説明

C型肝炎ウイルスの新規のペプチド模倣性NS3−セリンプロテアーゼインヒビター

本発明の多くの実施形態において、本発明は、上記HCVプロテアーゼの新たなクラスのインヒビター、1つ以上の化合物を含む薬学的組成物、このような化合物を1つ以上含む薬学的処方物を調製する方法、およびC型肝炎の1つ以上の症状の処置、予防または寛解の方法を提供する。HCVポリペプチドとHCVプロテアーゼとの相互作用を調節する方法もまた提供される。式(1)に示される一般構造を有する化合物、この化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体もしくはラセミ体、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を開示し、この化合物は、C型肝炎の1つ以上の症状の処置または予防または改善に有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、新規のC型肝炎ウイルス(「HCV」)プロテアーゼインヒビター、1つ以上のこのようなインヒビターを含む薬学的組成物、このようなインヒビターを調製する方法ならびに、C型肝炎および関連する障害を処置するためのこのようなインヒビターの使用の方法に関連する。本発明は、具体的には、HCV NS3/NS4aセリンプロテアーゼのインヒビターとしての、新規のペプチド模倣性化合物を開示する。本願は、米国仮特許出願第60/497,749号(2003年8月26日出願)による優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
C型肝炎ウイルス(HCV)は(+)−センス単鎖RNAウイルスであって、非A型、非B型肝炎(NANBH)、特に血液関連のNANBH(BB−NANBH)における主要な原因因子として関係してきた(特許文献1および特許文献2を参照のこと)。NANBHは、他の型のウイルス誘導性肝臓疾患(例えば、A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、Δ肝炎ウイルス(delta hepatitis virus)(HDV)、サイトメガロウイルス(CMV)およびエプスタイン−バーウイルス(EBV))、および他の型の肝臓疾患(例えば、アルコール中毒症および原発性胆汁性肝硬変)からは区別されるべきである。
【0003】
近年、ポリペプチドのプロセシングおよびウイルスの複製に必要なHCVプロテアーゼが同定され、クローン化され、そして発現された(例えば、特許文献3を参照のこと)。この約3000アミノ酸のポリプロテインは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、ヌクレオカプシドタンパク質(C)、エンベロープタンパク質(E1およびE2)および幾つかの非構造タンパク質(NS1、2、3、4a、5aおよび5b)を含む。NS3は約68kdaのタンパク質であり、上記のHCVゲノムの約1893ヌクレオチドによってコードされ、そして2つの別個のドメイン:(a)約200のN末端アミノ酸からなるセリンプロテアーゼドメイン;および(b)このタンパク質のC末端に位置するRNA依存性ATPaseドメインを有する。このNS3プロテアーゼはキモトリプシンファミリーのメンバーであると考えられる。その理由は、タンパク質配列、全体的な三次元構造および触媒作用の機構が類似しているからである。他のキモトリプシン様酵素は、エラスターゼ、Xa因子、トロンビン、トリプシン、プラスミン、ウロキナーゼ、tPAおよびPSAである。このHCV NS3セリンプロテアーゼは、上記のポリペプチド(ポリタンパク質)の、NS3/NS4a接合点、NS4a/NS4b接合点、NS4b/NS5a接合点およびNS5a/NS5b接合点におけるタンパク質分解を担い、そして従って、ウイルス複製の間の4つのウイルスタンパク質の生成を担う。このことは、このHCV NS3セリンプロテアーゼを、抗ウイルス化学療法の魅力的な標的としている。本発明の化合物は、このようなプロテアーゼを阻害し得る。これらはまた、C型肝炎ウイルス(HCV)ポリペプチドのプロセシングを調節し得る。
【0004】
約6kdaのポリペプチドであるNS4aタンパク質が、NS3のセリンプロテアーゼ活性のための補因子であることが確定している。NS3/NS4aセリンプロテアーゼによるNS3/NS4a接合点の自己切断が分子内で起き(すなわち、シス)、一方で、他の切断部位が分子間でプロセスされる(すなわち、トランス)。
【0005】
HCVプロテアーゼについての自然な切断部位の解析から、P1にシステイン、そしてP1’にセリンが存在すること、ならびに、これらの残基が、上記のNS4a/NS4b接合点、NS4b/NS5a接合点およびNS5a/NS5b接合点に厳密に保存されていることが明らかになった。上記のNS3/NS4a接合点は、P1にトレオニン、そしてP1’にセリンを含む。NS3/NS4aにおけるCys→Thrの置換は、この接合点においてトランスプロセシングではなくシスプロセシングが必要なことを説明するものと推定される。例えば、非特許文献1および非特許文献2を参照のこと。このNS3/NS4a切断部位はまた、他の部位よりも突然変異誘発により耐性がある。例えば、非特許文献3を参照のこと。この切断部位より上流の領域にある酸性残基が、有効な切断に必要であることもまた見出されている。例えば、非特許文献4を参照のこと。
【0006】
報告されたHCVプロテアーゼのインヒビターとしては、抗酸化物質(特許文献4を参照のこと)、特定のペプチドおよびペプチドアナログ(特許文献5、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7を参照のこと)、70アミノ酸のポリペプチドエグリンc(eglin c)に基づくインヒビター(非特許文献8)、ヒト膵臓分泌性トリプシンインヒビター(hPSTI−C3)およびミニボディ(minibody)レパートリー(MBip)から選択されたインヒビター類縁(非特許文献9)、cVE2(「ラクダ化(camelized)」可変ドメイン抗体フラグメント)(非特許文献10)、ならびにα1−抗キモトリプシン(ACT)(非特許文献11)が挙げられる。C型肝炎ウイルスRNAを選択的に破壊するように設計されたリボザイムが、近年に開示された(BioWorld Today 9(217):4(1998年11月10日)を参照のこと)。
【0007】
特許文献5(1998年4月30日公開)(Vertex Pharmaceuticals Incorporated);特許文献6(1998年5月28日公開)(F.Hoffmann−La Roche AG);および特許文献7(1999年2月18日公開)(Boehringer Ingelheim Canada Ltd.)もまた参照される。
【0008】
HCVは肝硬変、および肝細胞癌の誘発に関連する。HCV感染に罹患した患者の予後は、現在、良くない。HCV感染は、HCV感染に関連する免疫または緩解が無いので、他の形態の肝炎よりも処置が難しい。現在のデータは、肝硬変の診断後4年で、生存率は50%未満であることを示している。局在性の切除可能な肝細胞癌と診断された患者は、5年間の生存率が10〜30%であり、一方で、局在性の切除可能な肝細胞癌である患者は、5年間の生存率が1%未満である。
【0009】
HCV NS3プロテアーゼのインヒビターの二環式アナログの合成を記述した、非特許文献12が参照される。上記の文書で開示される化合物は式:
【0010】
【化127】

を有する。
【0011】
非特許文献13もまた参照される。この参考文献は、アリル官能性およびエチル官能性を含む、特定のα−ケトアミド、α−ケトエステルおよびα−ジケトンの調製を記述する。
【0012】
特許文献8(譲受人:Boehringer Ingelheim Limited;2000年2月24日公開)もまた参照される。この参考文献は、式:
【0013】
【化128】

のペプチド誘導体を開示し、この中で、種々の成分が定義される。それらのシリーズの例示的な化合物は:
【0014】
【化129】

である。
【0015】
特許文献9(譲受人:Boehringer Ingelheim Limited;2000年2月24日公開)もまた参照される。この参考文献は、式:
【0016】
【化130】

のペプチド誘導体を開示し、この中で、種々の成分が定義される。それらのシリーズの例示的な化合物は:
【0017】
【化131】

である。
【0018】
非特許文献14による最近の刊行物もまた参照され、ここで、例として式:
【0019】
【化132】

によって示されるHCV NS3プロテアーゼインヒビターが記述される。
【0020】
S.Colarussoらによる特許文献10もまた参照され、この参考文献は、式:
【0021】
【化133】

の化合物を開示する。
【0022】
C型肝炎の現在の治療は、インターフェロン−α(INFα)ならびに、リバビリンおよびインターフェロンの併用治療を含む。例えば、非特許文献15を参照のこと。この治療は、低く維持された反応率および頻繁な副作用の被害を受ける。例えば、非特許文献16を参照のこと。現在のところ、HCV感染に利用できるワクチンはない。
【0023】
特許文献11〜18および係属中の特許文献19(2002年1月18日出願)において、C型肝炎ウイルスのNS−3セリンプロテアーゼインヒビターとしての、種々な型のペプチドおよび/または他の化合物が開示される。
【0024】
HCV感染についての新たな処置および治療に対する必要性がある。C型肝炎の1つ以上の症状の処置または予防または寛解に有用な化合物に対する必要性がある。
【0025】
C型肝炎の1つ以上の症状の処置または予防または寛解の方法に対する必要性がある。
【0026】
セリンプロテアーゼ、特にHCV NS3/NS4aセリンプロテアーゼの活性を、本明細書中に提供される化合物を用いて調節する方法に対する必要性がある。
【0027】
本明細書中に提供される化合物を用いて、上記のHCVポリペプチドのプロセシングを調節する方法に対する必要性がある。
【特許文献1】国際公開第89/04669号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開第381 216号明細書
【特許文献3】米国特許第5,712,145号明細書
【特許文献4】国際公開第98/14181号パンフレット
【特許文献5】国際公開第98/17679号パンフレット
【特許文献6】国際公開第98/22496号パンフレット
【特許文献7】国際公開第99/07734号パンフレット
【特許文献8】国際公開第00/09558号パンフレット
【特許文献9】国際公開第00/09543号パンフレット
【特許文献10】国際公開第2002079234号パンフレット
【特許文献11】国際公開第01/77113号パンフレット
【特許文献12】国際公開第01/081325号パンフレット
【特許文献13】国際公開第02/08198号パンフレット
【特許文献14】国際公開第02/08256号パンフレット
【特許文献15】国際公開第02/08187号パンフレット
【特許文献16】国際公開第02/08244号パンフレット
【特許文献17】国際公開第02/48172号パンフレット
【特許文献18】国際公開第02/08251号パンフレット
【特許文献19】米国特許出願公開第10/052,386号明細書
【非特許文献1】Pizziら、Proc.Natl.Acad.Sci(USA)(1994)91:888−892
【非特許文献2】Faillaら、Folding & Design(1996)1:35−42
【非特許文献3】Kollykhalovら、J.Virol.(1994)68:7525−7533
【非特許文献4】Komodaら、J.Virol.(1994)68:7351−7357
【非特許文献5】Landroら、Biochem.(1997)36:9340−9348
【非特許文献6】Ingallinellaら、Biochem.(1998)37:8906−8914
【非特許文献7】Llinas−Brunetら、Bioorg.Med.Chem.Lett.(1998)8:1713−1718
【非特許文献8】Martinら、Biochem.(1998)37:11459−11468
【非特許文献9】Dimasiら、J.Virol.(1997)71:7461−7469
【非特許文献10】Martinら、Protein Eng.(1997)10:607−614
【非特許文献11】Elzoukiら、J.Hepat.(1997)27:42−28
【非特許文献12】A.Marchettiら、Synlett(1999)S1,1000−1002
【非特許文献13】W.Hanら、Bioorganic & Medicinal Chem.Lett,(2000)10,711−713
【非特許文献14】F.Orvietoら、Bioorganic & Medicinal Chem.Lett.,(2003)13,2745
【非特許文献15】Beremguerら、Proc.Assoc.Am.Phsicians(1998)110(2):98−112
【非特許文献16】Hoofnagleら、N.Engl.J.Med.(1997)336:347
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0028】
(発明の要旨)
本発明の多くの実施形態において、本発明は、上記HCVプロテアーゼの新たなクラスのインヒビター、1つ以上の化合物を含む薬学的組成物、このような化合物を1つ以上含む薬学的処方物を調製する方法、およびC型肝炎の1つ以上の症状の処置、予防または寛解の方法を提供する。HCVポリペプチドとHCVプロテアーゼとの相互作用を調節する方法もまた提供される。本明細書中に提供される化合物は、HCV NS3/NS4aセリンプロテアーゼ活性を阻害し得る。本願は、式1:
【0029】
【化134】

