説明

1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミド及び関連化合物の化粧品としての使用

1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドを含有する化粧品組成物、及び皮膚に抗老化効果を与える該組成物を使用する方法が提供される。1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドは、皮膚の老化に関与する1又は2以上の生化学的経路に拮抗する調節活性を有すると考えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、皮膚への局所適用のための1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドを含有する組成物、及び皮膚に効果を提供する該組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
デスモグレインは、膜貫通タンパク質のファミリーであり、細胞接着(組織内の細胞が結合される)に重要な役割を果たしている。皮膚において、それらはデスモソームに重要な成分である。デスモソームは、上皮細胞とある他のタイプの細胞との間の細胞−細胞接着複合体である。それらは、ケラチン中間径フィラメントに結合することにより、ケラチノサイトに機械的完全性を提供する。デスモグレインは、隣接する皮膚細胞を接着させる接着剤を形成し、皮膚を正常に保つ。デスモグレイン1及び3は両方とも、重層扁平上皮において発現している。デスモグレイン1は、上皮の分化した上層において顕著に発現しており、デスモグレイン3はほとんどが、基底層及び基底層直上で見られる。デスモグレインの異なる発現パターンは、上皮の機能の調節にとって重要である。動物モデルにおいてデスモグレイン1及び3の発現パターンが変化することにより、ケラチノサイの増殖及び皮膚のバリア機能に障害が生じる。デスモグレインを促進することで、ケラチノサイト間の固着及び接着が亢進され、その結果、皮膚が丈夫になり、及びしわが少なくなる効果が得られるであろうことが予想される。
【0003】
コラーゲンは、体の主要な構造タンパク質であり、強固なトリプルへリックスで互いに巻き付かれた3つのタンパク質鎖からなる。この特異な構造により、コラーゲンはスチールよりも強い引張強度を有する。体内のタンパク質の約33%がコラーゲンである。このタンパク質は、組織及び器官を支え、これらの構造体を骨につなげる。実際に、骨はまた、カルシウム及びリンといった、あるミネラルと組み合わされたコラーゲンからなる。コラーゲンは、細胞の周囲の構造的な足場を提供するのに重要な役割を有し、細胞の形態及び分化を支える一助となっている。それは、鋼棒がコンクリートブロックを強化するのと同じである。メッシュ様のコラーゲンネットワークが細胞を結合させ、及び支持となる枠組み又は環境を提供する。そこでは、細胞が成長し及び機能し、並びに組織及び骨が修復される。
【0004】
コラーゲンは、繊維芽細胞により作られる。それは、真皮に存在する特殊化した皮膚細胞である。繊維芽細胞はまた、エラスチン(皮膚に復元力を与えるタンパク質)及びグルコサミノグリカン(GAGs)といった、他の皮膚の構造タンパク質を作る。GAGsは、真皮の水分を保つ基質を作り出す。皮膚の構造タンパク質の生成の信号を送る又はそれを生成させるために、繊維芽細胞は膜外に特殊な形態のレセプターを有している。それは結合部位として機能しており、マッチングする形状のシグナル分子が適合し得る。レセプターに正しい組み合わせのシグナル分子(線維芽細胞増殖因子、又はFGFsと称される)が結合すると、繊維芽細胞はコラーゲンを生成し始める。コラーゲンの促進により、皮膚は強度、耐久性、及びなめらかさ、ふくらみの外観が与えられる。
【0005】
デルマトポンチンは、細胞外マトリックスのタンパク質成分であり、主として皮膚におけるコラーゲン繊維の表面に存在している。デルマトポンチンは細胞−マトリックス相互作用及びマトリックス集合(コラーゲン繊維形成)に重要な役割を果たすと考えられている。デルマトポンチンノックアウトマウスを用いた研究により、皮膚の弾性及びコラーゲン蓄積におけるデルマトポンチンの関与が確認され、野生型のマウスに比して、デルマトポンチンノックアウトマウスでは、皮膚の弾性係数は57%低下し、コラーゲン含量は40%低下したことが報告された(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Takeda et al., “Targeted disruption of dermatopontin causes abnormal collagen fibrillogenesis,”J.Invest.Dermatol.,2002 Sep;119(3):678−83
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、コラーゲンI、デスモグレイン、及び/又はデルマトポンチンの生成を促進するための新しい組成物及び方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、有効量の1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドを含む化粧品組成物でコラーゲンI、デスモグレイン、及び/又はデルマトポンチンの生成を促進することにより、皮膚のしわといった老化のサインを治療し、改善させ、及び/又は抑制することを含む、皮膚の全体の外観を向上させることである。
【0008】
前述の記載は、直面している技術の課題の特性をより良く理解するために単に提示されているにすぎず、いかなる態様においても先行技術に含まれると理解されるべきではなく、いかなる参照の引用についても本出願に対する“先行技術”を構成するというように理解されるべきではない。
【0009】
前述の目的および他の目的を踏まえて、驚くべきことに、1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドは、コラーゲンI、デスモグレイン、及び/又はデルマトポンチンの生成を促進することができ、それゆえ内因性の老化及び皮膚の光老化の種々のサインに有用であることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一観点において、皮膚の審美上の外観を向上させるための化粧品組成物が提供される。それは、化粧品として許容可能な媒材中に、コラーゲンI、デスモグレイン、及び/又はデルマトポンチンの亢進に有効な量の、一般式Iの構造を有する1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドを含有する。
【0011】
【化1】

【0012】
,R,R,R,R,R,及びRは独立して水素原子又は(−R−R10)基である。
【0013】
は、それぞれ独立して、結合(すなわち、Rが無い)、又は(i)炭素数1〜20の脂肪族炭化水素ラジカル;(ii)炭素数1〜20の芳香族炭化水素ラジカル;(iii)炭素数1〜20のヘテロアリールラジカルのうちの1つを表す。
【0014】
10は、それぞれ独立して、水素原子;−F;−Cl;−Br;−I;−OH,−OR;−NH;−NHR;−N(R);−N(R);−N(R)−OH;−N(→O)(R);−O−N(R);−N(R)−O−R;−N(R)−N(R);−C=N−R;−N=C(R);−C=N−N(R);−C(=NR)−N(R);−SH;−SR;−CN;−NC;−CHO;−COH;−CO;−COR;−(C=O)−S−R;−O−(C=O)−H;−O−(C=O)−R;−S−(C=O)−R;−(C=O)−NH;−(C=O)−N(R);−(C=O)−NHNH;−O−(C=O)−NHNH;−(C=S)−NH;−(C=S)−N(R);−N(R)−CHO;−N(R)−(C=O)−R;−(C=NR)−O−R;−O−(C=NR)−R,−SCN;−NCS;−NSO;−SSR;−N(R)−C(=O)−N(R);−N(R)−C(=S)−N(R);−SO−R;−O−S(=O)−R;−S(=O)−OR;−N(R)−SO−R;−SO−N(R);−O−SO;−O−S(=O)−OR;−O−S(=O)−OR;−O−S(=O)−R;−S(=O)−OR;−S(=O)−R;−NO;−NO;−NO;−O−NO;−O−NO;−N;−N−R;−N(C);−Si(−R);−CF;−O−CF;−(C=O)−R;−PR;−O−P(=O)(OR);−P(=O)(OR);=O;=S;=NR;炭素数1〜20の脂肪族炭化水素ラジカル;炭素数1〜20の芳香族炭化水素ラジカル;炭素数1〜20のヘテロアリールラジカル;から選択される。
【0015】
Rは、それぞれ独立して、水素原子、又は飽和した、部分的に飽和した、若しくは芳香族の炭素数1〜20の炭化水素ラジカル(それらのハロ誘導体及びペルハロ誘導体を含む)である。
【0016】
2つの隣接する基R,R,R,R及びR(フェニル環にともに結合している)は、五員環又は六員環の脂肪環又は芳香族環を形成してもよい(任意に1又は2以上のR10基で置換され、及び任意に環において酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1又は2以上のヘテロ原子を含む)。いくつかの実施態様において、R1−5(フェニル環にともに結合している(フラグメントArR1−5))は任意に、環において窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選択される1又は2以上のヘテロ原子を含む、置換された五員環又は六員環のヘテロアリール環を形成する。
【0017】
また、1又は2以上の皮膚の老化のサインを治療する方法が提供される。該方法は、コラーゲンI、デスモグレイン、及び/又はデルマトポンチンの亢進に有効な量の、一般式Iによる1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドを必要に応じて皮膚に局所適用することを含む。
【0018】
本発明の他の観点において、ヒトの皮膚における小じわ若しくはしわ又はたるみを治療し、改良させ、及び/又は抑制する方法が提供される。該方法は、コラーゲンI、デスモグレイン、及び/又はデルマトポンチンの亢進に有効な量の、一般式Iによる1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドを含有する組成物を、必要に応じて皮膚に局所適用する(しわ又は小じわに直接適用することを含む)ことを含む。
【0019】
本発明のこれらの観点及び他の観点は、下記の詳細な記載及び添付する図面を参照するで、より良く理解されるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書で用いられるすべての用語は、特に他に言及がない限り、それらの通常の意味を有するものと意図される。
【0021】
本発明は、局所適用のための組成物を提供する。該組成物は、皮膚の老化のサインを治療し、改善させ、改良させ、及び/又は抑制するための、有効量の1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミド又は関連化合物を含有する。このような皮膚の老化のサインは、限定されることなく下記を含む。
(a)小じわ又はしわを治療、低減、及び/若しくは抑制する。
(b)皮膚の毛穴のサイズを小さくする。
(c)皮膚の厚み、ふくらみ、及び/若しくは張りを改善する。
(d)皮膚の柔らかさ、及び/若しくは柔軟性を改善する。
(e)皮膚のトーン、輝き、及び/若しくは透明度を改善する。
(f)プロコラーゲン及び/若しくはコラーゲンの生成を改善する。
(g)エラスチンの維持及び再構築を改善する。
(h)皮膚のきめを改善し、及び/若しくは再組織化を促進する。
(i)皮膚バリアを修復し、及び/若しくはその機能を改善する。
(j)皮膚の凹凸を改善する。
(k)皮膚の艶及び/若しくは明るさを修復する。
(l)皮膚の必須栄養素及び/若しくは構成要素を補充する。
(m)老化及び/若しくは更年期により劣化した皮膚の外観を改善する。
(n)皮膚の潤いを改善する。
(o)皮膚の弾性及び/若しくは弾力性を向上させる、並びに/又は、
(p)皮膚のたるみを治療し、低減させ、及び/若しくは抑制する。
【0022】
実際には、本発明の組成物は、治療の必要に応じて皮膚に適用される。それは、前述の特性のいずれかが不足若しくは喪失している皮膚、又は前述の皮膚の特性のいずれかを改善することで利益がもたらされる皮膚である。
【0023】
ある好ましい実施態様において、本発明の組成物及び方法は、皮膚における小じわ及び/又はしわの抑制、治療、及び/又は改良の方向に意図される。この場合において、組成物は治療の必要に応じて皮膚に適用される。この場合の皮膚は、しわ及び/又は小じわを有する皮膚を意味する。好ましくは、該組成物は、小じわ及び/又はしわに直接適用される。該組成物及び方法は、限定されることなく顔、首、及び/又は手の皮膚を含む、皮膚の表面における小じわ及び/又はしわを治療するのに適する。
【0024】
コラーゲン及び/又はエラスチン繊維の喪失に関連する皮膚のコンディションを治療するための化粧品組成物は、化粧品として許容可能な媒材中に、コラーゲンI、デスモグレイン、及び/又はデルマトポンチンを亢進するのに有効な、ある量の1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドを含有する。これらのコラーゲンI、デスモグレイン、及び/又はデルマトポンチン亢進剤は、一般式(I)の構造を有し得る。
【0025】
【化2】

