説明

11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの阻害剤

式(I)で示される化合物ならびに薬学的に許容されるその塩(ここで、置換基は本明細書に開示されるとおりである)が本発明において提供される。これらの化合物およびそれらを含有する医薬組成物は、例えばII型糖尿病およびメタボリックシンドロームのような疾患の処置に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの阻害剤に関する。この阻害剤は、例えばアミノ−1−アリール−ピラゾール−3−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド、およびその誘導体を包含し、II型糖尿病およびメタボリックシンドロームのような疾患の処置に有用である。
【0002】
本発明は、式(I):
【化1】


[式中、
は、水素または低級アルキルであり;
は、低級アルキル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CHOH、−(CHCH(CH)OHまたは−(CHOCHであるか;あるいは、
およびRは、それらが結合しているN原子と一緒になって、五〜七員単環式環(これは、RおよびRが結合しているN原子と、場合により、OおよびSから選択される別のヘテロ原子を含む)を形成し、
ここで、この五〜七員単環式環は、非置換であるか、またはヒドロキシ、低級アルキルおよび−(CHOHから独立して選択される置換基で一または二置換されており;
は、H、ハロゲン、低級アルキルおよび低級アルコキシから独立して選択される1以上の置換基であり;
は、水素、−OH、−NHC(=O)CHまたは−NHS(=O)(=O)CHであり;
nは、1、2、3または4である]
で示される化合物および薬学的に許容されるその塩に関する。
【0003】
糖尿病は、罹患者の数が世界中で増加しつつある重大な疾患である。国際糖尿病連合による最近のプレスリリースは、糖尿病に罹患している人は2025年までに全世界で計3億8000万人になるであろうと示唆している。多くの国で糖尿病罹患率は、肥満の増加傾向と並行して増大しつつある。糖尿病がもたらす深刻な結果には、卒中、心疾患、腎損傷、失明、および切断のリスク上昇が挙げられる。心血管疾患は、2型糖尿病(T2DM)患者の70%を超える死因である[B. Pourcet et al. Expert Opin. Emerging Drugs 2006, 11, 379-401]。
【0004】
糖尿病は、インスリン分泌低下および/または末梢組織のインスリン応答能低下を特徴とし、血漿グルコースレベルの増加を引き起こす。糖尿病には二つの型:インスリン依存型およびインスリン非依存型があり、糖尿病患者の大部分は、2型糖尿病またはインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)として知られるこの疾患のインスリン非依存型に罹患している。その深刻な結果のため、糖尿病をコントロールする緊急の必要性がある。
【0005】
メタボリックシンドロームは、患者が以下の症状:肥満、高トリグリセリド血症、HDL−コレステロール低値、高血圧、および空腹時グルコースレベル高値、のうち2を超える症状を示す状態である[R. H. Eckel Proc. Nutr. Soc. 2007, 66, 82-95;J. -P. Despres and I. Lemieux Nature 2006, 444, 881-887;E. Ratto et al. J. Am. Soc. Nephrol. 2006, 17, S120-S122;A. M. McNeill et al. Diabetes Care 2005, 28, 385-390]。このシンドロームはしばしば2型糖尿病の前兆であって、米国において推定で24%と高い有病率を示す[E. S. Ford et al. JAMA 2002, 287, 356]。メタボリックシンドロームを改善する治療薬は、2型糖尿病への進行を潜在的に遅らせたり、止めるのに有用となるであろう。
【0006】
糖尿病患者の評価には幾つかの試験が用いられる。血中グルコース量およびグルコースチャレンジに対する身体の応答能を直接測定するために、空腹時血糖値およびグルコース負荷試験を用いる。しかしながら、血糖値の可変性レベルは、特に糖尿病患者で比較的高く、そのため、これらに代わる試験も使用される。最も一般的な代替試験の1つがHbA1c試験であり、これは、赤血球中のグリコシル化ヘモグロビンのレベルを検査するものである[D. R. McCane et al. BMJ 1994, 308, 1323-1328;R. J. McCarter et al. Diabetes Care 2006, 29, 352-355]。赤血球は体内で通常120日間の寿命を持ち、次第にグリコシル化されるヘモグロビンを含み、そのグリコシル化レベルは平均血糖値と相関する。その結果、HbA1cレベルは過去3〜4か月にわたる平均血糖値の指標を与え、一日の間で変動することがない。正常血液中のHbA1cレベルはおよそ5%であり、コントロールの不充分な糖尿病患者のレベルは8%またはそれ以上である。米国糖尿病協会による現行の指針は、HbA1cレベルを7%未満に維持することである。このレベルは、およそ170mg/dLの平均血漿中グルコースレベルに相当する[D. E. Goldstein et al. Diabetes Care 2004, 27, 1761-1773]。
【0007】
NIDDMの処置は一般に、減量、健康的な食事および運動プログラムで開始する。これらの因子は、糖尿病に関連する心血管リスク上昇に対処する上で特に重要であるが、一般的にこの疾患自体のコントロールには効果がない。インスリン、メトホルミン、スルホニルウレア、アカルボース、チアゾリジンジオン、GLP−1類似体、およびDPPIV阻害剤を包含する幾つかの薬物治療が可能である。しかしながら、これらの治療の幾つかには不都合な点があり、糖尿病処置のための新たな医薬の必要性が持続している。
【0008】
例えば、メトホルミンは、空腹時血漿グルコースレベルを低下させる有効な物質であって、末梢組織のインスリン感受性を強化する。メトホルミンは、グルコースが貯蔵される多量体型であるグリコーゲンの合成の増大を包含する、幾つかのインビボ効果を有する[R. A. De Fronzo Drugs 1999, 58 Suppl. 1, 29]。さらにメトホルミンは脂質プロファイルに有益な効果を有し、心血管の健康に好ましい結果を与える。メトホルミンによる治療はLDLコレステロールおよびトリグリセリドレベルの低下を導く[S. E. Inzucchi JAMA 2002, 287, 360]。しかしながら、何年か後にはメトホルミンはその有効性を失い[R. C. Turner et al. JAMA 1999, 281, 2005]、その結果、糖尿病の新たな治療が必要となる。
【0009】
チアゾリジンジオンは、核内受容体ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)の活性化物質である。これらは血糖値の低下に有効であり、その有効性は、主として骨格筋のインスリン抵抗性を低下させることに起因するとされてきた[M. Tadayyon and S. A. Smith Expert Opin. Investig. Drugs 2003, 12, 307]。米国では、糖尿病治療のために3種類のチアゾリジンジオンが使用を認可されているが、1つは肝毒性の問題のため、後に取り消された。現在認可されている2種類の薬物ピオグリタゾンおよびロシグリタゾンは、糖尿病患者の血糖値およびHbA1c値の低減に有効である[G. Boden and M. Zhang Expert Opin. Investig. Drugs 2006, 15, 243-250;B. Pourcet et al. Expert Opin. Emerging Drugs 2006, 11, 379-401]。しかし、完全な有効性が確認されるまでには3〜4か月の期間を要し[G. Boden and M. Zhang Op. Cit.]、また、チアゾリジンジオンの使用に伴う1つの不都合な点は、体重増加である。
【0010】
スルホニルウレアは、膵臓β細胞のスルホニルウレア受容体に結合してインスリン分泌を刺激し、その結果血糖値を低下させる。スルホニルウレアの使用は、やはり体重増加を伴い[S. E. Inzucchi JAMA 2002, 287, 360]、また、メトホルミンと同様に、これらは時間と共に有効性を失う[R. C. Turner et al. JAMA 1999, 281, 2005]。スルホニルウレアによる治療を受ける患者がしばしば直面するさらなる問題は低血糖である[M. Salas J. J. and Caro Adv. Drug React. Tox. Rev. 2002, 21, 205-217]。
【0011】
アカルボースは、腸で二糖類および複合糖質を分解する酵素α−グルコシダーゼの阻害剤である。これはメトホルミンおよびスルホニルウレアより有効性が低く、また、腸の不快症状および下痢を誘発し、そのためしばしば使用中止につながる[S. E. Inzucchi JAMA 2002, 287, 360]。
【0012】
幾つかの異なった作用機序を用いる糖尿病治療薬が認可されており、他に多くの薬物が臨床評価されつつあるものの、糖尿病治療のための新たな化合物を発明する必要が依然としてある。食事、スルホニルウレア、メトホルミン、またはインスリンによる治療を受けていたかどうかに拘わらず、糖尿病患者のβ細胞機能には時間と共に低下が観察されるとUnited Kingdom Prospective Studyの結果が指摘しているということが近年開示されている[R. R. Holman Metabolism 2006, 55, S2-S5]。
【0013】
近年多くの注目を集めている、糖尿病治療のための考えられる標的は、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼI型(11β−HSD1)である[例えば、M. Wang Curr. Opin. Invest. Drugs 2006, 7, 319-323]。11β−HSD1は、コルチゾンからコルチゾールへの(または齧歯類においてデヒドロコルチコステロンからコルチコステロンへの)還元を触媒する酵素である。コルチゾールは、副腎で産生されるコルチコステロイドホルモンであり、主に糖新生を増大させることにより、グルコースの産生レベルを増大させることが示されている[S. Khani and J. A. Tayek Clinical. Sci. 2001, 101, 739-747]。第二の酵素11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼII型(11β−HSD2)は、コルチゾールからコルチゾンへの酸化に関与している。この酵素は相同性が低く、様々な組織で発現される。11β−HSD1は、肝臓、脂肪組織、および脳を包含する幾つかの組織で高度に発現され、一方11β−HSD2は、鉱質コルチコイド標的組織、例えば腎臓および結腸で高度に発現される。11β−HSD2は、コルチゾールが鉱質コルチコイド受容体に結合することを妨げ、この酵素の欠損は偽性鉱質コルチコイド過剰症候群(AME)と関連していることが判明している。
【0014】
トランスジェニックマウスから、そして人間での小規模臨床研究から、2型糖尿病治療のための11β−HSD1阻害の治療的可能性を確認する証拠がある。
【0015】
トランスジェニックマウスによる実験は、11β−HSD1活性の調節が、糖尿病およびメタボリックシンドロームにおいて有益な治療効果を有し得るということを示している。例えば、11β−HSD1遺伝子をマウスでノックアウトすると、絶食がG6PアーゼおよびPEPCKレベルの正常な上昇を導かず、動物は、ストレスまたは肥満に関連する高血糖になりにくい。さらに、高脂肪食で肥満にされたノックアウト動物は、体重を同等にした対照よりも空腹時血糖値が有意に低い(Y. Kotolevtsev et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1997, 94, 14924)。11β−HSD1ノックアウトマウスはまた、改善された脂質プロファイル、インスリン感受性、および耐糖能を有することが見出された(N. M. Morton et al. J. Biol. Chem. 2001, 276, 41293)。マウスにおける11β−HSD1遺伝子の過剰発現の影響もまた研究されている。これらのトランスジェニックマウスは脂肪組織で11β−HSD1活性の増大を示し、さらに、メタボリックシンドロームに関連する内臓型肥満を示す。コルチコステロンレベルは脂肪組織で上昇するが血清では上昇せず、このマウスは、特に高脂肪食投与時に高レベルの肥満となった。低脂肪食を与えられたマウスは、高血糖および高インスリン血症となり、さらに耐糖能異常およびインスリン抵抗性を示した(H. Masuzaki et al. Science, 2001, 294, 2166)。
【0016】
非選択的11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害剤 カルベノキソロンの効果が人間における幾つかの小規模治験で研究されている。ある研究では、カルベノキソロンは全身におけるインスリン感受性の増大を導くことが見出されており、この増大は、肝臓のグルコース産生の低下が原因であるとされた(B. R. Walker et al. J. Clin. Endocrinol. Metab. 1995, 80, 3155)。別の研究では、グルカゴンチャレンジに応答したグルコース産生およびグリコーゲン分解の低下が糖尿病被験者で観察されたが、健康な被験者では観察されなかった(R. C. Andrews et al. J. Clin. Enocrinol. Metab. 2003, 88, 285)。最後に、カルベノキソロンは、健康な高齢者および2型糖尿病患者において認知機能を改善することが見出された(T. C. Sandeep et al. Proc. Natl. Acad. Sci USA 2004, 101, 6734)。
【0017】
グリシルレチン酸、アビエチン酸、およびカルベノキソロンを包含する、11β−HSD1および11β−HSD2の非特異的阻害剤が幾つか同定されている。さらに、ケノデオキシコール酸、フラバノンおよび2’−ヒドロキシフラバノンを包含する幾つかの選択的11β−HSD1阻害剤が見出されている(S. Diederich et al. Eur. J. Endocrinol. 2000, 142, 200およびR. A. S. Schweizer et al. Mol.Cell.Endocrinol. 2003, 212, 41)。
【0018】
したがって、当分野では、例えばII型糖尿病およびメタボリックシンドロームのような疾患の治療のための有効性を持つ11β−HSD1阻害剤に対する必要性が存在する。さらに、当分野では、IC50値が約1μM未満である11β−HSD1阻害剤の必要性が存在する。
【0019】
本発明の別の態様では、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の治療有効量および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0020】
本発明のさらなる態様では、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の治療有効量をそれを必要とする患者に投与する工程を含む、糖尿病の治療方法を提供する。
【0021】
本発明は、11β−HSD1の阻害剤を目的とする。好ましい態様では、本発明は、11β−HSD1の阻害剤として有用な、式(I)の化合物および薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を提供する。
【0022】
本明細書で使用する用語は特定の態様を説明する目的のためのものであって、限定を意図していないということを理解されたい。さらに、本発明の実施または試験の際には、本明細書に記載のものと類似または同等のいかなる方法、器具および材料も使用できるが、好ましい方法、器具および材料をここに記載する。
【0023】
式(I)の化合物において、置換基R4および置換基:
【化2】


