説明

11−ベータヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害剤としてのピロリジン−2−オン及びピペリジン−2−オン誘導体

薬剤として使用するための、式(I)
【化1】


[式中、nは1又は2であり;Lは、場合によりC1−4アルキル、C1−3アルキルオキシ−C1−4アルキル−、ヒドロキシ−C1−4アルキル、ヒドロキシ、C1−3アルキルオキシ−又はフェニル−C1−4アルキルから選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができるC1−3アルキルリンカーを示し;Mは直接結合あるいは場合によりヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルキルオキシから選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができるC1−3アルキルリンカーを示し;R及びRはそれぞれ独立して水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、場合によりハロで置換されていることができるC1−4アルキル、場合によりヒドロキシ、Ar及びハロから選ばれる1個又は可能な場合には2もしくは3個の置換基で置換されていることができるC1−4アルキルオキシ−を示すか;あるいはR及びRは、それらが結合しているフェニル環と一緒になってナフチル又は1,3−ベンゾジオキソリルを形成し、ここで該ナフチル又は1,3−ベンゾジオキソリルは場合によりハロで置換されていることができ;Rは水素、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ−、シアノ又はヒドロキシを示し;Rは水素、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ−、シアノ又はヒドロキシを示し;Rは水素、C1−4アルキル又はAr−C1−4アルキル−を示し;Rは水素、ハロ、C1−4アルキル又はC1−4アルキルオキシ−を示し;Ar及びArはそれぞれ独立してフェニル又はナフチルを示し、ここで該フェニル及びナフチルは場合によりC1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ−又はフェニル−C1−4アルキルで置換されていることができる]
そのN−オキシド形態、製薬学的に許容され得る付加塩及び立体化学的異性体。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
メタボリックシンドロームは、西洋のみでなくアジア及び未開発国においても流行が増している病気である。それは肥満、特に中心又は内臓肥満、2型糖尿病、高脂血症、高血圧、アテローム性動脈硬化症、冠動脈性心疾患及び結局は慢性の腎不全により特徴付けられる(非特許文献1)。
【0002】
グルココルチコイド及び11β−HSD1は、脂肪基質細胞の成熟脂肪細胞への分化における重要な因子であることが知られている。肥満の患者の内臓基質細胞において、11β−HSD1 mRNAレベルは皮下組織と比較して増加している。さらに、形質転換マウスにおける11β−HSD1の脂肪組織過剰発現は、脂肪組織におけるコルチコステロンレベルの増加、内臓肥満、インスリン感受性、2型糖尿病、高脂血症及び過食症と関連している(非特許文献2)。従って、11β−HSD1は内臓肥満及びメタボリックシンドロームの発生に最も含まれそうである。
【0003】
11β−HSD1の阻害は、脂肪基質細胞の分化の低下及びその増殖の増加を生ずる。さらにグルココルチコイド欠乏(副腎摘出)は、インスリン及びレプチンが食欲不振及び体重減少を促進する能力を強化し、この効果はグルココルチコイド投与により逆転される(非特許文献3)。これらのデータは、11β−HSD1によるコルチゾンの再活性化の強化が肥満を悪化させ得、肥満患者の脂肪組織におけるこの酵素を阻害するのが有益であり得ることを示唆している。
【0004】
肥満は心臓血管的危険にも結びつけられる。男性及び女性の両方においてコルチゾール排泄速度とHDLコレステロールの間に有意な関連があり、グルココルチコイドが心臓血管的危険の重要な構成要素を調節することを示唆している。類似して、高齢者において大動脈の硬さも内臓肥満症と関連する。
グルココルチコイド及び緑内障
グルココルチコイドは、外因的に投与される場合及びクッシング症候群におけるようなある種の生産の増加の状態において、眼内圧を上げることにより緑内障の危険を増加させる。眼内圧のコルチコステロイド−誘導上昇は、小柱網及びその細胞内マトリックスにおけるグルココルチコイド誘導変化の故に水の流出に対する抵抗が増すことにより引き起こされる。非特許文献4も、組織−培養ウシ前上葉区の小柱網においてコルチコステロイドがフィブロネクチンならびにI型及びIV型コラーゲンの量を増加させることを報告した。
【0005】
11β−HSD1は、角膜上皮の基底細胞及び非−色素沈着上皮細胞(non−pigmented epithelial cells)において発現される。グルココルチコイド受容体mRNAは小柱網のみで検出されたが、非−色素沈着上皮細胞中にグルココルチコイド−及びミネラルコルチコイド受容体及び11β−HSD1に関するmRNAは存在した。患者へのカルベノキソロン投与は眼内圧の有意な低下を生じ(非特許文献5)、緑内障の処置におけるHSD1−阻害剤に関する役割を示唆している。
【0006】
従って、本発明により解決されるべき根元的な問題は、11β−HSD1に関する高い選択性を有する有力な11β−HSD阻害剤を同定すること、ならびに過剰のコルチゾール形成と関連する病理学、例えば肥満、糖尿病、肥満関連心臓血管病及び緑内障の処置におけるその使用であった。下記に示す通り、式(I)の3−置換2−ピロリジノン誘導体は薬剤として、特に過剰のコルチゾール形成と関連する病理学の処置用の薬剤の製造にお
いて有用であることが見出された。
【0007】
非−特許文献6は、ピペリジン−及びピロリジノン−様ポリマー担持(R)−フェニルグリシノール−由来骨格の製造を提供し、特に2−ピロリジノン,1−[(1R)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル]−3−メチル−3−(フェニルメチル)−及び2−ピロリジノン,1−[(1R)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル]−3−(フェニルメチル)−,(3R)を開示している。
【0008】
非−特許文献7は、キラル非−ラセミγ−ラクトンのα−アルキル化を介する3−置換ピロリジノン類の製造を提供し、特に1−(2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル)−3−ベンジルピロリジン−2−オンを開示している。
【0009】
特許文献1;特許文献2;特許文献3;特許文献4及び特許文献5は、Aventis
Pharmaceuticals Inc.により出願された複数の特許出願であり、アレルギー性疾患の処置に有用な4−(1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[1,4]ジアゼパンを提供している。これらの出願中で、本発明の3−置換ピロリジノン類は該4−(1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[1,4]ジアゼパンの合成における中間体として開示されている。これらの出願は特に;2−ピロリジノン,3−[(4−フルオロフェニル)メチル]−1−[(1S)−1−フェニルエチル]−及び2−ピロリジノン,3−[(4−フルオロフェニル)メチル]−1−[(1R)−1−フェニルエチル]−を開示している。
【0010】
ジアステレオマー性3−置換1−[1’−(S)−フェニルエチル]−2−ピロリジノンの一般的合成及び絶対立体配置は非特許文献8により提供されている。それは2−ピロリジノン,3−メチル−3−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−(1−フェニルエチル)−,[S−(R,R)];2−ピロリジノン,3−メチル−3−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−(1−フェニルエチル)−,[S−(R,S)];2−ピロリジノン,3−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−(1−フェニルエチル)−,[S−(R,R)]及び2−ピロリジノン,3−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−(1−フェニルエチル)−,[S−(R,S)]の合成を例示している。
【0011】
しかしながら、引用された文書のいずれにも本発明の3−置換2−ピロリジノン誘導体の治療的適用は開示されていない。
【特許文献1】米国特許第2001/034343号明細書
【特許文献2】米国特許第6,211,199号明細書
【特許文献3】米国特許第6,194,406号明細書
【特許文献4】国際公開第97/22604号パンフレット
【特許文献5】国際公開第97/19074号パンフレット
【非特許文献1】C.T.Montague et al.著,Diabetes,49,2000年,883−888
【非特許文献2】H.Masuzaki et al.著,Science,294,2001年,2166−2170
【非特許文献3】P.M.Stewart et al著,Trends Endocrin.Metabol.13,2002年,94−96
【非特許文献4】Zhou et al.著,Int J Mol Med 1,1998年,339−346
【非特許文献5】S.Rauz et al.著,Invest,Ophtalmol.Vis.Science,42,2001年,2037−2042
【非特許文献6】Blommaert A.et al.著,Heterocycles,55(12),2001年,2273−2278
【非特許文献7】Bausanne I.et al.著,Tetrahedron:Assymetry,9(5),1998年,797−804
【非特許文献8】Nikiforov T.T.and Simeonov E.E.著,Doklady Bolgarskoi Academii Nauk,39(3),1986年,73−76
【発明の開示】
【0012】
従って、第1の側面において本発明は、薬剤として使用するための、式(I)
【0013】
【化1】

