説明

FPDモジュール組立装置及び表示基板の搬送方法

【課題】表示基板に設けられたアライメントマークを撮像範囲の適正位置に出現させて、表示基板の搬送を安定化させることができるFPDモジュール組立装置および表示基板の搬送方法を提供する。
【解決手段】FPDモジュール組立装置は、複数の処理ユニットと、搬送部と、カメラと、制御部とを備えている。制御部は、表示基板の生産ロットが変更されると、カメラによって撮像されたアライメントマークの座標を検出し、検出回数が所定の回数になると、検出した複数の座標の平均及び標準偏差σを算出する。そして、複数の座標から−1.5σ<P<1.5σを満たす座標を抽出し、抽出した座標の平均に基づいて搬送部による表示基板の受取位置を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイ(FPD:Flat Panel Display)の表示基板に電子部品(搭載部品)を実装するFPDモジュール組立装置及び表示基板の搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
FPDとしては、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイなどがある。このFPDにおける表示基板の周縁部には、駆動ICの搭載や、COF(Chip on Film)、FPC(Flexible Printed Circuit)などのTAB(Tape Automated Bonding)接続が行われる。また、表示基板の周辺には、例えば、PCB(Printed Circuit Board)などの周辺基板が実装される。その結果、FPDモジュールが組み立てられる。
【0003】
FPDモジュール組立装置は、複数の処理作業工程を順次行なうことで、FPDの表示基板における周縁部および周辺に、駆動IC、COFおよびPCBなどの搭載部材を実装し、FPDモジュールを組み立てるライン装置である。
【0004】
ここで、本発明で搭載部材と称す電子部品は、その詳細形状や部材の厚さの差異などで、COFと呼称されたり、TCP(Tape Carrier Package)と呼称されたりする。これらCOFやTCPは、スプロケット穴を有する長尺のポリイミドフィルムに配線を施したFPCに、ICチップを搭載し、これを切り出して構成されたものであり、実装する上での差異はない。また、パネルの設計によってはICチップなしのFPCのみを実装する場合もある。FPDモジュールの実装組立工程においては、これらの部品に実質上の差異はないため、本発明では搭載部材と呼称する。
【0005】
FPDモジュール組立装置における処理工程の一例としては、(1)表示基板端部の搭載部材貼付け部を清掃する端子クリーニング工程と、(2)清掃後の表示基板端部に異方性導電フィルム(ACF:AnisotropicConductive Film)を貼り付けるACF貼付工程がある。また、(3)表示基板のACFを貼り付けた位置に、搭載部材を位置決めして搭載する搭載工程と、(4)搭載部材を加熱圧着してACFにより固定する圧着工程がある。さらに、(5)搭載部材の表示基板側とは反対側に、予めACFを貼り付けたPCB基板を貼付け搭載するPCB接続工程がある。なお、PCB工程は、複数の工程からなっている。
【0006】
ACFは、接合する部材のどちらか一方に予め貼り付けられていればよい。つまり、上記ACF工程の別な例では、ACFを搭載部材に予め貼り付ける。また、FPDモジュール組立装置には、処理する基板の辺の数、搭載部材の数、各処理装置の数などに応じて、基板を回転する処理装置などが必要となる。
【0007】
このような一連の工程を経ることによって、表示基板上の電極と搭載部材に設けた電極との間を熱圧着し、ACF内部の導電性粒子を介して両電極の電気的な接続が行われる。なお、圧着工程を終えると、ACF基材樹脂が硬化するため、両電極の電気的な接続と同時に、表示基板と搭載部材が機械的にも接続される。
【0008】
FPDモジュール組立装置では、一般的に、表示基板に設けられたアライメントマークを用いて各工程における表示基板の位置決めが行われる。この位置決めでは、まず、表示基板に設けられたアライメントマークをカメラで撮像して、アライメントマークの位置ずれ検出を行う。次に、検出結果に基づいて表示基板の位置を調整して、表示基板の位置決めを行う。
【0009】
アライメントマークを用いた位置合わせが行われるFPDモジュール組立装置は、例えば、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されたFPDモジュール組立装置では、圧着後の表示基板のアライメントマークと搭載部材のアウターリードのアライメントマークとの位置ずれ量を検出する。そして、圧着後の位置ずれ量の平均値を、圧着前の位置合わせのためのオフセット量として用いている。
