説明

HIV介在疾患を治療するための非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤I

本発明は、式(I)(ここで、R1〜R4、X1及びX2は、発明の開示中と同義である)の新規な複素環化合物、及び薬学的に許容しうるその塩及び溶媒和物、式(I)の化合物でヒト免疫不全症ウイルス(HIV)逆転写酵素を阻害又は調節するための方法、少なくとも1つの溶媒、担体又は賦形剤と混合した式(I)の化合物を含む医薬組成物、並びに式(I)の化合物の製造方法に関する。本化合物は、HIV及び遺伝的に関係するウイルスが関与している疾患を治療するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法(35 U.S.C.)第119(e)条の下に、2003年3月24日に出願の米国仮出願60/457,144号(全体が引用例として本明細書に取り込まれる)の利益を主張する。本願と共に出願される関連出願の「非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(J.P. Dunnら)」は、全体が引用例として本明細書に取り込まれる。
【0002】
本発明は、抗ウイルス療法の分野、そして具体的にはヒト免疫不全症ウイルス(HIV)介在疾患を治療するための非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤に関する。本発明は、新規な複素環化合物、これらの化合物を含む医薬組成物、該化合物を単剤療法又は併用療法において利用するHIV介在疾患の治療又は予防のための方法、並びに新規な複素環化合物の製造方法を提供する。
【0003】
ヒト免疫不全症ウイルスHIVは、日和見感染症に羅患しやすい状態を伴う、免疫系(特にCD4+T細胞)の破壊を特徴とする疾患である、後天性免疫不全症候群(AIDS)の病原因子である。HIV感染症はまた、持続性全身性リンパ節腫、発熱及び体重減少のような症候を特徴とする症候群である、前駆的なAIDS関連症候群(ARC)を伴う。
【0004】
他のレトロウイルスと共通に、HIVゲノムは、gag及びgag−polとして知られているタンパク質前駆体をコードするが、これらが、ウイルスプロテアーゼに処理されることにより、プロテアーゼ、逆転写酵素(RT)、エンドヌクレアーゼ/インテグラーゼ及びウイルスコアの成熟構造タンパク質が得られる。この処理の中断は、標準的に感染性のウイルスの産生を妨げる。相当な努力が、ウイルスにコードされた酵素の阻害によるHIVの制御に向けられている。
【0005】
現在利用可能な化学療法は、2つの決定的に重要なウイルス酵素:HIVプロテアーゼ及びHIV逆転写酵素を標的としている(J.S.G. Montanerら、抗レトロウイルス療法:「技術の現状」、Biomed & Pharmacother. 1999 53:63-72;R.W. ShaferとD.A. Vuitton, 1型ヒト免疫不全症ウイルスによる感染症の治療のための高活性抗レトロウイルス療法 (HAART), Biomed. & Pharmacother. 1999 53:73-86;E. De Clercq, 抗HIV化学療法における新しい進展、Curr. Med. Chem. 2001 8:1543-1572)。2つの一般分類のRTI阻害剤が同定されている:ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)及び非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)。
【0006】
NRTIは典型的には、ウイルスRTと相互作用する前にリン酸化しなければならない、2’,3’−ジデオキシヌクレオシド(ddN)類似体である。対応する三リン酸は、ウイルスRTの競合阻害剤又は代替基質として機能する。核酸への組み込み後、このヌクレオシド類似体は、鎖延長の進行を終結させる。HIV逆転写酵素は、DNA編集能力を持つが、これによって耐性株は、ヌクレオシド類似体を切断して、延長を続けることにより妨害を克服することができる。現在臨床的に使用されているNRTIは、ジドブジン(AZT)、ジダノシン(ddI)、ザルシタビン(ddC)、スタブジン(d4T)、ラミブジン(3TC)及びテノホビル(tenofovir)(PMPA)を含む。
【0007】
NNRTIは、1989年に最初に発見された。NNRTIは、HIV逆転写酵素の非基質結合部位に可逆的に結合することにより、活性部位の形状を改変するか、又はポリメラーゼ活性をブロックする、アロステリック阻害剤である(R.W. Buckheit, Jr., 非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤:HIV感染症の治療のための新規な治療化合物及び方策の展望、Expert Opin. Investig. Drugs 2001 10(8) 1423-1442;E. De Clercq, HIV−1感染症の治療における非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)の役割、Antiviral Res. 1998 38:153-179;G. Moyle, 抗ウイルス療法における非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤の新たな役割、Drugs 2001 61(1): 19-26)。実験室では30種以上の構造分類のNNRTIが同定されているが、わずか3つの化合物がHIV治療に対して承認されている:エファビレンツ、ネビラピン及びデラビルジン。当初は有望な分類の化合物と見なされたが、インビトロ及びインビボ試験によって、NNRTIは、薬物耐性HIV株及び分類特異的毒性の出現に対して低い障壁しか示さないことが直ちに明らかになった。薬物耐性はしばしば、RTにおける単一点突然変異だけから生じる。
【0008】
NRTI、PI及びNNRTIによる併用療法は、多くの場合に、ウイルス量を劇的に低下させ、かつ疾患の進行を遅らせるが、重要な治療上の問題が残されている。このカクテルは、全ての患者に有効なわけではなく、場合によっては重篤な有害反応がしばしば起こり、かつ迅速に複製するHIVウイルスは、野生型プロテアーゼ及び逆転写酵素の薬物耐性変異体を作り出すことに長けていることが立証されている。
【0009】
HIVの野生型及び普通に生じる耐性株に対する活性を持つ、より安全な薬物に対するニーズは未だに存在している。
【0010】
ベンジル−ピリダジノン化合物は、心臓活動を刺激することなく血漿コレステロールを低下させることができるチロキシン類似体として広範囲にわたって研究されている(A.H. Underwoodら、心血管活動を上昇させることなく血漿コレステロールを低下させる甲状腺ホルモン作用薬(thyromimetic), Nature 1986 324(6096): 425-429;P.D. Leesonら、選択的甲状腺ホルモン作用薬。3’−アリールメチル置換基を含む心臓作用回避型(Cardiac-sparing)甲状腺ホルモン類似体、J. Med. Chem. 1989 32(2): 320-326;P.D. Leesonら EP 0188351)。WO 9624343(D.J. Dunnington)は、オキソピリダジニルメチル置換チロシン類が、造血系ホスファターゼSH2ドメインの選択的アンタゴニストであり、そのためこれらが、赤血球新生及び血液新生を増加させるのに有用であろうことを開示している。WO 9702023(D.J. Dunnington)及びWO 9702024(D.J. Dunnington)は更に、これらの化合物が、ヒトStat 6 SH2ドメインの特異的阻害剤であり、そして喘息、アレルギー性鼻炎及び貧血の治療に有用であろうことを開示している。WO 2001085670(H. Shinoharaら)は、循環器疾患を治療するのに有用な関連するマロンアミド誘導体を開示している。EP 810218(D.A. Allenら)は、シクロオキシゲナーゼ阻害剤であり、かつ見込みある抗炎症又は鎮痛化合物である、ベンゾイル置換ベンジル−ピリダジノン化合物を開示している。これらの引用文献のいずれも、HIV感染症に対する治療又はHIV逆転写酵素の阻害を教示していない。
【0011】
本発明は、式(I)の化合物、式(I)の化合物の投与によるヒト免疫不全症ウイルスが介在する疾患の処置方法、式(I)の化合物を含むヒト免疫不全症ウイルスが介在する疾患の処置用の医薬組成物、並びに式(I):
【0012】
【化7】

【0013】
[式中、
1は、R5O、R5S(O)n、R5CH2、R5CH2O、R5CH2S(O)n、R5OCH2、R5S(O)nCH2及びNR56よりなる群から選択され;
2は、o−フェニレン、1,2−シクロヘキセニレン、O、S、及びNR7よりなる群から選択され;
1及びR2は、
(i)それぞれ独立に、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルスルフィニル、C1-6アルキルスルホニル、C1-6ハロアルコキシ、C1-6ハロアルキルチオ、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアシル、ニトロ及びシアノよりなる群から選択されるか;或いは
(ii)一緒になって−CH=CH−CH=CH−であるか;或いは
(iii)これらが結合している炭素と一緒になって、O、S及びNHよりなる群から独立に選択される1個又は2個のヘテロ原子を持つ5員又は6員の芳香族複素環又は複素環を形成し;
3及びR4は、それぞれ独立に、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルチオ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6ハロアルキルチオ、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアシル、ニトロ及びシアノよりなる群から選択され;
5は、フェニル、ナフチル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル及びピロリルよりなる群から選択され(ここで、該フェニル、該ナフチル、該ピリジニル、該ピリミジニル、該ピラジニル及び該ピロリル基は、場合により、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルスルフィニル、C1-6アルキルスルホニル、C1-6ハロアルコキシ、C1-6ハロアルキルチオ、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアシル、アシル、アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、ニトロ及びシアノよりなる群から独立に選択される1〜3個の置換基で置換されている);
6は、水素、C1-6アルキル、又はアシルであり;
7は、水素又はC1-6アルキル(場合により、ヒドロキシ、アルコキシ、チオール、アルキルチオ、C1-6アルキルスルフィニル、C1-6アルキルスルホニル、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、及びジアルキルアミノアルキルよりなる群から独立に選択される1個又は2個の置換基で置換されている)であり;
nは、0〜2の整数である]で示される化合物、及びその水和物、溶媒和物、包接体及び酸付加塩(ただし、X2が、オルト−フェニレンであるならば、R5は、非置換フェニルではありえない)の製造方法に関する。
【0014】
本発明はまた、X1が、OR5又はSR5であり、R5が、場合により置換されているアリールであり、そしてR1〜R4、R7及びX2が、上記と同義である、式(I)の化合物の製造方法に関する。
【0015】
本発明の1つの実施態様において、式(I):
【0016】
【化8】

【0017】
[式中、X1、X2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、及びR7は、上記と同義である]で示される化合物、並びにその水和物、溶媒和物、包接体及び酸付加塩が提供される。
【0018】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5又はSR5であり;R3が、水素又はフルオロであり;R4が、水素、クロロ、フルオロ及びメチルよりなる群から選択され;R5が、場合により置換されているフェニルであり;そしてR1、R2、R7、X2及びnが、上記と同義である、式(I)の化合物が提供される。
【0019】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5又はSR5であり;R1が、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はハロゲンであり;R3が、水素又はフルオロであり;R4が、水素、クロロ、フルオロ及びメチルよりなる群から選択され;R5が、場合により置換されているフェニルであり;そしてR2、R7、X2及びnが、上記と同義である、式(I)の化合物が提供される。
【0020】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5又はSR5であり;R1が、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はハロゲンであり;R3が、水素又はフルオロであり;R4が、水素、クロロ、フルオロ及びメチルよりなる群から選択され;R5が、一置換フェニルであり;そしてR2、R7、X2及びnが、上記と同義である、式(I)の化合物が提供される。
【0021】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5又はSR5であり;R1が、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はハロゲンであり;R3が、水素又はフルオロであり;R4が、水素、クロロ、フルオロ及びメチルよりなる群から選択され;R5が、2,5−二置換フェニルであり;そしてR2、R7、X2及びnが、上記と同義である、式(I)の化合物が提供される。
【0022】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5又はSR5であり;R1が、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はハロゲンであり;R3が、水素又はフルオロであり;R4が、水素、クロロ、フルオロ及びメチルよりなる群から選択され;R5が、3,5−二置換フェニルであり;そしてR2、R7、X2及びnが、上記と同義である、式(I)の化合物が提供される。
【0023】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5又はSR5であり;R1が、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はハロゲンであり;R3が、水素又はフルオロであり;R4が、水素、クロロ、フルオロ及びメチルよりなる群から選択され;R5が、2,4−二置換フェニルであり;そしてR2、R7、X2及びnが、上記と同義である、式(I)の化合物が提供される。
【0024】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5又はSR5であり;R1が、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はハロゲンであり;R3が、水素又はフルオロであり;R4が、水素、クロロ、フルオロ及びメチルよりなる群から選択され;R5が、2,6−二置換フェニルであり;そしてR2、R7、X2及びnが、上記と同義である、式(I)の化合物が提供される。
【0025】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5又はSR5であり;R1及びR2が、独立に、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルスルフィニル、C1-6アルキルスルホニル、C1-6ハロアルコキシ、C1-6ハロアルキルチオ、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアシル、ニトロ及びシアノであり;R3が、水素又はフルオロであり;そしてR4、R5、R7、X2及びnが、上記と同義である、式(I)の化合物が提供される。
【0026】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5であり;R1が、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はハロゲンであり;R2及びR4が、独立に、水素、フルオロ、クロロ、メチル又はエチルであり;R3が、水素又はフルオロであり;R5が、場合により置換されているフェニルであり;nが、0〜2であり;そしてR7及びX2が、上記と同義である、式(I)の化合物が提供される。
【0027】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5であり;R1が、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はハロゲンであり;R2及びR4が、独立に、水素、フルオロ、クロロ、メチル又はエチルであり;R3が、水素又はフルオロであり;R5が、一置換フェニルであり;nが、0〜2であり;そしてR7及びX2が、上記と同義である、式(I)の化合物が提供される。
【0028】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5であり;R1が、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はハロゲンであり;R2及びR4が、独立に、水素、フルオロ、クロロ、メチル又はエチルであり;R3が、水素又はフルオロであり;R5が、一置換フェニルであり、かつ置換基が、ハロゲン、シアノ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルチオ及びC1-6ハロアルコキシよりなる群から選択され;そしてR4、R7、X2及びnが、上記と同義である、式(I)の化合物が提供される。
【0029】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5であり;R1が、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はハロゲンであり;R2及びR4が、独立に、水素、フルオロ、クロロ、メチル又はエチルであり;R3が、水素又はフルオロであり;R5が、2,5−二置換フェニルであり;nが、0〜2であり;そしてR7及びX2が、上記と同義である、式(I)の化合物が提供される。
【0030】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5であり;R1が、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はハロゲンであり;R2及びR4が、独立に、水素、フルオロ、クロロ、メチル又はエチルであり;R3が、水素又はフルオロであり;R5が、2,5−二置換フェニルであり、かつ置換基が、ハロゲン、シアノ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルチオ及びC1-6ハロアルコキシよりなる群から独立に選択され;そしてR4、R7、X2及びnが、上記と同義である、式(I)の化合物が提供される。
【0031】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5であり;R1が、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はハロゲンであり;R2及びR4が、独立に、水素、フルオロ、クロロ、メチル又はエチルであり;R3が、水素又はフルオロであり;R5が、3,5−二置換フェニルであり;nが、0〜2であり;そしてR7及びX2が、上記と同義である、式(I)の化合物が提供される。
【0032】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5であり;R1が、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はハロゲンであり;R2及びR4が、独立に、水素、フルオロ、クロロ、メチル又はエチルであり;R3が、水素又はフルオロであり;R5が、3,5−二置換フェニルであり、かつ置換基が、ハロゲン、シアノ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルチオ及びC1-6ハロアルコキシよりなる群から独立に選択され;そしてR4、R7、X2及びnが、上記と同義である、式(I)の化合物が提供される。
【0033】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5であり;R1が、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はハロゲンであり;R2及びR4が、独立に、水素、フルオロ、クロロ、メチル又はエチルであり;R3が、水素又はフルオロであり;R5が、2,4−二置換フェニルであり;nが、0〜2であり;そしてR7及びX2が、上記と同義である、式(I)の化合物が提供される。
【0034】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5であり;R1が、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はハロゲンであり;R2及びR4が、独立に、水素、フルオロ、クロロ、メチル又はエチルであり;R3が、水素又はフルオロであり;R5が、2,4−二置換フェニルであり、かつ置換基が、ハロゲン、シアノ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルチオ及びC1-6ハロアルコキシよりなる群から独立に選択され;そしてR4、R7、X2及びnが、上記と同義である、式(I)の化合物が提供される。
【0035】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5であり;R1が、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はハロゲンであり;R2及びR4が、独立に、水素、フルオロ、クロロ、メチル又はエチルであり;R3が、水素又はフルオロであり;R5が、2,6−二置換フェニルであり;nが、0〜2であり;そしてR7及びX2が、上記と同義である、式(I)の化合物が提供される。
【0036】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5であり;R1が、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はハロゲンであり;R2及びR4が、独立に、水素、フルオロ、クロロ、メチル又はエチルであり;R3が、水素又はフルオロであり;R5が、2,6−二置換フェニルであり、かつ置換基が、ハロゲン、シアノ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルチオ及びC1-6ハロアルコキシよりなる群から独立に選択され;そしてR4、R7、X2及びnが、上記と同義である、式(I)の化合物が提供される。
【0037】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5又はSR5であり;R3及びR4が、独立に、水素、クロロ、フルオロ又はメチルであり;R5が、場合により置換されているピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル及びピロリルであり;そしてX2、R1、R2、R3、R7及びnが、上記と同義である、式(I)の化合物が提供される。
【0038】
本発明の別の実施態様において、R1及びR2が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、フェニル、ジヒドロピラン、ジヒドロフラン又はフラン環を形成し;そしてX1、X2、R3、R4、R5、R6、R7及びnが、上記と同義である、式(I)の化合物が提供される。
【0039】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5又はSR5であり;R1及びR2が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、フェニル、ジヒドロピラン、ジヒドロフラン又はフラン環を形成し;R3が、水素であり;R4が、水素又はフルオロであり;R5が、場合により置換されているフェニルであり;そしてX2、R7及びnが、上記と同義である、式(I)の化合物が提供される。
【0040】
本発明の別の実施態様において、HIV感染症の治療、又はHIV感染症の予防、或いはAIDS又はARCの処置の方法であって、これを必要とする宿主に、治療有効量の式(I):
【0041】
【化9】

