説明

2つの耐熱金属、特にタングステン及びタンタルを有する合金、及び上記合金を有するX線の陽極、並びに上記合金及びX線の陽極を製作するための方法

少なくとも2つの耐熱金属を有する合金及びこのような合金を形成するための方法が提案されている。この合金において、合金の小さな方の部分を形成する第1の耐熱金属、例えばタンタルは、合金の大きな方の部分を形成する第2の耐熱金属、例えばタングステンに完全に溶解される。この合金は、共通のるつぼにこれら2つの耐熱金属を供給するステップ(ステップS1)、電子ビームを当てることにより両方の耐熱金属を溶融するステップ(ステップS2)、前記溶融した耐熱金属を混合するステップ(ステップS3)及び前記溶融物を凝固させるステップ(ステップS4)によって形成される。溶融した状態で前記耐熱金属の成分を完全に混合することが可能であるため、凝固した合金の改善した物質特性が達成される。さらに、レニウムに代わり、タンタルをタングステンと一緒に使用することで、安価であり、耐性のある耐熱金属が製造され、この合金は例えばX線の陽極の焦点軌道の領域を形成するのに使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの耐熱金属を有する合金、及びこのような合金を有するX線の陽極に関する。さらに、本発明は上記合金を作製する方法、及び上記X線の陽極を作製する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回転陽極X線管は通常、耐熱金属のターゲットで構成されるX線の陽極を具備している。このようなターゲットは、高温抵抗、高い機械的強度、良好な熱伝導性及び高い熱容量を含む多くの好ましい特性を持つべきである。X線装置における回転陽極は、X線発生処理から引き起こされる熱機械的応力と同じく、大きな機械的応力にさらされている。X線は、陽極の焦点軌道の電子衝撃(electron bombardment)により発生する。前記焦点軌道に及び次いで陽極の表面に印加されるエネルギーの大部分は熱に変換され、この熱は管理されなければならない。前記電子衝撃による焦点の局所的な加熱は、ターゲット角(target angle)、焦点軌道の直径、焦点サイズ(x幅の長さ)、回転周波数、印加電力、並びに例えば熱伝導性、密度及び比熱のような材料特性の関数である。焦点温度及び熱機械的応力は通常、上述した変数を適切に制御及び選択することにより管理される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、多くの場合において、X線管のプロトコルは、材料特性の制限によりこれらの変数を修正する能力が限られるために制限される。故に、従来の回転陽極X線管は、局所的な体積から熱を奪う前記材料の能力と同じく、陽極の基板の材料の機械特性によりしばしば制限される。
【0004】
従来、X線の陽極は、様々な手段によりタングステン−レニウム(Tungsten-Rhenium)合金を用いて製造される。現在の方法は、タングステン及びレニウムの粉末を機械的に混合するか又はタングステンの粉末と混合するためのレニウムを含む溶媒を使用するかである。両方の現行方式はこのとき、タングステン−レニウム合金を作るための焼結処理中のレニウムの拡散に依存している。レニウムは、改善した延性を持つ合金を作るために、タングステンの焦点軌道に加えられる。
【0005】
しかしながら、現在の合金製造処理は、材料特性に影響を及ぼす要素の芳しくない分散を作る可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
少なくとも2つの耐熱金属を有する合金が必要であり、この合金は改善した材料特性を持つ。さらに、このような合金を形成する方法も必要である。加えて、少なくとも、焦点軌道の領域が上記合金を有するX線の陽極及びこのようなX線の陽極を作製する方法が必要である。
【0007】
これらの必要性は、独立請求項の主題によって満たされている。本発明の有利な実施例は、従属請求項に述べられている。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、少なくとも2つの耐熱金属を有する合金を形成するための方法が提案されている。この方法は、以下のステップ、
(a)2つの耐熱金属を共通のるつぼに供給するステップ、
(b)電子ビームを当てることにより両方の耐熱金属を溶融するステップ、
(c)これら両方の耐熱金属を混合するステップ、及び
(d)溶融物を凝固させるステップ