に示した一般構造を有する化合物、あるいは上記化合物の薬学的に受容可能な塩、溶媒和物またはエステルを開示し、ここで:
CapおよびP’は独立して、H、アルキル、アルキル−アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、アリール−ヘテロアリール、アルキル−ヘテロアリール、シクロアルキル、アルキルオキシ、アルキル−アリールオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキル−アリールアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、シクロアルキルアミノ、カルボキシアルキルアミノ、アリールアルキルオキシ(arlylalkyloxy)またはヘテロシクリルアミノであり、ここで、上記アルキル、上記アルキル−アリール、上記へテロアルキル、上記へテロアリール、上記アリール−ヘテロアリール、上記アルキル−ヘテロアリール、上記シクロアルキル、上記アルキルオキシ、上記アルキル−アリールオキシ、上記アリールオキシ、上記へテロアリールオキシ、上記へテロシクリルオキシ、上記シクロアルキルオキシ、上記アミノ、上記アルキルアミノ、上記アリールアミノ、上記アルキル−アリールアミノ、上記アリールアミノ、上記へテロアリールアミノ、上記シクロアルキルアミノ、上記カルボキシアルキルアミノ、上記アリールアルキルオキシ(arlylalkyloxy)または上記へテロシクリルアミノは、置換されなくても、必要に応じて、同じであっても異なってもよく、そしてXおよびXから独立して選択される、1つもしくは2つの置換基によって独立して置換されてもよく;
はアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アリールへテロアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルアミノ、アルキルへテロアリール、またはヘテロアリールアルキルであり、そしてXは置換されなくても、必要に応じて、同じであっても異なってもよく、そして独立して選択される、1つ以上のX部分によって独立して置換されてもよく;
はヒドロキシ、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、カルボキシ、カルボアルコキシ、カルボキサミド、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルウレイド、アリールウレイド、ハロゲン、シアノ、ケト、エステルまたはニトロであり、ここで上記アルキル、上記アルコキシ、および上記アリールのそれぞれは、置換されなくても、必要に応じて、同じであっても異なってもよく、そして、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アリールヘテロアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルアミノ、アルキルへテロアリールおよびヘテロアリールアルキルより独立して選択される、1つ以上の部分によって独立して置換されてもよく;
Wは存在しても存在しなくてもよく、そしてWが存在する場合には、WはC(=O)、C(=S)、C(=NH)、C(=N−OH)、C(=N−CN)、S(O)またはS(O)であり;
Qは存在してもよく、または存在しなくてもよく、そしてQが存在する場合には、QはN(R)、P(R)、CR=CR’、(CH、(CHR)、(CRR’)、(CHR−CHR’)、O、S、S(O)またはS(O)であり;Qが存在しない場合には、Mは(i)直接Aに連結されるか、または(ii)MはL上の独立した置換基であり、そしてAはE上の独立した置換基であるかのどちらかであり、ここで上記の独立した置換基は−OR、−CH(R)(R’)、S(O)0〜2Rまたは−NRR’から選択され;QおよびMの双方が存在しない場合、Aは直接Lに連結されるか、またはAは、−OR、−CH(R)(R’)、−S(O)0〜2Rもしくは−NRR’から選択される、E上の独立した置換基であるかのどちらかであり;
Aは存在するか、または存在せず、そして存在する場合、AはO、O(R)CH、(CHR)、(CHR−CHR’)、(CRR’)、N(R)、NRR’、S、またはS(O)であり、そしてQが存在しない場合、Aは−OR、−CH(R)(R’)または−NRR’であり;そしてAが存在しない場合、QおよびEは結合によって結合されるか、またはQはM上の独立した置換基であるかのいずれかであり;
Eは存在するか、または存在せず、そして存在する場合、EはCH、N、C(R)であり;
Gは存在しても存在しなくてもよく、そしてGが存在する場合、Gは(CH、(CHR)、または(CRR’)であり;Gが存在しない場合、Jは存在し、そしてEは位置1と標識された炭素原子に直接結合され;
Jは存在しても存在しなくてもよく、そしてJが存在する場合、Jは(CH、(CHR−CHR’)、(CHR)、(CRR’)、S(O)、N(H)、N(R)またはOであり;Jが存在せず、そしてGは存在する場合、Lは位置2と標識された窒素原子に直接連結され;
Lは存在しても存在しなくてもよく、そしてLが存在する場合、LはCH、N、またはCRであり;Lが存在しない場合、Mは存在するか、または存在せず;Mが存在してLが存在しない場合、Mは直接かつ独立してEに連結され、そしてJは直接かつ独立してEに連結され;
Mは存在しても存在しなくてもよく、そしてMが存在する場合、MはO、N(R)、S、S(O)、(CH、(CHR)、(CHR−CHR’)、または(CRR’)であり;
pは0〜6の数であり;
R、R’およびRは同じであっても異なってもよく、それぞれは、以下:H、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクリル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アミド、アリールチオアミノ、アリールカルボニルアミノ、アリールアミノカルボキシ、アルキルアミノカルボキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、アルケニル、アルキニル、アリール−アルキル、ヘテロアリールアルキル、エステル、カルボン酸、カルバメート、尿素、ケトン、アルデヒド、シアノ、ニトロ、ハロゲン、(シクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキル−アリール、アルキルへテロアリール、アルキル−ヘテロアリールおよび(ヘテロシクリル)アルキルからなる群より独立して選択され;
(CRR’)中のRおよびR’は、上記組み合わせがシクロアルキル部分またはヘテロシクリル部分を形成するように、互いに連結され得;そして
はN(R)またはOである。
【0030】
本発明の更なる特徴は、少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤と共に、少なくとも1つの式Iの化合物を、活性な成分として含む薬学的組成物である。
【0031】
本発明はまた、式Iの化合物を調製する方法、および疾患(例えば、HCV、AIDS(後天性免疫不全症候群)、および関連した障害)を処置する方法も提供する。この処置する方法は、上記の疾患に罹患した患者に、少なくとも1つの式Iの化合物の治療有効量、または少なくとも1つの式Iの化合物を含む薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0032】
HCV、AIDS、および関連した障害を処置するための医薬の製造のための、式Iの化合物の使用もまた開示される。
【0033】
C型肝炎ウイルスに関連した障害の処置の方法もまた開示され、この方法は、1つ以上の上記の発明の化合物の有効量を投与する工程を包含する。
【0034】
C型肝炎ウイルス(HCV)プロテアーゼの活性を調節する方法もまた開示され、この方法は、HCVプロテアーゼを1つ以上の発明の化合物に接触させる工程を包含する。
【0035】
C型肝炎の1つ以上の症状を処置する、予防する、または寛解する方法もまた開示され、この方法は、1つ以上の上記の発明の化合物の有効量を投与する工程を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
(発明の詳細な説明)
上記にて用いたように、そして本明細書を通して、以下の用語は、別に示さない限り、以下に記述した意味を有するように理解されるべきである。
【0037】
「アシル」はH−C(O)−基、アルキル−C(O)−基、アルケニル−C(O)−基、アルキニル−C(O)−基、シクロアルキル−C(O)−基、シクロアルケニル−C(O)−基、またはシクロアルキニル−C(O)−基を意味し、ここで種々の基は前に記述した通りである。親部分への結合は、カルボニルを介する。好ましいアシルは低級アルキルを含む。適したアシル基の非限定的な例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、2−メチルプロパノイル、ブタノイルおよびシクロヘキサノイルが挙げられる。
【0038】
「脂環式」は、3〜15個の炭素原子を含む環状構造を含み、および/または、直鎖状のまたは分枝した脂肪族炭素原子を含む、脂肪族構造を意味する。この脂環式基は、必要に応じて、同じでも異なってもよく、そして本明細書中に定義されるような、1つ以上の「環系置換基」によって置換され得る。
【0039】
「脂肪族」は、パラフィン炭素原子、オレフィン炭素原子またはアセチレン炭素原子の、直鎖または分枝鎖を意味し、そして含む。この脂肪族基は、必要に応じて、同じでも異なってもよい1つ以上の置換基によって置換され得、それぞれの置換基は独立して、H、ハロ、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルキルアミノ、アルケニル、複素環、アルキニル、シクロアルキルアミノカルボニル、水酸基、チオ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシル、−C(O)O−アルキル、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、アラルケニル、ヘテロアラルキル、アルキルへテロアリール、ヘテロアラルケニル、ヘテロアルキル、カルボニル、ヒドロキシアルキル、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ニトロ、アミノ、アミド、エステル、カルボン酸アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル(heterocyclenyl)、カルバメート、尿素、ケトン、アルデヒド、シアノ、スルホンアミド、スルホキシド、スルホン、スルホニル尿素、スルホニル、ヒドラジド、ヒドロキサメート、S(アルキル)YN−アルキル−、YNC(O)−および、YNSO−からなる群より選択され、ここで、YおよびYは同じであっても異なってもよく、そして独立して、水素、アルキル、アリール、およびアラルキルからなる群より選択される。
【0040】
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含み、そして直線状であっても分枝していてもよく、そして約2個〜約15個の炭素原子を鎖中に含む、脂肪族の炭化水素基を意味する。好ましいアルケニル基は、鎖中に約2個〜約12個の炭素原子を有し;より好ましくは鎖中に約2個〜約6個の炭素原子を有する。分枝した、とは直線状のアルケニル鎖に、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が結び付いていることを意味する。「低級アルケニル」は、直線状であっても分枝していてもよい鎖中の、約2個〜約6個の炭素原子を意味する。用語「アルケニル」は置換されたアルケニルを含み、この置換されたアルケニルとは、アルケニル基が1つ以上の置換基によって置換され得ることを意味し、この置換基は同じであっても異なってもよく、それぞれの置換基は独立して、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、アルコキシおよび−S(アルキル)からなる群より選択される。適したアルケニル基の非限定的な例としては、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、3−メチルブト−2−エニル、n−ペンテニル、オクテニルおよびデセニルが挙げられる。
【0041】
「アルキル」は、直線状でも分枝していてもよく、そして鎖中に約1個〜約20個の炭素原子を含む、脂肪族の炭化水素基を意味する。好ましいアルキル基は、鎖中に約1個〜約12個の炭素原子を含む。より好ましいアルキル基は、鎖中に約1個〜約6個の炭素原子を含む。分枝した、とは直線状のアルキル鎖に、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が結びついていることを意味する。「低級アルキル」は、直線状であっても分枝していてもよい鎖中に、約1個〜約6個の炭素原子を有する基を意味する。用語「アルキル」は置換されたアルキルを含み、この置換されたアルキルとは、このアルキル基が、1つ以上の同じであっても異なってもよい置換基によって置換され得ることを意味し、それぞれの置換基は独立して、H、ハロ、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルキルアミノ、アルケニル、複素環、アルキニル、シクロアルキルアミノカルボニル、水酸基、チオ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシル、−C(O)O−アルキル、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、アラルケニル、ヘテロアラルキル、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ニトロ、アミノ、アミド、エステル、カルボン酸アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、カルバメート、尿素、ケトン、アルデヒド、シアノ、スルホンアミド、スルホキシド、スルホン、スルホニル尿素、スルホニル、ヒドラジド、ヒドロキサメート、S(アルキル)YN−アルキル−、YNC(O)−およびYNSO−からなる群より選択され、ここで、YおよびYは同じであっても異なってもよく、そして独立して、水素、アルキル、アリールおよびアラルキルからなる群より選択される。適したアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ヘプチル、ノニル、デシル、フルオロメチル、トリフルオロメチルおよびシクロプロピルメチルが挙げられる。
【0042】
「アルキルアミノ」は窒素上の1つ以上の水素原子が、上記に定義したようなアルキル基によって置換された、−NH基または−NH基を意味する。
【0043】
「アルキルアミノカルボニル」はカルボニル基に結びついた窒素原子に結びついたアルキル基を意味し、このカルボニル基を介して上記の置換基が親の部分に結合し(boned)、全体が置換されたアミドと呼ばれる。
【0044】
「アルキルアリール」はアルキル−アリール−基を意味し、その中で、上記のアルキルおよび上記のアリールは前に記述した通りである。好ましいアルキルアリールは、低級アルキル基を含む。適したアルキルアリール基の非限定的な例としては、o−トリル、p−トリルおよびキシリルが挙げられる。親部分への結合は、上記のアリールを介する。
【0045】
「アルキルへテロアリール」は、ヘテロアリール基を解して親部分に結びついたアルキル基を意味する。
【0046】
「アルキルスルホニル」はアルキル−S(O)−基を意味する。好ましい基は、上記のアルキル基が低級アルキルである基である。親部分への結合は、上記のスルホニルを介する。
【0047】
「アルキルスルフィニル」はアルキル−S(O)−基を意味する。好ましい基は、上記のアルキル基が低級アルキルである基である。親部分への結合は、上記のスルフィニルを介する。
【0048】
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含み、そして直線状であっても分枝していてもよく、そして鎖中に約2個〜約15個の炭素原子を含む、脂肪族の炭化水素基を意味する。好ましいアルキニル基は、鎖中に約2個〜約12個の炭素原子を有し;より好ましくは、鎖中に約2個〜約4個の炭素原子を有する。分枝した、とは1つ以上のアルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が、直鎖状のアルキニル鎖に結びついていることを意味する。「低級アルキニル」は、直線状であっても分枝していてもよい鎖中に、約2個〜約6個の炭素原子があることを意味する。適したアルキニル基の非限定的な例としては、エチニル、プロピニル、2−ブチニル、3−メチルブチニル、n−ペンチニル、およびデシニルが挙げられる。用語「アルキニル」は置換されたアルキニルを含み、この置換されたアルキニルとは、上記のアルキニル基が1つ以上の置換基によって置換され得ることを意味し、この置換基は同じであっても異なっていてもよく、それぞれの置換基は独立して、アルキル、アリールおよびシクロアリールからなる群より選択される。
【0049】
「アルキルチオ」はアルキル−S−基を意味し、ここで上記のアルキル基は前に記述した通りである。適したアルキルチオ基の非限定的な例としては、メチルチオ、エチルチオ、i−プロピルチオおよびヘプチルチオが挙げられる。親部分への結合は、硫黄を介する。
【0050】
「アルコキシ」または「アルキルオキシ」はアルキル−O−基を意味し、ここで上記のアルキル基は前に記述した通りである。適したアルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシおよびヘプトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介する。
【0051】
「アルコキシカルボニル」はアルキル−O−CO−基を意味する。適したアルコキシカルボニル基の非限定的な例としては、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが挙げられる。親部分への結合は、カルボニルを介する。
【0052】
「アミド」はカルボニル基に結びつけられたアミノ基を表す。
【0053】
「アラルキル」または「アリールアルキル」はアリール−アルキル−基を意味し、ここで上記のアリールおよび上記のアルキルは、前に記述した通りである。好ましいアラルキルは低級アルキル基を含む。適したアラルキル基の非限定的な例としては、ベンジル、2−フェネチルおよびナフタレニルメチルが挙げられる。親部分への結合は、アルキルを介する。
【0054】
「アラルコキシカルボニル」はアラルキル−O−C(O)−基を意味する。適したアラルコキシカルボニル基の非限定的な例としては、ベンジルオキシカルボニルが挙げられる。親部分への結合は、カルボニルを介する。
【0055】
「アラルキルチオ」はアラルキル−S−基を意味し、ここで上記のアラルキル基は前に記述した通りである。適したアラルキルチオ基の非限定的な例としては、ベンジルチオが挙げられる。親部分への結合は、硫黄を介する。
【0056】
「アロイル」はアリール−C(O)−基を意味し、ここで上記のアリール基は前に記述した通りである。親部分への結合は、カルボニルを介する。適した基の非限定的な例としては、ベンゾイルならびに、1−ナフトイルおよび2−ナフトイルが挙げられる。
【0057】
「アリール」(時折、「ar」と省略される)は、約6個〜約14個の炭素原子、好ましくは約6個〜約10個の炭素原子を含む、芳香族の単環式の、または多環式(multicyclic)の環系を意味する。このアリール基は必要に応じて1つ以上の「環系置換基」によって置換され得、この「環系置換基」は同じであっても異なってもよく、そして本明細書中に定義される通りである。適したアリール基の非限定的な例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0058】
「アラルケニル」はアリール−アルケニル−基を意味し、ここで上記のアリールおよび上記のアルケニルは前に記述した通りである。好ましいアラルケニルは低級アルケニル基を含む。適したアラルケニル基の非限定的な例としては、2−フェネテニル(2−phenethenyl)および2−ナフチルエテニルが挙げられる。親部分への結合は、アルケニルを介する。
【0059】
「アリールアミノ」は、窒素上の1つ以上の水素原子が、上記に定義したようなアリール基によって置換された、−NH基および−NH基を意味する。
【0060】
「アリールカルボニル」は、カルボニル上の1つ以上の水素原子が、上に定義したようなアリール基によって置換されるカルボニル基を意味し、ここで親部分への結合はカルボニルを介する。
【0061】
「アリールオキシ」はアリール−O−基を意味し、ここで上記のアリール基は前に記述した通りである。適したアリールオキシ基の非限定的な例としては、フェノキシおよびナフトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介する。
【0062】
「アリールオキシカルボニル」はアリール−O−C(O)−基を意味する。適したアリールオキシカルボニル基の非限定的な例としては、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルが挙げられる。親部分への結合はカルボニルを介する。
【0063】
「アリールスルホニル」はアリール−S(O)−基を意味する。親部分への結合は、スルホニルを介する。
【0064】
「アリールスルフィニル」はアリール−S(O)−基を意味する。親部分への結合はスルフィニルを介する。
【0065】
「アリールチオ」はアリール−S−基を意味し、ここで、上記のアリール基は前に記述した通りである。適したアリールチオ基の非限定的な例としては、フェニルチオおよびナフチルチオが挙げられる。親部分への結合は、硫黄を介する。
【0066】
カルバメート置換基および尿素置換基は、アミドに隣接した、それぞれ酸素および窒素を有する基を指し;代表的なカルバメート置換基および尿素置換基としては、以下:
【0067】
【化135】

