説明

3−カルボキシ−2−オキソ−1−ピロリジン誘導体及びそれらの使用

本発明は、式(I)の3−カルボキシ−2−オキソ−1−ピロリジン誘導体、幾何異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、薬剤として許容される塩及びそれらの全ての可能な混合物、並びにそれらを使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3−カルボキシ−2−オキソ−1−ピロリジン誘導体及びそれらを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第0162036B1号は、国際的な一般名のレベチラセタム(Levetiracetam)で知られている、(S)−α−エチル−2−オキソ−1−ピロリジンアセトアミド化合物を開示している。
【0003】
【化1】

【0004】
レベチラセタムは、欧州特許EP0162036B1では中枢神経系の低酸素及び虚血型攻撃の治療及び予防のための保護剤として開示されている。この化合物は、又、癲癇の治療にも有効である。
【0005】
レベチラセタムの調製は、欧州特許第0162036号及び英国特許第2225322号に開示されている。
【0006】
公開番号WO01/62726を有する国際特許出願は、2−オキソ−1−ピロリジン誘導体及びこの調製方法を開示している。それは、特に、国際的な一般名のブリバラセタム(brivaracetam)で知られている、(2S)−2−[(4R)−2−オキソ−4−プロピル−ピロリジン−1−イル]ブタンアミド化合物を開示している。
【0007】
【化2】

【0008】
公開番号WO2005/121082を有する国際特許出願は、2−オキソ−1−ピロリジン誘導体の調製方法を記載し、特に、国際的な一般名のセレトラセタム(seletracetam)で知られている、(2S)−2−[(4S)−4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソ−ピロリジン−1−イル]ブタンアミドの調製方法を開示している。
【0009】
【化3】

【0010】
Kendaらは、J.Med.Chem.2004年、47、530頁〜549頁で、2−オキソ−1−ピロリジン誘導体の調製方法を記載し、特に、合成中間体として1−((1S)−1−カルバモイル−プロピル)−2−オキソ−ピロリドン−3−カルボン酸の化合物を開示している。
【0011】
米国特許第5340802号及びEP0405506AIの番号で公開された欧州特許出願は、ペプチド化合物の合成での合成中間体として、2(S)(3−カルボキシ−2−オキソ−1−ピロリジニル)4−メチルペンタン酸を開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者らは、驚くべきことに、3−カルボキシ−2−オキソ−1−ピロリジン誘導体が、2−オキソ−1−ピロリジン誘導体の合成にとって有用であることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様では、本発明は、式(I)の化合物、幾何異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、及びそれらの全ての可能な混合物、
【化4】


(式中、
は、−COOH、−COOM又は−COORであり、
は、水素又はC1〜10アルキルであり、
は、C1〜10アルキル又はC2〜6アルケニルであり、
Xは、−CONR、−COOH、−COOR又は−CNであり、
Mはアルカリ金属であり、
はC1〜10アルキルであり、
は、水素又はC1〜10アルキルであり、
は、水素又はC1〜10アルキルであり、
但し、式(I)の化合物は、1−((1S)−1−カルバモイル−プロピル)−2−オキソ−ピロリドン−3−カルボン酸及び2(S)(3−カルボキシ−2−オキソ−1−ピロリジニル)4−メチルペンタン酸とは異なる)に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本明細書において使用される用語「アルキル」とは、直鎖(非分枝)、分枝若しくは環状部分を有する、飽和、1価炭化水素基、又はそれらの組合せを表す基である。好ましいアルキルは1〜10個の炭素を含む。更に好ましいアルキルは1〜4個の炭素を含む。場合により、アルキル基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、エステル、アシル、シアノ、アシルオキシ、酸、アミド又はアミノ基からなる群から独立に選択される、1〜5個の置換基で置換されていてもよい。好ましいアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、トリフルオロメチル及びトリフルオロエチルである。
【0015】
本明細書において使用される「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの二重結合を有する、非置換若しくは置換、分枝、非分枝若しくは環状炭化水素基又はそれらの組合せを表す。好ましいアルケニルは2〜6個の炭素を含む。更に好ましいアルケニルは2〜4個の炭素を含む。「アルケニル」部分は、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、エステル、アシル、シアノ、アシルオキシ、カルボン酸、アミド又はアミノ基からなる群から独立に選択される、1〜5個の置換基で場合により置換されていてもよい。
【0016】
本明細書において使用される「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素の原子を表す。
【0017】
本明細書において使用される「ヒドロキシ」という用語は、式−OHの基を表す。
【0018】
本明細書において使用される「アルコキシ」という用語は、式−OR(ここで、Rは、上で定義されているC1〜4アルキルである)の基を表す。
【0019】
本明細書において使用される「アシル」という用語は、式RCO−(ここで、Rは、上で定義されているC1〜4アルキルを表す)の基を表す。
【0020】
本明細書において使用される「エステル」という用語は、式−COOR(ここで、Rは、上で定義されているC1〜4アルキルを表す)の基を表す。
【0021】
本明細書において使用される「シアノ」という用語は、式−CNの基を表す。
【0022】
本明細書において使用される「アシルオキシ」という用語は、式−O−COR(ここで、Rは、上で定義されているC1〜4アルキル又はアリール基である)の基を表す。
【0023】
本明細書において使用される「アリール」という用語は、1つの水素の除去により芳香族炭化水素から誘導される有機基、例えば、フェニルを表す。
【0024】
本明細書において使用される「カルボン酸」という用語は、式−COOHの基を表す。
【0025】
本明細書において使用される「アミノ基」という用語は、式−NH、NHR又はNR(ここで、R及びRは、本明細書において上で定義されているアルキル基である)の基を表す。
【0026】
本明細書において使用される「アミド」という用語は、式−NH−CO−、−NHR−CO、又は−NR−CO(ここで、R及びRは、本明細書において上で定義されているアルキル基である)の基を意味する。
【0027】
本明細書において使用される「アルカリ金属」という用語は、元素の周期律表のI族から選択される元素を意味する。好ましいアルカリ金属はNaである。
【0028】
好ましくは、Rは、−COOH又は−COOR(ここで、RはC1〜10アルキルである)である。
【0029】
本発明による1つの実施形態では、Rは、−COOH又は−COOR(ここで、RはC1〜4アルキルである)である。本発明によるその他の実施形態では、Rは、−COOH又は−COOMeである。
【0030】
本発明による1つの実施形態では、Rは、水素又はC1〜4アルキルである。本発明によるその他の実施形態では、Rは、水素又はn−プロピルである。
【0031】
本発明による1つの実施形態では、RはC1〜4アルキルである。本発明によるその他の実施形態では、Rはエチルである。
【0032】
本発明による1つの実施形態では、Xは、−CONR、−COOH又は−COOR(ここで、RはC1〜4アルキルである)である。本発明によるその他の実施形態では、Xは−CONRである。
【0033】
本発明による1つの実施形態では、Rは、水素又はC1〜4アルキルである。本発明によるその他の実施形態では、Rは水素である。
【0034】
本発明による1つの実施形態では、Rは、水素又はC1〜4アルキルである。本発明によるその他の実施形態では、Rは水素である。
【0035】
1つの実施形態では、本発明は、式(I)の化合物、幾何異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、及びそれらの全ての可能な混合物、
【化5】


