説明

CO2収集の方法とシステム

【課題】二酸化炭素を収集するための方法と装置を提供する。
【解決手段】コンデンサ402及び除湿チャンバ404内のデシカント材を用いて大気から水分を除去し、乾燥空気を生成すること、次いで接触器チャンバ406内で乾燥空気から分子ふるい材料に二酸化炭素を吸収すること、吸収された二酸化炭素を真空チャンバ408に解放すること、並びに真空チャンバ内で、解放された二酸化炭素を気相から固相に転移させることを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、概して二酸化炭素(CO )の収集に関し、具体的には大気中のCO を収集する方法とシステムに関する。
【0002】
CO 収集の目的は多岐にわたる。様々な工業的目的でCO を収集するために、CO の自然発生源が広く採掘されている。CO はまた、工業的プロセスの副産物として、及び空気の供給源から余分なCO を除去するために、収集される。
【0003】
大量のCO が石油増進回収(EOR)に使用される。今日、石油は、放棄されているものの依然として有意な量の原油を保持する多数の油井から抽出されている。典型的に、1つの油井は、一次回収フェーズの間にその石油のうちの約30%を供給するのみである。別の20%は、地圧を上昇させる水攻法などの二次回収技術を用いて回収される。EORは、さらに別の20%以上の石油を地下の油層から回収するために使用されている三次(又は第3の)回収技術である。EORフェーズでは、大量のガスを地中に注入し、次いでその大部分を、回収される石油と共に回収する。CO は、原油と混合することができ、石油の粘度を低下させてその抽出を容易にすることができるため、ガスとして好ましい。このようなEOR工程の実行は、地中に残る石油にアクセスするために大量の投資を要する。しかしながら、現在の油層の産出減少と石油価格の上昇とにより、今日EORの値ごろ感は高まっており、これによりCO に対する需要が巨大化している。
【0004】
例えばEORのような工業的プロセスに使用されるCO は、自然発生源又は人為的発生源から広く収集され、使用現場に届けられる。CO は、タンク、パイプライン、又は他の適切な送達方法により送達される。多くの場合、使用現場はCO の収集場所の遠隔地であり、従ってCO 使用者のコストは増大する。
【0005】
本発明の一態様によれば、二酸化炭素の収集方法は、デシカント材及びコンデンサを用いて大気から水分を除去することにより乾燥空気を生成すること、乾燥空気から1つの材料に二酸化炭素を吸収すること、吸収された二酸化炭素を真空チャンバに解放すること、並びに真空チャンバにおいて解放された二酸化炭素を気相から固相に転移させることを含む。
【0006】
別の態様では、二酸化炭素収集装置は、装置に流入する大気の流れを生成するように構成された複数の空気移動装置と、大気の流れから水分を除去するコンデンサとを含む。装置は、大気の流れからさらに水分を除去して概ね乾燥した空気を生成する吸湿剤と、内部において、乾燥空気から材料に二酸化炭素を吸収する接触器チャンバとを含んでいる。装置は、前記接触器チャンバから吸収された二酸化炭素を抜いて、抜いた二酸化炭素を気相から固相に転移させる真空チャンバを含んでいる。
【0007】
別の態様では、二酸化炭素収集装置は、装置に流入する大気の流れを生成するように構成された複数の空気移動装置を含む。この装置は、大気の流れから水分を除去するコンデンサと、コンデンサからの気流に含まれる二酸化炭素を抽出する第1の収集アセンブリと、前記コンデンサからの気流に含まれる二酸化炭素を抽出する第2の収集アセンブリとを含んでいる。装置は、コンデンサからの気流を、第1の収集アセンブリと第2の収集アセンブリとに交互に方向付けるコントローラを含んでいる。
【0008】
上述の特徴、機能及び利点は、様々な実施形態において独立に実現することが可能であるか、さらに別の実施形態において組み合わせることが可能である。これらの実施形態について、以下の説明及び添付図面を参照してさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】二酸化炭素収集方法の一実施例のフロー図である。
