説明

2‘水酸基を修飾された新規人工RNA

本発明の目的は、穏やかな条件で効率的にシアノエチルエーテルを構築する系、及び機能性官能基としての可能性を開拓し新規機能性核酸の創製に寄与することである。
本発明は、一般式(I)で表されるヌクレオシドもしくはそのヌクレオチド:
【化1】


(式I中、X及びYは同一または異なって、水素、置換基を有していてもよいシリル基、4−メトキシトリチル基、4,4’−ジメトキシトリチル基、又は一般式(II):
【化2】


(式(II)中、R1およびR2は同一または異なって、炭素数1から7のアルキル基を表すか、又は、R1およびR2が互いに結合して環構造を形成し、R3はリン酸の保護基を表す)を表し、B1は置換基を有していてもよいピリミジン塩基又はプリン塩基を表す。)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2‘水酸基をシアノエチルエーテル化したヌクレオシド、ヌクレオチド及びそれらのホスホロアミダイト化合物に関する。これらの化合物は、核酸合成試薬としてまた修飾RNAとして各々用いることができる。
【背景技術】
【0002】
化学的に合成されたオリゴリボヌクレオチド(オリゴRNA)は、遺伝子解析用のRNAプローブ、RNA医薬品素材(アンチセンスRNA、リボザイム、iRNAを利用した遺伝子発現制御)、人工酵素、アプタマーとして利用することが可能である。
【0003】
2‘水酸基をメチルエーテル誘導体は市販されていることもあり、エーテル修飾体として汎用されている。しかしながらこの修飾RNAでは、遺伝子制御物質として用いる場合細胞内における酵素耐性の点で問題がある。一方、同様のエーテル型修飾としてメトキシエチルエーテル誘導体も汎用されている。こちらの化合物は、メチル修飾体と比較して酵素耐性の点で優れていると報告されている(非特許文献1)。しかし、それらの調製には、導入法や導入試薬に制限がつくためピリミジンヌクレオシド、プリンヌクレオシドに共通な合成法がないのが現状である。また、エーテル鎖中に存在する酸素原子の影響によりエーテル鎖の構造が制限されているためオリゴRNA合成の際、縮合効率の点で問題が生じる可能性が十分考えられる。
【0004】
これらの問題点を解決するには、炭素数が3炭素程度でエーテル鎖中に酸素原子を含まず末端に電子吸引性でかつ親水性置換を有するエーテル修飾体の開発を行うことが有用である。
【0005】
【非特許文献1】VonPierre Martin, ヘルベチカ チミカ アクタ, 1995, 78, 486-504
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような条件を満たすエーテル修飾体としてシアノエチルエーテルが考えられる。このエーテルはアクリロニトリルを導入試薬とすることで安価に修飾体が得られるという利点がある。しかし、導入には強塩基例えば水酸化ナトリウムなどを用いて加熱という過酷な条件を要する問題点があった。また、機能性官能基としての可能性は核酸化学において開拓されていない。
【0007】
本発明は、穏やかな条件で効率的にシアノエチルエーテルを構築する系、及び機能性官能基としての可能性を開拓し新規機能性核酸の創製に寄与することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明者は、アクリトニトリルを2−シアノエチル化の合成原料に用いるとともに、水酸基を活性化する塩基として最適なものを探索した結果、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明は、一般式(I)で表されるヌクレオシド又はそのヌクレオチド(式I中、X及びYは同一または異なって、水素、置換基を有していてもよいシリル基、4−メトキシトリチル基、4,4’−ジメトキシトリチル基、又は一般式(II)(式(II)中、R1およびR2は同一または異なって、例えば、ジイソプロピルのような炭素数1から7のアルキル基を表すか、又は、R1およびR2が互いに結合して環構造を形成し、R3は、例えば、2−シアノエチルのようなリン酸の保護基を表す)を表し、B1は置換基を有していてもよいピリミジン塩基又はプリン塩基を表す。)に係る。
【0010】
更に、本発明は、上記一般式(I)で表されるヌクレオシドの合成方法であって、炭酸セシウム、DBU,及びTritonBから成る群から選択される少なくとも一種の化合物とアクリロニトリルとヌクレオシド誘導体を合成原料として用い、t−ブチルアルコールの存在下又は非存在下で、2‘水酸基をシアノエチルエーテル化することを特徴とする、前記合成方法に係る。
【0011】
本発明は又、これら合成方法で得られたヌクレオシドのホスホロアミダイト化合物にも係る。尚、本発明のホスホロアミダイト化合物は、当業者に公知のホスホロアミダイト法を用いて、当業者であれば容易に調製することが出来る。更に、本発明は上記ヌクレオシド(一般式(I)におけるX及びYを除いた部分)を含むRNAオリゴマーにも係る。
【発明の効果】
【0012】
本発明のシアノエチル化反応により種々の水酸基のシアノエチル化を効率よく実施することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明で得られたRNAオリゴマーの陰イオン交換高速液体クロマトグラフィーによる分析プロファイルを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明化合物において、ピリミジン塩基又はプリン塩基であるB1の置換基の具体例としては、当業者に公知の任意の基、例えば、N−ジメチルアミノメチレン、N−アセチル、及びトリイソプロピルベンゼンスルホニル基等の本明細書の実施例中に記載されたものを挙げることができる。
また、ホスホロアミダイト基(II)中、R1およびR2は同一または異なって、イソプロピル基等の炭素数1から7のアルキル基を表すか、又は、R1およびR2が互いに環構造を形成する。又、リン酸の保護基であるR3は、例えば、2−シアノエチル基、4−ニトロフェニルエチル基、N−(トリフロオロアセチル)アミノブチル基、又は、4−[N−メチル−N−(2,2,2−トリフルオロアセチル)アミノ]ブチル基を挙げることが出来、2−シアノエチル基が好適である。
【0015】
本発明の合成方法において、炭酸セシウム、DBU,及びTritonBから成る群から選択される少なくとも一種の化合物、特に、好適には炭酸セシウムの存在下で、合成原料としてアクリロニトリル及びヌクレオシド誘導体を用いる合成方法であり、これら化合物はヌクレオシド誘導体に対して0.1〜30equivの範囲で反応系に存在させ、更に、アクリロニトリルに対して0.05〜30equivの範囲のt−ブチルアルコールの存在下に反応を行うことが好適である。通常、20℃〜30℃の温度範囲で反応させることが好ましく、又、反応時間は2時間〜3時間の範囲であることが好ましい。
【実施例】
【0016】
以下、実施例に則して本発明を更に詳しく説明する。尚、本発明の技術的範囲はこれらの記載によって何等制限されるものではない。
【0017】
実施例1:2’−O−(2−シアノエチル)−N3‐ベンゾイル‐3’,5’‐O‐テトライソプロピルジシロキサニリデン‐ウリジン(化合物1)
【0018】
【化1】

