説明

4−ピロリジノ−フェニル−ベンジルエーテル誘導体

ラセミの、又は鏡像異性体的に純粋な、式(I)の4−ピロリジノ誘導体、その調製方法、該誘導体を含む医薬組成物、並びに疾患、例えばモノアミンオキシダーゼBによって媒介されるもの、特にはアルツハイマー病又は老人性の認知症の予防及び治療におけるその使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラセミの、又は鏡像異性体的に純粋な、式Iの4−ピロリジノ誘導体、その調製方法、該誘導体を含む医薬組成物、並びに疾患の予防及び治療におけるその使用に関する。
【0002】
より特定的には、本発明は、式I:
【0003】
【化6】

【0004】
〔式中、
X−Yは、−CH2−CH2−、−CH=CH−又は−CH2−O−;
1、R1.1及びR1.2は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、(C1−C6)−アルキル、ハロゲン−(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシ又はハロゲン−(C1−C6)−アルコキシよりなる群から選択され;
21、R22及びR23は、互いに独立して、水素及びハロゲンよりなる群から選択され;
24は、水素、ハロゲン又はメチルであり;
3は、水素であり;
4は、−CONHR5、−CN又は−NHR6であり;
5は、水素又は(C1−C3)−アルキルであり;そして
6は、−CO−H、−CO−(C1−C6)−アルキル、−CO−ハロゲン−(C1−C3)−アルキル、−CO−O−(C1−C3)−アルキル、−CO−NH2又は−SO2−(C1−C6)−アルキルである〕の化合物、並びにその各々の異性体、ラセミ混合物又は非ラセミ混合物に関する。
【0005】
さらにより特定的には、本発明は、式I
【0006】
【化7】

