説明

4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド並びに癌の治療のためのそれのプロドラッグ及び塩

化合物4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド及びそれの変形(例えば塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、多形体及び代謝産物);それらを含有する医薬組成物;及びそれらを使った癌を治療する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ヒドロキシメチルフェニルピラゾリル尿素化合物、そのような化合物を含有する医薬組成物、並びに単独薬剤として又は別の活性成分、例えば細胞毒性療法薬と組み合わせた、高増殖性及び/又は血管形成性疾患を治療するためのそれらの化合物又は組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
1〜2 mm3を超える進行性腫瘍増殖をサポートするために、腫瘍細胞は機能的支質(ストロマ)、即ち線維芽細胞、平滑筋細胞、内皮細胞、細胞外基質タンパク質及び可溶性因子から成る支持構造を必要とする(Folkman, J., Semin Oncol, 2002, 29(6 Suppl 16), 15-18)。腫瘍はPDGFや形質転換増殖因子β(TGF−β)のような可溶性増殖因子の分泌を通して支質組織の形成を誘導し、それが次いで線維芽細胞増殖因子(FGF)、表皮増殖因子(EGF)及び血管内皮増殖因子(VEGF)といった宿主細胞による補足的因子の分泌を刺激する。それらの刺激因子は新血管の形成、即ち血管形成を誘導し、それが腫瘍に酸素と栄養素を供給してそれが増殖できるようにし、転移の経路を提供する。支質形成を阻害することに向けられた幾つかの療法が多様な組織学的型の表皮腫瘍の増殖を阻害するであろうと考えられている(George, D. Semin Oncol, 2001, 28 (5 Suppl 17), 27-33 ; Shaheen, R.M.他、Cancer Res, 2001, 61(4)、1464-8 ; Shaheen, R.M.他、Cancer Res, 1999, 59(21), 5412-6)。しかしながら、血管形成過程及び腫瘍進行に関係する複雑な性質と多数の増殖因子のために、単一の経路を標的指向する剤は限定された効果しか持たないだろう。宿主支質で血管形成を誘導するために腫瘍により使用される多数の重要なシグナル経路に対する治療法を提供することが望ましい。それらとしては、例えば、支質形成の有力な刺激剤であるPDGF(Ostman, A. & C.H. Heldin, Adv. Cancer Res., 2001, 80, 1-38)、線維芽細胞と内皮細胞に対する化学誘引剤とマイトジェンであるFGF、血管形成の有力な調節剤であるVEGFが挙げられる。HGF(血球増殖因子)は追加のシグナル増殖因子を表す。
【0003】
PDGFは支質形成の重要な調節剤であり、それはパラクリン(傍分泌)形式で多数の腫瘍により分泌され、繊維芽細胞、平滑筋細胞及び内皮細胞の増殖を促進して、支質形成と血管形成を促進すると考えられる。PDGFは最初シミアン肉腫ウイルスのv-sis腫瘍遺伝子産物として同定された(Heldin, C.H.他、J. Cell Sci. Suppl, 1985, 3, 65-76)。この増殖因子はA又はB鎖と命名された、一次アミノ酸配列において60%相同性を共有する2つのペプチド鎖から構成されている。鎖はジスルフィド架橋結合により連結されてAA,BB又はABホモ−又はヘテロ二量体から構成される30 kDaの成熟タンパク質を形成する。PDGFは血小板中に高レベルで見つかり、内皮細胞と血管平滑筋細胞により発現される。加えて、PDGFの生産は、あまり血管形成されていない腫瘍組織において認められるような低酸素条件下ではアップレギュレートされる(Kourembanas, S.他、Kidney Int., 1997, 51(2), 438-43)。PDGFは、1106アミノ酸の124 kDa膜貫通チロシンキナーゼレセプターであるPDGFレセプターに高親和力で結合する(Heldin, C.H., A. Ostman及びL. Ronnstrand, Biochim. Biophys. Acta, 1998, 1378(1), 79-113)。PDGFRはそれらのアミノ酸配列で全体で30%相同性及びそれらのキナーゼドメイン間では64%相同性を有する(Heldin, C.H.他、Embo. J., 1988, 7(5), 1387-93)。PDGFRは、VRGFR2(KDR)、VEGFR3(Flt4)、c-Kit及びFLT3を含むスプリットキナーゼドメインを有するチロシンキナーゼレセプターファミリーの一員である。PDGFレセプターは繊維芽細胞、平滑筋細胞及び周皮細胞上で優先的に発現され、ニューロン、腎臓メサンギウム、中枢神経系のライディヒ及びシュワン細胞上ではごく低レベルで発現される。レセプターに結合すると、PDGFはレセプターの二量化を誘導し、チロシン残基の自己及びトランスリン酸化を受け、それがレセプターのキナーセ活性を増加させ且つSH2タンパク質結合ドメインの活性化を通して下流エフェクターの動員を促進する。多数のシグナル分子がPl−3キナーゼ、ホスホリパーゼC−γ、src及びGAP(p21−rasに対するGTPアーゼ活性化タンパク質)を含有する活性化されたPDGFRと複合体を形成する(Soskic, V.他、Biochemitry, 1999, 38(6), 1757-64)。Pl-3キナーゼの活性化を通して、PDGFはRhoシグナル経路を活性化し、細胞運動性と遊走を誘導し、そしてGAPの活性化を通してp21-rasとMAPKシグナル経路の活性化を通して細胞分裂を誘導する。
【0004】
成人では、PDGFの主な機能は創傷治癒を促進し速度を増加させること、並びに血管ホメオスタシスを維持することであると考えられる(Baker, E.A.及びD.J. Leaper, Wound Repair Regen, 2000, 8(5), 392-8 ; Yu, J. A. Moon及びH.R. Kim, Biochem. Biphys. Res. Commun. 2001, 282(3), 697-700)。創傷治癒における役割に加えて、PDGFは血管ホメオスタシスを維持するのを助けることが知られている。新血管の発達中、PDGFは、血管の構造的完全性に必要とされる周皮細胞と平滑筋細胞を動員する。PDGFは腫瘍新血管形成中に同様な役割を果たすと考えられる。血管形成における役割の一部として、PDGFは間質液圧を制御し、結合組織細胞と細胞外基質との間の相互作用の調節を通して血管の浸透性を制御する。PDGFR活性を阻害することは、間質圧力を低下させ且つ腫瘍中への細胞毒素の流入を促進してそれらの剤の抗腫瘍活性を改善することができる(Pietras, K.他、Cancer Res., 2002, 62(19), 5476-84 ; Pietras, K.他、Cancer Res., 2001, 61(7), 2929-34)。
【0005】
PDGFは支質細胞又は腫瘍細胞上のPDGFRレセプターのパラクリン又は自己分泌刺激のいずれかを通して間接的に、又は組み換えによるレセプターの増幅もしくはレセプターの活性化を通して、腫瘍増殖を促進する。過剰発現されたPDGFはヒト黒色腫細胞と角質細胞を形質転換することができる(Forsberg, K.他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1993, 90(2), 393-7 ; Skobe, M.及びN.E. Fusenig, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1998, 95(3), 1050-5)。その2つの細胞型はおそらく支質形成と血管形成の誘導に対するPDGFの直接作用により、PDGFレセプターを発現しない。この腫瘍支質のパラクリン刺激は、結腸、肺、胸部及び前立腺の癌腫においても観察される(Bhardwaj, B.他、Clin. Cancer Res., 1996, 2(4), 773-82 ; Nakanishi, K.他、Mod. Pathol., 1997, 10(4), 341-7 ; Sundberg, C.他、Am. J. Pathol., 1997, 151(2), 479-92 ; Lindmark, G.他、Lab. Invest., 1993, 69(6), 682-9 ; Vignaud, J.M.他、Cancer Res., 1994, 54(20), 5455-63)。ここで腫瘍はPDGFを発現するがレセプターを発現しない。分析した腫瘍の大部分がリガンドPDGFとレセプターの両方を発現する腫瘍細胞増殖の自己分泌刺激は、神経膠芽腫(Fleming, T.P.他、Cancer Res., 1992, 52(16), 4550-3)、軟組織肉腫(Wang, J., M.D. Coltrera及びA.M. Gown, Cancer Res., 1994, 54(2), 560-4)及び卵巣癌(Henriksen, R.他、Cancer Res., 1993, 53(19), 4550-4)、前立腺癌(Fudge, K., C.Y. Wang及びM.E. Stearns, Mod. Pathol., 1994, 7(5), 549-54)、膵臓癌(Funa, K.他、Cancer Res., 1990, 50(3), 748-53)及び肺癌(Antoniades, H.N.他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1992, 89(9), 3942-6)。レセプターのリガンド独立的活性化は小程度しか観察されないが、染色体転座現象がEts様転写因子TELとPDGFレセプターとの間に融合タンパク質を形成する慢性骨髄単核細胞性白血病(CMML)において報告されている。加えて、PDGFRの活性化変異誘発が、c−Kit活性化が関係しない胃腸支質腫瘍において観察されている(Heinrich, M.C.他、Science, 2003, 9,9)。
【0006】
ある種のPDGFR阻害剤は腫瘍支質発生を妨害し、腫瘍増殖と転移を阻害すると考えられる。
【0007】
胎児発達と血管形成依存性疾患の両方における血管形成と脈管形成の別の主要な調整物質は、血管内皮増殖因子(VEGF;血管浸透性因子VPFとも呼ばれる)である。VEGFは、別のRNAスプライシングのためにホモ二量体の形で存在するマイトジェンのイソ型の一族を表す。VEGFイソ型は血管内皮細胞に対して高特異的であると報告されている(概説についてはFarrara他、Endocr. Rev., 1992, 13, 18 ; Neufield,他、FASEB J., 1999, 13, 9を参照のこと)。
【0008】
VEGF発現は低酸素症により(Schweiki他、Nature 1992, 359, 843)、並びに様々なサイトカイン及び増殖因子、例えばインターロイキン−1、インターロイキン−6、表皮増殖因子及び形質転換増殖因子により誘導されると報告されている。今日までに、VEGFとVEGFファミリーメンバーが3つの膜貫通レセプターチロシンキナーゼ(Mustonen他、J. Cell Biol., 1995, 129, 895)、即ちVEGFレセプター−1(flt-1としても知られる(fms様チロシンキナーゼ1))、VEGFR−2(キナーゼ挿入ドメイン含有レセプター(KDR)としても知られる;KDRのマウス類似体は胎児肝臓キナーゼ−1(flk-1)としても知られる)、及びVEGFR−3(flt-4としても知られる)のうちの1つ又は複数を結合すると報告されている。KDRとflt-1は異なるシグナル伝達特性を有することが示された(Waltenberger他、J. Biol. Chem., 1994, 269, 26988 ; Park他、Oncogene, 1995, 10, 135)。よって、KDRは完全な細胞中で強力なリガンド依存性チロシンリン酸化を受け、一方でflt-1は弱い応答を示す。よって、KDRへの結合はVEGF媒介生物学的応答の完全スペクトルの誘導のための重要な必要条件であると考えられる。
【0009】
生体内では、VEGFは脈管形成において重要な役割を果たし、そして血管形成と血管の浸透性を誘導する。無制御のVEGF発現は、異常な血管形成及び/又は過剰浸透性過程により特徴づけられる多数の病気の発生に起因する。或る種の薬剤によるVEGF媒介シグナル伝達カスケードの調節が異常な血管形成及び/又は過剰浸透性過程の制御のための有用な方法を提供することができる。
【0010】
血管内皮増殖因子(VEGF,VEGF−C,VEGF−D)及びそれらのレセプター(VEGFR2,VEGFR3)は腫瘍血管形成の重要な調節物質であるだけでなく、リンパ管形成の重要な調節物質でもある。VEGF,VEGF−C及びVEGF−Dは大部分の腫瘍において、主に腫瘍増殖期間の間に発現され、そしてしばしば実質的に増加されたレベルで発現される。VEGF発現は低酸素症、サイトカイン、rasのような腫瘍遺伝子により、又は腫瘍抑制遺伝子の不活性化により刺激される(McMahon, G. Ongologist, 2000, 5(Suppl 1), 3-10;McDonald, N.Q., Hendrickson, W.A., Cell, 1993, 73, 421-424)。
【0011】
VEGFsの生物活性はそれらのレセプターへの結合を通して媒介される。VEGFR3(Fit-4とも呼ばれる)は正常な成人組織中のリンパ内皮上に優先的に発現され、そしてVEGFR3機能は新たなリンパ管形成にとって必要であるが、現存のリンパ管の維持には必要でないと考えられる。VEGFR3は腫瘍中の血管内皮上でもアップレギュレートされる。近年、VEGFR3のリガンドであるVEGF−CとVEGF−Dが哺乳類におけるリンパ管形成の調節物質として同定された。腫瘍関連リンパ管形成因子により誘導されるリンパ管形成は、腫瘍への新血管の伸長を促進し、全身循環への腫瘍細胞のアクセスを提供する。リンパ管を侵略する細胞は、胸管経由で血流中へのそれらの経路を見つけることができる。腫瘍発現研究は、VEGF−C,VEGF−D及びVEGFR3発現と、原発腫瘍が拡大する能力に直接関連する診断病理学的因子(リンパ節含有、リンパ侵略、二次転移、及び無病生存力)との直接比較を可能にした。多くの例証において、これらの研究はリンパ管形成因子の発現と原発性固形腫瘍の転移能力との統計上の相関関係を明示している(Skobe, M.他、Nature Med., 2001, 7(2), 192-198 ; Stacker, S.A.他、Nature Med., 2001, 7(2), 186-191 ; Makinen, T.他、Nature Med., 2001, 7(2), 199-205 ; Mandriota, S.J.他、EMBO J., 2001, 20(4), 672-82 ; Karpanen, T.他、Cancer Res., 2001, 61(5), 1786-90 ; Kubo, H.他、Blood, 2000, 96(2), 546-53)。
【0012】
低酸素症は悪性細胞のVEGF生産にとって重要な刺激因子であると思われる。p38 MAPキナーゼの活性化が低酸素症に応答した腫瘍細胞によるVEGF誘導に必要である(Blaschke, F.他、Biochem. Biophys. Res. Commun., 2002, 296, 890-896 ; Shemirani, B.他、Oral Oncology 2002, 38, 251-257)。VEGF分泌の調節を通した血管形成におけるそれの関与に加えて、p38 MAPキナーゼは悪性細胞侵略を促進し、コラーゲナーゼ活性とウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子発現の調節を通して異なる腫瘍型の遊走を促進する(Laferriere, J.他、J. Biol. Chem. 2001, 276, 33762-33772 ; Westermarck, J.他、Cancer Res. 2000, 60, 7156-7162 ; Huang, S.他、J. Biol. Chem. 2000, 275, 12266-12272 ; Simon, C.他、Exp. Cell Res. 2001, 344-355)。
【0013】
レセプターチロシンキナーゼTrkAは、癌の治療と予防に向けられた医薬の調製のための別の着目の標的である。TrkAは神経増殖因子(NGF)の高親和力レセプターである。腫瘍におけるTrkAとNGFの発現は、膵臓、前立腺及び胸部のような腫瘍の増殖や転移に並びに血管形成に関係していると考えられる。TrkA発現は膵臓、胸部、卵巣及び前立腺腫瘍において報告されている。最近の研究は、ヒト前立腺及び膵臓腫瘍細胞がNGFを分泌しうること、それのレセプターであるTrkAと一緒に、それが腫瘍細胞の増殖と生存を促進する自己分泌ループを構築することを証明している(Ruggeri, B.A.他、Curr. Med. Chem. 1999, 6:845-857 ; Weeraratna, A.T.他、The Prostate 2000, 45:140-148)。小分子TrkA阻害剤(Miknyoczki, S.J.他、Clin. Cancer Res. 1999, 5:2205-2212 ; George, D.J.他、Cancer Res. 1999, 59:2395-2401 ; Weeraratna, A.T.他、Clin. Cancer Res. 2001, 7:2237-2245)及び抗NGF抗体(Miknyoczki, S.J.他、Clin. Cancer Res. 2002, 8:1924-1931)によるNGF−TrkAシグナル経路の阻害は、増殖だけでなく異種移植片モデルにおける神経内分泌腫瘍の転移も阻害すると推測されている。加えて、NGFは内皮細胞の増殖を誘導することが示された(Cantarella, G.他、FASEB J. 2002, 16:1307)。増殖腫瘍に栄養素を供給する新血管ネットワークを形成するそれらの細胞は、VEGFR2チロシンキナーゼレセプターも発現する。それらのリガンドによるレセプターの活性化は、内皮細胞の増殖、遊走及び血管形成と安定化をもたらす(Albo, D.他、Curr. Pharm. Des. 2004, 10:27-37 ; Thurston, G., Cell Tissue Res. 2003, 31:61-68)。
【0014】
レセプターチロシンキナーゼファミリーの一員であるプロト腫瘍遺伝子c-Metは、140 kDaの膜貫通β鎖と50 kDaの細胞外α鎖から成るヘテロ二量体複合体をコードする。このヘテロ二量体複合体は、肝細胞増殖因子(HGF)又は散乱因子(SF)のための高親和力レセプターとして働く。c-Met/HGFシグナル形成は、正常な哺乳類発達に必要であり、そして細胞増殖、遊走、形態形成分化及び三次元管状構造の組織化(例えば尿細管細胞、腺形成など)において特に重要であることが示されている。c-Met及びHGFは様々な組織において広範囲に発現され、それらの発現はそれぞれ上皮及び間葉起源の細胞に通常限定される。HGF/c-Metシグナル形成が様々な組織学的形態の腫瘍の発達と悪性進行に重要な役割を果たすという説得力のある証拠の複数系列が存在する。異所的にc-Met又はHGFを過剰発現する細胞系は、ヌードマウスにおいて腫瘍形成性及び転移性になり、一方でc-Metダウンレギュレーションはそれらの腫瘍形成能力を減少させる。HGF−依存性自己分泌ループは骨肉腫、骨髄性肉腫及び乳癌と関連することが分かっている(Trusolino及びComoglio, Nat. Rev. Cancer, 2002, 2, 289-300)。c-Met又はHGFトランスジェニックマウスは転移性腫瘍を発生する(Wang, R.他、J. Cell Biol. 2001, 153, 1023-1034 ; Takayama他、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1997, 94, 701-706)。c-Met発現の過剰発現は、多数の種類の固形腫瘍に見つかり、そして乏しい予後と相関関係がある(Birchmeier他、Mol. Cell Biol. 2003, 4, 915-925 ; Christensen, J.及びSalgia, R., Can. Lett. 2005, 225, 1-26)。c-Metとヒト癌とを結びつける絶対的な証拠は、遺伝性乳頭状腎細胞癌を患っている患者において生殖細胞系列活性化変異の同定から発した(Dharmawardana他、Curr. Mol. Med., 2004, 4, 855-868)。最後に、多くの胃癌においてc-Met遺伝子の増幅が観察された(Ponzetto, C.他、Oncogene 1991, 6, 553-9)。
【0015】
c-Met/HGFシグナル経路と腫瘍形成及び腫瘍進行との間の強力な関係のため、幾つかの治療方法は様々な研究グループにより追跡されている。HGF/SF−中和抗体(Cao他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2001, 98, 7443-8)、c-Metアンチセンスオリゴヌクレオチド(Kitamura他、Br. J. Cancer 2000, 83:668-73)、Metタンパク質の優勢陰性形(Firon他、Oncogene 2000, 19, 2386-97 ; Furge他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2001, 98, 10722-7)、Met mRNAを標的指向するリボサイム(Abounader他、J. Natl. Cancer Inst. 1999, 91, 1548-56;Abounader他、FASEB J. 2002, 16, 108-10)、及び小分子c-Metキナーゼ阻害剤(Christensen他、Cancer Res. 2003, 63, 7345-55)が、c-Met活性化を阻害し且つ腫瘍増殖、侵略及び転移を抑制するための可能な方策として研究されている。従って、c-Metキナーゼ活性の有力な阻害剤の同定は、様々な癌腫の腫瘍増殖を阻害するために大きな可能性がある。
【0016】
慢性骨髄性白血病(CML)は腫瘍遺伝子タンパク質Bcr-Ablにより引き起こされる(Groffen, J.他、J. Cell Physiol. Suppl., 1984, 3, 179-191 ; Sattler, M.及びGriffin, J.D., Semin Hematol., 2003, 40, 4-10)。CMLの顕著な特徴であるフィラデルフィア染色体は、染色体9と22の間の反転転座のためにCML患者において形成され(Rowley, J., Nature, 1973, 243, 290-293)、そしてこの転座がBcr-Abl融合タンパク質の形成を引き起こす(Groffen, J.及びHeisterkamp, N., Baillerres Clin. Haematol., 1987, 1, 983-999)。Ablタンパク質は、その活性が正常細胞において厳密に制御される非レセプターチロシンキナーゼである。しかしながら、Bcr-Abl融合タンパク質は、N末端のBcrタンパク質の存在のために構成的に活性化される。この構成的活性タンパク質は骨髄芽細胞段階で形質転換し、CMLを発生させる(Kelliher, M.A.他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1990, 87, 6649-6653)。転座に関わる染色体の正確な破断点に依存して、融合タンパク質の大きさは185〜230 kDaで異なるが、210 kDaタンパク質がCML中で最も一般的である。
【0017】
CML患者を治療するためのBcr-Ablタンパク質の阻害剤としてのイマチニブ〔Gleevec(登録商標),ST1571〕の開発は、腫瘍学における標的療法の分野の先駆者となった(Capdeville, R.他、Nat. Rev. Drug Discov., 2002, 1, 493-502)。初期CMLを有する患者は、血液学的及び細胞遺伝的レベルの両方で90%以上の程度に応答することがわかった(Deininger, M.他、Blood, 2005, 105, 2640-2653 ; Talpaz, M.他、Blood, 2002, 99, 1928-1937)。しかしながら、大部分の患者は長期治療後にイマニチブに対して耐性を発生する(Gorre, M.E.及びSawyers, C.L., Curr. Opin. Hematol. 2002, 9, 303-307)。今日まで、30以上のBcr-Ablのイマチニブ耐性変異が患者において観察されており、それらの変異の大部分が融合タンパク質のキナーゼ領域内のサブドメインに限定される。重要であるのは、T3151,E255K及びM351Tの3つの変異がイマチニブ耐性の50%超を表すことである(Deininger, M. Buchdunger, E.及びDruker, B.J., Blood, 2005, 105, 2640-2653)。
【0018】
最近、CML患者におけるイマチニブ耐性を克服するために多大な努力がなされている。例えば、BMS-354825(ダサチニブ)はBcr-AblとSrcファミリーキナーゼの阻害剤であると報告されている。細胞アッセイで試験した15のイマチニブ耐性Bcr-Abl変異のうち、BMS-354825がT315Iを除く該タンパク質の全ての変異型を阻害すると報告された(Shah, N.P.他、Science, 2004, 305, 399-401)。化合物AMN-107(ニロチニブ)は、イマチニブよりも20倍大きい能力でBcr-Ablキナーゼ活性を阻害すると報告された。AMN-107は、T351Iを除く大部分のイマチニブ耐性Bcr-Abl変異を阻害すると報告された。AMN-107はまた、生化学的アッセイにおいてE255K変異体に対して幾分弱い阻害を示す(Weisberg, E.他、Cancer Cell, 2005, 7, 129-141)。従って、CML及びイマチニブ耐性CMLを治療する新たな治療薬に対して未だ満たされていない有意な医学的な要望が存在する。
【0019】
ある種のジアリール尿素がセリン−スレオニンキナーゼ及び/又はチロシンキナーゼ阻害剤として活性を有すると記載されている。癌、血管形成性疾患及び炎症性疾患の治療用医薬組成物中の活性成分としてのそれらのジアリール尿素の使用は、証明されている。Redman他、Bioorg. Med. Chem. Lett. 2001, 11, 9-12 ; Smith他、Bioorg. Med. Chem. Lett. 2001, 11, 2775-2778 ; Dumas他、Bioorg. Med. Chem. Lett. 2000, 10, 2047-2050 ; Dumas他、Bioorg. Med. Chem. Lett. 2000, 10, 2051-2054 ; Ranges他、Book of Abstracts, 第220版, ACS National Meeting, 2000, Washington, DC, USA, MEDI 149 ; Dumas他、Bioorg. Med. Chem. Lett. 2002, 12, 1559-1562 ; Lowinger他、Clin. Cancer Res. 2000, 6(suppl), 335 ; Lyons他、Endocr.-Relat. Cancer 2001, 8, 219-225 ; Riedl他、Book of Abstracts, 第92版 AACR Meeting, 2001, New Orleans, LA, USA, アブストラクト4956 ; Khire他、Book of Abstracts, 第93版, AACR Meeting, 2002, San Francisco, CA, USA, アブストラクト4211 ; Lowinger他、Curr. Pharm. Design 2002, 8, 99-110 ; Regan他、J. Med. Chem. 2002, 45, 2994-3008 ; Pargellis他、Nature Struct. Biol. 2002, 9(4), 268-272 ; Carter他、Book of Abstracts, 第92版 AACR Meeting, 2001, New Orleans, LA, USA, アブストラクト4954 ; Vincent他、Book of Abstracts, 第38版 ASCO Meeting, 2002, Orlando, FL, USA, アブストラクト1900 ; Hilger他、Book of Abstracts, 第38版 ASCO Meeting, 2002, Orlando, FL, USA, アブストラクト1916 ; Moore他、Book of Abstracts, 第38版 ASCO Meeting, 2002, Orlando, FL, USA, アブストラクト1816 ; Strumberg他、Book of Abstracts, 第38版 ASCO Meeting, 2002, Orlando, FL, USA, アブストラクト121 ; Madwed, Book of Abstracts, Protein Kinases: Novel Target Identification and Validation for Therapeutic Development, San Diego, CA, USA, 2002; Roberts他、Book of Abstracts, 第38版 ASCO Meeting, 2002, Orlando, FL, USA, アブストラクト473 ; Tolcher他、Book of Abstracts, 第38版 ASCO Meeting, 2002, Orlando, FL, USA, アブストラクト334 ; Karp他、Book of Abstracts, 第38版 ASCO Meeting, 2002, Orlando, FL, USA, アブストラクト2753を参照のこと。
【0020】
