説明

高速硬化性変性シロキサン組成物

本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、一般に、以下を含有する;(1)アルコキシ−またはシラノール官能性シリコーン中間体、(2)少なくとも1種のアミン反応性成分であって、アセトアセテート官能性成分、アクリレート官能性成分、およびそれらの混合物からなる群から選択される、(3)エポキシ官能性成分、(4)硬化剤であって、アミン、アミノシラン、ケチミン、アルジミンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、および(5)水。本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成する際に有用な他の成分には、シラン、有機金属触媒、溶媒、顔料、充填剤および変性剤が挙げられる。上記成分は、混ぜ合わされ、そして反応されて、従来のエポキシシロキサン組成物と比較して、短い時間で、架橋したエナミンポリシロキサンおよび/またはアクリレートポリシロキサン化学構造を含む完全に硬化した保護膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、耐薬品性、耐食性および耐候性の保護被覆を形成するのに使用されるシロキサン樹脂組成物に関し、さらに特定すると、広範囲の温度(もし望ましいなら、常温を含めて)にわたって、加速された反応速度および硬化速度を与えるように、また、柔軟性の喪失なしで所望の保護膜被覆を得るための塗布に必要な時間および/またはエネルギーを最小限するように特別に調合された変性シロキサン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
保護被覆を形成する際に所望の樹脂添加剤としてシロキサン樹脂を使用することは、当該技術分野で周知である。特定の用途では、シロキサン成分(例えば、シロキサン樹脂)の添加は、得られる硬化膜被覆に対して、柔軟性、耐衝撃性および耐候性という特性に寄与することが知られている。このような一例では、ポリシロキサン樹脂は、エポキシ樹脂と混ぜ合わされて、得られたエポキシ樹脂系膜被覆の耐衝撃性、柔軟性、耐食性および耐候性を向上させる。
【0003】
典型的には、この能力で使用されるシロキサン樹脂は、シロキサン樹脂およびアミノシランの酸または塩基加水分解により、続いて、加水分解およびアミンとの反応中に形成された得られたシラノール基をエポキシと縮合することにより、樹脂基材(例えば、エポキシ樹脂)と反応する。この反応機構は、水分の存在下にて開始され、アミンの存在下にて行われ、そして加水分解反応中に形成されたアルコールを蒸発させることにより完結されるものである。このような公知のエポキシ−ポリシロキサン塗装組成物は、ある程度の粗被覆硬度、柔軟性、耐衝撃性、耐候性、ならびに耐食性および耐薬品性を与える保護被覆を形成する際に有用であるものの、このような被覆特性は、特定の乾燥時間または硬化時間を経てのみ、生じるか発現する。一定の法的な要求事項を満たすために、揮発性有機含量(VOC)を減らした被覆を提供することが要求されていることから、このような被覆の調合物中にて、低分子量樹脂を使用する必要に迫られている。
【0004】
しかしながら、このような低分子量樹脂を使用することの欠点として、上で述べた所望の特性は、これらの樹脂の架橋密度を高めることによってのみ達成でき、そうするには、高分子量樹脂を使用することにより塗装を調製するときと比較して、時間がかかり、また、それに応じた長い乾燥時間または硬化時間および/または高いエネルギー出力(例えば、硬化時間を向上させるために使用され得る外部加熱装置に関連した)を必要とすることがある。さらに、架橋密度を高めると、柔軟性が低下した被覆が生じ得る。
【0005】
公知のエポキシ−ポリシロキサン塗装組成物の一例では、混ぜ合わせた成分の架橋密度は、上で述べた反応方法論により、すなわち、そのシロキサン成分の加水分解縮合およびアミンとエポキシ樹脂との反応により、達せられる。これらの成分は、所望の耐薬品性および機械的特性を有する保護被覆を提供することが知られているものの、また、VOC低減要件を満たすものの、このような被覆の乾燥時間は、迅速または短くした乾燥時間が要求される特定の用途に適さない場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、公知のエポキシ−ポリシロキサン塗装組成物と同じかそれより良好な程度の被覆柔軟性、硬度、耐衝撃性、耐候性ならびに耐食性および耐薬品性を与えつつ、同時に、広い温度範囲(もし望ましいなら、常温を含み得る)にわたって、短くした乾燥時間または硬化時間内に、このような特性を与えることができる変性シロキサン組成物を調合することが望ましい。もし、短くした硬化時間で常温硬化するように調合するなら、本発明の変性シロキサン組成物は、硬化のための外部加熱装置を使用する必要がないので、さらに有利となる。また、本発明の変性シロキサン組成物は、容易に入手できる材料を使用して、新奇な技術または設備を使用する特別な処理を必要とすることなく、短くした乾燥時間および硬化時間内に、このような所望の化学的特性および機械的特性を得るように調合されることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、一般に、以下を含有する;(1)アルコキシ−またはシラノール官能性シリコーン中間体、(2)少なくとも1種のアミン反応性成分であって、該アミン反応性成分は、アセトアセテート官能性成分、アクリレート官能性成分、およびそれらの混合物からなる群から選択される、(3)エポキシ官能性成分、(4)硬化剤であって、該硬化剤は、アミン、アミノシラン、ケチミン、アルジミンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、および(5)水。本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成する際に有用な他の成分には、シラン、有機金属触媒、溶媒、顔料、充填剤および変性剤が挙げられる。
【0008】
上で確認した成分は、混ぜ合わされ、そして反応されて、完全に架橋したポリシロキサン化学構造を含む完全に硬化した保護膜を形成する。選択されたアミン反応性成分がアセトアセテート官能性成分である場合には、得られた完全に架橋した化学構造は、エナミンエポキシポリシロキサンを含む。選択されたアミン反応性成分がアクリレート官能性成分である場合には、得られた完全に架橋した化学構造は、アクリレートエポキシポリシロキサンを含む。
【0009】
上で確認した成分は、特別に選択され、そして混ぜ合わされて、従来のエポキシシロキサン組成物と比較したとき、短くした硬化時間または乾燥時間内で完全に硬化した保護膜被覆を提供するように特別に調合された高速硬化性変性シロキサン組成物を提供する。具体的には、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、アミン成分とエポキシ成分との間の反応に依存する従来のエポキシシロキサン組成物と比較したとき、硬化剤とアミン反応性成分との間の反応速度が比較的に加速されることを利用する。本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、柔軟性、硬度、耐衝撃性、耐候性、耐食性および耐薬品性のような所望の特性を損なうことなく、硬化時間および乾燥時間がこのような短くされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、水の存在下にて、以下を混ぜ合わせることにより、形成される:(1)アルコキシまたはシラノール官能性シリコーン中間体;(2)任意のシラン;(3)アミン反応性成分であって、該アミン反応性成分は、アセトアセテート官能性成分、アクリレート官能性成分、およびそれらの混合物からなる群から選択される、アミン反応性成分;(4)エポキシ官能性成分;(5)硬化剤;(6)任意の有機金属触媒;および(7)任意の顔料、充填剤および変性剤。
【0011】
本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、2成分系の形態で提供でき、例えば、ここで、これらの成分は、2個の別個の容器内に供給され、そして塗布前に、共に混ぜ合わされ混合されるか、あるいは特定の実施態様では、単一容器にて、単一成分の形態で提供できる。これらの組成物の特徴は、化学成分の特定の選択および/または使用されるこのような成分の相対量のために、混ぜ合わせたとき、広範囲の硬化温度にわたって、著しく短くした乾燥時間または硬化時間内に、従来のエポキシ−ポリシロキサン被覆と同じかそれより優れた所望の機械的特性および化学的特性を有する保護膜被覆を提供するように作用することがある。本発明の変性シロキサン組成物の実施態様は、調合されて、常温環境にて(すなわち、外部加熱装置を必要とすることなく)、このような短くした乾燥時間または硬化時間内に、硬化膜を提供する。
【0012】
本明細書中で使用する「変性」との用語は、本発明に従って調製されたシロキサン組成物が、他の樹脂成分(これは、アクリル、ポリエステル、ポリエーテル、ウレタン、エポキシ樹脂、およびそれらの混合物からなる群から選択される)と混ぜ合わされるシロキサン成分を含み、シロキサン樹脂組成物単独では得られない耐衝撃性、柔軟性、耐候性、耐食性および耐薬品性の混成特性を有する共重合体または交互貫入重合体ネットワーク(IPN)を提供することを意味すると解釈される。以下でさらに詳述するように、このような特性は、成分の選択、これらの成分の相対量、および/または選択された成分が共に混ぜ合わされる様式の結果として、得られる。
【0013】
(シリコーン中間体)
アルコキシまたはシラノール官能性シリコーン中間体に関して、有用なシリコーン中間体には、次式を有するシロキサンまたはポリシロキサンが挙げられるが、これらに限定されない:
【0014】
【化3】

ここで、各Rは、ヒドロキシ基、ならびに約6個までの炭素原子を有するアルキル、アリールおよびアルコキシ基からなる群から選択される。各Rは、水素、ならびに6個までの炭素原子を有するアルキルおよびアリール基からなる群から選択される。RおよびRは、このシリコーン中間体の急速な加水分解(この反応は、その加水分解のアルコール類似生成物の揮発性により、駆り立てられる)を促進するために、6個未満の炭素原子を有する基を含む。6個より多い炭素原子を有するRおよびR基は、各アルコール類似物の揮発性が比較的に低いために、このシリコーン中間体の加水分解を損なう傾向にある。「n」は、このシリコーン中間体が、約400〜約10,000の範囲、さらに好ましくは、800〜2,500の範囲の平均分子量を有するように選択されることが望ましい。
【0015】
好ましいシリコーン中間体には、アルコキシ官能性ポリシロキサン(例えば、メトキシ官能性ポリシロキサン)が挙げられ、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Dow Corning製のDC−3074およびDC−3037;Adrian,Mich.にあるWacker製のGE SR191、SY−550およびSY−231。好ましいシリコーン中間体には、また、シラノール官能性ポリシロキサン(例えば、Dow ComingのDC−840、Z6018、Ql−2530および6−2230中間体があるが、これらに限定されない)が挙げられる。
【0016】
本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、この組成物の全重量に基づいて、約5〜50重量パーセント(pbwt)の範囲、好ましくは、約10〜30pbwtの範囲のシリコーン中間体を含有する。特に好ましい本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、約10〜25pbwtの範囲のシリコーン中間体を含有する。特に好ましいシリコーン中間体は、フェニルメチルメトキシ官能性シロキサン(DC−3074)である。
【0017】
(シラン成分)
シラン成分に関して、適切なシランには、以下の一般式を有するものが挙げられる:
【0018】
【化4】

ここで、R16、R17およびR18は、別個に、水素、ならびに6個までの炭素原子を含有するアルキル、アリール、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルおよびヒドロキシアルコキシアルキル基からなる群から選択され、ここで、R19は、水素、ならびに6個までの炭素原子を有するアルキルおよびアリール基からなる群から選択される。1実施態様では、これらの基の少なくとも1個は、重合のためのオキシ成分を含み、そして「n」は、1〜5の範囲であり、そして150〜600の範囲の平均分子量を有し得る。
【0019】
このシラン成分は、任意の成分であり、例えば、相溶化剤があれば役に立つ場合、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成する際に使用され得る。この性能で使用されるとき、このシランは、このエポキシ、アセトアセテートおよび/またはアクリレート、シリコーン中間体およびアミノシラン成分を残りの樹脂マトリックスに相溶化するのを助けるように作用する。好ましいシランは、フェニル/メチルメトキシ−シランであり、これは、例えば、QP8−5314の製品名称で、Dow Corningから市販されている。このシランは、単量体状であり、相溶化を助けるフェニル官能基を有するので、好ましい。
【0020】
本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、前記組成物の全重量に基づいて、約10重量パーセント(pbwt)まで、好ましくは、約0.5〜5pbwtの範囲のシランを含有し得る。特に好ましい本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、約0.85〜2pbwtの範囲のシランを含有する。
【0021】
(アミン反応性成分−アセトアセテート官能性成分)
このアミン反応性成分に関して、それは、アセトアセテート官能性成分であり得る。本明細書中で使用する「アセトアセテート官能性成分」との用語は、置換および非置換の両方のアセトアセテート官能性成分を意味すると理解される。適切なアセトアセテート官能性成分には、アセトアセテート官能性希釈剤、アセトアセテート官能性オリゴマー、アセトアセテート官能性重合体、およびそれらの混合物を含む群から選択されるものが挙げられる。
【0022】
適切なアセトアセテート官能性成分には、以下の一般化学式を有するものが挙げられる:
20[OCOCHCOCH21
ここで、R20は、アクリル、ポリエステル、ポリエーテルおよびウレタン重合体または希釈剤、あるいは[OCOCHCOCH]で官能化できる任意のヒドロキシ官能性重合体を含む群から選択でき、ここで、「a」は、1〜10であり得、ここで、R21は、水素であり得るが、あるいは約6個までの炭素原子を有する炭素含有基であり得る。
【0023】
アセトアセテート官能性成分は、エポキシ−ポリシロキサン樹脂組成物ではアミン/アセトアセテートがアミン/エポキシ反応の速度よりもずっと迅速であるので、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成する際に有用であり、それにより、乾燥時間および硬化時間の所望の短縮を促進する。塗装組成物の準備時間の短縮、すなわち、高速硬化塗装は、塗装された基板が、塗装のすぐ後に、出荷、衝撃、天候、腐食または薬品に晒される場合のような用途において、望ましい。
【0024】
適切なアセトアセテート官能性希釈剤およびオリゴマーには、アセトアセチル化トリメチロールプロパン(TMP)、ジアセトアセチル化2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(BEPD)、ジアセトアセチル化ネオペンチルグリコール(NPG)、または容易にトランスアセトアセチル化される(例えば、第三級ブタノールの脱離を伴って、酢酸トリブチルアンモニウムと共に、第三級ブチルアセトアセテート(TBAA)でトランスエステル化される)任意のヒドロキシ官能性希釈剤が挙げられる。
【0025】