を好ましくは示した順序で有する。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、X線の陽極を作製するための方法が提案され、ここで前記方法は、本発明の上記第1の態様に従う方法を用いて合金を作製するステップ、及び前記合金を少なくともX線の陽極の基板の一部に適用するステップであり、その部分がX線の陽極の焦点軌道の領域を形成しているステップ、を有する。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、少なくとも2つの耐熱金属を有する合金が提案される。このような合金において、この合金の小さい方の部分を形成する第1の耐熱金属は、この金属の大きい方の部分を形成する第2の耐熱金属に完全に溶融する。
【0011】
本発明の第4の態様によれば、X線の陽極が提案され、ここで焦点軌道の領域を形成するX線の陽極の少なくとも一部は、本発明の上記第3の態様に従う合金を有する。
【0012】
本発明の要旨は、以下の所見及び考えに基づいて観察される。
【0013】
現在の耐熱金属の合金において、材料特性はしばしば最適ではないことが観察されている。このような金属特性の欠陥は、合金を形成する元素、すなわち合金を構成する粒子の芳しくない分布によるものである。従来、合金を形成している耐熱金属は、純金属の粉末の混合物が凝集した粉末の形式で供給され、例えば電流を用いて加熱され、及び例えば焼きなまし(annealing)ステップを用いた冷間加工によりさらに製造される。このような従来の製造方法を用いる場合、耐熱金属の合金でワイヤ、鋳塊、鉄筋、薄板又は箔が作られる。しかしながら、肉眼で見える粒子を有する粉末の形式で合金の成分を提供するので、少なくとも2つの耐熱金属の原子は通常、最終的な合金全体に均一に分配されない。
【0014】
概念はここで、共通のつるぼに少なくとも2つの耐熱金属を供給すること、及び溶融した耐熱金属が簡単且つ好ましくは完全に混合することができるように両方の耐熱金属を溶融することである。ここで、一般に非常に高い融点の温度を持つ耐熱金属を溶融する有利な方法は、電子ビームでの加熱、すなわち高いエネルギーの電子を有する電子ビームをるつぼに含まれる耐熱金属材料に向けることであることが観察されている。電子ビームを加えることにより、耐熱金属の融点よりもかなり上の非常に高い温度が達成される。溶融した耐熱金属が混合された後、その融解物は冷却され、それにより融解物を再び凝固させる。この凝固した融解物は次いで、2つの耐熱金属が互いに完全に溶け合っている合金を形成する。合金成分のこのような均一の混合物は、例えば高温抵抗、高い機械的強度、良好な熱伝導性、高い熱容量等のような作製された合金の有利な金属特性をもたらす。
【0015】
耐熱金属は、熱及び摩耗に対し極めて耐性がある金属の種類(クラス)である。どの元素がこの族(group)に属しているかの定義は、より広義の解釈では、超ウラン元素を除くが、第7族の元素のレニウムを含む、第4族、第5族、第6族の10元素を有する。狭義では、耐熱金属の族は少なくとも、5つの金属、タングステン、モリブデン、ニオブ、タンタル及びレニウムを有する。
【0016】
本発明の実施例によれば、作製された合金に含まれる2つの耐熱金属は、タングステン(W)及びタンタル(Ta)である。ここで、タンタルは、合金の全重量を基準に、5%から15%の間、好ましくは8%から12%の間、例えば約10%の重量%で供給される。この合金の残りは、タングステンでも、又は他の元素、特に他の耐熱金属元素をさらに有するタングステンでもよい。
【0017】
例えばX線の陽極に使用される従来の耐熱金属の合金は一般に、十分な熱及び機械的強度を得るためにタングステン(W)及びレニウム(Re)から構成される一方、特にレニウムは非常に高価であり、合金及びその合金を用いて製造される装置の高値をもたらすことが観察されている。その上、合金に含まれるレニウムは、X線の陽極の動作中に頻繁に発生する幾つかの焦点軌道の浸食(erosion)問題の原因であることが観察されている。このような焦点軌道の浸食問題は"干潟化(mudflatting)"として知られてもいる。
【0018】
従来の耐熱金属の合金、例えば特にタングステンをベースにする合金に含まれるレニウム成分をタンタル成分に置き換えることがここでの考えである。タンタルはレニウムよりもかなり安価であり、延性に関しては他の殆どの耐熱金属よりも勝っている。タンタルは、黒く、高密度であり、延性があり、非常に硬く、簡単に製造され、並びに熱及び電気の高い伝導性がある。さらに、その金属は腐食に対し耐性があることでよく知られている。
【0019】
