネジ込む。
【0037】
図6は、被検体43が袋ナット40にて、高温用超音波探触子20aに装着された状態を示す断面図である。この状態においては、被検体43の大径部43aは袋ナット40の下壁の上面と振動子28の下面とに挟まれた状態である。したがって、図1に示した第1実施形態の高温用超音波探触子20と同様に、コイルばね30にて、振動子28が被検体43の上面43bに付勢される。また、この状態においては、振動子28の上面は、コイルばね30、電極板31、リード線32を介して、信号端子24の正極33に接続されている。また、この状態においては、振動子28の導電性膜がコーティングされた下面は、被検体43の上面43b、コイルばね35、筐体21、蓋23を介して、信号端子24の負極36に電気的に接続されている。
【0038】
したがって、この第2実施形態の高温用超音波探触子20aは図示いない超音波測定装置から入力されたパルス信号に応じて超音波パルスを被検体43に対して送受信できる。この場合、溶融点温度が低いはんだを用いずに、振動子28の上面(正極側面)と下面(負極側面)はコイルばね30、35を介して信号端子24の正極33及び負極36に電気的に確実に接続されるので、たとえ、230℃〜240℃のはんだの溶融点温度を超える高温の被検体43に対する超音波を用いた探傷や厚み測定等の各種検査を精度良く実施できる。
【0039】
さらに、この第2実施形態の高温用超音波探触子20aにおいては、袋ナット40を用いて、高温の被検体43を高温用超音波探触子20aの振動子28に押し当てている。したがって、別途、専用の治具を用いて、高温の被検体43を高温用超音波探触子20aの振動子28に押し当てる必要はない。
【0040】
図7は、図3に示す第2実施形態の高温用超音波探触子20aを用いて、非導電性材料の被検体に対する超音波を用いた検査を実施する場合における、この非導電性材料の被検体の加加工状態を示す図である。
【0041】
この非導電性材料の被検体45は、図5に示す導電性材料の被検体43と同一形状を有しており、上端に大径部45aが形成された円柱形状を有する。この被検体45の上面45bには、導電性膜46がコーティングされている。なお、導電性膜46の面積は振動子28の下面及びコイルばね35の下端部分を十分に覆う広さに設定されている。
【0042】
このような被検体45を図6に示すように、高温用超音波探触子20aに装着すると、振動子28の下面が導電性膜46がコーティングされた被検体45の上面45bに当接する。また、上端が筐体21の段部34に接するコイルばね35の下端が導電性膜46がコーティングされた被検体45の上面45bに当接する。
【0043】
したがって、この状態においては、振動子28の導電性膜がコーティングされた下面は、被検体45の上面45上にコーティングされた導電性膜46、コイルばね35、筐体21、蓋23を介して、信号端子24の負極36に電気的に接続されている。
【0044】
よって、たとえ、非導電性材料の被検体45であっても、図7に示すように被検体45の上面45bに導電性膜46をコーティングすることによって、図5に示す導電性材料の被検体43と同様の作用効果を奏することができる。
【0045】
(第3実施形態)
図8(a)、(b)は本発明の第3実施形態に係わる高温用超音波探触子の適用図及び断面模式図である。図1(a)、(b)に示す第1実施形態の高温用超音波探触子20と同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明を省略する。
【0046】
この第3実施形態の高温用超音波探触子20bは化学工場の配管47の外周面に恒久的に取り付けられ、被検体としての配管47の厚みdを一定周期で測定し、厚みdの計時変化を測定する。
【0047】
このような高温用超音波探触子20bにおいては、筐体21の外周面に環状突起部49が一体形成されており、この環状突起部49と配管47とをボルト50で固定している。なお、配管47の表面に振動子28の下面が所定の圧力で当接するように、ボルト50の締め付け圧力を調節している。したがって、環状突起部49とボルト50は、筐体21を被検体としての配管47にクランプするクランプ機構を構成する。
【0048】
このように構成された第3実施形態の高温用超音波探触子20bにおいても、先に説明した第2実施形態の高温用超音波探触子20aとほぼ同じ効果を奏することが可能である。
【0049】
図9は本発明の第4実施形態に係わる高温用超音波探触子の断面模式図である。図8(b)に示す第3実施形態の高温用超音波探触子20bと同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明を省略する。