がアダマンタン環上で互いにトランスであるのが好ましい。
【0024】
好ましい態様では、本発明化合物は、式(Ia):
【化3】


[式中、R、R、RおよびRは上記と同義である]
で表すことができる。
【0025】
本明細書で使用される「アルキル」という語は、例えば、置換されていても非置換であってもよい、分岐または非分岐、環式(「シクロアルキル」)または非環式、飽和または不飽和(例えば、アルケニルまたはアルキニル)ヒドロカルビル基を意味する。環式である場合、アルキル基は好ましくはC〜C12、より好ましくはC〜C10、さらに好ましくはC〜Cである。非環式である場合、アルキル基は好ましくはC〜C10、より好ましくはC〜C、さらに好ましくはメチル、エチル、プロピル(n−プロピルまたはイソプロピル)、ブチル(n−ブチル、イソブチルまたは第三ブチル)またはペンチル(n−ペンチルおよびイソペンチルを包含する)、より好ましくはメチルである。したがって、本明細書で使用する「アルキル」という語は、アルキル(分岐または非分岐)、置換アルキル(分岐または非分岐)、アルケニル(分岐または非分岐)、置換アルケニル(分岐または非分岐)、アルキニル(分岐または非分岐)、置換アルキニル(分岐または非分岐)、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルキニルおよび置換シクロアルキニルを包含することが理解されるであろう。シクロアルキルの好ましい例は、シクロアルケニルを包含する。
【0026】
好ましい態様では、「シクロアルキル」部分は、場合により、1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよく、ここで、各置換基は、特に指摘のない限り、独立して、例えばヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ハロゲンまたはアミノである。シクロアルキル部分の例は、場合により置換されているシクロプロピル、場合により置換されているシクロブチル、場合により置換されているシクロペンチル、場合により置換されているシクロペンテニル、場合により置換されているシクロヘキシル、場合により置換されているシクロヘキシレニル、場合により置換されているシクロヘプチル等、または本明細書で具体的に例示されているものを包含するが、これらに限定されない。好ましいシクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルである。さらに好ましいシクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチルおよびシクロヘキシルである。
【0027】
「ヘテロシクロアルキル」という語は、1、2または3個の環炭素原子が、N、OまたはSのようなヘテロ原子に置き換えられている環状アルキル環を意味する。ヘテロシクロアルキル基の例には、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、アゼパニル、テトラヒドロフラニル等が挙げられるがこれらに限定されない。ヘテロシクロアルキル基は、非置換であるか、または、メチル、ヒドロキシおよびヒドロキシメチルから独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されていてよい。好ましいヘテロシクロアルキル基は、メチル、ヒドロキシおよびヒドロキシメチルから独立して選択される1、2または3個の置換基で場合により置換されている、モルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニル、アゼパニルおよびテトラヒドロフラニルである。さらなる好ましいヘテロシクロアルキルは、モルホリニル、ジメチルモルホリニル、メチルピペリジニル、ヒドロキシピペリジニル、ヒドロキシメチルピペリジニル、ピロリジニル、メチルピロリジニル、ジメチルピロリジニル、ヒドロキシメチルピロリジニル、アゼパニルおよびテトラヒドロフラニルである。
【0028】
本明細書で使用される「低級アルキル」という語は、例えば、分岐または非分岐、環式または非環式、飽和または不飽和(例えば、アルケニルまたはアルキニル)ヒドロカルビル基を意味し、ここで、前記環式低級アルキル基は、C、C、C、CまたはCであり、そして前記非環式低級アルキル基は、C、C、CまたはCであって、好ましくは、メチル、エチル、プロピル(n−プロピルまたはイソプロピル)またはブチル((n−ブチル、イソブチルまたは第三ブチル)から選択される。したがって、本明細書で使用する「低級アルキル」という語は、例えば低級アルキル(分岐または非分岐)、低級アルケニル(分岐または非分岐)、低級アルキニル(分岐または非分岐)、シクロ低級アルキル、シクロ低級アルケニルおよびシクロ低級アルキニルを包含することが理解されるであろう。低級アルキルは、場合によりヒドロキシで置換されていてもよい。特に好ましい低級アルキルの例は、メチル、イソプロピル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルおよびヒドロキシブチルである。
【0029】
本明細書で使用する「アリール」という語は、例えば、置換または非置換炭素環式芳香族基を意味する。アリール基の例は、フェニル、ナフチル等である。好ましいアリール基は、フェニルである。
【0030】
「ヘテロアリール」という語は、単独で、または他の基と組み合わされて、N、O、およびSから選択される1、2または3個の環ヘテロ原子を有し、残りの環原子はCである、少なくとも1個の芳香環を有する、5〜12個の環原子の単環式または二環式基を意味する。ヘテロアリール基の1または2個の環炭素原子は、カルボニル基に置き換えられていてよい。上記のヘテロアリール基は、独立して、1、2または3個の置換基、好ましくは1または2個の置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルスルホニル、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルチオ、アミノ、アミノC1−6アルキル、モノ−またはジ−置換アミノ−C1−6アルキル、ニトロ、シアノ、アシル、カルバモイル、モノ−またはジ−置換アミノ、アミノカルボニル、モノ−またはジ−置換アミノ−カルボニル、アミノカルボニルC1−6アルコキシ、モノ−またはジ−置換アミノ−カルボニル−C1−6アルコキシ、ヒドロキシ−C1−6アルキル、カルボキシ、C1−6アルコキシカルボニル、アリールC1−6アルコキシ、ヘテロアリールC1−6アルコキシ、ヘテロシクリルC1−6アルコキシ、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルコキシ、カルバモイルC1−6アルコキシおよびカルボキシC1−6アルコキシ、好ましくは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルスルホニル、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルチオ、アミノ、モノ−C1−6アルキル置換アミノ、ジ−C1−6アルキル置換アミノ、アミノ−C1−6アルキル、モノ−C1−6アルキル置換アミノC1−6アルキル、ジ−C1−6アルキル置換アミノ−C1−6アルキル、ニトロ、カルバモイル、モノ−またはジ−置換アミノ−カルボニル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、カルボキシ、C1−6アルコキシカルボニルおよびシアノで置換されていてよい。ヘテロアリールの例は、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピラニル、ピロニル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピペリジル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、モルホリニル、チアナフチル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、インドリル、オキシインドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリニル、7−アザインドリル、ベンゾピラニル、クマリニル、イソクマリニル、キノリニル、イソキノリニル、ナフチリジニル、シンノリニル、キナゾリニル、ピリドピリジル、ベンズオキサジニル、キノキサリニル、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル、フタラジニルおよびカルボリニルである。好ましいヘテロアリールは、ピリジルである。
【0031】
アルキルおよびアリール基は、置換されていても非置換であってもよい。置換されている場合、一般に、例えば1〜3個の置換基、好ましくは1個の置換基が存在する。置換基には、例えば、炭素含有基、例えば、アルキル、アリール、アリールアルキル(例えば、置換および非置換フェニル、置換および非置換ベンジル);ハロゲン原子およびハロゲン含有基、例えばハロアルキル(例えばトリフルオロメチル);酸素含有基、例えばアルコール類(例えば、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アリール(ヒドロキシ)アルキル)、エーテル類(例えば、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシアルキル、アリールオキシアルキル)、アルデヒド類(例えばカルボキシアルデヒド)、ケトン類(例えば、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルアルキル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アリールカルボニルアルキル)、酸(例えば、カルボキシ、カルボキシアルキル)、酸誘導体、例えばエステル(例えば、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルカルボニルオキシアルキル)、アミド類(例えば、アミノカルボニル、モノ−またはジ−アルキルアミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、モノ−またはジ−アルキルアミノカルボニルアルキル、アリールアミノカルボニル)、カルバマート類(例えば、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、モノ−またはジ−アルキルアミノカルボニルオキシ、アリールアミノカルボニルオキシ)および尿素類(例えば、モノ−またはジ−アルキルアミノカルボニルアミノまたはアリールアミノカルボニルアミノ);窒素含有基、例えばアミン類(例えば、アミノ、モノ−またはジ−アルキルアミノ、アミノアルキル、モノ−またはジ−アルキルアミノアルキル)、アジド類、ニトリル類(例えば、シアノ、シアノアルキル)、ニトロ;硫黄含有基、例えばチオール類、チオエーテル類、スルホキシド類およびスルホン類(例えば、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルチオアルキル、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルホニルアルキル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、アリールチオアルキル、アリールスルフィニルアルキル、アリールスルホニルアルキル);ならびに、1以上、好ましくは1個のヘテロ原子を含むヘテロ環式基(例えば、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピラニル、ピロニル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピペリジル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、モルホリニル、チアナフチル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、インドリル、オキシインドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリニル、7−アザインドリル、ベンゾピラニル、クマリニル、イソクマリニル、キノリニル、イソキノリニル、ナフチリジニル、シンノリニル、キナゾリニル、ピリドピリジル、ベンズオキサジニル、キノキサリニル、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル、フタラジニルおよびカルボリニル)が挙げられる。