【0007】
〔式中、
1は、ハロゲン、ハロゲン−(C1−C6)−アルキル、シアノ、(C1−C6)−アルコキシ又はハロゲン−(C1−C6)−アルコキシであり;
21、R22、R23及びR24は、互いに独立して、水素及びハロゲンよりなる群から選択され;
3は、水素であり;
4は、−CONHR5、−CH2CN、−CN又は−NHR6であり;
5は、水素又は(C1−C3)−アルキルであり;そして
6は、−CO−(C1−C6)−アルキル又は−SO2−(C1−C6)−アルキルであり;そして
nは、0、1、2又は3である〕の化合物、並びにその各々の異性体、ラセミ混合物又は非ラセミ混合物に関する。
【0008】
一般式I及びI、並びにその各々の異性体、ラセミ混合物又は非ラセミ混合物(以下、活性化合物という)は、選択的モノアミンオキシダーゼBインヒビターであることが見出された。
【0009】
モノアミンオキシダーゼ(MAO、EC1.4.3.4)は、ドーパミン、セロトニン、アドレナリン、又はノルアドレナリンのような内因性モノアミン神経伝達物質、並びに微量アミン類、例えば、フェニルエチル−アミン、更には幾つかのアミン生体異物の酸化的脱アミノ化を担当するフラビン含有酵素である。この酵素は、異なる遺伝子にコードされ[Bachら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:4934-4938 (1988)]、そして組織分布、構造及び基質特異性が異なる、2つの形態、MAO−A及びMAO−Bとして存在する。MAO−Aは、セロトニン、オクトパミン、アドレナリン、及びノルアドレナリンに対する高い親和性を有するが;一方MAO−Bの天然基質は、フェニルエチルアミン及びチラミンである。ドーパミンは、両方のアイソホームにより酸化されると考えられる。MAO−Bは、脳を含む幾つかの臓器に広く分布している[CesuraとPletscher, Prog. Drug Research 38:171-297 (1992)]。脳MAO−B活性は、年齢と共に上昇するようである。この上昇は、加齢に伴うグリオーシスに起因すると考えられている[Fowlerら, J. Neural. Transm. 49:1-20 (1980)]。更に、MAO−B活性は、アルツハイマー病の患者の脳で有意に高く[Dostertら, Biochem. Pharmacol. 38:555-561 (1989)]、そして老人斑の周囲の星状細胞において高度に発現されることが見い出されている[Sauraら, Neuroscience 70:755-774 (1994)]。これに関連して、MAOによる第1級モノアミン類の酸化的脱アミノ化によって、NH3、アルデヒド及びH22(確立した毒性又は潜在的毒性を持つ物質)が生じるため、認知症及びパーキンソン病の処置のための選択的MAO−Bインヒビターの使用には論理的根拠があることが示唆されている。MAO−Bの阻害は、ドーパミンの酵素的不活化の減少を引き起こし、よってドーパミン作動性ニューロンにおける神経伝達物質の利用可能性の延長を引き起こす。加齢並びにアルツハイマー病及びパーキンソン病に伴う変性プロセスもまた、MAO活性の上昇と、結果としてのMAO−BによるH22の生成の増大による酸化的ストレスに起因するかもしれない。したがって、MAO−Bインヒビターは、酸素ラジカルの生成を減少させることと、脳におけるモノアミン類のレベルを上昇させることの両方によって作用することができる。
【0010】
上述の神経障害へのMAO−Bの関与を仮定すれば、この酵素活性の支配を可能にする強力かつ選択的なインヒビターを入手することは非常に重要である。幾つかの既知のMAO−Bインヒビターの薬理学は、例えば、Bentue-Ferrerら[CNS Drugs 6:217-236 (1996)]により考察されている。不可逆的かつ非選択的MAOインヒビター活性の主な限界は、食餌由来のチラミンが摂取されると高血圧性クリーゼを誘導するリスクのため、更には他の薬物療法との相互作用の可能性のため、食餌上の予防措置を遵守することが必要なことである[Gardnerら, J. Clin. Psychiatry 57:99-104 (1996)]が、これらの有害反応は、可逆的かつ選択的MAOインヒビター(特にMAO−Bの)ではあまり懸念されることはない。よって、高い選択性を持ち、かつ酵素に対する選択性が低い不可逆的MAOインヒビターに典型的な有害副作用のない、MAO−Bインヒビターに対するニーズが存在する。
【0011】
本明細書において使用される一般用語の以下の定義は、問題の用語が単独で出現するか、組合せで出現するかに関わらず適用される。本明細書及び添付の請求の範囲に使用されるとき、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、特に明示的に断りない限り複数形を含む。
【0012】
本出願において使用される「(C1−C6)−アルキル」という用語は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチルなどのような、1〜6個の炭素原子を持つ(好ましくは1〜3個の炭素原子を持つ)直鎖又は分岐の飽和炭化水素残基を意味する。したがって、「(C1−C3)−アルキル」という用語は、1〜3個の炭素原子を持つ直鎖又は分岐の飽和炭化水素残基を意味する。
【0013】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。
【0014】
「ハロゲン−(C1−C6)−アルキル」又は「ハロゲン−(C1−C6)−アルコキシ」は、任意の位置で本明細書に定義された1つ以上のハロゲン原子で置換されている、本明細書に定義された、それぞれ低級アルキル残基又は低級アルコキシ残基を意味する。ハロゲンアルキル残基の例は、特に限定されないが、1,2−ジフルオロプロピル、1,2−ジクロロプロピル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、及び3,3,3−トリフルオロプロピルなどを含む。「ハロゲンアルコキシ」は、トリフルオロメチルオキシを含む。
【0015】
「(C1−C6)−アルコキシ」は、−O−R残基[ここで、Rは、本明細書に定義された低級アルキル残基である]を意味する。アルコキシ基の例は、特に限定されないが、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシなどを含む。
【0016】
ある化合物の「薬学的に許容しうる塩」は、一般的に安全で、非毒性、かつ生物学的にも他の意味でも有害でなく、かつ親化合物の所望の薬理学的活性を有する、薬学的に許容しうる塩を意味する。これらの塩は、無機又は有機の酸又は塩基から誘導される。可能ならば、式Iの化合物は、薬学的に許容しうる塩に変換してもよい。薬学的に許容しうる塩が、本発明に含まれることは言うまでもない。
【0017】
別の実施態様において、本発明は、R3が、水素であり、そしてR4が、−CONHR5、−CH2CN又は−CNである、式Iの化合物を提供する。
【0018】
4が、−CONHR5であり、そしてR5が、水素又は(C1−C3)−アルキルである、式Iのそれらの化合物が、特に好ましい。そのような化合物の例は、
(RS)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸メチルアミド、
(RS)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸アミド、
(RS)−1−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸アミド、
(RS)−1−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸メチルアミド、
(RS)−2−オキソ−1−[4−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−3−カルボン酸アミド、及び
(RS)−2−オキソ−1−[4−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−3−カルボン酸メチルアミドである。
【0019】
式Iの好ましい化合物の別の群は、R4が、−CNのものである。(RS)−1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボニトリルが、そのような化合物の例である。
【0020】
3が、水素であり、R4が、−NHR6であり、そしてR6が、−CO−(C1−C6)−アルキル又は−SO2−(C1−C6)−アルキルである、式Iの化合物もまた好ましい。そのような化合物の例は、(S)−N−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イル]−アセトアミド及び(S)−N−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イル]−メタンスルホンアミドである。
【0021】
式Iの化合物は、ハロゲン、ハロゲン−(C1−C6)−アルキル、シアノ、(C1−C6)−アルコキシ又はハロゲン−(C1−C6)−アルコキシよりなる群から選択されるn個のR1によって置換されてもよく、ここで、nは、0、1、2及び3から選択される整数を示す。好ましくは、nは、1又は2である。好ましい式Iの化合物は、R1が、ハロゲン又はハロゲン−(C1−C6)−アルキルであるものである。特に好ましいのは、R1が、フッ素、塩素又はトリフルオロメチルである、式Iのそれらの化合物である。式Iの化合物が、2個又は3個のR1によって置換されている場合、R1は、同一であることも異なることもできる。
【0022】
1つの実施態様において、本発明は、X−Yが、−CH2−O−である、式Iの化合物を提供する。別の実施態様において、本発明は、X−Yが、−CH2−CH2−又は−CH=CH−である、式Iの化合物を提供する。
【0023】
1つの実施態様において、本発明は、R1、R1.1及びR1.2が、互いに独立して、水素、ハロゲン、メチル、ハロゲンメチル、シアノ、メトキシ又はハロゲンメトキシよりなる群から選択される、式Iの化合物を提供する。別の実施態様において、本発明は、R1、R1.1及びR1.2が、ハロゲン、例えばフルオロ、例えば2,4,6−トリフルオロ、2,4,5−トリフルオロ、2,3,6−トリフルオロ、2,3,4−トリフルオロ又は3,4,5−トリフルオロである、式Iの化合物を提供する。さらに別の実施態様において、本発明は、R1.2が、水素であり、R1及びR1.1が、互いに独立して、水素、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、ハロゲン−(C1−C6)−アルキル、シアノ、(C1−C6)−アルコキシ又はハロゲン−(C1−C6)−アルコキシよりなる群から選択される、式Iの化合物を提供する。さらに別の実施態様において、本発明は、R1.2が、水素であり、R1及びR1.1が、互いに独立して、ハロゲン及び(C1−C6)−アルキルよりなる群から選択される、式Iの化合物を提供する。さらに別の実施態様において、本発明は、R1.2が、水素であり、R1.1が、ハロゲンであり、そしてR1が、ハロゲン又は(C1−C6)−アルキルである、式Iの化合物を提供する。さらに別の実施態様において、本発明は、R1.1及びR1.2が、水素であり、そしてR1が、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、ハロゲン−(C1−C6)−アルキル、シアノ、(C1−C6)−アルコキシ又はハロゲン−(C1−C6)−アルコキシである、式Iの化合物を提供する。さらに別の実施態様において、本発明は、R1.1及びR1.2が、水素であり、そしてR1が、ハロゲン、メチル、ハロゲンメチル、シアノ、メトキシ又はハロゲン−メトキシである、式Iの化合物を提供する。さらに別の実施態様において、本発明は、R1.1及びR1.2が、水素であり、そしてR1が、フルオロ、例えば3−フルオロ若しくは4−フルオロ、クロロ、例えば3−クロロ、ハロゲンメチル、例えば3−トリフルオロメチル若しくは4−トリフルオロメチル、シアノ、メトキシ、例えば2−メトキシ、3−メトキシ若しくは4−メトキシ、又はハロゲン−メトキシ、例えば3−トリフルオロメトキシである、式Iの化合物を提供する。別の実施態様において、本発明は、R1、R1.1及びR1.2が、水素である、式Iの化合物を提供する。
【0024】
1つの実施態様において、本発明は、R21、R22及びR23が、水素である、式Iの化合物を提供する。
【0025】
1つの実施態様において、本発明は、R24が、水素である、式Iの化合物を提供する。
【0026】
1つの実施態様において、本発明は、R4が、−CONHR5であり、R5が、水素又は(C1−C3)−アルキルである、式Iの化合物を提供する。別の実施態様において、本発明は、R4が、−CONHR5であり、R5が、水素又はメチルである、式Iの化合物を提供する。
【0027】
1つの実施態様において、本発明は、R4が、−CNである、式Iの化合物を提供する。
【0028】
1つの実施態様において、本発明は、R4が、−NHR6であり、R6が、−CO−H、−CO−(C1−C6)−アルキル、−CO−ハロゲン−(C1−C3)−アルキル、−CO−O−(C1−C3)−アルキル、−CO−NH2又は−SO2−(C1−C6)−アルキルである、式Iの化合物を提供する。別の実施態様において、本発明は、R4が、−NHR6であり、R6が、−CO−H、−CO−(C1−C6)−アルキル、−CO−O−(C1−C3)−アルキル、−CO−NH2又は−SO2−(C1−C6)−アルキルである、式Iの化合物を提供する。さらに別の実施態様において、本発明は、R4が、−NHR6であり、R6が、−CO−H、−CO−メチル、−CO−O−メチル、−CO−NH2又は−SO2−メチルである、式Iの化合物を提供する。
【0029】
1つの側面において、本発明は、化合物が、(S)−立体配置を有する、式(I)の化合物を提供する。1つの側面において、本発明は、化合物が、(R)−立体配置を有する、式(I)の化合物を提供する。
【0030】
1つの実施態様において、本発明は、X−Yが、−CH2−O−であり;R1、R1.1及びR1.2が、互いに独立して、水素、ハロゲン、メチル、ハロゲンメチル、シアノ、メトキシ又はハロゲンメトキシよりなる群から選択され;R21、R22及びR23が、水素であり;R24が、水素であり、そしてR4が、−CONHR5であり、R5が、水素又は(C1−C3)−アルキルである、式Iの化合物を提供する。
【0031】
1つの実施態様において、本発明は、X−Yが、−CH2−O−であり;R1、R1.1及びR1.2が、互いに独立して、水素、ハロゲン、メチル、ハロゲンメチル、シアノ、メトキシ又はハロゲンメトキシよりなる群から選択され;R21、R22及びR23が、水素であり;R24が、水素であり、そしてR4が、−CNである、式Iの化合物を提供する。
【0032】
1つの実施態様において、本発明は、X−Yが、−CH2−O−であり;R1、R1.1及びR1.2が、互いに独立して、水素、ハロゲン、メチル、ハロゲンメチル、シアノ、メトキシ又はハロゲンメトキシよりなる群から選択され;R21、R22及びR23が、水素であり;R24が、水素であり、そしてR4が、−NHR6であり、R6が、−CO−H、−CO−(C1−C6)−アルキル、−CO−ハロゲン−(C1−C3)−アルキル、−CO−O−(C1−C3)−アルキル、−CO−NH2又は−SO2−(C1−C6)−アルキルである、式Iの化合物を提供する。
【0033】
1つの実施態様において、本発明は、X−Yが、−CH2−O−であり;R1.2が、水素であり、R1及びR1.1が、互いに独立して、水素、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、ハロゲン−(C1−C6)−アルキル、シアノ、(C1−C6)−アルコキシ又はハロゲン−(C1−C6)−アルコキシよりなる群から選択され;R21、R22及びR23が、水素であり;R24が、水素であり、そしてR4が、−CONHR5であり、R5が、水素又は(C1−C3)−アルキルである、式Iの化合物を提供する。
【0034】
1つの実施態様において、本発明は、X−Yが、−CH2−O−であり;R1.1及びR1.2が、水素であり、そしてR1が、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、ハロゲン−(C1−C6)−アルキル、シアノ、(C1−C6)−アルコキシ又はハロゲン−(C1−C6)−アルコキシであり;R21、R22及びR23が、水素であり;R24が、水素であり、そしてR4が、−CONHR5であり、R5が、水素又は(C1−C3)−アルキルである、式Iの化合物を提供する。
【0035】
1つの実施態様において、本発明は、X−Yが、−CH2−O−であり;R1、R1.1及びR1.2が、水素であり;R21、R22及びR23が、水素であり;R24が、水素であり、そしてR4が、−CONHR5であり、R5が、水素又は(C1−C3)−アルキルである、式Iの化合物を提供する。
【0036】
1つの実施態様において、本発明は、X−Yが、−CH2−O−であり;R1.2が、水素であり、R1及びR1.1が、互いに独立して、水素、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、ハロゲン−(C1−C6)−アルキル、シアノ、(C1−C6)−アルコキシ又はハロゲン−(C1−C6)−アルコキシよりなる群から選択され;R21、R22及びR23が、水素であり;R24が、水素であり、そしてR4が、−CNである、式Iの化合物を提供する。
【0037】
1つの実施態様において、本発明は、X−Yが、−CH2−O−であり;R1.1及びR1.2が、水素であり、そしてR1が、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、ハロゲン−(C1−C6)−アルキル、シアノ、(C1−C6)−アルコキシ又はハロゲン−(C1−C6)−アルコキシであり;R21、R22及びR23が、水素であり;R24が、水素であり、そしてR4が、−CNである、式Iの化合物を提供する。
【0038】
1つの実施態様において、本発明は、X−Yが、−CH2−O−であり;R1、R1.1及びR1.2が、水素であり;R21、R22及びR23が、水素であり;R24が、水素であり、そしてR4が、−CNである、式Iの化合物を提供する。
【0039】
1つの実施態様において、本発明は、X−Yが、−CH2−O−であり;R1.2が、水素であり、R1及びR1.1が、互いに独立して、水素、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、ハロゲン−(C1−C6)−アルキル、シアノ、(C1−C6)−アルコキシ又はハロゲン−(C1−C6)−アルコキシよりなる群から選択され;R21、R22及びR23が、水素であり;R24が、水素であり、そしてR4が、−NHR6であり、R6が、−CO−H、−CO−(C1−C6)−アルキル、−CO−ハロゲン−(C1−C3)−アルキル、−CO−O−(C1−C3)−アルキル、−CO−NH2又は−SO2−(C1−C6)−アルキルである、式Iの化合物を提供する。
【0040】
1つの実施態様において、本発明は、X−Yが、−CH2−O−であり;R1.1及びR1.2が、水素であり、そしてR1が、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、ハロゲン−(C1−C6)−アルキル、シアノ、(C1−C6)−アルコキシ又はハロゲン−(C1−C6)−アルコキシであり;R21、R22及びR23が、水素であり;R24が、水素であり、そしてR4が、−NHR6であり、R6が、−CO−H、−CO−(C1−C6)−アルキル、−CO−ハロゲン−(C1−C3)−アルキル、−CO−O−(C1−C3)−アルキル、−CO−NH2又は−SO2−(C1−C6)−アルキルである、式Iの化合物を提供する。
【0041】
1つの実施態様において、本発明は、X−Yが、−CH2−O−であり;R1、R1.1及びR1.2が、水素であり;R21、R22及びR23が、水素であり;R24が、水素であり、そしてR4が、−NHR6であり、R6が、−CO−H、−CO−(C1−C6)−アルキル、−CO−ハロゲン−(C1−C3)−アルキル、−CO−O−(C1−C3)−アルキル、−CO−NH2又は−SO2−(C1−C6)−アルキルである、式Iの化合物を提供する。
【0042】
1つの実施態様において、本発明は、X−Yが、−CH2−O−であり;R1.1及びR1.2が、水素であり、そしてR1が、ハロゲンであり;R21、R22及びR23が、水素であり;R24が、水素であり、そしてR4が、−NHR6であり、R6が、−CO−(C1−C6)−アルキルである、式Iの化合物を提供する。別の実施態様において、本発明は、X−Yが、−CH2−O−であり;R1.1、R1.2、R21、R22、R23及びR24が、水素であり;R1が、ハロゲンであり;そしてR4が、−NHR6であり、R6が、−CO−メチルである、式Iの化合物を提供する。
【0043】
式Iの化合物の例は、
(RS)−1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボニトリル、
(RS)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸メチルアミド、
(RS)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸アミド、
(RS)−1−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸アミド、
(RS)−1−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸メチルアミド、
(RS)−2−オキソ−1−[4−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−3−カルボン酸アミド、
(RS)−2−オキソ−1−[4−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−3−カルボン酸メチルアミド、
(S)−N−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イル]−アセトアミド、
(S)−N−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イル]−メタンスルホンアミド、
(S)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド、
(R)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド、
(R)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−メタンスルホンアミド、
(S)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−メタンスルホンアミド、
(S)−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−カルバミン酸メチルエステル、
(R)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−ホルムアミド、
(S)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−ホルムアミド、
(R)−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−尿素、
(S)−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−尿素、
(S)−N−{1−(S)−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド、
(S)−N−{1−(S)−[4−(2,6−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド、及び
(S)−N−{1−[4−(3,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド
から選択される化合物を含む。
【0044】
1つの実施態様において、本発明は、式Iの化合物の調製方法であって、式中、
(a)R4が、CONHR5である場合、
式II:
【0045】
【化8】