アセトアセテート官能性オリゴマーおよびアセトアセテート官能性希釈剤の使用は、アセトアセテート官能性重合体と比較したとき、低い粘度で行いつつ、上述の理由と同じ理由のために、望ましい。特に好ましいアセトアセテート官能性希釈剤およびオリゴマーは、アセトアセチル化TMP(これは、例えば、K−Flex(例えば、K−Flex XM−7301)の製品名称で、Norwalk ConnecticutのKing Industriesから市販されている)がある。
【0026】
適切なアセトアセテート官能性重合体には、アクリル、ポリエステル、ポリエーテルまたはウレタン化学骨格を有するものが挙げられる。好ましいアセトアセテート官能性アクリル重合体には、例えば、Setalux(例えば、Setalux 7202 XX 50)の製品名称でEnglandのAkzo Nobelから市販されているもの;CSA(例えば、CSA 582)(600の当量重量を有する85%アセトアセテート官能性アクリル重合体)の製品名称でCanadaのGuertin Bros.から市販されているもの;およびGPAcryl(例えば、GPAcryl 513、GPAcryl 550、GPAcryl 597、GPAcryl 613、GPAcryl 766)の製品名称でGuertin Bros.から市販されているもの;およびACR(例えば、ACR441XD)の製品名称でAuckland、New ZealandのNuplexから市販されているものが挙げられる。これらのアセトアセテート官能性重合体の使用は、上で述べた理由と同じ理由のために、望ましい。適切なアセトアセテート官能性重合体には、アセトアセテート官能性ポリエステル重合体(例えば、GPEster(例えば、GPEster 766)の製品名称でGuertin Bros.から市販されているもの)が挙げられる。
【0027】
上記アセトアセテート官能性重合体に加えて、アセトアセテート官能性重合体をTBBAに変換できる任意のヒドロキシル官能性重合体(例えば、アクリル、ポリエステル、ウレタン、アルキドなど)は、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成する際に使用するのが許容される。アセトアセテート官能性ウレタン重合体の例には、アセトアセテートに結合されるウレタンジオールおよびウレタントリオールのようなものが挙げられる。
【0028】
アセトアセテート官能性オリゴマー(これは、例えば、単官能性、二官能性または三官能性を有する)は、VOCの低下が必要であり得るか望まれ得る状況において、使用できる。アセトアセテート官能性の程度は、変性シロキサン組成物の初期架橋密度およびポットライフの両方に影響を与え得る。従って、オリゴマーの使用はまた、架橋密度の低下またはポットライフの改善が要求される特定の用途に望まれ得る。
【0029】
アセトアセテート官能性重合体は、VOCの低下が問題ではない状況および/または最終塗膜中のエナミン官能性の程度が問題ではない状況において、使用できる。一般に、このアミンとアセトアセテート官能性成分との間の反応生成物は、一般的な成分としてC=CN基に特徴付けられるエナミンである。本発明の組成物を形成する際にアセトアセテート官能性重合体を多く使用しすぎると、最終塗膜において、高いレベルのエナミン官能性が発生し得、このエナミン官能性は、特徴として、紫外線(UV)照射に晒したとき、黄化を引き起こす。
【0030】
このような黄化が望ましくない特定の用途では、エナミン形成の程度を制御する目的のために、当量重量の全アセトアセテート官能性重合体とアセトアセテート官能性オリゴマーまたは希釈剤とが慎重に釣り合わされる。アセトアセテート官能性オリゴマーおよびアセトアセテート官能性重合体のブレンドは、これらの状況において、乾燥時間を改善しつつ、所望のモル比のエナミン官能性を達成するためだけでなく、相対的に低下された粘度、所望の架橋密度および所望の機械的特性を組み合わせた特性を達成するために、使用できる。あるいは、以下で述べるように、アクリレート官能性成分、あるいはアセトアセテート官能性成分とアクリレート官能性成分との組み合わせもまた、所望のモル比のエナミン形成を制御するために、使用できる。
【0031】
1実施態様では、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成するために、この組成物の全重量に基づいて、約40pbwtまで、好ましくは、約5〜30pbwtの範囲のアセトアセテート官能性成分(オリゴマー、希釈剤および/または重合体)が使用される。特に好ましい本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、約7〜25pbwtの範囲のアセトアセテート官能性成分を含有する。
【0032】
以下で述べるように、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、特定の最終用途および望ましい最終塗膜特性に依存して、アセトアセテート官能性成分を使用して形成できるか、アクリレート官能性成分に加えてアセトアセテート官能性成分を使用して形成できるか、あるいはアセトアセテート官能性成分に代えてアクリレート官能性成分を使用して形成できる。
【0033】
(アミン反応性成分−アクリレート官能性成分)
アミン反応性成分に関して、それは、アクリレート官能性成分であり得、この成分は、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成するために、上述のアセトアセテート官能性成分に加えてまたはそれに代えて、使用され得ることが分かる。本明細書中で使用する「アクリレート官能性成分」との用語は、置換および非置換の両方のアクリレート官能性成分を意味すると理解される。適切なアクリレート官能性成分には、アクリレート官能性希釈剤、アクリレート官能性オリゴマー、アクリレート官能性重合体、およびそれらの混合物を含む群から選択されるものが挙げられる。
【0034】
適切なアクリレート官能性成分には、以下の一般化学式を有するものが挙げられる:
22[OCOCHCH]23
ここで、R22は、アクリル、ポリエステル、ポリエーテルおよびウレタン重合体または希釈剤、あるいは[OCOCHCH]で官能化できる任意のヒドロキシ官能性重合体を含む群から選択でき、ここで、「b」は、1〜10であり得、ここで、R23は、水素であり得るか、または約6個までの炭素原子を有する炭素含有基であり得る。
【0035】
このアクリレート官能性成分は、アミン/アクリレート反応が、アミン/アセトアセテートほど速くないものの、依然として、従来のエポキシ−ポリシロキサン樹脂組成物におけるアミン/エポキシ反応よりも速いので、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成する際に有用であり、それにより、乾燥時間および硬化時間の所望の短縮を促進する。
【0036】
適切なアクリレート官能性希釈剤およびオリゴマーには、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリプロピレングリコールトリアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジ−トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジアクリレート、エトキシル化トリメタールプロパン(trimethalpropane)トリアクリレート、ウレタンアクリレートオリゴマー、プロポキシル化グリセリルトリアクリレート、および脂肪族四官能性ポリエステルアクリレートオリゴマーが挙げられる。
【0037】
アクリレート官能性オリゴマーおよび希釈剤の使用は、低い粘度で行いつつ、アクリレート官能性重合体と比較したとき、上述の理由と同じ理由のために、望ましい。好ましいアクリレート官能性希釈剤およびオリゴマーには、トリメチロールプロパントリアクリレート(これは、例えば、Photomer 4006の製品名称で、Exton、Pa.のCognisから市販されている);ネオペンチルグリコールプロピレートジアクリレート(これは、例えば、4126および4127の製品名称で、Cognisから市販されている);エトキシル化トリメタールプロパントリアクリレート(これは、例えば、Photomer 4129製品名称で、Cognisから市販されている);およびプロポキシル化グリセリルトリアクリレート(これは、例えば、Photomer 4094製品名称で、Cognisから市販されている)が挙げられる。
【0038】
適切なアクリレート官能性重合体には、アクリル、ポリエステル、ポリエーテルまたはウレタン化学骨格を有するものが挙げられる。好ましいアクリレート官能性重合体には、以下が挙げられる:脂肪族ウレタントリアクリレート(これは、例えば、Photomer 6008製品名称で、Cognisから市販されている);脂肪族ウレタンアクリレート(これは、Photomer 6893製品名称で、市販されている);脂肪族ウレタンジアクリレート(これは、Photomer 6210製品名称で、市販されている);ウレタンアクリレート(これは、例えば、CN968製品名称で、Exton Pa.のSartomerから市販されている);エポキシアクリレート(これは、CN104製品名称で、Sartomerから市販されている);エポキシノボラックアクリレート(これは、CN112製品名称で、Sartomerから市販されている);およびポリエステルアクリレート(これは、CN292製品名称で、Sartomerから市販されており、また、Photomer 5432製品名称で、Cognisから市販されている)。アクリレート官能性重合体の使用は、上述の理由と同じ理由のために、望ましい。
【0039】
アクリレート官能性希釈剤またはオリゴマー(これは、例えば、単官能性、二官能性または三官能性を有する)は、VOCの低下が必要であり得るか望まれ得る状況において、使用できる。アクリレート官能性の程度は、変性シロキサン組成物の初期架橋密度およびポットライフの両方に影響を与え得る。従って、オリゴマーの使用はまた、架橋密度の低下またはポットライフの改善が要求される特定の用途に望まれ得る。
【0040】
アクリレート官能性重合体は、VOCの低下が問題ではない状況および/または最終塗膜中のエナミン官能性が望ましくない状況において、使用できる。アセトアセテート官能性成分の使用(それにより、アミンと混ぜ合わせるとき、エナミンの生成が起こる)とは異なり、アクリレート官能性成分は、エナミンを形成しない。それゆえ、アクリレート官能性成分の使用は、非常に高速の硬化が必要ではない場合および/または紫外線(UV)照射に晒したときに塗膜の黄化を示さない被覆が望ましい場合に、アセトアセテート官能性成分よりも望まれ得る。
【0041】
1実施態様では、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成するために、この組成物の全重量に基づいて、約40pbwtまで、好ましくは、約5〜30pbwtの範囲のアクリレート官能性成分(オリゴマー、希釈剤および/または重合体)が使用される。特に好ましい本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、約7〜25pbwtの範囲のアクリレート官能性成分を含有する。
【0042】
本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、このアセトアセテート官能性成分および/またはアクリレート官能性成分の一方または両方を使用して、調製される。それゆえ、これらの成分の各々の相対量は、最初は、約40pbwtまでの様式で提示されるのに対して、このことは、2種の成分の一方が他のものに代えて使用され得るという事実、また、このアミン反応性成分が本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を調製するための必須成分であるという事実を考慮して、理解される。このアセトアセテート官能性成分とアクリレート官能性成分とを併用する場合には、これらの成分を組み合わせた量は、それぞれについて個々に提示された量を超えない。
【0043】
(エポキシ官能性成分)
このエポキシ官能性成分に関して、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成する際に有用な適切なエポキシ官能性成分には、エポキシ樹脂、エポキシ官能性アクリル樹脂、エポキシ官能性シラン、およびそれらの組み合わせを含む群から選択されるものが挙げられる。このエポキシ官能性成分は、耐食性および耐薬品性を高める目的のために、また、ある状況では、VOCを減らす目的のために、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成する際に、使用される。
【0044】
適切なエポキシ樹脂には、1分子あたり1個より多い1,2−エポキシ基を有するものが挙げられ、これらは、飽和または不飽和、脂肪族、環状脂肪族または複素環であり得る。好ましくは、エポキシ官能性成分として有用なエポキシ樹脂は、固体ではなく液体であり、約100〜約2,000、さらに好ましくは、約100〜500の範囲のエポキシ当量重量を有し、そして約2の反応性を有する。本発明で使用できるポリエポキシドは、Wagnerの米国特許第3,183,198号、3欄、27行目〜4欄、64行目で記載されている。米国特許第3,183,198号のこの部分の内容は、本明細書中で参考として援用されている。このエポキシ樹脂はまた、1個だけのオキシラン基を有するいくつかのモノマー単位を含み得る。しかしながら、これらの小部分だけが、最終製品の所望の特性に悪影響を与えることなく、容認され得る。異なる型のモノマーのブレンドもまた、使用できる。
【0045】
適切なエポキシ樹脂には、以下が挙げられる:Shell Epon 828(ビスフェノールA−エピクロロヒドリンエポキシ樹脂)および/またはこの樹脂と二官能性エポキシド反応性希釈剤(例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテルおよびシクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル)とのブレンド;ビスフェノールFエポキシ樹脂(すなわち、Shell Epon DPL 862(ビスフェノールF−エピクロロヒドリンエポキシ樹脂));およびエポキシフェノールノボラック樹脂(例えば、Epalloy 8250(エポキシノボラック樹脂)(これは、Cherry Hill,N.J.,AralditeにあるCVC製である)、EPN 1139(Ciba Geigy製)、ならびにDEN432およびDEN438(Dow Chemical製)。これらのエポキシ樹脂は、良好な耐薬品性を示す。適切な非芳香族エポキシ樹脂には、水素化シクロヘキサンジメタノール、および水素化ビスフェノールA型エポキシド樹脂のジグリシジルエーテル、例えば、以下が挙げられる:Epon 1510、Epon 4080E、Heloxy 107およびEpon 1513(水素化ビスフェノールA−エピクロロヒドリンエポキシ樹脂)(Houston,TexasのShell Chemical製);Santolink LSE−120(Springfield,MassにあるMonsanto製);Epodil 757(シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル)(Allentown,PaにあるPacific Anchor製);Araldite XUGY358およびPY327(Hawthorne,New YorkにあるCiba Geigy製);Epirez 505(Louisville、KyにあるRhone−Poulene製);Aroflint 393および607(Pensacola,FloridaにあるReichold製);およびERL4221(Tarrytown,New YorkにあるUnion Carbide製)。他の適切な非芳香族エポキシ樹脂には、DER 732およびDER 736が挙げられる。
【0046】
適切なエポキシ官能性アクリル樹脂には、グリシジルエーテル官能性重合体、メタクリル酸グリシジル(GMA)官能性樹脂、および任意のエポキシ官能性物質(例えば、エポキシ化大豆油など)が挙げられる。好ましいエポキシ官能性アクリル樹脂には、例えば、Setalux製品名称でAkzo Nobel Resinsから市販されているもの(さらに具体的には、Setalux 8503 SS60(およそ569のエポキシド当量重量));およびACR(例えば、ACR53 IXD)製品名称でNuplexから市販されているものが挙げられる。