【0032】
低級アルキル基は、置換されていても非置換であってもよい。置換されている場合、一般に、例えば1〜3個の置換基、好ましくは1個の置換基が存在する。
【0033】
本明細書で使用する「アルコキシ」という語は、例えばアルキル−O−を意味し、また、「アルコイル」は、例えばアルキル−CO−を意味する。アルコキシ置換基またはアルコキシ含有置換基は、例えば1以上のアルキル基で置換されていてよい。好ましいアルコキシ置換基は、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシおよびブチルオキシである。特に好ましいのはメトキシである。
【0034】
本明細書で使用する「ハロゲン」という語は、例えばフッ素、塩素、臭素またはヨウ素基、好ましくはフッ素、塩素または臭素基、そしてより好ましくはフッ素または塩素基を意味する。
【0035】
「薬学的に許容される塩」とは、式(I)の化合物の生物学的有効性および性質を保持している、従来の酸付加塩または塩基付加塩を指し、適切な有機もしくは無機酸または有機もしくは無機塩基から形成される。例示的酸付加塩には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸および硝酸といった無機酸から誘導される塩、ならびにp−トルエンスルホン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸等のような有機酸から誘導される塩が挙げられる。例示的塩基付加塩には、水酸化アンモニウム、カリウム、ナトリウムおよび第四アンモニウム、例えば水酸化テトラメチルアンモニウムから誘導される塩が挙げられる。薬学的化合物(即ち医薬)から塩への化学的修飾は、化合物の物理的または化学的安定性に関与する性質、例えば吸湿性、流動性または溶解性の改善を試みる際に利用される周知の技術である。例えば、H. Ansel et. al., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(6th Ed. 1995) pp.196および1456-1457を参照。
【0036】
「薬学的に許容されるエステル」とは、カルボキシ基を有する式Iの化合物が従来通りにエステル化されたものを指し、このエステルは、式Iの化合物の生物学的有効性および性質を保持し、対応する活性なカルボン酸にインビボで(生体において)開裂する。対応するカルボン酸にインビボで開裂する(この場合、加水分解される)エステル基の例は、水素が、場合により例えばヘテロ環、シクロアルキル等で置換されている低級アルキルに置き換わっているものである。置換低級アルキルエステルの例は、低級アルキルがピロリジン、ピペリジン、モルホリン、N−メチルピペラジン等で置換されているものである。インビボで開裂する基は、例えば、エチル、モルホリノエチル、およびジエチルアミノエチルであってよい。本発明に関連して、−CONHもまたエステルと考えられるが、それは、−NHがインビボで開裂してヒドロキシ基に置き換えられ、対応するカルボン酸を形成するためである。
【0037】
薬学的化合物の送達のためのエステルの例および使用に関するさらなる情報は、Design of Prodrugs. Bundgaard H. ed. (Elsevier, 1985) で入手可能である。H. Ansel et al., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(6th Ed. 1995) pp.108-109;Krogsgaard-Larsen, et. al., Textbook of Drug Design and Development(2nd Ed. 1996) pp.152-191も参照。
【0038】
が水素であり、そしてRが、低級アルキル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CHOH、−(CHCH(CH)OHまたは−(CHOCHである、式(I)の化合物が好ましい。
【0039】
が低級アルキルであり、そしてRが、低級アルキル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CHOH、−(CHCH(CH)OHまたは−(CHOCHである式(I)の化合物が好ましい。
【0040】
がメチルである、式(I)の化合物が好ましい。
【0041】
が水素である、式(I)の化合物もまた好ましい。
【0042】
およびRが、それらが結合しているN原子と一緒になって非置換五〜七員単環式環(これは、RおよびRが結合しているN原子を含む)を形成している、式(I)の化合物が好ましい。RおよびRが、それらが結合しているN原子と一緒になって、ピペリジニル、ピロリジニルまたはアゼパニルを形成している、式(I)の化合物が特に好ましい。
【0043】
およびRが、それらが結合しているN原子と一緒になって非置換五〜七員単環式環(これは、RおよびRが結合しているN原子と、OおよびSから選択される別のヘテロ原子を含む)を形成している、式(I)の化合物が好ましい。RおよびRが、それらが結合しているN原子と一緒になって、モルホリニルを形成している、式(I)の化合物が特に好ましい。
【0044】
およびRが、それらが結合しているN原子と一緒になって五〜七員単環式環(これは、RおよびRが結合しているN原子を含む)を形成し、ここで、この五〜七員単環式環は、ヒドロキシ、低級アルキルまたは−(CHOHで一または二置換されている、式(I)の化合物が好ましい。RおよびRが、それらが結合しているN原子と一緒になって、メチルピペリジニル、ヒドロキシピペリジニル、ヒドロキシメチルピペリジニル、エチルピロリジニル、ジメチルピロリジニルまたはヒドロキシメチルピロリジニルを形成している、式(I)の化合物が特に好ましい。
【0045】
およびRが、それらが結合しているN原子と一緒になって五〜七員単環式環(これは、RおよびRが結合しているN原子と、OおよびSから選択される別のヘテロ原子を含む)を形成し、ここで、この五〜七員単環式環は、ヒドロキシ、低級アルキルまたは−(CHOHで一または二置換されている、式(I)の化合物が好ましい。RおよびRが、それらが結合しているN原子と一緒になって、ジメチルモルホリニルを形成している、式(I)の化合物が特に好ましい。
【0046】
が、イソプロピル、−CH−フェニル、−CH−ピリジニル、−CH−シクロプロピル、シクロヘキシル、シクロブチル、−CHCH−フェニル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシブチル、−CH−テトラヒドロフラニルまたはメトキシプロピルである、式(I)の化合物が好ましい。
【0047】
−NRが、ピロリジニル、ジメチルピロリジニル、メチルピロリジニル、メチルピペリジニル、モルホリニル、ジメチルモルホリニル、アゼパニル、ヒドロキシメチルピペリジニル、ヒドロキシメチルピロリジニル、ヒドロキシピペリジニルまたはヒドロキシピロリジニルである、式(I)の化合物が好ましい。
【0048】
は、1〜5個の置換基、好ましくは3個、より好ましくは2個、そしてさらに好ましくは1個の置換基を表す。
【0049】
が水素またはハロゲンである式(I)の化合物が好ましく、Rが水素である式(I)の化合物が特に好ましい。
【0050】
が、水素、−OH、または−NHC(=O)CHである式(I)の化合物が好ましく、Rが水素である式(I)の化合物が特に好ましい。
【0051】
5−イソプロピルアミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−ベンジルアミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
1−フェニル−5−[(ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(シクロプロピルメチル−アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−シクロヘキシルアミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−シクロブチルアミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(2,5−ジメチル−ピロリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(2−メチル−ピロリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(3−メチル−ピペリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(ベンジル−メチル−アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(メチル−フェネチル−アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
1−フェニル−5−ピロリジン−1−イル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−アゼパン−1−イル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−モルホリン−4−イル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(3−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(3−ヒドロキシ−ピロリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(2−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(3−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(4−ヒドロキシ−ブチルアミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
1−フェニル−5−[(テトラヒドロ−フラン−2−イルメチル)−アミノ]−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−[(2−ヒドロキシ−エチル)−メチル−アミノ]−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;および
5−(3−メトキシ−プロピルアミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
から選択される式(I)の化合物が好ましい。
【0052】
5−イソプロピルアミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(シクロプロピルメチル−アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(2−メチル−ピロリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(3−メチル−ピペリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(メチル−フェネチル−アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
1−フェニル−5−ピロリジン−1−イル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−アゼパン−1−イル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−モルホリン−4−イル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
1−フェニル−5−[(テトラヒドロ−フラン−2−イルメチル)−アミノ]−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;および
5−(3−メトキシ−プロピルアミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
から選択される式(I)の化合物が好ましい。
【0053】
本発明は、式(II):
【化4】


