説明

CB2受容体を調節するアゼチジン2−カルボキサミド誘導体

CB2受容体を調節する式(I)、(II)および(III)の化合物が開示される。本発明による化合物は、CB2受容体に結合し、またCB2受容体の作動薬であり、炎症の治療に有用である。作動薬であるそれらの化合物は、さらに、疼痛の治療に有用である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出願データ
本出願は、2009年6月16日出願の米国特許仮出願第61/187,394号の利益を主張する。
本発明は、CB2受容体を調節する新規化合物およびその医薬としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カンナビノイドは、大麻(Cannabis sativa)(マリファナとしても知られる)中に見られる約60種の異なる化合物の一群であり、カンナビノール、カンナビジオールおよびΔ9−テトラヒドロカンナビノール(THC)が最も代表的な分子である。大麻の治療上の使用は、古代中国王朝まで遡ることができ、食欲不振、嘔吐、腹痛、生理痛、痙縮からリウマチに至る様々な病気への適用を含む。大麻の使用の長い歴史は、いくつかの製剤の開発へと至った。例えば、それぞれTHCおよびその類似体ナビロンをベースとしたマリノールおよびセサメットは、制吐薬および食欲増進薬として使用される。臨床的利点にもかかわらず、大麻の治療上の使用は、幻覚、中毒性および依存性を含むその精神活性作用により制限されている。Mechoulam R編、Cannabinoids as Therapeutic Agents、Boca Raton、FL;CRC Press、1986には、大麻の薬学的使用に関する概説が記載されている。
【0003】
カンナビノイドの生理学的効果は、少なくとも2種のGタンパク質共役受容体、CB1およびCB2により媒介される。オートラジオグラフィー研究では、主に中枢神経系において、具体的には大脳皮質、海馬、大脳基底核および小脳において、CB1受容体が発現することが実証されている。また、生殖器系、および免疫系の組織を含む他の末梢組織においても、より低い程度でCB1受容体が見られる。CB1受容体は、シナプス前ニューロンからの神経伝達物質の放出を調整し、THC誘発性リングカタレプシー(ring−catalepsy)、低可動性、および低体温等の大麻の陶酔作用および他の中枢神経系作用のほとんどを媒介すると考えられ、これらは、CB1遺伝子が欠失したマウスにおいては全く見られないことが判明した(Zimmerら、Increased mortality, hypoactivity, and hypoalgesia in cannabinoid CB1 receptor knockout mice.Proc Natl Acad Sci USA.(1999)96:5780−5785)。
【0004】
CB2受容体は、ほぼ免疫系にのみ見られ、脾臓において最も高密度に見られる。免疫細胞内のCB2の発現レベルは、CB1よりも約10〜100倍高いと推定される。免疫系内では、CB2は、B細胞、NK細胞、単球、小グリア細胞、好中球、T細胞、樹枝状細胞および肥満細胞を含む様々な細胞型で見られ、これは広範な免疫機能がCB2調節因子により調整され得ることを示唆している(Kleinら、The cannabinoid system and immune system.J Leukoc Biol(2003)74:486−496)。これは、THCの免疫調節効果がCB2欠失マウスにおいて見られないという所見(Bickletら、Immunomodulation by cannabinoid is absent in mice deficient for the cannabinoid CB2 receptor.Eur J Pharmacol(2000)396:141−149)により裏付けられる。CB2選択的リガンドが開発され、様々な炎症状況におけるその効果について試験された。例えば、炎症の動物モデルにおいて、CB2選択的作動薬、逆作動薬および拮抗薬は、炎症の抑制において効果的であることが示されている(Hanusら、HU−308: a specific agonist for CB(2), a peripheral cannabinoid receptor.Proc Natl Acad Sci USA.(1999)96:14228−14233、Uedaら、Involvement of cannabinoid CB(2) receptor−mediated response and efficacy of cannabinoid CB(2) receptor inverse agonist, JTE−907, in cutaneous inflammation in mice.Eur J Pharmacol.(2005)520:164−171およびSmithら、The anti−inflammatory activities of cannabinoid receptor ligands in mouse peritonitis models Eur J Pharmacol.(2001)432:107−119)。さらに、CB2選択的作動薬は、多発性硬化症の動物モデルにおいて、疾患重症度および痙縮を阻害する(Bakerら、Cannabinoids control spasticity and tremor in a multiple sclerosis model.Nature(2000)404:84−87.Arevalo−Martinら、Therapeutic action of cannabinoids in a murine model of multiple sclerosis J Neurosci.(2003)23:2511−2516)。総合すると、これらの結果は、炎症性要素を有する病状の治療にCB2受容体調節因子を使用することができるという考えを支持している。
【0005】
炎症に加えて、CB2作動薬は、疼痛および嘔吐を阻害することが示されている。例えば、CB2選択的作動薬は、熱刺激またはその他の刺激により誘発される疼痛反応を鈍らせる(Malanら、CB2 cannabinoid receptor−mediated peripheral antinociception. Pain.(2001)93:239−45およびNackleyら、Selective activation of cannabinoid CB(2) receptors suppresses spinal fos protein expression and pain behavior in a rat model of inflammation.Neuroscience(2003)119:747−57)。また、CB2活性化は、神経因性疼痛反応を阻害することが実証されている(Ibrahimら、Activation of CB2 cannabinoid receptors by AM1241 inhibits experimental neuropathic pain: pain inhibition by receptors not present in the CNS.Proc Natl Acad Sci USA.(2003)100:10529−33)。最後に、脳内にCB2が見られなかった初期のデータとは対照的に、最近の論文では、脾臓内のレベルの約1.5%のレベルでの脳内CB2発現が実証された。この論文により、CB2活性化は、内在性カンナビノイドの制吐作用を担っていることが示されている(Van Sickleら、Identification and functional characterization of brainstem cannabinoid CB2 receptors.Science.2005 310:329−332)。上記の結果は、炎症性および神経因性疼痛、ならびに嘔吐の治療にCB2作動薬を使用することができることを裏付けている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、CB2受容体に結合して調節する新規化合物を提供する。本発明はまた、治療量のこれらの化合物の投与により炎症を治療するための方法および医薬組成物を提供する。最後に、本発明は、治療量のCB2作動薬である新規化合物の投与により疼痛を治療するための方法および医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の1つの一般的態様において、式(I)
【化1】