【0047】
上述のように、エポキシ官能性シラン樹脂は、本発明の組成物を形成するのに使用される。好ましいエポキシ官能性シラン樹脂には、例えば、Silquest A−187製品名称で、Danbury,ConnecticutのOSi Specialties,Inc.から市販されているもの(ガンマ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)がある。
【0048】
エポキシ樹脂は、所望程度のエポキシ反応性が望ましい特定の状況において、このエポキシ官能性成分として使用できる。例えば、エポキシ官能化環状脂肪環(第二級官能化エポキシ基)を含むエポキシ樹脂は、他の形態のエポキシ官能性成分よりも反応性が低い場合がある。
【0049】
エポキシ官能性アクリル樹脂は、相互貫入重合体ネットワーク(IPN)が望ましい状況において、このエポキシ官能性成分として使用できる。例えば、エポキシ官能性アクリル樹脂は、エポキシ官能性と硬化剤(これは、アミノシランの形態で提供される)との反応を介して、IPNを形成できる。
【0050】
エポキシ官能性シランは、付加された成分の形成が要求される状況において、このエポキシ官能性成分として使用できる。例えば、特定の調合物において、この硬化剤が第二級アミンの形態で提供される場合、このような第二級アミンは、エポキシ官能性シランに付加できる。1実施態様では、この組み合わせから生じる付加物は、(ケチミンとして)第一級アミンにおいて二官能性であり、また、トリメトキシシランとしても官能性である分子の形態であり得る。このことは、事実上、「星形」重合体を作り出し、これは、そこから伸長している2個の炭素連鎖(これらは、それぞれ、ケチミン末端構造を含む)を有する中心窒素原子を含み、また、そこから伸長している第三炭素連鎖(これは、そこから(例えば、このエポキシ官能性成分がエポキシ官能性シランの形態で提供されるとき、Si原子から)伸長しているトリアルコキシ官能性を含む)を含む。このような星形重合体は、三角(triagonal)中心(窒素の周りに120度)を有し、そして高い官能性の組み合わせ特性を与えるが、粘度およびVOCは非常に低い。この星形重合体は、エポキシシランまたはエポキシ官能性樹脂であり得る。
【0051】
1実施態様では、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成するために、この組成物の全重量に基づいて、約1〜50pbwtの範囲、好ましくは、約2〜40pbwtの範囲のエポキシ官能性成分が使用される。特に好ましい本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、約5〜35pbwtの範囲のエポキシ官能性成分を含有する。
【0052】
(硬化剤)
この硬化剤に関して、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を調製するのに有用な適切な硬化剤には、アミン、アミノシラン、ケチミン、アルジミン、およびそれらの混合物を含む群から選択されるものが挙げられる。この硬化剤は、耐衝撃性、柔軟性、耐候性、耐食性および耐薬品性の所望の特性に寄与する高速硬化性変性シロキサン組成物中のエナミン構造(アセトアセテート官能性成分を使用するとき)を形成する目的のために、全ての成分を混ぜ合わせると、このアセトアセテート官能性成分および/またはアクリレート官能性成分と反応させる目的のために使用される。この硬化剤はまた、任意のエポキシ官能性成分と反応する。
【0053】
本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成するのに有用な適切なアミンには、アミンおよびポリアミン、脂肪族アミン付加物、ポリアミドアミン、環状脂肪族アミンおよびポリアミン、ならびに環状脂肪族アミン付加物、ならびに芳香族アミンが挙げられる。適切なポリアミンには、米国特許第3,668,183(この内容は、本明細書中で参考として援用されている)で記載されたものが挙げられる。好ましいアミン硬化剤には、第一級アミン、環状脂肪族ジアミン、イソホロンジアミン、および他の第二級アミン(例えば、Ancamine(さらに具体的には、Ancamine 2457)製品名称でAllentown,Pa.のAir Productsから市販されているもの;XTJ−590(反応性ポリエーテルジアミン)製品名称でHouston TexasのHuntsmanから市販されているもの);および第一級アミン(例えば、Jeffamine(さらに具体的には、Jeffamine D400(ポリオキシプロピレンジアミン)〜Jeffamine D2000製品名称でHuntsmanから市販されているもの)が挙げられる。
【0054】
本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成するのに有用な適切なアミノシランには、以下の一般式を有するものが挙げられる:
Y−Si−(O−X)
ここで、Yは、H(HNR)であり、ここで、「c」は、1〜6の整数であり、各Rは、二官能性有機ラジカルであり、これは、別個に、アリール、アルキル、ジアルキルアリール、アルコキシアルキルおよびシクロアルキルラジカルからなる群から選択され、ここで、Rは、各Y分子内で、変えることができる。各Xは、同一または異なり得、そして約6個未満の炭素原子を含有するアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルおよびヒドロキシアルコキシアルキル基に限定されている。
【0055】
好ましいアミノシランには、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、n−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミン、3−(3−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノメチルフェニルトリメトキシシラン、2−アミノエチル−3−アミノプロピル、トリス−2−エチルヘキソキシシラン、n−アミノヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、トリスアミノプロピルトリスメトキシエトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−ベータ−(アミノエチル)−ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベータ−(アミノエチル)−ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン、およびN−ベータ−(アミノエチル)−ガンマ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン。
【0056】
本発明で有用ないくつかのアミノシランの製造業者および製品名称には、以下が挙げられる:Z6020、Z6011、XI−6100およびXI6150(Dow Corning製);Silquest A1100、A1101、A1102、A1108、A1110、A1120、A1126、A1130、A1387、Y9632、A1637、A−2120およびA2639、ならびにCoatOSil 2810(GE製);ED117(Wacker製);Dynasylan AMMO、AMEO−P、AMEO−T、DAMO、TRIAMO、1122、1126、1146、1189、1204、1411および1505(全て、Degussa製);ならびにKBE−602、KBE−603およびKBE−903(Shin−Etsu製)。好ましいアミノシランは、二官能性シランであり、これらには、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシランおよびアミノプロピルトリエトキシシランが挙げられる。特に好ましいアミノシランは、GEのA1110およびA1120である。
【0057】
本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成するのに有用な適切なケチミンまたはアルジミンには、アミンと、それぞれ、ケトンまたはアルデヒドとの反応により得られるものが挙げられ、ジケチミンおよびジアルジミン(例えば、米国特許第3,668,183号で記載されたもの)が挙げられる。好ましいケチミンには、例えば、2457製品名称でAir Productsから市販されているもの(ジエチレントリアミンのジメチルイソブチルケトンケチミン);LS2965製品名称でLeverkusen,GermanyのBayerから市販されているもの(イソホロンジアミンのジメチルイソブチルケトンケチミン);およびEH−235−RS−AおよびKBE−9103製品名称でAsahi Denkaから市販されているもの(ケチミノプロピルトリエトキシシラン)(Shine−Etsu製)が挙げられる。好ましいアルジミンには、イソホロンジアミンのジアルジミン、例えば、A139製品名称でGermanyのHulsから市販されているものが挙げられる。
【0058】
本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成するために選択される硬化剤の種類は、特定種類の用途および使用する他の成分の種類に依存している。例えば、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、1種類より多い硬化剤と併用して、形成できる。例えば、第一級および/または第二級アミンは、アミノシランと併用できる。さらに、ポリエーテルアミノ官能性アミンは、治療用パッケージを柔軟にするために、および/または治療用材料の原料価格を下げるためにも、使用できる。第二級アミンは、エポキシ官能性を付加するために、また、非常に反応性の重合体(例えば、上で開示された星形重合体)を形成するために、使用できる。この星形重合体は、第二級アミンをエポキシシランまたはエポキシ官能性樹脂で付加することにより、形成できる。
【0059】
アミノシランは、アセトアセテート、アクリレートおよびエポキシ官能性と反応してIPN構造を形成するので、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成するのに有用である。アミンおよびケチミンは、エポキシ官能性シランと反応してIPN構造を形成するために必要である。
【0060】
ケチミンまたはアルジミンは、原料の価格を下げるかおよび/または組成物のポットライフを向上ざることが望ましいとき、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成するのに有用である。もし望ましいなら、アミノシランは、ポットライフを長くするために、および/または原料の価格を下げるために、ケチミンまたはアルジミンと混成される。
【0061】
1実施態様では、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成するために、この組成物の全重量に基づいて、約1〜30pbwtの範囲、好ましくは、約2〜25pbwtの範囲の硬化剤が使用される。特に好ましい本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、約5〜18pbwtの範囲の硬化剤を含有する。この組成物を製造する特定の望ましい方法、および得られた硬化被覆に望ましい特性に依存して、1種またはそれ以上の上記硬化剤が使用できることが分かり、このような硬化剤の全量は、上で確認した範囲内である。
【0062】
(有機金属触媒)
この有機金属触媒に関して、適切な有機金属触媒は、この組成物が広い温度範囲にわたって保護膜被覆に硬化する速度を加速する目的のために、使用される。この組成物を周囲温度で硬化することが要求される特定の用途では、この有機金属触媒はまた、このような周囲温度硬化条件で硬化速度を加速するのに有用である。適切な触媒には、以下の一般式を有するものが挙げられる:
【0063】
【化5】

ここで、RおよびRは、それぞれ、11個までの炭素原子を有するアルキル、アリールおよびアルコキシ基からなる群から選択され、ここで、RおよびRは、それぞれ、RおよびRと同じ群から選択されるか、または無機原子(例えば、ハロゲン、イオウまたは酸素)からなる群から選択される。触媒の例には、有機スズ物質(例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、オルガノチタネート)が挙げられる。好ましい有機金属触媒は、ジブチルスズジラウレートである。
【0064】
1実施態様では、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成するために、この組成物の全重量に基づいて、約10pbwtまで、好ましくは、約0.02〜5pbwtの範囲の有機金属触媒が使用される。特に好ましい本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、約0.08〜2pbwtの範囲の有機金属触媒を含有する。
【0065】
(他の成分)
水分スカベンジャーは、例えば、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成する段階において、過剰な水が望ましくない場合、過剰な水の存在を意図的に減らす目的のために、この高速硬化性変性シロキサン組成物を形成するのに使用される。これは、このような成分が湿気に晒される前に、このシリコーン中間体、シランまたは硬化剤(これらが、もし、アミノシランの形態で提供されるなら)の好ましくない加水分解を防止または抑制することを助け得、それにより、製品が使用される前、例えば、この製品が棚にある間に起こる重縮合の程度を制御して、寿命を長くする。
【0066】
適切な水分スカベンジング成分には、CaSO−1/2HOのようなカルシウム化合物およびチタン酸テトライソプロピルのようなカルシウム−金属アルコキシド、チタン酸テトラ−n−ブチル−シラン、QP−5314、ビニルシラン(A171)、ならびにオルトギ酸トリエチル、オルトギ酸メチル、ジメトキシプロパンのような有機アルコキシ化合物のようなものが挙げられる。1実施態様では、好ましい水分スカベンジング成分は、オルトギ酸トリエチル(これは、例えば、添加剤OF製品名称で、Bayerから市販されている)である。
【0067】
1実施態様では、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成するために、約10pbwtまで、好ましくは、約0.25〜5pbwtの範囲の水分スカベンジャーが使用できる。好ましい実施態様では、この組成物の全重量に基づいて、0.5〜2pbwtの範囲の水分スカベンジャーが使用できる。
【0068】
この水分スカベンジャーに加えて、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成する際に有用な他の成分には、水、溶媒、可塑剤、増量剤、充填剤および着色顔料、炭化水素樹脂改質剤、および多様な種類の添加剤(例えば、UV安定化剤、顔料湿潤剤、流動およびレベリング添加剤、チキサトロープ(thixatropes)、消泡剤など)が挙げられる。
【0069】
水は、本発明の重要な成分であり、このシリコーン中間体、シランおよびアミノシラン形態の任意の硬化剤を加水分解し、これらの成分を引き続いた縮合のために準備するのに十分な量で、存在するべきである。さらに、水の存在は、ケチミンおよび/またはアルジミンの形態で存在している任意の硬化剤をアンブロックするように、すなわち、求核攻撃を介したアセトアセテート官能性および/またはアクリレート官能性成分との引き続いた架橋および/またはエポキシ官能性成分との反応にアミン官能性を晒すためように、作用する。
【0070】
このアミン反応性成分(これがアセトアセテート官能性成分の形態であるとき)と硬化剤との反応は、水を発生するように作用するので、この水は、このシリコーン中間体、シラン、およびアミノシラン形態の任意の硬化剤のさらなる加水分解を引き起こすように作用するだけでなく、ケチミンまたはアルジミン形態で提供された任意の硬化剤をアンブロックするように作用する。それゆえ、このような発生した水は、高速硬化性変性シロキサン組成物の形成において、自己触媒効果を促進し、これは、この反応を短い時間で完結に追い立てるのを助ける。
【0071】
