説明

CB2受容体を選択的に調節する化合物

式(I)の化合物が、
【化1】


(I)
開示される。本発明による化合物は、CB2受容体に結合し、CB2受容体のアゴニスト、アンタゴニストまたはインバースアゴニストであり、炎症を治療するために有用である。アゴニストであるこれらの化合物は、疼痛を治療するためにさらに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CB2受容体を調節する新規な化合物および薬物としてのこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2008014199号、国際公開第2008039645号は、CB2受容体、およびこれらの中に開示されているCB2受容体アゴニスト化合物の治療的使用について考察している。アゴニストを用いたCB2受容体の選択性の高い活性化は、デュアルCB1/CB2カンナビノイド受容体アゴニストに見られる有害作用を回避しながら(例えば、Expert Opinion on Investigational Drugs (2005), 14(6), 695-703を参照されたい)、有利な効果を利用する手段を提供し得ると考えられている。したがって、CB1活性を最小化しながら、CB2のアゴニストを提供することが望ましい。
国際公開第2008014199号、国際公開第2008039645号および国際公開第2009061652号は、CB2アゴニスト活性を有するスルホン誘導体を開示している。本発明の化合物は、例えば本明細書中の以下に開示されている式(I)の本発明のR5など、上に開示されている化合物とは構造的に異なる。さらに、本発明の化合物は、引用された技術において開示されている化合物よりも低いCB1活性を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、CB2受容体に結合し、これを調節し、より低いCB1受容体活性を有する新規な化合物を提供する。本発明はまた、本発明の化合物の治療量を投与することによる、炎症を治療するための方法および医薬組成物も提供する。最後に、本発明は、本発明の化合物の治療量を投与することによる、疼痛を治療するための方法および医薬組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
最も広範な一般的実施形態において、本発明は、式(I)の化合物:
【化1】

(I)
(式中、
Hetは、5員のヘテロアリール環であり、
1は、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、C3-10シクロアルキル、3〜10員の飽和複素環、5〜10員の単環式または二環式ヘテロアリール環またはフェニルであり、これらは、それぞれ独立して、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C3-10シクロアルキル、C1-4アルキルスルホニル、アシル、オキソ、シアノ、フェニル、ヒドロキシルおよびハロゲンから選択される、1〜3つの置換基で置換されていてもよく、
2およびR3は、C1−C4アルキルまたは水素であり、ただし、R2およびR3の両方が水素であることはできず、またはR2およびR3は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜6員のシクロアルキルもしくは複素環を形成し、
4は、水素またはメチルであり、
5は、
【0005】
【化2】

およびAr2から選択され、
Ar1は5員のヘテロアリール環または3〜10員の飽和した複素環式環であり、Ar2は5員のヘテロアリール環であり、各Ar1またはAr2は、独立して、1つまたは複数のR6で置換されていてもよく、
6は、C1-8アルキル、C3-7シクロアルキルまたはアリールであり、
7およびR8は、それぞれ独立して、水素、C3-6シクロアルキルまたはC1-4アルキルであり、ただし、R7およびR8の両方が水素であることはできず、R7およびR8は、環化してC3-7シクロアルキル環を形成してもよく、
nは、0、1または2であり、
式(I)上の、または上に列挙されているいずれかのR置換基上のいずれかの炭素原子は、可能な場合、部分的にまたは完全にハロゲン化されていてもよい)、
または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0006】
別の実施形態において、本発明は、上述した前記実施形態のいずれかによる式(I)の化合物を提供し、
Hetは、
【0007】
【化3】

であり、
1は、C1-6アルキル、フェニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アゼチジニル、ピペリジニル;ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ジオキサニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、チエニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−1λ6−チオモルホリニル、モルホリニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ピロリジニル、ピペラジニル、プリニル、キノリニル、ジヒドロ−2H−キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、インダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニルまたはベンゾジオキソリルであり、それぞれが、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ヒドロキシル、C1-4アルキルスルホニル及びオキソから選択される置換基で置換されていてもよく、
2およびR3は、独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、または水素であり、ただし、R2およびR3の両方が水素であることはできず、またはR2およびR3は、これらが結合している炭素と一緒になってシクロプロピル、シクロブチルもしくはシクロペンチルの環を形成し、
4は、水素であり、
Ar1およびAr2は、それぞれ独立して、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チエニル、フラニル、チアジアゾリル、トリアゾリルまたはピロリルであり、Ar1またはAr2はそれぞれ、1〜2つのR6で置換されていてもよく、
6は、フェニル、C3-6シクロアルキルまたはC1-6アルキルであり、それぞれが、部分的または完全にハロゲン化していてもよく、
7およびR8は、それぞれ、C1-3アルキルまたはC3-6シクロアルキルであり、R7およびR8は、環化してC3-6シクロアルキル環を形成してもよい。
【0008】
別の実施形態において、本発明は、上の前記実施形態のいずれかによる式(I)の化合物を提供し、
1は、C1-6アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、フェニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アゼチジニル、ピペリジニル、ジオキサニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−1λ6−チオモルホリニル、モルホリニルまたはピロリジニル、ピペラジニルであり、それぞれが、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ヒドロキシル、C1-4アルキルスルホニル及びオキソから選択される置換基で置換されていてもよい。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、上記実施形態のいずれかによる式(I)の化合物を提供し、
Hetは、
【化4】

であり、
1は、C1-5アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、アゼチジニル、ピロリジニルまたはピペリジニルであり、それぞれが、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ヒドロキシル、C1-4アルキルスルホニル及びオキソから選択される置換基で置換されていてもよく、
2およびR3は、メチルであり、またはR2およびR3は、これらが結合している炭素と一緒になって、シクロプロピルもしくはシクロブチルの環を形成し、
Ar1はイソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリルまたはチアゾリルであり、
Ar2はピラゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリルまたはチアゾリルであり、
Ar1またはAr2は、それぞれ、1〜2つのR6で置換されていてもよく、
6はフェニルまたはC1-5アルキルであり、
7およびR8は、それぞれC1-3アルキルであり、R7およびR8は、環化してC3-6シクロアルキル環を形成してもよい。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、上記実施形態のいずれかによる式(I)の化合物を提供し、
Hetは、
【化5】

であり、
1は、アルキル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニルまたはピペリジニルであり、それぞれが、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ヒドロキシル、C1-4アルキルスルホニル及びオキソから選択される置換基で置換されていてもよく、
Ar1はオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリルまたはチアゾリルであり、
Ar2はピラゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリルまたはチアゾリルであり、
Ar1またはAr2はそれぞれ、1〜2つのR6で置換されていてもよい。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、上記実施形態のいずれかによる式(I)の化合物を提供し、
1は、C1-5アルキル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニルまたはピペリジニルであり、それぞれが、ハロゲン、C1-4アルキル及びC1-4アルキルスルホニルから選択される置換基で置換されていてもよく、
Ar1
【化6】

であり、
Ar2
【化7】

である。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、上記実施形態のいずれかによる式(I)の化合物を提供し、
2およびR3はメチルである。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、上記実施形態のいずれかによる式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し
【化8】

(I)
(式中、式(I)の
【0014】
【化9】

は、表Iの列A1〜A7から選択され、式(I)の
【0015】
【化10】

は、表Iの列B1〜B12から選択される)。
【0016】
【表1】



【0017】
別の実施形態において、本発明は、上記実施形態のいずれかによる式(I)の化合物、すなわち当分野で知られている一般スキーム、例および方法を考慮して生成することができる、表IIの化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0018】
【表2】





