説明

3次元画像を取得するための方法

3次元画像を取得するための方法である。静止して第1の姿勢にある対象の始点ボリューム画像を取得する。対象が第1の姿勢と第2の姿勢との間で動いた時に、対象の1つ以上の2次元画像を取得する。静止して第2の姿勢にある対象の終点ボリューム画像を取得する。第1の姿勢と第2の姿勢との間の対象の位置を表す、少なくとも1つの中間ボリューム画像を形成するために、1つ以上の取得した2次元画像に従って、少なくとも始点ボリューム画像を修正する。少なくとも1つの中間ボリューム画像を表示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ボリューム撮像の分野に関し、より具体的には、診断または他の目的で3次元ボリューム画像の運動画像シーケンスを提供するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元ボリューム撮像は、内部構造および器官の状態を評価するための初期の2次元放射線写真撮像技術を越える顕著な利点を提供する、有益な診断ツールであることが証明されている。患者または他の対象の3次元撮像が、複数の画像を高速に連続して撮像する、デジタル放射線写真撮影(DR)検出器等の、高速撮像検出器の開発を含む、いくつかの進歩によって可能になってきた。
【0003】
コーンビームコンピュータ断層撮影(CBCT)またはコーンビームCT技術は、3次元ボリューム画像を提供するための診断ツールの一種として、かなりの将来性を提供する。コーンビームCTシステムは、高フレームレートフラットパネルのデジタル放射線写真撮影(DR)検出器、および撮像される物体の周りを回転するガントリーに取り付けられるX線源を使用することによって、ボリュームデータセットを取り込む。CBCTシステムは、回転を通して、例えば回転度ごとに1つの2次元投影画像といった、投影を取り込む。投影は、次いで、種々の技術を使用して、3次元ボリューム画像に再構築される。3次元ボリューム画像を再構築するための最も一般的な方法のうちの1つは、フィルタ逆投影法である。
【0004】
CBCTおよび他のボリューム撮像技術の1つの制限は、大部分の用途について、これらの技術が、静止画像、すなわち、患者または他の対象が静止位置に保持される画像だけしか提供しないことである。例えば、膝、肩、および足首等の関節の状態を診断する場合等の、いくつかの医療用途の場合には、運動中の3次元ボリューム画像を再構築する能力にかなりの臨床的な価値があることになる。そのような画像は、例えば、術前計画等の診断機能のために、または術後の治癒および回復を評価するために、整形外科医によって使用される。運動中の3次元ボリューム画像を取得する能力の利益を享受することになる他の用途としては、例えば、歯科学的および獣医学的撮像、ならびに非破壊試験(NDT)が挙げられる。現在、3次元で放射線写真用の運動シーケンスを生成するために利用可能な実用的な方法はない。動いている対象のボリューム画像を連続的に取得する等の従来の方法は、設置時間、ならびに計算および画像処理リソースのかなりの消費を必要とするだけでなく、これらの方法は、非常に遅い速度まで減速させる等の、動きの人為的な抑制を引き起こす可能性もある。さらに、医療診断用撮像の場合、3次元運動画像シーケンスのための十分な画像を提供するために必要な累積放射線照射レベルが、そのような連続ボリューム撮像手法では許容できないものとなる可能性がある。
【0005】
したがって、DR能力を使用した従来のボリューム撮像には相当な価値があるが、診断医が、運動中の患者のボリューム画像を見ることができるようにする、時系列的な第4次元を提供するための強化された能力が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,999,587号
【特許文献2】米国特許第5,270,926号
【特許文献3】米国特許第7,006,683号
【特許文献4】米国特許第7,263,243号
【特許文献5】米国特許第7,184,071号
【特許文献6】米国特許第6,873,724号
【特許文献7】米国特許第7,620,254号
【特許文献8】米国特許第7,548,664号
【特許文献9】米国特許第7,280,710号
【特許文献10】米国特許出願公開第2009/0103791号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、多数の3次元ボリューム画像を含むが、完全な3次元露出および画像処理手順を使用したシーケンスにおいて全ての3次元画像を取得するという要件を伴わない、運動シーケンスを提供することによって、診断用ボリューム撮像の技術を進歩させることである。
