説明

高生産性溶媒系電界紡糸

本発明は、概して、繊維を作る溶液電界紡糸方法に、それによって調製した繊維に、ならびに当該繊維からなる不織布、布帛、多孔質複合フィルター媒体および物品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、繊維を作る溶液電界紡糸方法(solution electrospinning processes)に、それによって調製した繊維に、ならびに当該繊維からなる不織布、布帛、多孔質複合フィルター媒体および物品に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維は電界紡糸方法によって形成することができる。電界紡糸においては、ポリマー溶液または溶融物の(典型的に液滴の形をした)部分が、強い電場によって長くされる。生じた繊維は、不織布マットとしてまたは個々に紡がれた繊維として集められる。その繊維は一般に大きな比表面積を有し、それゆえ濾過などの種々の用途に有用である。
【0003】
ほとんどの電界紡糸方法は溶液系であり、すなわち、繊維はポリマーの溶液から生成される。溶液電界紡糸は、受け入れ可能な繊維が形成され得るように、粘度を十分な水準まで減少させるために、ポリマーを溶媒中に高度に希釈することを必要とする。しかし、高度な希釈は、処理されるポリマー溶液の1単位当たりの繊維の低収率に帰着し、それゆえエネルギーおよび生産コスト、ならびに溶剤回収または処分の費用を増加させる。さらに、多量の溶媒の使用に関連して、著しい環境への影響がある場合がある。そして、いくつかの従来の溶液電界紡糸ポリマー系については、捕集器の上に(肉眼で)目に見える被膜を得るために少なくとも15分〜1時間かかる場合がある。
【0004】
溶液電界紡糸においては、従来のポリマーの溶媒への希釈を増加させることによって、より小さな直径の繊維を得ることができることもまた知られている。ポリマー濃度がそのからみ合い濃度より低くなると、ポリマーはそのような低濃度溶液からは繊維を形成しないので、ポリマーの希薄溶液の電界紡糸は失敗する。その代りに、これらの希薄溶液はポリマー液滴として電気噴霧される(electrosprayed)であろう。この欠点は、従来のポリマーを溶液電界紡糸することによって得ることができる繊維の最小の直径を制限する。さらに、なおも溶液電界紡糸することができる低濃度溶液は、典型的には、それらの上に散在するより太い構造(すなわちビード)を有する繊維を生成する。もし望むならば、プロセスパラメーターを調節することによって、ビードのいくらかの減少を達成することができる。いくつかの用途(たとえば濾過)においては、ビードは利点を提供する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高い溶媒濃度を使用するという不都合を著しく減ずる溶液電界紡糸系が望ましい。また、均一性および小さな寸法のような有利な属性または性質を示す繊維もまた望ましい。特に望ましいのは、高い溶媒濃度の不都合に取り組み、そして同時に現在既知のものよりも優れた性質を有する繊維を生成する系である。本発明のいくつかの好ましい実施態様はそのような系を提供する。より高い生産率が望ましい。本発明の他の好ましい実施態様は、低いポリマー濃度の溶液から小さな平均直径の繊維を溶液電界紡糸する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、概して、繊維を作る溶液電界紡糸方法に、それによって調製した繊維に、ならびに当該繊維からなる不織布、布帛、多孔質複合フィルター媒体および物品に関する。1つの態様において、本発明はここに記載されたオリゴマーおよびポリマーの繊維、好ましくは低マイクロメートルまたはマイクロメートル未満の繊維、を作るための高生産性方法を提供する。第1の実施態様において、その方法は、自己集合性物質と溶媒の溶液(50:50混合物および部分溶液を含む。)を用意する工程、前記溶液を電界紡糸装置(すなわち電界紡糸設備、好ましくは溶液電界紡糸装置)に供給する工程、および自己集合性物質と溶媒の溶液が引っ張られそして噴流が形成されるように、前記装置に電圧を加え、前記噴流から溶媒が放散(すなわち溶媒の喪失、たとえば、溶媒相が分離し、蒸発し、またはそれの組み合わせ)し、自己集合性物質の繊維を提供する工程を含む。好ましくは、繊維は、約5マイクロメートル以下、より好ましくは1500ナノメートル以下の平均直径を有する。好ましくは、電界紡糸装置は、少なくとも1つの電極(たとえば紡糸口金または円筒)、少なくとも1つの導体(たとえばアースされた導体または電極の電荷の極性に対して反対の極性に帯電された導体)、電圧源(たとえば電源)、および所望により捕集器を含み、電極は、独立に、電圧源および導体と電気的に連ながっている。その装置の典型的な操作においては、電極は溶液と物理的に接触し、それは好ましくはその源および電極の間に流体が流れ得るように連ながっている。好ましくは、その方法は、さらに、アースされた導体の上に、またはより好ましくは捕集器の上に、繊維を集める工程を含む。捕集器はアースされていてもよいし、アースされていなくてもよく、そして電界紡糸装置の電極の電荷の極性に対して反対の極性に帯電していてもよいし、していなくてもよい。「自己集合性物質」とは、物質中の官能基の物理的な分子間会合を通してより大きな構造を形成するオリゴマーまたはポリマーを意味する。理論に束縛されるものではないが、分子間会合は、自己集合性物質の数平均分子量(M)または鎖長を増加させず、該物質の間に共有結合を形成しないと考えられている。この結合は、たとえば冷却および/または溶剤蒸発のような、きっかけとなる事象があると自発的に起こり、より大きな会合または集合したオリゴマーまたはポリマー構造を形成する。
【0007】
典型的な実施態様においては、自己集合性物質は、式(I)のコポリマーであり、そのコポリマーは1個またはそれ以上のx単位および1個またはそれ以上のy単位を含む。
【0008】
【化1】

【0009】
ここで、R、R′、Z、Z′、Ra、R、xおよびyは、後で定義するとおりである。
【0010】
第2の実施態様において、本発明は、第1の実施態様の任意の方法によって調製された、繊維、好ましくは低マイクロメートル(すなわち1マイクロメートルと10マイクロメートルの間)の直径およびサブマイクロメートル(すなわち1マイクロメートル未満)の直径の繊維を提供する。好ましい態様において、繊維は、直径が約10ナノメートル(nm)と約1500nmの間の範囲にある。別の好ましい態様においては、繊維はビードを有することを特徴とする。より好ましくは、ビードを有する繊維は、約10nm〜約1500nmの平均直径を有する。
【0011】
第3の実施態様において、本発明は、第2の実施態様の任意の繊維の不織布を提供する。好ましくは、不織布は、第2の実施態様のビードを有する繊維を含み、より好ましくは本質的にビードを有する繊維からなる。また、好ましくは、不織布は多孔質である。
【0012】
第4の実施態様において、本発明は、第2の実施態様の任意の繊維の布帛を提供する。好ましくは、布帛は、第3の実施態様の任意の不織布から構成される。
【0013】
第5の実施態様において、本発明は、第3の実施態様の任意の多孔質不織布および多孔質フィルター基体も含む多孔質複合フィルター媒体を提供し、その多孔質複合フィルター媒体においては多孔質フィルター基体が多孔質不織布を支持するように接触している。好ましくは、多孔質フィルター基体は、木材、ガラス、金属、紙、セラミック、自己集合性物質でないポリマーまたはそれらの組み合わせからなる。また、好ましくは、多孔質フィルター基体は、ウェブ、箔、フィルム、紙、布帛、織物、不織布、またはそれらの組み合わせからなる構造を有する。
【0014】
第6の実施態様において、本発明は、第5の実施態様の多孔質複合フィルター媒体を製造する方法を提供し、その方法は、第3の実施態様の多孔質不織布を多孔質フィルター基体に接触させ、多孔質フィルター基体が多孔質不織布を支持するように接触した多孔質複合フィルター媒体を製造することを含む。好ましくは、第1の実施態様の方法において用いられる電界紡糸装置は、さらに、捕集器を含み、その捕集器は多孔質フィルター基体を生成する。捕集器が多孔質フィルター基体を生成する場合は、第1の実施態様の方法は、好ましくは直接、第5の実施態様の多孔質複合フィルター媒体を生成する。捕集器は、第6の実施態様の方法を実施している間、電界紡糸装置と物理的な接触していてもよいし、好ましくは接触していなくてもよい。
【0015】
第7の実施態様において、本発明は、第2の実施態様のビードを有する繊維を含む、より好ましくは本質的にそのような繊維からなる、物品を提供する。好ましくは、物品は、包帯、医療ガウン、医療足場、化粧品、遮音材、遮断材、おむつカバー材、成人用失禁パンツ、躾用パンツ、アンダーパッド、婦人衛生パッド、布巾、多孔質濾材(たとえば空気、気体または液体の濾過用)、耐久紙、布帛柔軟剤、家財道具、床材裏地、地盤用シート、服飾品、服飾品芯地、服飾品裏地、靴、工業用衣料、農業用布帛、自動車用布帛、コーティング基体、積層基体、なめし革、または電子部品である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、実施例1の表1に記載された実験のいくつかから繊維直径統計量を概括したグラフである。
【0017】
【図2】図2は、Mが7,500グラム/モル(g/mol)(すなわち7480g/モル)の調製例1のポリエステルアミド(PEA)C2C−50の6質量%、12質量%および18質量%クロロホルム溶液での、実施例1の実験のいくつかにおいて製造されたマイクロメートル未満の繊維の代表的な走査型電子顕微鏡写真(SEM)を提供する。
【0018】
【図3】図3は、Mが7,500(7480)g/molの調製例1のポリエステルアミドPEA C2C−50の6質量%、12質量%および18質量%クロロホルム溶液での、実施例1の実験において調製した繊維についての繊維直径分布分析を示すグラフである。
【0019】
【図4】図4は、調製例12のMが4,100g/モルのPBA C2C−75%ポリマーの6質量%クロロホルム溶液から調製された実施例2のマイクロメートル未満の直径の繊維の走査型電子顕微鏡写真である。
【0020】
【図5】図5は、調製例11のMが2280g/モルのポリ(ネオペンチルグリコールアジピン酸)(PNPGA)C2C−50%ポリマーの24質量%クロロホルム溶液から調製された実施例6のマイクロメートル未満の直径の繊維の走査型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、概して、繊維を作る溶液電界紡糸方法に、それによって調製した繊維に、および上に概括したような当該繊維からなる不織布、布帛、多孔質複合フィルター媒体および物品に関する。ここに記載したいずれの実施態様においても、無制限の(open-ended)用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」など(それらは「含む(including)」、「有する(having)」、「特徴とする(characterized by)」と同義である。)は、それぞれの部分的に閉じた(partially closed)句「から本質的になる(consisting essentially of)」、「から本質的になる(consists essentially of)」などまたはそれぞれの閉じた句「からなる(consisting of)、」「からなる(consists of)」などで置き換えてもよい。1つの態様において、本発明は、自己集合性物質の溶液電界紡糸によって繊維を形成する方法を提供する。ここで使用するときは、用語「溶液電界紡糸」とは、自己集合性物質および1種以上の溶媒の溶液を電界紡糸することを意味し、ただしその溶液は本明細書に記載されるものでありそして50:50混合物および部分的溶液を含む。本発明の好ましい実施態様に有用な自己集合性物質は、低い溶液粘度を有し、したがって高い溶液濃度(すなわち自己集合性物質のからみ合い濃度より高い濃度)および低い溶液濃度(すなわち自己集合性物質のからみ合い濃度とほぼ同じかそれより低い濃度)で電界紡糸するのに特に適している。さらに、その物質は、固化するときに、それ自体、自己会合し相互に連結した構造を形成するので、それらの最終的な性質は有利なことに高分子量ポリマーの特徴を示す。それゆえ、本発明の好ましい実施態様に有用な物質は、望ましい性質を有する繊維の形成ための高生産性手法を提供する。理論に束縛されるものではないが、高生産性は、初期の流れ(すなわち噴流)当たり単位時間当たり溶液の単位体積当たりより多くの繊維生産を配達する、より高分子量のポリマーの粘度より低い粘度の自己集合性物質の濃縮溶液を電界紡糸することができ、そしてより高い流量(たとえば、0.584ミリメートル(mm)の内径を有するニードル(すなわち20ゲージニードル)で測定したとき、4mL/時より高い、または好ましくは10mL/時より高い。当該ニードルは典型的には注射器紡糸口金を含む。)で安定した物質の噴流を作ることができる機能である。高生産性手法は、繊維製造の製造原価、エネルギー消費量、ならびに環境影響を削減することができる。さらに、本発明の方法の好ましい実施態様は、無菌の繊維(すなわち微生物を本質的に含まない繊維)の生産を、高温でまたは抗菌活性溶媒を使用する場合に、可能にする。
【0022】
本発明の方法は溶液電界紡糸に関するが、本発明の方法の溶液電界紡糸に有用な自己集合性物質は、それらの溶融特性の1つまたはそれ以上によって特徴づけられまたは識別されることができる。そのような溶融特性のいくつかはここに記載され、特に断りのない限り自己集合性物質の溶液の性質について記載しない。
【0023】
溶液電界紡糸に有用な自己集合性物質は、それらが低分子量ポリマーまたはオリゴマーに特徴的な溶融物相における相対的な低い粘度を示し、そして固相においてより高分子量のポリマーの機械的性質のいくつかを示すことを特徴とする。これらの自己集合性物質は、約1000g/モル〜約30,000g/モル、好ましくは約2000g/モル〜約20,000g/モルの数平均分子量Mを有し、そして他の好ましい実施態様においては4000g/モル〜18,000g/モル、さらに好ましくは5000g/モル〜18,000g/モルのMを有する。明確のために、「分子量」というときは、別段の明示がない限り、数平均分子量Mを意味する。明瞭のために、Mというときは、別段の言及がない限り、1H−NMRによって測定されたMを意味する(たとえば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されたいくつかのMは、その旨ここに明記される。)。好ましくは、実質的に線状の自己集合性物質の多分散性は11以下である。他の実施態様においては、多分散性は4以下、より好ましくは3.6以下、さらに好ましくは3以下、さらに好ましくは2.5以下、さらに好ましくは2.3以下である。好ましくは、多分散性は1.9以上である。
【0024】
本発明の好ましい実施態様に有用な自己集合性繊維形成性物質は、特徴的に、溶融物において(すなわち融点以上の温度において)、そしてそれゆえ中間濃度の溶液(すなわち、約30質量%超40質量%以下の自己集合性物質を含み、残りは溶媒である溶液)において、または高濃度(すなわち40質量%超100質量%未満の自己集合性物質を含み、残りは溶媒である溶液)においてさえ、比較的低い粘度を示し、そこで、そのような物質は、ある範囲の濃度にわたって迅速な溶液電界紡糸によって処理するのに都合が良い。高濃度を用いる場合は、自己集合性物質は、溶液を形成するために溶媒と共に加熱されてもよい。
【0025】
本発明の好ましい実施態様に有用な物質は固化、結晶化などに際して自己会合して会合したまたは「相互に連結した」構造を形成するので、それらの最終的な性質は、有利なことに、より高分子量のポリマーの特徴を示す。いくつかの実施態様において溶液電界紡糸に際して、その物質は、実質的にビードを形成せずに、細い繊維を生産する(ビードは均一な繊維形成の破壊を示す。)。さらに、本発明の溶液電界紡糸方法は、溶液電界紡糸産業において慣用の他の方法よりもかなり高い生産速度で細い繊維を生産する。
【0026】
さらに、理論に束縛されるものではないが、鎖のからみ合いを介して繊維を形成する従来のポリマーは、適度なまたは高い濃度で、しかしからみ合いの濃度未満の濃度(すなわちそれらのからみ合い濃度より低い濃度)ではない、そして典型的には低いからみ合い濃度ではない濃度で、繊維に、特にマイクロメートル未満の直径の繊維に、溶液電界紡糸することができる。なぜならば、従来のポリマーは、通常、それらのからみ合い濃度より高い繊維形成限界濃度を有するからである。本発明方法のいくつかの実施態様においては、その物質は、繊維に、特にマイクロメートル未満の直径の繊維に、溶液電界紡糸することができ、ただし、自己集合性物質の溶液の濃度は、からみ合いの濃度未満の濃度、ほぼからみ合い濃度、またはからみ合い濃度よりわずかに高い(たとえばそれらのからみ合い濃度よりも20%未満高い)濃度である。からみ合い濃度(c)は、良溶媒中のポリマーの半希釈のからみ合わない領域と半希釈のからみ合う領域の間の境界であり、そしてポリマー鎖の著しい重なりが位相的に鎖運動を抑制し、その結果、からみ合い結合をもたらす点として定義される(エム・ジー・マッキー(McKee MG)ら、高分子、2004年、第37巻、p.1760−1767)。
【0027】
本発明方法のさらに他の実施態様においては、その物質は、繊維、特にマイクロメートル未満の直径の繊維に、溶液電界紡糸することができ、ただし自己集合性物質の溶液の濃度は、ほぼ自己集合性物質の臨界鎖重なり濃度(c)である。
【0028】
本発明の好ましい実施態様で使用される自己集合性物質は、きっかけがあったときに、物質中の官能基の物理的な分子間会合を通して、効果的により大きな構造を形成するオリゴマーまたはポリマーである。その物質は、(a)静電相互作用(イオン−イオン、イオン−双極子または双極子−双極子)または配位結合(金属−配位子)、(b)水素結合、(c)π−πスタッキング相互作用、および/または(d)ファンデルワールス力のような、強い方向性のある相互作用ができる官能基を含む。好ましい物質は、溶媒の蒸発に際して、または別のきっかけがあったときに、会合し、最終用途温度で有用な程度に、高分子量または架橋共有結合ポリマーの有利な物性に似た機械的性質を有する超分子構造を形成する。理論に束縛されるものではないが、好ましい物質は、それらの濃度がcまたはそれより高い濃度に達する前に、溶媒の蒸発に際して自己会合することができ、すなわち、それらはからみ合い濃度未満の濃度で自己会合することができる。自己会合機構速度(たとえば水素結合による)は、高分子量ポリマーのからみ合い機構速度より速いオーダーであることが知られている。それゆえ、実質的にからみ合い機構を介して自己会合する従来のポリマーで達成されるよりも高い繊維生産速度が、所与の溶液電界紡糸装置用のその好ましい物質で可能である。
【0029】
多重水素結合配列の会合が自己集合の好ましい形式である。自己集合性多重H結合配列の説明は、アルベルト・シフェリ(Alberto Ciferri)編、「超分子ポリマー」、第2版、p.157−158に見いだすことができる。自己集合の程度または相互作用の強度は会合定数K(assoc)によって測定される。K(assoc)は、10〜10逆数モル濃度(M−1)の範囲にあり得る(同書p.159、図5)。
【0030】
したがって、好ましい態様においては、本発明で使用される自己集合性物質は、それ自体、多重水素結合配列を含む自己集合性単位を含む。好ましくは、多重水素結合配列は、10−1を超える会合定数K(assoc)を有する。また、好ましくは、多重H結合配列は、自己集合性単位当たり、平均2〜8個の、好ましくは4〜6個の、より好ましくは4個を超える供与体−受容体水素結合部位を含む。自己集合性物質中の好ましい自己集合性単位は、ビスアミド、ビスウレタンおよびビス尿素単位またはそれらのより高いオリゴマーである。他の好ましい実施態様においては、自己集合性物質は、ポリエステルアミド、ポリエーテルアミド、ポリエステルウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリエーテル尿素、ポリエステル尿素またはそれらの混合物を含む。
【0031】
本発明の好ましい実施態様に有用な自己集合性物質は、溶液電界紡糸されるそれらの能力に関係し、そしてそれらを従来のポリマーから区別する1つ以上の性質によって特徴づけることができる。そのような性質のいくつかは、固体の状態の物質で測定することができ、他のものは溶液中の物質で測定することができ、さらに他のものは溶融物状態の(すなわち溶媒なしの)物質で測定することができ、そして、さらに他のものは第1の実施態様の方法について測定することができる(たとえば、その方法はオーネゾルゲ(Ohnesorge)数(Oh)無次元数とヘルゲソン・アンド・ワーグナー(Helgeson and Wagner)無次元数(Π)の積によって特徴づけられる。)。そのような性質の例は、M;c;臨界鎖重なり濃度(c);Tm;Tg;粘度(濃縮溶液を含む溶融物または溶液の);引張弾性率;貯蔵弾性率;溶融体強度;からみ合い濃度未満の濃度で、繊維に、好ましくは1500nm以下の平均直径を有する繊維に、溶液電界紡糸される能力;ならびにたとえば溶液中のからみ合い数((nsol)、オーネゾルゲ数(Oh)、およびヘルゲソン・アンド・ワーグナー無次元数(Π)のような1つまたはそれ以上の無次元数(エム・イー・ヘルゲソン(Helgeson ME)およびエヌ・ジェー・ワーグナー(Wagner NJ)、米国化学工学会誌(AIChE Journal)、ウィリー・インターサイエンス(Wiley InterScience)、2007年、第53巻、第1号、p.51−55参照)である。
【0032】
ここで、臨界鎖重なり濃度cは、希薄濃度領域と半希薄濃度領域の間のポリマーのクロスオーバー濃度として定義される。物理的に、cは単一の高分子鎖の内部の濃度が溶液濃度と等しいときの点である(ピー・グプタ(Gupta P.)ら、ポリマー、2005年、第46巻、p.4799−4810)。
【0033】
ここで、ポリマーについての(nsolは、次式によって定義される。
【0034】
【数1】