【0010】
また、特許文献2に記載されたFPDモジュール組立装置では、圧着後の表示基板のアライメントマークと搭載部材のアウターリードのアライメントマークとの位置ずれ量を検出する。そして、圧着後の位置ずれ量の過去n回分の平均値を取得し、平均値に係数K(K≦0.6)を乗じた値を、圧着前の位置合わせのための負帰還量として用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平7−160430号公報
【特許文献2】特開2010−256669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、表示基板の生産ロットが異なるなどにより、設計上のアライメントマークの位置と、実際に設けられたアライメントマークの位置がずれることがある。実際に設けられたアライメントマークの位置がずれると、撮像範囲の適正位置(例えば、撮像範囲の中央部)からアライメントマークがずれてしまう。そのため、搬送のバラツキ量が大きければ、アライメントマークが撮像範囲から外れてしまい、位置決めを行うことができない表示基板が発生してしまう。
【0013】
そこで、特許文献1及び2に開示された技術のように、常にアライメントマークの位置ずれを監視して過去数回分の位置ずれ量の平均を算出し、その算出結果に基づいて表示基板の搬送を毎回補正することが考えられる。しかし、常に過去数回分の位置ずれ量の平均を算出して表示基板の搬送を補正すると、位置ずれ量が大幅に異なるものがあったときに、位置ずれ量の平均がそれまでよりも大きく変化してしまう。その結果、位置ずれ量の平均に基づいて表示基板の搬送を毎回補正しても、撮像範囲の適正位置からずれてしまうことが考えられる。
【0014】
本発明の目的は、上記従来技術における実情を考慮し、表示基板に設けられたアライメントマークを撮像範囲の適正位置に出現させて、表示基板の搬送を安定化させることができるFPDモジュール組立装置および表示基板の搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明のFPDモジュール組立装置は、複数の処理ユニットと、搬送部と、カメラと、制御部とを備える。
複数の処理ユニットは、表示基板に対して搭載部品を実装するためのそれぞれの処理を行う。
搬送部は、複数の処理ユニット間における表示基板の搬送を行う。
カメラは、搬送部により搬送された表示基板に設けられたアライメントマークを撮像する。
制御部は、カメラによって撮像されたアライメントマークから表示基板の位置ずれ量を演算し、その演算結果に基づいて搬送部の駆動を制御して表示基板を搬送位置に配置させる。
また、制御部は、表示基板の生産ロットが変更されると、カメラによって撮像されたアライメントマークの座標を検出し、検出回数が所定の回数になると、検出した複数の座標の平均及び標準偏差σを算出する。そして、複数の座標から−mσ<P<mσを満たす座標を抽出し、抽出した座標の平均に基づいて搬送部による表示基板の受取位置を補正する。
【0016】
また、本発明の表示基板の搬送方法は、まず、カメラが配置された撮像位置まで表示基板を搬送部により搬送する。
次に、表示基板に設けられたアライメントマークをカメラによって撮像する。
そして、カメラによって撮像されたアライメントマークの座標を所定の回数に達するまで検出する。
次に、検出した複数の座標の平均及び標準偏差σを算出する。
続いて、複数の座標から−mσ<P<mσを満たす座標を抽出して、抽出した座標の平均を算出する。
その後、抽出した座標の平均に基づいて搬送部による表示基板の受取位置を補正する。
【0017】
本発明のFPDモジュール組立装置では、表示基板の生産ロットが変更されたときに、搬送部による表示基板の受取位置を補正するための補正値(−mσ<P<mσを満たす座標の平均)を算出する。これは、生産ロットが変更されたときに、アライメントマークの位置がそれまでのアライメントマークのバラツキよりも大きくずれ易いためである。
【0018】
本発明のFPDモジュール組立装置では、生産ロットが変更されると、表示基板の設計データにおけるアライメントマークの位置に基づいて搬送部を制御し、搬送部による搬送の途中で表示基板に設けられたアライメントマークを撮像する。このとき、撮像範囲におけるアライメントマークの座標(例えば、X,Y,θ)を検出し、表示基板の位置ずれ量を演算する。そして、表示基板の位置ずれ量に基づいて搬送部を駆動制御して表示基板の位置決めを行う。さらに、検出したアライメントマークの座標を記憶しておく。
