説明

C型肝炎治療

【課題】HCVウイルスポリメラーゼを阻害する化合物を提供すること。
【解決手段】本発明は、特定の縮合フラン化合物、縮合チオフェン化合物および縮合ピロール化合物、特に、B型肝炎ウイルスポリメラーゼ、C型肝炎ウイルスポリメラーゼ、ポリオウイルスポリメラーゼ、コクサッキーAウイルスポリメラーゼ、コクサッキーBウイルスポリメラーゼ、ライノウイルスポリメラーゼ、エコーウイルスポリメラーゼ、天然痘ウイルスポリメラーゼ、エボラウイルスポリメラーゼおよび西ナイルウイルスポリメラーゼのインヒビターとして有用な、縮合フラン化合物、縮合チオフェン化合物および縮合ピロール化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本特許文書は、2005年3月29日出願の米国仮出願第60/665,832号;2005年6月22日出願の米国仮出願第60/692,572号;および2005年10月29日出願の国際出願第PCT/US2005/039072号の優先権を主張しており、これらの出願は、本明細書において参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ウイルス性疾患は、世界の死亡および経済損失の主要な原因である。Flaviviridaeウイルスファミリーは以下の三属からなる:フラビウイルス属(デングウイルス、西ナイルウイルスおよび黄熱病ウイルスを含む)、ヘパシウイルス属(HCV)およびペスチウイルス族(ウシウイルス性下痢性ウイルス、BVDVを含む)。このファミリーのメンバーによって引き起こされる疾患状態および状態としては、黄熱病、デング熱、日本脳炎、セントルイス脳炎、B型肝炎およびC型肝炎、西ナイル病、およびAIDSが挙げられる。現在、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染、B型肝炎ウイルス(HBV)感染およびC型肝炎ウイルス(HCV)感染が、世界の最多数のウイルス関連死の原因である。HIVを処置するのに有用な薬物はいくつかあるが、HBVを処置するのに有用な薬物は僅かであり、HCVを処置するのに広く有用な薬物はない。
【0003】
リバビリン(1−β−D−リボフラノシル−1−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミド)は、合成の非インターフェロン誘導性広域スペクトル抗ウイルスヌクレオシドである。リバビリンは、構造的にグアノシンと類似しており、数種のDNAウイルスおよびRNAウイルス(Flaviviridaeを含む)に対してインビトロ活性を有する(非特許文献1)。リバビリンは、血清アミノトランスフェラーゼレベルを、患者の40%において正常レベルに低下させるが、HCV−RNAの血清レベルを低下させない(非特許文献1)。したがって、リバビリンのみでは、ウイルスRNAレベルを低下させるのに有効ではない。更に、リバビリンは重大な毒性を有し、貧血を誘発することが知られている。
【0004】
インターフェロン(IFN)は、10年間近く、慢性肝炎の処置用に市販されてきた化合物である。IFNは、ウイルス感染に応答して免疫細胞により生成される糖タンパク質である。IFNは、多くのウイルス(HCVを含む)のウイルス複製を阻害する。C型肝炎感染の単独処置として使用される場合、IFNは、血清HCV−RNAを検出不可能なレベルに抑制する。更に、IFNは、血清アミノトランスフェラーゼレベルを正常化する。あいにく、IFNの効果は一時的であり、持続的な応答は、HCVに慢性的に感染した患者のたった8%〜9%において生ずる(非特許文献1)。
【0005】
HCVは、十分に特徴づけられたRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)および十分に特徴づけられた疾患進行を有するプラス一本鎖RNAウイルスである。HCVには世界の約1憶7,000万人が感染し、その疾患により主要な健康危機をもたらしている。実際のところ、次の数年間で、HCV関連肝疾患および肝細胞癌による死者数は、AIDSによる死者数を上回り得る。エジプトは、世界でも最も深刻な打撃を受けている国であり、23%の国民が、上記ウイルスを有していると推定され;一方、米国では慢性感染症の罹患率が、近年、約1.87%(270万人)であると算定された。HCV感染は、約50%の患者で慢性となる。このうち約20%が、肝不全(肝細胞癌を含む)をもたらし得る肝硬変を発病している。
【0006】
HCVのNS5B領域は、ウイルスゲノム複製の原因であると考えられている65KDaRdRpをコードする。RdRpは、全てのプラス鎖ウイルスの複製に必要とされるウイルスレプリカーゼの触媒サブユニットとして機能する。NS5Bタンパク質は、RdRpの保存されたGDDモチーフを有することが示され十分に特徴づけられており、インビトロアッセイ系が報告された。細胞局在(cellular localization)研究により、NS5Bが、NS5Aと同様に小胞体で膜会合していることが明らかにされ、これにより、これら2つのタンパク質が、タンパク分解処理後も互いに会合したままであり得ることが示唆される。更なる証拠により、NS3、NS4AおよびNS5Bが互いに作用し合い、HCVの複製機構の一部として機能する複合体を形成することが示唆される。
【0007】
NS5Bアポ酵素のX線結晶構造が決定され、ごく最近の三つの刊行物が、珍しい形状の分子を記載している。平たい球体に似たポリメラーゼのこの独特の形状は、活性部位が完全に取り囲まれ、幅15Åおよび深さ20Åの空洞を形成するような、指(fingers)サブドメインおよび親指(thumb)サブドメイン間の広範な相互作用によるものと考えられている。モデリング研究により、NS5Bアポ酵素が、サブドメインの大きな移動なしにテンプレート−プライマーを調節し得ることが示され、これにより、重合反応の間、構造が保存されることを示唆される。Flaviviridaeファミリーおよび他のウイルスファミリーの種々のメンバー由来のRdRbポリペプチドが保存されることが示された(非特許文献2)。
【0008】
ウイルス性疾患は、世界の死亡および経済損失の主要な原因の1つである。種々のウイルス性疾患のうちでも、HIV感染、HBV感染およびHCV感染がより重要であり、多数の死亡の原因となっている。HIVに対する薬物はいくつかあり、HBVに対する薬物も僅かにあるが、HCVに対する有効な薬物はない。C型肝炎は、ウイルス性肝疾患であり、C型肝炎ウイルス(HCV)への感染により引き起こされる。世界では、約1憶7,000万人が慢性HCV感染症に罹っており、米国にはそのうちの約270万人がいる。HCVは、肝硬変の主要な原因であり、肝細胞癌の一般的な原因であり、そして米国における肝移植の主要な原因である。現今、α−インターフェロンによる単剤療法(monotherapy)およびα−インターフェロン−リバビリンによる併用療法のみが、HCVに対する承認された処置である。
【0009】
特許文献1は、白血病細胞の増殖を阻害すると報告される特定の化合物に関する。上記特許の背景の項において、β−グリコシル C−ヌクレオシド化合物の中にはいくらかの抗ウイルス活性を有するものがあると思われることが述べられている。上記特許には、いずれの化合物についても報告される抗ウイルスデータはなく、β−グリコシル C−ヌクレオシド化合物がどのウイルスに対する活性を有し得るのかに関する開示もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,584,369号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Davis.Gastroenterology、2000年、118:S104−S114
【非特許文献2】J.A.Bruenn、Nucleic Acids Research、1991年、Vol.19、No.2、p.217
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
特定の化合物が、Flaviviridaeウイルスファミリー由来のウイルスポリメラーゼ、すなわち、HCVウイルスポリメラーゼを阻害することが見出された。したがって、本発明は、特定の縮合フラン化合物、縮合チオフェン化合物および縮合ピロール化合物、特に、B型肝炎ウイルスポリメラーゼ、C型肝炎ウイルスポリメラーゼ、ポリオウイルスポリメラーゼ、コクサッキーAウイルスポリメラーゼ、コクサッキーBウイルスポリメラーゼ、ライノウイルスポリメラーゼ、エコーウイルスポリメラーゼ、天然痘ウイルスポリメラーゼ、エボラウイルスポリメラーゼおよび西ナイルウイルスポリメラーゼのインヒビターとして有用な、縮合フラン化合物、縮合チオフェン化合物および縮合ピロール化合物に関する。
【0013】
一実施形態において、本発明は、式I:
【0014】
【化14】


の化合物であって、ここで:
X=NまたはCHであり;
Y=O、SまたはN−Rであり;
Rは、OR、SR、NR、NRNR、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、
【0015】
【化15】


であり;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
は、H、NR、Cl、F、OR、SR、NHCOR、NHSO、NHCONHR、CN、アルキル、アリール、ONR、またはNRC(O)ORであり;
は、リボース、2−デオキシリボース;2−デオキシ−2−フルオロリボース;アラビノース;2−デオキシ−2−フルオロアラビノース;2,3−ジデオキシリボース;2,3−ジデオキシ−2−フルオロアラビノース;2,3−ジデオキシ−3−フルオロリボース;2,3−ジデオキシ−2,3−ジデヒドロリボース;2,3−ジデオキシ−3−アジドリボース;2,3−ジデオキシ−3−チアリボース;または2,3−ジデオキシ−3−オキサリボースであり;
は、H、アルキル、アリール、F、Cl、CN、COHまたはNHであり;そして
は、H、OH、アルキル、アリール、−COO−アルキル、CONH、CONH−アルキル、O−C(O)−アルキル、O−C(O)−アリールまたはアルコキシであり;
、R、RおよびRは、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、複素環式、アリール、置換アリール、アシル、置換アシル、SO−アルキルOH、−COO−アルキル、CONH、CONH−アルキル、O−C(O)−アルキル、O−C(O)−アリールアルコキシおよびNOからなる群より独立して選択されるか;あるいは、RおよびRが、それらと結合する窒素と一緒に、ピロリジノ環、ピペリジノ環、ピペラジノ環、アゼチジノ環、モルホリノ環、ピロリノ環もしくはチオモルホリノ環を形成するか;または、RおよびRが、それらと結合する窒素と一緒に、ピロリジノ環、ピペリジノ環、ピペラジノ環、アゼチジノ環、モルホリノ環、ピロリノ環もしくはチオモルホリノ環を形成し;ここで、RおよびRまたはRおよびRによって形成されるいずれの環も、1つ以上のヒドロキシル、ハロ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニルまたは置換アルキニルで必要に応じて置換され;そして
、RおよびRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、複素環式、アリール、アシル、SO−アルキルおよびNOからなる群より独立して選択され;あるいは、RおよびRが、それらと結合する窒素と一緒に、ピロリジノ環、ピペリジノ環、ピペラジノ環、アゼチジノ環、モルホリノ環、ピロリノ環もしくはチオモルホリノ環を形成するか;または、RおよびRが、それらと結合する窒素と一緒に、ピロリジノ環、ピペリジノ環、ピペラジノ環、アゼチジノ環、モルホリノ環、ピロリノ環もしくはチオモルホリノ環を形成する
化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはプロドラッグの
B型肝炎ウイルス感染、C型肝炎ウイルス感染、ポリオウイルス感染、コクサッキーAウイルス感染、コクサッキーBウイルス感染、ライノウイルス感染、エコーウイルス感染、天然痘ウイルス感染、エボラウイルス感染または西ナイルウイルス感染の処置のための薬剤の製造における使用を提供する。
【0016】
式Iの特定の化合物は新規である。したがって、本発明はまた、本明細書中に記載されるような新規の式Iの化合物、並びにそれらの薬学的に受容可能な塩およびプロドラッグを提供する。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、B型肝炎、C型肝炎、ポリオ、コクサッキーAおよびB、ライノ、エコー、天然痘、エボラおよび西ナイルより選択される、動物におけるウイルス感染を処置するための方法を提供し、この方法は、上記動物に有効量の式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくはプロドラッグを投与する工程を包含する。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、HCV RNAポリメラーゼまたはHCV DNAポリメラーゼを阻害する方法を提供し、この方法は、上記ポリメラーゼをインビトロまたはインビボで有効阻害量の式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはプロドラッグと接触させる工程を包含する。
【0019】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはプロドラッグ;および薬学的に受容可能なキャリヤーを含む薬学的組成物を提供する。この組成物は、1種以上の更なる抗ウイルス剤、免疫調節因子またはインターフェロン誘発因子を必要に応じて含み得る(Kurimoto et.al.,Bioorganic and Med.Chem,2003,11,5501−5508;and Hirota et al.J.Med.Chem.2002,45,5419−5422参照)。
【0020】
別の実施形態において、本発明は、動物におけるC型肝炎を処置するための方法を提供し、この方法は、動物に有効量の式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはプロドラッグを投与する工程を包含する。上記方法は、更に1種以上の更なる抗ウイルス剤、免疫調節因子またはインターフェロン誘発因子を投与する工程を、必要に応じて含み得る。
【0021】
別の実施形態において、本発明は、HCV RNAポリメラーゼまたはHCV DNAポリメラーゼを阻害する方法を提供し、この方法は、上記ポリメラーゼを(インビトロまたはインビボで)有効阻害量の式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはプロドラッグと接触させる工程を包含する。
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
式I:
【化1】


の化合物であって、ここで:
X=NまたはCHであり;
Y=O、SまたはN−Rであり;
Rは、OR、SR、NR、NRNR、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、
【化2】