【0042】
[式中、X1、X2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びnは、上記と同義である]で示される化合物、並びにその水和物、溶媒和物、包接体及び酸付加塩を投与することを含む方法が提供される。
【0043】
本発明の別の実施態様において、HIV感染症の治療、又はHIV感染症の予防、或いはAIDS又はARCの処置の方法であって、これを必要とする宿主に、治療有効量の式(I)[式中、X1は、OR5であり;R1は、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はハロゲンであり;R2及びR4は、独立に、水素、フルオロ、クロロ、メチル又はエチルであり;R3は、水素又はフルオロであり;R5は、場合により置換されているフェニルであり;そしてX2、R7及びnは、上記と同義である]の化合物を投与することを含む方法が提供される。
【0044】
本発明の別の実施態様において、HIV感染症の治療、又はHIV感染症の予防、或いはAIDS又はARCの治療の方法であって、これを必要とする宿主に、治療有効量の式(I)[式中、X1、X2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びnは、上記と同義である]の化合物、及びその水和物、溶媒和物、包接体及び酸付加塩;並びにHIVプロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、CCR5阻害剤及びウイルス融合阻害剤よりなる群から選択される、少なくとも1つの化合物を併用投与することを含む方法が提供される。
【0045】
本発明の別の実施態様において、HIV感染症の治療、又はHIV感染症の予防、或いはAIDS又はARCの治療の方法であって、これを必要とする宿主に、治療有効量の式(I)[式中、X1、X2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びnは、上記と同義である]の化合物、及びその水和物、溶媒和物、包接体及び酸付加塩;並びにジドブジン、ラミブジン、ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン、レスクリプター、サスティバ、ビラミューン、エファビレンツ、ネビラピン及びデラビルジンよりなる群、及び/又はサキナビル、リトナビル、ネルフィナビル、インジナビル、アンプレナビル及びロピナビルよりなる群から選択される、少なくとも1つの化合物を併用投与することを含む方法が提供される。
【0046】
本発明の別の実施態様において、レトロウイルス逆転写酵素を阻害する方法であって、式(I)[式中、X1、X2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びnは、上記と同義である]の化合物、並びにその水和物、溶媒和物、包接体及び酸付加塩を投与することを含む方法が提供される。
【0047】
本発明の別の実施態様において、野生型ウイルスに対して少なくとも1つの突然変異を有するレトロウイルス逆転写酵素を阻害する方法であって、これを必要とする宿主に、治療有効量の式(I)[式中、X1、X2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びnは、上記と同義である]の化合物、並びにその水和物、溶媒和物、包接体及び酸付加塩を投与することを含む方法が提供される。
【0048】
本発明の別の実施態様において、宿主が、エファビレンツ、ネビラピン又はデラビルジンに対する感受性の減少を示すHIVの株に感染している、HIV感染症の治療、又はHIV感染症の予防、或いはAIDS又はARCの治療の方法であって、これを必要とする宿主に、治療有効量の式(I)[式中、X1、X2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びnは、上記と同義である]の化合物、並びにその水和物、溶媒和物、包接体及び酸付加塩を投与することを含む方法が提供される。
【0049】
本発明の別の実施態様において、ヒト免疫不全症ウイルスが介在する疾患を治療するために単回投与又は反復投与用法で投与するとき、HIVを阻害するのに充分な、治療有効量の式(I)[式中、X1、X2、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びnは、上記と同義である]で示される化合物、並びにその水和物、溶媒和物、包接体及び酸付加塩(ただし、X2が、オルト−フェニレンであるならば、R5は、非置換フェニルではありえない)を、少なくとも1つの薬学的に許容しうる担体又は希釈剤と混合して含む医薬組成物が提供される。
【0050】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5又はOCH25であり、かつR5が、場合により置換されているアリール又はヘテロアリール残基であり;X2が、O、S、又はNR7であり;そしてR1〜R4及びR7が、上記と同義である、式(I):
【0051】
【化10】

【0052】
で示される複素環の製造方法であって、
(i)(a)X4が、水素、アルコキシカルボニル又はCNである、式(IIa)のアリール化合物を、(A)アリールボロン酸若しくはハロゲン化アリールと、又は(B)ハロゲン化アラルキルとカップリングして、式(IIb)のエーテルを製造する工程;そして、X4が水素であるならば、
(b)(A)メチル基をN−ブロモスクシンイミドで臭素化し、そして(B)臭化物(X4=Br)をシアン化ナトリウムで置換して、対応するニトリル(X4=CN)を製造し;そして場合により(C)このニトリルをアルコキシカルボニル(X4=CO2アルキル)又はイミド酸O−アルキル塩酸塩(X4=C(=NH2+)OR Cl-)に加水分解する工程;
【0053】
【化11】

【0054】
(ii)(A)式(IIb)の化合物(X4=アルコキシカルボニル)を順にヒドラジン水和物で処理して、アシルヒドラジド(IIb;X4=CONHNH2)を生成させ、そして(a)ホスゲン、若しくはホスゲン均等物で処理して、X2がOである、式(I)のオキサジアゾロンを製造する工程;又は(b)順にイソシアン酸アルキル(R7NCO)で処理して、ジアシルヒドラゾン(IIb;X4=C(=O)NHNHC(=O)NHR7)を製造して、塩基で処理して、トリアゾロン(I)(X2=NR7)を製造する工程;或いは(B)式(IIb)のニトリル(X4=CN)を順に(a)酸及びアルコールで処理して、イミド酸O−アルキル塩酸塩(X4=C(=NH2+)OR Cl-)を製造する工程、(b)O−メチルチオカルバジン(NH2NHC(=S)OMe)で処理して、(IIb)[ここで、X4は、式(III):
【0055】
【化12】

【0056】
で示されるメトキシチアジアゾリンである]を製造する工程、並びに(c)酸水溶液で処理することにより、該メトキシチアジアゾリンを加水分解して、X2がSである、式(I)の化合物を製造する工程
を含む方法が提供される。
【0057】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5であり、R5が、場合により置換されているアリール又はヘテロアリールであり、そしてエーテルが、アリールボロン酸とフェノール(IIa)とをCu(II)塩の存在下でカップリングすることにより調製される、式(I)の化合物の上記の製造方法が提供される。
【0058】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5であり、R5が、場合により置換されているアリール又はヘテロアリールであり、そしてエーテルが、ハロゲン化アリールとフェノール(IIa)とをCu(I)塩の存在下でカップリングすることにより調製される、式(I)の化合物の上記の製造方法が提供される。
【0059】
本発明の別の実施態様において、X1が、OCH25又はOR5であり、R5が、場合により置換されているアリール又はヘテロアリール残基であり、そしてエーテルが、更に電子求引基で置換されているハロゲン化アリール又はハロゲン化ヘテロアリール、又は場合により置換されているハロゲン化アラルキルとフェノール(IIa)との塩基の存在下でのカップリングにより調製される、式(I)の化合物の上記の製造方法が提供される。
【0060】
本発明の別の実施態様において、X1が、−OCH25であり、R5が、場合により置換されているアリールであり、そしてエーテルが、アルコールR5CH2OHと(IIa)とのカップリング[該カップリングは、アゾジカルボン酸ジアルキル及びトリアリール又はトリアルキルホスフィンにより触媒される]により形成される、式(I)の化合物の上記の製造方法が提供される。
【0061】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5又は−OCH25であり、R5が、場合により置換されているアリール又はヘテロアリールであり、X4が、C(=O)NHNH2である、式(IIb)の化合物をホスゲンで処理することによる、式(I)のオキサジアゾロン化合物の上記の製造方法が提供される。
【0062】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5又は−OCH25であり、R5が、場合により置換されているアリール又はヘテロアリールであり、X4が、C(=O)NHNH2である、式(IIb)の化合物をカルボニルジイミダゾールで処理することによる、式(I)のオキサジアゾロン化合物の上記の製造方法が提供される。
【0063】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5又は−OCH25であり、R5が、場合により置換されているアリールであり、X4が、C(=O)NHNH2である、式(IIb)の化合物を、順にイソシアン酸メチル又はイソシアン酸エチル及びメタノール性水酸化ナトリウムで処理することによる、式(I)のトリアゾロン化合物の上記の製造方法が提供される。
【0064】
本発明の別の実施態様において、X1が、OR5又は−OCH25であり、R5が、場合により置換されているアリールであり、X4が、C(=NH2+)Cl-である、式(IIb)の化合物を、順にヒドラジンカルボチオ酸O−メチルエステル及び酸水溶液で処理することによる、式(I)のチアジアゾロン化合物の上記の製造方法が提供される。
【0065】
本明細書において使用されるとき、「a」又は「an」存在物という句は、1つ以上のその存在物のことをいう;例えば、a化合物は、1つ以上の化合物又は少なくとも1つの化合物を意味する。そのため、「a」(又は「an」)、「1つ以上」、及び「少なくとも1つ」という用語は本明細書において互換的に使用することができる。
【0066】
「上記と同義」という句は、「発明の開示」に提供される最初の定義を意味する。
【0067】
本明細書において使用されるとき「C1-6アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を含む、非分岐又は分岐鎖の飽和の一価の炭化水素残基を意味する。アルキル基の例は、特に限定されないが、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル又はペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシルを含む低級アルキル基を含む。
【0068】
本明細書において使用されるとき「ハロアルキル」という用語は、1、2、3個又はそれ以上の水素原子がハロゲンにより置換されている、上記と同義の非分岐又は分岐鎖アルキル基を意味する。例には、1−フルオロメチル、1−クロロメチル、1−ブロモメチル、1−ヨードメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル、トリヨードメチル、1−フルオロエチル、1−クロロエチル、1−ブロモエチル、1−ヨードエチル、2−フルオロエチル、2−クロロエチル、2−ブロモエチル、2−ヨードエチル、2,2−ジクロロエチル、3−ブロモプロピル又は2,2,2−トリフルオロエチルがある。
【0069】
本明細書において使用されるとき「シクロアルキル」という用語は、3〜8個の炭素原子を含む飽和炭素環、即ち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルを意味する。
【0070】
本明細書において使用されるとき「アリール」という用語は、炭素及び水素原子を含む単環式又は多環式芳香族基を意味する。適切なアリール基の例は、特に限定されないが、フェニル、トリル、インデニル、及び1−又は2−ナフチル、並びに5,6,7,8−テトラヒドロナフチルのようなベンゾ縮合炭素環残基を含む。アリール基は、非置換であっても、又は1個以上の適切な置換基で置換されていてもよく、この置換基は、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルスルフィニル、C1-6アルキルスルホニル、C1-6ハロアルコキシ、C1-6ハロアルキルチオ、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアシル、アシル、アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、ニトロ及びシアノを含む。
【0071】
本明細書において使用されるとき「ヘテロアリール基」又は「芳香族複素環」は、15個の炭素原子、水素原子、並びに窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1個以上のヘテロ原子(好ましくは1〜3個のヘテロ原子)を含む、単環式又は多環式の芳香環を意味する。当業者には周知であるとおり、ヘテロアリール環は、その対をなす全炭素のもう一方よりも芳香性が弱い。即ち、本発明の目的には、ヘテロアリール基は、ある程度の芳香性を持つだけでよい。ヘテロアリール基の実例としては、特に限定されないが、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジル、ピラジル、トリアジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、(1,2,3)−及び(1,2,4)−トリアゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チエニル、イソオキサゾリル、インドリル、キノリニル、及びオキサゾリルを含む。ヘテロアリール基は、非置換であっても、又は特に断りない限り、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロ、ハロアルキル、ニトロ、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアシル、アルキルスルホニル、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、アシルから選択される1個以上の適切な置換基で置換されていてもよい。
【0072】
「複素環」という用語は、1個以上の環ヘテロ原子(N、O又はS(O)0-2から選択される)を組み込む、1つの環当たり3〜8個の原子の1つ以上の環(好ましくは1つから2つの環)よりなり、そして場合により、特に断りない限り、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロ、ハロアルキル、ニトロ、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアシル、アルキルスルホニル、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、アシルから選択される1個以上(好ましくは1〜3個)の置換基で置換されていてもよい、一価の飽和環ラジカルを意味する。複素環ラジカルの例は、特に限定されないが、フラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオフェニルなどを含む。
【0073】
本明細書において使用されるとき「アルコキシ基」という用語は、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ(これらの異性体を含む)のような、アルキルが上記と同義である、−O−アルキル基を意味する。
【0074】
本明細書において使用されるとき「アルキルチオ基」という用語は、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、i−プロピルチオ、n−ブチルチオ、i−ブチルチオ、t−ブチルチオ、ペンチルチオ(これらの異性体を含む)のような、アルキルが上記と同義である、−S−アルキル基を意味する。
【0075】
本明細書において使用されるとき「ハロアルコキシ基」という用語は、ハロアルキルが上記と同義である、−O−ハロアルキル基を意味する。ハロアルコキシ基の例は、特に限定されないが、2,2,2−トリフルオロエトキシ、ジフルオロメトキシ及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−イソ−プロポキシを含む。
【0076】
本明細書において使用されるとき「ハロアルキルチオ基」という用語は、ハロアルキルが上記と同義である、−S−ハロアルキル基を意味する。ハロアルキルチオ基の例は、特に限定されないが、2,2,2−トリフルオロエタンチオールを含む。
【0077】
本明細書において使用されるとき「アリールオキシ基」という用語は、アリールが上記と同義である、O−アリール基を意味する。アリールオキシ基は、非置換であっても、又は1個以上の適切な置換基で置換されていてもよい。好ましくは、アリールオキシ基のアリール環は、環が6個の炭素原子を含む単環であり、本明細書では「(C6)アリールオキシ」と呼ばれる。「場合により置換されているアリールオキシ」という用語は、このアリールオキシ基が、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルスルフィニル、C1-6アルキルスルホニル、C1-6ハロアルコキシ、C1-6ハロアルキルチオ、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアシル、アシル、アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、ニトロ及びシアノよりなる群から選択される1〜3個の基で置換されていてもよいことを意味する。
【0078】
本明細書において使用されるとき「ヘテロアリールオキシ基」という用語は、ヘテロアリールが上記と同義である、O−ヘテロアリール基を意味する。ヘテロアリールオキシ基のヘテロアリール環は、非置換であっても、又は1個以上の適切な置換基で置換されていてもよい。ヘテロアリール基の例は、特に限定されないが、2−ピリジルオキシ、3−ピロリルオキシ、3−ピラゾリルオキシ、2−イミダゾリルオキシ、3−ピラジニルオキシ、及び4−ピリミジルオキシを含む。
【0079】
本明細書において使用されるとき「アシル」又は「アルキルカルボニル」という用語は、式:C(=O)R[ここで、Rは、水素、1〜6個の炭素原子を含む非分岐若しくは分岐のアルキル、又はフェニル基である]の基を意味する。
【0080】
本明細書において使用されるとき「アルコキシカルボニル」という用語は、式:C(=O)OR[ここで、Rは、上記と同義の非分岐又は分岐のアルキルである]の基を意味する。
【0081】
本明細書において使用されるとき「アシルアミノ」という用語は、式:−NH−(アシル)[ここで、アシルは、本明細書中と同義である]の基を意味する。
【0082】
本明細書において使用されるとき「アリールボロン酸」という用語は、式:ArB(OH)2[ここで、Arは、上記と同義の場合により置換されているアリール基である]の基を意味する。
【0083】
本明細書において使用されるとき「アルキレン」という用語は、特に断りない限り、1〜6個の炭素を有する二価の直鎖又は分岐の飽和炭化水素ラジカルを意味する。アルキレン基の例は、特に限定されないが、メチレン、エチレン、プロピレン、2−メチル−プロピレン、ブチレン、2−エチルブチレンを含む。
【0084】
本明細書において使用されるとき「アリールアルキル」又は「アラルキル」という用語は、基:R’R”−[ここで、R’は、本明細書中と同義のアリール基であり、そしてR”は、本明細書中と同義のアルキレン基である]を意味し、そしてこのアリールアルキル基は、アルキレン基により結合している。アリールアルキル基の例は、特に限定されないが、ベンジル、フェニルエチル、3−フェニルプロピルを含む。
【0085】
本明細書において使用されるとき「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を意味する。相応じて、「ハロ」という用語の意味は、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを包含する。「ハロゲン化水素酸」という用語は、水素及びハロゲンからなる酸を意味する。
【0086】
本明細書において使用されるとき「アルキルスルフィニル」という用語は、ラジカル:−S(O)R’[ここで、R’は、本明細書中と同義のアルキルである]を意味する。アルキルアミノスルフィニルの例は、特に限定されないが、メチルスルフィニル及びイソプロピルスルフィニルを含む。
【0087】
本明細書において使用されるとき「アルキルスルホニル」という用語は、ラジカル:−S(O)2R’[ここで、R’は、本明細書中と同義のアルキルである]を意味する。アルキルスルホニルの例は、特に限定されないが、メチルスルホニル及びイソ−プロピルスルホニルを含む。
【0088】
本明細書において使用されるとき「アミノ」、「アルキルアミノ」及び「ジアルキルアミノ」という用語は、それぞれ−NH2、−NHR及び−NR2を意味し、そしてRは、上記と同義のアルキルである。ジアルキル残基中の窒素に結合している2個のアルキル基は、同一であっても異なっていてもよい。本明細書において使用されるとき「アミノアルキル」、「アルキルアミノアルキル」及び「ジアルキルアミノアルキル」という用語は、それぞれNH2(CH2n−、RHN(CH2n−、及びR2N(CH2n−[ここで、nは、1〜6であり、そしてRは、上記と同義のアルキルである]を意味する。
【0089】
本明細書において使用されるとき「カルバモイル」という接頭辞は、基:−CONH2を意味する。「N−アルキルカルバモイル」及び「N,N−ジアルキルカルバモイル」という接頭辞は、それぞれ基:CONHR’又はCONR’R”[ここで、R’及びR”基は、独立に本明細書中と同義のアルキルである]を意味する。
【0090】
本明細書において使用されるとき「共役塩基」という用語は、酸(ここでは炭素酸を含む)がそのプロトンを供与するときに生成する化学種を意味する。
【0091】
式(I)の化合物は、互変異性を示す。互変異性化合物は、2種以上の互換性種として存在することができる。プロトン性(Prototropic)互変異性体は、2個の原子の間の共有結合した水素原子の移動に由来する。互変異性体は、一般に平衡状態で存在しており、そして個々の互変異性体を単離するための試みは、通常その化学的及び物理的性質が化合物の混合物に一致している混合物を生み出す。平衡の位置は、分子内の化学的特性に依存する。例えば、アセトアルデヒドのような多くの脂肪族アルデヒド類及びケトン類では、ケト型が優勢であるが、フェノール類では、エノール型が優勢である。普通のプロトン性互変異性体は、
【0092】
【表1】