(I)
(式中、
Ar1は、C1-5アルキル、炭素環、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールから選択され、それぞれ、ハロゲンで置換されていてもよい1〜3個のC1-5アルキル、C1-5アルコキシ、ヒドロキシル、CN、ハロゲン、NO2、−S(O)m−C1-5アルキル、−CO2−C1-5アルキル、−NH(C1-5アルキル)−CO2−C1-10アルキル、−C(O)−NH(C1-5アルキル)、−C(O)−N(C1-5アルキル)2、−NH(C1-5アルキル)、−N(C1-5アルキル)−C(O)−C1-10アルキル、−N(C1-5アルキル)−S(O)m−C1-10アルキル、炭素環およびヘテロシクリルで置換されていてもよく、
Ar2は、炭素環、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールから選択され、それぞれ、ハロゲンで置換されていてもよい1〜3個のC1-10アルキル、C3-10シクロアルキル、炭素環、C1-10アルキル炭素環、ヘテロアリール、CNまたはハロゲンで置換されていてもよく、C1-10アルキルおよび炭素環は、ハロゲン、ヒドロキシルまたはC1-5アルコキシで追加的に置換されていてもよく、
1は、結合またはC1-5アルキル鎖から選択され、前記鎖の各−CH2−は、C(O)またはS(O)mで置き換えられていてもよく、
2は、結合またはC1-5アルキル鎖から選択され、
1は、水素、オキソ(=O)およびOHから選択され、
mは、0、1または2である)
の化合物、またはその薬学的に許容される塩が提供される。
【0008】
すぐ上に記載の実施形態による化合物であって、
Ar1が、C1-5アルキル、フェニル、C3-6シクロアルキル、ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−1λ6−チオモルホリニル、モルホリニルおよびピリジニルから選択され、それぞれ、ハロゲンで置換されていてもよい1〜3個のC1-5アルキル、C1-5アルコキシ、ヒドロキシル、CN、S(O)m−C1-3アルキルまたはハロゲンで置換されていてもよく、
Ar2が、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾイル、チアゾイル、チアジアゾイル、ベンゾチアゾイル、トリアゾイル、イソチアゾイル、フェニル、ピリミジニル、ピリジジニル、ピラジニルおよびピリジニルから選択され、それぞれ、ハロゲン、C1-5アルコキシル、もしくはヒドロキシルで置換されていてもよい1〜3個のC1-6アルキル、ハロゲンで置換されていてもよいフェニル、ハロゲンまたはC3-8シクロアルキルで置換されていてもよく、
1が、水素であり、
1が、結合またはC1-3アルキル鎖であり、前記鎖の各−CH2−は、C(O)またはS(O)mで置き換えられていてもよく、
2が、結合である化合物が提供される。
【0009】
すぐ上に記載の実施形態による化合物であって、
Ar1が、C1-5アルキル、フェニル、C3-6シクロアルキル、テトラヒドロピラニルおよびピリジニルから選択され、それぞれ、1〜3個のC1-5アルキル、トリフルオロメチル、S(O)m−C1-3アルキルまたはハロゲンで置換されていてもよく、
Ar2が、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、フェニル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリルおよびチアジアゾリルから選択され、それぞれ、C1-5アルコキシルもしくはヒドロキシルで置換されていてもよい1〜3個のC1-5アルキル、ハロゲンで置換されていてもよいフェニル、ハロゲン、C3-6シクロアルキルまたはトリフルオロメチルで置換されていてもよく、
1が、結合、−CH2−、C(O)またはS(O)2である化合物が提供される。
すぐ上に記載の実施形態による化合物であって、
Ar1が、C3-5アルキル、フェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニルおよびピリジニルから選択され、それぞれ、1〜3個のC1-3アルキル、トリフルオロメチル、メチルスルホニルまたはハロゲンで置換されていてもよい化合物が提供される。
すぐ上に記載の実施形態による化合物であって、
Ar2が、
【0010】
【化2】

から選択される化合物が提供される。
すぐ上に記載の実施形態による化合物であって、
Ar2が、
【0011】
【化3】

から選択される化合物が提供される。
本発明の別の一般的態様において、式(II)
【0012】
【化4】

(II)
(式中、
Ar1は、C1-5アルキル、フェニル、C3-6シクロアルキル、ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾイル、チアゾイル、チアジアゾイル、ベンゾチアゾイル、トリアゾイル、イソチアゾイル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリル、イミダゾリルおよびピラゾリルから選択され、それぞれ、ハロゲンで置換されていてもよい1〜3個のC1-6アルキル、S(O)m−C1-3アルキル、C1-6アルコキシ、ヒドロキシルまたはハロゲンで置換されていてもよく、
Ar2は、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾイル、チアゾイル、チアジアゾイル、ベンゾチアゾイル、トリアゾイル、イソチアゾイル、フェニル、ピリミジニル、ピリジジニル、ピラジニルおよびピリジニルから選択され、それぞれ、ハロゲン、C1-6アルコキシルもしくはヒドロキシルで置換されていてもよい1〜3個のC1-6アルキル、ハロゲンで置換されていてもよいフェニル、ハロゲン、C1-6アルコキシル、またはC3-8シクロアルキルで置換されていてもよく、
1は、結合またはC1-3アルキル鎖であり、
2は、結合である化合物が提供される。
【0013】
すぐ上に記載の実施形態による化合物であって、
Ar1が、C1-5アルキル、フェニル、C3-6シクロアルキル、テトラヒドロピラニルおよびピリジニルから選択され、それぞれ、1〜3個のC1-6アルキル、トリフルオロメチル、S(O)m−C1-3アルキルまたはハロゲンで置換されていてもよく、
Ar2が、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、フェニル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリルおよびチアジアゾリルから選択され、それぞれ、C1-6アルコキシルもしくはヒドロキシルで置換されていてもよい1〜3個のC1-6アルキル、ハロゲンで置換されていてもよいフェニル、ハロゲン、C1-6アルコキシル、C3-6シクロアルキルまたはトリフルオロメチルで置換されていてもよく、
1は、結合または−CH2−である化合物が提供される。
【0014】
すぐ上に記載の実施形態による化合物であって、
Ar1が、C3-5アルキル、フェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニルおよびピリジニルから選択され、それぞれ、1〜3個のC1-3アルキル、トリフルオロメチルまたはハロゲンで置換されていてもよい化合物が提供される。
すぐ上に記載の実施形態による化合物であって、
Ar2が、
【0015】
【化5】

から選択される化合物が提供される。
すぐ上に記載の実施形態による化合物であって、
Ar2が、
【0016】
【化6】

から選択される化合物が提供される。
本発明の別の一般的態様において、式(III)
【0017】
【化7】

(III)
(式(III)の
【0018】
【化8】

は、表IのA1〜A15から選択され、式(III)の
【0019】
【化9】

は、表IのB1〜B25から選択される)
【0020】
【表1】







の化合物、またはその薬学的に許容される塩が提供される。
【0021】
本発明の別の実施形態、表I中の化合物において、矢印で示される立体中心炭素は、(S)配置にある。
【0022】
本発明の別の実施形態において、本明細書に示される方法および例、ならびに当技術分野において知られた方法により作製することができる、表II
【0023】
【表2】