【0019】
生産ロットが変更されてから所定の枚数の表示基板が搬送されると、所定回数(複数)の座標が検出され、記憶される。そして、検出した複数の座標の平均及び標準偏差σを算出する。次に、検出した複数の座標から−mσ<P<mσを満たす座標を抽出する。これにより、検出した座標のうち値が大幅に異なるものを省くことができる。
【0020】
続いて、抽出した座標の平均を算出し、この算出結果に基づいて搬送部による表示基板の受取位置を補正する。これにより、その後に検出するアライメントマークを撮像範囲の最適位置(例えば、中央部)に出現させることができる。また、抽出した座標の平均は、値が大幅に異なる座標を省いて算出されているため、撮像範囲の最適位置(例えば、中央部)に対するアライメントマークのバラツキを抑制することができる
【0021】
その結果、生産ロットの変更により設計データ上のアライメントマークの位置に対して実際の表示基板に設けられているアライメントマークの位置がずれていても、アライメントマークが撮像範囲から外れないようにすることができる。
【発明の効果】
【0022】
上記構成のFPDモジュール組立装置及び表示基板の搬送方法によれば、表示基板に設けられたアライメントマークを撮像範囲の適正位置に出現させて、表示基板の搬送を安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明で実装組立を行うFPDモジュールの概略構成を示す平面図である。
【図2】本発明のFPDモジュール組立装置の一実施形態の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明のFPDモジュール組立装置の一実施形態に係るコンピュータ装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明のFPDモジュール組立装置の一実施形態における表示基板のロット変更が生じた場合の処理例を示すフローチャートである。
【図5】本発明のFPDモジュール組立装置の一実施形態における搬送部の受取位置を補正するための補正値の算出を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、FPD(フラットパネルディスプレイ)モジュールの組立装置を実施するための形態について、図1〜図5を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0025】
[FPDモジュール]
まず、FPDモジュールについて、図1を参照して説明する。
図1は、本発明のFPDモジュール組立装置で実装組立されるFPDモジュールの概略構成を示す平面図である。
【0026】
図1に示すように、FPDモジュール100は、表示基板101の周縁部に複数の搭載部材102をACF接合により接続するとともに、一部の搭載部材102にPCB106をACF接続して構成されている。表示基板101の一方の長辺における両端部には、それぞれアライメントマーク101aが設けられている。このアライメントマーク101aは、表示基板101を位置決めする際に用いられる。
【0027】
搭載部材102は、扁平な長方形のポリイミドフィルムに銅箔による印刷回路(不図示)を施したFPC(Flexible Printed Circuit)104に、ICチップ105を搭載して構成される電子部品である。ICチップ105は、FPC104の略中央に実装されている。FPC104の下面には、印刷回路が設けられていると共に、長手方向の両側(2つの長辺)にアウターリード端子(不図示)が設けられている。
【0028】
搭載部材102の品種によっては、ICチップ105が下面側にある場合(COFタイプ)や、ICチップがない場合(FPCタイプ)などもある。図1には、例としてICチップ105をFPC104の穴にはめ込んだ形式(TABタイプ)が示されている。また、搭載部材102やPCB106は、接続部位により回路的には相互に差異があるが、搭載実装の説明には区別する必要がないので、同じものとして図示している。
【0029】
[FPDモジュール組立装置]
次に、本発明のFPDモジュール組立装置の第1の実施の形態について、図2を参照して説明する。
図2は、FPDモジュール組立装置の第1の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0030】