水の供給源は、成分間の反応、大気中の湿気、および1種またはそれ以上の成分(例えば、顔料または添加剤成分)中に存在している水に由来し得る。水は、特定の硬化条件(例えば、硬化が周囲温度条件で起こる場合における、この組成物の異常に乾燥した環境での使用)に依存して、この組成物の形成中に、硬化を加速するために加えられ得る。
【0072】
本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、引き続いた架橋のためにケチミンまたはアルジミンの形態で存在している任意の硬化剤のアンブロックを促進するのに十分な量、および/またはこのシリコーン中間体、シラン成分、およびアミノシラン形態で提供される硬化剤中の任意のアルコキシ官能性を加水分解するのに十分な量の水を含有し得る。その供給源とは関係なく、最適量を超える水は、組成物を使用する前に望ましくない程度の加水分解重縮合を引き起こし得る(ポットライフを短くする)ので、また、最終的に硬化された塗膜被覆の表面光沢を低下させるように作用し得るので、望ましくない。
【0073】
静電スプレー装置を使う微粒化および塗布を改善するために、また、この組成物を、刷毛、ローラー、または標準的なエアおよびエアレススプレー装置により塗布するとき、流動およびレベリングならびに外観を改善するために、もし望ましいなら、有機溶媒が加えられ得る。この目的のために有用な溶媒の例には、エステル、エーテル、アルコール、ケトン、グリコールなどが挙げられる。本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成するのに有用な好ましい有機溶媒には、n−ブタノール、キシレン、およびメトキシプロパノールが挙げられる。本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成するために、約25pbwtまでの有機溶媒が使用できる。
【0074】
本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成する際に、顔料および/または充填剤が使用され得る。適切な顔料は、有機および無機着色顔料(これには、二酸化チタン、カーボンブラック、ランプブラック、酸化亜鉛、天然おせび合成の赤色、黄色、褐色および黒色酸化鉄、トルイジンおよびベンジジンイエロー、フタロシアニンブルーおよびグリーン、ならびにカルバゾールバイオレットが挙げられ得る)、および増量剤顔料(粉砕および結晶シリカ、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、マイカを含む);含マイカ酸化鉄、炭酸カルシウム、亜鉛粉末、アルミニウムケイ酸アルミニウム、石膏、長石などから選択され得る。
【0075】
この組成物を形成するのに使用される顔料の量は、特定の組成物用途に依存して変わり得ることが分かり、また、透明組成物が望ましいとき、ゼロであり得る。もし望ましいなら、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、この組成物の全重量に基づいて、約50pbwtまでの顔料を含有できる。
【0076】
本発明の組成物が高温に対して耐性を示すことが望ましいとき、細かく分割された微粒子顔料または充填剤が使用できる。高熱耐性を与える充填剤の例には、バライト(硫酸バリウム)、マイカ、含マイカ酸化鉄、アルミニウムフレーク、ガラスフレーク、ステンレス鋼フレークなどがある。この結合剤および充填剤を正しく選択することにより、300℃程度の温度に耐える高温で安定な被覆が得られる。もし望ましいなら、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、この組成物の全重量に基づいて、約10pbwtまでの充填剤を含有できる。
【0077】
本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物はまた、レオロジー調節剤、可塑剤、消泡剤、チキソトロープ剤、顔料湿潤剤、アスファルト増量剤、沈降防止剤、希釈剤、UV光安定化剤、排気剤および分散助剤を含有し得る。好ましい本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、約10pbwtまでのこのような改質剤を含有し得る。
【0078】
本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、湿気に耐える容器にて、二成分または二パッケージ系として、供給できる。一般的に言えば、「A」部あるいは第一パッケージまたは成分は、以下を含有できる:このシリコーン中間体、任意のシラン、およびアセトアセテート官能性成分および/またはアクリレート官能性成分;そして「B」部あるいは第二パッケージまたは成分は、この硬化剤を含有できる。もし望ましいなら、このシリコーン中間体は、第一および第二パッケージのいずれかまたは両方で存在できる。
【0079】
一般に、これらの2種の成分またはパッケージが、水の存在下にて、混ぜ合わされるとき、ケチミンまたはアルジミンの形態で提供される任意の硬化剤は、アンブロックされて、アミン官能性を露出させる。このシリコーン中間体、任意のシラン、およびアルコキシ基を含むアミノシラン形態の任意の硬化剤は、水の存在下にて加水分解を受け、また、それ自体とのおよび互いとの重縮合を受ける。
【0080】
この重縮合生成物がアミン官能性を含む程度まで、それは、任意の遊離アミノシランと同様に、このアセトアセテート官能性成分および/またはアクリレート官能性成分と付加できる。さらに、この重縮合生成物がアミン官能性を含む程度まで、それは、任意の遊離アミノシランと同様に、このエポキシ官能性成分を付加できる。さらに、このエポキシ官能性成分あるいはアセトアセテート官能性成分および/またはアクリレート官能性成分がアミン官能性を含む程度まで、これらの成分は、互いに付加できる。
【0081】
このアセトアセテート官能性成分および/またはアクリレート官能性成分の間、および/またはエポキシ官能性成分と、任意のアミノシランまたは任意のアミン含有重縮合生成物との間の任意の付加は、このアミノシランおよび/またはシリコーン中間体のアルコキシ基またはヒドロキシ基加水分解および重縮合の前、後または間に、起こり得る。このようなアミノシランおよび/またはシリコーン中間体のアルコキシ基およびヒドロキシ基の加水分解および重縮合によって、実質的な架橋反応が起こると理論付けられ、それにより、得られた硬化膜被覆の全体的な架橋化学構造および特性に寄与する。本明細書中で使用する「架橋」とは、重合体鎖間で形成された分枝結合だけでなく、重合体鎖で形成された鎖伸長結合を意味すると解釈される。
【0082】
この硬化剤がケチミンまたはアルジミン形態で提供される程度まで、これらの反応は、そのアミンおよびアセトアセテート反応が水(これは、このケチミンまたはアルジミン硬化剤のさらなるアンブロックを引き起こすのに使用され、さらなるアセトアセテート反応に有用である)を生成するという意味で、(このアミン反応性成分がアセトアセテート官能性成分を含む場合において)、自己触媒性である。この自己触媒効果は、この反応を駆動するように作用して、このアミン/アセトアセテート反応に固有の組成物の低い硬化速度に寄与する。
【0083】
このアミンとアセトアセテート官能性成分および/またはアクリレート官能性成分との間の反応は、このアミン/エポキシ反応よりも速いので、本発明の組成物は、従来のエポキシ−ポリシロキサン組成物と比較したとき、著しく速い乾燥時間および硬化時間を示す。
【0084】
1実施態様では、約70パーセントの相対湿度および約25℃の室温であると仮定して、一旦、これらの2つの成分が混ぜ合わされると、5分間程度の短い時間で、ダストフリー(dust free)所望の塗膜が形成でき、10分間程度の短い時間で、タックフリー(tack free)所望の塗膜が形成でき、45分間程度の短い時間で、プリントフリー(print free)塗膜が形成できる。本発明の組成物に対する特定の硬化時間は、選択する成分の種類、使用する成分の量、硬化温度および湿度条件、ならびに硬化膜の所望の最終特性に依存して、変われ得ることが理解できるはずである。
【0085】
いずれにせよ、これらの硬化時間は、従来のシロキサン塗装組成物、例えば、エポキシ−ポリシロキサン組成物(これらは、約1時間でダストフリー塗膜が得られ、約1〜1/2時間でタックフリー塗膜が得られ、そして約3〜1/2時間でプリントフリー塗膜が得られることが知られている)と比較したとき、著しく短くなる。本発明により実現された硬化時間の短縮は、特定の基板を塗装する作業を完了するのに必要な時間量を大幅に短縮し、それにより、この基板が休止中である時間を短くする。
【0086】
本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を形成するのに使用される組み合わせ成分は、好ましくは、その構成化学成分の好ましくない蒸発および/または加水分解ならびに縮合を防止または抑制するために、湿気に耐える容器内で提供され、それにより、この混合物の寿命が長くなる。密封された金属製の缶が適切である。
【0087】
本発明の組成物は、天候、衝撃、および腐食および/または薬品への暴露から保護するために、所望の基板表面に塗布できる。本発明の組成物を使用して処理できる基板の例には、木材、プラスチック、コンクリート、ガラス質表面、および金属表面が挙げられる。本発明の組成物は、基板の表面上に直接的に堆積された上塗りとして、あるいは所望の目的を達成するために基板表面に堆積された先のまたは他の下塗り(例えば、無機または有機プライマー物質)の上に堆積された上塗りとして、いずれかとして、有用である。
【0088】
本発明の組成物は、従来の技術(例えば、噴霧、刷毛塗りなど)により、処理された表面に塗布でき、通常、約50〜250マイクロメートル、あるいは、いくつかの実施態様では、約1.2ミリメートルまでの厚さの塗膜で、塗布される。もし必要なら、保護する表面には、複数の層が塗布できる。例えば、家具工業において、木材基板と使用するには、約75〜約125マイクロメートルの好ましい乾燥膜厚は、下にある表面に対する所望程度の保護を与える。
【0089】
本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、広範囲の温度条件にわたって、例えば、塗布した組成物を焼き付け条件にかけるとき、高温条件下にて、また、例えば、塗布した組成物を、周囲の環境の温度に依存して変わり得る(例えば、これは、5〜50℃で変われ得る)温度条件にかけるとき、周囲温度で、所望の加速された乾燥時間および硬化時間を与えるように調合できる。
【0090】
本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、以下の例証的な実施例を参照して、さらによく理解できる。
【実施例】
【0091】
(実施例No.1 高速硬化性アクリルエポキシ変性シロキサン組成物)
以下のプロセスに従って、第一成分または「A」部(これは、この特定の高速硬化性変性シロキサン組成物を製造するのに使用される)を調製した。第一工程は、少量の付加物質(これは、さらに別の成分との混ぜ合わせのための相溶化媒体として、有用であることが証明されている)の形成を包含する。以下の成分を混ぜ合わせることにより、この相溶化媒体を形成する;約3.34グラム(g)のキシレン、1.28gのn−ブタノール、1.73gのシラン(QP8−5314)、0.85gのアミノシラン(A1110)、0.056gのアセトアセテート官能性オリゴマー(K−Flex XM7301)、0.3gのアセトアセテート官能性アクリル重合体(Setalux 7202 XX50)、および1.27gのエポキシ官能性アクリル樹脂(Setalux 8503 SS60)。これらの物質は、室温で、約24時間にわたって、平衡のまま放置した。
【0092】
この期間中にて、アミノシラン成分のアミノ官能性は、アセトアセテート官能性成分のアセトアセテート官能基およびエポキシ官能性成分のエポキシ官能性の両方と反応して、エナミンを形成し、その間、水を放出し、この水は、シランおよびアミノシラン成分のアルコキシ官能性を加水分解するように作用して、Si−O−Si連鎖を生成するのを助け、これらの連鎖は、エナミン/エポキシシロキサン物質を形成するように作用する。
【0093】
次いで、以下の成分の混合物から、ティントベースを調製する;約5.67gのエポキシ樹脂(Epon−4080E)、0.44gのメトキシプロパノール、17.4gのTiO白色顔料、および2.76gの湿潤および分散添加剤、表面張力調節剤および光安定化剤。
【0094】
この相溶化媒体およびティントベースを以下の成分と混ぜ合わせて、第一成分または「A」部を完成する;約12gのアルコキシ官能性シリコーン中間体(DC−3074)、1.15gのアセトアセテート官能性オリゴマー(K−Flex XM7301)、7gのアセトアセテート官能性アクリル重合体(Setalux 7202 XX50)、26.27gのエポキシ官能性アクリル樹脂(Setalux 8503 SS60)、および0.25gの湿潤剤および分散添加剤。
【0095】
以下の成分を混ぜ合わせることにより、第二成分または「B」部(これは、この特定の高速硬化性変性シロキサン組成物を製造するために、使用される)を調製した;約5.8gのアミノシラン(A111O)、0.5gの有機金属触媒(ジブチルスズジラウレート)、8.6gのn−ブタノール、および3.6gのキシレン。
【0096】
この実施例の高速硬化性変性シロキサン組成物は、第一および第二成分の成分を混ぜ合わせて共に混合することにより、提供され、それにより、アクリルエポキシ変性シロキサン組成物が形成される。一旦、この組成物が提供されると、その中の成分は、硬化反応にかけられて、所望の保護膜被覆が形成される。これらの硬化反応中にて、第二成分中のアミノシランは、アセトアセテート官能性成分と反応して、アルコキシシラン官能性アクリルエナミンを形成し、第二成分中のアミノシランは、エポキシ官能性成分と反応して、アルコキシシラン官能性エポキシ樹脂を形成し、また、アルコキシシラン官能性アクリルエナミンおよびアルコキシシラン官能性エポキシ樹脂は、水分および有機金属触媒の存在下にて、加水分解および重縮合を介して、アルコキシ官能性シリコーン中間体と反応する。この実施例において、これらの反応は、周囲温度で起こる。
【0097】
これらの反応が完結すると、最終的に硬化した保護膜が生成され、これは、完全に架橋したアクリルエナミンポリシロキサン化学構造を有する。得られた化学構造は、一部には、ヒドロキシル基(これは、エポキシ基の開環から生じる)とシラノール基(これは、存在しているか、またはシラン含有および/またはシリコーン中間体成分で形成される)との反応により、提供されるので、これらのエポキシド基は、得られた化学構造には、技術的には存在していないものの、当業者は、代替的に、得られた化学構造を完全に架橋したアクリルエポキシエナミンポリシロキサンと呼び得ることが理解できるはずである。
【0098】
この実施例の第一および第二成分を一緒に混ぜ合わせることにより提供された組成物は、約420g/l(薄めた)のVOC、約38パーセントのケイ素(全樹脂固形分に基づいて)、および50容量パーセントの固形分(塗布のために混合して薄めたとき)を有していた。この例の調合物の乾燥時間、硬度および耐薬品性の特性は、実施例の最後にある表で提示する。
【0099】
(実施例No.2 高速硬化性アクリルエポキシ変性シロキサン組成物)
以下の成分を一緒に混ぜ合わせることにより、第一成分または「A」部(これは、この特定の高速硬化性変性シロキサン組成物を製造するのに使用される)を調製した;約24.24gのTiO、13.66gのアルコキシ官能性シリコーン中間体(DC−3074)、1gのシラン(QP8−5314)、1gの水分スカベンジャー(オルトギ酸トリエチル)、2.73gの湿潤および分散添加剤ならびに表面張力調節剤、5.71gのアセトアセテート官能性アクリル重合体(ACR441XD(C))、31.6gのエポキシ官能性アクリル樹脂(ACR531XD)、1.5gのアセトアセテート官能性オリゴマー(BEPD)、0.5gの有機金属触媒(ジブチルスズジラウレート)、6.23gのn−ブタノール、およひ6.23gのキシレン。
【0100】
第二成分または「B」部(これは、この特定の高速硬化性変性シロキサン組成物を製造するのに使用される)は、約5.6gのアミノシラン(A1110)を含有していた。
【0101】