【0008】
これらの目的は、単なる例示的な実施例として与えられており、そのような目的は、本発明の1つ以上の実施形態の例示的なものであってもよい。開示された本発明によって本質的に達成される他の望ましい目的および利点が生じるか、または当業者に明らかにな
る場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、少なくとも部分的にコンピュータシステム上で実行される、3次元画像を取得するための方法であって、静止して第1の姿勢にある対象の始点ボリューム画像を取得することと、対象が第1の姿勢と第2の姿勢との間で動いた時に、対象の1つ以上の2次元画像を取得することと、静止して第2の姿勢にある対象の終点ボリューム画像を取得することと、第1の姿勢と第2の姿勢との間の対象の位置を表す、少なくとも1つの中間ボリューム画像を形成するために、1つ以上の取得した2次元画像に従って、少なくとも始点ボリューム画像を修正することと、少なくとも1つの中間ボリューム画像を表示することと、を含む、方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の利点は、既存のボリューム撮像装置に既に提供されているものに加えて新しいハードウェアを必要とせずに、対象の動きを3次元で示す、運動シーケンスを提供することである。したがって、3次元運動シーケンスは、より高コストの撮像機器を使用するのではなく、画像処理ソフトウェアを使用して取得される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の上述の、および他の目的、特徴、および利点は、添付図面で例証されるように、以下の本発明の実施形態のより詳細な説明から明らかになるであろう。図面の要素は、必ずしも互いに一定の縮尺ではない。
【図1】3次元ボリューム画像を形成するために使用される個々の2次元画像を取得するためのCBCT撮像装置の動作を示す、概略図である。
【図2】本発明の実施形態による運動3次元ボリューム画像の再構成に必要とされる画像を取得するための撮像シーケンスを示す、概略図である。
【図3】同期がとられたシーケンスの4次元表現のための中間ボリューム画像を形成するために、図2の撮像シーケンスをどのように使用するのかを示す、概略図である。
【図4】同期がとられたシーケンスの4次元表示に使用される画像データを取得するために使用されるステップのシーケンスを示す、論理流れ図である。
【図5】一実施形態における運動シーケンスの一部として使用される中間3次元画像を生成するために使用されるステップのシーケンスを示す、論理流れ図である。
【図6A】運動シーケンスの中間3次元画像を形成するために使用される2次元画像を取得するためのシーケンスにおける、デジタル検出器の1つの配置を概略的に示す、上面図である。
【図6B】運動シーケンスの中間3次元画像を形成するために使用される2次元画像を取得するためのシーケンスにおける、デジタル検出器の代替の配置を概略的に示す、上面図である。
【図6C】運動シーケンスの中間3次元画像を形成するために使用されるシーケンスで2次元画像を取得するためのデジタル検出器の別の代替の配置を概略的に示す、上面図である。
【図6D】運動シーケンスの中間3次元画像を形成するために使用される2次元画像を取得するためのシーケンスにおける、デジタル検出器のさらに別の代替の配置を概略的に示す、上面図である。
【図6E】始点のボリューム画像と終点のボリューム画像との間の画像取り込みシーケンスにおけるいくつかの時点で付加的なボリューム画像が取得される、代替の撮像シーケンスを概略的に示す、上面図である。
【図7】運動シーケンスの中間3次元画像を形成するために使用される2次元画像を取得する際の基準点の使用を示す、概略側面図である。
【図8】一実施形態において対象の動きをガイドするためのガイドの使用を示す、概略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下は、好ましい実施形態の詳細な説明であり、複数の図のそれぞれにおいて同じ参照番号が構造体の同じ要素を特定する、図面を参照する。
【0013】
本開示の本文では、「同期がとられたシーケンスの4次元表現」という句は、「3次元運動画像」という句と機能的に同等である。3つの次元は、ボリューム3次元画像を画定するために使用される従来の直交ベクターに関連し、一般的に、3つの直交するx軸、y軸、およびz軸に沿って示され、表現される。第4の次元は、時間である。
