説明

3次元像測定装置及び3次元像測定方法

【課題】半導体デバイスやデバイスシステムの欠陥箇所や不良箇所を、3次元の電流像を用いて特定することができる3次元像測定装置を提供する。
【解決手段】3次元像測定装置100は、走査信号を走査ミラー23に出力する走査回路24と、第2の対物レンズ25を光軸に沿って移動させ、光軸方向における試料200及び第2の対物レンズ25間の相対距離を変化させる光軸方向移動機構26と、制御信号を光軸方向移動機構26に出力する光軸方向移動制御回路27と、試料200に流れる誘起電流を出力する導電性プローブ31と、走査回路24からの走査信号及び導電性プローブ31からの電流値に基づいて試料200の2次元電流像を構築し、光軸方向移動機構26による各相対距離における各2次元電流像を重ね合わせた3次元電流像を構築する演算部43と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レーザビーム(レーザ光)及び荷電粒子ビーム(電子ビーム(電子線)、イオンビーム(イオン線)等)に起因して試料に誘起される電流を測定し、測定した電流値に基づいて測定対象の試料(以下、単に「試料」と称す)の3次元像を形成し、試料に対して3次元で高分解能かつ電気的評価を可能にする3次元像測定装置及び3次元像測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイス及び複数の半導体デバイスを実装した集積回路(特に、SiP(System In Package)やSoC(System-on-a-chip))に対する不良解析や欠陥解析を非破壊で行なうことが求められている。
【0003】
特に、素子(電子部品)や配線が微細化しており、フリップチップボンディング等においてチップを裏返して他の基板上の端子等に接続されている場合には、不良箇所を特定することが困難であるという問題点がある。
【0004】
また、X線や超音波を用いる測定法では、測定精度が低く、電子ビームを用いる方法では、加速電圧を上げた場合に、試料の深さ(Z)方向の情報と共に横(XY)方向の解像度が落ちる等の問題点がある。
【0005】
これに対し、従来の試料検査方法は、試料上の所定範囲を走査領域として荷電粒子ビームで走査すると同時に、当該走査領域をレーザビームにより走査し、試料に接触させた導電性プローブを介して両ビームの走査時における試料からの信号を検知し、これによる検知信号に基づいてコンピュータは検査画像を形成する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−96011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の試料検査方法は、電子ビームとレーザビームとを2次元走査して試料に流れる電流値等の検知信号及び走査信号に基づく検査画像や、被検出電子の検出に応じた検出信号及び走査信号に基づく走査像を検査画像に重ね合わせて合成画像を形成するものである。すなわち、従来の試料検査方法は、検査画像が2次元の電流画像であり、3次元の電流画像による試料の検査方法については検討されていなかった。
【0008】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、半導体デバイスや3次元に実装した集積回路(デバイスシステム)の欠陥箇所や不良箇所を、3次元の電流像を用いて特定することができる3次元像測定装置及び3次元像測定方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る3次元像測定装置においては、測定対象の試料を載置するステージと、荷電粒子ビームを放出する発生源と、レーザビームを出射するレーザ光源と、レーザビームを偏向して試料に対して走査する走査ミラーと、走査ミラーを駆動させる走査信号を当
該走査ミラーに出力する走査回路と、走査されるレーザビームを試料に集光する対物レンズと、ステージ又は対物レンズの少なくとも一方を光軸に沿って移動させ、光軸方向における試料及び対物レンズ間の相対距離を変化させる光軸方向移動機構と、光軸方向移動機構を駆動させる制御信号を当該光軸方向移動機構に出力する光軸方向移動制御回路と、試料上の任意の位置に接触され、当該試料に照射された荷電粒子ビーム及びレーザビームに起因して当該試料に誘起される電流を出力する導電性プローブと、走査回路からの走査信号及び導電性プローブからの電流値に基づいて試料の2次元の電流像を構築し、光軸方向移動機構による各相対距離における各2次元電流像を重ね合わせた合成像である3次元の電流像を構築する演算部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
開示の3次元像測定装置は、半導体デバイスやデバイスシステムの欠陥箇所や不良箇所を、3次元の電流像を用いて特定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係る3次元像測定装置の概略構成を示す概念図である。
【図2】(a)はレーザビームが照射された試料の温度が局所的に上昇することを説明するための説明図であり、(b)は試料上の任意の位置に電子ビームをスポット照射してレーザビームのみを走査する場合を説明するための説明図であり、(c)は電子ビーム及びレーザビームを光軸に平行な同軸上で走査する場合を説明するための説明図である。
【図3】(a)は図1に示す演算部により構築した2次元電流像の一例を示す説明図であり、(b)は図1に示す光軸方向移動機構による各相対距離における各2次元電流像を重ね合わせた状態を示す説明図であり、(c)は図1に示す演算部により構築した各2次元電流像を重ね合わせた3次元電流像の一例を示す説明図である。
