説明

3次元形状測定方法

【課題】安価かつ簡易な構成の装置により、簡便な手順で高精度に3次元形状測定を行うことができる3次元形状測定方法を提供すること。
【解決手段】被測定物200を所定の回転軸AXの周りに回転させる回転工程と、回転軸AXと略直交する方向について、第1の位置X=−Lから回転軸AXまで被測定物200の形状を測定する第1測定工程と、回転軸AXと略直交する方向について、回転軸AXから第2の位置X=Lまで被測定物200の形状を測定する第2測定工程と、第1測定工程で得られた第1の測定データと、第2測定工程で得られた第2の測定データとに基づいて回転軸AXの回転誤差を補正するための回転誤差パラメータを算出する補正値算出工程と、補正値算出工程で算出された回転誤差パラメータに基づいて被測定物200の形状を補正する補正工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物に対してプローブを走査させて、被測定物の形状を高精度に測定する3次元形状測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被測定物の形状を高精度に測定する方法として、被測定物の形状に沿ってプローブを走査させることで3次元形状を測定する方法が知られている。プローブの走査方法の一例として、被測定物を回転させながら、その回転軸に略直交する方向にプローブを走査させるRθ走査方式がある。例えば、特許文献1には、Rθ走査方式の3次元形状測定方法が開示されている。
【0003】
図8は、従来技術のRθ走査方式による3次元形状測定機の概略構成を示す図である。3次元形状測定機10は、光プローブ11と、Zステージ12と、Xステージ13と、θステージ14と、Zレーザ測長器15と、Xレーザ測長器16と、スラストレーザ測長器17a、17bと、ラジアルレーザ測長器18a、18bと、Z基準ミラー19と、X基準ミラー20a、20bと、θロータリーエンコーダ21とから構成される。
【0004】
被測定物30は、非球面レンズである。被測定物30は、被測定物30の光軸とθステージ14の回転軸AXとが略一致するように配置されている。光プローブ11は、被測定物30の表面形状を非接触で走査する。Zステージ12は、光プローブ11をZ軸方向に沿って移動する。Xステージ13は、光プローブ11とZステージ12とをX軸方向に沿って移動させる。θステージ14は、被測定物30をθ方向に回転させる。Zレーザ測長器15は、Z基準ミラー19に対する光プローブ11のZ軸方向の位置を測長する。Xレーザ測長器16は、X基準ミラー20aに対する光プローブ11のX軸方向の位置を測長する。
【0005】
θロータリーエンコーダ21は、θステージ14のθ方向の回転角を測定する。スラストレーザ測長器17a、17bは、Z基準ミラー19に対するθステージ14のスラスト方向の回転振れを測定する。ラジアルレーザ測長器18a、18bは、X基準ミラー20a、20bに対するθステージ14のラジアル方向の回転振れを測定する。
【0006】
パーソナルコンピュータ(図示せず)は、Zレーザ測長器15の測定値ZLiと、Xレーザ測長器16の測定値XLiと、θロータリーエンコーダ21の測定値θLiと、スラストレーザ測長器17a、17bの測定値Tai、Tbiと、ラジアルレーザ測長器18a、18bの測定値Rai、Rbiとを取り込み、それぞれ記憶する。
【0007】
そして、例えば、以下の演算を行うことで、θステージ14の回転振れによる測定誤差を補正した測定データ(Xi、Zi、θi)を得る。
θi=θLi
Zi=ZLi+(Tai−Tbi)×f(XLi)
Xi=XLi+(Rai+Rbi)/2
ただし、f(XLi)は、被測定物30の形状と測定値XLiの関係から算出される関数である。このような手順により、被測定物30の3次元形状を測定する。
【0008】
【特許文献1】特開2000−266524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術では、レーザ測長器により、θステージのラジアル方向の回転誤差とスラスト方向の回転誤差とを補正するためのデータを測定している。従って、レーザ測長器及び高精度な基準部材が必要になる。このため、装置構成が複雑かつ大型化してしまう。また、これに伴って装置が高価になってしまう。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、安価かつ簡易な構成の装置により、簡便な手順で高精度に3次元形状測定を行うことができる3次元形状測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明によれば、被測定物を所定の回転軸の周りに回転させる回転工程と、回転軸と略直交する方向について、回転軸の片側にある第1の位置において被測定物の形状を測定する第1測定工程と、回転軸と略直交する方向について、回転軸に関して第1の位置とは逆側にある第2の位置において被測定物の形状を測定する第2測定工程と、第1測定工程で得られた第1の測定データと、第2測定工程で得られた第2の測定データとに基づいて回転軸の回転誤差を補正するための回転誤差補正値を算出する補正値算出工程と、補正値算出工程で算出された回転誤差補正値に基づいて被測定物の形状を補正する補正工程と、を有することを特徴とする3次元形状測定方法を提供できる。
【0012】
また、本発明の好ましい態様によれば、回転工程において、前記第1測定工程における第1の位置と、前記第2測定工程における第2の位置が、前記回転軸に関して対称な少なくとも一対の位置であることが望ましい。