【0019】
N3‐ベンゾイル‐3’,5’‐O‐テトライソプロピルジシロキサニリデン‐ウリジン化合物 (591mg,1mmol)をt−ブチルアルコール(5ml)に溶解させた。そこにアクリロニトリル(1.3ml,20mmol)、引き続き炭酸セシウム(353mg, 1mmol)を加え2時間激しく撹拌した。その後、セライトろ過により炭酸セシウムを取り除き、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)により精製し白色結晶として標題化合物(593mg,0.921mmol)を収率92%で得た。分析用サンプルにはクロロホルム−ジイソプロピルエーテルから結晶化したものを用いた。m.p.159℃。
【0020】
1H-NMR(CDCL3, 500 MHz)0.94‐1.12(28H, m), 2.61‐2.63(2H, m), 3.91‐4.05(4H, m), 4.18‐4.29(3H, m), 5.70(1H,s), 5.79(1H, d, J=8.30), 7.49-7.94(5H, m), 8.00(1H, d, J=8.30)
【0021】
実施例2 2’−O−(2−シアノエチル)−N3‐ベンゾイルウリジン(化合物2)
【0022】
【化2】

【0023】
得られた化合物1(322mg,0.545mmol)をテトラヒドロフラン(3ml)に溶解させ、あらかじめ調製したテトラブチルアンモニウムフルオリド(327mg,1.25mmol)と酢酸(72μl,1.25mmol)のテトラヒドフラン溶液(2ml)をゆっくりと滴下した。1時間撹拌させた後、反応液をクロロホルムで希釈し飽和食塩水で3回洗浄した。有機層を分離後、水層をクロロホルムで抽出した。有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥剤をろ過後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:アセトン=10:1)により精製し白色泡状物質として標題化合物(147mg,0.366mmol)を収率67%で得た。
【0024】
1H-NMR(CDCl3, 500 MHz)2.63‐2.66(2H, m), 3.83‐3.90(2H, m), 4.04‐4.09(4H, m), 4.31(1H, dd, J=5.37, 7.32), 5.81(1H, d, J=1.71), 5.83(1H, d, J=8.30), 7.50‐7.94(5H, m), 8.10(1H, d, J=8.30)
【0025】
実施例3 2’−O−(2−シアノエチル)ウリジン(化合物3)
【0026】
【化3】

【0027】
得られた化合物2(80mg,0.202mmol)をエタノール:アンモニア水(2ml,3:1,v/v)に溶解させ3時間撹拌した。その後、減圧濃縮して得られた残渣を1mlのメタノールに溶かし10mlのエーテルで希釈して3mlの蒸留水で3回抽出した。水層を減圧濃縮し、得られた残渣を球状シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=5:1)で精製し白色泡状物質として標題化合物(57mg, 0.191mmol)を収率95%で得た。
【0028】
1H-NMR(D2O, 500 MHz)2.70‐2.72(2H, m), 3.69(1H, dd, J=4.15, 12.9 Hz), 3.82‐3.85(3H, m), 4.02‐4.04(1H, m), 4.08(1H, dd, J=3.66, 5.23), 4.19(1H, t, J=5.62, 6.10), 5.77(1H, d, J=8.06), 5.87(1H, d, J=3.66), 7.80(1H, d, J=8.06)
【0029】
実施例4 5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエチル)−N3‐ベンゾイルウリジン(化合物4)
【0030】
【化4】

【0031】
化合物1(2.70g,4.19mmol)をテトラヒドロフラン(20ml)に溶解させ、あらかじめ調製したテトラブチルアンモニウムフルオリド(2.75g,10.5mmol)と酢酸(0.6ml,10.5mmol)のテトラヒドフラン溶液(20ml)をゆっくりと滴下した。7時間撹拌させた後、反応液をクロロホルムで希釈し飽和食塩水で3回洗浄した。水層をクロロホルムで抽出し、有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ過後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:アセトン=10:1)により精製し化合物2を得た。引き続き、乾燥ピリジンにて3回共沸脱水を行い、乾燥ピリジン(40ml)に溶解させた。塩化ジメトキシトリチル(1.71g, 5.04mmol)を加えて7時間撹拌させた後、反応系に水を加えて反応を停止した。減圧濃縮して得られた残渣をクロロホルムで希釈し、飽和重曹水及び飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥剤をろ過後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し白色泡状物質として標題化合物(2.07g, 2.84mmol)を収率70%で得た。
【0032】
1H-NMR(CDCl3, 500 MHz)2.55‐2.62(3H, m), 3.57‐3.64(2H, m), 3.79‐3.86(7H, m), 4.00(1H, d, J=5.13), 4.04‐4.07(1H, m), 4.12‐4.15(1H, m), 4.53(1H, ddd, J=5.13, 9.40, 9.52), 5.37(1H, d, J=8.30), 5.86(1H, s), 6.86(4H, dd, J=1.22, 8.79), 7.24-7.34(7H, m), 7.42(2H, br), 7.49(2H, br), 7.64(2H, br), 7.93(2H, br), 8.22(1H, J=8.30)
【0033】
実施例5 5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエチル)−N3‐ベンゾイルウリジン (2‐シアノエチル N,N‐ジイソプロピルホスホロアミダイト)(化合物5)
【0034】
【化5】