或る種のピラゾリルフェニル尿素を含む或る種の尿素誘導体は、rafキナーゼやp38キナーゼといったタンパク質キナーゼの有効な阻害剤として同定されており、そしてそれらの化合物はDumas, J.他、“Inhibition of p38 Kinase Activity using Aryl- and Heteroaryl-Substituted Heterocyclic Ureas”, PCT国際出願WO 99/32110;Dumas, J.他、“Inhibition of Raf Kinase using Aryl- and Heteroaryl-Substituted Heterocyclic Ureas”, PCT国際出願WO 99/32455中に記載されている。WO 99/32110中の着目の1つのピラゾリルフェニル尿素化合物は実施例37であり、即ち1−〔5−tert‐ブチル−2−(4−フルオロフェニル)−2H−ピラゾール−3−イル〕−3−〔4−(ピリジン−4−イルオキシ)フェニル〕尿素である。着目の関連ピラゾール化合物は、Regan, J.R.他、“Aromatic Heterocyclic Compounds as Anti-Inflammatory Agents”, PCT国際出願WO 99/23091中にも記載された。より最近になって、ピラゾリル−N−フェニル基上の置換基として官能化された「末尾基」を有する或る種のピラゾリルフェニル尿素が、例えばVEGFR2,PDGFR及びTrk-Aに対して活性を有する、有効なタンパク質キナーゼ阻害剤であることが発見され;それらの化合物はLee, W.他、“Substituted Pyrazolyl Urea Derivatives Useful in the Treatment of Cancer”, PCT国際出願WO 2005/110994中に記載された。別の着目のピラゾリルフェニル尿素化合物が最近例えばVEGFR2, c-Met, Bcr-Abl及びBcr-Ablの様々な誘導体の有効な阻害剤であると発見され、そしてそれらの化合物は、2006年1月12日に出願されたSmith, R.他、“Urea Compounds Useful in the Treatment of Cancer”, PCT国際出願US/ 0645976中に記載された。このSmith, R.他からの同特許出願における着目の化合物は、4−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸メチルアミド断片、又は4−(4−アミノ−3−フルオロフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸メチルアミド断片、又は4−(4−アミノ−3−フルオロフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸アミド断片を包含する。着目の関連ピラゾール化合物もHoelzemann, G.他、“Pyrazole Derivatives”, PCT国際出願WO 2006/105844中に記載された。本発明の化合物及び組成物は、それらが例えばVEGFR2、野生型Bcr-Abl及びBcr-Ablの様々な変異体に対して有力な活性を示し、並びに望ましい物理化学的性質、例えば水性及び有機媒体への溶解性及び望ましい生体内薬物動態及び薬理学的プロフィールを示すので、特に重要である。
【0021】
当業界での進歩に関わらず、癌治療と抗癌性化合物への必要性が残っている。
【0022】
本発明の化合物の有用性は、例えば、後述の試験管内腫瘍細胞増殖アッセイにおけるそれらの活性により証明することができる。試験管内腫瘍細胞増殖アッセイと臨床設定での抗腫瘍活性の間の関連性は、当業界で十分に確立されている。例えば、タキソール(Silvestrini他、Stem. Cells 1993, 11(6), 528-35)、タキソテレ(Bissery他、Anti Cancer Drugs, 1995, 6(3), 339)及びトポイソメラーゼ阻害剤(Edelman他、Cancer Chemother. Pharmacol. 1996, 37(5), 385-93)の療法使用は試験管内腫瘍増殖アッセイの使用により証明された。
【0023】
塩及びエステルを含む本明細書に記載の化合物と組成物は、抗増殖活性を示し、よって高増殖と関連付けられる疾患を予防又は治療するのに有用である。
【発明の概要】
【0024】
新規ヒドロキシルフェニルピラゾリル尿素化合物が、癌をはじめとする増殖性疾患の治療に着目される分子標的である、VEGFRキナーゼ、野生型Bcr-Abl及びBcr-Ablの様々な変異体の有力な阻害剤であることが発見された。
【0025】
本発明は、
(i) 新規化合物(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド)並びにそれの塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、多形体及び代謝産物、例えば共に単離された立体異性体として及び立体異性体の混合物内の形としてのそれの塩及びプロドラッグのジアステレオ異性体;
【0026】
(ii) 新規化合物(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド)又はそれの塩、溶媒和物、水和物、プロドラッグ、多形体又は代謝産物(それの塩及びプロドラッグのジアステレオ異性体を含む)の医薬組成物;及び
(iii) 単独の剤として又は細胞毒性療法と組み合わせた、高増殖性及び血管形成性疾患を治療するための(i)又は(ii)の使用
に関する。
【0027】
化合物(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド)並びにそれの塩、水和物、溶媒和物、プロドラッグ、多形体及び代謝産物(それの塩及びプロドラッグのジアステレオ異性体を含む)は、「本発明の化合物」とまとめて呼称される。
【0028】
化合物(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド)の代謝産物及び本発明の別の化合物としては、1又は複数の窒素がヒドロキシ基で置換されている酸化誘導体が挙げられる。代謝産物としては化合物(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド)の類似体及びメチルアミド基が代謝性分解により脱メチル化されている本発明の別の化合物も挙げられる。代謝産物として化合物(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド)の酸化誘導体及びピリジン基の窒素原子が酸化形(又はヒドロキシ置換基を有する)であってもよい本発明の別の化合物も更に挙げられ、そして当業界で1−オキシピリジン及び1−ヒドロキシピリジンと言及されるそれらの構造を包含する。
【0029】
化合物、塩等の単語の複数形が使われる場合、これは単一化合物、塩等も意味すると解釈される。
【0030】
(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド)の医薬上許容される塩及び本発明の別の化合物の使用も本発明の範囲内である。用語「医薬上許容される」とは、比較的無毒の、無機又は有機酸付加塩を指す。例えば、S.M. Berge他、“Pharmaceutical Salts,” J. Pharm. Sci, 1977, 66, 1-19を参照のこと。
【0031】
化合物(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド)及び本発明の別の化合物の代表的塩としては、常用の無毒の塩、例えば、当業界で周知の手段により無機又は有機酸から形成される塩が挙げられる。例えば、そのような酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、二硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ塩、カンファースルホン酸塩、桂皮酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩化水素酸塩、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、イタコン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩及びウンデカン酸塩が挙げられる。
【0032】
本発明の目的上の溶媒和物は、溶媒分子が固体状態で複合体を形成する本発明の化合物のそれらの形態であり、非限定的例としてエタノール及びメタノールが挙げられる。水和物は溶媒が水である溶媒和物の特定形態である。
【0033】
化合物(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド)及び本発明の他の化合物は、官能基で更に修飾することができ、それは生体内投与後に開裂されて親の活性物質と薬理学上不活性な誘導体(官能)基を与える。一般にプロドラッグと呼称されるそれらの誘導体は、例えば、活性物質の物理化学的性質を変換し、活性物質を特定の組織に標的指向し、活性物質の薬物動態及び薬物力学的性質を変換し、そして望ましくない副作用を減少させるために使用することができる。
【0034】
化合物(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド)及び本発明の別の化合物のプロドラッグとしては、例えば、ヒドロキシル基のアシル化により調製することができる十分に寛容性で且つ医薬上許容されるエステルが挙げられる。そのようなエステルプロドラッグの例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、コハク酸及びメトキシ酢酸から調製されたエステルが挙げられる。エステルプロドラッグの追加の例は、アミノ酸、例えばD−アラニン、L−アラニン、D−バリン、L−バリン、β−アラニン等から調製されたエステルが挙げられる。エステルドラッグの別の例として、ビス(tert−ブチル)リン酸エステルを介して調製することができるリン酸エステルが挙げられる。
【0035】
プロドラッグを合成する方法は次の概説中に記載されており、その文献はそれらの方法の記載への参考により本明細書中に組み込まれる:Huguchi, T, Stella, VC.編、Prodrugs As Novel Drug Derivary Systemsm ACS Symposium Series. American Chemical Society: Washington, DC(1975); Roche, E.B., Design of Biopharmaceutical Properties through Prodrugs and Analogs. American Pharmaceutical Association, Wahington, DC (1977) ; Sinkula, A.A., Yalkowsky, S.H., J. Pharm. Sci. 1975, 64, 181-210 ; Stella, V.J., Charman, W.N., Naringrekar, V.H., Drugs, 1985, 29, 455-473 ; Bundgaard, H.編、Design of Prodrugs. Elsevier, New York (1985) ; Stella, V.J., Himmelstein, K.J., J. Med Chem., 19980, 23, 1275-1282 ; Han, H-K, Amidon, G.L., AAPS Pharmsci, 2000, 2, 1-11 ; Denny, W.A., Eur. J. Med. Chem., 2001, 36, 577-595 ; Wermuth, C.G., Wermuth, C.G.編、The Practice of Medicinal Chemistry Academic Press: San Diego (1996), 697-715 ; Balant, L.P., Doelker, E., Wolff, M.E.編、Burgers Medicinal Chemistry And Drug Discovery, John Wiley & Sons, New York (1997), 949-982。
【0036】
本発明の化合物の塩又はプロドラッグは、1又は複数の不斉中心を含む場合がある。不斉炭素原子は(R)又は(S)配置又は(R,S)配置で存在し得る。環上の置換基はシス又はトランス形のいずれで存在してもよい。そのような配置の全て(鏡像体及びジアステレオマーを含む)が本発明の範囲内に含まれる。好ましい異性体は、より望ましい生物活性を生じる配置を有するものである。本発明の化合物の分離された純粋なもしくは部分的に純粋な異性体又はラセミ体混合物も本発明の範囲内に含まれる。前記異性体の精製及び前記異性体混合物の分離は、当業界で既知である標準技術により達成することができる。
【0037】
化合物(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド)を調製するための特定方法は実施例1に記載される。塩の形の調製は実施例2〜7に記載される。
【0038】
実施例1の(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド)は、別法により調製することができる。ピラゾリル尿素を含むジアリール尿素の特定の調製は既に特許文献中に記載されており、本発明の化合物に適用することができる。例えば、Miller, S.他、“Inhibition of p38 Kinase using Symmetrical and Unsymmetrical Diphenyl Ureas”, PCT国際出願WO 99/32463;Miller, S.他、“Inhibition of raf Kinase using Symmetrical and Unsymmetrical Substituted Diphenyl Ureas”, PCT国際出願WO 99/32436;Dumas, J.他、“Inhibition of p38 Kinase Activity using Substituted Heterocyclic Ureas”, PCT国際出願WO 99/32111;Dumas, J.他、“Method for the Treatment of Neoplasm by Inhibition of raf Kinase using N-Hetroaryl-N’-(hetero)arylureas”,PCT国際出願WO 99/32106;Dumas, J.他、“Inhibiton of p38 Kinase Activity using Aryl- and Heteroaryl-Substituted Heterocyclic Ureas”, PCT国際出願WO 99/32110;Dumas, J.他、“Inhibition of raf Kinase using Aryl- and Heteroaryl-Substituted Heterocyclic Ureas”, PCT国際出願WO 99/32455;Riedl, B.他、“O-Carboxyl Aryl Substituted Diphenyl Ureas as raf Kinase Inhibitors”, PCT国際出願WO 2000/42012;Riedl, B.他、“O-Carboxy Aryl Substituted Diphenyl Ureas as p38 Kinase Inhibitors”, PCT国際出願WO 2000/41698;Dumas, J.他、“Heteroaryl ureas containing nitrogen hetero-atoms as p38 inhibitors”,米国特許出案US 2002/0065296;Dumas, J.他、“Preparation of N-aryl-N’-[(acylphenoxy)phenyl]ureas as raf kinase inhibitors”PCT国際出願WO 2002/62763 ; Dumas, J.他、“Inhibition of raf kinase using quinolyl, isoquinolyl or pyridyl ureas”, PCT 国際出願 WO 2002/85857 ; Dumas, J.他、“Preparation of quinolyl, isoquinolyl or piridyl-ureas as inhibitors of raf kinase for the treatment of tumors and/or cancerous cell growth”, PCT国際出願US 20002/0165394;Lee,W.他、“Substituted Pyrazolyl Urea Derivatives Useful in the Treatment of Cancer”, PCT国際出願WO 2005/110994。上記特許出願の全ては本明細書中に参考として組み込まれる。
【0039】
本発明の化合物の合成において及び本発明の化合物の合成に関係する中間体の合成において使用することができる合成形質転換は当業者に既知であるか又は利用可能である。合成形質転換の集合は、例えば次の編集物中に見つけることができる:
【0040】
・J. March. Advanced Organic Chemisty, 第4版, John Wiley, New York (1992)
・R.C. Larock, Comprehensive Organic Transformations, 第2版, Wiley-VCH, New York (1999)
・F.A. Carey, R.J. Sundberg, Advanced Organic Chemistry, 第2版, Plenum Press, New York (1984)
・T.W. Greene, P.G.M. Wuts, Protective Grousp in Organic Synthesis, 第3版, John Wiley, New York (1999)
・L.S. Hegedus, Transition Metals in the Synthesis of Complex Organic Molecules, 第2版, University Science Books, Mill Valley, CA (1994)
【0041】
・L.A. Paquette編、The Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, John Wiley, New York (1994)
・A.R. Katritzky, O. Meth-Cohn, C.W. Rees編、Comprehensive Organic Functional Group Transformetions, Pergamon Press, Oxford, UK (1995)
・G. Wilkinson, F.G.A. Stone, E.W.Abel編、Compehensive Organometallic Chemisty, Pergamon Press, Oxford, UK (1982)
・B.M. Trost, I. Fleming, Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press, Oxford, UK (1981)
・A.R. Katritzky, C.W. Rees編、Comprehensive Heterocyclic Chemisty, Pergamon Press, Oxford, UK (1984)
・A.R. Katrizky, C.W. Rees, E.F.V. Scriven編、Comprehensive Heterocycloc Chemistry II, Pregamon Press, Oxford, UK (1996)
・C. Hansch, P.G. Sammes, J.B. Taylor編、Comprehensive Medicinal Chemstry, Pergamon Press, Oxford, UK (1990).
【0042】
加えて、合成方法及び関連題目の概説としては、Organic Peactions, John Wiley, New York ; Organic Synthesis, John Wiley, New York ; Reagents for Organic Synthesis, John Wiley, New York ; The Total Synthesis of Natural Products, John Wiley, New York ; The Organic Synthesis, Academic Press, San Dego, CA ; The Organic Chemisty of Drug Synthesis: John Wiley, New York ; Annual Reports in Organic Synthesis, Academic Press, San Diego, CA ; 及びMethoden der Organischen Chemie (Houben-Weyl); Thieme: Stuttgart, Germanyが挙げられる。更に、合成形質転換のデータベースとして、CAS OnLine又はSciFinderのいずれかを使って検索することができるChemical Abstracts 又はSpotFire及びREACCSを使って検索することができるHandbuch der Organischen Chemie (Beilstein)が挙げられる。
【0043】
本発明は、本発明の化合物に対する感受性を決定するための患者のスクリーニング方法にも関する。例えば、本発明は、いずれかの有効な順序での次の段階の1又は複数を含んで成る治療のための病気を有する被験者の選択方法に関する。例えば、病気を有する被験者から得られた試料中のFlk-1, Trk-A, c-Met及び/又はBcr-Ablの発現又は活性を測定し、そして変更された(例えば高レベルに又は活性化レベルに)発現又は活性のレベルを有すると同定された被験者に本発明の化合物を投与することを含んで成る。
【0044】
用語「感受性」とは、例えば毒性又は別の不利な効果などに応答する能力を示すために広範囲に使用される。例えば、本発明は、前記状態を有する細胞中のFlk-1, Trk-A, c-Met及び/又はBcr-Ablの発現又は活性を測定することを含んで成る、本明細書に開示される化合物により状態が変更できるかどうかを決定する方法に関する。その結果を使って、被験者が本発明の化合物に応答するかどうかを決定又は予測することができる。例えば、状態が腫瘍である場合、該方法を使って腫瘍が本発明の化合物に感受性であるかどうかを予測することができる。用語「感受性」とは、腫瘍がそれで治療できること、例えば腫瘍の回帰又は細胞死を引き起こし、細胞増殖を阻害し、腫瘍の増殖を阻害し、腫瘍の転移を阻害することを意味する。
【0045】
腫瘍のような状態が本発明の化合物に感受性であるかどうかは、日常的に決定することができる。例えば、該状態を示す細胞又は組織(例えば腫瘍細胞、生検試料など)をFlk-1, Trk-A, c-Met及び/又はBcr-Abl活性の存在及び/又は不在について及びそのレベルについてアッセイすることができる。異常な(例えば高い)レベルの発現及び/又は活性が同定されたら、これは被験者が本発明の化合物に対して応答するか、又はそれから恩恵を受けるであろうことを示すことができる。遺伝子発現レベル(例えばmRNAレベル)、遺伝子増幅又は遺伝子産物活性(例えばチロシンキナーゼ活性)のレベルを使って、対応する遺伝子及びシグナル経路に関する細胞の状態を特徴づけることができる。例えば、本発明の標的遺伝子はチロシンキナーゼ活性を有するので、キナーゼ活性を使って細胞又は組織の状態を評価することができる。下記実施例において、それによりリン酸化された基質のレベルを観察することにより活性を測定した。これは定量的に(例えば同位体、分光法などを使って)又はレベルを視覚的に評価しそして−1〜+4の強度レベルを割り当てる実施例のように半定量的に実施することができる。例えば、高レベルのリン酸化基質(および強化された活性を示す多数の細胞)を有する細胞又は組織は、高レベルのキナーゼ活性を有すると見なすことができ、従って本発明の化合物を用いた療法の候補であることができる。1以上の活性を評価でき、複数の標的からの結果を被験者の状態(例えば腫瘍)が本発明の化合物に応答性であるかどうかを決定するのに使用することができる。
【0046】
標的活性のレベルは、対照又は別の標準に関連付けることができる。例えば、「高」レベルは、細胞が比較として使用した標準又は対照よりも統計上高い量の測定活性又はリン酸化基質を発現する場合であることができる。高レベルは25%以上の細胞が標的活性を発現することでもある。
【0047】
方法は正常の対照と、又は正常の又は未罹患の組織から得られた試料中の発現と、試料中の発現を比較する段階を更に含んで成る。比較は電子形態での標準に対して(例えばデータベースに対して)、手動で行うことができる。正常の対照は、アッセイに用意された標準試料であることができ、それは近隣の未罹患の組織、同一患者からの組織から得ることができ、又はそれは予め決められた値などであることができる。遺伝子発現、タンパク質発現(細胞中豊富な)、タンパク質活性(例えばキナーゼ活性)などを測定することができる。
【0048】
例えば、癌患者からの生検試料を、Flk-1, Trk-A, c-Met及び/又はBcr-Ablの存在、量及び/又は活性についてアッセイすることができる。上記の1つ又は複数の異常な(例えば増加された)発現又は活性は、癌が本発明の化合物による治療に標的指向できることを示す。増加されたキナーゼ活性は、対応するキナーゼが活性化されているか又は過剰発現することを示し、それを治療するための本発明の化合物の使用を示唆する。生検試料に加えて、別の体液、例えば血清、血液、脳脊髄液、尿など、例えば末梢血リンパ球(PBL)中で発現を測定することもできる。
【0049】
加えて、癌を有する患者は、組織が新血管形成を経験しているかどうか及びどれくらい多いかに基づいて選択しそしてモニタリングすることができる。これは上述したように、例えば血管マーカー(例えばCD31),VGFRリガンドの循環レベル等についての免疫組織化学を使って、評価することができる。
【0050】
患者選択及びモニタリングは、Flk-1, Trk-A, c-Met及び/又はBcr-Ablの細胞外部分をはじめとする様々なレセプターから誘導された切断された細胞外ドメインの正常レベルを超える体液中の出現に基づいて行うこともできる。検出方法は日常的に、例えば細胞外ドメインに特異的に結合する抗体を使って、達成することができる。発現の測定は、細胞又はそれによる切断物中に存在するポリペプチドの量を測定又は検出すること、並びに存在するmRNAの量が細胞により生産されたポリペプチドの量を反映する場合、mRNAを測定することを含んで成る。更に、Flk-1, Trk-A, c-Met及び/又はBcr-Ablに対する遺伝子を分析して、異常な発現又はポリペプチド活性に応答する遺伝子欠損があるかどうかを決定することができる。それらの遺伝子の配列は一般に入手可能である。
【0051】
本発明の化合物の組成物
本発明は、1又は複数の本発明の化合物を含有する医薬組成物にも関する。それらの組成物は、必要とする患者への投与により所望の薬理学的効果を達成するために使用することができる。本発明の目的上の患者は、特定の状態又は病気の治療を必要とするヒトを含む哺乳類である。従って、本発明は、医薬上許容される担体及び医薬上有効な量の本発明の化合物を含んで成る医薬組成物にも関する。医薬上許容される担体は、好ましくは、任意の副作用が活性成分の有利な効果を損ねないような活性成分の有効活性と一致する濃度で比較的無毒で且つ患者にとって無害である担体である。医薬上有効な量の化合物は、好ましくは治療すべき特定の状態に対して結果を生じるか又は影響を発揮する量である。本発明の化合物は当業界で周知の医薬上許容される担体と共に任意の常用の剤形で、例えば即座の、遅延の及び徐放性の製剤、経口、非経口、局所、経鼻、眼科的、光学的、舌下、直腸、膣内などを使って投与することができる。
【0052】
経口投与用には、化合物は固体又は液体製剤、例えばカプセル剤、ピル、トローチ、ロゼンジ、メルト、粉剤、液剤、懸濁液剤、又は乳剤中に製剤化することができ、そして当業界で既知の医薬組成物の製造方法に従って調製することができる。固形単位剤形は、例えば、界面活性剤、光沢剤、及び不活性成分、例えば乳糖、ショ糖、リン酸カルシウム及びコーンスターチを含有する硬質又は軟質シェルのゼラチン型であるカプセルであることができる。
【0053】
別の態様では、本発明化合物は、常用の錠剤基剤、例えば乳糖、ショ糖及びコーンスターチを、結合剤、例えばアカシア、コーンスターチ又はゼラチン、投与後に錠剤の崩壊及び溶解を助けるための崩壊剤、例えばジャガイモデンプン、アルギン酸、コーンスターチ及びグアーガム、トラガカントガム、アカシア、錠剤の造粒の流れを改善するため及び錠剤ダイ及びパンチの表面への錠剤材料の接着を防止するための光沢剤、例えばタルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、カルシウム又は亜鉛、色素、着色剤、及び錠剤の美的資質を増加させ且つそれらを患者が服用しやすいようにするための矯味矯臭剤、例えばペパーミント、ウインターグリーン油、又はチェリーフレーバーと共に錠剤化することができる。経口液体剤形での使用に適当な賦形剤としては、医薬上許容される界面活性剤、懸濁剤又は乳化剤の添加を伴う又は伴わない、リン酸二カルシウム、及び希釈剤、例えば水及びアルコール、例えばエタノール、ベンジルアルコール及びポリエチレンアルコールが挙げられる。様々な別の材料がコーティングとして又は剤形の物理的形体を変更するために存在することができる。例えば、錠剤、ピル又はカプセルはシェラック、砂糖又はその両方でコーティングすることができる。
【0054】
分散性粉末及び顆粒は、水性懸濁液の調製に適当である。それらは活性成分を分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1又は複数の保存剤と混合して提供する。適当な分散剤又は湿潤剤は上述したものにより例示される。追加の賦形剤、例えば上述した甘味剤、矯味矯臭剤及び着色剤も存在してよい。
【0055】
本発明の医薬組成物は水中油型乳剤の形であってもよい。油相は植物油、例えば液体パラフィン又は植物油の混合物であることができる。適当な乳化剤は(1) 天然ガム、例えばアカシアガム、及びトラガカントガム、(2) 天然のホスファチド、例えば大豆及びレシチン、(3) 脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導されるエステル又は部分エステル、例えばソルビタンモノオレエート、(4) 前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであることができる。乳剤は甘味剤と矯味矯臭剤を含有してもよい。
【0056】
油状懸濁液は、活性成分を植物油、例えば落花生油、ゴマ油もしくはヤシ油中に、又は鉱油、例えば液体パラフィン中に懸濁することにより製剤化することができる。油状懸濁液は増量剤、例えばビーズワックス、硬質パラフィン又はセチルアルコールを含有してもよい。懸濁液は1又は複数の保存剤、例えばエチル又はn−プロピルベンゾエート;1又は複数の着色剤;1又は複数の矯味矯臭剤;及び1又は複数の甘味剤、例えばショ糖又はサッカリンを含んでもよい。
【0057】
シロップ及びエリキシル剤は、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はショ糖を用いて製剤化することができる。そのような製剤は鎮痛剤及び保存剤、例えばメチル及びプロピルパラベン並びに矯味矯臭剤及び着色剤を含んでもよい。