【0024】
の化合物、またはその薬学的に許容される塩が提供される。
【0025】
上記化合物のうち、以下が好ましいCB2作動薬である:
【0026】
【表3】









【0027】
本発明はまた、従来の賦形剤および/または担体と組み合わされてもよい、活性物質として1種または複数の本発明の化合物またはその薬学的に許容される誘導体を含有する医薬調製物に関する。
【0028】
本発明の化合物はまた、その同位体標識化形態を含む。本発明の組合せの活性薬剤の同位体標識化形態は、前記活性薬剤の1個または複数の原子が、通常天然に見られる前記原子の原子量または質量数とは異なる原子量または質量数を有する原子(複数可)により置換されている点を除いて、前記活性薬剤と同一である。商業的に容易に入手可能であり、十分確立された手順に従い本発明の組合せの活性薬剤中に組み込むことができる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位体、例えば、それぞれ2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、および36Clが含まれる。上記同位体および/または他の原子のその他の同位体の1つまたは複数を含有する、本発明の組合せの活性薬剤、そのプロドラッグ、またはそのいずれかの薬学的に許容される塩は、本発明の範囲に含まれることが企図される。
【0029】
本発明は、ラセミ化合物およびラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして生じ得る1個または複数の不斉炭素原子を含有する上述の任意の化合物の使用を含む。異性体は、鏡像異性体およびジアステレオマーとして定義されるものとする。これらの化合物のそのような異性体型の全てが本発明に明示的に含められる。各立体中心炭素は、RもしくはS配置、またはこの配置の組合せであってもよい。
本発明の化合物のいくつかは、複数の互変異性型で存在し得る。本発明は、全てのそのような互変異性体を使用する方法を含む。
【0030】
本明細書において使用される全ての用語は、特に指定されない限り、当技術分野において知られるその通常の意味で理解されたい。例えば、「C1-4アルコキシ」は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等の末端酸素を有するC1-4アルキルである。全てのアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、構造的に可能な場合であって特に指定されない限り、分岐または非分岐であると理解されたい。他のより具体的な定義は以下の通りである。
炭素環またはシクロアルキル基には、3〜12個の炭素原子を含有する炭化水素環が含まれる。これらの炭素環またはシクロアルキル基は、芳香族または非芳香族環系であってもよい。非芳香環系は、単不飽和または多不飽和であってもよい。好ましい炭素環には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプタニル、シクロヘプテニル、フェニル、インダニル、インデニル、ベンゾシクロブタニル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、ナフチル、デカヒドロナフチル、ベンゾシクロヘプタニルおよびベンゾシクロヘプテニルが含まれるが、これらに限定されない。シクロブタニルおよびシクロブチル等、シクロアルキルに対するある特定の用語は交換可能に使用されるものとする。
【0031】
「複素環」という用語は、安定な非芳香族4〜8員(ただし好ましくは5員もしくは6員)単環式または非芳香族8〜11員二環式もしくはスピロ環式複素環基を指し、飽和または不飽和であってもよい。各複素環は、炭素原子と、窒素、酸素および硫黄から選択される1個または複数の、好ましくは1〜4個のヘテロ原子とからなる。複素環は環の任意の原子で結合していてもよく、それにより安定な構造が形成される。
「ヘテロアリール」という用語は、N、OおよびS等の1〜4個のヘテロ原子を含有する芳香族5〜8員単環式または8〜11員二環式環を意味すると理解されたい。
特に指定されない限り、複素環およびヘテロアリールには、例えば、フラニル、ピラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチオピラニル1,1−ジオキシド、テトラヒドロチエニル1,1−ジオキシド、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、チエニル、チアジアゾリル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−1λ6−チオモルホリニル、モルホリニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、キノリニル、ジヒドロ−2H−キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、インダゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニルおよびベンゾジオキソリルが含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
「ヘテロ原子」という用語は、本明細書で使用される場合、O、N、SおよびP等の、炭素以外の原子を意味すると理解されたい。
全てのアルキル基または炭素鎖において、1個または複数の炭素原子は、ヘテロ原子O、SまたはNで置換されていてもよいが、Nが置換されていない場合NHであることを理解されたく、またヘテロ原子は、分岐または非分岐炭素鎖内の末端炭素原子または内部炭素原子と置換されてもよいことを理解されたい。そのような基は、上述のようにオキソ等の基で置換されてもよく、これらに限定されないが、アルコキシカルボニル、アシル、アミドおよびチオキソ等の定義が得られる。
「アリール」という用語は、本明細書で使用される場合、本明細書に定義されるような芳香族炭素環を意味すると理解されたい。特に指定されない限り、各アリールには、その部分的または完全に水素化された誘導体が含まれる。例えば、ナフチルには、テトラヒドロナフチル(tetrahydranaphthyl)等の水素化誘導体が含まれてもよい。本明細書に記載のアリール化合物の他の部分的または完全に水素化された誘導体は、当業者に明らかである。
【0033】
本明細書で使用される場合、「窒素」および「硫黄」には、窒素および硫黄の任意の酸化形態、ならびに任意の塩基性窒素の四級化形態が含まれる。例えば、−S−C1-6アルキル基の場合、特に指定されない限り、−S(O)−C1-6アルキルおよび−S(O)2−C1-6アルキルがこれに含まれることを理解されたい。
【0034】
「アルキル」という用語は、1〜10個の炭素原子を含有する飽和脂肪族基または2〜12個の炭素原子を含有する単不飽和もしくは多不飽和脂肪族炭化水素基を指す。単不飽和または多不飽和脂肪族炭化水素基は、それぞれ、少なくとも1つの二重結合または三重結合を含有する。「アルキル」は、分岐および非分岐アルキル基の両方を指す。「アルク」または「アルキル」の接頭辞を使用した任意の合成語は、「アルキル」の上記定義に従う類似体を指すことを理解されたい。例えば、「アルコキシ」、「アルキルチオ(alkythio)」等の用語は、酸素または硫黄原子を介して第2の基に結合したアルキル基を指す。「アルカノイル」は、カルボニル基(C=O)に結合したアルキル基を指す。
本明細書で使用される場合、「ハロゲン」という用語は、臭素、塩素、フッ素またはヨウ素、好ましくはフッ素を意味すると理解されたい。「ハロゲン化」、「部分的または完全にハロゲン化された」、部分的または完全にフッ素化された、「1個または複数のハロゲン原子で置換された」の定義には、例えば、1個または複数の炭素原子上のモノ、ジまたはトリハロ誘導体が含まれる。アルキルの場合、制限されない例は、−CH2CHF2、−CF3等である。
【0035】
本明細書に記載の各アルキル、炭素環、複素環もしくはヘテロアリール、またはこれらの類似体は、部分的または完全にハロゲン化されていてもよいことを理解されたい。
本発明の化合物は、当業者には理解されるように、「化学的に安定」であることが企図されるもののみである。例えば、「未結合原子価」または「カルボアニオン」を有する化合物は、本明細書に開示される本発明の方法により企図される化合物ではない。
本発明は、本発明の化合物の薬学的に許容される誘導体を含む。「薬学的に許容される誘導体」は、任意の薬学的に許容される塩もしくはエステル、または患者に投与されると本発明に有用な化合物を(直接的または間接的に)提供することができるその他の任意の化合物、またはそれらの薬理学的に活性な代謝産物もしくは薬理学的に活性な残渣を指す。薬理学的に活性な代謝産物は、酵素的または化学的に代謝され得る本発明の任意の化合物を意味することを理解されたい。これには、例えば、本発明の水酸化または酸化誘導体化合物が含まれる。
薬学的に許容される塩には、薬学的に許容される無機および有機酸および塩基から誘導される塩が含まれる。好適な酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−スルホン(toluene−p−sulfuric)酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン(naphthalene−2−sulfuric)酸およびベンゼンスルホン酸が含まれる。それ自体は薬学的に許容されないシュウ酸等のその他の酸が、化合物およびその薬学的に許容される酸付加塩を得る上での中間体として有用な塩の調製において使用されてもよい。適切な塩基から誘導される塩には、アルカリ金属(例えばナトリウム)、アルカリ土類金属(例えばマグネシウム)、アンモニウムおよびN−(C1−C4アルキル)4+塩が含まれる。
【0036】
さらに、本発明の化合物のプロドラッグの使用も、本発明の範囲内である。プロドラッグには、単純な化学転換により本発明の化合物を生成するように改質される化合物が含まれる。単純な化学転換には、加水分解、酸化および還元が含まれる。具体的には、プロドラッグが患者に投与されると、プロドラッグは上で開示された化合物に転換され、それにより所望の薬理効果をもたらすことができる。
本発明の化合物は、これも本発明の一部を構成する後述の一般的合成法を使用して作製することができる。
【0037】
一般的合成法
本発明はまた、式(I)、(II)および(III)の化合物を作製するためのプロセスを提供する。全てのスキームにおいて、特に指定されない限り、以下の式中のR1、L1、L2、Ar1およびAr2は、上記の本発明の式(I)、(II)および(III)中のR1、L1、L2、Ar1およびAr2の意味を有するものとする。
【0038】
最適な反応条件および反応時間は、使用される特定の反応物質に依存して変動し得る。特に指定されない限り、溶媒、温度、圧力、およびその他の反応条件は、当業者により容易に選択され得る。具体的な手順を合成例の項に記載する。典型的には、反応の進行は、所望により、薄層クロマトグラフィー(TLC)で監視することができ、中間体および生成物は、シリカゲル上のクロマトグラフィーおよび/または再結晶化により精製することができる。
以下に続く例は例示的であり、当業者に認識されるように、特定の試薬または条件は、必要以上の実験を行うことなく、個々の化合物に対して必要に応じて修正され得る。以下のスキームにおいて使用される出発材料および中間体は、市販されているか、または当業者により市販の材料から容易に調製される。
式(I)および(III)の化合物は、スキーム1で概説される方法により合成することができる。
【0039】
【化10】