【0035】
アルゴン雰囲気下、五酸化ニリンを乾燥剤としてデシケータにて減圧乾燥させた上記化合物4(1.06g,1.51mmol)とテトラゾールジイソプロピルアンモニウム塩(193mg,2.25mmol)を乾燥アセトニトリル(7ml)に溶解させた。2‐シアノエチルN,N,N,N‐テトライソプロピルホスホロジアミダイト(678mg,2.25mmol)を乾燥アセトニトリル(3ml)の溶液として反応系に滴下した。5時間撹拌した後、反応液をクロロホルムで希釈し飽和食塩水で2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回洗浄した。水層をクロロホルムで抽出し、得られた有機層を合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥剤をろ過後、減圧濃縮した。得られた残渣を球状シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1 0.5%トリエチルアミン)で精製し白色泡状物質として標題化合物(1.27g,1.40mmol)を収率93%で得た。
【0036】
1H‐NMR(CDCl3, 500 MHz)1.08‐1.30(12H, m), 2.47‐2.68(4H, m), 3.49‐4.30(16H, m), 4.59‐4.80(1H, br), 5.28‐5.37(1H, m), 5.85(1H, m), 6.83‐6.91(4H, m), 7.24‐7.66(13H, m), 8.00‐8.03( 2H, m), 8.24‐8.30(1H, m)
【0037】
実施例6 5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエチル)ウリジン(化合物6)
【0038】
【化6】

【0039】
2‘‐O‐シアノエチルウリジン(化合物3)(1.97g,6.63mmol)をピリジン(70ml)に溶解させ、ジメトキシトリチルクロリド(2.47g,7.29mmol)を加え4時間撹拌する。その後、反応液を減圧濃縮してクロロホルムで希釈し飽和食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて洗浄し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させる。減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに吸着させクロロホルム:メタノール(100:0から20:1、含0.5%トリエチルアミン)で精製し標題化合物(3.91g,99%)を得た。
【0040】
1H-NMR(CDCL3, 500 MHz)2.68‐2,71(2H, m), 3.53‐3.58(2H, m), 3.78‐3.79(6H, m), 3.90‐3.98(2H, m), 4.03‐4.06(1H, m), 4.17‐4.22(1H, m), 4.49(1H, dd), 5.31(1H, d), 5.89(1H, s), 6.84(4H, d), 7.22-7.40(9H, m),8.06(1H, d)
【0041】
実施例7 5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−2’−O−(2−シアノエチル)ウリジン 3’−(2−シアノエチル N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト)(化合物7)
【0042】
【化7】

【0043】
上記化合物6(1.20g,2.00mmol)を脱水トルエンにて5回共沸脱水した後アルゴン置換した。乾燥ジクロロメタン(10ml)に溶解させ、ジイソプロピルエチルアミン(0.5ml,2.87mmol)、2‐シアノエチルN,N‐ジイソプロピルアミノクロロホスフィン(521mg,2.20mmol)を乾燥ジクロロメタン(2ml)の溶液として反応系に滴下した。室温で2時間撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で2回洗浄した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥剤をろ過後、減圧濃縮した。得られた残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィーに吸着させクロロホルム:メタノール(100:0→50:1)で精製し標題化合物(1.33g,83%)を得た。
【0044】
1H‐NMR(CDCl3, 500 MHz)1.08‐1.21(12H, m), 2.60‐2.77(4H, m), 3.43‐3.76(4H, m), 3.79‐3.80(6H, m), 3.87-4.84(6H, m), 5.18-5.29(1H, m), 5.88-5.90(1H, m), 6.81-6.87(4H, m), 7.23-7.39( 9H, m), .05-8.13(1H, m)
【0045】
実施例8 N4‐ジメチルアミノメチレン‐3’,5’‐O‐テトライソプロピルジシロキサニリデン‐2‘‐O‐(2−シアノエチル)シチジン(化合物8)
【0046】
【化8】

【0047】
N4‐ジメチルアミノメチレン‐3’,5’‐O‐テトライソプロピルジシロキサニリデン‐シチジン(541mg, 1mmol)をt−ブチルアルコール(5ml)に溶解させた。そこにアクリロニトリル(1.3ml,20mmol)、引き続き炭酸セシウム(353mg,1mmol)を加え3時間激しく撹拌した。その後、セライトろ過により炭酸セシウムを取り除き、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに吸着させクロロホルム:メタノール(40:1)で精製し標題化合物(528mg、89%)を得た。
【0048】
1H-NMR(CDCL3, 500 MHz)0.85‐1.06(28H, m), 2.69‐2.73(2H, m), 3.10(3H, s), 3.12(3H, s), 3.86‐4.24(7H,m), 5.74(1H, s), 6.01(1H, dd), 8.01(1H, d), 8.76(1H, s)
【0049】
実施例9 N4‐ジメチルアミノメチレン‐2‘‐O‐(2−シアノエチル)シチジン(化合物9)
【0050】
【化9】