【0058】
本発明の化合物は、好ましくは無菌液体又は液体混合物、例えば水、食塩水、水性デキストロース及び関連の糖溶液、アルコール、例えばエタノール、イソプロパノール又はヘキサデシルアルコール、グリコール、例えばプロピレングリコール又はポリエチレングリコール、グリセロールケタール、例えば2,2−ジメチル−1,1−ジオキソラン−4−メタノール、エーテル、例えばポリ(エチレングリコール)400、油、脂肪酸、脂肪酸エステル又は脂肪酸グリセリド、アセチル化脂肪酸グリセリド中で、医薬上許容される界面活性剤、例えば石鹸又は洗剤、懸濁剤、例えばペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はカルボキシメチルセルロール、又は乳化剤及び別の医薬賦形剤の添加を伴って又は伴わずに、医薬担体と共に生理学的に許容される希釈剤中で、非経口的に、即ち皮下、静脈内、眼内、滑液嚢内、筋肉内、又は腹腔内に投与してもよい。
【0059】
本発明の非経口製剤において使用できる油の例は、石油、動物、植物又は合成起源の油、例えば落花生油、大豆油、ゴマ油、綿実油、コーン油、オリーブ油、ワセリン及び鉱油である。適当な脂肪酸としては、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸及びミリスチン酸が挙げられる。適当な脂肪酸エステルは、例えば、オレイン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルである。適当な石鹸としては、脂肪酸アルキル金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩が挙げられ、そして適当な洗剤としてはカチオン洗剤、例えばジメチルジアルキルアンモニウムハライド、アルキルピリジニウムハライド、及びアルキルアミンアセテート;アニオン洗剤、例えばアルキル、アリール及びオレフィンスルホネート、アルキル、オレフィン、エーテル及びモノグリセリドスルフェート、及びスルホスキシネート;非イオン性洗剤、例えば脂肪アミンオキシド又はプロピレンオキシドコポリマー;及び両イオン性洗剤、例えばアルキル−β−アミノプロピオネート、及び2−アルキルイミダゾリン第四級アンモニウム塩、並びにそれらの混合物である。
【0060】
本発明の非経口組成物は、典型的には溶液中に約0.5重量%〜約25重量%の活性成分を含有するだろう。保存剤及び緩衝剤も有利に使用できる。注入部位での炎症を最小化又は除去するために、そのような組成物は、好ましくは約12〜約17の親水性−新油性バランス(HLB)を有する非イオン性界面活性剤を含有することができる。そのような製剤における界面活性剤の量は、好ましくは約5重量%〜約15重量%の範囲である。界面活性剤は上記HLBを有する単一成分であることができ、又は所望のHLBを有する2以上の成分の混合物であることができる。
【0061】
非経口製剤に使用される界面活性剤の例は、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル、例えばソルビタンモノオレエート、及びプロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合により形成される、エチレンオキシドと疎水性塩基との高分子量付加物である。
【0062】
医薬組成物は無菌注射水性懸濁液の形であることができる。そのような懸濁液は適当な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム、及びアカシアガム;天然のホスファチド、例えばレシチン、アルキレンオキシドと脂肪酸の縮合生成物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、エチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを使って、既知の方法に従って製剤化することができる。
【0063】
無菌注射製剤は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶剤中の無菌注射溶液又は懸濁液であることもできる。使用することができる希釈剤及び溶剤は、例えば、水、リンガー液、等張性塩化ナトリウム溶液及び等張性グルコース溶液である。加えて、無菌の固定化油が溶剤又は懸濁溶媒として使用される。この目的上、どんな固定化油でも使用でき、例えば合成モノ−又はジグリセリドを使用できる。加えて、オレイン酸のような脂肪酸を注射液の調製に使用することができる。
【0064】
本発明の組成物は、本発明の化合物の直腸投与のための坐剤の形で投与することもできる。そのような組成物は、本発明の化合物を、通常の温度では固体であるが直腸温度では液体であり、従って直腸内で溶融して薬剤を放出する適当な非炎症性賦形剤と混合することにより調製することができる。そのような物質は、例えばカカオ脂及びポリエチレングリコールである。
【0065】
本発明の方法で使用される別の製剤は、経皮送達系(「パッチ」)を使用する。そのような経皮パッチは、本発明の化合物を制御された量で連続的又は断続的な注入を提供するために使用することができる。薬剤の送達のための経皮パッチの構成及び使用は当業界で周知である(例えば1991年6月11日に付与された米国特許第5,023,252号を参照のこと。それは参考として本明細書に組み込まれる)。そのようなパッチは連続的な、拍動性の、又は要望に応じた(オンデマンドの)薬剤の送達のために構成される。
【0066】
非経口投与の徐放性製剤としては、当業界で既知であるリポソーム、ポリマー微小球及びポリマーゲル製剤が挙げられる。
【0067】
機械的送達装置を介して医薬組成物を患者に導入することが望ましいか又は必要であるかもしれない。薬剤の送達のための機械的送達装置の構成及び使用は当業界で周知である。例えば薬剤を脳に直接投与するための直接技術は、一般に患者の脳室系に薬剤送達カテーテルを配置して血液−脳関門をバイパスすることを包含する。体の特定の解剖領域への薬剤の輸送に使用される1つのそのような送達系は、1991年4月30日に付与された米国特許第5,011,472号明細書中に記載されている。
【0068】
本発明の組成物は、必要又は所望であれば別の常用の医薬上許容される化合物成分(一般に担体又は希釈剤と呼称される)を含有することもできる。適当な剤形においてそのような組成物を調製するための従来の手順を使用できる。そのような成分及び手順としては、次の参考文献中に記載されたものが挙げられ、その各々が参考として本明細書中に組み込まれる:Powell, M.F.他、“Compendium of Excipients for Parenteral Formulations”, PDA Journal of Pharmaceutical Sciencee & Technology 1998, 52(5), 238-311 ; Strickley, R.G., “Parenteral Formulations of Small Molecule Terapeutics Marketed in the United States (1999)-Part 1”, PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 1999, 52 (6), 324-349 ;及びNema, S.他、“Excipients and Their Use in Injectable Products”, PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 1997, 51(4), 166-171。
【0069】
意図する投与経路のため組成物を製剤化するのに適当に使用することができる汎用の医薬成分としては次のものが挙げられる:
【0070】
酸性化剤(非限定的例として酢酸、クエン酸、フマル酸、塩酸、硝酸が挙げられる);
アルカリ化剤(非限定的例としてアンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロールアミンが挙げられる);
吸着剤(非限定的例として粉末セルロース及び活性炭が挙げられる);
エーロゾル噴射剤(非限定的例として二酸化炭素、CCl2F2、F2ClC-CClF2及びCClF3が挙げられる);
空気置換剤(非限定的例として窒素及びアルゴンが挙げられる);
【0071】
抗真菌保存剤(非限定的例として安息香酸、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウムが挙げられる);
抗菌保存剤(非限定的例として塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀及びチメロサールが挙げられる);
抗酸化剤(非限定的例としてアスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシレート、メタ重亜硫酸ナトリウムが挙げられる);
【0072】
結合剤(非限定的例としてブロックポリマー、天然及び合成ゴム、ポリアクリレート、ポリウレタン、シリコン、ポリシロキサン及びスチレン−ブタジエンコポリマーが挙げられる);
緩衝剤(非限定的例としてメタリン酸カリウム、リン酸二カリウム、酢酸ナトリウム、無水クエン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物が挙げられる);
輸送剤(非限定的例としてアカシアシロップ、芳香シロップ、芳香エリキシル、チェリーシロップ、ココアシロップ、オレンジシロップ、シロップ、コーン油、鉱油、落花生油、ゴマ油、静菌性塩化ナトリウム注射液及び静菌性注射用蒸留水が挙げられる);
キレート化剤(非限定的例としてエデト酸二ナトリウム及びエデト酸が挙げられる);
【0073】
着色剤(非限定的例としてFD&C Red No.3, FD&C Red No.20, FD&C Yellow No.6, FD&C Blue No.2, D&C Green No.5, D&C Orange No.5, D&C Red No.8, カラメル及び酸化鉄赤が挙げられる);
清澄剤(非限定的例としてベントナイトが挙げられる);
乳化剤(非限定的例としてアカシア、セトマクロゴール、セチルアルコール、グリセリルモノステアレート、レシチン、ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン50モノステアレートが挙げられる);
封入剤(非限定的例としてゼラチン及び酢酸セルロースフタレートが挙げられる);
【0074】
矯味矯臭剤(非限定的例としてアニス油、桂皮油、ココア、メントール、オレンジ油、ペパーミント油及びバニリンが挙げられる);
保湿剤(非限定的例としてグリセロール、プロピレングリコール及びソルビトールが挙げられる);
粉砕剤(非限定的例として鉱油及びグリセリンが挙げられる);
(非限定的例としてラッカセイ油、鉱油、オリーブ油、落花生油、ゴマ油及び植物油が挙げられる);
軟膏基剤(非限定的例としてラノリン、親水性軟膏、ポリエチレングリコール軟膏、ワセリン、親水性ワセリン、白色軟膏、黄色軟膏及びローズ水軟膏が挙げられる);
【0075】
浸透増加剤(皮下投与)(非限定的例としてモノヒドロキシ又はポリヒドロキシアルコール、飽和又は不飽和脂肪アルコール、一価又は多価アルコール、飽和又は不飽和脂肪エステル、飽和又は不飽和ジカルボン酸、精油、ホスファチジル誘導体、セファリン、テルペン、アミド、エーテル、ケトン及び尿素が挙げられる);
可塑剤(非限定的例としてジエチルフタレート及びグリセロールが挙げられる);
溶剤(非限定的例としてエタノール、コーン油、綿実油、グリセロール、イソプロパノール、鉱油、オレイン酸、落花生油、精製水、注射用蒸留水、注射用滅菌水、及び洗浄用滅菌水が挙げられる);
硬化剤(非限定的例としてセチルアルコール、セチルエステルワックス、微結晶ワックス、パラフィン、ステアリルアルコール、白ろう及び黄ろうが挙げられる);
坐剤基剤(非限定的例としてカカオ脂及びポリエチレングリコール(混合物)が挙げられる);
【0076】
界面活性剤(非限定的例として塩化ベンザルコニウム、ノノキシノール10、オキストキシノール9、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム及モノパルミチン酸ソルビタンが挙げられる);
懸濁剤(非限定的例として寒天、ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カオリン、メチルセルロース、トラガカント及びビーガムが挙げられる);
甘味剤(非限定的例としてアスパルテーム、デキストロース、グリセロール、マンニトール、プロピレングリコール、サッカリンナトリウム、ソルビトール及びショ糖が挙げられる);
錠剤付着防止剤(非限定的例としてステアリン酸マグネシウム及びタルクが挙げられる);
【0077】
錠剤結合剤(非限定的例としてアカシア、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、圧縮性糖、エチルセルロース、ゼラチン、液体グルコース、メチルセルロース、非架橋ポリビニルピロリドン、及びゼラチン化デンプンが挙げられる);
錠剤及びカプセル希釈剤(非限定的例として二塩基性リン酸カルシウム、カオリン、ラクトース、マンニトール、微結晶セルロース、粉末セルロース、沈澱炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ソルビトール及びデンプンが挙げられる);
錠剤コーティング剤(非限定的例として液体グルコース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロースフタレート及びシェラックが挙げられる);
錠剤直接圧縮賦形剤(非限定的例として二塩基性リン酸カルシウムが挙げられる);
錠剤崩壊剤(非限定的例としてアルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、微結晶セルロース、ポラクリリンカリウム、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、デンプングルコン酸ナトリウム及びデンプンが挙げられる);
【0078】
錠剤流動促進剤(非限定的例としてコロイド状シリカ、コーンスターチ及びタルクが挙げられる);
錠剤光沢剤(非限定的例としてステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ステアリン酸及びステアリン酸亜鉛が挙げられる);
錠剤/カプセル不透明化剤(非限定的例として二酸化チタンが挙げられる);
錠剤研磨剤(非限定的例としてカルナウバロウ及び白ろうが挙げられる);
増量剤(非限定的例としてビーズワックス、セチルアルコール及びパラフィンが挙げられる);
【0079】
等張化剤(非限定的例としてデキストロース及び塩化ナトリウムが挙げられる);
粘度増加剤(非限定的例としてアルギン酸、ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム及びトラガカントが挙げられる);及び
湿潤剤(非限定的例としてヘプタデカエチレンオキシセタノール、レシチン、ソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート及びポリオキシエチレンステアレートが挙げられる)。
【0080】
本発明に係る医薬組成物は次のように例示することができる:
無菌IV溶液:本発明の所望の化合物の5mg/mL溶液を無菌注射用蒸留水を使って作製し、必要であればpHを調製する。溶液を無菌5%デキストロースで1〜2mg/mLに投与用に希釈し、そして約60分間に渡りIV輸液として投与する。
【0081】
IV投与用の凍結乾燥粉末:(i) 凍結乾燥粉末としての100〜1000 mgの本発明の所望の化合物、(ii) 32〜327 mg/mLのクエン酸ナトリウム、及び(iii) 300〜3000 mgのデキストラン40を使って、無菌製剤を調製することができる。該製剤を10〜20 mg/mLの濃度に再構成し、それを次いで無菌注射用食塩水又はデキストロース5%により0.2〜0.4 mg/mLに更に希釈し、そして15〜60分間に渡りIVボーラス又はIV輸液のいずれかにより投与する。
【0082】
筋肉内懸濁液:次の溶液又は懸濁液を筋肉内注射用に調整することができる:
50 mg/mLの本発明の所望の水不溶性化合物
5 mg/mLのカルボキシメチルセルロースナトリウム
4 mg/mLのTween 80
9 mg/mLの塩化ナトリウム
9 mg/mLのベンジルアルコール
【0083】
硬質殻のカプセル:標準的2ピース硬質ゼラチンカプセルに100 mgの粉末状活性成分、150 mgのラクトース、50 mgのセルロース及び6mgのステアリン酸マグネシウムを充填することにより多数の単位カプセルが調製される。
軟質ゼラチンカプセル:大豆油、綿実油又はオリーブ油といった消化性油中の活性成分の混合物を調製し、そして溶融ゼラチン中に容積式ポンプを使って注入して、100 mgの活性成分を含有する軟質ゼラチンカプセルを形成する。カプセルを洗浄し乾燥する。ポリエチレングリコール、ゼラチン及びソルビトールの混合物中に活性成分を溶解して水混和性医薬混合物を調製することができる。
【0084】
錠剤:単位用量が100 mgの活性成分、0.2 mgのコロイド状二酸化ケイ素、5 mgのステアリン酸マグネシウム、275 mgの微結晶セルロース、11 mgのデンプン及び98.8 mgのラクトースであるように常用手順により多数の錠剤を調製する。適当な水性及び非水性コーティングを適用し、食味を高め、美観と安定性を改善し又は吸収を遅らせてもよい。
【0085】
即時放出錠剤/カプセル:常用の及び新規の方法により製造された固体経口剤形を調製する。それらの単位は即時の溶解と医薬の送達のために水なしで経口摂取される。活性成分を砂糖、ゼラチン、ペクチン及び甘味料のような液体含有成分中に溶解する。それらの液体を凍結乾燥及び固相抽出技術により固体錠剤又はカプセルへと凝固させる。薬剤化合物は粘弾性及び熱弾性砂糖及びポリマー又は発泡性化合物と共に圧縮して、水の必要なく即時放出を可能にする多孔質マトリックスを製造することができる。
【0086】
高増殖性疾患を治療する方法
本発明は、哺乳類の抗増殖性疾患を治療するための本発明の化合物およびそれの組成物を使った方法に関する。本発明の化合物及び組成物は細胞増殖及び/又は細胞分裂を阻害し、ブロックし、減少させ、削減するため、及び/又はアポトーシスを生成させるために使用することができる。この方法は、治療を必要とするヒトを含む哺乳類に、該疾患を治療するのに有効な本発明の化合物の量を投与することを含んで成る。高増殖性疾患としては、非限定的に、乾癬、ケロイド、及び皮膚を侵す別の過形成、良性前立腺過形成(BPH)、固形腫瘍、例えば胸部、気道、脳、生殖器、消化管、尿道、目、肝臓、皮膚、頭部及び頸部、甲状腺、副甲状腺及びそれらの遠隔転移が挙げられる。それらの疾患はリンパ腫、肉腫及び白血病も包含する。
【0087】
乳癌の例としては非限定的に、浸潤性乳管癌、浸潤性小葉癌、非浸潤性乳管癌及び上皮内小葉癌が挙げられる。
気道の癌の例としては非限定的に、小細胞及び非小細胞肺癌、並びに気管支腺癌腫及び胸膜肺芽腫が挙げられる。
脳癌の例としては非限定的に脳幹及び視床下部膠腫、小脳星細胞腫及び大脳星細胞腫、髄芽細胞腫、上衣腫、並びに神経外胚葉性及び松果体腫瘍が挙げられる。
【0088】
男性生殖器の腫瘍としては非限定的に、前立腺及び精巣癌が挙げられる。女性生殖器の腫瘍としては非限定的に、子宮内膜、子宮頚、卵巣、膣及び外陰癌並びに子宮の肉腫が挙げられる。
消化管の腫瘍としては非限定的に、肛門、結腸、結腸直腸、食道、胆嚢、胃、膵臓、直腸、小腸、及び唾液腺癌が挙げられる。
尿道の腫瘍としては非限定的に膀胱、陰茎、腎臓、腎盂、尿管、尿道及びヒト乳頭状腎細胞癌が挙げられる。
【0089】
眼癌としては非限定的に眼内黒色腫及び網膜芽腫が挙げられる。
肝臓癌の例としては非限定的に肝細胞癌(繊維層版状変異を有する又は有さない肝細胞癌)、胆管癌(肝内胆管癌)及び混合肝細胞胆管癌が挙げられる。
皮膚癌としては非限定的に扁平上皮癌、カポジ肉腫、悪性黒色腫、メルケル細胞皮膚癌及び非黒色腫皮膚癌が挙げられる。
【0090】
頭部及び頸部癌としては非限定的に、咽頭部、下咽頭、鼻咽頭、口腔咽頭癌、唇及び口腔癌、並びに扁平細胞癌が挙げられる。リンパ腫としては、非限定的に、AIDS関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、ホジキン病、及び中枢神経系のリンパ腫が挙げられる。
肉腫としては、非限定的に軟組織の肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、リンパ肉腫及び横紋筋肉腫が挙げられる。
白血病としては、非限定的に、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病及び毛様細胞白血病が挙げられる。
【0091】
それらの疾患はヒトにおいて十分に特徴付けられているが、別の哺乳類中に同様な病因学で存在することもあり、本発明の医薬組成物を投与することにより治療することができる。
【0092】
本明細書を通して「治療する又は治療」という用語は、例えば病気又は疾患、例えば癌の状態の克服、軽減、減少、緩和、改善などの目的での被験者の管理又は治療に通常使用される。
【0093】
キナーゼ疾患を治療する方法
本発明は、異常なキナーゼ活性(例えばチロシンキナーゼ活性)、例えば非限定的にKDR(VEGFR2),Tkr-A,c-Met及びBcr-Ablと関連した疾患の治療方法であって、本発明の化合物の有効量を投与することを含んで成る方法も提供する。疾患としては癌(例えば本明細書中に言及したもの)、血管形成に関連した疾患(上記参照)、細胞増殖疾患等が挙げられる。例えば、c-Met過剰発現及び変異は多数の腫瘍型、例えば固形腫瘍、遺伝性乳頭状直腸癌、肝細胞癌(例えば小児型)及び胃腫瘍中に見つかっている。Trk-A発現及び変異は、膵臓、胸部、卵巣、前立腺癌、乳頭状甲状腺癌、髄様甲状腺癌(家族型を含む)及び急性骨髄性白血病中に報告されている。Bcr-Abl及びこのキナーゼの変異は慢性骨髄性白血病(CML)の原因である。
【0094】
本発明の化合物の有効量を使ってそのような疾患、例えば上記の技術的背景の項目で言及したそれらの疾患(例えば癌)を治療することができる。それでもなお、そのような癌及び他の疾患は、作用メカニズム及び/又はキナーゼと疾患の関係にかかわらず、本発明の化合物で治療することができる。
【0095】
「異常なキナーゼ活性」又は「異常なチロシンキナーゼ活性」という語句は、キナーゼをコードする遺伝子の又はそれがコードするポリペプチドの任意の異常な発現又は活性を包含する。そのような異常活性の例としては非限定的に、遺伝子又はポリペプチドの過剰発現;構成的に活性な又は高反応性キナーゼ活性を生成する変異;遺伝子変異、欠失、置換、付加等が挙げられる。
【0096】
本発明は、キナーゼ活性、特にVEGFR2, Trk-A, c-Met及び/又はBcr-Ablの活性を阻害する方法であって、本発明の化合物(塩、多形体、代謝産物、水和物、溶媒和物、プロドラッグ(例えばエステル)、及びそれのジアステレオ異性体形を含む)を投与することを含んで成る方法も提供する。キナーゼ活性は細胞中(例えば試験管内で)、又は哺乳類被験者、特に治療を必要とするヒト患者の細胞中で阻害することができる。
【0097】
本発明の化合物は、米国特許第6,946,471号;第6,921,763号;第6,855,728号;第6,723,694号;第6,660,744号;第6,468,529号;第6,350,754号;第6,297,238号;第6,214,344号;第6,207,152号;第6,099,841号;第6,057,105号;第6,051,593号;第5,734,039号;第5,707,624号;第5,686,292号及び第5,646,036号明細書中に記載された適応症のいずれにも使用することができる。それら特許刊行物は全内容が参考として本明細書中に組み込まれる。
【0098】
血管形成性疾患を治療する方法
本発明は、過剰な及び/又は異常な血管形成と関連付けられる疾患及び病気を治療する方法も提供する。血管形成の不適当な及び異所性発現は、生体に有害となり得る。多数の病理学的状態が無関係の血管の増殖と関連付けられている。それらとしては、糖尿病性網膜症、虚血性網膜静脈閉塞、及び未熟児網膜症(Aiello他、New Engl. J. Med. 1994, 331, 1480 ; Peer他、Lab. Invest. 1995, 72, 638)、年齢関係黄斑変性症(AMD;Lopez他、Invest. Opththalmol. Vis. Sci. 1996, 37, 855参照)、血管新生緑内障、乾癬、水晶体後部線維増殖症、血管線維症、炎症、関節リウマチ(RA)、再狭窄、インステント再狭窄、血管移植片再狭窄、等が挙げられる。加えて、癌性及び新形成組織と関連付けられる増加された血液供給は、増殖を促し、迅速な腫瘍拡大と転移を引き起こす。よって、本発明の化合物は、例えば血管形成を阻害及び/又は減少させることにより;内皮細胞増殖、又は血管形成に含まれる別の型を阻害、ブロック、減少又は削減することにより、並びにそのような細胞型の細胞死又はアポトーシスを引き起こすことにより、上述した血管形成性疾患のいずれかを治療及び/又は予防するために使用できる。
【0099】
本発明の化合物及び組成物は、例えば血管形成細胞集団を本発明の化合物と接触させ、そして血管形成に対する該化合物の効果を測定することにより、血管形成活性について日常的に試験することができる。血管を形成することができるどんな細胞集団でも使用できる。有用なモデルとしては、例えば生体内マトリゲル型アッセイ;腫瘍新血管形成アッセイ;CAMアッセイ;BCEアッセイ;細胞遊走アッセイ;HUVEC増殖阻害アッセイ;動物モデル(例えば無胸腺マウスでの腫瘍増殖、ウサギモデルでの慢性虚血性下肢、ガンモデル等);生体内系、例えば患者に存在する心臓又は下肢(例えば心筋梗塞を治療するための血管形成療法);例えば側副循環を促進するため、生物工学処理した組織への血管増殖を促進するための、治療を必要とする宿主、血管形成関連疾患、例えば癌、虚血性症候群、動脈閉塞性疾患を患っている宿主が挙げられる。
【0100】
細胞としては、例えば内皮、上皮、筋肉、胚及び成人幹細胞、外胚葉、間葉、内胚葉、腫瘍性、血液、ウシCPAE(CCL-209)、ウシFBHE(CRL-1395)、ヒトHUV−EC−C(CRL-1730)、マウスSVEC4−10EHR1(CRL-2161)、マウスMS1(CRL-2279)、マウスMS1 VEGF(CRL-2460)、幹細胞等が挙げられる。「血管を形成することができる」という語句は、特定の細胞型を示すのではなく、集団中の細胞が適当な条件下で血管を形成することができることを単に示す。或る状況では、集団は実際に血管中に分化する、複数であるが数個の細胞型を含んで成る不均一であることができ、他の場合には血管形成の過程を開始、維持等するのに必要であるものである。
【0101】
血管形成に対する化合物又は組成物の効果を決定するための有用なモデルは、増殖因子(例えばFGF−1)が捕捉された、再構成基底膜マトリックス、例えばマトリゲルが、宿主動物に皮下注射された時、内皮細胞が該マトリリックス中に補充され、数日間の期間に渡り新血管を形成するという観察に基づく。例えばPassaniti他、Lab. Invest., 67:519-528, 1992を参照のこと。増殖因子を安定化するため及び/又はマトリックスからのそれの放出を遅くするために、増殖因子はヘパリンに又は別の安定化剤に結合することができる。該マトリックスは、血管形成過程を増強し且つ延長するために増殖因子を周期的に再注入することもできる。より詳しくは、FGF−1を含有するマトリゲルプラグ移植片を宿主マウスの皮下に移植することができる。FGFの最初のボーラス投与が内皮細胞を該移植片に引き付けるが、新規血管形成には至らない。約10〜15日後、移植片にFGF−1を再注入することができる。FGF−1は移植片中に既に存在する内皮細胞を刺激して、血管形成過程を開始させる。
【0102】
血管形成を調べる別の有用な系としては、例えば、腫瘍外植片(例えば米国特許第5,192,744号;同第6,024,688号参照)の新血管形成、ニワトリ絨毛尿膜(CAM)アッセイ(例えばTaylor & Folkman, Nature, 297:307-312, 1982 ; Eliceiri他、J. Cell Biol., 140:1255-1263, 1998)、ウシ血管内皮(BCE)細胞アッセイ(例えば米国特許第6,024,688;Polverini, P.J.他、Methods Enzymol., 198:440-450, 1991)、遊走アッセイ、HUVEC(ヒト臍帯血管内皮細胞)増殖阻害アッセイ(例えば米国特許第6,060,449号)が挙げられる。
【0103】
細胞集団は、細胞に対して効果を発揮させるのに適当な任意の条件下で任意の方法で本発明の化合物又は組成物と接触させることができる。化合物を細胞に送達させる手段は、試験物質のタイプ、例えばそれの化学的性質及び細胞集団の性質に依存するだろう。一般に、化合物は、細胞集団に近づけなければならないので、それは集団が生理学的に経験することができる形(又はプロ形)で、即ち細胞と接触できるように、送達させなければならない。例えば、目的が剤を細胞内に入れることであるならば、必要であれば、細胞の浸透度を促進又は増加させる任意の手段と関連付けることができ、例えば細胞表面抗原、リポソーム、脂質、キレート化剤、標的成分などに特異的な抗体又は別の試薬と関連付けることができる。細胞は、例えばエレクトロポレーションにより、圧力変動により、送達を増加させるために、処理し、操作することもできる。
【0104】
高増殖性疾患及び血管形成疾患の治療に有用である化合物を評価するための既知の標準研究技術に基づいて、標準毒性試験により及び哺乳類において上記で同定した状態の治療の測定のための標準薬理学的アッセイにより、及びそれらの結果をそれらの状態の治療に使われる既知の薬剤の結果と比較することにより、各々の所望の適応症についての本発明の化合物の有効量を容易に決定することができる。それらの状態の1つの治療において投与すべき本発明の化合物の量は、使用する特定化合物及び剤形、投与の経路、治療期間、治療する患者の年齢及び性別、並びに治療する状態の性質及び程度といった考慮に従って広範囲に異なり得る。
【0105】
投与される本発明の化合物の合計量は、一般に一日当たり約0.001 mg/kg〜約200 mg/kg体重、好ましくは一日当たり約0.01 mg/kg〜約20 mg/kg体重であるだろう。臨床上有用な投薬スケジュールは、4週間毎日一日1回〜3回の範囲であろう。加えて、患者を一定期間の間本発明の化合物で治療しない「投薬休日」が、薬理学的効果と忍容性との全体的バランスにとって有益となる場合がある。単位用量は約0.5 mg〜約1500 mgの活性成分であり、一日1回から数回又は一日1回より少なく投与することができる。静脈注射、筋肉内注射、皮下注射および非経口注射を含む、注射による投与の平均一日量及び注入技術の使用は、好ましくは0.01〜200 mg/kg全体重であろう。平均1日直腸投与法は、好ましくは0.01〜200 mg/kg全体重であろう。平均1日膣内投与量は好ましくは0.01〜200 mg/kg全体重であろう。平均1日局所投与量は、一日1〜4回投与される0.1〜200 mg/kgであろう。平均1日吸入投与量は好ましくは0.01 mg/kg〜100 mg/kg全体重であろう。
