説明

11−ベータヒドロキシステロイドヒドロゲナーゼ阻害剤としての三環式ラクタム誘導体

【化1】


式(I)および(Ibis)の化合物は肥満症の処置のための11ベータ−HSD1阻害剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
代謝症候群は西洋におけるだけでなくアジアおよび開発途上国でも罹患が増加している疾病である。それは肥満症、特に中枢または内臓肥満症、2型糖尿病、高脂血症、高血圧症、アテローム硬化症、冠状心臓疾病および事実上慢性の腎不全により特徴づけられる(非特許文献1)。グルココルチコイド類および11β−HSD1は脂肪ストローマ細胞から成熟脂肪細胞への分化における重要な因子であることが知られている。肥満患者の内臓ストローマ細胞中では、11β−HSD1mRNA水準が皮下組織と比べて増加する。さらに、トランスジェニックマウスにおける11β−HSD1の脂肪組織過剰発現は脂肪組織、内臓肥満症、インスリン過敏性、2型糖尿病、高脂血症および過食症における増加したコルチコステロン水準と関連する(非特許文献2)。従って、11β−HSD1は内臓肥満症および代謝症候群の進行に大きく関与するようである。
【0002】
11β−HSD1の阻害は脂肪ストローマ細胞の分化における減少および増殖における増加をもたらす。さらに、グルココルチコイド不足(副腎摘出)はインスリンおよびレプチンが食欲不振および体重減少を促進させる能力を高め、そしてこの効果はグルココルチコイド投与により逆転される(非特許文献3)。これらのデータは、11β−HSD1によるコルチゾンの高められた再活性化が肥満症を悪化させることがありそして肥満患者の脂肪組織中のこの酵素を阻害することが有利でありうることを示唆している。
【0003】
肥満症は心臓血管危険性にも関連する。男性および女性の両者においてコルチゾール排泄速度とHDLコレステロールとの間に有意な関係があり、グルココルチコイド類が心臓血管危険性の重要な成分を調節することを示唆している。同様に、大動脈硬化も老人における内臓脂肪症に関連する。
【0004】
減じられた11β−HSD1活性の効果の影響は内因性活性グルココルチコイドの増加した血漿水準を有するβ−HSD1ノックアウトマウスにより強調されるが、これにもかかわらずストレスおよび肥満症により誘発されるインスリン耐性からは守られたままである。さらに、これらのノックアウトマウスは抗−アテローム発生血漿脂質特徴および減じられた年令関連認知障害からの利点を示す。
【0005】
グルココルチコイド類および緑内障
グルココルチコイド類は、外から投与される場合およびクッシング症候群におけるような生成増加のある種の症状において眼圧を高めることにより、緑内障の危険性を高める。眼圧のコルチコイド−誘発性上昇は小柱網およびその細胞内マトリックスの中のグルココルチコイド誘発性変化による水性流出に対する耐性増加により引き起こされる。非特許文献4も、コルチコステロイド類が器官−培養された牛前区の小柱網の中のフィブロネクチン並びにコラーゲンI型およびIV型の量を増加させることを報告した。11β−HSD1は角膜上皮の基底細胞および非−着色上皮細胞内で発現される。グルココルチコイド受容体mRNAは小柱網内でのみ検出されたが、非−着色上皮細胞内にグルココルチコイド−、ミネラロコルチコイド受容体および11β−HSD1に関するmRNAが存在していた。患者に対するカルベノクソロン投与が眼圧における有意な減少をもたらし(非特許文献5)、緑内障の処置におけるHSD1−阻害剤に関する役割を示唆した。
【0006】
従って、本発明により解決しようとする基本的な問題は11β−HSD1に関する高い選択性を有する有効な11β−HSD阻害剤並びに過剰なコルチゾール生成に関連する病状、すなわち活性グルココルチコイドの減じられた水準が望ましい障害、例えば、代謝症
候群、2型糖尿病、損傷されたグルコース耐性(IGT)、損傷された断食グルコース(IFG)、異常脂肪血症、高血圧症、肥満症、糖尿病、肥満症に関連する心臓血管疾病、動脈硬化症、アテローム硬化症、ミオパシー、骨粗鬆症、神経変性および精神障害、ストレス関連障害および緑内障、を処置する際のそれらの使用を同定することである。以下で示されるように、式(I)の3−置換された2−ピロリジノン誘導体が薬品として、特に過剰なコルチゾール生成に関連する病状の処置用薬品の製造において、有用であることが見出された。
【0007】
非特許文献6は、ピペリジン−およびピロリジノン−類似重合体担持(R)−フェニルグリシノール−誘導化スカフォルド(scaffolds)の製造を提案しておりそして特に2−ピロリジノン,1−[(1R)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル]−3−メチル−3−(フェニルメチル)−および2−ピロリジノン,1−[(1R)−2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル]−3−(フェニルメチル)−,(3R)を開示している。
【0008】
非特許文献7は、キラル非−ラセミγ−ラクトンのα−アルキル化による3−置換されたピロリジノン類の製造を提案しておりそして特に1−(2−ヒドロキシ−1−フェニルエチル)−3−ベンジルピロリジン−2−オンを開示している。
【0009】
特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4および特許文献5は、アレルギー疾病の処置に有用な4−(1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[1,4]ジアゼパン類を提供するアベンチス・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド(Aventis Pharmaceuticals Inc.)により出願された多くの特許出願である。これらの出願において、本発明の3−置換されたピロリジノン類は該4−(1H−ベンズイミダゾール−2−イル)[1,4]ジアゼパン類の合成における中間体として開示されている。これらの出願は特に、2−ピロリジノン,3−[(4−フルオロフェニル)メチル]−1−[(1S)−1−フェニルエチル]−および2−ピロリジノン,3−[(4−フルオロフェニル)メチル]−1−[(1R)−1−フェニルエチル]−を開示している。
【0010】
アダマンチル類似化合物はPCT出願である特許文献6(メルク・アンド・カンパニー・インコーポレーテッド(Merck & Co.,Inc.))および特許文献7(ジャンセン・ファーマシューティカ・N.V.(Janssen Pharmaceutica N.V.))にも開示されている。特許文献7を最新の先行技術としてみなすと、本発明の化合物はアダマンチル環が三環式系の部分である環アミド窒素に結合されている点で異なる。特許文献6はアダマンチル環が三環式系に直接結合されていることを開示している事実にもかかわらず、該三環式系は2−アダマンチル−トリアゾールを芯構造要素として有することにより特徴づけられること並びにその結果としてイミダゾリジノンまたはピロリジノンを有するトリアゾールの置換は所望する活性を失わずに、すなわち11β−HSD1に関する選択性を有する有効な11β−HSD1阻害剤として、作用できると予期されなかったことに注目すべきである。
【特許文献1】米国特許第2001/034343号明細書
【特許文献2】米国特許第6,211,199号明細書
【特許文献3】米国特許第6,194,406号明細書
【特許文献4】国際公開第97/22604号パンフレット
【特許文献5】国際公開第97/19074号パンフレット
【特許文献6】国際公開第03065983号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2004056744号パンフレット
【非特許文献1】C.T.Montague et al.(2000), Diabetes,49,883−888
【非特許文献2】H.Masuzaki et al(2001),Science,294,2166−2170
【非特許文献3】P.M.Stewart et al(2002),Trends Endocrin.Metabol,13,94−96
【非特許文献4】Zhou et al.Int J Mol Med (1998)1,339−346
【非特許文献5】S.Rauz et al.(2001), Invest. Ophtalmol.Vis.Science,42,2037−2042
【非特許文献6】Blommaert A.et al.Heterocycles(2001),55(12),2273−2278
【非特許文献7】Bausanne I.et al.Tetrahedron: Assymetry(1998),9(5),797−804
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、引用された文献のいずれにも本発明の三環式アダマンチルアミド誘導体の治療用途は開示または示唆されていない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、一面において、本発明は式(I)
【0013】
【化1】