【0046】
(式中、R1、R1.1、R1.2、R21、R22、R23、R24、R3、X及びYが、上記で定義したと同じ意味を有し、そしてRが、水素又は(C1−C6)−アルキルである)の化合物を、式:H2N−R5(式中、R5は、上記の意味を有する)のアミンと反応させることを含み;
(b)R4が、CNである場合、
式III:
【0047】
【化9】

【0048】
(式中、R1、R1.1、R1.2、R21、R22、R23、R24、R3、X及びYが、上記で定義したと同じ意味を有し、そしてHalが、ハロゲンである)の化合物を、シアニド塩と反応させることを含み;あるいは
(c)R4が、NHR6である場合、
式IV:
【0049】
【化10】

【0050】
(式中、R1、R1.1、R1.2、R21、R22、R23、R24、R3、X及びYが、上記で定義したと同じ意味を有する)の化合物を、式:Z−CO−(C1−C6)−アルキル、Z−CO−ハロゲン−(C1−C3)−アルキル、Z−CO−O−(C1−C3)−アルキル、又はZ−SO2−(C1−C3)−アルキル(式中、Zは、活性化基、例えばハロゲン又は無水物である)のアシル供与剤とか、又はイソシアナートと反応させることを含む、方法を提供する。
【0051】
一般式Iの化合物を、式II
【0052】
【化11】

【0053】
(式中、R1、R21、R22、R23、R24及びnは、上記で定義したと同じ意味を有する)の化合物を、式:H2N−R5(式中、R5は、上記の意味を有する)のアミンと反応させ、式Ia
【0054】
【化12】

【0055】
の化合物を得るか、又は、代わりに、式IIの化合物を、式III
【0056】
【化13】

【0057】
の対応するアルコールに還元し、そしてこの化合物をシアニド塩と反応させ、式Ib
【0058】
【化14】

【0059】
の化合物を得るか、又は、代わりに、式IV
【0060】
【化15】

【0061】
(式中、Xは、ハロゲンである)の化合物を、シアニド塩と反応させ、式Ic
【0062】
【化16】

【0063】
の化合物を得るか、又は、代わりに、式V
【0064】
【化17】

【0065】
の化合物を、式:Y−CO−(C1−C6)−アルキル又はY’−SO2−(C1−C6)−アルキル(式中、Y及びY’は、活性化基、例えばハロゲンを表す)のアシル化剤と反応させ、式Id
【0066】
【化18】

【0067】
(式中、R6は、上記の意味を有する)
の化合物を得る、ことによって製造することができる。
【0068】
本発明によれば、スキーム1は、すべてが式Vの化合物から出発する、式Iの化合物への代表的なルートを示す。式IIIaの中間体を得るための、式Vの化合物の式VIの化合物(Ikutaら、J. Med. Chem. 30:1995(1987))との反応は、ジクロロメタン、酢酸エチル又はエーテルのような不活性溶媒中で、トリエチルアミン又は炭酸塩のような塩基の存在下に、0℃〜25℃までの範囲の温度であってよい。中間体2,4−ジハロ−N−アシル誘導体のピロリドンIIIaへの環化は、ジクロロメタン又はエーテルのような不活性溶媒中で、0℃〜25℃までの範囲の温度で、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムのような塩基を用いてであってよい。Rが、Hである、中間体II、すなわち式IIaの化合物は、式Vの化合物を、(Danishefskyら、J. Amer. Chem. Soc. 97:3239(1975)により記載されたような)6,6−ジメチル−5,7−ジオキサ−スピロ[2,5]オクタン−4,8−ジオンと反応させることによって調製される。
【0069】
【化19】

【0070】
式Iの化合物を調製する別の方法は、アリールスタンナン(Lamら、Tetrahedron Lett. 43: 3091 (2002))、アリールボロナート(Lamら、Synlett 5: 674 (2000); Chan et al. , Tetrahedron Lett. 39: 2933 (1998))、又はハロゲン化アリールと、対応するピロリドンとのクロスカップリング反応を含む(スキーム2)。
【0071】
【化20】

【0072】
式中、LGは、ハロゲン、例えばCl、Br若しくはI、あるいはSnR3又はB(OH)2である。
【0073】
本発明によれば、−X−Y−が、−CH2−O−である一般式Vの化合物、すなわち一般式Vaの化合物を調製する可能性は、スキーム3に示される:式XIIの中間体を、式Xのベンジル型のアルコールによる、p−置換脱離基を含む式XIの芳香族ニトロ化合物の求核置換を介して入手可能である。パラ位の脱離基は、例えば、ハロゲン類(F、Cl、Br、I)、トシラート類、メシラート類又はトリフラート類であってもよい。これらの置換反応を、無溶媒で、又は例えばトルエン若しくはキシレンのような不活性溶媒中で、行うことができる。好ましい反応温度は、50℃〜150℃の範囲である。あるいは、式XIIの化合物を、式XIVのp−ニトロフェノール類と、式XIIIのベンジル型のハロゲン化物、トシラート類、メシラート類又はトリフラート類とから出発する、ウィリアムソン−エーテル(Williamson-ether)合成によって調製することができる。使用される塩基は、例えばアルコラート類又は炭酸塩類(炭酸ナトリウム、カリウム若しくはセシウム)であってもよい。溶媒の例は、20℃〜還流温度の範囲の温度での、低級アルコール類、アセトニトリル又は低級ケトン類を含む。別のアプローチは、ベンジル型のアルコールと、p−ニトロフェノール類との光延カップリングである。この反応は、ホスフィン類(例えば、トリブチル−又はトリフェニル−ホスフィン)の存在下に、アゾジカルボン酸ジアルキル類を用いて、例えばジエチルエーテル又はテトラヒドロフランのような不活性溶媒中で、通常どおり行われる。
【0074】
式XIIの重要な中間体は、低級アルコール類、酢酸エチル又はテトラヒドロフラン中で、例えば、触媒として白金/活性炭を用いるような接触水素化を利用して、式Vaのアミノ化合物に還元される。代替法としては、希塩酸又は酢酸のような酸性媒体中の、鉄、スズ、又は亜鉛のような金属によるニトロ基の還元がある。金属を、例えば、塩化スズ(II)のような金属塩に置き換えてもよい。
【0075】
【化21】