(式中、
は、−COOH又は−COORであり、
は、水素又はC1〜4アルキルであり、
はC1〜4アルキルであり、
Xは、−CONR、−COOH又は−COORであり、
はC1〜4アルキルであり、
は、水素又はC1〜4アルキルであり、
は、水素又はC1〜4アルキルである、
但し、式(I)の化合物は、1−((1S)−1−カルバモイル−プロピル)−2−オキソ−ピロリドン−3−カルボン酸及び2(S)(3−カルボキシ−2−オキソ−1−ピロリジニル)4−メチルペンタン酸とは異なる)に関する。
【0036】
その他の実施形態では、本発明は、式(I)の化合物、幾何異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、及びそれらの全ての可能な混合物、
【化6】


(式中、
は、−COOH又は−COOMeであり、
は、水素又はn−プロピルであり、
はエチルであり、
Xは−CONHである、
但し、式(I)の化合物は、1−((1S)−1−カルバモイル−プロピル)−2−オキソ−ピロリドン−3−カルボン酸とは異なる)に関する。
【0037】
本発明による式(I)の化合物の例は、(R)−1−((S)−1−カルバモイル−プロピル)−2−オキソ−4−プロピル−ピロリジン−3−カルボン酸(Id)、1−((S)−1−カルバモイル−プロピル)−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸メチルエステル(Ih)及び(R)−1−((S)−1−カルバモイル−プロピル)−2−オキソ−4−プロピル−ピロリジン−3−カルボン酸メチルエステル(If)である。
【0038】
【化7】

【0039】
式(I)の化合物は、式(II)の化合物と式(III)の化合物とを、以下のスキーム(スキーム1)により反応させることにより合成されてもよい。
【0040】
【化8】

【0041】
或いは、式(I)の化合物は、式(IIa)の化合物が、式(III)の化合物と反応して式(I)の化合物を与える、R.M.FreidingerによるJ.Org.Chem.1985年、50、3631頁〜3633頁又はKendaらによるJ.Med.Chem.2004年、47、530頁〜549頁に記載されている方法により調製されてもよい。
【0042】
【化9】