【0019】
上記化合物の中で、以下が好ましいCB2アゴニストである。
【表3】





【発明を実施するための形態】
【0020】
本出願の本明細書中の上に開示されているすべての化合物において、命名法が構造体と矛盾する場合には、化合物は構造体により定義されることを理解されたい。
本発明はまた、従来の添加剤および/または担体と組み合わせてもよい、1つもしくは複数の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその誘導体を、活性物質として含有する医薬品に関する。
本発明の化合物はまた、これらの同位体で標識された形態も含む。本発明の組合せの活性薬剤の同位体で標識された形態は、前記活性薬剤の1つまたは複数の原子が、通常天然に見出される、前記原子の原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子(複数可)で置き換えられているという事実以外は、前記活性薬剤と等しい。商業的に容易に入手することができ、十分確立した手順に従い、本発明の組合せの活性薬剤に取り込むことのできる同位体の例として、水素、炭素、窒素、酸素、亜リン酸、フッ素および塩素の同位体、例えば、それぞれ、2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clが挙げられる。本発明の組合せの活性薬剤、そのプロドラッグ、または1つもしくは複数の上記同位体および/もしくは他の原子の他の同位体を含有するいずれかの薬学的に許容される塩は、本発明の範囲内であると想定される。
【0021】
本発明は、ラセミ体およびラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオ異性体混合物および個々のジアステレオマーとして生じ得る、1つまたは複数の不斉炭素原子を含有する上述の任意の化合物の使用を含む。異性体は、鏡像異性体およびジアステレオマーであると定義されるべきである。これらの化合物のすべてのこのような異性体の形態は、本発明に明示により含まれている。各ステレオジェニック炭素は、R配置もしくはS配置、または配置の組合せであってよい。
式(I)の化合物のいくつかは、2つ以上の互変異性形態で存在することができる。本発明は、すべてのこのような互変異性体を用いた方法を含む。
すべての用語は、本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、当分野で知られている普通の意味で理解されたい。例えば、「C1-4アルコキシ」は、末端酸素を有するC1-4アルキル、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシである。すべてのアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、構造的に可能な場合、および特に指定しない限り、分枝であるか、または非分枝であると理解されたい。他のより具体的な定義は、以下の通りである。
【0022】
炭素環は、3〜12個の炭素原子を含有する炭化水素環を含む。これらの炭素環は、芳香族環系または非芳香環系のいずれかであってよい。非芳香環系は、単価不飽和または多価不飽和であってよい。好ましい炭素環として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプタニル、シクロヘプテニル、フェニル、インダニル、インデニル、ベンゾシクロブタニル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、ナフチル、デカヒドロナフチル、ベンゾシクロヘプタニルおよびベンゾシクロヘプテニルが挙げられるが、これらに限らない。シクロアルキルに対するある特定の用語、例えばシクロブタニルおよびシクロブチルなどは、互換的に使用される。
【0023】
「複素環」という用語は、飽和または不飽和のいずれかであってよい、安定した非芳香族の4〜8員の(ただし5または6員が好ましい)単環式複素環基または非芳香族の8〜11員の二環式複素環基を指す。各複素環は、炭素原子および1つまたは複数の、好ましくは窒素、酸素および硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子からなる。複素環は、環の任意の原子により結合されることが可能で、その結果安定した構造体が生成されることになる。
「ヘテロアリール」という用語は、1〜4個のヘテロ原子、例えばN、OおよびSなどを含有する、芳香族の5〜8員の単環または8〜11員の二環を意味すると理解されたい。
【0024】
特に明記しない限り、複素環およびヘテロアリールとして、例えばベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、チエニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−1λ6−チオモルホリニル、モルホリニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、プリニル、キノリニル、ジヒドロ−2H−キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、インダゾリル、チエノ[2,3−d]ピリミジニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニルおよびベンゾジオキソリルが挙げられるが、これらに限らない。
「ヘテロ原子」という用語は、本明細書で使用する場合、炭素以外の原子、例えばO、N、SおよびPなどを意味すると理解されたい。
【0025】
すべてのアルキル基または炭素鎖において、1つまたは複数の炭素原子は、ヘテロ原子:O、SまたはNで置き換えられていてもよく、Nが置換されていない場合、それはNHであると理解されたい。ヘテロ原子はまた、分枝または非分枝の炭素鎖内の、末端炭素原子または内部の炭素原子のいずれかを置き換えることができることも理解されたい。このような基は、本明細書中上に記載されている通り、オキソなどの基で置換することによって、結果として、例えばこれらだけに限らないが、アルコキシカルボニル、アシル、アミドおよびチオキソなどの定義となることができる。
「アリール」という用語は、本明細書で使用する場合、本明細書中で定義された芳香族炭素環またはヘテロアリールを意味すると理解されたい。各アリールまたはヘテロアリールは、特に指定しない限り、部分的または完全に水素添加されたその誘導体を含む。例えば、キノリニルは、デカヒドロキノリニルおよびテトラヒドロキノリニルを含んでもよく、ナフチルは、水素添加された誘導体、例えばテトラヒドロナフチルなどを含んでもよい。本明細書中に記載されているアリールおよびヘテロアリール化合物の部分的または完全に水素添加された他の誘導体は、当業者にとって明白である。
【0026】
本明細書で使用する場合、「窒素」および「硫黄」は、窒素および硫黄の任意の酸化した形態ならびに任意の塩基性窒素の四級化した形態を含む。例えば、−S−C1-6アルキル基は、特に指定されていない限り、これは、−S(O)−C1-6アルキルおよび−S(O)2−C1-6アルキルを含むと理解されたい。
「ハロゲン」という用語は、本明細書において使用される場合、臭素、塩素、フッ素またはヨウ素、好ましくはフッ素を意味すると理解されたい。「部分的または完全にハロゲン化した」、部分的または完全にフッ化した、「1個または複数のハロゲン原子で置換されている」などの定義は、例えば、1つまたは複数の炭素原子上のモノハロ誘導体、ジハロ誘導体またはトリハロ誘導体を含む。アルキルに関しては、非制限的例であれば、−CH2CHF2、−CF3などである。
【0027】
本発明の化合物は、当業者において認識されることになる通り、「化学的に安定している」と想定される化合物のみである。例えば、「ダングリングしているイオン価」、または「カルバニオン」を有する化合物は、本明細書中に開示されている発明方法により想定される化合物ではない。
本発明は、式(I)の化合物の薬学的に許容される誘導体を含む。「薬学的に許容される誘導体」は、患者へ投与された際に、本発明に有用な化合物、または薬理学的に活性のあるその代謝物または薬理学的に活性のあるその残留物を提供する(直接的または間接的に)ことが可能な任意の薬学的に許容される塩もしくはエステル、または他の任意の化合物を指す。薬理学的に活性のある代謝物とは、酵素によりまたは化学的に代謝されることが可能な本発明の任意の化合物を意味すると理解されたい。これは、例えば、式(I)のヒドロキシル化または酸化された誘導体化合物を含む。
【0028】
薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される無機酸および有機酸ならびに塩基に由来するものを含む。適切な酸の例として、塩酸、臭水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−硫酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−硫酸およびベンゼンスルホン酸が挙げられる。シュウ酸などの他の酸は、これら自体は薬学的に許容されるものではないが、化合物および薬学的に許容されるこれらの酸付加塩を得る際に中間体として有用な塩の調製に使用することができる。適切な塩基に由来する塩として、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびN−(C1−C4アルキル)4+塩が挙げられる。
加えて、本発明の範囲内にあるのは、式(I)の化合物のプロドラッグの使用である。プロドラッグは、単純な化学的変換により、改質されて本発明の化合物を生成するような化合物を含む。単純な化学的変換として、加水分解、酸化および還元が挙げられる。具体的には、プロドラッグが患者に投与されると、プロドラッグは、本明細書中の上で開示されている化合物へと変換され、これによって所望の薬理学的効果を付与することができる。
式Iの化合物は、以下に記載の一般的合成方法を用いて生成することができ、これもまた本発明の一部を構成する。
【0029】
一般的合成方法
本発明はまた、式(I)および(II)の化合物を生成するための方法を提供する。すべての方法において、特に指定のない限り、以下の式中のR1、R2、R3、R4、R5、nおよびHetは、本明細書中の上に記載されている本発明の式(I)および(II)におけるR1、R2、R3、R4、R5、nおよびHetの意味を有するものとする。
最適な反応条件および反応時間は、使用する特定の反応体に応じて異なり得る。特に指定しない限り、溶媒、温度、圧力および他の反応条件は、当業者が容易に選択することができる。合成例のセクションでは、特定の手順が提供される。通常、反応の進行は、薄層クロマトグラフィー(TLC)によりモニターされ、必要に応じて、中間体および生成物を、シリカゲル上のクロマトグラフィーおよび/または再結晶によって精製してもよい。
【0030】
この後に続く例は、例示的なものであり、当業者により認識されている通り、不当な実験をせずに、特定の試薬または条件を個々の化合物に必要とされるように改質することもできる。使用する出発物質および中間体は、以下の方法において、市販のもの、または市販の物質から当業者により容易に調製されるもののいずれかである。国際公開第2008098025号、国際公開第2008014199号、国際公開第2008039645号および国際公開第2009061652号に開示されている合成方法を、本発明の化合物の調製に使用することもできる。
【0031】
合成例
本発明の化合物の生成が可能な方法は、以下の例により、さらに理解されることになる。
【0032】
酸の方法A:
酸Iの合成
酸Iおよび酸IIIを国際公開第2008039645号に記載の通り調製した。酸IIを国際公開第2008014199号に記載の通り調製した。
【化11】

【0033】
ステップ1:化合物3の合成
5g(48.7mmol)の化合物1のエタノール(50mL)中溶液に、2.7g(48.75mmol)のKOHペレットを加え、これに続いて9.5g(48.7mmol)の化合物2を加える。この反応物を2時間加熱還流し、次いで室温に冷却する。固体(KBr)を濾過分離し、エタノール(20mL)ですすぐ。濾液を減圧下で濃縮し、残留物をDCM(50mL)中に溶解する。有機層をNaHCO3飽和水溶液(50mL)で洗浄する。水性洗浄物をDCM(10mL)で抽出し直す。合わせた有機物をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させる。濾過および減圧下での濃縮により、8.1gの化合物3を得る。収率:77%、ES−MS:m/z217[M+H]
【0034】
この手順に従い、以下のチオエーテルを合成する。
【表4】

【0035】
ステップ2:化合物4の合成
6g(27.7mmol)の化合物3の1,4−ジオキサン/水(4/1、100mL)中溶液に、51.2g(83mmol)の一過硫酸カリウムトリプル塩(OXONE(登録商標))を数回に分けて加える。白色の懸濁液を室温で3時間撹拌する。白色の固体を濾過分離し、1,4−ジオキサン(10mL)で洗浄する。濾液を減圧下で濃縮することによって、有機溶媒を取り除く。生成した水溶液をDCM(3×40mL)で抽出する。合わせた有機抽出物をNaHCO3飽和水溶液、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を減圧下で濃縮することによって、5.4gの化合物4を得る。収率:78%、ES−MS:m/z249[M+H]。
【0036】
この手順に従い、以下のスルホンを合成する。
【0037】
【表5】

【0038】
ステップ3:酸Iの合成
5.4g(21.7mmol)の化合物4のTHF/水(4/1、60mL)中溶液に、2.3g(56.6mmol)の水酸化リチウム一水和物を加える。この反応物を室温で18時間撹拌する。この反応物を水(20mL)でさらに希釈し、次いでDCM(2×15mL)で洗浄する。この塩基性の水層を氷浴内で冷却し、次いで2M HCl水溶液でpH2に酸性化する。この酸性の水層を2−プロパノール/クロロホルム(1/4、100mL)で抽出する。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。減圧下で濾液を濃縮することによって、4.34gの酸Iを得る。収率:92%、ES−MS:m/z221[M+H]。
【0039】
この手順に従い、以下の酸を合成する。
【表6】

【0040】
酸の方法B:
酸IVの合成
酸IVを国際公開第2008039645号に記載の合成方法の適応によって調製した。
【化12】

【0041】
ステップ1:化合物6の合成
250mLのLiAlH4(THF中2.3M溶液、0.575mol)のTHF(200mL)中溶液に、窒素雰囲気下、130mL(0.974mol)の化合物5のTHF(900mL)中溶液を滴加する。氷浴を用いて、温度を40〜45℃に維持する。完全に添加された時点で、この反応物を室温で1.5時間撹拌する。この反応物を氷浴で冷却し、水(22mL)、15%NaOH水溶液(21mL)および水(66mL)の添加により、クエンチする。Celite(登録商標)を介した濾過により、生成した沈殿物を取り除き、THF(300mL)ですすぐ。濾液を減圧下で濃縮することによって、無色の油として、102.5gの化合物6を得る。収率:91%;1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.20 - 1.39 (2 H, m), 1.56 - 1.83 (3 H, m), 2.03 (1 H, br. s.), 3.29 - 3.52 (4 H, m), 3.89 - 4.05 (2 H, m)。
【0042】
ステップ2:化合物7の合成
97g(810mmol)の化合物6(190mL)中溶液に、165mLの50%NaOH水溶液を加える。この撹拌懸濁液に、冷却しながら、p−トルエン−スルホニルクロリド(283g、1.46mol)の2−メチルテトラヒドロフラン(280mL)中溶液を滴加する。この反応物を30〜35℃で18時間撹拌する。この懸濁液を、氷水(280mL)とHCl水溶液(37%、203mL)の混合物中に注ぎ入れる。メチルシクロヘキサン(1.4L)およびさらなる氷水(0.2L)を添加後、この反応混合物を2時間氷浴内で撹拌する。生成した結晶性沈殿物を濾過で単離し、メチルシクロヘキサン(0.5L)および水(0.5L)で洗浄する。減圧下、40℃で乾燥することによって、白色の結晶性固体として、216gの化合物7を得る。収率:99%、ES−MS:m/z271[M+H];1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.19 - 1.35 (2 H, m), 1.54 - 1.63 (2 H, m), 1.85 - 2.02 (1 H, m), 2.45 (3 H, s), 3.28 - 3.39 (2 H, m), 3.86 (2H, d, J=6.60 Hz), 3.93 (2 H, dd, J=11.37, 4.52 Hz), 7.35 (2 H, d, J=9.29 Hz), 7.78 (2 H, d, J=8.31 Hz)。
【0043】
ステップ3:化合物8の合成
224g(0.83mol)の化合物7のメチルイソブチルケトン(1.6L)中溶液に、189g(1.66mol)のチオ酢酸カリウムを加える。このベージュ色の懸濁液を70℃で4.5時間撹拌する。この反応混合物を室温に冷却し、水(1.8L)を加える。有機層を10%K2CO3水溶液(1.8L)および水(1L)で洗浄する。有機層を、セライト(登録商標)(20g)を介して濾過し、木炭(20g)およびNa2SO4(20g)で活性化し、濾液を減圧下で濃縮する。残留油をメチルシクロヘキサン(200mL)およびn−ヘプタン(250mL)で共沸混合することによって、黄色がかったオレンジ色の油として138gの化合物8を得る。収率:96%;ES−MS:m/z175[M+H];1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.23 - 1.40 (2 H, m), 1.59 - 1.78 (3 H, m), 2.33 (3 H, d, J=4.16 Hz), 2.82 (2 H, dd, J=6.24, 3.79 Hz), 3.27- 3.39 (2 H, m), 3.88 - 4.02 (2 H, m)。
【0044】
ステップ4:化合物9の合成
90g(516mmol)の化合物8のトルエン(500mL)中溶液を、窒素雰囲気下、氷浴内で冷却する。ナトリウムエトキシドのエタノール(21%、231mL)中溶液を加え、この反応物を50分間撹拌する。次いで、76mL(516mmol)のα−ブロモイソ酪酸エチルを加え、この反応物を1時間撹拌する。この反応混合物に、氷酢酸(8.9mL)および水(500mL)を加える。有機層を分離し、水(500mL)で洗浄する。3口丸底フラスコに水(500mL)、oxone(登録商標)(477g、775mmol)および硫酸水素テトラブチルアンモニウム(5g、15mmol)を仕込み、有機層を加える。この二相性反応混合物を2日間室温で撹拌する。固体を濾過で取り除き、濾液の層を分離する。有機層を水(2×500mL)で洗浄する。溶媒を減圧下で取り除き、さらにトルエンで共沸混合することによって、125gの化合物9を得る。収率:87%;ES−MS:m/z279[M+H];1H NMR (250 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.32 (3 H, t, J=7.16 Hz), 1.39 - 1.59 (2 H, m), 1.64 (6 H, s), 1.81 - 1.97 (2 H, m), 2.29 - 2.53 (1 H, m),3.15 (2 H, d, J=6.55 Hz), 3.45 (2 H, dd, J=1.83, 0.30 Hz), 3.88 - 4.03 (2 H, m), 4.26 (2 H, d, J=7.16 Hz)。
【0045】
ステップ5:酸IVの合成
123g(0.44mol)の化合物9のTHF(450mL)中溶液に、663mLの2M水酸化ナトリウム水溶液(1.33mol)を加える。この反応物を室温で1時間撹拌する。この反応混合物に、TBME(1.25L)を加え、層を分離させる。水層を氷浴内で冷却し、次いで37%HCl水溶液(123mL)で酸性化する。生成した沈殿物を濾過で単離し、水(200mL)で洗浄し、減圧下、50℃で乾燥させることによって、白色の結晶性固体として、101gの酸IVを得る。収率:91%;ES−MS:m/z251[M+H];1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.31 - 1.45 (2 H, m), 1.49 (6 H, s), 1.70 - 1.79 (2 H, m), 2.13 - 2.28 (1 H, m), 3.24 (2 H, d, J=6.60 Hz), 3.28 - 3.38 (2 H, m), 3.76 - 3.85 (2 H, m), 13.65 (1 H, br. s.)。
【0046】
酸の方法C:
酸Vの合成
【化13】