【0076】
式中、LGは、脱離基、例えばハロゲン及びOTf、又はOH(光延カップリング用)である。
【0077】
本発明に従って、−X−Y−が、−CH=CH−である式Vbの中間体及び−X−Y−が、−CH2−CH2−である式Vcの中間体を調製する可能性は、スキーム4に示される:式XVIIの中間体は、例えば、水素化ナトリウムのような塩基の存在下に、式XVの場合により置換された芳香族アルデヒドと、式XVIの(4−ニトロベンジル)ホスホン酸ジアルキル類とのオレフィン化反応により入手でき、式XVIIの対応するニトロ−オレフィン類が得られる。
【0078】
【化22】

【0079】
式XVIIの重要な中間体を、例えば、溶媒として低級アルコール類、酢酸エチル又はテトラヒドロフラン中で、触媒として白金/活性炭を用いるような接触水素化により、あるいは、金属又は塩化スズ(II)のような金属塩により、式Vbのアミノ−オレフィン類に選択的に還元することができる。式Vcのアミノ誘導体は、式XVIIのニトロ誘導体から直接的に得るか、あるいは式Vbのアミノ−オレフィン類から、溶媒として低級アルコール類、酢酸エチル又はテトラヒドロフラン中で、触媒としてパラジウム/活性炭を用いる水素化により得られる。
【0080】
中間体IIを、標準的な手順を用いて、式Iの化合物に変換することができる。酸IIを酸クロリド(塩化チオニル又は塩化オキサリル)を介して、又はDCC、EDCなどにより活性化させ、次いでアミン:R5−NH2とカップリングさせる。あるいは、対応するアルキルエステルを、式:R5−NH2のアミンによりアミノ分解することにより中間体IIに変換することもできる。
【0081】
中間体IIIを、20℃〜140℃の範囲の温度で、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン又はアセトニトリルのような溶媒中で、シアン化ナトリウム又はカリウムとの反応により、所望の、R4がCNである式Iの化合物、すなわち式Ibの化合物に変換することができる。触媒量のヨウ化ナトリウム又はカリウムを、反応を加速するために添加することもできる(スキーム5)。
【0082】
【化23】

【0083】
式IVの化合物を、式IIの酸誘導体から出発して、文献からそれ自体周知の方法である、例えばホフマン(Hofmann)又はクルティウス(Curtius)転位のような、対応するイソシアナートの形成及び保護アミノ基をもたらす適切なアルコールでのその処理を介して、炭素原子から窒素原子への求核性移動により得ることができる(スキーム6)。中間体イソシアナートの処理のために、例えばtert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル又はフルオレニルメトキシカルボニルのような、アミノ保護基として用いられる典型的なカルバマート類が得られるアルコール類が選択される。それらのアミンへの開裂は、文献から周知のプロトコールに従う。式Iの化合物への更なる変換を、例えば活性化されたアシル誘導体、例えばハロゲン化アシル又は無水物との反応により、あるいは、例えば縮合試薬としてカルボジイミドを使用する酸との縮合反応により、又はイソシアナートによるような、標準的な手順により実施することができる。
【0084】
【化24】

【0085】
式IVのエナンチオ異性的に純粋な誘導体の調製に関しては、代替的なルートに従うことができる(スキーム7)。基本的には、プロトコールは、Freidingerら[J. Org. Chem. 47: 104-109 (1982) ]に記載された条件に従い、式Vのアニリン誘導体を、縮合反応の標準的な条件により、そのラセミ又は光学活性な形態でのN−保護メチオニン誘導体によりアシル化し、式XIXの化合物を与える。ヨウ化メチル又はトリメチル−スルホニウム若しくはトリメチルスルホキソニウム塩によるメチル化、及び得られたジメチルスルホニウム塩の、例えば水素化ナトリウム、リチウム若しくはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドのような塩基による、これらの条件下で不活性な溶媒、例えばTHF、ジクロロメタン又はN,N−ジメチルホルムアミド中での処理は、式XXの環化N−保護生成物をもたらす。この環化の方法の別の変法は、3−アミノ−2−オキソ−ピロリジン類の製造方法を紹介するEP 985,665に記載されている。
【0086】
【化25】