【0051】
得られた化合物8(347mg, 0.584mmol)をテトラヒドロフラン6ml)に溶解させた。そこにトリエチルアミン3フッ化水素(332μl,2.04mmol)、引き続きトリエチルアミン(147μl,1.05mmol)を加え1時間撹拌する。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに吸着させクロロホルム:メタノール(100:0から50:1)で標題化合物(184mg、90%)を得た。
【0052】
1H-NMR(CDCL3, 500 MHz)0.85‐1.06(28H, m), 2.69‐2.73(2H, m), 3.10(3H, s), 3.12(3H, s), 3.86‐4.24(7H,m), 5.74(1H, vs), 6.01(1H, dd), 8.01(1H, d), 8.76(1H, s)
【0053】
実施例10 N4‐ジメチルアミノメチレン‐5‘‐O‐ジメトキシトリチル‐2‘‐O‐シアノエチルシチジン(化合物10)
【0054】
【化10】

【0055】
化合物9(192mg, 0.546mmol)をピリジン(5ml)に溶解させた。そこにジメトキシトリチルクロリド(204mg,0.602mmol)を加え2時間撹拌する。反応液を減圧濃縮し、クロロホルムで希釈し飽和食塩水並びに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。さらに水層をクロロホルムで3回逆抽出し有機層とあわせて無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥剤をろ別した後、減圧濃縮し得られた残渣を得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに吸着させクロロホルム:メタノール(100:0から25:1)で精製し標題化合物(157mg,45%)を得た。
【0056】
1H-NMR(CDCL3, 500 MHz)2.69‐2,73(2H, br), 3.10(3H, s), 3.12(3H, s), 3.49(1H, dd), 3.57‐3.59(1H, m), 3.77(6H, s), 3.94‐4.07(3H, m), 4.31‐4.41(2H, m), 5.76(1H, d), 5.93(1H, s), 6.82-6.85(4H, m), 7.20‐7.43(9H, m), 8.16(1H, dd), 8.76(1H, s)
【0057】
実施例11 2‘‐O‐(2−シアノエチル)シチジン(化合物11)
【0058】
【化11】

【0059】
化合物10(351mg、0.4mmol)を濃アンモニア水−エタノール(3:1,v/v、4ml)に溶解し、1時間撹拌する。反応液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに吸着させクロロホルム:メタノール(7:1)で精製し標題化合物(109mg,92%)を得た。
【0060】
1H-NMR(D2O, 500 MHz)2.83‐2.86(2H, m),3.84(1H,dd, J = 13 Hz, 4.4 Hz), 3.95-4.03(3H, m), 4.14-4.18(2H, m), 4.27(1H, dd,J=13 Hz, 1.7 Hz), 5.97(1H, d, J = 3.2 Hz), 6.1(1H, d,J=7.6 Hz), 7.89 (1H, d, J=7.6Hz).
【0061】
実施例12 N4‐アセチル‐2‘‐O‐(2−シアノエチル)シチジン(化合物12)
【0062】
【化12】

【0063】
化合物11(1000mg,3.38mmol)をエタノール(70ml)に溶解させ、無水酢酸(1.6ml,16.96mmol)を加えて12時間撹拌する。系内で析出した結晶をろ別し、ジエチルエーテルにて洗浄し標題化合物(1055mg,3.12mmol)を92%の収率で得る。
【0064】
1H-NMR (DMSO, 500 MHz) 2.10 (3H, s), 2.81-2.86 (2H, m), 3.60-3.63(1H, m), 3.78-3.94 (5H, m), 4.03-4.05 (1H, m), 5.13 (1H, d, J=4.88), 5.20 (1H, t, J=4.88), 5.78 (1H, d, J=1.71) , 7.18(d, J=7.57), 8.47(1H, J=7.57), 10.92(1H, s)
【0065】
実施例13 N4−アセチル−5‘−O−ジメトキシトリチル−2’−O−(2−シアノエチル)シチジン (化合物13)
【0066】
【化13】

【0067】
化合物12(1055mg,3.12mmol)を乾燥ピリジンにて4回共沸脱水させた後、乾燥ピリジン(30ml)に溶解させた。そこにジメトキシトリチルクロリド(1162mg,3.43mmol)を加え3時間撹拌させ、水を加えて反応を停止する。反応液を減圧濃縮し、クロロホルムで希釈し飽和食塩水並びに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥剤をろ別した後、減圧濃縮し得られた残渣を得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに吸着させクロロホルム:メタノール(98:2 0.5%トリエチルアミン)で精製し標題化合物(1848mg,2.88mmol,92%)を白色泡状物質として得る。
【0068】
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz) 2.20 (3 H, s), 2.60-2.68 (2 H, m), 2.97-2.98 (1 H, br), 3.54-3.62 (2 H, m), 3.79 (6 H, m), 3.92-3.97 (1 H, m), 4.01(1H, d, J=5.13), 4.11-4.13(1H, m), 4.24-4.18(1H, m), 5.89 (1 H, s), 6.85-6.87 (4 H, m), 7.15-7.43 (10 H, m), 8.53 (1H, d, J=7.57), 10.00 (1H, br)
【0069】
実施例14 N4−アセチル−5‘−O−ジメトキシトリチル−2’−O−(2−シアノエチル)シチジン 3’−(2−シアノエチル N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト)(化合物14)
【0070】
【化14】