【0013】
また、本発明の好ましい態様によれば、回転工程において、前記第1測定工程における第1の位置と前記第2測定工程における第2の位置が前記回転軸と略直交する方向に関して複数の位置であることが望ましい。また、本発明の好ましい態様によれば、前記第1測定工程における第1の位置は、回転軸の片側のある位置から回転軸までの連続位置であり、前記第2測定工程における第2の位置は、回転軸から回転軸に関して第1の位置とは逆側のある位置までの連続位置であることが望ましい。
【0014】
また、本発明の好ましい態様によれば、補正値算出工程において、回転誤差補正値として第1の測定データと第2の測定データとの差分を算出し、補正工程において、差分が最小値となる回転誤差補正値を算出することが望ましい。
【0015】
また、本発明の好ましい態様によれば、補正工程では、回転誤差補正値を多項式で表し、第1の測定データと第2測定データとの差分を最小値にするような多項式の係数を算出することが望ましい。
【0016】
また、本発明の好ましい態様によれば、回転誤差補正値は、回転軸の角度振れ量と、回転軸の角度振れの回転中心位置と、回転軸と略直交する方向への回転中心位置における回転軸の平行移動量とからなることが望ましい。
【0017】
また、本発明の好ましい態様によれば、回転誤差補正値は、回転軸の角度振れ量と、回転軸と略直交する平面から回転軸に沿った方向へ所定距離だけ離れた位置における回転軸と略直交する方向への回転軸の平行移動量と、所定距離であることが望ましい。
【0018】
また、本発明の好ましい態様によれば、第1の位置と第2の位置とは、それぞれ回転軸に対して略対称であることが望ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る3次元形状測定方法では、回転軸と略直交する方向について、第1の位置から回転軸まで被測定物の形状を測定する第1測定工程と、回転軸と略直交する方向について、回転軸から第2の位置まで被測定物の形状を測定する第2測定工程とを行う。補正値算出工程において、第1測定工程で得られた第1の測定データと、第2測定工程で得られた第2の測定データとに基づいて回転軸の回転誤差を補正するための回転誤差補正値を算出する。そして、補正工程において、補正値算出工程で算出された回転誤差補正値に基づいて被測定物の形状を補正する。これにより、θステージの回転誤差を検出するためのレーザ測長器が不要となる。また、数値演算処理により、高精度に回転誤差補正値を算出し、被測定物の形状を補正できる。このため、高精度な基準部材も不要である。この結果、本発明によれば、安価かつ簡易な構成の装置により、簡便な手順で高精度に3次元形状測定を行うことができる3次元形状測定方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明に係る3次元形状測定方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により、この発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の実施例1に係る3次元形状測定方法に用いる3次元形状測定装置の概略構成を示す図である。3次元形状測定装置100は、被測定物200として、球面レンズ、非球面レンズ、自由曲面、またはそれらの金型などの表面形状を測定する。3次元形状測定機100は、プローブ102と、先端球103と、Zステージ104と、Xステージ105と、Zレーザ測長器106と、Xレーザ測長器107と、Z基準ミラー111と、X基準ミラー110と、θステージ112と、θロータリーエンコーダ113と、測定機フレーム101と、演算・制御部114と、パーソナルコンピュータ(不図示)から構成される。
【0022】
プローブ102は、被測定物200の形状に沿って走査される。先端球103は、プローブ102と一体に構成されている。先端球103は、被測定物200の表面に接触する。Zステージ104は、プローブ102をZ軸方向にそって駆動する。また、Xステージ105は、Zステージ104をZ軸方向と直交するX軸方向に沿って駆動する。
【0023】
また、Zステージ104は、先端球103と被測定物200との間の接触圧が一定になるように位置調整を行う機構(不図示)を有している。Z基準ミラー111とX基準ミラー110は、測定機フレーム101に固定されている。Z基準ミラー111とX基準ミラー110とは、それぞれZレーザ測長器106とXレーザ測長器107の測長の基準となるものである。
【0024】
Zレーザ測長器106は、測定機フレーム101に固定された測長部106aと、Zステージに固定されたプリズム部106bと、2つの直角反射プリズム108a、108bとから構成される。Zレーザ測長器106は、Z基準ミラー111を基準として、プローブ102のZ軸方向の位置を計測する。
【0025】
Xレーザ測長器107は、測定機フレーム101に固定された測長部107aと、直角反射プリズム109と、Xステージ105に固定されたプリズム部107bとから構成される。Xレーザ測長器107は、X基準ミラー110を基準として、プローブ102のX軸方向の位置を計測する。また、θステージ112は、被測定物200を保持部に固定し、回転軸AXの周りに回転させる。
【0026】
次に、レーザ測長の原理を図2に基づいて説明する。Zレーザ測長器106とXレーザ測長器107の構成としては、例えば図2に示すようなシングルパスの構成を用いることができる。図2において、例えば、Zレーザ測長器106は、平面ミラー143の測長軸140に沿った移動量を測長する。