【0087】
−X−Y−が、−CH2−O−の意味を有する式I又はXXの化合物において、場合により置換されているベンジル基は、水素化分解により切断されるうる一時的な基として機能することができる。次いで、得られた式Id及びXXaのフェノール類を、上述の条件下で、異なるベンジル基により再アルキル化することができる。当業者に周知のように、この方法は、R6及びPGが、水素化分解及びアルキル化反応に関する上述の反応条件下に安定である基を表している場合にのみ可能である。
【0088】
一般式Iの化合物はまた、光学的に純粋な形態で存在することができる。例えば、(R)−又は(S)−メチオニンのような、キラルプールからのエナンチオ異性的に純粋な化合物より出発することが可能である。その他の場合、鏡像体への分離を、それ自体既知の方法により、好ましくは、式IIの化合物から出発する合成の早い段階で、例えば、(+)−若しくは(−)−1−フェニルエチルアミンのような光学活性アミンとの塩形成と、分別結晶によるジアステレオマー塩の分離によるか、あるいは好ましくは、例えば、(+)−若しくは(−)−2−ブタノール、(+)−若しくは(−)−1−フェニルエタノール、又は(+)−若しくは(−)−メントールのようなキラル補助物質での誘導体化と、クロマトグラフィー及び/又は結晶化によるジアステレオマー生成物の分離と、そしてこれに続くキラル補助物質への結合の開裂により行うことができる。得られるピロリジノン誘導体の絶対立体配置を決定するために、純粋なジアステレオマー塩及び誘導体を従来の分光学的方法により分析することができる(単結晶でのX線分光法は特に適切な方法である)。
【0089】
活性化合物は、既に上述されているように、モノアミンオキシダーゼBインヒビターであり、そしてMAO−Bインヒビターが有効かもしれない疾患の治療又は予防に使用することができる。これらは、急性及び慢性神経障害、認知障害並びに記憶欠乏を含む。治療可能な神経障害は、例えば、アルツハイマー病、他の型の認知症(dementia)、軽度認知障害又はパーキンソン病のような、神経系の外傷性又は慢性変性プロセスである。他の適応症は、鬱病、不安、恐慌発作、対人恐怖、統合失調症、摂食及び代謝障害(肥満など)のような精神病、並びにアルコール、ニコチン及び他の嗜癖性薬物の濫用により誘発される禁断症候群の予防及び治療を含む。他の治療可能な適応症は、癌化学療法(WO 97/33,572)、報酬欠乏症候群(reward deficiency syndrome)(WO 01/34,172)、又は多発性硬化症の治療(WO 96/40,095)により引き起こされる末梢性ニューロパシー、及び他の神経炎症性疾患である。
【0090】
活性化合物は、アルツハイマー病及び老年性の認知症の治療及び予防に特に有用である。
【0091】
本化合物の薬理学的活性は、以下の方法を用いて試験した:
【0092】
ヒトMAO−A及びMAO−BをコードするcDNAを、SchlaegerとChristensenに報告された手順[Cytotechnology 15:1-13 (1998)]を用いてEBNA細胞に一過的にトランスフェクトした。トランスフェクション後、0.5mM EGTA及び0.5mMフッ化フェニルメタンスルホニルを含む20mMトリスHCl緩衝液(pH8.0)中でポリトロン(Polytron)ホモジナイザーを用いて細胞をホモジナイズした。45,000×gでの遠心分離により細胞膜を得て、0.5mM EGTAを含む20mMトリスHCl緩衝液(pH8.0)での2回の洗浄工程後、膜を最後に上記緩衝液に再懸濁して、アリコートにして使用時まで−80℃で貯蔵した。
【0093】
MAO−A及びMAO−B酵素活性は、ZhouとPanchuk-Voloshinaに報告された方法[Analytical Biochemistry 253:169-174 (1997)]から適合させた分光光度法を用いて96ウェルプレートで検定した。簡単に述べると、膜アリコートを、異なる濃度の本化合物を含む、0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中で37℃で30分間インキュベートした。この後、1U/ml西洋ワサビペルオキシダーゼ(ロシュ・バイオケミカルズ(Roche Biochemicals))及び80μM N−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェノキサジン(アンプレックスレッド(Amplex Red)、モレキュラープローブス(Molecular Probes))と一緒にMAO基質であるチラミンを添加することにより、酵素反応を開始させた。試料は更に、200μlの最終容量で37℃で30分間インキュベートして、次に吸光度をスペクトラマックス(SpectraMax)プレートリーダー(モレキュラーデバイシーズ(Molecular Devices))を用いて570nmの波長で測定した。バックグラウンド(非特異的)吸光度は、MAO−Aには10μMクロルジリン、又はMAO−Bには10μM L−デプレニルの存在下で測定した。IC50値は、二重反復の9つのインヒビター濃度を用いて得られた阻害曲線から、コンピュータプログラムを用いて4パラメーター論理方程式にデータを一致させることにより求めた。
【0094】
本発明の化合物は、特異的MAO−Bインヒビターである。上述の測定法で測定される式Iの好ましい化合物のIC50値は、1μM以下、典型的には0.1μM以下、そして理想的には0.02μM以下の範囲にある。
【0095】
活性化合物は、例えば、製剤の形で医薬として使用することができる。この製剤は、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の剤形で経口投与することができる。しかし、投与はまた、例えば、坐剤の剤形で直腸内に、又は例えば、注射液剤の剤形で非経口的に行うことができる。
【0096】
活性化合物は、製剤の製造のために薬学的に不活性な無機又は有機担体と共に加工することができる。例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤用のそのような担体として、乳糖、トウモロコシデンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などを使用することができる。軟ゼラチンカプセル剤用の適切な担体は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、半固体及び液体ポリオールなどである;しかし活性物質の性質に依存して、軟ゼラチンカプセル剤の場合には通常は担体を必要としない。液剤及びシロップ剤の製造に適した担体は、例えば、水、ポリオール、ショ糖、転化糖、ブドウ糖などである。活性化合物の水溶性塩の水性注射液のために、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などのような補助剤を使用することができるが、一般には必要でない。坐剤に適した担体は、例えば、天然又は硬化油、ロウ、脂肪、半液体又は液体ポリオールなどである。
【0097】
更に、本製剤は、保存料、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、香味料、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、マスキング剤又は酸化防止剤を含んでいてもよい。これらはまた、他の治療上有用な物質を含んでいてもよい。
【0098】
前述のように、活性化合物及び治療上不活性な賦形剤を含む医薬もまた、本発明の目的であり、1つ以上の活性化合物と、所望であれば、1つ以上の他の治療上有用な物質を、1つ以上の治療上不活性な担体と一緒にガレヌス製剤の投与剤形にすることを特徴とする、このような医薬の製造方法も同様である。
【0099】
用量は、広い範囲内で変化させることができ、当然ながら、それぞれの具体的な症例における個々の要求に適合させられる。一般に、経口又は非経口投与のための有効用量は、0.01〜20mg/kg/日であり、0.1〜10mg/kg/日の用量が前述の全ての適応症に対して好ましい。よって体重70kgのヒト成人に対する1日用量は、0.7〜1400mg/日、好ましくは7〜700mg/日にある。
【0100】
以下の実施例は、本発明の説明のために提供される。これらは、本発明の範囲を限定するものと考えるべきでなく、単にその典型を示すものと考えるべきである。「RT」という略語は、「室温」を意味する。
【0101】
実施例1:(RS)−1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボニトリル
a)(RS)−N−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2,4−ジブロモ−ブチルアミド
ジクロロメタン125ml中の4−ベンジルオキシアニリン12.8g(64.2mmol)及びトリエチルアミン9.74g(96.3mmol)の溶液を、0℃に冷却した。塩化2,4−ジブロモブチリル20.4g(77.1mmol)[Ikutaら、J. Med. Chem. 30: 1995 (1987) ]を45分間かけてゆっくり加えた。反応混合物を更に15分間撹拌し、次いで水100mlで加水分解した。不溶性の析出物をろ別し、有機相を、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液及び水で逐次洗浄した。乾燥及び濃縮後、粗生成物をクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン)に付し、6.1g(22%)の無色の固体を得た。融点=139.5−142℃。
【0102】
b)(RS)−1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−3−ブロモ−ピロリジン−2−オン
(RS)−N−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2,4−ジブロモ−ブチルアミド6.1g(14.3mmol)及びダウエックス(Dowex)2X10 0.1gをジクロロメタン50ml中に懸濁させた。50%水酸化ナトリウム水溶液7mlを、激しい攪拌下にゆっくりと加えた。得られた反応混合物を、RTで一晩撹拌し、次いで冷水25mlに注加した。有機相を分離し、乾燥し、濃縮した。粗物質を酢酸エチルより再結晶し、1.72g(35%)の帯褐色の固体を得た。融点=125−126℃。
【0103】
c)(RS)−1−(4−ベンジルオキシ-フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボニトリル
(RS)−1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−3−ブロモ−ピロリジン−2−オン300mg(0.87mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド5mlに溶解した。シアン化ナトリウム64mg(1.3mmol)及びヨウ化ナトリウム13mg(0.09mmol)を加え、懸濁液を120℃で10分間撹拌した。反応混合物を水で処理し、酢酸エチルで抽出し、33mg(13%)の無色の固体を得た。MS:m/e=293.3(M+H)
【0104】
実施例2:(RS)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ-ピロリジン−3−カルボン酸メチルアミド
a)1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−ピロリジン−2−オン
4−ベンジルオキシアニリン20.3g(101.9mmol)及びγ−ブチロ−ラクトン9.1ml(119.2mmol)を濃塩酸3mlで処理した。混合物を、160℃に20時間、次いで200℃に5.5時間加熱した。冷却後、混合物を、酢酸エチル250mlで抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥した。溶媒の濃縮及びジエチルエーテルからの再結晶により8.4g(31%)の帯褐色の固体を得た。MS:m/e=267(M)。
【0105】
b)1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ピロリジン−2−オン
1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−ピロリジン−2−オン6.2g(23.2mmol)をTHF200mlに溶解した。酢酸3滴を加え、溶液を10%パラジウム/活性炭0.62gの存在下に、常圧かつRTで、5時間水素化した。ろ過及び濃縮により、半固体の物質を得た。クロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/メタノール 95:5)により、2.73g(66%)の帯褐色の固体を得た。MS:m/e=175.9(M−H)。
【0106】
c)1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オン
2−ブタノン100ml中の1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ピロリジン−2−オン2.73g(15.4mmol)、臭化3−フルオロベンジル3.2g(16.9mmol)及び炭酸カリウム4.26g(31mmol)の混合物を、80℃で18時間加熱した。RTまで冷却後、反応混合物を水及び酢酸エチルで処理した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。固体残渣をエーテルから結晶化し、3.86g(理論値の88%)の1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オンを無色の固体として得た。MS:m/e=286.0(M+H)
【0107】
d)1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸エチルエステル
水素化ナトリウム370mg(15.4mmol)をTHF20ml中に懸濁させ、炭酸ジエチル911mg(7.7mmol)を加えた。懸濁液を還流温度に加熱した。THF10ml中の1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オン2.0g(7.0mmol)の溶液を沸騰溶液中にゆっくりと加えた。混合物を更に5時間沸騰させ、次いで冷水により加水分解し、そして逐次、水、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、そして飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。クロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/酢酸エチル)により、1.3g(52%)の帯黄色の半固体を得た。MS:m/e=358.2(M+H)
【0108】
e)(RS)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸メチルアミド
1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸エチルエステル300mg(0.84mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド2mlに溶解した。33%メチルアミン/エタノール溶液0.17ml(4.2mmol)を加えた。反応容器にしっかりと栓をし、120℃に24時間加熱した。水の添加により粗物質が析出した。クロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/メタノール)により、41mg(14%)の帯黄色の固体を得た。MS:m/e=343.2(M+H)
【0109】
実施例3:(RS)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸アミド
a)1−(3−フルオロベンジルオキシ)−4−ニトロ−ベンゼン
3−フルオロベンジルアルコール5.04g(40mmol)及びトリス−(ジオキサ−3,6−ヘプチル)アミン1.29g(4mmol)を水酸化カリウム2.47g(44mmol)で処理した。混合物をRTで10分間撹拌し、次いで4−フルオロ−ニトロベンゼン5.55g(44mmol)を滴下ロートを介してゆっくり加えた。混合物を80℃で45分間保持し、RTに冷却し、水75mlで希釈した。酢酸エチルによる抽出及び2M塩酸水溶液による洗浄により、帯黄色の有機相を得て、それを乾燥及び濃縮した。残渣をメタノールから再結晶し、6.07g(61%)の標記化合物を得た。黄色の結晶で、融点=104−105℃。
【0110】
b)4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニルアミン
1−(3−フルオロベンジルオキシ)−4−ニトロ−ベンゼン3g(12.1mmol)をメタノール125mlに溶解した。5%Pt/活性炭150mgを加え、水素化を、常圧下で、約17時間行った。触媒をろ過し、溶液を濃縮し、2.51g(95%)の帯褐色の粗物質を得た。MS:m/e=218.4(M+H)
【0111】
c)(RS)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸
ジクロロメタン2ml中の4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニルアミン561mg(2.6mmol)及び6,6−ジメチル−5,7−ジオキサ−スピロ[2,5]オクタン−4,8−ジオン448mg(2.6mmol)の溶液を、16時間還流した。ジエチルエーテル5mlを加え、析出物をろ別し、485mg(57%)の無色の固体を得た。MS:m/e=330.2(M+H)
【0112】
d)(RS)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸アミド
(RS)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸300mg(0.91mmol)をN,N−ジメチルホルムアミドを2滴加えたジクロロメタン2mlに溶解した。溶液を0℃に冷却し、塩化オキサリル173mg(1.73mmol)で処理した。0℃で1時間後、溶媒を、RTで減圧下に除去した。残渣をジクロロメタン1mlに溶解し、THF2mlと濃アンモニア5mlの混合物にゆっくり加えた。撹拌を、RTで1時間続けた。溶媒の濃縮及び水による希釈が析出物をもたらし、それをろ別した。メタノールからの再結晶により112mg(37%)の無色の固体を得た。MS:m/e=329.2(M+H)
【0113】
実施例4:(RS)−1−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸アミド
a)1−(4−フルオロベンジルオキシ)−4−ニトロ−ベンゼン
標記化合物を、4−フルオロベンジルアルコール及び4−フルオロ-ニトロベンゼンから、実施例3a)と同様に調製した。収率:86%の帯黄色の固体。融点=124−126℃。
【0114】
b)4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニルアミン
標記化合物を、1−(4−フルオロベンジルオキシ)−4−ニトロ−ベンゼンの還元により、実施例3b)と同様に調製した。収率:98%の赤色の固体。MS:m/e=218.3(M+H)
【0115】
c)(RS)−1−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸
標記化合物を、4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニルアミン及び6,6−ジメチル−5,7−ジオキサ−スピロ[2,5]オクタン−4,8−ジオンから、実施例3c)と同様に調製した。収率:56%の無色の固体。MS:m/e=284.1(M−CO2)。
【0116】
d)(RS)−1−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸アミド
標記化合物を、(RS)−1−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸及びアンモニアから、実施例3d)と同様に調製した。収率:18%の褐色の固体。MS:m/e=329.3(M+H)。
【0117】
実施例5:(RS)−1−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸メチルアミド
標記化合物を、(RS)−1−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸及びメチルアミンから、実施例3d)と同様に調製した。収率:17%の無色の固体。MS:m/e=343.2(M+H)
【0118】
実施例6:(RS)−2−オキソ−1−[4−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−3−カルボン酸アミド
a)1−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−4−ニトロ−ベンゼン
標記化合物を、4−フルオロ-ニトロベンゼン及び4−トリフルオロメチル−ベンジルアルコール及びから、実施例3a)と同様に調製した。収率:82%の微褐色の固体。融点=80.5−81.5℃。
【0119】
b)4−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニルアミン
標記化合物を、1−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−4−ニトロ−ベンゼンの還元により、実施例3b)と同様に調製した。収率:91%の帯黄色の固体。MS:m/e=268.3(M+H)
【0120】
c)(RS)−2−オキソ−1−[4−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−3−カルボン酸
標記化合物を、4−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニルアミン及び6,6−ジメチル−5,7−ジオキサ−スピロ[2,5]オクタン−4,8−ジオンから、実施例3c)と同様に調製した。収率:37%の無色の固体。MS:m/e=380.1(M+H)
