説明

麦若葉由来の素材を含む美容健康食品

【課題】美容効果と体調等を整える健康効果の両方において優れた効果を示す食品を提供すること。
【解決手段】麦若葉由来の素材と美容効果を有する素材であるヒアルロン酸、セラミド類およびコラーゲンからなる群から選択される少なくとも1種を含有する美容健康食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麦若葉由来の素材を含む美容健康食品に関する。特に、麦若葉由来の素材と、γ−アミノ酪酸、ビタミン類、ミネラル類、ムコ多糖類、セラミド類、コラーゲンおよび核酸からなる群から選択される少なくとも1種を含有する美容健康食品に関する。
【背景技術】
【0002】
麦若葉は、ビタミン類、ミネラル類、不溶性食物繊維に富み、抗高血圧効果、有害物質の吸着、腸内環境の改善、コレステロールの吸収抑制、食後血糖値の急上昇防止、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)の活性化などの効果を有する健康食品の素材として注目を浴びている。
【0003】
一方、セラミド類は、人間の皮膚の構成成分の1つであり、皮膚の保湿、保護作用、肌荒れ防止・改善の効果を有するなど、その生体調節機能が注目されつつある。
【0004】
また、肌荒れや小皺は、皮膚が保水性と弾力性を失うことにより生ずるが、皮膚の保水性と弾力性とを決定しているのは、真皮層の細胞間物質である。この細胞間物質は、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等のムコ多糖類等で構成されており、肌荒れや小皺防止等の観点からムコ多糖類が注目されている。
【0005】
一方、コラーゲンは、皮膚(真皮組織)、骨、腱、血管の壁などに多く含まれている繊維状のタンパク質で、細胞と細胞をつなぐ細胞外マトリックスの形成に欠かせない物質である。
【0006】
また、核酸は、生物の細胞核中に多く含まれる、塩基・糖・りん酸からなる高分子物質であり、細胞の新陳代謝をスムーズにする働きがあることが知られている。
【0007】
従来、セラミド類、ムコ多糖類およびコラーゲンの体内への補給は、皮膚からの吸収という形で行われている。例えば、セラミド類、ムコ多糖類およびコラーゲンを主に化粧品あるいは入浴剤等の成分として使用し、皮膚に適用されている。ところが、皮膚に補給した成分は、表皮脂質に阻まれて、皮膚内に到達吸収される効率が悪い。従って、体内から吸収されれば、肌荒れ、こじわ防止などが図られる。
【0008】
そこで、美容と健康とをもたらす素材を同時に摂取でき、かつその効果を発揮する食品が期待されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、美容と健康の両方に効果的な食品を摂取することで、美容と健康に相乗的な効果を示す美容健康食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、美容と健康に相乗的な効果を示す美容健康食品が得られることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、麦若葉由来の素材と美容効果を有する素材とを含む、美容健康食品に関する。
【0011】
好ましい実施態様においては、前記美容効果を有する素材がムコ多糖類、セラミド類、コラーゲンおよび核酸からなる群から選択される少なくとも1種を含有する素材である。
【0012】
さらに好ましい実施態様では、前記ムコ多糖類がヒアルロン酸またはコンドロイチン硫酸である。
【0013】
別の好ましい実施態様においては、前記美容効果を有する素材がヒアルロン酸、セラミド類およびコラーゲンからなる群から選択される少なくとも1種を含有する素材である。
【0014】
別の好ましい実施態様においては、前記セラミド類がセラミド、グルコシルセラミド、またはガラクトシルセラミドである。
【0015】
別の好ましい実施態様においては、前記核酸がDNAまたはRNAである。
【0016】
別の好ましい実施態様においては、前記麦若葉由来の素材がγ−アミノ酪酸含量が高められた麦若葉由来の素材である。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、ビタミン類、ミネラル類、γ−アミノ酪酸、ムコ多糖類、セラミド類、コラーゲンおよび核酸を同時に摂取でき、相乗効果により、優れた美容健康食品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に用いられる「麦若葉由来の素材」は、麦若葉、麦若葉末、麦若葉の細片化物およびその乾燥粉末、麦若葉搾汁およびその乾燥粉末、麦若葉のエキスおよびその乾燥粉末等をいう。
