説明

CCD検出装置を持つ非傾斜型ジョイスティック

【課題】実質的に平行な平面内に配置された、実質的に平行なままで互いに対して2つの方向に移動できる第1及び第2のプレートを含む、ベクトル信号を発生するための手動式制御装置を提供する。
【解決手段】非傾斜型ハンドルが、プレートを相対的に移動するため、プレートのうちの一方のプレートに連結されている。CCDカメラが、プレートのうちの一方のプレートに連結されており、他方のプレートに焦合する。
入力に連結されており、2つのプレートの2つの方向での相対的移動を検出し且つ定量し、これを表示するベクトル信号を発生するため、マイクロプロセッサをベースとしたコントローラーが、カメラから順次入力された画像を処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2005年2月2日に出願された米国仮特許出願第60/649,456号の優先権を主張するものである。同特許出願に触れたことにより、この特許出願に開示された内容は本明細書中に含まれたものとする。
【0002】
本発明は、電動車椅子の作動で有用なジョイスティック式制御装置と同様の手動制御装置に関する。こうした手動制御装置には、ビデオゲームの操作等のこの他の多くの用途がある。
【背景技術】
【0003】
電動車椅子に方向信号及び速度信号を提供するための安価であるが正確な手動式制御装置が必要とされている。この種の制御装置は、多くの場合、ジョイスティック式制御装置と呼ばれる。代表的には、これらの制御装置に設けられたハンドルは、ハンドルの軸線に沿った所定の点を中心として全ての方向に回転するように枢着されている。回転点を通る2つの垂直な軸線に沿った傾斜の角度を検出するためのセンサが設けられている。ジョイスティックの傾斜と対応して移動するブラシと接触したポテンショメータ等の多くの検出技術が使用されてきた。米国特許第4,856,785号及び米国特許第6,259,433号を参照されたい。別の検出技術では、誘導コイルの相互作用が利用される。米国特許第4,879,556号及び米国特許第5,911,627号を参照されたい。傾斜を検出するためにホール効果センサもまた使用されてきた。米国特許第5,160,918号及び米国特許第5,831,596号を参照されたい。
【特許文献1】米国特許第4,856,785号
【特許文献2】米国特許第6,259,433号
【特許文献3】米国特許第4,879,556号
【特許文献4】米国特許第5,911,627号
【特許文献5】米国特許第5,160,918号
【特許文献6】米国特許第5,831,596号 最近、小型カメラの開発が、表面上でのコンピュータマウス制御装置の移動の検出に適用されてきた。米国特許第6,172,354号及び米国特許第6,664,948号を参照されたい。これらの特許に触れたことにより、これらの特許に開示された内容は本明細書中に含まれたものとする。しかしながら、この技術は、ジョイスティック式制御装置、詳細には、電池作動式ジョイスティック制御式電動車椅子には十分に適用されてこなかった。コンピュータマウス制御装置は、単にコンピュータのモニターディスプレー上でのマウスポインターの相対的な移動を指令しさえすればよかった。これらの制御装置は、基準位置からの絶対変位を検出する必要はない。
【特許文献7】米国特許第6,172,354号
【特許文献8】米国特許第6,664,948号 電動車椅子用ジョイスティック式制御装置には幾つかの必要条件がある。例えば、米国特許第5,409,074号及び米国特許第6,674,256号を参照されたい。これらの特許には、電動車椅子の前進、後退、右折、及び左折を指令するためのジョイスティック式制御装置の使用が示してある。電動車椅子用制御装置は、この段落で引用した上掲の2つの特許に示されているように、間隔が隔てられたホイールに設けられた個々のモニターを制御してもよい。追加の入力を必要とする更に別の高度な車椅子移動方法が考えられている。従って、ジョイスティックハンドルの変位の表示ばかりでなく、ジョイスティックハンドルのその軸線を中心とした回転の表示も提供する手動式制御装置が望ましい。
【特許文献9】米国特許第5,409,074号
【特許文献10】米国特許第6,674,256号 2つの垂直な軸線を中心として全ての方向に回転するように枢着された従来のジョイスティックは、全ての障害者にとって使用が容易なものではなかった。使用者の手首を必要とする傾斜移動は困難である。しかしながら、こうした使用者が十分な力を腕及び肩に備えてる場合には、本明細書中に開示する非傾斜型手動式制御装置を作動できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
