説明

CCTVシステム

【課題】従来は、道路若しくは河川に設置した監視端末を備えるCCTVシステムと、遠隔地に必要な情報を伝達するための情報表示システムとが、別々に存在し、これら2つのシステムを別々に管理していたために、コスト高となっていた。
【解決手段】本発明は、道路若しくは河川に設置した監視カメラの、カメラポールに電光表示板等の表示部を設け、道路情報(渋滞、事故、等)または河川情報(増水、等)を当該表示部に表示し、道路利用者若しくは河川利用者に注意を促すCCTVシステムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCTV( Closed Circuit Tele-Vision )システムに関わり、特に、監視カメラに道路情報や河川情報を電光表示するシステムに関わる。
【背景技術】
【0002】
従来のシステムでは、CCTVシステムと情報表示システムとが別々のシステムとして設けられ、これら2つのシステムは、別々に管理されていた。
【0003】
また、特許文献1の情報表示柱に記載されるように、情報表示装置にカメラが付属し、視覚的な情報手段として利用され、防災センタにその情報が伝達されるシステムが開示されている。しかし、防災センタの運用の詳細は明示されず、システム的な技術の開示が無い。
【0004】
また、特許文献2の緊急車両優先通過支援システムに記載されるように、道路上に設置されたCCTV等の監視用カメラで撮影した映像を画像処理して、緊急車両の回転標識灯の点滅、移動方向、車種、等を識別し、緊急車両の前方を走行中の車両の車載器に緊急車両がまもなく通過する旨を事前に知らせる技術が開示されている。また、その記載に、当該エリア内に設置された道路情報板に文字メッセージを送出する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−117241号公報
【特許文献2】特開2002−245588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、従来は、道路若しくは河川に設置した監視端末を備えるCCTVシステムと、遠隔地に必要な情報を伝達するための情報表示システムとが、別々に存在し、これら2つのシステムを別々に管理していた。
【0007】
また、特許文献1には、システム運用の詳細が記載されていない。
【0008】
また、特許文献2では、道路上に設置されたCCTV等の監視用カメラで撮影した映像に基づいて、緊急車両の前方を走行中の車両の車載器に事前に知らせるため、道路情報板に文字メッセージを送出する技術が記載されている。しかし、緊急車両だけに対象が絞られ、例えば、緊急車両の進路上に障害があっても緊急車両にはその情報が伝達されず、監視システム等に利用するためには、十分ではない。
【0009】
上記の問題に鑑み、本発明は、CCTVシステムに、情報表示を行うための電光表示板を追加し、2つのシステムを統合した。これによって、コストを削減するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明のCCTVシステムは、道路若しくは河川に設置した監視カメラの、カメラポールに電光表示板等の表示部を設け、道路情報(渋滞、事故、等)または河川情報(増水、等)を当該表示部に表示し、道路利用者若しくは河川利用者に注意を促すものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、CCTV及び情報表示の2つの機能を満たすため、現場設備のコスト低減を図ることができる。
【0012】
また、電光表示板等の表示部に、表示部が付属した当該監視カメラ装置の状態を表示することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のCCTVシステムの一実施例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の一実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素若しくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であり、これらの実施形態も本願発明の範囲に含まれる。
【0015】
本発明の一実施例を図1によって説明する。図1は、本発明のCCTVシステムの一実施例の構成を示すブロック図である。101は監視用のカメラ、102はカメラ101のパン角やチルト角を変更するための雲台(旋回台)、103は地上に固定され、カメラ101及び雲台102を搭載するカメラポール、104はカメラポール103の側面に設けた表示部、105は機側装置、150は管理センタ、140は管理センタ150と機側装置105間を無線若しくは有線で電気的に接続する伝送路である。機側装置105において、11は伝送路150と接続されるLAN−SW、12はIPエンコーダ、13はカメラ制御部、14は表示インタフェース(表示I/F)部である。また管理センタ150において、51は伝送路150と接続されるLAN−SW、52はIPデコーダ、53はモニタ、54は操作用PC( Personal Computer )、55は統合管理サーバ、56は情報表示サーバである。LAN−SW11、若しくは51は、例えば、スイッチングハブであり、伝送路140は、LAN( Local Area Network )等のネットワーク回線である。また表示部104は、例えば、電光表示板である。