【図2】図1に示す方法による二酸化炭素収集装置の一実施例のブロック図である。
【図3】図1に示す方法による二酸化炭素収集装置の別の実施例のブロック図である。
【図4】二酸化炭素収集装置の別の実施例の図である。
【図5】図4に示す装置を使用した二酸化炭素収集方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において、「1つの」という語から始まる単数形の要素又はステップは、複数の要素又はステップを除外することが明示的に記載されていない限り、複数の要素又はステップを除外しないと理解すべきである。さらに、本発明の「一実施形態」又は「例示的実施形態」への言及は、記載されている特徴も取り込む他の実施形態の存在を除外するものではない。
【0011】
ここでは、二酸化炭素(CO )を収集するための方法と装置について記載する。固定のCO 収集プラントにおいて石油増進回収(EOR)に使用されるものとして本システムと方法を説明するが、本発明の態様は、他の領域及び用途に使用可能である。さらに、ここに記載される本方法とシステムは、可動、又は可搬のCO 収集設備を含む他の様々な領域及び用途に使用するために、拡張又は縮小することができる。ここに記載する実施形態は、幾つかの既知のCO 収集方法より多量のCO を生産することができる。さらに、記載される実施形態は、幾つかの既知の方法を実行可能な環境より多量の水分を含有する大気を有する環境において、CO の収集を行うことができる。さらに、記載される実施形態は、CO 収集の副産物として水を提供し、CO の収集プロセスにおいて実施形態が生成するより多くのCO を環境から除去する。
【実施例】
【0012】
具体的に図面を参照する。図1は、CO 収集方法の一実施例のフロー図であり、全体が参照番号100により示されている。方法100は、コンデンサとデシカント材とを用いて大気中の水分を除去し、乾燥空気を生成すること102を含む。乾燥空気中の二酸化炭素が材料に吸収され104、吸収された二酸化炭素は真空チャンバに解放される106。方法100は、解放された二酸化炭素を、真空チャンバ内において気相から固相へ転移させ108、真空チャンバから抽出するために固相のCO を気相に転移させること110を含む。
【0013】
図2は、例えば上記方法100によりCO を収集する装置200の一実施例を示すブロック図である。空気中の水分の大部分を除去するコンデンサ202に、大量の自由空気を吹き込む。次いで、乾燥度が高まった空気を、吸湿剤を含む除湿チャンバ204に通すことにより、空気中に残った水分のほぼすべてを除去する。次に、空気は、乾燥空気中のCO を吸収する材料を含む接触器チャンバ206に入る。十分な量のCO が材料に吸収されたら、吸収されたCO を真空チャンバ208に解放する。真空チャンバ208内の気相のCO を、真空チャンバ208内で固相に転移させる。
【0014】
コンデンサ202及び除湿チャンバ204は、空気中に含まれるほぼすべての水分を除去し、CO 収集プロセスの残りの部分で使用される乾燥空気を生成する。空気から除去された水分は、プロセスの副産物として収集される。収集された水分は、次いで、何らかの適切な目的に使用される。
【0015】
除湿チャンバ204は、コンデンサ202を通過した空気中に残る水分のほぼすべてを除去するデシカント材を含んでいる。この例示的実施形態では、デシカント材は分子ふるい材料である。幾つかの実施形態では、デシカント剤は、アルカリ金属アルミノシリケート構造を有する分子ふるい材料であり、この構造の有効孔開口は3オングストロームである。他の実施形態では、例えば、異なる構造及び/又は有効孔サイズを有する分子ふるい材を含め、他のデシカント材を使用できる。コンデンサ202を通過した空気に残る水分のほぼすべてを除去するのに適したあらゆるデシカント材を使用することができる。
【0016】
接触器チャンバ206は、乾燥空気中のCO を吸収する材料を含む。この例示的実施形態では、この材料は分子ふるい材料である。幾つかの実施形態では、分子ふるい材料は、10オングストロームの有効孔開口サイズを有する分子ふるい材料である。幾つかの実施形態では、分子ふるい材料はゼオライト材料である。他の実施形態では、材料は、乾燥空気中のCO を吸収するのに適したあらゆる材料とすることができる。