【0014】
[式中、
XはCまたはNを表し、
YはCまたはNを表し、
Lはメチルまたは直接結合を表し、
は直接結合、C1−2アルキル−または式−CH−CH=(a)もしくは−CH=(b)の2価基を表し、
は直接結合、C1−2アルキル−または式−CH−CH=(a)もしくは−CH=(b)の2価基を表し、
は水素、ハロ、シアノ、アミノ、フェニル、ヒドロキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル、−O−(C=O)−C1−4アルキル、ヒドロキシカルボニル、NRまたはC1−4アルキルを表し、ここで該C1−4アルキルまたは−O−(C=O)−C1−4アルキルは場合によりハロ、ヒドロキシカルボニル、フェニル、C1−4アルキルオキシまたはNRから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、或いは
は場合によりハロ、ヒドロキシカルボニル、フェニル、C1−4アルキルオキシまたはNRから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいC1−4アルキルオキシ−を表し、
は水素、ハロ、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルオキシ−を表し、
およびRは各々独立して水素、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルカルボニル−を表し、
およびRは各々独立して水素、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルカルボニ
ル−を表し、
およびRは各々独立して水素、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルカルボニル−を表し、
Aはフェニル、またはチオフェニル、フラニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニルおよびピペラジニルよりなる群から選択される単環式複素環を表す]
の化合物、それらのN−オキシド形態、製薬学的に許容可能な付加塩および立体化学的異性体形態に関する。
【0015】
以下で使用される際には、式(I)の化合物は式(Ibis)、(I)、(Iii)、(Iiii)、(Iiv)の化合物、並びにそれらの製薬学的に許容可能なN−オキシド、付加塩、第四級アミン類および立体化学的異性体形態を包含する本発明に従う化合物をさす。
【0016】
以上の定義および以下で使用される際には、ハロはフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを総称し、C1−2アルキルは炭素数1〜2の直鎖状の飽和炭化水素基、すなわちメチルまたはエチルを定義し、C1−4アルキルは炭素数1〜4の直鎖状および分枝鎖状の飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、1−メチルエチル、2−メチルプロピル、2,2−ジメチルエチルなどを定義し、C1−4アルキルオキシは炭素数1〜4の直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基、例えばメトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、1−メチルエチルオキシ、2−メチルプロピルオキシなどを定義する。以上の定義および以下で述べられている複素環は適宜いずれかの環炭素またはヘテロ原子を介して式(I)の分子の残部に結合されうる。それ故、例えば、複素環がイミダゾリルである場合には、それは1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、3−イミダゾリル、4−イミダゾリルおよび5−イミダゾリルであることができ、そしてそれがトリアゾリルである場合には、それは2−チアゾリル、4−チアゾリルおよび5−チアゾリルであることができる。
【0017】
以上で述べられている製薬学的に許容可能な付加塩は、式(I)の化合物が生成しうる治療的に活性な無毒の酸付加塩形態を含んでなることを意味する。後者は簡便には塩基形態をそのような適当な酸で処理することにより得られうる。適する酸は、例えば、無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸または臭化水素酸、硫酸、硝酸、燐酸および同様な酸、または有機酸、例えば、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸(すなわちブタンジオン酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモ酸および同様な酸を含んでなる。
【0018】
以上で述べられている製薬学的に許容可能な付加塩は、式(I)の化合物が生成しうる治療的に活性な無毒の塩基付加塩形態を含んでなることを意味する。そのような塩基付加塩形態の例は、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム塩、並びに製薬学的に許容可能なアミン類、例えば、アンモニア、アルキルアミン類、ベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン、アミノ酸、例えばアルギニン、リシンとの塩である。
【0019】
逆に該塩形態を適当な塩基または酸を用いる処理により遊離酸または塩基形態に転化することができる。
【0020】
以上で使用される際の用語である付加塩は式(I)の化合物並びにそれらの塩が生成しうる溶媒和物も含んでなる。そのような溶媒和物は例えば水和物、アルコレートなどである。
【0021】
以上で使用される際の用語である立体化学的異性体形態は式(I)の化合物が有しうる可能な種々の異性体並びに構造形態を定義する。他に挙げられるかまたは指示されない限り、化合物の化学表示は全ての可能な立体化学的および構造的異性体形態の混合物を示し、該混合物は基本的分子構造の全てのジアステレオマー、エナンチオマーおよび/または配座異性体を含有する。式(I)の化合物の全ての立体化学的異性体形態は、純粋形態または互いの混合物の両方で、本発明の範囲内に包括されることが意図される。
【0022】
式(I)の化合物のN−オキシド形態は1個もしくは数個の窒素原子がいわゆるN−オキシドに酸化されている式(I)の化合物を含んでなることを意味する。
【0023】
化合物の第一群は、下記の制限の1つもしくはそれ以上が適用される式(I)の化合物である:
(i)XがCまたはNを表し、
(ii)YがCまたはNを表し、
(iii)Lがメチルまたは直接結合を表し、
(iv)Zが直接結合、C1−2アルキル−または式−CH−CH=(a)もしくは−CH=(b)の2価基を表し、
(v)Zが直接結合、C1−2アルキル−または式−CH−CH=(a)もしくは−CH=(b)の2価基を表し、
(vi)Rが水素、ハロ、シアノ、アミノ、フェニル、ヒドロキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、NRまたは場合によりヒドロキシカルボニル、フェニル、C1−4アルキルオキシもしくはNRから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいC1−4アルキルを表し、或いはRが場合によりヒドロキシカルボニル、フェニル、C1−4アルキルオキシまたはNRから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいC1−4アルキルオキシ−を表し、
(vii)Rが水素、ハロ、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルオキシ−を表し、
(viii)RおよびRが各々独立して水素、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルカルボニル−を表し、
(ix)RおよびRが各々独立して水素、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルカルボニル−を表し、
(x)RおよびRが各々独立して水素、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルカルボニル−を表し、
(xi)Aがフェニル、またはチオフェニル、フラニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニルおよびピペラジニルよりなる群から選択される単環式複素環を表す。
【0024】
化合物の興味ある群は、下記の制限の1つもしくはそれ以上が適用される式(I)の化合物である:
(i)XがCまたはNを表し、
(ii)YがCまたはNを表し、
(iii)Lがメチルまたは直接結合を表し、
(iv)Zが直接結合、C1−2アルキル−または式−CH−CH=(a)もしくは−CH=(b)の2価基を表し、
(v)Zが直接結合、C1−2アルキル−または式−CH−CH=(a)もしくは−CH=(b)の2価基を表し、
(vi)Rが水素、ハロ、シアノ、アミノ、フェニル、ヒドロキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル−、ヒドロキシカルボニル、NRまたはヒドロキシカルボニル、フェニル、C1−4アルキルオキシもしくはNRから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1−4アルキルを表し、
(vii)Rが水素、ハロ、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルオキシ−を表し、
(viii)RおよびRが各々独立して水素、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルカルボニル−を表し、
(ix)RおよびRが各々独立して水素、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルカルボニル−を表し、
(x)Aがフェニル、またはチオフェニル、フラニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニルおよびピペラジニルよりなる群から選択される単環式複素環を表す。
【0025】
化合物の別の興味ある群は、下記の制限の1つもしくはそれ以上が適用される式(I)の化合物である:
(i)Lがメチルまたは直接結合を表し、
(ii)Rが水素、ハロまたはヒドロキシ、特にハロまたはヒドロキシル、を表し、
(iii)Rが水素、ハロまたはC1−4アルキルオキシ−を表し、
(iv)Aがフェニル、またはピリジニルおよびチオフェニルよりなる群から選択される単環式複素環を表す。
【0026】
化合物の別の興味ある群は、下記の制限の1つもしくはそれ以上が適用される式(I)の化合物である:
(i)Lがメチルまたは直接結合を表し、
(ii)Rが水素、ハロ、アミノまたはヒドロキシ、特にフルオロ、アミノまたはヒドロキシル、を表し、
(iii)Rが水素、ブロモまたはメトキシ−を表し、
(iv)Zが直接結合、メチル、エチルまたは式−CH−CH=(a)の2価基を表し、
(v)Zが直接結合、メチルまたはエチルを表し、
(vi)Aがフェニル、またはピリジニルおよびチオフェニルよりなる群から選択される単環式複素環を表す。
【0027】
Aがフェニルまたはピリジニルを表しそしてLが直接結合を表し、および/またはRがハロ、シアノ、アミノ、フェニル、ヒドロキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル−、ヒドロキシカルボニル、NRまたは場合によりヒドロキシカルボニル、フェニル、C1−4アルキルオキシもしくはNRから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいC1−4アルキルを表し、或いはRが場合によりヒドロキシカルボニル、フェニル、C1−4アルキルオキシまたはNRから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいC1−4アルキルオキシ−を表し、特にRがハロ、シアノ、アミノ、フェニル、ヒドロキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル−、ヒドロキシカルボニル、NRまたは場合によりヒドロキシカルボニル、フェニル、C1−4アルキルオキシもしくはNRから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいC1−4アルキルを表す、式(I)の化合物も興味ある。
【0028】
好ましい態様では、式(I)の化合物は
2−アダマンタン−2−イル−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−ベンゾ[f]イソインドール−1−オン、
2−アダマンタン−2−イル−2,3,10,10a−テトラヒドロ−5H−イミダゾ[1,5−b]イソキノリン−1−オン、
2−アダマンタン−2−イル−1,5,10,10a−テトラヒドロ−2H−イミダゾ[1,5−b]イソキノリン−3−オン、
2−アダマンタン−1−イルメチル−1,2,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−ベンゾ[e]イソインドール−3−オン、
7−アダマンタン−2−イル−7,8,8a,9−テトラヒドロ−ピロロ[3,4−g]キノリン−6−オン、
2−(5−ヒドロキシ−アダマンタン−2−イル)−1,5,6,10b−テトラヒドロ−2H−イミダゾ[5,1−a]イソキノリン−3−オン、
2−(5−フルオロ−アダマンタン−2−イル)−1,2,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−ベンゾ [e]イソインドール−3−オン、
2−(5−ヒドロキシ−アダマンタン−2−イル)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−ベンゾ[f]イソインドール−1−オン
よりなる群から選択される。
【0029】
別の態様では、本発明は式(Ibis
【0030】
【化2】