【0019】
麦若葉由来の素材の原料としては、例えば、大麦、小麦、ライ麦、えん麦などの麦類の若葉が挙げられる。本発明においては、「麦若葉」は、麦類の若葉のみならず、麦類の茎も含む概念である。また、麦類の内でも大麦の若葉が最も好ましく用いられる。
【0020】
麦若葉としては、分けつ開始期ないし出穂開始前期(背丈が20〜40cm程度)の麦類の若葉が好ましい。麦若葉の緑色は、収穫後、時間が経つに従って、褪色するので、なるべく迅速に処理されることが好ましい。
【0021】
麦若葉は、収穫後、水等で洗浄し、水気を切ってそのまま、あるいは適切な長さ(例えば10cm)に切断して処理する。
【0022】
麦若葉は、細片化しても良い。細片化は、当業者が通常使用するスライス、細断などの植物体を細片化する方法により行う。細片化の一例として、スラリー化してもよい。スラリー化は、麦若葉をミキサー、ジューサー、ブレンダー、マスコロイダーなどにかけ、麦若葉をどろどろした粥状(液体と固体の懸濁液)にすることにより行う。麦若葉またはその細片化物を搾汁し、麦若葉搾汁としてもよい。搾汁は、麦若葉を圧搾する、または上記麦若葉の細片化物を遠心またはろ過することにより、得られる。
【0023】
本発明の好ましい実施態様においては、麦若葉由来の素材のγ−アミノ酪酸(以下、GABAということがある)の含量が高められている。これにより、本発明の美容健康食品には、血圧降下作用がある。「麦若葉由来の素材のGABAの含量が高められている」とは、麦若葉中のGABAが増加するように処理されたこと(以下、GABA富化処理という)を意味する。
【0024】
GABA富化処理にはいくつかの方法があるが、例えば、麦若葉、その細片化物または搾汁を、赤外線処理する、嫌気処理する、一定温度で保存する(保温処理)、グルタミン酸またはその塩あるいはこれらを含む食品素材と接触させる(以下、グルタミン酸処理という)などの方法が挙げられる。GABA富化処理は、これらの方法を単独で行ってもよく、2以上を組み合わせて行ってもよい。
【0025】
赤外線処理は、例えば、400W程度の赤外線照射装置を用いて、被処理物の水分が蒸発しない様に密閉し、20〜50℃、好ましくは25〜45℃で、10分〜24時間、好ましくは1〜6時間保持することにより行われる。
【0026】
保温処理の方法は問わない。温水処理、温風処理、インキュベーター処理等が挙げられる。
【0027】
嫌気処理は、ほとんど酸素を含まないか無酸素の気体で処理することを意味し、真空状態で処理することも含む。気体としては、二酸化炭素ガス、窒素ガスが好ましく用いられる。保持する温度は、好ましくは、20〜50℃、より好ましくは、30〜45℃、保持する時間は、10分〜24時間、好ましくは、1〜6時間である。
【0028】
例えば、保温処理は、密閉条件下のもと20〜50℃好ましくは、30〜45℃の温風を当て、10分間〜24時間好ましくは、1〜6時間保持する。また、20〜50℃好ましくは、30℃〜45℃の温水で10分間〜24時間好ましくは、1〜6時間保持してもよい。
【0029】
グルタミン酸処理もGABA含量を増加させる。麦若葉の表面および内部に存在する酵素によってグルタミン酸がGABAに変化するので、GABA含有量が増加する。グルタミン酸処理には、麦若葉をグルタミン酸、その塩、あるいはこれらを含む食品素材などに浸漬する方法、スラリー化した麦若葉にグルタミン酸、その塩、あるいはこれらを含む食品素材などを添加する方法などがある。
【0030】
グルタミン酸の塩としては、例えば、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム、グルタミン酸カルシウム、グルタミン酸マグネシウムなどの、当業者に公知のグルタミン酸塩が挙げられる。グルタミン酸またはその塩は、直接添加してもよいし、高濃度で含有する溶液を添加してもよい。
【0031】
グルタミン酸および/またはグルタミン酸塩を含有する食品素材としては、グルタミン酸および/またはその塩を比較的高濃度に含む食品素材が好ましく用いられる。例えば、昆布、ワカメなどの海藻、シイタケ、マイタケのようなきのこ類、かつお(かつお節を含む)、いわしなどの魚類、あさり、しじみなどの貝類、米、小麦、大豆(これらの胚芽を含む)、茶葉、桑葉、野菜(例えば、トマト)、柑橘類(中果皮、じょうのう膜)などが挙げられ、これには可食性タンパク質に酵素処理、加熱処理などを施してグルタミン酸を遊離または生成させたものなども含まれる。