【0017】
この例示的実施形態では、吸収されたCO は、接触器チャンバ206内において、材料を真空に晒すことにより材料から解放される。幾つかの実施形態では、接触器チャンバ206は、気流に対して概ねシールされており、真空は、真空チャンバ208を介して接触器チャンバ206に印加される。吸収されたCO は、接触器チャンバ206内の材料から真空チャンバ208に解放される。
【0018】
真空チャンバ208内において、気相のCO は固相に転移される。この例示的実施形態では、気相のCO が低温表面上で凝固するのに十分に低い温度に冷却された真空チャンバ208内の表面を使用して、CO を固相に転移させる。幾つかの実施形態では、真空チャンバはコールドフィンガを含み、このコールドフィンガに冷却剤を通過させることによりコールドフィンガの外表面の温度を低下させ、この表面上でCO を凝固させる。他の実施形態では、他のいずれかの適切な技術を使用して、解放されたCO を凝固させることができる。
【0019】
真空チャンバ208内の固相のCO は、任意の適切な収集方法により収集される。この例示的実施形態では、固相のCO は気相に戻されて、貯蔵及び/又は運搬のために抽出される。固相のCO は、固相のCO が気相のCO に転移するまで真空チャンバ208内の温度を上昇させることにより、気相に戻される。他の実施形態では、固相のCO を気相に転移させるのに適切な他のあらゆる方法を利用することができる。
【0020】
図3は、方法100によりCO を収集する装置300の別の実施例を示すブロック図である。装置300は、コンデンサ202、除湿チャンバ204、接触チャンバ206、及び真空チャンバ208を含む。装置300は、除湿チャンバ304及び接触チャンバ306も含む。除湿チャンバ204と接触チャンバ206は第1の収集アセンブリ310を形成し、除湿チャンバ304と接触チャンバ306は第2の収集アセンブリ312を形成する。第1の収集アセンブリ310及び第2の収集アセンブリ312の各々は、上述のようにして、コンデンサ202からの空気流に含まれる二酸化炭素を抽出するために使用される。第1の収集アセンブリ310及び第2の収集アセンブリ312の各々は、収集チャネル又は経路として説明することもができる。
【0021】
コントローラ314は、装置300の動作を制御し、コンデンサ202からの空気流を第1の収集アセンブリ310と第2の収集アセンブリとに交互に方向付ける。例えば、第1の収集アセンブリ310を、概ね装置200に関して上述したようなサイクルのために動作させた後、コントローラ314は第1の収集アセンブリ310を閉鎖して、第2の収集アセンブリ312を開くことができる。コンデンサ202からの空気は除湿チャンバ304に入り、装置200に関して上述したように乾燥される。次いでこの乾燥空気は接触チャンバ306に入り、接触チャンバ306内においてCO は材料に吸収される。この間に、除湿チャンバ204は再生されて、直近のサイクルにおいて収集された水分を除去する(図3には示さない)。
【0022】
接触器チャンバ306において十分なCO が吸収されたら、コントローラ314は、コンデンサ202からの空気流に対して接触器チャンバ306をシールし、接触器チャンバ206と306とを接続してそれらの間に流体を流通させる。接触器チャンバ206内は、直近のサイクルにより接触器チャンバ306内より低圧であり、接触器チャンバ306と306内の圧力は均一化する。コントローラ314が真空チャンバ208を接触チャンバ306に流体接続すると、接触チャンバ206及び306内の圧力は低下して、接触チャンバ306内の材料からCO が解放される。
【0023】
ほぼすべてのCO が接触器チャンバ306から真空チャンバ208に解放されたら、接触器チャンバ206と306との接続を閉じる。次いで、コントローラ314は、コンデンサ202からの空気の流れを第1の収集アセンブリ310に方向付けて第1の収集アセンブリ310による抽出プロセスを開始し、その間に第2の収集アセンブリは収集プロセスを終了し、除湿チャンバ304内の吸湿剤が再生される。真空チャンバ208内において、気相のCO は、上述のようにして固相に転移される。吸収されたCO のほぼすべてが真空チャンバ208に抽出された後、接触器チャンバ306と真空チャンバ208との接続は閉じられ、コントローラ314は真空チャンバ208内の温度を上昇させることにより、固相のCO を気相に転移させる。次いで、CO ガスは、真空チャンバ208から外部の貯蔵施設又はパイプライン(図示しない)に抽出される。