【0093】
互変異性体を含む。後の2つは、ヘテロアリール環及び複素環では特によくあることであり、本発明は、化合物の全ての互変異性体を包含する。
【0094】
塩基性である式(I)の化合物は、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸及び臭化水素酸)、硫酸、硝酸及びリン酸などのような無機酸、並びに有機酸(例えば、酢酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、サリチル酸、クエン酸、メタンスルホン酸及びp−トルエンスルホン酸など)と、薬学的に許容しうる酸付加塩を形成することができる。
【0095】
本明細書において使用されるとき「溶媒和物」という用語は、非共有結合分子間力により結合している化学量論又は非化学量論量の溶媒を更に含む、本発明の化合物又はその塩を意味する。好ましい溶媒は、揮発性で非毒性、かつ/又はヒトへの微量の投与が許容できるものである。
【0096】
本明細書において使用されるとき「水和物」という用語は、非共有結合分子間力により結合している化学量論又は非化学量論量の水を更に含む、本発明の化合物又はその塩を意味する。
【0097】
本明細書において使用されるとき「包接体」という用語は、中に捕捉されたゲスト分子(例えば、溶媒又は水)を有する空間(例えば、チャネル)を含む結晶格子の形をとった、本発明の化合物又はその塩を意味する。
【0098】
本明細書において使用されるとき「野生型」という用語は、逆転写酵素阻害剤に曝露されていない正規母集団において自然に存在する優性遺伝子型を持つ、HIVウイルス株を意味する。本明細書において使用されるとき「野生型逆転写酵素」という用語は、配列決定されて、スイスプロット(SwissProt)データベースにP03366のアクセッション番号で寄託されている、野生型株により発現される逆転写酵素を意味する。
【0099】
本明細書において使用されるとき「感受性の低下」という用語は、同じ実験系において野生型ウイルスにより示される感受性に比較した、特定のウイルス分離体の感受性の約10倍以上の変化を意味する。
【0100】
略語
本出願をとおして以下の略語が使用されるが、これらは以下に列挙される意味を持つ。
【0101】
【表2】



【0102】
化合物の例
本発明の範囲内の代表的化合物の例は、以下の表に提供される。これらの例及び調製法は、当業者が本発明をより明瞭に理解し、かつ実施することができるように提供される。これらは、本発明の範囲を限定するものと考えてはならず、単にその例示及び代表と考えるべきである。表1は、アリールオキシ誘導体を例示している。表2は、アリールチオ置換化合物を例示している。表3は、ベンジル置換化合物を例示している。表4は、アルコキシ及びアラルコキシ置換化合物を例示している。表5は、アリールオキシ置換ヘテロアリール化合物を持つ化合物を例示している。表6は、ベンゾイル置換化合物を例示している。
【0103】
一般に、本出願において使用される命名法は、IUPACの系統的命名法の生成のためのバイルシュタイン研究所(Beilstein Institute)のコンピュータ化システムである、オートノム(AUTONOM)(登録商標)v.4.0に基づく。表1は、[3−フェノキシベンジル]ピリダジノン類の代表例を含む。
【0104】
【表3】

【0105】
本発明の化合物の調製
本発明の化合物は、以下に示され説明される実例の合成反応スキームに図解される種々の方法により製造することができる。これらの化合物を調製するのに使用される出発物質及び試薬は、一般にアルドリッチ化学(Aldrich Chemical Co.)のような供給業者から入手できるか、又はFieserとFieserの有機合成用試薬; Wiley & Sons: New York, Volumes 1-21;R.C. LaRock, 包括的有機変換, 第2版 Wiley-VCH, New York 1999;包括的有機合成, B. TrostとI. Fleming編, vol. 1-9, Pergamon, Oxford, 1991;包括的複素環化学, A.R. KatrinzkyとC.W. Rees編, Pergamon, Oxford 1984, vol. 1-9;包括的複素環化学II, A.R. KatrinzkyとC.W. Rees編, Pergamon, Oxford 1996, vol. 1-11;及び有機反応, Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-40のような参考文献に記載される手順により当業者には既知の方法により調製されるかのいずれかである。以下の合成反応スキーム及び実施例は、本発明の化合物を合成することができる幾つかの方法を単に例示しているものであり、これらの合成反応スキームに対しては種々の改変を加えることができるが、当業者が本出願に含まれる開示を参照すればそのような示唆を受けよう。
【0106】
この合成反応スキームの出発物質及び中間体は、必要に応じて、特に限定されないが、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィーなどを含む、従来法を用いて単離及び精製することができる。このような物質は、物理定数及びスペクトルデータを含む、従来手段を用いて特性決定することができる。
【0107】
特に断りない限り、本明細書に記述される反応は、好ましくは不活性雰囲気下で大気圧で約−78℃〜約150℃、更に好ましくは約0℃〜約125℃の反応温度範囲、そして最も好ましくかつ好都合にはおよそ室温(又は周囲温度)、例えば、約20℃で行われる。更に、この反応条件は例示的なものであり、代わりの条件も周知である。以下の実施例における反応順序は、請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するものではない。
【0108】
本発明の複素環化合物は、適切に置換されたアリール環(2)の構築と、これに続く複素環の導入(3)を含むことを特徴とする、2段階法(スキーム1)により調製される。段階は任意の順序で達成することができるが、複素環は一般に、アリール環の修飾が完了した後に導入される。置換m−ヒドロキシフェニル酢酸アルキル(1a)又はm−ヒドロキシフェニルアセトニトリル(1b)誘導体は、好都合な出発物質である。これらはしばしば市販されているか、又は市販の前駆体から容易に調製される。或いは、アリール環は、メチル(1c)又はカルボン酸エステル(1d)置換基で置換し、続いて(1b)に変換することができる(例えば、スキーム4及び5を参照のこと)。また当業者であれば、複素環の導入後に置換基を変更できることも理解するだろう。
【0109】
【化13】

【0110】
フェニル酢酸及びフェニルアセトニトリル前駆体の調製(スキーム1)
3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル酢酸エチル(5a)は、3−メトキシ−4−ヒドロキシ−フェニル酢酸エチルからスキーム2に示されるように調製した。このフェノールをトリフラートエステル(4b)に変換し、そしてこれをMe2Zn、DIBAL−H及びPdCl2(dppf)での置換に付す(E.-i. Negishi 金属触媒クロスカップリング反応, F. DiederichとP.J. Stang編, Wiley-VCH, Mannheim 1998, chap.1;E. Erdik, Tetrahedron 1992 48:9577-9648)ことにより(4c)を得た。三臭化ホウ素脱メチル化により(5a)を得た。3−ヒドロキシ−4−エチルフェニル酢酸エチル(5b)は、(4d)のフリーデル・クラフツ(Friedel-Crafts)アシル化により調製したが、この反応によって4−アセチル−3−メトキシフェニル酢酸エチル(4e)を得た。トリエチルシラン及びTFAでの、このケトンの還元により、対応する4−エチル置換誘導体(4f)を生成し、これをBBr3で脱メチル化することにより(5b)を得た。3−ヒドロキシ−4−イソ−プロピルフェニル酢酸エチル(5c)は、(4e)のウィッティッヒ(Wittig)オレフィン化と、これに続く2−プロペニル置換基の接触水素化により(4h)を得ることによって調製した。三臭化ホウ素での脱メチル化により(5c)を生成した。
【0111】
【化14】

【0112】
3,4−ジメチル−5−ヒドロキシフェニル酢酸エチル(8)は、(6a)のホルミル化及び生じたカルボン酸(6b)のエステル化により3−ホルミル−4−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル酢酸エチル(7a)を生成することによって調製した。このアルデヒドの還元及び生じたベンジルアルコールの水素化分解により(7b)を得た。第2のメチル置換基は、順に(7b)をトリフリック酸無水物で処理して(7c)を得て、Me2Zn、PdCl2(dppf)及びDIBAL−H(上記)で置換することにより(7d)を生成することによって導入した。三臭化ホウ素が介在する脱メチル化により(8)を得た(スキーム3)。
【0113】
【化15】

【0114】
4−クロロ−3−ヒドロキシフェニル酢酸エチル(10)は、4−クロロ−3−メトキシトルエンから、順にフリーラジカル臭素化(9b)、シアン化物での臭素原子の求核置換(9c)、並びにアミジン塩酸塩(9d)及び次にエチルエステル(9e)へのニトリルの2段階の加水分解により調製した。前述された三臭化ホウ素が介在する脱メチル化により(10)を得た(スキーム4)。
【0115】
【化16】

【0116】
6−メチル誘導体は、3−ヒドロキシ−2−メチル安息香酸(11)から、これを塩素化(NaOCl/NaOH)してエステル化することにより(13)を得ることによって調製した。ベンゼンボロン酸の酢酸第二銅が介在するカップリング(下記)により、ジアリールエーテル(14)を得た。順に還元、メシル化及びシアン化物置換によりニトリルを導入して(17)を得た。このメシラートは、メシル化反応中に塩化物によりその場で置換を受けた。
【0117】
【化17】

【0118】
6−フルオロ−及びクロロ−誘導体は、それぞれ6−クロロ−2−フルオロ−3−メチルフェノール(18)及び3−ブロモ−2,4−ジクロロトルエン(19)から入手できた(スキーム6)。(18)とp−フルオロ−ニトロベンゼンの塩基触媒反応により、ジアリールエーテル(20)を得た。ニトロ置換基の対応するアミンへの変換、更にこれに続くジアゾ化及び還元により、4−クロロ−2−フルオロ−3−フェノキシトルエン(22)を製造した。当業者には、アミノ置換アリール基が利用できると、ザンドマイヤー(Sandmeyer)反応を利用してこのアミノ置換基を他の種々の置換基で置換することができるようになることを理解いただけよう。(19)の塩化第二銅が介在するカップリング(下記を参照のこと)により、対応する2,4−ジクロロ−3−フェノキシトルエン(23)を得た。(24)及び(25)におけるアセトニトリル側鎖の合成は、ベンジル位の臭素化及び置換により達成した。
【0119】
【化18】