【0035】
式中、Φρはポリマー体積分率であり、Mは質量平均分子量であり、そしてMはからみ合い分子量である(エス・エル・シェノイ(Shenoy SL)ら、ポリマー、2005年、第46巻、p.3372−3384)。
【0036】
ここで、ポリマーについての(Oh)は、次式によって定義される。
【0037】
【数2】

【0038】
式中、ηはゼロ剪断粘度であり、ρは密度であり、そしてγは表面張力であり、そしてLは代表長さである。
【0039】
ここで、ポリマーについての(Π)は、次式によって定義される。
【0040】
【数3】

【0041】
式中、
【数4】

は空気の誘電体誘電率であり、Φは電界紡糸に使用される電圧であり、Kはポリマー溶液の伝導率であり、ηはゼロ剪断粘度であり、そしてDは紡糸口金と捕集器の間の距離である(上述のヘルゲソンおよびワーグナー)。電場は電圧(Φ)を距離Dで割って得られる。上述のヘルゲソンおよびワーグナーは、最終的な繊維半径を電界紡糸流体(たとえば溶融物または溶液)中のポリマーの質量分率の平方根で割った値として代表長さL(上記のOhを参照)を利用する。この代表長さは湿潤半径と呼ばれる。ヘルゲソンおよびワーグナーは、積Π・Oh(すなわちΠのOh倍)は、従来のポリマー/溶媒系について約2.5×10−8であることに注目した。
【0042】
自己集合性物質の粘度は、好ましくは、Tmを超える温度でかつTmより約40℃高い温度までの範囲において100パスカル・秒(Pa・s)未満である。本発明の好ましい実施態様に有用な好ましい自己集合性物質の1つの粘度は、好ましくは190℃での100Pa・s未満であり、そしてより好ましくは160℃で1Pa・s〜50Pa・sの範囲である。好ましくは、当該物質のガラス転移温度は20℃未満である。好ましくは、融点は60℃より高い。本発明の好ましい実施態様は、複数のガラス転移温度Tを示す自己集合性物質を使用してもよい。好ましい実施態様においては、自己集合性物質は、零下80℃(−80℃)より高いガラス転移温度Tを有し、そして別の好ましい実施態様においては、ガラス転移温度は60℃より高い。
【0043】
ここで使用するときは、特に断らない限り、用語粘度はゼロ剪断粘度を意味する。用語「T」は示差走査熱量測定法のような当技術分野において既知の技術によって測定されるような融点を意味する。自己集合性物質が1つ以上のTを有する場合、好ましくは、少なくとも1つのTは25℃以上である。
【0044】
本発明の好ましい実施態様に有用な自己集合性物質の引張弾性率は、好ましくは、室温、好ましくは20℃において、約4メガパスカル(MPa)〜500MPaである。引張弾性率試験は、ポリマー技術分野においてよく知られている。
【0045】
好ましくは、本発明の好ましい実施態様に有用な自己集合性物質の捩り(動的)貯蔵弾性率(G′)は、20℃において、少なくとも12MPa、より好ましくは少なくとも50MPa、さらに好ましくは少なくとも100MPaである。好ましくは、捩り貯蔵弾性率は、20℃において、400MPa以下、より好ましくは300MPa以下、さらに好ましくは280MPa以下、さらに好ましくは250MPa以下、さらに好ましくは約200MPa以下である。
【0046】
本発明に使用するのに適した自己集合性物質の好ましい種類は、米国特許第6,172,167号明細書、出願人の係属中の国際出願PCT/US2006/023450(それはPCT/US2006/004005として番号が付け替えられ、国際公開第2007/099397号として公開された。)および出願人の係属中の国際出願PCT/US2006/035201(それは国際公開第2007/030791号として公開された。)(それらのそれぞれは引用によってここに組み入れられる。)に記載されたもののような、ポリエステルアミド、ポリエーテルアミド、ポリエステルウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリエーテル尿素、ポリエステル尿素およびそれらの混合物である。
【0047】
典型的な実施態様においては、自己集合性物質は、1つまたはそれ以上のx単位および1つまたはそれ以上のy単位を含む式(I)のコポリマーである。
【0048】
【化2】

【0049】
式中、
【0050】
【化3】

【0051】
そして、
Rは、出現毎に独立に、脂肪族基(好ましくはC−C12アルキレン)、ヘテロ脂肪族基(好ましくは主鎖原子が約2〜約12個のヘテロアルキレン)、シクロアルキル(好ましくはC−Cシクロアルキル)、−アルキレン−シクロアルキル−、−アルキレン−シクロアルキル−アルキレン−、−ヘテロアルキレン−シクロアルキル−、−ヘテロアルキレン−シクロアルキル−ヘテロアルキレン−、ポリエーテル鎖[(CH−O−](式中、mおよびnは独立に整数である。)(たとえばポリテトラメチレンエーテル、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリアルキレンオキシドコポリマー)、 R′およびR″は、出現毎に独立に、共有結合、脂肪族基(好ましくは炭素原子が1〜10個の、より好ましくは2〜6個のもの)、シクロアルキル(好ましくはC−Cシクロアルキル)、−アルキレン−シクロアルキル−、または−アルキレン−シクロアルキル−アルキレン−であり、
は、出現毎に独立に、HまたはC−Cアルキル(好ましくは出現毎にH)であり、
Raは、脂肪族基(好ましくは炭素原子2〜12個の、好ましくは2〜6個のアルキレン基)、シクロアルキル(好ましくはC−Cシクロアルキル)、−アルキレン−シクロアルキル−、もしくは−アルキレン−シクロアルキル−アルキレンであるか、または−N(R)−Ra−N(R)−基は、隣接したカルボニル基にヘテロシクロアルキルを連結する2個の窒素原子を含有するヘテロシクロアルキル基(たとえば−N(R)−Ra−N(R)−はピペラジニルである。)であり、そして
xはコポリマー中のエステル単位の数を表わし、yはコポリマー中のアミド単位の数を表わし、ただしxとyのいずれも0ではない。
【0052】
好ましい実施態様においては、式(I)のオリゴマーまたはポリマーは次式のものである。
【0053】
【化4】

【0054】
式中、R、R′、Z、Z′、Ra、R、xおよびyは上に定義したとおりである。
【0055】
別の好ましい実施態様においては、式(I)のオリゴマーまたはポリマーは次式のものである。
【0056】
【化5】

【0057】
式中、R、R′、Z′、Ra、R、xおよびyは式(I)について定義されたとおりであり、そしてZは(a′)、(b′)および(c′)のいずれかの1つで定義されるものである。
【0058】
【化6】

【0059】
式(I)のコポリマーの反復単位は、便宜上、上に示したとおりであるが、そのコポリマーは必ずしもブロックコポリマーではないことに注意すべきである。むしろ、本発明の好ましい実施態様は、不規則に分布したxおよびy単位、交互に分布したxおよびy単位、ならびに部分的におよび完全にブロックまたはセグメント化されたコポリマーを含む、コポリマー中のxおよびy単位の可能性があるあらゆる分布を包含する。
【0060】
1つの実施態様によれば、好ましい式(I)のポリマーとしては、各Rが同一でありかつ脂肪族基であるポリマーが挙げられる。より好ましくはRはC−Cアルキレンであり、さらに好ましくはRは−(CH−である。
【0061】
別の実施態様によれば、好ましい式(I)のポリマーとしては、また、Rがヘテロ脂肪族、シクロアルキル(好ましくはC−Cシクロアルキル)、−アルキレン−シクロアルキル−アルキレン−、−ヘテロアルキレン−シクロアルキル−、または−ヘテロアルキレン−シクロアルキル−ヘテロアルキレン−であるポリマーも挙げられる。この実施態様のための好ましい−アルキレン−シクロアルキル−アルキレン−としては、ジメチレンシクロヘキシルが挙げられる。この実施態様のための好ましいヘテロアルキレン基としては、ジエチレングリコール(−CHCHOCHCH−)のようなオキシジアルキレンが挙げられる。
【0062】
さらなる実施態様によれば、好ましい式(I)のポリマーとしては、さらに、Rがそれに結合した酸素と共に架橋ポリエーテルを形成したポリマーが挙げられ、たとえばポリテトラメチレンエーテル、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、異なる長さのアルキレンを含有するポリアルキレンオキシドを含む他のポリアルキレンオキシドが挙げられる。
【0063】
さらに別の実施態様によれば、好ましい式(I)のポリマーとしては、また、各R′が同一でありかつ脂肪族基であるポリマーも挙げられる。より好ましくはR′はC−Cアルキレンであり、そしてさらに好ましくはR′は−(CH−である。
【0064】
さらなる実施態様によれば、好ましい式(I)のポリマーとしては、また、各R″が同一でありかつ脂肪族基であるポリマーも挙げられる。より好ましくはR″はC−Cアルキレンであり、そしてさらに好ましくはR″は−(CH−および−(CH−である。
【0065】
別の実施態様によれば、好ましい式(I)のポリマーとしては、また、両方のR基が水素であるポリマーも挙げられる。また、好ましくは、Raはアルキレンであり、そして特にエチレン、ブチレンまたはヘキシレンである。最も好ましいRa基はエチレンおよびヘキシレン(−(CH−)である。
【0066】
式(I)のポリマーの数平均分子量は、好ましくは少なくとも約1000g/モル、より好ましくは少なくとも約2000グラム/モル、さらに好ましくは少なくとも約3000g/モル、さらに好ましくは少なくとも約5000g/モルである。さらなる態様において、分子量は、好ましくは約30,000g/モル以下、より好ましくは約20,000g/モル以下、さらに好ましくは約15,000g/モル以下、さらに好ましくは約12,000g/モル以下である。
【0067】
さらなる実施態様によれば、式(I)の好ましいコポリマーとしては、式(I−1)の物質が挙げられる。
【0068】
【化7】

【0069】
式中、R、R′、R″、R、Ra、xおよびyは、上に定義したとおりである。
【0070】
式(I−1)において、特に好ましい物質は、RがC−Cアルキレン、特に−(CH−であるものである。各R′が同一でありかつC−Cアルキレン、特に−(CH−である物質もまた好ましい。各R″が同一でありかつC−Cアルキレン、特に−(CH−である物質がさらに好ましい。各Rが水素でありかつRaがC−Cアルキレン、特に−(CH)−)である物質もまた好ましい。
【0071】
式(I−1)のポリマーは、好ましくは少なくとも約1000g/モル、より好ましくは少なくとも約2000g/モル、さらに好ましくは少なくとも約5000g/モル、そして約30,000g/モル以下、より好ましくは約18,000g/モル以下の分子量(M)を有する。より好ましくは、分子量は約12,000g/モル以下である。
【0072】
別の実施態様において、式(I)のさらに好ましいコポリマーとしては、式(I−2)の物質が挙げられる。
【0073】
【化8】