が挙げられる。
【0068】
「シクロアルキル」は、約3個〜約10個の炭素原子、好ましくは約5個〜約10個の炭素原子を含む、非芳香族の単環式または多環式の環系を意味する。好ましいシクロアルキル環は、約5個〜約7個の環原子を含む。上記シクロアルキルは、必要に応じて1つ以上の「環系置換基」によって置換され得、この「環系置換基」は同じであっても異なってもよく、そして上記に定義した通りである。適した単環式のシクロアルキルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適した多環式のシクロアルキルの非限定的な例としては、1−デカリン、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。
【0069】
「シクロアルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む、約3個〜約10個の炭素原子、好ましくは約5個〜約10個の炭素原子を含む、非芳香族の単環式または多環式の環系を意味する。好ましいシクロアルケニル環は、約5個〜約7個の環原子を含む。上記のシクロアルケニルは、必要に応じて1つ以上の「環系置換基」によって置換され得、この「環系置換基」は同じであっても異なってもよく、そして上記に定義した通りである。適した単環式のシクロアルケニルの非限定的な例としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルなどが挙げられる。適した多環式のシクロアルケニルの非限定的な例としては、ノルボルニレニルが挙げられる。
【0070】
「シクロアルキルアミノカルボニル」は、カルボニル基に結びついた窒素原子に結びついた環式アルキル基を意味し、この全体は置換されたアミドと呼ばれる。
【0071】
「シクロアルコキシカルボニル」は酸素原子に結合した環式環(例えば、−シクロヘキシルオキシ)を意味し、ここで、この酸素原子は親部分にカルボニル基を介して結びつき、この全体はエステル結合と呼ばれる。
【0072】
「有効量」または「治療有効量」は、C型肝炎ウイルス(「HCV」)プロテアーゼを阻害し、従って適切な患者に所望の治療効果をもたらすのに有効な、本発明の化合物または組成物の量を記述するように意図される。
【0073】
「エステル」は、カルボニル基に結びつけられたアルコキシ基を意味する。
【0074】
「エーテル」は、両端において、炭素原子に結びつけられた酸素原子を意味する。
【0075】
「ハロ」は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、またはヨード基を意味する。好ましくは、フルオロ、クロロまたはブロモであり、より好ましくはフルオロおよびクロロである。
【0076】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。好ましくは、フッ素、塩素および臭素である。
【0077】
「ハロアルキル」は、アルキル上の1つ以上の水素原子が、上記に定義したハロ基によって置換された、上記に定義したようなアルキルを意味する。
【0078】
「ヘテロ脂肪族」または「ヘテロ脂環式」は、少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、酸素、窒素または硫黄)を含む、他の脂肪族基または脂環式基を意味する。用語ヘテロ脂肪族および用語ヘテロ脂環式は、置換されたヘテロ脂肪族およびヘテロ脂環式を含む。
【0079】
「ヘテロアリールアルキル」は、アルキル部分を介して親部分と結合したヘテロアリール置換基を意味する。
【0080】
「ヘテロアルケニル」は、ヘテロ原子と結合したアルケニル置換基を意味する。
【0081】
「複素環」は、以下に定義するヘテロアリール基とは別に、1つの環または2つの縮合環からなる炭素環式の環構造を中断する、少なくとも1つのO原子、S原子および/またはN原子を有する、飽和した環式有機基および不飽和の環式有機基を意味し、ここで、それぞれの環は五員、六員または七員であり、そして非局在化π電子を欠く二重結合を有しても有しなくてもよく、ここで、環構造は2個〜8個の、好ましくは3個〜6個の炭素原子を有する(例えば、2−ピペリジニルまたは3−ピペリジニル、2−ピペラジニルまたは3−ピペラジニル、2−モルホリニルまたは3−モルホリニル、あるいは、2−チオモルホリニルまたは3−チオモルホリニル)。
【0082】
「ヘテロアリール」は、約5個〜約14個の環原子、好ましくは約5個〜約10個の還原子を含む、芳香族の単環式環系または多環式環系を意味し、ここで、上記環原子の1つ以上が炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素または硫黄)の単独または組み合わせである。好ましいヘテロアリールは、約5個〜約6個の環原子を含む。「ヘテロアリール」は必要に応じて、1つ以上の「環系置換基」によって置換され得、この「環系置換基」は同じであっても異なってもよく、そして本明細書中で定義される通りである。上記のヘテロアリールの根名の前の、接頭語アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも窒素原子、酸素原子または硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素原子は、必要に応じて、対応するN−酸化物に酸化され得る。適したヘテロアリールの非限定的な例としては、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。
【0083】
「ヘテロアラルキル」はヘテロアリール−アルキル−基を意味し、ここで、上記ヘテロアリールおよび上記アルキルは前に記述した通りである。好ましいヘテロアラルキルは低級アルキル基を含む。適したアラルキル基の非限定的な例としては、ピリジルメチル、2−(フラン−3−イル)エチルおよびキノリン−3−イルメチルが挙げられる。親部分への結合はアルキルを介する。
【0084】
「ヘテロアラルケニル」はヘテロアリール−アルケニル−基を意味し、ここで上記のヘテロアリールおよび上記のアルケニルは前に記述した通りである。好ましいヘテロアラルケニルは低級アルケニル基を含む。適したヘテロアラルケニル基の非限定的な例としては、2−(ピリジン−3−イル)エテニルおよび2−(キノリン−3−イル)エテニルが挙げられる。親部分への結合はアルケニルを介する。
【0085】
「ヘテロシクレニル」は、約3個〜約10個の環原子、好ましくは約5個〜約10個の環原子を含む、非芳香族の、単環式の環系または多環式の環系を意味し、ここで上記環系の中の1つ以上の原子が炭素以外の元素(例えば、窒素原子、酸素原子または硫黄原子)の単独または組み合わせであり、そして、少なくとも上記環系は、1つの炭素−炭素二重結合または炭素−窒素二重結合を含む。上記の環系中には、隣接した酸素原子および/または硫黄原子は存在しない。好ましいヘテロシクレニル環は、約5個〜約6個の環原子を含む。上記のヘテロシクレニルの根幹の名前の前の、接頭語アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも窒素原子、酸素原子または硫黄原子が環原子として存在することを意味する。上記のへテロシクレニルは必要に応じて、1つ以上の環系置換基によって置換され得、ここで「環系置換基」は上記に定義した通りである。上記のへテロシクレニルの窒素原子または硫黄原子は必要に応じて、対応するN−酸化物、S−酸化物またはS,S−二酸化物に酸化され得る。適した単環式のアザへテロシクレニル基の非限定的な例としては、1,2,3,4−テトラヒドロピリジン、1,2−ジヒドロピリジル、1,4−ジヒドロピリジル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、2−ピロリニル、3−ピロリニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニルなどが挙げられる。適したオキサへテロシクレニル基の非限定的な例としては、3,4−ジヒドロー2H−ピラン、ジヒドロフラニル、フルオロジヒドロフラニルなどが挙げられる。適した多環式のオキサへテロシクレニル基の非限定的な例としては、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプテニルが挙げられる。適した単環式のチアへテロシクレニル環の非限定的な例としては、ジヒドロチオフェニル、ジヒドロチオピラニルなどが挙げられる。
【0086】
「ヘテロシクリル」(またはヘテロシクロアルキル)は、約3個〜約10個の環原子、好ましくは約5個〜約10個の環原子を含む、非芳香族の飽和した単環式環系または多環式環系を意味し、ここで上記の環系中の1つ以上の原子が炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素、リン、または硫黄)の単独または組み合わせである。上記の環系中には、隣接した酸素原子および/または硫黄原子は存在しない。好ましいヘテロシクリルは、約5個〜約6個の環原子を含む。上記のヘテロシクリルの根名の前の、接頭語アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、少なくとも窒素原子、酸素原子または硫黄原子が環原子として存在することを意味する。上記のヘテロシクリルは必要に応じて、1つ以上の「環系置換基」によって置換され得、この「環系置換基」は同じであっても異なってもよく、そして本明細書中に定義された通りである。上記のヘテロシクリルの窒素原子または硫黄原子は必要に応じて、対応するN−酸化物、S−酸化物またはS,S−二酸化物に酸化され得る。適した単環式のヘテロシクリル環の非限定的な例としては、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,3−ジオキソラニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニルなどが挙げられる。
【0087】
「ヒドロキシアルキル」はHO−アルキル−基を意味し、ここでアルキルは前に定義した通りである。好ましいヒドロキシアルキルは低級アルキルを含む。適したヒドロキシアルキルの非限定的な例としては、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0088】
哺乳動物は、ヒトおよび他の動物を意味する。
【0089】
患者は、ヒトおよびその他の哺乳動物の双方を含む。
【0090】
本発明の化合物のプロドラッグ、エステルおよび溶媒和物もまた、本明細書中に企図される。用語「プロドラッグ」は、本明細書中に使用されるように、式Iの化合物、またはその塩および/もしくは溶媒和物を産生するための、代謝性プロセスまたは化学的プロセスによる化学変換を、被験体への投与の際に受ける、薬物前駆物質である化合物を意味する。プロドラッグの議論は、T.HiguchiおよびV.Stella、Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987)A.C.S.Symposium Seriesの第14巻、およびBioreversible Carriers in Drug Design、(1987)Edward B.Roche編、American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressにおいて提供され、双方はそれに対する参考として本明細書に援用される。
【0091】
「溶媒和物」は、本発明の化合物と、1つ以上の溶媒分子との物理的な会合を意味する。この物理的な会合は、度合いの変化する、イオン結合および共有結合(水素結合を含む)を必要とする。特定の例において、この溶媒和物は単離し得る(例えば、1つ以上の溶媒分子が、結晶性固体の結晶格子中に取り込まれている場合)。「溶媒和物」は、液相の、および単離できる溶媒和物の双方を包含する。適した溶媒和物の非限定的な例としては、エタノレート(ethanolate)、メタノレート(methanolate)などが挙げられる。「水和物」は溶媒和物であり、ここで上記の溶媒はHOである。
【0092】
用語「置換された」または「必要に応じて置換された」は、特定の基、あるいは、同じでも異なってもよく、例えば、それぞれが独立して選択される1つ以上の基、部分またはラジカルによる置換または必要に応じた置換を意味する。
【0093】
「環系置換基」は、例えば、その環系上の利用可能な水素を置換する、芳香族環系または非芳香族環系に結びついた置換基を意味する。環系置換基は同じであっても異なってもよく、それぞれは独立して、H、ハロ、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルキルアミノ、アルケニル、複素環、アルキニル、シクロアルキルアミノカルボニル、ヒドロキシル、チオ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシル、−C(O)O−アルキル、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、アラルケニル、ヘテロアラルキル、アルキルへテロアリール、ヘテロアラルケニル、ヘテロアルキル、カルボニル、ヒドロキシアルキル、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ニトロ、アミノ、アミド、エステル、カルボン酸アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、カルバメート、尿素、ケトン、アルデヒド、シアノ、スルホンアミド、スルホキシド、スルホン、スルホニル尿素、スルホニル、ヒドラジド、ヒドロキサメート、YN−アルキル−、YNC(O)−およびYNSO−からなる群より選択され、ここで、YおよびYは同じであっても異なってもよく、そして水素、アルキル、アリール、およびアラルキルからなる群より独立して選択される。「環系置換基」はまた、1〜2個がヘテロ原子であり得る3〜7個の環原子の環式環も意味し、これは、アリール環、ヘテロアリール環、ヘテロシクリル環またはヘテロシクレニル環に、上記のアリール環、上記のヘテロアリール環、上記のヘテロシクリル環または上記のヘテロシクレニル環上の2つの環水素原子を同時に置換することによって結び付けられる。非限定的な例としては、以下:
【0094】
【化136】

などが挙げられる。
【0095】
結合としての波状の線
【0096】
【化136A】

は一般に、あり得る異性体(例えば、(R)−立体化学および(S)−立体化学を含む)の混合またはどちらかを示す。例えば、
【0097】
【化137A】

は、
【0098】
【化137B】

および
【0099】
【化137C】

の双方を含むことを意味する。環系の中へ引き込まれた線(例えば、
【0100】
【化138】

)は、示された線(結合)が、任意の置換可能な環炭素原子に結びつき得ることを示す。
【0101】
当該分野にて周知であるように、結合の末端にいかなる部分も描かれていない、特定の原子から引かれた結合は、特に述べない限り、その結合を介して上記の原子に結合するメチル基を示す。例えば、
【0102】
【化139A】


【0103】
【化139B】

を表す。
【0104】
さらにここで、上に列挙した置換基は、組み合わせて互いに連結して、1つの置換基を形成し得る。例えば、アリールシクロアルキル(arylcycloakyl)基は、シクロアルキル基を解して親部分に結びついたアリール基を含む置換基である。別の例はアルキルチオアミノ基で、これはアミノ基が結びついたチオ基が結びついたアルキル基であって、ここで、上記のアルキルチオアミノ置換基は、上記のアミノ基を介して親部分に結合する。また、上の定義は、用語が単独で用いられるか、または他の用語と組み合わせて用いられるかにかかわらず、適用される。それ故、「アルキル」の定義は、「アルキル」、および「アルコキシ」、「アルキルアミノ」などの「アルキル」部分に適用される。
【0105】
特に定義されない限り、化合物中の部分(例えば、置換基、基または環)の数に関して、句「1つ以上」および「少なくとも1つ」は、化学的に許容される限り多くの部分が存在し得ることを意味し、このような部分の最大数の決定は、十分に当業者の知識の範囲内である。
【0106】
本明細書中に用いられるように、用語「組成物」は、特定の量の特定の成分、および、特定の量の特定の成分の組み合わせから、直接的にまたは間接的に生じる任意の生成物を含む生成物を含むことが意図される。
【0107】
本明細書および/または特許請求の範囲中の、満たされない原子価を有する、任意の式、化合物、部分または化学的な図示は、原子価を満たすために水素原子を有するものと見なされることにも、注意すべきである。
【0108】
任意の成分または式1中において1回以上、任意の変動項(例えば、アリール、複素環、Rなど)が存在する場合、それぞれの存在の定義は、それぞれの他の存在におけるその定義と独立している。また、置換基および/または変動項の組み合わせは、このような組み合わせが安定な化合物を生じる場合においてのみ、許容できる。
【0109】
式Iの化合物は、本発明の範囲内でもある塩を形成し得る。本明細書中の式Iの化合物への言及は、他に示さない限り、その塩への言及を含むものと理解される。用語「塩」は、本明細書中で用いられるように、無機酸および/または有機酸から形成される酸性塩、ならびに、無機塩基および/または有機塩基から形成される塩基性塩を示す。さらに、式Iの化合物が塩基性部分(例えばピリジンまたはイミダゾール、ただしこれらに限らない)および酸性部分(例えばカルボン酸、ただしこれに限らない)の双方を含む場合、双性イオン(「内部塩(inner salt)」)が形成され得、そして、本明細書中で用いられる用語「塩」に含まれる。薬学的に受容可能な(すなわち、非毒性、かつ生理学的に許容できる)塩が好ましいが、他の塩もまた有用である。式Iの化合物の塩は、例えば、式Iの化合物を、ある量(例えば等量)の酸または塩基と、ある媒介物(例えば、上記の塩が沈殿する媒介物)の中で、または水性の媒介物の中で反応させる工程、続いて凍結乾燥によって形成され得る。塩基性の(または酸性の)薬学的化合物から薬学的に有用な塩を形成するために適切と一般に考えられる酸(および塩基)は、例えば、S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1−19;P.Gould、International J.of Pharmaceutics(1986)33201−217;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry(1996)、Academic Press、New York;The Orange Book(Food & Drug Administration、Washington,D.C.彼らのウェブサイト上にて);およびP.Heinrich Stahl、Camille G.Wermuth(編)、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use、(2002)Int’l.Union of Pure and Applied Chemistry、330〜331頁によって議論される。これらの開示は、それに対する参考として本明細書に援用される。
【0110】
例示的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩(camphorate)、カンホルスルホネート(camphorsulfonate)、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタノエート、グリセロリン酸塩、ヘミスルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル硫酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモエート(pamoate)、ペクチネート、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩(例えば、本明細書中で述べた塩)、酒石酸塩(tartarate)、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシレートとしても公知)、ウンデカン酸塩などが挙げられる。
【0111】
例示的な塩基性塩としては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩、およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、アルミニウム塩、亜鉛塩、有機塩基(例えば、有機アミン)との塩(例えばベンザチン(benzathine))、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ヒドラバミン(hydrabamin)(N,N−ビス(デヒドロアビエチル)エチレンジアミンから形成)、N−メチル−D−グルカミン、N−メチル−D−グルカミド、t−ブチルアミン、ピペラジン、フェニルシクロヘキシルアミン、コリン、トロメタミン)、およびアミノ酸(例えばアルギニン、リジンなど)との塩が挙げられる。塩基性の窒素含有基は、因子(例えば、低級アルキルハロゲン化物(例えば、メチル、エチル、プロピル、およびブチルの塩化物、臭化物およびヨウ化物)、ジアルキル硫酸塩(例えば、ジメチル硫酸塩、ジエチル硫酸塩、ジブチル硫酸塩、およびジアミル硫酸塩)、長鎖ハロゲン化物(例えば、デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルの塩化物、臭化物およびヨウ化物)、アラルキルハロゲン化物(例えば、ベンジル臭化物、およびフェネチル臭化物)など)によって4級化され得る。
【0112】
このような酸性塩および塩基性塩は全て、本発明の範囲内の薬学的に受容可能な塩であると意図し、そして、酸性塩および塩基性塩は全て、本発明の目的のために対応する化合物の自由な形態と等価であるとみなされる。
【0113】
式Iの化合物、およびその塩、溶媒和物およびプロドラッグは、その互変異性形態(例えば、アミドエステルまたはイミノエステルとして)で存在し得る。このような互変異性形態は全て、本発明の部分として本明細書中において企図される。
【0114】
鏡像異性形態(非対称の炭素が無くとも存在し得る)、回転異性形態、アトロプ異性体、およびジアステレオ異性形態を含む、本化合物(この化合物の塩、溶媒和物およびプロドラッグ、ならびにそのプロドラッグの塩および溶媒和物を含む)の、様々な置換基上の非対称の炭素原子に起因して存在し得るような、全ての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)が、本発明の範囲内で企図される。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば他の異性体を実質的に含まなくても、例えばラセミ化合物として、あるいは、他の全ての立体異性体または他の選択された立体異性体と混合されてもよい。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974勧告にて定義されるようなS立体配置またはR立体配置を有し得る。用語「塩」、「溶媒和物」「プロドラッグ」などの使用は、本発明の化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ体またはプロドラッグの塩、溶媒和物、およびプロドラッグに同様に適用されることが意図される。
【0115】
式1の化合物の多形相、ならびに、式1の化合物の塩、エステル、溶媒和物およびプロドラッグは、本発明に含まれるものとして意図される。
【0116】
1つの実施形態において、本発明は、HCVプロテアーゼ、特にHCV NS3/NS4aセリンプロテアーゼのインヒビター、またはその薬学的に受容可能な誘導体として、式1の化合物を開示し、ここで、様々な定義は上に与えられる。
【0117】
別の実施形態において、本発明は、WがC=Oであり、そして構造式1の部分が式2によって表される式1の化合物を開示し:
【0118】
【化140A】