【0120】
ベンゾフラン(31)及びジヒドロベンゾフラン(29)誘導体(スキーム7)は、ジヒドロベンゾフラン(26)から調製した。クロロシュウ酸エチルでのアシル化により、α−ケトエステル(27)を生成し、これをウォルフ・キッシュナー(Wolff-Kischner)条件下で対応するフェニル酢酸誘導体(28a)に還元した。ウィルゲロート(Wilgerodt)反応による(29)の調製もまた報告されている(J. Dunnら、J. Med Chem 1986 29:2326)。塩化アセチルでのフリーデル・クラフツのアシル化により、アセチル誘導体(28b)を得て、これをバイヤー・ビリガー(Baeyer-Villiger)条件下でアセタート(28c)に変換し、続いて(29)に加水分解した。対応するベンゾフラン類似体は、ベンジル位の臭素化と同時の脱ハロゲン化水素により(31)を得ることによって調製した。
【0121】
【化19】

【0122】
アリールエーテル中間体の調製(スキーム1;(2):X=O又はS)
ジアリールエーテル類の調製は、総説されている(J.S. Sawyer, ジアリールエーテル合成における最近の進歩、Tetrahedron 2000 56:5045-5065)。本明細書において必要とされるジアリールエーテル類は、3つの異なる方法により調製した(スキーム8):(i)置換ベンゼンボロン酸とフェノール類のCu(OAc)2触媒の縮合(D.A. Evansら、アリールボロン酸でのフェノール類の銅推進アリール化によるジアリールエーテル類の合成。チロキシンの便宜的合成、Tetrahedron Lett., 1998 39:2937-2940及びD.M.T. Chanら、フェニルボロン酸及び酢酸第二銅による新しいN−及びO−アリール化, Tetrahedron Lett. 1998 39:2933-2936);スキーム1、条件(a)、(b)、(e)、(f)、(i);(ii)Cu(I)塩でのウルマン(Ullmann)のジアリールエーテル合成の変法による(J.-F. Marcouxら、ジアリールエーテル類の一般的な銅触媒合成、J. Am. Chem. Soc. 1997 119:10539-540;E. Buckら、ウルマンのジアリールエーテル合成:2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオンによる速度の加速、Org. Lett. 2002 4(9):1623-1626);条件(c)、(d)及び(h);又は求核芳香族置換反応による(Sawyer 上記文献 pp 5047-5059);条件スキーム1(g)及び(j)。パラジウム触媒カップリング手順を利用する代替調製法も報告されている(G. Mannら、非活性化ハロゲン化アリールに関するパラジウム触媒カップリング。ジアリールエーテルにC−O結合を形成するための立体誘導還元的脱離、J. Am. Chem. Soc. 1999 121:3224-3225)。当業者には、最適な手順が、アリール環の性質及び置換基の位置に応じて変化することを理解いただけよう。
【0123】
【化20】

【0124】
置換m−クレゾール誘導体もまた、これらの手順を用いるカップリングに適切な基質である。メタ置換基の導入後、中間体は、臭素化及びシアン化物置換により対応するフェニルアセトニトリル誘導体に変換することができる(スキーム9)。
【0125】
【化21】

【0126】
ジアリールエーテル類、アルキルアリールエーテル類又はアリールアラルキルエーテル類を生成するための縮合アリール、ヘテロアリール又は複素環との化合物のカップリングは、同じ手順により行うことができる。アラルキルオキシベンゾフラニルアセタート及びアリールオキシジヒドロベンゾフラニルアセタート誘導体の調製は、スキーム10に例示されている。アラルコキシベンゾフラン類は、アルコール及びヒドロキシベンゾフラン酢酸の光延(Mitsunobu)カップリングにより調製される。
【0127】
【化22】

【0128】
アラルキルアリールエーテル類は、光延条件を用いて調製した(スキーム11;O, Mitsunobu, Synthesis 1981 1-28)。或いはアラルキルエーテル類は、古典的なウィリアムソン(Williamson)エーテル合成(J. March, 高等有機化学; 第4版; Wiley & Sons: New York, 1992; pp.386-87)を介して、又はパラジウム触媒カップリング(M. Paluckiら、パラジウム触媒分子間炭素−酸素結合形成:アリールエーテル類の新しい合成法、J. Am. Chem. Soc. 1997 119:3395-96)を利用して調製することができる
【0129】
【化23】

【0130】
ジフェニルアミン中間体の調製(スキーム1;X=NR6
本発明の範囲内のジフェニルアミン化合物は、ハートウィグ(Hartwig)に報告されたパラジウム触媒カップリング反応により調製することができる(アリールハロゲン化物及びトリフラートからのアリールアミン類及びアリールエーテル類の遷移金属触媒合成法:見通しと機構, Angew. Chem. Int. Ed. Eng. 1998 37:2046-67)。
【0131】
ジフェニルメタン中間体の調製(スキーム1;(2):X=CH2又はC=O)
本発明のジフェニルメタン化合物は、対応するベンゾイル誘導体(42)の還元により調製することができる。還元は、便利には水素化トリエチルシリル及びトリフルオロ酢酸により行われるが、この変換を達成するための種々の他の手順が当該分野において周知である。
【0132】
【化24】

【0133】
必要なベンゾイル誘導体の調製法は、米国特許5,886,178号(D.A. Allenら)に記述されている。ベンゾイル置換ベンゾフラン誘導体の合成法もまた、米国特許4,780,480号(J.P. Dunn)及び科学文献(J.P. Dunnら、鎮痛及び抗炎症性7−アロイルベンゾフラン−5−イル酢酸及び7−アロイルベンゾチオフェン−5−イル酢酸、J. Med. Chem. 1986 29:2326)に報告されている。これらの参考文献は、全体を引用例として本明細書に取り込まれる。
【0134】
複素環の導入(スキーム1:(3))
本発明のオキサジアゾロン、チアジアゾロン及びトリアゾロン化合物は、式(V)のジアシルヒドラゾン誘導体の環化により調製することができる。反応工程の具体的な機構又は順序に制限されることなく、オキサジアゾロン類は、アシルヒドラゾン(IV)を適切なアシル誘導体で処理し、生じたジアシル化合物を環化することにより調製することができる。当業者には、(IV)がアンビデント求核試薬であり、そして最初の反応は、カルボニル酸素又は窒素のいずれかで起こり、そして次のどちらの閉環からも同じ生成物が得られることを理解いただけよう。
【0135】
【化25】

【0136】
2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3,4−オキサジアゾール(49)は、ホスゲン(又はカルボニルジイミダゾール、クロロギ酸アルキルなどのような均等物)でのアシルヒドラジド(46b)の環化により、目的のオキサジアゾールを直接生成することによって調製することができる(A. Hetzheim、1,3,4−オキサジアゾール類、Methoden der Organischen Chemie (Houben-Weyl) E. Schaumann編、Hetarene III/Teil 3, Band E8c; Thieme Verlag, Stuttgart; 1994, pp531-536)(スキーム13)。2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール(53)は、イミド酸O−アルキル(51)とメトキシチオカルボニルヒドラジドの縮合により、2−メトキシ−3,4−チアジアゾール誘導体(52)を生成し、そしてこれを酸性条件下で対応する2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3,4−チアジアゾール(53)に加水分解することによって調製される(H. Kristinssonら、複素環の合成V。1,3,4−チアゾール−2(3H)オン、Helv. Chim. Acta 1982 65:2606)。或いは、ローソン(Lawesson's)試薬でのN−アシル−N’−アルコキシカルボニルヒドラジドの環化により、直接チアジアゾールを生成することができる(B.P. Rasmussenら、Bull. Soc. Chim. Fr. 1985 62)。トリアゾロン(48)は、イソシアン酸エチルでのアシルヒドラジド(46d)のカルバモイル化により、N−アシル−N−カルバモイルヒドラジド(47)を得て、メタノール性水酸化カリウムでの処理によりトリアゾロンに環化することにより調製した。
【0137】
【化26】

【0138】
用量及び投与法
本発明の化合物は、多種多様な経口投与剤形及び担体中に処方することができる。経口投与は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤、シロップ剤、又は懸濁剤の剤形で行うことができる。本発明の化合物は、幾つかある投与の経路の中で特に、持続(点滴静注)局所非経口、筋肉内、静脈内、皮下、経皮(浸透促進剤を含んでいてもよい)、バッカル、鼻内、吸入及び坐剤投与を含む、他の投与経路により投与しても有効である。好ましい投与の方法は、一般に、病気の程度及び活性成分に対する患者の応答により調整することができる、便利な1日量投与法を用いる経口投与である。
【0139】
本発明の化合物、並びにその薬剤学的に利用しうる塩は、1つ以上の従来の賦形剤、担体、又は希釈剤と一緒に、医薬組成物及び単位用量の形にすることができる。この医薬組成物及び単位用量剤形は、追加の活性化合物又は成分を伴うか、又は伴わない、従来の割合の従来の成分からなっていてよく、そして単位用量剤形は、意図される使用すべき1日用量範囲に釣り合う、任意の適切な有効量の活性成分を含んでいてよい。この医薬組成物は、錠剤又は充填カプセル剤のような固体として、半固体として、粉剤として、徐放処方として、或いは液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、又は経口使用のための充填カプセル剤のような液体として;或いは直腸内又は膣内投与用の坐剤の剤形で;或いは非経口使用のための無菌注射液の剤形で利用することができる。典型的な製剤は、約5%〜約95%の活性化合物(w/w)を含む。「製剤」又は「剤形」という用語は、活性化合物の固体及び液体処方の両方を含むことが意図され、そして当業者であれば、活性成分が、標的臓器又は組織、並びに目的の用量及び薬物動態パラメーターに応じて、種々の製剤中に存在できることを理解するだろう。
【0140】
本明細書において使用されるとき「賦形剤」という用語は、一般に安全で非毒性かつ生物学的にも他の面でも有害でない、医薬組成物を調製するのに有用な化合物を意味し、そして獣医学的使用並びにヒトの薬剤学的使用に許容できる賦形剤を含む。本明細書において使用されるとき「賦形剤」という用語は、1つ及び2つ以上の両方のこのような賦形剤を含む。
【0141】
固形製剤は、粉剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散性顆粒剤を含む。固体担体は、希釈剤、着香剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁剤、結合剤、保存料、錠剤の崩壊剤、又は封入材料としても作用しうる、1つ以上の物質であってよい。粉剤では、担体は、一般に微粉化活性成分との混合物である微粉化固体である。錠剤では、活性成分は、一般に必要な結合能力を有する担体と適切な割合で混合して、所望の形状とサイズに成形する。適切な担体は、特に限定されないが、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ロウ、カカオ脂などを含む。固形製剤は、活性成分の他に、着色料、香味料、安定化剤、緩衝剤、人工及び天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含んでもよい。
【0142】
液体処方もまた、経口投与に適しており、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、水性液剤、水性懸濁剤を含む液体処方を含む。これらは、使用の直前に液体製剤に変換することが意図されている固形製剤を含む。乳剤は、溶液、例えば、プロピレングリコール水溶液中で調製することができるか、或いはレシチン、モノオレイン酸ソルビタン、又はアラビアゴムのような乳化剤を含んでいてもよい。水性液剤は、活性成分を水に溶解して、適切な着色料、香味料、安定化剤、及び増粘剤を加えることにより調製することができる。水性懸濁剤は、微粉化活性成分を、天然又は合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び他の周知の懸濁剤のような粘性物質と共に水中に分散することにより調製することができる。
【0143】
本発明の化合物は、非経口投与(例えば、注入、例えば、ボーラス注射又は持続注入による)用に処方することができ、そしてアンプル中の単位用量剤形、プレフィルドシリンジ、少量点滴又は保存料を加えた反復投与用容器として提示することができる。本組成物は、懸濁剤、液剤、又は油性若しくは水性ビヒクル中の乳剤、例えば、水性ポリエチレングリコール中の溶液のような剤形をとることができる。油性又は非水性担体、希釈剤、溶媒又はビヒクルの例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)、及び注射用有機エステル類(例えば、オレイン酸エチル)を含み、そして保存料、湿潤剤、乳化剤又は懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤のような配合剤を含んでいてもよい。或いは、活性成分は、適切なビヒクル、例えば、無菌の発熱物質を含まない水で使用前に構成するための、滅菌固体の無菌的単離により、又は溶液からの凍結乾燥により得られる粉末の形状であってもよい。
【0144】
本発明の化合物は、軟膏剤、クリーム剤若しくはローション剤として、又は経皮パッチとして、表皮への局所投与のために処方することができる。軟膏剤及びクリーム剤は、例えば、適切な増粘剤及び/又はゲル化剤を加えた水性又は油性基剤と共に処方することができる。ローション剤は、水性又は油性基剤と共に処方することができ、そして一般には1つ以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、又は着色剤も含む。口内の局所投与に適した処方は、活性剤を香味基剤(通常ショ糖とアラビアゴム又はトラガント)中に含むトローチ剤;活性成分を不活性基剤(ゼラチンとグリセリン又はショ糖とアラビアゴムなど)中に含む香錠;及び活性成分を適切な液体担体中に含む洗口液を含む。
【0145】
本発明の化合物は、坐剤として投与するために処方することができる。脂肪酸グリセリド又はカカオ脂のような低融点ロウを最初に溶融して、例えば、撹拌することにより、活性成分を均質に分散させる。次にこの溶融した均質な混合物を便利なサイズの鋳型に注ぎ入れ、冷却させて、凝固させる。
【0146】
本発明の化合物は、膣内投与用に処方することができる。ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、泥膏、フォーム剤又はスプレー剤は、活性成分の他に、当該分野において適切であることが知られている担体を含む。
【0147】
本発明の化合物は、鼻内投与用に処方することができる。液剤又は懸濁剤は、従来法により、例えば、スポイト、ピペット又はスプレーで鼻腔に直接適用される。この処方は、単回投与又は反復投与剤形として提供することができる。スポイト又はピペットの後者の場合には、これは、適切な所定の容量の液剤又は懸濁剤を患者が投与することにより達成することができる。スプレーの場合には、これは、例えば、計量噴霧スプレーポンプを用いて達成することができる。
【0148】
本発明の化合物は、特に気道への、そして鼻内投与を含む、エーロゾル投与用に処方することができる。本化合物は、一般に、例えば、5ミクロン以下の程度の小粒度を持つ。このような粒度は、当該分野において既知の手段により、例えば、微粉化により得ることができる。活性成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、又はジクロロテトラフルオロエタン)、又は二酸化炭素若しくは他の適切な気体のような、適切な噴射剤との加圧パックとして提供される。このエーロゾルは、好都合にはレシチンのような界面活性剤も含む。薬物の用量は、計量バルブにより制御することができる。或いは、活性成分は、ドライパウダー、例えば、乳糖、デンプン、デンプン誘導体(ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)及びポリビニルピロリドン(PVP)のような、適切な粉末基剤中の化合物の混合粉末の剤形で提供することができる。粉末担体は、鼻腔内でゲルを形成する。この粉末組成物は、単位用量剤形(例えば、ゼラチンの、例えばカプセル又はカートリッジ)として、又はそこから吸入器を用いて粉末を投与することができるブリスターパックとして提示することができる。
【0149】
求められれば、活性成分の徐放又は制御放出投与のために腸溶性コーティングを適合させた処方を調製することができる。例えば、本発明の化合物は、経皮又は皮下の薬物送達装置中に処方することができる。これらの送達システムは、化合物の徐放が必要であるとき及び治療法の患者コンプライアンスが決定的に重要であるときに有利である。経皮送達システム中の化合物は、しばしば皮膚接着性固体支持体に取り付けられている。目的の化合物はまた、浸透促進剤、例えば、アゾン(Azone)(1−ドデシルアザ−シクロヘプタン−2−オン)と合わせることができる。徐放送達システムは、手術又は注射により皮下層へと皮下挿入される。この皮下インプラントは、脂溶性膜、例えば、シリコーンゴム、又は生分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸中に化合物を封入している。
【0150】
製剤の担体、希釈剤及び賦形剤と共に適切な処方は、Remington:薬学の科学と実際 1995, E.W. Martin編、Mack Publishing Company、第19版、イーストン、ペンシルバニア州に記載されている。熟練の調剤科学者は、本明細書の教示の範囲内でこの処方を修飾することにより、本発明の組成物を不安定にすることなく、またその治療活性を損なうことなく、特定経路の投与用の多数の処方を提供することができる。
【0151】
本発明の化合物を、例えば、水又は他のビヒクルにもっと溶解性にするための修飾は、軽微な修飾(塩形成、エステル化など)により容易に達成することができるが、このような修飾は、充分に当該分野における普通の技能の範囲内である。また、本発明の化合物の薬物動態を、患者が最大の有益な効果を得られるように管理するために、特定の化合物の投与の経路及び用法用量を修飾することも、充分に当該分野の普通の技能の範囲内である。
【0152】
本明細書において使用されるとき「治療有効量」という用語は、ある個人の疾患の症候を軽減するのに必要な量を意味する。用量は、各特定の症例における個々の要求に適合させられる。この用量は、治療すべき疾患の重篤度、患者の年齢及び全般的な健康状態、患者が処置される他の医薬、投与の経路及び剤形、並びに関与する医師の嗜好性及び経験のような、多数の因子に応じて、広い範囲内で変化させることができる。経口投与には、1日に約0.01〜約100mg/kg体重の間の1日用量が、単剤療法及び/又は併用療法において適切であろう。好ましい1日用量は、1日に約0.1〜約500mg/kg体重、更に好ましくは0.1〜約100mg/kg体重、そして最も好ましくは1.0〜約10mg/kg体重の間である。即ち、70kgのヒトへの投与には、用量範囲は、1日に約7mg〜0.7gであろう。1日用量は、単回用量として、又は分割用量にして、典型的には1日に1〜5回の間で投与することができる。一般に治療は、化合物の最適用量よりも少ない用量から開始する。次いで、個々の患者について最適効果に達するまで、用量を少しずつ増加させる。本明細書に記載される疾患を治療するのに普通の技能を持つ者ならば、過度の実験をすることなく、個人の知識、経験及び本出願の開示に頼って、所定の疾患及び患者のための本発明の化合物の治療有効量を突きとめることができよう。
【0153】
本発明の実施態様において、活性化合物又は塩は、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、別の非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤又はHIVプロテアーゼ阻害剤のような、別の抗ウイルス剤と併用して投与することができる。活性化合物又はその誘導体若しくは塩を別の抗ウイルス剤と併用して投与するとき、活性は親化合物を上まわることがある。その処置が併用療法であるとき、このような投与は、ヌクレオシド誘導体の投与に対して併用投与であっても又は連続投与であってもよい。よって本明細書において使用されるとき「併用投与」は、同時の又は異なる時点での薬剤の投与を含む。同時の2つ以上の薬剤の投与は、2つ以上の活性成分を含む単一処方により、又は単一活性剤を含む2つ以上の剤形の実質的同時投与により、達成することができる。
【0154】
当然のことながら、本明細書における治療への言及は、存在する症状の治療と同様に予防にも及び、そして動物の治療は、他の動物と同様にヒトの治療を含む。更に、本明細書において使用されるときHIV感染症の治療はまた、HIV感染症又はその臨床症候に伴うか又はこれが介在する疾患又は症状の治療又は予防を含む。
【0155】
本製剤は、好ましくは単位用量剤形である。このような剤形では、製剤は、適量の活性成分を含む単位用量に細分される。この単位用量剤形は、包装錠剤、カプセル剤、及びバイアル又はアンプル中の粉剤のような、離散量の製剤を含む包装物である、包装製剤であってよい。また、単位用量剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、又はトローチ剤自体であっても、或いは包装された形の適切な数の任意のこれらのものであってもよい。
【0156】
実施例23の医薬組成物は、当業者が本発明をより明瞭に理解し、実施できるように与えられる。これらは、本発明の範囲を限定するものと考えてはならず、単に本発明を例示し代表するものとして考えるべきである。
【0157】
式(I)の化合物は、有機化学の分野において既知の種々の方法により調製することができる。合成のための出発物質は、商業的供給源から容易に入手できるか、又は既知であるか、又はこれら自体も当該分野において既知の方法により調製することができる。以下の実施例(下記)は、当業者が本発明をより明瞭に理解し、実施できるように与えられる。これらは、本発明の範囲を限定するものと考えてはならず、単に本発明を例示し代表するものとして考えるべきである。
【0158】
実施例1
4−クロロ−3−メトキシフェニル酢酸エチル
【0159】
【化27】