【0043】
式(I)の化合物は、当業者に公知の任意のその他の従来の方法により合成されてもよい。
【0044】
本発明の1つの実施形態によれば、式(II)及び(IIa)の化合物において、Rは−COOH又は−COORであり、RはC1〜10アルキルであり、Rは、水素又はC1〜10アルキルである。
【0045】
本発明の1つの実施形態によれば、式(III)の化合物において、RはC1〜10アルキル又はC2〜6アルケニルであり、Xは、−CONR、−COOR又は−CNであり、RはC1〜10アルキルであり、Rは、水素又はC1〜10アルキルであり、Rは、水素又はC1〜10アルキルである。
【0046】
本発明のその他の実施形態によれば、式(II)及び(IIa)の化合物において、Rは−COOH又は−COORであり、RはC1〜4アルキルであり、Rは、水素又はC1〜4アルキルである。
【0047】
本発明のその他の実施形態によれば、式(III)の化合物において、RはC1〜4アルキルであり、Xは、−CONR、−COOH又は−COORであり、RはC1〜4アルキルであり、Rは、水素又はC1〜4アルキルであり、Rは、水素又はC1〜4アルキルである。
【0048】
本発明の更なる実施形態によれば、式(II)及び(IIa)の化合物において、Rは−COOH又は−COOMeであり、Rは、水素又はn−プロピルである。
【0049】
本発明の更なる実施形態によれば、式(III)は2−アミノ−ブチルアミドである。
【0050】
特定の実施形態では、式(II)及び(IIa)の化合物は、シクロプロパン−1,1−ジカルボン酸ジメチルエステル、(S)−2−プロピル−シクロプロパン−1,1−ジカルボン酸ジメチルエステル、6,6−ジメチル−5,7−ジオキサ−スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオン及び(S)−6,6−ジメチル−1−プロピル−5,7−ジオキサ−スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオンからなる群から選択される。
【0051】
本発明による特定の実施形態では、式(III)の化合物は、(S)−2−アミノ−ブチルアミドである。
【0052】
本発明による方法で使用される式(III)の化合物は、この化合物に適当な任意の手段により得られてもよい。化合物(III)は、好ましくは、相当する塩の中和により、更に好ましくは、相当する塩酸塩又は酒石酸塩から、最も好ましくは、相当する塩化水素塩から得られる。
【0053】
式(I)の化合物は、式(IV)
【化10】


の化合物の合成のために特に有用である。
【0054】
特に、式(I)の化合物は、レベチラセタム又はブリバラセタムの合成のために有用である。
【0055】
したがって、第2の態様では、本発明は、式(IV)の化合物の合成のためのその他の方法に関する。
【0056】
1つの実施形態では、本発明は、式(IV)の化合物、幾何異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、薬剤として許容される塩及びそれらの全ての可能な混合物の調製方法であって、
【化11】


式(Ia)の化合物、幾何異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、及びそれらの全ての可能な混合物の脱カルボキシル化を含む上記方法、
【化12】


(式中、
は、−COOH又は−COOMであり、
は、水素又はC1〜10アルキルであり、
は、C1〜10アルキル又はC2〜6アルケニルであり、
Xは、−CONR、−COOH、−COOR又は−CNであり、
Mはアルカリ金属であり、
はC1〜10アルキルであり、
は、水素又はC1〜10アルキルであり、
は、水素又はC1〜10アルキルである)に関する。
【0057】
好ましくは、本発明の第2の態様では、Rは−COOHである。
【0058】
その他の実施形態では、本発明は、式(IV)の化合物、幾何異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、薬剤として許容される塩及びそれらの全ての可能な混合物の調製方法であって、
【化13】


式(Ib)の化合物、幾何異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、及びそれらの全ての可能な混合物の脱カルボアルコキシル化を含む上記方法、
【化14】