【0121】
d)(RS)−2−オキソ−1−[4−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−3−カルボン酸アミド
(RS)−2−オキソ−1−[4−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−3−カルボン酸150mg(0.4mmol)を、THF4mlに溶解した。1−ヒドロキシベンゾトリアゾール59mg(0.43mmol)及びN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチル−カルボジイミド塩酸塩80mg(0.42mmol)を加え、反応混合物をRTで30分間撹拌した。0℃に冷却後、濃アンモニア4mlを加え、得られた混合物をRTで1時間撹拌した。水による希釈、抽出及びクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル)により、15mg(10%)の無色の固体を得た。MS:m/e=379.2(M+H)
【0122】
実施例7:(RS)−2−オキソ−1−[4−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−3−カルボン酸メチルアミド
標記化合物を、(RS)−2−オキソ−1−[4−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−3−カルボン酸及びメチルアミンから、実施例6d)と同様に調製した。収率:6%の無色の固体。MS:m/e=393.2(M+H)
【0123】
実施例8:(S)−N−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イル]−アセトアミド
a)(S)−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニルカルバモイル)−3−メチルスルファニル−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
ジクロロメタン5ml中の(S)−Boc−メチオニン0.57g(2.3mmol)の溶液を、RTで、ヘキサフルオロリン酸O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム(HBTU)0.87g(2.3mmol)、4−ベンジルオキシ−アニリン塩酸塩0.50g(2.1mmol)及びN−エチル−ジイソプロピルアミン0.98ml(5.7mmol)を用いて逐次的に処理した。反応混合物を、RTで1時間、撹拌した。後処理として、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、クエン酸水溶液(10%)20mlで処理した。水相をジクロロメタンで再抽出し、有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして減圧下に溶媒を濃縮した。精製のため、得られた粗物質をn−ヘキサンと酢酸エチルの3:1混合物を溶離液として用いるシリカゲルのクロマトグラフィーに付した。(S)−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニルカルバモイル)−3−メチルスルファニル−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル0.74g(理論値の82.5%)を白色の固体として得た。MS:m/e=431(M+H)
【0124】
b)(S)−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
(S)−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニルカルバモイル)−3−メチルスルファニル−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル0.35g(0.81mmol)及びヨウ化メチル8.79g(62.0mmol)の混合物を、RTで3日間撹拌した。その後、ヨウ化メチルを蒸発させ、中間体スルホニウム塩をTHF15mlに溶解し、リチウムビス−(トリメチルシリル)アミド(THF中の1M溶液)0.79ml(0.79mmol)を用いて0℃で処理した。0℃で2時間の撹拌後、反応混合物を減圧下に濃縮し、固体残渣を、直接、n−ヘキサンと酢酸エチルの2:1混合物を溶離液として用いるシリカゲルのクロマトグラフィーに付した。(S)−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル0.175g(理論値の56%)を白色の固体として得た。MS:m/e=383(M+H)
【0125】
c)(S)−3−アミノ−1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−ピロリジン−2−オン塩酸塩
ジオキサン2ml中の(S)−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル137mg(0.36mmol)の溶液を、塩酸(37%)0.3mlで処理した。溶液を45℃に1時間加温し、白色の懸濁を形成させた。後処理として、反応混合物を減圧下に濃縮し、固体残渣を少量のメタノールで粉砕した。ろ過及び乾燥後、(S)−3−アミノ−1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−ピロリジン−2−オン塩酸塩94mg(理論値の82%)を白色の固体として得た。MS:m/e=283(M+H)
【0126】
d)(S)−N−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イル]−アセトアミド
ジクロロメタン2ml中の(S)−3−アミノ−1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−ピロリジン−2−オン塩酸塩40mg(0.13mmol)の溶液を、トリエチルアミン38μl(0.28mmol)で処理し、0℃に冷却した。この溶液に、塩化アセチル10μl(0.14mmol)を加え、0℃での撹拌を30分間続けた。後処理のため、反応混合物を、水酸化アンモニウム溶液2mlで処理し、有機相を分離し、その後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。精製のため、得られた粗物質をジクロロメタンとメタノールの95:5混合物を溶離液として用いるシリカゲルのクロマトグラフィーに付した。(S)−N−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イル]−アセトアミド31mg(理論値の76%)を白色の固体として得た。MS:m/e=325(M+H)
【0127】
実施例9:(S)−N−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イル]−メタンスルホンアミド
実施例8d)に記載された方法と同様に、トリエチルアミンの存在下での(S)−3−アミノ−1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−ピロリジン−2−オン塩酸塩と塩化メタンスルホニルとの反応により、(S)−N−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イル]−メタンスルホンアミドを白色の固体として得た。MS:m/e=361(M+H)
【0128】
実施例10:(S)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド
a)実施例8a)−c)に記載された方法と同様に、(S)−3−アミノ−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オン塩酸塩を得た:
(S)−Boc−メチオニンと4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニルアミン[実施例3b)]とのHBTUによる縮合により、(S)−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニルカルバモイル]−3−メチルスルファニル−プロピル}−カルバミン酸tert−ブチルエステルを明黄色の固体として得た;MS:m/e=449(M+H)。続くメチル化及び環化により、(S)−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステルを白色の固体として得た;MS:m/e=401(M+H)。Boc基の切断により、(S)−3−アミノ−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オン塩酸塩を白色の固体として得た;MS:m/e=301(M+H)
【0129】
b)(S)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド
実施例8d)に記載された方法と同様に、(S)−3−アミノ−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オン塩酸塩のアセチル化により、標記化合物を白色の固体として得た;MS:m/e=343(M+H)
【0130】
実施例11:(R)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド、
(R)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−メタンスルホンアミド、
(S)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−メタンスルホンアミド、及び
(S)−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−カルバミン酸メチルエステル
【0131】
実施例8d)に記載された方法と同様に、(R)−又は(S)−3−アミノ−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オン塩酸塩[(R)−異性体は、(R)−Boc−メチオニンから出発して、実施例10a)に記載されたような(S)−異性体と同様に得られた]のアセチル化により、下記の化合物を得た:
【0132】
a)(R)−3−アミノ−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オン塩酸塩と塩化アセチルとの反応により、(R)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミドを白色の結晶として得た;MS:m/e=343(M+H)
【0133】
b)(R)−3−アミノ−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オン塩酸塩と塩化メタンスルホニルとの反応により、(R)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−メタンスルホンアミドを白色の結晶として得た;MS:m/e=377(M+H)
【0134】
c)(S)−3−アミノ−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オン塩酸塩と塩化メタンスルホニルとの反応により、(S)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−メタンスルホンアミドを白色の結晶として得た;MS:m/e=377(M+H)
【0135】
d)(S)−3−アミノ−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オン塩酸塩とクロロギ酸メチルとの反応により、(S)−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−カルバミン酸メチルエステルを白色の結晶として得た;MS:m/e=359(M+H)
【0136】
実施例12:(R)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−ホルムアミド
無水酢酸188mg(18mmol)とギ酸107mg(23mmol)の混合物を、0℃で調製し、その後、60℃に2時間加熱した。RTまで冷却後、混合物をテトラヒドロフラン1mlで希釈し、ジクロロメタン2ml中の(R)−3−アミノ−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オン[これは、トリエチルアミンで処理することにより、対応する塩酸塩から予め調製した]213mg(7mmol)の溶液を加えた。添加後、白色の懸濁が形成され、それをRTで1時間撹拌した。後処理のため、反応混合物をジクロロメタン及び水で処理し、次いで有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。(R)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−ホルムアミド215mg(理論値の92%)を白色の固体として得た。MS:m/e=329(M+H)
【0137】
実施例13:(S)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−ホルムアミド
実施例12に記載された方法と同様に、(S)−3−アミノ−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オンと、無水酢酸とギ酸の混合物との反応により、標記化合物を白色の固体として得た。MS:m/e=329(M+H)
【0138】
実施例14:(R)−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−尿素
N,N−ジメチルホルムアミド2ml中の(R)−3−アミノ−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オン塩酸塩及びN−エチル−ジイソプロピルアミン294mg(2.2mmol)の溶液を、0℃まで冷却し、トリメチルイソシアナート267mg(2.2mmol)で処理した。反応混合物を、放置し、RTに加温し、そして撹拌を2日間続けた。後処理として、懸濁液を減圧下に濃縮した。粗生成物を水中で粉砕し、次いで回収した固体物質を、酢酸エチル及び炭酸水素ナトリウムの飽和溶液の混合物中で、2回目の粉砕をした。残った固体を、ろ過ロートで回収し、高真空下で乾燥後、(R)−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−尿素155mg(理論値の61%)を白色の固体として得た。MS:m/e=344(M+H)
【0139】
実施例15:(S)−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−尿素
実施例14に記載された方法と同様に、(S)−3−アミノ−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オンと、トリメチルイソシアナートとの反応により、標記化合物を白色の固体として得た。MS:m/e=344(M+H)
【0140】
実施例16:(S)−N−{1−(S)−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド
a)(S)−[1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
実施例2b)に記載された方法と同様に、触媒としてパラジウム/炭素を用いる、(S)−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル[実施例8b)]の水素化分解により、標記化合物を白色の固体として定量的な収率で得た。MS:m/e=291(M−H)
【0141】
b)(S)−{1−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
実施例2c)に記載された方法と同様に、炭酸カリウムの存在下での(S)−[1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルの、臭化4−フルオロベンジルによるアルキル化により、標記化合物を白色の固体として得た。MS:m/e=401(M+H)
【0142】
c)(S)−3−アミノ−1−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オン塩酸塩
実施例8c)に記載された方法と同様に、(S)−{1−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステルのBoc基の切断により、標記化合物を白色の固体として得た。MS:m/e=301(M+H)
【0143】
d)(S)−N−{1−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド
実施例8d)に記載された方法と同様に、(S)−3−アミノ−1−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オン塩酸塩のアセチル化により、標記化合物を白色の固体として得た;MS:m/e=343(M+H)
【0144】
実施例17:(S)−N−{1−(S)−[4−(2,6−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド
a)(S)−{1−[4−(2,6−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
実施例2c)に記載された方法と同様に、炭酸カリウムの存在下での(S)−[1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル[実施例16a)]の、臭化2,6−ジフルオロベンジルによるアルキル化により、標記化合物を白色の固体として得た。MS:m/e=419(M+H)
【0145】
b)(S)−3−アミノ−1−[4−(2,6−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オン塩酸塩
実施例8c)に記載された方法と同様に、(S)−{1−[4−(2,6−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステルのBoc基の切断により、標記化合物を白色の固体として得た。
【0146】
c)(S)−N−{1−[4−(2,6−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド
実施例8d)に記載された方法と同様に、(S)−3−アミノ−1−[4−(2,6−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オン塩酸塩のアセチル化により、標記化合物を白色の固体として得た;MS:m/e=361(M+H)
【0147】
実施例18:(S)−N−{1−[4−(3,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド
a)(S)−{1−[4−(3,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
実施例2c)に記載された方法と同様に、炭酸カリウムの存在下での(S)−[1−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル[実施例16a)]の、臭化3,4−ジフルオロベンジルによるアルキル化により、標記化合物を白色の固体として得た;MS:m/e=419(M+H)
【0148】
b)(S)−3−アミノ−1−[4−(3,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オン塩酸塩
実施例8c)に記載された方法と同様に、(S)−{1−[4−(3,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステルのBoc基の切断により、標記化合物を白色の固体として得た;MS:m/e=319(M+H)
【0149】
c)(S)−N−{1−[4−(3,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド
実施例8d)に記載された方法と同様に、(S)−3−アミノ−1−[4−(3,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オン塩酸塩のアセチル化により、標記化合物を白色の固体として得た;MS:m/e=361(M+H)
【0150】
実施例A:錠剤
従来法で以下の組成の錠剤を製造した:
mg/錠
活性成分 100
粉末乳糖 95
白色トウモロコシデンプン 35
ポリビニルピロリドン 8
カルボキシメチルデンプンNa 10
ステアリン酸マグネシウム 2
錠剤重量 250
【0151】
実施例B:錠剤
従来法で以下の組成の錠剤を製造した:
mg/錠
活性成分 200
粉末乳糖 100
白色トウモロコシデンプン 64
ポリビニルピロリドン 12
カルボキシメチルデンプンNa 20
ステアリン酸マグネシウム 4
錠剤重量 400
【0152】
実施例C:カプセル剤
以下の組成のカプセル剤を製造した:
mg/カプセル
活性成分 50
結晶性乳糖 60
微結晶性セルロース 34
タルク 5
ステアリン酸マグネシウム 1
カプセル充填重量 150
【0153】
適切な粒度を持つ活性成分、結晶性乳糖及び微結晶性セルロースを相互に均質に混合して、篩にかけ、次にタルク及びステアリン酸マグネシウムを混合した。最終混合物を適切なサイズの硬ゼラチンカプセルに充填した。
【0154】
実施例D:注射液
注射液は、以下の組成であってよく、通常法で製造した:
活性物質 1.0mg
1N HCl 20.0μl
酢酸 0.5mg
NaCl 8.0mg
フェノール 10.0mg
1N NaOH pH5まで適量
2O 1mlまで適量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】