【0014】
本発明の装置および方法は、CBCT撮像システムおよびシーケンスに関して説明される。好都合に、本発明の方法は、CBCT撮像に使用される従来の撮像シーケンスにいくらかの修正を必要とするが、既存のCBCT撮像機器を使用して実行することができる。しかしながら、本明細書で説明される方法および手順は、3次元ボリューム画像を生成する他の種類の撮像システムと類似した方法で使用することが可能であることを強調しておかなければならない。本発明の方法は、撮像システムから取得される3次元ボリューム画像データを、同じシステムから取得される、または代替の撮像システムおよび装置から取得される2次元画像データと組み合わせる。2次元画像データは、3次元運動画像を提供するために、3次元ボリューム画像データを修正するために使用される時間および運動関連の情報を提供する。結果として生じた3次元運動画像は、代替として「4次元」画像と称され、第4の次元は、時間に関連する。
【0015】
そのようなシステムを使用して3次元ボリューム画像を取得するために使用されるCBCT撮像装置および撮像アルゴリズムは、診断用撮像技術でよく知られており、したがって、本出願では詳細に説明しない。CBCT撮像装置の操作で取得される2次元画像源から3次元ボリューム画像を形成するための、いくつかの例示的なアルゴリズムは、例えば、Ningらへの「Method of and System for Cone−Beam Tomography Reconstruction」という名称の米国特許第5,999,587号、およびTamへの「Method and Apparatus for Reconstructing a Three−Dimensional Computerized Tomography(CT) Image of an Object from Incomplete Cone Beam Data」という名称の米国特許第5,270,926号に見出すことができる。一般的な適用では、画像データを取得、処理、および記憶するためのコンピュータまたは他の種類の専用論理プロセッサは、画像結果を見るための1つ以上のディスプレイとともに、CBCTシステムの一部分である。
【0016】
好都合に、本発明の方法は、特定の、もしくはCBCTシステム、または4次元撮像機能専用である他の撮像装置を必要とせず、既存の種々の種類の撮像システムとともに使用することができる。本発明の方法は、後でさらに詳細に説明するように、3次元運動画像を取得するために、強化された撮像シーケンスを用いている。
【0017】
図1の概略図を参照すると、3次元ボリューム画像を形成するために使用される個々の2次元画像を取得するための従来のCBCT撮像装置の動作が、簡素化された形態で示されている。コーンビーム放射線源22は、円錐状の放射線を、運動の撮像が必要とされる患者または他の対象等の、対象20に向かって方向付ける。360度の回転において1度の角度のきざみにつき1つの画像などのように、一連の画像が、対象の周りで様々な角度で高速に連続して取得される。DR検出器24は、放射線源22の対応する動きと協調して、対象20の周りで異なる撮像位置まで動く。図1は、これらの画像が対象20の位置に対してどのように取得されるのかを例証するために、DR検出器24の代表的なサンプリング位置を示す。必要とされる2次元投影画像がこのシーケンスで取り込まれると、3次元ボリューム画像を生成するために、フィルタ逆投影または他の従来の技術等の好適な撮像アルゴリズムが使用される。
【0018】
背景技術の項で前述したように、CBCT撮像装置によって従来取得される3次元ボリューム画像は、静止画像である。対象20は、固定姿勢であり、多数の個々の2次元投影画像からボリューム画像を再構築するタスクを妨げる、あらゆる動きが抑制される。
【0019】
本発明の方法は、付加的な2次元画像を取り込み、次いで、これを3次元運動画像を再構築するために用い、それによって、4次元画像を形成するように、CBCTシステム能力を強化する。図2の概略図を参照すると、3次元運動画像を生成するためのシーケンスが示されている。以下の実施例では、本発明の手順を例証するために、人間の膝の3次元運動画像を取得するためのシーケンスを一例として使用する。他の四肢または人間解剖学的な部分の撮像、ならびに動きの分析が有用である他の有生または無生の対象の撮像を含む、他の対象を撮像するために、類似したシーケンスを使用できることを理解することができる。背景技術の項で前述したように、本発明の方法は、例えば、非破壊試験(NDT)、歯科用撮像、または獣医学的撮像、ならびに医療診断用撮像用途で使用することができる。