であり;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
は、H、NR、Cl、F、OR、SR、NHCOR、NHSO、NHCONHR、CN、アルキル、アリール、ONR、またはNRC(O)ORであり;
は、リボース、2−デオキシリボース;2−デオキシ−2−フルオロリボース;アラビノース;2−デオキシ−2−フルオロアラビノース;2,3−ジデオキシリボース;2,3−ジデオキシ−2−フルオロアラビノース;2,3−ジデオキシ−3−フルオロリボース;2,3−ジデオキシ−2,3−ジデヒドロリボース;2,3−ジデオキシ−3−アジドリボース;2,3−ジデオキシ−3−チアリボース;または2,3−ジデオキシ−3−オキサリボースであり;
は、H、アルキル、アリール、F、Cl、CN、COHまたはNHであり;そして
は、H、OH、アルキル、アリール、−COO−アルキル、CONH、CONH−アルキル、O−C(O)−アルキル、O−C(O)−アリールまたはアルコキシであり;
、R、RおよびRは、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、複素環式、アリール、置換アリール、アシル、置換アシル、SO−アルキルOH、−COO−アルキル、CONH、CONH−アルキル、O−C(O)−アルキル、O−C(O)−アリールアルコキシおよびNOからなる群より独立して選択され;あるいは、RおよびRが、それらと結合する窒素と一緒に、ピロリジノ環、ピペリジノ環、ピペラジノ環、アゼチジノ環、モルホリノ環、ピロリノ環もしくはチオモルホリノ環を形成するか;または、RおよびRが、それらと結合する窒素と一緒に、ピロリジノ環、ピペリジノ環、ピペラジノ環、アゼチジノ環、モルホリノ環、ピロリノ環もしくはチオモルホリノ環を形成し;ここで、RおよびRまたはRおよびRによって形成される環はいずれも、1つ以上のヒドロキシル、ハロ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニルまたは置換アルキニルで必要に応じて置換され;そして
、RおよびRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、複素環式、アリール、アシル、SO−アルキルおよびNOからなる群より独立して選択され;あるいは、RおよびRが、それらと結合する窒素と一緒に、ピロリジノ環、ピペリジノ環、ピペラジノ環、アゼチジノ環、モルホリノ環、ピロリノ環もしくはチオモルホリノ環を形成するか;または、RおよびRが、それらと結合する窒素と一緒に、ピロリジノ環、ピペリジノ環、ピペラジノ環、アゼチジノ環、モルホリノ環、ピロリノ環もしくはチオモルホリノ環を形成する
化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはプロドラッグの
B型肝炎ウイルス感染、C型肝炎ウイルス感染、ポリオウイルス感染、コクサッキーAウイルス感染、コクサッキーBウイルス感染、ライノウイルス感染、エコーウイルス感染、天然痘ウイルス感染、エボラウイルス感染または西ナイルウイルス感染の処置のための薬剤の製造における、使用。
(項目2)
項目1に記載の使用であって、前記式Iの化合物が、以下の式:
【化3】


の化合物であって、ここで:
Yは、OまたはSであり;
Rは、OR、SR、NR、NRNR、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、
【化4】


であり、
nは、0〜5であり;
は、H、NR、Cl、F、OR、SR、NHCOR、NHSO、NHCONHR、CN、アルキル、アリール、ONR、またはNRC(O)ORであり;
は、リボース、2−デオキシリボース;2−デオキシ−2−フルオロリボース;アラビノース;2−デオキシ−2−フルオロアラビノース;2,3−ジデオキシリボース;2,3−ジデオキシ−2−フルオロアラビノース;2,3−ジデオキシ−3−フルオロリボース;2,3−ジデオキシ−2,3−ジデヒドロリボース;2,3−ジデオキシ−3−アジドリボース;2,3−ジデオキシ−3−チアリボース;または2,3−ジデオキシ−3−オキサリボースであり;そして
、R、RおよびRは、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、複素環、アリール、置換アリール、アシル、置換アシル、SO−アルキルおよびNOからなる群より独立して選択され;あるいは、RおよびRが、それらと結合する窒素と一緒に、ピロリジノ環、ピペリジノ環、ピペラジノ環、アゼチジノ環、モルホリノ環もしくはチオモルホリノ環を形成するか;または、RおよびRが、それらと結合する窒素と一緒に、ピロリジノ環、ピペリジノ環、ピペラジノ環、アゼチジノ環、モルホリノ環もしくはチオモルホリノ環を形成している
化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはプロドラッグの、使用。
(項目3)
項目1に記載の使用であって、前記化合物が、式:
【化5】


を有し、ここで、
X=NまたはCHであり;
Y=O、SまたはN−Rであり;
R=OR、NHR、NR、NHNHR、NRNHR、SR、アルキル、アリール、Cl、NROR、NRNOまたはNHCONHRであり;
=H、NHR、Cl、F、OR、SR、NHCOR、NHSO、NHCONHR、CN、アルキル、アリールまたはNRであり;
=リボース、2−デオキシリボース;2−デオキシ−2−フルオロリボース;アラビノース;2−デオキシ−2−フルオロアラビノース;2,3−ジデオキシリボース;2,3−ジデオキシ−2−フルオロアラビノース;2,3−ジデオキシ−3−フルオロリボース;2,3−ジデオキシ−2,3−ジデヒドロリボース;2,3−ジデオキシ−3−アジドリボース;2,3−ジデオキシ−3−チアリボース;または2,3−ジデオキシ−3−オキサリボースであり;
=H、アルキル、アリール、F、Cl、CN、COHまたはNHであり;
=H、OH、アルキル、アリール、−COO−アルキル、CONH、CONH−アルキル、O−C(O)−アルキル、O−C(O)−アリールまたはアルコキシであり;
=アルキル、アリール、OHまたはアルコキシである、
化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはプロドラッグの、使用。
(項目4)
項目3に記載の使用であり、Y=NHまたはSであり、R=NH、OH、SH、アルキルアミノ、アルキルオキシまたはアルキルチオである場合は、Rは、リボースでも2−デオキシリボースでもない、使用。
(項目5)
項目1に記載の使用であって、前記化合物が、式:
【化6】


を有し、ここで:
Rは、OR、SR、NR、NRNR、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、
【化7】


であり;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
は、H、NR、Cl、F、OR、SR、NHCOR、NHSO、NHCONHR、CN、アルキル、アリール、ONR、またはNRC(O)ORであり;
がHであって、RがOHであるか;または、RがOHであって、RがHであり;
は、OH、アルキル−O−、アルキルC(=O)O、アルキル−S−、またはアルキルC(=O)−S−であり;
は、OH、アルキル−O−、アルキルC(=O)O、アルキル−S−、またはアルキルC(=O)−S−であり;
、R、RおよびRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、複素環式、アリール、アシル、SO−アルキルおよびNOからなる群より独立して選択され;あるいは、RおよびRが、それらと結合する窒素と一緒に、ピロリジノ環、ピペリジノ環、ピペラジノ環、アゼチジノ環、モルホリノ環、ピロリノ環もしくはチオモルホリノ環を形成するか;または、RおよびRが、それらと結合する窒素と一緒に、ピロリジノ環、ピペリジノ環、ピペラジノ環、アゼチジノ環、モルホリノ環、ピロリノ環もしくはチオモルホリノ環を形成し;
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、複素環式、アリール、アシル、SO−アルキルまたはNOであり;そして、Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、複素環式、アリール、アシル、SO−アルキルおよびNOであるか;または、RおよびRは、それらと結合する窒素と一緒に、ピロリジノ環、ピペリジノ環、ピペラジノ環、アゼチジノ環、モルホリノ環、ピロリノ環もしくはチオモルホリノ環を形成し;該環は、1つ以上のハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルケニルまたはアルキニルで必要に応じて置換され;
ここで、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニルまたはアシルはいずれも、アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、オキシアシル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、N、カルボキシル、カルボキシルエステル、チオール、チオアルキル、チオアリール、チオヘテロアリール、チオシクロアルキル、チオ複素環式、シクロアルキル、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群より選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換され;
ここで、アリール、ヘテロアリールまたは複素環式はいずれも、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、オキシアシル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、N、カルボキシル、カルボキシルエステル、チオール、チオアルキル、チオアリール、チオヘテロアリール、チオシクロアルキル、チオ複素環式、シクロアルキル、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群より選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換されている、
化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはプロドラッグの、使用。
(項目6)
項目1に記載の使用であって、前記ウイルス感染が、C型肝炎である、使用。
(項目7)
項目5に記載の使用であって、Rが、OR、Cl、SR、NR、アリールまたはNRNRである、使用。
(項目8)
項目5に記載の使用であって、Rが、ヒドロキシ、クロロ、メトキシ、メルカプト、メチルチオ、メチルアミノ、イソプロピルアミノ、プロピルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、シクロプロピルアミノ、2−アミノエチルアミノ、1−(2−ヒドロキシエチル)ヒドラジノ、ヒドラジノ、1−メチルヒドラジノ、アゼチジノ、ピロリジノ、イミダゾリルプロピルアミノ、ピロリノ、モルホリノ、ピペラジノ、ヒドロキシエチルアミノ、ビス−ヒドロキシエチルアミノ、ヒドロキシプロピルアミノ、ヒドロキシエチルピロリジノまたは1−メチル−2−ヒドロキシエチルアミノである、使用。
(項目9)
項目5〜8のいずれか1項に記載の使用であって、RがNRである、使用。
(項目10)
項目5に記載の使用であって、前記化合物が、4−メチルアミノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−エチルアミノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−イソプロピルアミノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−ジメチルアミノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−n−プロピルアミノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−(N−3−ピロリノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−(2−ヒドロキシメチルピロリジノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−(3−N−イミダゾリル−n−プロピルアミノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−N−モルホリノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−N−ピペラジノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−(ヒドロキシエチルアミノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−(N−ビス−ヒドロキシエチルアミノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−(3−ヒドロキシプロピルアミノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;または、4−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチルアミノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジンである化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはプロドラッグの、使用。
(項目11)
項目5〜10のいずれか1項に記載の使用であって、前記化合物がプロドラッグである、使用。
(項目12)
項目5〜11のいずれか1項に記載の使用であって、前記式Iの化合物が、1つ以上の一リン酸基、二リン酸基または三リン酸基を含む、使用。
(項目13)
項目5〜10のいずれか1項に記載の使用であって、前記式Iの化合物が、1つ以上の一リン酸基を含む、使用。
(項目14)
項目12または13に記載の使用であって、前記化合物がプロドラッグである、使用。
(項目15)
項目12に記載の使用であって、前記1つ以上のペンダント一リン酸基、ペンダント二リン酸基またはペンダント三リン酸基の1つ以上のリン原子が、1つ以上のアルコキシ基またはアリールオキシ基と結合している、使用。
(項目16)
項目12に記載の使用であって、前記ペンダント一リン酸基、ペンダント二リン酸基またはペンダント三リン酸基の1つ以上のリン原子が、1つ以上の基R−O−と結合しており;ここで、各Rは、独立して、1個〜20個の炭素の分枝または非分枝の飽和鎖または不飽和鎖であり;ここで、1つ以上の炭素原子が、−O−または−S−で必要に応じて置換されており、かつ1つ以上の炭素原子が、オキソ(=O)またはチオキソ(=S)で必要に応じて置換されている、使用。
(項目17)
項目12に記載の使用であって、前記1つ以上のペンダント一リン酸基、ペンダント二リン酸基またはペンダント三リン酸基の1つ以上のリン原子が、1つ以上の基R−N−と結合しており;ここで、各Rは、アミノ酸の残基である、使用。
(項目18)
項目17に記載の使用であって、前記アミノ酸が、天然アミノ酸である、使用。
(項目19)
項目12に記載の使用であって、前記式Iの化合物が、1つ以上の式:
【化8】


の基を含み、ここで:
15は、H、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、複素環式またはアミノ酸であり;
16が、H、アリールまたはヘテロアリールであり;R17が、H、ハロゲン、
【化9】


であるか;または、R16およびR17は、3個〜5個の更なる原子を介し連結して環式基を形成しており、該環式基は、必要に応じて1つのヘテロ原子を含み、リンと結合するOに対してβ位およびγ位にてアリール基と縮合し;あるいは、R17およびR18は、下記のように連結され;
18およびR19は、各々独立して、H、アルキル、アリール、アラルキル、アリールまたはヘテロアリールであるか;または、R18およびR19は、2個から5個の更なる原子を介し連結して環式基を形成し、該環式基は、必要に応じて0〜2個のヘテロ原子を含み;あるいは、R17およびR18は、3個〜5個の更なる原子を介し連結して環式基を形成し、必要に応じて1つのヘテロ原子を含み、R19は、H、アルキル、アリール、アラルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
20は、アルキル、アリールまたはアリールアルキルであり;
21は、H、アルキル、アリールまたはアリールアルキルであり;
22は、Hまたは低級アシルであり;
pは、2〜3の整数であり;
ここで、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニルまたはアシルはいずれも、アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、オキシアシル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、N、カルボキシル、カルボキシルエステル、チオール、チオアルキル、チオアリール、チオヘテロアリール、チオシクロアルキル、チオ複素環式、シクロアルキル、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群より選択される1個〜3個の置換基で必要に応じて置換され;
ここで、アリール、ヘテロアリールまたは複素環はいずれも、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、オキシアシル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、N、カルボキシル、カルボキシルエステル、チオール、チオアルキル、チオアリール、チオヘテロアリール、チオシクロアルキル、チオ複素環式、シクロアルキル、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群より選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換されている
化合物の、使用。
(項目20)
項目6に記載の使用であって、前記プロドラッグは、式Iの化合物であり、ここで、R、RおよびRのうちの1つ以上は、アシルオキシ、アシルアミノまたはR−Oであり;Rは、カルボキシと連結するアミノ酸である、使用。
(項目21)
式:
【化10】


の化合物であって、ここで:
Rは、OR、SR、NR、NRNR、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、
【化11】