【0014】
[式中、
nは1又は2であり;
Lは場合によりC1−4アルキル、C1−3アルキルオキシ−C1−4アルキル−、ヒドロキシ−C1−4アルキル、ヒドロキシ、C1−3アルキルオキシ−又はフェニル−C1−4アルキルから選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができるC1−3アルキルリンカーを示し;
Mは直接結合あるいは場合によりヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルキルオキシから選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができるC1−3アルキルリンカーを示し;
及びRはそれぞれ独立して水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、場合によりハロで置換されていることができるC1−4アルキル、場合によりヒドロキシ、Ar及びハロから選ばれる1個又は可能な場合には2もしくは3個の置換基で置換されていることができるC1−4アルキルオキシ−を示すか;
あるいはR及びRは、それらが結合しているフェニル環と一緒になってナフチル又は1,3−ベンゾジオキソリルを形成し、ここで該ナフチル又は1,3−ベンゾジオキソリルは場合によりハロで置換されていることができ;
は水素、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ−、シアノ又はヒドロキシを示し;
は水素、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ−、シアノ又はヒドロキシを示し;
は水素、C1−4アルキル又はAr−C1−4アルキル−を示し;
は水素、ハロ、C1−4アルキル又はC1−4アルキルオキシ−を示し;
Ar及びArはそれぞれ独立してフェニル又はナフチルを示し、ここで該フェニル及びナフチルは場合によりC1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ−又はフェニル−C1−4アルキルで置換されていることができる]
の化合物、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容され得る付加塩及び立体化学的異性体に関する。
【0015】
前記の定義及び下記で用いられる場合、ハロはフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードの総称であり;C1−3アルキルは1〜4個の炭素原子を有する直鎖状及び分枝鎖状飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、1−メチルエチルなどを定義し;C1−4アルキルは1〜4個の炭素原子を有する直鎖状及び分枝鎖状飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、1−メチルエチル、2−メチルプロピル、2,2−ジメチルエチルなどを定義し;C1−4アルキルオキシは1〜3個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状飽和炭化水素基、例えばメトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、1−メチルエチルオキシなどを定義し;C1−4アルキルオキシは1〜4個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状飽和炭化水素基、例えばメトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、1−メチルエチルオキシ、2−メチルプロピルオキシなどを定義する。
【0016】
上記で言及した製薬学的に許容され得る付加塩は、式(I)の化合物が形成することができる治療的に活性な無毒性の酸付加塩の形態を含むものとする。塩基の形態をそのような適した酸で処理することにより、後者を簡単に得ることができる。適した酸は、例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸もしくは臭化水素酸;硫酸;硝酸;リン酸など;あるいは有機酸、例えば酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸(すなわちブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸などを含んでなる。
【0017】
上記で言及した製薬学的に許容され得る付加塩は、式(I)の化合物が形成することができる治療的に活性な無毒性の塩基付加塩の形態を含むものとする。そのような塩基付加塩の形態の例は、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム塩ならびにまた製薬学的に許容され得るアミン、例えばアンモニア、アルキルアミン、ベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン、アミノ酸、例えばアルギニン、リシンとの塩である。
【0018】
逆に、適した塩基又は酸を用いる処理により、該塩の形態を遊離の酸もしくは塩基の形態に転換することができる。
【0019】
上記で用いられた付加塩という用語は、式(I)の化合物ならびにその塩が形成することができる溶媒和物も含む。そのような溶媒和物は、例えば水和物、アルコラートなどである。
【0020】
前記で用いられた立体化学的異性体という用語は、式(I)の化合物が有することができる可能な種々の異性体ならびにコンフォーメーション的形態を定義する。他に言及するか又はことわらない限り、化合物の化学的名称はすべての可能な立体化学的及びコンフォーメーション的異性体の混合物を示し、該混合物は基本的分子構造のすべてのジアステレオマー、エナンチオマー及び/又はコンフォーマーを含有する。純粋な形態又は互いとの混合物の両方における式(I)の化合物のすべての立体化学的異性体が本発明の範囲内に包含されることが意図されている。
【0021】
式(I)の化合物のN−オキシド形態は、1個もしくは数個の窒素原子がいわゆるN−オキシドに酸化されている式(I)の化合物を含むものとする。
【0022】
興味深い群の化合物は、以下の制限の1個もしくはそれより多くが適用される式(I)の化合物から成る:
(i)nが1又は2であり;特にnが1である;
(ii)Lが場合によりC1−4アルキル、C1−3アルキルオキシ−C1−4アルキル−、ヒドロキシ−C1−4アルキル、ヒドロキシ、C1−3アルキルオキシ−又はフェニル−C1−4アルキルから選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができるC1−3アルキルリンカーを示し;特にLが場合によりC1−4アルキルで置換されていることができるC−リンカーを示し;好ましくはLがC1−4アルキルで置換されたC−リンカー、より好ましくはメチルで置換されたC−リンカーを示す;
(iii)Mが直接結合あるいは場合によりヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルキルオキシ−から選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができるC1−2アルキルを示し;特にMが場合によりヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルキルオキシ−から選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができるC1−2アルキルを示し;好ましくはMが場合によりC1−4アルキルで置換されていることができるC−リンカーを示す;
(iv)Rが水素、ヒドロキシ、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ−又はハロで置換されたC1−4アルキルオキシを示す;
(v)Rが水素、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ−又はAr−C1−4アルキルオキシ−を示す;
(vi)Rが水素、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ−又はシアノを示す;
(vii)Rが水素、ハロ、C1−4アルキル又はC1−4アルキルオキシ−を示す;(viii)Rが水素、C1−4アルキル又はAr−C1−4アルキル;特に水素を示す;
(ix)Rが水素、ハロ又はC1−4アルキルオキシ;特に水素、クロロ、フルオロ、ブロモ又はメトキシを示す;
(x)Arがフェニルを示す;
(xi)Arがフェニル又はナフチルを示す。
【0023】
別の群の化合物は、以下の制限の1個もしくはそれより多くが適用される式(I)の化合物から成る:
(i)nが1である;
(ii)Lが場合によりC1−4アルキル、C1−3アルキルオキシ−C1−4アルキル−、ヒドロキシ−C1−4アルキル、ヒドロキシ、C1−3アルキルオキシ−又はフェニル−C1−4アルキルから選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができるC2−3アルキルリンカーを示す;
(iii)Mが場合によりヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルキルオキシから選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができるC2−3アルキルリンカーを示す;
(iv)RがAr−C1−4アルキルを示す;
(v)Rがハロ、C1−4アルキル又はC1−4アルキルオキシ−を示す。
【0024】
別の群の興味深い化合物は、以下の制限の1個もしくはそれより多くが適用される式(I)の化合物から成る:
(i)nが1である;
(ii)Lが場合によりエチル又はメチルで置換されていることができるC1−3アルキ
ルリンカーを示し、特にLがエチル又はメチルで置換されたC−リンカーを示す;
(iii)Mが場合によりメチルで置換されていることができるC−リンカーを示す;(iv)R及びRがC1−4アルキルオキシ、特にメトキシを示すか、あるいはR及びRが、それらが結合しているフェニル環と一緒になって、ハロで置換された1,3−ベンゾジオキソリルを形成する;
(v)Rがクロロ、フルオロ、メチル又は水素を示す;
(vi)Rがクロロ、フルオロ又はメチルを示す;
(vii)Rが水素を示す;
(viii)Rが水素を示す。
【0025】
本発明に従うさらなる群の化合物は、Rがパラ位にあり、LがC−アルキルリンカーを示し、MがC−リンカーを示す化合物である。
【0026】
別の興味深い群の化合物は、LがC1−4アルキル、C1−4アルキルオキシC1−4アルキル−、ヒドロキシC1−4アルキル−又はフェニルC1−4アルキル−で置換されたC−リンカーを示し、ここで該C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシC1−4アルキル−、ヒドロキシC1−4アルキル−又はフェニルC1−4アルキル−はS−立体配置にある式(I)の化合物である。
【0027】
好ましい態様において、式(I)の化合物は;
3−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−1−(1−フェニルプロピル)−2−ピロリジノン;
3−[(2,6−ジフルオロフェニル)メチル]−1−(1−フェニルエチル)−2−ピロリジノン;
3−[(2,6−ジメチルフェニル)メチル]−1−(1−フェニルエチル)−2−ピペリジノン;
3−[(6−クロロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)メチル]−1−(1−フェニルエチル)−2−ピロリジノン;
3−[1−(2−メチルフェニル)エチル]−1−(1−フェニルエチル)−2−ピロリジノン;
3−[(2−クロロ−3,4−ジメトキシフェニル)メチル]−1−(1−フェニルエチル)−2−ピロリジノン;
3−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−ピロリジノン;
3−[(2,6−ジメチルフェニル)メチル]−1−(1−フェニルエチル)−2−ピペリジノン又は
3−[(2−メチルフェニル)メチル]−1−(1−フェニルエチル)−2−ピロリジノン;
それらのN−オキシド、製薬学的に許容され得る付加塩又は立体化学的異性体
より成る群から選ばれる。
【0028】
より好ましい態様において、式(I)の化合物は;
3−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−1−(1−フェニルプロピル)−2−ピロリジノン;
3−[(2,6−ジフルオロフェニル)メチル]−1−(1−フェニルエチル)−2−ピロリジノン;
3−[(2,6−ジメチルフェニル)メチル]−1−(1−フェニルエチル)−2−ピペリジノン;
3−[(6−クロロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)メチル]−1−(1−フェニルエチル)−2−ピロリジノン;
3−[1−(2−メチルフェニル)エチル]−1−(1−フェニルエチル)−2−ピロリジノン;
3−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−ピロリジノン;
3−[(2−メチルフェニル)メチル]−1−(1−フェニルエチル)−2−ピロリジノン;
それらのN−オキシド、製薬学的に許容され得る付加塩又は立体化学的異性体
より成る群から選ばれる。
【0029】
さらなる側面において、本発明は薬剤としての、特に過剰のコルチゾール形成と関連する病理学、例えば肥満、糖尿病、肥満関連心臓血管病及び緑内障の処置又は予防における使用のための前記の群の化合物のいずれかを提供する。
【0030】
本発明の1,3−ピロリジニン誘導体は一般に、例えば(ジイソプロピルアミノ)リチウム(LDA)又はsec−ブチルリチウムのような塩基の存在下に、場合により例えばN,N’,N”−ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)のような共−溶媒又は例えばLiBrのような塩の存在下において適したアルキルハライド(III)を用いる適したラクタム(II)のアルキル化により製造される(スキーム1)。この反応は通常、例えばジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン又は塩化メチレンのような不活性溶媒中で行なわれる。反応温度及び反応時間は出発材料又は試薬に依存して変り得るが、通常は低温(−50℃〜−90℃)で2時間内に行なわれる。いくつかの場合、カップリング反応が遅く、完了まで混合物を保持しなければならない。これらの場合、温度を(−10℃〜−30℃)まで高めることができる。
【0031】
【化2】