【0020】
図2のシーケンスでは、左から右に時間が表され、始点ボリューム画像30は、図1を参照して説明したように、最初に、CBCT撮像シーケンスを使用して取得される。この画像を取得するために、対象20は、始点姿勢で静止して、左側に示される。次いで、対象20が、始点姿勢位置から最終または終点位置での別の静止姿勢まで動く間に、高速に連続して、一連の個々のX線2次元投影画像等の一連のN個の連続した2次元画像32が取り込まれる。図2の実施例では、2次元画像32が取得されるのとともに、患者の膝は、始点から終点位置まで屈曲する。2次元画像32の画像の取り込みの割合は、例えば、1秒あたり10、20、または30個の画像などのように、ある範囲にわたる適切な値に変化させることができる。この画像取り込みシーケンスを終了させるには、同じように対象20が静止して終点姿勢にある状態で、CBCTシステムを使用して終点ボリューム画像40を取得する。
【0021】
図3の概略図は、図2のシーケンスを使用して取得される撮像結果の処理シーケンスを示す。処理は、コンピュータ50上で実行されるが、これは、数多くの種類のコンピュータ、コンピュータワークステーション、マイクロプロセッサ、専用ホストプロセッサ、ネットワーク化されたプロセッサ(複数可)、または他の論理処理装置のうちのいずれかであってもよい。コンピュータ50には、コンピュータハードウェアの一部として、または別個の構成要素として、画像の記憶およびデータ操作動作のためのワークスペースを提供する電子メモリが関連付けられる。この方法を実行するコンピュータプログラム製品は、例えば、磁気ディスクもしくは磁気テープ等の磁気記憶媒体、光ディスク、光学テープ、もしくは機械で読み取り可能なバーコード等の光学記憶媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)もしくはリードオンリーメモリ(ROM)等の固体電子記憶装置、または1つ以上のコンピュータを制御して本発明による方法を実践するための命令を有するコンピュータプログラムを記憶するために用いられる、任意の他の物理的デバイスもしくは媒体といった、1つ以上の記憶媒体を含んでもよい。ディスプレイ52は、コンピュータ50と関連付けられ、図3の処理シーケンスを開始および制御するオペレータコマンドを入力するために、および本発明に従って生成された運動3次元画像を表示する等の、処理結果を表示するために使用することができる。
【0022】
図3のシーケンスに従って、始点ボリューム画像30から始まり、一連の中間ボリューム画像36が、2次元画像32の連続から取得された動き情報を使用して生成される。t、t、...、tという表記は、本明細書では、対応する時間t、t、...、tで取り込まれた2次元画像32の順序付けされたシーケンスを表すために使用される。この処理を使用して組み立てられる、3次元画像の順序付けされたシーケンス54として示される、結果として生じる3次元運動画像は、始点ボリューム画像30から始まり、各中間ボリューム画像36を順々に含み、終点ボリューム画像40で終了する、順序付けされたシーケンスに対応する。この3次元運動画像は、コンピュータ50の一部である、または別の方法でコンピュータ50と関連付けられる、コンピュータがアクセス可能な電子メモリに記憶することができ、高解像度のディスプレイモニタ等の上に表示することができる。
【0023】
中間ボリューム画像36が形成されると、再構築されたボリューム画像から2次元画像を抽出することを可能にするデジタル再構築放射線写真撮影(DRR)等の画像操作技術を、結果として生じる3次元ボリュームデータに使用することができる。2次元画像抽出のためのDRR法および技術は、ボリューム撮像技術の当業者によく知られている。
【0024】
好都合なことに、始点ボリューム画像30、順に並んだN+1個の中間ボリューム画像36、および終点ボリューム画像40、またはこれらのボリューム画像のサブセットから成る、3次元画像の順序付けされたシーケンス54を、記憶し、適切な速度で再生および再度再生し、一時停止し、また逆に再生することができる。始点ボリューム画像30および終点ボリューム画像40、ならびに個々の中間ボリューム画像36は、好適な角度で個々に見ることができ、診断目的で使用することができる。例えば、膝の例を物体20として使用すると、図3に示されるように取得された3次元画像の順序付けされたシーケンスの動画の再生は、施術者が、例えば、側方、前方、および後方から運動中の膝の機能を観察するなどのように、任意の適切な角度から関節の動きを観察することを可能にする。