【0119】
【化140B】

であり、ここで、矢印←および→は、式1に示された点と式2を連結する点を指す。同様に、一般に、本願の他の所のこのような式における矢印←および→もまた、関係する式と、その親の式の構造に示された点とを連結する、それぞれの点を指す。
【0120】
本発明の1つの実施形態において、構造式2によって表される部分は、以下の構造:
【0121】
【化141】

からなる群より選択される。
【0122】
本発明の別の実施形態において、構造式2によって表される部分は、以下の構造:
【0123】
【化142】

からなる群より選択される。
【0124】
本発明の別の実施形態において、WはC=Oであり、そして構造式2によって表される部分:
【0125】
【化143】


【0126】
【化144】

である。
【0127】
本発明の別の実施形態において、構造式2によって表される部分は、以下の構造:
【0128】
【化145】

【0129】
【化146】

【0130】
【化147】

【0131】
【化148】

からなる群より選択される。
【0132】
本発明の別の実施形態において、構造式2によって表される部分は、以下の構造:
【0133】
【化149】

【0134】
【化150】

からなる群より選択される。
【0135】
本発明の別の実施形態において、構造式2によって表される部分は、以下の構造:
【0136】
【化151】

からなる群より選択される。
【0137】
本発明の別の実施形態において、構造式2によって表される部分は、以下の構造:
【0138】
【化152】

からなる群より選択される。
【0139】
本発明の別の局面において、WはC=Oであり、そして、構造式2で表される部分:
【0140】
【化153】

は、以下の構造:
【0141】
【化154】

から選択される。
【0142】
本発明の別の局面において、構造式2によって表される部分は、以下の構造:
【0143】
【化155】

【0144】
【化156】

【0145】
【化157】

からなる群より選択される。
【0146】
本発明の別の局面において、構造式2によって表される部分は、以下の構造:
【0147】
【化158】

からなる群より選択される。
【0148】
本発明の別の局面において、WはC=Oであり、そして構造式2によって表される部分:
【0149】
【化159】


【0150】
【化160】

であり;ここで、
20は以下の構造:
【0151】
【化161】

からなる群より選択される。
【0152】
本発明の別の局面において、構造式2によって表される部分:
【0153】
【化162】

は、
【0154】
【化163】

であって、ただし、Rは置換されたキノリンもしくはキノリン誘導体、または置換されていないキノリンもしくはキノリン誘導体ではなく、そしてさらにより好ましくは、Rは、以下:H、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクリル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アミド、アリールチオアミノ、アリールカルボニルアミノ、アリールアミノカルボキシ、アルキルアミノカルボキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、アルケニル、アルキニル、アリール−アルキル、エステル、カルボン酸、カルバメート、尿素、ケトン、アルデヒド、シアノ、ニトロ、ハロゲン、(シクロアルキル)アルキル、アリール、アルキル−アリール、および(ヘテロシクリル)アルキルからなる群より選択され、ここで、上記のシクロアルキル部分は、3〜8個の炭素原子、および0〜6個の酸素原子、窒素原子、硫黄原子、またはリン原子から構成される。
【0155】
本発明の、なお別の局面において、WはC=Oであり、そして構造式2によって表される部分:
【0156】
【化164A】


【0157】
【化164B】

であり;ここで、
21およびR22は同じであっても異なってもよく、そして以下の構造:
【0158】
【化165】

【0159】
【化166】

からなる群より独立して選択される。
【0160】
本発明の別の局面において、構造式2によって表される部分:
【0161】
【化167】


【0162】
【化168】

であり、ただし、すぐ上に示した五員複素環上の置換基S’は1つ以上からなり、そして、1つより多い場合、S’置換基は同じであっても異なってもよく、それぞれは、以下:C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクリル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アミド、アリールチオアミノ、アリールカルボニルアミノ、アリールアミノカルボキシ、アルキルアミノカルボキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、アルケニル、アルキニル、アリール−アルキル、ヘテロアリールアルキル、エステル、カルボン酸、カルバメート、尿素、ケトン、アルデヒド、シアノ、ニトロ、ハロゲン、(シクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキル−アリール、アルキルへテロアリール、アルキル−ヘテロアリールおよび(ヘテロシクリル)アルキルからなる群より独立して選択される。
【0163】
本発明の別の局面において、WはC=Oであり;そして
Capは以下の構造:
【0164】
【化169】

からなる群より選択され、
15、R16、R17およびR18は以下:H、C〜C10アルキル、C〜C10ヘテロアルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10ヘテロアルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10ヘテロアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキルおよびハロアルキルからなる群より独立して選択され;
15はR16と共に、この組み合わせが三員〜八員の環状構造となるように結合し得;そして
17はR18と、この組み合わせが四員〜八員の環状構造となるように結合し得る。
【0165】
本発明の別の局面において、WはC=Oであり;そしてCapは以下の構造:
【0166】
【化170】

【0167】
【化171】

からなる群より選択され、
30は以下の構造:
【0168】
【化172】

【0169】
【化173】

【0170】
【化174】

【0171】
【化175】

【0172】
【化176】

【0173】
【化177】

【0174】
【化178】

からなる群より選択され、
31は以下の構造:
【0175】
【化179】

【0176】
【化180】

【0177】
【化181】

からなる群より選択され;
32は以下の構造:
【0178】
【化182】

からなる群より選択され;
そしてY12は、H、COOH、COOMe、OMe、F、Cl、Br、NH、NHSOCH、NHCOCH、NO、SONH、CF、OH、OCF、CONH、Me、Et、イソプロピル、シクロプロピル、tert−ブチルから選択される。
【0179】
本発明の別の局面において、WはC=Oであり;そしてCapは以下の構造:
【0180】
【化183】

からなる群より選択される。
【0181】
本発明のなお別の局面において、Capは以下の構造:
【0182】
【化184】

からなる群より選択され、
そして
30は以下の構造:
【0183】
【化185】

【0184】
【化186】

【0185】
【化187】

【0186】
【化188】

からなる群より選択され、
そして、Y31は以下の構造:
【0187】
【化189】

【0188】
【化190】

からなる群より選択される。
【0189】
本発明の別の局面において、WはC=Oであり;そしてY30およびY31は以下の構造:
【0190】
【化191】

【0191】
【化192】

【0192】
【化193】

からなる群より独立して選択される。
【0193】
本発明のなおまた別の局面において、Y30は以下の構造:
【0194】
【化194】

からなる群より選択され;
そして、
31は以下の構造:
【0195】
【化195】

からなる群より選択される。
【0196】
本発明のあるクラスの実施形態において、WはC=Oであり;
そしてCapは以下の構造:
【0197】
【化196】

【0198】
【化197】

【0199】
【化198】

【0200】
【化199】

【0201】
【化200】

【0202】
【化201】

【0203】
【化202】

からなる群より選択され;
11は、H、COOH、COOEt、OMe、Ph、OPh、NHMe、NHAc、NHPh、CH(Me)、1−トリアゾリル、1−イミダゾリルまたはNHCHCOOHであり;
12は、H、COOH、COOMe、OMe、F、Cl、Br、NH、NHSOCH、NHCOCH、NO、SONH、CF、Me、OHまたはCONHであり;
13は以下:
【0204】
【化203】

から選択され;
14はMeSO、Ac、Boc、iBoc、Cbz、またはAllocであり;
15およびY16は以下:アルキル、アリール、ヘテロアルキルおよびヘテロアリールからなる群より独立して選択され;
17は、CF、NO、CONH、OH、COOCH、OCH、OC、C、COC、NHまたはCOOHであり;そして
18は、COOCH、NO、N(CH、F、OCH、CHCOOH、COOH、SONH、またはNHCOCHである。
【0205】
本発明の別のクラスの実施形態において、Capは以下の構造:
【0206】
【化204】

【0207】
【化205】

からなる群より選択され;
17はCF、NO、CONH、OH、NHまたはCOOHであり;そして
18はFまたはCOOHである。
【0208】
本発明のなお別のクラスの実施形態において、Capは以下の構造:
【0209】
【化206】

【0210】
【化207】

からなる群より選択される。
【0211】
本発明の1つの局面において、WはC=Oであり;
は以下の構造:
【0212】
【化208】

【0213】
【化209】

からなる群より選択され;
51は、H、COCH、COOtBuまたはCONHtBuであり;
31は、OHまたはO−アルキルであり;
19は以下の構造:
【0214】
【化210】

からなる群より選択され;
そしてY20は以下の構造:
【0215】
【化211】

からなる群より選択される。
【0216】
本発明の別の局面において、Rは以下の構造:
【0217】
【化212】

【0218】
【化213】

からなる群より選択される。
【0219】
本発明の別の局面において、Rは以下の構造:
【0220】
【化214】

からなる群より選択される。
【0221】
本発明の別の局面において、WはC=Oであり;
P’は以下の構造:
【0222】
【化215】

【0223】
【化216】

からなる群より選択され;
11およびR12は、以下:H、メチル、エチル、プロピル、プロパルギル、アリル、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチル、ベンジル、フェニル、2−ピリジル、3−ピリジル、2−チアフェニル、α−メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル、1−メチルシクロプロピル、1−メチルシクロペンチルおよび
【0224】
【化217】

からなる群より独立して選択され;そして、
12は、H、COOH、COOMe、OMe、F、Cl、Br、NH、NHSOCH、CON(CH、NHCOCH、COOtBu、NO、SONH、CF、Me、Et、OH、OCF、CONHから独立して選択される、1つ以上の置換基である。
【0225】
本発明の別の局面において、P’は以下の構造:
【0226】
【化218】

【0227】
【化219】

【0228】
【化220】

からなる群より選択され、
ここで、Y12は、H、F、Cl、Br、Me、Et、OH、OMe、OEt、およびNHから選択される。
【0229】
本発明の別の局面において、P’は以下の構造:
【0230】
【化221】

【0231】
【化222】

からなる群より選択される。
【0232】
本発明の別の局面において、上記化合物が構造式7:
【0233】
【化223】

によって表され、
ここで、XはCH、F、Cl、またはBrであり、そして他の部分は以下に定義する通りである。
【0234】
本発明の別の実施形態において、式7について、Capは以下の構造:
【0235】
【化224】

からなる群より選択され、
ここで、Y30は以下の構造:
【0236】
【化225】

【0237】
【化226】

からなる群より選択される。
【0238】
本発明の別の実施形態において、式7において、Capは以下の構造:
【0239】
【化227】

【0240】
【化228】

からなる群より選択され、
ここで、Y30は以下の構造:
【0241】
【化229】

【0242】
【化230】

【0243】
【化231】

からなる群より選択される。
【0244】
本発明の別の局面において、式7において、P’は以下の構造:
【0245】
【化232】

【0246】
【化233】

からなる群より選択される。
【0247】
本発明の別の実施形態において、式7において、P’は以下の構造:
【0248】
【化234】

【0249】
【化235】

からなる群より選択される。
【0250】
本発明の別の局面において、WはC=Oである。
【0251】
本発明のなお別の局面において、Rは以下の構造:
【0252】
【化236】

からなる群より選択される。
【0253】
本発明の別の実施形態において、式7において、Capは以下の構造:
【0254】
【化237】

【0255】
【化238】

からなる群より選択され、
ここで、Y30は以下の構造:
【0256】
【化239】

【0257】
【化240】

からなる群より選択され、
P’は以下の構造:
【0258】
【化241】

からなる群より選択され、
は、
【0259】
【化242】

であり、
そして、WはC=Oである。
【0260】
本発明の別の実施形態において、Capは以下の構造:
【0261】
【化243】

からなる群より選択され、
ここで、Y30は以下の構造:
【0262】
【化244】

からなる群より選択される。
【0263】
本発明の別の実施形態においては、以下の表1中の以下の構造から選択される化合物(または、薬学的に受容可能な、その塩、溶媒和物またはエステル)であり、それは、マイクロモルで示された、それらのKi値とともに示される。
【0264】
【表1−1】

【0265】
【表1−2】

【0266】
【表1−3】

【0267】
【表1−4】

【0268】
【表1−5】

上に議論したように、C型肝炎ウイルス(HCV)プロテアーゼは、NS3プロテアーゼまたはNS4aプロテアーゼと同様に、本発明の化合物によって調節され得る。そのために、活性成分として、式1によって表された化合物を含み、多くの場合はまた、薬学的に受容可能なキャリアをさらに含む、薬学的組成物が開示される。他の実施形態において、本発明は、式1によって表された化合物、および抗ウイルス薬剤(例えば、リバビリン、またはペグ化したインターフェロン(例えばα−インターフェロン))を含む薬学的組成物に関する。C型肝炎ウイルスに関連した障害の処置の方法もまた開示され、それは、1つ以上の本発明の化合物の有効量を投与する工程を包含する。
【0269】
C型肝炎ウイルス(HCV)プロテアーゼの活性を調節する方法もまた開示され、この方法は、HCVプロテアーゼを、1つ以上の発明の化合物と接触させる工程を包含する。
【0270】
C型肝炎の1つ以上の症状を処置する方法、予防する方法、または寛解させる方法もまた開示され、これらの方法は、1つ以上の本発明の化合物の有効量を投与する工程を包含する。
【0271】
優れたHCVプロテアーゼ阻害活性を示す、本発明のさらなる代表的な化合物を、表2および表3において、以下に列挙する。それぞれの化合物のKi値は、0.1マイクロモル以下のKi値について「A」、0.1マイクロモルを超えて0.5マイクロモル未満のKi値について「B」、そして0.5マイクロモル以上のKi値について「C」と評価する。
【0272】
【表2−1】