【0026】
一般式(I)において、R,R,R,R,R,R,及びRは独立して、水素原子又は(−R−R10)基である。一実施態様において、フェニル環の置換基のうち少なくとも一つにおいて、R,R,R,R,及びRは、(−R−R10)基である。他の実施態様において、Rは(−R−R10)基であり、R,R,R,及びRは水素原子であり(フェニル環はパラ位で置換されている)、Rは(−R−R10)基であり、R,R,R,及びRは水素原子であり(フェニル環はオルト位で置換されている)、又はRは(−R−R10)基であり、R,R,R,及びRは水素原子である(フェニル環はメタ位で置換されている)。
【0027】
一実施態様において、R及び/又はRは水素原子を表す。他の実施態様において、R及びRは独立して水素原子又は(−R−R10)基を表す(Rは典型的には無く、R10は好ましくは低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、典型的にはメチルである)。Rは水素原子でもよいが、通常は(−R−R10)基である。一般式(I)によるいくつかの実施態様において、R,R,及びRのうち少なくとも一つは(−R−R10)基を表す。他の実施態様において、Rは(−R−R10)基を表し、R及びRは独立して水素原子又は低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、典型的にはメチルを表す。
【0028】
一般式(I)の化合物において、Rは、それぞれ独立して、結合(すなわち、Rが無い)、又は(i)炭素数1〜20の脂肪族炭化水素ラジカル(置換された又は置換されていない分枝鎖、直鎖、又は環状部分、アルキル部分、アルケニル部分(例えば、ビニル、アリル等)、及びアルキニル部分といった、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素ラジカル、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素ラジカル、又は炭素数1〜6の脂肪族炭化水素ラジカルを含む);(ii)炭素数6〜20の芳香族炭化水素ラジカル(置換された又は置換されていないアリール(例えばフェニル)、アルキル−アリール(例えばベンジル)、アリール−アルキル、及び同様物といった、炭素数6〜12の芳香族炭化水素ラジカル、炭素数6〜10の芳香族炭化水素ラジカル、又は炭素数6の芳香族炭化水素ラジカルを含む);(iii)環において酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選択される1又は2以上のヘテロ原子を含む炭素数1〜20のヘテロアリールラジカル(ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、及び同様物といった、炭素数1〜12のヘテロ芳香族ラジカル、炭素数1〜8のヘテロ芳香族ラジカル、及び炭素数1〜6のヘテロ芳香族ラジカルを含む)のうちの1つを表す。
【0029】
いくつかの実施態様において、Rは1又は2以上において無い(1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドのフェニル基又は窒素原子に直接結合しているR10の結合を表す)。他の実施態様において、Rは、それぞれ独立して、結合(すなわち、Rは無い)、又は−(CH−の構造の直鎖アルキル部分(“a”は1から6の整数であり、例えば、−CH−(メチレン),−CHCH−,−CHCHCH−,若しくはCHCHCHCH−を含む);−C(CH−,−CH(CH)CH−,−C(CHCH−,−C−,−CH−C−;−(CHO−又は−O(CH−の一般構造の直鎖アルコキシ部分(“a”は1から6の整数であり、例えば、−CHO−若しくは−OCH−,−CHCHO−若しくは−OCHCH−,−CHCHCHO−若しくは−OCHCHCH−を含む);−O(CHO−(“a”は上述と同様である);若しくは−(CHO(CH−,−(CHS(CH−,若しくは−(CHNR(CH−の構造の部分(“b”及び“c”は独立して0(ゼロ)から6の整数であり、Rは上述と同様である)から選択される基を表す。
【0030】
10は、それぞれ独立して、水素原子;−F;−Cl;−Br;−I;−OH,−OR;−NH;−NHR;−N(R);−N(R);−N(R)−OH;−N(→O)(R);−O−N(R);−N(R)−O−R;−N(R)−N(R);−C=N−R;−N=C(R);−C=N−N(R);−C(=NR)−N(R);−SH;−SR;−CN;−NC;−CHO;−COH;−CO;−COR;−(C=O)−S−R;−O−(C=O)−H;−O−(C=O)−R;−S−(C=O)−R;−(C=O)−NH;−(C=O)−N(R);−(C=O)−NHNH;−O−(C=O)−NHNH;−(C=S)−NH;−(C=S)−N(R);−N(R)−CHO;−N(R)−(C=O)−R;−(C=NR)−O−R;−O−(C=NR)−R,−SCN;−NCS;−NSO;−SSR;−N(R)−C(=O)−N(R);−N(R)−C(=S)−N(R);−SO−R;−O−S(=O)−R;−S(=O)−OR;−N(R)−SO−R;−SO−N(R);−O−SO;−O−S(=O)−OR;−O−S(=O)−OR;−O−S(=O)−R;−S(=O)−OR;−S(=O)−R;−NO;−NO;−NO;−O−NO;−O−NO;−N;−N−R;−N(C);−Si(−R);−CF;−O−CF;−(C=O)−R;−PR;−O−P(=O)(OR);−P(=O)(OR);=O;=S;=NR;炭素数1〜20の脂肪族炭化水素ラジカル(置換された又は置換されていない分枝鎖、直鎖、又は環状部分、アルキル部分、アルケニル部分(例えば、ビニル、アリル等)、及びアルキニル部分といった、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素ラジカル、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素ラジカル、又は炭素数1〜6の脂肪族炭化水素ラジカルを含む);炭素数6〜20の芳香族炭化水素ラジカル(置換された又は置換されていないアリール(例えばフェニル)、アルキル−アリール(例えばベンジル)、アリール−アルキル、及び同様物といった、炭素数6〜12の芳香族炭化水素ラジカル、炭素数6〜10の芳香族炭化水素ラジカル、又は炭素数6の芳香族炭化水素ラジカルを含む);又は環において酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選択される1又は2以上のヘテロ原子を含む炭素数1〜20のヘテロアリールラジカル(ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、及び同様物といった、炭素数1〜12のヘテロ芳香族ラジカル、炭素数1〜8のヘテロ芳香族ラジカル、及び炭素数1〜6のヘテロ芳香族ラジカルを含む)から選択される。
【0031】
Rは、それぞれ独立して、水素原子、又は飽和した、部分的に飽和した、若しくは芳香族の、炭素数1〜20の炭化水素ラジカル、炭素数1〜12の炭化水素ラジカル、炭素数1〜8の炭化水素ラジカル、若しくは炭素数1〜6の炭化水素ラジカルである。各々任意に、酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子といった1又は2以上のヘテロ原子を含む。好ましくは、Rは、置換された又は置換されていない分枝鎖、直鎖、又は環状の炭素数1〜20のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ベンジル、ヘテロアリール、アルキル−アリール、アリール−アルキル、アルキル−ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロアリール−アリール、二環式アルキル、アリール、又はヘテロアリールラジカル、及びそれらの組み合わせから選択される。前述のラジカルは、いかなる分子により置換されてもよく、それには、例えば、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ハロゲン、オキソ、カルボキシ、カルボキサミド、ニトロ、アゾ、アルコキシル、アルキル、アルキルイミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオアルコキシ、及びこれらの組み合わせが含まれる。Rは、例えば、それぞれ独立して、水素原子、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、フェニル、ベンジル、又は同様物であってもよく、それにはハロ誘導体及びペルハロ誘導体が含まれる。いくつかの実施態様において、Rは、水素原子、メチル、エチル、フェニル、又はベンジル、最も典型的にはメチル又はフェニルである。
【0032】
一般式(I)において、フェニル環にともに結合している2つの隣接する基R,R,R,R及びRは、五員環又は六員環の脂肪環又は芳香族環を形成し得る、とさらに理解される。それは、任意に1又は2以上のR10基で置換され、及び任意に環において酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1又は2以上のヘテロ原子を含む。いくつかの実施態様において、フェニル環にともに結合している2つの隣接する基R,R,R,R及びRは、フェニル環に融合された複素環を形成してもよい。複素環は、芳香族であってもよく、部分的に飽和されていてもよく、又は完全に飽和されていてもよく、それには、限定されることなく、四員環(アゼチジン、オキセタン、チエタン等)、五員環(ピロール、ピロリジン、フラン、オキソラン、チオフェン、チオラン、ピラゾール、イミダゾール、イミダゾリジン、オキサゾール、イソキサゾール、オキサゾリジン、チアゾール、イソチアゾール、チアゾリジン、ジオキソラン、ジチオラン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ジチアゾール、テトラゾール等)、及び六員環(ピペリジン、ピリジン、テトラヒドロピラン、ピラン、チアン、チイン、ピペラジン、ジアジン、オキサジン、チアジン、ジチアン、ジオキサン、ジオキシン、モルホリン、キノリン等)が含まれる。
【0033】
さらに、窒素原子は任意にN−オキシドに酸化されていてもよく、又は、数例を挙げると、例えば、低級アルキルハロゲン化物(例えば、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、臭化ブチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、及びヨウ化ブチル)、ジアルキル硫酸(例えば、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジブチル硫酸、及びジアミル硫酸)、長鎖ハロゲン化物(例えば、塩化デシル、塩化ラウリル、塩化ミリスチル、塩化ステアリル、臭化デシル、臭化ラウリル、臭化ミリスチル、臭化ステアリル、ヨウ化デシル、ヨウ化ラウリル、ヨウ化ミリスチル、及びヨウ化ステアリル)、アラルキルハロゲン化物(例えば、臭化ベンジル及び臭化フェネチル)で四級化され得る。
【0034】
一般式(I)による一実施態様において、R,R,R,R,R及びRは、一般式(Ia)に示されるように、水素原子を表す。
【0035】
【化3】