【0032】
これらの食品素材は、そのままの形態で、麦若葉の細片化物もしくは搾汁または麦若葉を浸漬する溶液に添加しても良く、必要に応じて細片化するか、あるいは食品素材を搾汁にして麦若葉の細片化物もしくは搾汁または浸漬溶液に添加してもよい。また、これらの食品素材の乾燥粉末を麦若葉の細片化物もしくは搾汁又は浸漬溶液に添加しても良い。
【0033】
また、これらの食品素材に含まれるグルタミン酸および/またはその塩を、必要に応じて加熱して溶出し、あるいは、溶出した成分の乾燥粉末を麦若葉の細片化物もしくは搾汁又は浸漬溶液に添加しても良い。例えば、グルタミン酸を含有する食品素材が乾燥昆布である場合、乾燥昆布を細片化して麦若葉の細片化物もしくは搾汁または浸漬溶液に添加、攪拌することにより、効率的にGABAが増加される。
【0034】
グルタミン酸処理によるGABA富化処理の温度に特に限定ないが、グルタミン酸からGABAへの変換を触媒する酵素が失活しない範囲で行うのが好ましく、通常20〜50℃、より好ましくは25〜45℃にて行われる。
【0035】
グルタミン酸処理によるGABA富化処理のpHは、GABA富化処理を促進させる目的および製品の色を鮮やかな緑色にするために調節される。pHの調節は、当業者が通常用いるpH調節剤によって行われる。GABA富化処理中の麦若葉のpHは、通常3.5〜9.0、好ましくは4.5〜7.0、より好ましくは5.0〜6.0である。また、pHをアルカリ性側に調節すれば、麦若葉を酸性で処理したものおよび未処理のものと比較して鮮やかな緑色を呈するようになる。pH4以下での処理は、GABA富化効率が低下し、さらに麦若葉が褐変するのであまり好ましくない。
【0036】
GABA富化処理の時間は、10分〜24時間が好ましい。30分以上行えば、GABA含有量は飛躍的に増加する。
【0037】
GABA富化処理に用いるグルタミン酸の量は、富化させたいGABAの量に応じて適宜調製すればよい。通常は、麦若葉の重量に対して0.01〜40重量%、好ましくは0.02〜20重量%、より好ましくは0.05〜10重量%のグルタミン酸またはその塩を添加するのがよい。
【0038】
さらに、反応溶液にピリドキサールリン酸、食塩などの無機塩化物などを添加することにより、または有機酸もしくはATPなどの阻害剤が反応系から取り除かれることによって、GABA富化効率を高めることもできる。無機塩化物としては、例えば、塩化ナトリウム(食塩)、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムなどの当業者に公知の無機塩化物が挙げられる。にがり、粗塩などを用いても良い。これらは、任意の濃度で添加され得るが、通常、終濃度が0.05〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%となるように添加される。
【0039】
上記裁断した麦若葉、その細片化物、それらの搾汁は、必要に応じてGABA富化処理を行った後、変質(褪色などの変色を含む)を防ぐための処理(ブランチング処理)が行われる。ブランチング処理は、処理される形態に応じて種々の方法が用いられるが、これには例えば、熱水処理、蒸煮処理などが挙げられ、この処理により、麦若葉由来の素材は、褪色せずに緑色を保持し、風味の変化を生じなくなる。
【0040】
熱水処理は、例えば、特許第2544302号公報に記載の方法により行われ得る。すなわち、麦若葉を熱水(塩および重曹を含有していてもよい)中に浸して行われる。
【0041】
熱水処理ではGABAが消失するので、GABA富化処理した場合は、特に、GABAを保持する処理を行うことが好ましい。GABAを保持する方法としては、マイクロウエーブ照射処理が挙げられる。マイクロウエーブ照射処理を施せば、得られる麦若葉末を緑色に保持しつつ、GABAの含有量を減少させることもない。
【0042】
マイクロウェーブ処理は、麦若葉の褪色に関与する酵素が失活し、かつ加熱により麦若葉の緑色が失われない範囲で行なえばよい。そのような範囲は、マイクロウェーブ照射装置の出力、マイクロウェーブの波長、照射時間などにより適宜調節できる。例えば、麦若葉100g(湿重量)あたり、2450MHz、500Wのマイクロウエーブを当てる場合は、0.5〜10分、好ましくは0.5〜5分、より好ましくは0.5〜1分処理する。0.5分に満たないと酵素の失活が不十分で、褪色しやすくなる。また、10分以上処理すると褪色し、GABAも減少する傾向にある。マイクロウェーブ処理することにより、麦若葉中のビタミン類、ミネラル類などの分解、溶出が防止され、比較的低温の乾燥により、緑色を保持する乾燥粉末が得られる。