【図4】図1に示す3次元像測定装置の処理動作を示すフローチャートである。
【図5】図1に示す3次元像測定装置の他の処理動作を示すフローチャートである。
【図6】図1に示す3次元像測定装置のさらに他の処理動作を示すフローチャートである。
【図7】図1に示す電子顕微鏡部の替わりにイオン顕微鏡部を用いる場合の発生源を説明するための説明図である。
【図8】(a)は図1に示す記憶部に格納された3次元CADデータに対応する3次元モデルの一例を示す説明図であり、(b)は図3(c)に示す3次元電流像と図8(a)に示す3次元モデルとを合成した一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本発明の第1の実施形態)
3次元像測定装置100は、大別すると、走査型電子顕微鏡に相当する電子顕微鏡部10と、走査型共焦点レーザ顕微鏡に相当するレーザ顕微鏡部20と、電流測定装置に相当する電流測定部30と、コンピュータ40とからなる。
【0013】
電子顕微鏡部10は、試料200を載置するステージ11と、荷電粒子ビームとして電子ビーム1を放出する電子銃12と、後述する第1の対物レンズ15に到達する電子の数(プローブ電流)と細い電子ビーム1(電子プローブ)の太さとを調整する集束レンズ1
3と、電子ビーム1を偏向して試料200に対して走査する走査コイル14と、電子ビーム1を試料200に集光する対物レンズ(以下、第1の対物レンズ15と称す)と、を備える。また、電子顕微鏡部10は、試料200から放出された二次電子を検出し、当該検出した二次電子の光の強度を示す電気信号を出力する電子検出器16と、電子検出器16からの電気信号を増幅する増幅器(以下、第1の増幅器17aと称す)と、第1の増幅器17aからのアナログ信号をデジタル信号に変換してコンピュータ40に出力するA/D変換回路(以下、第1のA/D変換回路17bと称す)と、を備える。
【0014】
また、電子顕微鏡部10は、電子銃12、集束レンズ13、走査コイル14及び第1の対物レンズ15を内設する本体上部を構成する鏡筒18aと、試料200、ステージ11及び電子検出器16、並びに、後述する導電性プローブ31及びマニピュレータ32を内設する本体下部を構成する試料室18bと、を備える。なお、鏡筒18a及び試料室18b内部は真空である。
【0015】
試料室18bの底面において、試料200の裏面に対向する部分には図示しない開口部が形成されており、当該開口部は試料室18bの外面に配置された石英ガラス板19により塞がれている。また、ステージ11において、試料200の裏面に対応する部分には、試料200の外形よりも小さく形成された開口部11aが配設されている。
【0016】
また、試料室18bの下方にはレーザ顕微鏡部20が配設され、レーザ顕微鏡部20からのレーザビーム2が石英ガラス板19、試料室18bの図示しない開口部及びステージ11の開口部11aを介して試料200に照射される。なお、電子顕微鏡部10の光学系の光軸とレーザ顕微鏡部20の光学系の光軸とは、一致している。
【0017】
レーザ顕微鏡部20は、レーザビーム2を出射するレーザ光源21と、レーザ光源21から出射されたレーザビーム2を透過させると共に、試料200から反射したレーザビーム2を所望の方向に反射するビームスプリッタ22aと、後述する第2の対物レンズ25の瞳25aと共役な位置に配置され、レーザビーム2を偏向して試料200に対して走査する走査ミラー23と、走査ミラー23を駆動させる走査信号を当該走査ミラー23に出力する走査回路24と、を備える。
【0018】
なお、本実施形態に係るレーザビーム2は、試料200が半導体(例えば、シリコン)ウェハから分割したダイを含む半導体デバイスであれば、半導体に透明な赤外線レーザを用いることになる。
【0019】
また、走査回路24は、必要に応じて、走査コイル14を駆動させる走査信号を当該走査コイル14に出力して、電子ビーム1及びレーザビーム2を光軸に平行な同軸上で走査する。また、走査回路24は、レーザ顕微鏡部20に配設させず、電子顕微鏡部10に配設させてもよい。
【0020】
また、レーザ顕微鏡部20は、第2の対物レンズ25の瞳面をリレー(伝送)する瞳投影レンズ22bと、試料200から反射して1/4波長板22dを通過したレーザビーム2を結像させる結像レンズ(以下、第1の結像レンズ22cと称す)と、第1の結像レンズ22cを通過した直線偏光のレーザビーム2の偏光方向を1/4波長分だけ変換して円偏光に変換すると共に、試料200から反射した円偏光のレーザビーム2を直線偏光に変換する1/4波長板22dと、を備える。
【0021】
また、レーザ顕微鏡部20は、走査されるレーザビーム2を試料200に集光する対物レンズ(以下、第2の対物レンズ25と称す)と、第2の対物レンズ25を光軸に沿って移動させ、光軸方向における試料200及び第2の対物レンズ25間の相対距離を変化さ
せる光軸方向移動機構26と、光軸方向移動機構26を駆動させる制御信号を当該光軸方向移動機構26に出力する光軸方向移動制御回路27と、を備える。この光軸方向移動機構26としては、例えば、複数の第2の対物レンズ25を保持し、複数の第2の対物レンズ25のうち一つを選択的に光軸上に配置し得るレボルバが挙げられる。
【0022】
なお、本実施形態に係る3次元像測定装置100は、レーザ顕微鏡部20に光軸方向移動機構26を備えているが、光軸方向における試料200及び第2の対物レンズ25間の相対距離を変化させることができるのであれば、ステージ11を光軸に沿って移動させる図示しない光軸方向移動機構を電子顕微鏡部10に配設させてもよい。この場合には、光軸方向移動機構26及び光軸方向移動制御回路27をレーザ顕微鏡部20に配設させず、ステージ11を光軸に沿って移動させる光軸方向移動機構を駆動させる制御信号を当該光軸方向移動機構に出力する図示しない光軸方向移動制御回路を電子顕微鏡部10に配設させてもよい。