【0047】
ステップ1:化合物11の合成
化合物10(62g、0.32mol)のDMF(500mL)中溶液に、室温でチオ酢酸カリウム(72g、0.63mol)を加える。この反応物を16時間撹拌し、次いで減圧下で濃縮する。残留物を2M塩酸水溶液(500mL)で希釈し、酢酸エチル(3×500mL)で抽出する。有機画分を合わせ、ブライン(300mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。ヘプタン/ジクロロメタンで溶出するシリカ上でのクロマトグラフィーによる精製により、44gの化合物11を得る。収率:73%;m/z191[M+H];1H NMR (250 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.18 - 1.30 (3 H, m), 1.57 (6 H, s), 2.27 (3 H, s), 4.19 (2 H, q, J=7.16 Hz)。
【0048】
ステップ2:化合物12の合成
5g(26.5mmol)の化合物11のエタノール(30mL)中溶液に、5.7g(105mmol)のナトリウムメトキシドを加え、これに続き4g(26.5mmol)の1−ブロモ−3−メチルブタンを加える。マイクロ波(電力:85W、ランプ時間:20分、保持時間:30分)中、この反応物を0.5時間120℃に加熱する。溶媒を減圧下で取り除く。残留物をDCM(50mL)中に溶解し、NaHCO3飽和水溶液(2×20mL)で洗浄する。水層をDCM(2×50mL)で抽出し直す。合わせた有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮する。
残留物を1,4−ジオキサン/水(4/1、60mL)の混合物中に溶解し、29g(47.2mmol)のoxone(登録商標)を加える。この反応混合物を室温で18時間撹拌する。固体を濾過で取り除き、濾液を減圧下で濃縮する。粗製物をDCM(50mL)中に溶解し、NaHCO3飽和水溶液(20mL)で洗浄し、水層をDCM(3×50mL)で抽出し直す。合わせた有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮することによって、薄黄色の油として、3.78gの化合物12を得る。収率57%;ES−MS:m/z251[M+H]。
【0049】
本手順に従い、以下のエステルを合成する。
【表7】

【0050】
ステップ3:酸Vの合成
3.78g(15.09mol)の化合物12のTHF/水(4/1、50mL)中溶液に、1.58g(37.74mmol)の水酸化リチウム一水和物を加える。この反応物を室温で18時間撹拌する。この反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物をDCM(20mL)中に溶解し、水(50mL)で抽出する。水層を氷浴内で冷却し、次いで6M HCl水溶液でpH1に酸性化する。生成した沈殿物を濾過で単離し、減圧下、50℃で乾燥させることによって、白色の結晶性固体として、3.35gの酸Vを得る。収率:100%;ES−MS:m/z221[M−H]。
【0051】
本手順に従い、以下の酸を合成する。
【表8】

【0052】
酸の代替法C
【化14】

【0053】
ステップ1:化合物15の合成
149g(785.4mmol)の化合物14(方法C、ステップ1に記載の通り調製)のエタノール(1.2L、窒素下で1時間脱気)中溶液に、169.7g(105mmol)のナトリウムメトキシドを加え、これに続いて、150g(785.4mmol)の化合物13溶液を加える。この反応物を3日間85℃に加熱する。溶媒を減圧下で取り除く。残留物をDCM(1L)中に溶解し、NaHCO3飽和水溶液(2×1L)で洗浄する。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮することによって、褐色の油として、171gの化合物15を得る。収率:84%;ES−MS:m/z259[M+H];1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.29 (3 H, t, J=7.17 Hz), 1.51 (6 H, s), 1.76 - 1.86 (2 H, m), 2.12 - 2.27 (2 H, m), 2.69 (2 H, t, J=7.17 Hz), 4.18 (2 H, q, J=7.17 Hz)。
【0054】
ステップ2:化合物16の合成
220g(851.7mmol)の化合物15の1,4−ジオキサン/水(1/1、4L)中溶液に、1047g(1703.4mmol)のoxone(登録商標)を0.5時間に渡り、室温で少しずつ加える。この反応混合物を室温で18時間撹拌する。固体を濾過で取り除き、1,4−ジオキサン(0.5L)ですすぐ。濾液を減圧下で濃縮することによって、有機溶媒を取り除く。この水性残留物をDCM(2×1L)で抽出する。合わせた有機抽出物をNaHCO3飽和水溶液(2L)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を減圧下で濃縮することによって、暗黄色の油として、226gの化合物16を得る。収率92%;ES−MS:m/z291[M+H];1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.32 (3 H, t, J=7.17 Hz), 1.66 (6 H, s), 2.20 (2 H, 五重線, J=7.59 Hz), 2.28 - 2.41 (2 H, m), 3.34 (2 H, t, J=7.48 Hz), 4.27 (2 H, q, J=7.17 Hz)。
【0055】
ステップ3:酸VIの合成
170g(585.6mmol)の化合物16のTHF(3.4L)中溶液に、225.4g(1756.8mmol)のカリウムトリメチルシラノレートを少しずつ0.5時間に渡り加える。この反応物を室温で18時間撹拌する。この反応混合物を2M HCl水溶液(2L)でpH2に酸性化し、DCM(2×2L)で抽出する。合わせた有機抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、濾過する。濾液を減圧下で濃縮することによって、黄色の固体として、143gの酸VIを得る。収率:93%;ES−MS:m/z261[M−H]。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.71 (6 H, s), 2.18 - 2.28 (2 H, m), 2.30 - 2.42 (2 H, m), 3.38 (2 H, t, J=7.48 Hz), 6.96 (1 H, br. s.)。
【0056】
酸の方法D:
酸VIIIの合成
【化15】

【0057】
ステップ1:化合物18の合成
0.55gのLiAlH4(13.9mmol)のTHF(10mL)中懸濁液に、窒素雰囲気下、2g(13.9mmol)の化合物17のTHF(10mL)中溶液を滴加する。完全に添加した時点で、この反応物を室温で18時間撹拌する。この反応物を氷浴内で冷却し、1M NH4Cl水溶液(2mL)の添加によってクエンチする。生成された沈殿物を、Celite(登録商標)を介した濾過で取り除き、酢酸エチル(3×100mL)ですすぐ。濾液をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮することによって、無色の油として、1.63gの化合物18を得る。収率:90%;ES−MSm/z131[M+H]。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.29 (2 H, qd, J=12.08, 4.04 Hz), 1.50 (2 H, qd, J=6.71, 1.37 Hz), 1.55 - 1.73 (3 H, m), 1.95 - 2.07 (1 H, m), 3.37 (2 H, t, J=11.83 Hz), 3.66 (2 H, t, J=6.03 Hz), 3.92 (2 H, dd, J=11.44, 4.12 Hz)。
【0058】
ステップ2:化合物19の合成
1.63g(12.5mmol)の化合物18のピリジン(15mL)中溶液に、3.58g(18.8mmol)のp−トルエンスルホニルクロリドを加える。この反応物を室温で5時間撹拌する。この反応混合物を減圧下で濃縮する。残留物を2M HCl水溶液(20mL)中に溶解し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出する。合わせた有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を取り除くことによって、オフホワイト色の結晶性固体として、1.9gの化合物19を得る。収率:53%;ES−MS:m/z285[M+H]。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.17 - 1.29 (2 H, m), 1.45 - 1.52 (2 H, m), 1.57 - 1.67 (3 H, m), 2.46 (3H, s), 3.32 (2 H, td, J=11.78, 1.93 Hz), 3.91 (2 H, dd, J=11.28, 4.13 Hz), 4.08 (2 H, t, J=6.14 Hz), 7.36 (2 H, d, J=8.07 Hz), 7.80 (2 H, d, J=8.44 Hz)。
【0059】
ステップ3:化合物20の合成
1.9g(6.7mmol)の化合物19のエタノール(20mL)中溶液に、1.4g(26.8mmol)のナトリウムメトキシドを加え、これに続き1.27g(6.7mmol)の化合物11(酸の方法C、ステップ1により調製)を加える。この反応混合物をマイクロ波内で、130℃で0.5時間加熱する。溶媒を減圧下で取り除く。残留物を、NaHCO3飽和水溶液(25mL)とDCM(25mL)との間で分配する。層を分離させ、水相をDCM(2×25mL)で抽出する。合わせた有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で取り除くことによって、1.9gの化合物20を得る。収率:100%;ES−MS:m/z261[M+H];1H NMR (250 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.15 - 1.38 (5 H, m), 1.42 - 1.70 (12 H, m), 2.59 - 2.71 (1 H, m), 3.37 (2 H, td, J=11.73, 1.98 Hz), 3.95 (2 H, ddd, J=11.04, 3.88, 0.91 Hz), 4.18 (2 H, q, J=7.16 Hz)。
【0060】
ステップ4:化合物21の合成
3口丸底フラスコに、1.9g(7.3mmol)の化合物20を仕込み、1,4−ジオキサン/水(4/1、40mL)中に溶解する。Oxone(登録商標)(9g、14.6mmol)を一度に加える。二相性反応混合物を室温で2時間撹拌する。固体を濾過で取り除き、濾液を減圧下で濃縮する。残留物をNaHCO3飽和水溶液(50mL)で洗浄し、DCM(3×50mL)で抽出する。合わせた有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で取り除くことによって、1.34gの化合物21を得る。収率:63%;ES−MS:m/z293[M+H]、315[M+Na];1H NMR (250 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.28 - 1.45 (5 H, m), 1.59 - 1.71 (9 H, m), 1.79 - 1.95 (2 H, m), 3.20 - 3.31 (2 H, m), 3.38 (2 H, td, J=11.76, 1.90 Hz), 3.93 - 4.04 (2 H, m), 4.27 (2 H, q, J=7.06 Hz)。
【0061】
ステップ5:酸VIIIの合成
1.34g(4.6mmol)の化合物21のTHF(40mL)中溶液に、1.17g(9.2mmol)のカリウムトリメチルシラノレートを加える。この反応物を室温で2時間撹拌する。溶媒を減圧下で取り除く。残留物を、DCM(50mL)と1M HCl水溶液(10mL)との間で分配する。水層をDCM(2×50mL)で抽出する。合わせた有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮することによって、1.02gの酸VIIIを得る。1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 1.29 (2 H, dt, J=12.17, 2.08Hz), 1.56 - 1.85 (11 H, m), 3.35 - 3.45 (4 H, m), 3.88 - 3.97 (2 H, m)。収率:84%、ES−MS:m/z263[M−H]。
【0062】
酸の方法E:
酸IXの合成
【化16】