【0074】
式(I−2)において、特に好ましい物質は、各Rが同一でありかつC−Cアルキレン、特に−(CH−であるものである。R′がC−Cアルキレン、特に−(CH−である物質もまた好ましい。各R″が同一でありかつC−Cアルキレン、特に−(CH−である物質がさらに好ましい。各Rが水素であり、そしてRaがC−Cアルキレン、特に−(CH)−)である物質もまた好ましい。
【0075】
式(I−2)のポリマーは、好ましくは少なくとも約1000g/モル、より好ましくは少なくとも約2000g/モル、さらに好ましくは少なくとも約5000g/モル、そして約30,000g/モル以下、より好ましくは約18,000g/モル以下の分子量(M)を有する。より好ましくは、分子量は約12,000g/モル以下である。
【0076】
さらに別の実施態様において、式(I)のさらに好ましいコポリマーとしては、式(I−3)の物質が挙げられる。
【0077】
【化9】

【0078】
式(I−3)において、特に好ましい物質は、各Rが同一でありかつC−Cアルキレン、特に−(CH−であるものである。各R′が同一でありかつC−Cアルキレン、特に−(CH−である物質もまた好ましい。各Rが水素であり、そしてRaがC−Cアルキレン、特に−(CH)−である物質がさらに好ましい。
【0079】
式(I−3)のポリマーは、好ましくは少なくとも約1000g/モル、より好ましくは少なくとも約2000g/モル、さらに好ましくは少なくとも約5000g/モル、そして約30,000g/モル以下、より好ましくは約18,000g/モル以下の分子量(M)を有する。より好ましくは、分子量は約12,000g/モル以下である。
【0080】
別の好ましい実施態様において、ポリマー(II−1)と呼称する自己集合性物質は、式−[H1−AA]−によって表わされる第1の反復単位および式−[DV−AA]−によって表わされる第2の反復単位を含む。
ここで、H1は−R−CO−NH−RII−NH−CO−R−O−または−R−NH−CO−R−CO−NH−R−O−であり、
ただし、RaはRまたは結合(すなわち、「−RA−」は結合である。)であり、
Rは、出現毎に独立に、脂肪族もしくはヘテロ脂肪族、脂環式もしくはヘテロ脂環式または芳香族もしくはヘテロ芳香族基であり、好ましくは、Rは炭素原子が1〜10個の、好ましくは1〜6個の脂肪族基であり、そして
AAは各々独立に−CO−R′−CO−O−であり、
ただし、R′は結合(すなわち、「−R′−」は結合である。)または脂肪族基、好ましくは炭素原子が1〜10個の、より好ましくは2〜6個の脂肪族基であり、
DVは−[R″−O]−であり、
ただし、R″は脂肪族もしくはヘテロ脂肪族、脂環式もしくはヘテロ脂環式または芳香族もしくはヘテロ芳香族基である。
好ましくは、R″は、ポリマーの次に続く誘導において、反応混合物から、好ましくは周囲圧力またはそれより低い圧力で、R″(OH)を蒸留除去することができるように選択される。好ましくは、R″は、炭素原子が1〜8個の、より好ましくは1〜7個、さらに好ましくは2〜6個の脂肪族基である。R″が炭素原子1〜7個の脂肪族基である場合、R″(OH)は揮発性ジオールである。
【0081】
1つの表現によれば、ポリマー(II−1)は式HO−D1−O−[−CO−AA1−CO−O−D1−O−]−[CO−AA1−CO−O−AD−O]−Hを有すると表わすことができる。
ここで、対になった大括弧は各xおよびy反復単位を含み、
O−D1−Oは揮発性ジオール官能基の残基を表わし、
CO−AA1−COは脂肪族ジカルボン酸官能基(好ましくは短い、たとえば6個以下の炭素原子)の残基を表わし、
O−AD−Oは、好ましくは短い(たとえばジアミン中に好ましくは6個以下の炭素原子)、対称な結晶性アミドジオール官能基の残基を表わし、
xおよびyは、各々独立に、各xおよびy反復単位のうちの1つの数を表わす1以上の整数である。
【0082】
別の好ましい実施態様において、ポリマー(II−2)と呼称する自己集合性物質は、反復単位−[H1−AA]−、−[DV−AA]−および−[D2−O−AA]−を含む。
ここで、H1、AAおよびDVは、ポリマー(II−1)について上に定義したとおりであり、そして、
D2は、出現毎に独立に、脂肪族もしくはヘテロ脂肪族、脂環式もしくはヘテロ脂環式または芳香族もしくはヘテロ芳香族基であり、好ましくはD2は脂肪族基である。
【0083】
1つの表現によれば、ポリマー(II−2)は、式HO−D2−O−[−CO−AA1−CO−O−D1,D2−O−]−[CO−AA1−CO−O−AD−O]−Hを有すると表わすことができる。
ここで、対になった大括弧は各xおよびy反復単位を含み、
O−D2−Oは不揮発性ジオール官能基の残基を表わし、
CO−AA1−COは、脂肪族ジカルボン酸官能基の残基を表わし、
O−AD−Oは、ポリアミドジオール官能基の残基を表わし、
O−D1,D2−O(すなわちそれぞれO−D1−OまたはO−D2−O)は、揮発性ジオール官能基または不揮発性ジオール官能基の残基を表わし、
xおよびyは、各々独立に、ポリマー中の各xおよびy反復単位のうちの1つの数を表わす1以上の整数である。
不揮発性ジオールは、この明細書においては、1,7−ヘプタンジオールの分子量より大きい、すなわち132g/モルより大きい分子量を有すると定義される。
【0084】
さらに別の好ましい実施態様において、ポリマー(II−3)と呼称する自己集合性物質は、反復単位−[H1−AA]−、−[R−O−AA]−および−M−(AA)−を含む。
ここで、H1、AAおよびRは、ポリマー(II−1)について上に定義したとおりであり、そして、
Mは、n価の有機基であり、好ましくは脂肪族もしくはヘテロ脂肪族、脂環式もしくはヘテロ脂環式または芳香族もしくはヘテロ芳香族基であり、好ましくは20個以下の炭素原子を有し、そして、nは3以上の整数である。
【0085】
1つの表現(多数のMが可能であるが、鎖に形成された単一の多官能基Mを有するもの)によれば、ポリマー(II−3)は、式HO−D1−O−[−CO−AA1−CO−O−D1−O−]−[CO−AA1−CO−O−AD−O]−CO−AA1−CO−O−M−(O−[CO−AA1−CO−O−D1−O]x′−[CO−AA1−CO−O−AD−O]y′−H)n−1を有することができる。
ここで、対になった大括弧は各x、x′、yおよびy′反復単位を含み、
O−D1−Oは揮発性ジオール官能基の残基を表わし、
CO−AA1−COは脂肪族ジカルボン酸官能基の残基を表わし、
O−AD−Oはポリアミドジオール官能基の残基を表わし、
x、x′、yおよびy′は、各々独立に、ポリマー中の各x、x′、yおよびy′反復単位のうちの1つの数を表わす0またはそれ以上の整数であり、そしてxとx′の少なくとも一方は1以上であり、yとy′の少なくとも一方は1以上である。
【0086】
別の好ましい実施態様において、ポリマー(II−4)と呼称する自己集合性物質は、反復単位−[H1−AA]−、−[R−O−AA]−および−PA−(CO−O−R−O)−を含む。
ここで、H1、AAおよびRは、ポリマー(II−1)について上に定義したとおりであり、そして、
PAはn価の有機基であり、好ましくは脂肪族もしくはヘテロ脂肪族、脂環式もしくはヘテロ脂環式または芳香族もしくはヘテロ芳香族基であり、好ましくは20個以下の炭素原子を有し、そして
nは3以上の整数である。
【0087】
1つの表現(多数のPAが可能であるが、鎖に形成された単一の多官能基PAを有するもの)によれば、ポリマー(II−4)は、式HO−D1−O−[−CO−AA1−CO−O−D1−O−]−[CO−AA1−CO−O−AD−O]−CO−PA−(CO−O−D1−O−[CO−AA1−CO−O−D1−O]x′−[CO−AA1−CO−O−AD−O]y′−H)n−1を有することができる。
ここで、対になった大括弧は各x、x′、yおよびy′反復単位を含み、
O−D1−Oは揮発性ジオール官能基の残基を表わし、
CO−AA1−COは脂肪族ジカルボン酸官能基の残基を表わし、
O−AD−Oはポリアミドジオール官能基の残基を表わし、
x、x′、yおよびy′は、各々独立に、ポリマー中の各x、x′、yおよびy′反復単位のうちの1つの数を表わす0またはそれ以上の整数であり、そしてxとx′の少なくとも一方は1以上であり、yとy′の少なくとも一方は1以上である。
【0088】
別の好ましい実施態様において、ポリマー(II−5)と呼称する自己集合性物質は、反復単位−[H2−D]−、−[R−O−AA]−および−M−(AA)−を含む。
ここで、M−(AA)はポリマー(II−3)について上に定義したとおりであり、
H2は−CO−R−CO−NH−R−NH−CO−R−CO−O−であり、ただし、Rは、出現毎に独立に、脂肪族もしくはヘテロ脂肪族、脂環式もしくはヘテロ脂環式または芳香族もしくはヘテロ芳香族基であり、好ましくは、Rは炭素原子が1〜10個の、好ましくは2〜4個の脂肪族基であり、そして
Dは−[R−O]−であり、ただし、Rは脂肪族もしくはヘテロ脂肪族、脂環式もしくはヘテロ脂環式または芳香族もしくはヘテロ芳香族基である。
【0089】
1つの表現によれば、ポリマー(II−5)は、次式(多数のMが可能であるが、鎖に形成された単一の多官能基Mを有するもの)によって表わすことができる。
H−[−O−D1−O−CO−AA1−CO−]−[O−D1−O−CO−DD−CO−]−O−M−(O−[CO−AA1−CO−O−D1−O]x′−[−CO−DD−CO−O−D1−O]y′−H)n−1
ここで、対になった大括弧は各x、x′、yおよびy′反復単位を含み、
O−D1−Oは揮発性ジオール官能基の残基を表わし、
CO−AA1−COは脂肪族ジカルボン酸官能基の残基を表わし、
CO−DD−COはジアミド二酸官能基の残基を表わし、
x、x′、yおよびy′は、各々独立に、ポリマー中の各x、x′、yおよびy′反復単位のうちの1つの数を表わす0またはそれ以上の整数であり、そしてxとx′の少なくとも一方は1以上であり、yとy′の少なくとも一方は1以上である。
【0090】
別の好ましい実施態様において、ポリマー(II−6)と呼称する自己集合性物質は、反復単位−[H2−AA]−、−[R−O−AA]−および−PA−(COOR−O)−を含む。
ここで、H2は、ポリマー(II−5)について上に定義したとおりであり、
R−O−AAは、ポリマー(II−3)について上に定義したとおりであり、そして
PA−(COOR−O)は、ポリマー(II−4)について上に定義したとおりである。
【0091】
ポリマー(II−6)の1つの表現(多数のPAが可能であるにもかかわらず、鎖に形成された単一の多官能基PAを有するもの)によれば、そのポリマーは式HO−D1−O−[−CO−AA1−CO−O−D1−O−]−[CO−DD−CO−O−D1−O]CO−PA−(CO−[−O−D1−O−CO−AA1−CO−]x′[O−D1−O−CO−DD−CO]y′−O−D1−OH)n−1で表わすことができる。
ここで、対になった大括弧は各x、x′、yおよびy′反復単位を含み、
O−D1−Oは揮発性ジオール官能基の残基を表わし、
CO−AA1−COは脂肪族ジカルボン酸官能基の残基を表わし、
CO−DD−COはジアミド二酸官能基の残基を表わし、
x、x′、yおよびy′は、各々独立に、ポリマー中の各x、x′、yおよびy′反復単位のうちの1つの数を表わす0またはそれ以上の整数であり、そしてxとx′の少なくとも一方は1以上であり、yとy′の少なくとも一方は1以上である。
【0092】
別の好ましい実施態様において、ポリマー(II−7)と呼称する自己集合性物質は、式HO−D1−O−[−CO−AA1,AA2−CO−O−D1−O−]−[CO−AA1,AA2−CO−O−AD−O]−Hを有する。
ここで、対になった大括弧は各xおよびy反復単位を含み、
O−D1−Oは揮発性ジオール官能基の残基を表わし、
CO−AA1,AA2−COは、それぞれ、脂肪族ジカルボン酸官能基(CO−AA1−CO)または高沸点二酸エステル官能基(CO−AA2−CO)の残基を表わし、
O−AD−Oはポリアミドジオール官能基の残基を表わし、
xおよびyは、各々独立に、各xおよびy反復単位のうちの1つの数を表わす1以上の整数である。
【0093】
別の好ましい実施態様において、ポリマー(II−8)と呼称する自己集合性物質は、反復単位−[H2−D]−、−[H2−D2−O]−、[D−AA]−(好ましくは−[DV−AA]−)および−[D2−O−AA]−を含む。
ここで、H2はポリマー(II−5)について上に定義したとおりであり、
Dはポリマー(II−5)について上に定義したとおりであり、
AAはポリマー(II−1)について上に定義したとおりであり、
DV−AAはポリマー(II−1)について上に定義したとおりであり、そして
D2−O−AAはポリマー(II−2)について上に定義したとおりである。
【0094】
1つの表現によれば、変形ポリマー(II−8)は式HO−D2−O−[−CO−AA1−CO−O−D1,D2−O−]−[−CO−DD−CO−O−D1,D2−O−]−Hによって表わすことができる。
ここで、対になった大括弧は各xおよびy反復単位を含み、
O−D2−Oは不揮発性ジオール官能基の残基を表わし、
CO−AA1−COは脂肪族ジカルボン酸官能基の残基を表わし、
CO−DD−COはジアミド二酸官能基の残基を表わし、
O−D1,D2−Oはそれぞれ揮発性ジオール官能基または不揮発性ジオール官能基の残基を表わし、
xおよびyは、各々独立に、ポリマー中の各xおよびy反復単位のうちの1つの数を表わす1以上の整数である。
【0095】
さらに別の好ましい実施態様において、ポリマー(II−9)と呼称する自己集合性物質は、式HO−D1−O−[−CO−AA1,AA2−CO−O−D1−O−]−[CO−DD−CO−O−D1−O]−OHのものである。
ここで、対になった大括弧は各xおよびy反復単位を含み、
O−D1−Oは揮発性ジオール官能基の残基を表わし、
CO−AA1,AA2−COはそれぞれ脂肪族ジカルボン酸官能基または高沸点二酸エステル官能基の残基を表わし、
CO−DD−COはジアミド二酸官能基の残基を表わし、
xおよびyは、各々独立に、ポリマー中の各xおよびy反復単位のうちの1つの数を表わす1以上の整数である。
【0096】
別段の言及がない限り、コポリマーが少なくとも1個のxまたはx′単位および少なくとも1個のyまたはy′単位を含む(すなわち、xとx′の少なくとも一方は1以上であり、そしてyとy′の少なくとも一方は1以上である)限り、本発明の好ましい実施態様において、x(またはx′)単位とy(またはy′)単位の比については特に制限はない。xおよびx′を有する実施態様においては、好ましくはx=x′である。yおよびy′を有する実施態様においては、好ましくはy=y′である。x、x′、yおよびy′を有する実施態様においては、好ましくはx′=xかつy′=yである。いくつかの好ましい実施態様においては、xまたはx′およびyまたはy′反復単位だけがある(または、x、x′、yおよびy′反復単位があり、そしてx′=xおよびy′=yである)。いくつかの実施態様においては、x(またはx′)とy(またはy′)単位のモル比は、好ましくは約95:5〜約5:95、より好ましくは約10:90〜約90:10である。さらに他の好ましい実施態様においては、その比は約95:5〜約50:50である。好ましい実施態様においては、x(またはx′)単位のモルとy(またはy′)単位のモルの比は、少なくとも約50:50、少なくとも約70:30、またはより好ましくは少なくとも約75:25、または約72:18である。いくつかの好ましい実施態様においては、コポリマーは、少なくとも15モル%のy単位、少なくとも25モル%のy単位、少なくとも50モル%のy単位、または少なくとも75モル%のy単位を含む。
【0097】
本発明は自己集合性物質、非自己集合性ポリマー(たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンゴムなど)および溶媒の溶液を溶液電界紡糸することを意図しているが、用いられる自己集合性物質の質量は、用いられる非自己集合性ポリマーの質量より大きい。
【0098】
ポリマー(II−1)〜(II−9)の数平均分子量Mは、好ましくは1000g/モル〜30,000g/モル、好ましくは2,000g/モル〜20,000g/モル、より好ましくは4,000g/モル〜12,000g/モル、さらに好ましくは5,000g/モル〜12,000g/モルである。したがって、いくつかの態様においては、分子量は、好ましくは少なくとも約1000g/モル、より好ましくは少なくとも約2000g/モル、さらに好ましくは少なくとも約3000g/モル、さらに好ましくは少なくとも約4000g/モル、さらに好ましくは少なくとも約5000g/モルである。さらなる態様において、分子量は、好ましくは約30,000g/モル以下、より好ましくは約20,000g/モル以下、さらに好ましくは約15,000g/モル以下、さらに好ましくは約12,000g/モル以下である。
【0099】
上記のコポリマーは、上記の米国特許第6,172,167号明細書および/または国際公開第2007/030791号および国際公開第2007/099397号(これらは)に記載されたように調製することができる。
【0100】
上に使用した用語「脂肪族」とは、飽和または不飽和(アルカン、アルケン、アルキン)の直鎖または分岐の炭化水素をいう。その用語は、それらの架橋型(たとえばアルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン)を包含する。脂肪族基は、所望により、1〜6個の種々の置換基または官能基で置換されていてもよく、それらの置換基または官能基としては、特に、ハライド、アルコキシ基(たとえば(C−C)アルコキシ)、ヒドロキシ、チオール(すなわち−SH)、カルボン酸エステル基(たとえばC(O)OR)、ケトン基(たとえば−C(O)R)、カルボン酸(すなわち−COOH)、アミン(たとえば−NR)、およびアミド(たとえば−C(O)NR)が挙げられる。ただし、R、R、RおよびRは、ここに定義されるとおりである。好ましい脂肪族基としては、C−C12アルキレン、より好ましくはC−Cアルキレン、たとえば−CHCH−および−CHC(CHCH−などが挙げられる。エチレン、ブチレンおよびヘキシレンが特に好ましい。好ましくは、ブチレンは1,4−ブチレンであり、ヘキシレンは1,6−ヘキシレンである。
【0101】
用語「(C−C)アルキル」とは、炭素原子が1〜3個の非置換または置換された直鎖または分岐の炭化水素基を意味する。用語「(C−C)アルキレン」とは、炭素原子が2〜6個の非置換または置換された直鎖または分岐の炭化水素ジラジカルを意味する。用語「(モノハロ〜ペルハロ)(C−C)アルキル」とは、1〜(2n+1)個のハロゲン原子ラジカルによって置換された炭素原子1〜6個の直鎖または分岐の炭化水素基(ただし、nは1(モノハロ)〜6(ペルハロ)の整数であり、ハロゲン原子ラジカルは各々独立にFまたはClである。)を意味する。
【0102】
「ヘテロ脂肪族」基は、炭化水素鎖の中に1個以上の非炭素原子を含む脂肪族基である(たとえば、1個以上の非隣接のCH基がO、SまたはNHで置き換えられている)。好ましいヘテロ脂肪族基としては、C−C12ヘテロアルキレン、より好ましくはC−Cヘテロアルキレン(特に前記1個以上の非炭素原子が酸素であるもの)が挙げられる。ヘテロ脂肪族基は、脂肪族基について上述したように置換されていてもよい。
【0103】
「シクロアルキル」基とは、3〜12個、好ましくは3〜7個の炭素原子を有する飽和炭素環式ラジカルをいう。シクロアルキルは、単環であってもよいし、多環縮合系であってもよい。そのようなラジカルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられる。ここで、シクロアルキル基は、所望により、1つ以上の置換可能な位置において、置換脂肪族基について上述した種々の基で置換される。
【0104】
「−アルキレン−シクロアルキル−」、「−アルキレン−シクロアルキル−アルキレン−」、「−ヘテロアルキレン−シクロアルキル−」、「−ヘテロアルキレン−シクロアルキル−ヘテロアルキレン−」とは、アルキル、ヘテロアルキルおよびシクロアルキルの種々の組み合わせをいい、そしてオキシジアルキレン(たとえばジエチレングリコール)のような基、ネオペンチルグリコールのような分岐ジオールから誘導された基または1,3−および1,4−シクロヘキサンジメタノールの異性体混合物であるダウ社UNOXOL(登録商標)(ダウ・ケミカル社のユニオン・カーバイド・ケミカルズ・アンド・プラスチックス・テクノロジー社(Union Carbide Chemicals & Plastics Technology Corporation of The Dow Chemical Company)のような脂環式ジオールから誘導された基、ならびに−メチル−シクロヘキシル−、−メチル−シクロヘキシル−メチル−などのようなその他の非限定的な基が挙げられる。
【0105】
「ヘテロシクロアルキル」または「複素環」とは、窒素、酸素または硫黄から選択されたヘテロ原子を1〜4個含む4員環、5員環、6員環または7員環の1つ以上の炭素環系(9〜11個の原子の縮合環系を含む。)を意味する。好ましい複素環は、ピペラジニルのように、環の中に2個の窒素原子を含む。ここで、ヘテロシクロアルキル基は、所望により、1つ以上の置換可能な位置において、置換脂肪族基について上述した種々の基で置換される。
【0106】
用語「ビード」とは、ほぼ球状にまたは楕円体状に太くなったこと特徴とする繊維の1つ以上の部分を意味する。実際のビード構造の形状は様々な方法で歪められる場合がある。繊維に沿ってそのような部分が2つ以上ある場合は、それらの部分は連続的(すなわち部分的に合併された部分)であってもよいし、不連続(すなわち、ビードを欠く繊維セグメントによって分離されている。)であってもよいし、またはそれらの組み合わせであってもよい。ビードは、SEMによって非特異的繊維寸法変動と区別することができる。