図2に示すように、FPDモジュール組立装置1は、FPDモジュール生産管理部2と、FPDモジュール組立ライン3と、FPDモジュール生産管理部2とFPDモジュール組立ライン3をネットワーク接続した装置内LAN4を備える。
【0031】
FPDモジュール生産管理部2は、FPDモジュール組立ライン3によってFPDモジュールを製造する工程を管理する。
FPDモジュール組立ライン3は、端子クリーニングユニット10、ACF貼付ユニット20、部品搭載(仮圧着)ユニット30、本圧着ユニット40及びPCB接続ユニット50を備えている。
【0032】
端子クリーニングユニット10は、供給された表示基板101(図1参照)の端子部分を清掃する端子クリーニング工程を行う。この端子クリーニングユニット10は、クリーニング処理部11と、搬送部12と、コンピュータ装置13を備えている。
【0033】
クリーニング処理部11は、表示基板101を保持する保持台と、表示基板101の端子部分を清掃する端子クリーナヘッドと、端子クリーナヘッドを移動可能に支持するレールとを有している。
搬送部12は、表示基板101を供給する表示基板供給部(不図示)から表示基板101を受け取って、クリーニング処理部11の保持台へ搬送する。
【0034】
コンピュータ装置13は、装置内LAN4により、FPDモジュール生産管理部2及び各ユニット20,30,40,50の後述するコンピュータ装置23,33,43,53とネットワーク接続されている。このコンピュータ装置13は、クリーニング処理部11と搬送部12の駆動を制御する。
【0035】
ACF貼付ユニット20は、表示基板101に長辺側及び短辺側にACFを貼り付けるACF貼付工程を行う。このACF貼付ユニット20は、ACF貼付処理部21と、搬送部22と、コンピュータ装置23を備えている。
【0036】
ACF貼付処理部21は、表示基板101を保持する保持台と、表示基板101の長辺側及び短辺側にACFを貼り付けるACF貼付ヘッドと、ACF貼付ヘッドを移動可能に支持するレールとを有している。
搬送部22は、端子クリーニングユニット10の保持台から表示基板101を受け取って、ACF貼付処理部21の保持台へ搬送する。
【0037】
コンピュータ装置23は、装置内LAN4により、FPDモジュール生産管理部2及び各ユニット10,30,40,50のコンピュータ装置13,33,43,53とネットワーク接続されている。このコンピュータ装置23は、ACF貼付処理部21と搬送部22の駆動を制御する。
【0038】
部品搭載(仮圧着)ユニット30は、表示基板101における長辺側及び短辺側のACF貼付部分に搭載部材102(図1参照)を搭載する搭載工程を行う。この部品搭載ユニット30は、搭載処理部31と、搬送部32と、コンピュータ装置33を備えている。
【0039】
搭載処理部31は、表示基板101を保持する保持台と、表示基板101に搭載部材102をACFによって仮圧着する搭載ヘッドと、搭載ヘッドを移動可能に支持するレールとを有している。
搬送部32は、ACF貼付ユニット20の保持台から表示基板101を受け取って、搭載処理部31の保持台へ搬送する。
【0040】
コンピュータ装置33は、装置内LAN4により、FPDモジュール生産管理部2及び各ユニット10,20,40,50のコンピュータ装置13,23,43,53とネットワーク接続されている。このコンピュータ装置33は、搭載処理部31と搬送部32の駆動を制御する。
【0041】
本圧着ユニット40は、搭載部材102を加熱及び加圧してACFにより固定する圧着工程を行う。この本圧着ユニット40は、本圧着処理部41と、搬送部42と、コンピュータ装置43を備えている。
【0042】
本圧着処理部41は、表示基板101を保持する保持台と、表示基板101と搭載部材102を挟んで加熱及び加圧する圧着ヘッドを有している。
搬送部42は、部品搭載ユニット30の保持台から表示基板101を受け取って、本圧着処理部41の保持台へ搬送する。
【0043】
コンピュータ装置43は、装置内LAN4により、FPDモジュール生産管理部2及び各ユニット10,20,30,50のコンピュータ装置13,23,33,53とネットワーク接続されている。このコンピュータ装置43は、本圧着処理部41と搬送部42の駆動を制御する。
【0044】
PCB接続ユニット50は、表示基板101の長辺に接続された搭載部材102にPCB基板を接続するPCB接続工程を行う。このPCB接続ユニット50は、PCB接続処理部51と、搬送部52と、コンピュータ装置53を備えている。
【0045】
PCB接続処理部51は、表示基板101を保持する保持台と、PCB供給装置と、ACF貼付装置と、移送装置と、圧着装置を有している。