【0063】
ステップ1:化合物23の合成
75g(0.75mol)の化合物22のTHF(150mL)中溶液に、窒素雰囲気下、氷浴の補助により30℃より低い温度を維持しながら、28.4g(0.75mol)LiAlH4のTHF(600mL)中懸濁液を加える。次いでこの反応物を室温まで温めておき、5時間撹拌する。この反応物を、NH4Cl飽和水溶液を添加することにより、発泡が終わるまでクエンチする。生成した沈殿物を、Celite(登録商標)を介した濾過で取り除き、THF(150mL)で洗浄する。濾液を減圧下で濃縮することによって、淡黄色の油として、71.1gの化合物23を得る。収率:92%、1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.54 (2 H, m), 1.81 - 1.92 (2 H, m), 2.11 (1 H, br. s.), 3.38 - 3.47 (2 H, m), 3.83 (1 H, tt, J=9.10, 4.38 Hz), 3.94 (2 H, dt, J=11.88, 4.15 Hz)。
【0064】
ステップ2:化合物24の合成
133g(1.31mol)の化合物23のピリジン(1.5L)中溶液に、373g(1.95mol)のp−トルエンスルホニルクロリドを10℃で滴加する。完全に添加した後、この反応物を室温まで温めさせ、18時間撹拌する。この反応物を、水性HCl/氷の撹拌混合物へと注ぎ入れる。生成した沈殿物を濾過で単離し、DCM(1L)中に溶解する。有機層を1M HCl水溶液(1L)で洗浄し、これに続きNaHCO3飽和水溶液(1L)で洗浄し、次いでNa2SO4上で乾燥させる。濾過および濾液の減圧下での濃縮により、オレンジ色の油として、300gの化合物24を得る。収率:90%、ES−MS:m/z:257[M+H]、279[M+Na]。
【0065】
本手順に従い、以下のエステルを合成する:
【表9】

#3-テトラヒドロフランカルボン酸を、国際公開第2007/068739号(Glaxo Group Ltd.)に従い溶解することによって、(3S)-テトラヒドロ-3-フラニルメタノールおよび(3R)-テトラヒドロ-3-フラニルメタノールを得る。これらを対応する出発物質として使用する。
*[α]25578-12.36(3、CCl4)(lit.[α]25578-10.9(2-4、CCl4)、Allen et al. J. Org. Chem, 2003, 48, 4527-4530)
【0066】
ステップ3:化合物25の合成
300g(1.175mol)の化合物24のDMF(3L)中溶液に、268g(2.35mol)チオ酢酸カリウムを加え、これに続き、触媒量のNaI(0.12g、10mol%)を室温で加える。完全に添加した後、この反応物を20時間50℃に加熱する。この反応混合物を、TBME(3L)と水(3L)との間で分配し、水層をTBME(2L)で抽出し、次いでNaClで飽和させ、TBME(2×2L)で再び抽出する。合わせた有機抽出物をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で取り除くことによって、153gの化合物25を得る。収率:81%;ES−MS:m/z161[M+H]。
【0067】
本手順に従い、以下のエステルを合成する。
【表10】

【0068】
ステップ4:化合物26の合成
153g(0.96mol)の化合物25のエタノール(3.5L)中溶液を、窒素で0.5時間に渡り脱気し、125g(2.23mol)のKOHを加える。次いで250mL(1.68mol)のα−ブロモイソ酪酸エチルのEtOH(1L)中溶液を0.5時間に渡り加え、この間温度を40℃に上昇させる。窒素雰囲気下でこの反応物を18時間室温で撹拌する。この反応混合物を濾過し、固体をエタノール(0.5L)で洗浄し、濾液を減圧下で濃縮する。粗製物質をシリカ上に乾式充填し、乾式フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、溶出液:n−ヘプタン、2〜10%酢酸エチル)により精製することによって、オレンジ色がかった褐色の油として158gの化合物26を得る。収率:71%;ES−MS:m/z233[M+H]。
【0069】
本手順に従い、以下のエステルを合成する。
【0070】
【表11】

【0071】
ステップ5:化合物27の合成
158g(0.68mol)の化合物26の1,4−ジオキサン/水(4/1,1.6L)中溶液に、835g(1.35mol)のoxone(登録商標)を50分間に渡り少しずつ加える。この反応混合物を室温で18時間撹拌する。固体を濾過で取り除き、1,4−ジオキサン(1L)で洗浄する。合わせた濾液を減圧下で濃縮する。残留物を酢酸エチル(1.5L)中に溶解し、水(1L)で洗浄する。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で取り除くことによって、黄色の油として、166gの化合物27を得る。収率:92%、ES−MS:m/z265[M+H]、287[M+Na]。
【0072】
本手順に従い、以下のエステルを合成する。
【表12】

【0073】
ステップ6:酸IXの合成
166g(0.63mol)の化合物27のTHF/水(4/1、1.66L)中溶液に、50.5g(1.26mol)のNaOHペレットを20分間に渡り少しずつ加える。この反応物を室温で2.5日間撹拌する。有機溶媒を減圧下で取り除き、水性残留物を水(2L)で希釈し、DCM(2L)で洗浄する。水層を濃縮HClでpH1〜2に酸性化し、次いでDCM(3×2L)で抽出する。この酸性水溶液をNaClでさらに飽和し、DCM(6×2L)で再び抽出する。合わせた有機抽出物を減圧下で濃縮することによって、白色の固体として123gの酸IXを得る。収率:83%、ES−MS:m/z235[M−H]。
【0074】
本手順に従い、以下の酸を合成する。
【0075】
【表13】

【0076】
酸の代替法E:
酸IXの合成
【化17】

【0077】
ステップ1:化合物28の合成
10kgの化合物23を、50Lのトルエンと10.4kgのトリエチルアミンの混合物中に溶解する。冷却により内部温度を20℃より低く維持しながら、100mLのトルエン中の11.55kgのメタンスルホニルクロリドを加え、添加漏斗を50mlのトルエンですすぐ。撹拌を1時間継続する。沈殿物を濾過し、濾過ケーキをそれぞれ20Lのトルエンで2回洗浄する。濾液を真空蒸発で濃縮し(蒸留により60Lが除去された)、結晶を播種し、50Lメチルシクロヘキサンを加える。懸濁液を2℃に冷却する。1時間後、この生成物を濾過で単離し、30Lのメチルシクロヘキサンで洗浄し、30℃で乾燥させる。白色の固体として、16.6kgの生成物を得る。収率:94%;1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.62-1.73 (2H, m), 1.92-2.00 (2H, m), 3.19 (3H, s), 3.42-3.49 (2H, m), 3.77-3.83 (2H, m), 4.80-4.88 (1H, m)。
【0078】
ステップ2:酸IXの合成
30gの化合物28を、270mlの脱気したエタノール中に溶解する。19.96gのチオ酢酸カリウムを加え、この反応混合物を77℃で12〜18時間撹拌する。20℃に冷却し、沈殿物を濾過し、90mlの脱気したエタノールで2回すすぐ。6.66gの水酸化ナトリウム溶液(50%)を濾液に加え、添加漏斗を15mlの水ですすぐ。この反応混合物を25℃で1時間撹拌する。32.47gの2−ブロモ−2−メチル−プロピオン酸エチルエステルエチルを混合物に加え、添加漏斗を30mLのエタノールですすぐ。撹拌を25℃で1時間の間継続する。その後、450mLの溶媒を減圧下で取り除く。240mLのトルエンを加え、120mlの溶媒を蒸留により除去する。90mLの水を加え、相を分離する。その後、有機層に、90mLの水、2.75gのタングステン酸ナトリウム二水和物および2.83gのテトラブチルアンモニウム硫酸水素ナトリウムを加える.この反応混合物を85℃に加熱し、1時間に渡り80.88gの過酸化水素溶液(35%)を加える。添加漏斗を30mLの水ですすぐ。撹拌を85℃で1時間の間継続する。この反応混合物を濾過し、相を分離する。その後有機相を、114mLの水中に溶解した、12.66gのメタ重亜硫酸ナトリウムで洗浄し、126mLの水で再び洗浄する。19.98gの水酸化ナトリウム溶液(50%)を有機層に加え、添加漏斗を45mLの水ですすぐ。この反応混合物を50℃で1時間温める。相を分離する。水相を5℃に冷却し、27.07gのHCl(37%)溶液で酸性化する。5℃での撹拌を1時間の間継続する。沈殿物を濾過し、37.5mLの水ですすぎ、50℃で乾燥させる。白色の固体として、14.03gの生成物を得る。収率:35%.ES−MS:m/z237[M+H];1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.53 (6H, s), 1.62-1.75 (2H, m), 1.85-1.92 (2H, m), 3.39 (2H, dt, 3JH,H = 2.1 Hz, 3JH,H = 11.7 Hz), 3.88-3.98 (3H, m), 13.63 (1H. s)。
【0079】
酸の方法F:
酸XIIの合成
【0080】
【化18】

【0081】
ステップ1:化合物30の合成
5g(0.02mol)の化合物29のDCM(35mL)中懸濁液に、7.09mL(0.04mol)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを0℃で滴加する。この反応混合物を30分間撹拌し、次いで6.67g(0.31mol)の二炭酸ジ−tert−ブチルのDCM(35mL)中溶液をこの反応混合物に滴加する。この反応混合物を18時間室温で撹拌し、1M HCl水溶液(2×30mL)およびブライン(30mL)で洗浄する。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮することによって、黄色の油として、6.9gの化合物30を得る。定量的収率;1H NMR (250 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.46 (9 H, s), 1.79 - 2.00 (2 H, m), 2.00 - 2.16 (2 H, m), 3.31 (2 H, ddd, J=13.67, 7.73, 3.73 Hz), 3.68 (2 H, ddd, J=13.55, 6.85, 3.65 Hz), 4.34 (1 H, tt, J=7.69, 3.81 Hz)。
【0082】
ステップ2:化合物31の合成
6.9g(0.02mol)の化合物30のDMF(18mL)中溶液に、5.25g(0.012mmol)のチオ酢酸カリウムを加え、これに続いて触媒量のNaI(0.35g、10mol%)を室温で加える。完全に添加した後、この反応物を20時間50℃に加熱する。この反応混合物を酢酸エチル(100mL)と水(100mL)との間で分配する。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で取り除くことによって、褐色の油として、5.41gの化合物31を得る。収率:81%;ES−MS:m/z245[M+H−CH3]、160[M+H−C592];1H NMR (250 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.37 - 1.64 (11 H, m), 1.78 - 1.99 (2 H, m), 2.25 - 2.35 (3 H, m), 3.06 (2 H, ddd, J=13.63, 10.43, 3.05 Hz), 3.61 (1 H, tt, J=10.28, 4.04 Hz), 3.76 - 3.96 (2 H, m)。
【0083】
ステップ3:化合物32の合成
5.41g(0.02mmol)の化合物31のエタノール(50mL)中溶液を、窒素で0.5時間に渡り脱気し、2.34g(0.04mol)のKOHを加え、これに続いて8.14g(0.04mol)のα−ブロモイソ酪酸エチルを加える。この反応物を、窒素雰囲気下、室温で18時間撹拌する。この反応混合物を減圧下で濃縮する。残留物をDCM(100mL)と水(100mL)との間で分配する。有機層を水(50mL)、ブライン(250mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカ、溶出液:ヘプタン、50%酢酸エチル)により精製することによって、褐色の油として、6.05gの化合物32を得る。収率:87%;ES−MS:m/z354[M+Na]、232[[M+H−C592];1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.25 - 1.35 (3 H, m), 1.46 (9 H, s), 1.48 - 1.53 (2 H, m), 1.55 (6 H, s), 1.88 (2 H, dd, J=13.31, 3.47 Hz), 2.94 - 3.04 (3 H, m), 3.81 - 3.92 (2 H, m), 4.19 (2 H, q, J=7.10 Hz)。
【0084】
ステップ4:化合物33の合成
6.05g(18.3mmol)の化合物32の脱保護を、1,4−ジオキサン(40mL)中、室温で18時間、4M HCl水溶液(9.13mL)での処理により行う。この反応混合物を濃縮することによって、褐色の油として、4.47gの化合物33をその塩酸塩として得る。収率:92%;ES−MS:m/z232[M+H]1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.21 (3 H, t, J=7.13 Hz), 1.45 (6 H, s), 1.80 - 1.90 (2 H, m), 2.17 (2 H, ddd, J=10.78, 7.31, 3.66 Hz), 2.96 - 3.05 (2 H, m), 3.07 - 3.15 (1 H, m), 3.18 - 3.30 (2 H, m), 4.09 (2 H, q, J=7.12 Hz), 9.44 (1 H, br. s.), 9.54 (1 H, br. s.)
【0085】
ステップ5:化合物34の合成
4.47g(16.74mmol)の化合物33の無水THF(30mL)中溶液に、13.45mL(77.36mmol)のN,N−ジイソプロピル(diisoproyl)エチルアミンを加え、これに続き2.98mL(38.58mmol)の塩化メタンスルホニルを加える。この反応混合物を2日間60℃に加熱する。混合物を減圧下で濃縮し、残留物をNaHCO3飽和水溶液(75mL)と酢酸エチル(75mL)との間で分配する。塩基性の水層を酢酸エチル(2×50mL)で抽出する。合わせた有機層を分離し、ブライン(50mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過する。濾液を減圧下で濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、溶出液:ヘプタン、30%酢酸エチル)で精製することによって、褐色の固体として、2.17gの化合物34を得る。収率:42%、ES−MS:m/z310[M+H];1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.22 (3 H, t, J=7.11 Hz), 1.47 (6 H, s), 1.59 - 1.69 (2 H, m), 1.92 - 2.00 (2 H, m), 2.70 (3 H, s), 2.90 - 2.99 (3 H, m), 3.39 - 3.47 (2 H, m), 4.10 (2 H, q, J=7.12 Hz)。
【0086】
ステップ6:化合物35の合成
2.17g(7.02mmol)の化合物34の酢酸(20mL)中撹拌溶液に、2.39mL(35.1mmol)の50%過酸化水素水溶液を加える。この反応物を80℃で1.5時間撹拌する。冷却後、この反応混合物を減圧下で濃縮することによって、白色の固体として、2.91gの化合物35を得る。これを、さらなる精製なしで、次のステップで使用する。収率:定量的;ES−MS:m/z342[M+H];1H NMR (250 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 1.36 (3 H, t, J=7.14 Hz), 1.70 (6 H, s), 2.06 - 2.27 (4 H, m), 2.83 (3 H, s), 2.93 - 3.06 (2 H, m), 3.75 - 3.89 (3 H, m), 4.29 (2 H, q, J=7.13 Hz)。
ステップ7:酸XIIの合成
2.91g(8.53mmol)の化合物35のTHF/水(1/1、60mL)中懸濁液に、2.56g(34.13mmol)の水酸化リチウム一水和物を加える。この反応物を室温で3日間撹拌し、次いで減圧下で濃縮する。残留物をブライン(20mL)とDCM(20mL)との間で分配する。水層を2M HCl水溶液でpH1にさらに酸性化し、DCMで抽出する。合わせた有機抽出物を減圧下で濃縮することによって、1.68gの酸XIIを得る。収率63%、ES−MS:314[M+H];1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 1.66 (6 H, s), 1.86 - 1.97 (2 H, m), 2.24 (2 H, dd, J=13.64, 2.54 Hz), 2.87 (3 H, s), 2.92 (2 H, td, J=12.00, 2.59 Hz), 3.81 (2 H, dt, J=12.45, 3.13 Hz), 3.94 (1 H, tt, J=11.41, 3.79 Hz)。
アミンの方法A:
アミンIの合成
【0087】
【化19】