スキーム1
【0040】
スキーム1に示されるように、例に記載のような標準カップリング条件下での適切に置換されたアゼチジンカルボン酸(IV)と式(V)のアミンとの反応により、式(VI)のアミドが得られる。Prot.は、BOC等のアミン保護基である。好適な溶媒中での中間体(VI)と塩酸等の酸との反応により、脱保護されたアミン中間体(VII)が得られる。好適な塩基の存在下、好適な溶媒中での中間体(VII)と好適なハライドHal−L1−Ar1(VIII)(式中、Hal=F、Cl、BrまたはIである)との反応により、式(I)の化合物が得られる。また、還元アミノ化条件下で、中間体(VII)を式(IX)のカルボニル化合物と反応させて、式(I)の化合物を得ることもできる。
あるいは、標準カップリング条件下での中間体(VII)と式(X)の酸との反応により、式(I)の化合物が得られる。標準反応条件下での中間体(VII)と式(XI)の酸塩化物または式(XII)の塩化スルホニルとの反応により、式(I)の対応する化合物が得られる。
式(III)の化合物は、スキーム1で概説される手順を使用して、例に記載のように合成することができる。
【0041】
また、式(I)および(III)の化合物は、スキーム2に従い調製することもできる。
【0042】
【化11】

スキーム2

スキーム2に概説されるように、好適な塩基の存在下、好適な溶媒中での式(XIII)のアゼチジンカルボン酸出発材料と好適なハライドHal−L1−Ar1(VIII)(式中、Hal=F、Cl、BrまたはIである)との反応により、式(XIV)の化合物が得られる。標準カップリング条件下での、例のカップリング方法に記載のような中間体(XIV)と式(V)のアミンとの反応により、式(I)の化合物が得られる。
式(II)の化合物は、スキーム3に従い作製することができる。
【0043】
【化12】

スキーム3

スキーム3に示されるように、標準アリール化条件下での、適切に置換されたアゼチジノンカルボン酸(XV)とボロン酸または式(XVI)のエステルとの反応により、式(XVII)の酸が得られる。標準カップリング条件下での、または酸塩化物を介した酸(XVII)と式(V)のアミンとの反応により、式(II)の化合物が得られる。
当業者に知られた方法による、および以下の例において示される、式(I)、(II)および(III)の最初の生成物のさらなる改質により、本発明の追加の化合物が得られる。
【実施例】
【0044】
式(I)および(III)の化合物
方法A
(S)−1−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−アゼチジン−2−カルボン酸(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−アミド(例18)の合成
【0045】
【化13】

【化14】

ステップ1:(S)−2−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イルカルバモイル)−アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
【0046】
【化15】

ステップ1に対して、2つの異なるアミドカップリング手順を使用することができる。アミド中間体およびそれらを合成するためのカップリング手順1〜2は、表1に列挙されている。
アミドカップリング手順1:(S)−2−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イルカルバモイル)−アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
【0047】
【化16】

2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン(368.5mg;1.49mmol)を、boc−L−アゼチジン−2−カルボン酸(200mg;0.994mmol)および3−アミノ−5−t−ブチルイソオキサゾール(139mg;0.994mmol)のトルエン(5mL)中の混合物に室温で添加し、混合物を18時間撹拌する。この後に、反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチルで2回抽出する。有機物を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮する。メタノール/塩化メチレンを使用するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーでの精製により、表題化合物(m/z 324 [M+H+])が得られる。
アミドカップリング手順2:(S)−2−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イルカルバモイル)−アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの合成
【0048】
【化17】

boc−L−アゼチジン−2−カルボン酸(500mg;2.485mmol)および3−アミノ−5−t−ブチルイソオキサゾール(348mg;2.485mmol)の無水ピリジン(5mL)中の低温(5℃)溶液に、オキシ塩化リン(0.246mL;2.73mmol)を添加する。反応混合物を撹拌し、室温まで18時間温める。この後に、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、酢酸エチルで2回抽出する。有機物を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮する。酢酸エチル/ヘキサンを使用するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーでの精製により、表題化合物(m/z 324 [M+H+])が得られる。
【0049】
【表4】





ステップ2:(S)−アゼチジン−2−カルボン酸(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−アミド;塩酸塩の合成
【0050】
【化18】

1,4−ジオキサン中4N HCl(2.5mL;10mmol)を、(S)−2−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イルカルバモイル)−アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(375mg;0.829mmol)のジクロロメタン(5mL)中の溶液に添加する。反応混合物を室温で18時間撹拌する。この後に、反応混合物を真空下で濃縮すると、表題化合物(m/z 224 [M+H+])が得られる。
【0051】
表2に列挙される中間体は、同様の様式で作製される。
【0052】
【表5】





ステップ3:(S)−1−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−アゼチジン−2−カルボン酸(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−アミドの合成
【0053】
【化19】

(S)−アゼチジン−2−カルボン酸(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−アミド;塩酸塩(61mg;0.235mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.082mL;0.47mmol)のDMSO(1mL)中の撹拌溶液に、3−クロロ−2−フルオロ−5−トリフルオロメチルピリジン(0.031mL;0.235mmol)を添加する。反応混合物を100℃で1時間加熱する。この後に、反応物を酢酸エチルで希釈し、水で2回、次いでブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮する。酢酸エチル/ヘキサンを使用するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーでの精製により、表題化合物(m/z 403 [M+H+])が得られる。
【0054】
【表6】

表6方法Aの化合物は、同様の様式で調製される。
方法B:
(S)−1−(4,4−ジフルオロ−シクロヘキサンカルボニル)−アゼチジン−2−カルボン酸(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−アミド(例20)の合成
【0055】
【化20】

【0056】
【化21】

4,4−ジフルオロシクロヘキサンカルボン酸(74.5mg;0.454mmol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(102mg;0.756mmol)のDMF(1.5mL)中の溶液に、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(145mg;0.756mmol)を添加する。20分の撹拌後、(S)−アゼチジン−2−カルボン酸(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−アミド;塩酸塩(150mg;0.378mmol)を添加し、続いてジイソプロピルエチルアミン(0.066mL;0.378mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(diemthylaminopyridine)(3mg;0.025mmol)を添加する。反応混合物を室温で1時間撹拌する。この後に、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水、飽和重炭酸ナトリウム水溶液および飽和塩化アンモニウム水溶液、次いでブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮する。メタノール/塩化メチレンを使用するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーでの精製により、表題化合物(m/z 370 [M+H+])が得られる。
表6方法Bの化合物は、同様の様式で調製される。
方法C:
3つの異なる還元アミノ化手順を使用することができる。
還元アミノ化手順1:(S)−1−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アゼチジン−2−カルボン酸(3−tert−ブチル−イソオキサゾール−5−イル)−アミド(実施例21)の合成
【0057】
【化22】

【0058】
【化23】

(S)−アゼチジン−2−カルボン酸(3−tert−ブチル−イソオキサゾール−5−イル)−アミド;塩酸塩(78.6mg;0.303mol)のDMF(1mL)中の溶液に、テトラヒドロ−4H−ピラン−4−オン(0.056mL;0.606mmol)および酢酸(0.069mL;1.212mmol)を添加する。反応物を室温で50分間撹拌してから、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(57mg、0.909mmol)を添加する。反応混合物を室温で18時間撹拌する。この後に、反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液でクエンチし、酢酸エチルで2回抽出する。有機物を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮する。メタノール/塩化メチレンを使用するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーでの精製により、表題化合物(m/z 308 [M+H+])が得られる。
表6方法C1の化合物は、同様の様式で調製される。
還元アミノ化手順2:(S)−1−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−アゼチジン−2−カルボン酸(5−エチル−4−フェニル−チアゾール−2−イル)−アミド(例30)の合成
【0059】
【化24】

【0060】
【化25】

(S)−アゼチジン−2−カルボン酸(5−エチル−4−フェニル−チアゾール−2−イル)−アミド;塩酸塩(100mg;0.309mmol)のTHF(1.5mL)中の懸濁液に、テトラヒドロ−ピラン−4−カルバルデヒド(70.5mg;0.618mmol)、酢酸(0.071mL;1.236mmol)およびMP−シアノ水素化ホウ素(327mg;2.36mmol/g)を添加する。反応混合物を室温で18時間撹拌する。この後に、反応混合物を濾過し、濾液を飽和重炭酸ナトリウム水溶液、次いでブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮する。メタノール/塩化メチレンを使用するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーでの精製により、表題化合物(m/z 386 [M+H+])が得られる。
表6方法C2の化合物は、同様の様式で調製される。
還元アミノ化手順3:(S)−1−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アゼチジン−2−カルボン酸(3−tert−ブチル−イソチアゾール−5−イル)−アミド(例10)の合成
【0061】
【化26】