【0023】
また、レーザ顕微鏡部20は、ビームスプリッタ22aで反射されたレーザビーム2を結像させる結像レンズ(以下、第2の結像レンズ22eと称す)と、第2の対物レンズ25の焦点位置に対して共役な位置に配置されたピンホール28aと、試料200で反射されてピンホール28aを通過したレーザビーム2を受光し、当該受光したレーザビーム2の光の強度を示す電気信号を出力する光検出器28と、光検出器28からの電気信号を増幅する増幅器(以下、第2の増幅器29aと称す)と、第2の増幅器29aからのアナログ信号をデジタル信号に変換してコンピュータ40に出力するA/D変換回路(以下、第2のA/D変換回路29bと称す)と、を備える。
【0024】
電流測定部30は、試料200上の任意の位置に接触され、当該試料200に照射された電子ビーム1及びレーザビーム2に起因して当該試料200に誘起される電流(以下、単に「誘起電流」と称す)を出力する導電性プローブ31と、複数の導電性プローブ31が配設され、導電性プローブ31を遠隔操作するマニピュレータ32と、導電性プローブ31からの電気信号を増幅する増幅器(以下、第3の増幅器33aと称す)と、第3の増幅器33aからのアナログ信号をデジタル信号に変換してコンピュータ40に出力するA/D変換回路(以下、第3のA/D変換回路33bと称す)と、を備える。なお、試料200は、レーザビーム2が照射されると、図2(a)に示すように、照射された部分の温度が局所的に上昇する。すなわち、試料200に欠陥や接合等の不具合があると、不具合点での温度上昇による電気抵抗の変化が他の部分と異なるため、一定のバイアス下で、レーザビーム2を走査し、誘起電流を測定してマッピングすることで、不具合の評価が可能となる。
【0025】
コンピュータ40は、3次元像測定装置100の使用者(以下、測定者と称す)が試料200に対する測定範囲(試料200の高さ)zや光軸方向の移動量Δzの設定値等を入力するためのキーボードやマウス等の入力部41と、入力部41からの入力信号に基づいて走査回路24、光軸方向移動制御回路27及び演算部43に制御信号を出力する制御部42と、を備える。また、コンピュータ40は、走査回路24からの走査信号及び導電性プローブ31からの誘起電流の電流値に基づいて試料200の2次元の電流像を構築し、光軸方向移動機構26による各相対距離における各2次元電流像を重ね合わせた合成像である3次元の電流像を構築する演算部43と、演算部43による演算結果を記憶する記憶部44と、演算部43によって構築された合成像を表示する表示部45と、を備える。
【0026】
なお、レーザ顕微鏡部20は、レーザビーム2を焦点位置(一点)に照射することができるのであるが、光の強度が焦点位置と比較して微弱ながら、焦点位置の周囲にもレーザビーム2が分布し、焦点位置の周囲に照射されたレーザビーム2に起因して試料200に誘起電流が流れることもある。
【0027】
このため、演算部43は、3次元電流像を構築するにあたり、導電性プローブ31からの誘起電流の電流値のうち、光軸に平行な同軸上における、光軸方向移動機構26による各相対距離(隣り合う相対距離)で出力された電流値の差分を算出し、当該算出した差分値(各焦点位置に対応する差分値)及び走査回路24からの走査信号(各焦点位置の情報)に基づいて、試料200の2次元電流像を構築することが好ましい。
【0028】
また、演算部43は、必要に応じて、走査回路24からの走査信号及び光検出器28からの電気信号値に基づいて試料200の2次元の光学像を構築し、光軸方向移動機構26による各相対距離における各2次元光学像を重ね合わせた合成像である3次元の光学像を構築すると共に、当該3次元光学像を3次元電流像に重ね合わせた合成像を構築する。
【0029】
また、演算部43は、必要に応じて、走査回路24からの走査信号及び電子検出器16からの電気信号値に基づいて試料200のSEM(Scanning Electron Microscope)像を構築すると共に、当該SEM像を3次元電流像に重ね合わせた合成像を構築する。
【0030】
つぎに、3次元像測定装置100を用いた試料200の測定方法について、図3及び図4を用いて説明する。
【0031】
なお、以下の説明においては、図2(b)に示すように、試料200上の任意の位置に電子ビーム1をスポット照射し、レーザビーム2のみを走査する場合について説明するが、図2(c)に示すように、電子ビーム1及びレーザビーム2を光軸に平行な同軸3上で走査してもよい。
【0032】
まず、測定者は、電子顕微鏡部10の試料室18b内のステージ11上に試料200を載置させ、試料200上の任意の位置に導電性プローブ31を接触させる。
そして、測定者は、コンピュータ40の入力部41を用いて、試料200の光軸(Z)方向の測定範囲zを入力して設定し(ステップS1)、レーザ顕微鏡部20の光軸方向移動機構26による光軸(Z)方向の1回の移動量Δzを入力して設定する(ステップS2)。
【0033】
コンピュータ40の演算部43は、入力部41からの測定範囲z及び移動量Δzの設定値が制御部42を介して入力されると、測定範囲zから移動量Δzを除算して光軸方向への移動回数n(>=z/Δz、nは自然数)を算出する(ステップS3)。
【0034】
レーザ顕微鏡部20の光軸方向移動制御回路27は、コンピュータ40の制御部42からの制御信号に基づき、光軸方向移動機構26を駆動させる制御信号を当該光軸方向移動機構26に出力し、光軸方向移動機構26により、第2の対物レンズ25(レーザビーム2の焦点)を光軸(Z)方向の測定開始位置z0に移動させる(ステップS4)。
【0035】