【0031】
[式中、
XはCまたはNを表し、
YはCまたはNを表し、
Lはメチルまたは直接結合を表し、
は直接結合、C1−2アルキル−または式−CH−CH=(a)もしくは−CH=(b)の2価基を表し、
は直接結合、C1−2アルキル−または式−CH−CH=(a)もしくは−CH=(b)の2価基を表し、
は水素、ハロ、シアノ、アミノ、フェニル、ヒドロキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル、−O−(C=O)−C1−4アルキル、ヒドロキシカルボニル、NRまたはC1−4アルキルを表し、ここで該C1−4アルキルまたは−O−(C=O)−C1−4アルキルは場合によりハロ、ヒドロキシカルボニル、フェニル、C1−4アルキルオキシまたはNRから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、或いは
は場合によりハロ、ヒドロキシカルボニル、フェニル、C1−4アルキルオキシまたはNRから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいC1−4アルキルオキシ−を表し、
は水素、ハロ、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルオキシ−を表し、
およびRは各々独立して水素、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルカルボニル−を表し、
およびRは各々独立して水素、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルカルボニル−を表し、
およびRは各々独立して水素、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルカルボニル−を表し、
Aはフェニル、またはチオフェニル、フラニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリ
ル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニルおよびピペラジニルよりなる群から選択される単環式複素環を表す]
の化合物、それらのN−オキシド形態、製薬学的に許容可能な付加塩類および立体化学的異性体形態を提供する。
【0032】
特に下記の制限の1つもしくはそれ以上が適用される式(Ibis)の化合物;
(i)XがCまたはNを表し、
(ii)YがCまたはNを表し、
(iii)Lがメチルまたは直接結合を表し、
(iv)Zが直接結合、C1−2アルキル−または式−CH−CH=(a)もしくは−CH=(b)の2価基を表し、
(v)Zが直接結合、C1−2アルキル−または式−CH−CH=(a)もしくは−CH=(b)の2価基を表し、
(vi)Rが水素、ハロ、シアノ、アミノ、フェニル、ヒドロキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル−、ヒドロキシカルボニル、NRまたは場合によりヒドロキシカルボニル、フェニル、C1−4アルキルオキシもしくはNRから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいC1−4アルキルを表し、特にRが水素、ハロ、アミノまたはヒドロキシ、さらにより特にフルオロ、アミノまたはヒドロキシル、を表し、
(vii)Rが水素、ハロ、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルオキシ−を表し、特にRが水素、ハロまたはC1−4アルキルオキシ−を表し、
(viii)RおよびRが各々独立して水素、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルカルボニル−を表し、
(ix)RおよびRが各々独立して水素、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルカルボニル−を表し、
(x)Aがフェニル、またはチオフェニル、フラニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニルおよびピペラジニルよりなる群から選択される単環式複素環を表し、特にAがフェニル、またはピリジニルおよびチオフェニルよりなる群から選択される単環式複素環を表す。
【0033】
別の面で、本発明は薬品としての使用のための上記群の化合物のいずれかを提供する。特に過剰なコルチゾール生成に関連する病状、例えば肥満症、糖尿病、肥満症に関連する心臓血管疾病、ストレスおよび緑内障の処置または予防における。
【0034】
PCT国際特許出願国際公開第2004/089416号パンフレットは、例えばインスリン耐性、異常脂肪血症、肥満症および高血圧症の処置における、特に高血圧症の処置における、11β−HSD1阻害剤および抗高血圧症剤の投与を含んでなる組み合わせ療法の利点を提唱している。従って、抗高血圧症剤、例えばアルプレノロール(alprenolol)、アテノロール(atenolol)、チモロール(timolol)、ピンドロール(pindolol)、プロプラノロール(propranolol)、メトプロロール(metoprolol)、ビソプロロールフメレート(bisoprololfumerate)、エスモロール(esmolol)、アセブテロール(acebutelol)、アセブトロール(acebutolol)、ベタクソロール(betaxolol)、セリプロロール(celiprolol)、ネビボロール(nebivolol)、テルタトロール(tertatolol)、オクスプレノロール(oxprenolol)、アムソラルル(amusolalul)、カルベジロール(carvedilol)、ラベタロール(labetalol)、S−アテノロール(S−atenolol)、OPC−1085、キナプリル(quinapril)、リシノプリル(lisinopril)、エナラプリル(enalapril)、カプトプリル(captopril)、ベナゼプリル(benazepril)、ペリンドプリル(perindop
ril)、トランドラプリル(trandolapril)、フォシノプリル(fosinopril)、ラミプリル(ramipril)、シラザプリル(cilazapril)、デラプリル(delapril)、イミダプリル(imidapril)、モエキシプリル(moexipril)、スピラプリル(spirapril)、テモカプリル(temocapril)、ゾフェノプリル(zofenopril)、S−5590、ファシドトリル(fasidotril)、ヘキスト−マリオン・ラッセル(Hoechst−Marion Roussel):100240(EP00481522)、オマパトリラト(omapatrilat)、ゲモパトリラト(gemopatrilat)およびGW−660511、ニフェジピン(nifedipine)、フェロジピン(felodipine)、ニカルジピン(nicardipine)、イスラジピン(isradipine)、ニモジピン(nimodipine)、ジルチアゼム(diltiazem)、アムロジピン(amlodipine)、ニトレンジピン(nitrendipine)、ベラパミル(verapamil)、ラシジピン(lacidipine)、レルカニジピン(lercanidipine)、アラニジピン(aranidipine)、シルニジピン(cilnidipine)、クレビジピン(clevidipine)、アゼルニジピン(azelnidipine)、バルニジピン(barnidipine)、エフォノジピン(efonodipine)、イアシジピン(iasidipine)、イエミルジピン(iemildipine)、イエルカニジピン(iercanidipine)、マニジピン(manidipine)、ニルバジピン(nilvadipine)、プラニジピン(pranidipine)、フルニジピン(furnidipine)、ドキサゾシン(doxazosin)、ウラピジル(urapidil)、プラゾシン(prazosin)、テラゾシン(terazosin)、ブナゾシン(bunazosin)およびOPC−28326、ベンドロフルメタジド(bendroflumetazide)、クロロタリドン(chlorothalidone)、ヒドロクロロチアジド(hydrochlorothiazide)およびクロパミド(clopamide)、ブメタニド(bumetanide)、フロセミド(furosemide)、トラセミド(torasemide)、アミロリド(amiloride)、スピロノラクトン(spironolactone)、ABT−546、アムブリセタン(ambrisetan)、アトラセンタン(atrasentan)、SB−234551、CI−1034、S−0139、YM−598、ボセンタン(bosentan)、J−104133、アリスキレン(aliskiren)、OPC−21268、トルバプタン(tolvaptan)、SR−121463、OPI−31260、ネシリチド(Nesiritide)、イルベサルタン(irbesartan)、カンデサルタンシレクセチル(candesartancilexetil)、ロサルタン(losartan)、バルサルタン(valsartan)、テルミサルタン(telmisartan)、エプロサルタン(eprosartan)、カンデサルタン(candesartan)、CL−329167、エプロサルタン(eprosartan)イオサルタン(iosartan)、オルメサルタン(olmesartan)、プラトサルタン(pratosartan)、TA−606、YM−358、フェノルドパム(fenoldopam)、ケタンセリン(ketanserin)、ナフトピジル(naftopidil)、N−0861、FK−352、KT2−962、エカドトリル(ecadotril)、LP−805、MYD−37、ノロミロール(nolomirole)、オマコル(omacor)、トレプロスチニル(treprostinil)、ベラプロスト(beraprost)、エクラプロスト(ecraprost)、PST−2238、KR−30450、PMD−3117、インダパミド類(Indapamides)、CGRP−ユニジーン(CGRP−unigene)、グアニレート・シクラーゼ(guanylate cyclase)刺激剤、ヒドラジン類、メチイドーパ(methyidopa)、ドカルパミン(docarpamine)、モキソニジン(moxonidine)、コアプロベル(CoArpovel)、およびモンドバイオテク−811(MondoBiotec−811)、との組み合わせ療法における上記群の化合物のいずれかを提供することが本発明の目的である。本発明のこの面では、本発明の11β−HSD1阻害剤および抗高血圧症剤の組み合わせを含んでなる製薬学的組成物が提供される。
【0035】
PCT国際特許出願国際公開第2004/089415号パンフレットは、グルココルチコイド受容体作用物質療法中に起きる望ましくない副作用の軽減のため並びに構成要素として炎症を有する癌、疾病および障害のある種の形態を処置するための11β−HSD1阻害剤およびグルココルチコイド受容体作用物質の投与を含んでなる組み合わせ療法の利点を提案している。特に、クッシング病、クッシング症候群、アレルギー−炎症性疾病、呼吸系統の障害のグルココルチコイド受容体作用物質処置の副作用、炎症性腸疾病のグルココルチコイド受容体作用物質処置の副作用;免疫系統、連結組織および関節の障害のグルココルチコイド受容体作用物質処置の副作用;内分泌疾病のグルココルチコイド受容体作用物質処置の副作用;血液学的疾病のグルココルチコイド受容体作用物質処置の副作用;癌のグルココルチコイド受容体作用物質処置の副作用、化学療法−誘発性悪心、筋肉および神経−筋肉関節の疾病のグルココルチコイド受容体作用物質処置の副作用;手術に関連するグルココルチコイド受容体作用物質処置の副作用;移植;脳膿瘍、悪心/吐き気、感染症、高カルシウム血症、副腎過形成、自己免疫肝炎、脊椎疾病、小嚢性動脈瘤の適応におけるグルココルチコイド受容体作用物質の副作用の軽減。
【0036】
本発明の11β−HSD1化合物とグルココルチコイド受容体作用物質との組み合わせが有効である適応例は、クッシング病、クッシング症候群、喘息、アトピー皮膚炎、嚢胞性線維症、気腫、気管支炎、過敏症、肺炎、好酸性肺炎、肺線維症、クローン病、潰瘍性大腸炎、反応性関節炎、慢性関節リウマチ、フェーグレン症候群、全身的紅斑性狼創、狼創腎炎、ヘーノホーシェーンライン紫斑病、ヴェーゲナー肉芽腫症、側頭動脈炎、全身硬化症、脈管炎、類肉腫症、皮膚筋炎−多発性筋炎、尋常性天疱瘡、甲状腺機能亢進症、アルドステロン不足症、下垂体機能低下症、溶血性貧血、血小板減少症、発作性夜間血色素尿症、脊椎の新形成圧迫症、脳腫瘍、急性リンパ芽球性白血病、ホジキン病、化学療法−誘発性悪心、重症筋無力症、遺伝性ミオパシー、デュシューヌ筋ジストロフィー、外傷、手術後ストレス、手術ストレス、腎臓移植、肝臓移植、肺移植、膵島移植、血液幹細胞移植、骨髄移植、心臓移植、副腎移植、気管移植、腸移植、角膜移植、皮膚移植、角膜形成、水晶体移植、脳膿瘍、悪心/吐き気、感染症、高カルシウム血症、副腎肥厚症、自己免疫肝炎、脊椎疾病、および小嚢性動脈瘤である。従って、グルココルチコイド受容体作用物質との組み合わせ療法における上記群の化合物のいずれか並びに本発明の化合物とグルココルチコイド受容体作用物質との該組み合わせを含んでなる製薬学的組成物を提供することが本発明の目的である。グルココルチコイド受容体作用物質は、例えば、ベータメタゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ベクロメタゾン、ブチキシコルト、クロベタゾール、フルニソリド、フルカチゾン(および同族体)、モメタゾン、トリアムシノロナセトニド、トリアムシノロンヘキサセトニドGW−685698、NXC−1015、NXC−1020、NXC−1021、NS−126、P−4112、P−4114、RU−24858およびT−25シリーズよりなる群から選択される。
【0037】
式(I)の化合物の表示を簡単にするために、基
【0038】
【化3】