【0036】
及びRは、上述の通り、独立して、水素原子又は(−R−R10)基である。いくつかの実施態様において、Rは−OR基(すなわち、Rは無く、R10が−ORである)である。Rは、水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、フェニル、又はベンジル、並びにトリフルオロメチルといったハロ誘導体及びペルハロ誘導体を表す。一実施態様において、Rは−OR基であって、Rは一般式(Ib)で示されるように、フェニル環のパラ位におけるメトキシ基を規定するメチルを表す。
【0037】
【化4】

【0038】
は、上述の通り、水素原子又は(−R−R10)基である。好ましくは、Rは水素原子又は(−R−R10)基であり、Rは無く、R10は(i)−(C=O)−Rの構造のアシル基(Rは前述の通り規定されるが、典型的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、フェニル、トルイル、又はベンジル(好ましくはフェニル)から選択される)、及び(ii)−SO−R基(Rは前述の通り規定されるが、典型的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、フェニル、トルイル、又はベンジル(好ましくはメチル)から選択される)から選択される。
【0039】
特定の実施態様において、化粧品組成物は、好ましくは油中水滴型エマルション又は水中油滴型エマルションである化粧品として許容可能な媒材中に、下記構造を有する1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミド、又はその化粧品として許容可能な塩を約0.0001重量%〜約90重量%含有する。
【0040】
【化5】

【0041】
他の特定の実施態様において、化粧品組成物は、好ましくは油中水滴型エマルション又は水中油滴型エマルションである化粧品として許容可能な媒材中に、下記構造を有する1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミド、又はその化粧品として許容可能な塩を約0.0001重量%〜約90重量%含有する。
【0042】
【化6】