【0106】
もちろん、各患者用の特定の初期及び連続投薬法は、担当診断医により決定されるような状態の性質及び重症度、使用する特定化合物の活性、患者の年齢及び一般状態、投与の期間、投与の経路、薬剤の排出の速度、薬剤組合せ等に従って異なるだろう。所望の治療方法及び本発明の化合物の投与回数は、常用の治療試験を使って当業者により確定することができる。
【0107】
本発明の化合物は単独の薬剤として又は1もしくは複数の別の薬剤と組み合わせて投与することができ、ここで組合せは許容できない副作用を引き起こさない。例えば、本発明の化合物は既知の抗高増殖性又は別の適応症剤などと組み合わせて、並びにそれの混合物及び組合せ物として使用することができる。
【0108】
追加の薬剤は、アルデスロイキン、アレンドロニン酸、アルファフェロン、アリトレチノイン、アロプリノール、アロプリム、アロキシ、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アミフォスチン、アムルビシン、アムサクリン、アナストロゾール、アンズメト、アラネスプ、アルグラビン、三酸化ヒ素、アロマシン、5−アザシチジン、アザチオプリン、BCG又はタイスBCG、ベスタチン、酢酸ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、ベキサロテン、硫酸ブレオマイシン、ブロキシウリジン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルシトニン、カンパス、カペシタビン、カルボプラチン、カソデクス、セフェソン、セルモロイキン、セルビジン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロン酸、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノキソム(DaunoXome)、デカドロン、リン酸デカドロン、デレストロゲン、デニロイキン、ジフチトクス、デポ−メドロール、デスロレリン、デクスラゾキサン、ジエチルスチルベストロール、ジフルカン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドロナビノール、DW-166HC、エリガード、エリテック、エレンス、エメンド、エピルビシン、エポエチンアルファ、エポゲン、エプタプラチン、
【0109】
エルガミソール、エストレース、エストラジオール、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エチニルエストラジオール、エチオール、エチドロン酸、エトポフォス、エトポシド、ファドロゾール、ファルストン、フィルグラスチム、フィナステリド、フリグラスチム、フロキシウリジン、フルコナゾール、フルダラビン、5−フルオロデオキシウリジン一リン酸、5−フルオロウラシル(5-FU)、フルオキシメステロン、フルタミド、フォルメスタン、フォステアビン、フォテムスチン、フルベストラント、ガンマガード、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、グリベック、グリアデル、ゴセレリン、グラニセトロンHCl、ヒストレリン、ヒカムチン、ハイドロコートン、エリスロ−ヒドロキシノニルアデニン、ヒドロキシウレア、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イフォスファミド、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ2、インターフェロンアルファ−2A、インターフェロンアルファ−2B、インターフェロンアルファ−n1、インターフェロンアルファ−n3、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ−1a、インターロイキン−2、イントロンA、イレッサ、イリノテカン、キトリル、硫酸レンチナン、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、酢酸ロイプロリド、レバミソール、レボフォリン酸カルシウム塩、レボスロイド、レボキシル、ロムスチン、ロニダミン、マリノール、メクロレタミン、メコバラミン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、
【0110】
メルファラン、メネスト、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキセート、メトビクス、ミルテフォシン、ミノシクリン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、モドレナール(Modrenal)、ミオセト(Myocet)、ネダプラチン、ノイラスタ、ノイメガ、ノイポゲン、ニルタミド、ノルバデックス、NSC-631570、OCT-43、オクトレオチド、オンダンセトロンHCl、オラプレド、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペジアプレド、ペガスパルガーゼ、ペガシス(Pegasys)、ペントスタチン、ピシバニル、ピロカルピンHCl、ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニムスチン、プレドニソロン、プレドニソン、プレマリン、プロカルバジン、プロクリット、ラルチトレキセド、レビフ、レニウム−186エチドロネート、リツキシマブ、レフェロン−A、ロムルチド、サラゲン、サンドスタチン、サルグラモスチム、セムスチン、シゾフィラン、ソブゾキサン、ソル−メドロール、スパルフォシ酸、幹細胞療法、ストレプトゾシン、ストロンチウム−89クロリド、シントロイド、タモキシフェン、タムスロシン、タソネルミン、タストラクトン、タキソテール、テセロイキン、テモゾロミド、
【0111】
テニポシド、プロピオン酸テストステロン、テストレド、チオグアニン、チオテパ、チロトロピン、チルドロン酸、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレオスルファン、トレチノイン、トレキサル、トリメチルメラミン、トリメトレキセート、酢酸トリプトレリン、パモ酸トリプトレリン、UFT、ウリジン、バルルビシン、ベスナリノン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビルリジン、ジネカルド、ジノスタチンスチマラマー、ゾフラン、ABI-007、アコルビフェン、アクチムネ、アフィニタク、アミノプテリン、アルゾキシフェン、アソプリスニル、アタメスタン、アトラセンタン、BAY 43-9006(ソラフェニブ)、アバスチン、CCI-779、CDC-501、セレブレクス、セツキシマブ、クリスナトール、酢酸シプロテロン、デシタビン、DN-101、ドキソルビシン−MTC、dSLIM、ドゥタステリド、エドテカリン、エフロルニチン、エキサテカン、フェンレチニド、ヒスタミン二塩酸塩、ヒストレリンヒドロゲルインプラント、ホルミウム−166 DOTMP、イバンドロン酸、インターフェロンガンマ、イントロン−PEG、イキサベピロン、キーホールリンペットヘモシアニン、L-651582、
【0112】
ランレオチド、ラソフォキシフェン、リブラ、ロナファルニブ、ミプロキシフェン、ミノドロネート、MS-209、リポソームMTP-PE、MX-6、ナファレリン、ネモルビシン、ネオバスタット、ノラトレキセド、オブリメルセン、オンコ−TCS、オシデム、ポリグルタミン酸パクリタキセル、パミドロネート二ナトリウム、PN-401、QS-21、クアゼパム、R-1549、ラロキシフェン、ランピルナーゼ、13−シスレチン酸、サトラプラチン、セオカルシトール、T-138067、タルセバ、タキソプレキシン、チモシンベータ1、チアゾフリン、ティピファニブ、チラパザミン、TLK-286、トレミフェン、トランスMID-107R、バルスポダル、バプレオチド、バタラニブ、ベルテポルフィン、ビンフルニン、Z-100、ゾレドロン酸又はそれらの組み合わせである。
【0113】
該組成物に添加することができる任意の抗高増殖性剤としては、非限定的に、Merck Index (1996)の第11版(これは参考として本明細書中に組み込まれる)中の癌化学療法薬レジュメに列挙された化合物、例えば、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、コラスパーゼ、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシン、エトポシド、5−フルオロウラシル、ヘキサメチルメラミン、ヒドロキシウレア、イフォスファミド、イリノテカン、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキセート、マイトマイシンC、ミトキサントロン、プロドニソロン、プレドニソン、プロカルバジン、ラロキシフェン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、チオグアニン、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、及びビンデシンが挙げられる。
【0114】
本発明の化合物との使用に適した別の抗高増殖性剤としては、非限定的に、Goodman and GilmanのThe Pharmacological Basis of Therapeutics (第9版), Molinoff他編、McGraw-Hiss出版, 1225-1287 (1996)(これは参考として本明細書中に組み込まれる)中に腫瘍性疾患の治療において使用できると認められた化合物、例えばアミノグルテチミド、L−アスパラギナーゼ、アザチオプリン、5−アジシチジン、クラドリビン、ブスルファン、ジエチルスチルベストロール、2,2′−ジフルオロデオキシシチジン、ドセタキセル、エリスロヒドロキシノニルアデニン、エチニルエストラジオール、5−フルオロデオキシウリジン、5−フルオロデオキシウリジン一リン酸、フルダラビンリン酸、フルオキシメステロン、フルタミド、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、イダルビシン、インターフェロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、ミトタン、パクリタキセル、ペントスタチン、N−ホスホノアセチル−L−アスパルテート(PALA)、プリカマイシン、セムスチン、テニポシド、テストステロン、プロピオン酸テストステロン、チオテパ、トリメチルメラミン、ウリジン及びビンオレルビンが挙げられる。
【0115】
本発明の化合物との使用に適した別の抗高増殖性剤としては、非限定的に、別の抗癌剤、例えばエポチオロン及びその誘導体、イリノテカン、ラロキシフェン及びトポテカンが挙げられる。
【0116】
一般に、本発明の化合物又は組成物と組み合わせた細胞毒性及び/又は細胞増殖抑制剤の使用は、次のために役立つだろう:
(1)腫瘍の増殖を減少させるのにより有効な効果を与えるか、又は単独でのいずれかの薬剤の投与に比較して腫瘍を更に削除する
(2)投与された化学療法剤のより少量の投与に備える
(3) 単一の剤の化学療法及び別の組み合わせ療法で観察されるよりもより低い有害な薬理学的合併症で、患者に十分に耐用される化学療法治療に備える
【0117】
(4)哺乳類、特にヒトにおける異なる癌型の広域スペクトルを治療することに備える
(5)治療患者の中でより高い応答率に備える
(6)標準的化学療法治療に比較して治療患者の中でより長い生存期間に備える
(7)腫瘍進行により長い期間に備える、及び/又は
(8)別の抗癌剤組合せが拮抗作用を生じる既知の場合に比較して、単独でのそれの薬剤と少なくとも同程度の効果及び耐用性結果を生じる。
【0118】
ポリペプチド検出は、任意の利用可能な方法により、例えばウエスタンブロット、ELISA、ドットブロット、免疫沈澱法、RIA、免疫組織化学等により実施することができる。例えば、組織切片を調製し、特異的抗体で標識し(直接又は間接)、そして顕微鏡で可視化する。ポリペプチドの量は、例えば着目の試料の溶解物を調製しそしてELISA又はウエスタンブロットにより組織の量当たりのポリペプチドの量を測定することにより、可視化することなく定量することができる。抗体及び別の特異的結合物質を使用することができる。検出を実施する方法に何も制限はない。
【0119】
試料中の標的核酸(例えばFlk-1, Trk-A, c-Met及び/又はBcr-Abl等に対する遺伝子、mRNA等)の量及び/又は存在/不在検出を可能にするアッセイを使用することができる。アッセイは単細胞レベルで実施でき、又は多数の細胞を含んで成る試料中で実施することもでき、ここでアッセイは試料中に存在する細胞及び組織の全集団に渡り発現を「平均化」する。任意の適当なアッセイ形式を使用することができ、例えば非限定的に、サザンブロット分析、ノーザンブロット分析、ポリメラーゼ連鎖反応(“PCR”)(例えばSaikihoka, Science, 241:53, 1988 ; 米国特許第4,683,202号、同第4,683,202号及び同第6,040,166号;PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications, Innis他編, Academic Press, New York, 1990)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(“RT-PCR”)、アンカーPCR、cDNA末端の迅速増幅(“RACE”)(例えばSchaefer, in Gene Cloning and Analysis: Current Innovations, 99-115頁, 1997)、
リガーゼ連鎖反応(“LCR”)(EP 320 308)、一端PCR(Ohara他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:5673-5677, 1989)、インデックス作成法(例えば米国特許第5,508,169号)、その場ハイブリダイゼーション、示差的表示(例えばLiang他、Nucl. Acid Res., 21:3269-3275, 1993 ; 米国特許第5,261,311号、同第5,599,672号及び同第5,965,409号;WO 97/18454;Prashar及びWeissman, Proc. Natl. Acad. Sci., 93:659-663, 並びに米国特許第6,010,850号及び同第5,712,126号;Weish他、Nucleic Acid Res., 20:4965-4970, 1992 ;並びに米国特許第5,487,985号)、並びに別のRNAフィンガープリント技術、核酸配列ベースの増幅(“NASBA”)及び別の転写ベースの増幅系(例えば米国特許第5,409,818号及び同第5,554,527号;WO 88/10315)、ポリヌクレオチドアレイ(例えば米国特許第5,143,854号、同第5,424,186号、同第5,700,637号、同第5,874,219号及び同第6,054,270号;PCT WO 92/10092;PCT WO 90/15070)、Qbetaレプリカーゼ(PCT/US87/00880)、鎖置換増幅(“SDA”)、修復連鎖反応(“RCR”)、ヌクレアーゼ保護アッセイ、差ベース法、Rapid-Scan等を使用することができる。
【0120】
追加の有用な方法としては、非限定的に、例えば鋳型ベースの増幅法、競合PCR(例えば米国特許第5,747,251号)、レドックスベースのアッセイ(例えば米国特許第5,871,918号)、Taqmanベースアッセイ(例えばHolland他、Proc. Natl. Acad. Sci., 88:7276-7280, 1991;米国特許第5,210,015号及び同第5,994,063号)、リアルタイム蛍光ベースのモニタリング(例えば米国特許第5,928,907号)、分子エネルギー転移レベル(例えば米国特許第5,348,853号、同第5,532,129号、同第5,565,322号、同第6,030,787号及び同第6,117,635号;Tyagi & Kramer, Nature Biotech., 14:303-309, 1996)等が挙げられる。遺伝子又はタンパク質発現の単細胞分析に適当な任意の方法を使用でき、例えばその場ハイブリダイゼーション、免疫細胞化学、MACS、FACS、フローサイトメトリーなどが使用できる。単細胞アッセイの場合、発現生成物を抗体、PCR又は別の型の核酸増幅を使って測定することができる(例えばBrady他、Methods Mol. & Cell. Biol. 2, 17-25, 1990 ; Eberwine他、1992, Proc. Natl. Acad. Sci., 89, 3010-3014, 1992 ; 米国特許第5,723,290号)。それらの及び他の方法は常用に、例えば上述した刊行物中に記載されるようにして、実施することができる。
【0121】
Flk-1, Trk-A, c-Met及び/又はBcl-Ablの活性は、日常的に、例えば下記の実施例に記載されるように、又はキナーゼ活性についての標準的アッセイを使って評価することができる。
【0122】
発現の測定は、遺伝子の転写及び翻訳機構の全ての面を評価することを含む。例えば、プロモーター欠失が疾患を引き起こすか又は引き起こすと疑われる場合、遺伝子中のプロモーター配列を監視することにより(例えば配列決定又は制限地図作成)、転写産物(例えばRNA)を検出することにより、翻訳産物(例えばポリペプチド)を検出することにより、試料を評価する(例えば“アッセイする”)ことができる。遺伝子が機能的であるかどうかの任意の手段を使用することができ、例えばポリペプチド、ポリヌクレオチド、及び遺伝子の生物活性についての機能的アッセイを使用することができる。
【0123】
評価を行う際、結果を疾患と関連しない遺伝子と、或いは同じ遺伝子であるが同じ組織の未罹患の組織又は領域中の遺伝子と比較することが有用である。比較の性質は、その評価がいかに実施されるかに依存して、日常的に決定することができる。例えば、試料のmRNAレベルを検出する場合、正常のmRNAレベル、又は疾患により冒されないことが知られている遺伝子が比較対象として役立つことができる。mRNAを検出する方法は周知であり、上記に記載されており、非限定的に、ノーザンブロット分析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写酵素PCR、RACE PCRなどがある。同様に、ポリペプチド生産が遺伝子を評価するのに用いられる場合、正常組織試料中の該ポリペプチドが比較対照として使用されるか、又は発現が疾患により影響されないことが知られている別の遺伝子からのポリペプチドが比較対照として使用される。それらは、そのような方法がいかに実施できるかの単なる例である。
【0124】
患者は、癌に関連することが知られている特定の遺伝子型、特にFlk-1,Trk-A及び/又はBcr-Ablの異常発現に関連する遺伝子型(それらの遺伝子中の変異を含む)を有するならば、治療のために選択することができる。本発明は、被験者から得られた試料中のFlk-1, Trk-A及び/又はBcr-Ablの発現レベルを測定し、ここで前記発現の異常レベルが疾患と関連があり、そして前記異常発現を有すると同定された被験者に本発明の化合物又は組成物を投与することを含んで成る、治療のために患者を選択する方法に関する。本発明は、被験者から得られた試料中のFlk-1, Trk-A及び/又はBcr-Abl遺伝子変異の存在を測定し、ここで前記変異が疾患と関連があり、そして前記変異を有すると同定された被験者に本発明の化合物又は組成物を投与することを含んで成る、治療のために患者を選択する方法に関する。
【0125】
変異の存在は、常法により、例えば被験者から細胞又は組織試料を得、それから核酸を抽出し、標的遺伝子の遺伝子配列又は構造を決定し(例えばmRNA、cDNA、ゲノムDNA等を使って)、標的遺伝子の配列又は構造を正常遺伝子の構造と比較し、それにより、配列又は構造中の変化が被験者の遺伝子中の変異を示すことにより、決定することができる。変異は任意の有効な方法、例えば制限地図、ヌクレオチド配列、アミノ酸配列、RFLP、DNアーゼ部位、DNAメチル化フィンガープリント(例えば米国特許第6,214,556号)、タンパク質開裂部位、分子量、電気泳動移動度、電荷、イオン強度等を、標準遺伝子と被験者の遺伝子とを比較することを使って決定することができる。そのような方法を実施するために、遺伝子又はポリペプチドの全部又は一部を比較することができる。例えば、ヌクレオチド配列を使用する場合、プロモーター、イントロン及びエキソンを含む完全な遺伝子、又はそれの一部分のみを配列決定し、そして例えばエキソン1、エキソン2等を比較することができる。
【0126】
本発明は、病気を治療する上での本発明の化合物又は組成物の効果を評価する方法であって、次の段階の1又は複数を任意の有効な順序で含んで成る、例えば、本発明の化合物で治療した被験者から得られた試料中のVEGFR-2, Trk-A, c-Met又はBcr-Ablの発現又は活性を測定し、そして前記発現又は活性に対する前記化合物の効果を測定することを含んで成る方法も提供する。測定段階は既に記載した通りに実施することができる。
【0127】
例えば、生検試料を、本発明の化合物又は組成物で治療した患者から取り出し、そして上述したシグナル分子の存在及び/又は活性について分析することができる。上述したように、癌組織中のホスホ−ERKの減少したレベル(例えば正常組織又は治療前)は、該化合物が生体内効果及び治療効果を発揮していることを示す。
【0128】
発現又は活性に対する本発明の化合物又は組成物の効果を決定することは、組織試料と対照、又は別の型の標準との比較段階を実施することを含む。使用することができる標準の例としては、非限定的に、治療前の組織試料、未罹患の組織から又は罹患組織の未罹患領域からの組織試料(例えば形質転換していない、癌化していない組織の領域など)等が挙げられる。標準は、マーカーについて確立されている発現の正常レベルの代表である、値又は値の範囲であることができる。比較は、本発明の化合物による治療期間の間の少なくとも2つの異なる時点で回収した試料の間で行うこともできる。例えば、試料を薬剤治療の開始後様々な時点で回収することができ、そして発現及び/又は活性レベルの分析を使って被験者の病気進行/予後をモニタリングすることができ、例えば被験者が薬剤治療に対してどれ位応答しているかをモニタリングすることができる。時点は例えば、毎日、一週間に2回、毎週、二週間毎、毎月、毎年、複数の時点(例えば少なくとも2,3,4,8,12等)を使用することができる。
【0129】
「効果を測定する」という語句は、化合物又は組成物により得られた結果を分析しそして/又は同定することを指す。どんなタイプの効果を同定してもよく、例えば発現及び/又は活性が減少、削減、ダウンレキュレート、阻害、ブロック、増加、アップレギュレート、未変化であることができる。
【0130】
該方法は適当な投薬及び投与方法を決定するために使用でき、例えばどれ位の本発明の化合物又は組成物を投与すべきか及びどれ位の頻度でそれを投与すべきかを決定するために使用できる。組織中のシグナル分子に対する効果をモニタリングすることにより、臨床医は、適当な治療プロトコルを決定することができ、そして例えばシグナル伝達経路を変更又は阻害することに対して、それが所望の効果を達成するかどうかを決定することができる。例えば、本発明の化合物又は組成物が、マーカー、例えばFlk-1, Trk-A, c-Met及び/又はBcr-Ablの量をノックダウンすることに効果的でないならば、患者への用量を増加させることができ又はより頻繁に投与することができる。同様に、本発明の化合物又は組成物がFlk-1, Trk-A, c-Met及び/又はBcr-Abl又は病気状態の別のマーカーのレベルをノックダウンすることにおいて効果的であることが示されたならば、用量及び/又は頻度を減少させることができる。本発明の化合物又は組成物は別の治療、例えば照射、化学療法及び別の薬剤と併用して投与することができるので、被験者のモニタリングを使って該疾患の進行に対する治療方法の組み合わせ効果を評価することができる。
【0131】
略号及び頭字語
当業者の有機化学者により使用される略号の包括的なリストは、Journal of Organic Chemistryの各号の第一刊行物に見つけられ、このリストは典型的にStandard List of Abbreviationsという題名の表中に与えられる。前記リスト中に含まれる略号及び当業者の有機化学者により使用される全ての略号は、参考として本明細書中に組み込まれる。本発明の目的上、化学元素は元素周期表、CASバージョン、Handbook of Chemistry and Physics, 第67版,1986-87に従って同定される。
【0132】
より詳しくは、次の略号が本明細書全体を通して使用され、それらは次の意味を有する。
略号
1H-NMR プロトン核磁気共鳴
Ac アセチル
amu 原子質量単位
aq 水性
Bu ブチル
DMSO ジメチルスルホキシド
ES 電子衝撃
Et エチル
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
【0133】
h 時間
HEPES N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N′−(2−エタンスルホン酸)
HPLC 高圧液体クロマトグラフィー
LC-MS 液体クロマトグラフィー−連結質量分析法
M モル
m/z 質量対電荷比
Me メチル
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
mg ミリグラム
MHz メガヘルツ
【0134】
min 分
mL ミリリットル
mmol ミリモル
mol モル
mp 融点
NMR 核磁気共鳴分光法
Ph フェニル
ppm 100万分率
Pr プロピル
THF テトラヒドロフラン
【0135】
次の実施例中に報告する収率は、最小モル量で使用した出発成分に基づいている。空気及び水分感受性液体及び溶液は、注射器又はカニューレを使って移し、そしてゴム隔膜を通して反応容器中に導入した。市販品試薬及び溶媒は更に精製せずに使用した。用語「減圧下で濃縮した」又は「減圧下で溶媒を除去した」という語句は一般に約15 mmHg下でのBuchiロータリーエバポレーターの使用を指す。或る場合には、減圧下での溶媒の除去に遠心多試料エバポレーター(例えばGeneVac Atlas)を使った。全ての温度は摂氏度(℃)で未補正のまま報告した。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、プレコートガラス裏張りシリカゲル60A F-254 250μmプレート上で実施した。
【0136】
電子衝撃質量分析(EI-MS)は、J & W DB-5カラム(0.5μmコーティング;30m×0.25mm)を有するHewlett Packard 5890ガスクロマトグラフィーが装備されたHewlett Packard 5989A質量分析器を使って得られた。イオン源は250℃で維持され、スペクトルはスキャン当たり2秒で50〜800 amuに渡りスキャンした。
【0137】
LC-MS:高圧液体クロマトグラフィー−電子衝撃質量スペクトル(HPLC ES-MS)は、Gilson 306ポンプ、Gilson 215オートサンプラー、Gilsonダイオードアレイ検出器、YMC Pro C-18カラム(2×23 mm, 120Å)が装備されたGilson HPLC系、及びz−スプレーエレクトロスプレーイオン化を用いるMicromass LCZシングル四重極質量分析器を使って得られた。スペクトルは2秒間に渡り120〜1000 amuまでスキャンした。ELSD(Evaporative Light Scattering Detector)データもアナログチャンネルとして獲得した。水中2%アセトニトリル+0.02%TFAとしての緩衝液Aとアセトニトリル中2%水+0.02%TFAとしての緩衝液Bを用いて1.5 mL/分にて勾配溶出を使用した。試料は次のように溶出させた:0.5分間90%A,3.5分間に渡り95%Bへと傾斜をつけ、そして0.5分間95%Bを維持し、次いでカラムを0.1分間に渡り初期条件に戻した。全溶出時間は4.8分間であった。
【0138】
NMR:日常的な一次元NMR分光学を300/400 MHz Varian Mercury-plus 分光計上で実施した。試料をCambridge Isotope Labsから入手した重水素化溶媒中に溶かし、そして5 mm ID Wilmad NMRチューブに移した。スペクトルは293 Kで得た。化学シフトをppmスケールで記録し、適当な溶媒シグナルに対して参照した:例えば1Hスペクトルに対してアセトン−d6は2.05 ppm、DMSO−d6は2.49 ppm、CD3CNは1.93 ppm、CD3ODは3.30 ppm、CD2Cl2は5.32 ppm及びCDCl3は7.26 ppm。略号:br,広域;s,一重線;d,二重線;dd,二重線の二重線;ddd,二重線の二重線の二重線;t,三重線;q,四重線;m,多重線。
【0139】
調製用HPLC:調製用HPLCは、逆相モードで、0.5%TFAを含む水性アセニトリルを用いて溶出させ、典型的には2つのGilson 322ポンプ、Gilson 215オートサンプラー、Gilsonダイオードアレイ検出器及びYMC Pro C-18カラム(20×150 mm, 120Å)が装備されたGilson HPLC系を使って実施した。勾配溶出は、0.1%TFAを含む水としての緩衝液Aと0.1%TFAを含むアセトニトリルとしての緩衝液Bを使った。試料をMeOH又はMeOH/DMSO中に約50 mg/mLの濃度に溶解した。注入容量は約2〜3 mL/注入であった。試料を典型的には次のように溶出させた:25 mL/分の流速で15分間に渡る10%−90%B、2分間維持、次いで10%Bに戻した。所望の画分を254又は220 nmでUVモニタリングすることにより収集し、そしてGeneVac遠心多試料エバポレーターを使って減圧下で蒸発させた。
【0140】
本明細書に記載の方法を使うことにより、本発明の化合物を調製することができる。次の特定例は本発明を例証するために提供され、それらはどんな形にせよ本発明の範囲を限定すると解釈してはならない。
【0141】
実施例1
ヒドロキシメチルフェニルピラゾリル尿素(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド)
【0142】
【化1】