【化27】

この方法は、還元アミノ化手順1と同様である。唯一の違いは、還元試薬として、手順1において使用されるシアノ水素化ホウ素ナトリウムの代わりに、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを使用する点である。
表6方法C3の化合物は、同様の様式で調製される。
方法D:
(S)−1−(1,1−ジオキソ−1λ6−チオモルホリン−4−カルボニル)−アゼチジン−2−カルボン酸(3−tert−ブチル−イソオキサゾール−5−イル)−アミド(例25)の合成
【0062】
【化28】

【0063】
【化29】

1,1−ジオキソ−1λ6−チオモルホリン−4−カルボニルクロリド(51.4mg;0.26mmol)を、(S)−アゼチジン−2−カルボン酸(3−tert−ブチル−イソオキサゾール−5−イル)−アミド;塩酸塩(69mg;0.265mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.141mL;0.81mmol)のTHF(2mL)中の混合物に添加する。反応混合物を室温で2時間撹拌する。この後に、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄する。層を分離し、水層をジクロロメタンで1回抽出する。有機物を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮する。メタノール/塩化メチレンを使用するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーでの精製により、表題化合物(m/z 385 [M+H+]が得られる。
表6方法Dの化合物は、同様の様式で調製される。
方法E:
(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−アゼチジン−2−カルボン酸(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−アミド(例35)の合成
【0064】
【化30】

【0065】
【化31】

ステップ1:(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−アゼチジン−2−カルボン酸の合成
【0066】
【化32】

密閉管に、(S)−アゼチジン−2−カルボン酸;塩酸塩(2g;19.8mmol)、4−ブロモクロロベンゼン(3.8g;19.8mmol)およびヨウ化銅(I)(0.38g;1.99mmol)を入れ、排気およびアルゴンの再充填を3回行う。ジメチルアセトアミド(40mL)を添加し、管を密閉し、アルゴンによるパージおよび排気を3回行う。110℃の油浴内で密閉管を72時間加熱する。この後に、反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチルおよび水に分配する。有機層を廃棄する。1N塩酸を添加することにより水層を約PH1まで酸性化し、次いで酢酸エチルで2回抽出する。有機物を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮する。メタノール/塩化メチレンを使用するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーでの精製により、表題化合物(m/z 212 [M+H+])が得られる。
【0067】
【表7】

ステップ2:(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−アゼチジン−2−カルボン酸(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−アミドの合成
【0068】
【化33】

(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−アゼチジン−2−カルボン酸(100mg;0.472mmol)および3−アミノ−5−t−ブチルイソオキサゾール(66mg;0.472mmol)のピリジン(1.5mL)中の低温(0℃)溶液に、オキシ塩化リン(0.043m;0.48mmol)を添加する。反応混合物を室温で18時間撹拌する。この後に、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、希NH4Cl水溶液、次いでブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮する。酢酸エチル/ヘキサンを使用するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーでの精製により、表題化合物(m/z 334 [M+H+])が得られる。
【0069】
【表8】

表6方法Eの化合物は、同様の様式で調製される。
方法F:
(S)−1−(プロパン−1−スルホニル)−アゼチジン−2−カルボン酸(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−アミド(例45)の合成
【0070】
【化34】

【化35】

(S)−アゼチジン−2−カルボン酸(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)−アミド;塩酸塩(100mg;0.385mmol)のDMF(1mL)中の溶液に、n−プロピルスルホニルクロリド(0.043mL;0.385mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.201mL;1.155mmol)を添加する。反応混合物を室温で18時間撹拌する。この後に、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で2回、次いでブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮する。酢酸エチル/ヘキサンを使用するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーでの精製により、表題化合物(m/z 330 [M+H+])が得られる。
表6方法Fの化合物は、同様の様式で調製される。
方法G:
(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−4−オキソ−アゼチジン−2−カルボン酸(3−tert−ブチル−イソオキサゾール−5−イル)−アミド(例51)の合成
【0071】
【化36】

【0072】
【化37】

ステップ1:(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−4−オキソ−アゼチジン−2−カルボン酸の合成
【0073】
【化38】

(S)−4−オキソ−アゼチジン−2−カルボン酸(1.0g;8.689mmol)の1,2−ジクロロエタン(35mL)中の撹拌懸濁液に、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン(DBU)(3.1mL;20.854mmol)を室温で添加する。10分後、ジ−μ−ヒドロキシ−ビス[N,N,N’,N’−テトラメチレンジアミン)−銅(II)クロリド(Cu−TMEDA)(1.614g、3.476mmol)を、透明溶液に添加する。混合物を10分間撹拌し、4−クロロフェニルボロン酸(1.495g、9.558mmol)を添加する。20時間後、溶媒を真空下で蒸発させ、濃縮物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(150mL)中で抽出し、水層を酢酸エチル(3×100mL)で洗浄する。水層を1N塩酸でpH2まで処理し、酢酸エチル(3×100mL)で抽出する。合わせた有機抽出物をブライン(2×50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を真空下で除去すると、表題化合物がオフホワイトの固体(m/z 226 [M+H+])として得られる。
ステップ2:(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−4−オキソ−アゼチジン−2−カルボン酸(3−tert−ブチル−イソオキサゾール−5−イル)−アミドの合成
【0074】
【化39】

(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−4−オキソ−アゼチジン−2−カルボン酸(0.2g;1.037mmol)および5−アミノ−3−tert−ブチルイソオキサゾール(0.145g;1.037mmol)のピリジン(1.258mL;15.555mmol)中の低温スラリーに、オキシ塩化リン(0.116mL;1.244mmol)を添加する。混合物を0℃で30分間撹拌し、次いで水で希釈し、酢酸エチルで数回抽出する。有機物を合わせ、水およびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮する。調製HPLCでの精製により、表題化合物(m/z 348 [M+H+])が得られる。
表6方法Gの化合物は、同様の様式で調製される。
方法H:
(S)−1−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−アゼチジン−2−カルボン酸[3−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−エチル)−イソオキサゾール−5−イル]−アミド(例54)の合成
【0075】
【化40】

【0076】
【化41】

p−トルエンスルホン酸ピリジニウム(13.3mg;0.053mmol)を、(S)−1−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−アゼチジン−2−カルボン酸{3−[1,1−ジメチル−2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−エチル]−イソオキサゾール−5−イル}−アミド(204mg;0.406mmol)のエタノール(2mL)中の溶液に添加する。反応混合物を55℃で5時間撹拌し、さらなるp−トルエンスルホン酸ピリジニウム(15mg;0.060mmol)を添加し、反応混合物を55℃で18時間撹拌する。この後に、反応混合物を濃縮し、次いで酢酸エチルで希釈する。これを、飽和NaHCO3水溶液で洗浄する。層を分離し、水層を酢酸エチルで1回抽出する。有機物を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮する。酢酸エチル/ヘキサンを使用するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーでの精製により、表題化合物(m/z 419 [M+H+])が得られる。
【0077】
表6方法Hの化合物は、同様の様式で調製される。
【0078】
【表9】