【0043】
一般式(I)の化合物は、ピペラジン環における1つの立体中心、及びラクタム環における1つの立体中心を含む。これらの立体中心の各々は、R又はSの立体配置であってもよい。したがって、一般式(I)による化合物は、これらの2つのキラル中心に対して、純粋な(R,R)、(R,S)、(S,R)、若しくは(S,S)のジアステレオマーとして存在し得、又は2若しくは3以上のジアステレオマーの混合物を含み得る。“純粋な”とは、特定のジアステレオマーが、一般式(I)の化合物の全重量中、少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも98重量%、又は少なくとも99重量%を構成する、という意味である。
【0044】
本発明は、化粧品として又は薬学的に許容可能な(例えば、毒性がない、及び/又は刺激性がない)塩の使用を包含する。本発明における化合物の塩の例は、アルカリ金属の塩(例えば、ナトリウム及びカリウム);アルカリ土類金属の塩(例えば、カルシウム及びマグネシウム);アミンの塩(例えば、モノエタノールアミン);無機酸塩(例えば、塩酸及び硫酸);及び有機酸塩(例えば、クエン酸及び酢酸)を含む。好ましくは、塩酸塩である。
【0045】
本発明による化粧品組成物は、局所適用のための種々の形態で作られ得、一般式(I)による1又は2以上の化合物を、約0.0001重量%〜約90重量%含有し、好ましくは約0.001重量%〜約25重量%含有し、より好ましくは約0.01重量%〜約10重量%含有する。該組成物は、有効量の一般式(I)による1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドの化合物を含有し、これは、局所適用された場合に皮膚の一定の領域のコラーゲンI、デスモグレイン、及び/又はデルマトポンチンを亢進するのに十分な量という意味である。
【0046】
該組成物は、特に局所適用のための、例えば、ローション、クリーム、乳液(serum)、スプレー、エアロゾル、ケーキ(cake)、軟膏、エッセンス、ゲル、ペースト、パッチ、ペンシル、ウェットティッシュ(towelette)、マスク、スティック、フォーム、エリキシル剤、濃縮物、及び同様物といった、種々の製品の形態で作られ得る。好ましくは、該組成物は、ローション、クリーム、軟膏、又はゲルとして作られる。
【0047】
該組成物は、化粧品として許容可能な媒材を含み得る。このような媒材は、皮膚への適用に適した技術において公知であるいかなる形態をもとり得、水;植物油;鉱物油;オクタルパルミテート、イソプロピルミリステート及びイソプロピルパルミテートといったエステル;ジカプリルエーテル及びジメチルイソソルバイドといったエーテル;エタノール及びイソプロパノールといったアルコール;セチルアルコール、セチアリルアルコール、ステアリルアルコール、及びビフェニルアルコールといった脂肪族アルコール;イソオクタン、イソドデカン、及びイソヘキサデカンといったイソパラフィン;シクロメチコン、ジメチコン、ジメチコンクロスポリマー、ポリシロキサン、及びそれらの誘導体、好ましくは有機修飾された誘導体といったシリコーン油;鉱物油、ペトラタム、イソエイコサン、及びポリイソブテンといった炭化水素油;プロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、及びヘキシレングリコールといったポリオール;ビーズワックス及び植物性ワックスといったワックス;又は前述の組み合わせ若しくは混合物を含み得る。
【0048】
該媒材は、水相、油相、アルコール、シリコーン相、又はこれらの混合物を含み得る。化粧品として許容可能な媒材はまた、エマルションを含有し得る。適切なエマルションの限定されない例示としては、油中水滴型エマルション、水中油滴型エマルション、水中シリコーン型エマルション、シリコーン中水滴型エマルション、水中ワックス型エマルション、水/油/水三相のエマルション、又はクリーム、ゲル、若しくはマイクロエマルションの特性を有する同様物が挙げられる。該エマルションは、非イオン性、アニオン性、又は両性の界面活性剤といった、乳化剤を含み得る。
【0049】
エマルションの油相は好ましくは、1又は2以上の有機化合物を有し、それには、エモリエント;保湿剤(例えば、プロピレングリコール、及びグリセリン);ビーガム又はヒドロキシアルキルセルロースといった増粘剤を含む他の水分散性成分又は水溶性成分;高分子量のポリアクリル酸(すなわち、CARBOPOL934)といったゲル化剤;及びこれらの混合物が含まれる。該エマルションは、該組成物中に存在する種々の成分を乳化することのできる1又は2以上の乳化剤を有していてもよい。
【0050】
油相での使用に適する化合物は、限定されることなく、植物油;オクチルパルミテート、イソプロピルミリステート、及びイソプロピルパルミテートといったエステル;ジカプリルエーテルといったエーテル;セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びビフェニルアルコールといった脂肪族アルコール;イソオクタン、イソドデカン、及びイソヘキサデカンといったイソパラフィン;ジメチコン、環状シリコーン、及びポリシロキサンといったシリコーン油;鉱物油、ペトラタム、イソエイコサン、及びポリイソブテンといった炭化水素油;天然ワックス又は合成ワックス;並びに同様物を含む。適切な疎水性炭化水素油は、飽和型若しくは不飽和型であってもよく、脂肪族化合物の特性を有していてもよく、直鎖若しくは分岐していてもよく、又は脂環若しくは芳香環を含んでいてもよい。油を含有する相は、単一の油又は異なる油の混合物からなっていてもよい。
【0051】
炭化水素油は、6−20の炭素原子を有するもの、より好ましくは10−16の炭素原子を有するものを含む。代表的な炭化水素は、デカン、ドデカン、テトラデカン、トリデカン、及び炭素数8−20のイソパラフィンを含む。パラフィン炭化水素は、ISOPARSの商標名のもとでエクソン社から購入可能であり、及びパルメチル社から購入可能である。加えて、Permethyl 99ATMの商標名のもとでパルメチル社により製造されている炭素数12のイソパラフィン(イソドデカン)といった、炭素数8−20のパラフィン炭化水素もまた、適切であるといえる。イソヘキサデカン(Permethyl RTMの商標名を有する)といった、購入可能な種々の炭素数16のイソパラフィンもまた、適切である。好ましい揮発性炭化水素の例は、例えばPermethyl−99A(プレスパース社)を含むイソドデカン及びイソデカンといったポリデカン、並びにエクソンケミカル社から購入可能なIsoparシリーズといった炭素数7−8から炭素数12−15のイソパラフィンを含む。代表的な炭化水素溶媒は、イソドデカンである。
【0052】
油相は、1又は2以上のワックスを含み得、それには例えば、米ぬかワックス、カルナバワックス、オーリクリーワックス、カンデリラワックス、モンタンワックス、サトウキビワックス、オゾケライト、ポリエチレンワックス、フィッシャー−トロプシュワックス、ビーズワックス、マイクロクリスタンワックス、シリコーンワックス、フッ素化ワックス、及びこれらの混合物が含まれる。
【0053】
乳化剤には限定されることなく、乳化ワックス、乳化多価アルコール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテル、ポリオールのモノ−エステル又はジ−エステル、エチレングリコールモノ−ステアレート、グリセリンモノ−ステアレート、グリセリンジ−ステアレート、シリコーン含有乳化剤、大豆ステロール、セチルアルコールといった脂肪族アルコール、ステアリン酸といった脂肪酸、脂肪酸塩、及びこれらの混合物が含まれる。好ましい乳化剤には、大豆ステロール、セチルアルコール、ステアリン酸、乳化ワックス、及びこれらの混合物が含まれる。本発明の組成物において用いられ得る他の特定の乳化剤には、数例を挙げると、限定されることなく、ソルビタンエステル;ポリグリセリル−3−ジイソステアレート;ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンセスキオレアート、ソルビタンモノオレアート;グリセロールモノステアレート及びグリセロールモノオレアートといったグリセロールエステル;ポリオキシエチレンオクチルフェノール及びポリオキシエチレンノニルフェノールといったポリオキシエチレンフェノール;ポリオキシエチレンセチルエーテル及びポリオキシエチレンステアリルエーテルといったポリオキシエチレンエーテル;ポリオキシエチレングリコールエステル;ポリオキシエチレンソルビタンエステル;ジメチコンコポリオール;ポリグリセリル−3−ジイソステアレートといったポリグリセリルエステル;グリセリルラウレート;ステアレス−2、ステアレス−10、及びステアレス−20のうちの1又は2以上が含まれる。付加的な乳化剤は、INCI Ingredient Dictionary and Handbook(11th Edition,2006年)において提供される。この内容は、参照によって本出願に取り込まれる。
【0054】
これらの乳化剤は典型的には、組成物中、約0.001重量%から約10重量%の量、具体的には約0.01重量%から約5重量%の量、より好ましくは1重量%未満の量で存在する。
【0055】
油相は、1又は2以上の揮発性及び/又は非揮発性シリコーン油を含み得る。揮発性シリコーンは、環状及び直鎖の揮発性ジメチルシロキサンシリコーンを含む。一実施態様において、揮発性シリコーンは、シクロジメチコンを含み得、それには、テトラマー(D4)、ペンタマー(D5)、及びヘキサマー(D6)のシクロメチコン、又はこれらの混合物が含まれる。特に、揮発性シクロメチコン−ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチル−シクロテトラシロキサン、及びデカメチル−シクロペンタシロキサンが言及され得る。適切なジメチコンは、Dow Corning 200(商標名)Fluidの名称でダウコーニングから購入可能であり、それは0.65から600,000センチストークス又はそれ以上の範囲の粘度を有する。適切な非極性の揮発性液体シリコーン油は、米国特許4,781,917号明細書に記載され、この内容のすべてにおいて参照により本明細書に取り込まれる。付加的な揮発性シリコーンマテリアルは、Todd et al.,“Volatile Silicone Fluids for Cosmetics”,Cosmetics and Toiletries,91:27−32(1976)に記載され、この内容のすべてにおいて参照により本明細書に取り込まれる。直鎖状揮発性シリコーンは概して、25℃で約5センチストークス未満の粘度を有し、一方で、環状シリコーンは、25℃で約10センチストークス未満の粘度を有する。種々の粘度の揮発性シリコーンの例は、Dow Corning 200,Dow Corning 244,Dow Corning 245,Dow Corning 344,及びDow Corning 345(ダウコーニング社);SF−1204及びSF−1202 Silicone Fluids(G.E.シリコーン社),GE 7207及び7158(ジェネラルエレクトリック社);並びにSWS−03314(SWSシリコーンズ社)を含む。直鎖状揮発性シリコーンは、数例を挙げると、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、及びドデカメチルペンタシロキサンといった低分子量のポリジメチルシロキサン化合物を含む。
【0056】
非揮発性シリコーン油は典型的には、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、及びこれらの混合物を含む。ポリジメチルシロキサンは、好適な非揮発性シリコーン油である。非揮発性シリコーン油は典型的には、25℃で約10センチストークスから約60,000センチストークス、好ましくは約10センチストークスと約10,000センチストークスとの間、より好ましくは約10センチストークスと約500センチストークスとの間の粘度を有し;大気圧で250℃より高い沸点を有する。限定されない例示は、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、フェニルトリメチコン、及びジフェニルジメチコンを含む。揮発性及び非揮発性シリコーン油は任意に、数例を挙げると、アルキル、アリール、アミン基、ビニル、ヒドロキシル、ハロアルキル基、アルキルアリール基、及びアクリレート基といった種々の官能基で置換され得る。
【0057】