【0107】
自己集合性物質と溶媒の溶液としては、それらの任意の混合物が挙げられ、限定するものではないが、<100:>0混合物、50:50混合物、>0:<100混合物、部分溶液、および2種以上の溶媒を含む混合物が挙げられる。好ましい実施態様においては、溶液は均一である。より好ましくは、均一な溶液は、自己集合性物質が形式的に溶媒の中に溶解している(すなわち、溶液は、不飽和のまたは完全飽和の自己集合性物質を含む)ものである。他のより好ましい実施態様においては、均一な溶液は、溶媒が形式的に自己集合性物質の中に溶解している(すなわち、溶液が完全飽和より多くの自己集合性物質を含み、自己集合性物質は溶媒と共に加熱されて溶液を生成することができる。)ものである。溶液は、また、完全飽和よりも多くを有する混合物をも含む。さらに他の実施態様においては、溶液は不均一である、すなわち溶媒の中に溶解した自己集合性物質の大多数部分と、溶解していない自己集合性物質の少量部分を含む懸濁液である。より好ましくは、不均一な溶液は安定化したミクロ懸濁液である。
【0108】
本発明方法の好ましい実施態様において、種々の溶媒を使用することができる。好ましい溶媒は、(モノハロ〜ペルハロ)(C−C)アルキル、RC(O)OR、RC(O)NR、ROR、RC(O)R、またはそれらの混合物である。
ここで、ハロは各々独立にフルオロまたはクロロであり、
およびRは各々独立にHまたは(C−C)アルキルであり、
およびRは各々独立にHまたは(C−C)アルキルであるか、またはRとRは一緒になって(C−C)アルキレンを形成し、そして
およびRは各々独立に(C−C)アルキルであるか、またはRとRは一緒になって(C−C)アルキレンを形成する。
より好ましい溶媒は、クロロホルム、メタノール、水、ギ酸、アルコール(たとえばROR。ただしRは(C−C)アルキルであり、RはHである。)、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、1,2−ジクロロエタン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、またはそれらの混合物である。さらに好ましいのは、クロロホルムおよびギ酸である。
【0109】
ポリマー溶液の粘度は、ポリマー濃度およびポリマー分子量に比例する。本発明の好ましい実施態様に有用な物質の低い溶液粘度と、様々な温度でその物質を電界紡糸する能力との組み合わせは、物質の低濃度および高濃度を含む種々の濃度が電界紡糸に容易に使用することができることを意味する。したがって、別段の言及がない限り、本発明の好ましい実施態様において、電界紡糸のための物質の溶液濃度については特に制限はなく、0質量%(wt%)超100質量%未満のいかなる濃度も包含される。他の好ましい実施態様においては、濃度は、好ましくは75質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは約30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。他の好ましい実施態様においては、濃度は、室温で、少なくとも約0.1質量%、好ましくは少なくとも約2質量%、より好ましくは少なくとも約4質量%、さらに好ましくは少なくとも約6質量%である。特に好ましいのは、室温で約12質量%の濃度である。さらに別の実施態様においては、好ましい濃度は、室温で、約4質量%〜約30質量%、より好ましくは約6質量%〜約25質量%である。
【0110】
さらに、本発明に有用な好ましい自己集合性物質は、20℃〜50℃、好ましくは20℃の温度範囲において、約0.001Pa・s〜約0.5Pa・s、好ましくは少なくとも約0.005Pa・s、より好ましくは少なくとも約0.01Pa・sの粘度を有する溶液から繊維(マイクロメートル未満の直径の繊維を含む。)に溶液電界紡糸することができる。自己集合性物質は、溶液中に、約4質量%〜約30質量%、好ましくは約6質量%〜約25質量%の濃度で存在する。それゆえ、実質的にからみ合い機構を介して自己会合する従来のポリマーで達成されるよりも高い繊維生産速度が、所与の溶液電界紡糸装置用の好ましい物質で可能である。
【0111】
本発明のいくつかの実施態様においては、第1の実施態様の発明方法に有用な溶液は、高生産速度、好ましくは毎時4.5ミリリッターを超える速度で、より好ましくは10mL/時を超える速度で、ニードルから電界紡糸できることを特徴とする。溶液のこの特徴は、第1の実施態様の本発明方法に有用な電界紡糸装置を、その特別の型に限定しない。
【0112】
さらに別の好ましい実施態様においては、自己集合性物質の濃度は、40質量%超99.9質量%以下、より好ましくは少なくとも約60質量%、さらに好ましくは少なくとも約75質量%、さらに好ましくは少なくとも約90質量%、さらに好ましくは少なくとも約98質量%(100質量%未満)である。より好ましくは、自己集合性物質の濃度は、40質量%超99.9質量%以下であり、そして第1の実施態様の方法は、好ましくはさらに、自己集合性物質および溶媒を加熱して溶液を形成する予備工程を含む。
【0113】
本発明の目的のためには、溶媒中の自己集合性物質の質量%濃度は、自己集合性物質の質量を自己集合性物質の質量と溶媒の質量の合計で割ることによって計算される。
【0114】
溶液の操作特性のいくつかを変更するために、界面活性剤、塩および他の物質を溶液に加えてもよい。これらの添加剤としては、限定するものではないが、硫酸ドデシルナトリウム、ギ酸ピリジニウム、無機塩、ポリエチレングリコール、トリエチルベンジルアンモニウム=クロリド、脂肪族ポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレンオキシド)エーテル、ナノクレー(ラポナイト(laponite))およびそれらの組み合わせを挙げることができる。これらの添加剤は、粘度、伝導率(または抵抗率)、表面張力および溶液の電界紡糸に影響を及ぼし得る他の性質を変更する。
【0115】
上記の溶液には、限定するものではないが、たとえば、他のポリマー、樹脂、粘着付与剤、フィラー、油および添加剤(たとえば難燃剤、酸化防止剤、加工助剤、顔料、染料など)を配合することができる。
【0116】
上述した好ましい分子量において、本発明の好ましい実施態様に有用な好ましいコポリマーは、ポリマー溶液の濃度に関係なく、概してニュートン流れ特性を示すことができる。したがって、これらのポリマー溶液の粘度は剪断速度に依存しない。
【0117】
本発明の別の態様において、自己集合性物質は、バルク物質の圧縮成形試料の弾性率を張力下に試験したとき、少なくとも4MPa、好ましくは50MPa〜500MPaの引張弾性率を有する。ある好ましい実施態様の物質から、張力型試験(たとえば、当技術分野において知られている「インストロン」引張試験)に有用な厚さ2ミリメートル(mm)の圧縮成形円板試料が作られた。圧縮成形の前に、その物質は、真空下、65℃で約24時間、乾燥された。160mm×160mm×2mmの円板試料は、150℃の等温で、10バール(約1.0MPa)で6分間、その後、150バール(約15MPa)で3分間、圧縮成形することによって得られた。試料は150℃から室温まで20℃/分の冷却速度で冷却された。いくつかの好ましい物質は、Tmを超えTmより約40℃高い温度以下の温度で、10−1〜10ラジアン/秒の振動試験範囲周波数において、ニュートン粘性を示す。ポリマーまたはオリゴマーに依存するが、これらの自己集合性物質は、好ましくは100℃より高い、より好ましくは120℃より高い、さらに好ましくは140℃でまたは140℃より高い温度で、そして好ましくは300℃未満の、より好ましくは250℃未満の、さらに好ましくは200℃未満の温度で、試験範囲周波数において、ニュートン粘性を示す。1つの好ましい実施態様については、関連する温度範囲は、約140℃と200℃の間およびそれ以上である。ある好ましい物質は、従来の高分子量繊維ポリマーの固体状態の機械的性質、たとえば、4MPa〜500MPaの(成形された試料の)引張弾性率、およびより速い加工速度を容易にする低分子量ニュートン液体のいくつかの流動学的性質、を示す。本発明の開示のためには、用語「ニュートン粘性」とは、その通常の意味を有する、すなわち、流体の剪断速度が増加(または低下)しても粘度がほぼ一定であることを意味する。ここに開示した自己集合性物質は、好ましくは低いM(たとえば30,000未満)を有し、有利には、高生産性(伝統的な高ポリマー電界紡糸と比べて)繊維電界紡糸に有用な低い融解粘度およびマイクロメートル未満の繊維の形成における有用性を有する。好ましい実施態様においては、自己集合性物質のゼロ剪断粘度は、180℃〜220℃、たとえば180℃〜190℃の範囲の温度で、0.1Pa・s〜30Pa・s、より好ましくは0.1Pa・s〜10Pa・sの範囲にある。
【0118】
繊維形成性物質の電界紡糸の技術は知られており、多くの特許および一般文献に記載されてきた。本発明の好ましい実施態様で使用される典型的な電界紡糸設備は、3つの主要な構成要素、すなわち高電圧電源、紡糸口金および導体(たとえばアースされた導体または帯電した導体)を含む。特に、帯電した導体は、紡糸口金の極性と反対の極性を有することができる(たとえば、紡糸口金が正電荷を有し、帯電した導体が負電荷を有することができる)。電界紡糸設備はさらに1つ以上の捕集器を含むことができる。捕集器はアースされてもよいし、アースされなくてもよい。好ましくは、設備は、さらに、導体の前に配置され、そしてそれと物理的に接触していてもよいし接触していなくてもよい捕集器を含む。適切な捕集器の例は、ウェブ(たとえば金属ウェブ)、箔、フィルム、紙、布帛、織布および不織布である。捕集器は、たとえば、木材、または、好ましくはガラス、ポリマー、金属、紙 セラミックスおよびそれらの組み合わせのような無機または有機の物質を含んでもよい。紡糸口金は、電場によって繊維を引き出すことを可能にする紡糸電極である。紡糸口金は、シリンジ、シリンダー(たとえば溶液の中で回転するシリンダー)、スクリーン、ワイヤー、毛細管装置、または繊維形成性自己集合性物質の溶液の導入のための供給システムに連結された伝導性表面であってもよく、そして加熱されてもよいし、加熱されなくてもよく、そして熱風噴流を含んでもよいし、含んでいなくてもよい。好ましいシステムは、たとえば物質がテイラーコーンを形成することを可能にするシリンジノズルからの物質の流れを制御するためにポンプを使用する。好ましい電界紡糸装置は、溶液電界紡糸に有用であるとして商業的に売られているものである。ナノスタティックス(登録商標)社(NanoStaticsTM, LLC)(アメリカ合衆国オハイオ州サークルヴィル)およびエルマルコ社(Elmarco s.r.o.)(チェコ共和国リベレッツ)から入手可能なもののような、商業的に入手可能な溶液電界紡糸装置(たとえば、Nanospider(登録商標)技術を使用するもの)の使用がより好ましい。
【0119】
好ましい溶液電界紡糸方法においては、ポリマー溶液は、定量ポンプを使用して、一定でかつ制御された速度で、たとえばシリンジから、紡糸口金の中にまたは紡糸口金の上に供給される。高電圧(1kV〜120kV、好ましくは1kV〜100kV、より好ましくは1kV〜50kV)が加えられ、そしてシリンジのノズル(たとえばニードル)における、好ましくは液滴の形をした、ポリマー溶液の部分は、高電圧の電気が通されるようになる。特有の電圧において、その部分(たとえば液滴)は1つ以上のテイラーコーンを形成し、そしてポリマーの細い噴流が、いくつかの実施態様においては2つ以上のそのような噴流が、発達する。細いポリマー噴流は、紡糸口金と対向して配置されたアースされた導体の方へ引かれる。アースされた導体の方へ引かれる間に、溶媒は少なくとも部分的に放散し(たとえば、少なくとも部分的に相分離し、蒸発し、またはそれらの組み合わせ)、そして噴流は繊維に固化する。好ましくは、溶媒は、実質的に完全に繊維から放散する(すなわち、失われる)。繊維からの溶媒の実質的に完全な放散(たとえば繊維からの溶媒の少なくとも95質量%、より好ましくは少なくとも99質量%の損失)は、繊維が堆積する前に、間に、または後に起こってもよく、そして溶液電界紡糸単位操作または別個の単位操作(たとえば、溶液電界紡糸単位操作と直接動作的につながっているまたはつながっていない乾燥操作)の一部を含んでいてもよい。好ましくは、繊維は、アースされた導体の前に配置された捕集器の上に堆積される。繊維は、不規則に配向した不織布マットとして捕集器の上に堆積されてもよいし、個々に捕獲されてもよいし、ロールの上に巻き取られてもよい。もし望むならば、続いて、繊維は捕集器からはがされてもよい。他の実施態様においては、アースされた導体の代わりに、帯電した導体(電極の極性とは反対の極性)が用いられる。
【0120】
電界紡糸設備の操作のためのパラメーターは、過度の実験なしに、当業者によって容易に決定することができる。例として、紡糸口金は約20℃または外界温度で操作することができ、紡糸電極は、同一の温度、または自己集合性物質が細い繊維形成を可能にするのに十分に低い粘度を有する温度に維持される。もし望むならば、紡糸口金は、通常、約300℃まで加熱することができ、そして周囲環境温度は、所望により、熱風を使用して、ほぼ類似の温度に維持することができる。印加電圧は、通常、約1kV〜120kV、好ましくは約1kV〜100kV、より好ましくは1kV〜50kVである。電極間隙(スピン電極と導体の間の間隙)は、通常、約3センチメートル(cm)〜約50cm、好ましくは約3cm〜約40cmである。好ましくは、繊維は、ほぼ周囲圧力(たとえば1.0の気圧)で作製することができる。ただし、その圧力は、溶媒、自己集合性物質の溶液の濃度、および温度のような用いられる特別の運転条件に依存して、それよりも高くしてもよいし、低くしてもよい。
【0121】
上に記載した方法によって調製される繊維は、通常、約5マイクロメートル以下、より好ましくは1500nm以下、さらに好ましくは約800nm以下、さらに好ましくは約600nm以下の平均直径を有する。好ましくは、繊維の平均直径は、少なくとも100nm、より好ましくは少なくとも200nmである。他の態様においては、繊維は、約10〜約1500nm、より好ましくは約200〜約600nmの平均直径を有する。約300nmの平均直径の繊維が特に好ましい。
【0122】
好ましくは、多数の繊維の平均繊維直径は、それの走査型電子顕微鏡画像を、たとえばQWin画像解析システム(ライカ・ミクロシステム社(Leica Microsystems GmbH)、ドイツ国ウェツラー(Wezlar)35578)で処理することによって測定することができる。
【0123】
本発明の好ましい実施態様に従って、生物分解性でありかつ/または堆肥にすることができる繊維を生成することができ、そしてこれらの繊維からの布帛は、種々様々の用途において有用である。本発明の好ましい実施態様の繊維のさらに著しい利点は、物質の極性および水素結合能に起因するそれらの優れた可染性および印刷適性である。さらに、ポリマー中のxとy単位の比を変えることによって、繊維の張力および弾性特性を制御することができる。繊維のさらなる利点は、いくつかの好ましい実施態様において、それらが容易に再び溶かしおよび再処理することができるということである。本発明の好ましい実施態様の繊維の他の有利な属性は、それが、溶液中の低い粘度および分子量を、高分子量ポリマーの性質に類似した最終的な繊維および不織布の性質(たとえば靭性および破断点伸び)と組み合わせることを含む。さらに、いくつかの好ましい実施態様においては、その繊維は親水性であり、したがって、良好な水輸送性、特に水/蒸気輸送性を有する。
【0124】
本発明の好ましい実施態様の繊維は、一般に、限定するものではないが、生体適合性、濾過、クリーニング、聴覚、医療および省エネルギーの用途のような様々な用途に使用するのに適しており、そして、たとえば、医療ガウン、化粧品、遮音材、医療足場、服飾品および遮断材の製造に使用することができる。より具体的には、その繊維は、INDA最終用途分類(不織布産業協会、ノースカロライナ州ケアリー)によって定義されるもののような短寿命および長寿命の用途に使用するのに適しており、それらの用途としては、限定するものではないが、衛生用品(おむつカバー材、成人用失禁パンツ、躾用パンツ、アンダーパッド、婦人衛生パッド)、布巾、医療用/外科用、包帯、濾過(空気、気体、液体)、耐久紙、工業用衣料、布帛柔軟剤、家財道具、地盤用シート、ビルおよび建築、床材裏地、自動車用布帛、コーティングおよび積層基体、農業用布帛、服飾品芯地および裏地、靴およびなめし革、ならびに電子部品が挙げられる。生体適合性用途としては、限定するものではないが、たとえば医療足場、医療ガウン、包帯、外科用途、および前記の衛生用途のような医療用途が挙げられる。
【0125】
プロトン核磁気共鳴法(プロトンNMRまたはH−NMR)が、CHOH末端基を利用して、モノマー純度、コポリマー組成、およびコポリマー数平均分子量Mを測定するために使用することができる。プロトンNMR帰属は、測定のために利用される溶媒、濃度および温度とともに、分析される特別の構造に頼っている。エステルアミドモノマーおよびco−ポリエステルアミド用には、d4−酢酸は好都合な溶媒であり、特に断らない限り、使用される溶媒である。メチルエステルであるDDと呼ばれる型のエステルアミドモノマーについては、典型的なピーク帰属は、C(=O)−OCHが約3.6〜3.7ppmであり、N−CH−が約3.2〜3.3ppmであり、C(=O)−CH−が約2.2〜2.4ppmであり、そしてC−CH−Cが約1.2〜1.7ppmである。DDと1,4−ブタンジオールに基づくco−ポリエステルアミドについては、典型的なピーク帰属は、C(=O)−OCH−が約4.1〜4.2ppmであり、N−CH−が約3.2〜3.4ppmであり、C(=O)−CH−が約2.2〜2.5ppmであり、C−CH−Cが約1.2〜1.8ppmであり、そして−CHOH末端基が約3.6〜3.75である。
【実施例】
【0126】
次の実施例は本発明の好ましい実施態様の例証となるが、その範囲を限定するものではない。
【0127】
本発明の別の態様は、調製例1〜13のいずれかの1つの任意の1つのオリゴマーまたはポリマーの自己集合性物質である。好ましいのは、調製例10または11のオリゴマーまたはポリマーである。
【0128】
調製例
調製例1:M7,500g/モルのPEA P2−8 C2C−50%の合成
工程(a) ジアミドジオールエチレン−N,N′−ジヒドロキシヘキサンアミド(C2C)の調製
C2Cモノマーは、撹拌機および冷却水ジャケットを装備したステンレス鋼反応器の中で窒素雰囲気下でエチレンジアミン(EDA)1.2キログラム(kg)をε−カプロラクトン4.56kgと反応させることによって調製される。ε−カプロラクトンとEDAの発熱を伴う縮合反応が起こり、温度を80℃に徐々に上昇させる。白い析出物が生成し、そして反応器内容物は固化し、その時点で攪拌を止める。その後、反応器内容物は、160℃に加熱され、その温度で固化した反応器内容物は溶ける。その後、液体生成物は、反応器から採取トレーに抜き出される。生じた生成物の核磁気共鳴調査は、生成物中のC2Cのモル濃度が80%を超えることを示す。C2Cジアミドジオール生成物の融点は140℃である。
工程(b1) C2Cとアジピン酸ジメチルの接触
脱蔵反応器(devolitizer reactor)に、液体のアジピン酸ジメチル2.622kgおよび上に記載したように調製した固体のC2Cジアミドジオール2.163kgを仕込む。反応混合物中のC2Cを溶融させるために、反応器内容物を窒素パージ下にゆっくり140℃の温度にする。
工程(b2) 不揮発性ジオール、酸または分岐剤のさらなる添加なしに前記組成物と1,4−ブタンジオールの接触
工程(b)の反応器内容物に1,4−ブタンジオール1.352kgを加え、続いてテトラブトキシチタン(IV)の10質量%の1,4−ブタンジオール溶液105ミリリットル(mL)を加える。反応が起こり、メタノールを生成する。メタノールは、その後、反応器系から窒素パージによって蒸気として取り除かれる。系内の圧力は大気圧に維持され、温度は180℃まで徐々に上げられる。メタノールの発生がおさまるまで、反応およびメタノールの蒸留が続けられる。その後、反応器内の圧力は、絶対圧450ミリバール(mbar)に下げられ、その後、段階的に20mbarに下げられ、その結果、反応混合物からメタノール蒸気のさらなる発生をもたらす。メタノールの流れがおさまったとき、反応器内の圧力は、1,4−ブタンジオールの蒸留を開始するために、さらに絶対圧0.25mbarに下げられ、そして反応器内の温度は徐々に200℃まで上げられる。1,4−ブタンジオール710mLが反応器から回収されたとき、反応器内の真空は壊され、そして生じた溶融アミドエステルポリマー組成物を反応器から抜き出す。生じたポリマー(PEA P2−8 C2C−50%(すなわち50モル%C2C)と呼称する。)は、7480g/モル(すなわち約7500g/モル)のM(d−酢酸中のH−NMRによる)を有する。内部粘度=0.32dL/g(メタノール:クロロホルム(体積比1:1)、30.0℃、0.5g/dL)。H−NMRによって、ポリマー反復単位の51.2モル%がC2Cを含むと測定された。
【0129】
調製例2:追加のPEA P2−8 C2C−50%の調製
調製例1の手順を繰り返し、表Aに記載された物性を有するポリマー構造中に組み入れられたジオールの合計量を元に計算されたC2C含有量50モル%のPEAポリマー組成物の6つの異なるバッチ(それぞれP1、P3、P4、P7、P8およびP9のコードを付す。)を調製する。
【0130】
【表1】