(式中、
は、水素又はC1〜10アルキルであり、
は、C1〜10アルキル又はC2〜6アルケニルであり、
Xは、−CONR、−COOH、−COOR又は−CNであり、
はC1〜10アルキルであり、
は、水素又はC1〜10アルキルであり、
は、水素又はC1〜10アルキルである)に関する。
【0059】
本明細書で使用される「脱カルボキシル化」という用語は、−COOH又は−COOM部分の除去及び水素原子による前記部分の置換えを意味する。
【0060】
本明細書で使用される「脱カルボアルコキシル化」という用語は、−COOR部分(ここで、RはC1〜10アルキルである)の除去及び水素原子による前記部分の置換えを意味する。
【0061】
本発明の第2及び第3の態様でのX、R、R、R、R、R及びRに対する特定の実施形態は、本発明の第1の態様に対するものと同じである。
【0062】
幾つかの脱カルボキシル化及び脱カルボアルコキシル化条件は既に文献に記載されているが、それらが、エピマー化可能なキラル中心を含む化合物に適用される場合は、キラル中心での部分的エピマー化が生起する可能性がある。したがって、所望の脱カルボキシル化又は脱カルボアルコキシル化生成物及びそのエピマーが得られる可能性があり、それによって、全体の方法の収率及び生産性が減少し、又はこの方法の全体の工業的適用を不可能にする。
【0063】
本発明の方法は、工業的に適用ができ、その立体中心で所望の配置を伴う式(IV)の化合物の獲得を可能にするので特に有利である。
【0064】
化合物(Ia)の脱カルボキシル化は、一般に、溶媒、例えば、110℃より高い沸点を有する溶媒、例えば、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等の存在下で、大気圧で行われる。
【0065】
特定の実施形態では、脱カルボキシル化は、溶媒としてMIBKと一緒に行われる。
【0066】
一般に、脱カルボキシル化は、110℃〜130℃の温度範囲で行われる。反応は、生成物の劣化につながる副反応の危険性が最小にされる、高温であって前記温度範囲内で生起してもよい。
【0067】
本発明による特定の実施形態では、脱カルボキシル化は120℃の温度で行われる。
【0068】
式(Ib)の化合物の脱カルボアルコキシル化は、この反応に適当な任意の方法で行われてもよい。例えば、脱カルボアルコキシル化は、A.P.KrapchoらによるTetrahedron Lett.1967年、8、215頁〜217頁に記載されている方法により直接行われてもよい。
【0069】
或いは、式(Ib)の化合物は加水分解されて、式(Ia)の化合物を与え、それがその後、ここで上記された様に脱カルボキシル化されてもよい。
【0070】
式(Ib)の化合物の式(Ia)の化合物への加水分解は、一般に、水中又は水及び溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、水若しくはそれらの混合物等との混合物中で行われる。例えば、加水分解は、水及びメタノールの混合物中で実施される。
【0071】
式(Ib)の化合物の式(Ia)の化合物への加水分解は、一般に、KCO、NaCO、NaOH又はLiOH等の塩基の存在下で行われる。例えば、加水分解はKCOの存在下で行われる。
【0072】
式(Ia)の化合物の脱カルボキシル化又は式(Ib)の化合物の脱カルボアルコキシル化は、一般に、95%を超え、好ましくは99%を超える収率で化合物(IV)を与える。
【0073】
式(I)の化合物及び式(IV)の化合物は、星印の付いた数字で示されるそれらの構造における1つ又は複数の立体中心を有する。
【0074】
本発明の1つの実施形態では、式(I)及び式(IV)の化合物は、(1)及び(2)で示される2つの立体中心を有する。それらの立体中心はR又はS配置で存在してもよく、前記R及びS表記は、Pure.Appl.Chem.、1976年、45、11頁〜30頁に記載されている規則に従って使用される。
【0075】
本発明による特定の実施形態では、式(I)の化合物及び式(IV)の化合物は、(S)−又は(R)形において(1)で示される立体中心を有する。
【0076】
本発明によるその他の実施形態では、式(I)の化合物及び式(IV)の化合物は、(R)形において(1)で示される立体中心を有する。
【0077】
本発明による特定の実施形態では、式(I)の化合物及び式(IV)の化合物は、(S)−又は(R)形において(2)で示される立体中心を有する。
【0078】
その他の実施形態では、式(I)の化合物及び式(IV)の化合物は、(S)形において(2)で示される立体中心を有する。
【0079】
本明細書で使用される「(S)形」という用語は、化合物の50%を超え、好ましくは90%を超え、更に好ましくは少なくとも95%が、S配置において星印で示される立体炭素原子を有することを意味する。
【0080】
本明細書で使用される「(R)形」という用語は、化合物の50%を超え、好ましくは90%を超え、更に好ましくは少なくとも95%が、R配置において星印で示される立体炭素原子を有することを意味する。
【0081】
一般に、式(I)の化合物に存在する立体中心の配置は、式(IV)の化合物の調製方法の脱カルボキシル化又は脱カルボアルコキシル化工程中保持される。
【0082】
したがって、特定の態様では、本発明の方法を、(1)で示される立体中心が(R)形である式(Ia)又は(Ib)の化合物へ適用する場合は、(1)で示される立体中心が(R)形である式(IV)の化合物が得られる。
【0083】
更に特定の態様では、本発明の方法を、(2)で示される立体中心が(S)形である式(Ia)又は(Ib)の化合物へ適用する場合は、(2)で示される立体中心が(S)形である式(IV)の化合物が得られる。
【0084】
後者を達成するための適当な条件を見出すことは、式(Ia)及び(Ib)の化合物における立体中心(2*)が、文献に記載された脱カルボキシル化又は脱カルボアルコキシル化条件下でエピマー化することができる水素原子を有するので特に困難である。
【0085】
本発明による方法は、異なるジアステレオ異性体の分離工程、特に、式(I)、(Ia)、(Ib)及び(V)の任意の化合物の異なるジアステレオ異性体の1つ又は複数の分離工程を場合により含んでもよい。
【0086】
前記分離は、液体カラムクロマトグラフィー又は当業者に公知の従来方法による再結晶化により達成されてもよい。
【0087】
ここで上述された立体中心の配置の保持は、式(IV)の化合物の全体の調製方法における分離及び/又は分解工程の数を好都合に減少する。
【0088】
特定の実施形態では、本発明は、式(Ic)
【化15】


(式中、Rは、水素、アルカリ金属又はC1〜10アルキルである)の化合物の脱カルボキシル化又は脱カルボアルコキシル化を含む、レベチラセタムの調製方法に関する。
【0089】
式(Ic)の化合物は、本明細書において上で記載された方法の任意の1つ、例えば、スキーム1及び2に記載された方法等により調製されてもよい。
【0090】
例えば、Rが水素である場合、式(Ic)の化合物は、式(IIa)(ここで、Rは水素である)の化合物と(S)−2−アミノ−ブチルアミドとを反応させることにより、スキーム2に記載の方法により得られてもよい。
【0091】
その他の特定の実施形態では、本発明は、式(Id)
【化16】