【0032】
前記の式(II)の適したラクタムは一般に、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムのような塩基の存在下に、例えばジクロロメタン、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン又は塩化メチレンのような適した溶
媒中で、式(IV)の既知のアミンを4−クロロブタノイルクロリド又は5−クロロペンタノイルクロリドと反応させることにより製造される(スキーム2)。反応は典型的には2段階で行なわれ、ここで第1段階に4−クロロブタノイルクロリド又は5−クロロペンタノイルクロリドを、例えばジクロロメタン中でトリエチルアミンを用いて塩基性条件下で式(IV)のアミンに加え、式(V)のアミドを生成させる。第2段階に、水酸化ナトリウムのような強塩基を加えると、内部求核的付加反応が式(II)のラクタムを与える。
【0033】
【化3】

【0034】
式(IV)のアミンは一般に当該技術分野において既知の方法を用いて製造され、例えば“Introduction to organic chemistry” Streitweiser and Heathcock−Macmillan Publishing Co.,Inc.−second edition−New York−Section 24.6 p742−753を参照されたく、特にガブリエル(Gabriel)合成による適した(ヘテロ)アリールハライドの間接的なアルキル化を介する、対応するニトロ又はニトリル化合物の還元を介する、例えばEschweiler−Clarke反応を用いる還元的アミノ化を介する、及び特にLが場合により置換されていることができるC−アルキルを示す式(I)の化合物の場合、ヒドロキシルアミンとの反応によりアルデヒド又はケトン(VII)から製造され得るオキシム(VI)の還元を介する合成を含んでなる(スキーム3)。この後者の場合、オキシムは水素化アルミニウムリチウム又は適した触媒、例えばラネイニッケルを用いる接触水素化により還元され、該還元は不活性無水溶媒、例えばエーテル又はテトラヒドロフラン(THF)中で行なわれる。
【0035】
【化4】