【0131】
調製例3:モノマー供給原料中に50モル%のA2Aを含むポリブチレンアジペート(PBA)の調製
工程(a):ジアミドジエステルモノマーA2Aの調製
窒素雰囲気において、チタン(IV)ブトキシド(0.92g、2.7ミリモル)、エチレンジアミン(15.75g、0.262モル)およびアジピン酸ジメチル(453.7g、2.604モル)を、三つ口1L丸底フラスコに仕込み、栓をし、フードに移す。フラスコは、ファイアストーン弁に付けられた注入口アダプターを介して正の窒素下に置かれる。羽根を備えた撹拌軸を、オーバーヘッド撹拌モーターを備えた撹拌ベアリングと共にフラスコの中に挿入する。栓の付いた凝縮器を、フラスコの中に挿入する。隔壁を通して挿入される熱電対も、フラスコの中に挿入される。フラスコは、比例温度調節器に付けられた半球加熱マントルで暖められる。基本的な反応プロフィールは、50℃に/で2.0時間、60℃に/で2.0時間、80℃に/で2.0時間、100℃で一夜である。フラスコは、撹拌しながら約50℃までゆっくり冷却され、攪拌を止めて、ほぼ室温に冷却される。約200mLのシクロヘキサンをフラスコに加え、撹拌して、濾過可能なスラリーとし、固体を中間の多孔度のガラス濾過漏斗の上に採取する。採取された固体を、約50mLのシクロヘキサンで2度洗浄する。生成物を、約50℃の真空オーブンの中で一晩乾燥する。乾燥した生成物を砕いて、新たなシクロヘキサン(約300mL)で再びスラリーにし、濾過によって再び採取し、約50mLのシクロヘキサンで2度洗浄し、十分なポンプ真空下で50℃の真空オーブン中で恒量になるまで乾燥する。収量=59.8グラム(66%)。
工程(b):不揮発性ジオール、酸または分岐剤のさらなる添加なしで、工程(a)のA2Aモノマー組成物を1,4−ブタンジオール(「1,4 BD」)と接触させ、PBA A2A−50%(50モル%のA2Aモノマーを含むポリエステルアミド)を生成させる。
脱蔵反応器(devolatizer reactor)に、窒素雰囲気で、室温(または50℃〜60℃)で、348.4グラム(2.0モル)のアジピン酸ジメチル(DMA)を仕込み、続いて、680グラム(約7.7モル)の1,4−ブタンジオールおよび688.8グラム(2.0モル)のA2A(工程(a)からの粉末)を仕込む。内容物の完全な溶媒和(透明な溶液)を確実にするために、混練機温度を、窒素パージ下で徐々に140℃〜150℃に上げる。
その後、それまでどおり窒素雰囲気下におよび140℃〜150℃で、Ti(OBu)触媒を、10質量%の1,4−BD溶液41.5グラムとして、注入する(全エステル基準で計算して4000ppm。4.15gの触媒+37.35gの1,4−BD。1,4−BDの全含有量は717gすなわち7.97モルである。)。140℃〜150℃で、メタノールが蒸留し始める。反応器温度を、大気圧で、175℃まで段階的に上げる。ただし、最初は、(モノマーDMAおよび1,4−BDの飛沫同伴を防ぐために)低い窒素掃引を適用する。メタノール留分を留出させ、冷却トラップで採取する(理論量:256g、8モル)。目的は蒸留されるメタノールの一定の流れを維持するためである。メタノールの主要な留分が175℃で除去されたとき、温度を190℃に上げ、そして反応器圧力を、段階的に、(起こるかも知れない泡立ちを回避するために)最初はゆっくりと50mbar〜20mbarに下げ、そしてメタノール除去を完結しかつ1,4−BD蒸留を開始するために、さらに5mbarに下げる。1,4−ブタンジオールの定常の蒸留が観察されるまで、圧力をさらに1mbar未満に下げる。反応の終わりに、温度を200℃〜220℃に上げる。採取される1,4−BDの計算量:360g(4モル)。1,4−ブタンジオール除去が完結したとき、反応器を(測定されたトルクに依存するが)約150℃に冷却し、窒素雰囲気下で大気圧に戻し、そしてPBA A2A−50%ポリマーを採取する。
【0132】
調製例4:PEA−C2C25%、PEA−C2C50%、PEA−A2A25%およびPEA−A2A50%の調製
上に記載した方法に従って、次の追加の樹脂を作った。モノマーC2CおよびA2Aは、2通りの含有量で、具体的にはそれぞれ25および50モル%で含有させた。それらの物質に、それぞれ、PEA−C2C25%(すなわちポリエステルアミド−C2C 25モル%アミドセグメント)、PEA−C2C50%、PEA−A2A25%およびPEA−A2A50%のコードを付した。
データを下記の表Bに示す。各物質から、厚さ2mmの圧縮成形円板試料を作った。圧縮成形前に、それらの物質は、真空下、65℃で約24時間、乾燥した。150℃の等温で、10バールで6分間、その後、150バールで3分間、圧縮成形することによって、160mm×160mm×2mmの円板試料が得られた。試料を150℃から室温まで20℃/分で冷却した。物性データを次の表Bに示す。
【0133】
【表2】