であり、
nは、0、1、2、3、4または5であり;
は、H、NR、Cl、F、OR、SR、NHCOR、NHSO、NHCONHR、CN、アルキル、アリール、ONR、またはNRC(O)ORであり;
がHであって、RがOHであるか;または、RがOHであって、RがHであり;
は、OH、アルキル−O−、アルキルC(=O)O、アルキル−S−、またはアルキルC(=O)−S−であり;
は、OH、アルキル−O−、アルキルC(=O)O、アルキル−S−、またはアルキルC(=O)−S−であり;
、R、RおよびRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、複素環式、アリール、アシル、SO−アルキルおよびNOからなる群より独立して選択され;あるいは、RおよびRが、それらと結合する窒素と一緒に、ピロリジノ環、ピペリジノ環、ピペラジノ環、アゼチジノ環、モルホリノ環、ピロリノ環もしくはチオモルホリノ環を形成するか;または、RおよびRが、それらと結合する窒素と一緒に、ピロリジノ環、ピペリジノ環、ピペラジノ環、アゼチジノ環、モルホリノ環、ピロリノ環もしくはチオモルホリノ環を形成し;
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、複素環式、アリール、アシル、SO−アルキルまたはNOであり;そして、Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、複素環式、アリール、アシル、SO−アルキルおよびNOであり;あるいは、RおよびRは、それらと結合する窒素と一緒に、ピロリジノ環、ピペリジノ環、ピペラジノ環、アゼチジノ環、モルホリノ環、ピロリノ環もしくはチオモルホリノ環を形成し;該環は、1つ以上のハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルケニルまたはアルキニルで必要に応じて置換され;
ここで、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニルまたはアシルはいずれも、アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、オキシアシル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、N、カルボキシル、カルボキシルエステル、チオール、チオアルキル、チオアリール、チオヘテロアリール、チオシクロアルキル、チオ複素環式、シクロアルキル、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群より選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換され;
ここで、アリール、ヘテロアリールまたは複素環はいずれも、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、オキシアシル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、N、カルボキシル、カルボキシルエステル、チオール、チオアルキル、チオアリール、チオヘテロアリール、チオシクロアルキル、チオ複素環式、シクロアルキル、ヘテロアリールおよび複素環からなる群より選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換されている、
化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはプロドラッグ。
(項目22)
項目21に記載の化合物であって、Rが、OR、Cl、SR、NR、アリールまたはNRNRである、化合物。
(項目23)
項目21に記載の化合物であって、Rが、ヒドロキシ、クロロ、メトキシ、メルカプト、メチルチオ、メチルアミノ、イソプロピルアミノ、プロピルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、シクロプロピルアミノ、2−アミノエチルアミノ、1−(2−ヒドロキシエチル)ヒドラジノ、ヒドラジノ、1−メチルヒドラジノ、アゼチジノ、ピロリジノ、イミダゾリルプロピルアミノ、ピロリノ、モルホリノ、ピペラジノ、ヒドロキシエチルアミノ、ビス−ヒドロキシエチルアミノ、ヒドロキシプロピルアミノ、ヒドロキシエチルピロリジノまたは1−メチル−2−ヒドロキシエチルアミノである、化合物。
(項目24)
項目21〜23のいずれか1項に記載の化合物であって、RがNRである、化合物。
(項目25)
項目21に記載の化合物であって、4−メチルアミノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−エチルアミノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−イソプロピルアミノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−ジメチルアミノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−n−プロピルアミノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−(N−3−ピロリノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−(2−ヒドロキシメチルピロリジノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−(3−N−イミダゾリル−n−プロピルアミノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−N−モルホリノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−N−ピペラジノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−(ヒドロキシエチルアミノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−(N−ビス−ヒドロキシエチルアミノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−(3−ヒドロキシプロピルアミノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;または、4−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチルアミノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジンである、化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはプロドラッグ。
(項目26)
項目21〜25のいずれか1項に記載の化合物であって、プロドラッグである、化合物。
(項目27)
項目21〜26のいずれか1項に記載の化合物であって、前記式Iの化合物が、1つ以上の一リン酸基、二リン酸基または三リン酸基を含む、化合物。
(項目28)
項目21〜25のいずれか1項に記載の化合物であって、前記式Iの化合物が、1つ以上の一リン酸基を含む、化合物。
(項目29)
項目27または28に記載の化合物であって、該化合物がプロドラッグである、化合物。
(項目30)
項目27に記載の化合物であって、前記1つ以上のペンダント一リン酸基、ペンダント二リン酸基またはペンダント三リン酸基の1つ以上のリン原子が、1つ以上のアルコキシ基またはアリールオキシ基と結合している、化合物。
(項目31)
項目27に記載の化合物であって、前記ペンダント一リン酸基、ペンダント二リン酸基またはペンダント三リン酸基の1つ以上のリン原子が、1つ以上の基R−O−と結合しており;ここで、各Rは、独立して、1個〜20個の炭素の分枝または非分枝の飽和鎖もしくは不飽和鎖であり、ここで、1つ以上の炭素原子が、−O−または−S−で必要に応じて置換されており、かつ1つ以上の炭素原子が、オキソ(=O)またはチオキソ(=S)で必要に応じて置換されている、化合物。
(項目32)
項目27に記載の化合物であって、前記1つ以上のペンダント一リン酸基、ペンダント二リン酸基またはペンダント三リン酸基の1つ以上のリン原子が、1つ以上の基R−N−と結合しており;ここで、各Rは、アミノ酸の残基である、化合物。
(項目33)
項目32に記載の化合物であって、前記アミノ酸が、天然アミノ酸である、化合物。
(項目34)
項目27に記載の化合物であって、前記式Iの化合物が、式:
【化12】


のうちの1つ以上の基を含み、ここで:
15は、H、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、複素環式またはアミノ酸であり;
16は、H、アリールまたはヘテロアリールであり;R17は、H、ハロゲン、
【化13】


であるか;または、R16およびR17は、3個〜5個の更なる原子を介し連結されて環式基を形成し、該環式基は、必要に応じて1つのヘテロ原子を含み、リンと結合するOに対してβ位およびγ位にてアリール基と縮合し;あるいは、R17およびR18は、下記のように連結され;
18およびR19は、各々独立して、H、アルキル、アリール、アラルキル、アリールまたはヘテロアリールであるか;または、R18およびR19は、2個から5個の更なる原子を介し連結して環式基を形成し、該環式基は、必要に応じて0〜2個のヘテロ原子を含み;あるいは、R17およびR18は、3個〜5個の更なる原子を介し連結して環式基を形成し、必要に応じて1つのヘテロ原子を含み、R19は、H、アルキル、アリール、アラルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
20は、アルキル、アリールまたはアリールアルキルであり;
21は、H、アルキル、アリールまたはアリールアルキルであり;
22は、Hまたは低級アシルであり;
pは、2〜3の整数であり;
ここで、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニルまたはアシルはいずれも、アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、オキシアシル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、N、カルボキシル、カルボキシルエステル、チオール、チオアルキル、チオアリール、チオヘテロアリール、チオシクロアルキル、チオ複素環、シクロアルキル、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群より選択される1個〜3個の置換基で必要に応じて置換され;
ここで、アリール、ヘテロアリールまたは複素環はいずれも、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、オキシアシル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、N、カルボキシル、カルボキシルエステル、チオール、チオアルキル、チオアリール、チオヘテロアリール、チオシクロアルキル、チオ複素環式、シクロアルキル、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群より選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換されている、
化合物。
(項目35)
項目21に記載の化合物であって、前記プロドラッグが、R、RおよびRのうちの1つ以上が、アシルオキシ、アシルアミノまたはR−Oであり;ここで、Rが、カルボキシと連結したアミノ酸である式Iの化合物である、化合物。
(項目36)
B型肝炎、C型肝炎、ポリオ、コクサッキーA、コクサッキーB、ライノ、エコー、天然痘、エボラおよび西ナイルより選択される、動物におけるウイルス感染を処置するための方法であって、該動物に、有効量の項目1〜35のいずれか1項に記載されるような式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくはプロドラッグを投与する工程を包含する、方法。
(項目37)
項目36に記載の方法であって、更に、前記動物に1種以上の更なるウイルスポリメラーゼインヒビターを投与する工程を包含する、方法。
(項目38)
項目36〜37のいずれか1項に記載される方法であって、更に、前記動物に1種以上のプロテアーゼインヒビターを投与する工程を包含する、方法。
(項目39)
項目36〜38のいずれか1項に記載の方法であって、更に、前記動物にリバビリンを投与する工程を包含する、方法。
(項目40)
項目36〜39のいずれか1項に記載の方法であって、更に、前記動物にインターフェロン−αまたはポリエチレングリコール化インターフェロン−α(PEGインターフェロン−α)を投与する工程を包含する、方法。
(項目41)
項目36〜40のいずれか1項に記載の方法であって、前記ウイルスがC型肝炎である、方法。
(項目42)
HCV RNAポリメラーゼまたはHCV DNAポリメラーゼを阻害する方法であって、該ポリメラーゼをインビトロまたはインビボで有効阻害量の項目1〜35のいずれか1項に記載されるような式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはプロドラッグと接触させる工程を包含する、方法。
(項目43)
項目1〜35のいずれか1項に記載されるような式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはプロドラッグ、および薬学的に受容可能なキャリヤーを含む、薬学的組成物。
(項目44)
項目43に記載の組成物であって、更に、1種以上の更なる抗ウイルス剤、免疫調節因子またはインターフェロン誘発因子を含む、組成物。
(項目45)
項目44に記載の組成物であって、1種以上の抗ウイルス剤が、リバビリン、レボビリン、ビラミジン、チモシンα−1、セリンプロテアーゼのインヒビター、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼのインヒビター、インターフェロン−α、およびポリエチレングリコール化インターフェロン−α(PEGインターフェロン−α)より選択される、組成物。
(項目46)
項目43〜45のいずれか1項に記載の組成物であって、更に、1種以上の更なるHCVポリメラーゼインヒビターを含む、組成物。
(項目47)
項目43〜46のいずれか1項に記載の組成物であって、更に、1種以上のプロテアーゼインヒビターを含む、組成物。
(項目48)
項目43〜47のいずれか1項に記載の組成物であって、更に、リバビリンを含む、組成物。
(項目49)
項目43〜48のいずれか1項に記載の組成物であって、更に、インターフェロン−αまたはポリエチレングリコール化インターフェロン−α(PEGインターフェロン−α)を含む、組成物。
(項目50)
項目1〜20のいずれか1項に記載されるような化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはプロドラッグ。
(項目51)
本明細書中の実施例において示される、新規の化合物もしくは中間体;またはその塩もしくはプロドラッグ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(発明の詳細な説明)
(定義)
用語「薬学的に受容可能な塩」は、本明細書中で使用される場合、薬学的に受容可能な塩基、無機酸または有機酸から誘導される本開示の化合物をいう。適切な酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、蟻酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、トリフルオロ酢酸およびベンゼンスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ(例えば、ナトリウム)およびアンモニアが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
用語「処置する」、「処置すること」および「処置」は、本明細書中で使用される場合、疾患状態/状態の臨床症状の発症前に、任意の症状を予防するために化合物を投与すること、並びに疾患状態/状態の臨床症状の発症後に、疾患状態/状態の任意の症状、局面または特性を低減または除去するために化合物を投与することを含む。処置することが有用であるために、絶対的に上記である必要はない。
【0024】
用語「動物」は、本明細書中で使用される場合、あらゆる動物(哺乳動物(例えば、マウス、ラット、他の齧歯動物、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマおよび霊長類が挙げられるが、これらに限定されない)を含む)をいう。本発明の特定の一実施形態において、動物はヒトである。
【0025】
用語「治療有効量」は、疾患状態/状態を処置することに関連して、単一用量または複数用量として投与される場合に、単独の化合物または薬学的組成物に含まれる化合物の、疾患状態/状態の任意の症状、局面または特性に対し、任意の検出可能な正の効果を有し得る量をいう。効果が有益であるために、絶対的に上記である必要はない。
【0026】
用語「アルキル」は、本明細書中で使用される場合、1個〜6個の炭素原子を有するアルキル基をいう。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル等の基により例示される。特定の実施形態において、これらのアルキル基は、1個〜4個の炭素原子を有し、低級アルキルとして言及される。
【0027】
用語「アルケニル」または「アルケン」は、本明細書中で使用される場合、2個〜10個の炭素原子を有し、少なくとも1つのアルケニル不飽和部位を有するアルケニル基をいう。そのような基は、ビニル(エテン−1−イル)、アリル、ブト−3−エン−1−イル等により例示される。
【0028】
用語「アルキニル」または「アルキン」は、本明細書中で使用される場合、2個〜10個の炭素原子を有し、少なくとも1つのアルキニル不飽和部位を有するアルキニル基をいう。そのような基は、エチン−1−イル、プロピン−1−イル、プロピン−2−イル、1−メチルプロプ−2−イン−1−イル、ブチン−1−イル、ブチン−2−イル、ブチン−3−イル等により例示されるが、これらに限定されない。
【0029】
用語「アルコキシ」は、基アルキル−O−をいう。
【0030】
用語「アシル」は、本明細書中で使用される場合、基アルキル−C(O)−、基アルケニル−C(O)−、基アルキニル−C(O)−、基シクロアルキル−C(O)−、基アリール−C(O)−、基ヘテロアリール−C(O)−、および基複素環式−C(O)−をいう。
【0031】
用語「アシルアミノ」は、本明細書中で使用される場合、基−C(O)NZをいい、ここで、ZおよびZは、各々独立して、水素、アルキル、アルケニルおよびアルキニルからなる群より選択される。
【0032】
用語「アシルオキシ」は、本明細書中で使用される場合、基アルキル−C(O)O−、基アルケニル−C(O)O−、基アルキニル−C(O)O−、基アリール−C(O)O−、基シクロアルキル−C(O)O−、基ヘテロアリール−C(O)O−、および基複素環式−C(O)O−をいう。
【0033】
用語「オキシアシル」は、本明細書中で使用される場合、基アルキル−OC(O)−、基アルケニル−OC(O)−、基アルキニル−OC(O)−、基アリール−OC(O)−、基シクロアルキル−OC(O)−、基ヘテロアリール−OC(O)−、および基複素環式−CO(O)−をいう。
【0034】
用語「アミノ」は、本明細書中で使用される場合、基−NHをいう。
【0035】
用語「置換アミノ」は、本明細書中で使用される場合、基−NZをいい、ここで、ZおよびZは、上記アシルアミノの定義において記載される通りであるが、但し、ZおよびZは、ともに水素ではない。
【0036】
用語「アミノアシル」は、本明細書中で使用される場合、基−NZC(O)アルキル、基−NZC(O)シクロアルキル、基−NZC(O)アルケニル、基−NZC(O)アルキニル、基−NZC(O)アリール、基−NZC(O)ヘテロアリール、および基−NZC(O)複素環式をいい、Zは、水素またはアルキルである。
【0037】
用語「アリール」は、本明細書中で使用される場合、単一環(例えば、フェニル)または複数の縮合環(例えば、ナフチルまたはアンスリル)を有する6個〜14個の一価芳香族環基をいい、上記縮合環の縮合される環は、芳香族であっても芳香族でなくてもよい。アリールの例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
用語「アリールオキシ」は、本明細書中で使用される場合、基アリール−O−をいい、例として、フェノキシ、ナフトキシ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
用語「カルボキシル」は、本明細書中で使用される場合、−COOHまたはその塩をいう。
【0040】
用語「カルボキシルエステル」は、本明細書中で使用される場合、基−C(O)O−アルキルおよび基−C(O)O−アリールをいう。
【0041】
用語「シクロアルキル」は、本明細書中で使用される場合、例えば、1個〜3個の環を含み、1つの環に3個〜7個の炭素を含む、飽和または不飽和の環状の炭化水素環系をいう。そのような基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびアダマンチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
用語「シクロアルコキシ」は、本明細書中で使用される場合、−O−シクロアルキル基をいう。
【0043】
用語「ホルミル」は、本明細書中で使用される場合、HC(O)−をいう。
【0044】
用語「ハロゲン」は、本明細書中で使用される場合、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードをいう。
【0045】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書中で使用される場合、環中に5個〜10個の炭素原子および酸素、窒素、硫黄からなる群より選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する芳香族基をいう。硫黄および窒素のヘテロ原子は、酸化された形態ででも存在し得る。そのようなヘテロアリール基としては、単一環(例えば、ピリジルまたはフリル)または複数の縮合環(例えば、インドリジニルまたはベンゾチエニル)を有し得、上記縮合環の縮合される環は、芳香族であっても芳香族でなくてもよく、かつ/またはヘテロ原子を含んでいても含んでいなくてもよい。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、ピロリル、チエニル、インドリル、チオフェニルおよびフリルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
用語「ヘテロアリールオキシ」は、本明細書中で使用される場合、基−O−ヘテロアリールをいう。
【0047】
用語「複素環」または「複素環式」は、単一環または複数の縮合環を有し、この環中に3個〜10個の炭素原子、および窒素、酸素、硫黄からなる群より選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する飽和基または不飽和基(ヘテロアリールではない)をいい、縮合環系においては、1つ以上の環が、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり得、但し、結合部は、複素環を通じる。硫黄および窒素原子はまた、酸化された形態ででも存在し得る。
【0048】
複素環およびヘテロアリールの例としては、アゼチジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、ジヒドロインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、フタルイミド、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、チアゾール、チアゾリジン、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、モルホリニル、チオモルホリニル(チアモルホリニルともいう)、ピペリジニル、ピロリジン、テトラヒドロフラニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
用語「リン酸」は、本明細書中で使用される場合、基−OP(O)(OH)(一リン酸またはホスホ)、基−OP(O)(OH)OP(O)(OH)(二リン酸またはジホスホ)および基−OP(O)(OH)OP(O)(OH)OP(O)(OH)(三リン酸またはトリホスホ)、またはそれらの塩(それらの部分塩を含む)をいう。一リン酸、二リン酸および三リン酸の最初の酸素は、糖の酸素原子を含み得ることが理解される。
【0050】
用語「リン酸エステル」は、本明細書中で使用される場合、一つ以上のヒドロキシル基がアルコキシ基により置換されている、上記の一リン酸基、二リン酸基および三リン酸基をいう。
【0051】
用語「置換アルキル」は、本明細書中で使用される場合、1個〜3個の置換基を有するアルキル基をいい、これらの置換基は、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、置換アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、オキシアシル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、N、カルボキシル、カルボキシルエステル、チオール、チオアルキル、置換チオアルキル、チオアリール、置換チオアリール、チオヘテロアリール、置換チオヘテロアリール、チオシクロアルキル、置換チオシクロアルキル(thiocycloallcyl)、チオ複素環式、置換チオ複素環式、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式および置換複素環式からなる群より選択される。
【0052】
用語「置換アルケニル」は、本明細書中で使用される場合、1個〜3個の置換基を有するアルケニル基をいい、これらの置換基は、置換アルキルについて上に記載された置換基より選択される。
【0053】
用語「置換アルキニル」は、本明細書中で使用される場合、1個〜3個の置換基を有するアルキニル基をいい、これらの置換基は、置換アルキルについて上に記載された置換基より選択される。
【0054】
用語「置換アルコキシ」は、本明細書中で使用される場合、基置換アルキル−O−をいう。
【0055】
用語「置換アシル」は、本明細書中で使用される場合、基置換アルキル−C(O)−、基置換アルケニル−C(O)−、基置換アルキニル−C(O)−、基置換シクロアルキル−C(O)−、基置換アリール−C(O)−、基置換ヘテロアリール−C(O)、および基置換複素環式−C(O)−をいう。
【0056】
用語「置換アリール」は、本明細書中で使用される場合、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニルおよび置換アルキニル、ならびに上記置換アルキルの定義において記載される置換基より選択される、1個〜3個の置換基で置換されたアリール基をいう。
【0057】
用語「置換アリールオキシ」は、本明細書中で使用される場合、置換アリール−O−基をいう。
【0058】
用語「置換シクロアルキル」は、本明細書中で使用される場合、オキソ(=O)、チオキソ(=S)、アルキル、置換アルキル、および上記置換アルキルの定義において記載される置換基からなる群より選択される、1個〜5個の置換基を有するシクロアルキルをいう。
【0059】
用語「置換シクロアルコキシ」は、本明細書中で使用される場合、−O−置換シクロアルキル基をいう。
【0060】
用語「置換ヘテロアリール」は、本明細書中で使用される場合、置換アリールについて規定される同じ置換基群より選択される、1個〜3個の置換基で置換されたヘテロアリール基をいう。
【0061】
用語「置換ヘテロアリールオキシ」は、本明細書中で使用される場合、基−O−置換ヘテロアリールをいう。
【0062】
用語「置換複素環」もしくは「置換複素環式」、または「ヘテロシクロアルキル」は、置換アリールについて規定される同じ置換基のうちの1個〜3個で置換された複素環基をいう。
【0063】
用語「チオール」は、本明細書中で使用される場合、基−SHをいう。
【0064】
用語「チオアルキル」もしくは「アルキルチオエーテル」、または「チオアルコキシ」は、基−S−アルキルをいう。
【0065】
用語「チオシクロアルキル」は、本明細書中で使用される場合、基−S−シクロアルキルをいう。
【0066】
用語「チオアリール」は、本明細書中で使用される場合、基−S−アリールをいう。
【0067】
用語「チオヘテロアリール」は、本明細書中で使用される場合、基−S−ヘテロアリールをいう。
【0068】
用語「チオ複素環式」は、本明細書中で使用される場合、基−S−複素環式をいう。
【0069】
用語「アミノ酸側鎖」は、式ZNHCH(Z)COOHのα−アミノ酸のZ置換基をいい、ここで、Zは、水素、アルキルおよびアリールからなる群より選択され、Zは、水素であるか、またはZならびにそれぞれと結合する窒素原子および炭素原子と一緒に複素環を形成する。一実施形態において、α−アミノ酸側鎖は、20種の天然Lアミノ酸のうちの1種の側鎖である。
【0070】
本明細書中に記載される糖は、D配置またはL配置のいずれかであり得る。
【0071】
以下に列挙される、ラジカル、置換基の具体的な内容および範囲は、例示することだけが目的であり;これらは、ラジカルおよび置換基についての他の規定される内容または規定される範囲内の他の内容を除外しない。
【0072】
Rについての具体的な内容は、OR、Cl、SR、NR、アリールまたはNRNRであり;ここで、R、R、RおよびRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、複素環式、アリール、アシル、SO−アルキルおよびNOからなる群より独立して選択されるか;あるいは、RおよびRが、それらと結合する窒素と一緒に、ピロリジノ環、ピペリジノ環、ピペラジノ環、アゼチジノ環、モルホリノ環、ピロリノ環またはチオモルホリノ環を形成し;Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、複素環式、アリール、アシル、SO−アルキルまたはNOであり;Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、複素環式、アリール、アシル、SO−アルキルおよびNOであり;あるいは、RおよびRは、それらと結合する窒素と一緒に、ピロリジノ環、ピペリジノ環、ピペラジノ環、アゼチジノ環、モルホリノ環、ピロリノ環またはチオモルホリノ環を形成し;この環は、1つ以上のハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルケニルまたはアルキニルで必要に応じて置換されている。
【0073】
Rについての具体的な内容は、ヒドロキシ、クロロ、メトキシ、メルカプト、メチルチオ、メチルアミノ、イソプロピルアミノ、プロピルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、シクロプロピルアミノ、2−アミノエチルアミノ、1−(2−ヒドロキシエチル)ヒドラジノ、ヒドラジノ、1−メチルヒドラジノ、アゼチジノ、ピロリジノ、イミダゾリルプロピルアミノ、ピロリノ、モルホリノ、ピペラジノ、ヒドロキシエチルアミノ、ビス−ヒドロキシエチルアミノ、ヒドロキシプロピルアミノ、ヒドロキシエチルピロリジノまたは1−メチル−2−ヒドロキシエチルアミノである。
【0074】
についての具体的な内容は、NRである。
【0075】
具体的な化合物は、4−メチルアミノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−エチルアミノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−イソプロピルアミノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−ジメチルアミノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−n−プロピルアミノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−(N−3−ピロリノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−(2−ヒドロキシメチルピロリジノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−(3−N−イミダゾリル−n−プロピルアミノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−N−モルホリノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−N−ピペラジノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−(ヒドロキシエチルアミノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−(N−ビス−ヒドロキシエチルアミノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;4−(3−ヒドロキシプロピルアミノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;もしくは、4−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチルアミノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン;または、その受容可能な塩もしくはプロドラッグである。
【0076】
一実施形態において、本発明は、Rが、−NH、−OH、−SHまたは−SCHであり;Rが水素であり;Rが非リン酸化リボースである場合に;YがSである式Iの化合物;ならびに、Rが−NHであり;Rが水素であり;Rが非リン酸化リボースである場合に;YがOである式Iの化合物を除外する。
【0077】
別の実施形態において、本発明は、YがSであり;Rが、−NH、−OH、−SHまたは−SCHであり;Rが水素であり;Rがリボースである式Iの化合物;ならびに、YがOであり;Rが−NHであり;Rが水素であり;Rがリボースである式Iの化合物を除外する。別の実施形態において、本発明は、Rが、−SH、−OH、−S−アルキル、−O−アルキルまたはNRであり;RおよびRが、各々Hまたはアルキルであり;Rは、以下の式:
【0078】
【化16】