【0079】
生物学的特性の評価
本発明の化合物の生物学的特性を、以下に記載するアッセイを使用して評価した。
【0080】
A.ヒトCB1およびCB2受容体結合:
実験方法:
CB2膜を購入し、ヒトCB2受容体cDNA(Perkin Elmer Life and Analytical Sciences社製)を安定にトランスフェクトしたHEK293 EBNA細胞から作製した。CB1膜は、ヒトCB1受容体およびGα16cDNAを安定に同時トランスフェクトしたHEK細胞から単離した。膜調製物は、50mM Tris、pH7.5、2.5mM EDTA、5mM MgCl2、0.8%脂肪酸不含ウシ血清アルブミンを含有するアッセイ緩衝液中で、室温で4時間、シンチレーションビーズ(Ysi−Poly−L−lysine SPA beads、GE Healthcare社製)に結合させた。非結合膜は、アッセイ緩衝液中で洗浄することにより除去した。膜−ビーズ混合物を、96ウェルアッセイプレートに、ウェル当たり15ugの膜(CB2)またはウェル当たり2.5ug(CB1)およびウェル当たり1mgのSPAビーズの量で添加した。化合物を、1×10-5M〜1×10-10Mの範囲の用量−反応濃度でDMSOの最終濃度が0.25%となるように、膜−ビーズ混合物に添加した。競合反応は、3H−CP55940(Perkin Elmer Life and Analytical Sciences社製)を1.5nM(CB2)または2.5nM(CB1)の最終濃度で添加することにより開始した。反応物を室温で18時間インキュベートし、TopCount NXTプレートリーダで計測した。全結合および非特異的結合は、1.25uM Win 55212(Sigma社製)の非存在下および存在下で決定した。各化合物に対するIC50値は、XLFit 4.1 4パラメータロジスティックモデルを使用して、受容体に対する放射線標識化リガンドの特異的結合を50%阻害する化合物の濃度として計算した。IC50値は、チェン−プルソフ(Cheng−Prusoff)式を用いて阻害定数(Ki)値に変換した。
【0081】
B.cAMP合成のCB2R媒介調節:
本発明の化合物は、以下の実験方法に従い、そのCB2作動薬または逆作動薬活性について評価した。上述の結合アッセイによりCB2に結合することが示されたが、このアッセイによりcAMP合成のCB2R媒介調節を見せることが示されなかった化合物は、CB2拮抗薬と推定した。
【0082】
実験方法:
ヒトCB2R(Euroscreen)を発現しているCHO細胞を、384ウェルプレートに、ウェルあたり5000細胞の密度で播種し、37℃で一晩インキュベートした。培地を除去した後、1mM IBMX、0.25%BSAおよび10uMフォルスコリンを含有する刺激緩衝液中に希釈された試験化合物で、細胞を処理した。分析試料を37℃で30分間インキュベートした。細胞を溶解し、DiscoverX−XS cAMPキットを使用して、製造者のプロトコルに従いcAMP濃度を測定した。この設定において、作動薬は、cAMPのフォルスコリン誘導産生を減少させ、一方逆作動薬は、cAMPのフォルスコリン誘導産生をさらに増加させる。作動薬のEC50は、以下のように計算した。1uM CP55940により阻害されたcAMPのレベルと比較したフォルスコリンにより産生されたcAMPの最大量を100%と定義する。各試験化合物のEC50値は、フォルスコリン刺激cAMP合成の50%が阻害された濃度として決定された。データは4パラメータロジスティックモデルを使用して分析した。(XLfit4.0のモデル205)。
【0083】
C.cAMP合成のCB1R媒介調節:
本発明の化合物は、以下の実験方法に従い、そのCB1作動薬または逆作動薬活性について評価した。上述の結合アッセイによりCB1に結合することが示されたが、このアッセイによりcAMP合成のCB1R媒介調節を見せることが示されなかった化合物は、CB1拮抗薬と推定した。
【0084】
実験方法:
ヒトCB1R(Euroscreen)を発現しているCHO細胞を、384ウェルプレートに、ウェルあたり5000細胞の密度で播種し、37℃で一晩インキュベートした。培地を除去した後、1mM IBMX、0.25%BSAおよび10uMフォルスコリンを含有する刺激緩衝液中に希釈された試験化合物で、細胞を処理した。分析試料を37℃で30分間インキュベートした。細胞を溶解し、DiscoverX−XS cAMPキットを使用して、製造者のプロトコルに従いcAMP濃度を測定した。この設定において、作動薬は、cAMPのフォルスコリン誘導産生を減少させ、一方逆作動薬は、cAMPのフォルスコリン誘導産生をさらに増加させる。作動薬のEC50は、以下のように計算した。1uM CP55940により阻害されたcAMPのレベルと比較したフォルスコリンにより産生されたcAMPの最大量を100%と定義する。各試験化合物のEC50値は、フォルスコリン刺激cAMP合成の50%が阻害された濃度として決定された。データは4パラメータロジスティックモデルを使用して分析した。(XLfit4.0のモデル205)。
作動薬活性を有する化合物
上述のアッセイの使用により、化合物は、作動薬活性を示すこと、ひいては特に疼痛の治療および炎症の治療に非常に適していることが判明した。好ましい化合物は、EC50値が500nM未満である。
【0085】
治療上の用途
上述のアッセイにより実証され得るように、本発明の化合物は、CB2受容体機能の調節に有用である。この事実によって、これらの化合物は、CB2受容体機能が媒介する、またはCB2受容体機能の調節が有益となり得る病状および状態の処置における治療上の用途を有する。
本発明の化合物は、CB2受容体機能を調節するため、非常に有用な抗炎症および免疫抑制活性を有し、病状および状態の治療のために、薬物として、特に以下に記載する医薬組成物の形態で患者に使用することができる。
上述のように、CB2作動薬であるそれらの化合物は、疼痛の治療にも使用することができる。
【0086】
本発明による作動薬化合物は、以下の病状または炎症プロセスが伴う適応症の治療のための薬物として、患者に使用することができる。
(i)肺疾患:例えば、喘息、気管支炎、アレルギー性鼻炎、肺気腫、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、ハト愛好家病、農夫肺、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性喘息(アトピー性または非アトピー性)および運動誘発性気管支収縮、職業性喘息、ウイルス性または細菌性の喘息の悪化、他の非アレルギー性喘息ならびに「喘鳴幼児症候群」を含む喘息、アルミニウム肺症、炭粉症、石綿肺症、石粉症、睫毛脱落、鉄沈着症、珪肺症、タバコ肺および綿肺症を含む塵肺;
(ii)リウマチ性疾患または自己免疫疾患または筋骨格疾患:全ての形態のリウマチ性疾患、特に、関節リウマチ、急性リウマチ熱、およびリウマチ性多発筋痛症;反応性関節炎;リウマチ性軟組織疾患;他の原因の炎症性軟組織疾患;変形性関節疾患における関節炎症状(関節症);腱炎、滑液包炎、変形性関節症、外傷性関節炎;任意の原因の膠原病、例えば全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、スティル病、フェルティー症候群;ならびに骨粗しょう症および他の骨再吸収疾患;
(iii)アレルギー性疾患:全ての形態のアレルギー反応、例えば血管神経性浮腫、花粉症、虫刺され、薬物、血液製剤、造影剤等に対するアレルギー反応、アナフィラキシーショック(過敏症)、蕁麻疹、血管神経性浮腫、および接触性皮膚炎;
(iv)血管疾患:結節性汎動脈炎、結節性多発性動脈炎、結節性動脈周囲炎、側頭動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症(Wegner granulomatosis)、巨細胞性動脈炎、アテローム性動脈硬化、再かん流傷害および結節性紅斑;
(v)皮膚疾患:例えば、皮膚炎、乾癬;日焼け、火傷、湿疹;
(vi)腎臓疾患:例えば、ネフローゼ症候群;および全てのタイプの腎炎、例えば、糸球体腎炎;膵炎;
(vii)肝疾患:例えば、急性肝細胞壊変;様々な原因の急性肝炎、例えばウイルス性、毒性、薬物誘導性;ならびに慢性侵攻性および/または慢性間欠性肝炎;
(viii)胃腸疾患:例えば、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、限局性腸炎(クローン病)、潰瘍性大腸炎;胃炎;アフタ性潰瘍、小児脂肪便症、限局性回腸炎、逆流性食道炎;
(ix)神経保護:例えば、脳卒中後の神経変性の治療において;心搏停止;心肺バイパス;外傷性脳損傷;脊髄損傷等;
(x)眼疾患:アレルギー性角膜炎、ぶどう膜炎または虹彩炎;結膜炎;眼瞼炎;視神経炎;脈絡膜炎;緑内障および交感性眼炎;
(xi)耳、鼻および喉(ENT)の領域の疾患:例えば、耳鳴;アレルギー性鼻炎または花粉症;外耳炎;接触性湿疹によって起こるもの、感染等および中耳炎;
(xii)神経性疾患:例えば、脳浮腫、特に腫瘍関連脳浮腫;多発性硬化症;急性脳脊髄炎;髄膜炎;急性脊髄損傷;外傷;認知症、特に変性認知症(老年性認知症、アルツハイマー病;パーキンソン病およびクロイツフェルト−ヤコブ病;ハンチントン舞踏病、ピック病;運動ニューロン疾患を含む)、血管性認知症(多発梗塞性認知症を含む)および頭蓋内占拠性病変に関連する認知症;感染および関連状態(HIV感染を含む);ギラン−バレー症候群;重症筋無力症、脳卒中;ならびに様々な形態の発作、例えば点頭痙攣;
【0087】
(xiii)血液疾患:後天性溶血性貧血;再生不良性貧血、および突発性血小板減少症;
(xiv)腫瘍疾患:急性リンパ性白血病;ホジキン病、悪性リンパ腫;リンパ肉芽腫症;リンパ肉腫;固形悪性腫瘍;広範な転移;
(xv)内分泌疾患:内分泌性眼症;内分泌性眼窩症;甲状腺クリーゼ;亜急性甲状腺炎;橋本甲状腺炎;バセドー氏病;肉芽腫性甲状腺炎;リンパ腫性甲状腺腫;およびグレーブス病;I型糖尿病(インスリン依存性糖尿病);
(xvi)臓器および組織移植ならびに移植片対宿主病;
(xvii)重篤なショック状態、例えば敗血症ショック、アナフィラキシーショック、および全身性炎症反応症候群(SIRS);
(xviii)歯痛、術中、術後の痛み、外傷痛、筋肉痛、火傷した皮膚の痛み、日焼け、三叉神経痛、日焼け;胃腸管または子宮の痙攣、疝痛等の急性疼痛;
(xix)慢性骨盤疼痛、膵炎、消化性潰瘍、間質性膀胱炎、腎仙痛、アンギナ、月経困難症、月経、婦人科痛、過敏性腸症候群(IBS)、非潰瘍性消化不良、非心臓性胸痛、心筋虚血に関連する疼痛等の内臓痛;
【0088】