【0027】
測長部106a内のレーザ光源131は、偏光方向が互いに直交するP偏光光とS偏光光とからなる光束を射出する。レーザ光源131を射出した光は、プリズム部106b内の直角反射プリズム146で光路を90°折り曲げられる。光路を折り曲げられた光は、偏光ビームスプリッタ141に入射する。偏光ビームスプリッタ141は、P偏光光を透過させ、S偏光光を反射させる。偏光ビームスプリッタ141により反射された光束は測定光束となり、透過した光束は参照光束となる。
【0028】
偏光ビームスプリッタ141を透過した参照光束は、λ/4板144を透過して円偏光光に変換される。円偏光光に変換された光は、平面ミラー145で反射され、再びλ/4板144を透過する。λ/4板144を透過する円偏光光は、S偏光光に変換される。そして、S偏光光は、偏光ビームスプリッタ141で反射される。
【0029】
一方、レーザ光源131からの光のうち偏光ビームスプリッタ141で反射された測定光束は、λ/4板142を透過して円偏光光に変換される。変換された円偏光光は、平面ミラー143で反射される。ここで、平面ミラー143は、図1におけるZ基準ミラー111に対応する。平面ミラー143で反射された測定光束は、再びλ/4板142を透過する。λ/4板142を透過する円偏光光は、P偏光光に変換される。そして、P偏光光は、偏光ビームスプリッタ141を透過する。
【0030】
偏光ビームスプリッタ141を透過したP偏光光は、偏光ビームスプリッタ141を反射した参照光束と重なり合う。重なり合った参照光束と測定光束は、直角反射プリズム146で反射されて、光路を90°折り曲げられる。
【0031】
測長部106a内の偏光板132は、一方の直線偏光成分のみを透過する。これにより、測定光束と参照光束とは干渉する。受光部133は、参照光束と測定光束による干渉光を取り込む。そして、受光部133は、参照光束と測定光束との位相差の変動を、干渉信号により検出する。受光部133で受光された干渉信号は、演算部(不図示)に入力されて測長値に換算された後、測長値を出力する。
【0032】
ここで、参照光束の光路長は常に一定である。これに対して、測定光束の光路長は、平面ミラー143の変位に応じて変化する。これにより、レーザ測長器106は、測長軸140に沿った平面ミラー143の移動量を測長できる。
【0033】
なお、Zレーザ測長器106とXレーザ測長器107は図2に示すシングルパスの干渉計の構成に限定されるものではなく、基準ミラー110、111に対する移動量を測長できればよく、例えばダブルパスの干渉計でもよい。
【0034】
上述したレーザ測長原理に基づいて、図1に戻って説明を続ける。Zレーザ測長器106の測長部106aから射出されたレーザ光束は、直角反射プリズム108a、108bで反射される。反射された光は、Zレーザ測長器106のプリズム部106bに入射して参照光束と測定光束とに分離される。参照光束は、再び、直角反射プリズム108a、108bで反射され、Zレーザ測長器106の測長部106aに入射する。
【0035】
これに対して、測定光束は、プリズム部106bを経由して、Z基準ミラー111で反射される。反射された測定光束は、再びプリズム部106bを経由して、直角反射プリズム108b、108aで反射される。そして、反射された測定光束は、Zレーザ測長器106の測長部106aに入射する。
【0036】
Zレーザ測長器106の測長部106aからプリズム部106bまでの光路長は、Xステージ105の移動に伴って変化する。測長部106aからプリズム部106bまでの光路は、参照光束、測定光束の共通光路である。このため、共通光路中での光路長変化は、実際の測長値には影響しない。
【0037】
これに対して、Zステージ104が移動するとき、測定光束のみの光路であるプリズム部106bとZ基準ミラー111の間の光路長が変化する。これにより、Zステージ104のZ基準ミラー111に対するZ軸方向の移動量を測長できる。
【0038】
また、Xレーザ測長器107の測長部107aから射出されたレーザ光束は、直角反射プリズム109で反射される。反射された光は、Xレーザ測長器107のプリズム部107bに入射して参照光束と測定光束に分離される。参照光束は、再び、直角反射プリズム109で反射されてXレーザ測長器107の測長部107aに入射する。測定光束は、プリズム部107bを経由して、X基準ミラー110で反射され、再びプリズム部107bに入射する。直角反射プリズム109で反射された光は、Xレーザ測長器107の測長部107aに入射する。
【0039】
Xステージ105が移動するとき、測定光束のみの光路であるプリズム部107bとX基準ミラー110との間の光路長が変化する。このため、Xステージ105のX基準ミラー110に対するX軸方向の移動量を測長できる。
【0040】
また、Zステージ104とXステージ105は、例えば、静圧空気軸受やリニアガイドなどからなるガイドと、ボールねじとステッピングモータの組み合わせやリニアモータなどからなる駆動手段から構成されている。さらに、θステージ112は、例えば、静圧空気軸受とモータから構成されている。
【0041】
(測定手順)
次に、3次元形状測定機100を用いる3次元形状測定方法の測定手順を説明する。図7は、本実施例に係る3次元形状方法の手順を示すフローチャートである。
【0042】
ステップS701において、被測定物200の光軸と、θステージ112の回転軸AXとを略一致させるようにして、被測定物200をθステージ112に固定する。プローブ102がX=−Rの位置となるように、Xステージ105を駆動する。ここで、X軸と回転軸AXとの交点をX=0とする。なお、座標Rは、正の任意の定数とする。