〔式中、
X−Yは、−CH2−CH2−、−CH=CH−又は−CH2−O−;
1、R1.1及びR1.2は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、(C1−C6)−アルキル、ハロゲン−(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシ又はハロゲン−(C1−C6)−アルコキシよりなる群から選択され;
21、R22及びR23は、互いに独立して、水素及びハロゲンよりなる群から選択され;
24は、水素、ハロゲン又はメチルであり;
3は、水素であり;
4は、−CONHR5、−CN又は−NHR6であり;
5は、水素又は(C1−C3)−アルキルであり;そして
6は、−CO−H、−CO−(C1−C6)−アルキル、−CO−ハロゲン−(C1−C3)−アルキル、−CO−O−(C1−C3)−アルキル、−CO−NH2又は−SO2−(C1−C6)−アルキルである〕の化合物、並びにその各々の異性体、ラセミ混合物又は非ラセミ混合物。
【請求項2】
X−Yが、−CH2−O−である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
1、R1.1及びR1.2が、互いに独立して、水素、ハロゲン、メチル、ハロゲンメチル、シアノ、メトキシ又はハロゲン−メトキシよりなる群から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
21、R22及びR23が、水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
24が、水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
4が、−CONHR5であり、式中、R5が、水素又は(C1−C3)−アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
4が、−CNである、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
4が、−NHR6であり、式中、R6が、−CO−H、−CO−(C1−C6)−アルキル、−CO−ハロゲン−(C1−C3)−アルキル、−CO−O−(C1−C3)−アルキル、−CO−NH2又は−SO2−(C1−C6)−アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
化合物が、(S)−立体配置を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
化合物が、(R)−立体配置を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
化合物が、
(RS)−1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボニトリル、
(RS)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸メチルアミド、
(RS)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸アミド、
(RS)−1−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸アミド、
(RS)−1−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸メチルアミド、
(RS)−2−オキソ−1−[4−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−3−カルボン酸アミド、
(RS)−2−オキソ−1−[4−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−3−カルボン酸メチルアミド、
(S)−N−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イル]−アセトアミド、
(S)−N−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イル]−メタンスルホンアミド、
(S)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド、
(R)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド、
(R)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−メタンスルホンアミド、
(S)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−メタンスルホンアミド、
(S)−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−カルバミン酸メチルエステル、
(R)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−ホルムアミド、
(S)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−ホルムアミド、
(R)−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−尿素、
(S)−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−尿素、
(S)−N−{1−(S)−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド、
(S)−N−{1−(S)−[4−(2,6−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド、及び
(S)−N−{1−[4−(3,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド
から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
請求項1記載の式Iの化合物の調製方法であって、式中、
(a)R4が、CONHR5である場合、
式II:
【化2】