【0273】
【表2−2】

【0274】
【表2−3】

【0275】
【表2−4】

【0276】
【表2−5】

【0277】
【表2−6】

【0278】
【表2−7】

【0279】
【表2−8】

【0280】
【表2−9】

【0281】
【表2−10】

【0282】
【表2−11】

【0283】
【表2−12】

【0284】
【表2−13】

【0285】
【表2−14】

【0286】
【表2−15】

【0287】
【表2−16】

【0288】
【表2−17】

【0289】
【表2−18】

【0290】
【表2−19】

【0291】
【表2−20】

【0292】
【表2−21】

【0293】
【表2−22】

【0294】
【表2−23】

【0295】
【表2−24】

【0296】
【表2−25】

【0297】
【表2−26】

【0298】
【表2−27】

【0299】
【表2−28】

【0300】
【表2−29】

【0301】
【表2−30】

【0302】
【表2−31】

【0303】
【表2−32】

【0304】
【表2−33】

【0305】
【表2−34】

【0306】
【表2−35】

【0307】
【表2−36】

【0308】
【表2−37】

【0309】
【表2−38】

【0310】
【表2−39】

【0311】
【表2−40】

【0312】
【表2−41】

【0313】
【表2−42】

【0314】
【表2−43】

式1の化合物の1つの発明のグループは、RがNHまたはOである場合であり、ただし、RがOである場合、PはHではない。
【0315】
別の実施形態において、本発明は、活性成分として本発明の化合物を含む、薬学的組成物を提供する。上記の薬学的組成物は一般に、薬学的に受容可能なキャリア希釈剤、賦形剤またはキャリア(本明細書において、ひとまとめにしてキャリア物質と呼ぶ)をさらに含む。HCV阻害活性があるので、このような薬学的組成物は、C型肝炎および関連した障害の処置における有用性を有する。
【0316】
さらに別の実施形態において、本発明は、活性成分として本発明の化合物を含む薬学的組成物を調製するための方法を開示する。本発明の薬学的組成物および方法において、上記の活性成分は、代表的には、意図した投与の形態(すなわち、経口錠剤、カプセル(固体を充填した、半固体を充填した、または液体を充填したかのいずれか)、粉末構造、経口ゲル、エリキシル、分散性顆粒、シロップ、懸濁液など)について適切に選択した適切なキャリア物質との混合で投与され、そして、従来の薬学的実務と整合性を有する。例えば、錠剤またはカプセルの形での経口投与のために、活性な薬物成分は、任意の、経口性かつ無毒性の薬学的に受容可能な不活性のキャリア(例えば、ラクトース、デンプン、ショ糖、セルロース、ステアリン酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、滑石、マンニトール、エチルアルコール(液体の形)など)と併用され得る。さらに、所望された場合または必要な場合、適切な結合剤、潤滑剤、崩壊剤および着色剤もまた、上記の混合物に取り込まれ得る。粉末および錠剤は、約5%〜約95%の本発明の組成物を含み得る。適切な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、天然の糖、トウモロコシ甘味料、天然ゴムおよび合成ゴム(例えばアラビアゴム)、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールおよびワックスが挙げられる。潤滑剤の中で、これらの投薬形態、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどにおける使用に言及し得る。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、グアールガムなどが挙げられる。甘味剤および香料添加剤ならびに保存剤もまた、適切な場合に含まれ得る。上に記した用語の幾つか(すなわち、崩壊剤、希釈剤、潤滑剤、結合剤など)は、以下でより詳細に議論される。
【0317】
さらに、本発明の組成物は、治療効果(すなわち、HCV阻害活性など)を最適化するために、任意の1つ以上の組成物または活性成分の、速度を制御した放出を提供するために、持続性放出形態に処方され得る。持続的な放出のために適切な投薬形態としては、崩壊速度を変化させる層、または、上記の活性成分に含浸された、放出を制御された重合体マトリックスを含み、そして、このような含浸された、またはカプセル化された多孔性の重合体マトリックスを含む錠剤形態またはカプセルに成形された、層状の錠剤が挙げられる。
【0318】
液状形態調製物としては、溶液、懸濁液および乳濁液が挙げられる。例としては、非経口的注射または添加のための、あるいは、経口溶液、経口懸濁液および経口乳濁液に甘味料および乳白剤を添加するための、水または水−プロピレングリコール溶液が言及され得る。液状形態の調製物はまた、鼻腔内投与のための溶液も含み得る。
【0319】
吸入に適したエアロゾル調製物としては、溶液および粉末形態の固体が挙げられ得、これらは、薬学的に受容可能なキャリア(例えば、不活性の圧縮されたガス(例えば窒素))と組み合わせられ得る。
【0320】
坐薬の調製のために、低融点ワックス(例えば、脂肪酸グリセリドの混合物(例えばココアバター))がまず融解され、そして上記の活性成分を、攪拌または同様の混合によってその中へ均質に分散させる。次いで、溶融した均質な混合物を、都合の良い大きさの型に注ぎ、冷却して、そしてそれによって凝固させる。
【0321】
使用の直前に、経口投与または非経口投与のいずれかのための、液状形態調製物に変換されるように意図された固体形態調製物もまた含まれる。このような液状形態としては、溶液、懸濁液および乳濁液が挙げられる。
【0322】
本発明の化合物はまた、経皮的に送達可能であり得る。経皮組成物は、クリーム、ローション、エアロゾル、および/または乳濁液の形態をとり得、そして、この目的のための当該分野において慣習的であるマトリックスまたはレザバ型の経皮パッチに含まれ得る。
【0323】
好ましくは、上記の化合物は経口的に、静脈内に、または皮下に投与される。
【0324】
好ましくは、上記の薬学的調製物は、単位投薬形態である。このような形態において、上記の調製物は、適切な量(例えば、所望の目的を達成する有効量)の活性成分を含む、適切な大きさの単位用量に細分される。
【0325】
調製物の単位用量内の、本発明の活性組成物の量は一般に、その特定の用途に従って、約1.0ミリグラム〜約1,000ミリグラムに、好ましくは約1.0ミリグラム〜約950ミリグラムに、より好ましくは約1.0ミリグラム〜約500ミリグラムに、そして代表的には約1ミリグラム〜約250ミリグラムに変化、または調整され得る。使用される実際の投薬量は、患者の年齢、性別、体重および、処置される状態の重症度に応じて変化し得る。このような技術は、当業者に周知である。
【0326】
一般に、上記の活性成分を含む、ヒトの経口投薬形態は、1日あたり1回または2回、投与され得る。投与の量および回数は、主治医の判断に従って調節される。経口投与のための、一般的に推奨される1日の投薬レジメンは、単一の用量または分割した用量において、1日に約1.0ミリグラム〜約1,000ミリグラムで変動し得る。
【0327】
いくつかの有用な用語が以下に記述される:
カプセル−上記の活性成分を含む組成物を保持、または含有するための、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、または変性したゼラチンもしくはデンプンでできた、特別な容器または封入物を呼ぶ。硬い殻のカプセルは、代表的には、比較的高いゲル強度の骨格、およびブタ皮膚ゼラチンの混合物から出来ている。カプセルそれ自体は、少量の染料、不透明化する因子、可塑剤および保存剤を含み得る。
【0328】
錠剤−適切な希釈剤とともに上記の活性成分を含む、圧縮された、または成形された固体の投薬形態を呼ぶ。錠剤は、湿式造粒法、乾式造粒法または、ぎっしり詰めることによって得られる混合物または顆粒の圧縮によって調製され得る。
【0329】
経口ゲル−親水性の半固体マトリックスに分散された、または可溶化された、上記の活性成分を呼ぶ。
【0330】
構成のための粉末は、上記の活性成分、および水またはジュースに懸濁され得る適切な希釈剤を含む、粉末混合物を呼ぶ。
【0331】
希釈剤−通常、上記の組成物または投薬形態の主要部分を構成する物質を呼ぶ。適切な希釈剤としては、糖(例えば、ラクトース、ショ糖、マンニトールおよびソルビトール);小麦、トウモロコシ、コメおよびジャガイモ由来のデンプン;およびセルロース(例えば、微結晶性のセルロース)が挙げられる。上記の組成物中の希釈剤の量は、総組成物の重量に基づいて約10%〜約90%で変動し得、好ましくは約25%〜約75%で変動し得、より好ましくは重量に基づいて約30%〜約60%で変動し得、なおより好ましくは約12%〜約60%で変動し得る。
【0332】
崩壊剤−上記の組成物に加えて、それが粉々になり(崩壊させる)、そして医薬を放出することを助ける物質を呼ぶ。適切な崩壊剤としては、デンプン;「冷水に可溶性の」改変されたデンプン(例えば、カルボキシメチルデンプンナトリウム(sodium carboxymethyl starch));天然ゴムおよび合成ゴム(例えば、イナゴマメ、カラヤ、グアール、トラガカントおよび寒天);セルロース誘導体(例えば、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム);微結晶性のセルロースおよび架橋された微結晶性のセルロース(例えば、クロスカルメロースナトリウム(sodium croscarmellose));アルギネート(例えばアルギン酸およびアルギン酸ナトリウム);粘土(例えば、ベントナイト);および起沸性の混合物が挙げられる。上記の組成物中の崩壊剤の量は、組成物の重量に基づいて約2%〜約15%で変動し得、より好ましくは重量に基づいて約4%〜約10%で変動し得る。
【0333】
結合剤−粉末を互いに結合または「接着」して、そして顆粒を形成することでそれらを凝集させる物質を呼び、こうして処方において「接着性」であることに貢献する。結合剤は、希釈剤または充填剤において既に利用可能な粘着性の強さを加える。適切な結合剤としては、糖(例えば、ショ糖);小麦、トウモロコシ、コメおよびジャガイモ由来のデンプン;天然ゴム(例えば、アラビアゴム、ゼラチンおよびトラガカント);海藻の誘導体(例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸アンモニウムカルシウム);セルロースで出来た物質(例えば、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース);ポリビニルピロリドン;および無機物質(例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム)が挙げられる。上記の組成物中の結合体の量は、組成物の重量に基づいて約2%〜約20%で変動し得、より好ましくは重量に基づいて約3%〜約10%で変動し得、なおより好ましくは重量に基づいて約3%〜約6%で変動し得る。
【0334】
潤滑剤−錠剤、顆粒などを、圧縮した後に、摩擦または磨耗を減らすことで、型または打ち型から放出させ得るために、投薬形態に添加される物質を呼ぶ。適切な潤滑剤としては、ステアリン酸金属(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸カリウム);ステアリン酸;高融点のワックス;および水溶性の潤滑剤(例えば、塩化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ポリエチレングリコールおよびd’l−ロイシン)が挙げられる。潤滑剤は、顆粒の表面上、および、顆粒と錠剤プレスの部品との間に存在しなければならないので、通常、圧縮の前の一番最後工程において加えられる。上記の組成物中の潤滑剤の量は、組成物の重量に基づいて約0.2%〜約5%で変動し得、好ましくは約0.5%〜約2%で変動し得、より好ましくは重量に基づいて約0.3%〜約1.5%で変動し得る。
【0335】
滑沢剤(glident)−流動を滑らかにかつ均一にするように、固化を防ぎ、そして顆粒化の流動特性を向上させる物質。適切な滑沢剤としては、二酸化珪素および滑石が挙げられる。上記の組成物中の滑沢剤の量は、全組成物の重量に基づいて約0.1%〜約5%で変動し得、好ましくは重量に基づいて約0.5%〜約2%で変動し得る。
【0336】
着色剤−上記の組成物または投薬形態に呈色を与える賦形剤。このような賦形剤としては、食品用色素、および適切な吸着剤(例えば粘土または酸化アルミニウム)に吸着させた食品用色素が挙げられ得る。上記の着色剤の量は、上記の組成物の重量に基づいて約0.1%〜約5%で変動し得、好ましくは約0.1%〜約1%で変動し得る。
【0337】
バイオアベイラビリティー−活性薬物成分または治療的部分が、標準物質またはコントロールと比較して、投与された投薬から全身性循環に吸収される割合および程度を呼ぶ。
【0338】
錠剤を調製するための従来の方法は公知である。このような方法は、乾式方法(例えば、直接的な圧縮および、ぎっしり詰めることで生成した顆粒の圧縮)、もしくは湿式方法、または他の特別な手順を含む。投与のための他の形態(例えば、カプセル、坐薬など)を作製するための従来の方法もまた周知である。
【0339】
本発明の別の実施形態では、疾患(例えば、C型肝炎など)の処置のための、上に開示された薬学的組成物の使用を開示する。この方法は、治療有効量の本発明の薬学的組成物を、このような疾患を有し、そしてこのような処置を必要とする患者に投与する工程を含有する。
【0340】
なお別の実施形態において、本発明の化合物は、ヒトのHCVの処置のために、単独治療(monotherapy)型にて、または併用治療(例えば、二重の併用、三重の併用など)型(例えば、抗ウイルス因子および/または免疫調節性因子との併用)にて用いられ得る。このような抗ウイルス因子および/または免疫調節性因子としては、リバビリン(Schering−Plough Corporation、Madison、New Jersey製)およびLevovirinTM(ICN Pharmaceuticals、Costa Mesa、California製)、VP 50406TM(Viropharma,Incorporated、Exton、Pennsylvania製)、ISIS 14803TM(ISIS Pharmaceuticals、Carlsbad、California製)、HeptazymeTM(Ribozyme Pharmaceuticals、Boulder、Colorado製)、VX 497TM(Vertex Pharmaceuticals、Cambridge、Massachusetts製)、ThymosinTM(SciClone Pharmaceuticals、San Mateo、California製)、MaxamineTM(Maxim Pharmaceuticals、San Diego、California)、ミコフェノール酸モフェチル(mycophenolate mofetil)(Hoffman−LaRoche、Nutley、New Jersey製)、インターフェロン(例えば、インターフェロン−α、PEG−インターフェロンα結合体)などが挙げられる。「PEG−インターフェロンα結合体」は、PEG分子と共有結合的に結合したインターフェロンα分子である。例示的なPEG−インターフェロンα結合体としては、ペグ化したインターフェロンα−2aの形態(例えば、商品名PegasysTMとして販売されるような)におけるインターフェロンα−2a(RoferonTM、Hoffman La−Roche、Nutley、New Jersey製)、ペグ化したインターフェロンα−2bの形態(例えば、商品名PEG−IntronTMとして販売されるような)におけるインターフェロンα−2b(IntronTM、Schering−Plough Corporation製)、インターフェロンα−2c(Berofor AlphaTM、Boehringer Ingelheim、Ingelheim、Germany製)、または、天然に存在するインターフェロンαのコンセンサス配列の決定により定義されるようなコンセンサスインターフェロン(InfergenTM、Amgen、Thousand Oaks、California製)が挙げられる。
【0341】
先に述べたように、本発明は、本発明の化合物の互変異性体、回転異性体、鏡像異性体およびその他の立体異性体もまた含む。このように、当業者が認めるように、本発明の化合物の幾つかは、適切な異性体の形態にて存在し得る。このような変化は、本発明の範囲内で企図される。
【0342】
本発明の別の実施形態において、本明細書中に開示された化合物を作製する方法が開示される。上記の化合物は、当該分野で公知のいくつかの技術によって調製され得る。代表的な例示的な手順は、以下の反応スキームに概説する。そして、本明細書中に開示される本発明はさらに、調製例によって例証されるが、これらの調製例は、添付の特許請求の範囲中にて定義された本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。代替の機構経路および類似の構造は、当業者に明らかである。
【0343】
以下の例示的なスキームが、少数の代表的な本発明の化合物の調製を記述する一方で、天然のアミノ酸および非天然のアミノ酸の両方の内の任意のものの適切な置換が、結果として、このような置換に基づく所望の化合物の生成につながることが理解されるべきである。このような変化は、本発明の範囲内にあるものと企図される。
【0344】
下に記述する手順のために、以下の略語が用いられる:
Ac:アセチル;
AcOH:酢酸;
ADDP:1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン(1,1’−(Azodicarbobyl)dipiperidine)
Alloc:アリルオキシカルボニル
Boc:tert−ブチルオキシカルボニル;
BuまたはBu:tert−ブチル;
Cbz:ベンジルオキシカルボニル;
DCMはジクロロメタンを意味し;
DCC:1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド;
DMFはN,N−ジメチルホルムアミドを意味し;
DMSOはジメチルスルホキシドを意味し;
DTT:DL−ジチオスレイトール
EDCl:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドヒドロクロリド;
Et:エチル;
EtOAcは酢酸エチルを意味し;
EtOH:エタノール;
EtO:ジエチルエーテル;
Fmocは9−フルオレニルメチルオキシカルボニルを意味し;
HOOBt:3−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン;
HOBt:N−ヒドロキシベンゾトリアゾール;
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
iBoc:イソブトキシカルボニル;
iPr:イソプロピル;
Me:メチル;
MeOHはメチルアルコールを意味し;
MOPSは3−[N−モルホリノ]プロパンスルホン酸を意味し;
MSは質量スペクトルを意味し;
NMMはN−メチルモルホリンを意味し;
NMRは核磁気共鳴を意味し;
ODは光学濃度を意味し;
PAPはフェニルアゾフェノールを意味し;
Ph:フェニル;
Pd/Cは、木炭触媒上のパラジウムを意味し;
rtは室温を意味し;
THFはテトラヒドロフランを意味し;
TLC:薄層クロマトグラフィー;
Ts:p−トルエンスルホニル。
【0345】
(一般的な調製スキーム)
以下のスキームは、中間基礎単位の合成の方法を記述する:
(スキーム1)
【0346】
【化245】