【0024】
図4は、本発明の一又は複数の態様による、二酸化炭素収集装置又はシステム400の別の実施例を示している。図5は、装置400のような二酸化炭素収集装置の動作のフロー図500である。
【0025】
装置400は、コンデンサグリッド402、第1の収集アセンブリ410、第2の収集アセンブリ412、及び真空チャンバ408を含んでいる。第1の収集アセンブリ410及び第2の収集アセンブリ412の各々は、除湿チャンバ404と接触器チャンバ406とを含む。第1の収集アセンブリ410及び第2の収集アセンブリ412の各々は、収集チャネル又は経路として説明することもできる。第1の収集アセンブリ410及び第2の収集アセンブリ412の各々は、除湿チャンバ404及び/又は接触器チャンバ406を実質的にシールするための複数のシャッタードア414を含む。システムコントローラ420は、装置400の動作を制御する。動作中、一方の収集アセンブリ410又は412が自由空気中のCO を収集している間に、接触器チャンバ406からCO を解放することにより、及び除湿チャンバ404内の吸湿剤を乾燥させてそれに収集された水分を解放することにより、他方の収集アセンブリ412又は410が再生される。
【0026】
装置400は、コンデンサグリッド402を通る大気の流れを生成するために配置された複数の空気移動装置416を含む。この例示的実施形態では、空気移動装置416は、ファンアセンブリである。幾つかの実施形態では、空気移動装置416は、工業グレードの直接駆動式二倍幅両吸込ファンであり、装置400の外側から空気を吸い込む後傾したファンブレードを有している。この例示的な実施形態では、装置400はエアフィルタアセンブリ418を含む。エアフィルタアセンブリ418は、空気移動装置416によって装置400に吸入された外部の大気を濾過するために配置された一又は複数のフィルタを含んでいる。
【0027】
この例示的実施形態では、コンデンサグリッド402は、コンデンサグリッド402の表面温度を露点未満に低下させるための低温窒素を含む層流熱交換機を使用して、空気中の水分含有量を低減するコンデンサ又は冷却乾燥機を含んでいる。自由空気に含まれる水分は熱交換器上で凝結し、二次産物として収集される。幾つかの実施形態では、コンデンサグリッド402は空気中の水分含有量を90%低下させる。
【0028】
コントローラ420は、コンデンサ402から出力された空気を、収集と再生の周期に基づいて収集アセンブリ410及び412に方向付ける。各収集アセンブリ410及び412の除湿チャンバ404は、コンデンサ402から到来する空気中に残った水分のほぼすべてを除去する。水分は、収集フェーズの間に除湿チャンバ404内の吸湿剤によって捕獲され、動作サイクルの再生フェーズの間に解放される。各除湿チャンバ404は、再生のために、独立に、且つ周期的にシールされる。除湿チャンバ404の再生は、真空ポンプ及び低温冷却ポンプといった他の作業による残留真空及び残留熱を利用する。この例示的実施形態では、水分を捕獲するデシカント材は分子ふるい材料である。幾つかの実施形態では、分子ふるい材料は、アルカリ金属アルミノシリケート構造を有し、その有効孔開口は3オングストロームである。
【0029】
各接触器チャンバ406は、除湿チャンバ404から接触器チャンバ406に流入した乾燥空気中のCO を吸収する材料を収容している。この例示的実施形態では、この材料は分子ふるい材料である。幾つかの実施形態では、この材料は、10オングストロームの有効孔開口サイズを有するゼオライト13X分子ふるい材料である。CO が接触器チャンバ406内の材料に吸収された後、CO の再生フェーズが開始される。接触器チャンバ406は、シャッタードア414を閉鎖することにより、コンデンサ402からの空気流から実質的にシールされる。