【0039】
は以下では−Dと称される。以下で式(I)の化合物と称する本発明の「彎曲」三環式アダマンチルアミド誘導体は一般的には、第一段階において当該技術で既知の条件下で市販のベンゾシクロブタンカルボン酸(II)を適当なアミンと縮合させることにより、製造される(スキーム1)。引き続き、このようにして得られたアミド(III)を例えば水素化アルミニウムリチウムまたはボラン硫化ジメチル複合体を用いて還元して、式(IV)のアミンを与える。最後に、該アミンを塩化アクロイルでアシル化し、その後に当該技術で既知の工程下で例えばアミド(V)をトルエン中で190℃に加熱することによる、環化反応にかけて、本発明の「彎曲」三環式アダマンチルアミド誘導体のシスおよびトランス異性体の混合物を生成する。
【0040】
【化4】

【0041】
ここで、Rは以上で式(I)の化合物に関する通りに定義される。
【0042】
以上の式(I)の「彎曲」三環式アダマンチルアミド誘導体の立体異性体を得るためには、市販のベンゾシクロブタンカルボン酸(II)をアリル−2−アダマンチル−アミン(VI)と縮合させて一般式(VII)のアミドを生成し、それが環状電子閉環で式(Iii)の「彎曲」三環式アダマンチルアミド誘導体を与えた(スキーム2)。
【0043】
【化5】

【0044】
ここで、RおよびRは以上で式(I)の化合物に関する通りに定義される。
【0045】
以下で式(Iiii)のウレアと称するXがNを表す式(I)の化合物は一般的に以下の反応スキーム3および4に従い製造される。第一の変法では、市販のBoc−保護されたテトラヒドロキノリン−3−カルボン酸(2種のエナンチオマー類)から出発してウレアが製造され、アミノアダマンタンとの反応およびアミドの還元が式(VIII)のジアミンを与えた。既知の工程下でのその後の環化が式(Iiii)の環式ウレアを与えた。
【0046】
【化6】

【0047】
第二の変法では、市販のキノリン−2−カルボン酸またはイソキノリン−1−カルボン酸を既知の条件下で適当なアミンと結合させて対応する式(IX)のアミドを生成することによりウレア誘導体を製造する。ピリジン環の選択的水素化がテトラヒドロ(イソ)キノリンアセトアミド(X)を与え、それを例えばトルエン中でBH3.DMSを用いて還
元して一般式(XI)のジアミンを与えた。例えばカルボニルジイミダゾール(CDI)を用いるその後の環化が式(Iiii)の環式ウレアを与える。
【0048】
【化7】

【0049】
ここで、Rは以上で式(I)の化合物に関する通りに定義され、−A−A−は−N−CH−または−CH−N−を表しそして−A=A−は−N=CH−または−CH=N−を表す。
【0050】
置換されたイソキノリン−1−カルボン酸が市販されていない場合には、フェネチルアミン(XII)およびクロロ蟻酸エチルから出発して置換された三環式誘導体が作成された。作成されたカルバメートを当該技術で既知の工程、例えば変更されたビシュラー−ナピエレルスキイ(Bischler−Napierelski)反応(Larsen,Robert D.,et al.,A modified Bischler−Napieralski procedure for the synthesis of 3−aryl−3,4−dihydroisoquinolines., Journal
of Organic Chemistry(1991),56(21),6034−8.)、を用いて環化して、式(X’)のアミノ保護されたテトラヒドロイソキノリン−1−カルボン酸を与えた。置換された三環式誘導体のその後の合成は以上の反応スキーム4に記載された通りである。
【0051】
【化8】

【0052】
式(Iiv)の「線状」三環式アダマンチル誘導体は以下のスキーム6および7に従い製造することができる。第一の変法によると、線状三環式アダマンチル誘導体はアリール−もしくはヘテロアリール−置換されたアクリル酸または酸塩化物(XIII)から出発して製造される。適当なアミンとの反応が式(XIV)のアミドを与え、それが当該技術で既知の条件下での、例えばトルエン中で22℃における、環状電子閉環で式(Iiv)の三環式系を与える。
【0053】
【化9】

【0054】
ここで、AおよびRは以上で式(I)の化合物に関する通りに定義される。
【0055】
第二の変法では、Aがフェニルを表しそしてYがNを表す式(Iiv)の「線状」三環式アダマンチル誘導体は、アミノ保護されたDまたはL−フェニルアラニンを適当なアミンと結合させて式(XV)のα−アミノアミドを与えることにより、製造することができ、例えばJ.Org.Chem. 2002, 67,8224に記載された反応条件を参照のこと。脱保護、その後のベンゾトリアゾールおよびホルムアルデヒドとのマニッヒ縮合が式(XVI)の中間体を与える。環状電子閉環が式(Iiv)の「線状」三環式アダマンチル誘導体を与える。
【0056】
【化10】