そして、電子顕微鏡部10は、電子銃12から試料200に向けて電子ビーム1を放出し、集束レンズ13及び第1の対物レンズ15により試料200上に電子ビーム1を集束して、電子ビーム1をスポット照射する(ステップS5)。
【0036】
また、レーザ顕微鏡部20は、レーザ光源21からレーザビーム2を出射し、光学系(ビームスプリッタ22a、走査ミラー23、瞳投影レンズ22b、第1の結像レンズ22c、1/4波長板22d、瞳25a、第2の対物レンズ25)、電子顕微鏡部10の石英ガラス板19、試料室18bの図示しない開口部及びステージ11の開口部11aを介して、試料200にレーザビーム2を照射する。この場合に、レーザ顕微鏡部20の走査回路24は、コンピュータ40の制御部42からの制御信号に基づき、走査ミラー23を駆
動させる走査信号を当該走査ミラー23に出力し、走査ミラー23により、試料200に対してレーザビーム2を走査する(ステップS5)。
【0037】
電流測定部30は、電子ビーム1のスポット照射及びレーザビーム2の走査時における試料200に流れる誘起電流を導電性プローブ31により取得する。そして、電流測定部30は、取得した誘起電流を第3の増幅器33aにより増幅し、第3のA/D変換回路33bによりアナログ信号をデジタル信号に変換して、コンピュータ40の演算部43に出力する(ステップS5)。この場合に、レーザ顕微鏡部20の走査回路24は、コンピュータ40の演算部43に走査信号(各焦点位置の情報)を出力する。
【0038】
コンピュータ40の演算部43は、レーザ顕微鏡部20の走査回路24からの走査信号(各焦点位置の情報)及び電流測定部30の導電性プローブ31からの誘起電流の電流値(各焦点位置に対応する電流値)に基づいて、試料200の2次元電流像を構築する(ステップS6、図3(a))。また、コンピュータ40の演算部43は、構築した2次元電流像を記憶部44に記憶させる。
【0039】
なお、コンピュータ40の演算部43は、導電性プローブ31からの誘起電流の電流値のうち、光軸に平行な同軸上における、光軸方向移動機構26による各相対距離(隣り合う相対距離)で出力された電流値の差分を算出し、当該算出した差分値(各焦点位置に対応する差分値)及び走査回路24からの走査信号(各焦点位置の情報)に基づいて、試料200の2次元電流像を構築することが好ましい。
【0040】
この場合に、コンピュータ40の演算部43は、各相対距離(隣り合う相対距離)で出力された電流値を取得するまで、2次元電流像を構築せず、走査信号(各焦点位置の情報)及び電流値(各焦点位置に対応する電流値)を記憶部44に記憶させ、後述するステップS7に進むことになる。そして、後述するステップS7、ステップS8及びステップS5の処理を経て、コンピュータ40の演算部43は、各相対距離(隣り合う相対距離)で出力された電流値を取得することになると、記憶部44に記憶された走査信号(各焦点位置の情報)及び電流値(各焦点位置に対応する電流値)を読み出す。そして、コンピュータ40の演算部43は、各相対距離(隣り合う相対距離)で出力された電流値の差分を算出し、当該算出した差分値(各焦点位置に対応する差分値)及び走査回路24からの走査信号(各焦点位置の情報)に基づいて、試料200の2次元電流像を構築する(ステップS6、図3(a))。
【0041】
そして、コンピュータ40の演算部43は、レーザ顕微鏡部20の光軸方向移動機構26による光軸(Z)方向の移動回数がn回に到達したか否かを判断する(ステップS7)。
【0042】
ステップS7において、移動回数がn回に到達していないと判断した場合に、コンピュータ40の演算部43は、制御部42に制御信号を出力する。
【0043】
レーザ顕微鏡部20の光軸方向移動制御回路27は、コンピュータ40の制御部42からの制御信号に基づき、光軸方向移動機構26を駆動させる制御信号を当該光軸方向移動機構26に出力する。そして、レーザ顕微鏡部20の光軸方向移動機構26は、第2の対物レンズ25(レーザビーム2の焦点)を光軸(Z)方向の現在の測定位置zk(z0(測定開始位置)<=zk<zn(測定終了位置))から移動量Δzだけ移動させ(ステップS8)、ステップS5に戻る。
【0044】
また、ステップS7において、移動回数がn回に到達していると判断した場合に、コンピュータ40の演算部43は、ステップS6により構築した、レーザ顕微鏡部20の光軸
方向移動機構26による各相対距離における各2次元電流像を、記憶部44から読み出し、3次元空間に配置して重ね合わせ(図3(b))、合成像である3次元電流像を構築する(ステップS9、図3(c))。
そして、コンピュータ40の演算部43は、構築した合成像を表示部45に出力して表示することで(ステップS10)、試料200の測定を終了する。
【0045】
以上のように、本実施形態に係る3次元像測定装置100は、2次元電流像では得られない試料200の詳細な情報を3次元電流像で取得することができ、試料200の欠陥箇所や不良箇所を3次元で特定することができ、従来にない3次元の不良解析を可能にするという作用効果を奏する。
【0046】
なお、前述したように、3次元像測定装置100を用いた試料200の測定方法では、3次元電流像の合成像を構築する場合について説明したが、3次元電流像と3次元光学像とを重ね合わせた合成像を構築する場合には、図5に示す他の測定方法を行なうことになる。以下、図5に示す他の測定方法において、図4と同じ符号(ステップ)は、同一又は相当部分を示し、その説明を省略する。
【0047】
また、以下の説明においては、図2(b)に示すように、試料200上の任意の位置に電子ビーム1をスポット照射し、レーザビーム2のみを走査する場合について説明するが、図2(c)に示すように、電子ビーム1及びレーザビーム2を光軸に平行な同軸3上で走査してもよい。
【0048】