PCB供給装置は、PCB基板供給部(不図示)に保管されたPCB基板を1枚ずつ取り出してACF貼付装置に供給する。ACF貼付装置は、PCB供給装置から供給されたPCB基板にACFを貼り付ける。移送装置は、ACFの貼り付けが終了したPCB基板を圧着装置に搬送する。そして、圧着装置は、PCB基板を加圧加熱して搭載部材102に接続する。
【0046】
搬送部52は、本圧着ユニット40の保持台から表示基板101を受け取って、PCB接続処理部51の保持台へ搬送する。
コンピュータ装置53は、装置内LAN4により、FPDモジュール生産管理部2及び各ユニット10,20,30,40のコンピュータ装置13,23,33,43とネットワーク接続されている。このコンピュータ装置53は、PCB接続処理部51と搬送部52の駆動を制御する。
【0047】
各ユニット10,20,30,40,50のコンピュータ装置13,23,33,43,53は、カメラ(不図示)により表示基板101を撮像して得た画像データからアライメントマーク101aを抽出する。そして、アライメントマーク101aの位置ずれ量に基づいて搬送部を駆動させることで、表示基板101を保持台上の処理位置(搬送位置)に配置させる。
【0048】
[ACF貼付ユニットに用いられるコンピュータ装置の構成]
次に、ACF貼付ユニット20のコンピュータ装置23について、図3を参照して説明する。
図3は、コンピュータ装置23の構成例を示すブロック図である。
【0049】
図3に示すように、ACF貼付ユニット20には、カメラ61が設けられている。カメラ61は、表示基板101におけるアライメントマーク101aが設けられた部分の像光を取り込むレンズ62と、レンズ62で取り込んだ像光を電気信号に変換する撮像部63を備える。
【0050】
コンピュータ装置23は、通信部231と、画像処理部232と、制御部233と、メモリ234を備える。
通信部231は、装置内LAN4との通信インタフェースとして用いられる。画像処理部232は、カメラ61の撮像部63から供給される電気信号(アナログ画像信号)をアナログ/デジタル変換してデジタル画像信号を生成し、制御部233へ出力する。
【0051】
制御部233は、通信部231及び装置内LAN4を経由してFPDモジュール生産管理部2(図2参照)に電気的に接続されている。この制御部233は、表示基板101に設けられたアライメントマーク101aの画像データを、FPDモジュール生産管理部2(図2参照)からダウンロードする。また、ACF貼付処理部21によるACF貼付工程を終えた表示基板101に関するデータをFPDモジュール生産管理部2にアップロードする。
【0052】
また、制御部233は、画像処理部232から供給されるデジタル画像信号より、アライメントマーク101aを抽出し、事前に記憶したアライメントマークと比較する。そして、比較結果に基づいて位置ずれ検出を行い、その検出結果に基づいて搬送部22を駆動させ、表示基板101を保持台上の処理位置に位置決めする。
【0053】
本実施の形態では、予め定められた正確な処理位置(基本処理位置)から所定の範囲内を処理位置として許容する。つまり、表示基板101は、基本処理位置に対する所定の許容範囲内に配置される。
【0054】
メモリ234には、制御部233から出力されるデータや、ACF貼付処理部21を駆動させるためのソフトウェアを構成するプログラム等が記録される。
【0055】
また、コンピュータ装置23には、入力部65と、表示部66が接続されている。
入力部65は、例えば、表示基板の生産ロットが変更された場合に行うアライメントマーク101aの座標検出の回数や、検出した複数の座標から特定の座標のみを抽出するための閾値等を入力する場合に用いられる。
【0056】
表示基板101の生産ロットが変わると、表示基板101に実際に設けられたアライメントマーク101aの位置が、設計上のアライメントマークの位置に対してずれることがある。この場合に、設計上のアライメントマークの位置に基づいて表示基板101を搬送すると、実際のアライメントマーク101aがカメラ61の撮像範囲から外れてしまうことがある。
【0057】
そのため、本実施の形態のFPDモジュール組立装置1では、表示基板101の生産ロットが変わった場合に、カメラ61でアライメントマーク101aを撮像した際のアライメントマーク101aの座標を検出し収集する。そして、収集した座標に基づいて搬送部22による表示基板101の受取位置を補正する。検出する座標は、例えば、撮像範囲の中央を原点とし、X,Y,θで表される。
【0058】
表示部66には、例えば、カメラ61によって撮像されたアライメントマーク101a、座標検出の回数や閾値等の各種パラメータを入力するための入力画面が表示される。