【0134】
調製例5:C2C、アジピン酸ジメチルおよび1,4−ブタンジオールからのポリマー(PEA−C2C50%)の調製
ポリマーの調製:
2.5リットルの混練機/脱蔵反応器に、窒素雰囲気で、50℃〜60℃で、DMA(アジピン酸ジメチル)0.871kg、および、1モルのEDAと2モルのe−カプロラクトンの縮合によって調製されたビスアミドジオール0.721kgを仕込む。混練機温度を窒素パージ下で140℃〜150℃にゆっくりと上げ、透明な溶液を得る。その後、それまでどおり窒素下に140℃〜150℃で、1,4−ブタンジオールを供給シリンダー1から反応器の中に0.419kg仕込み、そして、混合物を140℃で継続的に撹拌することによって均一にする。続いて、Ti(OBu)触媒の10質量%の1,4−BD溶液34.84グラムを供給シリンダー2から注入する(DMAを元に計算すると4000ppm。3.484gの触媒+31.36gの1,4−BD。1,4−BDの全含有量は0.450kgである。)。混練機温度を、大気圧で、2時間〜3時間かけて、段階的に180℃まで上げる。ただし、最初は、(モノマーDMAおよびBDの飛沫同伴を防ぐために)低い窒素掃引を適用する。メタノール留分を留出させ、冷却トラップに採取する(理論量:0.320kg)。メタノールの主要留分が除去されたとき、混練機圧力を、段階的に、最初は50mbar〜20mbarに下げ、さらにメタノール除去を完結しかつ1,4−BD蒸留を開始するために5mbarに下げる。1,4ブタンジオールのゆっくりであるが定常的な蒸留が観察されるようになるまで、圧力をさらに1mbar未満にまたはできるだけ低くする(計算量0.225kg)。この操作中に、温度は、変色を回避するように、最高で190℃〜200℃まで上げられる。反応の終わりごろに、粘度を調べるために、試料を反応器から採取する。目標点は、分子量MH−NMRによる)5,000g/モルで180℃で2Pa・sである。1,4−ブタンジオールの除去が完結するとき、混練機を約150℃(測定されたトルクによる依存する)に冷却し、窒素雰囲気下で大気圧に戻し、そしてPEA−C2C50%ポリマーをAMD PBA 18−05として採取する。そのポリマーから、厚さ2mmの圧縮成形円板試料を作った。圧縮成形前に、そのポリマーを真空下、65℃で約24時間、乾燥した。150℃の等温で、10バールで6分間、その後、150バールで3分間、圧縮成形することによって、160mm×160mm×2mmの円板試料が得られた。試料を150℃から室温に20℃/分で冷却した。ゼロ剪断粘度データは、平行板セットアップを備えたアドバンスト・レオメトリック・エキスパンション・システム(Advanced Rheometric Expansion System)(ARES、ティー・エイ・インスツルメント社(TA Instruments)、アメリカ合衆国デラウェア州ニューキャッスル)を用いて得られた。データを表Cに報告する。動的周波数掃引試験は、窒素雰囲気下に、100ラジアン/秒(rad/sec)から0.1rad/sec(10%〜30%歪み)で行なった。特性を表Cに示す。
【0135】
【表3】

【0136】
調製例6:Mが7,100g/モルのモノマー供給原料中に18モルの%C2Cを含むポリブチレンアジペートの調製
一口500mL丸底フラスコに、チタン(IV)ブトキシド(0.31g、0.91ミリモル)、N,N′−1,2−エタンジイル−ビス[6−ヒドロキシヘキサンアミド](C2C、30.80g、0.1068モル)、アジピン酸ジメチル(103.37g、0.5934モル)、および1,4−ブタンジオール(97.33g、1.080モル)を仕込む。撹拌軸および羽根を、ビグロウ(Vigreaux)カラムおよび蒸留ヘッドを備えた修正クライゼン(Claisen)アダプターと共に、フラスコの中に挿入する。装置は、撹拌ベアリング、撹拌モーター、温度計、取り出しアダプター、受け器、熱記録および絶縁材、真空ポンプ、真空調整器、窒素フィードおよび温度制御浴を付けて、完成する。装置を脱気し、正の窒素下に保持する。フラスコを160℃の浴に浸し、合計2時間をかけて温度を175℃に上げる。受け器を変え、次のスケジュールに従って真空を適用する。すなわち、450トールで5分間、100トールで5分間、50トールで5分間、40トールで5分間、30トールで10分間、20トールで10分間、10トールで1.5時間。装置を窒素下に置き、受け器を変え、次のスケジュールで約0.31〜0.46トールの範囲の真空下に置く。すなわち、175℃で2.0時間、190℃に/で4時間。内部粘度=0.26dL/g(メタノール:クロロホルム(体積比1:1)、30.0℃、0.5g/dL)。M(d−酢酸中H−NMRによる)は7120g/モルであり、そしてポリマー反復単位の17.5モル%がC2Cを含む。そのポリマーに、PBA−C2C18% M7,100g/mol(すなわちMが7,100g/モルのポリエステルアミド−C2C 18モル%アミドセグメント)のコードを付す。
【0137】
調製例7:Mが11,700g/モルのモノマー供給原料中に18モル%のC2Cを含むポリブチレンアジペートの別の調製
一口500mL丸底フラスコに、チタン(IV)ブトキシド(0.31g、0.91ミリモル)、N,N′−1,2−エタンジイル−ビス[6−ヒドロキシヘキサンアミド](C2C、30.80g、0.1068モル)、アジピン酸ジメチル(103.37g、0.5934モル)、および1,4−ブタンジオール(97.33g、1.080モル)を仕込む。撹拌軸および羽根を、ビグロウカラムおよび蒸留ヘッドを備えた修正クライゼンアダプターと共に、フラスコの中に挿入する。装置は、撹拌ベアリング、撹拌モーター、温度計、取り出しアダプター、受け器、熱記録および絶縁材、真空ポンプ、真空調整器、窒素フィードおよび温度制御浴を付けて完成する。装置を脱気し、正の窒素下に保持する。フラスコを160℃の浴に浸し、合計2時間をかけて温度を175℃に上げる。受け器を変え、次のスケジュールに従って真空を適用する。すなわち、450トールで5分間、100トールで5分間、50トールで5分間、40トールで5分間、30トールで10分間、20トールで10分間、10トールで1.5時間。装置を窒素下に置き、受け器を変え、次のスケジュールで約0.36〜0.46トールの範囲の真空下に置く。すなわち、175℃で2時間、190℃に/で2時間、そして210℃に/で3時間。内部粘度=0.32dL/g(メタノール:クロロホルム(体積比1:1)、30.0℃、0.5g/dL)。M(d−酢酸中H−NMRによる)は11,700g/モルであり、そしてポリマー反復単位の17.3モル%がC2Cを含む。そのポリマーにPBA−C2C18% M11,700g/molのコードを付す。
【0138】
調製例8:モノマー供給原料中に25モルの%C2Cを含むポリブチレンアジペートの調製
物質を上記の実施例に類似する方法によって作る。生成物の内部粘度=0.25dL/g(メタノール:クロロホルム(体積比1:1)、30.0℃、0.5g/dL)。M(d−酢酸中H−NMRによる)は6100g/モルであり、そしてポリマー反復単位の23.1モル%がC2Cを含む。
【0139】
調製例9:モノマー供給原料中に50モルの%C2Cを含むポリブチレンアジペートの調製
C2C、アジピン酸ジメチルおよび1,4−ブタンジオールからのポリマーの反応。
不活性雰囲気下で、250mL丸底フラスコの中に、チタン(IV)ブトキシド(0.087グラム、0.31ミリモル)、C2C(28.9グラム、0.1002モル)、アジピン酸ジメチル(34.91グラム、0.2004モル)および1,4−ブタンジオール(27.09グラム、0.3006モル)を仕込む。塔頂攪拌、窒素/真空、加熱、および蒸留ヘッド使用で、重合反応を行なう。反応プロフィールは次のとおりである。窒素ガスで160℃から2.0時間、160℃で300トール〜10トールで2.2時間、160℃で0.6トール〜0.44トールで1時間、188℃から210℃に/で0.46トール〜0.65トール〜0.28トールで7時間。冷却すると、強靭な固体は、広いTm=133℃、内部粘度=0.419dL/g(クロロホルム/メタノール(体積比1/1)、30.0℃)、M(d−酢酸中H−NMRによる)が12,950g/モルであり、そして1H−NMRによるアミド含有量が約49.2モル%である。
【0140】
調製例10:モノマー供給原料中に40モル%のPBA−C2Cを含む、ポリテトラヒドロフランおよびポリブチレンアジペートからのコポリエーテルエステルアミド(PTHF−PBA)の調製
C2C、アジピン酸ジメチルおよび1,4−ブタンジオールからのポリマーとポリテトラヒドロフランとの反応。
不活性雰囲気下で、250mL丸底フラスコに、チタン(IV)ブトキシド(0.122グラム、0.358ミリモル)、C2C(17.37グラム、60.22ミリモル)、アジピン酸ジメチル(20.49グラム、0.1176モル)、1,4−ブタンジオール(13.30グラム、0.1475モル)およびポリテトラヒドロフラン(26.98グラム、27.45ミリモル、M983g/モル、TERATHANE(登録商標)1000)を仕込む。塔頂攪拌、窒素/真空、加熱、および蒸留ヘッド使用で、重合反応を行なう。反応プロフィールは次のとおりである。窒素ガスで160℃から175℃に/で2.0時間、175℃で450トール〜20トールで50分間、そして175℃で約10トールで1.5時間、175℃から210℃に/で0.32トール〜0.7トールで6時間。冷却すると、強靭な固体は、Tm=143℃、内部粘度=0.347dL/g(クロロホルム/メタノール(体積比1/1)、30.0℃)である。
【0141】
調製例11:モノマー供給原料中のC2C、アジピン酸および2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールからのネオペンチルグリコール−C2C(PNPGA)の調製
モノマー供給原料中のC2C、アジピン酸および2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールからのポリマーの反応。
不活性雰囲気下で、250mL丸底フラスコに、チタン(IV)ブトキシド(0.069グラム、0.24ミリモル)、C2C(25.09グラム、87.00ミリモル)、アジピン酸(23.17グラム、0.1586モル)および2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(9.93グラム、95.3ミリモル)を仕込む。塔頂攪拌、窒素/真空、加熱および蒸留ヘッド使用で、重合反応を行なう。反応プロフィールは次のとおりである。窒素ガスで160℃で2.0時間、160℃で300トール〜10トールで70分間、そして160℃で0.8トール〜0.2トールで2時間、190℃から210℃に/で0.55トールで4時間。冷却すると、強靭な固体は、2峰性Tm=84℃,112℃、内部粘度=0.190dL/g(クロロホルム/メタノール(体積比1/1、)、30.0℃)、そして1H−NMRによるアミド含有量が約51.5モル%である。
【0142】
調製例12:PEA−C2C66%およびPEA−C2C75%の調製
調製例1において記載した方法に従って次の追加の樹脂を作った。モノマーC2Cは、2通りの含有量で、具体的にはそれぞれ66モル%および75モル%で含有させた。分子量は十分な真空の時間を制御することによって調節した、すなわちその時間を増やすとより高い分子量物質を生成する。物質に、それぞれ、PBA−C2C66% M5,100g/molおよびPEA−PBA−C2C75% M4,100g/molのコードを付す。
たとえば、PEA−PBA−C2C75%については、調製例1の工程(a)の手順を繰り返し、構造中に組み入れられたジオールの合計量を元に計算したC2Cモノマー含有量が75モル%のポリマー組成物PEA PBA C2C−75%を調製する。
工程(b1) C2Cとアジピン酸ジメチルとの接触
脱蔵反応器(devolitizer reactor)に、液体のアジピン酸ジメチル2.622kg、および調製例1の工程aにおいて上記したように作られた固体のC2Cジアミドジオール3.244kgを仕込む。反応混合物中のC2Cモノマーを溶解するために、反応器内容物を窒素パージ下にゆっくりと140℃の温度に上げる。
工程(b2) 該組成物と1,4−ブタンジオールとの接触
工程(b1)の反応器内容物に、1,4−ブタンジオール0.676kgを加え、続いて、テトラブトキシチタン(IV)の10質量%の1,4−ブタンジオール溶液105ミリリットル(mL)を加える。反応が起こり、メタノールを生成する。メタノールは、その後、窒素パージによって蒸気として反応器系から取り除かれる。系内の圧力は大気圧に維持され、温度は徐々に180℃に上げられる。メタノールの発生がおさまるまで、反応およびメタノールの蒸留が続けられる。その後、反応器中の圧力は、絶対圧450ミリバール(mbar)に下げられ、その後、段階的に、20mbarまで下げられ、反応混合物からメタノール蒸気のさらなる発生をもたらす。メタノールの流れがおさまったとき、反応器内の圧力はさらに絶対圧0.25mbarに下げられ、1,4−ブタンジオールの蒸留を開始し、反応器内の温度は徐々に200℃に上げられる。1,4−ブタンジオール350mLが反応器から回収されたとき、反応器内の真空を止め、生じた溶融アミドエステルポリマー組成物を反応器から抜き出す。生じたポリマー(PEA PBA C2C−75%と呼称する。)は、4,100g/モルのM(d4−酢酸中1H−NMRによる)および180℃で3,300mPa・sの融解粘度を有する。PEA−C2C66%物質は、上記の手順に類似した手順に従うことによって作られた。
【0143】
調製例13:Mが5,700g/モルのPEA−C2C75%の調製
C2C、アジピン酸ジメチルおよび1,4−ブタンジオールからのポリマーの反応。
不活性雰囲気下で、500mL丸底フラスコに、チタン(IV)ブトキシド(0.19グラム、0.56ミリモル)、C2C(83.58グラム、28.98ミリモル)、アジピン酸ジメチル(63.11グラム、0.3623モル)、および1,4−ブタンジオール(39.18グラム、0.4347モル)を仕込む。塔頂攪拌、窒素/真空、加熱および蒸留ヘッド使用で、重合反応を行なう。反応プロフィールは次のとおりである。窒素ガスで160℃から175℃に/で2.0時間、175℃で450トール〜10トールで130分間、175℃で約0.34トールで1.5時間、190℃で0.44トール〜0.39トールで2時間、そして210℃で0.65トール〜0.31トールで3時間。固体は、Tm=150.6℃、固有の粘度=0.255dL/g(クロロホルム/メタノール(体積比1/1)、30.0℃)、1H−NMRによるアミド含有量が約76.5モル%、そして1H−NMRで見積ったMが5,670g/モルである。
【0144】
調製例14:Mが9,400g/モルのPEA−A2A50%の調製
A2A、アジピン酸ジメチルおよび1,4−ブタンジオールからのポリマーの反応。
A2Aは調製例3と同様に調製する。不活性雰囲気下で、250mL丸底フラスコに、チタン(IV)ブトキシド(0.107グラム、0.315ミリモル)、A2A(36.21グラム、10.51ミリモル)、アジピン酸ジメチル(18.31グラム、0.1051モル)および1,4−ブタンジオール(37.9グラム、0.4205モル)を仕込む。塔頂攪拌、窒素/真空、加熱および蒸留ヘッド使用で、重合反応を行なう。反応プロフィールは次のとおりである。窒素ガスで160℃から175℃に/で2.0時間、175℃で450トール〜10トールで45分間、175℃で約10トールで1.5時間、175℃で0.46トール〜0.38トールで2時間、190℃で0.47トールで2時間、そして210℃で0.7トール〜0.42トールで2時間。固体は、2峰性Tm=65℃,132℃、)、固有の粘度=0.380dL/g(クロロホルム/メタノール(体積比1/1)、30.0℃)、1H−NMRによるアミド含有量が約54モル%、そして1H−NMRで見積ったMが9,400g/モルである。
【0145】
調製例の特性決定
固有粘度、臨界重なり濃度、からみ合い濃度(c)およびM(GPCによって測定)を、調製例1、2、4、6、7、9〜12および14のポリマーについて測定した。Mは、VISCOTEK(登録商標)TDA 302機器(ビスコテック社(Viscotek Corporation)、アメリカ合衆国テキサス州ヒューストン)および直列の2つのPolymer Labs Mixed−Cカラム、Waters 2695ポンプ/オートサンプラーを備えた、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定した。注入サイズは50μLであり、濃度は約2.5mg/mLであった。測定は、クロロホルムに溶解した試料で行なった。固有粘度も、45℃の系温度でこの測量器具によって測定した。重なり濃度は固有粘度の逆数として計算し、からみ合い濃度は重なり濃度の3倍として計算した。結果を下記の表Dに示す。
【0146】
【表4】