【0143】
ヒドロキシメチルフェニルピラゾリル尿素
段階1.エチル3−(5−アミノ−3−tert−ブチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾエートの調製
【化2】

【0144】
硫酸(濃、15.7 mL, 295.7ミリモル)を攪拌しながら冷EtOH(600 mL)に注意深く滴下添加した。これに3−ヒドラジノ安息香酸(45 g, 295.7ミリモル)と4,4−ジメチル−3−オキソペンタンニトリル(40.7 g, 325.3ミリモル)を添加し、次いで混合物を90℃に48 h加熱した。減圧下で溶媒の大部分を蒸発させ、残りの混合物を酢酸エチルで希釈した。生じた混合物を氷冷2M NaOHに続いてブラインで洗浄し、乾燥した(Na2SO4)。該溶液をシリカゲル床を通して濾過し、追加の酢酸エチルで洗浄した。酢酸エチルの蒸発とジクロロメタン/ヘキサンでの残渣の処理が、オフホワイト色の結晶質固体(61g, 71%)として生成物を与えた。MS m/z 288.2 (M+H)+ ; 計算質量287。保持時間(LC-MS): 2.99分。1H-NMR (DMSO-d6):δ8.16 (m,1H); 7.88 (m,2H); 7.60 (t,1H); 5.40 (s,1H); 5.32 (s,2H); 4.36 (q,2H); 1.34 (t,3H); 1.21 (s,9H)。
【0145】
段階2.エチル3−{3−tert−ブチル−5−〔(フェノキシカルボニル)アミノ〕−1H−ピラゾール−1−イル}ベンゾエートの調製
【化3】