【0043】
ステップS702において、Zステージ104を駆動して、被測定物200の表面にプローブ102の先端球103を接触させる。先端球103を接触させた状態で、θステージ113により被測定物200を回転させ、かつXステージ105をX軸の正方向に駆動する。このとき、Zステージ104は、プローブ102の先端球103と被測定物200の表面との間の接触圧を一定に保つように動作させる。これにより、Zステージ104のZ軸方向への変位量が、被測定物200のZ軸方向の形状(高さ)に対応する。
【0044】
演算・制御部114は、Xステージ105とZステージ104を駆動制御するとともに、θステージ113を回転させる。これにより、プローブ102を被測定物200の形状に沿って走査させる。演算・制御部114として、コンピュータを用いることができる。
【0045】
まず、第1測定工程において、θステージ112を回転軸AXの周りに回転させながら、回転軸AXと略直交するX方向について、X=−R(第1の位置)から回転軸AXの位置、即ち位置X=0までプローブ102を被測定物200の形状に沿って走査する。
【0046】
次に、第2測定工程において、θステージ112を回転軸AXの周りに回転させながら、回転軸AXと略直交するX方向について、回転軸AXの位置(X=0)から位置X=R(第2の位置)までプローブ102を被測定物200の形状に沿って走査する。なお、座標Rは、正の任意の定数である。
【0047】
θロータリーエンコーダ113は、被測定物200の回転角θ(0°≦θ<360°)を測定する。演算・制御部114は、Zレーザ測長器106の測長値Zi、Xレーザ測長器107の測長値Xi、θロータリーエンコーダ113の測定値θiを被測定物200の形状データとして取り込む。
【0048】
ここで、
Ziはi番目に測定されたZレーザ測長器106の測長値、
Xiはi番目に測定されたXレーザ測長器107の測長値、
θiはi番目に測定されたθロータリーエンコーダ113の測定値、それぞれを示している。また、測長値Zi、Xi、θiは略同時に測定される。
【0049】
次に、演算・制御部114が以下に述べる演算を行う。上述のように被測定物200の形状をX軸方向にX=−R〜Rの範囲で測定している。このため、形状データ(Zi、Xi、θi)は、Xi<0のデータ群と、Xi>0のデータ群との2つに分類できる。そして、ステップS703において、Xi<0のデータ群をN(Zi、Xi<0、θi)と、Xi>0のデータ群をP(Zi、Xi>0、θi)とする。
【0050】
ステップS704において、座標Rと座標Rの値の大小を判断する。そして、座標Rと座標Rのうち値の小さい方をR(=RまたはR)として記憶する。次に、データ群N、Pの中の|Xi|>Rのデータを削除する。そして、削除処理を施した新たなデータ群N、Pを作成する。これにより、データ群N’とデータ群P’の測定範囲を一致させることができる。
【0051】
ステップS705において、データ群Nを多項式で近似する。これにより、−R<X<0の範囲における被測定物200の測定面の形状関数Q(−R<X<0、θ)を取得する。
【0052】
同様に、データ群Pを多項式で近似する。これにより、0<X<Rの範囲における被測定物200の測定面の形状関数S(0<X<R、θ)を取得する。離散的な3次元データを多項式で近似することで測定面の形状関数を取得する方法としては、例えばツェルニケ多項式による近似などを用いることができる。
【0053】
形状関数Q、Sについて、さらに説明する。形状関数Qは、−R<X<0の範囲内の任意の位置X、任意の角度θに対して被測定物200の形状を示す関数である。形状関数Qにより、角度θにおける−R<X<0の範囲での被測定物200の断面形状を知ることができる。また、形状関数Qから求められる各角度θにおける被測定物200の断面形状関数をTθ(−R<X<0)と呼ぶことにする。なお、添え字θは、固定した角度を表す。
【0054】
同様に、形状関数Sは、0<X<Rの範囲内の任意の位置X、任意の角度θに対して被測定物200の形状を示す関数である。形状関数Sにより、角度θにおける0<X<Rの範囲での被測定物200の断面形状を知ることができる。形状関数Sから求められる各角度θにおける被測定物200の断面形状関数をUθ(0<X<R)と呼ぶことにする。なお、添え字θは、固定した角度を表す。
【0055】
図3の(a)、(b)は、θステージ112に回転誤差が存在しないときの形状測定の様子を示す。θステージ112の回転誤差が全く無いとき、位置X=−L、角度θ=φにおいて測定されるZ軸方向の変位量と、位置X=L、角度θ=φ+180°において測定されるZ軸方向の変位量とは等しくなる。なお、Lは任意の正の定数、φは0°〜360°内の任意の定数である。即ち、図3の(a)、(b)のいずれの場合も、測定面上の位置Pa(=Pb)を測定することとなる。
【0056】
位置Pa(=Pb)では、
Q(−L、φ)=S(L、φ+180°)
θ(−L)=Uθ+180°(L)
が同時に成立する。
【0057】
ここで、実際にはθステージ112には回転誤差が存在する。回転誤差は、角度θの関数である。このため、一般には、角度θ=φにおける回転誤差と、角度θ=φ+180°における回転誤差量とは、それぞれ異なる。
【0058】