【0059】
以上説明したコンピュータ装置23、カメラ61、入力部65及び表示部66の内部構成例は、他のユニット10,30,40,50におけるコンピュータ装置13,33,43,53についても同様である。そのため、コンピュータ装置13,33,43,53について詳細な説明は省略する。
【0060】
[ロット変更した場合の処理]
次に、表示基板101の生産ロット変更が生じた場合の処理例について、図4及び図5を参照して説明する。
図4は、表示基板101の生産ロット変更が生じた場合の処理例を示すフローチャートである。図5は、搬送部の受取位置を補正するための補正値の算出を説明する説明図である。
【0061】
以下、表示基板101の生産ロット変更が生じた場合におけるACF貼付ユニット20の処理を例に挙げて説明する。
図4に示すように、表示基板101の生産ロット変更が生じると、制御部233は、アライメントマーク101aの座標を検出し、メモリ234に収集(格納)する(ステップS1)。この処理で検出された座標は、撮像範囲の中央を原点として、X,Y,θで表される。
【0062】
次に、制御部233は、n回目の座標収集であるか否かを判別する(ステップS2)。
座標収集の回数は、座標検出カウンタ(不図示)により計数される。例えば、表示基板101の生産ロットが変わると、座標検出カウンタにnが格納される。制御部233は、画像処理部232から供給されるデジタル画像信号よりアライメントマーク101aの座標を検出する度に、座標検出カウンタから「1」を減算する。そして、座標検出カウンタが「0」になると、制御部233はn回目の座標収集であると判別する。
【0063】
座標検出の回数nは、同一の生産ロットである表示基板101の枚数に応じて、適宜変更できる。但し、座標検出の回数nは、同一の生産ロットである表示基板101の枚数よりも十分に少なくする。例えば、座標検出の回数nは、30回程度の正規分布の検出が行われるように設定することが好ましい。
なお、座標検出の回数nを変更する場合は、入力部65によって行う。
【0064】
ステップS2の処理において、n回目の座標収集ではない(NO)と判別したとき、制御部233は、表示基板101の位置決めを行う(ステップS3)。
つまり、制御部233は、デジタル画像信号として得たアライメントマーク101aと事前に記憶したアライメントマークとを比較し、比較結果に基づいて表示基板101の位置ずれ検出を行う。そして、検出した位置ずれに基づいて搬送部22を駆動させ、表示基板101を保持台上の処理位置に位置決めする。
【0065】
次に、制御部233は、ACF貼付処理部21(図3参照)を駆動制御して、ACF貼付工程を行う(ステップS4)。
ステップS4の処理が終了すると、ACFが貼り付けられた表示基板101は、搬送部32(図2参照)によって部品搭載ユニット30へ搬送される。また、搬送部22は、端子クリーニングユニット10から受け取った表示基板101を、ACF貼付ユニット20へ搬送する。そして、制御部233は、処理をステップS1へ戻す。つまり、制御部233は、n−1枚の表示基板101にACF貼付工程を行うまで、ステップS1〜S4を繰り返す。
【0066】
なお、アライメントマーク101aが撮像範囲から外れた場合はエラーとなり、そのアライメントマーク101aは、座標検出の対象から除外される。
【0067】
一方、ステップS2の処理において、n回目の座標収集である(YES)と判別したとき、制御部233は、それまでに検出したn個の座標の平均Xa,Ya,θaと、それぞれの標準偏差σ,σ,σθを演算する(ステップS5)。
【0068】
図5Aは、検出したアライメントマーク101aのn回分の座標の例を示す説明図である。図5Bは、検出したアライメントマーク101aのn回分の座標におけるXの分布図例である。
図5Bでは、検出したアライメントマーク101aの座標におけるXの分布図を示しているが、Yおよびθについても同様に算出できる。
【0069】
図5A及び図5Bに示すように、検出した複数のアライメントマーク101aのなかに値が大幅に異なるアライメントマーク101aがある場合は、値が大幅に異なる座標側に平均Xaが寄ってしまう。このような座標の値が大幅に異なるアライメントマーク101aは、出現の頻度が少ない。そのため、補正値として用いる平均は、適当な範囲内におけるバラツキの平均であることが好ましい。
【0070】
しかし、座標の値が大幅に異なるアライメントマーク101aが座標収集中に1回でも出現すると、平均Xaは、適当な範囲内におけるバラツキの平均から少しずれてしまう。そこで、本実施の形態では、次に説明する処理により、適当な範囲内におけるバラツキの平均Xb,Yb,θbを算出する。