【0057】
上記の合成方法のいずれかを用いる式(I)の化合物の別の合成例は以下の実験部分に提供される。
【0058】
必要に応じてまたは所望する場合には、以下のさらなる段階の1つもしくはそれ以上をいずれかの順序で行うことができる:
(i)1個もしくは複数の保護基を除去し、
(ii)式(I)の化合物またはその保護された形態を別の式(I)の化合物またはその保護された形態に転化し、
(iii)式(I)の化合物またはその保護された形態を式(I)の化合物またはその保護された形態のN−オキシド、塩、第四級アミンまたは溶媒和物に転化し、
(iv)式(I)の化合物またはその保護された形態のN−オキシド、塩、第四級アミンまたは溶媒和物を式(I)の化合物またはその保護された形態に転化し、
(v)式(I)の化合物またはその保護された形態のN−オキシド、塩、第四級アミンまたは溶媒和物を式(I)の化合物またはその保護された形態の別のN−オキシド、塩、第四級アミンまたは溶媒和物に転化し、
(vi)式(I)の化合物が(R)および(S)エナンチオマー類の混合物として得られる場合には混合物を分解して所望するエナンチオマーを得る。
【0059】
上記方法において中間体化合物の官能基を保護基により保護することが必要でありうることを当業者は認識するであろう。
【0060】
保護することが望ましい官能基はヒドロキシ、アミノおよびカルボン酸を包含する。ヒドロキシに適する保護基はトリアルキルシリル基(例えばtert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリルまたはトリメチルシリル)、ベンジルおよびテトラヒドロピラニルを包含する。アミノに適する保護基はtert−ブチルオキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルを包含する。カルボン酸に適する保護基はC(1−6)アルキルまたはベンジルエステル類を包含する。
【0061】
官能基の保護および脱保護は反応段階の前または後に行うことができる。
【0062】
保護基の使用は‘Protective Groups in Organic Synthesis’ 2nd edition, T W Greene & P G M
Wutz,Wiley Interscience(1991)に完全に記載されている。
【0063】
さらに式(I)の化合物中のN−原子は当該技術で既知の方法によりCH−Iを用いて適当な溶媒、例えば2−プロパノン、テトラヒドロフランまたはジメチルホルムアミド、の中でメチル化することができる。
【0064】
式(I)の化合物を当該技術で既知の官能基転換工程に従い互いに転化することもでき、それらのいくつかの例は以上で記載されている。
【0065】
式(I)の化合物を3価窒素をそのN−オキシド形態に転化するための当該技術で既知の工程に従い対応するN−オキシド形態に転化することもできる。該N−酸化反応は一般的に、式(I)の出発物質を3−フェニル−2−(フェニルスルホニル)オキサジリジンまたは適当な有機もしくは無機化酸化物と反応させることにより、行うことができる。適する無機化酸化物は、例えば、過酸化水素、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属過酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムを含んでなり;適する有機過酸化物は、例えば、ベンゼンカルボペルオキソ酸またはハロ置換されたベンゼンカルボペルオキソ酸、例えば3−クロロベンゼンカルボペルオキソ酸、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸、アルキルヒドロ過酸化物、例えばt−ブチルヒドロ過酸化物を含んでなりうる。適する溶媒は、例えば、水、低級アルカノール例えばエタノールなど、炭化水素類、例えばトルエン、ケトン類、例えば2−ブタノン、ハロゲン化された炭化水素類、例えばジクロロメタン、およびそのような溶媒の混合物である。
【0066】
式(I)の化合物の純粋な立体化学的異性体形態は当該技術で既知の工程の応用により得られうる。ジアステレオマー類は物理的方法、例えば選択的結晶化およびクロマトグラフィー技術、例えば向流分布、液体クロマトグラフィーなどにより分離することができる。
【0067】
本発明における式(I)の化合物のあるものおよび中間体のあるものは非対称性炭素原子を含有しうる。該化合物および該中間体の純粋な立体化学的異性体形態は当該技術で既知の工程の応用により得られうる。例えば、ジアステレオ異性体は物理的方法、例えば選択的結晶化またはクロマトグラフィー技術、例えば向流分布、液体クロマトグラフィーなどにより分離することができる。エナンチオマー類はラセミ混合物から、最初に該ラセミ混合物を適当な分解剤、例えば、キラル酸、を用いてジアステレオマー塩または化合物の混合物に転化し、次にジアステレオマー塩または化合物の混合物を例えば選択的結晶化またはクロマトグラフィー技術、例えば向流分布、液体クロマトグラフィーなどにより物理的に分離し、そして最後に該分離されたジアステレオマー塩または化合物を対応するエナンチオマーに転化することにより分離することができる。介在する反応が立体特異的に起きる限り、純粋な立体化学的異性体形態は適当な中間体および出発物質の純粋な立体化学的異性体形態からも得られうる。
【0068】
式(I)の化合物および中間体のエナンチオマー形態の別の分離方法は液体クロマトグラフィー、特にキラル静止相を用いる液体クロマトグラフィーを含む。
【0069】
上記の反応工程で使用される中間体および出発物質のあるものは既知の化合物でありそして市販されているかまたは当該技術で既知の工程に従い製造することができる。
【0070】
本発明の化合物はそれらが薬理学的性質を有するため有用である。それらは従って、特に過剰なコルチゾール生成に関連する病状、すなわち活性グルココルチコイドの減じられた水準が望ましい障害、例えば代謝症候群、2型糖尿病、損傷されたグルコース耐性(IGT)、損傷された断食グルコース(IFG)、異常脂肪血症、高血圧症、肥満症、糖尿病、肥満症に関連する心臓血管疾病、動脈硬化症、アテローム硬化症、ミオパシー、骨粗鬆症、神経変性および精神障害、ストレス関連障害および緑内障を処置するための薬品として使用することができる。特に、例えば肥満症、糖尿病、2型糖尿病、肥満症に関連する心臓血管疾病、ストレスおよび緑内障の如き病状を処置するため。
【0071】
以下の実験部分に記載されているように、11β−HSD1−レダクターゼ活性(コルチゾンからコルチゾールへの転化)に対する本発明の化合物の阻害効果は組み換え体11β−HSD1酵素を用いる酵素検定において、コルチゾンからコルチゾールへの転化をHPLC精製および定量化方法を用いて測定することにより、インビトロで示された。11β−HSD1−レダクターゼ活性はまた、細胞を接触させ、試験しようとする化合物を用いて11β−HSD1を発現しそしてこれらの細胞の細胞培地中でのコルチゾールの生成に対する該化合物の効果を評価することを含んでなる細胞基準検定において、インビトロで示された。本発明の検定で好ましく使用される細胞は、マウス線維芽3T3−L1細胞、HepG2細胞、ブタ腎臓細胞、特にLCC−PK1細胞、およびラット肝細胞よりなる群から選択される選択される。
【0072】
従って、本発明は治療で使用するための式(I)の化合物並びにそれらの製薬学的に許容可能なN−オキシド、付加塩、第四級アミン類および立体化学的異性体形態を提供する。特に過剰なコルチゾール生成に関連する病状、すなわち活性グルココルチコイドの減じられた水準が望ましい障害、例えば代謝症候群、2型糖尿病、損傷されたグルコース耐性(IGT)、損傷された断食グルコース(IFG)、異常脂肪血症、高血圧症、肥満症、糖尿病、肥満症に関連する心臓血管疾病、動脈硬化症、アテローム硬化症、ミオパシー、骨粗鬆症、神経変性および精神障害、ストレス関連障害および緑内障を処置すること。より特に、例えば肥満症、糖尿病、2型糖尿病、肥満症に関連する心臓血管疾病、ストレスおよび緑内障の如き病状を処置すること。さらにより特に、例えば肥満症、糖尿病、肥満症に関連する心臓血管疾病および緑内障の如き過剰なコルチゾール生成に関連する病状の処置または予防における。
【0073】
本発明に従う化合物の用途の点から見ると、有効量の本発明に従う化合物を投与することを含んでなる、過剰なコルチゾール生成に関連する病状に罹っている動物、例えば、人間を包含する哺乳動物の処置方法が提供される。該方法は人間を包含する温血動物に対する有効量の本発明に従う化合物の全身的または局部的投与を含んでなる。
【0074】
それ故、薬品としての本発明に従う化合物を提供することが本発明の目的である。特に、過剰なコルチゾール生成に関連する病状、例えば代謝症候群、2型糖尿病、損傷されたグルコース耐性(IGT)、損傷された断食グルコース(IFG)、異常脂肪血症、高血圧症、肥満症、糖尿病、肥満症に関連する心臓血管疾病、動脈硬化症、アテローム硬化症、ミオパシー、骨粗鬆症、神経変性および精神障害、ストレス関連障害および緑内障、特に肥満症、糖尿病、肥満症に関連する心臓血管疾病、ストレスおよび緑内障を処置するための薬品の製造における本発明に従う化合物を使用すること。
【0075】
治療効果を得るために必要であるここでは活性成分とも称する本発明に従う化合物の量は、もちろん、特定の化合物、投与方式、患者の年令および状態、並びに処置される特定の障害または疾病に応じて変動するであろう。適する1日服用量は0.001mg/kg〜500mg/kgの体重特に0.005mg/kg〜100mg/kgの体重であろう
。処置方法は1日当たり1〜4回の間の摂取の養生法での活性成分の投与も包含しうる。
【0076】
活性成分を単独で投与することが可能であるが、それを製薬学的組成物として提供することが好ましい。従って、本発明は製薬学的に許容可能な担体または希釈剤と一緒に本発明に従う化合物を含んでなる製薬学的組成物もさらに提供する。担体または希釈剤は、組成物の他の成分と相容性であり且つその患者に有害でないという意味で「許容可能」でなければならない。
【0077】
本発明の製薬学的組成物は薬学業界で既知である方法、例えば、Gennaro eta l.Remington’s Pharmaceutical Sciences (18th ed., Mack Publishing Company,1990,特にPart8:Pharmaceutical preparations and their Manufacture参照)に記載されているもの、を用いて製造することができる。治療的に有効な量の活性成分としての特定化合物を、塩基形態または付加塩形態で、投与に望ましい調合形態によって広範囲の形態をとりうる製薬学的に許容可能な担体と緊密な混合物状で組み合わせる。望ましくはこれらの製薬学的組成物は、好ましくは、例えば経口、皮下、もしくは非経口投与の如き全身的投与、または例えば吸入、鼻噴霧、点眼剤を介するもしくはクリーム剤、ゲル剤、シャンプー剤などによる局部的投与に適する単位薬用量形態である。例えば、組成物を経口薬用量形態で製造する際には、例えば懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤および液剤の如き経口液体調合物の場合には一般的な製薬学的媒体のいずれか、例えば、水、グリコール類、油類、アルコール類など;または散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には固体担体、例えば澱粉類、糖類、カオリン、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などを使用することができる。それらの投与の容易さのために、錠剤およびカプセル剤が最も有利な経口薬用量単位形態であり、この場合には固体の製薬学的担体がもちろん使用される。非経口組成物用には、担体は一般的には少なくとも大部分に殺菌水を含んでなるが、例えば溶解を助けるための他の成分を含むことができる。例えば、担体が食塩水溶液、グルコース溶液または食塩水およびグルコース溶液の混合物を含んでなる注射溶液を製造することができる。注射懸濁液を製造することもでき、この場合には適当な液体担体、懸濁化剤などを使用することができる。皮下投与に適する組成物では、担体は場合により浸透促進剤および/または適当な湿潤剤を、場合により少量のいずれかの性質の適当な添加剤と組み合わせて含んでなることができ、これらの添加剤は皮膚に対して有意な悪影響を生ずるものでない。該添加剤は皮膚への投与を促進させることができおよび/または所望する組成物の製造を助けうる。これらの組成物は種々の方法で、例えば経皮パッチ剤として、滴下剤としてまたは軟膏剤として、投与することができる。局部適用に適する組成物としては、薬品を局部的に投与するために一般的に使用される全ての組成物、例えばクリーム剤、ジェリー剤、塗布剤、シャンプー剤、チンキ剤、ペースト剤、軟膏剤、サルブ剤、散剤などが列挙することができる。該組成物の適用は、例えば窒素、二酸化炭素、フレオンの如き噴射剤を用いるまたは例えばポンプ噴霧の如く噴射剤を用いないエーロゾル剤、滴下剤、ローション剤もしくはスワブにより適用できる例えば濃稠化組成物の如き半固体によるものでもよい。特に、半固体組成物、例えばスワブ剤、クリーム剤、ジェリー剤、軟膏剤などが簡便に使用されるであろう。
【0078】
投与の容易さおよび薬用量の均一性のために上記の製薬学的組成物を薬用量単位形態に調合することが特に有利である。ここで明細書および特許請求の範囲で使用される薬用量単位形態は単位薬用量として適する物理的に分離している単位をさし、各単位は必要な製薬学的担体と共に所望する治療効果を生ずるように計算された予め決められた量の活性成分を含有する。そのような薬用量単位形態の例は錠剤(刻み目付きまたはコーティング錠剤を包含する)、カプセル剤、丸剤、粉末パケット剤、ウエファー剤、注射溶液または懸濁液、小匙1杯分、大匙1杯分など、並びにそれらの分離された複数分である。
【0079】
製薬学的組成物中の式(I)の化合物の溶解および/または安定性を高めるために、α−、β−もしくはγ−シクロデキストリン類またはそれらの誘導体を使用することが有利でありうる。共−溶媒、例えばアルコール類、も製薬学的組成物中の式(I)の化合物の溶解および/または安定性を高めうる。水性組成物の製造においては、当該化合物の付加塩類がもちろんそれらの増加した水溶性のためにより適切である。
【0080】
実験の部
下記の工程では以下の略語が使用された:「THF」、これはテトラヒドロフランを示し、「DIPE」はジイソプロピルエーテルを示し、「EtOAc」は酢酸エチルを示し、「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを示し、「BMS」はトリヒドロ[チオビス[メタン]]ボロン[13292−87−0]を示す。ExtrelutTMはメルク(Merck)KgaA(ダルムスタッド、ドイツ)の製品でありそして珪藻土を含んでなる短いカラムである。Supelcoは予備パックされたシリカゲル液体クロマトグラフィーカラムである。ある種の化学物質に関しては化学名、例えばジクロロメタンに関してはCHCl、メタノールに関してはCHOH、塩酸に関してはHCl、水酸化カリウムに関してはKOH、水酸化ナトリウムに関してはNaOH、炭酸ナトリウムに関してはNaCO、炭酸水素ナトリウムに関してはNaHCO、硫酸マグネシウムに関してはMgSO、窒素気体に関してはN、トリフルオロ酢酸に関してはCFCOOH、が使用された。
【実施例】
【0081】
A.中間体の製造
実施例A1
【0082】
【化11】

【0083】
塩化チオニル(0.5ml)をビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン−7−カルボン酸[14381−41−0](0.001モル)のジクロロメタン中溶液に加えた。反応混合物を1時間にわたり環流した。次に一晩にわたり室温において撹拌した。溶媒をベンゼンと共に2回蒸発させて塩化ビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン−7−カルボニル[1473−47−8]を得、それをDIPE中に溶解した。得られた溶液をN−アリル−2−アダマンタンアミン[24161−63−5]および炭酸ナトリウムのDIPE中の冷却された混合物(0℃)に滴下した。反応混合物を30分間にわたり氷上でそして次に2時間にわたり室温において撹拌した。混合物を水中に注ぎそしてジクロロメタンで抽出した。有機層をExtrelutTMを通して濾過しそして濾液を蒸発させた。残渣をTRIKONEX FlashTubeTM(溶離剤:CHCl/EtOAc 90/10)上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。生成物画分を集めそして溶媒を蒸発させて、0.13gの中間体1を生成した。
実施例A2
a)
【0084】
【化12】