【0025】
図4は、図2を参照して説明されるパターンに従う、同期がとられたシーケンスの4次元表現のために使用される画像データを収集するための例示的な一連のステップを示す、論理流れ図である。最初のステップS100は、始点ボリューム画像Mを取得する。この後に、図4でループ操作として示される繰り返しシーケンスは、次いで、N個の2次元投影画像を獲得する。カウンタ初期化ステップS110は、ループの反復および終了を制御するために、カウンタ値nを初期化する。取り込みステップS120で、各2次元投影画像tが取り込まれる。次いで、試験ステップS130およびループカウンタ増加ステップS140が、ループ制御のために実行される。最後に、終点ボリューム画像取り込みステップS150は、終点ボリューム画像40を取得する。
【0026】
再度図3を参照すると、必要である2次元画像32の数Nは、対象20の複雑さ、取り込まれる運動の相対速度、DR検出器24の応答時間、および他の要因等の、種々の要因に基づくことができることを理解することができる。同様に、時間tの間隔も変動させることができる。例えば、動いている間の対象20の特徴の特定の関係等の要因に基づいて、一連の中の任意の2つの2次元画像32を取り込む間隔のタイミングを変動させることが有利である場合がある。
【0027】
図4の一連のステップを使用してデータが収集されたと仮定すると、図5の論理流れ図は、一実施形態では、図3を参照して前述したように、運動シーケンスの一部として使用されるN+1個の中間3次元ボリューム画像36を生成するために使用される、例示的な一連のステップを示す。ループ初期化ステップS200は、以降の繰り返しシーケンスを制御するためのカウント値qをリセットする。次いで、摂動ステップS210は、連続した中間3次元ボリューム画像36のそれぞれを生成するために、tq+1において撮像された2次元投影画像から取得される相対運動データを使用して、ボリューム画像Mを修正する。次いで、増加ステップS220および試験ステップS230は、ループの繰り返しおよび終了を行うが、N+1個の中間3次元ボリューム画像36を生成する必要に応じて何度も摂動ステップS210を繰り返す。最後に、最終ステップS240は、一連の中の最後の中間3次元ボリューム画像MN+1を生成するために、終点ボリューム画像MN+2を使用して、中間3次元ボリューム画像Mの修正を行う。
【0028】
図4および図5に示される論理流れ図は、本発明の一実施形態の一連のステップを示すために提供される、例示的なものであり、類似した結果を提供するために、他のシーケンスを使用することが可能であることに留意されたい。例えば、必要とされる3次元摂動を行うために必要とされるデータを取得するために、複数の2次元画像32からのデータを組み合わせるための種々の技術を使用することが可能である。運動予測技術は、例えば、適切な運動ベクトルを提供する等のために、多数の2次元投影画像を組み合わせることから利益を享受する場合がある。
【0029】
図6A、図6B、図6C、および図6Dは、可能な撮像シーケンスの配列のいくつかを概略的に示す、上面図である。これらの図に示される配置のそれぞれは、図3および図4を参照して前述したように、運動シーケンスの中間3次元ボリューム画像を形成するために使用される2次元画像32を取得するために、患者の周りの異なる空間配向でデジタル放射線写真撮影検出器24を用いている。始点ボリューム画像30の始点の姿勢と終点ボリューム画像40の終点の姿勢との間で動いている間の切り取り断面上面図において、患者の膝は、ここでも対象20として表される。図6Aの配置では、DR検出器24は、各中間位置で対象20の側方視野を提供するために、固定位置に維持される。図6Bの配置は、膝を撮像するために前後位置に交互に維持されるDR検出器24を示す。図6Cの配置では、2つのDR検出器24が使用され、2次元投影画像は、側方および前方から、例えば同時に、撮像される。図6Dの配置では、対象20が動くのにしたがい、異なる角度からの一連の視野で2次元画像32を取得するために、DR検出器24が弧状に動いて、円弧の走査パターンが提供される。
【0030】
図6Eは、付加的なボリューム画像35が、運動シーケンスを開始および終了する第1の姿勢と第2の姿勢との間に入る第3の姿勢位置で取得される、代替の撮像シーケンスを概略的に示す、上面図である。この代替のシーケンスは、例えば、シーケンスのいくつかの部分の間の運動に特に関心がある場合に役立つ可能性がある。
【0031】