この実施例の高速硬化性変性シロキサン組成物は、第一および第二成分の成分を混ぜ合わせて共に混合することにより、提供され、それにより、アクリルエポキシ変性シロキサン組成物が形成される。一旦、この組成物が提供されると、その中の成分は、硬化反応にかけられて、所望の保護膜被覆が形成される。これらの硬化反応中にて、第二成分中のアミノシランは、アセトアセテート官能性成分と反応して、アルコキシシラン官能性アクリルエナミンを形成し、第二成分中のアミノシランは、エポキシ官能性成分と反応して、アルコキシシラン官能性エポキシ樹脂を形成し、また、アルコキシシラン官能性アクリルエナミンおよびアルコキシシラン官能性エポキシ樹脂は、水分および有機金属触媒の存在下にて、加水分解および重縮合を介して、アルコキシ官能性シリコーン中間体と反応する。この実施例において、これらの反応は、周囲温度で起こる。
【0102】
これらの反応が完結すると、最終的に硬化した保護膜が生成され、これは、完全に架橋したアクリルエナミンポリシロキサン化学構造を有する。得られた化学構造は、一部には、ヒドロキシル基(これは、エポキシ基の開環から生じる)とシラノール基(これは、存在しているか、またはシラン含有および/またはシリコーン中間体成分で形成される)との反応により、提供されるので、これらのエポキシド基は、得られた化学構造には、技術的には存在していないものの、当業者は、代替的に、得られた化学構造を完全に架橋したアクリルエポキシエナミンポリシロキサンと呼び得ることが理解できるはずである。
【0103】
この特定の調合物の特徴は、化学的に非相溶性であるかおよび/または互いに異なる反応速度を有する化学成分の意図的な選択および使用にある。1実施態様では、選択した化学成分は、アセトアセテート官能性成分およびエポキシ官能性成分であり得る。非相溶性および/または異なる反応速度というような特性を有する成分の使用は、低い光沢度を有する硬化膜被覆を提供する目的のために望ましいことが発見された。
【0104】
この特定の実施例において、所望の低い光沢効果を生じるのに使用される非相溶性化学成分は、アセトアセテート官能性アクリル重合体(ACR441XD(C))およびエポキシ官能性アクリル樹脂(ACR531XD)であり、ここで、このアセトアセテート官能性アクリル重合体は、エポキシ官能性アクリル樹脂よりも速いアミン硬化剤との反応速度を示す。これらの2種の成分の化学的非相溶性および/または異なる反応速度は、以下の様式で、低い光沢度を有する硬化膜被覆を提供するように作用すると考えられる。この被覆の表面が硬化されるにつれて、2種の競合している反応が起こりつつある。速い硬化促進/アミン反応は、下にある表面が依然として未硬化または軟らかいとき、またはこの塗膜を縮めるか表面上で共に引っ張る。これにより、皺または微細皺効果(これは、顕微鏡で見える)を生じ、そして低光沢塗膜または微細皺の基礎を与える。あるいは、このような低光沢効果は、アミン反応速度を有する異なるアミン反応性成分の選択および使用により(例えば、アセトアセテート官能性成分およびアクリレート官能性成分の混合物を使用することにより)、生じ得る。
【0105】
この実施例の第一および第二成分を一緒に混ぜ合わせることにより調製された調合物は、約386g/l(薄めた)のVOC、約30パーセントのケイ素(全樹脂固形分に基づいて)、および52容量パーセントの固形分(塗布のために混合して薄めたとき)を有していた。この例の調合物の乾燥時間、硬度および耐薬品性の特性は、実施例の最後にある表で提示する。
【0106】
(実施例No.3 高速硬化性アクリルエポキシ変性シロキサン組成物)
以下の成分を混ぜ合わせることにより、第一成分または「A」部(これは、この特定の高速硬化性変性シロキサン組成物を製造するのに使用される)を調製した;約27.34gのTiO、15.4gのアルコキシ官能性シリコーン中間体(DC−3074)、1gのシラン(QP8−5314)、1gの水分スカベンジャー(オルトギ酸トリエチル)、3gの湿潤および分散添加剤ならびに表面張力調節剤、13gのアセトアセテート官能性アクリル重合体(Croda CSA582)、12.9gのアセトアセテート官能性オリゴマー(BEPD)、および1gの有機金属触媒(ジブチルスズジラウレート)。
【0107】
以下の成分を混ぜ合わせることにより、第二成分または「B」部(これは、この特定の高速硬化性変性シロキサン組成物を製造するのに使用される)を調製した;約5.4gのエポキシ官能性シラン樹脂(A187)、6.1gの第二級アミン硬化剤(Ancamine 2457)、8.2gのアミノシラン(A1110)、および6.2gのアルコキシ官能性シリコーン中間体(DC−3074)。エポキシ官能性シラン樹脂(A187)を第二級アミン硬化剤(Ancamine 2457)で付加する(例えば、アミン官能性およびアルコキシ官能性の両方を有する上述の星形重合体を形成する)目的のために、この第二成分中の成分を、室温で、約24時間撹拌した。
【0108】
この実施例の高速硬化性変性シロキサン組成物は、第一および第二成分の成分を混ぜ合わせて共に混合することにより、提供され、それにより、アクリルエポキシ変性シロキサン組成物が形成される。一旦、この組成物が提供されると、その中の成分は、硬化反応にかけられて、所望の保護膜被覆が形成される。これらの硬化反応中にて、第二成分のアミノシラン(A1110)およびアミン官能性星形重合体は、第一成分中のアセトアセテート官能性成分(Croda CSA582およびBEPD)と反応して、アルコキシシラン官能性アクリルエナミンを生成する。このアルコキシシラン官能性アクリルエナミン、星形重合体およびアルコキシ官能性シリコーン中間体は、水分および有機金属触媒の存在下にて、加水分解および重縮合反応を受ける。この実施例において、これらの反応は、周囲温度で起こる。
【0109】
これらの反応が完結すると、最終的に硬化した保護膜が生成され、これは、完全に架橋したアクリルエナミンポリシロキサン化学構造を有する。得られた化学構造は、一部には、ヒドロキシル基(これは、エポキシ基の開環から生じる)とシラノール基(これは、存在しているか、またはシラン含有および/またはシリコーン中間体成分で形成される)との反応により、提供されるので、これらのエポキシド基は、得られた化学構造には、技術的には存在していないものの、当業者は、代替的に、得られた化学構造を完全に架橋したアクリルエポキシエナミンポリシロキサンと呼び得ることが理解できるはずである。
【0110】
この実施例の第一および第二成分を一緒に混ぜ合わせることにより調製された調合物は、実施例1および2の調合物と比較したとき、低いVOCを有していた;具体的には、約176g/lのVOCを有していた。この調合物は、約53パーセントのケイ素(全樹脂固形分に基づいて)、および77容量パーセントの固形分(塗布のために混合して薄めたとき)を有していた。この例の調合物の乾燥時間、硬度、耐候性、柔軟性、耐衝撃性および耐薬品性の特性は、実施例の最後にある表で提示する。
【0111】
(実施例No.4 高速硬化性アクリルエポキシ変性シロキサン組成物)
以下の成分を混ぜ合わせることにより、第一成分または「A」部(これは、この特定の高速硬化性変性シロキサン組成物を製造するのに使用される)を調製した;約27.8gのTiO、15gのアルコキシ官能性シリコーン中間体(DC−3074)、1gのシラン(QP8−5314)、1gの水分スカベンジャー(オルトギ酸トリエチル)、3gの湿潤および分散添加剤ならびに表面張力調節剤、12.6gのアセトアセテート官能性アクリル重合体(Croda CSA582)、11.8gのアセトアセテート官能性オリゴマー(BEPD)、および1gの有機金属触媒(ジブチルスズジラウレート)。
【0112】
以下の成分を混ぜ合わせることにより、第二成分または「B」部(これは、この特定の高速硬化性変性シロキサン組成物を製造するのに使用される)を調製した;約5.3gのエポキシ官能性シラン樹脂(A187)、6gの第二級アミン硬化剤(Ancamine 2457)、10gのアミノシラン(A1120)、および6gのシリコーン中間体(DC−3074)。エポキシ官能性シラン樹脂(A187)を第二級アミン硬化剤(Ancamine 2457)で付加する(例えば、アミン官能性およびアルコキシ官能性の両方を有する上述の星形重合体を形成する)目的のために、この第二成分中の成分を、室温で、約24時間撹拌した。
【0113】
この実施例の高速硬化性変性シロキサン組成物は、第一および第二成分の成分を混ぜ合わせて共に混合することにより、提供され、それにより、アクリルエポキシ変性シロキサン組成物が形成される。一旦、この組成物が提供されると、その中の成分は、硬化反応にかけられて、所望の保護膜被覆が形成される。これらの硬化反応中にて、アミノシラン(A1120)およびアミン官能性星形重合体は、第一成分中のアセトアセテート官能性成分(Croda CSA582およびBEPD)と反応して、アルコキシシラン官能性アクリルエナミンを生成する。このアルコキシシラン官能性アクリルエナミン、星形重合体およびアルコキシ官能性シリコーン中間体は、水分および有機金属触媒の存在下にて、加水分解および重縮合反応を受ける。この実施例において、これらの反応は、周囲温度で起こる。
【0114】
これらの反応が完結すると、最終的に硬化した保護膜が生成され、これは、完全に架橋したアクリルエナミンポリシロキサン化学構造を有する。得られた化学構造は、一部には、ヒドロキシル基(これは、エポキシ基の開環から生じる)とシラノール基(これは、存在しているか、またはシラン含有および/またはシリコーン中間体成分で形成される)との反応により、提供されるので、これらのエポキシド基は、得られた化学構造には、技術的には存在していないものの、当業者は、代替的に、得られた化学構造を完全に架橋したアクリルエポキシエナミンポリシロキサンと呼び得ることが理解できるはずである。
【0115】
この実施例の第一および第二成分を一緒に混ぜ合わせることにより調製された調合物は、実施例1および2の調合物と比較したとき、低いVOCを有していた;具体的には、約134g/lのVOCを有していた。この調合物は、約54パーセントのケイ素(全樹脂固形分に基づいて)、および77容量パーセントの固形分(塗布のために混合して薄めたとき)を有していた。この例の調合物の光沢および色保持、柔軟性、および乾燥時間の特性は、実施例の最後にある表で提示する。
【0116】
(実施例No.5 高速硬化性アクリルエポキシ変性シロキサン組成物)
以下の成分を混ぜ合わせることにより、第一成分または「A」部(これは、この特定の高速硬化性変性シロキサン組成物を製造するのに使用される)を調製した;約24.5gのTiO、13.8gのシリコーン中間体(DC−3074)、1gのシラン(QP8−5314)、1gの水分スカベンジャー(オルトギ酸トリエチル)、2.6gの湿潤および分散添加剤ならびに表面張力調節剤、20.7gのアセトアセテート官能性アクリル重合体(GPAcryl 613)、14gのエポキシ樹脂(Epon−4080E)、および10.9gのアルコキシ官能性シリコーン中間体(DC−3074)。
【0117】
以下の成分を混ぜ合わせることにより、第二成分または「B」部(これは、この特定の高速硬化性変性シロキサン組成物を製造するのに使用される)を調製した;約3.5gのアミノシラン(A1110)、2.2gのアミノシラン(A1120)、4.5gの第一級アミン(Jeffamine D−400)および1gの有機金属触媒(ジブチルスズジラウレート)。
【0118】
この実施例の高速硬化性変性シロキサン組成物は、第一および第二成分の成分を混ぜ合わせて共に混合することにより、提供され、それにより、アクリルエポキシ変性シロキサン組成物が形成される。一旦、この組成物が提供されると、その中の成分は、硬化反応にかけられて、所望の保護膜被覆が形成される。これらの硬化反応中にて、アミノシラン(A1110および1120)および第一級アミン(Jeffamine D−400)は、アセトアセテート官能性成分と反応して、アルコキシシラン官能性アクリルエナミンを形成し、そしてエポキシ樹脂と反応して、アルコキシシラン官能性エポキシ樹脂を生成する。このアルコキシシラン官能性アクリルエナミン、アルコキシシラン官能性エポキシ樹脂、およびアルコキシ官能性シリコーン中間体は、水分および有機金属触媒の存在下にて、加水分解および重縮合反応を受ける。この実施例において、これらの反応は、周囲温度で起こる。
【0119】
これらの反応が完結すると、最終的に硬化した保護膜が生成され、これは、完全に架橋したアクリルエナミンポリシロキサン化学構造を有する。得られた化学構造は、一部には、ヒドロキシル基(これは、エポキシ基の開環から生じる)とシラノール基(これは、存在しているか、またはシラン含有および/またはシリコーン中間体成分で形成される)との反応により、提供されるので、これらのエポキシド基は、得られた化学構造には、技術的には存在していないものの、当業者は、代替的に、得られた化学構造を完全に架橋したアクリルエポキシエナミンポリシロキサンと呼び得ることが理解できるはずである。
【0120】
この実施例の第一および第二成分を一緒に混ぜ合わせることにより調製された調合物は、実施例1および2の調合物と比較したとき、低いVOCを有していた;具体的には、約120g/lのVOCを有していた。この調合物は、約43パーセントのケイ素(全樹脂固形分に基づいて)、および83容量パーセントの固形分(塗布のために混合して薄めたとき)を有していた。この例の調合物の乾燥時間、硬度、耐候性、柔軟性、耐衝撃性および耐薬品性の特性は、実施例の最後にある表で提示する。
【0121】
(実施例No.6 高速硬化性アクリルエポキシ変性シロキサン組成物)
この実施例は、一般に、その調製においてシラン(QP8−5314)を使用しなかったこと以外は、実施例3と類似している。従って、以下の成分を混ぜ合わせることにより、第一成分または「A」部(これは、この特定の高速硬化性変性シロキサン組成物を製造するのに使用される)を調製した;約27.34gのTiO、15.4gのアルコキシ官能性シリコーン中間体(DC−3074)、1gの水分スカベンジャー(オルトギ酸トリエチル)、3gの湿潤および分散添加剤ならびに表面張力調節剤、13gのアセトアセテート官能性アクリル重合体(Croda CSA582)、12.9gのアセトアセテート官能性オリゴマー(BEPD)、および1gの有機金属触媒(ジブチルスズジラウレート)。
【0122】
以下の成分を混ぜ合わせることにより、第二成分または「B」部(これは、この特定の高速硬化性変性シロキサン組成物を製造するのに使用される)を調製した;約5.4gのエポキシ官能性シラン樹脂(A187)、6.1gの第二級アミン硬化剤(Ancamine 2457)、8.2gのアミノシラン(A1110)、および6.2gのアルコキシ官能性シリコーン中間体(DC−3074)。エポキシ官能性シラン樹脂(A187)を第二級アミン硬化剤(Ancamine 2457)で付加する(例えば、アミン官能性およびアルコキシ官能性の両方を有する上述の星形重合体を形成する)目的のために、この第二成分中の成分を、室温で、約24時間撹拌した。
【0123】
この実施例の高速硬化性変性シロキサン組成物は、第一および第二成分の成分を混ぜ合わせて共に混合することにより、提供され、それにより、アクリルエポキシ変性シロキサン組成物が形成される。一旦、この組成物が提供されると、その中の成分は、硬化反応にかけられて、所望の保護膜被覆が形成される。これらの硬化反応中にて、アミノシラン(A1110)および星形重合体は、第一成分中のアセトアセテート官能性成分(Croda CSA582およびBEPD)と反応して、アルコキシシラン官能性アクリルエナミンを生成する。このアルコキシシラン官能性アクリルエナミン、星形重合体およびアルコキシ官能性シリコーン中間体は、水分および有機金属触媒の存在下にて、加水分解および重縮合反応を受ける。この実施例において、これらの反応は、周囲温度で起こる。
【0124】
これらの反応が完結すると、最終的に硬化した保護膜が生成され、これは、完全に架橋したアクリルエナミンポリシロキサン化学構造を有する。得られた化学構造は、一部には、ヒドロキシル基(これは、エポキシ基の開環から生じる)とシラノール基(これは、存在しているか、またはシラン含有および/またはシリコーン中間体成分で形成される)との反応により、提供されるので、これらのエポキシド基は、得られた化学構造には、技術的には存在していないものの、当業者は、代替的に、得られた化学構造を完全に架橋したアクリルエポキシエナミンポリシロキサンと呼び得ることが理解できるはずである。
【0125】