電子顕微鏡部10は、電子銃12から試料200に向けて電子ビーム1を放出し、集束レンズ13及び第1の対物レンズ15により試料200上に電子ビーム1を集束して、電子ビーム1をスポット照射する(ステップS5a)。
【0049】
また、レーザ顕微鏡部20は、レーザ光源21からレーザビーム2を出射し、光学系(ビームスプリッタ22a、走査ミラー23、瞳投影レンズ22b、第1の結像レンズ22c、1/4波長板22d、瞳25a、第2の対物レンズ25)、電子顕微鏡部10の石英ガラス板19、試料室18bの図示しない開口部及びステージ11の開口部11aを介して、試料200にレーザビーム2を照射する。この場合に、レーザ顕微鏡部20の走査回路24は、コンピュータ40の制御部42からの制御信号に基づき、走査ミラー23を駆動させる走査信号を当該走査ミラー23に出力し、走査ミラー23により、試料200に対してレーザビーム2を走査する(ステップS5a)。
【0050】
レーザビーム2が照射された試料200から発生する反射光は、電子顕微鏡部10のステージ11の開口部11a、試料室18bの図示しない開口部、石英ガラス板19、レーザ顕微鏡部20の光学系(第2の対物レンズ25、瞳25a、1/4波長板22d、第1の結像レンズ22c、瞳投影レンズ22b、走査ミラー23、ビームスプリッタ22a、第2の結像レンズ22e)及びピンホール28aを介して、光検出器28に入射する。すなわち、レーザ顕微鏡部20は、レーザビーム2の走査時における試料200からの反射光を光検出器28で受光し、光検出器28は、受光した反射光の光の信号を電気信号に変換する。そして、レーザ顕微鏡部20は、変換した電気信号を第2の増幅器29aにより増幅し、第2のA/D変換回路29bによりアナログ信号をデジタル信号に変換して、コンピュータ40の演算部43に出力する(ステップS5a)。この場合に、レーザ顕微鏡部20の走査回路24は、コンピュータ40の演算部43に走査信号(各焦点位置の情報)を出力する。
【0051】
また、電流測定部30は、電子ビーム1のスポット照射及びレーザビーム2の走査時における試料200に流れる誘起電流を導電性プローブ31により取得する。そして、電流
測定部30は、取得した誘起電流を第3の増幅器33aにより増幅し、第3のA/D変換回路33bによりアナログ信号をデジタル信号に変換して、コンピュータ40の演算部43に出力する(ステップS5a)。
【0052】
コンピュータ40の演算部43は、レーザ顕微鏡部20の走査回路24からの走査信号(各焦点位置の情報)及び電流測定部30の導電性プローブ31からの誘起電流の電流値(各焦点位置に対応する電流値)に基づいて、試料200の2次元電流像を構築する(ステップS6a、図3(a))。また、コンピュータ40の演算部43は、レーザ顕微鏡部20の走査回路24からの走査信号(各焦点位置の情報)及びレーザ顕微鏡部20の光検出器28からの電気信号値(各焦点位置に対応する電気信号値)に基づいて、試料200の2次元光学像を構築する(ステップS6a)。また、コンピュータ40の演算部43は、構築した2次元電流像及び2次元光学像を記憶部44に記憶させる。
【0053】
なお、コンピュータ40の演算部43は、導電性プローブ31からの誘起電流の電流値のうち、光軸に平行な同軸上における、光軸方向移動機構26による各相対距離(隣り合う相対距離)で出力された電流値の差分を算出し、当該算出した差分値(各焦点位置に対応する差分値)及び走査回路24からの走査信号(各焦点位置の情報)に基づいて、試料200の2次元電流像を構築することが好ましい。
【0054】
この場合に、コンピュータ40の演算部43は、各相対距離(隣り合う相対距離)で出力された電流値を取得するまで、2次元電流像を構築せず、走査信号(各焦点位置の情報)及び電流値(各焦点位置に対応する電流値)を記憶部44に記憶させ、ステップS7に進むことになる。そして、ステップS7、ステップS8及びステップS5aの処理を経て、コンピュータ40の演算部43は、各相対距離(隣り合う相対距離)で出力された電流値を取得することになると、記憶部44に記憶された走査信号(各焦点位置の情報)及び電流値(各焦点位置に対応する電流値)を読み出す。そして、コンピュータ40の演算部43は、各相対距離(隣り合う相対距離)で出力された電流値の差分を算出し、当該算出した差分値(各焦点位置に対応する差分値)及び走査回路24からの走査信号(各焦点位置の情報)に基づいて、試料200の2次元電流像を構築する(ステップS6a、図3(a))。
【0055】
ステップS7において、移動回数がn回に到達していると判断した場合に、コンピュータ40の演算部43は、ステップS6aにより構築した、レーザ顕微鏡部20の光軸方向移動機構26による各相対距離における各2次元電流像を、記憶部44から読み出し、3次元空間に配置して重ね合わせ(図3(b))、3次元電流像を構築する(ステップS9a、図3(c))。また、コンピュータ40の演算部43は、ステップS6aにより構築した、レーザ顕微鏡部20の光軸方向移動機構26による各相対距離における各2次元光学像を、記憶部44から読み出し、3次元空間に配置して重ね合わせ(図3(b))、3次元光学像を構築する(ステップS9a)。
そして、コンピュータ40の演算部43は、ステップS9aにより構築した、3次元電流像と3次元光学像とを重ね合わせて合成像を構築する(ステップS9b)。
【0056】
以上のように、本実施形態に係る3次元像測定装置100は、2次元電流像では得られない試料200の詳細な情報を3次元電流像及び3次元光学像で取得することができ、試料200の欠陥箇所や不良箇所を3次元で特定することができ、従来にない3次元の不良解析を可能にするという作用効果を奏する。特に、本実施形態に係る3次元像測定装置100は、3次元電流像と3次元光学像とを重ね合わせて合成像を構築して表示することにより、3次元電流像のみによる合成像と比較して、試料200のさらに詳細な情報を取得することができるという作用効果を奏する。