【0160】
工程1
4−クロロ−3−メトキシトルエン(9a;0.5g;3.2mmol)、NBS(0.57g;3.2mmol)及び過酸化ベンゾイル(0.031g;0.13mmol)及びDCE 32mLの溶液を3時間加熱還流した。反応混合物を冷却し、CH2Cl2で希釈し、水及びブラインで洗浄した。有機抽出物を乾燥させ、濾過し、蒸発させ、ブロモメチル化合物(9b)を得て、それを更に精製をしないで使用した。
【0161】
工程2
前工程からの(9b)28g(0.166mmol)、NaCN(28g;0.58mmol;3.5当量)及び90%EtOH水溶液500mLを、室温で一晩撹拌した。粗残渣をEtOAc/H2O(各359mL)に分配し、ブラインで洗浄し、乾燥させ、濾過し、蒸発させた。勾配(100%ヘキサン 90:10 ヘキサン:EtOAc)で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーに付して、(9c)21gを得た。
【0162】
工程3
気状HClを、トルエン(10mL)、エーテル(10mL)及びEtOH(1mL)中の4−クロロ−3−メトキシアセトニトリル(9b)の冷却した溶液に、約10分間ゆっくりと泡立てた。反応に栓をして、−30℃で1週間保管した。TLCは、残留出発物質を少しも検出できなかった。溶媒を蒸発させ、黄色の固体をEt2Oで撹拌し、濾過し、Et2Oで洗浄し、真空オーブンで乾燥させて、4−クロロ−3−メトキシフェニルメチルイミド酸エチル(9d)0.57g(90%)を得た。
【0163】
工程4
前工程からの(9d)0.57g及びH2O 10mLの溶液を40℃で3時間加熱した。反応を室温に冷却し、EtOAcで抽出した。反応を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させて、得られた生成物(9e)を更に精製せずに使用した。
【0164】
実施例2
4−クロロ−3−(3−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)フェニルアセトニトリル
【0165】
【化28】

【0166】
工程1
NBS(1.066g;5.99mmol)、過酸化ベンゾイル(0.069g;0.28mmol)及び(54)(1.80g;5.70mmol)及びCCl4 20mLとの混合物を、90℃に2.5時間加熱し、室温に冷却し、水(100mL)に注ぎ、CH2Cl2(2×80mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させて、ブロモメチル誘導体(55)2.25gを無色の油状物として得て、それを次の工程に直接使用した。
【0167】
工程2
前工程からの(55)2.25g、NaCN(0.839g;17.12mmol)及び90%エタノール水溶液20mLとの混合物を、室温で24時間撹拌した。体積を真空下で原体積の約25%に減らした。得られた混合物をEtOAc(80mL)で希釈し、飽和NaCl 40mL及びH2O 40mLに注いだ。有機相を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させ、粗生成物を、ヘキサン:EtOAcの勾配(10:1 6:1)で溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、(56)1.10g(56.6%)を無色の油状物として得た。
【0168】
実施例3
[3−(2−クロロ−フェノキシ)−4−メチル−フェニル]−酢酸エチルエステル
【0169】
【化29】

【0170】
工程1
4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル酢酸エチル(4a;13.7g;65.2mmol)及びCH2Cl2 260mLの冷却した溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(16mL;97.9mmol)を窒素雰囲気下で滴加し、続いて追加のピリジン(8.9mL;8.8mmol)を滴加した。反応を氷−水浴で3時間撹拌した。溶液を分液漏斗に移し、水及びブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させて(4b)21g(90%)を得た。
【0171】
工程2
氷−水浴で冷却したTHF 4mL中の3−メトキシ−4−トリフルオロスルホニルオキシフェニル酢酸エチル(4b)の溶液に、Pd(dppf)Cl2(0.024g;0.029mmol)及びDIBAL−H(6mL;0.058mmol;PhMe中の1.0M)の溶液及び少量のTHFを、続いてジメチル亜鉛(0.29mL;0.58mmol;PhMe中の2.0M)をゆっくりと加えた。添加が完了した後、氷浴を取り外し、反応を室温に温め、次に1時間加熱還流した。反応を、少量の水で注意深くクエンチし、CELITE(登録商標)パッドで濾過し、固体をEtOAcで充分に洗浄した。合わせた有機抽出物を、水及びブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、溶媒を蒸発させて、3−メトキシ−4−メチルフェニル酢酸エチル(4c)0.240g(85%)を得た。
【0172】
工程3
−78℃に冷却した(4c)(2.2g;8.0mmol)及びCH2Cl2 250mLの溶液に、BBr3(9.8mL;0.104mol)を、シリンジを介して滴加した。−78℃で1時間後、反応を氷−水浴中で4時間撹拌した。反応混合物を−78℃に再冷却し、反応をNaHCO3水溶液でクエンチし、次に室温に温め、有機相を水、飽和NaHCO3及びブラインで洗浄した。有機相を乾燥させ(MgSO4)、溶媒を蒸発させて、3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル酢酸エチル(5a)1.4gを得た。
【0173】
工程4
前工程からの(5a)(4.8g;25mmol)、2−クロロベンゼンボロン酸(7.8g;50mmol)、Cu(OAc)2(5g;27.5mmol)、粉末Åモレキュラーシーブ(15g)及びCH2Cl2 250mLの懸濁液に。4日後、出発材料がTLCにより依然認められたので、追加のボロン酸5.0gを加えた。反応を更にもう1日撹拌し、懸濁液をCELITE(登録商標)パッド及びシリカゲルで濾過した。固体をCH2Cl2で充分に洗浄した。合わせた濾液を、2N HCl(2×25mL)、NaHCO3(25mL)、水及びブラインで、順次洗浄した。抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させた。粗生成物を、25% EtOAc:ヘキサンで溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、(33b)2.2g(28%)を得た。
【0174】
工程6
前工程からの(57)0.72g(2.6mmol)、HOAc(3.5mL)、HCl(7mL)及びH2O(3.5mL)との混合物を、6時間加熱還流し、室温に冷却し、水で希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた抽出物を、水、飽和NaHCO3及びブラインで順次洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製した。溶離された生成物は、依然3−クロロピリダジンを含有しており、HOAc(20mL)及びNaOAc(0.2g)に溶解し、再び単離して、(58)0.4g(50%)を白色の固体として得た;融点116〜118。
【0175】
実施例4
3−(2−クロロ−フェノキシ)−4−エチル−フェニル]−酢酸エチルエステル
【0176】
【化30】

【0177】
工程1
CH2Cl2(200mL)中の3−メトキシフェニル酢酸エチル(16.0g;82.38mmol)の撹拌した溶液に、AcCl(9.88mL;138.9mmol)を、続いて塩化第二スズ(16.9mL;169mmol;CH2Cl2中の1.0M溶液)を、室温にて滴加した。反応混合物を室温で6時間撹拌し、氷−水混合物に注いだ。水相をCH2Cl2で抽出し、合わせた抽出物を水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を真空下で除去した。粗生成物(4e)を、CH2Cl2:EtOAc(20:1)で溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、白色の固体13.96g(69.5%)を得た。
【0178】
工程2
0℃に冷却した(4e)(19g;80.42mmol)及びTFA 200mLの溶液に、過剰量のEt3SiHを加え、反応を室温に3時間温めた。過剰量のTFAを真空下で除去し、残渣を水とCH2Cl2に分配した。粗生成物を、CH2Cl2:ヘキサン(3:1)で溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、(4f)3.0g(16%)を得た。
【0179】
工程3
4−エチル−3−メトキシフェニル酢酸エチル(4f;3.0g;13.50mmol)及びCH2Cl2(80mL)の溶液を、−78℃に冷却し、溶液(5.10mL;53.94mmol;CH2Cl2中の1.0M)を30分かけて。−78℃で1時間後、反応を室温に温め、12時間撹拌した。反応を氷−水浴中で冷却し、反応を水20mLでクエンチした。水相をCH2Cl2:EtOAc(4:1 v/v)で抽出し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させた。粗生成物を、CH2Cl2:EtOAcの勾配(100:1 100:4)で溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、(5b)(2.0g;71%)を得た:m.s.209.2(M+H)
【0180】
工程4
4−エチル−3−ヒドロキシフェニル酢酸エチル(5b、0.20g;0.96mmol)、2−ヨード−クロロベンゼン(0.18mL;1.44mmol)、Cs2CO3(0.469g;1.44mmol)、TMHD(0.020mL;0.096mmol)及びNMP(15mL)の溶液を、窒素流で15分間脱ガスした。塩化第一銅(0.48g;4.8mmol)を加え、溶液を脱ガスした。反応混合物を120℃に11時間加熱し、次に室温に冷却した。懸濁液をCELITE(登録商標)パッドで濾過し、固体をEtOAcで充分に洗浄した。合わせた濾液を2N HClで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を蒸発させた。生成物を、EtOAc:ヘキサン(1:10)で溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、(33d)0.31g(39%)を得た。
【0181】
実施例5
[3−(3−クロロ−フェノキシ)−4−イソプロピル−フェニル]−酢酸エチルエステル
【0182】
【化31】