この実施例の第一および第二成分を一緒に混ぜ合わせることにより調製された調合物は、実施例1および2の調合物と比較したとき、低いVOCを有していた;具体的には、約176g/lのVOCを有していた。この調合物は、約53パーセントのケイ素(全樹脂固形分に基づいて)、および77容量パーセントの固形分(塗布のために混合して薄めたとき)を有していた。この例の調合物の乾燥時間、硬度、耐候性、柔軟性、耐衝撃性および耐薬品性の特性は、実施例3についての実施例の最後にある表で提示されたものと実質的に同じである。
【0126】
(実施例No.7 高速硬化性アクリレートエポキシ変性シロキサン組成物)
1種またはそれ以上のアセトアセテート官能性成分を使用する先の実施例の調合物とは異なり、この実施例の調合物は、アクリレート官能性成分を使用して調製する。以下の成分を混ぜ合わせることにより、第一成分または「A」部(これは、この特定の高速硬化性変性シロキサン組成物を製造するのに使用される)を調製した;約398gのTiO、398gのアルコキシ官能性シリコーン中間体(SY−231)、5gの界面活性剤(Rhodafac RE−610界面活性剤)、5.2gのシリコーン消泡剤(BYK 080)、194gの珪灰石(NYAD 1250)、1.95gのP−第三級ブチルエーテル溶媒(Arcosolv PTB)、4.5gのポリアミドチキサトロープ(Disparlon 600)、5.5gのヒンダードアミン光安定化剤(Tinuvin 292)、5.5gのヒンダードアミン光安定化剤(Sanduvor 3056)、135.4gのエポキシ樹脂(Epon 1510)、165gのアクリレート官能性オリゴマー(Photomer 4006)、11gの流動/レベリング添加剤(BYK 361)、および8gの有機金属触媒(Metacure T−1/Cotin 227−ジブチルスズジアセテート)。これらの成分を均一になるまで混合した。
【0127】
100グラムのA部あたり、15.1gのアミノシラン(A1102)および15gのアルコキシ官能性シリコーン中間体(DC1−2530)を混ぜ合わせることにより、第二成分または「B」部(これは、この特定の高速硬化性変性シロキサン組成物を製造するのに使用される)を調製した。
【0128】
この実施例の高速硬化性変性シロキサン組成物は、第一および第二成分の成分を混ぜ合わせて共に混合することにより、提供され、それにより、アクリレートエポキシ変性シロキサン組成物が形成される。一旦、この組成物が提供されると、その中の成分は、硬化反応にかけられて、所望の保護膜被覆が形成される。これらの硬化反応中にて、アミノシラン(A1102)は、第一成分中のアクリレート官能性成分(Photomer 4006)と反応して、アルコキシシラン官能性アクリレートオリゴマーを生成し、また、エポキシ樹脂と反応して、アルコキシシラン官能性エポキシ樹脂を形成する。このアルコキシシラン官能性アクリレートオリゴマー、アルコキシシラン官能性エポキシ樹脂、およびアルコキシ官能性シリコーン中間体は、水分および有機金属触媒の存在下にて、加水分解および重縮合反応を受ける。この実施例において、これらの反応は、周囲温度で起こる。
【0129】
これらの反応が完結すると、最終的に硬化した保護膜が生成され、これは、完全に架橋したアクリレートポリシロキサン化学構造を有する。得られた化学構造は、一部には、ヒドロキシル基(これは、エポキシ基の開環から生じる)とシラノール基(これは、存在しているか、またはシラン含有および/またはシリコーン中間体成分で形成される)との反応により、提供されるので、これらのエポキシド基は、得られた化学構造には、技術的には存在していないものの、当業者は、代替的に、得られた化学構造を完全に架橋したアクリレートエポキシポリシロキサンと呼び得ることが理解できるはずである。
【0130】
この特定の調合物は、優れた耐候性および耐食性を備えたハイビルド(high−build)架橋アクリレートエポキシポリシロキサン被覆である。この調合物から形成された被覆を、サンドブラストをかけた鋼鉄製パネル上に直接塗布したところ、約6ミルの乾燥膜厚を有していた。この乾燥塗膜は、60度で82の初期光沢、QUV−B加速風化作用に10週間晒した後の50パーセントの光沢保持を有し、そしてASTM B−117塩霧(salt fog)に2000時間晒した後にも、膨れまたは錆の徴候を示さなかった。
【0131】
(実施例No.8 高速硬化性アクリレートエポキシ変性シロキサン組成物)
この実施例の調合物は、アクリレート官能性成分を使用して調製するという点で、実施例7と類似している。以下の成分を混ぜ合わせることにより、第一成分または「A」部(これは、この特定の高速硬化性変性シロキサン組成物を製造するのに使用される)を調製した;約398gのTiO、398gのアルコキシ官能性シリコーン中間体(SY−231)、5gの界面活性剤(Rhodafac RE−610 界面活性剤)、5.2gのシリコーン消泡剤(BYK 080)、194gの珪灰石(NYAD 1250)、1.95gのP−第三級ブチルエーテル溶媒(Axcosolv PTB)、4.5gのポリアミドチキサトロープ(Disparlon 600)、5.5gのヒンダードアミン光安定化剤(Tinuvin 292)、5.5gのヒンダードアミン光安定化剤(Sanduvor 3056)、135.4gのエポキシ樹脂(Eponex 1510)、151gのアクリレート官能性オリゴマー(Photomer 4127)、11gの流動/レベリング添加剤(BYK 361)、および8gの有機金属触媒(MetacureT−l/Cotin 227)。これらの成分を均一になるまで混合した。
【0132】
100グラムのA部あたり、8.4gのアミノシラン(Z−6020)を混ぜ合わせることにより、第二成分または「B」部(これは、この特定の高速硬化性変性シロキサン組成物を製造するのに使用される)を調製した。
【0133】
この実施例の高速硬化性変性シロキサン組成物は、第一および第二成分の成分を混ぜ合わせて共に混合することにより、提供され、それにより、アクリレートエポキシ変性シロキサン組成物が形成される。一旦、この組成物が提供されると、その中の成分は、硬化反応にかけられて、所望の保護膜被覆が形成される。これらの硬化反応中にて、アミノシラン(Z−6020)は、第一成分中のアクリレート官能性成分(Photomer 4127)と反応して、アルコキシシラン官能性アクリル樹脂を生成し、また、エポキシ樹脂と反応して、アルコキシシラン官能性エポキシ樹脂を形成する。このアルコキシシラン官能性アクリレートオリゴマー、アルコキシシラン官能性エポキシ樹脂、およびアルコキシ官能性シリコーン中間体は、水分および有機金属触媒の存在下にて、加水分解および重縮合反応を受ける。この実施例において、これらの反応は、周囲温度で起こる。
【0134】
これらの反応が完結すると、最終的に硬化した保護膜が生成され、これは、完全に架橋したアクリレートポリシロキサン化学構造を有する。得られた化学構造は、一部には、ヒドロキシル基(これは、エポキシ基の開環から生じる)とシラノール基(これは、存在しているか、またはシラン含有および/またはシリコーン中間体成分で形成される)との反応により、提供されるので、これらのエポキシド基は、得られた化学構造には、技術的には存在していないものの、当業者は、代替的に、得られた化学構造を完全に架橋したアクリレートエポキシポリシロキサンと呼び得ることが理解できるはずである。
【0135】
この特定の調合物は、優れた耐候性および耐食性を備えたハイビルド架橋アクリレートエポキシポリシロキサン被覆である。この調合物から形成された被覆を、サンドブラストをかけた鋼鉄製パネル上に直接塗布したところ、約6ミルの乾燥膜厚を有していた。この乾燥塗膜は、60度で86の初期光沢、QUV−B加速風化作用に10週間晒した後の81パーセントの光沢保持を有し、そしてASTM B−117塩霧(salt fog)に2000時間晒した後にも、膨れまたは錆の徴候がなく、優れた耐食性を示した。
【0136】
(実施例No.9 高速硬化性アクリルエポキシ変性シロキサン組成物)
以下の成分を混ぜ合わせることにより、第一成分または「A」部(これは、この特定の高速硬化性変性シロキサン組成物を製造するのに使用される)を調製する;約27.34gのTiO、15.4gのアルコキシ官能性シリコーン中間体(DC−3074)、1gのシラン(QP8−5314)、1gの水分スカベンジャー(オルトギ酸トリエチル)、3gの湿潤および分散添加剤ならびに表面張力調節剤、6.5gのアセトアセテート官能性アクリル重合体(Croda CSA582)、6.5gのアセトアセテート官能性オリゴマー(BEPD)、13gのアクリレート官能性オリゴマー(Photomer 4006)、および1gの有機金属触媒(ジブチルスズジラウレート)。
【0137】
以下の成分を混ぜ合わせることにより、第二成分または「B」部(これは、この特定の高速硬化性変性シロキサン組成物を製造するのに使用される)を調製する;約5.4gのエポキシ官能性シラン樹脂(A187)、および6.1gの第二級アミン硬化剤(Ancamine 2457)。エポキシ官能性シラン樹脂(A187)を第二級アミン硬化剤(Ancamine 2457)で付加する(例えば、アミン官能性およびアルコキシ官能性の両方を有する上述の星形重合体を形成する)目的のために、この第二成分中の成分を、室温で、約24時間撹拌する。次いで、これらの混ぜ合わせ付加した成分に、約8.2gのアミノシラン(A1110)および6.2gのアルコキシ官能性シリコーン中間体(DC−3074)を加える。
【0138】
この実施例の高速硬化性変性シロキサン組成物は、第一および第二成分の成分を混ぜ合わせて共に混合することにより、提供され、それにより、アクリルエポキシ変性シロキサン組成物が形成される。一旦、この組成物が提供されると、その中の成分は、硬化反応にかけられて、所望の保護膜被覆が形成される。これらの硬化反応中にて、アミノシラン(A1110)および星形重合体は、第一成分中のアセトアセテート官能性成分(Croda CSA582およびBEPD)およびアクリレート官能性オリゴマー(Photomer 4006)と反応して、アルコキシシラン官能性アクリルエナミンおよびアルコキシシラン官能性アクリル樹脂を生成する。このアルコキシシラン官能性アクリルエナミン、星形重合体およびアルコキシ官能性シリコーン中間体は、水分および有機金属触媒の存在下にて、加水分解および重縮合反応を受ける。この実施例において、これらの反応は、周囲温度で起こる。
【0139】
これらの反応が完結すると、最終的に硬化した保護膜が生成され、これは、完全に架橋したアクリルエナミンポリシロキサン化学構造を有する。得られた化学構造は、一部には、ヒドロキシル基(これは、エポキシ基の開環から生じる)とシラノール基(これは、存在しているか、またはシラン含有および/またはシリコーン中間体成分で形成される)との反応により、提供されるので、これらのエポキシド基は、得られた化学構造には、技術的には存在していないものの、当業者は、代替的に、得られた化学構造を完全に架橋したアクリルエポキシエナミンポリシロキサンと呼び得ることが理解できるはずである。
【0140】
この実施例の第一および第二成分を一緒に混ぜ合わせることにより調製された調合物は、実施例1および2の調合物と比較したとき、低いVOCを有し、そして実施例No.3のものに匹敵する乾燥時間、硬度、耐候性、柔軟性、耐衝撃性および耐薬品性の特性を有する。さらに、この発明実施例の組成物から形成された最終硬化膜で得られた化学構造は、アセトアセテート官能性成分だけを使用する(すなわち、アセトアセテート成分およびアクリレート官能性成分の混合物を含まない)ことにより提供された上述の実施例組成物よりも、エナミン官能性の程度が低かった。
【0141】
(実施例No.10 高速硬化性アクリルウレタンエポキシ変性シロキサン組成物)
以下の成分を混ぜ合わせることにより、第一成分または「A」部(これは、この特定の高速硬化性変性シロキサン組成物を製造するのに使用される)を調製する;約25.95gのTiO、21.1gのアルコキシ官能性シリコーン中間体(DC−3074)、1gのシラン(QP8−5314)、1gの水分スカベンジャー(オルトギ酸トリエチル)、0.4gのシリコーン消泡剤(BYK 080)、0.06gの分散湿潤剤(BYK 108)、0.4gの分散湿潤剤(BYK 163)、1.5gのヒンダードアミン光安定化剤(Tinuvin 292)、11gのアセトアセテート官能性ウレタン重合体(ウレタンジオールアセチアセチル化され、920の当量重量を有する)、14.78gの非芳香族エポキシ樹脂(Epon 4080E;これは、約224の当量重量を有する)、11gのアセトアセテート官能性アクリル重合体(GPAcryl 613;これは、約920の当量重量を有する)。
【0142】
以下の成分を混ぜ合わせることにより、第二成分または「B」部(これは、この特定の高速硬化性変性シロキサン組成物を製造するのに使用される)を調製する;約2.5gのエポキシ官能性シラン樹脂(A187)、および2.8gの第二級アミン硬化剤(Ancamine 2457)。エポキシ官能性シラン樹脂(A187)を第二級アミン硬化剤(Ancamine 2457)で付加する(例えば、アミン官能性およびアルコキシ官能性の両方を有する上述の星形重合体を形成する)目的のために、この第二成分中の成分を、室温で、約24時間撹拌する。これらの混ぜ合わせ付加した成分に、約3.7gのアミノシラン(A1110)を加える。この実施例の高速硬化性変性シロキサン組成物は、第一および第二成分の成分を混ぜ合わせて共に混合することにより、提供され、それにより、アクリルウレタンエポキシ変性シロキサン組成物が形成される。一旦、この組成物が提供されると、その中の成分は、硬化反応にかけられて、所望の保護膜被覆が形成される。これらの硬化反応中にて、アミノシラン(A1110)および星形重合体は、第一成分中のアセトアセテート官能性ウレタン成分と反応して、アルコキシシラン官能性ウレタンエナミンを生成する。このアルコキシシラン官能性ウレタンエナミン、星形重合体およびアルコキシ官能性シリコーン中間体は、水分および有機金属触媒の存在下にて、加水分解および重縮合反応を受ける。この実施例において、これらの反応は、周囲温度で起こる。
【0143】
これらの反応が完結すると、最終的に硬化した保護膜が生成され、これは、完全に架橋したアクリルウレタンエナミンポリシロキサン化学構造を有する。得られた化学構造は、一部には、ヒドロキシル基(これは、エポキシ基の開環から生じる)とシラノール基(これは、存在しているか、またはシラン含有および/またはシリコーン中間体成分で形成される)との反応により、提供されるので、これらのエポキシド基は、得られた化学構造には、技術的には存在していないものの、当業者は、代替的に、得られた化学構造を完全に架橋したアクリルウレタンエポキシエナミンポリシロキサンと呼び得ることが理解できるはずである。
【0144】
この実施例の第一および第二成分を一緒に混ぜ合わせることにより調製された調合物は、実施例1および2の調合物と比較したとき、低いVOCを与えつつ、ウレタンを利用して柔軟にし、そして実施例No.3のものに匹敵する乾燥時間、硬度、耐候性、柔軟性、耐衝撃性および耐薬品性の特性を有する。
【0145】
上で確認した実施例調合物の各々に対して2種の異なる成分を混ぜ合わせ共に混合することにより、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物を調製した。次いで、各実施例について混ぜ合わせた混合物を、従来の塗布方法により、所望の基板表面に塗布して、その上に保護膜被覆を提供した。具体的には、実施例1〜5については、得られた組成物を、噴霧技術で木材基板に塗布し、そして周囲温度条(約25℃および70%相対湿度)で硬化させた。本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、種々の異なる基板(例えば、金属、プラスチック、木材など)に保護膜被覆を提供するのに有用であり得ることが理解できるはずである。本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、家具工業において、木材基板上に保護膜被覆を提供するのに使用するように特によく適合されている。
【0146】
実施例1〜5に従って調製した高速硬化性変性シロキサン組成物を、複数部品装置を使用して、約80マイクロメートルの膜厚を有するトップコートとして、木材基板に塗布した。これらの実施例の組成物は、(これは、Pasadena,CaliforniaのAmeron International Inc.から市販されている)からなるプライマー被覆で予め処理した基板表面に塗布した。