【0057】
なお、前述したように、3次元像測定装置100を用いた試料200の測定方法では、3次元電流像及び3次元光学像の合成像を構築する場合について説明したが、3次元電流像と3次元光学像とSEM像を重ね合わせた合成像を構築する場合には、図6に示すさらに他の測定方法を行なうことになる。以下、図6に示すさらに他の測定方法において、図4及び図5と同じ符号(ステップ)は、同一又は相当部分を示し、その説明を省略する。
【0058】
電子顕微鏡部10は、電子銃12から試料200に向けて電子ビーム1を放出し、集束レンズ13及び第1の対物レンズ15により試料200上に電子ビーム1を集束して、電子ビーム1を照射する。この場合に、レーザ顕微鏡部20の走査回路24は、コンピュータ40の制御部42からの制御信号に基づき、電子顕微鏡部10の走査コイル14を駆動させる走査信号を当該走査コイル14に出力し、走査コイル14により電子ビーム1を偏向し、試料200に対して電子ビーム1を走査する(ステップS5b)。
【0059】
電子ビーム1が照射された試料200から放出する二次電子は、電子検出器16により検出される。すなわち、電子顕微鏡部10は、電子ビーム1の走査時における試料200からの二次電子を電子検出器16の蛍光物質に衝突させて発光させ、その光を再び電子に変換して電気信号にする。そして、レーザ顕微鏡部20は、変換した電気信号を第1の増幅器17aにより増幅し、第1のA/D変換回路17bによりアナログ信号をデジタル信号に変換して、コンピュータ40の演算部43に出力する(ステップS5b)。この場合に、レーザ顕微鏡部20の走査回路24は、コンピュータ40の演算部43に走査信号(各焦点位置の情報)を出力する。
【0060】
また、レーザ顕微鏡部20は、レーザ光源21からレーザビーム2を出射し、光学系(ビームスプリッタ22a、走査ミラー23、瞳投影レンズ22b、第1の結像レンズ22c、1/4波長板22d、瞳25a、第2の対物レンズ25)、電子顕微鏡部10の石英ガラス板19、試料室18bの図示しない開口部及びステージ11の開口部11aを介して、試料200にレーザビーム2を照射する。この場合に、レーザ顕微鏡部20の走査回路24は、コンピュータ40の制御部42からの制御信号に基づき、走査ミラー23を駆動させる走査信号を当該走査ミラー23に出力し、走査ミラー23により、試料200に対してレーザビーム2を走査する(ステップS5b)。
【0061】
レーザビーム2が照射された試料200から発生する反射光は、電子顕微鏡部10のステージ11の開口部11a、試料室18bの図示しない開口部、石英ガラス板19、レーザ顕微鏡部20の光学系(第2の対物レンズ25、瞳25a、1/4波長板22d、第1の結像レンズ22c、瞳投影レンズ22b、走査ミラー23、ビームスプリッタ22a、第2の結像レンズ22e)及びピンホール28aを介して、光検出器28に入射する。すなわち、レーザ顕微鏡部20は、レーザビーム2の走査時における試料200からの反射光を光検出器28で受光し、光検出器28は、受光した反射光の光の信号を電気信号に変換する。そして、レーザ顕微鏡部20は、変換した電気信号を第2の増幅器29aにより増幅し、第2のA/D変換回路29bによりアナログ信号をデジタル信号に変換して、コンピュータ40の演算部43に出力する(ステップS5b)。
【0062】
また、電流測定部30は、電子ビーム1のスポット照射及びレーザビーム2の走査時における試料200に流れる誘起電流を導電性プローブ31により取得する。そして、電流測定部30は、取得した誘起電流を第3の増幅器33aにより増幅し、第3のA/D変換回路33bによりアナログ信号をデジタル信号に変換して、コンピュータ40の演算部43に出力する(ステップS5b)。
【0063】
コンピュータ40の演算部43は、レーザ顕微鏡部20の走査回路24からの走査信号(各焦点位置の情報)及び電流測定部30の導電性プローブ31からの誘起電流の電流値
(各焦点位置に対応する電流値)に基づいて、試料200の2次元電流像を構築する(ステップS6b、図3(a))。また、コンピュータ40の演算部43は、レーザ顕微鏡部20の走査回路24からの走査信号(各焦点位置の情報)及びレーザ顕微鏡部20の光検出器28からの電気信号値(各焦点位置に対応する電気信号値)に基づいて、試料200の2次元光学像を構築する(ステップS6b)。また、コンピュータ40の演算部43は、レーザ顕微鏡部20の走査回路24からの走査信号(各焦点位置の情報)及び電子顕微鏡部10の電子検出器16からの電気信号値(各焦点位置に対応する電気信号値)に基づいて試料200のSEM像を構築する(ステップS6b)。また、コンピュータ40の演算部43は、構築した2次元電流像、2次元光学像及びSEM像を記憶部44に記憶させる。
【0064】
なお、コンピュータ40の演算部43は、導電性プローブ31からの誘起電流の電流値のうち、光軸に平行な同軸上における、光軸方向移動機構26による各相対距離(隣り合う相対距離)で出力された電流値の差分を算出し、当該算出した差分値(各焦点位置に対応する差分値)及び走査回路24からの走査信号(各焦点位置の情報)に基づいて、試料200の2次元電流像を構築することが好ましい。
【0065】