(式中、R1、R1.1、R1.2、R21、R22、R23、R24、R3、X及びYが、上記で定義したと同じ意味を有し、そしてRが、水素又は(C1−C6)−アルキルである)の化合物を、式:H2N−R5(式中、R5は、上記の意味を有する)のアミンと反応させることを含み;
(b)R4が、CNである場合、
式III:
【化3】


(式中、R1、R1.1、R1.2、R21、R22、R23、R24、R3、X及びYが、上記で定義したと同じ意味を有し、そしてHalが、ハロゲンである)の化合物を、シアニド塩と反応させることを含み;あるいは
(c)R4が、NHR6である場合、
式IV:
【化4】


(式中、R1、R1.1、R1.2、R21、R22、R23、R24、R3、X及びYが、上記で定義したと同じ意味を有する)の化合物を、式:Z−CO−H、Z−CO−(C1−C6)−アルキル、Z−CO−ハロゲン−(C1−C3)−アルキル、Z−CO−O−(C1−C3)−アルキル、又はZ−SO2−(C1−C3)−アルキル(式中、Zは、活性化基、例えばハロゲン又は無水物である)のアシル供与剤とか、又はイソシアナートと反応させることを含む、方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法により製造された、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項14】
式I
【化5】


〔式中、
1は、ハロゲン、ハロゲン−(C1−C6)−アルキル、シアノ、(C1−C6)−アルコキシ又はハロゲン−(C1−C6)−アルコキシであり;
21、R22、R23及びR24は、互いに独立して、水素及びハロゲンよりなる群から選択され;
3は、水素であり;
4は、−CONHR5、−CH2CN、−CN又は−NHR6であり;
5は、水素又は(C1−C3)−アルキルであり;そして
6は、−CO−(C1−C6)−アルキル又は−SO2−(C1−C6)−アルキルであり;そして
nは、0、1、2又は3である〕の化合物、並びにその各々の異性体、ラセミ混合物又は非ラセミ混合物。
【請求項15】
請求項1又は14記載の化合物、及び薬学的に許容されうる賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項16】
モノアミンオキシダーゼBインヒビターにより媒介される疾患の治療及び予防用の、請求項15記載の医薬組成物。
【請求項17】
アルツハイマー病及び老人性の認知症の治療及び予防用の、請求項15記載の医薬組成物。
【請求項18】
疾患の治療又は予防用の、請求項1又は14記載の化合物及びその薬学的に許容されうる塩。
【請求項19】
モノアミンオキシダーゼBインヒビターにより媒介される疾患の治療及び予防用の医薬の製造のための、請求項1又は14記載の化合物及びその薬学的に許容されうる塩の使用。
【請求項20】
疾患が、アルツハイマー病又は老人性の認知症である、請求項19記載の使用。
【請求項21】
本明細書に記載された発明。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】


〔式中、
X−Yは、−CH2−CH2−、−CH=CH−又は−CH2−O−;
1、R1.1及びR1.2は、互いに独立して、水素、ハロゲン、シアノ、(C1−C6)−アルキル、ハロゲン−(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシ又はハロゲン−(C1−C6)−アルコキシよりなる群から選択され;
21、R22及びR23は、互いに独立して、水素及びハロゲンよりなる群から選択され;
24は、水素、ハロゲン又はメチルであり;
3は、水素であり;
4は、−CONHR5、−CN又は−NHR6であり;
5は、水素又は(C1−C3)−アルキルであり;そして
6は、−CO−H、−CO−(C1−C6)−アルキル、−CO−ハロゲン−(C1−C3)−アルキル、−CO−O−(C1−C3)−アルキル、−CO−NH2又は−SO2−(C1−C6)−アルキルである〕の化合物、並びにその各々の異性体、ラセミ混合物又は非ラセミ混合物。
【請求項2】
X−Yが、−CH2−O−である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
1、R1.1及びR1.2が、互いに独立して、水素、ハロゲン、メチル、ハロゲンメチル、シアノ、メトキシ又はハロゲン−メトキシよりなる群から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
21、R22及びR23が、水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
24が、水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
4が、−CONHR5であり、式中、R5が、水素又は(C1−C3)−アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
4が、−CNである、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
4が、−NHR6であり、式中、R6が、−CO−H、−CO−(C1−C6)−アルキル、−CO−ハロゲン−(C1−C3)−アルキル、−CO−O−(C1−C3)−アルキル、−CO−NH2又は−SO2−(C1−C6)−アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
化合物が、(S)−立体配置を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
化合物が、(R)−立体配置を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
化合物が、
(RS)−1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボニトリル、
(RS)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸メチルアミド、
(RS)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸アミド、
(RS)−1−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸アミド、
(RS)−1−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸メチルアミド、
(RS)−2−オキソ−1−[4−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−3−カルボン酸アミド、
(RS)−2−オキソ−1−[4−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−3−カルボン酸メチルアミド、
(S)−N−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イル]−アセトアミド、
(S)−N−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イル]−メタンスルホンアミド、
(S)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド、
(R)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド、
(R)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−メタンスルホンアミド、
(S)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−メタンスルホンアミド、
(S)−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−カルバミン酸メチルエステル、
(R)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−ホルムアミド、
(S)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−ホルムアミド、
(R)−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−尿素、
(S)−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−尿素、
(S)−N−{1−(S)−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド、
(S)−N−{1−(S)−[4−(2,6−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド、及び
(S)−N−{1−[4−(3,4−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−2−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド
から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
請求項1記載の式Iの化合物の調製方法であって、式中、
(a)R4が、CONHR5である場合、
式II:
【化2】


(式中、R1、R1.1、R1.2、R21、R22、R23、R24、R3、X及びYが、上記で定義したと同じ意味を有し、そしてRが、水素又は(C1−C6)−アルキルである)の化合物を、式:H2N−R5(式中、R5は、上記の意味を有する)のアミンと反応させることを含み;
(b)R4が、CNである場合、
式III:
【化3】


(式中、R1、R1.1、R1.2、R21、R22、R23、R24、R3、X及びYが、上記で定義したと同じ意味を有し、そしてHalが、ハロゲンである)の化合物を、シアニド塩と反応させることを含み;あるいは
(c)R4が、NHR6である場合、
式IV:
【化4】


(式中、R1、R1.1、R1.2、R21、R22、R23、R24、R3、X及びYが、上記で定義したと同じ意味を有する)の化合物を、式:Z−CO−H、Z−CO−(C1−C6)−アルキル、Z−CO−ハロゲン−(C1−C3)−アルキル、Z−CO−O−(C1−C3)−アルキル、又はZ−SO2−(C1−C3)−アルキル(式中、Zは、活性化基、例えばハロゲン又は無水物である)のアシル供与剤とか、又はイソシアナートと反応させることを含む、方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法により製造された、請求項1記載の式Iの化合物。
【請求項14】
式I
【化5】


〔式中、
1は、ハロゲン、ハロゲン−(C1−C6)−アルキル、シアノ、(C1−C6)−アルコキシ又はハロゲン−(C1−C6)−アルコキシであり;
21、R22、R23及びR24は、互いに独立して、水素及びハロゲンよりなる群から選択され;
3は、水素であり;
4は、−CONHR5、−CH2CN、−CN又は−NHR6であり;
5は、水素又は(C1−C3)−アルキルであり;そして
6は、−CO−(C1−C6)−アルキル又は−SO2−(C1−C6)−アルキルであり;そして
nは、0、1、2又は3である〕の化合物、並びにその各々の異性体、ラセミ混合物又は非ラセミ混合物。
【請求項15】
請求項1又は14記載の化合物、及び薬学的に許容されうる賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項16】
モノアミンオキシダーゼBインヒビターにより媒介される疾患の治療及び予防用の、請求項15記載の医薬組成物。
【請求項17】
アルツハイマー病及び老人性の認知症の治療及び予防用の、請求項15記載の医薬組成物。
【請求項18】
疾患の治療又は予防用の、請求項1又は14記載の化合物及びその薬学的に許容されうる塩。
【請求項19】
モノアミンオキシダーゼBインヒビターにより媒介される疾患の治療及び予防用の医薬の製造のための、請求項1又は14記載の化合物及びその薬学的に許容されうる塩の使用。
【請求項20】
疾患が、アルツハイマー病又は老人性の認知症である、請求項19記載の使用。

【公表番号】特表2006−503834(P2006−503834A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−537120(P2004−537120)
【出願日】平成15年9月18日(2003.9.18)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010383
【国際公開番号】WO2004/026826
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】