CCDカメラ技術を使用した非傾斜型ジョイスティックを含む手動式制御装置を本発明に従って提供するのが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
簡単に述べると、実質的に平行な平面内に配置された、互いに対して実質的に平行なままで互いに対して2つの方向に移動できる第1及び第2のプレートを含む、ベクトル信号を発生するための手動式制御装置を提供する。プレートのうちの一方のプレートに連結された非傾斜型ハンドルは、プレートを相対的に移動させるために掴むことができる。CCDカメラがプレートのうちの一方のプレートに連結されており、他方のプレートに焦合してある。カメラが焦点合わせされる領域をLEDが照らす。マイクロプロセッサをベースとしたコントローラーが入力に連結されており、2つのプレートの2つの方向での相対的移動を検出し且つ定量し、これを表示するベクトル信号を発生するため、カメラから繰り返し入力された画像を処理する。
【0006】
簡単に述べると、変形例によれば、非傾斜型ハンドルの変位を表示するベクトル信号及び前記ハンドルの回転を表示するスカラー信号を発生するための手動式制御装置を提供する。ハンドルは、実質的に平行な平面内に配置された、実質的に平行なままで並進移動でき且つ回転できる第1及び第2のプレートを含む。ハンドルは、プレートを相対的に並進させ且つ回転させるため、ハンドルが連結されたプレートに対して軸線が実質的に垂直な状態で一方のプレートに連結されている。この実施例では、間隔が隔てられた2つのCCDカメラが前記プレートのうちの一方のプレートに連結されており、他方のプレートに焦合している。カメラが焦点合わせされる領域をLEDが照らす。マイクロプロセッサをベースとしたコントローラーが入力に連結されており、2つのプレートの2つの方向での相対的移動を検出し且つ定量し、これを表示するベクトル信号を発生するため、及びハンドルのその軸線を中心とした回転を検出し且つ定量するため、カメラから繰り返し入力された画像を処理する。
【0007】
ベクトル信号は、好ましくは直角の2つの方向に沿って取り出した、基準位置からの変位を各々表す2つの信号を含んでいてもよい。別の態様では、ベクトル信号は、変位の角度方向を示す信号及びその方向での基準位置からの変位を示す信号を含んでもよい。
【0008】
一つの特定の実施例では、手動式制御装置は、第3プレートを第1及び第2のプレートと実質的に平行に支持するハウジングを更に含む。第3プレートは、第1及び第2のプレートのうちのいずれかと摺動接触している。ハンドルが連結されていない方のプレートには、ハンドルが通過する開口部が設けられている。ハンドルが連結されたプレートとハウジングとの間に位置決めされたばねがハンドルを押圧し、ハンドルをハウジングに対して基準位置に戻す。一つ又はそれ以上のカメラが焦合されたプレート上のパターンにより、ハンドルが基準位置にあるとき、カメラ及びマイクロプロセッサをベースとしたコントローラーがこれを確認できる。好ましくは、ハンドルが取り付けられたプレートは円形形状であり、ハンドルがプレートの中央近くに取り付けられている。ハウジングは、ハンドルに取り付けられたプレートを包囲するため、及び基準位置から遠ざかる方向で4のハウジングの移動の程度を制限するため、第3プレートと隣接して円形キャビティを形成する。最も好ましい実施例によれば、基準位置へのハンドルの押圧は、ハンドルの軸線に沿って延び且つ一端がハウジングに固定されたコイルばねによって行われる。
【0009】
この他の特徴及び他の目的及び利点は、以下の詳細な説明を添付図面を参照して読むことにより明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1及び図2を参照すると、ベース10が平らな表面プレート11を支持している。この表面プレート11は、ベースから持ち上がった円形リム12によって取り囲まれている。別の平らなプレートを含むカバー13が円形リム12に載止しており、かくして筒形空間を包囲する。リム12よりも小径の平らな円形プレート15を含むスライダー14は中空ハンドル16を有し、このハンドルは、円形プレートから持ち上がっており且つプレートの中央に固定されている。カバー13には、ハンドルが通過する円形穴17が設けられている。包囲された筒形空間内に位置決めされたスライダープレートは、ハンドルを掴んで任意の方向に押圧することによってベース10及びカバー13に対して位置決めできる。ハンドルが傾斜していないため、スライダープレートの位置決めに手首の強さが必要とされない。ハンドルを放したときにハンドルが基準位置に自動的に戻るようにするため、リム12によって画成された筒形空間の中央で可撓性ステム20がベース10に対して直立位置で固定されている。ステムにはコイルばね21が設けられており且つベースに固定されている。コイルばねは中空ハンドル内に上方に延びており、ここで緩く摺動する。かくして、ハンドルを基準位置から移動するとき、コイルばね及びステムが撓み、ばねが中空ハンドル内で下方に移動する。ハンドルを放すと直ぐに、ばね及びステムは直立位置を回復し、ばねがハンドル内に上方に戻り、かくしてハンドルは基準位置に戻る。