【0043】
上記ブランチング処理、マイクロウエーブ処理された麦若葉、その細片化物、またはそれらの搾汁は、必要に応じて冷却処理を施され、ついで、乾燥され、粉末とされる。
【0044】
上記乾燥は、粉末の水分含量が10%以下、好ましくは5%以下になるように行われる。例えば、上記処理後の麦若葉、その細片化物、それらの搾汁を熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥などの、当業者が通常用いる方法を用いて乾燥することにより行われる。
【0045】
加熱による乾燥は、好ましくは50℃〜80℃、より好ましくは55℃〜65℃にて加温により葉の緑色が変色しない温度および時間内で行われる。また、必要に応じて、デキストリン、シクロデキストリン、デンプン、マルトース等の賦形剤等を添加して噴霧乾燥することもできる。
【0046】
得られた乾燥物をさらに粉末化することにより乾燥粉末が得られる。粉砕は既知の方法に従い、例えば、クラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などを用いて行われ得る。乾燥粉末は、必要に応じて篩にかけられ、例えば、30〜250メッシュの篩を通過するものが用いられ得る。粒径が250メッシュより小さいと食品素材や医薬品原料としたときに、さらなる加工が行なわれにくいことがある。粒径が30メッシュより大きいと、例えば、他の食品素材との均一な混合が妨げられる。
【0047】
乾燥後の粉末は、通常の気流殺菌、高圧殺菌、加熱殺菌などの方法により、殺菌してもよい。
【0048】
上記の実施の形態では、本発明の麦若葉由来の素材として、麦若葉末を調製したが、これに限定されず、次に示す麦若葉搾汁、麦若葉搾汁粉末、麦若葉エキス等を用いることもできる。
【0049】
麦若葉搾汁は、麦若葉由来の素材の調製工程中の任意の段階において搾汁することにより調製する。また、麦若葉搾汁粉末は、前記麦若葉搾汁を乾燥粉末化することにより調製する。
【0050】
本発明の形態におけるGABA富化処理された麦若葉末は、少なくとも50mg/100g以上のGABAを含み、熱水による従来のブランチングを行う製造方法によるものと対比して、通常20倍以上、条件によっては50倍以上、より好ましくは100倍以上、すなわち通常200mg/100g以上、条件によっては500mg/100g以上、1000mg/100g以上のGABAを含む。
【0051】
また、本実施の形態におけるGABA富化処理された麦若葉搾汁粉末は、少なくとも250mg/100g以上のGABAを含み、従来のGABA富化しない方法により調製されたものと比べて、通常10倍以上、条件によっては25倍以上、より好ましくは、50倍以上、すなわち通常500mg/100g以上、条件によっては1250mg/100g以上、あるいは2500mg/100g以上のGABAを含む。なお、これらのGABA含量は、乾燥粉末化処理によってほとんど減ることはない。
【0052】
このようにして得られた麦若葉由来の素材は、天然の麦若葉が含有するビタミン類、ミネラル類、食物繊維などが、それらの機能を発揮するに十分な量を準備し、これと美容効果を有する素材と組み合わせて、麦若葉由来の素材を含む美容健康食品とされる。
【0053】
本発明で用いられる美容効果を有する素材としては、ムコ多糖類、セラミド類、コラーゲンおよび核酸が挙げられ、ムコ多糖類、セラミド類、コラーゲンおよび核酸は、単独でまたは組み合わせて用いられる。
【0054】
ムコ多糖類としては、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸が挙げられる。ヒアルロン酸およびコンドロイチン硫酸は、皮膚の真皮層の細胞間物質を構成する成分である。肌荒れや小皺は、皮膚が保水性と弾力性を失うことにより生ずるが、皮膚の保水性と弾力性とを決定しているは、真皮層の細胞間物質である。この細胞間物質のヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等のムコ多糖は、加齢と共に減少し、そのために皮膚の保水性や弾力性が失われると考えられる。本発明の美容健康食品は、このムコ多糖類を含有させることによって、肌荒れを防止し、小皺の発生を防ぐことができる。
【0055】