を有し、ここで:R300およびR304の一方はHであり、他方は、HまたはOHであり;R302は、OH、アルキル−O−、アルキルC(=O)O−、アルキル−S−、またはアルキルC(=O)−S−であり;R303はHであり;Z300は、OH、アルキル−O−、アルキルC(=O)O−、アルキル−S−、またはアルキルC(=O)−S−である、式Iの化合物を除外する。
【0079】
別の実施形態において、本発明は、Rが、以下の式:
【0080】
【化17】


を有し、ここで:R300およびR304の一方はHであり、他方は、HまたはOHであり;R302は、OH、アルキル−O−、アルキルC(=O)O、アルキル−S−、またはアルキルC(=O)−S−であり;R303はHであり;Z300は、OH、アルキル−O−、アルキルC(=O)O、アルキル−S−、またはアルキルC(=O)−S−である、式Iの化合物を除外する。
【0081】
本発明の一実施形態において、Rは:
【0082】
【化18】


である。
【0083】
本発明の一実施形態において、Rは:
【0084】
【化19】


である。
【0085】
本発明の一実施形態において、Rは:
【0086】
【化20】


である。
【0087】
本発明の一実施形態において、Rは、Hである。
【0088】
本発明の一実施形態において、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはプロドラッグは、以下の式:
【0089】
【化21】


を有し、ここで:
Yは、OまたはSであり;
Rは、OR、SR、NR、NRNR、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、
【0090】
【化22】


であり;
nは、0〜5であり;
は、H、NR、Cl、F、OR、SR、NHCOR、NHSO、NHCONHR、CN、アルキル、アリール、ONR、またはNRC(O)ORであり;
は、リボース、2−デオキシリボース;2−デオキシ−2−フルオロリボース;アラビノース;2−デオキシ−2−フルオロアラビノース;2,3−ジデオキシリボース;2,3−ジデオキシ−2−フルオロアラビノース;2,3−ジデオキシ−3−フルオロリボース;2,3−ジデオキシ−2,3−ジデヒドロリボース;2,3−ジデオキシ−3−アジドリボース;2,3−ジデオキシ−3−チアリボース;または2,3−ジデオキシ−3−オキサリボースであり;そして
、R、RおよびRは、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、複素環式、アリール、置換アリール、アシル、置換アシル、SO−アルキルおよびNOからなる群より独立して選択されるか;あるいは、RおよびRが、それらと結合する窒素と一緒に、ピロリジノ環、ピペリジノ環、ピペラジノ環、アゼチジノ環、モルホリノ環もしくはチオモルホリノ環を形成するか;または、RおよびRが、それらと結合する窒素と一緒に、ピロリジノ環、ピペリジノ環、ピペラジノ環、アゼチジノ環、モルホリノ環もしくはチオモルホリノ環を形成する。
【0091】
本発明の一実施形態において、式Iの化合物は、式:
【0092】
【化23】


を有し、ここで:
X=NまたはCHであり;
Y=O、SまたはN−Rであり;
R=OR、NHR、NR、NHNHR、NRNHR、SR、アルキル、アリール、Cl、NROR、NRNOまたはNHCONHRであり;
=H、NHR、Cl、F、OR、SR、NHCOR、NHSO、NHCONHR、CN、アルキル、アリールまたはNRであり;
=リボース、2−デオキシリボース;2−デオキシ−2−フルオロリボース;アラビノース;2−デオキシ−2−フルオロアラビノース;2,3−ジデオキシリボース;2,3−ジデオキシ−2−フルオロアラビノース;2,3−ジデオキシ−3−フルオロリボース;2,3−ジデオキシ−2,3−ジデヒドロリボース;2,3−ジデオキシ−3−アジドリボース;2,3−ジデオキシ−3−チアリボース;または2,3−ジデオキシ−3−オキサリボースであり;
=H、アルキル、アリール、F、Cl、CN、COHまたはNHであり;
=H、OH、アルキル、アリール、−COO−アルキル、CONH、CONH−アルキル、O−C(O)−アルキル、O−C(O)−アリールまたはアルコキシであり;
=アルキル、アリール、OHまたはアルコキシである。
【0093】
本発明の一実施形態において、式Iの化合物は、式:
【0094】
【化24】


を有し、ここで:
Rは、OR、SR、NR、NRNR、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、
【0095】
【化25】