図4の(a)、(b)は、θステージ112に回転誤差が存在するときの形状測定の様子を示す。回転誤差が存在する場合、上述したように、一般には位置X=−L、角度θ=φにおいて測定されるZ軸方向の変位量(接触点は位置Pa1)と、位置X=L、角度θ=φ+180°において測定されるZ軸方向の変位量(接触点は位置Pb1)とは等しくならない。例えば、換言すると、Q(−L、φ)とS(L、φ+180°)との間、及びTθ(−L)とUθ+180°(L)の間に差が生じる。この差分は、θステージ112の回転誤差のみに依存している。このため、差分を最小にする回転誤差パラメータを求めることで、θステージ112の回転誤差を低減するための補正データを求めることができる。なお、回転誤差パラメータは、回転誤差補正値に対応する。
【0059】
次に、回転誤差パラメータを以下の3つのパラメータ(1)、(2)、(3)で定義する。なお、以下、適宜これら3つのパラメータを総称して「回転誤差パラメータA(θ)、C(θ)、R(θ)」という。
(1)角度振れ量A(θ)(アンギュラ)
(2)回転中心位置C(θ)
(3)平行移動量R(θ)(ラジアル)
【0060】
図5は、上記3つのパラメータの関係を示す図である。角度振れ量A(θ)は、θステージ112の回転軸AXと振れた状態の軸AXcとの間の角度振れ量である。回転中心位置C(θ)は、回転軸AXの角度振れの回転中心位置である。そして、平行移動量R(θ)は、θステージ112のX軸方向への回転中心位置C(θ)における回転軸AXの平行移動量である。
【0061】
図7に戻って説明を続ける。ステップS706において、既知の収束計算方法を用いて回転誤差パラメータを算出する。既知の収束計算方法としては、例えばニュートン法などを用いることができる。角度θ=0°〜180°までの任意の各角度θにおいて収束計算を行う。収束計算における評価値は、各角度θにおけるTθ(−X)とUθ+180°(X)の差分である。
【0062】
また、収束計算において変化させるパラメータは、以下の6つのパラメータ(1)〜(6)である。なお、角度θの刻み幅は任意である。
(1)角度θにおける角度振れ量A(θ)
(2)角度θにおける回転中心位置C(θ)
(3)角度θにおける平行移動量R(θ)
(4)角度θ+180°における角度振れ量A(θ+180°)
(5)角度θ+180°における回転中心位置C(θ+180°)
(6)角度θ+180°における平行移動量R(θ+180°)
【0063】
具体的な収束計算方法を説明する。θ=0°〜180°の範囲内のうちの任意の角度φにおいて、Tφ(−X)とUφ+180°(X)の間にはθステージ112の回転誤差による差が生じている。そこで、角度φにおける回転誤差パラメータA(φ)、C(φ)、R(φ)と、角度φ+180°における回転誤差パラメータA(φ+180°)、C(φ+180°)、R(φ+180°)とを仮定する。
【0064】
次に、Tφ(−X)に対して、回転誤差パラメータA(φ)、C(φ)、R(φ)を考慮した演算を行う。ここで、R(φ)は、θステージ112のX軸方向へのアンギュラの回転中心位置C(φ)における回転軸AXの平行移動量である。このため、「R(φ) を考慮した演算」とは、Tφ(−X)をX軸方向にR(φ)だけ平行移動させた座標系へ座標変換することに対応する。
【0065】
また、A(φ)、C(φ)は、それぞれθステージ112の回転軸AXの角度振れ量及びその回転中心位置である。このため、「A(φ)、C(φ)を考慮した演算」とは、Tφ(−X)を回転中心位置C(φ)の周りに角度A(φ)だけ回転させた座標系へ座標変換することに対応する。このような手順により、Tφ(−X)に対して回転誤差パラメータA(φ)、C(φ)、R(φ)を考慮したT’φを得る。
【0066】
φ+180°(X)についても全く同様の手順で、Uφ+180°(X)に回転誤差パラメータA(φ+180°)、C(φ+180°)、R(φ+180°)を考慮したU’φ+180°を得る。そして、T’φとU’φ+180°の差分が最小になるA(φ)、C(φ)、R(φ)、A(φ+180°)、C(φ+180°)、R(φ+180°)を算出する演算処理をする。
【0067】
上述の収束計算処理を行うことで、θ=0°〜360°の範囲の各角度θにおいて回転誤差パラメータA(θ)、C(θ)、R(θ)が得られる。ステップS707において、各角度θにおける回転誤差パラメータをつなぎ合わせる。これにより、θステージ112の回転誤差補正データA(θ)、C(θ)、R(θ)を得ることができる。
【0068】
ステップS708において、算出されたθステージ112の回転誤差補正データA(θ)、C(θ)、R(θ)を用いて被測定物200の形状データ(Zi、Xi、θi)を補正する。この結果、θステージ112の回転誤差が除かれた最終形状データを得ることができる。そして、被測定物200の3次元形状を測定できる。
【0069】
上述した測定手順によれば、被測定物200の形状データをソフトウェア演算することで、θステージ112の回転誤差パラメータを算出し、形状データを補正することができる。このため、回転誤差補正用の機構を必要とせず、ソフトウェア処理のみによってθステージの回転誤差による測定誤差を補正することが可能である。この結果、安価かつ簡易な構成装置により、簡便な手順で高精度に3次元形状測定を行うことができる。
【0070】
また、第1、第2測定工程において、回転軸AXに関して対称な少なくとも一対のX軸方向の位置、例えば、X=−DとX=D(Dは任意の正の定数)の2つの位置において形状測定を行えばよい。これにより、形状測定の回数を低減できる。
【0071】
さらに、被測定物200の形状データのX軸方向の測定範囲が回転軸AX(即ち位置X=0)を挟んで対向していることで、測定毎に回転誤差補正パラメータを算出できる。このため、高精度な補正が可能である。例えば、被測定物200の着脱、環境温度の変化等により、θステージ112の回転誤差が変動する場合においても本発明は有用である。