【0183】
工程1
−40℃に冷却したTHF(150mL)中のPPh3CH3Br(36.29g;101.6mmol)の懸濁液に、n−BuLi(40.6mL;ヘキサン中の1.6M)を滴加し、得られた溶液を−10℃に10分間温め、−40℃に再冷却した。得られた溶液に、4−アセチル−3−メトキシフェニル酢酸エチル(実施例4;工程1を参照)を一度に加え、反応混合物を0℃で30分間撹拌し、室温に温め、更に2時間撹拌した。反応混合物をヘキサンで希釈し、CELITE(登録商標)パッドで濾過し、固体をヘキサン:Et2O(5:1 v/v;60mL)で洗浄した。合わせた有機層を水(50mL)及びブライン(50mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させて、黄色の油状物を得た。生成物を、CH2Cl2:ヘキサン(1:1 2:1)で溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、(4g)9.1gを得た。
【0184】
工程2
HOAc 50mL及びEtOH 50mL中の(4g)(9.0g;38.41mmol)、5%Pd/C(380mg)の懸濁液を、水素雰囲気下(50psi)で7時間振とうした。混合物をCELITE(登録商標)パッドで濾過し、濾過した触媒をEtOAcで洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させ、MTBEに溶解した残渣を飽和HaHCO3、水及びブラインで注意深く洗浄した。得られた溶液を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させて、4−イソ−プロピル−3−メトキシフェニル酢酸エチル(4h;9.0g)を、黄色の油状物として得た。
【0185】
工程3
前工程からの(4h)(3.38g;14.30mmol)及びCH2Cl2(150mL)の溶液を、−78℃に冷却し、CH2Cl2 130mL中のBBr3(5.41mL;57.22mmol)の溶液を、30分間かけて滴加した。反応混合物を−78℃で1時間撹拌し、室温に4時間温め、−78℃に再冷却し、飽和NaCO3(80mL)で注意深くクエンチした。水層をCH2Cl2(1×100mL)、EtOAc(50mL)で抽出し、合わせた水層を水及びブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、蒸発させて、明褐色の油状物を得た。フェノールを、CH2Cl2:ヘキサン(3:1) CH2Cl2 CH2Cl2:EtOAc(100:4)で溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、4−イソ−プロピル−3−ヒドロキシフェニル酢酸エチル(5c;3.0g;94%)を得た。
【0186】
工程4
前工程からの(5c)(1.0g;4.5mmol)、3−クロロベンゼンボロン酸(0.844g;5.4mmol)、酢酸第二銅(0.899g;4.95mmol)、4Åモレキュラーシーブ(5.0g)及びCH2Cl2(50mL)の溶液に、TEA(3.14mL;22.53mmol)を加え、反応を3日間撹拌した。反応混合物を、CELITE(登録商標)パッドで濾過した。モレキュラーシーブを含む最上層を除去し、CH2Cl2で撹拌し、再び濾過した。合わせた有機濾液を2N HCl及びブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させた。粗生成物を、ヘキサン/EtOAcの勾配(90% ヘキサン/EtOAc)で溶離するシカゲルのクロマトグラフィーに付して、(33f)(1.0g;66%)を得た。
【0187】
工程6
得られた(59)0.64g(1.44mmol)、HOAc(12mL)、HCl(24mL)及びH2O(12mL)との混合物を、16時間加熱還流し、室温に冷却し、EtOAcで抽出した。合わせた抽出物を、H2Oで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空下で濃縮して、褐色の固体を得た。粗生成物を、CH2Cl2:EtOAc(15:1 8:1)の勾配で溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、(60)0.10g(20%)を得た。
【0188】
実施例6
4−メチル−3−(3−フルオロフェノキシ)フェニル酢酸エチル
【0189】
【化32】

【0190】
(32b)(0.80g;4.12mmol)及びNMP 7mLの撹拌した溶液に、1−ブロモ−3−フルオロベンゼン(0.69mL;6.18mmol)、TMHD(0.086mL;0.41mmol)、Cs2CO3(2.68g;8.24mmol)及びCu(I)Cl(0.204g;2.06mmol)を、窒素雰囲気下で加えた。反応を120℃に3時間加熱した。反応混合物を周囲温度に冷却し、2N HClとEtOAcとの混合物でクエンチした。水層をEtOAcで3回抽出し、合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発乾固した。粗生成物を、ヘキサン:Et2O(9:1)で溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーに付して、(33c)(0.60g;50%)を得た。
【0191】
実施例7
3−(3−クロロ−フェノキシ)−4,5−ジメチル−安息香酸エチルエステル
【0192】
【化33】

【0193】
工程1
4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル酢酸(6a;1.0g;5.49mmol)及びヘキサメチレンテトラミン(0.808g;5.76mmol)及びTFA(7mL)との混合物を撹拌し、90℃で4時間加熱した。反応を冷却し、過剰量のTFAを真空下で除去し、氷水35mLを残渣に加えた。得られた暗褐色溶液を室温で20分間撹拌した。水溶液をEt2O(40mL)で抽出し、抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させて、(6b)0.70gを得た(61%;m.s.(M+H)=211.13;mw=210)。
【0194】
工程2
EtOH(80mL)中の(6b)(4.0g;19.03mmol)の溶液に、濃H2SO4(1mL)を加えた。反応を6時間加熱還流した。EtOHの約80%を真空下で除去し、残渣をEtOAc/H2O(1:1)に分配し、有機相残渣を10%NaHCO3、水(100mL)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させて、褐色の油状物(7a)を得た(88%;m.s.(M+H)=239.19;mw=238.3)。
【0195】
工程3
前工程からの(7a)(3.70g;15.53mmol)、5%Pd/C(0.350g)、HOAc(45mL)との混合物を、水素雰囲気下(40psi)で8時間振とうした。TLC(薄層クロマトグラフィー)は生成物及び対応するベンジルアルコールを示した。HOAc25mL中の追加のPd/C 300mgを加え、水素化を更に8時間続けた。HOAc(15mL)中のPd/Cの2番目の部分の0.15gを加え、反応を更に12時間続けた。混合物をEtOAcで希釈し、CELITE(登録商標)パッドで濾過した。触媒をEtOAcで洗浄し、合わせた有機抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、蒸発させた。生成物を、CH2Cl2:ヘキサン(4:1)で溶離するシカゲルのクロマトグラフィーで精製して、(7b)2.64g(75.8%)を得た。
【0196】
工程4
0℃に冷却したCH2Cl2中の(7b)(5.87g;26.175mmol)の溶液に、ピリジン(3.60mL;44.51mmol)を加え、続いてトリフルオロメタンスルホン酸無水物(6.605mL;39.26mmol)を約20分間かけて滴加した。反応を0℃で3.5時間撹拌した。反応混合物を希HCl及び半飽和NaHCO3で抽出し、乾燥させ(Na2SO4)、蒸発させて、(7c)9.41gを褐色の油状物(100%)として得た。
【0197】
工程5
0℃に冷却したTHF(40mL)中のPdCl2(dppf)(0.650g;0.785mmol)の懸濁液に、DIBAL−H(PhMe中の1.0M;1.57mL;1.57mmol)の溶液を滴加した。得られた混合物を0℃で5分間撹拌し、THF 5mL中の(7c)の溶液を、続いてMe2Zn(23mL;46.0mmol;PhMe中の1.0M)を加えた。混合物を0℃で5分間撹拌し、2.5時間加熱還流し、次に室温に30分間冷却した。反応を希HClに注ぎ、EtOAc(2×100mL)で抽出し、乾燥させ(Na2SO4)、蒸発させた。粗生成物を、CH2Cl2:ヘキサン(1:2 1:1 2:1 v/v)で溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、(8)5.1g(87.6%)を得た。
【0198】
工程6
3,4−ジメチル−5−メトキシフェニル酢酸エチル(8;0.560g;2.519mmol)及びCH2Cl2(40mL)の溶液を、−78℃に冷却し、BBr3(10.1mL;10.1mmol;CH2Cl2中の1.0M)の溶液を、10分間かけて滴加した。−78℃で1時間後、反応を室温に温め、12時間撹拌した。反応を氷−水浴中で冷却し、反応を氷/水15mLでクエンチした。水相をCH2Cl2:EtOAc(3:1 v/v)で抽出し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させて、(8)(0.52g;99%;m.s.209.21(M+H))を得た。
【0199】
工程7
3,4−ジメチル−5−ヒドロキシフェニル酢酸エチル(8、1.0g;4.8mmol)、3−クロロベンゼンボロン酸(0.901g;5.762mmol)、Cu(OAc)2(0.959g;5.28mmol)、粉末4Åモレキュラーシーブ(5.0g)及びCH2Cl2(40mL)。40時間後、出発材料がTLCにより依然認められたので、追加のボロン酸0.35gを加えた。反応を更に72時間撹拌した。反応混合物を、CELITE(登録商標)パッド及びシリカゲルで濾過した。固体をCH2Cl2で充分に洗浄した。合わせた濾液を、2N HCl(2×25mL)、NaHCO3(25mL)、水及びブラインで、順次洗浄した。抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させた。粗生成物をEtOAc:ヘキサン(1:15 1:10)で溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製し、(33e)(1.0g;65%;(M+H)=319.34、mw=318)を得た。
【0200】
工程8
氷−水浴で冷却した乾燥DMF 10mL中の(33e)1.0g(3.14mmol)、3,6−ジクロロピラジン0.935g(6.276mmol)の溶液に、NaH 0.313g(7.825mmol;油中60%)を、少しずつ加えた。反応を0℃で5分間撹拌し、次に周囲温度に温め、14時間撹拌した。反応を、氷、水及び重硫酸ナトリウムとの混合物に注いだ。混合物をEtOAcで充分に抽出し、合わせた抽出物を5%LiCl、水及びブラインで洗浄した。抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させ、残渣をヘキサン:EtOAc(10:1 8:1)で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーに付して、(61)1.0g(73.9%)を得た:m.s.(M+H)=431.29。
【0201】
工程9
前工程からの(61)1.0g(2.318mmol)、HOAc(12mL)、HCl(24mL)及びH2O(12mL)との混合物を、16時間加熱還流し、室温に冷却し、EtOAcで抽出した。合わせた抽出物を、H2Oで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空下で濃縮して、褐色の固体を得た。粗生成物を、CH2Cl2:EtOAcの勾配(8:1)で溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、(62)0.150g(18%)を褐色の固体として得た;m.s.(M+H)=341.27;mw=340.8。
【0202】
実施例8
(4−クロロ−2−メチル−3−フェノキシ−フェニル)−アセトニトリル
【0203】
【化34】

【0204】
工程1
氷−水浴で冷却した3−ヒドロキシ−2−メチル安息香酸(11;22.8g;0.15mol)及び水(300mL)の懸濁液に、3M NaOH(約60mL)を加えてpHを約10に調整した。NaOCl(208mL;5.35%水溶液;0.15mol)を、温度を2〜6℃の間に保ちながら、約30分間かけて滴加した。添加が完了した後、3M HCl 90mLを一度に加えた。得られた沈殿物を回収し、焼結ガラスフィルターで乾燥させた。粗生成物を、Et2O:ヘキサン(約3:1)から再結晶化させて、黄色の固体(12)(12.24g;44%)を得た。
【0205】
工程2
前工程からの(12)(12.24g;65.6mmol)、MeOH(200mL)及び濃H2SO4(3.85mL)の溶液を、室温で一晩撹拌し、次に6時間加熱還流した。溶液を冷却し、原体積の約10%に濃縮し、残渣をEtOAcに再び溶解した。有機相を飽和NaHCO3及びブラインで洗浄し、乾燥させ、濾過し、蒸発させた。粗生成物を、EtOAc:ヘキサンの勾配(1:9 4:6)で溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製した。合わせた画分を蒸発させて、(13)(8.32g;63.2%)を得た。
【0206】
工程3
4−クロロ−3−ヒドロキシ−2−メチル安息香酸メチル(13;1.0g;4.98mmol)、ベンゼンボロン酸(1.52g;12.5mmol)、酢酸第二銅(1.00g;5.48mmol)、4Åモレキュラーシーブ(1g)及びCH2Cl2(25mL)の溶液に、TEA(3.47mL;24.9mmol)を加え、反応を一晩撹拌した。出発材料がTLCにより依然検出されたので、追加のベンゼンボロン酸0.62gを加え、更に24時間撹拌した。反応混合物を、CELITE(登録商標)パッドで濾過した。モレキュラーシーブを含む最上層をCHCl3で洗浄した。合わせた有機濾液を蒸発させた。粗生成物を、ヘキサン/EtOAcの勾配(100:0 85:15)で溶離するシカゲルのクロマトグラフィーに付して、(14)(0.82g;60%)を得た。
【0207】
工程4
氷−水浴で冷却したPhMe(20mL)に溶解した4−クロロ−2−メチル−3−フェノキシ安息香酸メチル(14;0.780g;2.81mmol)の溶液に、DIBAL−H(7.41mL;7.41mmol;PhMe中の1.0M)を滴加した。反応を、MeOH、H2O及び濃HClを順次加えてクエンチした。有機相をEt2Oで抽出した。合わせた有機抽出物を、飽和NaHCO3、水及びブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させ、(15)を白色の油状物として得て、それを更に精製せずに次の工程で使用した。
【0208】
工程5
ピリジン(10mL)に溶解した(15)(0.736g;2.96mmol)の溶液に、メタンスルホニルクロリド(0.252μl;5.92mmol)を、5分間かけて滴加した。30分後、少量の出発材料が認められたので、追加のメタンスルホニルクロリド25μlを加えた。反応をEt2Oと5%HClに分配した。有機相を5%HCl、水、飽和NaHCO3及びブラインで2回洗浄した。有機抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させた。粗生成物を、10% EtOAc:ヘキサンで溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーに付して、塩化ベンジル(16)(0.220g)を無色の油状物として得た。
【0209】
工程6
塩化ベンジル(16)(0.220g;0.82mmol)を、EtOH(1mL)及びKCN(0.107g;1.64mmol)及び水1mLに溶解した。混合物を加熱還流し、CH3CN(0.3mL)を加えて均質な溶液を生成し、それを一晩還流した。反応混合物を真空下で濃縮し、水とCH2Cl2に分配した。有機相をブラインで2回洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させて、更なる工程に充分に純粋な(17)(0.210g)を得た。
【0210】
実施例9
4−クロロ−3−(3−シアノ−5−フルオロフェノキシ)フェニル酢酸エチル
【0211】
【化35】

【0212】
4−クロロ−3−ヒドロキシフェニル酢酸エチル(34a;1.4g;6.5mmol)及びNMP(13mL)の溶液に、炭酸カリウム(2.7g、19.6mmol)及び3,5−ジフルオロベンゾニトリル1.2g(1.2g、8.5mmol)を加えた。反応混合物を120℃に加熱し、TLCにより監視した。3.5時間後、追加のK2CO3 0.9gを加え、5.5時間後、追加のK2CO3 0.9g及び3,5−ジフルオロベンゾニトリル0.3gを加えた。加熱の8時間後、反応を室温に冷却し、反応混合物をCELITE(登録商標)パッドで濾過し、固体ケーキをEtOAcで充分に洗浄した。濾液を2N HCl、1N NaOH、水及びブラインで2回に分けて洗浄した。有機抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させて、エーテル(35a)1.3gを得た。
【0213】
実施例10
4−クロロ−3−(2,5−ジクロロフェノキシ)フェニル酢酸エチル
【0214】
【化36】

【0215】
4−クロロ−3−ヒドロキシフェニル酢酸エチル(34a、2.0g;9.3mmol)、2,5−ジクロロ−ブロモベンゼン、Cs2CO3(6.0g;18.6mmol)、TMHD(0.38mL;1.9mmol)及びNMP(15mL)の溶液を、窒素流で15分間脱ガスした。塩化第一銅(0.5g;4.7mmol)を加え、溶液を再び脱ガスした。反応混合物を120℃に18時間加熱し、次に室温に冷却した。懸濁液をCELITE(登録商標)パッドで濾過し、固体をEtOAcで充分に洗浄した。合わせた濾液を2N HClで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、溶媒を蒸発させた。生成物を、EtOAc:ヘキサン(1:10)で溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、(35b)(0.554g;16%)を得た。
【0216】
実施例11
4−クロロ−3−(4−ブロモフェノキシ)トルエン
【0217】
【化37】