で示される化合物と、式:HNRで示される化合物との反応;または、
式(III):
【化5】


で示される化合物と、式(IV):
【化6】


で示される化合物との反応[ここで、R、R、RおよびRは上記と同義である]
を含む、式(I)の化合物の製造方法にも関する。
【0054】
本発明は、治療活性物質として使用するための式(I)の化合物にも関する。
【0055】
本発明は、酵素11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1に関連する障害により惹起される疾病の予防または治療のための医薬を製造するための、式(I)の化合物にも関する。
【0056】
本発明は、式(I)の化合物および治療上不活性な担体を含む医薬組成物にも関する。
【0057】
本発明は、糖尿病、肥満、摂食障害または脂質異常症の治療または予防用の医薬の製造のための、式(I)の化合物の使用にも関する。
【0058】
本発明は、糖尿病、肥満、摂食障害または脂質異常症の治療または予防用の医薬として使用するための、式(I)の化合物にも関する。
【0059】
本発明は、II型糖尿病の治療または予防用の医薬の製造のための、式(I)の化合物の使用にも関する。
【0060】
本発明は、II型糖尿病の治療または予防用の医薬として使用するための、式(I)の化合物にも関する。
【0061】
本発明は、本発明による方法に従って製造される、式(I)の化合物の使用にも関する。
【0062】
本発明は、糖尿病、肥満、摂食障害または脂質異常症の治療または予防方法であって、式(I)の化合物の有効量を投与することを含む方法にも関する。
【0063】
本発明は、II型糖尿病の治療または予防方法であって、式(I)の化合物の有効量を投与することを含む方法にも関する。
【0064】
本発明の方法の実施において、本発明化合物のいずれか1つ、または本発明化合物もしくは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルのいずれかの組み合わせの有効量を、当分野で公知の、通常の且つ許容される任意の方法により、単独でまたは組み合わせて投与する。したがって、本化合物または組成物は、経口的に(例えば口腔)、舌下に、非経口的に(例えば、筋肉内、静脈内、または皮下)、直腸内に(例えば、坐剤または洗浄液により)、経皮的に(例えば皮膚エレクトロポレーション)または吸入により(例えばエアロゾルにより)、そして、錠剤および懸濁剤を含む、固体、液体または気体の投与剤型で投与できる。投与は、単回単位投与剤型で持続的療法により、または単回投与療法で随意に実施できる。治療用組成物はさらに、パモ酸のような親油性塩と併せて油性エマルジョンもしくは分散液の形態、または、皮下もしくは筋肉内投与のための生分解性持続放出組成物の形態とすることもできる。
【0065】
本発明の組成物の製造のための有用な薬学的担体は、固体、液体または気体であってよく、したがって、組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、坐剤、散剤、腸溶被覆またはその他の保護された製剤(例えば、イオン交換樹脂上に結合、または脂質−蛋白ベシクル内に封入)、持続放出製剤、液剤、懸濁剤、エリキシル剤、エアロゾル等の形態をとることができる。担体は、石油、動物性、植物性または合成起源のものを包含する種々の油、例えば落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油等から選択できる。水、生理食塩水、水性デキストロース、およびグリコールが、特に(血液と等張である場合)注射用溶液のために好ましい液体担体である。例えば、静脈内投与のための製剤は、活性成分の無菌水溶液を含み、それは、固体活性成分を水に溶解して水溶液を作製し、その溶液を滅菌することによって製造する。好適な薬学的賦形剤には、デンプン、セルロース、グルコース、乳糖、タルク、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカ、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール等が挙げられる。組成物には、保存剤、安定剤、湿潤または乳化剤、浸透圧を調節するための塩類、緩衝剤等のような従来の薬学的添加物を添加できる。好適な薬学的担体およびそれらの製剤は、E. W. MartinによるRemington’s Pharmaceutical Sciencesに記載されている。いずれの場合もこのような組成物は、レシピエントへの適切な投与のための適切な投与剤型を製造するために、適切な担体と共に有効量の活性化合物を含有するであろう。
【0066】
薬学的調製物は、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色剤、香料、浸透圧を変えるための塩類、緩衝剤、被覆剤または抗酸化剤も含有できる。それらは、式Iの化合物以外のさらなる活性成分を包含する、治療上有用な他の物質も含有できる。
【0067】
本発明による化合物の「治療有効量」または「用量」は、広範囲に変わり得、当分野で公知の方法で決定できる。そのような用量は、投与される特定の化合物、投与経路、処置される状態および処置される患者を包含する個々の具体的症例の個別的要件に適合させる。一般に、およそ70kgの体重の成人への経口または非経口投与の場合、約0.01mg/kg〜約50mg/kgの日用量が適切であるが、指示のある場合には上限を超えてもよい。用量は、好ましくは1日あたり約0.3mg/kg〜約10mg/kgである。好ましい用量は1日あたり約0.70mg/kg〜約3.5mg/kgであってよい。この日用量を単回投与として、または分割投与で投与でき、または、非経口投与のためにはそれを持続注入として投与できる。
【0068】
本発明の化合物は、任意の従来の方法によって製造できる。これらの化合物を合成する適切な方法を実施例に記載する。一般に、式Iの化合物は、下記のスキームに従って製造できる。これらの反応の出発材料の供給源もまた記載する。
【0069】
【化7】

【0070】
スキーム1に示すように、式2で示されるエチル(エトキシメチレン)シアノアセタート(Aldrichから入手できる)から出発し、以下の一連の反応によって、式1で示される1−アリール−5−(置換アミノ)−ピラゾール−4−カルボキサミド誘導体を製造することができる:
【0071】
アリールヒドラジンとの反応により式3で示されるアミノピラゾールを生成し;
アミノピラゾール誘導体のサンドマイヤー型反応により、式4で示されるクロロピラゾールを得;
式4のクロロピラゾールにおけるエチルエステルの加水分解により、式5で示されるカルボン酸を得;
式5のカルボン酸と式6で示されるアミノアダマンタン誘導体のカップリングにより、式7で示される1−アリール−5−クロロ−ピラゾール−4−カルボキサミドを得;そして、
式7の1−アリール−5−クロロ−ピラゾール−4−カルボキサミドにおける塩素の置換により、式1の置換5−アミノピラゾールを得る。
【0072】
この反応系列の最初の反応は、式2で示されるエチル(エトキシメチレン)シアノアセタートを、エタノールのような不活性溶媒中、還流温度で、式:ArNHNHで示されるヒドラジンで処理することにより好都合に実施できる。この反応に好適な条件は、文献、例えばA. Costanzo et al. J. Heterocycl. Chem. 1994, 31, 1369-1376;M. Kopp et al. J. Heterocycl. Chem. 2001, 38, 1045-1050;A. Costanzo et al. J. Heterocycl. Chem. 1992, 29, 1499-1505;N. P. Peet et al. J. Med. Chem. 1992, 35, 3263-3269;およびJ. R. Beck US 4631343に見出すことができる。
【0073】
式3で示される中間体のサンドマイヤー型反応は、塩化銅(I)、もしくは塩化銅(II)、または塩化ニトロシルのような塩素化剤の存在下でのアミノ基のジアゾ化を含む。この反応は、アセトニトリルまたはハロゲン化炭化水素(例えば四塩化炭素)のような不活性溶媒中、約50度〜約65度の温度で、塩化銅(I)のような塩素源の存在下、式3の化合物を、亜硝酸tert−ブチルまたは亜硝酸イソアミルのような亜硝酸アルキルで処理することによって好都合に実施される。あるいは、この反応は、塩酸水溶液および塩素化剤、例えば塩化銅(II)の存在下、最初は好ましくは10度未満、最も好ましくは約0度で、そしてその後約40度で、式3の化合物を亜硝酸ナトリウムで処理することによって実施できる。この反応に好適な条件は、文献、例えばJ. -J. Liu et al. US2006079511;S. Yamamoto et al. J. Heterocycl. Chem. 1991, 28, 1545-1547;およびI. Aoki et al. EP220695に見出すことができる。最後の例として、式3で示されるアミノ−ピラゾールから、式4で示されるクロロ−ピラゾールへの変換が、塩素化炭化水素(例えばクロロホルム)のような不活性溶媒中の式3の化合物の溶液を、約10度未満、次いでほぼ室温で、塩化水素で、次いで液体塩化ニトロシルで処理することによって実施できる。この反応に好適な条件は、文献、例えばJ. R. Beck et al. J. Heterocycl. Chem. 1988, 25, 955-958またはJ. R. Beck et al. J. Heterocycl. Chem. 1987, 24, 267-270に見出すことができる。
【0074】
式4の化合物から、式5の対応するカルボン酸への開裂は、有機合成分野で周知の反応条件を用いて実施し、その多くが"Protective Groups in Organic Synthesis" [T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 2nd Edition, John Wiley & Sons, N.Y. 1991] に概説されている。例えばこの反応は、適切な溶媒、例えばテトラヒドロフラン、メタノール、および水の混合物中で、式4の化合物を、1当量のアルカリ金属ヒドロキシド、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、または水酸化リチウム、好ましくは水酸化リチウムで処理することにより、好都合に実施できる。反応は約0度〜ほぼ室温、好ましくはほぼ室温で実施できる。別の例として、エステルを水溶液中で、無機強酸、例えば塩化水素または臭化水素のようなハロゲン化水素酸で、好ましくは還流温度で処理することもできる。
【0075】
適切な塩基、例えばジイソプロピルエチルアミン、カップリング剤、例えばO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファートの存在下、そして場合により、反応速度を速める物質、例えば1−ヒドロキシベンゾトリアゾールまたは1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾールをさらに存在させて、不活性溶媒、例えば塩素化炭化水素(例えばジクロロメタン)またはN,N−ジメチルホルムアミドまたはN−メチルピロリジノン中、約0度〜ほぼ室温、好ましくはほぼ室温で、構造5で示されるカルボン酸を式6で示されるアダマンタン誘導体の塩酸塩で処理することにより、式5で示されるカルボン酸を、式7で示されるアミドに好都合に変換できる。その他多数のカップリング剤の選択肢が有機合成分野における当業者に知られており、これらの多くについての考察が公表されている[S. -Y. Han and Y. -A. Kim Tetrahedron 2004, 60, 2447-2467]。あるいは、この反応は、式5で示されるカルボン酸を、活性化エステル誘導体、例えばN−ヒドロキシスクシンイミドエステルに変換し、続いてこれを式6で示されるアダマンタン誘導体または対応する酸付加塩と反応させることによっても実施できる。この反応系列は、式5で示されるカルボン酸を、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドのようなカップリング剤の存在下、テトラヒドロフランのような不活性溶媒中、約0度〜ほぼ室温で、N−ヒドロキシスクシンイミドと反応させることによって実施できる。次いで、得られたN−ヒドロキシスクシンイミドエステルを、塩基、例えば有機塩基(例えば、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等)の存在下、N,N−ジメチルホルムアミドのような適切な不活性溶媒中、室温付近で、式6で示されるアダマンタン誘導体または対応する酸付加塩で処理すると、式7で示される1−アリール−5−クロロ−ピラゾール−4−カルボキサミドが得られる。
【0076】
次に、式7の1−アリール−5−クロロ−ピラゾール−4−カルボキサミドを、N−メチルピロリジノンのような不活性溶媒中、約250度の温度で、マイクロ波照射のもとに、式:HRで示されるアミンと共に加熱することにより、式1の本発明化合物に変換できる。
【0077】
【化8】