シリコーン中水滴型エマルションは、例えば、ポリジオルガノシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーといった非イオン性界面活性剤(乳化剤)(米国特許4,122,029号明細書に記載されるものを含み、この内容は参照により本明細書に取り込まれる)で乳化され得る。これらの乳化剤は概して、ポリジオルガノシロキサン骨格(典型的にはポリジメチルシロキサン)を含み、それは−(EO)−及び/又は−(PO)−(EOはエチレンオキシであり、POは1,2−プロピレンオキシである)を含む側鎖を有し、側鎖は典型的には水素又は低級アルキル基(例えば、炭素数1〜6、典型的には炭素数1〜3)でキャップ又は末端修飾されている。他の適切なシリコーン中水滴型乳化剤は、米国特許6,685,952号明細書に記載され、この内容は参照により本明細書に取り込まれる。購入可能なシリコーン中水滴型乳化剤は、3225C及び5225C FORMULATION AID(商標名)(ダウコーニング社);SILICONE SF−1528(ジェネラルエレクトリック社);ABIL EM 90及びEM 97(ゴールドシュミットケミカル社(ホープウェル、バージニア));並びにSILWETシリーズの乳化剤(OSIスペシャルティーズ社(ダンブリー、コネチカット))を含む。
【0058】
シリコーン中水滴型乳化剤の例は、限定されることなく、ジメチコンPEG10/15クロスポリマー、ジメチコンコポリオール、セチルジメチコンコポリオール、PEG−15ラウリルジメチコンクロスポリマー、ラウリルメチコンクロスポリマー、シクロメチコン及びジメチコンコポリオール、ジメチコンコポリオール(及び)カプリリック/カプリックトリグリセリド、ポリグリセリル−4 イソステアレート(及び)セチルジメチコンコポリオール(及び)ヘキシルラウレート、並びにジメチコンコポリオール(及び)シクロペンタシロキサンを含む。好適なシリコーン中水滴型乳化剤の例は、限定されることなく、PEG/PPG−18/18ジメチコン(商標名5225C,ダウコーニング),PEG/PPG−19/19ジメチコン(商標名BY25−337,ダウコーニング),セチル PEG/PPG−10/1ジメチコン(商標名Abil EM−90,ゴールドシュミットケミカル社),PEG−12ジメチコン(商標名SF 1288,ジェネラルエレクトリック社),ラウリル PEG/PPG−18/18メチコン(商標名5200 FORMULATION AID,ダウコーニング社),PEG−12ジメチコンクロスポリマー(商標名9010及び9011 silicone elastomer blend,ダウコーニング社),PEG−10ジメチコンクロスポリマー(商標名KSG−20,信越社),並びにジメチコンPEG−10/15クロスポリマー(商標名KSG−210,信越社)を含む。
【0059】
シリコーン中水滴型乳化剤は典型的には、組成物中、約0.001重量%から約10重量%の量、具体的には約0.01重量%から約5重量%の量、より好ましくは1重量%未満の量で存在する。
【0060】
エマルションの水相は、エタノール、イソプロパノール、及び同様物といった低級アルコールを含む、1又は2以上の付加的な溶媒を含み得る。揮発性溶媒はまた、ブチルアセテート若しくはエチルアセテートといった化粧品として許容可能なエステル;アセトン若しくはエチルメチルケトンといった化粧品として許容可能なケトン;又は同様物であってもよい。
【0061】
油含有相は典型的には、エマルションの全重量に基づき、約10重量%から約99重量%、好ましくは約20重量%から約85重量%、より好ましくは約30重量%から約70重量%を構成し、水相は典型的には、エマルションの全重量に基づき、約1重量%から約90重量%、好ましくは約5重量%から約70重量%、より好ましくは約20重量%から約60重量%を構成する。水相は典型的には、約25重量%から約100重量%、より好ましくは約50重量%から約95重量%を構成する。
【0062】
組成物は、リポソームを含み得る。リポソームは、他の添加剤若しくは物質を含んでいてもよく、及び/又は投与後ある部位により特異的に到達するように若しくは留まるように修飾されていてもよい。
【0063】
組成物は任意に、当業者にとって明らかである、他の化粧用活性剤及び添加剤を含んでいてもよく、それには限定されることなく、フィラー、乳化剤、抗酸化剤、界面活性剤、膜形成剤、キレート剤、ゲル化剤、増粘剤、エモリエント、保湿剤、モイスチャー剤、ビタミン、ミネラル、粘度及び/又はレオロジー変性剤、サンスクリーン、角質溶解剤、レチノイド、ホルモン化合物、α−ヒドロキシ酸、α−ケト酸、抗抗酸菌剤、抗真菌剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、鎮痛剤、脂質化合物、抗アレルギー剤、H1又はH2抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、抗刺激剤、抗腫瘍剤、免疫系賦活剤、免疫系抑制剤、抗にきび剤、麻酔剤、消毒剤、防虫剤、皮膚冷却化合物、皮膚保護剤、皮膚浸透亢進剤、剥脱剤(exfollient)、潤滑剤、香料、着色料、脱色剤(depigmenting agents)、脱色剤(hypopigmenting agents)、防腐剤、安定化剤、薬剤、光安定化剤、サンスクリーン、並びにこれらの混合物が含まれる。前述に加えて、本発明の化粧品組成物は、皮膚疾患の治療のための他の化合物を含んでいてもよい。
【0064】
着色剤は、例えば、有機及び無機顔料、並びに真珠光沢剤を含み得る。適切な無機顔料は、限定されることなく、酸化チタン、酸化ジルコニウム、及び酸化セリウム、並びに酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、及びフェリックブルーを含む。適切な有機顔料は、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、及びアルミニウムレーキ、並びにカーボンブラックを含む。適切な真珠光沢剤は、酸化チタン、酸化鉄、又は天然の顔料で被覆されたマイカを含む。
【0065】
種々のフィラー及び付加的な成分が加えられ得る。フィラーは通常、組成物の全重量に基づき、約0重量%から約20重量%の量で、好ましくは約0.1重量%から約10重量%の量で存在する。適切なフィラーは、限定されることなく、シリカ、処理されたシリカ、タルク、ステアリン酸亜鉛、マイカ、カオリン、Orgasol(商標名)といったナイロン粉末、ポリエチレン粉末、テフロン(商標名)、スターチ、窒化ホウ素、Expancel(商標名)(ノーベルインダストリー社)といったコポリマーミクロスフェア、Polytrap(商標名)(ダウコーニング社)及びシリコーン樹脂マイクロビーズ(Tospearl(商標名)(東芝社)、並びに同様物を含む。
【0066】
本発明の一実施態様において、組成物は、限定されることなく、植物、角質溶解剤、落屑剤(desquamation agent)、ケラチノサイト増殖亢進剤、コラゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、脱色剤、抗炎症剤、ステロイド、抗にきび剤、抗酸化剤、サリチル酸又はサチリル酸塩、チオジプロピオン酸又はそのエステル、終末糖化産物(AGE)阻害剤といった付加的な皮膚活性剤を含み得る。
【0067】
特定の実施態様において、組成物は、例えば、植物抽出物、エッセンシャルオイル、又は植物自体といった少なくとも1つの付加的な植物を含み得る。適切な植物は、限定されることなく、アビエスピンドロー(Abies pindrow),アセンヤクノキ(Acacia catechu),アモロファファルスカンパニュラツス(Amorphophallus campanulatus),アノゲイサスラティフォリア(Anogeissus latifolia),アスムンダジャポニカ(Asmunda japonica),アザディラチタ インディカ(Azadirachta indica),ハナモツヤクノキ(Butea frondosa),ハナモツヤクノキ(Butea monosperma),ヒマラヤシダー(Cedrus deodara),デリススカンデンスベンス(Derris scandens Benth),アンマロク(Emblica officinalis),ベンガルボダイジュ(Ficus benghalensis),カンゾウ(Glycyrrhiza glabra),ハルンガナマダガスカリエンシス(Harungana madagascariensis),カナムグラ(Humulus scandens),ナナミノキ(Ilex purpurea Hassk),イヌララセモサ(Innula racemosa),リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong),リグスティクムルキドゥム(Ligusticum lucidum),クスノハガシワ(Mallotus philippinensis),Melicope hayesii(メリコペハイエシー)、ミサキノハナ(Mimusops elengi),ヤエヤマアオキ(Morinda citrifolia),ワサビノキ(Moringa oleifera),ナリンギクレヌラタ(Naringi crenulata),キョウチクトウ(Nerium indicum),スベリヒユ(Portulaca oleracea),ポーツラカサティバ(Portulaca sativa),オランダビユ(Psoralea corylifolia),サピンダスララク(Sapindus rarak),シロゴチョウ(Sesbania grandaflora),ステノローマクサーナ(Stenoloma chusana),Taliacora triandra,ビビタキ(Terminalia bellerica),トマト糖脂質(tomato glycolipid)からの抽出物、及びそれらの混合物を含む。
【0068】
組成物は、抗老化効果を有する付加的な活性成分を含有し得る。このような組み合わせにより相乗効果が得られることが期待されるからである。典型的な抗老化成分は、限定されることなく、数例を挙げると、植物(例えば、ツルハナモツヤクノキ(Butea Frondosa)抽出物);チオジプロピオン酸(TDPA)及びそのエステル;レチノイド(例えば、オール−トランスレチノイン酸,9−シスレチノイン酸,フィタン酸、及びその他);ヒドロキシ酸(α−ヒドロキシ酸及びβ−ヒドロキシ酸),サリチル酸及びサリチル酸塩;角質除去剤(例えば、グリコール酸,3,6,9−トリオキサウンデカン二酸等),エストロゲン合成酵素促進化合物(例えば、カフェイン及び誘導体);5α−リダクターゼ活性阻害作用を有する化合物(例えば、リノレン酸、リノール酸、フィナステライド、及びこれらの混合物);バリア機能促進剤(例えば、セラミド、グリセリド、コレステロール、及びこれらのエステル、α−ヒドロキシ脂肪酸、ω−ヒドロキシ脂肪酸、及びこれらのエステル等);コラゲナーゼ阻害剤;並びにエラスターゼ阻害剤を含む。
【0069】
典型的なレチノイドは、限定されることなく、レチノイン酸(例えば、オール−トランス又は13−シス)及びそれらの誘導体,パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール及びレチノールプロピオナートといったレチノール(ビタミンA)及びそれらのエステル、並びにそれらの塩を含む。
【0070】
他の実施態様において、本発明の局所用組成物はまた、皮膚浸透促進剤、エモリエント、皮膚プランパー、オプティカルディフューザー、サンスクリーン、角質除去剤、及び抗酸化剤のうちの1又は2以上を含んでいてもよい。
【0071】
エモリエントは、皮膚の滑らかさを向上させ、小じわ及び粗いしわの外観を低減させる機能的効果を提供する。例は、イソプロピルミリステート、ペトロラタム、イソプロピルラノレート、シリコーン(例えば、メチコン、ジメチコン)、油、鉱物油、脂肪酸エステル、又はこれらの混合物を含む。エモリエントは好ましくは、組成物の全重量の約0.1重量%から約50重量%存在し得る。
【0072】
皮膚プランパーは、皮膚のコラーゲン促進剤として機能する。適切かつ好ましい皮膚プランパーの例は、パルミトイルオリゴペプチドである。他の皮膚プランパーは、コラーゲン及び/又は他のグリコサミノグリカン(GAG)の促進剤である。皮膚プランパーが存在する場合、組成物の全重量の約0.1重量%から約20重量%を構成し得る。
【0073】
オプティカルディフューザーは、皮膚表面の視覚を変化させる粒子であり、それにより、例えば線及びしわを視覚的にぼやかし和らげることができる。本発明において用いられ得るオプティカルディフューザーの例は、限定されることなく、窒化ホウ素、マイカ、ナイロン、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリウレタン粉末、絹雲母、シリカ、シリコーン粉末、タルク、テフロン、二酸化チタン、酸化亜鉛、又はこれらの混合物を含む。オプティカルディフューザーが存在する場合、組成物の全重量の約0.01重量%から約20重量%で存在し得る。
【0074】
ダメージを与える紫外線光から皮膚を保護するためのサンスクリーンがまた、含まれ得る。好ましいサンスクリーンは、オクトクリレン、アボベンゾン(Parsol 1789)、オクチルメトキシシナメート、オクチルサリチレート、オキシベンゾン、ホモサレート、ベンゾフェノン、しょうのうの誘導体、酸化亜鉛、及び二酸化チタンといった、UVB及びUBAの広範囲における保護が可能なものである。サンスクリーンが存在する場合、組成物の約0.01重量%から約70重量%を構成し得る。