【0218】
2−クロロ−4−メチルフェノール(36;3.0g;21mmol)、4−ブロモベンゼンボロン酸(5.0g;24mmol)、酢酸第二銅(4.2g;23.1mmol)、4Åモレキュラーシーブ及びCH2Cl2(210mL)の溶液に、TEA(9.8mL;70mmol)を加え、反応を3日間撹拌した。反応混合物を、CELITE(登録商標)パッドで濾過した。モレキュラーシーブを含む最上層を除去し、CH2Cl2で撹拌し、再び濾過した。合わせた有機濾液を2N HCl及びブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させた。粗生成物を、ヘキサン/EtOAcの勾配(100:0 90:10)で溶離するシカゲルのクロマトグラフィーに付して、(37a)を得た。
【0219】
実施例12
4−クロロ−3−フェノキシトルエン
【0220】
【化38】

【0221】
CH2Cl2(250mL)に溶解したベンゼンボロン酸(1.9g;15.8mmol)の溶液に、2−クロロ−5−メチルフェノール(36;2.5g;17.5mmol)、酢酸第二銅(3.5g;19.3mmol)、TEA(12.3mL;87.7mmol)及び4Åモレキュラーシーブ12.5gを加えた。反応を24時間撹拌し、ベンゼンボロン酸(2.4g;19.3mmol)の追加のアリコートを加え、撹拌を更に48時間続けた。反応混合物をCELITE(登録商標)ベッドで濾過し、濾過した固体をCH2Cl2で充分に洗浄した。合わせた有機抽出物を2N HCl、H2O、飽和NaHCO3、H2O及びブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させた。粗生成物を、ヘキサン:EtOAc(9:1)で溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、(37b)(1.6g;47.1%)を澄明な油状物として得た。
【0222】
実施例13
4−クロロ−2−フルオロ−3−フェノキシトルエン
【0223】
【化39】

【0224】
工程1
4−クロロ−2−フルオロ−3−ヒドロキシトルエン(18;0.161g;1.0mmol)、p−フルオロニトロ−ベンゼン(0.141g;1.0mmol)、K2CO3(0.276g;2mmol)及びDMF(4mL)の溶液を、窒素雰囲気下で4時間加熱還流した。反応を室温に冷却し、水に注ぎ、数分間撹拌した。水溶液をCH2Cl2で2回抽出し、合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させて、(20)を得た。
【0225】
工程2
前工程からの(20)(1.58g;5.3mmol)、塩化第一スズ二水和物(6.0g;26.6mmol)及びEtOH(5mL)の溶液を、70℃に加熱し、一晩撹拌した。反応混合物を少量の氷に加え、10%Na2CO3で塩基性にした。水相をEtOAc(5mL)で抽出し、その結果エマルションになった。エチレンジアミン約7mLをキレートスズに加え、その結果青色の水溶液になった。EtOAcを水及びブラインで洗浄し、乾燥させ(NaHCO3)、濾過し、蒸発させ、(21)1.35gを得て、それを次の工程に持ち込んだ。
【0226】
工程3
前工程からの(21)(0.830g;3.3mmol)の溶液を、HOAc(2.25mL)に溶解し、氷−水(7.5mL)及びHCl(1.2mL)の溶液に加えた。NaNO2(0.254g;5.6mmol)及びH2O(1.5mL)の溶液を、10〜15分間かけて加えた。得られた溶液を数分間撹拌し、次にFeSO4・7H2O(0.917g;3.3mmol)とDMF(10.5mL)との懸濁液に、15分間かけて滴加した。反応を0.5時間撹拌し、ヘキサン:EtOAc(1:1;30mL)の混合物を加えた。有機相を水で3回洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、真空下で濃縮した。暗色の油状物を、EtOAc:ヘキサンの勾配(0:100 20:80)で溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、(22)を澄明な油状物(0.450g;58%)として得た。
【0227】
実施例14
[3−(3−ブロモ−5−フルオロ−フェノキシ)−4−クロロフェニル]アセトニトリル(63b)
【0228】
【化40】

【0229】
工程1
炭酸セシウム(11.4g、8.79mmol)を、2−クロロ−5−メチルフェノール(18;2.5g;17.53mL)及びNMP(16mL)の溶液に加えた。得られたスラリーを脱ガスし、フラスコを窒素でパージとリフィルを交互に行った。1,3−ジブロモ−フルオロベンゼン(3.54g;28.13mmol)、TMHD(0.92mL;0.81g;4.41mmol)及びCu(I)Cl(0.87g;8.79mmol)を順次加え、反応混合物を110℃に6時間加熱した。反応混合物を周囲温度に冷却し、CELITE(登録商標)ベッドで濾過し、フィルターケーキをEtOAcで充分に洗浄した。濾液を希HCl、希NaOH、水及びブラインで順次洗浄した。有機抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させた。残渣を、ヘキサン:Et2Oで溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーに付して、(37c)1.8g(32%)を無色の油状物として得た。
【0230】
工程2
前工程からの(37c)(1.8g;5.704mmol)、NBS(1.066g;5.989mmol)、過酸化ベンゾイル(0.069g;0.28mmol)及びCCl4(20mL)との混合物を、90℃に2.5時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、H2O 100mLに注いだ。混合物をCH2Cl2(2×80mL)で抽出し、乾燥させ(Na2SO4)、蒸発させて、(63a)(2.25g)を、無色の油状物として得た。
【0231】
工程3
前工程からの(63a)(2.25g;5.704mmol)、NaCN(0.839g;17.12mmol)及び90%EtOH水溶液20mLの溶液を、室温で24時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をEtOAc(100mL)とH2O(100mL)に分配した。EtOAc相をH2O及び飽和ブラインで洗浄した。有機抽出物を乾燥させ(Na2SO4)、蒸発させた。粗生成物を、ヘキサン/EtOAcの勾配(10:1 6:1)で溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、(63b)1.10g(56.6%)を、無色の油状物として得た。
【0232】
実施例15
[3−(3−クロロ−フェノキシ)−4−エチル−フェニル]−酢酸エチルエステル
【0233】
【化41】

【0234】
4−エチル−3−ヒドロキシフェニル酢酸エチル(4f;1.0g;4.81mmol)、3−クロロベンゼンボロン酸(1.56g;10.1mmol)、酢酸第二銅(0.96g;5.29mmol)、4Åモレキュラーシーブ(5g)及びCH2Cl2(48mL)の溶液に、TEA(3.34mL;24.05mmol)を加え、反応を4日間撹拌した。反応混合物を、CELITE(登録商標)パッドで濾過した。モレキュラーシーブを含む最上層を除去し、CH2Cl2で撹拌し、再び濾過した。合わせた有機濾液を2N HCl及びブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させた。粗生成物を、ヘキサン/EtOAc(90% ヘキサン/EtOAc)で溶離するシカゲルのクロマトグラフィーに付して、(33e)(0.38g;25%)を得た。
【0235】
実施例16
[3−(3−ブロモ−フェノキシ)−4−クロロ−フェニル]−アセトニトリル
【0236】
【化42】

【0237】
3−ヒドロキシ−4−メチル−フェニルアセトニトリル(32a;0.92g;6.2mmol)、Cu(OAc)2(1.3g;6.9mmol)、3−ブロモベンゼンボロン酸(1.1g;5.5mmol)及び粉末4Åモレキュラーシーブをフラスコに仕込み、CH2Cl2(62mL)を、続いてピリジン(2.5mL;31mmol)を加えた。反応を室温で3日間撹拌した。懸濁液をCELITE(登録商標)/シリカゲルのベッドで濾過し、固体をCH2Cl2で洗浄した。合わせた濾液を、2N HCl(2×25mL)、NaHCO3(25mL)、水及びブラインで、順次洗浄した。抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させた。粗生成物(76)は、次の工程で使用するのに充分に純粋であった。
【0238】
実施例17
[3−(3−ブロモ−フェノキシ)−4−フルオロ−フェニル]−アセトニトリル
【0239】
【化43】

【0240】
工程1
2−フルオロ−4−メチルフェノール(79;3.0g;24mmol)、3−クロロベンゼンボロン酸(5.3g;24mmol)、酢酸第二銅(4.8g;23.1mmol)、4Åモレキュラーシーブ(15g)及びCH2Cl2(240mL)の溶液に、TEA(17mL;120mmol)を加え、反応を4日間撹拌した。モレキュラーシーブを濾過し、CH2Cl2で充分に洗浄した。合わせた有機濾液を2N HCl、ブライン、2N NaOH、水及びブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させた。粗生成物を、ヘキサン:EtOAc(90% ヘキサン:EtOAc)で溶離するシカゲルのクロマトグラフィーに付して、(80)(5.7g;推定純度72%)を得た。
【0241】
工程2
前工程からの(80)(4.1g;14.6mmol)、NBS(2.6g;14.6mmol)、AIBN(0.25g;1.50mmol)及びCCl4 146mLの溶液を、5.0時間加熱還流し、室温に冷却し、沈澱したスクシンイミドをCELITE(登録商標)パッドで濾過した。濾液を蒸発させ、粗生成物(81a)は次の工程で使用するのに充分に純粋であった。
【0242】
前工程からの粗ブロモメチル化合物(81a)を、90%EtOH水溶液73mLに溶解し、NaCN 2.5g(49.01mmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。固体物質を、CELITE(登録商標)パッドで濾過し、濾液を蒸発させた。粗生成物を30% EtOAc:ヘキサンで溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製し、ニトリル(81b)(2.4g;54%)を得た。
【0243】
実施例18
(7−ヒドロキシ−ベンゾフラン−5−イル)−酢酸エチルエステル
【0244】
【化44】

【0245】
工程1
(28a)(5.0g;24.2mmol)及び無水CH2Cl2(75mL)の溶液に、塩化アセチル(2.42mL;33.9mmol)及びSnCl4(5.39mL;46.1mmol;CH2Cl2中の1M溶液)を順次加えた。反応を室温で50分間撹拌し、氷と2N HCl(200mL)との混合物に注いだ。有機相を分離し、CH2Cl2約50mLで希釈し、水(100mL)で3回、ブライン(100mL)で1回洗浄した。有機相を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させて、約10%の(28a)を含有する(28b)(6.0g)を得た。粗生成物を更に精製しないで使用した。
【0246】
工程2
前工程からの(28b)(6.01g;24.2mmol)及びCH2Cl2(100mL)の氷冷溶液に、MCPBA(11.9g;48.4mmol)及びCH2Cl2(12mL)の溶液を、続いてTFA(2.14mL;27.8mmol)を、窒素雰囲気下で順次加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、5%Na2SO3水溶液(150mL)を撹拌しながらゆっくりと加えた。添加が完了した後で、混合物を5分間撹拌し、沈澱したm−クロロ安息香酸を濾過した。固体をCH2Cl2で、合わせた濾液を10%NaOH(2×250mL)、2N HCl(200mL)、水及びブラインで洗浄した。得られた溶液を乾燥させ(MgSO4)、CELITEパッドで濾過し、真空下で濃縮して(28c)(4.1g)を得た。
【0247】
工程3
ジヒドロフラン誘導体(28c)(14.6g;0.0553mol)及びCCl4(500mL)の溶液に、NBS(10.3g;0.0580mol)及びAIBN(1.4g)を加えた。反応を窒素雰囲気下で30分間加熱還流した。反応を冷却し、固体スクシンイミドを濾過し、有機相を0.5M NaHSO4(150mL)及びブラインで洗浄した。生成物を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させて、黄色のシロップ15.2gを得た。粗生成物を、EtOAc:ヘキサンの勾配(3:97 10:90)で溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製して、(30)10.3g(78.1%)を得た。
【0248】
工程4
前工程からの(30)(10.3g;39.3mmol)、EtOH(250mL)及び飽和NaHCO3(100mL)の溶液を、1時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、EtOHを真空下で除去した。氷を残留水溶液に加え、反応を2N HClでpH約2に注意深く酸性化した。得られた混合物をEtOAc(2×300mL)で抽出し、合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させて、褐色の油状物(8.8g)を得た。粗生成物を、15% EtOAc:ヘキサンのシリカゲルカラムに通して、(31)(5.44g;62.9%)を白色の固体として得た。
【0249】
実施例19
5−(4−クロロ−3−フェノキシ−ベンジル)−3H−[1,3,4]オキサジアゾール−2−オン(49)
【0250】
【化45】

【0251】
EtOH(10mL)中のエステル(46a)(517mg、2.03mmol)の溶液に、ヒドラジン水和物(85%溶液中の1.3mL)を加え、混合物を一晩加熱還流した。揮発性物質を除去し、残留物質をEtOAc(50mL)に溶解した。溶液をブライン(20mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、揮発性物質を蒸発させて、所望のアシルヒドラジン(46b)(460mg、82%)を白色の固体として得た。オーブンで乾燥させた100mLのフラスコに、(46b)(152mg、0.55mmol)を仕込み、窒素でフラッシュした。CH2Cl2(6mL)及びピリジン(45μl、0.55mmol)を加え、溶液を1分間撹拌した。塩化メチレン(570μl、1.93M、1.098mmol)中のホスゲンの溶液を、シリンジを介して滴加し、反応を10分間撹拌した。水(15mL)及びCH2Cl2(10mL)を反応混合物に加え、層を分離し、有機層を水(10mL)及びブライン(10mL)で洗浄した。溶液を無水Na2SO4で乾燥させ、溶液を濾過し、揮発性物質を蒸発させて、(27)(168mg、100%;ms(EI):(M)=302)を得た。
【0252】
実施例20
5−[4−クロロ−3−(2−クロロ−フェノキシ)−ベンジル]−3H−[1,3,4]チアジアゾール−2−オン(31)
【0253】
【化46】

【0254】
HClを、ニトリル(50)(210mg、0.76mmol)、トルエン(5mL)及びエタノール(49μl、0.87mmol)の氷冷溶液に、10分間泡立てた。得られた混合物を、密閉したフラスコ中に3℃で一晩保存した。エチルエーテルを反応混合物に加え、イミド酸エステル(51)(209mg)を濾過により白色の固体として回収した。この物質を、無水ジオキサン(3mL)中のヒドラジンカルボチオ酸O−メチルエステル(55mg、0.52mmol)(Mattes, R, ら Chem. Ber. 1980 113:1981-88)の懸濁液に、3回に分けて加えた。不均一な反応混合物を室温で4時間撹拌し、次に一晩加熱還流した。次に反応を室温に冷却し、溶媒を蒸発により除去した。冷やした水(20mL)を加え、混合物をCH2Cl2(20mL)で3回抽出した。有機層を水(20mL)、ブライン(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物質を、フラッシュクロマトグラフィー(溶離:25%〜50% 酢酸エチル:ヘキサン)により精製して、所望のメトキシチアジアゾール(52)を得た。(52)、THF(3mL)及び濃HCl(1mL)の溶液を、一晩撹拌した。溶液を一晩撹拌し、エーテル(20mL)を加え、層を分離した。有機層を水(10mL)、ブライン(10mL)で洗浄し、乾燥させた(MgSO4)。溶媒を蒸発させ、残留物質を、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(10% 25% EtOAc/ヘキサン)により精製して、(53)76mg(イミド酸エステルから38%;ms (EI):(M+)=353)を得た。
【0255】
実施例21
5−[4−クロロ−3−(2−クロロ−フェノキシ)−ベンジル]−4−メチル−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン(48)
【0256】
【化47】