一般構造1iの化合物の合成は化合物1aから始まり、化合物1aは文献の手順(D.Winkler、K.Burger、Synthesis、1996、1419)を通して得られた。脱保護の後、結果として生じるアミノエステル1bを、プロリン誘導体1cと結合させた。次いで、生成物1dをアミン1eに変換し、次いでこれをアミノ酸1fと結合させて、トリペプチド1gを産生した。このエステルを加水分解して酸1hにし、これを適切なアミンと結合させて、化合物1iを得た。
【0347】
(スキーム2)
【0348】
【化246】

一方、化合物1gをアミン塩酸塩2aに変換した。次いで適切なキャッピング基を上記のアミンに導入し、生成物2bを得た。2bの加水分解により、酸2cを得ることが出来た。そして最後に、2cをアミンと結合させることで、化合物2dを産生した。
【0349】
(スキーム3)
【0350】
【化247】

代わりに、トリペプチド1iをジオキサン中にて4N HClで処理して、アミン3aを得ることができた。ここに適切なキャッピング基を接触させ、標的化合物の2d型を産生した。
【0351】
(中間体の調製)
中間体A:
【0352】
【化248】

(工程1)
【0353】
【化249】

アミノエステルA1は、Boc保護アミノ酸をメタノール塩酸(この脱保護のためには、ジオキサン中の4M HClもまた用いた)と反応させることで、Boc基を切断したことを除き、R.ZhangおよびJ.S.Madalengoitia(J.Org.Chem.1999、64、330)の方法に従って調製した。
(注記:報告されている合成の変形の中では、スルホニウムイリドを、対応するホスホニウムイリドと交換した。)
乾性CHCl/DMF(50mL、1:1)中のBoc−tert−Leu A2(Fluka、5.0g、21.6mmol)溶液を0℃まで冷却し、そしてアミン塩酸塩A1(5.3g、25.7mmol)、NMM(6.5g、64.8mmol)およびBOP試薬(11.6g、25.7mmol)で処理した。上記反応は室温にて24時間攪拌し、HCl水溶液(1M)で希釈し、そしてCHClで抽出した。併せた有機層を1M HCl水溶液、飽和NaHCO、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、真空中で濾過および濃縮し、そしてクロマトグラフィー(SiO、アセトン/ヘキサン 1:5)で精製して、無色の固体としてA3を産生した。
【0354】
(工程2)
【0355】
【化250】

メチルエステルA3(4.0g、10.46mmol)の溶液を、ジオキサン中の4M HCl中に溶解し、そして室温で3時間攪拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、白色の固体としてアミン塩酸塩Aを得た。これはそれ以上の精製無しに用いた。
【0356】
中間体B
【0357】
【化251】

(工程1)
【0358】
【化252】

L−tert−ロイシン(1等量、10g)を、リチウムアルミニウムハイドライド(150mmol、THF中にて1M溶液)の懸濁液中にゆっくりと加えた。この反応混合物を6時間還流した。この混合物を0℃まで冷却し、そして10mLの10%NaOH水溶液および10mLの水を加えることでクエンチした。この混合物を室温で10分間攪拌し、次いでジ−tert−ブチルカルボネート(1.1等量、18.22g)で処理し、そしてこの混合物を60℃で一晩攪拌した。この反応混合物を硫酸マグネシウムを通して濾過した。濾液を濃縮し、そして残渣をシリカゲル上でクロマトグラフし、生成物B2を62%の収率で得た。
【0359】
(工程2)
【0360】
【化253】

50mLの乾性THF中のフタルイミド(1.01g)溶液に、トリフェニルホスフィン(3等量)およびアルコールB2(1等量)を加えた。この混合物を氷水浴中で冷却し、そしてジイソプロピルアゾジカルボキシレート(2.5等量)を一滴ずつ加えた。結果として生じた混合物を0℃にて10分間攪拌し、そして室温まで温め、そしてTLC(酢酸エチル/ヘキサン;3:7)でもはや開始物質が検出されなくなるまで、約2.5時間攪拌した。この混合物を減圧条件下で濃縮した。残渣を80mLのジクロロメタンに再懸濁した。固体を濾過して除いた。濾液をその半分の体積まで濃縮し、そしてヘキサン(30mL)を加えた。固体を濾過した。濾液を減圧条件下で濃縮し、そして残留物をシリカゲル上でクロマトグラフし(勾配:酢酸エチル/ヘキサン;1:9〜4:6)、生成物B3を得た。
【0361】
(工程3)
【0362】
【化254】

100mLのMeOH中のフタルイミドB3(7g)の溶液に、ヒドラジン(0.9mL、28.68mmol、1.4等量)を加え、そしてこの混合物を6時間(N2下で)還流した。TLCにより、開始物質がいくらか存在することが示され、そして追加のヒドラジンを加え(0.45mL)、そして室温で一晩、攪拌を続けた。白色の沈殿物が形成された。固体を濾過して除き、そして濾液を濃縮して、白色の固体として生成物B4(4.48g)を産生した。
【0363】
(工程4)
【0364】
【化255】

100mLのジクロロメタン中のアミンB4(2.16g、10mmol)溶液を0℃まで冷却し、そしてトリエチルアミン(2等量、2.8mL)で処理した。メタンスルホニルクロライド(1.2等量、0.93mL)を一滴ずつ加えた。この異質な混合物を一晩攪拌した(温度は0〜25℃)。固体を濾過して除き、そして濾液を飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)、およびブライン(100mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、そして濃縮した。残渣を、最少量のジクロロメタン/酢酸エチル(約10mL)に取り、そして不溶性の白色の固体を濾過して除いた。濾液をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製し、粘土の高い半固体として生成物B5(2.7g)を得た。
【0365】
(工程5)
【0366】
【化256】

50mLの乾性DMF中のスルホンアミドB5(2.2g、7.5mmol)溶液を0℃まで冷却し、そしてセシウムカルボネート(3等量、7.34g)で処理した。ヨウ化メタン(5等量、2.34mL)を一滴ずつ加え、そしてこの混合物を45分間攪拌した。冷却槽を除き、そしてこの混合物をさらに4時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)の添加により反応をクエンチし、そして酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。併せた有機層を水(200mL)、ブライン(200mL)で洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この有機層を濾過し、そして濃縮した。残渣をシリカゲル上でクロマトグラフし、生成物B6(2.16g)を得た。
【0367】
(工程6)
【0368】
【化257】

N−Bocで保護されたアミン2f(2.1g、6.82mmol)を、室温にて、20mLの、ジオキサン中の4M HClに溶解した。反応混合物を1時間攪拌し、次いで全ての揮発性物質を減圧条件下で除いて、定量できる収量の生成物2gを得た。
【0369】
(工程7)
【0370】
【化258】

0℃にてジクロロメタンおよび飽和炭酸水素ナトリウム水溶液中のアミン塩酸塩B7の混合物を、ホスゲン(トルエン中で15%溶液)で処理し、そして2時間攪拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、そして冷却した飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そしてさらにトルエンで希釈した。この混合物を濃縮し、そして生成物Bを調製し、そしてトルエン中で0.2M溶液の状態にした。
【0371】
中間体C
【0372】
【化259】

(工程1)
【0373】
【化260】

ジフルオロフェニルアセトニトリルC1(Aldrich、300mg)を20mLのメタノールに溶解し、そして塩化コバルト(II)六水和物(2等量、950mg)で処理した。結果として生じた溶液を0℃まで冷却し、そしてホウ化水素ナトリウム(10等量、756mg)を少量ずつ加えた。混合物を約45分間攪拌し、そして黒色の沈殿物が溶解するまで、1M HCl水溶液で注意深く処理した。この混合物を、塩基性になるまで、2M NaOH水溶液で処理した。混合物をジクロロメタン(3×50mL)で抽出した。併せた有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして濾過した。濾液をジオキサン中の4M HCl(4mL)で処理し、そして真空中で濃縮して、白色の個体として生成物を得た。この生成物は、これ以上の精製無しに用いた。
【0374】
(工程2)
【0375】
【化261】

20mLの乾性ジクロロメタン中のアミン塩酸塩C(2mmol)溶液を0℃まで冷却し、そしてN−メチルモルホリン(5等量、1.1mL、d 0.920)で処理した。5mLのジクロロメタン中のジ−tert−ブチルジカルボネート(1.2等量、523mg)を一滴ずつ加えた。反応混合物を1時間攪拌した。この混合物を100mLのエーテルに希釈し、そして50mLの1M HCl水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。残渣をシリカゲル上でクロマトグラフし(勾配:酢酸エチル/ヘキサン;0:10〜1:9)、白色の個体として生成物C2(270mg、2工程で53%)を得た。
【0376】
(工程3)
【0377】
【化262】

N−Bocで保護したアミンC2(250mg)を10mLのジオキサン中の4M HClに溶解した。結果として生じた溶液を2時間攪拌し、そして、開始物質の消滅について、TCL(アセトン/ヘキサン;1:9)にてモニターした。全ての開始物質が消費された後、減圧条件下で揮発物質を除き、白色の個体として生成物C(187mg、98%)を得た。
【0378】
中間体D
【0379】
【化263】

(工程1)
【0380】
【化264】

シクロプロパンカルボン酸D1(Rare Chemicals、300mg)を15mLのアセトニトリルに溶解し、そしてトリエチルアミン(1等量、0.26mL、d 0.726)で処理した。ジフェニルホスホリルアジド(1等量、0.40mL、d 1.270)もまた加え、結果として生じた混合物を50℃で2時間温めた。室温まで冷却した後、1N HCl水溶液(15mL)を加え、反応混合物を一晩還流した。減圧条件下でアセトニトリルを蒸発させ、そして、1N NaOH水溶液を用いて水層のpHを14にした。この水層をジクロロメタン(3×50mL)で抽出した。併せた有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして減圧条件下で濃縮した。生成物D2は、これ以上の精製無しに用いた。
【0381】
(工程2)
【0382】
【化265】

20mLの乾性ジクロロメタン中のアミンD2(1.85mmol)溶液を0℃まで冷却し、N−メチルモルホリン(5等量、1.0mL、d 0.920)で処理した。10mLのジクロロメタン中のジ−tert−ブチルカルボネート(1.2等量、483mg)を一滴ずつ加えた。反応混合物を1時間攪拌した。混合物を100mLのエーテルに希釈し、そして50mLの1M HCl水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。残渣をシリカゲル上にてクロマトグラフし(勾配:アセトン/ヘキサン;0:10〜2:8)、白色の個体として生成物D3(250mg、2工程にて58%)を得た。
【0383】
(工程3)
【0384】
【化266】

N−Bocで保護されたアミンD3(220mg)を、10mLのジオキサン中の4M HClに溶解した。この混合物を室温にて1.5時間攪拌した。減圧条件下にて、全ての揮発性物質を除き、白色の個体として生成物(±)−D(160mg、98%)を得た。
【実施例】
【0385】
(調製例)
(実施例1)
【0386】
【化267】

(工程1:)
【0387】
【化268】

メタノール(80mL)中にて、室温で攪拌した1a(4.7g、16.4mmol)の溶液に、濃塩酸(4mL、48mmol)を加えた。結果として生じた溶液を還流に導き、そして一晩攪拌した。この溶液を真空中にて濃縮し、所望の生成物1b(4.6g、定量(quant.))を得た。この生成物1bはこれ以上の精製無しに用いた。
【0388】
(工程2:)
【0389】
【化269】

−20℃のDMF(50mL)およびCHCl(50mL)中の、上記アミン1b(0.809g、4.27mmol)、ジ−ペプチド酸1j(1.39g、3.77mmol)、HOOBt(0.67g、4.11mmol)およびEDCl(0.87g、4.54mmol)の溶液に、NMM(1.70mL、15.5mmol)を加えた。この温度で30分間攪拌した後、この反応混合物をフリーザー内で一晩(18時間)保存した。次いでそれを空気中で攪拌し、1時間で室温まで温めた。EtOAc(200mL)、ブライン(50mL)および5%HPO(50mL)を加えた。層を分離させ、そして有機層を5%HPO(150mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2×150mL)および水(150mL)で洗浄した。次いで、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。10〜20%のEtOAc/CHClを用いたフラッシュクロマトグラフィーによって、白色の固体として1.20g(63%)を得た。
【0390】
(工程3:)
【0391】
【化270】

上記のBoc−アミノメチルエステル1k(1.20g、2.38mmol)を、THF(10mL)およびメタノール(10mL)中に溶解した。この溶液に、水(10mL)中の水酸化リチウム(0.143g、5.96mmol)の溶液を加えた。結果として生じた溶液を室温で2.5時間攪拌した。反応の進行をTLCでモニターした。ついでこの溶液を真空中で濃縮し、そして、その残渣にEtOAc(200mL)および水(100mL)を加えた。水層を塩化ナトリウムで飽和させた。層が分離した後、水層をEtOAc(2×100mL)で抽出した。併せた有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして真空中で濃縮して、白色の個体を得た。この白色の固体は、それ以上の精製無しで用いた。
【0392】
(実施例2)
【0393】
【化271】

(工程1:)
【0394】
【化272】

−20℃のDMF(20mL)およびCHCl(20mL)中の(p−メトキシカルボニル)フェニルエチルアミン(0.265g、1.23mmol)、酸1(0.403g、0.82mmol)、HOOBt(0.201g、1.23mmol)およびEDCl(0.220g、1.15mmol)の溶液に、NMM(0.23mL、2.9mmol)を加えた。この温度で30分間攪拌した後、反応混合物をフリーザー内で一晩(18時間)保存した。次いで、空気中で攪拌して、1時間で室温まで温めた。EtOAc(100mL)、ブライン(30mL)および5%HPO(30mL)を加えた。層を分離させ、そして有機層を5%HPO(80mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2×80mL)および水(80mL)で洗浄した。次いで、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で濃縮した。5〜20%のアセトン/ヘキサンによるフラッシュクロマトグラフィーによって、白色の固体として0.33g(62%)を得た。
【0395】
(実施例3)
【0396】
【化273】

(工程1)
【0397】
【化274】

化合物3は、実施例1、工程3に記述した手順に従って、化合物2から調製した。
【0398】
(実施例4)
【0399】
【化275】

(工程1:)
【0400】
【化276】

ジオキサン中の4N HCl中の化合物2(0.314g、0.48mmol)溶液を室温で4時間攪拌し、真空中で濃縮して、そしてそれ以上の精製無しで用いた。
【0401】
(工程2:)
【0402】
【化277】