であり;
nは、0、1、2、3、4または5であり;
は、H、NR、Cl、F、OR、SR、NHCOR、NHSO、NHCONHR、CN、アルキル、アリール、ONR、またはNRC(O)ORであり;
がHであって、RがOHであるか;または、RがOHであって、RがHであり;
は、OH、アルキル−O−、アルキルC(=O)O、アルキル−S−、またはアルキルC(=O)−S−であり;
は、OH、アルキル−O−、アルキルC(=O)O、アルキル−S−、またはアルキルC(=O)−S−であり;
、R、RおよびRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、複素環式、アリール、アシル、SO−アルキルおよびNOからなる群より独立して選択され;あるいは、RおよびRが、それらと結合する窒素と一緒に、ピロリジノ環、ピペリジノ環、ピペラジノ環、アゼチジノ環、モルホリノ環、ピロリノ環もしくはチオモルホリノ環を形成するか;または、RおよびRが、それらと結合する窒素と一緒に、ピロリジノ環、ピペリジノ環、ピペラジノ環、アゼチジノ環、モルホリノ環、ピロリノ環もしくはチオモルホリノ環を形成し;
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、複素環式、アリール、アシル、SO−アルキルまたはNOであり;そして、Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、複素環式、アリール、アシル、SO−アルキルおよびNOであるか;または、RおよびRは、それらと結合する窒素と一緒に、ピロリジノ環、ピペリジノ環、ピペラジノ環、アゼチジノ環、モルホリノ環、ピロリノ環もしくはチオモルホリノ環を形成し;この環は、1つ以上のハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルケニルまたはアルキニルで必要に応じて置換され;
ここで、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニルまたはアシルはいずれも、アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、オキシアシル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、N、カルボキシル、カルボキシルエステル、チオール、チオアルキル、チオアリール、チオヘテロアリール、チオシクロアルキル、チオ複素環式、シクロアルキル、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群より選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換され;
ここで、アリール、ヘテロアリールまたは複素環はいずれも、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、オキシアシル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、N、カルボキシル、カルボキシルエステル、チオール、チオアルキル、チオアリール、チオヘテロアリール、チオシクロアルキル、チオ複素環式、シクロアルキル、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群より選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換されている。代表的なこの式の化合物が、HCVを処置するのに特に有用であることが見出された。
【0096】
(プロドラッグ)
用語「プロドラッグ」は、本明細書中で使用される場合、式Iの化合物を提供するために、インビボで代謝され得る化合物をいう。したがって、プロドラッグは、インビボで代謝されて式Iの化合物を提供し得る対応する化合物を提供するために式Iの化合物中の1つ以上の官能基を改変することにより調製され得る化合物を含む。そのような改変は、当該技術分野において公知である。例えば、式Iの化合物中の1種以上のヒドロキシ基またはアミン基がアルキル−C(=O)−基またはアミノ酸由来の残基でアシル化されて、プロドラッグを提供し得る。あるいは、式Iの化合物中の一リン酸官能基、二リン酸官能基または三リン酸官能基からの1つ以上のペンダントヒドロキシル基が、アルコキシ基またはアリールオキシ基に転化され得る。
【0097】
一実施形態において、用語プロドラッグは、ヌクレオシド糖基上に1つ以上のヒドロキシ基(例えば、2’ヒドロキシ基、3’ヒドロキシ基または5’ヒドロキシ基)が、インビボで代謝されて式Iの化合物を提供し得る基に転化された化合物を含む。例えば、本発明は、ヌクレオシド糖基上の1つ以上のヒドロキシ基(例えば、2’ヒドロキシ基、3’ヒドロキシ基または5’ヒドロキシ基)が、アシルオキシ基、アシルアミノ基またはR−O基に転化された化合物であって、Rがカルボキシ連結アミノ酸である化合物を提供する。
【0098】
一実施形態において、プロドラッグという用語は、式Iの化合物中の一リン酸官能基、二リン酸官能基または三リン酸官能基からの1つ以上のペンダントヒドロキシル基が、基R−O−に転化されている化合物を含み;ここで、各Rは、独立して、1個〜20個の炭素の分枝または非分枝の飽和鎖もしくは不飽和鎖であり、1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つまたは4つ)の炭素原子が、−O−または−S−で必要に応じて置換されており、1つ以上の炭素原子が、オキソ(=O)またはチオキソ(=S)で必要に応じて置換されている(Lefebvre et al.,J.Med.Chem.1995,38,3941−50参照)。
【0099】
別の実施形態において、プロドラッグという用語は、式Iの化合物中の一リン酸官能基、二リン酸官能基または三リン酸官能基からの1つ以上のペンダントヒドロキシル基が、基R−O−に転化される化合物を含み;ここで、各Rは、アミノ酸の残基である。したがって、本発明の処置の方法において、用語「投与する」は、式Iの化合物の投与、並びに式Iの化合物またはその塩にインビボで転化されるプロドラッグの投与を含む。プロドラッグ誘導体の選択および調製のための慣例的な手順が、例えば、「Design of Prodrugs」,ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985;および国際特許出願公開番号WO2005/084192に記載されている。種々のプロドラッグもまた、国際公開番号WO2004/096286として公開された国際特許出願公開番号PCT US2004/013063に記載されている。
【0100】
別の実施形態において、プロドラッグは、1つ以上の式:
【0101】
【化26】


の基を含み、ここで:
15は、H、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、複素環式およびアミノ酸であり;
16は、H、単環式アリールまたは単環式ヘテロアリールであり;R17は、H、ハロゲン、
【0102】
【化27】


であるか;または、R16およびR17は、3個〜5個の更なる原子を介し連結して環式基を形成しており、この環式基は、必要に応じて1つ以上のヘテロ原子を含み、リンと結合するOに対してβ位およびγ位にてアリールと縮合し;あるいは、R17およびR18は、下記のように連結され;
18およびR19は、各々独立して、H、アルキル、アリール、アラルキル、単環式アリールまたは単環式ヘテロアリールであるか;または、R18およびR19は、2個から5個の更なる原子を介し連結して環式基を形成し、該環式基は、必要に応じて0〜2個のヘテロ原子を含み;あるいは、R17およびR18が、3個〜5個の更なる原子を介し連結して環式基を形成し、必要に応じて1つのヘテロ原子を含み、R19は、H、アルキル、アリール、アラルキル、単環式アリールまたは単環式ヘテロアリールであり;
20は、アルキル、アリールまたはアリールアルキルであり;
21は、H、アルキル、アリールまたはアリールアルキルであり;
22は、Hまたは低級アシルであり;
pは、2〜3の整数であり;
ここで、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニルまたはアシルはいずれも、アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、オキシアシル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、N、カルボキシル、カルボキシルエステル、チオール、チオアルキル、チオアリール、チオヘテロアリール、チオシクロアルキル、チオ複素環式、シクロアルキル、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群より選択される1個〜3個の置換基で必要に応じて置換され;
ここで、アリール、ヘテロアリールまたは複素環はいずれも、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、オキシアシル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アリール、アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、N、カルボキシル、カルボキシルエステル、チオール、チオアルキル、チオアリール、チオヘテロアリール、チオシクロアルキル、チオ複素環式、シクロアルキル、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群より選択される1〜3個の置換基で必要に応じて置換されている。
【0103】
種々の窒素官能基を有する化合物(アミノ、ヒドロキシアミノ、アミド等)のプロドラッグ形態は、各R基が独立して、上記に規定されるような水素、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、アルキルアリール基、アラルキル基、アラルケニル基、アラルキニル基、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基であり得る以下の種類の誘導体を含み得る。
(a)−NHC(O)Rとして表される、カルボキサミド
(b)−NHC(O)ORとして表される、カルバメート
(c)NHC(O)OROC(O)Rとして表される、(アシルオキシ)アルキルカルバメート
(d)−NHCR(=CHCO)または−NHCR(=CHCONR)として表される、エナミン
(e)−N=CRとして表される、シッフ塩基
(f)RCONHCHNRとして表される、マンニッヒ塩基(カルボキシイミド化合物由来)
このようなプロドラッグ誘導体の調製は、種々の文献源で検討されている(例えば:Alexander et al.,J.Med.Chem.1988,31,318;Aligas−Martin et al.,PCT WO0041531,p.30)。
【0104】
カルボキシルを有する化合物のプロドラッグ形態は、エステル(−CO)を含み、ここで、R基は、酵素によるプロセスまたは加水分解プロセスによる体内での放出が薬学的に受容可能なレベルでである任意のアルコールに相当する。カルボン酸形態の開示物から誘導される別のプロドラッグは、Bodor et al.,J.Med.Chem.1980,23,469により記載される四級塩型の構造であり得る。
【0105】
【化28】


(合成プロセス)
式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはプロドラッグを調製するためのプロセス、ならびに式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはプロドラッグを調製するために使用され得る中間化合物を調製するためのプロセスが、本発明の更なる実施形態として提供される。例えば、一実施形態において、本発明は、式Iの化合物の薬学的に受容可能な塩を調製するための方法を提供し、この方法は、対応する式Iの化合物を塩に転化する工程を包含する。
【0106】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物のプロドラッグを調製するための方法を提供し、この方法は、対応する式Iの化合物をプロドラッグに転化する工程を包含する。
【0107】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物を調製するための方法を提供し、この方法は、1種以上の保護基を含む対応する式Iの化合物を脱保護して式Iの化合物を提供する工程を包含する。
【0108】
(異性体および物理的形態)
キラル中心を有する本発明の化合物は光学活性型またはラセミ体で存在し得、単離され得ることが、当業者により理解される。一部の化合物は、多形性を示し得る。本発明が、本明細書中に記載される有用な特性を有する本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)の任意のラセミ体、光学活性形態、多形形態、互変異性形態もしくは立体異性形態、またはそれらの混合物を包含することが理解され、これらは、光学活性形態をどのように調製するか(例えば、再結晶化技術によるラセミ形態の分解により、光学活性な出発物質からの合成により、キラル合成により、またはキラル固定相を用いたクロマトグラフ分離により)、および本明細書中に記載される標準試験を用いてまたは当該技術分野において周知の他の類似した試験を用いて抗ウイルス活性をどのように決定するかは、当該技術分野において周知である。本発明は、本明細書中に記載される化合物の全ての異性形態を含むが、本発明の一実施形態は、以下の実施形態に描写される絶対立体化学を有する化合物を提供する。
【0109】
糖類は、α形態およびβ形態で存在し得ることが理解される。本発明は、αおよびβの両形態の糖を含む式Iの化合物を含む。一実施形態において、この糖類は、C−1 β形態である。
【0110】
例えば、RがOHである以下の式:
【0111】
【化29】