【0071】
上記化合物13(668 mg, 1.04 mmol) を乾燥トルエンにて5回共沸脱水を行った後、アルゴン置換した。乾燥ジクロロメタン(8 ml)に溶解させジイソプロピルエチルアミン(271μl , 1.56 mmol)を加え, ジイソプロピルアミノ-(2−シアノエチル)-クロロホスフィン(271 mg, 1.15 mmol) を乾燥ジクロロメタン (2 ml)の溶液として加えた。3時間撹拌した後, 酢酸エチルで希釈し, 飽和食塩水、飽和重曹水で有機層を洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥して乾燥剤をろ別した。溶媒を減圧流去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに吸着させクロロホルム:メタノール (98:2〜97:3 0.5%トリエチルアミン)で精製し標題化合物 (790 mg, 0.94 mmol, 90%) を白色泡状物質として得る。
【0072】
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz) 1.01‐1.18 (12 H, m), 2.23‐2.24(3 H, m), 2.40-2.75(4 H, m), 3.45-3.74(5 H, m), 3.81-3.82(6 H, m), 3.84-4.59(6 H, m),5.91-5.93(1 H, m), 6.83-6.87(4 H, m), 6.96-7.05(1 H, m), 7.26-7.44(9H,m),8.53-8.60(1H,m),10.10(1H,s)
【0073】
実施例15 N6‐ジメチルアミノメチレン‐3’,5’‐O‐テトライソプロピルジシロキサニリデン‐2‘‐O‐シアノエチルアデノシン(化合物15)
【0074】
【化15】

【0075】
N6‐ジメチルアミノメチレン‐3’,5’‐O‐テトライソプロピルジシロキサニリデン‐アデノシン化合物 (565mg,1mmol)をt−ブチルアルコール(5ml)に溶解させた。そこにアクリロニトリル(1.3ml,20mmol)、引き続き炭酸セシウム(353mg,1mmol)を加え3時間激しく撹拌した。その後、セライトろ過により炭酸セシウムを取り除き、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに吸着させクロロホルム:メタノール(50:1)で精製し標題化合物(559mg、90%)を得た。
【0076】
1H-NMR(CDCL3, 500 MHz)0.96‐1.12(28H, m), 2.71‐2.73(2H, m), 3.19(3H, s), 3.25(3H, s), 3.94-4.27(6H,m), 4.77(1H, dd), 6.01(1H, s), 8.14(1H, s), 8.48(1H, s), 8.93(1H, s)
【0077】
実施例16 N6‐ジメチルアミノメチレン‐2‘‐O‐シアノエチルアデノシン(化合物16)
【0078】
【化16】

【0079】
得られた化合物15(1.45g, 2.35mmol)をテトラヒドロフラン24ml)に溶解させた。そこにトリエチルアミン3フッ化水素(1.3ml,7.98mmol)、引き続きトリエチルアミン(589μl,4.23mmol)を加え1時間撹拌する。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに吸着させクロロホルム:メタノール(50:1から25:1)で精製し標題化合物(878mg、quant)を得た。
【0080】
1H-NMR(CD3OD, 500 MHz)2.62‐2.65(2H, m), 3.16(3H, s), 3.18(3H, s), 3.65‐3.72(4H, m), 3.80‐3.86(4H, m), 4.09‐4.11(1H, m), 4.43(1H, t), 4.53 (1H, t), 6.08 (1H, d), 8.34 (1H, s), 8.40 (1H, s), 8.83 (1H, s)
【0081】
実施例17 N6‐ジメチルアミノメチレン‐5‘‐O‐ジメトキシトリチル‐2‘‐O‐シアノエチルアデノシン(化合物17)
【0082】
【化17】

【0083】
化合物16(716mg, 1.91mmol)をピリジン(19ml)に溶解させた。そこにジメトキシトリチルクロリド(712mg,2.10mmol)を加え3時間撹拌する。反応液を減圧濃縮し、クロロホルムで希釈し飽和食塩水並びに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。さらに水層をクロロホルムで3回逆抽出し有機層とあわせて無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥剤をろ別した後、減圧濃縮し得られた残渣を得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに吸着させクロロホルム:メタノール(100:0から50:1含0.5%トリエチルアミン)で精製し標題化合物(1132mg,87%)を得た。
【0084】
1H-NMR(CDCL3, 500 MHz)2.52‐2,2.59(2H, m), 3.13(3H, s), 3.18(3H, s), 3.25‐3.57(2H, m), 3.72(6H, s), 3.82‐3.92(2H, m), 4.20‐4.24(3H, m), 4.50(1H, t), 4.60(1H, dd),6.14(1H, d),6.75(4H, d), 7.13‐7.47(9H, m), 8.09(1H, s), 8.43(1H, s), 8.94(1H, s)
【0085】
実施例18 N6‐ジメチルアミノメチレン‐5‘‐O‐ジメトキシトリチル‐2‘‐O‐シアノエチルアデノシン 3’−(2−シアノエチル N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト)(化合物18)
【0086】
【化18】

【0087】
上記化合物17(1.06g,1.51mmol)を脱水トルエンにて5回共沸脱水した後アルゴン置換した。乾燥ジクロロメタン(12ml)に溶解させ、ジイソプロピルエチルアミン(0.3ml,1.72mmol)、2‐シアノエチルN,N‐ジイソプロピルアミノクロロホスフィン(328mg,1.36mmol)を乾燥ジクロロメタン(2ml)の溶液として反応系に滴下した。室温で2時間撹拌した後、反応液をクロロホルムで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で3回、飽和食塩水で1回洗浄した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥剤をろ過後、減圧濃縮した。得られた残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィーに吸着させクロロホルム:メタノール(100:0→100:1)で精製し標題化合物(896mg,82%)を得た。
【0088】
1H‐NMR(CDCl3, 500MHz)1.06‐1.18(12H, m), 2.58‐2.66(4H, m), 3.21(3H, s), 3.26(3H, s), 3.32‐3.35(1H, m), 3.51‐4.01(14H, m), 4.34‐4.39(1H, m), 4.55‐4.67(1H, m), 4.80‐4.85( 1H, m), 6.10-6.14(1H, m), 6.76‐6.83(4H, t), 7.18‐7.36(9H, m), 8.09‐8.12(1H, m), 8.45‐8.46(1H, m), 8.95‐8.96(1H, m)
【0089】
実施例19 N2−ジメチルアミノメチレン−O−6‐トリイソプロピルベンゼンスルホニル‐3’,5’‐O‐テトライソプロピルジシロキサニリデン‐2‘‐O‐シアノエチルグアノシン (化合物19)
【0090】
【化19】