この場合に、コンピュータ40の演算部43は、各相対距離(隣り合う相対距離)で出力された電流値を取得するまで、2次元電流像を構築せず、走査信号(各焦点位置の情報)及び電流値(各焦点位置に対応する電流値)を記憶部44に記憶させ、ステップS7に進むことになる。そして、ステップS7、ステップS8及びステップS5bの処理を経て、コンピュータ40の演算部43は、各相対距離(隣り合う相対距離)で出力された電流値を取得することになると、記憶部44に記憶された走査信号(各焦点位置の情報)及び電流値(各焦点位置に対応する電流値)を読み出す。そして、コンピュータ40の演算部43は、各相対距離(隣り合う相対距離)で出力された電流値の差分を算出し、当該算出した差分値(各焦点位置に対応する差分値)及び走査回路24からの走査信号(各焦点位置の情報)に基づいて、試料200の2次元電流像を構築する(ステップS6b、図3(a))。
【0066】
コンピュータ40の演算部43は、ステップS9aにより構築した3次元電流像及び3次元光学像とステップS6bにより構築したSEM像とを重ね合わせて合成像を構築する(ステップS9c)。
【0067】
以上のように、本実施形態に係る3次元像測定装置100は、2次元電流像では得られない試料200の詳細な情報を3次元電流像、3次元光学像及びSEM像で取得することができ、試料200の欠陥箇所や不良箇所を3次元で特定することができ、従来にない3次元の不良解析を可能にするという作用効果を奏する。特に、本実施形態に係る3次元像測定装置100は、3次元電流像と3次元光学像とSEM像とを重ね合わせて合成像を構築して表示することにより、3次元電流像及び3次元光学像による合成像と比較して、試料200のさらに詳細な情報を取得することができるという作用効果を奏する。
【0068】
なお、本実施形態に係る3次元像測定装置100は、走査型電子顕微鏡に相当する電子顕微鏡部10を備え、荷電粒子ビームとして電子ビーム1を用いる場合について説明したが、電子顕微鏡部10の替わりに、走査イオン顕微鏡に相当するイオン顕微鏡部(不図示)を備え、荷電粒子ビームとしてイオンビーム4を用いてもよい。
この場合に、ビームの発生源(光源)は、電子顕微鏡部10であれば、電子銃12であるが、イオン顕微鏡部であれば、イオン銃(イオン源)51である。
【0069】
また、イオン顕微鏡部は、図7に示すように、鋭利な金属52の先端に、例えば、液体金属ガリウムを供給し、抑制電極53で電界を集中させつつ、金属52の先端と引出電極
54との間に電界をかけて、荷電粒子(ここでは、ガリウムイオン)を引き出し、加速電源55による電圧で荷電粒子を加速させて試料200に衝突させる。
【0070】
また、イオン顕微鏡部は、試料200の表面にイオンビーム4を照射し、試料200の表面から二次電子を放出させると共に、試料200を構成する原子を弾き出すスパッタリング現象が発生し、弾き出された原子は二次イオンとなって試料200の表面から放出される。イオン顕微鏡部は、電子顕微鏡部10と同様に、二次電子を電子検出器(電子検出器16に相当)で検出し、二次元分布を求めることにより、試料200の表面のSIM(Scanning Ion Microscope)像を得ることができる。また、イオン顕微鏡部は、二次イオンをイオン検出器(電子検出器16の代替)で検出し、二次元分布を求めることにより、試料200表面のSIM像を得ることができる。
【0071】
また、本実施形態に係る3次元像測定装置100を用いた試料200の測定方法では、3次元電流像の合成像や、3次元電流像と3次元光学像との合成像や、3次元電流像と3次元光学像とSEM像(SIM像)との合成像を表示部45に表示する場合について説明したが、3次元CAD(Computer Aided Design)で解析空間300に作成した3次元モデル(例えば、図8(a)に示す配線301及びビア302)と、当該解析空間300から得られた合成像(例えば、図3(c)に示す3次元電流像)とを合成し(例えば、図8(b))、表示部45に表示してもよい。
【0072】
この場合には、3次元モデルの3次元CADデータを記憶部44に格納しておき、3次元電流像、3次元光学像及び/又はSEM像(SIM像)の合成像を構築した(ステップS9、ステップS9b又はステップS9c)後に、コンピュータ40の演算部43は、3次元CADデータを記憶部44から読み出す。そして、コンピュータ40の演算部43は、構築した合成像と読み出した3次元モデルとを合成して表示部45に出力し、表示部45が表示することで、試料200の測定を終了する。
【0073】
特に、3次元電流像、3次元光学像及び/又はSEM像(SIM像)の合成像(例えば、図3(c))による表示(3次元のコントラスト303)では、不良箇所と断言できない場合において、3次元モデルに対応付けて重畳させることにより(例えば、図8(b))、3次元モデルから特定できる不良の生じ易い部分(例えば、配線301及びビア302間の接続個所)にコントラスト303があれば、当該コントラスト303を不良個所として特定することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 電子ビーム
2 レーザビーム
3 同軸
4 イオンビーム
10 電子顕微鏡部
11 ステージ
11a 開口部
12 電子銃
13 集束レンズ
14 走査コイル
15 第1の対物レンズ
16 電子検出器
17a 第1の増幅器
17b 第1のA/D変換回路
18a 鏡筒
18b 試料室
19 石英ガラス板
20 レーザ顕微鏡部
21 レーザ光源
22a ビームスプリッタ
22b 瞳投影レンズ
22c 第1の結像レンズ
22d 1/4波長板
22e 第2の結像レンズ
23 走査ミラー
24 走査回路
25 第2の対物レンズ
25a 瞳
26 光軸方向移動機構
27 光軸方向移動制御回路
28 光検出器
28a ピンホール
29a 第2の増幅器
29b 第2のA/D変換回路
30 電流測定部
31 導電性プローブ
32 マニピュレータ
33a 第3の増幅器
33b 第3のA/D変換回路
40 コンピュータ
41 入力部
42 制御部