【0403】
【化278】

THF/CHCN(7:1)中の、アミン4a(0.101g、0.17mmol)、p−ニトロフェニルクロロホルメート(0.042g、0.21mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(0.060mL、0.34mmol)の溶液を、室温にて18時間攪拌した。濃縮した後、残渣をEtOAc(100mL)に溶解し、そしてこの溶液を5%HPO溶液(80mL)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(80mL)およびブライン(80mL)で洗浄した。次いで硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。5〜18%のアセトン/ヘキサンによるフラッシュクロマトグラフィーにより、0.081g(67%)を得た。
【0404】
(工程3:)
【0405】
【化279】

室温のCHCl(8mL)中の、上記アミン4c(50mg、0.24mmol)および化合物4b(86mg、0.12mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(0.050mL、0.30mmol)を加えた。次いでこの溶液を室温で18時間攪拌した。EtOAc(100mL)を加え、そして溶液を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(80mL)およびブライン(80mL)で洗浄した。次いで、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。15〜40%のアセトン/ヘキサンによるフラッシュクロマトグラフィーにより、0.038g(40%)の生成物4を得た。
【0406】
(実施例5)
【0407】
【化280】

(工程1:)
【0408】
【化281】

実施例1、工程3に記述した手順に従って、化合物4から化合物5を調製した。
【0409】
(実施例6)
【0410】
【化282】

(工程1:)
【0411】
【化283】

−20℃のDMF(5.0mL)中のカルボン酸5(0.018g、0.023mmol)の溶液に、塩化アンモニウム(6.5mg、0.12mmol)、HOOBt(7.5mg、0.046mmol)、EDCl(9mg、0.046mmol)およびNMM(0.01mL)を加えた。この黄色の懸濁液を攪拌し、ドライアイス/アセトン浴と共に、一晩、室温まで温めた。EtOAc(80mL)、ブライン(30mL)および5%HPO(30mL)を加えた。層を分離させ、そして有機溶液を5%HPO(50mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2×50mL)および水(50mL)で洗浄した。次いで、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。25〜45%のアセトン/ヘキサンによるフラッシュクロマトグラフィーにより2つの生成物を得、その量は2.5mgおよび6.8mgであった。
【0412】
(実施例7:)
【0413】
【化284】

(工程1)
【0414】
【化285】

10mLの乾性ジクロロメタン中の塩化水素塩7aの溶液に、N−メチルモルホリンを加えた。結果として生じた溶液を氷−水浴中で冷却し、そしてトルエン中のイソシアネートBの溶液をゆっくり加えた。この混合物を一晩攪拌した(温度は0〜25℃)。この反応混合物を50mLのジクロロメタンに希釈し、そして30mLの1N HCl水溶液で洗浄した。水層をジクロロメタン(2×20mL)で逆抽出した。併せた有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして減圧条件下で濃縮した。TCL(EtOAc/ヘキサン;1:1)解析、MS解析、およびNMR解析から、所望の生成物7b(520mg、91%)に一致するデータが示された。これ以上の精製はせず、そして次の反応に粗生成物を用いた。
【0415】
(工程2)
【0416】
【化286】

乾性THF(8mL)、水(8mL)、およびメタノール(8mL)中のメチルエステル7bの溶液を、水酸化リチウム一水和物で処理した。反応を、室温にて3時間攪拌した。減圧条件下で揮発性物質を除き、そして20mLの1M HCl水溶液を加えた。生成物を、ジクロロメタン(2×50mL)中に取った。この有機層をブライン(20mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして減圧条件下で濃縮した。これ以上の精製は必要でなく、そしてこの粗生成物7c(450mg、89%)を次の反応に用いた。
【0417】
(工程3)
【0418】
【化287】

15mLの乾性ジクロロメタンおよび15mLの乾性DMF中の酸7c(440mg)の溶液を0℃にて攪拌し、そしてHATU(1.4等量、380mg)で処理した。上記アミン塩1b(1.4等量、232mg)を5mLのジクロロメタンに加え、続いてN−メチルモルホリン(4等量、0.38mL、d 0.920)を加えた。この反応混合物を0℃にて一晩攪拌した。減圧下で全ての揮発性物質を除き、そして残渣を300mLの酢酸エチルに溶解した。この有機層を水(2×80mL)、1M HCl水溶液(80mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(80mL)、およびブライン(50mL)で洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。この残渣をシリカゲル上でクロマトグラフし(勾配:アセトン/ヘキサン;2:8〜6:4)、生成物7d(410mg、73%)を得た。
【0419】
(工程4)
【0420】
【化288】

乾性THF(5mL)、水(5mL)、およびメタノール(5mL)中のメチルエステル7d(400mg)の溶液を、水酸化リチウム一水和物(2.5等量、65.7mg)で処理した。反応を室温にて約3時間攪拌した。減圧条件下で揮発性物質を除き、そして20mLの1M HCl水溶液を加えた。生成物をジクロロメタン(2×80mL)中に取った。この有機層をブライン(20mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、そして減圧条件下で濃縮して、生成物7e(370mg、95%)を得た。
【0421】
(工程5)
【0422】
【化289】

1mLの乾性ジクロロメタンおよび1mLの乾性DMF中の酸7e(40mg)の溶液を0℃にて攪拌し、そしてHATU(1.4等量、34mg)で処理した。上記アミン塩化水素塩C(1.3等量、15.8mg)を加え、続いてN−メチルモルホリン(4等量、0.028mL、d 0.920)を加えた。この反応混合物を0℃にて一晩攪拌した。減圧下で全ての揮発性物質を除き、そして残渣を50mLの酢酸エチル中に溶解した。この有機層を、水(10mL)、1N HCl水溶液(10mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)、およびブライン(10mL)で洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして減圧条件下で濃縮した。この残渣をシリカゲル上でクロマトグラフし(勾配:アセトン/ヘキサン;2:8〜5:5)、白色の固体として生成物7(40mg、82%)を得た。HRMS(FAB)で、C3555S[M+H]について計算値は763.3840;実測値は763.3863であった。
【0423】
(実施例8および9:)
【0424】
【化290】

(工程1)
【0425】
【化291】

【0426】
【化292】

1mLの乾性ジクロロメタンおよび1mLの乾性DMF中の酸7e(40mg)の溶液を0℃にて攪拌し、HATU(1.4等量、17mg)にて処理した。上記アミン塩化水素塩(±)−D(14mg)を10mLのジクロロメタンに加え、続いてN−メチルモルホリン(4等量、0.014mL、d 0.920)を加えた。この反応混合物を、フリーザー内(−20℃)にて48時間保存した。減圧下で全ての揮発性物質を除き、そしてこの残渣を50mLの酢酸エチルに溶解した。この有機層を、水(10mL)、1N HCl水溶液(10mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)、およびブライン(10mL)で洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、そして減圧条件下にて濃縮した。この残渣をシリカゲル上にてクロマトグラフし(勾配:アセトン/ヘキサン;2:8〜6:4)、白色の固体としてジアステレオマーの生成物8(20mg)および9(20mg)を得、併せた収率は80%であった。HRMS(FAB)で、8について、C3657S[M+H]についての計算値は739.4028;実測値は739.4023;HRMS(FAB)で、9について、C3657S[M+H]についての計算値は739.4028;実測値は739.4045であった。
【0427】
(10型構造の例を調製するために平行合成方法を用いた、一般的な合成手順:)
【0428】
【化293】

上記の酸7e(288mg)およびHOBT(1.5等量、96mg)を、50mLのアセトニトリル/DMFの1:1混合物に溶解した。48ウェルのEx−BlockプレートをPS−EDC樹脂(3.0等量、19mg/ウェル)で満たした。次いで、それぞれのウェルに1mLの上記酸/HOBT溶液を加えた。アミンHN−Rを、これらの対応するウェルに加えた(ジオキサン中に0.5Mのアミン溶液を40μL)。Ex−Blokをシールし、そして一晩振盪した。第二のEx−Blockの48ウェルを、PS−NCO(6等量、40mg/ウェル)およびPS−トリスアミン(trisamine)(12等量、38mg/ウェル)で満たした。第一のブロックを、PS−NCOおよびPS−トリスアミンレジンを含む第二のブロックに入れた。第一のブロックのウェルを500μLのアセトニトリルで洗浄した。第二のEx−Blockをシールし、そして6時間振盪し、次いで回収プレートに入れた。第二のブロックのウェルを、500μLのアセトニトリルで洗浄した。100μLのアリコートをそれぞれのウェルから取り、LC−MS解析のために、HPLCプレートに移した。回収プレートのそれぞれのウェルに残った溶液を、バーコードをつけたバイアルに移した。アミド生成物を含むこれらのバイアルを高速吸引遠心機にかけ、そして溶媒を除いて、10型構造の一致する生成物を得た。
【0429】
(生物学的実施例)
本発明は、新規のC型肝炎ウイルス(「HCV」)プロテアーゼインヒビターに関連する。この効用は、以下のインビトロアッセイによって実証されるように、それらが、HCV NS3/NS4aセリンプロテアーゼを阻害する能力に明示される。
【0430】
(HCVプロテアーゼ阻害活性のアッセイ:)
(分光光度的アッセイ:)HCVセリンプロテアーゼについての分光光度的アッセイを、本発明の化合物について、R.Zhangら、Analytical Biochemistry、270(1999)268〜275(その開示は、本明細書に参考として援用される)に記述される以下の手順に従って行った。色素生産性エステル基質のタンパク質分解に基づくこのアッセイは、HCV NS3プロテアーゼ活性の連続的なモニターに適している。
【0431】
(材料と方法:)
材料:アッセイに関連するバッファーのための化学的試薬は、Fisher Scientific Company LLC、3970 Johns Creek Court、Suwanee、GA 30024;Anatrace,Inc.434 West Dussel Drive、Maumee、OH 43537;Sigma Chemical Company(St.Louis、Missouri)より入手した。特注のペプチド合成は、SynPep Corporation、Dublin、CA 94568により調製した。96ウェルUVプレートはCorning(Corning、New York)から入手した。予熱ブロックはUSA Scientific(Ocala、Florida)より入手し、そして96ウェルプレートボルテックス機(vortexer)は、Labline Instruments(Melrose Park、Illinois)から入手した。モノクロメーターの付いたSpectramax Plusマイクロタイタープレートリーダーは、Molecular Devices(Sunnyvale、California)から入手した。
【0432】
(酵素の調製:)
HCV NS3プロテアーゼ(1b系統)および、そのNS4A補因子を、組換え単鎖タンパク質として構築した。上記NS4A補因子ドメイン(アミノ酸残基21〜32)を、NS3プロテアーゼドメイン(アミノ酸3〜181)のアミノ末端に、4アミノ酸のペプチドリンカーによって、インフレームで融合させた。次いで、このNS4A21〜32−GSGS−NS33〜181構築物をE.coli中で発現させ、そして90%を超える同質性まで精製した。動力学的パラメーターを決定し、そして、バキュロウイルス系にて生産された全長のNS31〜631/NS4A1〜54タンパク質複合体(D.L.Saliら、Biochemistry、37(1998)3392〜340)の動力学的パラメーターと同じであることが分かった。この単鎖組換えプロテアーゼのクローニング、発現、精製および動力学的解析の詳細は、前に記述されている(S.S.Taremiら、Protein Science、7(1998)2143〜2149)。
【0433】
タンパク質の濃度を、先にアミノ酸解析により定量した組換えHCVプロテアーゼ標準物質を用いた、Biorad色素法によって決定した。アッセイの開始に先立って、酵素保存バッファー(pH8.0の50mMリン酸ナトリウム、300mMのNaCl、10%のグリセロール、0.05%のラウリルマルトーシド(lauryl maltoside)および10mMのDTT)を、アッセイバッファー(pH6.5で25mMのMOPS、300mMのNaCl、10%のグリセロール、0.05%のラウリルマルトーシド、5μMのEDTAおよび5μMのDTT)に、Biorad Bio−Spin P−6充填済みカラムを利用して交換した。
【0434】
(基質の合成および精製:)基質の合成は、R.Zhangら(同書)に報告されるように行い、そして、標準のプロトコール(K.Barlosら、Int.J.Pept.Protein Res.、37(1991)、513〜520)を用いて、Fmoc−Nva−OHを2−クロロトリチルクロリド樹脂に固定することで開始した。ペプチドは、Fmocの化学的性質を用いて、手動でか、または自動ABIモデル431ペプチド合成装置のいずれかで、引き続いて構築した。N−アセチル化され、および完全に保護されたペプチド断片を、ジクロロメタン(DCM)中の10%酢酸(HOAc)および10%トリフルオロエタノール(TFE)により30分間、またはDCM中の2%トリフルオロ酢酸(TFA)により10分間のいずれかにて、上記樹脂から切断した。混ざった濾液およびDCM洗浄液を共沸エバポレートさせ(またはNaCO水溶液にて繰り返し抽出して)、切断に用いた酸を除いた。DCM相は、NaSO上で乾燥させ、そして蒸発させた。
【0435】
上記エステル基質を、標準の酸−アルコール結合手順(K.Holmberら、Acta Chem.Scand.B33(1979)410〜412)を用いて構築した。ペプチド断片を、10モル当量の発色団および、触媒量(0.1等量)のパラ−トルエンスルホン酸(pTSA)を加えた無水ピリジン(30〜60mg/ml)に溶解した。結合反応を開始するために、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、3等量)を加えた。生成物の生成をHPLCでモニターし、そして、続く12〜72時間の室温での反応で完全であることが分かった。ピリジン溶媒を減圧下で蒸発させ、そして、トルエンとの共沸点エバポレーションによってさらに除いた。上記のペプチドエステルを、DCM中の95%TFAで2時間にて脱保護し、そして、余分な発色団を除くために、無水エチルエーテルで3回抽出した。脱保護された基質を、30%〜60%のアセトニトリルの勾配(6カラム容量を用いて)を用いた、C3カラムまたはC8カラム上の逆相HPLCにて精製した。HPLC精製の後の、全体の収率は約20〜30%であった。分子量を、エレクトロスプレーイオン化質量分析器によって確かめた。基質は、乾燥下にて、乾燥した粉末の形態で保存した。
【0436】
(プロテアーゼアッセイ:)HCVプロテアーゼアッセイは、96ウェルマイクロタイタープレート中で200μl反応混合物中を用いて、30℃で行った。アッセイバッファー条件(pH6.5の25mM MOPS、300mMのNaCl、10%のグリセロール、0.05%のラウリルマルトーシド、5μMのEDTAおよび5μMのDTT)は、NS3/NS4Aヘテロ二量体に最適化した(D.L.Saliら、同書)。代表的には、バッファー、基質およびインヒビターの混合物100μlをウェルに入れ、そして30℃で約3分間プレインキュベートした。次いで、アッセイバッファー中の予熱したプロテアーゼ(30℃)100μlを用いて反応を開始させ、1.3nM HCVの最終濃度を生成した。プロテアーゼによる基質の切断は、フェニルアゾフェノール(PAP)生成物の放出を、SpectraMax Plusマイクロタイタープレートリーダー(Molecular Devices、Sunnyvale、CA.)を用いて、毎30秒ごとに連続的に、370nmの吸光度を読み取ることで測定し、60分間以上モニターした。バックグラウンドの基質の加水分解を減算した。インヒビターは、ある濃度の範囲(最終DMSO濃度は4%)にわたり試験した。
【0437】
(インヒビターの評価)競合的インヒビターについての阻害定数(K)を、再整理した、競合阻害動力学についてのミカエリス−メンテンの式:v/v=1+[I]o/(K(1+[S]o/K))(ここで、vは阻害されていない初速度、vは任意の所与のインヒビター濃度([I]o)のインヒビターの存在下での初速度、および[S]oは用いられた基質濃度)に従って、インヒビター濃度([I]o)に対してv/vをプロットすることで、固定された酵素濃度および基質濃度において、実験的に決定した。結果として得られたデータを、直線回帰を用いてフィットさせ、そして結果として得られた勾配(1/(K(1+[S]o/K)))を、K値を計算するために用いた。
【0438】
本発明の種々の化合物について得られたK値を、前に述べた表1、表2および表3に載せた。これらの表において、化合物は、K値の範囲の順に整理した。これらの試験結果から、本発明の化合物が、NS3−セリンプロテアーゼインヒビターとして優れた効用を有することが、当業者にとって明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1:
【化1】