ヒアルロン酸またはコンドロイチン硫酸は、医薬品の原料として、あるいは動物からの抽出物として、市販されているものを用いることができる。ヒアルロン酸は、例えば鶏冠に含まれている。鶏冠は、古くから食用に供されている点から、経口摂取しても安全性の面で問題がないので、ヒアルロン酸の代わりに鶏冠を添加してもよい。
【0056】
コンドロイチン硫酸は、前述の鶏冠の他、フカのヒレ等の動物やジュンサイ等の植物にも含まれており、経口摂取の医薬品として実用化され、体内で消化吸収され、体内で利用されているので、経口摂取しても安全性の面で問題はない。従って、コンドロイチン硫酸の代わりに、鶏冠、フカヒレ、ジュンサイなどを添加してもよい。
【0057】
ムコ多糖類は、麦若葉由来の素材と美容効果を有する素材の合計量に対して、0.05〜55重量%、好ましくは0.1〜30重量%含まれる。0.05重量%未満では、皮膚の保水性や弾力性を保つ効果を発揮しない。一方、55重量%を超えて含有させても効果が一定となってしまう。
【0058】
本発明に用いられるセラミド類としては、セラミド、グルコシルセラミド、ガラクトシルセラミドが挙げられる。セラミド類は、人間の皮膚の構成成分の1つで、皮膚の保湿や保護作用、肌荒れ防止、改善の効果を有する。
【0059】
セラミド類としては、医薬品原料、動物抽出物(例えば、牛等の脳からの抽出物)、植物抽出物(小麦、米、大豆、黍、ホウレンソウ等からの抽出物)、あるいは、微生物抽出物(酵母等からの抽出物)などの市販品を用いることができる。
【0060】
セラミド類は、麦若葉由来の素材と美容効果を有する素材の合計量に対して、0.001〜55重量%、好ましくは、0.01〜25重量%含有される。セラミドの添加量が0.001重量%未満では、保湿、美肌、肌荒れ防止、しわ防止等の美容の効果が発揮しない。一方、55重量%超えると、臭いや味において食用に適さなくなるので好ましくない。
【0061】
本発明で用いるコラーゲンは、動物の皮膚(真皮組織)、骨、腱、血管の壁などに多く含まれている繊維状のタンパク質で、人体に取り込むと、以下の美容効果がある。すなわち、皮膚の水になじむ能力を高め、保水効果を強める。皮膚の温度放散を抑える。皮膚の表面をなめらかにする。皮膚表面の脂分が脂性の皮膚では減少し乾燥性の皮膚では増加してバランスがとれる等の効果がある。
【0062】
コラーゲンは、麦若葉由来の素材と美容効果を有する素材の合計量に対して、0.001〜50重量%、好ましくは、0.01〜25重量%含有される。コラーゲンの添加量が0.001重量%未満では、保水、肌荒れ防止、しわ防止等の美容の効果が発揮しない。一方、50重量%超えると、味において食用に適さなくなるので好ましくない。
【0063】
本発明で用いる核酸は、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)の両方を意味している。
【0064】
本発明で用いられる核酸としては、例えば、鮭の白子から精製されるような高分子の核酸が挙げられる。
【0065】
核酸は、皮膚の細胞の新陳代謝を高め、老化を防止するので、若々しい肌を保つ働きがある。
【0066】
核酸は、麦若葉由来の素材と美容効果を有する素材の合計量に対して、0.001〜55重量%、好ましくは、0.01〜20重量%含有される。核酸の添加量が0.001重量%未満では、新陳代謝を高める効果が発揮しない。一方、55重量%超えると、味において食用に適さなくなるので好ましくない。
【0067】
本発明の美容健康食品は、麦若葉由来の素材と美容効果を有する素材とを当業者が通常用いる方法で混合し、均一化した後、粉末化、錠剤化やカプセル剤化することができる。また、麦若葉由来の素材と美容効果を有する素材に賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料等を混合し、用途に応じて粉末、顆粒、錠剤等の形態に成形することもでき、さらに、各種の飲食品に配合して飲食に供することができる。
【0068】
例えば、麦若葉由来の素材と美容効果を有する素材にローヤルゼリー、ビタミン、プロテイン、カルシウム、キトサン、レシチンなどを適宜配合し、さらに糖液や調味料を加えて味を整えて、本発明の美容健康食品を得ることができる。
【0069】
得られた美容健康食品は、そのまま、あるいは水、お湯もしくは牛乳などに溶いて飲食に供してもよい。または成分を浸出させてから飲んでも良い。
【実施例】
【0070】
(製造例1:麦若葉粉末の製造)