第1の収集アセンブリ410及び第2の収集アセンブリ412の接触器チャンバ406同士を接続するバルブ(図示しない)が開放されると、両接触器チャンバ406が接続される。一方の収集アセンブリ410又は412がサイクルの収集フェーズにあるとき、他方の収集アセンブリ412又は410は、サイクルの再生フェーズ中にあるか、又は再生フェーズ終了直後である。再生フェーズにある収集アセンブリ410又は412の接触器チャンバ406は、収集フェーズを開始する準備を整えており、低圧状態にある。2つの接触器チャンバ406を接続するバルブが解放されてそれらのチャンバが連結されたら、両接触器チャンバ406内の圧力が等しくなる。幾つかの実施形態では、圧力は大気圧の約半分で均一化する。真空ポンプ422は、真空チャンバ408を介して接触器チャンバ406からチャンバ空気を抽出し、装置4000外部へ排気する。真空ポンプ422は、接触器チャンバ406内の圧力をさらに低下させ、圧力が十分に低下すると吸湿剤が真空チャンバ408にCO を解放する。
【0030】
真空チャンバ408は、接触器チャンバ406からCO ガスを抽出し、低温壁表面を使用してCO を固体として捕獲する。この例示的実施形態では、真空チャンバはコールドフィンガ424を含む。圧縮機426は、コールドフィンガ424内を通過する冷却剤を圧縮する。この例示的実施形態では、冷却剤は液体窒素を含む。液体窒素は、コールドフィンガ424の温度を華氏−150度未満まで低下させる。冷却剤は、コールドフィンガ424を通過すると、コンデンサ402を通って圧縮機426に戻る。コールドフィンガ424の表面は、真空チャンバ408内でCO が気相状態から固相状態に転移するのに十分な温度まで冷却される。気相のCO から固相のCO への転移により、真空チャンバ408内の圧力はさらに低下し、これにより接触器チャンバ406からさらに多くのCO が抽出される。CO の殆どが接触器チャンバ406から排出されたら、2つの接触器チャンバ406間のバルブは閉鎖される。
【0031】
真空チャンバ408から固相のCO を抽出するために、真空チャンバ408を接触器チャンバ406からシールし、コールドフィンガ424の冷却を停止し、固相のCO が気相状態に転移するまで真空チャンバ408を加熱する。この例示的実施形態では、真空チャンバ408の加熱は、真空チャンバ4808内で抵抗加熱器を使用して行われる。他の実施形態では、真空チャンバ408を制御下で加熱できる他の加熱装置を使用してもよい。固相から気相への転移により、真空チャンバ408内の圧力が上昇する。外部圧縮機428に通じるバルブ(図示しない)が開放されて、外部圧縮機428により気相のCO が外部の蓄積設備又はパイプライン(いずれも図示しない)に抽出される。
【0032】
各除湿チャンバ404内の吸湿剤は、接触器406の材料の再生の間に乾燥させる。除湿チャンバ404は、コンデンサ402から到来した空気でほぼ飽和した後、シャッター414を使用してシールされる。除湿チャンバ404とコンデンサチャンバ430との間のバルブ(図示しない)を開放する。真空ポンプ422を凝結チャンバ430に適用することにより、除湿チャンバ404内のデシカント材から水分を抜き、コンデンサチャンバ430に移す。吸湿材が乾燥したら、バルブを閉めて別のバルブ(図示しない)を開放し、コンデンサチャンバ430から水分を抜いて、コンデンサ402からの水分と同じ貯蔵器にその水分を送る。その結果、コンデンサ402及びデシカント材404の両方から水分が収集される。
【0033】
システムコントローラ420は、システムの動作パラメータと、大気の温度、圧力、及び湿度といった環境パラメータとを監視する。システムコントローラ420は、この情報を使用して、収集サイクルの時間とコンデンサ402を通る冷却剤の流れを制御する。システムコントローラ420は、アクチュエータを作動させて、装置400を操作するためのゲート及びバルブを作動させる。幾つかの実施形態では、システムコントローラ420は、始動時に詳細なシステム動作テストを実行する組み込み試験(BIT)ルーチンを含む。幾つかの実施形態では、システムコントローラ420は、継続的にシステムの動作を監視し、ユーザに対し、表示パネル(図示しない)上に現在の状況を表示する。幾つかの実施形態では、装置400の故障は、視覚及び音響による警報によりシステムコントローラ420によって警告される。幾つかの実施形態では、故障が発生すると、システムコントローラ420は自動的に装置400の一部又は全部を停止させることができる。