【0075】
適切な角質除去剤は、例えば、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、オキソ酸、オキソ二酸、並びにエステル、無水物、及び塩といったそれらの誘導体を含む。適切なヒドロキシ酸は、例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、2−ヒドロキシアルカン酸、マンデル酸、サリチル酸、及びこれらの誘導体を含む。好適な角質除去剤は、グリコール酸である。角質除去剤が存在する場合、組成物の約0.1重量%から約80重量%を構成し得る。
【0076】
抗酸化剤はとりわけ、環境の外的因子から皮膚を保護するために、皮膚からフリーラジカルを捕捉するように機能する。本発明において用いられ得る抗酸化剤の例は、アスコルビン酸及びその誘導体/エステル;α−ヒドロキシ酸;β−カロテン;カテキン、クルクミン;フェルラ酸誘導体(例えば、フェルラ酸エチル、フェルラ酸ナトリウム);没食子酸誘導体(例えば、没食子酸プロピル);リコペン;還元酸;ロスマリン酸;タンニン酸;テトラヒドロクルクミン;トコフェロール及びその誘導体;尿酸;又はこれらの混合物といったフェノール性ヒドロキシ基を有する化合物を含む。他の適切な抗酸化剤は、グルタチオン、リポ酸、チオグリコール酸、及び他のスルフヒドリル化合物といった、還元型又は非還元型での、1又は2以上のチオール基(−SH)を有するものである。抗酸化剤は、亜硫酸水素塩、メタ亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、又は硫黄を含む他の無機塩及び酸といった、無機物でもよい。本発明の組成物は、抗酸化剤を、組成物の全重量の好ましくは約0.001重量%から約10重量%、より好ましくは約0.01重量%から約5重量%含有し得る。
【0077】
他の通常の添加剤は、トコフェロール及びアスコルビン酸といったビタミン;アスコルビルモノパルミテートといったビタミン誘導体;ヒドロキシアルキルセルロースといった増粘剤;ゲル化剤;ベントナイト、スメクタイト、ケイ酸マグネシウムアルミニウム及びケイ酸リチウムマグネシウムといった構造化剤(structuring agent);EDTAといった金属キレート剤;酸化亜鉛及び二酸化チタンといった顔料;着色料;エモリエント;並びに保湿剤を含む。
【0078】
組成物は、例えば有機過酸化物又は無機過酸化物を含む、強力な酸化作用を有する成分を本質的に含まないのが好ましい。“本質的に含まない”とは、(該成分が)存在する量では、1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドのコラーゲンI、デスモグレイン、及び/又はデルマトポンチン亢進活性に測定可能な影響を与えるほどではないことを意味する。いくつかの実施態様において、該成分は、1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドの量に対して、モルベースで1重量%未満含まれる。
【0079】
一実施態様において、1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドを含有する本発明の組成物は、約1と約8との間のpHを有し得る。ある実施態様において、該組成物のpHは、酸性であり、すなわち、7.0未満、好ましくは約2と約7との間、より好ましくは約3.5と約5.5との間である。
【0080】
本発明は、好ましくは化粧品として許容可能な媒材中に、1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドを含有する組成物を、局所適用することにより、老化した皮膚を治療する方法を提供する。該組成物は、老化の皮膚科学的なサインを低減させ、改良させ、改善させ、又は抑制するのに十分な期間、罹患部位に適用される。この方法は具体的には、皮膚の光老化及び内因性の老化のサインを治療するのに有用である。
【0081】
概して、コンディション及び/又は審美上の外観における改善は、年齢による老化、光老化、ホルモンによる老化、及び/又は化学線による老化の皮膚科学的なサインを低減させる;線及び/又はしわの外観を抑制及び/又は低減させる;顔の線及びしわ、頬、額のしわ、眉間のしわ、目の上及び口の周りの横じわ、マリオネットライン、並びに特に深いしわ又は折り目の外観を低減させる;線及び/又はしわの外観及び/又は深さを抑制、低減、及び/又は減少させる;眼窩下の線及び/又は眼窩周囲の線の外観を改善させる;目尻のしわの外観を低減させる;皮膚、具体的には老化した皮膚を若返らせ、及び/又は再生させる;皮膚の脆弱性を低減させる;グリコサミノグリカン及び/又はコラーゲンの喪失を抑制及び/又は改善させる;エストロゲンのアンバランスの影響を改善させる;皮膚萎縮を抑制する;色素過剰を抑制し、低減させ、及び/又は治療する;皮膚の変色を最小化する;皮膚のトーン、輝き、明るさ、及び/又はこわばりを改善させる;皮膚のたるみを抑制し、低減させ、及び/又は改良する;皮膚の硬さ、張り(plumpness)、柔軟性、及び/又は柔らかさを改善する;プロコラーゲン及び/又はコラーゲン生成を改善させる;皮膚のきめを改善させ、及び/又は再組織化を促進する;皮膚のバリア修復及び/又は機能を改善させる;皮膚の凹凸の外観を改善させる;皮膚の光沢及び/又は輝きを回復させる;疲労及び/又はストレスの皮膚化学的なサインを最小化する;環境的なストレスに耐える;老化及び/又は更年期により減少した皮膚の成分を補充する;皮膚細胞間のコミュニケーションを改善させる;細胞増殖及び/又は増加を促進する;老化及び/又は更年期により減少した皮膚細胞の代謝を促進する;細胞の老化を遅らせる;皮膚の湿潤を向上させる;皮膚の厚さを強化させる;皮膚の弾性及び/又は弾力性を増加させる;剥離を促進する;微小循環を改善させる;セルライト形成を減少及び/又は抑制する;並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0082】
特定の理論に縛られるものではないが、本発明の組成物は、コラーゲンを促進することで、及び/又はデスモグレインの促進を介してケラチノサイト間の細胞−細胞接着を向上させることで、皮膚の審美上の外観を向上させ、及び改善させると考えられる。
【0083】
組成物は典型的には、所望の抗老化作用が得られるのに必要な期間、毎日1回、2回、又は3回皮膚に適用される。治療レジメンは、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも8週間、又は少なくとも12週間、毎日適用することを含み得る。長期間の治療レジメンもまた、期待される。
【0084】
1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドの活性成分は、“個人の必要に応じて”局所適用される。この個人とは、皮膚のダメージ又は老化の、目に見えるサインを低減する利益を受ける個人を意味する。特定の実施態様において、1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドの成分は、薬学的に、生理学的に、化粧品として、及び皮膚化学的に許容可能な媒材、希釈剤、又はキャリア中に提供され、組成物は、皮膚のコンディション及び審美上の外観を改善させるのに有効な量で、皮膚の罹患部位に局所適用され、及び罹患部位に留まるように適用される。
【0085】
一実施態様において、小じわ及びしわを治療する方法は、必要に応じて個人の皮膚に1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドを含有する本発明の組成物を局所適用することを含み、例えば、小じわ及び/若しくはしわの程度を低減させ、又は新しい小じわ及び/若しくはしわの形成を抑制若しくは阻害するのに十分な量及び期間で、小じわ及び/若しくはしわに直接的に局所適用する。小じわ及びしわの形成又は外観に対する組成物の効果は、定性的に(例えば目視により)、又は定量的に(例えば顕微鏡又はコンピューターによるしわの形態の評価(例えば、皮膚の単位領域あたりのしわの数、深さ、長さ、面積、容積、及び/又は幅)により)、評価され得る。この実施態様は、手、腕、足、首、胸、及び額を含む顔の皮膚におけるしわの治療を含む。
【0086】
本発明の組成物は、必要に応じて個人のひ薄化した皮膚に該組成物を局所適用することによる、ひ薄化した皮膚の治療にも有用であることが期待される。“ひ薄化した皮膚”の意味には、年齢による老化、更年期、又は光によるダメージに起因してひ薄化した皮膚が含まれる。いくつかの実施態様において、該治療は男性のひ薄化した皮膚を対象とし、一方、他の実施態様においては、該治療は更年期前又は更年期後の女性のひ薄化した皮膚を対象とする。皮膚のひ薄化は、男性と女性とで年齢により異なり、特に女性において年齢の段階により異なると考えられている。
【0087】
本発明の方法は、老化を未然に防ぐように予防的に利用され得、(対象として)皮膚の老化のサインを呈していない患者、通常25歳以下の個人を含む。該方法はまた、通常25歳以上の患者においていったん現れた老化のサインを改善し、又は治療し得る。
【実施例1】
【0088】
(コラーゲンIの促進)
ヒト皮膚線維芽細胞(カスケードバイオロジック社)を、96−well組織培養プレート中の培地(DMEM,5%FBS,1%L−Glut,及び1%抗生物質)で培養した。37℃で24時間インキュベートした。その後、細胞を培地中に希釈された試験活性物で処理し、37℃で48時間インキュベートした。培養液を収集し、プロコラーゲン1の存在を評価した。プロコラーゲン1のレベルを、タカラからのELISA kit(Procollagen Type−1 C−Peptide EIA Kit、タカラバイオ社)を用いて(その使用説明書に従って)評価した。5μg/mLの1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドで処理した繊維芽細胞では、コントロールに比して、コラーゲン合成が75.4%増加した。
【実施例2】
【0089】
(デスモグレインの促進)
正常ヒトケラチノサイトを、96−well組織培養プレート中の、増殖添加剤を加えたEpilife培地(カスケードバイオロジック社)で培養した。細胞を、10%CO下の加湿した37℃のインキュベーター内で24時間、培地中に希釈されたテストマテリアル又はジメチルスルホキシドのビヒクルコントロールで処理した。インキュベート後、各プレートから培地を取り除き、100μLの溶解バッファーを各々のウェルに加え、30分間10%CO下の加湿した37℃のインキュベーター内に置いた。インキュベート後、フリーザープレートに細胞を収集し、分析まで−80℃のフリーザーに置いた。処理後のデスモグレイン3(DSG3)のmRNAの変化を、パノミックスQuantigene多重分析(分枝DNA技術を用いている)を用いて分析した。各エンドポイントのmRNAの増加(%)は、コントロールの抽出物のテスト結果を比較することにより算出した。
【0090】
0.0005%の濃度の1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドで処理したケラチノサイトでは、24時間後、デスモグレイン1の発現が95%増加した。得られた結果は、アッセイした3サンプルの平均であり、p<0.05で統計的に有意であった。0.00005%のテストマテリアルでの処理では、デスモグレイン1発現に統計的に有意な増加は見られなかった。
【実施例3】
【0091】
(デルマトポンチン生成の促進)
正常ヒト皮膚繊維芽細胞を適切な培地を含有する96−well組織培養プレートで培養した。細胞を、10%CO下の加湿した37℃のインキュベーター内で24時間、培地中に希釈された1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドのテストマテリアルで処理した。インキュベート後、各プレートから培地を取り除き、100μLの溶解バッファーをウェルに加え、30分間10%CO下の37℃のインキュベーター内に置いた。インキュベート後、フリーザープレートに細胞を収集し、分析まで−80℃のフリーザーに置いた。処理後のデルマトポンチンのmRNAの変化を、パノミックスQuantigene多重分析(分枝DNA技術を用いている)を用いて分析した。デルマトポンチンのmRNA増加割合を、そのテスト結果をビヒクルコントロールのテスト結果と比較することにより算出した。0.0005%又は0.00005%の1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドで処理した繊維芽細胞では、各々デルマトポンチンのmRNAレベルにおいて62%及び43%の促進が見られた。報告された全結果において、p<0.05で統計的に有意であった。
【実施例4】
【0092】
(典型的な製剤)
有効量の1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドの活性剤を含有するスキンケア製品の典型的な製剤を、表1に示す。
【0093】
【表1】