【0085】
3−フェニル−2−プロペン酸[140−10−3](0.01モル)および塩化チオニル(30ml)の混合物を2時間にわたり環流した。溶媒をメチルベンゼンと共に環流した。残渣をDIPE(20ml)中に溶解しそして生じた溶液を氷上のN−アリル−2−アダマンタンアミン[24161−63−5](0.01モル)および炭酸ナトリウム(2g)のDIPE(50ml)中混合物に滴下した。反応混合物を一晩にわたり撹拌し、ジクロロメタン中に注ぎそして水で洗浄した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過しそして溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl)により精製した。生成物画分を集めそして溶媒を蒸発させた。残渣をDIPE下で粉砕しそして所望する生成物を集めて、1.68g(56%)の中間体2を生成した。
実施例A3
a)
【0086】
【化13】

【0087】
ビシクロ[4.2.0]オクタ−1,3,5−トリエン−7−カルボン酸[14381−41−0](0.0033モル)のジクロロメタン(25ml)およびN,N−ジエチルエタナミン(5ml)中溶液を撹拌しそして1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(0.0035モル)を加えた。次にN’−(エチルカルボンイミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン,一塩酸塩(0.0035モル)を加えそして混合物を10分間にわたり撹拌した。トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−2−アミン,塩酸塩(1:1)[10523−68−9](0.0035モル)を加えそして反応混合物を2日間にわたり撹拌した。混合物を15%クエン酸溶液および炭酸ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を分離し、乾燥し、濾過しそして溶媒を蒸発させた。残渣をDIPEと共に粉砕しそして所望する生成物を集めて、0.6gの中間体3を生成した。
b)
【0088】
【化14】

【0089】
水素化アルミニウムリチウム(0.0042モル)をジエチルエーテル(10ml)(氷上)中で撹拌しそして塩化アルミニウム(0.0042モル)を加え、混合物を15分間にわたり撹拌しそして中間体3(0.0021モル)を一部分ずつ加えた。反応混合物を室温において2時間にわたり撹拌しそして次に希釈されたHCl溶液でクエンチした。希釈されたKOH溶液をpH10となるまで加えそして生じた混合物をジクロロメタンで抽出した。有機層を分離しそして乾燥し、次にExtrelutTMを通して濾過しそして濾液を蒸発させて、0.489gの中間体4を生成した。
c)
【0090】
【化15】

【0091】
中間体4(0.0018モル)および炭酸ナトリウム(0.3g)のジクロロメタン(10ml)中混合物を氷上で撹拌した。塩化2−プロペノイル[814−68−6](0.002モル)を滴下しそして反応混合物を一晩にわたり室温において撹拌した。混合物を水(4ml)で洗浄しそしてExtrelutを通して濾過しそして濾液を蒸発させて、0.497gの中間体5を生成した。
実施例A4
a)
【0092】
【化16】

【0093】
1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(0.02モル)をN−[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]−D−フェニルアラニン[18942−49−9](0.0075モル)およびN,N−ジエチルエタナミン(5ml)のジクロロメタン(100ml)中混合物に加えた。5分間の撹拌後にN’−(エチルカルボンイミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン,一塩酸塩[25952−53−8](0.02モル)を加えた。10分間にわたり撹拌した後に、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン2−アミン,塩酸塩[10523−68−9](0.015モル)を加えそして反応混合物を一晩にわたり室温において撹拌した。混合物を水中に注ぎそしてジクロロメタンで抽出した。有機層を乾燥し、濾過しそして溶媒を蒸発させて、2.5gの中間体6を生成した。
b)
【0094】
【化17】

【0095】
中間体6(0.0075モル)のジクロロメタン(50ml)およびトリフルオロ酢酸(10ml)中混合物を一晩にわたり撹拌しそして溶媒を蒸発させた。残渣をジクロロメタン中に溶解しそして炭酸ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を乾燥し、濾過しそして溶媒を蒸発させた。残渣をDIPEと共に粉砕しそして所望する生成物を集めて、1.4g
の中間体7を生成した。
c)
【0096】
【化18】

【0097】
中間体7(0.0046モル)、1H−ベンゾトリアゾール[95−14−7](0.0092モル)、パラホルムアルデヒド(0.0138モル)および4−メチルベンゼンスルホン酸[104−15−4](0.18g)のベンゼン(60ml)中混合物をディーン−スターク装置上で3時間にわたり環流した。次に室温において撹拌した。溶媒を蒸発させ、トルエン(60ml)を加えそして混合物をディーン−スターク装置上で2時間にわたり環流した。混合物を冷却しそしてNaOH−溶液(2M)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥し、濾過しそして溶媒を蒸発させて、2.3gの中間体8を生成した。
実施例A5
a)
【0098】
【化19】

【0099】
1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(0.0012モル)およびN’−(エチルカルボンイミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン,一塩酸塩[25952−53−8](0.0012モル)を(3R)−3,4−ジヒドロ−2,3(1H)−イソキノリンジカルボン酸,2−(1,1−ジメチルエチル)エステル[115962−35−1](0.001モル)のDMF(10ml)およびN,N−ジエチルエタナミン(0.2ml)中混合物に加えた。混合物を20分間にわたり室温において撹拌した。トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン2−アミン,塩酸塩[10523−68−9](0.0012モル)を加えそして反応混合物を一晩にわたり撹拌した。混合物を水中に注ぎそして10分間にわたり撹拌し、次に生じた沈殿を濾別しそしてジクロロメタン中に溶解した。得られた溶液を水で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濾過しそして溶媒を蒸発させて、0.38gの中間体9を生成した。
b)
【0100】
【化20】

【0101】
中間体9(0.00087モル)のトルエン(10ml)中混合物を氷上で(N下で
)撹拌した。BMS(0.001モル)を滴下し、次に反応混合物を氷上で30分間にわたり撹拌した。混合物を一晩にわたり環流した。混合物を冷却しそしてNaCO−溶液で洗浄した。有機溶媒を蒸発させた。残渣をCHCl/CFCOOH(20%)中に溶解しそして20時間にわたり室温において撹拌した。溶媒を蒸発させた。残渣をCHCl中に溶解し、そしてNaCO溶液で洗浄した。有機層を濃縮しそして残渣をシリカゲルにより充填されたSupelcoカラム(溶離剤CHCl/CHOH勾配)上で精製した。生成物画分を集めそして溶媒を蒸発させて、0.120gの中間体10を生成した。
実施例A6
a)
【0102】
【化21】

【0103】
1−イソキノリンカルボン酸(0.0056モル)およびN,N−ジエチルエタナミン(0.7g)のDMF(50ml)中の撹拌された溶液に1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(0.0067モル)およびN’−(エチルカルボンイミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン,一塩酸塩[25952−53−8](0.0067モル)を加えた。混合物を20分間にわたり室温において撹拌した。トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン2−アミン,塩酸塩[10523−68−9](0.0067モル)を加えそして反応混合物を一晩にわたり撹拌した。混合物を水中に注ぎ、10分間にわたり撹拌しそしてジクロロメタンで抽出した。有機層を分離し、MgSO上で乾燥し、濾過しそして溶媒を蒸発させた。残渣を2−プロパノール中に溶解しそしてHCl/2−プロパノールを用いて塩酸塩(1:1)に転化した。所望する生成物を濾過して、1.2gの中間体11を生成した。
b)
【0104】
【化22】

【0105】
中間体11(0.0035モル)のHCl,2−プロパノール(1ml)およびメタノール(50ml)中溶液を触媒として活性炭上パラジウム(0.5g)を用いて一晩にわたり水素化した。水素(2当量)の吸収後に、触媒を濾別しそして濾液を蒸発させた。残渣をジクロロメタン中に溶解しそしてNaCO−溶液で洗浄した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過しそして溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルにより充填されたSuplecoカラム(溶離剤:CHCl/CHOH 99/1)上で精製した。2種の生成物画分を集めそして溶媒を蒸発させて、0.370gの中間体12を生成した。
c)
【0106】
【化23】

【0107】
中間体12(0.0012モル)のトルエン(10ml)中溶液を氷上(N)で撹拌した。BMS(0.002モル)を滴下し、次に反応混合物を氷上で30分間にわたり撹拌しそして一晩にわたり100℃において撹拌した。混合物をNaHCO溶液で洗浄しそしてCHClで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過しそして溶媒を蒸発させて、0.29gの残渣を生成した。残渣をDIPEと共に粉砕しそして沈殿を濾過した。濾液を蒸発させて、0.22gの中間体13を生成した。
実施例A7
a)
【0108】
【化24】

【0109】
7−ブロモ−3,4−ジヒドロ−1,2(1H)−イソキノリンジカルボン酸,2−エチルエステル[135335−12−5](0.006モル)およびN,N−ジエチルエタナミン(5ml)のDMF(40ml)中混合物を撹拌しそして1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(0.0067モル)を加えた。次にN’−(エチルカルボンイミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン,一塩酸塩[25952−53−8](0.067モル)を加えそして混合物を20分間にわたり撹拌した。トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−2−アミン,塩酸塩 [10523−68−9](0.0067モル)を加えそして反応混合物を一晩にわたり室温において撹拌した。混合物を水中に注ぎ、10分間にわたり撹拌した。生じた沈殿を濾過し、CHCl中に溶解し、MgSO上で乾燥し、濾過しそして溶媒を蒸発させた。残渣をDIPEと共に粉砕しそして所望する生成物を集めて、1.6gの中間体14を生成した。
b)
【0110】
【化25】