【0011】
ベースには、レンズ及び二次元マトリックス検出器を含むCCDカメラ23が取り付けられている。二次元マトリックス検出器は、マトリックスの各ピクセル毎に信号を発生する。CCDカメラ23の出力は、画像を画成するピクセル信号のフレームである。マイクロプロセッサをベースとしたコントローラーは、順次入力された画像を比較することによって、スライダープレートのハンドルが基準位置から遠ざかる方向に移動するときのスライダープレートの二次元的移動を確認できる。移動を検出するための装置及び方法は、例えば、米国特許第6,172,354号及び米国特許第6,664,948号に開示されている。これらの特許に触れたことにより、これらの特許に開示された内容は本明細書中に含まれたものとする。スライダープレートの移動を確認するためにスライダープレートの被撮影面に何らかのパターンが設けられている必要はないが、ハンドルが基準位置にあるとき、好ましくは、何らかの種類の基準標識が設けられている。
【0012】
ハンドルの変位を検出する方法が図3に示してある。工程30では、カメラからの画像入力を基準位置画像と比較し、ハンドルが基準位置にあるかどうかを確認する。ハンドルが基準位置にある場合には、工程31で位置レジスターをクリアする。基準位置が検出されなかった場合には、工程32で、基準位置が検出されて位置レジスターがクリアされるまで何も行わない。基準位置が早期に見つかった場合には、工程33でスライダーが移動されたかどうかを確認するために試験を行う。スライダーが移動されていない場合には、元の値が位置レジスターに残り、プログラムはスライダープレートの移動を待機する。スライダーが移動されている場合には、工程34で元の位置を検出し、工程35で変位の程度を検出し、工程36で位置レジスターに追加する。位置レジスター内の値を、工程37で、例えば電池式車椅子の制御システムに連続的に出力する。短時間待機した後、プロセスを繰り返す。
【0013】
軸線を中心としたハンドルの回転を検出するには、2つのカメラからの入力が必要である。好ましい実施例によれば、カメラは、互いに直角な垂直軸線上に、及びハンドルの基準位置から等距離のところに位置決めされる(カメラは、必ずしも、ここに説明したように正確に位置決めされていなくてもよいが、正確に位置決めされていると計算が簡単になる)。両カメラが検出した移動が同じである場合には、回転は生じていない。一方のカメラによって検出された移動が他方のカメラによって検出された垂直方向移動と適合できる成分を持つ場合には回転が生じ、この成分の値が回転の程度を示す。回転工程を加え又は減じ、ハンドルの全角度方向を提供する。
【0014】
かくして、本発明を詳細に、特許法の求めるところに従って説明した。特許証により、特許請求の範囲に記載された事項が保護される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例による非傾斜型手動式コントローラーの斜視断面図である。
【図2】図1に示す手動式コントローラーの分解図である。
【図3】コンピュータを用いた本発明による変位検出方法の概略ダイヤグラムである。
【符号の説明】
【0016】
10 ベース
11 表面プレート
12 円形リム
13 カバー
14 スライダー
15 円形プレート
16 中空ハンドル
17 円形穴
20 可撓性ステム
21 コイルばね
23 CCDカメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベクトル信号を発生するための手動式制御装置において、
略平行な平面内にそれぞれ配置され、略平行な状態を保ったままで、2つの方向に向けて互いに移動可能な第1及び第2のプレートと、
前記第1及び第2のプレートを相対的に移動させるため、前記第1及び第2のプレートの一方に連結された非傾斜型ハンドルと、
前記第1及び第2のプレートの一方に連結され、他方に焦点合わせされたCCDカメラと、
前記カメラから順次入力される入力及び処理画像に接続され、2つの方向への前記第1及び第2のプレートの相対運動を検知及び定量化し、これらを示すベクトル信号を発生させる、マイクロプロセッサをベースとしたコントローラーと