【0036】
ここでR’はC1−4アルキル、C1−3アルキルオキシ−C1−4アルキル、ヒドロキシ−C1−4アルキル、C1−3アルキルオキシ−又はフェニル−C1−4アルキル−を示し、Rは式(I)の化合物の場合の通りに定義される。
【0037】
上記で挙げた合成法のいずれか1つを用いる式(I)の化合物の合成に関するさらなる例を下記の実験部分で提示する。
【0038】
必要であるか又は望ましい場合、以下のさらなる段階のいずれか1つもしくはそれより多くをいずれかの順序で行なうことができる:
(i)残る保護基の除去;
(ii)式(I)の化合物又はその保護された形態の、さらに別の式(I)の化合物又はその保護された形態への転換;
(iii)式(I)の化合物又はその保護された形態の、式(I)の化合物又はその保護された形態のN−オキシド、塩、第4級アミン又は溶媒和物への転換;
(iv)式(I)の化合物又はその保護された形態のN−オキシド、塩、第4級アミン又は溶媒和物の、式(I)の化合物又はその保護された形態への転換;
(v)式(I)の化合物又はその保護された形態のN−オキシド、塩、第4級アミン又は溶媒和物の、式(I)の化合物又はその保護された形態の別のN−オキシド、製薬学的に許容され得る付加塩、第4級アミン又は溶媒和物への転換;
(vi)式(I)の化合物が(R)及び(S)エナンチオマーの混合物として得られる場合、所望のエナンチオマーを得るための混合物の分割。
【0039】
上記の方法において、中間化合物の官能基を保護基により遮断することが必要であり得ることは、当該技術分野における熟練者にわかるであろう。
【0040】
保護することが望ましい官能基にはヒドロキシ、アミノ及びカルボン酸が含まれる。ヒドロキシのための適した保護基にはトリアルキルシリル基(例えばtert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル又はトリメチルシリル)、ベンジル及びテトラヒドロピラニルが含まれる。アミノのための適した保護基にはtert−ブチルオキシカルボニル又はベンジルオキシカルボニルが含まれる。カルボン酸のための適した保護基にはC(1−6)アルキル又はベンジルエステルが含まれる。
【0041】
官能基の保護及び脱保護は、反応段階の前又は後に行なうことができる。
【0042】
保護基の使用は、‘Protective Groups in Organic Synthesis’2nd edition,T W Greene & P G M Wuts,Wiley Interscience(1991)に十分に記載されている。
【0043】
さらに、式(I)の化合物中のN−原子を当該技術分野において既知の方法により、例えば2−プロパノン、テトラヒドロフラン又はジメチルホルムアミドのような適した溶媒中でCH−Iを用い、メチル化することができる。
【0044】
当該技術分野において既知の官能基変換の方法に従って式(I)の化合物を互いに転換することもでき、その方法のいくつかの例を下記に挙げる。
【0045】
3価の窒素をそのN−オキシド形態に転換するための当該技術分野において既知の方法に従い、式(I)の化合物を対応するN−オキシド形態に転換することもできる。該N−オキシド化反応は一般に、式(I)の出発材料を3−フェニル−2−(フェニルスルホニ
ル)オキサジリジンと、又は適した有機もしくは無機過酸化物と反応させることにより行なうことができる。適した無機過酸化物は、例えば過酸化水素、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属過酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムを含み;適した有機過酸化物はペルオキシ酸、例えばベンゼンカルボペルオキソ酸又はハロ置換ベンゼンカルボペルオキソ酸、例えば3−クロロベンゼンカルボペルオキソ酸、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸、アルキルヒドロペルオキシド、例えばt−ブチルヒドロ−ペルオキシドを含むことができる。適した溶媒は、例えば水、低級アルカノール類、例えばエタノールなど、炭化水素、例えばトルエン、ケトン類、例えば2−ブタノン、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン及びそのような溶媒の混合物である。
【0046】
当該技術分野において既知の方法の適用により、式(I)の化合物の純粋な立体化学的異性体を得ることができる。選択的結晶化及びクロマトグラフィー法、例えば向流分配液体クロマトグラフィーなどのような物理的方法により、ジアステレオマーを分離することができる。
【0047】
式(I)の化合物のいくつか及び本発明における中間体のいくつかは不斉炭素原子を含有し得る。該化合物及び該中間体の純粋な立体化学的異性体を、当該技術分野において既知の方法の適用により得ることができる。例えば選択的結晶化又はクロマトグラフィー法、例えば向流分配液体クロマトグラフィーなどの方法ような物理的方法により、ジアステレオ異性体を分離することができる。エナンチオマーはラセミ混合物から、最初に適した分割剤、例えばキラル酸を用いて該ラセミ混合物をジアステレオマー塩もしくは化合物の混合物に転換し;次いで該ジアステレオマー塩もしくは化合物の混合物を、例えば選択的結晶化又はクロマトグラフィー法、例えば液体クロマトグラフィーなどの方法により物理的に分離し;そして最後に該分離されたジアステレオマー塩もしくは化合物を対応するエナンチオマーに転換することにより得ることができる。純粋な立体化学的異性体を、適した中間体及び出発材料の純粋な立体化学的異性体から得ることもでき、但し、介在する反応は立体特異的に起こる。
【0048】
式(I)の化合物及び中間体のエナンチオマーの形態を分離する別の方法は液体クロマトグラフィー、特にキラル固定相を用いる液体クロマトグラフィーを含む。
【0049】
上記で言及した反応法において用いられる中間体及び出発材料のいくつかは既知の化合物であり、商業的に入手可能であるか、又は当該技術分野において既知の方法に従って製造することができる。
【0050】
本発明の化合物は、それらが薬理学的性質を有する故に有用である。従ってそれらを薬剤として、特に過剰のコルチゾール形成と関連する病理学、例えば肥満、糖尿病、肥満関連心臓血管病及び緑内障の処置のために用いることができる。
【0051】
下記の実験部分において記載する通り、本化合物の11β−HSD1−レダクターゼ活性(コルチゾンのコルチゾールへの転換)への阻害効果は、組換え11b−HSD1酵素を用いる酵素アッセイにおいて、HPLC精製及び定量法を用いてコルチゾンへのコルチゾールへの転換を測定することにより試験管内で示された。11β−HSD1−レダクターゼ阻害は、11β−HSD1を発現する細胞を、調べられるべき化合物と接触させ、これらの細胞の細胞培地中におけるコルチゾールの形成への該化合物の効果を評価することを含んでなる細胞に基づくアッセイにおいても、試験管内で示された。本発明のアッセイにおいて好適に用いられる細胞は、マウス線維芽細胞3T3−L1細胞、HepG2細胞、ブタ腎臓細胞、特にLCC−PK1細胞及びラット肝細胞より成る群から選ばれる。