Akahoshiらの米国特許第5,750,545号(1998)の適応によって、アミンIを調製する。
【0088】
ステップ1:化合物37の合成
1.0g(8mmol)の化合物36のDCM(20mL)中溶液に、室温で、2mL(23mmol)の塩化オキサリルを添加する。この反応物を室温で2時間撹拌し、溶媒を減圧下で取り除く。残渣をDCM中に溶解し、メタノール(0.62mL、15mmol)を添加する。この反応物を室温で0.5時間撹拌する。溶媒を減圧で取り除くことによって、褐色の固体として1.1gの化合物37を得る。これをさらなる精製なしに次のステップで使用する。収率:90%;ES−MS:m/z144[M+H]。
この手順に従い、以下のエステルを合成する:
【0089】
【表14】

【0090】
ステップ2:化合物38の合成
1.00g(7mmol)の化合物37のエタノール(10mL)中溶液に、1.27mL(14mmol)のヒドラジン水化物(35%水溶液)を添加する。この反応物を室温で2時間撹拌する。生成した沈殿物を濾過で単離し、エタノール(1mL)ですすぐことによって、灰色固体として0.73gの化合物38を得る。収率:73%;ES−MS:m/z144[M+H]。
【0091】
この手順に従い、以下のヒドラジドを合成する:
【0092】
【表15】



【0093】
ステップ3:アミンIの合成
0.73g(5mmol)の化合物38の水(30mL)中溶液に、1.41g(5mmol)のS−メチルプソイドチオ尿素および0.20g(5mmol)の水酸化ナトリウムペレットを添加する。この反応物を50℃で3時間撹拌する。この反応混合物を濾過し、水(5mL)で洗浄する。この固体を減圧下、40℃で乾燥させる。この固体を220℃で溶融することによって、灰色の固体として、0.48gのアミンIを得る。収率57%;ES−MS:m/z168[M+H]。
【0094】
この手順に従い以下のアミンを合成する:
【0095】
【表16】



【0096】
アミンの方法B
アミンIXの合成
【0097】
【化20】

ステップ1:化合物40の合成
トリメチルシリルクロリド(59.0g、545.0mmol)およびトリエチルアミン(81.0g、810.0mmol)を、化合物39(15.0g、270.0mmol)のDCM(450.0mL)中撹拌溶液に添加する。この反応混合物を室温で12時間撹拌後、これをブラインで洗浄する。無水Na2SO4上で有機相を乾燥後、溶媒を減圧下で取り除くことによって、黄色の油として24.0gの化合物40を得る。これをさらなる精製なしに次のステップで使用する。収率:44%。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 0.15 (18H, s), 2.13 (1H, t), 3.53 (2H, d).
【0098】
ステップ2:化合物41の合成
n−ブチルリチウムを、−78℃で、化合物40(24.0g、120.0mmol)のTHF(170.0mL)中溶液に添加し、この反応混合物を−78℃で1時間撹拌する。エチルクロロギ酸塩(14.4g、133.0mmol)を、−78℃で25分間、上記反応混合物に滴加し、生成した反応混合物を室温で2時間撹拌する。この反応混合物をDCMで希釈し、水で洗浄する。無水Na2SO4上で有機相を乾燥後、溶媒を減圧下で取り除くことによって、無色の液体として25.0gの化合物41を得る。これをさらなる精製なしに次のステップで使用する。収率:83%。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 0.15 (18H, s), 1.28 (3H, t), 3.66 (2H, s), 4.2 (2H, q).
【0099】
ステップ3:化合物42の合成
塩化アセチル(7.2g、92.2mmol)およびテトラブチルアンモニウムフルオリドのTHF(15.0mL、15.0mmol)中1.0M溶液を、化合物41(25.0g、92.2mmol)のTHF(250.0mL)中撹拌溶液に添加する。この反応混合物を12時間撹拌後、これを酢酸エチルで希釈し、1N HCl水溶液で洗浄する。無水Na2SO4上で有機相を乾燥後、溶媒を減圧下で取り除くことによって、粗生成物を得る。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、液体として10.0gの化合物42を得る。収率:64%;m/z170[M+H]。
【0100】
この手順に従い以下のアミドを合成する:
【0101】
【表17】

【0102】
ステップ4:化合物43の合成
SiO2(150.0g)を、化合物42(35.0g、207.0mmol)のDCM(500.0mL)中溶液に添加し、この反応混合物を室温で33時間撹拌する。この反応混合物を濾過し、減圧下で溶媒を取り除く。オキシ塩化リン(70.0mL)を上記残渣に添加し、この反応混合物を3時間加熱還流する。減圧下でこの反応混合物を濃縮後、NaHCO3飽和水溶液を上記残渣溶液に添加し、次いで酢酸エチルで抽出する。有機相をブラインで洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、液体として21.0gの化合物43を得る。収率:60%;m/z170[M+H]。
【0103】
この手順に従い以下のオキサゾールを合成する:
【0104】
【表18】

a)SiO2との反応混合物を3日間撹拌する。
【0105】
ステップ5:化合物44の合成
0℃で15分間に渡り、水素化ナトリウム、(鉱油中60質量%分散液、6.0g、130.0mmol)を、化合物43(10.0g、59.1mmol)のDMF(100.0mL)中溶液に少しずつ添加する。この反応混合物を30分間撹拌後、ヨウ化メチル(19.2g、130.0mmol)を添加し、3時間0℃で撹拌を継続する。
【0106】
氷水を添加後、この反応混合物を石油エーテル中の30%酢酸エチルで希釈する。相を分離し、有機相を水およびブラインで洗浄する。無水Na2SO4上で有機層を乾燥後、濾過し、減圧下で濃縮することによって、液体として化合物44を得る。これをさらなる精製なしに次のステップで使用する。収率:63%;m/z198[M+H+]。
【0107】
この手順に従い以下のオキサゾールを合成する:
【0108】
【表19】

a)DMSO中の2.4当量のNaHおよび1.3当量の1,4−ジブロモブタンを用いて、この反応を実施する。
b)この反応を0℃で6時間実施する。
【0109】
ステップ6:化合物45の合成
n−ブチルリチウム、(ヘキサン中1.6M溶液、41.0mL、65.6mmol)を、アセトニトリル(4.9g、118.2mmol)のTHF(100.0mL)中溶液に、−78℃で20分間に渡り滴加する。溶液を0.5時間撹拌後、化合物44(10.0g、59.1mmol)を上記反応混合物に滴加し、撹拌を室温で2時間維持する。この反応混合物を減圧下で濃縮することによって、固体として10.0gの化合物45を得る。これをさらなる精製なしに次のステップで使用する。
【0110】
ステップ7:アミンIXの合成
硫酸ヒドロキシルアミン(14.0g、85.4mmol)およびNaOH(5.1g、128.0mmol)を、化合物45(7.0g、42.7mmol)のH2O(50.0mL)中溶液に添加し、この反応混合物を還流下で12時間撹拌する。室温へと冷却後、この反応混合物をDCMで希釈し、2つの相を分離する。有機相をブラインで洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮することによって、粗製物を得る。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、オフホワイト色の固体として700mgのアミンIXを得る。収率:8%(2つのステップに渡り);m/z180[M+H+]。
【0111】
この手順に従い以下のアミンを合成する:
【0112】
【表20】

【0113】
中間体の合成
化合物48の合成
【0114】
【化21】

ステップ1:化合物47の合成
水酸化カリウム(7.5g、131.5mmol)を化合物46(25.0g、132.8mmol)のエタノール(100.0mL)中溶液に添加する。この溶液を室温で12時間撹拌し、溶媒を減圧下で取り除く。得た固体を水に溶解し、ジエチルエーテルで抽出する。水層を6N HCl水溶液でpH4に酸性化し、次いで酢酸エチルで抽出する。合わせた酢酸エチル層を水、ブラインで洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮することによって、オレンジ色の液体として17.0gの化合物47を得る。収率:80%;m/z161[M+H]。
【0115】
ステップ2:化合物48の合成
塩化オキサリル(27.0g、212.5mmol)を、0℃で、化合物47(17.0g、106.2mmol)のDCM(200.0mL)中溶液に添加する。この溶液を室温で1時間撹拌し、溶媒を減圧下で取り除く。N−アセチルヒドラジン(9.4g、127.5mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(27.4g、212.5mmol)のDCM(75.0mL)中溶液を、上記物質のDCM(50.0mL)中溶液に、−78℃で添加し、この溶液を−78℃で1時間撹拌する。減圧下での溶媒の除去後、粗製物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することによって、オレンジ色の液体として15.0gの化合物48を得る。収率:65%;m/z217[M+H]。
【0116】
ステップ3:化合物49の合成
密封した管内で、Burgess試薬(16.5g、69.4mmol)および化合物48(10.0g、46.3mmol)のTHF(92.5mL)中溶液を120℃で1時間加熱する。この反応混合物を室温に冷却後、水および酢酸エチルを添加する。2つの相を分離し、有機相を水およびブラインで洗浄し、無水のNa2SO4上で乾燥させる。濾過後、溶媒を減圧下で取り除くことによって、液体として、10.0gの化合物49を得る。収率:定量的;m/z199[M+H]。
化合物51の合成
【0117】
【化22】