【0091】
N2−ジメチルアミノメチレン−06‐トリイソプロピルベンゼンスルホニル‐3’,5’‐O‐テトライソプロピルジシロキサニリデン‐グアノシン (6.60g,7.80mmol)をt−ブチルアルコール(39ml)に溶解させた。そこにアクリロニトリル(20ml,156mmol)、引き続き炭酸セシウム(2.75g,7.80mmol)を加え2時間激しく撹拌した。その後、セライトろ過により炭酸セシウムを取り除き、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに吸着させクロロホルム:メタノール(100:1)で精製し標題化合物(5.82mg、83%)を得た。
【0092】
1H-NMR(CDCL3, 500 MHz)0.99‐1.34(46H, m), 2.77‐2.632.79(2H, t), 2.95‐2.97(1H, m), 3.11(3H, s), 3.16(3H,s), 3.99‐4.33(9H, m), 4.57(1H, dd), 6.18(1H, s), 7.23(2H, s), 8.04(1H,s), 8.23(1H, s)
【0093】
実施例20 N2‐ジメチルアミノメチレン‐6‐O‐トリイソプロピルベンゼンスルホニル‐2’‐O‐シアノエチルグアノノシン(化合物20)
【0094】
【化20】

【0095】
化合物19(113mg,0.126mmol)をテトラヒドロフラン(1ml)に溶解させた。そこにトリエチルアミン3フッ化水素(72μl,0.442mmol)、引き続きトリエチルアミン(31μl,0.226mmol)を加え1時間撹拌する。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに吸着させクロロホルム:メタノール(100:0から50:1から10:1)で精製し標題化合物(67mg,81%)を得た。
【0096】
1H-NMR(CDCl3, 500 MHz)1.22‐1.31(18H, m), 2.57-2.60(2H, t), 2.81-2.96(1H, m), 3.05(3H, s), 3.12(3H, s), 3.62-3.79(3H, m), 3.93(1H, d), 4.24(2H, dt), 4.31(1H, br), 4.62(1H, m), 4.84(1H, dd), 5.98‐6.15(2H, m), 7.23(2H, s), 8.12(1H, s), 8.20(1H, s)
【0097】
実施例21 N2‐ジメチルアミノメチレン‐2’‐O‐シアノエチルグアノノシン(化合物21)
【0098】
【化21】

【0099】
化合物13(630 mg, 0.7 mmol) を無水アセトニトリル(7ml)に溶解させオルトニトロベンズアルドキシム(349 mg, 2.10 mmol),テトラメチルグアニジン(263 μl, 2.10 mmol). を加える。1時間撹拌後、反応液を酢酸エチルで希釈し、飽和食塩水、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過して有機溶媒を減圧留去する。得られた残渣を無水THF(7ml)に溶解させ、トリエチルアミン(172μl,1.26mmol),トリエチルアミン3フッ化水素(399ml,2.45mmol)を加えて、1時間撹拌する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに吸着させクロロホルム:メタノール(90:10→85:15,v/v)で精製し標題化合物(218mg,0.557mmol,80%)を白色固体として得る。
【0100】
1H-NMR (DMSO, 500 MHz) 2.73-2.76 (2H, m), 3.03 (3H, s), 3.15 (3H, s), 3.54-3.58 (1H, m), 3.63-3.69(1H, m), 3.78-3.82 (1H, m), 3.91 (1H, q, J=3.91), 4.29 (1H, q, J=4.39, 5.13), 4.40 (1H, t, J=5.13), 5.01 (1H, t, J=5.61), 5.30 (1H, d, J=5.37), 5.91(1H, d, J=5.13), 8.08 (1H, s), 8.55 (1H, s), 11.4 (1H, br)
【0101】
実施例22 2‘‐O‐シアノエチルシチジン(化合物22)
【0102】
【化22】

【0103】
化合物12 (141mg,0.401mmol)をアンモニア水:エタノール(4ml,v/v=3/1)に溶解させ1時間撹拌する。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに吸着させクロロホルム:メタノール(7:1)で精製し標題化合物(109mg、92%)を得た。
【0104】
1H-NMR(D2O, 500 MHz)2.83‐2.86(2H, m), 3.83(1H, dd), 3.95‐4.03(3H, m), 4.14‐4.18(2H, m), 4.28(1H,dd), 5.97(1H, d), 6.05(1H, dd), 7.88(1H, d)
【0105】
実施例23 2‘‐O‐シアノエチルアデノシン(化合物23)
【0106】
【化23】

【0107】
化合物16 (475mg,1.27mmol)をアセトニトリルに溶解させヒドラジン(218μl,7mmol)を加えて3時間撹拌する。反応系に析出してきた粉体をイソプロピルアルコールで洗浄した。さらに炉液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに吸着させクロロホルム:メタノール(100:0→50:1→10:1)で精製し先ほどの粉体とあわせて標題化合物(332mg、82%)を得た。
【0108】
1H-NMR(D2O, 500 MHz)2.83‐2.86(2H, m), 3.83(1H, dd), 3.95‐4.03(3H, m), 4.14‐4.18(2H, m), 4.28(1H,dd), 5.97(1H, d), 6.05(1H, dd), 7.88(1H, d)
【0109】
実施例24 2‘‐O‐シアノエチルグアノシン(化合物24)
【0110】
【化24】