(式中、Rは、水素、アルカリ金属又はC1〜10アルキルである)の化合物の脱カルボキシル化又は脱カルボアルコキシル化を含む、ブリバラセタムの調製方法に関する。
【0092】
化合物(Id)は、本明細書において上で記載された方法の任意の1つ、例えば、スキーム1及び2に記載された方法等により調製されてもよい。
【0093】
1つの実施形態では、化合物(Ic)及び(Id)においてRはC1〜4アルキルである。
【0094】
その他の実施形態では、化合物(Ic)及び(Id)においてRは水素である。
【0095】
例えば、Rが水素である場合、式(Id)の化合物は、式(IIa)(ここで、Rはn−プロピルである、以降、式(IIb)の化合物と称する)の化合物と(S)−2−アミノ−ブチルアミドとを反応させることにより得られてもよい。
【0096】
式(IIb)の化合物は、星印で示される立体中心を含む。本発明による1つの実施形態では、前記立体中心はR形である。立体中心がR形である式(IIb)の化合物は、以降、式(IIc)の化合物と称する。
【0097】
式(IIc)の化合物と(S)−2−アミノ−ブチルアミドとの反応は、式(Id)の化合物及び式(Ie)の化合物の混合物を与える。前記混合物は、本明細書において上で記載された条件により脱カルボキシル化されて、ブリバラセタム及び化合物(V)の混合物を与える(スキーム3)。
【0098】
【化17】

【0099】
化合物(Id)及び(Ie)はエステル化されて、当業者に公知の従来方法により相当するエステルを与えてもよい。前記エステルは、本明細書において上で記載された条件により脱カルボアルコキシル化を受けてもよい。
【0100】
式(IIc)の化合物は、例えば、一般的なスキーム4に記載された方法により調製されてもよい。
【0101】
【化18】

【0102】
化合物(IId)は、当業者に公知の任意の従来方法により合成されてもよい。
【0103】
一般に、本発明による、本明細書において上で記載された全体の方法は、有毒で高価な触媒の使用を必要とせず、したがって、工業的規模で好都合に適用されてもよい。
【実施例】
【0104】
以下の実施例は例示的目的のためにのみ提供され、如何なる様式においてもそれらが本発明を限定することを意図するものでもなければその様に解釈されるべきものでもない。当業者は、以下の実施例の通常の改変及び変更が、本発明の精神又は範囲を超えることなく行うことができることを理解する。
【0105】
本発明による、そして本明細書で記載された化合物の化学名は、Beilstein Autonom 2000 on MDL Crossfire V7.0(著作権者、MDL Information Systems GmbH、Beilstein Institut zur Foerderung der Chemischen Wissenschaften)により与えられた。
【0106】
NMRスペクトルは、重水素化クロロホルム(CDCl)中の溶液としてBruker 400MHz分光計で記録される。化学シフトは、テトラメチルシランからの100万当たりの部(ppm、δ)低磁場で表示され、重水素化溶媒(CDCl)に対して参照される。
【0107】
H NMRデータは、化学シフト、多重項(s、一重項;d、二重項;t、三重項;q、四重項;m、多重項;app、見掛け及び/又は多重共鳴)、ヘルツ(Hz)での結合定数(J)及びプロトンの数の順序で記録された。
【0108】
高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)スペクトルは、Sunfire C18(3.5 um 2.1×150mm)カラムを備えたAlliance Waters 2695で記録される。GRAD 90/10は勾配方法であって、10分で、勾配が、開始溶媒組成(溶媒A(HO、80% v/v)、溶媒B(CHCN、10% v/v)及び溶媒C(HO+1%HPO v/v、10% v/v)から最終溶媒組成(溶媒A(HO、0% v/v)、溶媒B(CHCN、90% v/v)及び溶媒C(HO+1%HPO v/v、10% v/v))まで流れた後に、開始溶媒組成で5分の再平衡期間がある。
【0109】
キラルHPLCは、Daicel Chiralpak AD(登録商標) 10μm 250×4.6mmを備えたMerck−Hitachi L−7100で記録される。溶出液は、1ml/分の流量で、ヘプタン/エタノール50/50の混合物である。
【0110】
ガスクロマトグラフィー(GC)スペクトルは、Altech GC DB−5MS(15m×0.25mm)カラムを備えたAgilent 6890シリーズで記録される。オーブンは、1.5mL/分のヘリウム流量で50℃に加熱され、FID検出器は300℃に加熱される。
【0111】
キラルガスクロマトグラフィースペクトルは、化合物(VII)及び(VIII)に対してはChrompack Chirasil−DEX(登録商標)CB 25m×320μm×1μmカラム、並びに化合物(IIc)及び(IId)に対してはMacherey−Nagel Lipodex(登録商標)E 25m×250mm×1mmカラムを備えたAgilent 6890シリーズで記録される。オーブンは、1mL/分のヘリウム流量で120℃に加熱され、FID検出器は220℃に加熱される。
【0112】
質量分析(MS):APIスペクトルは、FINNIGAN(San Jose、CA、USA)LCQイオントラップ質量分析計を使用して行われた。APCI源は450℃で運転し、キャピラリーヒーターは160℃で運転した。ESI源は3.5kVで運転し、キャピラリーヒーターは210℃で運転した。
【0113】
(実施例1 式(Ic)の化合物の合成)
1.a.1−((S)−1−カルバモイル−プロピル)−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸(Rが水素である式(Ic)の化合物)の合成
アセトニトリル中の、Rが水素である化合物(IIa)(4g、23ミリモル)及び(S)−2−アミノ−ブチルアミド(1.9g、19ミリモル)を12時間還流する。反応混合物を濃縮し、残渣をCHCl(20mL)及び水(5mL)で希釈する。水性層のpHを、37%HClでpH=1に調整する。層を分離する。水性相をCHClで抽出し(2×10mL)、無水MgSOで乾燥し、濃縮して、3.18gの化合物(Ic)(ここで、Rは水素である)(14.8ミリモル、64%)を白色固体として得る。
【0114】
【化19】