の化合物は、以下の式:
【0112】
【化30】


の互変異性体を形成することが、当該化学技術分野において公知である。したがって、本発明は、式Iの化合物の全ての互変異性形態を含む。
【0113】
(薬学的組成物、投与形態および処置方法)
本開示は、HCV DNAポリメラーゼおよび/またはHCV RNAポリメラーゼのインヒビターである、上記で詳述されるような一般式(I)の化合物を提供する。種々の形態のDNAウイルスポリメラーゼおよびRNAウイルスポリメラーゼ(例えば、HCV RdRpが挙げられるが、これに限定されない)が、開示される化合物により阻害される。したがって、本開示の化合物は、ホストにおけるHCV感染の処置および/または予防における有用性、ならびにHCV感染により引き起こされるまたはHCV感染に関連する、種々の疾患状態および/または状態の処置および/または予防における有用性を有する。一実施形態において、これらの化合物は、上述のHCV RNAポリメラーゼおよびHCV DNAポリメラーゼを阻害することによる処置および/または予防に有用である。
【0114】
本明細書中に記載される薬学的に受容可能なキャリヤー(ビヒクル、アジュバント、賦形剤または希釈剤を含むが、これらに限定されない)は、当業者に周知である。典型的に、薬学的に受容可能なキャリヤーは、活性化合物に対し化学的に不活性であり、有害な副作用または使用条件下における毒性を有さない。薬学的に受容可能なキャリヤーは、ポリマーおよびポリマーマトリックスを含み得る。
【0115】
本開示において記載される化合物は、単独の治療剤としてまたは更なる治療剤と組み合わせて、製剤と併用するのに利用可能な任意の従来方法により投与され得る。
【0116】
記載される化合物は、薬学的有効量で投与される。薬学的有効量の化合物、および投与される薬学的組成物の投薬量は、当然、公知の要因(例えば、特定の薬剤の薬力学的特性ならびに投与の形態および経路;レシピエントの年齢、健康状態および体重;疾患状態または状態の重度および段階;同時処置の種類;処置の頻度;および所望される効果)により変化する。
【0117】
活性成分の1日投薬量は、1日当たり体重1キログラム(kg)当たり約0.001ミリグラム〜1000ミリグラム(mg)であると推定され得る。一実施形態において、総量は、1日当たり体重1kg当たり約0.1mg〜約100mgであり;代替実施形態においては、1日当たり体重1kg当たり約1.1mg/kg〜約50mg/kgであり;さらに別の代替実施形態においては、1日当たり体重1kg当たり0.1mg/kg〜約30mg/kgである。上記の量は、望ましい場合は、一定期間中、一連のより小さな用量として投与され得る。薬学的有効量は、送達されるべき親化合物の重量に基づき計算され得る。塩またはプロドラッグそれ自体が活性を示すのであれば、薬学的有効量は、塩またはプロドラッグの重量を用いて上記のように、または当業者に公知の他の手段により推定され得る。活性成分の投薬量は、望ましい場合は、1日投薬量以外で与えられ得る。
【0118】
投与される化合物の総量はまた、投与の経路、時期および頻度、ならびに化合物の投与に伴い得るあらゆる有害な副作用および所望の生理的効果の存在、性質および程度により決定される。種々の状態または疾患状態、特に慢性の状態または疾患状態は、複数回の投与を伴う長期的な処置を必要とし得ることが、当業者により理解され得る。
【0119】
本明細書中に記載される薬学的組成物の投薬形態(投与に適した薬学的組成物の形態)は、単位当たり約0.1mg〜約3000mgの活性成分(すなわち開示される化合物)を含む。これらの薬学的組成物には、活性成分が、通常、組成物の総重量に基づき約0.5重量%〜95重量%の量で存在する。複数の投薬量形態が、単一処置の一環として投与され得る。活性成分は、約0.2μM〜70μM、または1.0μM〜10μMの活性成分のピーク血漿濃度を達成するように投与され得る。
【0120】
活性成分は、固形の投薬形体(例えば、カプセル剤、錠剤および粉剤)、または液体の投薬形態(例えば、エリキシル剤、シロップ剤および懸濁剤)で経口により投与され得る。活性成分はまた、無菌の液体投薬形態で、非経口によっても投与され得る。活性成分はまた、鼻腔内により(点鼻薬)、または吸入により(例えば、噴霧式定量吸入器(propellant based metered dose inhalers)または乾燥粉末吸入デバイスにより)肺系を通じて投与され得る。他の投薬形体(例えば、パッチ方法または軟膏による経皮投与)が、潜在的に可能である。
【0121】
経口投与に適した処方としては、(a)溶液(例えば、希釈剤(例えば、水、生理食塩水またはオレンジジュース)に溶解させた薬学的有効量の化合物);(b)カプセル剤、サシェ剤(sachet)、錠剤、ロゼンジ剤およびトローチ剤(それぞれ、所定の薬学的有効量の活性成分を固形物または顆粒として含む);(c)粉剤;(d)適切な液体中の懸濁剤;および(e)適切な乳濁剤が挙げられ得る。液体処方物は、希釈剤(例えば、水およびアルコール(例えば、エタノール、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、グリセリンおよびポリエチレンアルコール))を、薬学的に受容可能な界面活性剤、懸濁化剤または乳化剤を添加するかまたは添加せずに含み得る。カプセル剤形態は、例えば、界面活性剤、潤滑剤および不活性な充填剤(例えば、ラクトース、スクロース、リン酸カルシウムおよびコーンスターチ)を含む通常の硬殻または軟殻ゼラチンタイプであり得る。錠剤形態は、以下のうちの1種以上を含み得る:ラクトース、スクロース、マンニトール、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸、微晶質セルロース、アカシア、ゼラチン、ガーゴム、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、ならびに他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、崩壊剤、加湿剤、保存剤、矯味矯臭剤および薬理学的に適合可能なキャリヤーを含み得る。ロゼンジ剤形態は、矯味矯臭剤(通常は、スクロースおよびアカシアまたはトラガカント)中の活性成分、ならびに不活性な基剤(例えば、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシア)中に活性成分を含む香錠、活性成分に加えて当該技術分野において公知であるようなキャリヤーを含む乳剤およびゲルを含み得る。
【0122】
非経口投与に適した処方物としては、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤および処方物を患者の血液と等張にする溶質を含み得る水性および非水性の等張無菌注射溶液、および懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤および保存剤を含み得る水性および非水性無菌懸濁剤が挙げられる。化合物は、薬学的に受容可能なキャリヤー(例えば、無菌液または液体(水、塩水、デキストロース水溶液および同類の糖水溶液、アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノールまたはヘキサデシルアルコール)、グリコール(例えば、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコール(例えば、ポリ(エチレングリコール)400))、グリセロールケタール(例えば、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール)、エーテル、油、脂肪酸、脂肪酸エステルもしくはグリセリド、または薬学的に受容可能な界面活性剤(例えば、石鹸または洗剤)、懸濁化剤(例えば、ペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロース)または乳化剤を含むもしくは含まないアセチル化脂肪酸グリセリドを含む)の混合物)および他の薬学的アジュバント中の生理的に受容可能な希釈剤中で投与され得る。
【0123】
非経口用処方物で使用され得る油としては、石油、動物性油、植物性油または合成油が挙げられる。油の具体例としては、ラッカセイ油、ダイズ油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、ペトロラタムおよび鉱油が挙げられる。非経口用処方物中の使用に適した脂肪酸としては、オレイン酸、ステアリン酸およびイソステアリン酸が挙げられる。オレイン酸エチルおよびイソプロピルミリステートは、適切な脂肪酸エステルの例である。非経口用処方物中の使用に適した石鹸としては、脂肪アルカリ金属、アンモニアおよびトリエタノールアミン塩が挙げられ、適切な洗剤としては、(a)陽イオン性洗浄剤(例えば、ジメチルジアルキルアンモニウムハロゲン化物およびアルキルピリジニウムハロゲン化物等)、(b)陰イオン性洗浄剤(例えば、スルホン酸アルキル、スルホン酸アリールおよびスルホン酸オレフィン、硫酸アルキル、硫酸オレフィン、硫酸エーテルおよび硫酸モノグリセリド、ならびにスルホスクシネート等)、(c)非イオン性洗浄剤(例えば、脂肪族アミン酸化物、脂肪酸アルカノールアミドおよびポリオキシエチレンポリプロピレン共重合体等)、(d)両性洗浄剤(例えば、アルキル.β.−アミノプロピオネートおよび2−アルキルイミダゾリン第四アンモニウム塩、ならびに(e)それらの混合物。
【0124】
非経口用処方物は、典型的に、溶液中に約0.5重量%〜約25重量%の活性成分を含む。適切な保存剤および緩衝剤が、そのような処方物中に使用され得る。注射の部位にて刺激を最小限にするまたは排除するために、そのような組成物は、約12〜約17の親水性親油性比(HLB)を有する1種以上の非イオン性界面活性剤を含み得る。そのような処方物中の界面活性剤の量は、約5重量%〜約15重量%の範囲である。適切な界面活性剤としては、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノオレアート、および酸化プロピレンとプロピレングリコールとの縮合により形成される、高分子量のエチレン酸化物と疎水性基剤との付加化合物が挙げられる。
【0125】
薬学的に受容可能な賦形剤もまた、当業者に周知である。賦形剤の選択は、特定の化合物、ならびに組成物を投与するために用いられる特定の方法により、ある程度決定される。したがって、本発明の薬学的組成物の適切な処方物は多種多様である。以下の方法および賦形剤は、典型的な例に過ぎず、決して限定しているわけではない。薬学的に受容可能な賦形剤は、好ましくは、活性成分の作用を妨げず、有害な副作用を引き起こさない。適切なキャリヤーおよび賦形剤としては、溶媒(例えば、水、アルコールおよびプロピレングリコール)、固形の吸収剤および希釈剤、界面活性剤、懸濁化剤、錠剤結合剤(tableting binder)、潤滑剤、矯味矯臭剤および着色剤が挙げられる。
【0126】
本発明の化合物は、単独でまたは他の適切な成分と組み合わせて、吸入により投与されるエアゾール処方物にされ得る。これらのエアゾール処方物は、加圧された受容可能な噴霧剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、プロパンおよび窒素)に含まれ得る。そのようなエアゾール処方物は、定量吸入器により投与され得る。そのようなエアゾール処方物はまた、(例えば、ネブライザーまたはアトマイザー中の)非加圧調製物のための製剤としても処方され得る。
【0127】
これらの処方物は、単位用量または複数用量の密封容器(例えば、アンプルおよびバイアル)中に存在し得、凍結乾燥の状態で保管され得、注射用には、使用直前に無菌液体賦形剤(例えば、水)を添加するだけでよい。即席の注射用の溶液および懸濁剤が、無菌粉剤、顆粒剤および錠剤から調製され得る。注射可能な組成物に有効な薬学的に受容可能なキャリヤーのための必要条件は、当業者に周知である。Pharmaceutics and Pharmacy Practice,J.B.Lippincott Co.,Philadelphia,Pa.,Banker and Chalmers,Eds.,238−250(1982)およびASHP Handbook on Injectable Drugs,Toissel,4th ed.,622−630(1986)を参照されたい。
【0128】
局所投与に適した処方物としては、無菌基剤(例えば、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシア)中に活性成分を含む香錠、ならびに活性成分に加え、当該技術分野において公知であるようなキャリヤーを含む、クリーム、乳剤およびゲルが挙げられる。更に、経皮パッチは、当該技術分野において公知の方法を用いて調製され得る。
【0129】
更に、直腸投与に適した処方物は、種々の基剤(例えば、乳化基剤または水溶性基剤)と混合することにより坐剤として存在し得る。膣内投与に適した処方物は、活性成分に加え、当該技術分野において適切であると知られているようなキャリヤーを含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、泥膏、泡沫剤、または噴霧処方物(spray formula)として存在し得る。
【0130】
当業者は、本発明の化合物を患者に投与する適切な方法が利用可能であり、2つ以上の経路が特定の化合物を投与するために使用され得るが、特定の経路は別の経路よりも即時で有効な反応を提供し得ることを理解する。
【0131】
本発明に従う化合物の投与に有用な薬学的投薬形態の実施形態が、以下に例示され得る。
【0132】
多くの硬殻カプセル剤が、標準的な2部分の硬ゼラチンカプセルに、各々100mgの粉末活性成分、150mgのラクトース、50mgのセルロースおよび6mgのステアリン酸マグネシウムを充填することにより調製される。
【0133】
消化可能な油(例えば、ダイズ油、綿実油またはオリーブ油)中の活性成分の混合物を調製し、溶解したゼラチンへ容積式ポンプにより注入して、100mgの活性成分を含む軟ゼラチンカプセルを形成する。このカプセルは洗浄され、乾燥される。ポリエチレングリコール、グリセリンおよびソルビトールの混合物に活性成分を溶解して、水混和性薬剤混合物を調製し得る。
【0134】
多くの錠剤が、投薬単位が、活性成分100mg、コロイド状二酸化ケイ素0.2mg、ステアリン酸マグネシウム5mg、微晶質セルロース275mg、デンプン11mgおよびラクトース98.8mgとなるように、従来手順により調製される。適切な水性および非水性コーティング剤が、嗜好性を高めるため、気品および安定性を改善するため、または吸収を遅らせるために適用され得る。
【0135】
即放性の錠剤/カプセル剤は、従来プロセスおよび新規プロセスにより作製される固形の経口投薬形態である。これらの単位は、薬剤の即時の分解および送達のための水を用いずに経口により摂取される。活性成分は、糖、ゼラチン、ペクチンおよび甘味剤等の成分を含む液体中に混合される。これらの液体は、凍結乾燥および固体抽出技術(solid state extraction technique)により、固形の錠剤またはカプセル剤へと凝固される。これらの薬物化合物は、粘弾性および熱弾性の糖およびポリマー、または発泡性の成分と共に圧縮されて、水を必要としない、即放を目的とした多孔質マトリックスを生成し得る。
【0136】
さらに、本発明の化合物は、点鼻薬、または定量吸入器、鼻吸入器および口内吸入器の形態で投与され得る。薬物は、細かい霧として点鼻液から、またはエアゾールとして粉剤から送達され得る。
【0137】
一実施形態において、本開示の教示は、HCV感染を処置する方法、またはそのような感染により引き起こされるもしくはそのような感染に関連する疾患状態および/もしくは状態を処置する方法におけるそのような薬学的組成物および薬剤の使用に提供される。処置が有用であるために、完全にそのようである必要はない。
【0138】
HCV感染またはHCV感染により引き起こされるもしくはHCV感染に関連する疾患状態および/もしくは状態を処置する方法は、更に、治療有効量の本発明の化合物を特にHCVに対して活性であり得る治療有効量の別の抗ウイルス剤と組み合わせて投与する工程を包含し得る。HCVに対して活性な薬剤としては、リバビリン、レボビリン(levovirin)、ビラミジン(viramidine)、チモシンα−1、HCV NS3セリンプロテアーゼのインヒビター、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼのインヒビター、インターフェロン−α、ポリエチレングリコール化インターフェロン−α(PEGインターフェロン−α)、インターフェロン−αとリバビリンとの組み合わせ、PEGインターフェロン−αとリバビリンとの組み合わせ、インターフェロン−αとレボビリンとの組み合わせ、およびPEGインターフェロン−αとレボビリンとの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。インターフェロン−αとしては、組み換えインターフェロン−α2a、インターフェロン−α2b、コンセンサスインターフェロンおよび精製されたインターフェロン−α生成物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0139】
化合物が有するHCVポリメラーゼを阻害する能力は、公知のアッセイを使用して評価され得る。化合物が有するHCV NS5Bポリメラーゼを阻害する能力は、以下のアッセイを用いて評価され得る。
【0140】
(HCV NS5Bポリメラーゼアッセイ)
テスト化合物の抗ウイルス活性は、安定してHCV RNAを複製する細胞系で評価され得(Okuse et al.,Antiviral Res.2005,65,23−34)、そのような細胞系であるAVA5は、ヒト胚芽腫細胞系であるHuh7のトランスフェクションにより得られる(Blight et al.,Sci.2000,290,1972)。化合物は、3日間の間、一日に一度、分裂している培養物に添加される。培地は、化合物の各添加の際に交換される。一般的に、培養物が30%〜50%のコンフルエンスにてアッセイを開始し処置の最終日中にコンフルエンスに達する。細胞内HCV RNAレベルおよび細胞毒性は、化合物の最終用量の24時間後に評価される。
【0141】
HCV RNAレベル(48ウェルプレートおよび96ウェルプレートにおけるレベル)および細胞毒性(96ウェルプレートにおけるレベル)に関し、3連培養物が使用される。合計6つの未処理コントロール培養物ならびにα−インターフェロンおよびリバビリンで処理した3連培養物が、抗ウイルスおよび毒性のポジティブコントロールとなり得る。
【0142】
細胞内のHCV RNAレベルは、HCV RNAレベルが各々個々の培養物におけるB−アクチンRNAのレベルに標準化される従来のブロットハイブリダイゼーション法を用いて測定され得る(Okuse et al.,Antivir.Res.2005,65,23−34)。細胞毒性は、ニュートラルレッドダイアップテイクアッセイを用いて測定される(Korba and Gerin,Ativir.Res.1992,19,55)。処理された培養物中のHCV RNAレベルは、未処理の培養物で検出されたRNAの平均レベルの百分率として表される。上記のアッセイで試験された本発明の代表的な化合物は、典型的に、約100μm未満のIC50を示した。
【0143】
(化合物の合成)
式Iの化合物は、公知の合成中間体および合成手順を用いて調製され得る、または、式Iの化合物は、本明細書中のスキームおよび実施例中で特定される合成中間体および合成手順を用いて処理され得る。以下の略語が、本明細書中で使用される。
Tr:トリチル
Bn:ベンジル
TBDPS:tert−ブチルジフェニルシリル
m−CPBA:3−クロロペルオキシ安息香酸
TFA:トリフルオロ酢酸
TBDMSCl:塩化tert−ブチルジメチルシリル
DMF:ジメチルホルムアミド
THF: テトラヒドロフラン
LDA: リチウムジイソプロピルアミン
TEAB: 炭酸水素トリエチルアンモニウム
mMTrCl: 塩化モノメトキシトリチル
DMAP: ジメチルアミノピリジン
DEAE: ジエチルアミノエチル−セファロース
CMA−80: クロロホルム 80:MeOH 18:NHOH 2
CMA−50: クロロホルム 50:MeOH 40:NHOH 10
Bz: ベンゾイル
BnBr: 臭化ベンジル
LiHMDS: リチウムヘキサメチルジサラザン
TBDPSCl:塩化tert−ブチルジフェニルシリル
DMSO: ジメチルスルホキシド
RMgBr: 臭化アルキルマグネシウム
DIBAL: 水素化ジイソブチルアルミニウム
DBN: 1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン
DBU: 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
MeMgBr: 臭化メチルマグネシウム。
【0144】
代表的な化合物は、以下のスキーム1〜9に例示される合成手順を用いて調製され得る。
【0145】
【化31】