【0111】
化合物21 (447mg,0.680mmol)をアセトニトリル7mlに溶解させオルトニトロベンズアルドオキシム(339mg,7mmol)、テトラメチルグアニジン(85μl,0.677mmol)を加えて1時間撹拌する。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに吸着させクロロホルム:メタノール(100:0→50:1→20:1→10:1)で精製する。得られた化合物をアンモニア水:エタノール(5ml,v/v=3:1)を加えて6時間撹拌する。反応液を減圧濃縮し50%エタノール溶液から結晶化し標題化合物(121mg,53%)を得る。
【0112】
1H-NMR(D2O, 500 MHz)2.73(2H, t), 3.76‐3.95(4H, m), 4.23(1H, q), 4.50(1H, dd), 4.52(1H,t), 5.98(1H, d), 8.04(1H, s)
【0113】
実施例25 2N-ジメチルアミノメチレン‐5‘-O‐ジメトキシトリチル‐2’‐O‐(2‐シアノエチル)グアノシン(化合物25)
【0114】
【化25】

【0115】
化合物21 (392 mg, 1.00 mmol) 無水ピリジンにて4回共沸脱水を行い、無水ピリジン10mlに溶解させた。ジメトキシトリチルクロリド (373 mg, 1.10 mmol)を加えて室温で3時間撹拌する。水を加えて反応を停止し溶媒を減圧留去した。得られた残渣をクロロホルムで希釈し飽和食塩水ならびに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに吸着させクロロホルム:メタノール (98:2, 0.5%トリエチルアミン)にて精製し、標題化合物 (635 mg, 0.92 mmol, 92 %) を白色泡状物として得る。
【0116】
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz) 2.57-2.59 (2 H, m), 2.98(3 H, s), 3.04(3 H, s), 3.38(1 H, dd, J=4.64. 10.50), 3.45-3.47(1 H, dd, J=2.44, 10.50), 3.74(6 H, s), 3.78-3.96(3 H, m,), 4.21-4.23(1 H, m), 4.29(1 H, dd, J=3.42, 8.55), 4.59-4.60(1H, m), 6.09(1H, dd, J=3.42), 6.10-6.78(4H, m), 7.13-7.41(9H, m), 7.74(1H, s), 8.54(1H, s), 10.01(1H, br)
【0117】
実施例26 2N-ジメチルアミノメチレン‐5‘-O‐ジメトキシトリチル‐2’‐O‐(2‐シアノエチル)グアノシン 3’−(2−シアノエチル N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト)(化合物26)
【0118】
【化26】

【0119】
化合物25 (1.95 g, 2.81 mmol) を無水トルエンにて3回共沸脱水を行い系内をアルゴン置換した。無水ジクロロメタン(26ml)に溶解させた後、ジイソプロピルエチルアミン(736μl , 1.56 mmol)を加え, ジイソプロピルアミノ-(2−シアノエチル)-クロロホスフィン (732 mg, 3.09 mmol) を無水ジクロロメタン(2 ml)の溶液として加えた。3時間撹拌した後,クロロホルムで希釈し, 飽和食塩水並びに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて洗浄する。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ別する。有機溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに吸着させクロロホルム:メタノール (98:2, 0.5%トリエチルアミン)にて精製し標題化合物 (2.11 g, 2.36 mmol, 84%)を白色泡状物質として得る。
【0120】
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz) 1.01 -1.24(12 H, m),2.33-2.66(5 H, m), 3.07-3.10(6 H,m), 3.30-4.02(14 H, m), 4.29-4.35(2 H, m), 4.48-4.55(1 H, m), 6.09-6.12(1 H,m), 6.79-6.82(4H, m), 7.17-7.44(10 H, m),7.78-7.82(1H,m),8.57-8.60(1H, m), 9.73-9.77(1H,m)
【0121】
実施例27 2‘−シアノエチルウリジル酸12量体の合成
常法により調整された、2‘−O−シアノエチルウリジンがサクシニルリンカーを介して導入されているロングアミノアルキルチェーンCPG(16μmol/g)を1μmol固相合成用ソケットに充填されたものを用い、2‘−O-シアノエチルウリジンホスホロアミダイトユニット(化合物7)を0.1Mの無水アセトニトリルの溶液としてDNA/RNA自動合成機(Applied Bio System)に縮合時間10分間の縮合時間であるRNA合成用プログラムを適用する。
合成終了後、アンモニア水1mlにて20分間処理して固相担体からオリゴヌクレオチドを切り出しを行う。その後、酢酸アンモニウムバッファーで適当量希釈し、逆相カラムカートリッジ並びに陰イオン交換HPLCを用いて精製する。逆相カラムカートリッジにて脱塩操作を行い得られたオリゴヌクレオチドを凍結乾燥して標題化合物を得る。(収率21%)。陰イオン交換高速液体クロマトグラフィーによる分析プロファイルを図1Aに示す。
【0122】
MALDI TOF MASS (negative)Calcd.4245.66 Found 4244.33
【0123】
実施例28 GACUの混合配列を有する2‘−O−シアノエチルRNA4量体の合成
常法により調整された2‘−O−シアノエチルウリジンがサクシニルリンカーを介して導入されているロングアミノアルキルチェーンCPG(16μmol/g)を1μmol固相合成用ソケットに充填されたものを用い、各4種類の2‘−O-シアノエチルヌクレオシドホスホロアミダイトユニット(化合物7、14、18、26) を0.1Mの無水アセトニトリルの溶液としてDNA/RNA自動合成機(Applied Bio System)に縮合時間10分間の縮合時間であるRNA合成用プログラムを適用する。
合成終了後、アンモニア水-酢酸アンモニウム(10%wt/wt)1mlにて90分間処理して固相担体からのオリゴヌクレオチドの切り出し並びに核酸塩基部の保護基の脱保護を行う。その後、酢酸アンモニウムバッファーで適当量希釈し、逆相カラムカートリッジ並びに陰イオン交換HPLCを用いて精製する。逆相カラムカートリッジを用いて脱塩操作を行い得られたオリゴヌクレオチドを凍結乾燥して標題化合物を得る(収率 58%)。陰イオン交換高速液体クロマトグラフィーによる分析プロファイルを図1Bに示す。
【0124】
MALDI TOF MASS (negative)Calcd.1434.31 Found 1434.12
【0125】
実施例29 GACUGACUGACUの混合配列を有する2‘−O−シアノエチルRNA12量体の合成
常法により調整された2‘−O−シアノエチルウリジンがサクシニルリンカーを介して導入されているロングアミノアルキルチェーンCPG(16μmol/g)を1μmol固相合成用ソケットに充填されたものを用い、各4種類の2‘−O-シアノエチルヌクレオシドホスホロアミダイトユニット(化合物7、14、18、26)を0.1Mの無水アセトニトリルの溶液としてDNA/RNA自動合成機(Applied Bio System)に縮合時間10分間の縮合時間であるRNA合成用プログラムを適用する。
合成終了後、アンモニア水-酢酸アンモニウム(10%wt/wt)1mlにて90分間処理して固相担体からのオリゴヌクレオチドの切り出し並びに核酸塩基部の保護基の脱保護を行う。その後、酢酸アンモニウムバッファーで適当量希釈し、逆相カラムカートリッジ並びに陰イオン交換HPLCを用いて精製する。逆相カラムカートリッジを用いて脱塩操作を行い得られたオリゴヌクレオチドを凍結乾燥して標題化合物を得る(収率 6%)。陰イオン交換高速液体クロマトグラフィーによる分析プロファイルを図1Cに示す。
【0126】
MALDI−TOF MASS(negative)Calcd.4428.86 Found 4428.55
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明の合成方法で得られる、一般式(I)で表されるヌクレオシドもしくはそのヌクレオチド:
【0128】
【化27】