約30cmに成長した大麦の若葉を摘み取り、水洗いして水切りを行い、長さ約10cmに切り揃えた。切り揃えた大麦若葉100gを食塩7.5g、重曹7.5gを含む1リットルの熱水(95℃)に投入し、3分間、熱水処理した。熱水処理した麦若葉を直ちに2〜7℃の冷水に移し、約5分間浸漬して冷却した。冷却後、約45秒間遠心して脱水し、水分含量が5%以下となるように乾燥機中で60℃にて6時間乾燥した。これを石臼で粉砕して200メッシュを90%が通過する程度に粉砕して麦若葉粉末を得た。
【0071】
(製造例2:麦若葉搾汁の製造)
約30cmに成長した大麦の若葉を切り揃え、食塩7.5g、重曹7.5gを含む1リットルの熱水で処理した後、直ちに2〜7℃の冷水に移し、約5分間浸漬し、冷却した。冷却後、約45秒間遠心して脱水した。次いで、ミキサーで粉砕して搾汁し、ろ過して繊維分を除いた搾汁を得た。
【0072】
(製造例3:麦若葉搾汁粉末の製造)
製造例2で得られた麦若葉搾汁を凍結乾燥し、麦若葉搾汁粉末を得た。
【0073】
(製造例4:GABA富化した麦若葉粉末の製造)
約30cmに成長した大麦の若葉を切り揃え、ビニール袋に入れ、空気を抜いた後に窒素を充填し、これをインキュベーター内で40℃にて6時間静置して、GABA富化処理のひとつである、嫌気処理を施した。ついで、GABA富化処理した麦若葉を、500Wの出力装置を用いて、2450MHzのマイクロウエーブ処理を1分間行った。その後、麦若葉を水分含量が5%以下となるように乾燥機中で60℃にて6時間乾燥した。さらに石臼で200メッシュを90%が通過する程度に粉砕して、GABA富化処理された麦若葉粉末を得た。
【0074】
(製造例5:GABA富化した麦若葉搾汁乾燥粉末の製造)
上記製造例4と同様に大麦若葉をマイクロウエーブ処理した後、ミキサーで粉砕し、さらに遠心、ろ過して繊維分を除いたGABA富化搾汁を得た。そして、この搾汁を凍結乾燥し、GABA富化した麦若葉搾汁粉末を得た。
【0075】
(セラミド類の調製)
セラミドは、大豆から得られた抽出液を減圧して乾固し、アセトンに溶解し、蒸発乾燥させて得られたものを使用した。
【0076】
(ムコ多糖類の調製)
ムコ多糖類は、フカのヒレを粉砕し、脱脂処理を行い、水を加えて加熱し、酸及びプロテアーゼ処理を施し、その後、酢酸により蛋白質を除去して製造したものを使用した。
【0077】
(コラーゲンの調製)
豚のコラーゲンを使用した。
【0078】
(核酸の調製)
サケの白子から抽出した核酸(DNA)を使用した。
【0079】
(実施例)
製造例1〜5で調製した麦若葉由来の素材と美容効果を有する素材とを用いて、表1に記載の割合で配合し、美容健康食品を調製した。
【0080】
【表1】

【0081】
表1に示した実施例1〜9、比較例1〜8の合計17種類の美容健康食品をそれぞれ女性10人ずつのパネラーに対して、1日3回、1ヶ月間食べてもらい、その後、表2に示す5項目について調査した。表2に結果を示す。表2に示す数字は、「そう思う」と答えた人数である。
【0082】
【表2】

【0083】
表2から、本発明の美容健康食品は、美容効果と体調等を整える健康効果の両方において優れた相乗効果を示すことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明により、ビタミン類、ミネラル類、γ−アミノ酪酸、ムコ多糖類、セラミド類、コラーゲンおよび核酸を同時に摂取でき、相乗効果により、優れた美容健康食品を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
麦若葉由来の素材と、ヒアルロン酸、セラミド類およびコラーゲンからなる群から選択される少なくとも1種を含有する素材とを含む、美容健康食品。
【請求項2】
前記セラミド類がセラミド、グルコシルセラミドおよびガラクトシルセラミドからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の美容健康食品。
【請求項3】
前記麦若葉由来の素材がγ−アミノ酪酸含量が高められた麦若葉由来の素材である、請求項1または2に記載の美容健康食品。

【公開番号】特開2009−60915(P2009−60915A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274534(P2008−274534)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【分割の表示】特願2000−266289(P2000−266289)の分割
【原出願日】平成12年9月1日(2000.9.1)
【出願人】(398028503)株式会社東洋新薬 (182)
【Fターム(参考)】