【0147】
(乾燥時間データ)
実施例1〜5のそのように塗布した高速硬化性変性シロキサン組成物を乾燥時間について試験し、そして従来のエポキシ−ポリシロキサン樹脂組成物(Ameron International Inc.から市販されているPSX−700)の乾燥時間と比較して、以下の表No.1で提示する。
【0148】
(表No.1−乾燥時間の比較)
【0149】
【化6】

表No.1で提供された乾燥データから明らかなように、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、以下を示した:(a)公知のエポキシ−ポリシロキサンよりも少なくとも80パーセント、ある場合には、93パーセント速く乾燥するダクトフリー乾燥時間;(b)公知のエポキシ−ポリシロキサンよりも少なくとも80パーセント、ある場合には、92パーセント速く乾燥するタックフリー乾燥時間;および(c)公知のエポキシ−ポリシロキサンよりも少なくとも75パーセント、ある場合には、93パーセント速く乾燥するプリントフリー乾燥時間。本発明の組成物により得られた乾燥時間の向上は、従来のエポキシ−ポリシロキサン塗装組成物よりも相当な進歩であり、これにより、例えば、処理された基板がさらに加工する前または作業に入れる前に待つ必要がある時間量を短くすることにより、製造上および商業上において著しく有利となる。
【0150】
(硬度データ)
そのように塗布した高速硬化性変性シロキサン組成物を、硬度(スオード硬度を使用する)について試験し、そして従来のエポキシ−ポリシロキサン塗装組成物(PSX−700;これは、Ameron International Inc.から市販されている)の硬度と比較して、以下の表No.2で提示する。
【0151】
(表No.2−スオード硬度の比較)
【0152】
【化7】

表No.2で提供された硬度データから明らかなように、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、以下を示した:(a)公知のエポキシ−ポリシロキサンと比較したとき、少なくとも60パーセント、ある場合には、少なくとも80パーセントの初期硬度(0〜3日の期間内の初期硬度として測定した)の向上;および(b)公知のエポキシ−ポリシロキサンに匹敵する後期硬度(14日目以降で測定した)(公知のエポキシ−ポリシロキサンよりもある程度低い後期硬度を示した実施例Nos.1および2の調合物を除いて)。
【0153】
この硬度試験データは、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物が、従来のエポキシ−ポリシロキサン組成物を超える初期硬度を有し、また、(特定の処方に依存して)従来のエポキシ−ポリシロキサン組成物に匹敵する後期硬度を有する事実を立証している。本発明の組成物が初期硬度の向上を示すという事実は、本発明の調合物がこのような初期硬度を要求する保護被覆用途に特によく適しているという重要な特徴であり得る。
【0154】
(耐候性)
実施例Nos.3および4のそのように塗布した高速硬化性変性シロキサン組成物を、また、一定期間にわたる光沢を測定するとこにより、耐候性(QUV−B)について試験し、そして従来のエポキシ−ポリシロキサン組成物と比較した。0〜10週間に期間にわたる0〜100の光沢評点(60度光沢)を使用して、実施例Nos.3および4の組成物は、従来のエポキシ−ポリシロキサン組成物と極めて類似した光沢値を生じた(例えば、従来のエポキシ−ポリシロキサン組成物と±5パーセント以内の変化)。このデータは、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物が、従来のエポキシ−ポリシロキサン組成物(これらはまた、上述の硬化速度の著しい低下を生じる)に匹敵する耐候性を与えることができるとしいう事実を明らかにしている。
【0155】
(柔軟性)
実施例Nos.3および4のそのように塗布した高速硬化性変性シロキサン組成物を、また、柔軟性(伸長パーセントで測定される円錐心棒伸長度(conical mandrel elongation))につしいて試験し、そして従来のエポキシ−ポリシロキサン組成物と比較した。実施例Nos.3および4の組成物は、従来のエポキシ−ポリシロキサン組成物(PSX−700)の3Jと比較して、8J(実施例No.3)、6J(実施例No.4)のダイレクトパス評点(ジュール)を生じた。実施例No.5は、10Jより高いダイレクトパスおよび18Jより高いリバースパスを生じ、このことは、本発明の組成物により弾力性および柔軟性が向上したことを明らかにしている。このデータは、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物が、従来のエポキシ−ポリシロキサン組成物(これらはまた、上述の硬化速度の著しい低下を生じる)と比較したとき、柔軟性の特性を向上できるという事実を明らかにしている。
【0156】
(耐衝撃性)
実施例Nos.3および4のそのように塗布した高速硬化性変性シロキサン組成物を、また、(順方向および逆方向でのパス評点(ジュール)を測定することにより)耐衝撃性について試験し、そして従来のエポキシ−ポリシロキサン組成物と比較した。実施例Nos.3および4の組成物は、従来のエポキシ−ポリシロキサン組成物よりも167パーセント高いダイレクトパス評点(ジュール)および150パーセント高いリバースパス評点(ジュール)(実施例No.3)、ならびに従来のエポキシ−ポリシロキサン組成物よりも100パーセント高いダイレクトパス評点(ジュール)および117パーセント高いリバースパス評点(ジュール)(実施例No.4)を生じた。このデータは、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物が、従来のエポキシ−ポリシロキサン組成物(これらはまた、上述の硬化速度の著しい低下を生じる)と比較したとき、耐衝撃性を向上できることを明らかにしている。
【0157】
(耐薬品性)
これらの実施例のそのように塗布した高速硬化性変性シロキサン組成物を、耐薬品性(メチルエチルケトン−MEK耐性)について試験し、そして従来のエポキシ−ポリシロキサン組成物と比較した。実施例の組成物の各々は、従来のエポキシ−ポリシロキサン組成物と同じダブルラブ(double rubs)数(200より高い)を示した。実際、実施例組成物のいくつかは、従来のエポキシ−ポリシロキサン組成物の被覆年齢(例えば、3ヶ月)よりも短い被覆年齢(例えば、34日間)で、200より高いダブルラブ数を示した。従って、このデータは、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物が、従来のエポキシ−ポリシロキサン組成物(これらはまた、上述の硬化速度の著しい低下を生じる)に匹敵する程度の耐薬品性を与えることができることを明らかにしている。
【0158】
従って、本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物の重要な特徴は、従来のシロキサン樹脂塗装組成物(例えば、エポキシ−ポリシロキサン塗装組成物)と比較したとき、最終的な形成された塗膜被覆の耐候性、硬度、柔軟性、耐衝撃性および耐薬品性のような所望の性能を犠牲にすることになく、上で述べた硬化時間の短縮を可能にすることにある。
【0159】
本発明の高速硬化性変性シロキサン組成物は、それらの特定の好ましいバリエーションを参照して、かなり詳細に記述されているものの、他のバリエーションは、可能である。従って、添付の請求の範囲の精神および範囲は、本明細書中で記述した好ましいバリエーションには限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含有する、高速硬化性変性シロキサン組成物:
アルコキシ−またはシラノール官能性シリコーン中間体;
少なくとも1種のアミン反応性成分であって、該アミン反応性成分は、アセトアセテート官能性成分、アクリレート官能性成分、およびそれらの混合物からなる群から選択される、アミン反応性成分;
エポキシ官能性成分;
硬化剤であって、該硬化剤は、アミン、アミノシラン、ケチミン、アルジミンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、硬化剤;および
水。
【請求項2】
さらに、シランを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
さらに、有機金属触媒を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記シランが、以下の一般式を有する、請求項2に記載の組成物:
【化1】

ここで、R16、R17およびR18は、別個に、水素、ならびに6個までの炭素原子を含有するアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基およびヒドロキシアルコキシアルキル基からなる群から選択され、ここで、R19は、水素、ならびに6個までの炭素原子を有するアルキル基およびアリール基からなる群から選択され、そして「n」は、1〜5の範囲である、
組成物。
【請求項5】
相溶化組成物を含み、該相溶化組成物が、ある量のシラン、アセトアセテート官能性成分、エポキシ官能性成分、および硬化剤の組み合わせを付加することにより、形成される、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記アルコキシ−またはシラノール官能性シリコーン中間体が、以下の一般式を有する、請求項1に記載の組成物:
【化2】

ここで、各Rは、ヒドロキシ基、ならびに約6個までの炭素原子を有するアルキル基、アリール基およびアルコキシ基からなる群から選択され、各Rは、水素、ならびに6個までの炭素原子を有するアルキル基およびアリール基からなる群から選択され、ここで、「n」は、該シリコーン中間体が約400〜約10,000の範囲の平均分子量を有するように、選択される、
組成物。
【請求項7】
前記アミン反応性成分が、以下の一般化学式を有するアセトアセテート官能性成分である、請求項1に記載の組成物:
20[OCOCHCOCH21
ここで、R20は、アクリル、ポリエステル、ポリエーテルおよびウレタン重合体および希釈剤、ならびに[OCOCHCOCH]で官能化できる任意のヒドロキシ官能性オリゴマーまたは重合体からなる群から選択され、ここで、「a」は、1〜10であり、ここで、R21は、水素、ならびに約6個までの炭素原子を有する炭素含有基からなる群から選択される、
組成物。
【請求項8】
前記アミン反応性成分が、アセトアセテート官能性成分であり、該アセトアセテート官能性成分が、アセトアセテート官能性希釈剤、アセトアセテート官能性オリゴマー、アセトアセテート官能性重合体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記アセトアセテート官能性重合体が、アクリル、ポリエステル、ポリエーテルおよびウレタン重合体からなる群から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、アセトアセテート官能性成分を含み、そして前記組み合わせ成分が、反応して、保護膜被覆を形成するのに適切な完全に架橋したエナミンポリシロキサン構造を形成する、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記成分が、周囲温度で反応して、前記完全に架橋したエナミンポリシロキサン構造を形成する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記アミン反応性成分が、以下の一般化学式を有するアクリレート官能性成分である、請求項1に記載の組成物:
22[OCOCHCH]23
ここで、R22は、アクリル、ポリエステル、ポリエーテルおよびウレタン重合体および希釈剤、ならびに[OCOCHCH]で官能化できる任意のヒドロキシ官能性重合体からなる群から選択され、ここで、「b」は、1〜10であり、ここで、R23は、水素、ならびに約6個までの炭素原子を有する炭素含有基からなる群から選択される、
組成物。
【請求項13】
前記アミン反応性成分が、アクリレート官能性成分であり、該アクリレート官能性成分が、アクリレート官能性希釈剤、アクリレート官能性オリゴマー、アクリレート官能性重合体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記アクリレート官能性重合体が、アクリル、ポリエステル、ポリエーテルおよびウレタン重合体からなる群から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記組み合わせ成分が、反応して、保護膜被覆を形成するのに適切な完全に架橋したアクリレートポリシロキサン構造を形成する、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記組み合わせ成分が、周囲温度で反応して、前記完全に架橋したアクリレートポリシロキサン構造を形成する、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記エポキシ官能性成分が、エポキシ官能性重合体およびエポキシ官能性希釈剤からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
2種のアミン反応性成分を含有し、ここで、各このようなアミン反応性成分が、前記硬化剤との異なる反応速度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
アセトアセテート官能性成分およびアクリレート官能性成分を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物の全重量に基づいて、約5〜50重量パーセントの範囲の前記アルコキシ−またはシラノール官能性シリコーン中間体、5〜30重量パーセントの範囲の前記アミン反応性成分、1〜50重量パーセントの範囲の前記エポキシ官能性成分、および1〜30重量パーセントの範囲の前記硬化剤を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
さらに、顔料、充填剤、溶媒、レオロジー変性剤、可塑剤、消泡剤、チキソトロープ剤、湿潤剤、沈降防止剤、光安定化剤、排気剤、分配助剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
以下を含有する、高速硬化性変性シロキサン組成物:
アルコキシ−またはシラノール官能性シリコーン中間体;
少なくとも1種のアミン反応性成分であって、該アミン反応性成分は、アセトアセテート官能性成分、アクリレート官能性成分、およびそれらの混合物からなる群から選択される、アミン反応性成分;
エポキシ官能性成分;
硬化剤であって、該硬化剤は、アミン、アミノシラン、ケチミン、アルジミンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、硬化剤;
有機金属触媒;および
水;
ここで、該アルコキシ官能性シリコーン中間体、該少なくとも1種のアミン反応性成分、該エポキシ官能性成分、該硬化剤、および水を混ぜ合わせるとすぐに、該組み合わせ成分は、該有機金属触媒の存在下にて、周囲温度で、反応して、保護膜被覆を形成するのに適切な完全に架橋したポリシロキサン構造を形成する;そして
ここで、該アミン反応性成分がアセトアセテート官能性成分であるとき、該完全に架橋したポリシロキサン構造は、エナミンポリシロキサンであり、そして該アミン反応性成分がアクリレート官能性成分であるとき、該完全に架橋したポリシロキサン構造は、アクリレートポリシロキサンである、
組成物。
【請求項23】
水の存在下にて、以下を混ぜ合わせることにより調製される、高速硬化性変性シロキサン組成物:
アルコキシ−またはシラノール官能性シリコーン中間体;
アセトアセテート官能性成分;
エポキシ官能性成分;および
硬化剤であって、該硬化剤は、アミン、アミノシラン、ケチミン、アルジミンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、硬化剤;