【0078】
式8で示されるピラゾール−4−カルボキシラートエステルから出発し、塩素化剤で処理することによる、式4の中間体の代替の製造をスキーム2に示す。反応は、式8の化合物を溶媒不在下に約120度の温度でN−クロロスクシンイミドで処理することによって好都合に実施できる。こうした反応の正確な条件は文献、例えばK. Morimoto et al. J. Heterocycl. Chem. 1997, 34, 537-540に見出すことができる。式8の化合物の製造に有用な方法を下に概説する。
【0079】
【化9】

【0080】
式4の化合物を製造するための第二の代替手順をスキーム3に示す。この方法によれば、式9で示される市販のジエチルエトキシメチレンマロナートと、式:ArNHNHで示されるアリールヒドラジンの反応は、様々な条件で実施できる。例えば、式9の化合物は、アルコール(例えばエタノール)のような不活性溶媒中、アリールヒドラジンまたはアリールヒドラジンの酸付加塩と反応させることができる。アリールヒドラジンの酸付加塩を使用する場合には、第三アルキルアミン(例えば、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン)のような塩基をさらに存在させて反応を実施する。反応は、約−20度〜約80度の温度で実施するのが好都合である。この反応のための条件の例は、文献、例えばR. Gehring et al. US4804398;W. Holzer and E. Schmid J. Heterocycl. Chem. 1995, 32, 1341-1349に見出すことができる。次に、式10で示される中間体をおよそ170度に加熱し、発生するエタノールを蒸留によって除去する。この工程により、式11で示される5−ヒドロキシ−ピラゾールを得る。この反応のための条件は、文献、例えばR. Gehring et al. US4804398に見出すことができる。あるいは、式10で示される中間体を、炭酸カリウムのような塩基の存在下にエタノール中で加熱還流し、式11で示される5−ヒドロキシ−ピラゾールを得る。この反応のための条件は、文献、例えば、W. Holzer and E. Schmid J. Heterocycl. Chem. 1995, 32, 1341-1349に見出すことができる。次いで、式11で示される5−ヒドロキシ−ピラゾールを塩素化反応によって式4で示されるクロロピラゾールに変換できる。この反応は、式11で示される5−ヒドロキシ−ピラゾールを、さらなる溶媒を存在させずに、約100度の温度で、オキシ塩化リンのような塩素化剤と共に加熱することによって好都合に実施できる。このような反応のための正確な条件は、文献、例えばW. Holzer and K. Hahn J. Heterocycl. Chem. 2003, 40, 303-308;H. A. DeWald et al. J. Med. Chem. 1981, 24, 982-987に見出すことができる。
【0081】
【化10】

【0082】
式5で示される中間体の代替製造をスキーム4に示すが、ここでは、式16で示されるシドノンがジメチルアセチレンジカルボキシラートによる[3+2]双極環状付加反応を受け、その後式17で示される中間体ジエステルの選択的脱カルボキシル化を受ける。この反応系列は、その例が数多く市販されている式12で示されるアニリン[式中、Arは芳香族基を表す]で開始する。式12のアニリンを、水中、還流下にクロロ酢酸と共に加熱することにより、式13で示されるN−アリールグリシン誘導体に変換する(詳細はD. L. Hammick and D. J. Voaden J. Chem. Soc. 1961, 3303-3308を参照)。次に、式13で示されるN−アリールグリシン誘導体を、塩酸水溶液中、約0度の温度で、亜硝酸ナトリウムで処理することにより、式14で示されるN−ニトロソ誘導体へとニトロソ化する(詳細はD. L. Hammick and D. J. Voaden J. Chem. Soc. 1961, 3303-3308またはF. Dumitrascu et al. ARKIVOC 2002, 80-86を参照)。次いで、式14の化合物を酢酸およびピリジンで処理し、式15で示されるシドノンを得る。次にこのシドノンを塩素化し、式16で示されるクロロ−シドノンを得る。この塩素化反応は、式15のシドノンを、酢酸ナトリウムおよび酢酸の混合物中、ほぼ室温で、塩素で処理することにより(F. Dumitrascu et al. ARKIVOC 2002, 80-86を参照);式15のシドノンを、トリエチルアミンおよびジクロロメタンの混合物中、ヨードベンゼンジクロリドで処理することにより(S. Ito and K. Turnbull Synth. Commun. 1996, 26, 1441-1446を参照);または、式15のシドノンを、ジメチルホルムアミドのような不活性溶媒中、ほぼ室温で、N−クロロスクシンイミドで処理することにより(K. Turnbull et al. J. Heterocycl. Chem. 1994, 31, 1631-1636を参照)実施できる。次に、式16のクロロ−シドノンを、エチレングリコール中、120度で過剰のジメチルアセチレンジカルボキシラートで処理すると、[3+2]双曲環状付加生成物17が得られる。次いで、式17の化合物を、20%塩酸水溶液で還流下に処理して加水分解を行うとジカルボキシラートが生成し、これを約250度(浴温度)に加熱すると選択的脱カルボキシル化を受け、式5で示されるモノカルボン酸が得られる。式16のクロロ−シドノンから式5のモノカルボン酸を導く反応の具体的条件は、文献、例えばH. Dickopp Chem. Ber. 1974, 107, 3036-3042に見出すことができる。
【0083】
【化11】