【0115】
1.b.1−((S)−1−カルバモイル−プロピル)−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸メチルエステル(Ih)(Rがメチルである式(Ic)の化合物)の合成
メタノール(6.7mL)中の、4.4N HCl溶液中の化合物(Ic)(Rが水素である)(3.18g、14.8ミリモル)の溶液を室温で3時間撹拌する。反応混合物を濃縮し、残渣を水(20mL)で希釈し、次いで、CHCl:IPA(9:1)で抽出する(2×20mL)。有機層を蒸発させて、2gの粗生成物を得、それをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル及びCHCl:MeOH:NHOH/94.5:5:0.5)で精製して、1.38gの化合物(Ic)(ここで、Rはメチルである)(6.05ミリモル、41%)を得る。
【0116】
【化20】

【0117】
(実施例2 1−((S)−1−カルバモイル−プロピル)−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸メチルエステル(Ih)の加水分解)
式(Ih)の化合物(1.1g、4.8ミリモル)、KCO(0.99g、7.2ミリモル)、メタノール(1mL)及びHO(6mL)の混合物を室温で12時間撹拌する。得られた水溶液を6N HClでpH=2まで酸性化し、次いで、CHClで抽出する(4×10mL)。一緒にした有機抽出物を無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、式(Ic)の化合物(ここで、Rは水素である)(1.05g、100%)を得る。
【0118】
【化21】

【0119】
(実施例3 1−((S)−1−カルバモイル−プロピル)−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸(Ih)の脱カルボキシル化)
MIBK(10mL)中の式(Ih)の化合物(1.40g、6.5ミリモル)の懸濁液を、115〜120℃で12時間加熱する。得られた溶液を濃縮し、粗生成物を、4容量のトルエン:アセトン(1:1)中で再結晶化し、0.42gのレベチラセタム(2.5ミリモル、52%)を得る。
【0120】
【化22】


HPLC(方法90/10):保持時間=3.03分(100%)。
キラルHPLC:保持時間=6.24分(100%)
MS(APCI):171MH
【0121】
(実施例4 1−((S)−1−カルバモイル−プロピル)−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸メチルエステル(Rがメチルである式(Ic)の化合物)の脱カルボアルコキシル化)
がメチルである式(Ic)の化合物(100mg、0.44ミリモル)、ジメチルホルムアミド(3mL)、HO(15滴)及びNaCl(10mg)の混合物を、130〜140℃で18時間加熱する。得られた混合物を、飽和塩化アンモニウム(5mL)で希釈し、酢酸イソプロピルで抽出する(2×10mL)。一緒にした有機抽出物を無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、75mg(0.44ミリモル、100%)のレベチラセタムを得る。
【0122】
【化23】


HPLC(方法90/10):保持時間=3.03分(100%)。キラルHPLC:保持時間=6.24分(100%)
MS(APCI):171MH
【0123】
(実施例5 ブリバラセタムの合成)
5a.(R)−1,2−ペンタンジオール(VII)の合成
【化24】


t−ブタノール及び水(1:1、180mL)中のAD−mix−β(25g)の溶液へ、0℃で1−ペンテン(VI)(1.25g、17.86ミリモル)を添加する。この不均一スラリーを、0℃で40時間、勢いよく撹拌し、次いで、固体亜硫酸ナトリウム(22.5g)を0℃でゆっくりと導入する。得られた懸濁液を室温まで温め、更に1時間撹拌し、CHCl(170mL)で希釈する。水性相をCHClで抽出し(3×80mL)、一緒にした有機抽出物を無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、1.68g(16.15ミリモル、90%、ee=78.8%)のジオール(VII)を無色の油として得る。
【0124】
【化25】


GC:保持時間=7.60分(100%)
キラルGC:保持時間=4.97分(ee=78.8%)
【0125】
5b.(R)−4−プロピル−[1.3.2]ジオキサチオラン2,2−ジオキシド(VIII)の合成
【化26】


クロロホルム(66mL)中の(VII)(6.84g、65.70ミリモル)の溶液へ、塩化チオニル(9.37g、79.0ミリモル)を室温で滴状添加し、得られた溶液を1時間還流する。冷却した反応混合物へ、アセトニトリル(66mL)、RuCl.xHO(10mg)、過ヨウ素酸ナトリウム(21.3g、99.6ミリモル)及び水(100mL)を順番に添加する。室温で1.5時間撹拌後、得られた混合物をエーテル(500mL)で希釈する。有機層を分離し、水(30mL)、飽和水性NaHCO(2×30mL)及びブライン(30mL)で順番に洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濃縮して、11.74gのスルフェート(VIII)(65.70ミリモル、100%、ee=79.4%)を無色の油として得る。
【0126】
【化27】


キラルGC:保持時間=14.50分(ee=79.4%)
【0127】
5c.(S)−2−プロピル−シクロプロパン−1,1−ジカルボン酸ジメチルエステル(IId)の合成
【化28】