【0072】
(第1の変形例)
上記実施例1では、回転誤差パラメータを各回転角度毎に算出している。そして、回転誤差パラメータをつなぎ合わせてθステージ112の回転誤差を補正するデータを求めている。本変形例では、回転誤差パラメータを多項式で近似する点が異なる。そして、X<0側の形状データと、X>0側の形状データとの差分が最小になるような多項式の係数を収束計算によって算出する。これにより、回転誤差を補正する方法でもよい。
【0073】
本変形例による演算方法を行うとき、上述したフローチャートにおけるステップS705における断面形状関数Tθ、Uθは不要である。また、ステップS707の工程も不要である。
【0074】
本変形例では、ステップS706の内容が実施例1と異なる。上述したように本変形例では、回転誤差パラメータを多項式で表現する。多項式の表現方法としては、例えばフーリエ級数がある。形状関数Q、Sは、180°位相の反転した回転誤差による差分が生じている。そして、差分が最小になるような多項式の係数を収束計算により算出する。収束計算における評価値は、形状関数Q(−R<X<0、θ)と形状関数S(0<X<R、θ+180°)の差分である。収束計算におけるパラメータは、多項式の係数である。そして、収束計算によって算出された係数を用いて多項式を導くことができる。この結果、回転誤差を補正するためのデータを取得することができる。
【0075】
上記実施例1では、被測定物200の設置誤差(θステージ112の回転軸AXに対する被測定物200の回転対称軸のシフトとチルト)は存在しないものとしている。これに限られず、設置誤差を形状データから演算して、設置誤差を補正する測定手順としてもよい。
【0076】
設置誤差を演算する方法は、例えば以下の方法がある。被測定物200の理論式(設計式)を被測定物200の測定データに対して、フィッティングする。これにより、被測定物200の形状データ(Zi、Xi、θi)と被測定物200の理論式との偏差の2乗和を最小とする。そして、フィッティングした後の、被測定物200の理論式と被測定物200の測定データの偏差を求める。演算された偏差を、設置誤差を補正した被測定物200の測定データとして、回転振れの演算に用いる。これにより、被測定物200の設置誤差を補正した回転振れを求めることができ、高精度な3次元形状測定を実現できる。
【0077】
(第2の変形例)
上記実施例1では、回転誤差パラメータをθステージ112の回転軸AXの角度振れ量A(θ)(アンギュラ)と、θステージ112の回転軸AXの角度振れの回転中心位置C(θ)と、X軸方向へのθステージ112の回転軸AXの角度振れの回転中心位置C(θ)における回転軸AXの平行移動量R(θ)(ラジアル)としている。
【0078】
これに対して、本変例では、回転誤差パラメータを以下の3つのパラメータ(1)、(2)、(3)で定義する。
(1)角度振れ量A(θ)
(2)距離L
(3)平行移動量R’(θ)
【0079】
図6は、上記3つのパラメータの関係を示す図である。角度振れ量A(θ)は、θステージ112の回転軸AXの角度振れ量である。平行移動量R’(θ)は、回転軸AXと略直交する平面Pから回転軸AXに沿った方向へ所定距離Lだけ離れた位置における回転軸AXと略直交する方向への回転軸AXcの平行移動量である。
【0080】
このような3つの回転誤差パラメータA(θ)、R’(θ)、Lを定義したとき、回転誤差を考慮した形状データを算出する方法は、まず、形状データをR’(θ)だけX軸方向に平行移動させる。その後、平行移動させたデータを回転軸AXに略直交する平面P(軸)から回転軸AXに平行方向に距離L離れた点を中心に角度A(θ)だけ回転させた座標系へ座標変換すればよい。
【0081】
上記実施例1では、被測定物200の形状を測定するときのプローブ102のX軸方向の走査範囲を−R<X<R(R、Rは任意の正の定数)としている。さらに好ましくは、R=R=R(Rは任意の正の定数)とすることが望ましい。これにより、ステップS704の工程を省略できる。即ち、RとRの値の大小判断、形状データ(Zi、Xi、θi)の中のデータ削除を行う必要が無くなる。この結果、演算処理工程がさらに簡易になる。
【0082】
また、上記実施例1では、収束計算を行う際の回転誤差パラメータとして角度振れ量A(θ)、回転中心位置C(θ)、平行移動量R(θ)を選択している。ここで、回転中心位置C(θ)は、角度θの関数として変動するのではなく、ある位置において固定(固有の値)であると考えることもできる。このときは、回転中心位置C(θ)を定数Cで表しても影響は少ない場合もある。この場合は、繰り返し収束計算を行う中で、最初の1回のみ回転中心位置C(θ)をパラメータとして考え定数Cを求める。これにより、その後の計算ではパラメータを4つ(=6−2)に低減できる。この結果、収束計算が簡易になる。また、定数Cを事前に実験によって求めておき、収束計算の際、最初からパラメータとして加えない方法でも良い。
【0083】
また、収束計算を行う際の回転誤差パラメータとして角度振れ量A(θ)、回転中心位置C(θ)、平行移動量R(θ)を選択している。ここで、θステージ112の回転誤差による測定誤差は角度振れ量A(θ)による影響が大きく、平行移動量R(θ)を無視しても最終データに大きな影響は及ぼさない場合もある。この場合には、平行移動量R(θ)を用いることなく、角度振れ量A(θ)、回転中心位置C(θ)の2つのパラメータで収束計算を行うことができる。この結果、収束計算を簡易にすることができる。