【0034】
一実施例では、装置400は、約40フィート×50フィートの土地専有面積を有する一階建て建造物内において実施される。この実施例の実装において、装置400は、全部で約500万立方フィート/分の気流を生成する20個のファン416を有している。このような実装態様は、一日当たり、100トン以上のCO を収集する。収集されるCO 、100トンにつき、この実装態様は、発電所給電装置400により生成されるCO を構成していた大気から約60〜70トンのCO を除去する。
【0035】
まとめとして、図5のフロー図を参照する。図5では、二酸化炭素収集装置(例えば装置400)の1つのチャネルの動作は、ファンが水コンデンサに空気を吹き込むことにより開始される。低温冷却剤がコンデンサを通過して流れることにより、空気中の水分が凝結する。ゲートは開放された接触器のチャネルに空気を送り、この空気は開放チャネル内の分子ふるい吸湿剤に入る。この空気は、この段階で乾燥しており、13X分子ふるいにより収集されたCO を含む開放された接触器チャンバ内に進入する。乾燥空気は開放された接触器チャンバを通過する。十分な二酸化炭素が収集された後、接触器チャンバ及び除湿チャンバを到来する気流からシールする。除湿チャンバを真空引きし、収集された水分を貯蔵器に送り、除湿チャンバ内の吸湿剤を乾燥させる。その間、真空ポンプにより接触器チャンバ内に部分的真空を形成し、コレクタチャンバから抽出された空気を外部に排出する。外部への空気口を閉じ、収集チャンバ内を真空にすることにより、収集されたCO を分子ふるいから解放して真空チャンバ内に収集する。CO は、真空チャンバ内でコールドフィンガ上に凝結する。低温冷却剤を使用して、コールドフィンガを華氏約−109度に冷却する。低温冷却剤は、コールドフィンガ内を循環し、次いで上記のコンデンサに送られる。ほぼすべてのCO が接触器チャンバから抽出されたら、真空チャンバから接触器チャンバをシールし、真空チャンバを加熱する。固相のCO が気相に移転し、貯蔵タンクに送られる。上述のように、装置400は、2つのチャネル、又は経路を有し、それらは交互に並行なサイクルを実行する。このようにして、収集されたCO を抽出するために一方のチャネルがシールされているとき、他方のチャネルが開放されて、ファンが送り込む空気を受け取り、CO を収集する。
【0036】
ここに記載されるシステム及び方法は、所望のCO の捕獲を行うために拡張又は縮小することができる。例えば、ファンの数を減らすか、又はファンを小型化するなどしてシステムへの気流を減少させることにより、1日あたりのCO 収集量を低減し、システムを小型化することができる。同様に、空気移動装置の数を増加させること、空気の流れを増大させるファンを使用することなどにより、システムを大型化して1日のCO 収集量を増大させることができる。さらに、3つ以上の収集アセンブリを使用してもよい。例えば、システムは、対となって周期的に動作する4つの収集アセンブリを含むことができる(例えば、2つの収集アセンブリが収集を行い、2つの収集アセンブリが再生を行う)。
【0037】
幾つかの実施形態では、ここに記載される本システムと方法は、収集されたCO が使用される場所で、又はそのような場所の近くで実施されうる。例えば、収集されたCO がEORに使用される場合、システムはEORが行われる油田において実装される。さらに、例示的なシステムを既存のパイプラインに又はパイプラインの近くで実装することにより、輸送及び/又はパイプラインのコストを低減することができる。
【0038】
このように、例示的実施形態により、幾つかの既知のCO 収集方法より多量のCO を生産することができる。さらに、記載される実施形態は、幾つかの既知の方法を実行可能な環境より大気中含まれる水分量が多い環境において、CO の収集を行うことができる。さらに、記載される実施形態は、CO 収集の副産物として水を提供し、CO の収集プロセスにおいて実施形態が生成するより多くのCO を環境から除去する。したがって、本発明の実施形態は、安価で環境にやさしい大気中のCO 収集を行うことができる。