乾燥1,2−ジメトキシエタン(48mL)中のNaH 60%(873mg、21.81ミリモル)の撹拌懸濁液へ、マロン酸ジメチル(1.31g、9.92ミリモル)を室温で10分掛けて窒素雰囲気下で滴状添加する。乾燥1,2−ジメトキシエタン(5mL)中の(VIII)(1.82g、10.96ミリモル)の溶液を、このマロネートアニオン溶液へゆっくりと添加し、得られた混合物を2時間還流し、次いで、0℃に冷却する。ブライン(30mL)を添加後、混合物をジエチルエーテル(50mL、25mL)で抽出する。一緒にした有機層を無水MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン:EtOAc=90:10)で精製して、1.28gの(IId)(6.40ミリモル、65%、ee=78.2%)を無色の油として得る。
【0128】
【化29】


キラルGC:保持時間=5.90分(ee=78.2%)
【0129】
5d.(S)−2−プロピル−シクロプロパン−1,1−ジカルボン酸(IIe)の合成
2N 水性水酸化ナトリウムの溶液(16mL)を、(IId)(1.27g、6.35ミリモル)へ室温で滴状添加する。得られた混合物を室温で3時間撹拌し、次いで、0℃に冷却し、37%HClでpH=1まで酸性化する。溶液をCHClで抽出する(3×30mL)。一緒にした有機抽出物を無水MgSOで乾燥し、濃縮して、1.028gの(IIe)(5.97ミリモル、94%)を得る。
【0130】
【化30】

【0131】
5e.(S)−6,6−ジメチル−1−プロピル−5,7−ジオキサ−スピロ[2.5]オクタン−4,8−ジオン(IIc)の合成
0℃のアセトン(2mL)中の(IIe)(1.028g、5.97ミリモル)の溶液へ、HSO(50μL)及び無水酢酸(0.68mL、7.17ミリモル)を順番に添加する。反応混合物を0℃で1時間、次いで、室温で20時間撹拌する。アセトンを蒸発させ、残渣をAcOiPr(20mL)及び水(5mL)で希釈する。水性層のpHを、飽和NaHCOでpH=5に調整する。層を分離し、有機相を水(5mL)及びブライン(5mL)で洗浄し、次いで、無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン:EtOAc=70:30)で精製して、915mgの(IIc)(4.32ミリモル、72%、ee=77.8%)を得る。
【0132】
【化31】


キラルGC:保持時間=22.25分(ee=77.8%)
【0133】
5f.(R)−1−((S)−1−カルバモイル−プロピル)−2−オキソ−4−プロピル−ピロリジン−3−カルボン酸(Id)及び1−((S)−1−カルバモイル−プロピル)−2−オキソ−5−プロピル−ピロリジン−3−カルボン酸(Ie)の合成
アセトニトリル中の、(IIc)(636mg、3.0ミリモル)及び(S)−2−アミノ−ブチルアミド(612mg、6.0ミリモル)の溶液を10時間還流する。反応混合物を濃縮し、残渣をCHCl(20mL)及び水(5mL)で希釈する。水性層のpHを37%HClでpH=1に調整する。層を分離する。水性相をCHCl(2×10mL)で抽出し、無水MgSOで乾燥し、濃縮して、570mgの(Id)及び(Ie)の混合物(2.23ミリモル、74%)を白色固体として得る。
【0134】
【化32】


HPLC(方法90/10):保持時間=6.98分
MS(ESI):257MH
【0135】
5g.(R)−1−((S)−1−カルバモイル−プロピル)−2−オキソ−4−プロピル−ピロリジン−3−カルボン酸メチルエステル(If)及び1−((S)−1−カルバモイル−プロピル)−2−オキソ−5−プロピル−ピロリジン−3−カルボン酸メチルエステル(Ig)の合成
【化33】


メタノール(7.2mL、32ミリモル)中の4.4N 塩酸溶液を、(Id)及び(Ie)の混合物(4.1g、16ミリモル)へ添加する。反応混合物を室温で4時間撹拌し、次いで、メタノールを蒸発させる。残渣を水(10mL)で希釈し、トルエン(20mL)で抽出する。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させる。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH/NHOH:97/2/1)で精製して、1.3g(4.8ミリモル、30%)の(If)及び(Ig)の混合物を得る。
HPLC(方法90/10):保持時間=7.43分、7.88分、8.10分、8.20分。
MS(ESI):271MH
【0136】
5h.ブリバラセタム及び(V)の合成
MIBK(10mL)中の(Id)及び(Ie)(0.6g、2.3ミリモル)の懸濁液を、120℃で6時間加熱する。得られた溶液を濃縮し、クロマトグラフィーカラム(シリカゲル 60 0.068〜0.200mm、シクロヘキサン/EtOAc:10/90)で分離し、0.13gのブリバラセタム(0.6ミリモル、26%、ee=94%)及び(V)を得る。
【0137】
【化34】


HPLC(方法90/10):保持時間=7.78分
キラルHPLC:保持時間=9.66分(97%)
MS(ESI):213MH


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、幾何異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、及びそれらの全ての可能な混合物
【化1】