さらに、タングステンと一緒の合金においてレニウムの代わりにタンタルを使用する場合、焦点軌道の浸食問題(干潟化)が緩和されることが観察されている。この観察の妥当な説明は、例えば耐熱金属の合金を用いたX線の陽極の動作中に分子を失うことにより干潟化が始まる。このような陽極の動作中、高い運動量を持つ粒子が陽極の焦点軌道の表面に衝突する。500eVのエネルギーを持つアルゴン(Ar)を1mA/cmの線束でスパッタリングする一方、レニウムのスパッタ速度は470Å/minであることが分かる。タングステン及びタンタルは夫々約340及び380Å/minのかなり低いスパッタ速度を持つ。それ故に、タングステンと一緒の合金においてレニウムをタンタルに置き換えることにより、この合金の全スパッタ速度はかなり減少され、それにより焦点軌道の浸食問題(干潟化)を緩和する可能性がある。
【0020】
本発明の他の実施例によれば、前記合金に含まれる耐熱金属の少なくとも1つは粉末として供給される。好ましくは、両方の耐熱金属の成分が粉末の形式で供給される。この粉末は、例えば2μmから100μmの範囲の大きさを持つ粒子を有する。(複数の)耐熱金属を粉末として供給することにより、2つの耐熱金属は、溶融する前にある程度、既に前もって混合されてもよい。それに応じて、後で溶融した耐熱金属内の混合処理は拡散及び対流構造を有するので、2つの耐熱金属成分が互いに完全に溶融したことをもたらす合金成分の完全な混合が早く達成されるほど、より多くの合金を形成する成分が溶融処理の前に既に混合される。それ故に、粉末を形成する小さな粒子の形式で耐熱金属の成分を供給することは、溶融した耐熱金属の混合処理をかなり加速させ、故に提案した方法を行うのに必要とされる全時間期間を大幅に短くする。
【0021】
本発明の他の実施例によれば、溶融した耐熱金属は、凝固のために急冷される。ここで"急冷(quenching)"は、2つの溶融した耐熱金属を含む溶融物が非常に急速に冷却されることを意味している。例えば200Ks−1から2000Ks−1までの範囲、例えば800Ks−1から1200Ks−1までの間における冷却速度が利用される。例えば、溶融物は、この溶融物を例えば液体窒素のような非常に冷たい液体に接触させることにより、急速に冷却されてもよい。
【0022】
溶融した耐熱金属を有する溶融物を急速に冷却する1つの可能な方法は、ガス噴霧による粉状化処理であり、これによりこの溶融物を凝固させる。ここで、液体の溶融物は、微粒子を分布させるために粉末に形成される。通例、ガス噴霧処理は、溶融した金属を耐熱の穴(orifice)を介して注ぎ込むことにより実行され、高圧の不活性ガス、一般的にアルゴンがこの溶融した金属を液体の液滴にして、これら液滴が凝固する。
【0023】
2つの耐熱金属を有する溶融物を凝固させるための急冷処理、すなわち急速な冷却を使用することは、いわゆる"無限固溶体(infinite solid solution)"の形成を有利にもたらす。
【0024】
固溶体は、1つ以上の溶質が溶媒において固体状態で溶融していることである。ここで、溶質は、最終生成物、すなわち最終的な合金の小さい方の部分を形成する成分とみなされるのに対し、溶媒は、この最終生成物の大きな成分により形成されるとみなされてもよい。本実施例において、溶質は例えばタンタルであるのに対し、溶媒はタングステンでもよい。溶質及び溶媒を有する混合物は、溶質を加えても溶媒の結晶構造が変化せずに残っているとき、及び混合物が単一の均一相で残っているとき、合成物よりも溶液を考慮する。これは、含まれる2つの成分、すなわち本事例では2つの耐熱金属が周期表上ですぐ近くにあるとき、しばしば起こる。溶質が溶媒の結晶格子に置換して組み込む、すなわちこの格子、すなわち格子間にある溶媒の粒子を置換することにより、すなわち溶媒の粒子間の空間に嵌合させることにより組み込む。固体の溶液のこれらの形式は共に、前記結晶格子を歪めること、並びに溶媒の材料の物理的及び電気的な均一性を破壊することにより、この材料の特性に影響を及ぼしてもよい。液体の溶液は、重要な商業的及び工業的な応用性があり、例えば混合物は純物質より優れた特性をしばしば持っている。さらに少量の溶質がこの溶媒の電気的及び物理的特性に影響を及ぼしてもよい。
【0025】
"無限固溶体"における"無限"という言葉は、2つの金属が如何なるパーセンテージの固体の溶液を形成することが可能であり、単一相を依然として維持している、すなわち第2の相を生じさせることなく溶質のパーセンテージを0から100%までにすることができると解釈される。
【0026】