(xx)腰痛、非ヘルペス神経痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、神経損傷、後天性免疫不全症候群(AIDS)関連神経因性疼痛、頭部外傷、有痛性外傷性単神経障害、毒素および化学療法誘導性疼痛、幻肢痛、有痛性多発神経障害、視床症候群、脳卒中後疼痛、中枢神経系損傷、術後痛、断端痛、反復運動痛、乳房切除後症候群に誘導される疼痛、多発性硬化症、神経根引き抜き損傷、開胸術後症候群、痛覚過敏および異痛症に関連する神経因性疼痛等の神経因性疼痛;
(xxi)変形性関節症、関節リウマチ、リウマチ性疾患、腱鞘炎、痛風、外陰部痛、筋筋膜痛(筋肉損傷、線維筋痛症)、腱炎、変形性関節症、若年性関節炎、脊椎炎、痛風性関節炎、乾癬性関節炎、筋骨格性疼痛、線維筋痛症、捻挫および筋違い、交感神経依存性疼痛、筋炎、片頭痛に関連する疼痛、歯痛、インフルエンザおよび感冒等の他のウイルス感染、リウマチ熱、全身性エリテマトーデス等の障害により誘導される、またはそれに関連する炎症性/侵害受容性疼痛;
(xxii)リンパ性白血病;ホジキン病、悪性リンパ腫;リンパ肉芽腫症;リンパ肉腫;固形悪性腫瘍;広範な転移等の腫瘍により誘導される、またはそれに関連する癌疼痛;
(xxiii)群発性頭痛、前兆を伴うまたは伴わない片頭痛、緊張型頭痛、異なる原因による頭痛、予防薬および急性使用を含む頭痛障害等の頭痛;
(xxiv)経皮経管冠動脈形成術に続く再狭窄、急性および慢性疼痛、アテローム性動脈硬化、再かん流傷害、鬱血性心不全、心筋梗塞、熱傷、外傷に伴う多臓器損傷、壊死性腸炎ならびに血液透析、白血球分離および顆粒球輸血に関連する症候群、サルコイドーシス、歯肉炎、発熱、火傷(bums)、捻挫または骨折に関連する外傷から生じる浮腫、脳浮腫および血管性浮腫、糖尿病性脈管障害、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、後毛細管抵抗または膵島炎に関連する糖尿病性症候群(例えば、高血糖、多尿、蛋白尿ならびに亜硝酸塩およびカリクレインの尿中排泄量の増加)等の糖尿病を含む様々な他の病状または状態。
【0089】
他の適応症には、てんかん、敗血症ショック、例えば抗血液減少および/または抗低血圧薬、癌、敗血症、骨粗しょう症、良性前立腺肥大および過活動膀胱、掻痒症、白斑、一般胃腸障害、呼吸器、泌尿生殖器、胃腸または血管領域における内臓運動の障害、創傷、火傷、組織損傷および術後の熱、掻痒に関連する症候群が含まれる。
【0090】
人間の治療に有用であることに加え、これらの化合物は、哺乳類、齧歯類等を含む、ペット、エキゾチックアニマルおよび家畜の獣医学的な治療にも有用である。
上述の疾患および状態の治療のために、治療有効量は、一般に、本発明の化合物の投薬当たり約0.01mg〜約100mg/体重kgの範囲内であり、好ましくは、投薬当たり約0.1mg〜約20mg/体重kgの範囲内である。例えば、70kgの人に対する投与では、用量範囲は、本発明の化合物の投薬当たり約0.7mg〜約7000mgであり、好ましくは投薬当たり約7.0mg〜約1400mgである。最適な投薬レベルおよびパターンを決定するために、ある程度の慣例的な用量最適化が必要となり得る。活性成分は、1日に1〜6回投与され得る。
【0091】
一般的投与および医薬組成物
医薬品として使用される場合、本発明の化合物は、典型的には、医薬組成物の形態で投与される。そのような組成物は、医薬分野において周知の手順を使用して調製することができ、本発明の少なくとも1種の化合物を含む。本発明の化合物はまた、単独で、または、例えば本発明の化合物の安定性を向上させ、ある特定の実施形態においてそれらを含有する医薬組成物の投与を容易化し、増加した溶解性もしくは分散性、増加した阻害活性を提供し、補助療法を提供するようなアジュバントと組み合わせて投与することができる。本発明による化合物は、それ自体で、または本発明による他の活性物質と併せて使用することができ、また、他の薬理学的に活性な物質と併せて使用されてもよい。一般に、本発明の化合物は、治療有効量または薬学的に効果的な量で投与されるが、診断またはその他の目的でより低い量で投与されてもよい。
【0092】
純粋な形態または適切な医薬組成物の形態での本発明の化合物の投与は、医薬組成物の許容される投与形態のいずれかを使用して行うことができる。したがって、投与は、例えば、経口的、口腔的(例えば舌下的)、経鼻的、非経口的、局所的、経皮的、経膣的、または経直腸的に、固体、半固体、凍結乾燥粉末、または液体の投薬形態、例えば錠剤、坐剤、丸薬、軟カプセル剤および硬ゼラチンカプセル剤、粉剤、液剤、懸濁剤、またはエアロゾル等で、好ましくは正確な用量の単純な投与に好適な単位投薬形態で行うことができる。医薬組成物は、一般に、従来の薬学的担体または賦形剤および活性薬剤としての本発明の化合物を含み、さらに、他の薬物、医薬品、担体、アジュバント、希釈剤、ビヒクル、またはこれらの組合せを含んでもよい。そのような薬学的に許容される賦形剤、担体または添加剤、および様々な投与形態のための医薬組成物を作成する方法は、当業者に周知である。最新技術は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第20版、A.Gennaro編、Lippincott Williams & Wilkins、2000;Handbook of Pharmaceutical Additives、Michael&Irene Ash編、Gower、1995;Handbook of Pharmaceutical Excipients、A.H.Kibbe編、American Pharmaceutical Ass’n、2000;H.C.AnselおよびN.G.Popovish、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第5版、Lea and Febiger、1990において明らかにされており、それぞれ参照することにより本明細書にその全内容が組み込まれ、最新技術をより良く説明している。
【0093】
当業者には推測されるように、製剤が有効となるために必要とされる好適な物理的特性(例えば水溶性)を有する特定の医薬製剤に使用される本発明の化合物の形態(例えば塩)が選択される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(I)
(式中、
Ar1は、C1-5アルキル、炭素環、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールから選択され、それぞれ、ハロゲンで置換されていてもよい1〜3個のC1-5アルキル、C1-5アルコキシ、ヒドロキシル、CN、ハロゲン、NO2、−S(O)m−C1-5アルキル、−CO2−C1-5アルキル、−NH(C1-5アルキル)−CO2−C1-10アルキル、−C(O)−NH(C1-5アルキル)、−C(O)−N(C1-5アルキル)2、−NH(C1-5アルキル)、−N(C1-5アルキル)−C(O)−C1-10アルキル、−N(C1-5アルキル)−S(O)m−C1-10アルキル、炭素環およびヘテロシクリルで置換されていてもよく、
Ar2は、炭素環、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールから選択され、それぞれ、ハロゲンで置換されていてもよい1〜3個のC1-10アルキル、C3-10シクロアルキル、炭素環、C1-10アルキル炭素環、ヘテロアリール、CNまたはハロゲンで置換されていてもよく、C1-10アルキルおよび炭素環は、ハロゲン、ヒドロキシルまたはC1-5アルコキシで追加的に置換されていてもよく、
1は、結合またはC1-5アルキル鎖から選択され、前記鎖の各−CH2−は、C(O)またはS(O)mで置き換えられていてもよく、
2は、結合またはC1-5アルキル鎖から選択され、
1は、水素、オキソ(=O)およびOHから選択され、
mは、0、1または2である)
の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
Ar1が、C1-5アルキル、フェニル、C3-6シクロアルキル、ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−1λ6−チオモルホリニル、モルホリニルおよびピリジニルから選択され、それぞれ、ハロゲンで置換されていてもよい1〜3個のC1-5アルキル、C1-5アルコキシ、ヒドロキシル、CN、S(O)m−C1-3アルキルまたはハロゲンで置換されていてもよく、
Ar2が、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾイル、チアゾイル、チアジアゾイル、ベンゾチアゾイル、トリアゾイル、イソチアゾイル、フェニル、ピリミジニル、ピリジジニル、ピラジニルおよびピリジニルから選択され、それぞれ、ハロゲン、C1-5アルコキシル、もしくはヒドロキシルで置換されていてもよい1〜3個のC1-6アルキル、ハロゲンで置換されていてもよいフェニル、ハロゲンまたはC3-8シクロアルキルで置換されていてもよく、
1が、水素であり、
1が、結合またはC1-3アルキル鎖であり、前記鎖の各−CH2−は、C(O)またはS(O)mで置き換えられていてもよく、
2が、結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Ar1が、C1-5アルキル、フェニル、C3-6シクロアルキル、テトラヒドロピラニルおよびピリジニルから選択され、それぞれ、1〜3個のC1-5アルキル、トリフルオロメチル、S(O)m−C1-3アルキルまたはハロゲンで置換されていてもよく、
Ar2が、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、フェニル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリルおよびチアジアゾリルから選択され、それぞれ、C1-5アルコキシルもしくはヒドロキシルで置換されていてもよい1〜3個のC1-5アルキル、ハロゲンで置換されていてもよいフェニル、ハロゲン、C3-6シクロアルキルまたはトリフルオロメチルで置換されていてもよく、
1は、結合、−CH2−、C(O)またはS(O)2である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Ar1が、C3-5アルキル、フェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニルおよびピリジニルから選択され、それぞれ、1〜3個のC1-3アルキル、トリフルオロメチル、メチルスルホニルまたはハロゲンで置換されていてもよい、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Ar2が、
【化2】