【0147】
他の温度で報告されるような固有粘度は、ウッベローデ管(Oa,ID 0.53mm)を使用して、Schott−Gerate CT1650/AVS 310粘度計装置で適切な温度で行われた一連の内部粘度および換算粘度測定から決定された。結果を表Eに示す。
【0148】
【表5】

【0149】
実施例
ポリエステル−尿素を溶液電界紡糸する試みは失敗であった。特に断りのない限り、実施例において使用された捕集器はアルミ箔であり、それは導体に直接取り付けられた。
【0150】
下記の実施例に記載する自己集合性物質の低濃度における溶液電界紡糸は、若干のビードを生成した。ビードの量は処理パラメーターの調整によって削減される。
【0151】
実施例1:PEA P2−8 C2C−50の溶液電界紡糸
この実施例は、約7500g/モルの数平均分子量を有する調製例1の濃縮溶液PEA P2−8 C2C−50からマイクロメートル未満の繊維を電界紡糸する能力を示す。実験は6質量%〜18質量%の濃度を包含する。結果の代表試料を、表1および図1〜3に示す。下記の表1に提供されるキロボルト(kV)で報告される電圧は、ニードルにおいては50%プラス、導体においては50%マイナスで印加される。シリンジは、内径15mmの10mLのシリンジである。この直径はシリンジポンプを較正するために使用される。ニードルは、20ゲージ×2″ニードル(内径0.584mm×長さ5.1cm)、22ゲージ×2″ニードル(内径0.394mm×長さ5.1cm)、および24ゲージ×1.0″(内径0.292mm×長さ2.5cm)である。シリンジノズルから捕集器までの距離はセンチメートル(cm)で示す。シリンジポンプ流量は、2.5mL/時〜10mL/時の範囲にある。採取時間は45秒〜5分の範囲とした。平均繊維直径、メジアン繊維直径、モード繊維直径および繊維直径の標準偏差は、マイクロメートル(μm)で与えられる。
【0152】
【表6】

【0153】
6質量%溶液は、平均繊維直径が61nmである結果を生じた。11質量%溶液は、平均繊維直径が239nmである結果を生じた。18質量%溶液は、メジアン繊維直径が830nmである結果を生じた。
【0154】
実施例2:PEA PBA C2C−75の溶液電界紡糸
実施例1の手順と同様の方法で、調製例12のPEA PBA C2C−75(M(GPCによる):4,100g/モル)の6質量%クロロホルム溶液の4つの試料を、下記の表2に提供される条件を使用して、マイクロメートル未満の繊維に電界紡糸する。電界紡糸は21℃で行なった。表Eに示されるように、重なり濃度は4.2質量%より高く、そしてからみ合い濃度は12.6質量%であるから、これはからみ合い濃度より十分に低い濃度で起こる電界紡糸の例である。
【0155】
【表7】

【0156】
図4は、実施例2の直径がマイクロメートル未満の繊維の走査型電子顕微鏡写真である。
【0157】
実施例3:PEA PBA A2A−50の溶液電界紡糸
実施例1の手順と同様の方法で、調製例14のPEA PBA A2A−50(M(GPCによる):9,400g/モル)の6質量%クロロホルム溶液の3つの試料を、下記の表3に提供される条件を使用して、マイクロメートル未満の繊維に電界紡糸する。電界紡糸は室温(20℃)で行なった。表Eに示されるように、重なり濃度は2.5質量%より高く、そしてからみ合い濃度は7.4質量%であるから、これはからみ合い濃度より低い濃度で起こる電界紡糸のもう一つの例である。
【0158】
【表8】

【0159】
実施例4:PEA PBA A2A−50の溶液電界紡糸
実施例1の手順と同様の方法で、調製例14のPEA PBA A2A−50(M(GPCによる):9,400g/モル)の9質量%クロロホルム溶液の3つの試料を、下記の表4に提供される条件を使用して、マイクロメートル未満の繊維に電界紡糸する。
【0160】
【表9】

【0161】
実施例5:PBA C2C−50%の無次元特性決定
ヘルゲソンおよびワーグナー(上述)に報告されているように、調製例1のPBA C2C−50%について、オーネゾルゲ数Oh(無次元表面歪み)を最終的な繊維直径に基づいて計算し、そしてヘルゲソン・ワーグナー無次元数Π(静電/電気粘性歪みパラメーター)を計算した。積Π・Ohは、下記の式に示されるように、電場の2乗を、伝導率と溶液密度、表面張力および湿潤繊維半径の3つの項の積の平方根との積で割り、それを定数倍したものとして計算した。
【0162】
【数5】

【0163】
ここで、Ljetは電界紡糸噴流の湿潤半径であり、ρおよびγはOhに関して前に定義したとおりであり、そして残りの変数はΠに関して前に定義したとおりである。その式を使用すると、PBA C2C−50%についての、ヘルゲソン・ワーグナー無次元数Πと繊維オーネゾルゲ数Ohの積は、1×10−6〜4×10−5の範囲である。
【0164】
特に、実施例1において使用した溶液の特性は、表5に示す。粘度測定はブルックフィールドCAP 2000+粘度計1/23型で行なった。伝導度測定はSolartron 1255B型で行なった。10Hzでの測定が報告されている。低周波応答がこの点の前に平らになるので、これは十分に正しいとされる。表面張力は、測定用プローブとしてクリュス(Kruss)標準板を備えたクリュス・プロセッサー張力計(Kruss Processor Tensiometer)K100で測定した。密度は、体積測定ガラス瓶の中の溶液の重さを量ることによって、1.52〜1.55グラム/立方センチメートル(g/cm)で測定した。表5に、ポリマー溶液の濃度を質量%(wt%)で示し、ゼロ剪断粘度をパスカル・秒(Pa・s)で示し、伝導率をジーメンス/メートル(S/m)で示し、そして表面張力をミリニュートン/メートル(mN/m)で示す。
【0165】
【表10】

【0166】
方法条件、繊維寸法および無次元数を、表6に示す。繊維直径は、SEMで、50〜150本の繊維を測定することができるように十分な画像で測定した。無次元数の代表的な範囲を提供するために、表6の平均およびメジアン繊維寸法を使用した。電界紡糸方法は、実施例1と同一の設定とした。表6において、ヘルゲソン・ワーグナー無次元数Π×繊維オーネゾルゲ数Ohを、最後の列(Π×Oh)に示す。
【0167】
【表11】

【0168】
実施例6:PNPGA C2C 50の溶液電界紡糸
実施例1の手順と同様の方法で、調製例11のPNPGA C2C−50(M(GPCによる):2280g/モル)の24質量%クロロホルム溶液の試料を、下記の表7に提供される条件を使用して、マイクロメートル未満の繊維に電界紡糸する。このポリマーの試料は、より低いゲージニードルから電界紡糸しとき繊維を形成するのに不成功であった。18質量%溶液および30質量%溶液での試みも行なったが、繊維の形成は不十分であった。これらの困難は、処理パラメーターがこれらのポリマー溶液から明確な繊維を得るのに重要である場合があることを示す。
【0169】
【表12】

【0170】
図5は、実施例6の直径がマイクロメートル未満の繊維の走査型電子顕微鏡写真である。
【0171】
実施例7:PTHF−PBA C2C 40の溶液電界紡糸
実施例1の手順と同様の方法で、調製例10のPTHF−PBA C2C−40(M(1H−MNRによる):3900g/モル)の8質量%クロロホルム溶液の試料を、下記の表8に提供される条件を使用して、マイクロメートル未満の繊維に電界紡糸する。これらの結果は、これらの試料にも起こるポリマーのビードを有する非常に多くの繊維を示す。この手順を4質量%溶液で繰り返し、いくつかの繊維および不満足な量のビードを与えた。
4質量%溶液も試験し、いくつかの繊維を作ったが、有用であると見なすには不十分であった。
【0172】
【表13】

【0173】
実施例8:PBA C2C 66の溶液電界紡糸
実施例1の手順と同様の方法で、調製例12のPBA C2C−66(M(1H−MNRによる):5100g/モル)の6質量%および12質量%クロロホルム溶液の試料を、下記の表9に提供される条件を使用して、マイクロメートル未満の繊維に電界紡糸する。未使用の12質量%溶液は電界紡糸方法の後にゲルを形成した。これは、飽和溶液から、または超飽和溶液からでさえ、電界紡糸が起こったことを示す。
【0174】
【表14】

【0175】
実施例によって示されるように、本発明に有用な自己集合性物質は、低い溶液濃度(たとえばc、cまたはそれらの両方よりも低い濃度)を含む、そして完全に飽和したおよび過飽和の溶液濃度を含む、種々の溶液濃度で、平均直径がマイクロメートル未満の繊維に溶液電界紡糸されることができる。
【0176】
むすび
本発明をその好ましい実施態様に従って上に記載してきたが、それはこの開示の精神および範囲内で変更することができる。したがって、この出願は、ここに開示された一般的な原理を使用する本発明およびその実施態様のいかなる変形、使用または適応をも包含するように意図される。さらに、本出願は、本発明の開示からそのような逸脱が、本発明が属するし、技術分野における既知のまたは慣習的な実施の範囲内の来るように、そして次の特許請求の範囲の範囲内に入るものとして、包含するように意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己集合性物質および溶媒の溶液を用意する工程、
前記溶液を電界紡糸装置に供給する工程、および
自己集合性物質および溶媒の溶液が引っぱられ、そして噴流が形成され、その噴流から溶媒が放散し、自己集合性物質の繊維を提供するように、前記装置に電圧を加える工程
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項2】
プロトン核磁気共鳴法(H−NMR)によって測定した自己集合性物質の数平均分子量(M)が約1000グラム/モル(g/mol)〜約30,000g/molであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
自己集合性物質が多重水素結合配列を含む自己集合性単位を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
多重水素結合配列が10−1より大きい会合定数K(assoc)を有することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
多重水素結合配列が自己集合性単位当たり少なくとも4個の供与体−受容体水素結合部位を含むことを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
多重水素結合配列が自己集合性単位当たり平均2〜8個の供与体−受容体水素結合部位を含むことを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項7】
多重水素結合配列が自己集合性単位当たり平均4〜6個の供与体−受容体水素結合部位を含むことを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項8】
自己集合性単位がビスアミド、ビスウレタンもしくはビス尿素単位またはそれらのより高級なオリゴマーを含むことを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
自己集合性物質が、ポリエステルアミド、ポリエーテルアミド、ポリエステルウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリエーテル尿素、ポリエステル尿素またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
自己集合性物質がポリエステルアミドまたはポリエステルウレタンであり、ポリエステルアミドまたはポリエステルウレタンが所望によりポリエーテル単位を含有することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(a)溶媒と、1個以上のx単位および1個以上のy単位を含む式(I)のコポリマーとの溶液を用意する工程
【化1】

(式中、
【化2】

Rは、出現毎で独立に、脂肪族基(好ましくはC−C12アルキレン)、ヘテロ脂肪族基(好ましくは主鎖原子が約2〜約12個のヘテロアルキレン)、シクロアルキル(好ましくはC−Cシクロアルキル)、−アルキレン−シクロアルキル−、−アルキレン−シクロアルキル−アルキレン−、−ヘテロアルキレン−シクロアルキル−、−ヘテロアルキレン−シクロアルキル−ヘテロアルキレン−、ポリエーテル鎖[(CH−O−](式中、mおよびnは独立に整数である。)(たとえば、ポリテトラメチレンエーテル、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリアルキレンオキシドコポリマー)であり、
R′およびR″は、出現毎に独立に、共有結合、脂肪族基(好ましくは炭素原子が1〜10個、より好ましくは2〜6個の)、シクロアルキル(好ましくはC−Cシクロアルキル)、−アルキレン−シクロアルキル−、または−アルキレン−シクロアルキル−アルキレン−であり、
は、出現毎に独立に、HまたはC−Cアルキル(好ましくは出現毎にH)であり、
Raは、脂肪族基(好ましくは炭素原子が2〜12個、好ましくは2〜6個のアルキレン基)、シクロアルキル(好ましくはC−Cシクロアルキル)、−アルキレン−シクロアルキル−、もしくは−アルキレン−シクロアルキル−アルキレン−であるか、または−N(R)−Ra−N(R)−基は、ヘテロシクロアルキルを隣接するカルボニル基に連結する2個の窒素原子を含有するヘテロシクロアルキル基(たとえば−N(R)−Ra−N(R)−はピペラジニルである。)であり、そして
xはコポリマー中のエステル単位の数を表わし、そしてyはコポリマー中のアミド単位の数を表わす。ただしxとyのいずれも0ではない。)、
(b)前記溶液を電界紡糸装置に供給する工程、および
(c)式(I)のコポリマーと溶媒の溶液が引っぱられ、噴流が形成され、噴流から溶媒が放散し、式(I)のコポリマーの繊維を提供するように、前記装置に電圧を加える工程
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記コポリマーが式(I−1)
【化3】

(式中、R、R′、R″、R、Ra、xおよびyは、請求項11において定義したとおりである。)
からなることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記コポリマーが式(I−2)
【化4】

(式中、R、R′、R″、R、Ra、xおよびyは、請求項11において定義したとおりである。)
からなることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記コポリマーが式(I−3)
【化5】