化合物50(6.0g、35.5mmol)およびLawessonの試薬(7.17g、17.7mmol)のトルエン(60.0mL)中溶液を室温で3時間撹拌する。1N NaOH水溶液を添加後、生成物をDCMで抽出する。有機層を無水Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を減圧下で取り除くことによって、粗生成物を得る。これをシリカゲルクロマトグラフィーで精製することによって、4.9gの化合物51を得る。収率:75%;m/z186[M+H]。
【0118】
アミドの方法A1:
例7の合成
【0119】
【化23】

トルエン(2mL)中の塩化チオニル(0.4mL)を100℃で3時間処理することによって、対応する酸塩化物としての、0.32g(1.36mmol)の酸IXの活性化を達成する。この反応物を室温に冷却し、トルエン(1.5mL)を蒸留で取り除き、次いで新鮮なトルエン(5mL)を添加する。この混合物を減圧下で1mLに濃縮する。
この酸塩化物溶液を、0.2g(0.91mmol)のアミンIIおよび0.24mL(1.36mmol)のN,N−ジイソプロピルエチルアミンのTHF(2mL)中撹拌溶液に、50℃で滴加する。添加の完了後、この反応物を70℃に17時間加熱する。この反応物を室温に冷却し、溶媒を減圧下で取り除く。残渣をDCM(5mL)中に溶解し、NaHCO3飽和水溶液(2×5mL)および10%クエン酸水溶液(5mL)で洗浄する。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮する。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカ、溶離液:DCM、50%酢酸エチル)で精製することによって、0.35gの例7が生じる。収率:88%;ES−MS:m/z439[M+H]。
【0120】
表XXI、アミドの方法A1の中の化合物は、この手順に従い生成するが、以下の変更に注意されたい。例6では、反応はトルエン(THFの代わりに)で行い、生成物はカラムクロマトグラフィー(シリカ、溶離液:ヘプタン、50%酢酸エチル)で精製する。
【0121】
アミドの方法A2:
例9の合成
【化24】

50℃で3時間、塩化チオニル(3mL)で処理することによって、対応する酸塩化物としての0.54g(2.28mmol)の酸IXの活性化を達成する。この反応物を室温に冷却し、過剰な塩化チオニルを減圧下で取り除く。粗製の酸塩化物を無水THF(5mL)中に溶解し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.53mL、3.03mmol)を添加し、続いて0.25g(1.52mmol)のアミンVを添加する。添加完了後、この反応物を70℃に17時間加熱した。この反応物を室温に冷却し、溶媒を減圧下で取り除く。残渣をDCM(10mL)中に溶解し、NaHCO3飽和水溶液(10mL)で洗浄する。水層をDCM(2×10mL)で逆抽出する。合わせた有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮する。残渣をDCM/ジエチルエーテル(1/1.2mL)で洗浄することによって、0.22gの例9が生じる。収率:38%;ES−MS:m/z384[M+H]。
表XXI、アミド方法A2の化合物は、この手順に従い生成するが、以下の変更に注意されたい。例17、18および21は、質量分離分取LC(中性の方法)で精製する。例16は、残渣をDCM/ヘプタン(1/1.2mL)で洗浄する。
【0122】
アミドの方法A3
例1の合成
【0123】
【化25】

還流条件下で3時間トルエン(7.0mL)中の塩化チオニル(0.34mL)で処理することによって、対応する塩化アシルとしての0.50g(2.12mmol)の酸IXの活性化を達成する。この反応混合物を室温に冷却し、溶媒を蒸留で取り除く。
上記塩化アシル(80.0mg、0.31mmol)を、アミンIX(65.0mg、0.31mmol)の乾燥トルエン(2.0mL)およびDIEA(0.12mL、0.69mmol)中懸濁液に添加する。懸濁液を60℃で1.5時間加熱後、溶媒を減圧下で取り除き、粗製物を酢酸エチルで希釈し、1N HCl水溶液で2回、NaHCO3飽和溶液で2回およびブラインで1回洗浄する。有機相を無水Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を減圧下で取り除くことによって、粗生成物を得る。これをシリカゲルクロマトグラフィーで精製することによって、62.0mgの例1を得る。収率:46%;ES−MS:m/z426[M+H]。
【0124】
表XXI、アミドの方法A3の化合物は、この手順に従い生成するが、以下の変更に注意されたい。一部の例では、1.1または1.2当量の塩化アシルを使用し、および/または溶媒の除去後、粗製の混合物をクエンチせずに精製し、および/または精製を分取HPLCで実施する。例35では、反応をTHF中で実施する。例5では、精製は、緩衝液を含有するTFAを用いて分取HPLCで実施し、PL HCO3 MP SPEカラムを介して、精製された生成物を濾過する。
【0125】
【表21】