図6A〜図6Eの例示的な配置は、限定的なものではなく、始点ボリューム画像30と終点ボリューム画像40との間の2次元画像投影を取得するために使用することができる、種々の配向およびシーケンスの変形例のいくつかを例証するために与えられていることを理解することができる。ある用途のための適切な配置の選択は、示されるような膝の屈曲中等の、動きサイクルの一部の間の運動情報を取得するための最適な角度等の要素に基づくことができる。膝の動きの場合、例えば、特定の角度から取得された2次元投影画像は、関心の領域に対する、中間ボリューム画像を形成する摂動を行うのに最も有用なデータを提供する場合がある。アクセシビリティおよび他の要因もまた、どの種類のDR検出器24の配置が所与の適用において最も有用なのかを決定付ける場合がある。
【0032】
これまで述べてきたように、CBCT撮像は、3次元運動シーケンスを使用することができる画像モダリティの1種に過ぎない。始点ボリューム画像30および終点ボリューム画像40、ならびに任意の付加的なボリューム画像35について取得される3次元ボリュームデータは、代替的に、磁気共鳴撮像(MRI)、超音波ボリューム撮像、陽電子放出断層撮影(PET)、磁性粒子撮像(MPI)、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)、または何等かの他のボリューム撮像技術を使用する装置を含む、何等かの他の種類のボリューム撮像システム上で取得することができる。図6Eに関して、例えば、ボリューム画像30、35、および40は、単一の撮像システム上でまたは2つ以上の異なるボリューム撮像装置上で取得することができる。
【0033】
同様に、デジタル放射線写真撮影(DR)検出器の使用に加えて、数多くの2次元撮像モダリティを、図1のCBCTシステムと同様に利用することができる。例えば、本発明の方法のための適切な画像データを提供することができる2次元撮像モダリティのうちのいくつかとしては、2次元X線撮像および超音波撮像が挙げられる。加えて、可視光および赤外線画像を、代替的に2次元画像として使用することができる。例えば、好適に位置付けられたカメラを使用して取得される可視光画像は、1つ以上のボリューム画像を修正する際に使用するのに十分な情報を提供する場合がある。加えて、2つ以上の2次元撮像モダリティを2次元画像32に使用することができる。したがって、図3に関して、時間t、t、...、tにおいて患者が動いている間の2次元画像32を提供するために、多数の適切な2次元撮像様式を種々の組み合わせで使用することができる。
【0034】
種々の空間的参照点もまた、2次元画像32からのボリューム画像再構築のタスクに役立つ場合がある。図7は、運動シーケンスの中間3次元画像を形成するために使用される2次元画像32を取得する際の基準点要素42の使用を示す、概略側面図である。種々の種類および配置の基準点要素42を、ここでも撮像されている対象20および撮像シーケンスの各部分についてのDR検出器24の相対的配向に基づいて、対象20と関連付けることができる。基準点要素42は、撮像した時に、非常に高密度にする、または独特の外観を有することが可能である。基準点要素42は、患者もしくは他の対象20にテープ止めするか、または何らかの方法で適切な面に固定することが可能である。ブレースまたは他の種類のデバイスもまた、この目的に使用することができる。代替的に、埋め込まれた物体、または塗布もしくは注入された物質を基準点要素として使用することが可能である。
【0035】
3次元運動シーケンスを取得するのに役立つ別の付属物は、動きが好ましい経路に沿って行われるように、ガイダンスを提供するためのデバイスである。図8は、一実施形態において対象の動きをガイドするためのガイド44の使用を示す、概略側面図である。この実施例では、ガイド44は、一種のヒンジ付ブレースとして表される。代替のガイド機構を使用することができる。ガイド44はまた、撮像される対象20の動き速度を制御するために使用されてもよい。
【0036】
2次元投影画像から取得されるデータに基づく3次元ボリューム画像の摂動は、3次元画像再構築技術の当業者に知られている種々の技術を使用して対処することができる、補間問題である。図5のシーケンスが示すように、2次元投影画像データは、中間ボリューム画像内の特徴の位置を調整するための制約を提供する。全体として、画像補間の問題は、3次元ボリューム画像をその元の2次元データから最初に形成する際の再構築のために解決される一連の問題に、少なくともある程度は密接に関連している。
【0037】