【0094】
製剤1−4は、小じわ及びしわといった光老化及び/又は内因性の老化のサインを抑制し、治療し、及び/又は低減するように、顔の皮膚を含む皮膚に局所適用される。該製剤は、1又は2以上の皮膚老化のサインの臨床的に測定可能な減少を提供するのに十分な回数で皮膚に局所適用され、典型的には1週間、2週間、又は3週間から約8週間又はそれ以上(長期治療を含む)、毎日1日1回、2回、又は3回の治療が含まれる。
【実施例5】
【0095】
(典型的な化合物の合成)
以下のピラジン−2−カルボン酸からの典型的な1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドの合成を、下記のスキームに示す。表2は、プロセスのスループットを示す。プロセスは、2−3kgのスケールにおいてステージ4まで良好に最適化される。ステージ5,6,7,及び8は、350gのスケールにおいて最適化される。
【0096】
【化7】

【0097】
【表2】

【0098】
(化合物1の合成)
あらかじめ冷却されたメタノール(24900mL,3Vol)を、−5℃から0℃(温度は−5℃から25℃に上がった)でNaOMe(3683g,68.2mol,1.8equiv)に加えた。これに、メタノール(41500mL,5Vol)中のL−オルニチンメチルエステル塩酸塩(8300g)の溶液を、温度を0℃未満に維持しながら加えた。反応混合物を2時間撹拌し、H NMRでモニターした。反応終了後、H NMRで示されるように、MTBE(50000mL,6Vol)を、温度を0℃未満に維持しながら、該反応混合物に加えた。スラリーを30分間撹拌し、セライトベッドでろ過し、MeOH(2×2000mL)中の50%MTBEで洗浄した。固形の固まり(THF(2×2000mL)と共沸混合される)となるように湯温を30−35℃に維持しながら、ろ液を高真空(1mm)下で濃縮した。所望の生成物は、淡黄色の固体(4320g,100%)であり、最終生成物はH NMRにより特定された(不純物は特に見られかった)。
【0099】
(化合物5の合成)
5Lの三口丸底フラスコにメタノール(1800mL)を室温で加えた。化合物2(300g,1.369mol,1.0equiv)を室温とした。反応混合物を−2℃に冷却し、温度を−5℃から−2℃に維持しながら(加える時間は1時間)、メタノール中の25重量%NaOMe溶液(532.3mL,2.46mol,1.8equiv)に加えた。反応混合物を−5℃から−2℃で2時間撹拌し、H NMRでモニターした。温度を5−10℃に維持しながら、MTBE(1800mL,6Vol)を加え、30分間撹拌した。スラリーをセライトベッドでろ過した(ろ過はゆっくりと行い、1時間かけた)。ろ液の全量は3600mLであり、減圧下(回転蒸発器、湯温30℃)で300mLに濃縮した。この溶液を塩生成反応に用いた。
【0100】
5Lの三口丸底フラスコにN−メチル−2−ピロリジノン(NMP,1200mL,7vol)を室温で加えた。化合物4(169.86g,1.369mol,1equiv)を室温とした。化合物4は室温で部分的に溶解し、40−45℃に加熱すると透明な溶液となった。化合物3(容量300mL)を15分以上30℃とし、発熱が観察された(30℃から44℃)。スラリーを室温で3時間撹拌し、MTBE(2000mL)を加えた。反応混合物を30分以上5−10℃に冷却し、ろ過した。固体をMTBE(2000mL)中でスラリーとし、室温で15分間撹拌した。スラリーをろ過し、真空下で乾燥させ、白色固体(240g,86%)として化合物7を得た。単離された塩のH NMRでは、アミン(3)及び酸(4)の58:42の比率が示された。
【0101】
(化合物6の合成)
100Lのジャケット形反応器に1−メチル−2−ピロリジノン(22L)を室温で入れた。その後、化合物5(2.7kg,11.34mol,1equiv)を加え、室温(いくらかの発熱が観察され、温度は25℃から30℃に上昇した)に維持しつつ、HOBt(345g,2.25mol,0.2equiv)、次いでEDC・HCl(2.7kg,14.0mol,1.25equiv)を少しずつ加えた。反応混合物を24時間室温で撹拌し、HPLC及びELSDでモニターした。スターティングマテリアルは観察されなかった。MeOH(5.4L)、次いでMTBE(21L)を室温で加え、温度を5−10℃に維持しつつ、30分間撹拌した。固体をろ過し、MTBE(12L)で洗浄した。生成物を真空オーブンで乾燥させた。
【0102】
(化合物7の合成)
N−(2−オキソピペリジン−3−イル)ピラジン−2−カルボキサミド(5)(2.6kg,純度99%(HPLCによる))及びPd(OH)(520g)を50Lの反応器に入れ、エタノール(39L,15vol)を加えた。混合物に2回窒素パージを行い、12時間、水素雰囲気下(80psi)、70℃で撹拌した。TLC(50:50 MeOH/酢酸エチル)分析で、生成物の生成が示された(スターティングマテリアルは観察されなかった)。反応混合物を室温に冷やし、セライトベッドでろ過した。セライトベッドをEtOH/CHCl(50:50)(2×19.5L)で洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させた。粘度を有する液体(thick liquid)として生成物を得た。これに塩化メチレン(10vol)を加え、45℃減圧下で残留エタノールと置換した。塩化メチレン(2×5vol)を加え、45℃減圧下で残留溶媒と置換した。オフホワイト色の固体(2.85kg)として生成物を得た。H NMRは一致しており、ELSDにより4%エタノール及び94%の純度が示された。生成物はその後、乾燥され得た。
【0103】
(化合物8の合成)
化合物8の合成は、350.0g(6)のスケールで行った。
【0104】
【表3】

【0105】
メタノール(1.0vol)及び塩化メチレン(14vol)中の化合物6(350g,1.0equiv)の溶液に、0−5℃で6時間以上かけて、CHCl(5vol)中の(Boc)O(0.9equiv)の溶液を滴下した。反応の進展をTLC及びELSDによりモニターした。滴下終了後、スターティングマテリアルは観察されなかった。反応混合物にブライン溶液(400mL,5vol)を加え、15分間撹拌し、その後水層を分離し、塩化メチレン(3×500mL)で抽出した。15%クエン酸溶液(7vol)を加え、15分間撹拌した。水層を分離し、3NのNaOH溶液(5vol)で塩基性とし、その後塩化メチレン(30vol)で抽出した。有機層をブライン(750mL)で洗浄し、およそ10volに濃縮し、溶液(KF0.1%)を次の工程に投入した。8の収率は、少ないアリコートのLOD分析に基づき、51.5%とされた。モノBoc保護はまた、水中で最適化され得る。
【0106】
(化合物9の合成)
【表4】