【0126】
LCMS法1416
【0127】
【表22】

【0128】
LCMS法1278
【0129】
【表23】

【0130】
LCMS法T6524/MPL
【0131】
【表24】

【0132】
LCMS法V6625/MP
【0133】
【表25】

【0134】
LCMS法V6625/P
【0135】
【表26】

【0136】
生物学的特性の評価
式Iの化合物の生物学的特性を、以下に記載のアッセイを用いて評価する。
【0137】
A.ヒトCB1およびCB2受容体結合:
実験方法:
CB2膜は購入し、ヒトCB2受容体cDNA(Perkin Elmer Life and Analytical Sciences)で安定的に形質移入されたHEK293 EBNA細胞から生成する。ヒトCB1受容体およびGα16cDNAで安定的に共形質移入されたHEK細胞からCB1膜を単離する。50mM Tris、pH7.5、2.5mM EDTA、5mM MgCl2、0.8%無脂肪酸ウシ血清アルブミンを含有するアッセイ緩衝液中で、室温で4時間膜調製物をシンチレーションビーズ(Ysi−Poly−1−lysine SPAビーズ、GE Healthcare)に結合させる。非結合膜をアッセイ緩衝液中で洗浄により取り除く。一穴当たり15μgの膜(CB2)または一穴当たり2.5μgの膜(CB1)および一穴当たり1mgのSPAビーズという量で、膜ビーズ混合物を96穴のアッセイプレートに加える。1×10-5M〜1×10-10Mの範囲の用量反応濃度で、最終的に0.25%DMSOとなるように、化合物を膜ビーズ混合物に加える。1.5nM(CB2)または2.5nM(CB1)の最終濃度で、3H−CP55940(Perkin Elmer Life and Analytical Sciences)を添加することにより競合反応を開始させる。この反応物を室温で18時間インキュベートし、TopCount NXTプレートリーダー上で読む。全結合および非特異性結合を、1.25uM Win55212(Sigma)の不在下および存在下で測定する。各化合物に対するIC50値を、XLFit4.1 4パラメータロジスティックモデルを用いて、放射標識リガンドの受容体への特異結合を50%阻害する化合物の濃度として計算する。Cheng−Prusoff方程式を用いて、IC50値を阻害定数(Ki)値に変換する。
B.cAMP合成のCB2R媒介による調節:
以下の実験方法に従い、本発明の化合物のCB2アゴニストまたはインバースアゴニスト活性を評価する。上述の結合アッセイにより、CB2に結合することが判明したが、本アッセイでは、cAMP合成のCB2R媒介による調節を示さないことが判明した化合物を、CB2アンタゴニストであると推定する。
【0138】
実験方法:
ヒトCB2R(Euroscreen)を発現するCHO細胞を、一穴当たり5000個の細胞という密度で384穴プレートにプレーティングし、37℃で一晩インキュベートする。培地を除去後、1mM IBMX、0.25%BSAおよび10uM Forskolinを含有する刺激緩衝液中で希釈した試験化合物で、細胞を処置する。アッセイは、37℃で30分間インキュベートする。細胞を溶解し、製造者のプロトコールに従い、DiscoverX−XS cAMPキットを用いてcAMP濃度を測定する。この設定において、アゴニストは、フォルスコリン誘発性cAMP生成を減少させることになり、その一方でインバースアゴニストは、フォルスコリン誘発性cAMP生成をさらに増加させることになる。アゴニストのEC50を以下の通り計算する。1uM CP55940により阻害されるcAMPのレベルと比較した、フォルスコリンにより生成されるcAMPの最大量を100%と定義する。各試験化合物のEC50値を、フォルスコリン刺激によるcAMP合成の50%が阻害される濃度として測定する。4−パラメータロジスティックモデル(XLfit4.0のモデル205)を用いてデータを解析する。
【0139】
C.cAMP合成のCB1R媒介による調節:
以下の実験方法に従い、本発明の化合物のCB1アゴニストまたはインバースアゴニスト活性を評価する。上述の結合アッセイによりCB1に結合することが判明したが、本アッセイでは、cAMP合成のCB1R媒介による調節を示さないことが判明した化合物は、CB1アンタゴニストであると推定する。
【0140】
実験方法:
ヒトCB1R(Euroscreen)を発現するCHO細胞を、一穴当たり5000個の細胞という密度で384穴プレートにプレーティングし、37℃で一晩インキュベートする。培地を除去後、1mM IBMX、0.25%BSAおよび10uM Forskolinを含有する刺激緩衝液中で希釈された試験化合物で、細胞を処置する。アッセイは、37℃で30分間インキュベートする。細胞を溶解し、製造者のプロトコールに従い、DiscoverX−XS cAMPキットを用いてcAMP濃度を測定する。この設定において、アゴニストは、フォルスコリン誘発性cAMP生成を減少させることになり、その一方でインバースアゴニストは、フォルスコリン誘発性cAMP生成をさらに増加させることになる。アゴニストのEC50を以下の通り計算する。1uM CP55940により阻害されるcAMPのレベルと比較した、フォルスコリンにより生成されるcAMPの最大量を100%と定義する。各試験化合物のEC50値を、フォルスコリン刺激によるcAMP合成の50%が阻害される濃度として測定する。4−パラメータロジスティックモデル(XLfit4.0のモデル205)を用いてデータを解析する。
アゴニスト活性を有する化合物
上述のアッセイの使用を介して化合物は、アゴニスト活性を示し、したがって、疼痛の治療、ならびに炎症の治療に特によく適していることが判明している。好ましい本発明の化合物は、CB2(<500nM)およびCB1(>20000)の範囲の活性を有することになる。
【0141】
治療目的の使用
上述のアッセイにより実証可能なように、本発明の化合物は、CB2受容体作用の調節に有用である。この事実により、これらの化合物は、CB2受容体作用により媒介される、またはCB2受容体作用の調節により恩恵を受けることになる病状および状態の治療における治療目的での使用を有する。
本発明の化合物は、CB2受容体作用を調節するので、これら化合物は、非常に有用な抗炎症性および免疫抑制性の活性を有し、これらは、病状および状態の治療のために、薬剤として、特に以下に記載の医薬組成物の形態で、患者に使用することができる。
前に述べたように、CB2アゴニストであるこれらの化合物は、疼痛の治療にも使用することができる。
【0142】
本発明によるアゴニスト、アンタゴニストおよびインバースアゴニスト化合物は、炎症過程を伴う以下の病状または適応症の治療のための薬剤として、患者に使用することができる:
【0143】
(i)肺疾患:例えば、喘息、気管支炎、アレルギー性鼻炎、肺気腫、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、ハト愛好家疾患(pigeonfancier’s disease)、農夫肺、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性喘息(アトピー性または非アトピー性)ならびに運動誘導性気管支収縮、職業性喘息、ウイルス性または細菌性の喘息悪化、他の非アレルギー性喘息および「喘鳴幼児症候群(wheezy−infant syndrome)」などの喘息、じん肺症、例えばアルミニウム肺症、炭粉症、石綿症、石灰症、チローシス(ptilosis)、鉄沈着症、ケイ肺症、タバコ症および綿肺症など、
(ii)リウマチ性疾患または自己免疫性疾患または筋骨格疾患:すべての形態のリウマチ性疾患、特に関節リウマチ、急性リウマチ熱およびリウマチ性多発筋痛症、反応性関節炎、リウマチ性軟部組織疾患、他の原因による炎症性軟部組織疾患、変性関節疾患(関節症)の関節炎の症状、腱炎、滑液包炎、変形性関節症、外傷性関節炎、任意の原因の膠原病、例えば、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、スチル病、フェルティー症候群および骨粗鬆症ならびに他の骨吸収疾患、
(iii)アレルギー性疾患:すべての形態のアレルギー反応、例えば、血管神経性浮腫、枯草熱、虫刺され、薬剤、血液製剤、造影剤などに対するアレルギー反応、アナフィラキシーショック(アナフィラキシー)、蕁麻疹、血管神経性浮腫および接触性皮膚炎、
(iv)血管系疾患:結節性汎動脈炎、結節性多発動脈炎、結節性動脈周囲炎、側頭動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、巨細胞性動脈炎、アテローム性動脈硬化症、再潅流障害および結節性紅斑、
【0144】
(v)皮膚疾患:例えば皮膚炎、乾癬、日焼け、火傷、湿疹、
(vi)腎疾患:例えばネフローゼ症候群、およびすべての種類の腎炎、例えば、糸球体腎炎など、膵炎(pancreatits)、
(vii)肝臓疾患:例えば急性肝細胞崩壊、様々な原因の急性肝炎、例えば、ウイルス性、毒性、薬剤誘導性および慢性侵攻性、ならびに/または慢性間欠性の肝炎、
(viii)消化器系疾患:例えば炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、限局性腸炎(クローン病疾患)、潰瘍性大腸炎、胃炎、アフタ性潰瘍、セリアック病、限局性回腸炎、胃食道逆流症、
(ix)神経保護:例えば、脳卒中、心停止、肺のバイパス、外傷性脳損傷、脊椎損傷などの後の神経変性の治療、
(x)眼疾患:アレルギー性角膜炎、ぶどう膜炎または虹彩炎、結膜炎、眼瞼炎、視神経炎、脈絡膜炎、緑内障および交感性眼炎、
(xi)耳鼻咽喉(ENT)部位の疾患:例えば耳鳴、アレルギー性鼻炎または枯草熱、接触湿疹、感染などに起因する外耳炎、および中耳炎、
(xii)神経疾患:例えば脳浮腫、特に腫瘍関連性脳浮腫、多発性硬化症、急性脳脊髄炎、髄膜炎、急性脊椎損傷、外傷、認知症、特に変性認知症(老年痴呆、アルツハイマー病、パーキンソン病およびクロイツフェルト/ヤコブ病、ハンチントン舞踏病、ピック病、運動ニューロン疾患を含む)、脳血管性痴呆(多発硬化性認知症を含む)ならびに頭蓋内占拠性病変に伴う認知症、感染症および関連する状態(HIV感染を含む)、ギランバレー症候群、重症筋無力症、脳卒中および様々な形態のてんかん、例えば、点頭痙攣など。
(xiii)血液疾患:後天性溶血性貧血、再生不良性貧血および特発性血小板減少症、
(xiv)腫瘍性疾患:急性リンパ性白血病、ホジキン病、悪性リンパ腫、リンパ肉芽腫症、リンパ肉腫、固形悪性腫瘍、広範な転移、
(xv)内分泌系疾患:内分泌性眼疾患、内分泌性眼窩症、甲状腺クリーゼ、ドゥケルヴァン甲状腺炎、橋本甲状腺炎、バセドウ氏病、肉芽腫性甲状腺炎、リンパ腫性甲状腺腫、グレイヴズ病、1型糖尿病(インスリン依存性糖尿病)、
(xvi)器官および組織の移植ならびに移植片対宿主病、
(xvii)重篤なショック状態、例えば、敗血症性ショック、アナフィラキシーショックおよび全身性炎症反応症候群(SIRS)、
(xviii)急性疼痛、例えば歯痛、手術前後、術後の疼痛、傷害痛、筋肉痛、やけどの皮膚の痛み、日焼け、三叉神経痛、日焼け、消化管または子宮、大腸の痙攣、
(xix)内臓痛、例えば慢性骨盤痛、膵炎、消化性潰瘍、間質性膀胱炎、腎仙痛、アンギナ、月経困難症、月経、婦人科痛、過敏性腸症候群(IBS)、非潰瘍消化不良、非心臓胸痛、心筋虚血に伴う疼痛、
【0145】
(xx)神経障害性疼痛例えば腰痛、非ヘルペス神経痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性ニューロパチー、神経損傷、後天性免疫不全症候群(AIDS)関連神経障害性疼痛、頭部外傷、有痛性傷害性単ニューロパチー(painful traumatic mononeuropathy)、毒素および化学療法誘導性疼痛、幻肢痛、有痛性多発ニューロパチー、視床症候群、脳卒中後中枢性疼痛、中枢神経系損傷、術後痛、断端痛、反復運動による疼痛、乳房切除後症候群、多発性硬化症、神経根引き抜き、開胸術後症候群に誘発される疼痛、痛覚過敏および異痛症に伴う神経障害性疼痛、
(xxi)例えば変形性関節症、関節リウマチ、リウマチ性疾患、腱鞘炎、痛風、外陰部痛、筋膜疼痛(筋肉の損傷、線維筋痛)、腱炎、変形性関節症、若年性関節炎、椎骨炎、痛風性関節炎、乾癬性関節炎、筋骨格性疼痛、線維筋痛、捻挫および筋挫傷、交感神経依存性痛、筋炎、片頭痛に伴う疼痛、歯痛、インフルエンザおよび感冒などの他のウイルス感染、リウマチ熱、全身性エリテマトーデスなどの障害により誘発される、またはこれらに伴う炎症性/侵害受容性疼痛、
(xxii)リンパ性白血病、ホジキン病、悪性リンパ腫、悪性リンパ肉芽腫症、リンパ肉腫;固形悪性腫瘍、広範な転移などの腫瘍により誘発される、またはこれらに伴う癌性疼痛、
(xxiii)頭痛、例えば、群発性頭痛、前兆のあるまたは無い片頭痛、緊張型頭痛、異なる原因による頭痛など、予防薬および急性の使用を含めた頭痛障害、
(xxiv)経皮的冠動脈形成術に続く再狭窄、急性および慢性疼痛、アテローム性動脈硬化症、再潅流障害、うっ血性心不全、心筋梗塞、熱傷、外傷に続く多臓器傷害、壊死性腸炎ならびに血液透析、白血球フェレーシスおよび顆粒球輸血に伴う症候群、サルコイドーシス、歯肉炎、発熱、火傷、捻挫または骨折に伴う外傷により起こる浮腫、脳浮腫および血管性浮腫、糖尿病、例えば糖尿病性脈管障害、糖尿病性ニューロパチー、糖尿病性網膜症、後毛細管抵抗(post capillary resistance)または膵島炎に伴う糖尿病の症状(例えば高血糖症、多尿、タンパク質尿ならびに亜硝酸塩およびカリクレインの尿中排泄量の増加)を含めた様々な他の病状または状態。
【0146】
他の適応症として、てんかん、敗血症性ショック、例えば、抗血液減少性および/または抗血圧性薬剤などとして、癌、敗血症、骨粗鬆症、前立腺肥大および過活動膀胱、そう痒症、白斑症、一般的消化器疾患、呼吸器、尿生殖器、消化器または血管領域における内臓運動能(visceral motility)の障害、傷、火傷、組織損傷および手術後の発熱、そう痒症に伴う症候群が挙げられる。
【0147】
ヒトの治療に有用であることに加えて、これらの化合物は、哺乳動物、げっ歯類などを含めたペットの動物、外来動物および家畜の獣医学上の治療にも有用である。
【0148】
上述の疾患および状態の治療のためには、治療有効量は一般的に、本発明の化合物の投与量当たり、体重1kg当たり、約0.01mg〜約100mgの範囲、好ましくは、投与量当たり、体重1kg当たり約0.1mg〜約20mgの範囲である。例えば、70kgの人への投与に対して、投与量の範囲は、本発明の化合物の投与量当たり、約0.7mg〜約7000mg、好ましくは投与量当たり約7.0mg〜約1400mgである。最適な投薬レベルおよびパターンを決定するために、所定の投与量のある程度の最適化が必要となることもある。有効成分は、1日1〜6回投与してもよい。
【0149】
一般的投与および医薬組成物
医薬品として使用する場合、本発明の化合物は通常、医薬組成物の形態で投与される。このような組成物は、医薬品分野で周知の手順を用いて調製することができ、少なくとも1つの本発明の化合物を含む。本発明の化合物はまた、単独で投与するか、または本発明の化合物の安定性を強化し、特定の実施形態においてこれらを含有する医薬組成物の投与を促進させ、溶解性または分散性を向上させ、抑制活性を増強し、補助的治療などをもたらすアジュバントと組み合わせて投与してもよい。本発明による化合物は、これらだけで使用するか、または本発明による他の活性物質と一緒に、さらに他の薬理活性物質とも一緒に使用してもよい。一般的に、本発明の化合物は、治療上または医薬として有効量で投与するが、診断または他の目的のためにより低い量で投与してもよい。
【0150】
本発明の化合物の投与は、純粋な形態で、または適切な医薬組成物で、医薬組成物の投与の許容される形式のいずれかを用いて行うことができる。したがって、投与は、例えば、経口、口腔内(例えば、舌下)、経鼻、非経口、局所、経皮、経膣または経腸で、固体、半固体、凍結乾燥粉末、または液体剤形の形態で、例えば、錠剤、坐剤、丸剤、軟質の弾性ゼラチンカプセルおよび硬質ゼラチンカプセル、散剤、溶液剤、懸濁剤またはエアゾール剤など、好ましくは正確な投与量の簡単な投与に適した単位剤形であってよい。医薬組成物は、従来の医薬としての担体または添加剤および本発明の化合物を前記/ある活性薬剤として一般的に含むことになり、加えて、他の医薬用薬剤、医薬品、担体、アジュバント、賦形剤、ビヒクルまたはこれらの組合せを含んでもよい。このような薬学的に許容される添加剤、担体または添加物ならびに様々な方式または投与のための医薬組成物を生成する方法は、当業者には周知である。最新技術は、最新技術をより良く記載するために、その全体が、それぞれ本明細書中に参考として組み込まれている、例えば、Remington:TheScience and Practice of Pharmacy、20th Edition, A. Gennaro (ed), Lippincott Williams & Wilkins, 2000; Handbook of Pharmaceutical Additives, Michael & Irene Ash (eds), Gower, 1995; Handbook of Pharmaceutical Excipients, A.H. Kibbe (ed)、American Pharmaceutical Ass'n、2000, H.C. Ansel and N.G. Popovish, Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 5th ed., Lea and Febiger, 1990において証明されている。
当業者であれば予想されるように、ある特定の医薬製剤において利用されている本発明の化合物の形態(例えば、塩)は、製剤が効力を発揮するために必要とされる適切な物理的特徴(例えば、水溶性)を有するように選択されることになる。
口腔内(舌下)投与に適した医薬組成物として、味のついた基剤、通常スクロースおよびアカシアまたはトラガカントなどの中に本発明の化合物を含むロゼンジ、ならびに、不活性基剤、例えばゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアなどの中にこの化合物を含むトローチが挙げられる。
【0151】
非経口投与に適した医薬組成物は、本発明の化合物の無菌水溶性調製物を含む。これらの製剤は、静脈内に投与するのが好ましいが、皮下、筋肉内または皮内注射を用いて、投与することもできる。注射用医薬製剤は一般的に、注射用無菌生理食塩水、リン酸緩衝食塩水、油性懸濁剤または当分野で知られている他の注射用担体をベースとし、一般的に無菌で、血液と等圧の状態である。したがって注射用医薬製剤は、1,3−ブタンジオール、水、リンガー溶液、等張性塩化ナトリウム溶液、不揮発性油、例えば合成のモノグリセリドまたはジグリセリドなど、脂肪酸、例えばオレイン酸などを含めた、無毒性の非経口的に許容可能な賦形剤または溶媒中の無菌注射液剤または懸濁剤として提供してもよい。このような注射用医薬製剤は、適切な分散剤または硬化剤および懸濁剤を用いて、既知の技術に従い調合される。注射用組成物は、0.1〜5%w/wの本発明の化合物を一般的に含有することになる。
【0152】
化合物の経口投与のための固形製剤として、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤が挙げられる。このような経口投与に対して、本発明の化合物(複数可)を含有する薬学的に許容される組成物は、通常使用される任意の添加剤、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、アルファ化デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカン、セルロースエーテル誘導体、グルコース、ゼラチン、スクロース、クエン酸塩、没食子酸プロピルなどを組み込むことによって形成される。このような固体医薬製剤は、当分野で周知のように、いくつもの機序により消化管に薬剤の長時間作用するまたは持続する送達をもたらす製剤を含んでもよく、これらの製剤として、小腸のpH変化に基づく剤形からの、pH感受性放出、錠剤またはカプセル剤の緩徐な崩壊、製剤の物理的特性に基づく胃での滞留、腸管の粘膜内層への剤形の生体接着、または剤形からの活性薬剤の酵素による放出が挙げられるが、これらに限らない。
化合物の経口投与のための液体剤形として、乳剤、微乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が挙げられ、例えば、水、生理食塩水、水性ブドウ糖、グリセロール、エタノールなどの担体に入れた医薬としてのアジュバントを含有してもよい。これら組成物はまた、追加のアジュバント、例えば湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味剤、風味剤および芳香剤などを含有することができる。
【0153】
化合物の局所投与用の剤形として、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、溶液剤、スプレー剤、吸入剤、眼軟膏、点眼剤または点耳剤、浸透性ドレッシングおよびエアゾール剤が挙げられ、適切な従来の添加剤、例えば保存剤、薬剤の浸透を補助する溶媒ならびに緩和性の軟膏剤およびクリーム剤を含有し得る。局所的な適用は、通常の医学的考察に応じて、1日1回または1回より多くてもよい。さらに、本発明に好ましい化合物は、適切な鼻腔内ビヒクルの局所使用を介して鼻腔内用の形態で投与することができる。製剤はまた、従来の相容性担体、例えば、クリームまたは軟膏基剤およびローション用のエタノールまたはオレイルアルコールなどを含有し得る。このような担体は、製剤の約1%〜約98%まで存在してもよく、より一般的にこれらは、製剤の約80%までを形成することになる。
【0154】
経皮投与もまた可能である。経皮投与に適した医薬組成物は、塗布された者の表皮に長時間密接に接触したままであるように適応させた分散パッチとして提示することができる。経皮デリバリーシステムの形態で投与するためには、用量の投与は、もちろん、投与計画を通して間欠的というよりも持続的であることになる。このようなパッチは、本発明の化合物を、緩衝されていてもよい水溶液中に適切に含有するか、接着剤の中に溶解および/または分散させているか、またはポリマー中に分散させて適切に含有している。活性化合物の適切な濃度は、約1%〜35%、好ましくは約3%〜15%である。
【0155】
吸入による投与のため、本発明の化合物は、エアゾールスプレー剤の形態で、噴射剤ガスを必要としないポンプスプレー装置から、または適切な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ヘプタフルオロプロパン、二酸化炭素、または他の適切な気体などを使用して、加圧パックもしくはネブライザーから送達されるのが便利である。いずれにせよ、エアゾールスプレー剤投与単位は、得られた計量式吸入器(MDI)が、再現性のある、制御された方法で本発明の化合物を投与するために使用されるよう、計量された量を送達するバルブを提供することによって決定してもよい。このような吸入器、ネブライザー、またはアトマイザー装置は、例えば、本明細書により参照され、それぞれその全体が本明細書中に参考として組み込まれている、PCT国際公開第97/12687号(特に、市販のRESPIMAT(登録商標)ネブライザーの基礎となっている図6)、国際公開第94/07607号、国際公開第97/12683号および国際公開第97/20590号など、従来技術において既知である。
【0156】
直腸投与は、化合物が、低融点、水溶性または不溶性の固体、例えば脂肪、ココアバター、グリセリン処理ゼラチン、水素添加植物油、様々な分子量のポリエチレングリコールの混合物またはポリエチレングリコールの脂肪酸エステルなどと混和されている単位投与量座剤を利用することで達成することができる。活性化合物は通常、多くの場合、約0.05〜10質量%と微量成分であり、残りの部分が基剤成分である。
【0157】
すべての上記医薬組成物において、本発明の化合物は、許容可能な担体または添加剤と共に調合される。使用される担体または添加剤はもちろん、組成物のもう一方の成分と相容性であるという意味で許容可能でなければならず、患者に有害であってはならない。担体または添加剤は、固体もしくは液体、または両方であることができ、本発明の化合物と共に、単位投与組成物として、例えば0.05%〜95質量%の活性化合物を含有できる錠剤として調合されることが好ましい。このような担体または添加剤は、不活性充填剤または賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、溶解遅延剤、再吸収促進剤、吸収剤および着色剤を含む。適切な結合剤として、デンプン、ゼラチン、天然の糖、例えばグルコースまたはβ−ラクトースなど、トウモロコシ甘味料、天然および合成ゴム、例えばアカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウムなど、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが挙げられる。滑沢剤として、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられる。
【0158】
薬学的に許容される担体および添加剤は、すべての前述の添加剤などを包含する。
【0159】
本出願で引用されたすべての特許文献および非特許文献は、参照により本明細書に組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】