本発明の態様及び実施例は、異なる対象を参照して説明されていることに注意すべきである。特に、幾つかの実施例は、方法形式の請求項を参照して説明されているのに対し、他の実施例は、装置形式の請求項を参照して説明されている。しかしながら、特に他に定めない限り、ある形式の対象に属する特徴の如何なる組み合わせに加え、異なる対象に関連する特徴間の如何なる組み合わせも本出願と共に開示されると考えられることを、当業者は上記及び以下の説明から推測するだろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例による合金を形成するための方法のステップを示すフローチャートを示す。
【図2】本発明の実施例による電子ビームを用いて耐熱金属を溶融するための装置を示す。
【図3】本発明の実施例による合金を有するX線の陽極を示す。
【図4】本発明の実施例によるX線の陽極の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の特徴及び利点は、付随する図面に示されるような特定の実施例に関してさらに開示されるだろうが、本発明がそれらに限定されることはない。
【0029】
図面に示される特徴は単に図表であり、正確な縮尺ではない。
【0030】
図1及び図2を参照すると、本発明の実施例による2つの耐熱金属を有する合金を形成するための方法が説明されている。
【0031】
図1に示されるフローチャートに表示されるように、第1のステップ(ステップS1)において、2つの耐熱金属、例えばタングステン(W)及びタンタル(Ta)は、粉末を形成する小さな粒子の形式で供給される。図2に示されるように、2つの耐熱金属成分を有する粉末1は、真空容器5内に封入されるるつぼ3に充填されている。
【0032】
次に、例えば10−5トル(torr)の圧力の真空が真空ポンプ7を用いて前記真空容器5内に発生させる。次いで、次のステップ(S2)において、高エネルギーの電子ビーム9がるつぼ3に含まれる粉砕された耐熱金属の混合物に向けられる。この電子ビーム9は、陰極11により放出され、陽極13により加速及び制御される。これら陰極11及び陽極13は制御器15に接続されている。陰極11により放出された電子は、陽極13を用いて加速され、20keVから50keVまでの間の範囲で非常に高いエネルギーになる。さらに、陽極13は、つるぼ3内にある耐熱金属の粉末を均一に加熱するために、前記耐熱金属の粉末の表面に沿って電子ビーム9が走査されるように、例えば電子ビーム9をるつぼ3に含まれる前記耐熱金属に焦点を合わせるように制御される。電子ビーム9の高エネルギーの電子が衝突する際、耐熱金属の粉末1は、両方の耐熱金属を有する、溶融した液体状態の溶融物が形成されるように、例えばタングステンの融点である3410℃より上であるような高い温度に加熱される。この溶融状態において、これら2つの耐熱金属は、拡散及び/又は対流処理によって混合する。それにより、タンタルがタングステン内に完全に溶融した混合物が生成される。
【0033】
最終ステップ(ステップS4)において、るつぼ3に含まれる溶融物が急速に冷却("急冷")され、それによりこの溶融物を凝固させる。このような冷却処理は、液体の溶融物をガス噴霧することにより実現してもよい。そこで、溶融した耐熱金属の混合物が穴に通され、混合物がノズルから出る直前に、ガスが金属流に取り込まれてもよい。これは取り込んだガスは加熱によって膨張し、穴の外側にある大きな収集体積内に排出するので、気流の乱れを作り出すのに役立っている。前記収集体積はガスで充填され、溶融した金属の噴出のさらなる乱れを助長する。発生した粉末流は重力を用いて分別される。
【0034】
図3において、一般的なガス噴霧ノズル31が示される。このようなノズル31は、るつぼ3に接続されてもよいが、明瞭性を理由に図2には示されていない。タンディッシュ(tundish)又はるつぼから来る液体の溶融物33は、この溶融物が射出されるノズルの穴35に流れる。ガス吸気口39から来るガス噴射37は、気流の乱れを作り、それにより前記金属流を噴霧して、急速に冷却される金属の液滴41にするために、射出した金属流に向けられる。
【0035】
図4は、本発明の実施例によるX線の陽極21の断面図を示す。このX線の陽極21は、動作中に陽極がその周りを回転する軸25に取り付けられるディスク形状の基板23を有する。傾斜面27に焦点軌道の領域29が設けられる。この焦点軌道の領域29は、タングステン−タンタル合金を有し、この合金の作製は上述してある。この合金を利用するために、主に2つの方法が使用される。1つの方法は粉末冶金であり、ここでタングステン合金の粉末が最初に鋳型に加えられる。この粉末は焦点軌道の位置に分配される。次いで、0.5重量%のTi及び0.07重量%のZrを持つモリブデン合金であるTZMは、純モリブデン又は例えばMo−Laの粉末のような他の基板金属の粉末よりも良好な特性を持ち、このTZMが鋳型に加えられる。粉末は、静水圧プレスにより標的の空白箇所に押しつけられる。他の方法は最初に粉末冶金を用いてTZM基板を作り、次いで真空プラズマがタングステン合金をTZM基板に吹き付ける。