【0146】
【化32】

【0147】
【化33】


Clは、スキーム8に記載される基に転化される。
【0148】
適切に保護された出発物質2または3(スキーム1)は、いずれも市販されており、公知の文献の手順により調製され得る。
【0149】
合成スキーム1〜9の説明は次の通りである。
【0150】
(スキーム1 X=N、Y=NH、R=NH、R=H、R=任意の記載される基、R=Hである、式Iの化合物の調製)
化合物3(文献の手順またはNCCHP(O)(OEt)と水素化ナトリウムとの反応により2から調製される)を、Brederick試薬[tert−ブトキシビス(ジメチルアミノ)メタン]と反応させることにより4が得られ、酢酸またはトリフルオロ酢酸との酸加水分解により、化合物5が生成される。化合物5を、更に、アミノアセトニトリルと反応させることにより6が得られ、NHをメトキシカルボニルで保護し、塩基(例えば、DBU)の存在下で環化し、次いで、メタノール中の炭酸ナトリウムでNHを脱保護して所望の環化生成物7を得る。この環化生成物の異性体を、クロマトグラフィーまたは結晶化により単離する。所望の7を酢酸ホルムアミジンを用いた更なる環化およびR中のヒドロキシル官能基またはアミノ官能基の脱保護により、所望の目標8を生成する。
【0151】
(スキーム2 X=N、Y=NH、R=OH、R=H、R=任意の記載される基、R=Hである、式Iの化合物の調製)
化合物5を、NHCHCOと反応させることにより9が得られ、次いで、塩基(例えば、DBU)の存在下で環化することにより化合物10を得る。この環化生成物の異性体を、クロマトグラフィーまたは結晶化により単離する。所望の10を酢酸ホルムアミジンを用いて更に環化し、続いて、R中のヒドロキシル官能基またはアミノ官能基の脱保護により、所望の目標11を生成する。
【0152】
(スキーム3 X=N、Y=S、R=NH、R=H、R=任意の記載される基、R=Hである、式Iの化合物の調製)
化合物5を、塩基の存在下で塩化メタンスルホニルで処理し、次いで、アセチルチオアセトニトリルおよび炭酸ナトリウムと反応させることにより化合物12が得られ、加熱することにより13へと環化する。この環化生成物の異性体を、クロマトグラフィーまたは結晶化により単離する。所望の13を酢酸ホルムアミジンを用いて更に環化し、続いて、R中のヒドロキシル官能基またはアミノ官能基の脱保護により、所望の目標14を生成する。
【0153】
(スキーム4 X=N、Y=O、R=NH、R=H、R=任意の記載される基、R=Hである、式Iの化合物の調製)
化合物5を、フッ化カリウムの存在下でクロロアセトニトリルおよび18−クラウン−6で処理して15を生じさせ、LDAを用いた処理により所望の16へと環化する。この環化生成物の異性体を、クロマトグラフィーまたは結晶化により単離する。所望の16を酢酸ホルムアミジンを用いて更に環化し、続いて、R中のヒドロキシル官能基またはアミノ官能基の脱保護により、所望の目標17を生成する。
【0154】
(スキーム5 X=N、Y=O、R=Cl、SHまたはS−アルキル、R=H、R=任意の記載される基、R=Hである、式Iの化合物の調製)
化合物16をHSガスで処理してチオアミド18を生成し、酢酸ホルムアミジンを用いた環化により化合物19を得る。POClを用いた19の更なる処理により、種々のR−置換化合物に対する共通の中間体である保護された20を生じる。化合物19および20は、脱保護されれば、R=SHおよびClである目標20を生成する。化合物19は、アルキルハロゲン化物で処理されることにより、S−アルキル化合物も生成し得る。
【0155】
(スキーム6 X=N、Y=O、R=Cl、R=H、R=任意の記載される基、R=Hである、式Iの化合物の調製)
化合物20は、このスキームにより代替的に生成される。化合物5のナトリウム塩のブロモジエチルマロネートまたはクロロジエチルマロネートとの反応により21を生じ、塩基処理により環化して22を得る。環化生成物の異性体を、クロマトグラフィーまたは結晶化により単離する。所望の22を酢酸ホルムアミジンを用いて更に環化して23が得られ、POClを用いた処理により、種々のR−置換化合物に対する共通の中間体である保護された20を生じる。化合物23は、脱保護されれば、R=OHである目標を生成する。化合物23は、アルキルハロゲン化物で処理されることにより、O−アルキル化合物も生成し得る。
【0156】
(スキーム7 X=N;Y=O、SまたはNH;R=OH;R=NH、R=任意の記載される基、R=Hである、式Iの化合物の調製)
化合物24を、塩化水銀(II)の存在下でN,N’−ビス−メトキシカルボニル−S−メチルチオ尿素で処理して25を生じさせ、環化用の塩基を用いた処理に続き、R中のヒドロキシル官能基またはアミノ官能基の脱保護により、所望の目標26を生成する。
【0157】
(スキーム8 X=N;Y=O、SまたはNH;R=NHR/NR、Ar、NROR、NRNHR、NHNHR、SRまたはOR;R=H、R=任意の記載される基、R=Hである、式Iの化合物の調製)
Y=Oである化合物20を、スキーム5および6に記載される通りに調製する。Y=SまたはNHである場合、これらは、スキーム5および6で使用された同じ方法により対応する13、7および18から調製される。化合物20は、i)アミン、RNHまたはRNHを用いた処理により28を生成し;ii)スズキカップリング条件下でアリールボロン酸を用いた処理により27を生じさせ;iii)アルコキシアミン、HNRORを用いた処理により33を生じさせ;iv)二置換ヒドラジン、HNRNHRを用いた処理により32を生成し;v)一置換ヒドラジン、NHNHRを用いた処理により31が得られ;vi)チオアルコキシド、RSNaを用いた処理により30を生じさせ;vii)アルコキシド、RONaを用いた処理により29を生成する。これらの化合物のR中のヒドロキシル官能基またはアミノ官能基の適切な条件下での脱保護により、適切な目標を得る。
【0158】
(スキーム9 X=CH、Y=O、NHまたはS、R=Clまたはスキーム8に記載される通りの置換基、R=H、R=任意の記載される基、R=Hである、式Iの化合物の調製)
化合物34は、Y=Oである場合、スキーム5の18と同じ化合物である。化合物34は、Y=NHおよびSである場合、HSガスを用いた処理により7および13から調製される。化合物34は、(CHCH(CHONOおよびジヨードメタンで処理することにより35へと転化され、35のヨード基は、アセチレン基で置換されて、トリメチルシリルアセチレンおよび(PhCN)PdCl触媒の反応、それに続く酸性処理により36を生じさせる。36の37への環化は、エタノール中、続いて酢酸水中のジメチルアミン処理により達成される。37中のチオ官能基をPOClでクロロに転化して共通の中間体である38を得る。スキーム8に記載される試薬を用いた38の更なる処理、それに続くR中のアミノ基およびヒドロキシル基の脱保護により、Clが異なる基により置換された所望の目標38を生成する。
【0159】
化合物はまた、以下のスキームA−1〜D−2で例示されるようにも調製され得る。
【0160】
(R−CHCN化合物の調製)
【0161】
【化34】


(RCHCN中間体からの本発明の化合物の調製)
以下のスキームでは、Rは、1つ以上の保護基を有する糖基である。
【0162】
【化35】

【0163】
【化36】

【0164】
【化37】

【0165】
【化38】


(ヌクレオシド一リン酸およびヌクレオシド三リン酸の調製(実施例C−1により示される))
以下のスキームは、1つ以上のリン酸基を有する式Iの化合物の調製を例示している。これらのスキームにおいて、Bは、式Iのフロピリミジン(fropyrimidine)塩基を表し、B(P)は、1つ以上の保護基を有する式Iのフロピリミジン塩基を表す。
【0166】
【化39】

【0167】
【化40】


(プロドラッグの調製)
以下のスキームは、本発明のプロドラッグの調製を例示している。
【0168】
【化41】

【0169】
【化42】


次に、本発明を、以下の非限定的な実施例により例示する。
【0170】
【化43】


(2−(3,4−ビス(ベンジルオキシ)−5−(ベンジルオキシメチル)−テトラヒドロフラン−2−イル)アセトニトリル(スキームA−1))
工程1:メタノール(1L)中のD−リボース(61g、406.66mmol)の溶液に、濃硫酸(6.1mL)を加え、4℃にて16時間、攪拌した。この反応混合物を、トリエチルアミン(40mL)を用いて中和し、濃縮乾固し、200mLのトルエンで2度、共蒸留して、微量の水分を除去した。これにより72gの粗O−メチル−D−リボフラノースが与えられ、次の工程にそのまま使用した。
【0171】
工程2:DMF(200mL)中のNaH(65g、60%、1.626mol)のスラリーに、温度を5℃未満に維持し、0.5時間かけてDMF(800mL)中の工程1(72g、406.66mmol)からの粗化合物を加えた。生成されたアニオンを、室温にて30分間、攪拌した。臭化ベンジル(219.1g、1280.9mmol)を、0〜5℃の温度を維持して1時間かけて滴下した。この反応物を、室温にて12時間攪拌し(30%酢酸エチル/ヘキサン中のTLC分析が、出発物質の完全な消滅を示した)、水(500mL)で希釈し、酢酸エチル(2×1L)で抽出した。合わせた有機抽出物を、水(1L)、ブライン(500mL)で2回洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で濃縮して粗残留物を得た。この粗残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル1kg)により精製し、ヘキサン中の酢酸エチルで溶出して、油状体として112g(63.3%)の所望の生成物を得た。
【0172】
【化44】


工程3:ジオキサン(250mL)中の工程2からの生成物(114g、262.35mmol)の溶液に、4N HCl(250mL)を加え、還流にて4時間、加熱した。この反応混合物を、室温に到達させ、酢酸エチル(1.5L)で希釈した。水層を分離し、酢酸エチル(3×1L)で抽出した。有機層を合わせ、水(2×500mL)で洗浄し、飽和NaHCO水(250mL)、水(500mL)およびブライン(250mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過した。濾液を真空下で濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル1.5kg、0〜30%ヘキサン中の酢酸エチルで溶出)により精製して、出発物質(9.9g)および油状体として85.3g(45%)の所望の生成物(異性体の混合物)を得た。
【0173】
【化45】


工程4:THF(150mL)中の工程3からの生成物(15g、35.67mmol)の攪拌溶液に、ジエチル(シアノメチル)ホスフェート(6.95g、39.23mmol)を室温にて加え、続いて、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(39.2mL、THF中の1M溶液)を−78℃にて加えた。この反応混合物を、−78℃にて約20分間、そして0℃にて1.5時間攪拌し、次いで、水(50mL)を加えることによりクエンチした。反応物をエーテル(2×200mL)で抽出し、水(2×50mL)、ブライン(1×50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させた。濾過後、濾液を濃縮し、0〜30%ヘキサン中の酢酸エチルを用いたフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、油状体の異性体の混合物として10.79g(68.2%)の所望の化合物を得た。MS(ES)444.33(M+1)。
【0174】
【化46】


(7−β−(2’,3’,5’−トリ−O−ベンジル−D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(スキームB−1))
工程1:DMF(150mL)中の実施例A−1の工程4からの化合物、(3S,4R,5R)−(3,4−ビス−ベンジルオキシ−5−ベンジルオキシメチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−アセトニトリル(10.7g、24.12mmol)の攪拌溶液に、室温にてtert−ブトキシビス(ジメチルアミノ)メタン(21.02g、120.62mmol)を加え、12時間攪拌した。この反応混合物をトルエン(700mL)で希釈し、水(2×250mL)、ブライン(1×50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させた。濾過後、濾液を濃縮することにより所望の生成物(13.8g)が得られ、この生成物を、次の工程にそのまま使用した。
【0175】
工程2:工程1からの化合物(13.8g、24.12mmol)をクロロホルム(250mL)、トリフルオロ酢酸(4.59g、40.29mmol)および水(137mL)中に、室温にて溶解させ、18時間攪拌した。有機層を分離し、水層をクロロホルム(2×200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、水(2×200mL)、ブライン(1×100mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させた。濾過後、濾液を濃縮して、12.59gの所望の生成物を得た。少量を取り出し、酢酸エチルよびヘキサンを用い、シリカゲルカラムを用いて精製した。
【0176】
【化47】


工程3:DMF(1500mL)中の工程2からの生成物(186.5g、395.4mmol)の攪拌溶液に、0℃にて1.5時間にわたり、4回に分けて水素化ナトリウム(19.7g、60%、494.3mmol)を加え、続いて、0℃にて30分間にわたり、2−ブロモジエチルマロネート(118.1g、494.3mmol)を加え、室温にて12時間攪拌した。水(1000mL)で希釈後、反応混合物を酢酸エチル(3×2000mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、水(2×1000mL)、ブライン(1×200mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させた。濾過後、濾液を濃縮することにより未精製の所望の生成物296gが得られ、この生成物を更なる精製なしに次の反応に使用した。
【0177】
工程4:EtOH(1000mL)中の工程3からの化合物(296g、未精製)に、室温にて1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(58.9g、474.48mmol)を加え、18時間攪拌した。この反応混合物を濃縮し、残留物を酢酸エチル(4000mL)に溶解させ、水(2×1000mL)、ブライン(2×500mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させた。濾過後、濾液を濃縮し、粗残留物を、酢酸エチルおよびヘキサンを用い、シリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、淡茶褐色の油状体として29g(13.1%)の所望の生成物を得た。
【0178】
工程5:EtOH(600mL)中の工程4からの化合物(29.0g、52.04mmol)の攪拌溶液に、室温にて酢酸ホルムアミジン(135g、1301mmol)を加え、還流にて4日間加熱し、固形物質を濾過により除去し、濾液を濃縮した。残留物をクロロホルム(400mL)に溶解させ、水(2×100mL)、ブライン(1×100mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させた。粗残留物を、クロロホルム中のCMA−80(0〜20%)を用い、シリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、無色の結晶質固体として12g(42.8%)の所望の生成物を得た:融点88℃〜100℃。
【0179】
【化48】

【0180】
【化49】


(4−クロロ−7−β−(2’,3’,5’−トリ−O−ベンジル−D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン(スキームB−2))
アセトニトリル(50mL)中の実施例B−1の工程5からの化合物(6.26g、11.62mmol)と、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(5.29g、23.24mmol)と、N,N−ジメチルアニリン(2.12g、17.43mmol)との攪拌溶液に、80℃にてオキシ塩化リン(10.69g、69.74mmol)を加え、80℃にて30分間、更に攪拌した。次いで、この反応物を濃縮乾固し、クロロホルム(100mL)に溶解させ、水(50mL)でクエンチした。有機層を分離し、水層をクロロホルム(2×50mL)で更に抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を、水(2×100mL)、飽和NaHCO(1×50mL)、水(1×100mL)およびブライン(1×50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させた。濾過後、濾液を濃縮し、残留物をヘキサン中の酢酸エチル(0〜25%)を用い、シリカゲルカラムを用いたフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、無色の結晶質固体として5.62g(86.8%)の所望の生成物を得た。
【0181】
【化50】