【0084】
スキーム5に示すように、Rが水素を表す本発明化合物は、アミノ置換基をカルバマートに変換し、次いでこれをアルキル化して式19で示される中間体を得ることにより、式3で示される1−アリール−5−アミノ−ピラゾール−4−カルボキシラートエステルから4工程で製造できる。次いで、カルバマートおよびエチルエステルの脱保護によって中間体21を得、これを式6で示されるアダマンタンアミンとカップリングさせて式1の生成物を得る。
【0085】
式3のアミンから式18のカルバマートへの変換は、任意の従来の手段によって実施でき、それらの幾つかは、有機合成分野において平均的技術を有する者には明らかであろう。例えば、ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフランのような不活性溶媒中、水素化ナトリウムのような塩基の存在下、アミンをクロロギ酸低級アルキル(例えばクロロギ酸エチル)で処理してもよい。あるいは、L. R. Hatton et al. GB2101999に記載のように、式3のアミンを、ジメチルホルムアミドのような不活性溶媒中、水素化ナトリウムのような塩基の存在下、過剰のクロロギ酸フェニルで処理すると、ビス(フェノキシカルボニル)アミノ誘導体が得られる。この反応は、塩基としてピリジンを、そして溶媒としてクロロホルムを使用して実施することもできる。この場合、反応は好ましくは低温、例えば約0度で実施する。この変換のための条件は、文献、例えばL. R. Hatton et al. US4629495に見出すことができる。次に、このビス(フェノキシカルボニル)アミノ誘導体を還流温度でtert−ブタノールで処理すると、R’がtert−ブチルを表す式18の中間体が得られる。この変換のための条件は、文献、例えばL. R. Hatton et al. US4629495に見出すことができる。
【0086】
式:RXで示されるアルキル化剤による式18のカルバマートのアルキル化は、よく知られている様々な異なる方法を用いて実施できる。脱離基Xは、ハロゲン(例えば、臭素またはヨウ素)であってよく、またはスルホナートエステル(例えば、メシラート、トシラート、またはノシラート)等であってもよい。反応は、テトラヒドロフランのような不活性溶媒中、アルキル化剤の反応性に応じてほぼ室温および溶媒の還流温度の間の温度で、カルバマートを、水素化ナトリウムのような塩基で処理することにより、簡便に実施される。
【0087】
次に、R’基の性質に特異的であり得る、この変換のための当分野で周知の条件を用いて、式19のカルバマートからカルバマート保護基を除去すると、式20のアミンが得られる。"Protective Groups in Organic Synthesis"[T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 2nd Edition, John Wiley & Sons, N.Y. 1991]という書物に、適切な条件の例が数多く概説されている。例えば、R’がtert−ブチルを表す式19の化合物の場合、ハロゲン化炭化水素(例えばジクロロメタン)のような不活性溶媒中、ほぼ室温で、式20の化合物を、トリフルオロ酢酸のような酸で処理することによって保護基を除去できる。R’がメチルまたはエチルを表す式19の化合物の場合には、エチレングリコール中約100度で、式19の化合物を水酸化カリウムと共に加熱することによって保護基を除去できる。この反応のための条件は、文献、例えばK. Matsushita et al. EP885890に見出すことができる。
【0088】
次に、式20の化合物中のエチルエステルを、有機合成分野で周知の条件の下で、加水分解的に除去できる。例えば、式20の化合物を、適切な溶媒、例えばテトラヒドロフラン、メタノール、および水の混合物中、1当量の水酸化アルカリ金属、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、または水酸化リチウム、好ましくは水酸化リチウムで処理できる。反応は、約0度〜ほぼ室温、好ましくはほぼ室温で実施できる。
【0089】
別法として、式19の化合物を酸性条件に付す、例えば希塩酸水溶液中、還流温度で加熱することにより、カルバマートおよびエステルを式19の化合物から1工程で除去することもできる。
【0090】
次いで、必要ならばカップリング剤(その例の多くがペプチド化学においてそれ自体既知である)の存在下、構造21で示されるカルボン酸またはその適切な誘導体、例えば活性化エステルと、式6で示されるアダマンタン誘導体または対応する酸付加塩(例えば塩酸塩)の反応によって、式1の本発明化合物を製造することができる。反応は、ジイソプロピルエチルアミンのような適切な塩基、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファートのようなカップリング剤の存在下、そして場合により、反応速度を速める物質、例えば1−ヒドロキシベンゾトリアゾールまたは1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾールのさらなる存在下、不活性溶媒、例えば塩素化炭化水素(例えばジクロロメタン)またはN,N−ジメチルホルムアミドまたはN−メチルピロリジノン中、約0度〜ほぼ室温、好ましくはほぼ室温の温度で、構造21で示されるカルボン酸を式6で示されるアダマンタン誘導体の塩酸塩で処理することにより、好都合に実施できる。あるいは、反応は、式21のカルボン酸を活性化エステル誘導体、例えばN−ヒドロキシスクシンイミドエステルに変換し、その後これを式6のアダマンタン誘導体または対応する酸付加塩と反応させることによって実施することもできる。この反応系列は、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドのようなカップリング剤の存在下、テトラヒドロフランのような不活性溶媒中、約0度〜ほぼ室温の温度で、式21のカルボン酸をN−ヒドロキシスクシンイミドと反応させることにより実施できる。次に、塩基、例えば有機塩基(例えば、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等)の存在下で、N,N−ジメチルホルムアミドのような適切な不活性溶媒中、室温付近で、得られたN−ヒドロキシスクシンイミドエステルを式6で示されるアダマンタン誘導体または対応する酸付加塩で処理する。
【0091】
ヒドラジン類製造のための様々な方法が知られており、これらは “The Chemistry of the Hydrazo, Azo, and Azoxy Groups. Part 1”[J. Timberlake and J. Stowell; S. Patai Ed.; John Wiley & Sons, Ltd. London 1975, 69-107]で論評されている。アリール−ヒドラジン類の製造に有用な方法の例には、アニリンのジアゾ化に続くジアゾニウム塩の還元(P. Barraja et al. Bioorg. Med. Chem. 2006, 14, 8712-8728;R. V. Bonnert et al. WO2005019171;J. -Y. Winum et al. J. Med. Chem. 2005, 48, 2121-2125;P. Y. S. Lam et al. J. Med. Chem. 2003, 46, 4405-4418);電子不足アリール環からの脱離基の転移(M. R. Barbachyn et al. J. Med. Chem. 2003, 46, 284-302;M. Pal et al. J. Med. Chem. 2003, 46, 3975-3984;N. Pommery et al. J. Med. Chem. 2004, 47, 6195-6206);O−メシチレンスルホニルヒドロキシルアミンを用いるアニリンのアミノ化(D. W. Brown et al. Tetrahedron 1993, 49, 8919-8932)が挙げられる。圧倒的に最もよく利用される方法は、アニリンのジアゾ化に続くジアゾニウム塩の還元である。さらに、100を超える置換または非置換アリール−ヒドラジンが、商業的に入手可能であるとしてAvailable Chemicals Directoryに列挙されている。
【0092】
2−アダマンタンアミン塩酸塩は、Aldrichから入手できる。
【0093】
2−アミノ−5−ヒドロキシ−アダマンタン(式22)は、L. Jaraskova et al. Tetrahedron Lett. 2006, 47, 8063-8067に記載の方法に従い、5−ヒドロキシ−2−アダマンタノンおよびl−S−α−メチルベンジルアミンから誘導されるイミンの水素添加によって製造できる。
【0094】
【化12】

【0095】
スキーム6に示すように、2−アミノ−5−ヒドロキシ−アダマンタン(22)から出発して2−アミノ−5−アセトアミド−アダマンタン(式25)を製造できる。式23のCbz保護化合物は、ジクロロメタンのような不活性溶媒中、ほぼ室温で、トリエチルアミンのような塩基の存在下、クロロギ酸ベンジルで処理することにより、2−アミノ−5−ヒドロキシ−アダマンタンから好都合に製造される。次に、式23のアルコールを、リッター反応として知られる反応において、アセトニトリル中、室温で、硫酸のような無機酸で処理する。この反応のための条件は、L. Jaroskova et al. WO2006024627;B. Gopalan et al. WO2006090244;およびR. K. Hill J. Am. Chem. Soc. 1965, 87, 5646-5651に見出すことができる。次いで、貴金属触媒下での水素添加を用いて式24の化合物からカルボベンジルオキシ保護基を除去して、式25で示されるアミンを得る。例えば、式24の化合物を、アルコール性溶媒(例えばエタノール)中、室温で、触媒量の5%パラジウム−炭素の存在下におよそ50psiで水素添加できる。
【0096】
【化13】

【0097】
スキーム7に示すように、式23のアルコールを、硫酸の存在下にほぼ室温でクロロアセトニトリルによるリッター反応条件に付し、式26で示されるクロロアセチル誘導体が得られる。次に、この化合物は、エタノール中、約50度〜約120度の温度で、酢酸の存在下、チオウレアとの反応を受け、式27のアミンが得られる。リッター反応およびクロロアセトアミドの脱保護のための条件は、文献、例えばI. R. Gladwell WO2007010356;B. Gopalan et al. WO2006090244;およびA. Jirgensons et al. Synthesis 2000, 1709-1712に見出すことができる。次いで式27のアミンを、ジクロロメタンのような不活性溶媒中、ほぼ室温で、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下、メタンスルホニルクロリドで処理すると、式28で示されるスルホンアミドが得られる。次に、貴金属触媒下で水素添加を用いて式28の化合物からカルボベンジルオキシ保護基を除去して、式29のアミンを得る。例えば、式28の化合物を、アルコール性溶媒(例えばエタノール)中、室温で、触媒量の5%パラジウム−炭素の存在下、およそ50psiで水素添加できる。
【0098】
【化14】

【0099】
スキーム8に示すように、式11で示される1−アリール−ピラゾール−4−カルボキシラートエステルは、(エトキシカルボニル)−マロンジアルデヒドとアリールヒドラジンの反応により好都合に製造できる。(エトキシカルボニル)−マロンジアルデヒドの合成は、S. H. Bertz et al. J. Org. Chem. 1982, 47, 2216-2217に、プロピオール酸エチルからの2工程で記載されている。式11の化合物は、(エトキシカルボニル)−マロンジアルデヒドを、低級アルコール(例えばエタノール)のような不活性溶媒中、室温で、アリールヒドラジンで処理することにより好都合に製造される。この反応に好適な条件は、文献、例えばW. Holzer and G. Seringer J. Heterocycl. Chem. 1993, 30, 865-872に見出すことができる。
【0100】
【化15】

【0101】
スキーム9に示すように、式11で示される1−アリール−ピラゾール−4−カルボキシラートエステルは、商業的に入手可能な1,3−ジメチルウラシル−5−カルボキシアルデヒド(式30)から2工程で製造できる。即ち、アルデヒドを、水中、約100度で、酢酸の存在下、式:ArNHNHで示されるアリールヒドラジンで処理して、式31のヒドラゾンを得る。次にこれをメタノール中、還流温度で、ナトリウムメトキシドの存在下で加熱すると、式11で示される1−アリール−ピラゾール−4−カルボキシラートエステルが得られる。この反応に好適な条件は、文献、例えばK. Hirota et al. J. Chem. Soc. Perkin Trans. I 1983, 1293-1297に見出すことができる。
【0102】
【化16】