必要とされる補間を行うための3次元画像ボリュームに2次元画像データを相関させるために、種々の技術を使用することができる。例えば、最大化された相互情報は、画像の座標系を参照画像に関連付けるために使用される1つの手法であり、それと参照画像との間の相互情報が最大化されるまで、画像を反復的に変形させる。画像登録のための相互情報の使用は、例えば、本願と同一譲受人に譲渡された、Chenへの「METHOD OF IMAGE REGISTRATION USING MUTUAL INFORMATION」という名称の米国特許第7,263,243号で説明されている。
【0038】
画像変形の当業者にはよく知られている3次元画像モーフィングユーティリティおよび技術を、一種の3次元画像モーフィングプロセスとして中間ボリューム画像36を生成する問題に適合させることができる。ボリューム画像のモーフィングおよびワーピングのためのツールおよび手法の実施例の中には、Proceedings of the 22nd annual Conference on Computer Graphics and Interactive Techniques(1995)の449〜456ページに提示された、研究者Apostolos Lerios、Chase D.Garfinkle、およびMarc Levoyらの「Feature−Based Volume Metamorphosis」により説明されているものがある。一連の画像において物体を追跡する時に3次元物体をボリュームモーフィングおよび変形のための技術および手法の例は、Brandへの「MODELING SHAPE,MOTION,AND FLEXION OF NON−RIGID 3D OBJECTS IN A SEQUENCE OF IMAGES」という名称の米国特許第7,006,683号で与えられる。
【0039】
本明細書で説明するように取得された3次元画像の順序付けされたシーケンスを記憶するためには、相当な量のデータ記憶空間が必要とされる可能性がある。生成されたN+3個のボリューム画像のそれぞれを提供するために記憶しておく必要があるデータの全体量を低減するために、種々の画像モデリング技術を使用することができる。
【0040】
以下の説明では、本発明の好ましい実施形態をソフトウェアプログラムとして説明する。当業者は、そのようなソフトウェアの均等物がまた、ハードウェアで構成されてもよいことを認識するであろう。画像操作アルゴリズムおよびシステムは周知であるので、この説明は、特に、本発明に従う方法の一部、またはそれとともにより直接的に協働するアルゴリズムおよびシステムに向けられことになる。そのようなアルゴリズムおよびシステムの他の態様、ならびにそれらと関連する画像信号を生成するか、別の方法で処理するハードウェアおよび/またはソフトウェアは、本明細書では具体的に示されることも説明されることもないが、当技術分野で知られているそのようなシステム、アルゴリズム、構成要素、および素子から選択されてもよい。
【0041】
コンピュータプログラム製品は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク等)もしくは磁気テープ等の磁気記憶媒体、光ディスク、光学テープ、もしくは機械で読み取り可能なバーコード等の光学記憶媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)もしくはリードオンリーメモリ(ROM)等の固体電子記憶装置、または1つ以上のコンピュータを制御して本発明による方法を実践するための命令を有するコンピュータプログラムを記憶するために用いられる、任意の他の物理的デバイスまたは媒体といった、1つ以上の記憶媒体を含んでもよい。
【0042】
前述した方法は、フローチャートを参照して説明することができる。フローチャートを参照することによって本方法を説明することで、当業者は、本方法を好適なコンピュータ上で実行するためのそのような命令を含む、そのようなプログラム、ファームウェア、またはハードウェアを開発して、コンピュータが読み取り可能な媒体からの命令を実行することが可能となる。同様に、サービスコンピュータプログラム、ファームウェア、またはハードウェアによって行われる本方法はまた、コンピュータで実行可能な命令から成る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的にコンピュータシステム上で実行される、3次元画像を取得するための方法であって、
静止して第1の姿勢にある対象の始点ボリューム画像を取得することと、
前記対象が前記第1の姿勢と第2の姿勢との間で動くのにともない、前記対象の1つ以上の2次元画像を取得することと、