【0146】
THF(1400 mL)中のエチル3−(5−アミノ−3−tert−ブチル−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾエート(60 g, 208.8ミリモル)とK2CO3(86.6 g, 626.4ミリモル)の混合物に、クロロ蟻酸フェニル(98.1 g, 626.4ミリモル)を添加した。反応液を室温で一晩攪拌した。固体を濾過により除去し、そして減圧下で溶媒の大部分を除去した。残りの混合物をEtOAc中に溶解し、ブラインに続いて水で洗浄した。有機相を乾燥し、濃縮した。粗製生成物をCH2Cl2/ヘキサンからの再結晶により精製して、白色固体(78.5 g, 92%)を得た。MS m/z 408.1 (M+H)+ ; 計算質量407。保持時間(LC-MS): 3.92分。1H-NMR (DMSO-d6):δ10.19 (s,br,1H); 8.11 (m,1H); 7.97 (d,J=7.6Hz,1H); 7.86 (m,1H); 7.71 (t,1H); 7.38 (m,2H); 7.24 (m,1H); 7.08 (m,1H); 6.40 (s,1H); 4.38 (q,2H); 1.32 (t,3H); 1.29 (s,9H)。
【0147】
段階3.エチル3−(3−tert−ブチル−5−{〔(2−フルオロ−4−{〔2−(メチルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシ}フェニル)カルバモイル〕アミノ}−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾエートの調製
【化4】

【0148】
無水THF(100 mL)中のエチル3−{3−tert−ブチル−5−〔(フェノキシカルボニル)アミノ〕−1H−ピラゾール−1−イル}ベンゾエート(9.36 g, 22.0ミリモル)、4−(4−アミノ−3−フルオロフェノキシ)−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド(5.0 g, 19.1ミリモル;Dumas他、PCT国際出願WO 2004/078748 (2004)中に記載の通りに調製した)及びトリエチルアミン(3.87 g, 38.3ミリモル)の溶液を室温で一晩攪拌した。粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2+1%〜3%のMeOH中2M NH3)に続いて、EtOAc/ヘキサンからの再結晶により精製し、オフホワイト色結晶質固体(6.32 g, 57%)として所望の生成物を得た。MS m/z 575.1 (M+H)+ ; 計算質量574。保持時間(LC-MS): 3.75分。1H-NMR (DMSO-d6):δ8.97 (m,1H); 8.89 (m,1H); 8.80 (m,1H); 8.52 (d,J=5.6 Hz,1H); 8.16 (t,1H); 8.06 (m,1H); 7.99 (m,1H); 7.85 (m,1H); 7.71 (t,1H); 7.39 (m,1H); 7.33 (m,1H); 7.17 (m,1H); 7.06 (m,1H); 6.42 (s,1H); 4.36 (q,2H); 2.78 (d,J=5.2 Hz,3H); 1.31 (m,12H)。
【0149】
段階4.(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド)の調製
【化5】

【0150】
エタノール(10 mL)中の4−(4−{3−〔5−tert−ブチル−2−(3−エトキシカルボニルフェニル)−2H−ピラゾール−3−イル〕ウレイド}−3−フルオロフェノキシ)ピリジン−2−カルボン酸メチルアミド(56 mg, 0.1ミリモル)の十分に攪拌した冷却溶液に、NaBH4(50 mg)を分割して添加した。14 h後、氷水(10 mL)を注意深く反応混合物に添加した。次いで減圧下でエタノールの大部分を蒸発させた。残りの混合物を飽和水性塩化アンモニウム溶液(10 mL)で処理し、ジクロロメタンで3回(50,25及び25 mL)抽出した。合わせたジクロロメタン抽出液を乾燥し(硫酸ナトリウム)、溶媒を蒸発させた。粗製生成物を、溶離剤としてジクロロメタン中メタノール中の3〜5%2Mアンモニアを使ったシリカゲル上での調製用薄層クロマトグラフィーにより精製して、白色粉末(31 mg, 58%)として所望の生成物を得た。
【0151】
大規模合成では、次の同様な手順に従った:EtOH中のエチル3−(3−tert−ブチル−5−{〔(2−フルオロ−4−{〔2−(メチルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシ}フェニル)カルバモイル〕アミノ}−1H−ピラゾール−1−イル)ベンゾエート(11.2 g, 19.5ミリモル)の溶液に、固体としてNaBH4を段階的に添加した。次いで反応液を室温で一晩攪拌し、水性NH4Clの徐々の添加によりクエンチングした。混合物をEtOAcで希釈し、水性NH4Clに続いてブラインで洗浄した。有機相を乾燥し、濃縮した。粗製生成物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2+1〜5%のMeOH中2M NH3)に続いてジクロロメタン/ヘキサンからの再結晶により精製して、白色結晶質固体(8.0 g, 77%)として所望の生成物を得た。mp 160℃;更なる再結晶後、mp 196℃を有する所望の生成物が得られた。MS m/z 533.3 (M+H)+ ; 計算質量532。保持時間(LC-MS): 3.13分。1H-NMR (DMSO-d6):δ9.02 (s,br,1H); 8.87 (s,1H); 8.81 (m,1H); 8.52 (d,J=5.2 Hz,1H); 8.21 (t,1H); 7.51 (m,2H); 7.39 (m,3H); 7.32 (m,1H); 7.17 (m,1H); 7.06 (m,1H); 6.40 (s,1H); 5.36 (t,1H); 4.59 (d,J=5.6 Hz,2H); 2.78 (d,J=4.8 Hz,3H); 1.27 (s,9H)。元素分析:C62.92%;H5.43%;N15.70%;計算値C63.15%;H5.49%;N15.78%。
【0152】
実施例2
4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド、ビス(4−メチルベンゼンスルホン酸)塩
【0153】
【化6】