ここで、該成分を混ぜ合わせるとすぐに、該アセトアセテート官能性成分および該エポキシ官能性成分は、該硬化剤および該アルコキシ−またはシラノール官能性シリコーン中間体と反応して、完全に架橋したエナミンポリシロキサン化学構造を有する完全に硬化した保護膜を形成する、
組成物。
【請求項24】
さらに、有機金属触媒を含有する、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記アセトアセテート官能性成分および前記エポキシ官能性成分が、周囲温度で、前記硬化剤と反応して、前記完全に架橋したエナミンポリシロキサン化学構造を提供する、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記アセトアセテート官能性成分が、以下の一般化学式を有する、請求項23に記載の組成物:
20[OCOCHCOCH21
ここで、R20は、アクリル、ポリエステル、ポリエーテルおよびウレタン重合体および希釈剤、ならびに[OCOCHCOCH]で官能化できる任意のヒドロキシ官能性オリゴマーまたは重合体からなる群から選択され、ここで、「a」は、1〜10であり、ここで、R21は、水素、ならびに約6個までの炭素原子を有する炭素含有基からなる群から選択される、
組成物。
【請求項27】
前記アセトアセテート官能性成分が、アセトアセテート官能性希釈剤、アセトアセテート官能性オリゴマー、アセトアセテート官能性重合体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項28】
前記アセトアセテート官能性重合体が、アクリル、ポリエステル、ポリエーテルおよびウレタン重合体からなる群から選択される、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記アセトアセテート官能性重合体が、アクリル重合体であり、そして前記化学構造が、完全に架橋したアクリルエポキシエナミンポリシロキサンを含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記エポキシ官能性成分が、エポキシ官能性重合体およびエポキシ官能性希釈剤からなる群から選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項31】
前記硬化剤が、以下の一般式を有するアミノシランである、請求項23に記載の組成物:
Y−Si−(O−X)
ここで、Yは、H(HNR)であり、ここで、「c」は、1〜6の整数であり、各Rは、二官能性有機ラジカルであり、該ラジカルは、別個に、アリール、アルキル、ジアルキルアリール、アルコキシアルキルおよびシクロアルキルラジカルからなる群から選択され、ここで、Rは、各Y分子内で変わり得、各Xは、同一または異なり得、そして約6個未満の炭素原子を含有するアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキルおよびヒドロキシアルコキシアルキル基に限定される、
組成物。
【請求項32】
前記硬化剤が、さらに、第二級アミンを含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
さらに、シランを含有する、請求項23に記載の組成物。
【請求項34】
前記アセトアセテート官能性成分、前記シラン、前記エポキシ官能性成分、および前記硬化剤の各々の量が、残りの成分と混ぜ合わせる前に、共に混ぜ合わされて、該残りの成分を相溶化するように作用するエナミンエポキシシロキサンを形成する、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記アセトアセテート官能性成分を、前記アルコキシ−またはシラノール官能性シリコーン中間体、前記シランおよび前記エポキシ官能性成分の1種またはそれ以上と混ぜ合わせるとすぐに、アセトアセテート官能基を有する付加物が形成され、ここで、該付加物が、該硬化剤と反応して、前記完全に架橋したエナミンポリシロキサン化学構造を形成する、請求項33に記載の組成物。
【請求項36】
前記アセトアセテート官能性成分が、前記アルコキシ−またはシラノール官能性シリコーン中間体と混ぜ合わされて、アセトアセテート官能基を有する付加物を形成し、ここで、前記硬化剤が、前記エポキシ官能性成分と混ぜ合わされて、エポキシ−シラン付加物を形成し、ここで、該付加物および残りの成分が、共に混ぜ合わされて、前記完全に架橋したエナミンポリシロキサン化学構造を形成する、請求項23に記載の組成物。
【請求項37】
前記アセトアセテート官能性成分および前記エポキシ官能性成分が、第一容器内に配置され、そして前記硬化剤が、第二容器内に配置され、ここで、該第一および第二容器の内容物が、共に混ぜ合わされて、前記組成物を形成し、そして硬化反応を受けて、前記完全に架橋したエナミンポリシロキサン化学構造を形成する、請求項23に記載の組成物。
【請求項38】
さらに、前記第一容器内に、相溶化化合物を含有し、該相溶化化合物が、シランと、前記アセトアセテート官能性成分、前記エポキシ官能性成分および前記硬化剤の各々の一定量とを混ぜ合わせることにより、形成される、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
2種のアセトアセテート官能性成分を含有し、それらの1種が、アクリル重合体を含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項40】
前記アルコキシ−またはシラノール官能性シリコーン中間体、前記アセトアセテート官能性成分および前記エポキシ官能性成分が、第一容器内に配置され、そして前記硬化剤が、第二容器内に配置され、ここで、該第一および第二容器の内容物が、共に混ぜ合わされて、前記完全に架橋したエナミンポリシロキサン化学構造を形成する、請求項23に記載の組成物。
【請求項41】
前記エポキシ官能性成分が、前記アセトアセテート官能性成分の1種とは異なる反応速度を有し、該反応速度の差が、低い表面光沢度を有する完全に硬化した保護膜を生じる、請求項39に記載の組成物。
【請求項42】
第一量の前記アルコキシ−またはシラノール官能性シリコーン中間体、前記アセトアセテート官能性成分および前記有機金属触媒が、第一容器内に配置され、そして前記エポキシ官能性成分、前記硬化剤、および第二量の該アルコキシ−またはシラノール官能性シリコーン中間体が、第二容器内に配置され、ここで、該第一および第二容器の内容物が、共に混ぜ合わされて、前記完全に架橋したエナミンポリシロキサン化学構造を形成する、請求項23に記載の組成物。
【請求項43】
前記組成物の全重量に基づいて、約5〜50重量パーセントの範囲の前記アルコキシ−またはシラノール官能性シリコーン中間体、5〜30重量パーセントの範囲の前記アセトアセテート官能性成分、1〜50重量パーセントの範囲の前記エポキシ官能性成分、および1〜30重量パーセントの範囲の前記硬化剤を含有する、請求項23に記載の組成物。
【請求項44】
さらに、顔料、充填剤、溶媒、レオロジー変性剤、可塑剤、消泡剤、チキソトロープ剤、湿潤剤、沈降防止剤、光安定化剤、排気剤、分配助剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含有する、請求項23に記載の組成物。
【請求項45】
水の存在下にて、以下を混ぜ合わせることにより調製される、高速硬化性変性シロキサン組成物:
アルコキシ−またはシラノール官能性シリコーン中間体;
アクリレート官能性成分;
エポキシ官能性成分;および
硬化剤であって、該硬化剤は、アミン、アミノシラン、ケチミン、アルジミンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、硬化剤;
ここで、該成分を混ぜ合わせるとすぐに、該アクリレート官能性成分および該エポキシ官能性成分は、該硬化剤と反応して、完全に架橋したアクリレートポリシロキサン化学構造を有する完全に硬化した保護膜を形成する、
組成物。
【請求項46】
さらに、有機金属触媒を含有する、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
前記アクリレート官能性成分および前記エポキシ官能性成分が、周囲温度で、前記硬化剤と反応して、前記完全に架橋したアクリレートポリシロキサン化学構造を形成する、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
前記アクリレート官能性成分が、以下の一般化学式を有する、請求項45に記載の組成物:
22[OCOCHCH]23
ここで、R22は、アクリル、ポリエステル、ポリエーテル、ウレタン重合体および希釈剤、ならびに[OCOCHCH]で官能化できる任意のヒドロキシ官能性重合体からなる群から選択され、ここで、「b」は、1〜10であり、ここで、R23は、水素、ならびに約6個までの炭素原子を有する炭素含有基からなる群から選択される、
組成物。
【請求項49】
前記アクリレート官能性成分が、アクリレート官能性希釈剤、アクリレート官能性オリゴマー、アクリレート官能性重合体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項45に記載の組成物。
【請求項50】
前記アクリレート官能性重合体が、アクリル、ポリエステル、ポリエーテルおよびウレタン重合体からなる群から選択される、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
前記組成物の全重量に基づいて、約5〜50重量パーセントの範囲の前記アルコキシ−またはシラノール官能性シリコーン中間体、5〜30重量パーセントの範囲の前記アクリレート官能性成分、1〜50重量パーセントの範囲の前記エポキシ官能性成分、および1〜30重量パーセントの範囲の前記硬化剤を含有する、請求項45に記載の組成物。
【請求項52】
さらに、顔料、充填剤、溶媒、レオロジー変性剤、可塑剤、消泡剤、チキソトロープ剤、湿潤剤、沈降防止剤、光安定化剤、排気剤、分配助剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含有する、請求項45に記載の組成物。
【請求項53】
水の存在下にて、以下を混ぜ合わせることにより調製される、高速硬化性変性シロキサン組成物:
アルコキシ−またはシラノール官能性シリコーン中間体;
アセトアセテート官能性成分;
アクリレート官能性成分;
エポキシ官能性成分;および
硬化剤であって、該硬化剤は、アミン、アミノシラン、ケチミン、アルジミンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、硬化剤;
ここで、該成分を混ぜ合わせるとすぐに、該アセトアセテート官能性成分、該アクリレート官能性成分および該エポキシ官能性成分は、該硬化剤および該アルコキシ−またはシラノール官能性シリコーン中間体と反応して、完全に架橋したエナミンポリシロキサンを含む化学構造を有する完全に硬化した保護膜を形成する、
組成物。
【請求項54】
さらに、有機金属触媒を含有する、請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
前記アセトアセテート官能性成分、前記アクリレート官能性成分および前記エポキシ官能性成分が、周囲温度で、前記硬化剤と反応して、完全に架橋したエナミンポリシロキサンを含む化学構造を形成する、請求項54に記載の組成物。
【請求項56】
前記組成物の全重量に基づいて、約5〜50重量パーセントの範囲の前記アルコキシ−またはシラノール官能性シリコーン中間体、5〜30重量パーセントの前記混ぜ合わせたアセトアセテート官能性成分およびアクリレート官能性成分、1〜50重量パーセントの範囲の前記エポキシ官能性成分、および1〜30重量パーセントの範囲の前記硬化剤を含有する、請求項54に記載の組成物。
【請求項57】
さらに、顔料、充填剤、溶媒、レオロジー変性剤、可塑剤、消泡剤、チキソトロープ剤、湿潤剤、沈降防止剤、光安定化剤、排気剤、分配助剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含有する、請求項54に記載の組成物。
【請求項58】
前記アセトアセテート官能性成分が、以下の一般化学式を有する、請求項53に記載の組成物:
20[OCOCHCOCH21
ここで、R20は、アクリル、ポリエステル、ポリエーテルおよびウレタン重合体および希釈剤、ならびに[OCOCHCOCH]で官能化できる任意のヒドロキシ官能性オリゴマーまたは重合体からなる群から選択され、ここで、「a」は、1〜10であり、ここで、R21は、水素、ならびに約6個までの炭素原子を有する炭素含有基からなる群から選択される、
組成物。
【請求項59】
前記アクリレート官能性成分が、以下の一般化学式を有する、請求項53に記載の組成物:
22[OCOCHCH]23
ここで、R22は、アクリル、ポリエステル、ポリエーテルおよびウレタン重合体および希釈剤、ならびに[OCOCHCH]で官能化できる任意のヒドロキシ官能性重合体からなる群から選択され、ここで、「b」は、1〜10であり、ここで、R23は、水素、ならびに約6個までの炭素原子を有する炭素含有基からなる群から選択される、
組成物。
【請求項60】
前記アセトアセテート官能性成分および前記アクリレート官能性成分が、それぞれ、アクリレート官能性希釈剤、アクリレート官能性オリゴマー、アクリレート官能性重合体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項53に記載の組成物。
【請求項61】
前記アセトアセテート官能性成分および前記アクリレート官能性成分が、アクリル、ポリエステル、ポリエーテルおよびウレタン重合体からなる群から選択される重合体を含有する、請求項60に記載の組成物。
【請求項62】
完全に架橋した変性エポキシポリシロキサンを製造する方法であって、該方法は、以下の工程を包含する:
以下:
アルコキシ−またはシラノール官能性シリコーン中間体;
アミン反応性成分であって、該アミン反応性成分は、アセトアセテート官能性成分、アクリレート官能性成分、およびそれらの混合物からなる群から選択される、アミン反応性成分;および
エポキシ官能性成分、
を混ぜ合わせる工程;そして
水の存在下にて、これらに以下:
硬化剤であって、該硬化剤は、アミン、アミノシラン、ケチミン、アルジミンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、硬化剤、
を加えることにより、該組み合わせ成分を硬化させる工程;
ここで、該硬化工程中にて、該アミン反応性成分および該エポキシ官能性成分は、それぞれ、該硬化剤と反応し、そして該シリコーン中間体は、該アミン反応性成分反応生成物と反応して、該完全に架橋した変性エポキシポリシロキサンを提供する、
方法。
【請求項63】
前記硬化工程中にて、さらに、有機金属触媒を使用する工程を包含する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記工程が、周囲温度で、実行される、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記アミン反応性成分が、アセトアセテート官能性成分を含み、そして前記得られたポリシロキサンが、架橋した変性エポキシエナミンポリシロキサンである、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記アミン反応性成分が、アクリレート官能性成分を含み、そして前記得られたポリシロキサンが、架橋した変性エポキシアクリレートポリシロキサンである、請求項62に記載の方法。
【請求項67】
前記組成物の全重量に基づいて、約5〜50重量パーセントの範囲の前記アルコキシ−またはシラノール官能性シリコーン中間体、5〜30重量パーセントの範囲の前記アミン反応性成分、1〜50重量パーセントの範囲の前記エポキシ官能性成分、および1〜30重量パーセントの範囲の前記硬化剤を含有する、請求項62に記載の方法。

【公表番号】特表2008−513575(P2008−513575A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532426(P2007−532426)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/032755
【国際公開番号】WO2006/031891
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】