43 演算部
44 記憶部
45 表示部
51 イオン銃
52 金属
53 抑制電極
54 引出電極
55 加速電源
100 3次元像測定装置
200 試料
300 解析空間
301 配線
302 ビア
303 コントラスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の試料を載置するステージと、
荷電粒子ビームを放出する発生源と、
レーザビームを出射するレーザ光源と、
前記レーザビームを偏向して前記試料に対して走査する走査ミラーと、
前記走査ミラーを駆動させる走査信号を当該走査ミラーに出力する走査回路と、
前記走査されるレーザビームを前記試料に集光する対物レンズと、
前記ステージ又は対物レンズの少なくとも一方を光軸に沿って移動させ、光軸方向における前記試料及び対物レンズ間の相対距離を変化させる光軸方向移動機構と、
前記光軸方向移動機構を駆動させる制御信号を当該光軸方向移動機構に出力する光軸方向移動制御回路と、
前記試料上の任意の位置に接触され、当該試料に照射された前記荷電粒子ビーム及びレーザビームに起因して当該試料に誘起される電流を出力する導電性プローブと、
前記走査回路からの走査信号及び前記導電性プローブからの電流値に基づいて前記試料の2次元の電流像を構築し、前記光軸方向移動機構による各相対距離における各2次元電流像を重ね合わせた合成像である3次元の電流像を構築する演算部と、
を備えることを特徴とする3次元像測定装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の3次元像測定装置において、
前記演算部が、前記導電性プローブからの電流値のうち光軸に平行な同軸上における前記各相対距離で出力された電流値の差分を算出し、当該算出した差分値及び前記走査回路からの走査信号に基づいて前記試料の2次元の電流像を構築することを特徴とする3次元像測定装置。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載の3次元像測定装置において、
前記対物レンズの焦点位置に対して共役な位置に配置されたピンホールと、
前記試料で反射されて前記ピンホールを通過したレーザビームを受光し、当該受光したレーザビームの光の強度を示す電気信号を出力する光検出器と、
を備え、
前記演算部が、前記走査回路からの走査信号及び前記光検出器からの電気信号値に基づいて前記試料の2次元の光学像を構築し、前記光軸方向移動機構による各相対距離における各2次元光学像を重ね合わせた合成像である3次元の光学像を構築すると共に、当該3次元光学像を前記3次元電流像に重ね合わせた合成像を構築することを特徴とする3次元像測定装置。
【請求項4】
前記請求項1乃至3のいずれかに記載の3次元像測定装置において、
前記荷電粒子ビームが電子ビームであり、
前記電子ビームを偏向して前記試料に対して走査する走査コイルと、
前記試料から放出された二次電子を検出し、当該検出した二次電子の光の強度を示す電気信号を出力する電子検出器と、
を備え、
前記走査回路が、前記走査コイルを駆動させる走査信号を当該走査コイルに出力して、前記電子ビーム及びレーザビームを光軸に平行な同軸上で走査し、
前記演算部が、前記走査回路からの走査信号及び前記電子検出器からの電気信号値に基づいて前記試料のSEM像を構築すると共に、当該SEM像を前記3次元電流像に重ね合わせた合成像を構築することを特徴とする3次元像測定装置。
【請求項5】
試料に対して荷電粒子ビームをスポット照射する第1のステップと、
前記試料に対してレーザビームを走査する第2のステップと、
前記レーザビームの走査時における前記試料に流れる誘起電流を取得する第3のステップと、
前記レーザビームの走査時における当該レーザビームの各焦点位置の情報及び当該各焦点位置に対応する前記誘起電流の電流値に基づいて、前記試料の2次元電流像を構築する第4のステップと、
前記レーザビームの焦点を光軸方向に移動する第5のステップと、
前記第5のステップにより前記レーザビームの焦点を光軸方向に移動したうえで、前記第4のステップにより構築した、前記試料及び対物レンズ間の各相対距離における各2次元電流像を、3次元空間に配置して重ね合わせ、合成像である3次元電流像を構築する第6のステップと、
を含むことを特徴とする3次元像測定方法。
【請求項6】
試料に対して荷電粒子ビーム及びレーザビームを光軸に平行な同軸上で走査する第1のステップと、
前記レーザビームの走査時における前記試料に流れる誘起電流を取得する第2のステップと、
前記レーザビームの走査時における当該レーザビームの各焦点位置の情報及び当該各焦点位置に対応する前記誘起電流の電流値に基づいて、前記試料の2次元電流像を構築する第3のステップと、
前記レーザビームの焦点を光軸方向に移動する第4のステップと、
前記第4のステップにより前記レーザビームの焦点を光軸方向に移動したうえで、前記第3のステップにより構築した、前記試料及び対物レンズ間の各相対距離における各2次元電流像を、3次元空間に配置して重ね合わせ、合成像である3次元電流像を構築する第5のステップと、
を含むことを特徴とする3次元像測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−43651(P2012−43651A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184024(P2010−184024)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(598015084)学校法人福岡大学 (114)
【出願人】(391043332)財団法人福岡県産業・科学技術振興財団 (53)
【Fターム(参考)】