(式中、R、R′、R、Ra、xおよびyは、請求項11において定義したとおりである。)
からなることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記コポリマーのy単位が約10モル%〜90モル%を構成することを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記コポリマーのy単位が約15モル%〜約75モル%を構成することを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
式(I)のコポリマーが溶融物としてニュートン流れ挙動を示す自己集合性物質であることを特徴とする請求項11〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
自己集合性物質が、
a)反復単位−[H1−AA]−および−[DV−AA]−を含むポリマーまたはオリゴマー(式中、H1は−R−CO−NH−Ra−NH−CO−R−O−または−R−NH−CO−R−CO−NH−R−O−であり、ただし、RaはRまたは結合であり、Rは、出現毎に独立に、脂肪族もしくはヘテロ脂肪族、脂環式もしくはヘテロ脂環式、または芳香族もしくはヘテロ芳香族群である。AAは−CO−R′−CO−O−であり、ただし、R′は結合または脂肪族基である。DVは−[R″−O]−であり、ただし、R″は脂肪族もしくはヘテロ脂肪族、脂環式もしくはヘテロ脂環式または芳香族もしくはヘテロ芳香族基である。)、
b)反復単位−[H1−AA]−、−[DV−AA]−、および−[D2−O−AA]−を含むポリマーまたはオリゴマー(式中、D2は、出現毎に独立に、脂肪族もしくはヘテロ脂肪族、脂環式もしくはヘテロ脂環式または芳香族もしくはヘテロ芳香族基である。)、
c)反復単位−[H1−AA]−、−[R−O−AA]−、および−M−(AA)−を含むポリマーまたはオリゴマー(式中、Mはn価の有機基であり、そしてnは3以上である。)、
d)反復単位−[H1−AA]−、−[R−O−AA]−および−PA−(CO−O−R)−を含むポリマーまたはオリゴマー(式中、PAはn価の有機基であり、そしてnは3以上である。)、
e)反復単位−[H2−D]−および−[R−O−AA]−を含むポリマーまたはオリゴマー(式中、H2は−CO−R−CO−NH−R−NH−CO−R−CO−O−であり、ただし、Rは、出現毎に独立に、脂肪族もしくはヘテロ脂肪族、脂環式もしくはヘテロ脂環式または芳香族もしくはヘテロ芳香族基である。Dは−[R−O]−である。)、
f)反復単位−[H2−D]−、−[R−O−AA]−および−M−(AA)−を含むポリマーまたはオリゴマー(式中、H2は−CO−R−CO−NH−R−NH−CO−R−CO−O−であり、ただし、Rは、出現毎に独立に、脂肪族もしくはヘテロ脂肪族、脂環式もしくはヘテロ脂環式または芳香族もしくはヘテロ芳香族基である。Dは−[R−O]−である。)、
g)反復単位−[H2−AA]−、−[R−O−AA]−および−PA−(COOR)−を含むポリマーまたはオリゴマー、
h)式HO−D1−O−[−CO−AA1,2−CO−O−D1−O−]−[CO−AA1,2−CO−O−AD−O]−Hを有するポリマーまたはオリゴマー(式中、O−D1−Oはジオール官能基の残基を表わし、CO−AA1,2−COは脂肪族ジカルボン酸官能基または高沸点二酸エステル官能基の残基を表わし、O−AD−Oはポリアミドジオール官能基の残基を表わし、xおよびyは大括弧の中のポリマーブロックの反復単位の数である。)、
i)反復単位−[H2−D]−、−[H2−O−D2]−、[D−AA]−および−[D2−O−AA]−を含むポリマーまたはオリゴマー、
j)式HO−D1−O−[−CO−AA1,2−CO−O−D1−O−]−[CO−AA1,2−CO−O−CO−DD−CO]−OHを有するポリマーまたはオリゴマー(式中、O−CO−DD−CO−Oはジアミド二酸官能基の残基を表わす。)、および
k)それらの混合物
からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
自己集合性物質が、a)、b)、c)、d)、f)、g)、h)、i)、j)およびそれらの混合物のポリマーまたはオリゴマーからなる群から選択されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ポリマーまたはオリゴマーが、式HO−D1−O−[−CO−AA1−CO−O−D1−O−]−[CO−AA1−CO−O−AD−O]−H(式中、CO−AA1−COは脂肪族ジカルボン酸官能基の残基を表わす。)を含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
ポリマーまたはオリゴマーが式HO−D2−O−[−CO−AA1−CO−O−D1,2−O−]−[CO−AA1−CO−O−AD−O]−H(式中、O−D2−Oは不揮発性ジオール官能基の残基を表わし、CO−AA1−COは脂肪族ジカルボン酸官能基の残基を表わし、O−D1,2−Oは揮発性ジオール官能基または不揮発性ジオール官能基の残基を表わす。)を含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項22】
ポリマーまたはオリゴマーが式HO−D1−O−[−CO−AA1−CO−O−D1−O−]−CO−AA1−CO−O−M−(O−CO−AA1−CO−O−D1−O−[CO−AA1−CO−O−AD−O]−H)n−1(式中、CO−AA1−COは脂肪族ジカルボン酸官能基の残基を表わす。)を含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項23】
ポリマーまたはオリゴマーが式HO−D1−O−[−CO−AA1−CO−O−D1−O−]−CO−PA−(−CO−O−D1−O−[CO−AA1−CO−O−AD−O]−H)n−1(式中、CO−AA1−COは脂肪族ジカルボン酸官能基の残基を表わす。)を含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項24】
ポリマーまたはオリゴマーが式HO−D1−O−[−CO−AA1−CO−O−D1−O−]−CO−AA1−CO−O−M−(O−CO−AA1−CO−O−D1−O−[O−D1−O−CO−DD−CO]−OH)n−1(式中、CO−AA1−COは脂肪族ジカルボン酸官能基の残基を表わす。)を含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項25】
ポリマーまたはオリゴマーが式HO−D1−O−[−CO−AA1−CO−O−D1−O−]−CO−PA−(−CO−O−D1−O−[O−D1−O−CO−DD−CO]−OH)n−1(式中、CO−AA1−COは脂肪族ジカルボン酸官能基の残基を表わす。)を含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項26】
ポリマーまたはオリゴマーが式HO−D2−O−[−CO−AA1−CO−O−D1,2−O−]−[O−D1,2−O−CO−DD−CO]−OH(式中、O−D2−Oは不揮発性ジオール官能基を表わし、CO−AA1−COは脂肪族ジカルボン酸官能基の残基を表わ、そしてO−D1,2−Oは揮発性ジオール官能基または不揮発性ジオール官能基の残基を表わす。)を含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項27】
ポリマーまたはオリゴマーが式
−[C(O)R′C(O)O−R″O]−[C(O)R′C(O)O−RC(O)N(H)RaN(H)C(O)RO]
(式中、Rは、出現毎に独立に脂肪族もしくはヘテロ脂肪族、脂環式もしくはヘテロ脂環式または芳香族もしくはヘテロ芳香族基であり、
R′は結合または脂肪族基であり、
R″は脂肪族もしくはヘテロ脂肪族、脂環式もしくはヘテロ脂環式または芳香族もしくはヘテロ芳香族基であり、
Raは結合または脂肪族もしくはヘテロ脂肪族、脂環式もしくはヘテロ脂環式または芳香族もしくはヘテロ芳香族基である。)
を含み、そして
ポリマーまたはオリゴマーの数平均分子量が約1000g/mol〜約30,000g/molであることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項28】
ポリマーまたはオリゴマーが式
【化6】

(式中、p、qおよびrは独立に2、3、4、5、6または8であり、nは2〜6である。)
からなり、そして
ポリマーまたはオリゴマーの数平均分子量が約1000g/mol〜30,000g/molであることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項29】
nが2であることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
ポリマーまたはオリゴマーが式
【化7】

からなることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項31】
ポリマーまたはオリゴマーが式
−[O−R″O−C(O)R′C(O)]−[ORO−C(O)−RC(O)N(H)RaN(H)C(O)RC(O)]
(式中、Rは、出現毎に独立に、脂肪族もしくはヘテロ脂肪族、脂環式もしくはヘテロ脂環式または芳香族ヘテロ芳香族基であり、
R′は結合または脂肪族基であり、
R″は脂肪族もしくはヘテロ脂肪族、脂環式もしくはヘテロ脂環式または芳香族もしくはヘテロ芳香族基であり、
Raは結合または脂肪族もしくはヘテロ脂肪族、脂環式もしくはヘテロ脂環式または芳香族もしくはヘテロ芳香族基である。)
からなり、そして
ポリマーまたはオリゴマーの数平均分子量が約1000 g/mol〜約30,000g/molであることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項32】
ポリマーまたはオリゴマーが式
【化8】

(式中、p、qおよびrは独立に2、3、4、5、6または8であり、
nは2〜6である。)
からなり、そして
ポリマーまたはオリゴマーの数平均分子量が約1,000g/mol〜30,000g/molであることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項33】
nが2であることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ポリマーまたはオリゴマーが式
【化9】

からなることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項35】
ポリマーまたはオリゴマーが式
【化10】

からなることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項36】
ポリマーまたはオリゴマーが式
−[C(O)R′C(O)O−R″O]−[C(O)R′C(O)O−ROC(O)N(H)RaN(H)C(O)ORO]
(式中、
Rは、出現毎に独立に、脂肪族もしくはヘテロ脂肪族、脂環式もしくはヘテロ脂環式または芳香族もしくはヘテロ芳香族基であり、
R′は、出現毎に独立に、結合または脂肪族基であり、
R″は、脂肪族もしくはヘテロ脂肪族、脂環式もしくはヘテロ脂環式または芳香族もしくはヘテロ芳香族基であり、
Raは、結合、または脂肪族もしくはヘテロ脂肪族、脂環式もしくはヘテロ脂環式または芳香族もしくはヘテロ芳香族基である。)
からなり、
ポリマーまたはオリゴマーの数平均分子量が約1000g/mol〜約30,000g/molであることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項37】
溶媒が、(モノハロ〜ペルハロ)(C−C)アルキル、RC(O)OR、RC(O)NR、ROR、RC(O)R、またはそれらの2つ以上の同一もしくは異なる溶媒の混合物
(ただし、ハロは各々独立にフルオロまたはクロロであり、
およびRは各々独立にHまたは(C−C)アルキルであり、
およびRは各々独立にHまたは(C−C)アルキルであるか、またはRおよびRは一緒になって(C−C)アルキレンを形成し、そして
およびRは各々独立に(C−C)アルキルであるか、またはRおよびRは一緒になって(C−C)アルキレンを形成する。)
であることを特徴とする請求項1〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
溶媒が、クロロホルム、水、ギ酸、アルコール、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、1,2−ジクロロエタン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メタノール、またはそれらの2種以上の混合物であることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
自己集合性物質が、Tmを超えTmより約40℃高い温度までの温度において100パスカル・秒(Pa・s)未満の融解粘度を有することを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
自己集合性物質が160℃において1Pa・s〜50Pa・sの範囲内の融解粘度を有することを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
自己集合性物質が180℃〜220℃の温度範囲において0.1Pa・s〜30Pa・sの範囲内の融解粘度を有することを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
自己集合性物質が、Tmを超えTmより約40℃高い温度までの温度において、10−1〜10ラジアン/秒の周波数範囲にわたってニュートン粘性を有する融解粘度によって特徴づけられる、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
自己集合性物質が20℃において約4メガパスカル(MPa)〜約500MPaの引張弾性率を有することを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
自己集合性物質の少なくとも1つの融点Tmが25℃より高いことを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
自己集合性物質が−80℃より高いガラス転移温度Tを有することを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
自己集合性物質が少なくとも約4質量%の濃度で溶液中に存在することを特徴とする請求項1〜45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
自己集合性物質が約4質量%〜約30質量%の濃度で溶液中に存在することを特徴とする請求項1〜46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
自己集合性物質が約4質量%〜約30質量%の濃度で溶液中に存在し、そして溶液が20℃〜50℃の温度範囲において約0.001Pa・s〜約0.5Pa・sのゼロ剪断粘度を有することを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
自己集合性物質が、自己集合性物質のからみ合い濃度(c)よりも低い濃度で溶液中に存在することを特徴とする請求項1〜48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
自己集合性物質がほぼ自己集合性物質のからみ合い濃度(c)からcより20%高い濃度までの濃度で溶液中に存在することを特徴とする請求項1〜48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
自己集合性物質は、ほぼ自己集合性物質の臨界鎖重なり濃度(c)とほぼ同じ濃度で溶液中に存在することを特徴とする請求項1〜48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
自己集合性物質は40質量%超99.9質量%以下の濃度で溶液中に存在することを特徴とする請求項1〜45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
該方法がさらに自己集合性物質および溶媒を加熱して溶液にする予備工程を含むことを特徴とする請求項52に記載の方法。
【請求項54】
繊維が約5μm以下の平均直径を有することを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
繊維が約10ナノメートル〜約1500ナノメートルの平均直径を有することを特徴とする請求項54に記載の方法。
【請求項56】
該方法がさらに捕集器を用意する工程および捕集器の上に繊維を採取する工程を含むことを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
繊維が約1500ナノメートル以下の平均直径を有し、そして該方法はヘルゲソン・ワーグナー無次元数Πと繊維オーネゾルゲ無次元数Ohの積が約8×10−7〜約1×10−4であることを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
ヘルゲソン・ワーグナー無次元数Πと繊維オーネゾルゲ無次元数Ohの積が約1×10−6〜約4×10−5であることを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項59】
2つ以上の噴流が形成されることを特徴とする請求項1〜58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
溶液が、4.5ミリリットル/時(mL/h)を超える生産速度で、0.584ミリメートルの内径を有するニードルから、電界紡糸されることができることを特徴とする請求項1〜59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
生産速度が10mL/hより大きいことを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項62】
溶媒が、少なくとも蒸発、相分離またはそれらの組み合わせによって放散することを特徴とする請求項1〜61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
溶媒が少なくとも蒸発によって放散することを特徴とする請求項62に記載の方法。
【請求項64】
請求項1〜63のいずれか1項に記載の方法によって調製された繊維を含む不織布。
【請求項65】
繊維がビードを有することを特徴とする請求項64に記載の不織布。
【請求項66】
不織布が多孔質であることを特徴とする請求項64または65に記載の不織布。
【請求項67】
請求項1〜63のいずれか1に記載の方法によって調製された繊維を含む布帛。
【請求項68】
請求項64〜66のいずれか1に記載の不織布を含む布帛。
【請求項69】
請求項66に記載の多孔質不織布および多孔質フィルター基体を含む多孔質複合フィルター媒体であって、多孔質フィルター基体が多孔質不織布を支持するように接触していることを特徴とする多孔質複合フィルター媒体。
【請求項70】
多孔質フィルター基体が、木材、ガラス、金属、紙、セラミックス、自己集合性物質でないポリマーまたはそれらの組み合わせからなることを特徴とする請求項69に記載の多孔質複合フィルター媒体。
【請求項71】
多孔質フィルター基体が、ウェブ、箔、フィルム、紙、布帛、織物、不織布またはそれらの組み合わせからなる構造を有することを特徴とする請求項69または70に記載の多孔質複合フィルター媒体。
【請求項72】
請求項69〜71のいずれか1項に記載の多孔質複合フィルター媒体を作る方法であって、該方法が多孔質不織布を多孔質フィルター基体に接触させて多孔質複合フィルター媒体を作る工程を含み、多孔質フィルター基体が多孔質不織布を支持するように接触していることを特徴とする方法。
【請求項73】
電界紡糸装置がさらに捕集器を含み、そして捕集器が多孔質フィルター基体を生成することを特徴とする請求項72に記載の方法。
【請求項74】
繊維がビードを有することを特徴とする請求項1〜63のいずれか1項に記載の方法によって調製された繊維。
【請求項75】
繊維が約10nm〜約1500nmの平均直径を有することを特徴とする請求項74に記載の繊維。
【請求項76】
請求項74または75に記載の繊維を含む物品。
【請求項77】
物品が、包帯、医療ガウン、医療足場、化粧品、遮音材、遮断材、おむつカバー材、成人用失禁パンツ、躾用パンツ、アンダーパッド、婦人衛生パッド、布巾、多孔質濾材、耐久紙、布帛柔軟剤、家財道具、床材裏地、地盤用シート、服飾品、服飾品芯地、服飾品裏地、靴、工業用衣料、農業用布帛、自動車用布帛、コーティング基体、積層基体、なめし革または電子部品であることを特徴とする請求項76に記載の物品。
【請求項78】
物品が多孔質濾材であることを特徴とする請求項77に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−529313(P2010−529313A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510508(P2010−510508)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/065242
【国際公開番号】WO2008/150970
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】