【0052】
従って本発明は、治療における、さらに特定的に過剰のコルチゾール形成と関連する病
理学、例えば肥満、糖尿病、肥満関連心臓血管病及び緑内障の処置もしくは予防における使用のための式(I)の化合物及びそれらの製薬学的に許容され得るN−オキシド、付加塩、第4級アミン及び立体化学的異性体を提供する。式(I)の化合物ならびにそれらの製薬学的に許容され得るN−オキシド、付加塩、第4級アミン及び立体化学的異性体を、下記で本発明に従う化合物と呼ぶことができる。
【0053】
本発明に従う化合物の有用性の観点から、過剰のコルチゾール形成と関連する病理学に苦しむ動物、例えば人間を含む哺乳類の処置方法を提供し、それは本発明に従う化合物の有効量を投与することを含んでなる。該方法は、人間を含む温血動物への本発明に従う化合物の有効量の全身的又は局所的投与を含んでなる。
【0054】
かくして本発明の目的は、薬剤として使用するための本発明に従う化合物を提供することである。特に過剰のコルチゾール形成と関連する病理学、例えば肥満、糖尿病、肥満関連心臓血管病及び緑内障の処置用の薬剤の製造における本発明に従う化合物の使用。
【0055】
治療効果を達成するのに必要な、本明細書で活性成分とも呼ばれる本発明に従う化合物の量は、もちろん特定の化合物、投与経路、受容者の年令及び状態ならびに処置されている特定の障害もしくは疾患と共に変るであろう。適した1日の用量は体重のkg当たりに0.001mg〜500mg、特に体重のkg当たりに0.005mg〜100mgである。処置方法は、1日当たりに1〜4回の摂取の管理に基づく活性成分の投与も含むことができる。
【0056】
活性成分を単独で投与することができるが、それを製薬学的組成物として与えるのが好ましい。従って本発明はさらに、製薬学的に許容され得る担体又は希釈剤と一緒に本発明に従う化合物を含んでなる製薬学的組成物を提供する。担体又は希釈剤は、組成物の他の成分と適合性であり、且つその受容者に有害でないという意味で「許容され得」なければならない。
【0057】
薬学の技術分野において周知のいずれかの方法により、例えばGennaro et al.著,Remington’s Pharmaceutical Sciences(18th ed.,Mack Publishing Company,1990年,特にPart 8:Pharmaceutical preparations and
their Manufactureを参照されたい)に記載されているような方法を用い、本発明の製薬学的組成物を調製することができる。活性成分として塩基の形態又は付加塩の形態における特定の化合物の治療的に有効な量を製薬学的に許容され得る担体と緊密な混合物において合わせ、担体は投与のために望ましい調製物の形態に依存して多様な形態をとることができる。望ましくはこれらの製薬学的組成物は、好ましくは経口的、経皮的又は非経口的投与のような全身的投与;あるいは吸入を介するか、鼻スプレー、点眼又はクリーム、ジェル、シャンプーなどを介するような局所的投与に適した単位投薬形態にある。例えば経口的投薬形態における組成物の調製において、通常の製薬学的媒体のいずれか、例えば懸濁剤、シロップ、エリキサー及び溶液のような経口用液体調製物の場合、水、グリコール、油、アルコールなど:あるいは粉剤、丸薬、カプセル及び錠剤の場合、澱粉、糖類、カオリン、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような固体担体を用いることができる。それらの投与の容易さのために、錠剤及びカプセルは最も有利な経口的投薬単位形態物を与え、その場合には固体の製薬学的担体が用いられるのは明らかである。非経口用組成物の場合、担体は通常少なくとも大部分において無菌水を含むであろうが、例えば溶解性を助けるための他の成分が含まれることができる。例えば担体が食塩水、グルコース溶液又は食塩水とグルコース溶液の混合物を含む注入可能な溶液を調製することができる。注入可能な懸濁剤も調製することができ、その場合には適した液体担体、懸濁化剤などを用いることができる。経皮的投与に適した組成物において、担体は場合により浸透促進剤及び/又は適した湿潤剤を、場合によりいずれかの性質の小さい割合における適した添加剤と組み合わせて含むことができ、その添加剤は皮膚にいずれの有意な有害な効果をも引き起こさない。該添加剤は皮膚への投与を容易にすることができ、及び/又は所望の組成物の調製の助けとなることができる。これらの組成物を種々の方法で、例えば経皮パッチとして、スポット−オン(spot−on)として、又は軟膏として投与することができる。局所的適用に適した組成物として、薬剤を局所的に投与するために通常用いられるすべての組成物、例えばクリーム、ジェリー、包帯、シャンプー、チンキ剤、塗布剤、軟膏、膏薬、粉剤などを挙げることができる。該組成物の適用は、例えば窒素、二酸化炭素、フレオンのようなプロペラントを用いるか、又はプロペラントを用いないエアゾール、例えばポンプスプレー、滴剤、ローション又は半固体、例えばスワブ(swab)により適用することができる増粘された組成物によることができる。特に膏薬、クリーム、ジェリー、軟膏などのような半固体組成物は、簡便に用いられるであろう。
【0058】
投与の容易さ及び投薬量の均一性のために、前記の製薬学的組成物を投薬単位形態物において調製するのが特に有利である。本明細書及び請求項で用いられる投薬単位形態物は、1回の投薬量として適した物理的に分離した単位を指し、各単位は所望の治療効果を生むために計算されたあらかじめ決められた量の活性成分を、必要な製薬学的担体と一緒に含有する。そのような投薬単位形態物の例は錠剤(刻み付き又はコーティング錠を含む)、カプセル、丸薬、粉剤小包、ウェハース、注入可能な溶液又は懸濁剤、小さじ1杯、大さじ1杯などならびに分離されたそれらの複数である。
【0059】
製薬学的組成物中における式(I)の化合物の溶解性及び/又は安定性を増すために、α−、β−もしくはγ−シクロデキストリンあるいはそれらの誘導体を用いるのが有利でり得る。アルコールのような共−溶媒も製薬学的組成物中における式(I)の化合物の溶解性及び/又は安定性を向上させることができる。水性組成物の調製において、本化合物の付加塩はそれらの向上した水溶性のために、明らかにより適している。
【実施例】
【0060】
実験部分
下記で「RT」という用語は室温を意味し、「THF」はテトラヒドロフランを意味し、「EtO」はジエチルエーテルを意味し、「DCM」はジクロロメタンを意味し、「LDA」は(ジイソプロピルアミノ)リチウムを意味する。
A.中間体の製造
実施例A1
【0061】
【化5】