【0154】
1,4−ジオキサン(5 mL)中の(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド(200 mg, 0.376ミリモル)の溶液に4−トルエンスルホン酸一水和物(143 mg, 0.75ミリモル)を滴下添加した。形成した沈澱を濾過し、ジオキサンに続いてヘキサンで洗浄した。固体をジオキサン/メタノールから再結晶して、結晶質白色粉末(115.8 mg, 35%)として所望の生成物塩を得た。mp 184℃。MS m/z 533.2 (M+H)+ ; 計算質量532。保持時間(LC-MS): 3.48分。1H-NMR (DMSO-d6):δ9.04 (s,br,1H); 8.88 (s,1H); 8.87 (m,1H); 8.54 (d,J=5.6 Hz,1H); 8.22 (t,1H); 7.51 (m,7H); 7.38 (m,2H); 7.34 (m,1H); 7.21 (m,1H); 7.11 (d,J=7.6 Hz,4H); 7.07 (m,1H); 6.40 (s,1H); 4.58 (s,2H); 2.79 (d,J=4.8 Hz,3H); 2.28 (s,6H); 1.27 (s,9H)。
【0155】
実施例3
4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ〕−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド、ジメタンスルホン酸塩
【0156】
【化7】

【0157】
1,4−ジオキサン(5 mL)中の(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド(225 mg, 0.42ミリモル)の溶液に、4−メタンスルホン酸(81 mg, 0.84ミリモル)を滴下添加した。形成した沈澱を濾過し、ジオキサンに続いてヘキサンで洗浄した。次いで固体をアセトン/メタノールから再結晶して、結晶質白色粉末(156.7 mg, 51%)として所望の生成物塩を得た。mp 158℃。MS m/z 533.1 (M+H)+ ; 計算質量532。保持時間(LC-MS): 3.21分。1H-NMR (DMSO-d6):δ9.04 (s,br,1H); 8.88 (s,1H); 8.87 (m,1H); 8.54 (d,J=6 Hz,1H); 8.22 (t,1H); 7.51 (m,3H); 7.38 (m,2H); 7.33 (m,1H); 7.21 (m,1H); 7.06 (m,1H); 6.40 (s,1H); 4.58 (s,2H); 2.79 (d,J=5.2 Hz,3H); 2.35 (s,6H); 1.27 (s,9H)。
【0158】
実施例4
4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド、二塩酸塩
【0159】
【化8】

【0160】
1,4−ジオキサン(10 mL)中の(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド(220 mg, 0.41ミリモル)の溶液に塩酸(30 mg, 0.82ミリモル)を滴下添加した。形成した沈澱を濾過し、ジオキサンに続いてヘキサンで洗浄した。固体を次いでジオキサン/メタノールから再結晶して、白色粉末(240 mg, 95%)として所望の生成物塩を得た。MS m/z 533.3 (M+H)+ ; 計算質量532。保持時間(LC-MS): 3.13分。1H-NMR (DMSO-d6):δ9.10 (s,br,1H); 8.97 (s,1H); 8.87 (m,1H); 8.53 (d,J=5.6 Hz,1H); 8.21 (t,1H); 7.50 (m,3H); 7.39 (m,2H); 7.33 (m,1H); 7.20 (m,1H); 7.06 (m,1H); 6.39 (s,1H); 4.58 (s,2H); 2.79 (d,J=4.8 Hz,3H); 1.27 (s, 9H)。
【0161】
実施例5
4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド、ビス(ベンゼンスルホン酸)塩
【0162】
【化9】

【0163】
アセトン(5 mL)中の(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ}−3−フルオロフェノキシ−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド(212 mg, 0.40ミリモル)の溶液にベンゼンスルホン酸(157 mg, 1.0ミリモル)を滴下添加した。形成した沈澱を濾過し、アセトンに続いてヘキサンで洗浄して、結晶質白色粉末(271.4 mg, 80%)として所望の生成物塩を得た。MS m/z 533.5 (M+H)+ ; 計算質量532。保持時間(LC-MS): 3.15分。1H-NMR (DMSO-d6):δ9.05 (s,br,1H); 8.88 (m,2H); 8.54 (d,J=6.0 Hz,1H); 8.22 (t,1H); 7.59 (m,4H); 7.51 (m,3H); 7.38 (m,2H); 7.34 (m,7H); 7.22 (m,1H); 7.07 (m,1H); 6.41 (s,1H); 4.58 (s,2H); 2.79 (d,J=4.8 Hz,3H); 1.27 (s,9H)。
【0164】
実施例6
4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド、二臭化水素酸塩
【0165】
【化10】

【0166】
アセトン(5 mL)中の(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド(400 mg, 0.751ミリモル)の溶液に、水中48%HBr(1mL)の溶液を滴下添加した。形成した沈澱を濾過し、アセトンに続いてヘキサンで洗浄し、白色粉末(505 mg, 96.8%)として所望の生成物塩を得た。MS m/z 533.4 (M+H)+ ; 計算質量532。保持時間(LC-MS): 3.36分。1H-NMR (DMSO-d6):δ9.03 (s,br,1H); 8.89 (m,2H); 8.53 (d,J=5.6 Hz,1H); 8.21 (m,1H); 7.50 (m,3H); 7.37 (m,2H); 7.33 (m,1H); 7.20 (m,1H); 7.06 (m,1H); 6.40 (s,1H); 4.58 (s,2H); 2.78 (m,3H); 1.26 (s,9H)。
【0167】
実施例7
4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド、硫酸水素塩
【0168】
【化11】

【0169】
アセトン(5 mL)中の(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド(400 mg, 0.751ミリモル)の溶液に、酢酸エチル(5 mL)中の硫酸(500 mg, 5.1ミリモル)の溶液を滴下添加した。形成した沈澱を濾過し、アセトンに続いてヘキサンで洗浄して、結晶質白色粉末(460 mg, 97%)として所望の生成物塩を得た。MS m/z 533.4 (M+H)+ ; 計算質量532。保持時間(LC-MS): 3.20分。1H-NMR (DMSO-d6):δ9.02 (m,1H); 8.88 (m,2H); 8.52 (d,J=6.0 Hz,1H); 8.22 (m,1H); 7.50 (m,2H); 7.42 (m,1H); 7.37 (m,2H); 7.32 (m,1H); 7.19 (m,1H); 7.05 (m,1H); 6.39 (s,1H); 4.57 (s,2H); 2.78 (m,3H); 1.26 (s,9H)。
【0170】
実施例8
3−(3−tert−ブチル−5−{〔(2−フルオロ−4−{〔2−(メチルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシ}フェニル)カルバモイル〕アミノ}−1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル−N−〔(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル〕D−バレート
【0171】
【化12】

【0172】
テトラヒドロフラン(40 mL)中の実施例1の(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド(1.00 g, 1.88ミリモル)と炭酸カリウム(1.30 g, 9.39ミリモル)の室温溶液に、N−(9−フルオロエニルメチルオキシカルボニル)−D−バリンクロリド(Fmoc-D-Val-Cl)(1.34 g, 3.76ミリモル)を添加した。反応混合物を一晩攪拌した。粗製物質を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH中2M NH3、99:1〜97:3)により精製して、白色粉末として1.20 g(75%)の所望の生成物を得た。MS m/z 854.4 (M+H)+ ; 保持時間(LC-MS):4.59分。
【0173】
実施例9
3−(3−tert−ブチル−5−{〔(2−フルオロ−4−{〔2−(メチルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシ}フェニル)カルバモイル〕アミノ}−1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルD−バリネート
【0174】
【化13】

【0175】
ピペリジン(0.16 mL)/DMF(9.17 mL)中の実施例8の3−(3−tert−ブチル−5−〔(2−フルオロ−4−〔2−(メチルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシフェニル)カルバモイル〕アミノ−1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル−N−〔(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル〕バリネート(1.10 g, 1.29ミリモル)の溶液を室温で20分間攪拌した。反応混合物をEtOAc(20 mL)で希釈し、水で洗浄した(3×)。合わせた有機相を乾燥し、濃縮した。粗製物質をprep-TLC(CH2Cl2:MeOH中2M NH3、97:3)により精製して、白色粉末として0.48 g(59%)の所望の生成物を得た。MS m/z 632.2 (M+H)+ ; 保持時間(LC-MS): 2.73分。
【0176】
実施例10
3−(3−tert−ブチル−5−{〔(2−フルオロ−4−{〔2−(メチルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシ}フェニル)カルバモイル〕アミノ}−1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルL−バリネート
【0177】
【化14】

【0178】
段階1:クロロホルム(6 mL)中の実施例1の(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド(0.200 g, 0.38ミリモル)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.05 g, 0.38ミリモル)及びFmoc−L−Val−Cl(0.13 g, 0.38ミリモル)の0℃溶液に、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.11 g, 0.56ミリモル)を添加した。反応混合物を室温に温め、72時間攪拌した。粗製物質を濃縮し、prep-TLC(CH2Cl2:MeOH中2M NH3、97:3)により精製して、白色粉末として0.24g(74%)の3−(3−tert−ブチル−5−〔(2−フルオロ−4−〔2−(メチルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシフェニル)カルバモイル〕アミノ−1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル−N−〔(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルバモイル〕−L−バリネートを得た。MS m/z 854.3 (M+H)+ ;保持時間(LC-MS):4.08分。
【0179】
段階2:ピペリジン(0.26 mL)/DMF(15 mL)中の3−(3−tert−ブチル−5−2−フルオロ−4−〔2−(メチルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシフェニル)カルバモイル〕アミノ−1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル−N−〔(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル〕−L−バリネート(0.20 g, 0.23ミリモル)の溶液を室温で20分間攪拌した。反応混合物をEtOAc(20 mL)で希釈し、水で洗浄した(3×)。合わせた有機相を乾燥し、濃縮した。粗製物質をprep-TLC(CH2Cl2:MeOH中2M NH3、97:3)により精製して、白色粉末として0.11g(76%)の所望の生成物を得た。MS m/z 632.2 (M+H)+ ; 保持時間(LC-MS):3.11分。
【0180】
実施例11
3−(3−tert−ブチル−5−{〔(2−フルオロ−4−{〔2−(メチルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシ}フェニル)カルバモイル〕アミノ}−1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルアセテート
【0181】
【化15】

【0182】
ジクロロメタン(15 mL)中の実施例1の(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド(1.00 g, 1.88ミリモル)の0℃溶液に、アセチルクロリド(0.15 mL, 2.07ミリモル)を滴下添加した。反応混合物を0℃で1h攪拌した。反応混合物を水でクエンチングし、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機相を乾燥し、濃縮した。粗製物質をカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH中2M NH3、97:3)により精製して、白色粉末として0.32g(30%)の所望の生成物を得た。MS m/z 575.1 (M+H)+ ; 保持時間(LC-MS):3.55分。
【0183】
実施例12
ジ−tert−ブチル−3−(3−tert−ブチル−5−{〔(2−フルオロ−4−{〔2−(メチルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシ}フェニル)カルバモイル〕アミノ}−1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルホスフェート
【0184】
【化16】

【0185】
テトラヒドロフラン(100 mL)中の1H−テトラゾール(アセトニトリル中0.45M,56 mL, 25.3ミリモル,使用前に真空中で溶媒を除去したもの)の室温溶液に、実施例1の(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド(5.00 g, 9.39ミリモル)とジ−tert−ブチルN,N−ジエチルホスホルアミダイト(2.11 g, 8.45ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物を−40℃に冷却し、そして反応温度を0℃以下に維持しながら、m−クロロペルオキシ安息香酸(CH2Cl2中85%、2.74 g, 12.2ミリモル)のスラリーを添加した。反応混合物を室温に戻し、そして10分間攪拌し、次いでNaHSO3の水性溶液(10%, 40 mL)を加えた。室温で更に1h攪拌した後、反応液を分液漏斗に移し、EtOAcで抽出した。有機相をNaHCO3(2×50 mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO4)、そして濃縮した。粗製物質をカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH中2M NH3,98:2)に続いて再結晶(CH2Cl2/ヘキサン)により精製して、白色結晶質物質として3.57g(52%)の所望の生成物を得た。MS m/z 724.9 (M+H)+ ; 保持時間(LC-MS):3.74分。
【0186】
実施例13
3−(3−tert−ブチル−5−{〔(2−フルオロ−4−{〔2−(メチルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシ}フェニル)カルバモイル〕アミノ}−1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルリン酸二水素塩二塩酸塩
【0187】
【化17】

【0188】
ジオキサン(12 mL)中の実施例12のジ−tert−ブチル−3−(3−tert−ブチル−5−{〔(2−フルオロ−4−{〔2−(メチルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシ}フェニル)カルバモイル〕アミノ}−1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルホスフェート(0.45 g, 0.62ミリモル)の室温溶液に、HCl/ジオキサン(4M, 4 mL, 16ミリモル)をゆっくり添加した。白色沈澱が形成し、その懸濁液を室温で3h攪拌した。反応混合物をエーテル(20 mL)で希釈し、固体を収集した。得られた固体をエーテルに続いてヘキサンで洗浄して、白色粉末として0.40g(94%)の所望の生成物を得た。MS m/z 612.9 (M+H)+ ; 保持時間(LC-MS): 3.05分。
【0189】
実施例14
4−{〔3−(3−tert−ブチル−5−{〔(2−フルオロ−4−{〔2−(メチルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシ}フェニル)カルバモイル〕アミノ}−1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル〕オキシ}−4−オキソブタン酸
【0190】
【化18】

【0191】
テトラヒドロフラン(43 mL)中の実施例1の(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド(0.45 g, 0.85ミリモル)の室温溶液に、コハク酸無水物(0.10 g, 1.00ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で72h攪拌した。反応混合物を濃縮し、そして残渣をヘキサンで粉砕した。生じた白色粉末を濾過し、ヘキサンで洗浄した。固体をEtOH中に再溶解し、飽和水性塩化アンモニウム溶液(2×15 mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO4)、そして濃縮して、0.49g(91%)の純粋な生成物を得た。MS m/z 633.1 (M+H)+ ; 保持時間(LC-MS):3.29分。
【0192】
実施例15
3−(3−tert−ブチル−5−{〔(2−フルオロ−4−{〔2−(メチルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシ}フェニル)カルバモイル〕アミノ}−1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルメトキシ酢酸塩
【0193】
【化19】

【0194】
ジクロロメタン(1.5 mL)/ピリジン(0.5 mL)中の実施例1の(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド(0.15 g, 0.28ミリモル)の0℃溶液に、塩化メトキシアセチル(0.03 mL, 0.34ミリモル)を滴下添加した。反応混合物を室温に温め、72時間攪拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、そして飽和水性NaHCO3で洗浄した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥し、濃縮した。粗製物質をカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH、100%CH2Cl2から98.5:1.5への勾配)により精製して、白色固体として0.16g(96%)の所望の生成物を得た。MS m/z 605.1 (M+H)+ ; 保持時間(LC-MS): 3.44分。
【0195】
実施例16
3−(3−tert−ブチル−5−{〔(2−フルオロ−4−{〔2−(メチルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシ}フェニル)カルバモイル〕アミノ}−1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルプロピオネート
【0196】
【化20】

テトラヒドロフラン(5 mL)中の実施例1の(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェニル}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド(0.20 g, 0.38ミリモル)と炭酸カリウム(0.26 g, 1.88ミリモル)の室温溶液に、塩化プロピオニル(0.05 g, 0.56ミリモル)を滴下添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。粗製物質を濃縮し、そしてprep-TLC(CH2Cl2:MeOH中2M NH3、97:3)により精製して、白色粉末として0.09g(42%)の所望の生成物を得た。MS m/z 589.1 (M+H)+ ; 保持時間(LC-MS): 3.68分。
【0197】
実施例17
3−(tert−ブチル−5−{〔(2−フルオロ−4−{〔2−(メチルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシ}フェニル)カルバモイル〕アミノ}−1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル−3−メチルブタノエート
【0198】
【化21】