【0071】
次に、制御部233は、検出した複数のアライメントマーク101aの中から−1.5σ<P<1.5σを満たす座標を抽出する(ステップS6)。この抽出は、検出した座標のX、Y及びθについてそれぞれ行われる。
【0072】
図5Cは、抽出した複数のアライメントマーク101aの座標におけるXの分布図例である。
図5Cに示すように、−1.5σ<P<1.5σを満たす座標を抽出することにより、座標のXの値が大幅に異なるアライメントマーク101aが省かれる。
【0073】
なお、本実施の形態では、−1.5σ<P<1.5σを満たす座標を抽出するが、本発明に係る座標の抽出の条件は、任意に設定できるものである。したがって、−mσ<P<mσを満たす座標を抽出すればよい。但し、省かれる座標の数が抽出する座標の数よりも多くなるとある程度のバラツキが反映されなくなるため、mは、1.0〜2.0程度が好ましい。
【0074】
続いて、制御部233は、抽出した座標の平均Xb,Yb,θbを演算する(ステップS7)。この平均Xb,Yb,θbは、座標の値が大幅に異なるアライメントマーク101aを省いた後の平均であるため、適当な範囲内におけるバラツキの平均となり、信頼性の高いデータとなる。
【0075】
次に、制御部233は、平均Xb,Yb,θbに基づいて搬送部22による表示基板101の受取位置を補正する(ステップS8)。つまり、搬送部22の受取位置を−Xb,−Yb,−θbずらす。これにより、アライメントマーク101aは、撮像範囲の中央を中心とした適当な範囲内に出現する。その結果、アライメントマーク101aが撮像範囲から外れないようにすることができる。
【0076】
続いて、制御部233は、表示基板101の位置決めを行う(ステップS9)。
つまり、制御部233は、ステップS3の処理と同様に、表示基板101を保持台上の処理位置に位置決めする。
【0077】
その後、制御部233は、ACF貼付処理部21(図3参照)を駆動制御して、ACF貼付工程を行う(ステップS10)。
ステップS10の処理が終了すると、ACFが貼り付けられた表示基板101は、搬送部32(図2参照)によって部品搭載ユニット30へ搬送される。また、受取位置が補正された搬送部22は、端子クリーニングユニット10から受け取った表示基板101を、ACF貼付ユニット20へ搬送する。そして、制御部233は、次に表示基板101の生産ロットが変更されるまで、ステップS9,S10を繰り返す。
【0078】
このように、ACF貼付ユニット20では、表示基板101の生産ロット変更が生じる度に、搬送部22による表示基板101の受取位置を補正する。これにより、表示基板101に設けられたアライメントマーク101aを撮像範囲の略中央部(適正位置)に出現させることができ、表示基板101の搬送を安定化させることができる。また、表示基板101の生産ロット変更が生じる度に、搬送部の調整作業を行う必要がないため、FPDモジュール組立装置1の稼動効率を向上させることができる。
【0079】
なお、上述した説明では、ACF貼付ユニット20における処理を例に挙げたが、その他のユニット10,30,40,50においてもACF貼付ユニット20と同様の処理が行われる。
【0080】
また、上述した実施の形態における一連の処理は、ハードウェアにより実行することができるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種の機能を実行するためのプログラムをインストールしたコンピュータにより、実行可能である。例えば、一連の処理は、汎用のパーソナルコンピュータなどに所望のソフトウェアを構成するプログラムをインストールして実行させればよい。
【0081】
また、上述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体67(図3参照)を、コンピュータ装置に供給してもよい。また、そのコンピュータ装置(またはCPU等の制御部)が記録媒体67に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、機能が実現されることは言うまでもない。
【0082】
この場合のプログラムコードを供給するための記録媒体67としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを挙げることができる。
【0083】