静止して前記第2の姿勢にある前記対象の終点ボリューム画像を取得することと、
前記第1の姿勢と前記第2の姿勢との間の前記対象を表す、少なくとも1つの中間ボリューム画像を形成するために、前記1つ以上の取得した2次元画像に従って、少なくとも前記始点ボリューム画像を修正することと、
前記少なくとも1つの中間ボリューム画像を表示することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記1つ以上の取得した2次元画像に従って、前記少なくとも1つの中間ボリューム画像を修正することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記始点ボリューム画像を取得することは、コーンビームCT撮像システムから前記始点ボリューム画像を再構築することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記始点ボリューム画像は、磁気共鳴撮像システム、超音波ボリューム撮像システム、陽電子放出断層撮影システム、磁性粒子撮像システム、および単光子放出コンピュータ断層撮影システムから成る群から選択される撮像システムから取得される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記対象の前記1つ以上の2次元画像を取得することは、2次元X線画像、超音波画像、可視光画像、および赤外線画像のうちの1つ以上を取得することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記対象が前記第1の姿勢と前記第2の姿勢との中間の中間姿勢で静止している、第3のボリューム画像を取得することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記始点ボリューム画像を修正することは、補間を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
1つ以上の基準点要素を前記対象と関連付けることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上の基準点要素は、注入された物質を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記対象の動きのためのガイドを提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの中間ボリューム画像を表示することは、前記始点ボリューム画像から始まり、前記少なくとも1つの中間ボリューム画像を含み、前記終点ボリューム画像で終わる、一連の画像を連続して表示することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの中間ボリューム画像は、第1の中間ボリューム画像であり、少なくとも第2の中間ボリューム画像があり、前記第2の中間画像は、前記1つ以上の取得された2次元画像に従って、前記第1の中間ボリューム画像を修正することによって形成される、請求項1に記載の方法。

【請求項13】
第3の中間ボリューム画像があり、前記第3の中間画像は、前記終点ボリューム画像に従って、前記第2の中間ボリューム画像を修正することによって形成される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの中間ボリューム画像をコンピュータがアクセス可能なメモリに記憶することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記終点ボリューム画像を取得することは、コーンビームCT撮像システムから前記終点ボリューム画像を再構築することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−517837(P2013−517837A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550008(P2012−550008)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【国際出願番号】PCT/US2011/000047
【国際公開番号】WO2011/090775
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(507224587)ケアストリーム ヘルス インク (76)
【Fターム(参考)】