【0199】
ジクロロメタン(1.0 mL)/ピリジン(0.3 mL)中の実施例1の(4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド(0.10 g, 0.19ミリモル)の0℃溶液に、3−メチルブタノイルクロリド(0.02 mL, 0.23ミリモル)を滴下添加した。反応混合物を室温にまで温め、そして72h攪拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、飽和水性NaHCO3で洗浄した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥し、濃縮した。粗製物質をカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2:MeOH、100%CH2Cl2から98.5:1.5へ)により精製して、白色固体として0.02g(18%)の所望の生成物を得た。MS m/z 617.3 (M+H)+ ; 保持時間(LC-MS): 3.89分。
【0200】
生物学的評価
本発明をより理解できるように、次の実施例を設定した。これらの実施例は例示目的のみであり、どのような形にせよ本発明の範囲を限定すると解釈してはならない。その中に言及される全ての刊行物はその全内容が参考として組み込まれる。
【0201】
本発明の活性の証明は、当業界で周知である試験管内、生体外及び生体内アッセイを通して達成することができる。例えば、本発明の化合物の活性を証明するために、次のアッセイを使用できる。
【0202】
生物学的アッセイ例
Flk-1(マウスVEGFR-2)生化学アッセイ
このアッセイは、TR-FRET形式で96ウエルの不透明プレート(Costar 3915)中で実施した。反応条件は次の通りであった:10μM ATP, 25 nMポリGT−ビオチン, 2 nM Eu標識ホスホ−Tyr Ab(PY20 Perkin Elmer),10 nM APC (Perkin Elmer), 7 nM Flk-1(キナーゼ領域), 1% DMSO, 50 mM HEPES pH 7.5, 10 mM MgCl2, 0.1 mM EDTA, 0.015%BRIJ, 0.1 mg/mL BSA, 0.1%メルカプトエタノール。反応は酵素の添加によって開始した。各ウエル中の最終反応容量は100μLであった。プレートをPerkin Elmer Victor V Multilabelカウンター上で615 nMと665 nMの両方で反応開始後約1.5〜2.0時間目に読んだ。シグナルは各ウエルについて比(665 nm/615 nm)×10000として計算した。
【0203】
c-Met生化学アッセイ
c-Met生化学アッセイにはELISA形式を使用した。このアッセイは96ウエルプレート中でC末端HIS標識細胞内キナーゼ領域(956〜1390アミノ酸)ヒト組換えc-Metを使用する。ポリ(GluTyr)(Sigma # P0275)で被覆された96ウエルプレート(Costar #9018)をこのアッセイに使用した。プレート上に被覆されたポリ(GluTyr)基質は、アッセイ緩衝液(50 mM HEPES pH 7.0, 5 mM MnCl2, 0.1%BSA, 0.5 mMオルトバナジウム酸ナトリウム, 0.1%β-メルカプトエタノール)中2 nM c-Metタンパク質により100μLの反応溶液中でリン酸化した。2μLの化合物を、1%DMSOの最終濃度で10 uM〜128 pMに及ぶ8点IC50用量曲線として添加した。25分間のインキュベーション後、25μLの100 mM EDTAによりアッセイ反応を停止させた。次いでプレートを洗浄し、ウエルを100μLの80 ng/mL抗4GF10−HRP抗体(Upstate # 16-105)で1h処理した。プレートを最後に1回洗浄し、100μLの3,3′,5,5′−TMB(Sigma # T8665)を用いて発色させ、100μLの1M HClでクエンチングした。プレートをVictor 2プレートリーダー(Perkin Elmer)上で読み取り、社内ソフトウエアを使ってIC50分析と計算を行った。
【0204】
Bcr-Abl野生型及び変異型T315I生化学アッセイ
Bcr-Abl-wt又は変異型Bcr-Abl-T315Iキナーゼ(0.17 nM)を、50 mM Tris pH 7.5,10mM MgCl2, 1 mM EGTA, 2 mM DTT, 50μM ATP及び0.4μCiの33P-ATPから成るアッセイ緩衝液中でミエリン塩基性タンパク質(MBP, 2μM)と共にインキュベートした。試験化合物を様々な濃度(最終DMSO濃度=1%)で添加した後APTを添加した。反応混合物を32℃で1時間インキュベートした。反応をリン酸(最終濃度=1%)の添加により停止させ、試料をフィルターマットに移し、そしてベータプレートリーダー中で読み取った。Bcr-Abl-wt又はBcr-Abl-T3151によるMBPリン酸化の阻害を、4パラメーターフィット及び社内ソフトウエアを使って分析した。
【0205】
実施例1の化合物はFlk-1,c-Met,野生型Bcr-Abl及び変異型Bcr-Abl-T315Iについての生化学アッセイにおいてIC50<500 nMを示した。実施例9,10,11,14,15及び16の化合物は、Flk-1, c-Met, 野生型Bcr-Abl及び変異型Bcr-Abl-T315Iについての生化学アッセイにおいてIC50<1μMを示した。実施例8,12及び17の化合物はc-Met及びBcr-Abl-T315Iについての生化学アッセイにおいてIC50<20μMを示した。
【0206】
試験管内腫瘍細胞増殖アッセイ
本発明の化合物を試験するために使用する付着腫瘍細胞増殖アッセイは、Promegaにより開発されたCell Titre-Gloと呼ばれる読み出し(Cunningham, BA “A Growing Issue: Cell Proliferation Assays. Modern kits ease quantification of cell growth”, The Scientist 2001, 15(13), 26; Crouch, SP他、“The use of ATP bioluminescence as a measure of cell proliferation and cytotoxicity” Journal of Immunological Methods 1993, 160, 81-88)を含む。
【0207】
H460細胞(肺癌、ATCCから購入)を10%ウシ胎児血清を含む完全培地中、3000細胞/ウエルにて96ウエルプレートに接種し、そして37℃で24時間インキュベートした。接種後24時間目に、試験化合物を0.2%の最終DMSO濃度での連続希釈液中に10 nM〜20μMの最終濃度範囲に渡って添加した。試験化合物の添加後、細胞を完全増殖培地中で37℃にて72時間インキュベートした。4日目に、Promega Cell Titer Glo Luminescent(登録商標)アッセイキットを使って、細胞を溶解しそして室温で8分間インキュベートした。試料を蛍光測定器上で読み、各ウエルからの細胞溶解物中に存在するATPの量(これはそのウエル中の生存細胞の数に相当する)を測定した。24時間インキュベーション時に読んだ値を、0日として差し引いた。IC50値の測定のため、線形回帰分析を使って、このアッセイ形式を使って細胞増殖の50%阻害をもたらす薬剤濃度を決定した。このプロトコルは、着目の別の細胞系、例えば非限定的に、CAK-1, MKN45, HCC2998, K562, H441, K812, MEG01, SUP15, HCT116, BaF3-Abl(wt)及びBaF3-Abl(T315I)にも適用した。
【0208】
実施例1の化合物及びそれの誘導体(実施例9,11,12,13,14の化合物)は、着目の1又は複数の細胞系において抗増殖性特性(IC50<5μM)を示した。着目の細胞系としては非限定的にCAK-1,MKNN45,HCC2998,K562,H441,K812,MEG01,SUP15,HCT116,BaF3-ABl(wt)及びBaf3-Abl(T315I)が挙げられる。
【0209】
表1は、様々なBaF3細胞系(野生型を含むBcr-ABlの異なる形を発現する)及びK562(野生型Bcr-Ablを発現するヒト細胞系)についての細胞増殖アッセイの結果を示す。BaF3−Abl(T315I), BaF3-ABl(E255K), BaF3-Abl(M351T)及びBaF3-Abl(Y253F)が、患者において観察されているBcr-Ablのイマチニブ耐性変異体を発現する細胞系であることが特に着目される。実施例1についてのデータが提供される。Bcr-Ablを発現しないBaF3親細胞系の場合、実施例1について3μMよりも大きい細胞増殖IC50値が測定された。
【0210】
【表1】

【0211】
実施例9,11,12,13及び14の化合物は、BaF3-Abl(M351T)増側アッセイにおいてIC50<10μMを示した。
【0212】
当業者は、上記情報及び当業界で入手可能な情報を使って、本発明をそれの完全な範囲に利用することができると思われる。当業者は、本明細書中に記載されるような本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、本発明の変更及び改良を行うことができることは明らかであろう。上記及び下記に記載した表題は、ある情報が本明細書中に見つけることができるガイダンスとしての意味を有し、そのような主題に関する情報を見つけることができる本明細書中の唯一の源であるという意図ではない。上記に引用した全ての刊行物及び特許は参考として本明細書中に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル〕カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド、それの医薬上許容される塩、それの代謝産物、それの溶媒和物、それの水和物、それのプロドラッグ、それの多形体、単離された立体異性体としての又は立体異性体の混合物中のそれの塩又はプロドラッグのジアステレオ異性体形である化合物。
【請求項2】
4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル〕カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドのプロドラッグである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記プロドラッグが
a) 式
【化1】

の3−(3−tert−ブチル−5−{〔(2−フルオロ−4−{〔2−(メチルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシ}フェニル)カルバモイル〕アミノ}−1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル−N−〔(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル〕D−バリネート;
b) 式
【化2】

の3−(3−tert−ブチル−5−{〔(2−フルオロ−4−{〔2−(メチルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシ}フェニル)カルバモイル〕アミノ}−1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルD−バリネート;
c) 式
【化3】

の3−(3−tert−ブチル−5−{〔(2−フルオロ−4−{〔2−(メトキシカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシ}フェニル)カルバモイル〕アミノ}−1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルL−バリネート;
d) 式
【化4】

の3−(3−tert−ブチル−5−{〔(2−フルオロ−4−{〔2−(メチルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシ}フェニル)カルバモイル〕アミノ}−1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルアセテート;
e) 式
【化5】

のジ−tert−ブチル3−(3−tert−ブチル−5−{〔(2−フルオロ−4−{〔2−(メチルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシ}フェニル)カルバモイル〕アミノ}−1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルホスフェート;
f) 式
【化6】

の3−(3−tert−ブチル−5−{〔(2−フルオロ−4−{〔2−(メチルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシ}フェニル)カルバモイル〕アミノ}−1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルリン酸二水素二塩酸塩;
g) 式
【化7】

の4−{〔3−(3−tert−ブチル−5−{〔(2−フルオロ−4−{〔2−(メチオルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシ}フェニル)カルバモイル〕アミノ}−1H−ピラゾール−1−イル〕ベンジル〕オキシ}−4−オキソブタン酸;
h) 式
【化8】

の3−(3−tert−ブチル−5−{〔(2−フルオロ−4−{〔2−(メチルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシ}フェニル)カルバモイル〕アミノ}−1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルメトキシアセテート;
i) 式
【化9】

の3−(3−tert−ブチル−5−{〔(2−フルオロ−4−{〔2−(メチルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシ}フェニル)カルバモイル〕アミノ}−1H−ピラゾール−1−イル)ベンジルプロピオネート;又は
j) 式
【化10】

の3−(3−tert−ブチル−5−{〔(2−フルオロ−4−{〔2−(メチルカルバモイル)ピリジン−4−イル〕オキシ}フェニル)カルバモイル〕アミノ}−1H−ピラゾール−1−イル)ベンジル3−メチルブタノエート
である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミドの塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記塩が
a) 4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド、ビス(4−メチルベンゼンスルホン酸)塩、
b) 4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド、ジメタンスルホン酸塩、
c) 4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド、二塩酸塩、
d) 4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド、ビス(ベンゼンスルホン酸)塩、
e) 4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド、二臭化水素酸塩、又は
f) 4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド、硫酸水素塩
である、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
4−{4−〔({3−tert−ブチル−1−〔3−(ヒドロキシメチル)フェニル〕−1H−ピラゾール−5−イル}カルバモイル)アミノ〕−3−フルオロフェノキシ}−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド、それの医薬上許容される塩、それの代謝産物、それの溶媒和物、それの水和物、それのプロドラッグもしくはそれの多形体又は、単離された立体異性体としてのもしくは立体異性体の混合物中のそれの塩もしくはプロドラッグのジアステレオ異性体形である化合物、及び
医薬上許容される担体
を含んで成る医薬組成物。
【請求項7】
請求項3の化合物及び医薬上許容される担体を含んで成る医薬組成物。
【請求項8】
請求項5の化合物及び医薬上許容される担体を含んで成る医薬組成物。
【請求項9】
高増殖性疾患を治療する方法であって、それを必要とする哺乳類に治療上有効な量の請求項1の化合物を投与することを含んで成る方法。
【請求項10】
高増殖性疾患を治療する方法であって、それを必要とする哺乳類に治療上有効な量の請求項6の化合物を投与することを含んで成る方法。
【請求項11】
前記高増殖性疾患が癌である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記癌が胸部、気道、脳、生殖器、消化管、尿道、目、肝臓、皮膚、頭部及び/頸部、甲状腺、副甲状腺癌及び/又はそれらの遠隔転移癌である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記癌がリンパ腫、肉腫又は白血病である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記乳癌が浸潤性管癌、浸潤性小葉癌、非浸潤性乳管癌、又は非浸潤性小葉癌であり;
前記気道癌が小細胞肺癌、非小細胞肺癌、気管支腺癌又は胸膜肺芽腫であり;
前記脳癌が脳幹の腫瘍及び視床下部膠腫、小脳星細胞腫, 大脳星細胞腫、髄芽細胞腫、上衣腫、神経外胚葉性又は松果体腫瘍であり;
前記男性生殖器の癌が前立腺又は精巣癌であり;
前記女性生殖器の癌が子宮内膜、子宮頚、卵巣、膣、外陰部の癌又は子宮肉腫であり;
前記消化管の癌が肛門、結腸、結腸直腸、食道、胆嚢、胃、膵臓、直腸、小腸又は唾液腺の癌であり;
前記尿道の癌が膀胱、陰茎、腎臓、腎盂、尿管又は尿道の癌であり;
前記目の癌が眼内黒色腫又は網膜芽腫であり;
前記肝臓癌が肝細胞癌、線維層板状異変を有する又は有さない肝細胞癌、胆管癌、又は混合肝細胞胆管癌であり;
前記皮膚癌が扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、悪性黒色腫、マーケル細胞皮膚癌、又は非黒色腫性皮膚癌であり;
前記頭頸部癌が咽頭部、下咽頭、鼻咽頭、口腔咽頭癌、唇又は口腔癌であり;
前記リンパ腫がAIDS関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキン病又は中枢神経系のリンパ腫であり;
前記肉腫が軟組織の肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、リンパ肉腫又は横紋筋肉腫であり;そして
前記白血病が、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病又は毛様細胞白血病である、
請求項12に記載の方法。
【請求項15】
血管形成性疾患を治療する方法であって、それを必要とする哺乳類に治療上有効な量の請求項1の化合物を投与することを含んで成る方法。
【請求項16】
抗高増殖性剤を更に含んで成る、請求項6に記載の組成物。
【請求項17】
前記抗高増殖性剤がエトチリンもしくはそれの誘導体、イリノテカン、ラロキシフェン又はトポテカンである、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
追加の薬剤を更に含んで成る、請求項6に記載の組成物。
【請求項19】
前記追加の薬剤が、アルデスロイキン、アレンドロニン酸、アルファフェロン、アリトレチノイン、アロプリノール、アロプリム、アロキシ、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アミフォスチン、アムルビシン、アムサクリン、アナストロゾール、アンズメト、アラネスプ、アルグラビン、三酸化ヒ素、アロマシン、5−アザシチジン、アザチオプリン、BCG又はタイスBCG、ベスタチン、酢酸ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、ベキサロテン、硫酸ブレオマイシン、ブロキシウリジン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルシトニン、カンパス、カペシタビン、カルボプラチン、カソデクス、セフェソン、セルモロイキン、セルビジン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロン酸、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノキソム(DaunoXome)、デカドロン、リン酸デカドロン、デレストロゲン、デニロイキン、ジフチトクス、デポ−メドロール、デスロレリン、デクスラゾキサン、ジエチルスチルベストロール、ジフルカン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドロナビノール、DW-166HC、エリガード、エリテック、エレンス、エメンド、エピルビシン、エポエチンアルファ、エポゲン、エプタプラチン、エルガミソール、エストレース、エストラジオール、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エチニルエストラジオール、エチオール、エチドロン酸、エトポフォス、エトポシド、ファドロゾール、ファルストン、フィルグラスチム、フィナステリド、フリグラスチム、フロキシウリジン、フルコナゾール、フルダラビン、5−フルオロデオキシウリジン一リン酸、5−フルオロウラシル(5-FU)、フルオキシメステロン、フルタミド、フォルメスタン、フォステアビン、フォテムスチン、フルベストラント、ガンマガード、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、グリベック、グリアデル、ゴセレリン、グラニセトロンHCl、ヒストレリン、ヒカムチン、ハイドロコートン、エリスロ−ヒドロキシノニルアデニン、ヒドロキシウレア、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イフォスファミド、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ2、インターフェロンアルファ−2A、インターフェロンアルファ−2B、インターフェロン−n1、インターフェロンアルファ−n3、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ−1a、インターロイキン−2、イントロンA、イレッサ、イリノテカン、キトリル、硫酸レンチナン、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、酢酸ロイプロリド、レバミソール、レボフォリン酸カルシウム塩、レボスロイド、レボキシル、ロムスチン、ロニダミン、マリノール、メクロレタミン、メコバラミン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メネスト、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキセート、メトビクス、ミルテフォシン、ミノシクリン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、モドレナール(Modrenal)、ミオセト(Myocet)、ネダプラチン、ノイラスタ、ノイメガ、ノイポゲン、ニルタミド、ノルバデックス、NSC-631570、OCT-43、オクトレオチド、オンダンセトロンHCl、オラプレド、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペジアプレド、ペガスパルガーゼ、ペガシス(Pegasys)、ペントスタチン、ピシバニル、ピロカルピンHCl、ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニムスチン、プレドニソロン、プレドニソン、プレマリン、プロカルバジン、プロクリット、ラルチトレキセド、レビフ、レニウム−186エチドロネート、リツキシマブ、レフェロン−A、ロムルチド、サラゲン、サンドスタチン、サルグラモスチム、セムスチン、シゾフィラン、ソブゾキサン、ソル−メドロール、スパルフォシ酸、幹細胞療法、ストレプトゾシン、ストロンチウム−89クロリド、シントロイド、タモキシフェン、タムスロシン、タソネルミン、タストラクトン、タキソテール、テセロイキン、テモゾロミド、テニポシド、プロピオン酸テストステロン、テストレド、チオグアニン、チオテパ、チロトロピン、チルドロン酸、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレオスルファン、トレチノイン、トレキサル、トリメチルメラミン、トリメトレキセート、酢酸トリプトレリン、パモ酸トリプトレリン、UFT、ウリジン、バルルビシン、ベスナリノン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビルリジン、ジネカルド、ジノスタチンスチマラマー、ゾフラン、ABI-007、アコルビフェン、アクチムネ、アフィニタク、アミノプテリン、アルゾキシフェン、アソプリスニル、アタメスタン、アトラセンタン、BAY 43-9006(ソラフェニブ)、アバスチン、CCI-779、CDC-501、セレブレクス、セツキシマブ、クリスナトール、酢酸シプロテロン、デシタビン、DN-101、ドキソルビシン−MTC、dSLIM、ドゥタステリド、エドテカリン、エフロルニチン、エキサテカン、フェンレチニド、ヒスタミン二塩酸塩、ヒストレリンヒドロゲルインプラント、ホルミウム−166 DOTMP、イバンドロン酸、インターフェロンガンマ、イントロン−PEG、イキサベピロン、キーホールリンペットヘモシアニン、L-651582、ランレオチド、ラソフォキシフェン、リブラ、ロナファルニブ、ミプロキシフェン、ミノドロネート、MS-209、リポソームMTP-PE、MX-6、ナファレリン、ネモルビシン、ネオバスタット、ノラトレキセド、オブリメルセン、オンコ−TCS、オシデム、ポリグルタミン酸パクリタキセル、パミドロネート二ナトリウム、PN-401、QS-21、クアゼパム、R-1549、ラロキシフェン、ランピルナーゼ、13−シスレチン酸、サトラプラチン、セオカルシトール、T-138067、タルセバ、タキソプレキシン、チモシンベータ1、チアゾフリン、ティピファニブ、チラパザミン、TLK-286、トレミフェン、トランスMID-107R、バルスポダル、バプレオチド、バタラニブ、ベルテポルフィン、ビンフルニン、Z-100、ゾレドロン酸又はそれらの組み合わせである、請求項18に記載の組成物。

【公表番号】特表2010−514691(P2010−514691A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543220(P2009−543220)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/088365
【国際公開番号】WO2008/079968
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(508130960)バイエル ヘルスケア リミティド ライアビリティ カンパニー (6)
【Fターム(参考)】