から選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Ar2が、
【化3】

から選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
式(II)
【化4】

(II)
(式中、
Ar1は、C1-5アルキル、フェニル、C3-6シクロアルキル、ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾイル、チアゾイル、チアジアゾイル、ベンゾチアゾイル、トリアゾイル、イソチアゾイル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリル、イミダゾリルおよびピラゾリルから選択され、それぞれ、ハロゲンで置換されていてもよい1〜3個のC1-6アルキル、S(O)m−C1-3アルキル、C1-6アルコキシ、ヒドロキシルまたはハロゲンで置換されていてもよく、
Ar2は、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾイル、チアゾイル、チアジアゾイル、ベンゾチアゾイル、トリアゾイル、イソチアゾイル、フェニル、ピリミジニル、ピリジジニル、ピラジニルおよびピリジニルから選択され、それぞれ、ハロゲン、C1-6アルコキシルもしくはヒドロキシルで置換されていてもよい1〜3個のC1-6アルキル、ハロゲンで置換されていてもよいフェニル、ハロゲン、C1-6アルコキシル、またはC3-8シクロアルキルで置換されていてもよく、
1は、結合またはC1-3アルキル鎖であり、
2は、結合である)
の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
Ar1が、C1-5アルキル、フェニル、C3-6シクロアルキル、テトラヒドロピラニルおよびピリジニルから選択され、それぞれ、1〜3個のC1-6アルキル、トリフルオロメチル、S(O)m−C1-3アルキルまたはハロゲンで置換されていてもよく、
Ar2が、イソオキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、フェニル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリルおよびチアジアゾリルから選択され、それぞれ、C1-6アルコキシルもしくはヒドロキシルで置換されていてもよい1〜3個のC1-6アルキル、ハロゲンで置換されていてもよいフェニル、ハロゲン、C1-6アルコキシル、C3-6シクロアルキルまたはトリフルオロメチルで置換されていてもよく、
1は、結合または−CH2−である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
Ar1が、C3-5アルキル、フェニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニルおよびピリジニルから選択され、それぞれ、1〜3個のC1-3アルキル、トリフルオロメチルまたはハロゲンで置換されていてもよい、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
Ar2が、
【化5】

から選択される、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
Ar2が、
【化6】

から選択される、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
式(III)
【化7】

(III)
(式(III)の
【化8】

は、表IのA1〜A15から選択され、式(III)の
【化9】

は、表IのB1〜B25から選択される)
【表1】







の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
式(III)中矢印で示される立体中心炭素が、(S)配置にある、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
【化10】







から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
治療有効量の請求項1、7または12に記載の化合物と、1種または複数の薬学的に許容される担体および/またはアジュバントとを含む、医薬組成物。
【請求項16】
治療有効量の請求項1、7または12に記載の化合物を投与するステップを含む、疼痛を治療する方法。
【請求項17】
肺疾患、リウマチ性疾患、自己免疫疾患、筋骨格疾患、アレルギー性疾患、アレルギー反応、血管疾患、皮膚疾患、腎疾患、肝疾患、胃腸疾患、神経変性、眼疾患、耳、鼻、および喉の疾患、神経疾患、血液疾患、腫瘍、内分泌疾患、臓器および組織移植ならびに移植片対宿主病、重篤なショック状態、急性疼痛、内臓痛、胃腸管または子宮の痙攣、疝痛、神経因性疼痛、炎症性および侵害受容性疼痛、癌疼痛、頭痛、再狭窄、アテローム性動脈硬化、再かん流傷害、鬱血性心不全、心筋梗塞、熱傷、外傷に伴う多臓器損傷、壊死性腸炎ならびに血液透析、白血球分離および顆粒球輸血に関連する症候群、サルコイドーシス、歯肉炎ならびに発熱から選択される疾患または状態を治療する方法であって、治療有効量の請求項1、7または12に記載の化合物を投与するステップを含む方法。

【公表番号】特表2012−530137(P2012−530137A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516121(P2012−516121)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/037696
【国際公開番号】WO2010/147791
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】