【0084】
さらに、収束計算を行う際の回転誤差パラメータとして角度振れ量A(θ)、回転中心位置C(θ)、平行移動量R(θ)を選択している。ここで、回転中心位置C(θ)を定数Cとして扱い、かつ平行移動量R(θ)を無視しても影響が少ない場合もある。この場合には、収束計算を行う際のパラメータが角度振れ量A(θ)のみとなる。この結果、さらに収束計算を簡易にすることができる。
【0085】
また、上記実施例1では、ステップS706の収束計算の工程において、θ=0°〜180°の範囲で収束計算処理を行っている。さらに好ましくは、θ=0°〜360°の範囲で形状測定を行うことで、算出される回転誤差パラメータの精度を向上できる。
【0086】
また、各角度θにおける収束計算を行うことで、2つの角度θ、θ+180°における回転誤差パラメータを求めることができる。このため、θ=0°〜180°までの範囲で演算処理を行えば、θ=0°〜360°までの各角度において回転誤差パラメータを求めることができる。さらに、θ=180°〜360°までの範囲で同様の処理を行えば、もう一組のθ=0°〜360°までの各角度における回転誤差パラメータが求まる。そして、この二組の回転誤差パラメータを平均化することで、より高精度な回転誤差補正を行うことができる。
【0087】
また、上記実施例1では、θ=0°〜360°までの各角度θに関してそれぞれ独立に回転誤差パラメータを算出している。このため、隣接するθ間での回転誤差パラメータには何の相関関係もない。ここで、実際のθステージ112の回転誤差は、滑らかに変化する周期関数である。このため、隣接するθ間の回転誤差パラメータの差分が一定範囲内に収まるように回転誤差パラメータを算出しても良い。これにより、さらに高精度に回転誤差を補正できる。
【0088】
また、上記実施例1では、被測定物200の形状を測定するとき、プローブ102のX軸方向への走査範囲を、−R→Rのように負から正の方向としている。これに限られず、走査範囲をR→−Rのように正から負の方向としても全く同様な効果が得られる。
【0089】
また、上記実施例1では、Zステージ104とXステージ105の移動量の測定にレーザ測長器106、107を用いている。この測定には、Xステージ104とZステージ105の移動量が測定できれば良い。従って、レーザ測長器に代えて、リニアスケールなど他の手段で代替可能である。さらに、上記実施例1では、接触式プローブを用いているが、非接触式プローブでも全く同様の効果が得られる。
【実施例2】
【0090】
本発明の実施例2に係る3次元形状測定方法を実施する3次元形状測定機の構成は、実施例1と同様の構成である。また、上記実施例1と同一の工程には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0091】
本実施例では、上記実施例1で説明したフローチャートのステップS705までは、実施例1で述べた手順と同一の処理を行う。ただし、被測定物200の形状関数Q、Sから角度θにおける被測定物200の断面形状関数Tθ、Uθを定義する工程は行わない。
【0092】
上記実施例1で述べたように、θステージ112に回転誤差が存在する場合、一般には位置X=−L、角度θ=φにおいて測定されるZ軸方向の変位量と、位置X=L、角度θ=φ+180°において測定されるZ軸方向の変位量とは等しくならない。即ち、Q(−X、θ)とS(X、θ+180°)の間に差が生じる。この差は、回転誤差によるものである。このため、この差を小さく、好ましくはゼロ(0)にすることで回転誤差を補正できる。
【0093】
上述のQ(−X、θ)とS(X、θ+180°)の差をゼロにする方法の例を述べる。まず、QとSの差分を2で割る。次に、その差分を2で割った値をQから減算する。また、その差分を2で割った値をSに加算する。
【0094】
具体的には、データ群N’、P’に属するすべての(Xi、θi)において、
Xi<0のときは、(Q(Xi、θi)−S(−Xi、θi+180°))/2を、
Xi>0のときは、(Q(−Xi、θi+180°)−S(Xi、θi))/2を、
メモリ(不図示)にそれぞれ記憶する。
【0095】
メモリに記憶したパラメータをデータ群N’、P’に属するすべての(Xi、θi)においてデータ群N’から減算する。また、メモリに記憶したパラメータをデータ群P’に加算する。これにより、データ群N’、P’の間の差を解消(相殺)できる。そして、加算、減算処理後のデータ群N’、P’をつなぎ合わせる。この結果、θステージ112の回転誤差を補正した最終データを得ることができる。
【0096】
本実施例では、さらに簡易な計算方法により、短時間での演算処理を実現できる。これにより、回転誤差を補正するための機構を必要とせず、ソフトウェア処理のみによってθステージの回転誤差による測定誤差を補正できる。この結果、安価かつ簡易な構成の装置により、簡便な手順で高精度に3次元形状測定を行うことができる。
【0097】
また、上記実施例1、実施例2では、算出した回転誤差データを用いて、その場で形状データを補正している。しかしながら、本発明はこれに限られず、例えば被測定物として基準球の形状を測定して、このときの回転誤差パラメータを記憶しておくこともできる。そして、他の被測定物を測定したときに、記憶されている回転誤差パラメータを用いて形状を補正する。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変形例をとることができる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上のように、本発明に係る3次元形状測定方法は、安価かつ簡易な構成の装置により、簡便な手順で高精度に3次元形状測定を行うときに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】実施例1に係る3次元形状測定方法を実施する3次元形状測定機の概略構成を示す図である。