を備えた手動式制御装置。
【請求項2】
非傾斜型ハンドルの変位を示すベクトル信号及び前記ハンドルの回転を示すスカラー信号を発生するための手動式制御装置において、
略平行な平面内にそれぞれ配置され、略平行な状態を保ったままで、平行方向及び回転方向に互いに移動可能な第1及び第2のプレートを備え、
前記ハンドルは、前記第1及び第2のプレートの一方に連結され、前記第1及び第2のプレートの一方は、前記第1及び第2のプレートの一方に垂直な軸を備え、前記第1及び第2のプレートを相対的に平行方向及び回転方向へと移動させるために、前記ハンドルが前記軸に対して連結され、
一方が前記第1及び第2のプレートの一方に連結され、他方が前記第1及び第2のプレートの他方に焦点あわせされた、間隔をおいて配置された2つのCCDカメラを備え、
前記カメラから順次入力される入力及び処理画像に接続され、2つの方向への前記第1及び第2のプレートの相対運動を検知及び定量化し、これらを示すベクトル信号を発生させ、前記軸の周りの前記ハンドルの回転を検知及び定量化する、マイクロプロセッサ型コントローラーを備えた、手動式制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の手動式制御装置において、前記ベクトル信号は、基準位置から2つの方向への変位を示す2つの信号を含む、手動式制御装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の手動式制御装置において、前記ベクトル信号は、角度方向信号と、基準位置からの変位の信号とを含む、手動式制御装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の手動式制御装置において、
前記第1及び第2のプレートと略平行な第3のプレートを支持するハウジングを更に備え、前記第3プレートは、前記第1及び第2のプレートの一方と摺動接触している、手動式制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の手動式制御装置において、前記ハンドルが連結されていない方のプレートには、前記ハンドルが通過する開口部が設けられている、手動式制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の手動式制御装置において、
前記ハンドルを押圧して前記ハウジングに対する基準位置に戻すため、前記ハンドルが連結された前記プレートと前記ハウジングとの間に設けられた押圧手段を更に含む、手動式制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載の手動式制御装置において、前記ハンドルが前記基準位置又は前記基準位置の近くにあることを検出するための手段を更に含む、手動式制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の手動式制御装置において、前記ハンドルが前記基準位置又前記基準位置の近くにあることを検出するための前記手段は、前記カメラが焦点合わせされるプレートに設けられた所定のパターンを含む、手動式制御装置。
【請求項10】
請求項1に記載の手動式制御装置において、前記ベクトル信号のスカラー値は、前記基準位置からの前記ハンドルの距離を示す、手動式制御装置。
【請求項11】
請求項5に記載の手動式制御装置において、前記ハンドルが取り付けられた前記プレートは円形形状を有し、前記ハンドルは前記プレートの中心近くに取り付けられている、手動式制御装置。
【請求項12】
請求項11に記載の手動式制御装置において、前記ハウジングは、前記ハンドルに取り付けられた前記プレートの移動を制限するため、前記第3のプレートと隣接して筒形キャビティを形成する、手動式制御装置。
【請求項13】
請求項12に記載の手動式制御装置において、前記押圧手段は、前記ハンドルの前記軸線に沿って延び且つ一端が前記ハウジングに固定されたコイルばねである、手動式制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−285954(P2006−285954A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−25486(P2006−25486)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(599023978)デルファイ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (281)
【Fターム(参考)】