【0016】
なお、電源及び電源の配線は、記載していない。
【0017】
図1において、監視端末は、監視用のカメラ101、雲台102、当該監視用のカメラ101を搭載するカメラポール103、カメラポール103の側面に取り付けられた電光表示板等の表示部104、及びそれらを制御し管理センタ150と伝送路140を介して通信する機側装置105から少なくとも構成される。
【0018】
CCTVシステムにおいて、通常、複数台の監視端末が設置される。例えば、道路状況を監視するCCTVシステムでは、複数の監視端末が、沿道に複数設置され、遠隔の管理センタ150と無線若しくは有線の伝送回線で接続されている。また、例えば、河川状況を監視するCCTVシステムでは、河川及び河川の周辺を監視可能なように、複数の監視端末が設置され、遠隔の管理センタ150と無線若しくは有線の伝送回線で接続されている。
【0019】
図1において、カメラ101は、視野内を撮影し、撮影した画像を機側装置105のIPエンコーダ12に出力する。IPエンコーダ12は、入力された画像を圧縮符号化してLAN−SW11に出力する。LAN−SW11は、入力された画像を伝送可能な形式に変換して伝送路140を介して管理センタ150に出力する。
【0020】
管理センタ150では、機側装置105から伝送路140を介して伝送された画像をLAN−SW51が受信し、伝送路140が伝送可能な形式から、管理センタ150内の他の機器が処理可能な形式に変換して、変換した画像を、IPデコーダ52に出力する。IPデコーダ52は、入力された画像の復号及び伸長処理を行い、LAN−SW51を介して統合管理サーバ55等に出力すると共に、モニタ53が表示可能なデータに変換してモニタ53に出力し、モニタ53に画像を表示させる。
【0021】
管理センタ150内では、オペレータがモニタ53が表示する画面を確認し、また、必要な場合には、操作用PC54を操作して、管理センタ150内の他の機器を操作する。また、オペレータは、操作用PC54を操作することによって、LAN−SW51、及び伝送路140を介して、機側装置105、カメラ101、雲台102、及び表示部104を制御する。
【0022】
統合管理サーバ(制御部)55は、操作用PC54からの指示が無い場合には、内蔵された所定のソフトウエアに従って、CCTVシステム及び情報表示を管理する。
【0023】
例えば、統合管理サーバ55若しくは操作用PC54からの指示は、制御信号として、LAN−SW51から伝送路140を介して機側装置105に伝送される。
【0024】
また例えば、統合管理サーバ55若しくは操作用PC54は、情報表示サーバ56に指示して、対応する表示情報を読み出して、LAN−SW51から伝送路140を介して機側装置105に伝送する。
【0025】
機側装置105では、管理センタ150からの制御信号を、伝送路140を介してLAN−SW11が受信する。LAN−SW11は、制御信号が機側装置105内のどの機器に出力すべきかを判定し、例えば、カメラ101及び雲台102を制御するための制御信号であれば、カメラ制御部13に出力する。また、表示部104に表示するための制御信号(表示情報)であれば、表示I/F部14に出力する。
【0026】
なお、機側装置105は、例えば、カメラポール103の近傍に設けられる。好ましくは、機側装置105は、カメラポール103の下部若しくは側面部に設けられる。
【0027】
カメラ制御部13は入力された制御信号に基づいて、カメラ101や雲台102を制御するコマンドを、雲台102の図示しない制御回路に出力する。図示しない制御回路は、入力されたコマンドに基づいて、例えば、カメラ101のズーム倍率の変更、雲台102のパン角若しくはチルト角の変更、等の制御を行う。
【0028】
表示I/F部14は、入力された制御信号(表示情報)に基づいて、表示部104の表示を制御する。
【0029】
そして、管理センタ内で監視しているオペレータは、モニタ表示された画像を見て、例えば、監視ポイントの変更、他部署への通報等、必要と考えられる措置を行う。
【0030】
本発明における図1の実施例では、管理センタ150は、他部署への通報の他に、複数の監視端末から送信された画像をモニタ53の表示画面で確認し、危険ポイントを割り出し、例えば、当該監視端末、及び、周辺の監視端末に、異常若しくは危険である旨の表示情報を送信し、当該監視端末の表示部に当該表示情報を表示させる。