上述した実施の形態では、アライメントマーク101aの座標検出および搬送部22による表示基板101の受取位置の補正を各ユニットの制御部で行う構成とした。しかしながら、本発明に係るアライメントマーク101aの座標検出および搬送部22による表示基板101の受取位置の補正は、例えば、FPDモジュール生産管理部2で行う構成としてもよい。
つまり、FPDモジュール生産管理部2は、本発明に係る制御部を有する構成であってもよい。
【0084】
また、上述した実施の形態では、搬送部が1つ前の工程を行う処理ユニットの処理位置に配置された表示基板101を受け取りに行く構成とした。しかし、表示基板101を受け取る位置は、処理ユニット間に配置された置き台であってもよい。この場合は、処理を終えた表示基板101を置き台へ載置する移送部が設けられる。
また、本発明に係るFPDモジュール組立装置としては、搬送部が1つ後(下流)の工程を行う処理ユニットへ表示基板を搬送する構成にしてもよい。
【0085】
以上、本発明のFPDモジュール組立装置の実施の形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明のFPDモジュール組立装置は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0086】
1…FPDモジュール組立装置、2…FPDモジュール生産管理部(管理部)、3…FPDモジュール組立ライン、4…装置内LAN、10…端子クリーニングユニット、11…クリーニング処理部、12,22,32,42,52…搬送部、13,23,33,43,53…コンピュータ装置、20…ACF貼付ユニット、21…ACF貼付処理部、30…部品搭載ユニット、31…搭載処理部、40…本圧着ユニット、41…本圧着処理部、50…PCB接続ユニット、51…PCB接続処理部、61…カメラ、62…レンズ、63…撮像部、65…入力部、66…表示部、100…FPDモジュール、101…表示基板、101a…アライメントマーク、102…搭載部材、231…通信部、232…画像処理部、233…制御部、234…メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示基板に対して搭載部品を実装するためのそれぞれの処理を行う複数の処理ユニットと、
前記複数の処理ユニット間における前記表示基板の搬送を行う搬送部と、
前記搬送部により搬送された前記表示基板に設けられたアライメントマークを撮像するカメラと、
前記カメラによって撮像されたアライメントマークから前記表示基板の位置ずれ量を演算し、その演算結果に基づいて前記搬送部の駆動を制御して前記表示基板を搬送位置に配置させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記表示基板の生産ロットが変更されると、前記カメラによって撮像されたアライメントマークの座標を検出し、検出回数が所定の回数になると、検出した複数の座標の平均及び標準偏差σを算出した後、前記複数の座標から−mσ<P<mσを満たす座標を抽出し、抽出した座標の平均に基づいて前記搬送部による前記表示基板の受取位置を補正することを特徴とするFPDモジュール組立装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記カメラにおける撮像範囲の略中央部に前記アライメントマークが出現するように、前記搬送部による前記表示基板の受取位置を補正することを特徴とする請求項1に記載のFPDモジュール組立装置。
【請求項3】
撮像した前記アライメントマークの座標を格納するメモリを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のFPDモジュール組立装置。
【請求項4】
カメラが配置された撮像位置まで表示基板を搬送部により搬送する工程と、
前記表示基板に設けられたアライメントマークを前記カメラによって撮像する工程と、
前記カメラによって撮像されたアライメントマークの座標を所定の回数に達するまで検出する工程と、
検出した複数の座標の平均及び標準偏差σを算出する工程と、
前記複数の座標から−mσ<P<mσを満たす座標を抽出して、抽出した座標の平均を算出する工程と、
前記抽出した座標の平均に基づいて前記搬送部による前記表示基板の受取位置を補正する工程と、
有する表示基板の搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−7913(P2013−7913A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140957(P2011−140957)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】