【図2】レーザ測長器の原理を示す図である。
【図3】θステージに回転誤差が存在しないときの形状測定を示す図である。
【図4】θステージに回転誤差が存在するときの形状測定を示す図である。
【図5】回転誤差パラメータを説明する図である。
【図6】回転誤差パラメータを説明する他の図である。
【図7】実施例1に係る3次元形状測定方法の手順を説明するフローチャートである。
【図8】従来技術の3次元形状測定機の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
100 3次元形状測定機
101 測定機フレーム
102 プローブ
103 先端球
104 Zステージ
105 Xステージ
106 Zレーザ測長器
106a、107a 測長部
106b、107b プリズム部
107 Xレーザ測長器
108a、108b 直角反射プリズム
109 直角反射プリズム
110 X基準ミラー
111 Z基準ミラー
112 θステージ
113 ロータリーエンコーダ
131 レーザ光源
132 偏光板
133 受光部
141 偏光ビームスプリッタ
142、144 λ/4板
143、145 平面ミラー
146 直角反射プリズム
200 被測定物
A(θ)、R(θ)、C(θ) 回転誤差パラメータ
10 3次元形状測定機
11 光プローブ
12 Zステージ
13 Xステージ
14 θステージ
15 Zレーザ測長器
16 Xレーザ測長器
17a、17b スラストレーザ測長器
18a、18b ラジアルレーザ測長器
19 Z基準ミラー
20a、20b X基準ミラー
21 θロータリーエンコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物を所定の回転軸の周りに回転させる回転工程と、
前記回転軸と略直交する方向について、回転軸の片側にある第1の位置において前記被測定物の形状を測定する第1測定工程と、
前記回転軸と略直交する方向について、回転軸に関して前記第1の位置とは逆側にある第2の位置において前記被測定物の形状を測定する第2測定工程と、
前記第1測定工程で得られた第1の測定データと、前記第2測定工程で得られた第2の測定データとに基づいて前記回転軸の回転誤差を補正するための回転誤差補正値を算出する補正値算出工程と、
前記補正値算出工程で算出された前記回転誤差補正値に基づいて前記被測定物の形状を補正する補正工程と、を有することを特徴とする3次元形状測定方法。
【請求項2】
前記第1測定工程における第1の位置と、前記第2測定工程における第2の位置が、前記回転軸に関して対称な少なくとも一対の位置であることを特徴とする請求項1に記載の3次元形状測定方法。
【請求項3】
前記第1測定工程における第1の位置と前記第2測定工程における第2の位置が前記回転軸と略直交する方向に関して複数の位置であることを特徴とする請求項1または2に記載の3次元形状測定方法。
【請求項4】
前記第1測定工程における第1の位置は、回転軸の片側のある位置から回転軸までの連続位置であり、前記第2測定工程における第2の位置は、回転軸から回転軸に関して第1の位置とは逆側のある位置までの連続位置であることを特徴とする請求項1に記載の3次元形状測定方法
【請求項5】
前記補正値算出工程において、前記回転誤差補正値として前記第1の測定データと前記第2の測定データとの差分を算出し、
前記補正工程において、前記差分が最小値となる回転誤差補正値を算出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の3次元形状測定方法。
【請求項6】
前記補正工程では、回転誤差補正値を多項式で表し、前記第1の測定データと前記第2測定データとの差分を最小値にするような前記多項式の係数を算出することを特徴とする請求項5に記載の3次元形状測定方法。
【請求項7】
前記回転誤差補正値は、前記回転軸の角度振れ量と、前記回転軸の角度振れの回転中心位置と、前記回転軸と略直交する方向への前記回転中心位置における前記回転軸の平行移動量であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の3次元形状測定方法。
【請求項8】
前記回転誤差補正値は、前記回転軸の角度振れ量と、前記回転軸と略直交する所定の平面から前記回転軸に沿った方向へ所定距離だけ離れた位置における前記回転軸と略直交する方向への前記回転軸の平行移動量と、前記所定距離とであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の3次元形状測定方法。
【請求項9】
前記第1の位置と前記第2の位置とは、それぞれ前記回転軸に対して略対称であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の3次元形状測定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−322868(P2006−322868A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−147609(P2005−147609)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】