【0031】
以上のように、本発明の一実施形態のCCTVシステムは、監視場所を撮影するカメラを備えた監視端末と該カメラの画像を表示するモニタを備えた管理センタとから成るCCTVシステムにおいて、前記監視端末は、道路若しくは河川に設置したカメラと、該カメラを搭載するカメラポールと、該カメラポールに取り付けた表示部と、該表示部に情報を表示するように制御する表示インターフェース部と、伝送路を介して通信するための第1の通信インタフェース部とを少なくとも備え、前記管理センタは、前記監視端末と前記伝送路を介して通信する第2の通信インターフェース部と、該第2の通信インターフェース部が受信した情報に基づいて監視端末を制御する制御部と、制御部の制御に応じて前記表示部に表示するための表示情報を出力する情報表示サーバとを少なくとも備えたことを特徴とする。
【0032】
好ましくは、各監視端末は、スピーカ等の音声出力手段を備え、管理センタの操作用PC54若しくは統合管理サーバ55は、表示部への表示と共に、音声等で警報を出力する。
【0033】
また、好ましくは、統合管理サーバ55は、ソフトウエアの処理に従って、若しくは、操作用PC54の操作に従って、情報表示サーバ56から、電光表示板等の表示部104に表示する文字情報等のデータを取得する。次に取得したデータについて、表示させる監視端末を指定する(例えば、監視端末のID若しくは表示部のIDを指定する)処理を行い、LAN−SW51、伝送路140を経由し、指定した監視端末の電光表示I/F部14に送信する。さらに好ましくは、送信する文字情報のデータに、補足説明を加えて送信する。補足説明は、例えば、監視端末によって、危険度の種類や、避難経路、避難方向の指示、等である。
【0034】
図1の実施例では、電光表示板等の表示部は、カメラポールの側面に取り付けられていた。しかし、利用者が見易い場所であれば、どこでも良いことは勿論であり、監視端末ごとに取り付け場所が異なっても良い。また、カメラポールではなく、機側装置に取り付けても良い。
【0035】
図1の実施例によれば、CCTV及び情報表示の2つの機能を満たすため、現場設備のコスト低減を図ることができる。
【0036】
また、図1の実施例において、統合管理サーバ55の制御若しくはオペレータの判断による操作用PC54の制御によって、表示部104に、当該監視端末の状態(例えば、カメラ101が撮像したライブ映像若しくは過去の画像、カメラ101が稼働しているか否かの情報、等)を表示するようにしても良い。
【0037】
また、当該監視端末と異なる場所に設置された監視端末のライブ映像若しくは過去の画像を表示するようにしても良い。
【0038】
このように、当該カメラの画像、危険ポイントに設置されたカメラの画像、若しくは、重要なポイントの画像等の情報を表示部104に表示させることによって、監視端末の近くにいる住民若しくは監視員等の利用者が、道路情報若しくは河川情報を的確に確認することができるため、迅速かつ適切な行動をとることができる。
【符号の説明】
【0039】
11:LAN−SW、 12:IPエンコーダ、 13:カメラ制御部、 14:表示I/F部、 51:LAN−SW、 52:IPデコーダ、 53:モニタ、 54:操作用PC、 55:統合管理サーバ、 56は情報表示サーバ、 101:カメラ、 102:雲台、 103:カメラポール、 104:表示部、 105:機側装置、 140:伝送路、 150:管理センタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視場所を撮影するカメラを備えた監視端末と該カメラの画像を表示するモニタを備えた管理センタとから成るCCTVシステムにおいて、
前記監視端末は、道路若しくは河川に設置したカメラと、該カメラを搭載するカメラポールと、該カメラポールに取り付けた表示部と、該表示部に情報を表示するように制御する表示インターフェース部と、伝送路を介して通信するための第1の通信インタフェース部とを少なくとも備え、
前記管理センタは、前記監視端末と前記伝送路を介して通信する第2の通信インターフェース部と、該第2の通信インターフェース部が受信した情報に基づいて監視端末を制御する制御部と、制御部の制御に応じて前記表示部に表示するための表示情報を出力する情報表示サーバとを少なくとも備えたことを特徴とするCCTVシステム。

【図1】
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【公開番号】特開2011−48771(P2011−48771A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198577(P2009−198577)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】