【0039】
本明細書では、ベストモードを含む様々な実施形態を開示する実施例を使用しているため、当業者は任意の機器やシステムの作成ならびに使用、及び組込まれた任意の方法の実施を含め、実施形態を実行することができる。特許可能な範囲は特許請求の範囲によって定義されており、当業者であれば想起される他の実施例も含みうる。このような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文字言語から逸脱しない構造要素を有する場合、あるいは、それらが特許請求の範囲の文字言語との有意でない相違を有する等価な構造要素を含んでいる場合は、特許請求の範囲の範囲内にあることを意図している。
【0040】
本出願により、以下の実施形態が開示される。
【0041】
A10.二酸化炭素収集装置であって、
前記装置に流入する大気の流れを生成するように構成された複数の空気移動装置(416)と、
大気の流れに含まれる水分を除去するためのコンデンサ(202)と、
大気の流れからさらに水分を除去してほぼ乾燥した空気を生成するための吸湿剤と、
ほぼ乾燥した空気から内部の材料に二酸化炭素を吸収するための接触器チャンバ(306)と、
前記接触器チャンバから吸収された二酸化炭素を抜き取り、この抜き取った二酸化炭素を気相から固相に転移させる真空チャンバ(208)と
を含んでいる。
【0042】
A11.前記接触器チャンバ(306)内の材料が分子ふるい材である、実施形態A10に記載の装置。
【0043】
A12.前記真空チャンバがコールドフィンガ(424)を含み、このコールドフィンガが、抜き取った二酸化炭素を気相から固相に転移させるのに十分に低い温度まで冷却され、固相の二酸化炭素がコールドフィンガ上で収集される、実施形態10に記載の装置。
【0044】
A13.コールドフィンガは、コールドフィンガ(424)に冷却剤を流すことにより冷却され、冷却剤は、コールドフィンガ(424)を通過した後前記コンデンサ(202)に送られる、実施形態A12に記載の装置。
【0045】
前記真空チャンバが、さらに、液体の二酸化炭素が気相に転移するのに十分な温度まで前記真空チャンバを加熱するためのヒータを含んでいる、実施形態A12に記載の装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素の収集方法(100、200、300、400)であって、
コンデンサ(102、202)とデシカント材(404)とを用いて大気中の水分を除去し、乾燥空気を生成すること、
乾燥空気中の二酸化炭素を材料中に吸収させること(104)、
吸収された二酸化炭素を真空チャンバに解放すること(106)、及び
真空チャンバ内において、解放された二酸化炭素を気相から固相に転移させること(108)
を含む方法。
【請求項2】
前記大気中の水分を除去することが、大気の流れを、コンデンサ(202)とデシカント材を収容するデシカントチャンバ(204)とに通すことにより、大気中の水分を除去して乾燥空気を生成することである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記二酸化炭素を吸収させることが、乾燥空気を、チャンバ(306)内の分子ふるい材料を通るように方向付けることである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記吸収された二酸化炭素を解放することが、チャンバを実質的にシールして、吸収された二酸化炭素を分子ふるい材料が真空チャンバ(208)に解放するために十分な真空をチャンバ内に形成することである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記解放された二酸化炭素を転移させることが、真空チャンバ(408、208)内部の表面(424)を、真空チャンバ(106、408)内において解放された二酸化炭素が表面上で凝結するのに十分な低温となるまで冷却することである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