【0111】
中間体14(0.0034モル)のHBr/CHCOOH混合物(50ml)中溶液を室温において1週間にわたり撹拌した。混合物を水中に注ぎそして15分間にわたり撹拌した。沈殿を濾過しそしてCHCl中に溶解した。溶液をNaHCO−溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過しそして溶媒を蒸発させた。残渣をDIPE下で粉砕しそして所望する画分を集めた(0.7gを生成した)。この画分を希釈されたHCl中に溶解しそして生じた溶液をCHClで洗浄した。水層をNaCO溶液でアルカ
リ性としそしてCHClで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過しそして溶媒を蒸発させて、0.35gの中間体15を生成した。
c)
【0112】
【化26】

【0113】
中間体15(0.00089モル)のトルエン(50ml)およびTHF(20ml)中混合物をN下で完全溶解となるまで撹拌しそして次に溶液をN下で氷上で撹拌した。BMS(0.002モル)を滴下しそして反応混合物を30分間にわたりN下で氷上で撹拌した。混合物を一晩にわたり100℃においてさらに撹拌しそして次に冷却した。1N HCl(50ml)を加えた。混合物を2時間にわたり撹拌しそして環流した。生じた混合物を冷却し、NaCO溶液で中和しそしてCHClで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過しそして溶媒を蒸発させて、0.3gの中間体16を生成した。
B.化合物の製造
実施例B1
【0114】
【化27】

【0115】
中間体1(0.00093モル)の無水メチルベンゼン(10ml)中混合物を6時間にわたり190℃において撹拌しそして次に一晩にわたり室温において撹拌した。溶媒を蒸発させそして残渣をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl)により精製した。生成物画分を集めそして溶媒を蒸発させて、0.19g(63%)の化合物1を生成した。
実施例B2
【0116】
【化28】

【0117】
中間体2(0.00031モル)および4−メトキシフェノール(触媒量)のメチルベンゼン(10ml)中混合物を1時間にわたり220℃において撹拌した。溶媒を蒸発させた。残渣をTRIKONEX FlashTubeTM上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/EtOAc 90/10)により精製した(2回)。生成物画分を集めて0.008gの化合物2を与えた。
実施例B3
【0118】
【化29】

【0119】
中間体5(0.0015モル)のメチルベンゼン(15ml)中溶液を圧力容器内で190℃において6時間にわたり撹拌した。次に反応混合物を一晩にわたり室温において撹拌した。溶媒を蒸発させそして残渣をシリカゲルが充填されたSupelcoカラム(溶離剤:CHCl)上で精製した。画分を集めそして溶媒を蒸発させて、0.1gの化合物3を生成した。
実施例B4
【0120】
【化30】

【0121】
ジクロロメタン(250ml)中の中間体8(0.006モル)を撹拌しそして塩化アルミニウム(0.018モル)を加えた。反応混合物を3時間にわたり還流した。混合物を冷却しそしてKOH(1M)で洗浄した。有機層を洗浄し、乾燥し、濾過しそして溶媒を蒸発させて、0.7gの残渣を生成した。残渣の一部(0.3g)をシリカゲル(溶離剤:CHCl/EtOAc 90/10)上で精製した。生成物画分を集めそして溶媒を蒸発させて、0.133gの化合物4を生成した。
実施例B5
【0122】
【化31】

【0123】
中間体10(0.00040モル)のテトラヒドロフラン(10ml)中溶液を撹拌しそして1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾール[530−62−1](0.00045モル)を加えた。混合物を一晩にわたり環流した。冷却後に、水(2ml)を加えた。混合物をジクロロメタンで抽出しそして有機層をExtrelutTMを通して濾過した。得られた残渣をシリカゲル(Supelco)上でのカラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl)により精製した。生成物画分を集めそして溶媒を蒸発させて、0.063gの化合物5を生成した。
実施例B6
【0124】
【化32】

【0125】
1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾール[530−62−1](0.00185モル)を中間体13(0.00048モル)のテトラヒドロフラン(15ml)中の撹拌された溶液に加えた。反応混合物を48時間にわたり60℃において撹拌しそして冷却した。水(4ml)を加えた。混合物を10分間にわたり撹拌しそしてジクロロメタン(10ml)で抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過しそして溶媒を蒸発させた。残渣(0.337g)をシリカゲルにより充填されたSupelcoカラム(溶離剤:CHCl)上で2回精製した。生成物画分を集めそして溶媒を蒸発させて、0.051gの化合物6を生成した。
実施例B7
【0126】
【化33】

【0127】
中間体16(0.0008モル)のテトラヒドロフラン(5ml)中混合物を撹拌しそして1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾール(0.5g)を加えた。反応混合物を一晩にわたり室温において撹拌しそして溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(Supelco)(溶離剤:CHCl/EtOAc 90/10)により精製した。生成物画分を集めそして溶媒を蒸発させて、0.068gの化合物7を生成した。
【0128】
表F−1は上記実施例の1つに従い製造された化合物を列挙する。
【0129】
【表1】

【0130】
【表2】

【0131】
【表3】

【0132】
表F−2は溶媒としてCDClを用いる本発明の化合物に関するH NMRおよび13C NMR化学シフトデータを与える。
【0133】
【表4】

【0134】
【表5】

【0135】
【表6】

【0136】
【表7】

【0137】
C.薬理学的実施例
実施例C1:11b−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型および2型に対する化合物の効果を試験するための酵素検定
コルチゾンからコルチゾールへの11b−HSD1依存性転化に対する化合物の効果(レダクターゼ活性)を、100μlの最終容量中に30mMのトリス−HCl緩衝液pH7.2、180μMのNADPH、1mMのEDTA、2μMのコルチゾン、1μlの薬品および/または溶媒並びに11μgの組み換え蛋白質を含有する反応混合物の中で試験した。
【0138】
11b−HSD1−デヒドロゲナーゼ活性(コルチゾンからコルチゾールへの転化)に対する効果を、100μlの最終容量中に0.1Mの燐酸ナトリウム緩衝液pH9.0、300μMのNADP、25μMのコルチゾール、1μlの薬品および/または溶媒並びに3.5μgの組み換え蛋白質を含有する反応混合物の中で測定した。
【0139】
11b−HSD2依存性デヒドロゲナーゼ活性に対する効果を、100μlの最終容量中に0.1Mの燐酸ナトリウム緩衝液pH7.5、300μMのNAD、100nMのコルチゾール(その中の2nMは3H−放射標識が付けられる)、1μlの薬品および/または溶媒並びに2.5μgの組み換え蛋白質を含有する反応混合物の中で試験した。
【0140】
全てのインキュベーションを45分間にわたり37Cにおいて水浴中で行った。20μgのコルチコステロンを内部標準として含有する100μlのアセトニトリルを加えることにより反応を停止した。遠心後に、生成物の生成を上澄み液の中で溶媒として0.05mMの酢酸アンモニウム/メタノール(50/50)を用いるHypersyl BDS−C18カラム上のHPLCにより分析した。上記検定の全てにおいて、試験しようとする薬品を貯蔵溶液から取り出しそして−10−5M〜3.10−9Mの範囲にわたる最終濃度において試験した。このようにして得られた服用量応答曲線から、pIC50値を計算しそして以下の通りに採点した;得点1=pIC50値<5、得点2=5〜6の範囲内のpIC50値、得点3=pIC50値>6。このようにして得られた結果の一部が以下の表にまとめられている。(この表においてNTは試験されなかったを示す)。
【0141】
実施例C2:11b−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型および2型に対する化合物の効果を試験するための細胞検定
11b−HSD1活性に対する効果を分化した3T3−L1細胞およびラット肝細胞中で測定した。
【0142】
マウス線維芽細胞3T3−L1細胞(ATCC−CL−173)を12ウエルプレート中で16500個の細胞/mlの密度で接種しそして7日間にわたりDMEM培地(10%の熱不活性化された胎牛血清、2mMのグルタミンおよび25mgのゲンタマイシンが補充された)の中で37℃において湿潤5%CO雰囲気中で成長させた。培地を週に2回交換した。37℃において5%のCO湿潤雰囲気中で2μg/mlのインスリン、55μg/mlのIBMXおよび39.2μg/mlのデキサメタソンを含有する成長培地の中で、線維芽細胞を脂肪細胞に分化させた。雄ラットからの一次肝細胞を通常のFalcon12ウエルプレート上で250000個の細胞/ウエルの密度で接種しそして16時間にわたり37℃において5%のCO湿潤雰囲気中で5%のNu−血清、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、0.25μg/mlのアンフォテリシンB、50μg/mlの硫酸ゲンタマイシン、5μg/mlのインスリンおよび392ng/mlのデキサメタソンを含有するDMEM−HAMのF12培地の中でインキュベートした。試験化合物を用いる4時間の予備−インキュベーション後に、0.5μCiH−コルチゾンまたはデヒドロコルチコステロンを3T3−L1培養物に加えた。1時間後に、培地をExtrelut−カラム上で15mlのジエチルエーテルで抽出しそして抽出物を上記のようにHPLCにより分析した。ラット肝細胞HSD1活性に対するJNJ−化合物の効果を90分間のインキュベーション期間後に0.5μCiH−デヒドロコルチコステロンを用いて測定した。コルチコステロン生成をHPLCにより分析した。
【0143】
11b−HSD2活性に対する効果をHepG2およびLCC−PK1−細胞中で試験した。HepG2−細胞(ATCC HB−8065)を12ウエルプレート中で100,000個の細胞/mlの密度で接種しそして37℃において湿潤5%CO雰囲気中で10%の熱不活性化された胎牛血清、2mMのL−グルタミンおよび炭酸水素ナトリウムが補充されたMEM−Rega−3培地の中で成長させた。培地を週に2回交換した。ブタの腎臓細胞(LCC−PK1、ATCC CRL−1392)を150,000個の細胞/mlの密度で12ウエルプレート中で接種しそして37℃において湿潤5%CO雰囲気中でアールの変更塩溶液、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび10%の胎牛血清が補充されたMedium99の中で成長させた。培地を週に2回交換した。実験開始24時間前に、培地を10%の木炭ストリッピングした胎牛血清を含有する培地により交換した。試験化合物を用いる4時間の予備−インキュベーション後に、0.5μCiH−コルチゾンまたはコルチコステロンを培養物に加えた。1時間後に、培地をExtrelut−カラム上で15mlのジエチルエーテルで抽出しそして抽出物を上記のようにHPLCにより分析した。
【0144】
酵素検定に関しては、試験しようとする化合物を貯蔵溶液から取り出しそして−10−5M〜3.10−9Mの範囲にわたる最終濃度において試験した。このようにして得られた服用量応答曲線から、pIC50値を計算しそして以下の通りに採点した;得点1=pIC50値<5、得点2=5〜6の範囲内のpIC50値、得点3=pIC50値>6。このようにして得られた結果の一部が以下の表にまとめられている。(この表においてNTは試験されなかったを示す)。
【0145】
【表8】