【0062】
DCM(200ml)中のアルファ−(S)−メチルベンジルアミン(0.05モル)及びトリエチルアミン(EtN)(0.055モル)の攪拌された溶液に、DCM(100ml)中の4−クロロ−ブタノイルクロリド(0.055モル)の溶液を−10℃で滴下した。滴下後、反応混合物を室温で全体的転換(TLC監視)まで攪拌した。反応混合物を1N HClで2回洗浄した。有機相に100mlの50%水酸化ナトリウム溶液をベンジル−トリエチルアンモニウムクロリド(0.05モル)と一緒に加えた。混合物を室温で終夜激しく攪拌した。かくして得られる反応混合物を1N HCl、5%NaH
CO溶液、水及びブラインで洗浄した。有機相を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濃縮して9.5gの中間体1を無色の油として与えた。
【0063】
あるいはまた、中間体1は以下の反応スキームに従って製造される;
【0064】
【化6】

【0065】
300mlのCHCl中の7mlのEtNの攪拌された溶液に、100mlのCHCl中の6.00g(0.0495モル)の1の溶液を0.5時間内に滴下して導入した。TLC(EtOを用いて溶離させた;中間体2の生成を追跡することができたR=0.5)により出発アミン1が追跡されなくなるまで混合物を室温で攪拌した。混合物を2N HClで洗浄した(まだ存在するEtNの除去のため)。反応混合物にTEBA(ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド)1.13g(0.00495モル)及びNaOH(水溶液)(60mlのHO中の50g)を導入した。混合物を終夜攪拌し、有機層を分離し、2N HClで酸性化した。それをNaHCO(5%)、HOで洗浄し、乾燥した(NaSO)。溶媒の蒸発後、10.10gの粗生成物が単離された。それをクロマトグラフィーにかけ(カラムh=260mm,φ=46mm,195gシリカゲル230〜400メッシュ,溶離剤EtO)、1.43gの中間体3及び7.28gの4(78%)を与えた。
4に関するNMRデータ:CDCl,1.52(d,3H,CH);1.93(m,2H,CH);2.42(m,2H,CH);2.99及び3.31(2xm,H及びH,NCH);5.50(quart,1H,NCH);7.32−7.48(m,5H−芳香族)。
実施例A2
a)
【0066】
【化7】

【0067】
メタノール(50ml)中のα−メチル−α−(2−オキソエチル)−ベンゼンアセトニトリル(0.0086モル)及び(S)−α−メチル−ベンゼンメタナミン(0.009モル)の混合物を、チオフェン溶液(1ml)の存在下に、触媒として活性炭上のパラジウム(0.5g)を用いて終夜水素化した。水素(1当量)の吸収後、触媒を濾過し、濾液を蒸発させ、2.2gの中間体5を与えた。
b)
【0068】
【化8】

【0069】
硫酸(25ml)中の中間体5(0.007モル)の混合物を週末に及んで室温で攪拌した。反応混合物を氷中に注ぎ出し、次いでNaOH溶液(50%)を用いて中和し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を分離し、洗浄し、乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させ、1.8g(85.7%)の中間体6を与えた。
c)
【0070】
【化9】

【0071】
臭化水素酸(48%)(50ml)中の中間体6(0.0057モル)の混合物を1時間、ついで3時間攪拌且つ還流させた。反応混合物を冷却し、濾過し、1.4gの中間体(7)を与えた。
B.化合物の製造
実施例B1
【0072】
【化10】

【0073】
−80℃に冷却された15mlのTHF中の0.60g(3.17ミリモル)の中間体1の攪拌された溶液に、1.2当量のLDA(THF/ヘプタン/エチルベンゼン中の2M溶液)を加え、混合物を−80℃で30〜45分間攪拌した。対応するベンジルハロゲニド、すなわち1−メチル−2−クロロメチルベンゼン(1.05当量)を−80℃で加え、反応混合物をこの温度で1時間及び−60℃で追加の1時間攪拌した。反応を完了までTLCにより監視し、−60℃に保った。かくして得られる反応混合物を2N HClで加水分解し、EtOで抽出し、5%NaHCO水溶液で洗浄し、NaSO上で乾燥した。石油エーテル/EtO(対応する化合物に依存して2:1〜4:1)を用い、シリカゲル(230〜400メッシュ)上のカラムクロマトグラフィーによりジアステレオ異性体の精製を行ない、化合物1及び2を与えた。
実施例B2
【0074】
【化11】

【0075】
火炎乾燥された(flame dried)Schlenk−フラスコ中で0.80g
(4.23ミリモル)の中間体1を5mlのTHF中に溶解し、−80℃に冷却した。シリンジを介してLDA(1.3当量,2.7ml,THF/ヘプタン/エチルベンゼン中の約2Mの市販の溶液)を導入し、混合物を−80℃で30分間攪拌した。2,6−ジクロロベンジルブロミド(1.42g,5.92ミリモル)を固体の形態で導入し、反応混合物を反応の完了まで(TLCにより証明)−80℃で30分間攪拌した。2N HClを用いて混合物をクエンチングし、次いでEtOを用いて抽出し、有機層をNaHCO(5%水溶液)、HOで洗浄し、NaSOを用いて乾燥した。溶媒の蒸発後、1.81gの粗生成物が単離された。それをクロマトグラフィーにかけ(カラムh=580mm,φ=32mm,180gシリカゲル230〜400メッシュ,溶離剤 石油エーテル/EtO=5:1)、0.61gの化合物14(無色の結晶 融点75〜76℃)及び0.75gの化合物13(無色の結晶 融点98〜99℃)を与え、それは93%の合計収率に相当した。
【0076】
表1は、上記の実施例に従って製造された化合物を挙げている。
【0077】
【表1】

【0078】
【表2】

【0079】
【表3】

【0080】
【表4】

【0081】
【表5】

【0082】
【表6】

【0083】
【表7】

【0084】
【表8】

【0085】
【表9】

実施例B3
【0086】
【化12】

【0087】
塩化チオニル(2ml)中の中間体7(0.00033モル)の混合物を2時間攪拌且つ還流させ、次いで室温で週末に及んで攪拌且つ還流させた。溶媒を蒸発させ、残留物をジクロロメタン中に溶解し、水で洗浄し、Extrelutを介して濾過し、次いで蒸発させた。残留物をTriconexフラッシュ管上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:CHCl/EtOAc 95/5)。生成物画分を集め、溶媒を蒸発させ、0.0588g(62.5%)の化合物166を与えた。
【0088】
類似の方法で
【0089】
【化13】