【0036】
このタングステン−タンタル合金の改善された金属特性によって、X線の陽極21は、例えば改善された熱抵抗、改善された機械的強度等のような優れた特徴を持つ。さらに、このようなX線の陽極21は、先行技術のX線の陽極の焦点軌道の材料に従来は含まれる高価なレニウムが比較的安価なタンタルに置き換えられるので、削減したコストで作られる。提案される標的は、例えば心臓血管又はCT医療撮像器具に使用され得る高性能な製品として考えられるような回転陽極X線管に用いられる。検査及びセキュリティに使用されるX線管もこれから恩恵を受けることができる。
【0037】
"有する"という用語はそれ以外の要素又はステップを排除するものではないこと、及び複数あることを述べないことがそれらが複数あることを排除するものではないこと、に注意すべきである。さらに、異なる実施例に関連して述べた要素が組み合わされてもよい。請求項における参照符号は、これら請求項の範囲を限定すると考えないことにも注意すべきである。
【符号の説明】
【0038】
1 2つの耐熱金属を有する粉末
3 るつぼ
5 真空容器
7 真空ポンプ
9 電子ビーム
11 陰極
13 陽極
15 制御器
21 X線の陽極
23 基板
25 軸
27 傾斜面
29 焦点軌道
31 ガス噴霧ノズル
33 溶融物
35 ノズルの穴
37 ガス噴射
39 ガス吸気口
41 金属の液滴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの耐熱金属を有する合金を形成するための方法において、
共通のるつぼに前記2つの耐熱金属を供給するステップ、
電子ビームを加えることにより両方の耐熱金属を溶融するステップ、
前記溶融した耐熱金属を混合するステップ、及び
前記溶融物を凝固させるステップ
を有する方法。
【請求項2】
第1の耐熱金属はタングステンであり、第2の耐熱金属はタンタルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
タンタルは5%から15%の間の重量%で供給される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記耐熱金属の少なくとも一方は、粉末として供給される請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記融解した耐熱金属は凝固させるために急冷される請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記融解した耐熱金属は凝固させるためにガス噴霧により粉末化される請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
X線の陽極を作製する方法において、
請求項1乃至6の何れか一項に記載の方法を用いて合金を作製するステップ、及び
前記X線の陽極の焦点軌道の領域を形成する、前記X線の陽極の基板の一部に少なくとも合金を適用するステップ
を有する方法。
【請求項8】
少なくとも2つの耐熱金属を有する合金において、前記合金の小さな方の部分を形成する第1の耐熱金属は、前記合金の大きな方の部分を形成する第2の耐熱金属に完全に溶融される合金。
【請求項9】
前記第1の耐熱金属はタンタルであり、前記第2の耐熱金属はタングステンである請求項8に記載の合金。
【請求項10】
タンタルは5%から15%の重量%で前記合金に含まれている請求項9に記載の合金。
【請求項11】
前記合金は粉末として供給される請求項8乃至10の何れか一項に記載の合金。
【請求項12】
前記第1及び第2の耐熱金属は固溶体を形成する請求項8乃至11の何れか一項に記載の合金。
【請求項13】
焦点軌道の領域を形成する少なくともX線の陽極の一部は、請求項8乃至12の何れか一項に記載の合金を有するX線の陽極。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2013−513026(P2013−513026A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541613(P2012−541613)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055489
【国際公開番号】WO2011/070475
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】