【0146】
D.組成物実施例
以下の調合物は本発明に従う動物および人間患者に対する全身的または局部的投与に適する代表的な製薬学的組成物を例示する。これらの実施例全体で使用される「活性成分」(A.I.)は式(I)の化合物またはその製薬学的に許容可能な付加塩に関する。
【0147】
実施例D1:フィルム−コーティング錠剤
錠剤芯の製造
A.I.(100g)、ラクトース(570g)および澱粉(200g)の混合物を良
く混合しそしてその後にドデシル硫酸ナトリウム(5g)およびポリビニルピロリドン(10g)の約200mlの水中溶液で湿らせた。湿った粉末混合物をふるいにかけ、乾燥しそして再びふるいにかけた。次に微結晶性セルロース(100g)および水素化された植物油(15g)を加えた。全体を良く混合しそして錠剤に圧縮して、それぞれが10mgの活性成分を含んでなる10,000個の錠剤を与えた。
【0148】
コーティング
メチルセルロース(10g)の変性エタノール(75ml)中溶液にエチルセルロース(5g)のCHCl(150ml)中溶液を加えた。次にCHCl(75ml)および1,2,3−プロパントリオール(2.5ml)を加えた。ポリエチレングリコール(10g)を溶融しそしてジクロロメタン(75ml)中に溶解した。後者の溶液を前者に加えそして次にオクタデカン酸マグネシウム(2.5g)、ポリビニル−ピロリドン(5g)および濃色懸濁液(30ml)を加えそして全体を均質化した。コーティング装置中で錠剤芯をこのようにして得られた混合物でコーティングした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

[式中、
XはCまたはNを表し、
YはCまたはNを表し、
Lはメチルまたは直接結合を表し、
は直接結合、C1−2アルキル−または式−CH−CH=(a)もしくは−CH=(b)の2価基を表し、
は直接結合、C1−2アルキル−または式−CH−CH=(a)もしくは−CH=(b)の2価基を表し、
は水素、ハロ、シアノ、アミノ、フェニル、ヒドロキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル、−O−(C=O)−C1−4アルキル、ヒドロキシカルボニル、NRまたはC1−4アルキルを表し、ここで該C1−4アルキルまたは−O−(C=O)−C1−4アルキルは場合によりハロ、ヒドロキシカルボニル、フェニル、C1−4アルキルオキシまたはNRから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、或いは
は場合によりハロ、ヒドロキシカルボニル、フェニル、C1−4アルキルオキシまたはNRから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいC1−4アルキルオキシ−を表し、
は水素、ハロ、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルオキシ−を表し、
およびRは各々独立して水素、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルカルボニル−を表し、
およびRは各々独立して水素、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルカルボニル−を表し、
およびRは各々独立して水素、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルカルボニル−を表し、
Aはフェニル、またはチオフェニル、フラニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニルおよびピペラジニルよりなる群から選択される単環式複素環を表す]
を有する化合物、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容可能な付加塩および立体化学的異性体形態。
【請求項2】
XがCまたはNを表し、
YがCまたはNを表し、
Lがメチルまたは直接結合を表し、
が直接結合、C1−2アルキル−または式−CH−CH=(a)もしくは−CH=(b)の2価基を表し、
が直接結合、C1−2アルキル−または式−CH−CH=(a)もしくは−CH=(b)の2価基を表し、
が水素、ハロ、シアノ、アミノ、フェニル、ヒドロキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、NRまたは場合によりヒドロキシカルボニル、
フェニル、C1−4アルキルオキシもしくはNRから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいC1−4アルキルを表し、或いはRが場合によりヒドロキシカルボニル、フェニル、C1−4アルキルオキシまたはNRから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいC1−4アルキルオキシ−を表し、
が水素、ハロ、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルオキシ−を表し、
およびRが各々独立して水素、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルカルボニル−を表し、
およびRが各々独立して水素、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルカルボニル−を表し、
およびRが各々独立して水素、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルカルボニル−を表し、
Aがフェニル、またはチオフェニル、フラニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニルおよびピペラジニルよりなる群から選択される単環式複素環を表す、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Lがメチルまたは直接結合を表し、
が水素、ハロまたはヒドロキシを表し、
が水素、ハロまたはC1−4アルキルオキシ−を表し、
Aがフェニル、またはピリジニルおよびチオフェニルよりなる群から選択される単環式複素環を表す、
請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Aがフェニルまたはピリジニルを表しそしてLが直接結合を表し、および/またはRがハロ、シアノ、アミノ、フェニル、ヒドロキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル−、ヒドロキシカルボニル、NRまたはヒドロキシカルボニル、フェニル、C1−4アルキルオキシもしくはNRから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1−4アルキルを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
化合物が
2−アダマンタン−2−イル−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−ベンゾ[f]イソインドール−1−オン、
2−アダマンタン−2−イル−2,3,10,10a−テトラヒドロ−5H−イミダゾ[1,5−b]イソキノリン−1−オン、
2−アダマンタン−2−イル−1,5,10,10a−テトラヒドロ−2H−イミダゾ[1,5−b]イソキノリン−3−オン、
2−アダマンタン−1−イルメチル−1,2,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−ベンゾ[e]イソインドール−3−オン、
7−アダマンタン−2−イル−7,8,8a,9−テトラヒドロ−ピロロ[3,4−g]キノリン−6−オン、
2−(5−ヒドロキシ−アダマンタン−2−イル)−1,5,6,10b−テトラヒドロ−2H−イミダゾ[5,1−a]イソキノリン−3−オン、
2−(5−フルオロ−アダマンタン−2−イル)−1,2,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−ベンゾ [e]イソインドール−3−オン、および
2−(5−ヒドロキシ−アダマンタン−2−イル)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−ベンゾ[f]イソインドール−1−オン
よりなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
製薬学的に許容可能な担体、および、活性成分として、有効な11β−HSD1阻害量
の請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項7】
製薬学的に許容可能な担体を有効な11β−HSD1阻害量の請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物と緊密に混合することを特徴とする、請求項5で定義された製薬学的組成物の製造方法。
【請求項8】
薬品として使用するための請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
過剰なコルチゾール生成、例えば、肥満症、糖尿病、肥満症に関連する心臓血管疾病、痴呆症、認知症、骨粗鬆症、ストレスおよび緑内障に関連する病状を処置するための薬品の製造における請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項10】

【化2】

[式中、
XはCまたはNを表し、
YはCまたはNを表し、
Lはメチルまたは直接結合を表し、
は直接結合、C1−2アルキル−または式−CH−CH=(a)もしくは−CH=(b)の2価基を表し、
は直接結合、C1−2アルキル−または式−CH−CH=(a)もしくは−CH=(b)の2価基を表し、
は水素、ハロ、シアノ、アミノ、フェニル、ヒドロキシ、C1−4アルキルオキシカルボニル、−O−(C=O)−C1−4アルキル、ヒドロキシカルボニル、NRまたはC1−4アルキルを表し、ここで該C1−4アルキルまたは−O−(C=O)−C1−4アルキルは場合によりハロ、ヒドロキシカルボニル、フェニル、C1−4アルキルオキシまたはNRから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、或いは
は場合によりハロ、ヒドロキシカルボニル、フェニル、C1−4アルキルオキシまたはNRから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいC1−4アルキルオキシ−を表し、
は水素、ハロ、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルオキシ−を表し、
およびRは各々独立して水素、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルカルボニル−を表し、
およびRは各々独立して水素、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルカルボニル−を表し、
およびRは各々独立して水素、C1−4アルキルまたはC1−4アルキルカルボニル−を表し、
Aはフェニル、またはチオフェニル、フラニル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニルおよびピペラジニルよりなる群から選択される単環式複素環を表す]
の化合物、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容可能な付加塩および立体化学的異性体形態。
【請求項11】
製薬学的に許容可能な担体、および、活性成分として、有効な11β−HSD1阻害量の請求項10に記載の化合物を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項12】
製薬学的に許容可能な担体を有効な11β−HSD1阻害量の請求項10に記載の化合物と緊密に混合することを特徴とする、請求項11で定義された製薬学的組成物の製造方法。
【請求項13】
薬品として使用するための請求項10に記載の化合物。
【請求項14】
過剰なコルチゾール生成、例えば、肥満症、糖尿病、肥満症に関連する心臓血管疾病、痴呆症、認知症、骨粗鬆症、ストレスおよび緑内障に関連する病状を処置するための薬品の製造における請求項10に記載の化合物の使用。
【請求項15】
インスリン耐性、異常脂肪血症、肥満症および高血圧症の処置用の薬品の製造における抗高血圧症剤との組み合わせにおける請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項16】
インスリン耐性、異常脂肪血症、肥満症および高血圧症の処置用の薬品の製造における抗高血圧症剤との組み合わせにおける請求項10に記載の化合物の使用。
【請求項17】
グルココルチコイド受容体作用物質療法中に生ずる望ましくない副作用の軽減のため並びに炎症を有する癌、疾病および障害のある種の形態を処置するための薬品の製造におけるグルココルチコイド受容体作用物質との組み合わせにおける成分としての請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項18】
グルココルチコイド受容体作用物質療法中に生ずる望ましくない副作用の軽減のため並びに炎症を有する癌、疾病および障害のある種の形態を処置するための薬品の製造におけるグルココルチコイド受容体作用物質との組み合わせにおける成分としての請求項10に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2008−511581(P2008−511581A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528862(P2007−528862)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【国際出願番号】PCT/EP2005/054198
【国際公開番号】WO2006/024628
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】