【0090】
を製造した。
【0091】
【表10】

【0092】
【表11】

【0093】
【表12】

【0094】
【表13】

【0095】
【表14】

【0096】
【表15】

【0097】
【表16】

【0098】
【表17】

【0099】
【表18】

【0100】
【表19】

【0101】
【表20】

【0102】
【表21】

【0103】
【表22】

【0104】
【表23】

【0105】
C.薬理学的実施例
実施例C.1:11b−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型及び2型への化合物の効果を調べるための酵素アッセイ
コルチゾンのコルチゾールへの11b−HSD1依存性転換(レダクターゼ活性)への化合物の効果を、30mM Tris−HCl緩衝液pH7.2、180μM NADPH、1mM EDTA、2μM コルチゾン、1μl 薬剤及び/又は溶媒ならびに11μg 組換えタンパク質を100μlの最終的体積で含有する反応混合物において研究した。
【0106】
11b−HSD1−デヒドロゲナーゼ活性(コルチゾールのコルチゾンへの転換)への効果を、0.1M リン酸ナトリウム緩衝液pH9.0、300μM NADP、25μM コルチゾール、1μl 薬剤及び/又は溶媒ならびに3.5μg 組換えタンパク質を100μlの最終的体積で含有する反応混合物において測定した。
【0107】
11b−HSD2依存性デヒドロゲナーゼ活性への効果を、0.1M リン酸ナトリウム緩衝液pH7.5、300μM NAD、100nM コルチゾール(その中の2nMは3H−放射性標識される)、1μl 薬剤及び/又は溶媒ならびに2.5μg 組換えタンパク質を100μlの最終的体積で含有する反応混合物において研究した。
【0108】
すべてのインキュベーションは水浴中で37Cにおいて45分間行なわれた。内部標準として20μgのコルチコステロンを含有する100μlのアセトニトリルの添加により、反応を停止した。遠心の後、溶媒として0.05mM 酢酸アンモニウム/メタノール(50/50)を用いてHypersyl BDS−C18カラム上のHPLCにより、上澄み液中で生成物形成を分析した。上記のアッセイのすべてにおいて、調べられるべき薬剤は倍液から用いられ、−10−5M〜3.10−9Mの範囲の最終的濃度において調べられた。かくして得られる用量反応曲線からpIC50値を計算し、以下の通りに得点を付けた;得点1=<5のpIC50値、得点2=5〜6の範囲内のpIC50値、得点3=>6のpIC50値。かくして得られる結果のいくつかを下記の表にまとめる。(この表中で、NTは調べられなかったことを示す)。
【0109】
実施例C2:11b−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型及び2型への化合物の効果を調べるための細胞アッセイ
分化した3T3−L1細胞及びラット肝細胞において11b−HSD1活性への効果を測定した。
【0110】
マウス線維芽細胞3T3−L1細胞(ATCC−CL−173)を12ウェルプレート中にml当たり16500個の細胞の密度で播種し、DMEM培地(10% 熱不活化胎児ウシ血清、2mM グルタミン及び25mg ゲンタマイシンが補足された)中で、加湿5%CO2雰囲気中の37Cにおいて7日間生育させた。週に2回、培地を新しくした。2μg/ml インスリン、55μg/ml IBMX及び39.2μg/ml デキサメタゾンを含有する生育培地中で、5%CO2加湿雰囲気中の37Cにおいて線維芽細胞を脂肪細胞に分化させた。
【0111】
雄のラットからの一次肝細胞をBD−Biocoat Matrigelマトリックスマルチウェルプレート上に、ウェル当たり250000個の細胞の密度で播種し、5% Nu血清、100U/ml ペニシリン、100μg/ml ストレプトマイシン、0.25μg/ml アンフォテリシン B、50μg/ml 硫酸ゲンタマイシン、5μg/ml インスリン及び392ng/ml デキサメタゾンを含有するDMEM−HAM’s F12培地中で、5%CO2加湿雰囲気中の37Cにおいて10日間インキュベーションした。週に3回、培地を新しくした。
【0112】
試験化合物と一緒に4時間、予備−インキュベーションした後、0.5μCiのH−コルチゾン又はデヒドロコルチコステロンを培養に加えた。1時間後、Extrelut−カラム上で15mlのジエチルエーテルを用いて培地を抽出し、抽出物を上記の通りにHPLCにより分析した。
【0113】
11b−HSD2活性への効果をHepG2及びLCC−PK1−細胞において研究した。HepG2−細胞(ATCC HB−8065)を12ウェルプレート中にml当たり100,000個の細胞の密度で播種し、10%熱不活化胎児ウシ血清、2mM L−グルタミン及び重炭酸ナトリウムが補足されたMEM−Rega−3培地中で、加湿5%CO2雰囲気中の37Cにおいて生育させた。週に2回、培地を新しくした。
【0114】
ブタ腎臓細胞(LCC−PK1,ATCC CRL−1392)を12ウェルプレート中にml当たり150,000個の細胞の密度で播種し、Earls修正塩溶液、100U/ml ペニシリン、100μg/ml ストレプトマイシン及び10%胎児ウシ血清が補足された培地199中で、加湿5%CO2雰囲気中の37Cにおいて生育させた。週に2回、培地を新しくした。実験の開始から24時間前に、培地を10%チャーコールストリップド(charcoal stripped)胎児ウシ血清を含有する培地で交換した。
【0115】
試験化合物と一緒に4時間、予備−インキュベーションした後、0.5μCiのH−コルチゾール又はコルチコステロンを培養に加えた。1時間後、Extrelut−カラム上で15mlのジエチルエーテルを用いて培地を抽出し、抽出物を上記の通りにHP
LCにより分析した。
【0116】
酵素アッセイに関し、調べられるべき化合物は倍液から用いられ、−10−5M〜3.10−9Mの範囲の最終的濃度において調べられた。かくして得られる用量反応曲線からpIC50値を計算し、以下の通りに得点を付けた;得点1=<5のpIC50値、得点2=5〜6の範囲内のpIC50値、得点3=>6のpIC50値。かくして得られる結果のいくつかを下記の表にまとめる(この表中で、NTは調べられなかったことを示す)。
【0117】
【表24】