(式中、
は、−COOH、−COOM又は−COORであり、
は、水素又はC1〜10アルキルであり、
は、C1〜10アルキル又はC2〜6アルケニルであり、
Xは、−CONR、−COOH、−COOR又は−CNであり、
Mはアルカリ金属であり、
はC1〜10アルキルであり、
は、水素又はC1〜10アルキルであり、
は、水素又はC1〜10アルキルであり、
但し、式(I)の化合物は、1−((1S)−1−カルバモイル−プロピル)−2−オキソ−ピロリドン−3−カルボン酸及び2(S)(3−カルボキシ−2−オキソ−1−ピロリジニル)4−メチルペンタン酸とは異なる)。
【請求項2】
が水素又はC1〜4アルキルである、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
がC1〜4アルキルである、請求項1又は2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
Xが、−CONR、−COOH又は−COORである、請求項1から3までのいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
がC1〜4アルキルである、請求項1から4までのいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
がメチルである、請求項1から5までのいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
が、水素又はC1〜4アルキルである、請求項1から6までのいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
が、水素又はC1〜4アルキルである、請求項1から7までのいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項9】
が−COOHである、請求項1から8までのいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項10】
が、水素又はn−プロピルである、請求項1から9までのいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項11】
がエチルである、請求項1から10までのいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項12】
Xが−CONRである、請求項1から11までのいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項13】
が水素である、請求項1から12までのいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項14】
が水素である、請求項1から13までのいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項15】
(1)で示される立体中心が(R)形である、請求項1から14までのいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項16】
(2)で示される立体中心が(S)形である、請求項1から15までのいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項17】
(R)−1−((S)−1−カルバモイル−プロピル)−2−オキソ−4−プロピル−ピロリジン−3−カルボン酸(Id)、1−((S)−1−カルバモイル−プロピル)−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸メチルエステル(Ih)及び(R)−1−((S)−1−カルバモイル−プロピル)−2−オキソ−4−プロピル−ピロリジン−3−カルボン酸メチルエステル(If)からなる群から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項18】
レベチラセタムの合成のための式(I)の化合物の使用。
【請求項19】
ブリバラセタムの合成のための式(I)の化合物の使用。
【請求項20】
式(IV)の化合物、幾何異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、薬剤として許容される塩及びそれらの全ての可能な混合物の調製方法であって、
【化2】


式(Ia)の化合物、幾何異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、及びそれらの全ての可能な混合物の脱カルボキシル化を含む上記方法
【化3】


(式中、
は、−COOH又は−COOMであり、
は、水素又はC1〜10アルキルであり、
は、C1〜10アルキル又はC2〜6アルケニルであり、
Xは、−CONR、−COOH、−COOR又は−CNであり、
Mはアルカリ金属であり、
はC1〜10アルキルであり、
は、水素又はC1〜10アルキルであり、
は、水素又はC1〜10アルキルである)。
【請求項21】
式(IV)の化合物、幾何異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、薬剤として許容される塩及びそれらの全ての可能な混合物の調製方法であって、
【化4】


式(Ib)の化合物、幾何異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、及びそれらの全ての可能な混合物の脱カルボアルコキシル化を含む上記方法
【化5】


(式中、
は、水素又はC1〜10アルキルであり、
は、C1〜10アルキル又はC2〜6アルケニルであり、
Xは、−CONR、−COOH、−COOR又は−CNであり、
はC1〜10アルキルであり、
は、水素又はC1〜10アルキルであり、
は、水素又はC1〜10アルキルである)。
【請求項22】
が、水素又はC1〜4アルキルである、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
がC1〜4アルキルである、請求項20から22までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
Xが、−CONR、−COOH又は−COORである、請求項20から23までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
がC1〜4アルキルである、請求項20から24までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
が、水素又はC1〜4アルキルである、請求項20から25までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
が、水素又はC1〜4アルキルである、請求項20から26までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
式(I)の化合物に存在する立体中心1及び2の配置が、式(IV)の化合物で保持される、請求項20から27までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
式(Ia)、(Ib)及び(IV)の化合物で(2)で示される立体中心が(S)形である、請求項20から28までのいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項30】
トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)及びメチルイソブチルケトン(MIBK)からなる群から選択される溶媒中で行われる、請求項18から29までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
メチルイソブチルケトン(MIBK)中で行われる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
110℃〜130℃の温度範囲で行われる、請求項18から31までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
レベチラセタムの調製方法であって、
式(Ic)
【化6】


(式中、Rは、水素、アルカリ金属又はC1〜10アルキルである)の化合物の脱カルボキシル化又は脱カルボアルコキシル化を含む、上記方法。
【請求項34】
ブリバラセタムの調製方法であって、
式(Id)
【化7】


(式中、Rは、水素、アルカリ金属又はC1〜10アルキルである)の化合物の脱カルボキシル化又は脱カルボアルコキシル化を含む、上記方法。

【公表番号】特表2009−518335(P2009−518335A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543713(P2008−543713)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【国際出願番号】PCT/EP2006/011668
【国際公開番号】WO2007/065634
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(507073918)ユセベ ファルマ ソシエテ アノニム (70)
【Fターム(参考)】