に示す一般構造を有する化合物、または、該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であって、ここで:
CapおよびP’は独立して、H、アルキル、アルキル−アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、アリール−ヘテロアリール、アルキル−ヘテロアリール、シクロアルキル、アルキルオキシ、アルキル−アリールオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキル−アリールアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、シクロアルキルアミノ、カルボキシアルキルアミノ、アリールアルキルオキシもしくはヘテロシクリルアミノであって、ここで、該アルキル、該アルキル−アリール、該へテロアルキル、該ヘテロアリール、該アリール−ヘテロアリール、該アルキル−ヘテロアリール、該シクロアルキル、該アルキルオキシ、該アルキル−アリールオキシ、該アリールオキシ、該ヘテロアリールオキシ、該ヘテロシクリルオキシ、該シクロアルキルオキシ、該アミノ、該アルキルアミノ、該アリールアミノ、該アルキル−アリールアミノ、該アリールアミノ、該ヘテロアリールアミノ、該シクロアルキルアミノ、該カルボキシアルキルアミノ、該アリールアルキルオキシもしくは該ヘテロシクリルアミノのそれぞれは、置換されなくても、必要に応じて、同じであっても異なってもよく、そしてXおよびXから独立して選択される、1つもしくは2つの置換基によって独立して置換されてもよく;
はアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アリールヘテロアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルアミノ、アルキルへテロアリール、もしくはヘテロアリールアルキルであり、そしてXは置換されなくても、必要に応じて、同じであっても異なってもよく、そして独立して選択される、1つ以上のX部分によって独立して置換されてもよく;
はヒドロキシ、アルキル、アリール、アルコキシ、アリールオキシ、チオ、アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、カルボキシ、カルボアルコキシ、カルボキサミド、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルウレイド、アリールウレイド、ハロゲン、シアノ、ケト、エステルまたはニトロであり、ここで該アルキル、該アルコキシ、および該アリールのそれぞれは、置換されなくても、必要に応じて、同じであっても異なってもよく、そして、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アリールヘテロアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルアミノ、アルキルへテロアリールおよびヘテロアリールアルキルより独立して選択される、1つ以上の部分によって独立して置換されてもよく;
Wは存在しても存在しなくてもよく、そしてWが存在する場合には、WはC(=O)、C(=S)、C(=NH)、C(=N−OH)、C(=N−CN)、S(O)またはS(O)であり;
Qは存在してもよく、または存在しなくてもよく、そしてQが存在する場合には、QはN(R)、P(R)、CR=CR’、(CH2)、(CHR)、(CRR’)、(CHR−CHR’)、O、S、S(O)またはS(O)であり;Qが存在しない場合には、Mは(i)直接Aに連結されるか、または(ii)MはL上の独立した置換基であり、そしてAはE上の独立した置換基であるかのどちらかであり、ここで該独立した置換基は−OR、−CH(R)(R’)、S(O)0〜2Rまたは−NRR’から選択され;QおよびMの双方が存在しない場合、Aは直接Lに連結されるか、またはAは、−OR、−CH(R)(R’)、−S(O)0〜2Rもしくは−NRR’から選択される、E上の独立した置換基であるかのどちらかであり;
Aは存在するか、または存在せず、そして存在する場合、Aは−O−、−O(R)CH−、−(CHR)−、−(CHR−CHR’)−、(CRR’)、N(R)、NRR’、S、またはS(O)であり、そしてQが存在しない場合、Aは−OR、−CH(R)(R’)または−NRR’であり;そしてAが存在しない場合、QおよびEは結合によって結合されるか、またはQはM上の独立した置換基であるかのいずれかであり;
Eは存在するか、または存在せず、そして存在する場合、EはCH、N、C(R)であり;
Gは存在しても存在しなくてもよく、そしてGが存在する場合、Gは(CH、(CHR)、または(CRR’)であり;Gが存在しない場合、Jは存在し、そしてEは位置1と標識された炭素原子に直接結合され;
Jは存在しても存在しなくてもよく、そしてJが存在する場合、Jは(CH、(CHR−CHR’)、(CHR)、(CRR’)、S(O)、N(H)、N(R)またはOであり;Jが存在せず、そしてGは存在する場合、Lは位置2と標識された窒素原子に直接連結され;
Lは存在しても存在しなくてもよく、そしてLが存在する場合、LはCH、N、またはCRであり;Lが存在しない場合、Mは存在するか、または存在せず;Mが存在してLが存在しない場合、Mは直接かつ独立してEに連結され、そしてJは直接かつ独立してEに連結され;
Mは存在しても存在しなくてもよく、そしてMが存在する場合、MはO、N(R)、S、S(O)、(CH、(CHR)、(CHR−CHR’)、または(CRR’)であり;
pは0〜6の数であり;
R、R’およびRは同じであっても異なってもよく、それぞれは、以下:H、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクリル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アミド、アリールチオアミノ、アリールカルボニルアミノ、アリールアミノカルボキシ、アルキルアミノカルボキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、アルケニル、アルキニル、アリール−アルキル、ヘテロアリールアルキル、エステル、カルボン酸、カルバメート、尿素、ケトン、アルデヒド、シアノ、ニトロ、ハロゲン、(シクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキル−アリール、アルキルへテロアリール、アルキル−ヘテロアリールおよび(ヘテロシクリル)アルキルからなる群より独立して選択され;
(CRR’)中のRおよびR’は、該組み合わせがシクロアルキル部分またはヘテロシクリル部分を形成するように、互いに連結され得;そして
はN(R)またはOである、
化合物。
【請求項2】
WがC=Oであり;そして
構造式2:
【化2】

によって表した前記部分が、
【化3】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
構造式2によって表した前記部分が、以下の構造:
【化4】

からなる群より選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
構造式2によって表した前記部分が、以下の構造:
【化5】

からなる群より選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
WがC=Oであり;そして
構造式2:
【化6】

によって表した前記部分が、
【化6A】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
構造式2によって表した前記部分が、以下の構造:
【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

からなる群より選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
構造式2によって表した前記部分が、以下の構造:
【化11】

【化12】

からなる群より選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
構造式2によって表した前記部分が、以下の構造:
【化13】

からなる群より選択される、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
構造式2によって表した前記部分が、以下の構造:
【化14】

からなる群より選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
WがC=Oであり;そして
構造式2:
【化15】

によって表される部分が、以下の構造:
【化16】

より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
構造式2によって表した前記部分が、以下の構造:
【化17】

【化18】

【化19】

からなる群より選択される、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
構造式2によって表した前記部分が、以下の構造:
【化20】

からなる群より選択される、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
WがC=Oであり;
構造式2:
【化21】

によって表した前記部分が、
【化21A】

であり;そして
20が以下の構造:
【化22】

からなる群より選択される、請求項10に記載の化合物。
【請求項14】
請求項10に記載の化合物であって、ただし、構造式2:
【化23】

によって表した前記部分が、
【化24】

である場合、Rが以下:H、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクリル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アミド、アリールチオアミノ、アリールカルボニルアミノ、アリールアミノカルボキシ、アルキルアミノカルボキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、アルケニル、アルキニル、アリール−アルキル、エステル、カルボン酸、カルバメート、尿素、ケトン、アルデヒド、シアノ、ニトロ、ハロゲン、(シクロアルキル)アルキル、アリール、アルキル−アリール、および(ヘテロシクリル)アルキルからなる群より選択され、ここで該シクロアルキル部分が、3〜8個の炭素原子、および0〜6個の酸素原子、窒素原子、硫黄原子、またはリン原子から構成される、化合物。
【請求項15】
WがC=Oであり;
構造式2:
【化25】

によって表した前記部分が、
【化26】

であり;そして
21およびR22は同じであっても異なってもよく、そして以下の構造:
【化27】

からなる群より独立して選択される、
請求項10に記載の化合物。
【請求項16】
請求項1に記載の化合物であって、ただし、構造式2:
【化28】

によって表した前記部分が、
【化29】

である場合、上に示した五員複素環が、以下:C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクリル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、アミド、アリールチオアミノ、アリールカルボニルアミノ、アリールアミノカルボキシ、アルキルアミノカルボキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、アルケニル、アルキニル、アリール−アルキル、ヘテロアリールアルキル、エステル、カルボン酸、カルバメート、尿素、ケトン、アルデヒド、シアノ、ニトロ、ハロゲン、(シクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキル−アリール、アルキルヘテロアリール、アルキル−ヘテロアリールおよび(ヘテロシクリル)アルキルからなる群より独立して選択される、少なくとも1つの置換基S’を有する、化合物。
【請求項17】
WがC=Oであり;そして
Capが以下の構造:
【化30】

【化31】

からなる群より選択され;
15、R16、R17、およびR18は、以下:H、C〜C10アルキル、C〜C10ヘテロアルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10ヘテロアルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10ヘテロアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキルおよびハロアルキルからなる群より独立して選択され;
15はR16と、該組み合わせが三員〜八員の環状構造であるように、互いに連結し得;そして
17はR18と、該組み合わせが四員〜八員の環状構造であるように、互いに連結し得る、
請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
Capが、以下の構造:
【化32】

【化33】

からなる群より選択され、
30が以下の構造:
【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

からなる群より選択され;
31が以下の構造:
【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

からなる群より選択され;
32が以下の構造:
【化45】

からなる群より選択され;
そしてY12が、H、COOH、COOMe、OMe、F、Cl、Br、NH、NHSOCH、NHCOCH、NO、SONH、CF、OH、OCF、CONH、Me、Et、イソプロピル、シクロプロピルまたはtert−ブチルより選択される、
請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
Capが以下の構造:
【化46】

からなる群より選択され;
30が以下の構造:
【化47】

【化48】

【化49】

【化50】

【化51】

からなる群より選択され;
そして、Y31が以下の構造:
【化52】

【化53】

からなる群より選択される、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
30およびY31が以下の構造:
【化54】

【化55】

【化56】

からなる群より独立して選択される、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
WがC=Oであり;
Capが以下の構造:
【化57】

【化58】

【化59】

【化60】

【化61】

【化62】

【化63】

からなる群より選択され;
11が、H、COOH、COOEt、OMe、Ph、OPh、NHMe、NHAc、NHPh、CH(Me)、1−トリアゾリル、1−イミダゾリルまたはNHCHCOOHであり;
12が、H、COOH、COOMe、OMe、F、Cl、Br、NH、NHSOCH、NHCOCH、NO、SONH、CF、Me、OHまたはCONHであり;
13が以下:
【化64】

より選択され;
14がMeSO、Ac、Boc、iBoc、Cbz、またはAllocであり;
15およびY16が、以下:アルキル、アリール、ヘテロアルキルおよびヘテロアリールからなる群より独立して選択され;
17がCF、NO、CONH、OH、COOCH、OCH、OC、C、COC、NHまたはCOOHであり;そして
18がCOOCH、NO、N(CH、F、OCH、CHCOOH、COOH、SONH、またはNHCOCHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
Capが以下の構造:
【化65】

【化66】

からなる群より選択され;
17がCF、NO、CONH、OH、NHまたはCOOHであり;そして
18がFまたはCOOHである、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
Capが以下の構造:
【化67】

【化68】

からなる群より選択される、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
WがC=Oであり;
が以下の構造:
【化69】

【化70】

からなる群より選択され;
51がH、COCH、COOtBuまたはCONHtBuであり;
31がOHまたはO−アルキルであり;
19が以下の構造:
【化71】

からなる群より選択され;
そして、Y20は以下の構造:
【化72】

からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
が以下の構造:
【化73】

【化74】

からなる群より選択される、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
が以下の構造:
【化75】

からなる群より選択される、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
WがC=Oであり;
P’が以下の構造:
【化76】

【化77】

からなる群より選択され;
11およびR12が、以下:H、メチル、エチル、プロピル、プロパルギル、アリル、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチル、ベンジル、フェニル、2−ピリジル、3−ピリジル、2−チアフェニル、α−メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル、1−メチルシクロプロピル、1−メチルシクロペンチルおよび
【化78】

からなる群より、独立して選択され;そして
12が、H、COOH、COOMe、OMe、F、Cl、Br、NH、NHSOCH、CON(CH、NHCOCH、COOtBu、NO、SONH、CF、Me、Et、OH、OCF、およびCONHより独立して選択される1つ以上の置換基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
P’が以下の構造:
【化79】

【化80】

【化81】

からなる群より選択され、
ここで、Y12がH、F、Cl、Br、Me、Et、OH、OMe、OEt、およびNHから選択される、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
P’が以下の構造:
【化82】

【化83】

からなる群より選択される、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
構造式7:
【化84】

で表され、ここで、XがCH、F、ClまたはBrである、請求項1に記載の化合物。
【請求項31】
Capが以下の構造:
【化85】

からなる群より選択され、ここで、Y30が以下の構造:
【化86】

【化87】

からなる群より選択される、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
Capが以下の構造:
【化88】

からなる群より選択され、
ここで、Y30が以下の構造:
【化89】

【化90】

からなる群より選択される、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
P’が以下の構造:
【化91】

【化92】

からなる群より選択される、請求項30に記載の化合物。
【請求項34】
P’が以下の構造:
【化93】

からなる群より選択される、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
WがC=Oである、請求項30に記載の化合物。
【請求項36】
が以下の構造:
【化94】

からなる群より選択される、請求項30に記載の化合物。
【請求項37】
Capが以下の構造:
【化95】

からなる群より選択され、
ここで、Y30は以下の構造:
【化96】

【化97】

からなる群より選択され、
P’が以下の構造:
【化98】

【化99】

からなる群より選択され、

【化100】

であり、
そしてWがC=Oである、請求項30に記載の化合物。
【請求項38】
Capが以下の構造:
【化101】

からなる群より選択され、
ここで、Y30が以下の構造:
【化102】

【化103】

からなる群より選択される、請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
以下の構造:
【化104】

から選択される化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項40】
以下の構造:
【化105】

【化106】

【化107】

【化108】

【化109】

【化110】

【化111】

【化112】

【化113】

から選択される化合物、または、その薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項41】
以下の構造:
【化114】

【化115】

【化116】

【化117】

【化118】

【化119】

【化120】

【化121】

【化122】

【化123】

【化124】

【化125】

【化126】

から選択される化合物、または、その薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項42】
請求項1に記載の化合物であって、ただし、RがOである場合、P’がHでない、化合物。
【請求項43】
活性な成分として、少なくとも1つの請求項1の化合物を含む、薬学的組成物。
【請求項44】
HCVと関連する障害の処置における使用に適した、請求項43に記載の薬学的組成物。
【請求項45】
薬学的に受容可能なキャリアをさらに含む、請求項44に記載の薬学的組成物。
【請求項46】
抗ウイルス薬をさらに含む、請求項45に記載の薬学的組成物。
【請求項47】
インターフェロンまたはペグ化したインターフェロンをさらに含む、請求項46に記載の薬学的組成物。
【請求項48】
前記抗ウイルス薬がリバビリンであり、そして前記インターフェロンがα−インターフェロンである、請求項47に記載の薬学的組成物。
【請求項49】
前記HCVプロテアーゼに関連した障害を処置するための方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物を含む薬学的組成物を、このような処置が必要な患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項50】
前記投与が皮下である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記投与が経口である、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記HCVプロテアーゼに関連した障害を処置するための医薬の製造のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項53】
精製された形態の、請求項1の化合物。

【公表番号】特表2007−526236(P2007−526236A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524784(P2006−524784)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/027422
【国際公開番号】WO2005/021584
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】