【0103】
スキーム10に示すように、式11で示される1−アリール−ピラゾール−4−カルボキシラートエステルは、式15のシドノン(前記のように製造する)とプロピオール酸低級アルキル(例えばプロピオール酸メチル)の[3+2]双曲環状付加反応の少量生成物として単離できる。この反応は、式15のシドノンを、1,2−ジクロロベンゼン、イソブチルアルコール、p−キシレン、またはジメチルホルムアミドのような不活性溶媒中、還流温度でプロピオール酸メチルで処理することにより、好都合に実施される。この反応に好適な条件は、文献、例えばE. -M. Chang et al. Heterocycles 2006, 68, 1007-1015に見出すことができる。
【0104】
ここに本発明を以下の実施例においてさらに説明するが、これらは例示のみを意図し、本発明の範囲を限定するものではない。
【0105】
実施例
試薬はAldrich、Sigma、Bachem Biosciences、Advanced ChemTech、LancasterおよびArgonaut Argogelから購入し、さらなる精製をせずに使用した。特に指摘のない限り、全ての試薬を商業的供給源から入手した。LC/MS(液体クロマトグラフィー/質量分析)スペクトルは以下の系を用いて記録した。質量スペクトル測定のため、系を、Micromass Platform II:APIイオン化(正のエレクトロスプレー)(質量範囲:150〜1200amu)で構成した。同時クロマトグラフィー分離を以下のHPLC系で達成した:カラム、ES Industries Chromegabond WR C-18 3u 120Å(3.2x30mm)カートリッジ;移動相A:水(0.02%TFA)および相B:アセトニトリル(0.02%TFA);勾配 10%B〜90%B(3分間);平衡時間、1分間;流速2mL/分。
【0106】
化合物を、シリカゲルを使用し酢酸エチルおよびヘキサン溶媒混合物またはその他の適切な溶媒で溶離するフラッシュカラムクロマトグラフィー等の様々なクロマトグラフィー法を用いて精製した。ある種の化合物は、当業者に周知の方法を用いて逆相HPLCによっても精製した。
【0107】
中間体1:5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル
【0108】
【化17】

【0109】
アセトニトリル(100mL)中の塩化銅(I)(5.1g、51.5mmol、1.2当量)の懸濁液に、亜硝酸tert−ブチル(7.6mL、63.9mmol、1.5当量)を0℃で滴下した。反応混合物を0℃で10分間撹拌した。アセトニトリル(30mL)中の5−アミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(Aldrichから入手可能;10.0g、43.2mmol、1当量)の溶液を0℃で15分間かけて滴下した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次に65℃で1時間撹拌した。続いて、出発物質を完全に消費させ(TLCによりモニタリングした)、反応混合物を6N塩酸(200mL)に注ぎ、ジクロロメタン(3×300mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、カラムクロマトグラフィー(ヘプタンで、次にヘプタン中の20%酢酸エチルで溶離する)により精製して、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(7.3g、66%)を得、NMRおよびHPLC分析が示したその純度は78%であった。この物質を次の工程で更に精製しないで直接使用した。
【0110】
中間体2:5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸
【0111】
【化18】

【0112】
テトラヒドロフラン(70mL)中の5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸エチルエステル(中間体1;7.3g、29.1mmol)の溶液に、水(70mL)中の水酸化リチウム(7.3g、305mmol)の溶液を加えた。ひとつの層だけに見えるまで、メタノール(〜10mL)を反応混合物に滴下した。反応混合物を70℃で1時間撹拌した(TLCにより反応の進行をモニタリングした)。反応混合物を1N 塩酸でpH 3に酸性化し、ジクロロメタン(3×200mL)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させて、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(5.8g、91%)を得、HPLC分析が示したその純度は85%であった。この物質を更に精製しないで次の工程で直接使用した。
【0113】
中間体3:5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0114】
【化19】

【0115】
テトラヒドロフラン(70mL)中の5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(中間体2;5.8g、26.1mmol)の溶液に、2−アダマントアミン塩酸塩(Aldrichから入手可能;6.0g、32.0mmol、1.2当量)およびジイソプロピルエチルアミン(5.7mL、32.7mmol、1.2当量)を加えた。1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC;7.5g、39.1mmol、1.5当量)を撹拌しながら少しずつ加えた。EDCを完全に添加した後、反応混合物を70℃で約2時間撹拌した(TLCおよびLCMSにより反応の進行をモニタリングした)。反応混合物をジクロロメタン(300mL)に溶解し。1N 塩酸(2×200mL)およびブライン(200mL)で洗浄し、次に硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させ、カラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の20%酢酸エチルで溶離する)により精製して、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(4.2g、11.8mmol、45%)を得、HPLC分析が示したその純度は90%であった。この物質を更に精製しないで次の工程で直接使用した。
【0116】
手順A
【0117】
【化20】

【0118】
N−メチルピロリジノン(10容量)中の5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3;1当量)の溶液に、アミン(R1R2NH;20当量)を加えた。反応混合物をマイクロ波条件(250℃、150W)下で20分間加熱した。マルチパルスが必要であった(通常、2〜3が出発物質の完全な消費を示した;LCMSにより反応をモニタリングした)。この化合物を、下記の溶媒シーケンス:ヘプタン;ヘプタン中の10%酢酸エチル;ヘプタン中の20%酢酸エチル;およびヘプタン中の50%酢酸エチルで溶離するクロマトグラフィーにより精製した。
【0119】
実施例1:5−イソプロピルアミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0120】
【化21】

【0121】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)およびイソプロピルアミンから5−イソプロピルアミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=379。
【0122】
実施例2:5−ベンジルアミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0123】
【化22】

【0124】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)およびベンジルアミンから5−ベンジルアミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=427。
【0125】
実施例3:1−フェニル−5−[(ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0126】
【化23】

【0127】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)および3−(アミノメチル)ピリジンからフェニル−5−[(ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=428。
【0128】
実施例4:5−(シクロプロピルメチル−アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0129】
【化24】

【0130】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)およびシクロプロパンメチルアミンから5−(シクロプロピルメチル−アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=391。
【0131】
実施例5:5−シクロヘキシルアミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0132】
【化25】

【0133】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)およびシクロヘキシルアミンから5−シクロヘキシルアミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=419。
【0134】
実施例6:5−シクロブチルアミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0135】
【化26】

【0136】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)およびシクロブチルアミンから5−シクロブチルアミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=391。
【0137】
実施例7:5−(2,5−ジメチル−ピロリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0138】
【化27】

【0139】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)および2,5−ジメチルピロリジンから5−(2,5−ジメチル−ピロリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=419。
【0140】
実施例8:5−(2−メチル−ピロリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0141】
【化28】

【0142】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)および2−メチルピロリジンから5−(2−メチル−ピロリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=405。
【0143】
実施例9:5−(3−メチル−ピペリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0144】
【化29】

【0145】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)および3−メチルピペリジンから5−(3−メチル−ピペリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=419。
【0146】
実施例10:5−(ベンジル−メチル−アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0147】
【化30】

【0148】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)およびN−メチルベンジルアミンから5−(ベンジル−メチル−アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=441。
【0149】
実施例11:5−(メチル−フェネチル−アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0150】
【化31】

【0151】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)およびN−メチルフェネチルアミンから5−(メチル−フェネチル−アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=455。
【0152】
実施例12:5−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0153】
【化32】

【0154】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)および2,6−ジメチルモルホリンから5−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=435。
【0155】
実施例13:1−フェニル−5−ピロリジン−1−イル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0156】
【化33】

【0157】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)およびピロリジンからフェニル−5−ピロリジン−1−イル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=391。
【0158】
実施例14:5−アゼパン−1−イル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0159】
【化34】

【0160】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)およびヘキサメチレンイミンから5−アゼパン−1−イル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=419。
【0161】
実施例15:5−モルホリン−4−イル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0162】
【化35】

【0163】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)およびモルホリンから5−モルホリン−4−イル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=407。
【0164】
実施例16:5−(3−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0165】
【化36】

【0166】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)および3−ピペリジンメタノールから5−(3−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=435。
【0167】
実施例17:5−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0168】
【化37】

【0169】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)およびL−プロリノールから5−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=421。
【0170】
実施例18:5−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0171】
【化38】

【0172】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)および4−ヒドロキシピペリジンから5−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=421。
【0173】
実施例19:5−(3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0174】
【化39】

【0175】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)および3−ヒドロキシピペリジンから5−(3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=421。
【0176】
実施例20:5−(3−ヒドロキシ−ピロリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0177】
【化40】

【0178】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)およびDL−3−ピロリジノールから5−(3−ヒドロキシ−ピロリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=407。
【0179】
実施例21:5−(2−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0180】
【化41】

【0181】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)および1−アミノ−2−プロパノールから5−(2−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=395。
【0182】
実施例22:5−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0183】
【化42】

【0184】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)およびエタノールアミンから5−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=381。
【0185】
実施例23:5−(3−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0186】
【化43】

【0187】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)および3−アミノ−1−プロパノールから5−(3−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=395。
【0188】
実施例24:5−(4−ヒドロキシ−ブチルアミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0189】
【化44】

【0190】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)および4−アミノ−1−ブタノールから5−(4−ヒドロキシ−ブチルアミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=409。
【0191】
実施例25:1−フェニル−5−[(テトラヒドロ−フラン−2−イルメチル)−アミノ]−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0192】
【化45】

【0193】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)およびテトラヒドロフルフリルアミンからフェニル−5−[(テトラヒドロ−フラン−2−イルメチル)−アミノ]−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=421。
【0194】
実施例26:5−[(2−ヒドロキシ−エチル)−メチル−アミノ]−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0195】
【化46】

【0196】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)および2−(メチルアミノ)エタノールから5−[(2−ヒドロキシ−エチル)−メチル−アミノ]−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=396。
【0197】
実施例27:5−(3−メトキシ−プロピルアミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド
【0198】
【化47】