【0107】
塩化メチレン中の化合物8の溶液に、EtN(2.0equiv)を加え、混合物を10分間0−5℃で撹拌し、その後30分間以上かけて4−メトキシベンゾイルクロリドを滴下した。反応の進展をTLCによりモニターし、1時間後、スターティングマテリアルは観察されなかった。反応混合物に15%クエン酸溶液(5vol)を加え、有機層を分離し、1NのNaOH溶液(5vol)で洗浄した。有機層をブラインで洗浄し、およそ2volに濃縮し、その後5volのIPAcを加えた。溶液を再びおよそ2volに濃縮した(サンプルをOVI分析した)。最後に、透明な溶液(KF分析を行った)を3volのIPAc(全量5vol,1.75L)で希釈し、次の工程に投入した。溶液の収率は、定量とされた。
【0108】
(化合物10の合成)
【表5】

【0109】
前工程からの化合物9の溶液に、ジオキサン(2.5equiv)中の5MのHClを10℃でゆっくりと加え、スラリーを14時間室温で撹拌した。反応の進展をTLC及びHPLCによりモニターし、HPLCにより11%のスターティングマテリアルが示された(反応混合物はスラリーであり、分析は正確ではないかもしれない)。混合物を2volのIPAcで希釈し、1時間撹拌した。固体をろ過し、IPAcで洗浄した。湿重量は515gであった(NMR分析により40%のIPAcを含有していた)。収率は3工程(Boc保護,ベンゾイル化及び脱保護)で50%であった。
【0110】
(化合物11(1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミド)の合成)
典型的な1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドの合成は、45.0gのスケールで行われた。
【0111】
【表6】

【0112】
ジクロロメタン(10vol)中の化合物10(45.0gフリーベース(freebase),0.125mol,1.0equiv)の溶液に、トリメチルアミン(25.4g,0.25mol,2.0equiv)を加え、10分間0−5℃で反応混合液を撹拌し、その後メシルクロリド(1.1equiv)を滴下した。滴下終了後、反応混合液を1時間撹拌した(反応の進展をTLC及びHPLCによりモニターした)。反応をスターティングマテリアルの残量が<2%となった時点で終了させた。反応混合液を飽和重炭酸塩溶液(225mL,5vol)で急冷し、200mLのジクロロメタンで希釈した。有機層を分離し、1NのHClで洗浄し、乾燥及び濃縮してオフホワイト色の固体として化合物11(1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミド)(40.0g,73%)を得た。H NMRは一致しており、HPLCにより95.5%の純度が示された。化合物10のHCl塩がスケールアップ反応に用いられ得る。
【0113】
本明細書に記載された特許出願及び公報を含む全ての参照は、各々個々の公報、特許、又は特許出願が全ての目的のためにその全てにおいて参照により取り込まれるよう具体的及び個別に示唆される場合と同様に、その全体において及び全ての目的のために参照により本明細書に取り込まれる。この発明の多くの改良及び変形が、本技術分野における当業者にとって明らかであるように、本発明の精神及び範囲を逸脱することなくなされ得る。本明細書に記載された特定の実施態様は、例示のために提供されたにすぎず、本発明は、特許請求の範囲に記載された用語のみに制限されず、それは特許請求の範囲に記載されたものの同等物の全範囲についても同様である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品として許容可能な媒材中の、有効量の1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミド又はその化粧品として許容可能な塩を、必要に応じて個人の皮膚に局所適用すること、を含む、ヒトの皮膚に効果を与える方法。
【請求項2】
前記1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドが、一般式(I)の構造を有する、
(R,R,R,R,R,R,及びRは、独立して、水素原子又は(−R−R10)基であり;
は、それぞれ独立して、結合;炭素数1〜20の脂肪族炭化水素ラジカル;炭素数1〜20の芳香族炭化水素ラジカル;又は炭素数1〜20のヘテロアリールラジカルを表し、
10は、それぞれ独立して、水素原子;−F;−Cl;−Br;−I;−OH,−OR;−NH;−NHR;−N(R);−N(R);−N(R)−OH;−N(→O)(R);−O−N(R);−N(R)−O−R;−N(R)−N(R);−C=N−R;−N=C(R);−C=N−N(R);−C(=NR)−N(R);−SH;−SR;−CN;−NC;−CHO;−COH;−CO;−COR;−(C=O)−S−R;−O−(C=O)−H;−O−(C=O)−R;−S−(C=O)−R;−(C=O)−NH;−(C=O)−N(R);−(C=O)−NHNH;−O−(C=O)−NHNH;−(C=S)−NH;−(C=S)−N(R);−N(R)−CHO;−N(R)−(C=O)−R;−(C=NR)−O−R;−O−(C=NR)−R,−SCN;−NCS;−NSO;−SSR;−N(R)−C(=O)−N(R);−N(R)−C(=S)−N(R);−SO−R;−O−S(=O)−R;−S(=O)−OR;−N(R)−SO−R;−SO−N(R);−O−SO;−O−S(=O)−OR;−O−S(=O)−OR;−O−S(=O)−R;−S(=O)−OR;−S(=O)−R;−NO;−NO;−NO;−O−NO;−O−NO;−N;−N−R;−N(C);−Si(−R);−CF;−O−CF;−(C=O)−R;−PR;−O−P(=O)(OR);−P(=O)(OR);=O;=S;=NR;炭素数1〜20の脂肪族炭化水素ラジカル;炭素数1〜20の芳香族炭化水素ラジカル;又は炭素数1〜20のヘテロアリールラジカル;から選択され、
Rは、それぞれ独立して、水素原子、又は飽和した、部分的に飽和した、若しくは芳香族の炭素数1〜20の炭化水素ラジカル若しくはそれらのハロ誘導体であり、
フェニル環にともに結合しているR1−5は任意に、環において窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選択される1又は2以上のヘテロ原子を含む、置換された五員環又は六員環のヘテロアリール環を形成し、
フェニル環にともに結合している、2つの隣接する基R,R,R,R及びRは、五員環又は六員環の脂肪環又は芳香環を形成し(任意に1又は2以上のR10基で置換され、及び任意に環において酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選択される1又は2以上のヘテロ原子を含む))
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【化1】

【請求項3】
,R,R及びRは、水素原子を表す、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
は、−OR基を表す、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
は、−OCHを表す、
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
及びRは、水素原子を表す、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
は、(−(C=O)−R)基である、
(Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、フェニル、トルイル、又はベンジルからなる群より選択される)
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項8】
は、(−(C=O)−C)基である、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
は、(−SO−R)基である、
(Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、フェニル、トルイル、又はベンジルからなる群より選択される)
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項10】
は、(−SO−CH)基である、
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記効果が、下記(a)〜(p)
((a)小じわ又はしわを治療、低減、及び/若しくは抑制する、
(b)皮膚の毛穴のサイズを小さくする、
(c)皮膚の厚み、ふくらみ、及び/若しくは張りを改善する、
(d)皮膚の柔らかさ、及び/若しくは柔軟性を改善する、
(e)皮膚のトーン、輝き、及び/若しくは透明度を改善する、
(f)プロコラーゲン及び/若しくはコラーゲンの生成を改善する、
(g)エラスチンの維持及び再構築を改善する、
(h)皮膚のきめを改善し、及び/若しくは再組織化を促進する、
(i)皮膚バリアを修復し、及び/若しくはその機能を改善する、
(j)皮膚の凹凸を改善する、
(k)皮膚の艶及び/若しくは明るさを修復する、
(l)皮膚の必須栄養素及び/若しくは構成要素を補充する、
(m)更年期により劣化した皮膚の外観を改善する、
(n)皮膚の潤いを改善する、
(o)皮膚の弾性及び/若しくは弾力性を向上させる、又は、
(p)皮膚のたるみを治療し、低減させ、及び/若しくは抑制する)
からなる群より選択される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記効果は、小じわ又はしわの治療、低減、及び/又は抑制である、
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記効果は、皮膚のたるみの治療、低減、及び/又は抑制である、
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドが、下記構造式又はその化粧品として許容可能な塩を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【化2】

【請求項15】
前記1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドが、下記構造式又はその化粧品として許容可能な塩を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【化3】

【請求項16】
しわ及び/又は小じわの程度を低減させるのに十分な期間、化粧品として許容可能な媒材中の、有効量の1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミド又はその化粧品として許容可能な塩を、必要に応じて個人の皮膚のしわ及び/又は小じわに局所適用すること、を含む、しわ及び/又は小じわを治療する方法。
【請求項17】
化粧品として許容可能な媒材中に、約0.0001重量%から約25重量%の1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドを含有する化粧品組成物。
【請求項18】
前記化粧品として許容可能な媒材は、油中水滴型エマルション又は水中油滴型エマルションを含む、
ことを特徴とする請求項17に記載の化粧品組成物。
【請求項19】
前記1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドが、下記構造式又はその化粧品として許容可能な塩を有する、
ことを特徴とする請求項17に記載の化粧品組成物。
【化4】

【請求項20】
前記1−アロイル−N−(2−オキソ−3−ピペリジニル)−2−ピペラジンカルボキサミドが、下記構造式又はその化粧品として許容可能な塩を有する、
ことを特徴とする請求項17に記載の化粧品組成物。
【化5】


【公表番号】特表2012−514001(P2012−514001A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543671(P2011−543671)
【出願日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/069372
【国際公開番号】WO2010/078181
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(399130393)エイボン プロダクツ インコーポレーテッド (75)
【Fターム(参考)】