【0129】
(式I中、X及びYは同一または異なって、水素、置換基を有していてもよいシリル基、4−メトキシトリチル基、4,4’−ジメトキシトリチル基、又は一般式(II):
【0130】
【化28】

【0131】
(式(II)中、R1およびR2は同一または異なって、炭素数1から7のアルキル基を表すか、又は、R1およびR2が互いに結合して環構造を形成し、R3はリン酸の保護基を表す)を表し、B1は置換基を有していてもよいピリミジン塩基又はプリン塩基を表す。)である修飾RNAは遺伝子制御のための人工RNA分子等として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で表されるヌクレオシド又はそのヌクレオチド:
【化1】


(式I中、X及びYは同一または異なって、水素、置換基を有していてもよいシリル基、4−メトキシトリチル基、4,4’−ジメトキシトリチル基、又は一般式(II):
【化2】

(式(II)中、R1およびR2は同一または異なって、炭素数1から7のアルキル基を表すか、又は、R1およびR2が互いに結合して環構造を形成し、R3はリン酸の保護基を表す)を表し、B1は置換基を有していてもよいピリミジン塩基又はプリン塩基を表す。)。
【請求項2】
2’‐O‐シアノエチルウリジン。
【請求項3】
2’‐O‐シアノエチルシチジン。
【請求項4】
2’‐O‐シアノエチルアデノシン。
【請求項5】
2’‐O‐シアノエチルグアノノシン。
【請求項6】
N−4−ジメチルアミノメチレン−2’‐O‐シアノエチルシチジン。
【請求項7】
N6−ジメチルアミノメチレン−2’‐O‐シアノエチルアデノシン。
【請求項8】
N2‐ジメチルアミノメチレン‐6‐O‐トリイソプロピルベンゼンスルホニル‐2’‐O‐シアノエチルグアノノシン。
【請求項9】
N4‐アセチル‐2‘‐O‐(2−シアノエチル)シチジン。
【請求項10】
N2‐ジメチルアミノメチレン‐2’‐O‐シアノエチルグアノノシン。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか一項に記載のヌクレオシドの合成方法であって、炭酸セシウム、DBU,及びTritonBから成る群から選択される少なくとも一種の化合物とアクリロニトリルとヌクレオシド誘導体を合成原料として用い、t−ブチルアルコールの存在下又は非存在下で、2‘水酸基をシアノエチルエーテル化することを特徴とする、前記合成方法。
【請求項12】
炭酸セシウム、DBU,及びTritonBから成る群から選択される少なくとも一種の化合物をヌクレオシド誘導体に対して0.1〜30equivの範囲で反応系に存在させ、アクリロニトリルに対して、0.05〜30equivの範囲のt−ブチルアルコールの存在下に反応を行う、請求項11記載の合成方法。
【請求項13】
炭酸セシウムを用いる、請求項11又は12に記載の合成方法。
【請求項14】
20℃〜30℃の温度範囲で反応させる、請求項11〜13の何れか一項に記載の合成方法。
【請求項15】
反応時間が2時間〜3時間の範囲である、請求項11〜14の何れか一項に記載の合成方法。
【請求項16】
請求項1ないし10のいずれか一項に記載のヌクレオシドを含むRNAオリゴマー。

【図1】
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【国際公開番号】WO2005/085271
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【発行日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510680(P2006−510680)
【国際出願番号】PCT/JP2005/003459
【国際出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【Fターム(参考)】