【0199】
手順Aを使用し、5−クロロ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド(中間体3)および3−メトキシプロピルアミンから5−(3−メトキシ−プロピルアミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミドを調製した。質量スペクトル(ES)MH+=409。
【0200】
実施例28:本発明化合物のインビトロ試験
【0201】
本発明化合物による11β−HSD1のインビトロ阻害を以下の試験によって実証した。
【0202】
全長ヒト11βHSD1 cDNAで安定的にトランスフェクトしたH4IIE細胞を、10%FCS(Invitrogen Cat#10082−147)、100単位/mLおよび100μg/mL pen/strep(Invitrogen Cat#15140−122)、およびジェネティシン(800μg/mL)を添加したDMEM高グルコース培地(Invitrogen Cat#11995−065)で増殖拡大させた。アッセイの1日前に、トリプシン/EDTAを用いて細胞をフラスコから放出し、遠心分離し、そしてプレーティング培地(DMEM高グルコース、フェノールレッドなし;Invitrogen Cat#21063−029、2%活性炭処理FCSを補充;Gemini Cat#100−119)で洗浄した。プレーティング培地中の500000細胞/mLの懸濁液から細胞200μLを96ウェル被覆プレート(BioCoat Cat#356461)の各ウェルに撒き、37℃で一晩培養した。翌日、DMSOに溶解した連続希釈11βHSD1阻害化合物をBSA(最終2mg/mL)と共にDMEMに添加した。DMSOの最終濃度は1%であった。培地をプレートから吸引し、培地中の化合物を各ウェルに加えた。プレートを37℃で1時間インキュベートし、細胞に化合物を取り込ませた。次に基質(コルチゾン)10μLを各ウェルに加え(最終濃度200nM)、37℃で2時間インキュベートした。次いでプレートを氷に移し、培地80μLを96ウェルプレートに移し、−30℃で保存した。
【0203】
ELISA−Light(Tropix Cat#T10206/EL100S4)、抗コルチゾールEIA抗体(Assay Designs, Inc. Cat#80−1148)、およびコルチゾール−酵素コンジュゲート(Assay Designs, Inc. Cat#80−1147)を用いる競合的ELISAにより、細胞培地中のコルチゾールの定量を行った。384ウェルプレート(Falcon Cat#353988)を、ウェルあたり50μLの、0.9% NaCl(5mg/mL)に懸濁させた抗マウスIgG(Sigma Cat#M−1397)で、一晩4℃でプレコートした。プレートを、PBS、0.1% Tween−20で洗浄し、次いでPBSのみで洗浄した。プレートをブロッキング緩衝液(Tropix Cat#AI075)により室温で2時間ブロックした。次にこのプレートを前記のように洗浄した。アッセイ試料を融解し、DMEM、2mg/mL BSA、1% DMSOで1:8に希釈し、24μLを、様々な量のコルチゾール標準と共に、プレコートした384ウェルプレートのウェルに移した。各ウェルにコルチゾールコンジュゲート12μLおよび抗コルチゾールEIA抗体12μLを加え、オービタル・プレートシェーカー上、室温で2時間インキュベートした。次にウェルを倒置して空にし、100μL PBS、0.05% Tween−20で3回、次いでアッセイ緩衝液(Tropix)100μLで2回洗浄した。各ウェルにCDP−STAR(Tropix)60μLを加え、室温で10分間インキュベートした。Victor V Reader(Perkin Elmer)を用いて化学ルミネセンスを測定した。各試料中のコルチゾールを、既知量のコルチゾールによって作製した標準曲線から内挿した。曲線当てはめソフトウェアXLFit4(IDBS)を用いてIC50値を算出した。
【0204】
本発明の代表的な化合物による11β−HSD1のインビトロ阻害結果を以下の表に示す。
【0205】
【表1】





【0206】
本発明は、上に記載した本発明の特定の態様に限定されず、その特定の態様の変形を行うことができ、その変形も添付の請求項の範囲内にあるということを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化48】


[式中、
は、水素または低級アルキルであり;
は、低級アルキル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CHOH、−(CHCH(CH)OHまたは−(CHOCHであるか;あるいは、
およびRは、それらが結合しているN原子と一緒になって、五〜七員単環式環(これは、RおよびRが結合しているN原子と、場合により、OおよびSから選択される別のヘテロ原子を含む)を形成し、
ここで、この五〜七員単環式環は、非置換であるか、またはヒドロキシ、低級アルキルおよび−(CHOHから独立して選択される置換基で一または二置換されており;
は、水素、ハロゲン、低級アルキルおよび低級アルコキシから独立して選択される1以上の置換基であり;
は、水素、−OH、−NHC(=O)CHまたは−NHS(=O)(=O)CHであり;
nは、1、2、3または4である]
で示される化合物および薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
が、水素であり、そしてRが、低級アルキル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CHOH、−(CHCH(CH)OHまたは−(CHOCHである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が、低級アルキルであり、そしてRが、低級アルキル、−(CH−シクロアルキル、−(CH−ヘテロシクロアルキル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロアリール、−(CHOH、−(CHCH(CH)OHまたは−(CHOCHである、請求項1〜2のいずれか一項記載の化合物。
【請求項4】
が、メチルである、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項5】
が、イソプロピル、−CH−フェニル、−CH−ピリジニル、−CH−シクロプロピル、シクロヘキシル、シクロブチル、−CHCH−フェニル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシブチル、−CH−テトラヒドロフラニルまたはメトキシプロピルである、請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
とRが、それらが結合しているN原子と一緒になって非置換五〜七員単環式環(これは、RとRが結合しているN原子を含む)を形成する、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
とRが、それらが結合しているN原子と一緒になって非置換五〜七員単環式環(これは、RとRが結合しているN原子と、OおよびSから選択される別のヘテロ原子を含む)を形成する、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
とRが、それらが結合しているN原子と一緒になって五〜七員単環式環(これは、RとRが結合しているN原子を含む)を形成し、ここで、この五〜七員単環式環は、ヒドロキシ、低級アルキルまたは−(CHOHで一または二置換されている、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
とRが、それらが結合しているN原子と一緒になって五〜七員単環式環(これは、RとRが結合しているN原子と、OおよびSから選択される別のヘテロ原子を含む)を形成し、ここで、この五〜七員単環式環は、ヒドロキシ、低級アルキルまたは−(CHOHで一または二置換されている、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
−NRが、ピロリジニル、ジメチルピロリジニル、メチルピロリジニル、メチルピペリジニル、モルホリニル、ジメチルモルホリニル、アゼパニル、ヒドロキシメチルピペリジニル、ヒドロキシメチルピロリジニル、ヒドロキシピペリジニルまたはヒドロキシピロリジニルである、請求項1および請求項6〜9のいずれか一項記載の化合物。
【請求項11】
が、水素またはハロゲンである、請求項1〜10のいずれか一項記載の化合物。
【請求項12】
が、水素である、請求項1〜11のいずれか一項記載の化合物。
【請求項13】
が、水素、−OHまたは−NHC(=O)CHである、請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物。
【請求項14】
が、水素である、請求項1〜13のいずれか一項記載の化合物。
【請求項15】
5−イソプロピルアミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−ベンジルアミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
1−フェニル−5−[(ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(シクロプロピルメチル−アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−シクロヘキシルアミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−シクロブチルアミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(2,5−ジメチル−ピロリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(2−メチル−ピロリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(3−メチル−ピペリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(ベンジル−メチル−アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(メチル−フェネチル−アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
1−フェニル−5−ピロリジン−1−イル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−アゼパン−1−イル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−モルホリン−4−イル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(3−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−((S)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(3−ヒドロキシ−ピロリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(2−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(3−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(4−ヒドロキシ−ブチルアミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
1−フェニル−5−[(テトラヒドロ−フラン−2−イルメチル)−アミノ]−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−[(2−ヒドロキシ−エチル)−メチル−アミノ]−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;および
5−(3−メトキシ−プロピルアミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド、から選択される、請求項1〜14のいずれか一項記載の化合物。
【請求項16】
5−イソプロピルアミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(シクロプロピルメチル−アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(2−メチル−ピロリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(3−メチル−ピペリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(メチル−フェネチル−アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
1−フェニル−5−ピロリジン−1−イル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−アゼパン−1−イル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−モルホリン−4−イル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
5−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;
1−フェニル−5−[(テトラヒドロ−フラン−2−イルメチル)−アミノ]−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド;および
5−(3−メトキシ−プロピルアミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸アダマンタン−2−イルアミド、から選択される請求項1〜15のいずれか一項記載の化合物。
【請求項17】
式(II):
【化49】


で示される化合物を、式:HNRで示される化合物と反応させること;または
式(III):
【化50】


で示される化合物を、式(IV):
【化51】


で示される化合物と反応させること(ここで、R、R、RおよびRは、請求項1〜12のいずれか一項で定義されたとおりである)
を含む、請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物の製造方法。
【請求項18】
治療上活性な物質として使用するための、請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物。
【請求項19】
酵素11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1に関連する障害により惹起される疾病の予防または治療のための医薬の製造のための、請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物。
【請求項20】
請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物および治療上不活性な担体を含む、医薬組成物。
【請求項21】
糖尿病、肥満、摂食障害または脂質異常症の治療または予防用医薬の製造のための、請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項22】
糖尿病、肥満、摂食障害または脂質異常症の治療または予防用医薬として使用するための、請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物。
【請求項23】
II型糖尿病の治療または予防用医薬の製造のための、請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項24】
II型糖尿病の治療または予防用医薬として使用するための、請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物。
【請求項25】
請求項17の方法に従って製造された、請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物。
【請求項26】
糖尿病、肥満、摂食障害または脂質異常症の治療または予防方法であって、請求項1〜16のいずれか一項に定義された化合物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項27】
II型糖尿病の治療または予防方法であって、請求項1〜16のいずれか一項に定義された化合物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項28】
本明細書に記載される発明。

【公表番号】特表2010−533670(P2010−533670A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516456(P2010−516456)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058804
【国際公開番号】WO2009/010416
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】