【0118】
【表25】

【0119】
【表26】

【0120】
【表27】

【0121】
【表28】

【0122】
【表29】

【0123】
D.組成物実施例
以下の調製物は、本発明に従って動物及び人間の患者に全身的もしくは局所的に投与するのに適した典型的な製薬学的組成物を例示する。
【0124】
これらの実施例を通じて用いられる「活性成分」“A.I.”は、式(I)の化合物又はその製薬学的に許容され得る付加塩に関する。
【0125】
実施例D.1:フィルム−コーティング錠
錠剤芯の調製
A.I.(100g)、ラクトース(570g)及び澱粉(200g)の混合物を十分に混合し、その後約200mlの水中のドデシル硫酸ナトリウム(5g)及びポリビニルピロリドン(10g)の溶液で加湿した。湿潤粉末混合物を篩別し、乾燥し、再び篩別した。次いで微結晶セルロース(100g)及び水素化植物油(15g)を加えた。全体を十分に混合し、錠剤に圧縮し、それぞれ10mgの活性成分を含んでなる10.000個の錠剤を与えた。
【0126】
コーティング
変性エタノール(75ml)中のメチルセルロース(10g)の溶液に、CHCl(150ml)中のエチルセルロース(5g)の溶液を加えた。次いでCHCl(75ml)及び1,2,3−プロパントリオール(2.5ml)を加えた。ポリエチレングリコール(10g)を融解させ、ジクロロメタン(75ml)中に溶解した。後者の溶液を前者に加え、次いでオクタデカン酸マグネシウム(2.5g)、ポリビニル−ピロリドン(5g)及び濃厚染料懸濁液(30ml)を加え、全体を均一にした。かくして得られる混合物を用い、コーティング装置において錠剤芯をコーティングした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤として使用するための、式
【化1】

[式中、
nは1又は2であり;
Lは場合によりC1−4アルキル、C1−3アルキルオキシ−C1−4アルキル−、ヒドロキシ−C1−4アルキル、ヒドロキシ、C1−3アルキルオキシ−又はフェニル−C1−4アルキルから選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができるC1−3アルキルリンカーを示し;
Mは直接結合あるいは場合によりヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルキルオキシから選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができるC1−3アルキルリンカーを示し;
及びRはそれぞれ独立して水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、場合によりハロで置換されていることができるC1−4アルキル、場合によりヒドロキシ、Ar及びハロから選ばれる1個又は可能な場合には2もしくは3個の置換基で置換されていることができるC1−4アルキルオキシ−を示すか;
あるいはR及びRは、それらが結合しているフェニル環と一緒になって、ナフチル又は1,3−ベンゾジオキソリルを形成し、ここで該ナフチル又は1,3−ベンゾジオキソリルは場合によりハロで置換されていることができ;
は水素、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ−、シアノ又はヒドロキシを示し;
は水素、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ−、シアノ又はヒドロキシを示し;
は水素、C1−4アルキル又はAr−C1−4アルキル−を示し;
は水素、ハロ、C1−4アルキル又はC1−4アルキルオキシ−を示し;
Ar及びArはそれぞれ独立してフェニル又はナフチルを示し、ここで該フェニル及びナフチルは場合によりC1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ−又はフェニル−C1−4アルキルで置換されていることができる]
を有する化合物、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容され得る付加塩及び立体化学的異性体。
【請求項2】
nが1又は2であり;
Lが場合によりC1−4アルキル、C1−3アルキルオキシ−C1−4アルキル−、ヒドロキシ−C1−4アルキル、ヒドロキシ、C1−3アルキルオキシ−又はフェニル−C1−4アルキルから選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができるC1−3アルキルリンカーを示し;特にLが場合によりC1−4アルキルで置換されていることができるC−リンカーを示し;好ましくはLがC1−4アルキルで置換されたC−リンカー、より好ましくはメチルで置換されたC−リンカーを示し;
Mが直接結合あるいは場合によりヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルキルオキシ−から選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができるC1−2アルキルを示し;好ましくはMが場合によりC1−4アルキルで置換されていることができるC−リンカーを示し;
が水素、ヒドロキシ、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ−又はハロ
で置換されたC1−4アルキルオキシを示し;
が水素、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ−又はAr−C1−4アルキルオキシ−を示し;
が水素、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシ−又はシアノを示し;
が水素、ハロ、C1−4アルキル又はC1−4アルキルオキシ−を示し;
が水素、C1−4アルキル又はAr−C1−4アルキル;特に水素を示し;
が水素、ハロ又はC1−4アルキルオキシ;特に水素、クロロ、フルオロ、ブロモ又はメトキシを示し;
Arがフェニルを示し;
Arがフェニル又はナフチルを示す
請求項1に従う化合物。
【請求項3】
nが1であり;
Lが場合によりC1−4アルキル、C1−3アルキルオキシ−C1−4アルキル−、ヒドロキシ−C1−4アルキル、ヒドロキシ、C1−3アルキルオキシ−又はフェニル−C1−4アルキルから選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができるC2−3アルキルリンカーを示し;
Mが場合によりヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルキルオキシから選ばれる1もしくは2個の置換基で置換されていることができるC2−3アルキルリンカーを示し;
がAr−C1−4アルキルを示し;
がハロ、C1−4アルキル又はC1−4アルキルオキシ−を示す
請求項1に従う化合物。
【請求項4】
がパラ位にあり、LがC−アルキルリンカーを示し、そしてMがC−リンカーを示す請求項1に従う化合物。
【請求項5】
LがC1−4アルキル、C1−4アルキルオキシC1−4アルキル−、ヒドロキシC1−4アルキル−又はフェニルC1−4アルキル−で置換されたC−リンカーを示し、ここで該C1−4アルキル、C1−4アルキルオキシC1−4アルキル−、ヒドロキシC1−4アルキル−又はフェニルC1−4アルキル−はS−立体配置にある請求項1に従う化合物。
【請求項6】
化合物が:
3−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−1−(1−フェニルプロピル)−2−ピロリジノン;
3−[(2,6−ジフルオロフェニル)メチル]−1−(1−フェニルエチル)−2−ピロリジノン;
3−[(2,6−ジメチルフェニル)メチル]−1−(1−フェニルエチル)−2−ピペリジノン;
3−[(6−クロロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)メチル]−1−(1−フェニルエチル)−2−ピロリジノン;
3−[1−(2−メチルフェニル)エチル]−1−(1−フェニルエチル)−2−ピロリジノン;
3−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−1−(2−フェニルエチル)−2−ピロリジノン;
3−[(2−メチルフェニル)メチル]−1−(1−フェニルエチル)−2−ピロリジノン;
それらのN−オキシド、製薬学的に許容され得る付加塩又は立体化学的異性体
より成る群から選ばれる請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
製薬学的に許容され得る担体及び活性成分として請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物の有効11β−HSD1阻害量を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項8】
製薬学的に許容され得る担体を請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物の有効11β−HSD1阻害量と緊密に混合することを特徴とする請求項7に記載の製薬学的組成物の調製方法。
【請求項9】
薬剤としての使用のための請求項2〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
過剰のコルチゾール形成と関連する病理学、例えば肥満、糖尿病、肥満関連心臓血管病、痴呆、認知症(cognition)、骨粗しょう症及び緑内障の処置用の薬剤の製造における請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2007−536336(P2007−536336A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512175(P2007−512175)
【出願日】平成17年4月29日(2005.4.29)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051968
【国際公開番号】WO2005/108360
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】