【0050】
この第4実施形態の高温用超音波探触子20cにおいては、筐体21の外周面に環状突起部49が一体形成されており、この環状突起部49を配管47に磁石51で吸着固定している。したがって、環状突起部49と磁石51は、筐体21を被検体としての配管47にクランプするクランプ機構を構成する。
【0051】
このように構成された第4実施形態の高温用超音波探触子20cにおいても、先に説明した第2実施形態の高温用超音波探触子20aとほぼ同じ効果を奏することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1実施形態に係わる高温用超音波探触子の概略構成を示す断面図及び上面図
【図2】同第1実施形態の高温用超音波探触子を平板状の被検体の上面に載置した状態を示す図
【図3】本発明の第2実施形態に係わる高温用超音波探触子の概略構成を示す断面図
【図4】同第2実施形態の高温用超音波探触子に組込まれた袋ナットを示す模式図
【図5】同第2実施形態の高温用超音波探触子で検査される被検体を示す斜視図
【図6】同第2実施形態の高温用超音波探触子における被検体が装着された状態を示す図
【図7】同第2実施形態の高温用超音波探触子で検査される非導電材料で形成された被検体を示す斜視図
【図8】本発明の第3実施形態に係わる高温用超音波探触子の適用図及び断面模式図
【図9】本発明の第4実施形態に係わる高温用超音波探触子の要部断面図
【図10】従来の超音波探触子の概略構成を示す断面図及び斜視図
【符号の説明】
【0053】
20,20a,20b,20c…高温用超音波探触子、21…筐体、22…開口、23…蓋、24…信号端子、26…ダンパー材、27…ストッパー材、28…振動子、29…貫通孔、30,35,44…コイルばね、33…正極、34…段部、36…負極、37…コネクタ、38,43,45…被検体、39…ネジ溝、40…袋ナット、47…配管、49…環状突起、50…ボルト、51…磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性材料の被検体に対向する開口を有する導電性材料で形成された筐体内に、一方面が前記被検体に当接した振動子を収納するとともに、負極側が前記筐体に接し前記振動子に対する信号を送受信するための信号端子を備えた超音波探触子において、
一端が前記信号端子の正極側に電気的に接続され、他端が前記振動子の他方面に当接して前記振動子を前記被検体に付勢する正極側ばね部材と、
一端が前記筐体に固定され他端が前記被検体に当接する負極側ばね部材と
を備えたことを特徴とする高温用超音波探触子。
【請求項2】
導電性材料の被検体に対向する開口を有する導電性材料で形成された筐体内に、一方面が前記被検体に当接した振動子を収納するとともに、負極側が前記筐体に接し前記振動子に対する信号を送受信するための信号端子を備えた超音波探触子において、
一端が前記信号端子の正極側に電気的に接続され、他端が前記振動子の他方面に当接して前記振動子を前記被検体に付勢する正極側ばね部材と、
一端が前記筐体に固定され他端が前記被検体に当接する負極側ばね部材と、
前記正極側ばね部材及び前記負極側ばね部材の付勢力に抗して、前記筐体を前記被検体にクランプするクランプ機構と
を備えたことを特徴とする高温用超音波探触子。
【請求項3】
非導電性材料の被検体に対向する開口を有する導電性材料で形成された筐体内に、一方面が前記被検体に当接した振動子を収納するとともに、負極側が前記筐体に接し前記振動子に対する信号を送受信するための信号端子を備えた超音波探触子において、
一端が前記信号端子の正極側に電気的に接続され、他端が前記振動子の他方面に当接して前記振動子を前記被検体に付勢する正極側ばね部材と、
一端が前記筐体に固定され他端が導電性膜がコーティングされた前記被検体に当接する負極側ばね部材と、
前記正極側ばね部材及び前記負極側ばね部材の付勢力に抗して、前記筐体を前記被検体にクランプするクランプ機構と
を備えたことを特徴とする高温用超音波探触子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−175781(P2008−175781A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−11772(P2007−11772)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(591267855)埼玉県 (71)
【出願人】(591041417)ジャパンプローブ株式会社 (12)
【Fターム(参考)】