真空チャンバ(408)を実質的にシールすることにより、真空チャンバ内の二酸化炭素を固相から気相に転移させること、表面の冷却を終了すること、及び真空チャンバの内部を加熱することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記解放された二酸化炭素を転移させることが、冷却剤を用いて真空チャンバ内の表面を冷却することである、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
コンデンサを通るように真空チャンバからの冷却剤を方向付けることをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
コンデンサとデシカント材とを用いて大気中から除去された水分を収集することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
二酸化炭素収集装置(400)であって、
前記装置に流入する大気の流れを生成するように構成された複数の空気移動装置(416)と、
大気の流れに含まれる水分を除去するためのコンデンサ(202)と、
前記コンデンサからの空気の流れに含まれる二酸化炭素を抽出するように構成された第1の収集アセンブリ(310)と、
前記コンデンサ(202)からの空気の流れに含まれる二酸化炭素を抽出するように構成された第2の収集アセンブリ(312)と、
前記コンデンサ(202、402)からの空気の流れを、前記第1の収集アセンブリ(310)及び前記第2の収集アセンブリに交互に方向付けるように構成されたコントローラ(314)と
を備えている装置。
【請求項11】
前記第1の収集アセンブリ及び前記第2の収集アセンブリ(312)の各々が、
コンデンサ(402、202)からの空気の流れからさらに水分を除去してほぼ乾燥した空気を生成するための除湿チャンバ(404)と、
内部に収容する材料に、乾燥空気に含まれる二酸化炭素を吸収させる接触器チャンバ(306)と
を含んでいる、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の収集アセンブリ(310)と前記第2の収集アセンブリ(312)とに連結された真空チャンバ(202、408)であって、
吸収された二酸化炭素を、前記第1の収集アセンブリ及び前記第2の収集アセンブリの接触器チャンバから抜き取り、
抜き取った二酸化炭素を気相から固相に転移させる
ように構成された真空チャンバ(202、408)をさらに備えている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記コントローラが、前記第1の収集アセンブリ(310)及び前記第2の収集アセンブリ(312)のうちの一方を収集フェーズにおいて動作させ、その間に前記第1の収集アセンブリ(310)及び前記第2の収集アセンブリ(312)のうちの他方を再生フェーズにおいて動作せるように構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記コントローラ(314)が、収集フェーズにある前記第1の収集アセンブリ又は前記第2の収集アセンブリ内の接触器チャンバを、再生フェーズにある前記第1の収集アセンブリ(310)又は前記第2の収集アセンブリ(312)内の接触器チャンバに連結することにより、両接触器チャンバ(306)内の圧力が実質的に均一化される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
さらに水分チャンバ(430)を備えており、前記コントローラが、前記除湿チャンバ(404)及び前記コンデンサを用いて空気中の水分を前記水分チャンバに抽出するように構成されている、請求項10に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−56329(P2013−56329A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−187662(P2012−187662)
【出願日】平成24年8月28日(2012.8.28)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】