(実施例B−3〜B19の化合物の一般調製法)
工程1:エタノール中の実施例B−2からのクロロ化合物(1当量)と、適切なアミン(6当量)と、トリエチルアミン(20当量)との溶液を、35℃〜45℃にて5時間〜15時間加熱した。濃縮後、残留物を、クロロホルムまたは酢酸エチルと水とに分配した。有機層を水およびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させた。濾過後、残留物を、結晶化によりまたは適切な溶媒系を用い、シリカゲルカラムを用いて精製した。
【0182】
工程2:ジクロロメタン中の工程1からの生成物(1当量)の溶液を、0〜−78℃にてジクロロメタン中のBClの1M溶液(2〜10当量)で処理し、1〜3時間攪拌した。この反応混合物をメタノールでクエンチし、濃縮乾固した。残留物を、HClとエタノールとの混合物を用いて2回、共エバポレート(co−evaporate)し、エタノールで2回洗浄した。残留物を、再結晶化または適切な溶媒系を用いたシリカゲルカラムにより精製した。
【0183】
【化51】


(4−メチルアミノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン(スキームB−3))
【0184】
【化52】

【0185】
【化53】


(4−エチルアミノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン(スキームB−3))
【0186】
【化54】

【0187】
【化55】


(4−イソプロピルアミノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン(スキームB−3))
【0188】
【化56】

【0189】
【化57】


(4−ジメチルアミノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン(スキームB−3))
【0190】
【化58】

【0191】
【化59】


(4−n−プロピルアミノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン(スキームB−3))
【0192】
【化60】

【0193】
【化61】


(4−シクロプロピルアミノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン(スキームB−3))
【0194】
【化62】

【0195】
【化63】


(4−アゼチジノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン(スキームB−3))
【0196】
【化64】

【0197】
【化65】


(4−ピロリジノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン(スキームB−3))
【0198】
【化66】

【0199】
【化67】


(4−(N−3−ピロリノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン(スキームB−3))
【0200】
【化68】

【0201】
【化69】


(4−(2−ヒドロキシメチルピロリジノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン(スキームB−3))
【0202】
【化70】

【0203】
【化71】


(4−(3−N−イミダゾリル−n−プロピルアミノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン(スキームB−3))
【0204】
【化72】

【0205】
【化73】


(4−N−モルホリノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン(スキームB−3))
【0206】
【化74】

【0207】
【化75】


(4−N−ピペラジノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン(スキームB−3))
【0208】
【化76】

【0209】
【化77】


(4−(ヒドロキシエチルアミノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン(スキームB−3))
【0210】
【化78】

【0211】
【化79】


(4−(N−ビス−ヒドロキシエチルアミノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン(スキームB−3))
【0212】
【化80】

【0213】
【化81】


(4−(3−ヒドロキシプロピルアミノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン(スキームB−3))
【0214】
【化82】

【0215】
【化83】


(4−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチルアミノ)−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン(スキームB−3))
【0216】
【化84】

【0217】
【化85】


(4−フェニル−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン(スキームB−3))
工程1:メタノール(50mL)中の10%Pd−C(100mg)の懸濁液に、実施例B−1からの生成物(3.0g、5.57mmol)および濃HCl(0.5mL)を加え、この混合物を70psiにて16時間、水素化した。触媒を濾過により除去し、濾液を濃縮することにより、7−(3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−3H−フロ[3.2−d]ピリミジン−4−オン(1.66g)が得られ、これを次の工程にそのまま使用した。
【0218】
【化86】


工程2:ピリジン(20mL)中の工程1からの生成物(1.66g)の攪拌溶液に、0℃にて塩化ボンゾイル(5.22g、37.16mmol)を加え、この反応混合物をRTにし、16時間攪拌した。濃縮後、残留物を酢酸エチル(50mL)に溶解させ、水(2×20mL)、ブライン(1×20mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過し、濾液を濃縮した。粗残留物を、ヘキサン中の酢酸エチル(0〜100%)を用いたフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、無色の固体としてベンゾイル化生成物(2.77g、77.0%)を得た。
【0219】
【化87】


工程3:アセトニトリル(20mL)中の工程2からの生成物(2.70g、4.65mmol)と、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(2.07g、9.31mmol)と、N,N−ジメチルアニリン(0.85g、6.98mmol)との攪拌溶液に、80℃にてオキシ塩化リン(4.28g、27.93mmol)を加え、この混合物を80℃にて30分間、更に攪拌した。濃縮後、残留物をクロロホルム(100mL)に溶解させ、水で洗浄した。有機層を分離し、水層をクロロホルム(2×30mL)で更に抽出した。合わせたクロロホルム抽出物を水(2×50mL)、飽和NaHCO(50mL)、水(50mL)およびブライン(25mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させた。濾過後、濾液を濃縮し、残留物を、ヘキサン中の酢酸エチル(0〜25%)を用い、シリカゲルカラムを用いたフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、無色の結晶質固体としてクロロ化合物2.58g(92.5%)を得た。
【0220】
【化88】


工程4:エチレングリコールジメチルエーテル(10mL)および水(1mL)中の工程3からのクロロ化合物(0.50g、0.83mmol)と、フェニルボロン酸(0.30g、2.50mmol)と、炭酸水素ナトリウム(0.32g、5.01mmol)との攪拌混合物に、15分間、窒素を吹き込んだ。ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム(II)(58mg)を加え、この混合物を、80℃にて16時間加熱した。この反応物を水(50mL)で希釈して、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、水(2×50mL)、ブライン(25mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させた。濾過後、濾液を濃縮し、残留物を、ヘキサン中の酢酸エチル(0〜30%)を用い、シリカゲルカラムを用いたフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、無色の結晶質固体として449mg(83.9%)の所望の化合物を得た。
【0221】
【化89】


工程5:メタノール(10mL)中の工程4からの生成物(0.43g、0.67mmol)の攪拌溶液に、メタノール(15mL)中で飽和したアンモニアを加え、スチールボンベ中にこの反応混合物を密閉した。RTにて15時間攪拌後、この反応混合物を濃縮乾固して、残留物を、クロロホルム中のCMA−80(0〜100%)を用い、シリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、無色の結晶質固体として110mg(49.4%)の所望の生成物を得た。
【0222】
【化90】

【0223】
【化91】


(4−メチルチオ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン(スキームB−3))
テトラヒドロフラン(15mL)中の2−(4−クロロ−フロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)−5−ベンゾイルオキシメチル−テトラヒドロ−フラン−3,4−ジ安息香酸と、実施例B−20の工程3からの生成物(0.35g、0.585mmol)との攪拌混合物を、RTにてナトリウムチメトキシド。(41g、5.85mmol)で処理した。RTにて16時間攪拌後、この反応混合物を濃縮乾固し、残留物をシリカゲルのカラムを用いて精製して、無色の結晶質固体として0.12g(68.7%)の所望の生成物を得た。
【0224】
【化92】

【0225】
【化93】


(2−アミノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジン−4(3H)−オン(スキームB−4))
工程1:ピリジン(10mL)中の実施例B−1の工程4からの生成物(0.49g、0.88mmol)の溶液に、トリエチルアミン(0.62mL、4.4mmol)、塩化水銀(II)(0.48g、1.76mmol)、1,3ジカルボメトキシ−2−メチル−2−チオプソイド尿素(0.37g、1.76mmol)を加え、この反応混合物を、50℃にて一晩、攪拌した。反応が完全ではなかったので、同量の試薬を再度加え、50℃にて48時間加熱した。溶媒を真空下で除去し、残留物を酢酸エチル(100mL)で粉砕し、Celite(登録商標)のパッドを通して濾過して不溶性の不純物を除去した。濾液を真空下で濃縮し、得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル40g、0〜75%のヘキサン中酢酸エチルで溶出)により精製して、黄色の油状体として所望の生成物を得た。この生成物を、次の工程にそのまま使用した。
【0226】
工程2:メタノール(3mL)中の工程1からの生成物(0.2g、0.28mmol)の溶液に、ナトリウムメトキシド(メタノール中の5.4M溶液、0.052mL)を加え、室温にて一晩攪拌した。反応を氷酢酸(0.04mL、1.5mmol)でクエンチし、真空下で濃縮乾固した。得られた残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル10g、0〜25%のクロロホルム中のCMA−80で溶出する)により精製して、黄色の油状体として63mg(37%)の所望の生成物、2−メトキシカルボニルアミノ−7−(3,4−ビス−ベンジルオキシ−5−ベンジルオキシメチル−テトラヒドロフラン−2−イル)−3H−フロ[3,2−d]ピリミジン−4−オンを得た。
【0227】
工程3:メタノール(1.0mL)中の工程2−からの生成物(60mg、0.1mmol)に、1N NaOH(0.25mL、0.25mmol)を加え、RTにて一晩加熱した。再度、1N NaOH(0.75mL)を加え、50℃にて4時間加熱した。この反応混合物を室温に冷却し、氷酢酸を用いてpHを6に調節した。この反応混合物を、真空下で濃縮してメタノールを除去し、残留物をシリカゲルのカラムを用いて精製して41mgの所望の生成物を得た。
【0228】
工程4:工程3からの生成物(40mg)と、メタノール(2mL)中の10%Pd/C(40mg)と、1N HCl(0.7mL)との混合物を、50psiにて6時間、水素化した。触媒をCeliteに通して濾過により除去し、残留物を乾燥させて、25mgの生成物を得た。
【0229】
【化94】

【0230】
【化95】


(4−メチルアミノ−7−β−(D−リボフラノシル)−フロ[3,2−d]ピリミジンの三リン酸)
工程1:DMF(1.5mL)中の実施例B−3からの化合物(66mg、0.23mmol)と、MMTrCl(87mg、98%、0.28mmol)と、DMAP(5mg、0.04mmol)と、ピリジン(2.25mL)との混合物を、室温にて22時間攪拌した。更なるMMTrClを3回に分けて加え(87mg、180mg、180mg)、この反応混合物を、MMTrClの各添加後、それぞれ15時間、23時間、45時間攪拌した。次いで、この反応混合物をトリエチルアミン(1.7mL、12.2mmol)、DMAP(14mg、0.11mmol)および塩化4−ニトロベンゾイル(0.87g、98%、4.59mmol)で処理し、室温にて67時間攪拌し、続いて、酢酸エチル(100mL)で希釈した。水(2×50mL)およびブライン(50mL)で洗浄後、有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮した。残留物をヘキサン/EtOAc(1:0〜1:1)を溶離剤として用い、シリカゲルカラムを用いて精製することにより粗生成物(269mg)が得られ、この生成物を次の工程にそのまま使用した。
【0231】
工程2:アセトニトリル(8mL)中の工程1からの上記生成物(260mg)の溶液を、0.2N HCl(0.4mL)で処理し、室温にて3時間攪拌した。この反応混合物を、0.5N NaOH水を用いてpHを5にし、続いて水(20mL)で希釈し、濃縮して、ほとんどのアセトニトリルを除去した。この水性混合物を、EtOAc(2×25mL)およびクロロホルム(2×50mL)で抽出した。合わせた抽出物をMgSOで乾燥させた。濾過および濃縮後、残留物を、ヘキサン/EtOAc/MeOH(1:0:0〜1:1:0.1)を溶離剤として用い、シリカゲルカラムを用いて2回精製することにより生成物(47mg、純度約90%)が得られ、この生成物を、次の工程にそのまま使用した。MS(ES):727.65(M−1)。
【0232】
工程3:ピリジン(70μL)と1,4−ジオキサン(210μL)との混合物中の工程2からの上記生成物(45mg)の懸濁液を、新たに調製されたクロロ−4H−1,3,2−ベンゾジオキサホスホリン−4−オン(1,4−ジオキサン中1M、75μL)の溶液で処理した。この反応混合物を、室温にて20分間攪拌し、続いて、DMF(205μL)中のピロリン酸トリブチルアンモニウム1.6BuN・1.0H(47mg、0.10mmol)の溶液とトリ−n−ブチルアミン(65μL)とで、同時に処理した。生成された澄明な溶液を、室温にて30分間攪拌し、続いて、2.6mLの1%のP/HO中のI(98/2)で処理した。過剰なヨウ素を、5%チオ硫酸ナトリウム水(215μL)により還元し、得られた溶液を濃縮乾固した。残留物を濃NHOH(20mL)で処理した。この反応混合物を、室温にて一晩攪拌し、続いて、濃縮乾固した。残留物をHO(20mL)で溶解させ、CHCl(2×15mL)で洗浄した。水相を真空下で短時間濃縮して、少量のCHClを除去し、DEAEイオン交換カラムクロマトグラフィーにより、TEAB緩衝液の線形勾配を用いて精製した(1M TEAB緩衝液、pH=8.0/HO、250mL/250mL、0:1〜1:0)。所望のヌクレオチドを含む分画を合わせ、濃縮した。残留物をHOに溶解させ、HPLC(CHCN/0.1M TEAB緩衝液、pH=8.0、0〜20分、0〜35% CHCN;20分〜28分、35%〜100%CHCN、260nmにてモニタリング)により更に精製して、所望の三リン酸を得た(t=15.3分)。
【0233】
【化96】


(実施例D−1)
以下は、式Iの化合物、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはプロドラッグ(‘化合物X’)を含む、ヒトにおける治療または予防のための代表的な薬学的投薬形態を例示している。
【0234】
【化97】

【0235】
【化98】


上記処方物は、薬学分野で周知の慣例的な手順により得られ得る。
【0236】
全ての刊行物、特許および特許文献が、個別に援用されるかの如く、本明細書中に参考として援用される。本発明は、種々の特定の実施形態および技術ならびに好ましい実施形態および技術を参照して記載された。しかしながら、多くの変更および修正が、本発明の精神および範囲の内でなされ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載される発明。

【公開番号】特開2012−229216(P2012−229216A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−128869(P2012−128869)
【出願日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【分割の表示】特願2008−504203(P2008−504203)の分割
【原出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(507141273)バイオクライスト ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】