(I)
(式中、
Hetは、5員のヘテロアリール環であり、
1は、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、C3-10シクロアルキル、3〜10員の飽和複素環、5〜10員の単環式または二環式ヘテロアリール環またはフェニルであり、これらは、それぞれ独立して、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C3-10シクロアルキル、C1-4アルキルスルホニル、アシル、オキソ、シアノ、フェニル、ヒドロキシルおよびハロゲンから選択される、1〜3つの置換基で置換されていてもよく、
2およびR3は、C1-4アルキルまたは水素であり、ただし、R2およびR3の両方が水素であることはできず、またはR2およびR3は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜6員のシクロアルキルもしくは複素環を形成し、
4は、水素またはメチルであり、
5は、
【化2】

およびAr2から選択され、
Ar1は、5員のヘテロアリール環または3〜10員の飽和複素環であり、Ar2は、5員のヘテロアリール環であり、各Ar1またはAr2は、独立して、1つまたは複数のR6で置換されていてもよく、
6は、C1-8アルキル、C3-7シクロアルキルまたはアリールであり、
7およびR8は、それぞれ独立して、水素、C3-6シクロアルキルまたはC1-4アルキルであり、ただし、R7およびR8の両方が水素であることはできず、R7およびR8は、環化してC3-7シクロアルキル環を形成してもよく、
nは、0、1または2であり、
式(I)上の、または上に列挙されているいずれかのR置換基上のいずれかの炭素原子は、可能な場合、部分的にまたは完全にハロゲン化されていてもよい)、
または薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
Hetが、
【化3】

であり、
1が、C1-6アルキル、フェニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アゼチジニル、ピペリジニル;ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ジオキサニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、チエニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−1λ6−チオモルホリニル、モルホリニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ピロリジニル、ピペラジニル、プリニル、キノリニル、ジヒドロ−2H−キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、インダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニルまたはベンゾジオキソリルであり、それぞれが、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ヒドロキシル、C1-4アルキルスルホニル及びオキソから選択される置換基で置換されていてもよく、
2およびR3が、独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルまたは水素であり、ただし、R2およびR3の両方が水素であることはできず、またはR2およびR3が、これらが結合している炭素と一緒になってシクロプロピル、シクロブチルもしくはシクロペンチルの環を形成し、
4が水素であり、
Ar1およびAr2が、それぞれ独立して、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チエニル、フラニル、チアジアゾリル、トリアゾリルまたはピロリルであり、各Ar1またはAr2が、1〜2個のR6で置換されていてもよく、
6が、フェニル、C3-6シクロアルキルまたはC1-6アルキルであり、それぞれが部分的にまたは完全にハロゲン化されていてもよく、
7およびR8が、それぞれC1-3アルキルまたはC3-6シクロアルキルであり、R7およびR8が、環化して、C3-6シクロアルキル環を形成してもよい、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1が、C1-6アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、フェニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、アゼチジニル、ピペリジニル、ジオキサニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−1λ6−チオモルホリニル、モルホリニルまたはピロリジニル、ピペラジニルであり、それぞれが、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ヒドロキシル、C1-4アルキルスルホニル及びオキソから選択される置換基で置換されていてもよい、
請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Hetが、
【化4】

であり、
1が、C1-5アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、アゼチジニル、ピロリジニルまたはピペリジニルであり、それぞれが、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ヒドロキシル、C1-4アルキルスルホニル及びオキソから選択される置換基で置換されていてもよく、
2およびR3がメチルであり、またはR2およびR3が、これらが結合している炭素と一緒になって、シクロプロピルもしくはシクロブチルの環を形成し、
Ar1が、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリルまたはチアゾリルであり、
Ar2が、ピラゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリルまたはチアゾリルであり、
各Ar1またはAr2が、1〜2つのR6で置換されていてもよく、
6が、フェニルまたはC1-5アルキルであり、
7およびR8が、それぞれC1-3アルキルであり、R7およびR8が、環化して、C3-6シクロアルキル環を形成してもよい、
請求項1から3までのいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
Hetが、
【化5】

であり、
1が、C1-5アルキル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニルまたはピペリジニルであり、それぞれが、ハロゲン、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ヒドロキシル、C1-4アルキルスルホニル及びオキソから選択される置換基で置換されていてもよく、
Ar1が、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリルまたはチアゾリルであり、
Ar2が、ピラゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリルまたはチアゾリルであり、
各Ar1またはAr2が、1〜2つのR6で置換されていてもよい、
請求項1から4までのいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
1が、C1-5アルキル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニルまたはピペリジニルであり、それぞれがハロゲン、C1-4アルキル及びC1-4アルキルスルホニルから選択される置換基で置換されていてもよく、
Ar1が、
【化6】

であり、
Ar2が、
【化7】

である、請求項1から5までのいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
2およびR3がメチルである、請求項1から6までのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれかに記載の式(I)の化合物
【化8】

(I)
(式中、式(I)の
【化9】

は、表IのカラムA1〜A7から選択され、式(I)の
【化10】

は、表IのカラムB1〜B12から選択される)、
【表1】



または薬学的に許容されるその塩。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれかに記載の化合物、すなわち
【化11】





または薬学的に許容されるその塩。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれかに記載の化合物、すなわち
【化12】



または薬学的に許容されるその塩。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の化合物の治療有効量と、1つまたは複数の薬学的に許容される担体および/またはアジュバントとを含む医薬組成物。
【請求項12】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の化合物の治療有効量を投与するステップを含む、肺疾患、リウマチ性疾患、自己免疫性疾患、筋骨格疾患、アレルギー性疾患、アレルギー反応、血管系疾患、皮膚疾患、腎疾患、肝臓疾患、消化器系疾患、神経変性眼疾患、耳鼻咽喉疾患、神経疾患、血液疾患、腫瘍、内分泌系疾患、器官および組織移植ならびに移植片対宿主病、重篤なショック状態、疼痛、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、再潅流障害、うっ血性心不全、心筋梗塞、熱傷、外傷に続く多臓器傷害、壊死性腸炎および血液透析、白血球フェレーシスおよび顆粒球輸血に伴う症候群、サルコイドーシス、歯肉炎および発熱から選択される疾患または状態を治療する方法。
【請求項13】
治療される前記疾患または状態が疼痛である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
治療される前記疼痛が、急性疼痛、内臓痛、神経障害性疼痛、炎症性および侵害受容性疼痛、癌性疼痛および頭痛から選択される、請求項13に記載の方法。

【公表番号】特表2013−505295(P2013−505295A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530933(P2012−530933)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/048883
【国際公開番号】WO2011/037795
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】