【0257】
エステル(46c)(219mg、0.67mmol)及びEtOH(10mL)の溶液に、ヒドラジン水和物(1.2mL;85%水溶液)を加え、この溶液を4時間加熱還流した。揮発性物質を除去し、残留物質をEtOAc(50mL)に溶解した。溶液を水(20mL)、ブライン(20mL)で洗浄し、乾燥させた(MgSO4)。溶液を濾過し、揮発性物質を蒸発させて、アシルヒドラジン(46d)(200mg、96%)を白色の固体として得た。(46d)(96mg、0.31mmol)及び無水THF(4mL)の溶液に、エチルイソシアナート(40μl、0.50mmol)を窒素雰囲気下で加え、混合物を一晩撹拌した。揮発性物質を蒸発させ、得られたジアシルヒドラゾン(47)をメタノール(4mL)に溶解した。水酸化カリウム(173mg;3.1mmol)を加え、混合物を2日間加熱還流した。CH2Cl2(20mL)及び水(10mL)を加え、水層を10%HClで酸性化した。層を分離し、水層をCH2Cl2(20mL)で2回抽出した。合わせた有機層を、水(10mL)、ブライン(10mL)で洗浄し、乾燥させた(Na2SO4)。溶液を濾過し、揮発性物質を蒸発させ、残渣をEtOAcで溶離するシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製して、(48)(54mg、アシルヒドラジン(47)から48%;ms:364(M+H))を得た。
【0258】
実施例22
HIV逆転写酵素アッセイ:インヒビターIC50測定法
HIV−1 RTアッセイを、精製した組換え酵素及びポリ(rA)/オリゴ(dT)16テンプレート−プライマーを使用し、総量50μlで、96−ウエルMillipore MultiScreen MADVNOB 50プレートで実施した。アッセイの構成成分は、50mMトリス/HCl、50mM NaCl、1mM EDTA、6mM MgCl2、5μM dTTP、0.15μCi[3H]dTTP、2.5μg/mLオリゴ(dT)16に予めアニールした5μg/mLポリ(rA)及び最終濃度におけるインヒビター濃度範囲の10%DMSOであった。反応を4nM HIV−1 RTを加えて開始し、37℃で30分間のインキュベーションの後、反応を20%氷冷TCA50μlの添加によって停止させ、4℃で30分間沈殿させた。沈殿物を、プレートに真空を適用して回収し、10%TCA(3×200μl)及び70%エタノール(2×200μl)で順次洗浄した。最後に、プレートを乾燥させ、ウエルごとにシンチレーション液25μlを加えた後で、Packard TopCounterで放射活性をカウントした。IC50を、阻害率に対するlog10インヒビター濃度をプロットして計算した。
【0259】
【表4】

【0260】
実施例23
医薬組成物
【0261】
【表5】

【0262】
成分を混合し、それぞれ約100mgを含有するカプセルに調剤する。1カプセルが1日用量のほぼ全てとなる。
【0263】
【表6】

【0264】
成分を合わせ、メタノールのような溶媒を使用して粒状にする。次に配合物を乾燥させ、適切な錠剤成形機を用いて錠剤(活性化合物約20mg含有)を形成する。
【0265】
【表7】

【0266】
成分を混合して、経口投与用の懸濁剤を形成する。
【0267】
【表8】

【0268】
活性成分を注射用の水の一部に溶解する。次に塩化ナトリウムの充分な量を撹拌しながら加えて、溶液を等張にする。注射用の水の残りで溶液の重量にして、0.2μ膜フィルタ−を通して濾過し、滅菌条件下で包装する。
【0269】
【表9】

【0270】
成分を一緒に溶融し、蒸気浴で混合し、全重量2.5gを含有する型に注ぐ。
【0271】
【表10】

【0272】
水以外の全ての成分を合わせ、撹拌しながら約60℃に加熱する。次に、充分な量の水を激しく撹拌しながら約60℃で加え、成分を乳化し、次に、約100gにするのに充分な量の水を加える。
【0273】
鼻腔スプレー用処方
活性化合物を約0.025〜0.5%含有するいくつかの水性懸濁液を、鼻腔スプレー用処方として調製する。配合物は、場合により例えば、微晶質セルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、デキストロース等のような不活性成分を含む。塩酸を加えてpHを調整してよい。鼻腔スプレー用処方は、鼻腔スプレー計量ポンプを介して、典型的には1回の作動で配合物を約50〜100μl送達する。一般的な投与スケジュールは、4〜12時間毎に2〜4回のスプレーである。
【0274】
前記の記載、又は下記の特許請求項、又は添付の図において開示された特徴であり、特定の形態で、又は開示された機能を実行する手段により、又は適切であれば、開示された結果に達成する方法若しくは手順に関して表わされた特徴は、別個に、又は、このような特徴の任意の組み合わせにおいても、それらの多様な形態において本発明を実現することのために利用することができる。
【0275】
前記の発明は、明瞭さ及び理解の目的のために、説明及び例として幾つかの詳細が記載されている。変更及び変形を添付の請求項の範囲内で実施してもよいことが、当業者には明白であろう。したがって、上記の記載は、例示的であり制限的ではないことを意図していることが理解される。したがって、本発明の範囲は、上記の記載に関して決定されるべきではなく、下記添付の特許請求項に関して、そのような特許請求が享有できる権利の同等物の包括的範囲と共に決定されるべきである。
【0276】
本出願における全ての特許、特許出願書及び出版物は、各個々の特許、特許出願書又は出版物が各々に意味するように、それぞれその全体を参考文献として本明細書中に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


[式中、
1は、R5O、R5S(O)n、R5CH2、R5CH2O、R5CH2S(O)n、R5OCH2、R5S(O)nCH2及びNR56よりなる群から選択され;
2は、o−フェニレン、1,2−シクロヘキセニレン、O、S、及びNR7よりなる群から選択され;
1及びR2は、
(i)それぞれ独立に、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルスルフィニル、C1-6アルキルスルホニル、C1-6ハロアルコキシ、C1-6ハロアルキルチオ、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアシル、ニトロ及びシアノよりなる群から選択されるか;或いは
(ii)一緒になって−CH=CH−CH=CH−であるか;或いは
(iii)これらが結合している炭素と一緒になって、O、S及びNHよりなる群から独立に選択される1個又は2個のヘテロ原子を持つ5員又は6員の芳香族複素環又は複素環を形成し;
3及びR4は、それぞれ独立に、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルチオ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6ハロアルキルチオ、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアシル、ニトロ及びシアノよりなる群から選択され;
5は、フェニル、ナフチル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル及びピロリルよりなる群から選択され(ここで、該フェニル、該ナフチル、該ピリジニル、該ピリミジニル、該ピラジニル及び該ピロリル基は、場合により、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルスルフィニル、C1-6アルキルスルホニル、C1-6ハロアルコキシ、C1-6ハロアルキルチオ、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアシル、アシル、アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、ニトロ及びシアノよりなる群から独立に選択される1〜3個の置換基で置換されている);
6は、水素、C1-6アルキル、又はアシルであり;
7は、水素又はC1-6アルキル(場合により、ヒドロキシ、アルコキシ、チオール、アルキルチオ、C1-6アルキルスルフィニル、C1-6アルキルスルホニル、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、及びジアルキルアミノアルキルよりなる群から独立に選択される1個又は2個の置換基で置換されている)であり;
nは、0〜2の整数である]で示される化合物、並びにその水和物、溶媒和物、包接体及び酸付加塩(ただし、X2が、オルト−フェニレンであるならば、R5は、非置換フェニルではありえない)。
【請求項2】
1が、OR5又はSR5であり;
3が、水素又はフルオロであり;
4が、水素、クロロ、フルオロ及びメチルよりなる群から選択され;そして
5が、場合により置換されているフェニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
1が、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はハロゲンである、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
5が、一置換フェニルである、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
5が、2,5−二置換フェニルである、請求項3記載の化合物。
【請求項6】
5が、3,5−二置換フェニルである、請求項3記載の化合物。
【請求項7】
5が、2,4−二置換フェニルである、請求項3記載の化合物。
【請求項8】
5が、2,6−二置換フェニルである、請求項3記載の化合物。
【請求項9】
1が、−OR5又は−SR5であり;
1及びR2が、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルスルフィニル、C1-6アルキルスルホニル、C1-6ハロアルコキシ、C1-6ハロアルキルチオ、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアシル、ニトロ及びシアノよりなる群から独立に選択され;そして
3が、水素又はフッ素である、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
1が、OR5であり;
1が、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はハロゲンであり;
2及びR4が、水素、フルオロ、クロロ、メチル及びエチルよりなる群から独立に選択され;
3が、水素又はフルオロであり;
5が、場合により置換されているフェニルであり;そして
nが、0〜2の整数である、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
5が、一置換フェニルである、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
5が、一置換フェニルであり、置換基が、ハロゲン、シアノ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルチオ及びC1-6ハロアルコキシよりなる群から選択される、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
5が、2,5−二置換フェニルである、請求項10記載の化合物。
【請求項14】
5が、2,5−二置換フェニルであり、置換基が、ハロゲン、シアノ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルチオ及びC1-6ハロアルコキシよりなる群から独立に選択される、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
5が、3,5−二置換フェニルである、請求項10記載の化合物。
【請求項16】
5が、3,5−二置換フェニルであり、置換基が、ハロゲン、シアノ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルチオ及びC1-6ハロアルコキシよりなる群から独立に選択される、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
5が、2,4−二置換フェニルである、請求項10記載の化合物。
【請求項18】
5が、2,4−二置換フェニルであり、置換基が、ハロゲン、シアノ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルチオ及びC1-6ハロアルコキシよりなる群から独立に選択される、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
5が、2,6−二置換フェニルである、請求項10記載の化合物。
【請求項20】
5が、2,6−二置換フェニルであり、置換基が、ハロゲン、シアノ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルチオ及びC1-6ハロアルコキシよりなる群から独立に選択される、請求項19記載の化合物。
【請求項21】
1が、OR5又はSR5であり;
3及びR4が、水素、クロロ、フルオロ、及びメチルよりなる群から独立に選択され;そして
5が、場合により置換されているピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル又はピロリルである、請求項1記載の化合物。
【請求項22】
1及びR2が、これらが結合している炭素原子と一緒になって、フェニル、ジヒドロピラン、ジヒドロフラン又はフラン環を形成する、請求項1記載の化合物。
【請求項23】
1が、OR5又はSR5であり;
3が、水素であり;
4が、水素又はフルオロであり;そして
5が、場合により置換されているフェニルである、請求項22記載の化合物。
【請求項24】
HIV感染症の治療用、又はHIV感染症の予防用、或いはAIDS又はARCの処置用の医薬の製造のための、式(I):
【化2】


[式中、
1は、R5O、R5S(O)n、R5CH2、R5CH2O、R5CH2S(O)n、R5OCH2、R5S(O)nCH2及びNR56よりなる群から選択され;
2は、o−フェニレン、1,2−シクロヘキセニレン、O、S、及びNR7よりなる群から選択され;
1及びR2は、
(i)それぞれ独立に、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルスルフィニル、C1-6アルキルスルホニル、C1-6ハロアルコキシ、C1-6ハロアルキルチオ、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアシル、ニトロ及びシアノよりなる群から選択されるか;或いは
(ii)一緒になって−CH=CH−CH=CH−であるか;或いは
(iii)これらが結合している炭素と一緒になって、O、S及びNHよりなる群から独立に選択される1個又は2個のヘテロ原子を持つ5員又は6員の芳香族複素環又は複素環を形成し;
3及びR4は、それぞれ独立に、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルチオ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6ハロアルキルチオ、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアシル、ニトロ及びシアノよりなる群から選択され;
5は、フェニル、ナフチル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル及びピロリルよりなる群から選択され(ここで、該フェニル、該ナフチル、該ピリジニル、該ピリミジニル、該ピラジニル及び該ピロリル基は、場合により、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルスルフィニル、C1-6アルキルスルホニル、C1-6ハロアルコキシ、C1-6ハロアルキルチオ、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアシル、アシル、アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、ニトロ及びシアノよりなる群から独立に選択される1〜3個の置換基で置換されている);
6は、水素、C1-6アルキル、又はアシルであり;
7は、水素又はC1-6アルキル(場合により、ヒドロキシ、アルコキシ、チオール、アルキルチオ、C1-6アルキルスルフィニル、C1-6アルキルスルホニル、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、及びジアルキルアミノよりなる群から独立に選択される1個又は2個の置換基で置換されている)であり;
nは、0〜2の整数である]で示される化合物、並びにその水和物、溶媒和物、包接体及び酸付加塩の使用。
【請求項25】
1が、OR5であり;
1が、メチル、エチル、トリフルオロメチル又はハロゲンであり;
2及びR4が、水素、フルオロ、クロロ、メチル及びエチルよりなる群から独立に選択され;
3が、水素又はフルオロであり;そして
5が、場合により置換されているフェニルである、請求項24記載の使用。
【請求項26】
更に、HIVプロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、CCR5阻害剤及びウイルス融合阻害剤よりなる群から選択される、少なくとも1つの化合物を併用投与することを含む、請求項24記載の使用。
【請求項27】
逆転写酵素阻害剤が、ジドブジン、ラミブジン、ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン、レスクリプター、サスティバ、ビラミューン、エファビレンツ、ネビラピン及びデラビルジンよりなる群から選択されるか、かつ/又はプロテアーゼ阻害剤が、サキナビル、リトナビル、ネルフィナビル、インジナビル、アンプレナビル及びロピナビルよりなる群から選択される、請求項26記載の使用。
【請求項28】
ある化合物を投与することを含む、レトロウイルス逆転写酵素を阻害するための請求項25記載の使用。
【請求項29】
宿主が、野生型ウイルスに比較して少なくとも1つの突然変異のある逆転写酵素を発現するHIV株に感染している、請求項28記載の使用。
【請求項30】
該HIV株が、エファビレンツ、ネビラピン又はデラビルジンに対する感受性の低下を示す、請求項24記載の使用。
【請求項31】
ヒト免疫不全症ウイルスが介在する疾患を処置するために単回投与又は反復投与用法で投与するとき、HIVを阻害するのに充分な、治療有効量の式(I):
【化3】


[式中、
1は、R5O、R5S(O)n、R5CH2、R5CH2O、R5CH2S(O)n、R5OCH2、R5S(O)nCH2及びNR56よりなる群から選択され;
2は、o−フェニレン、1,2−シクロヘキセニレン、O、S、及びNR7よりなる群から選択され;
1及びR2は、
(i)それぞれ独立に、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルスルフィニル、C1-6アルキルスルホニル、C1-6ハロアルコキシ、C1-6ハロアルキルチオ、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアシル、ニトロ及びシアノよりなる群から選択されるか;或いは
(ii)一緒になって−CH=CH−CH=CH−であるか;或いは
(iii)これらが結合している炭素と一緒になって、O、S及びNHよりなる群から独立に選択される1個又は2個のヘテロ原子を持つ5員又は6員の芳香族複素環又は複素環を形成し;
3及びR4は、それぞれ独立に、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルチオ、C1-6ハロアルコキシ、C1-6ハロアルキルチオ、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアシル、ニトロ及びシアノよりなる群から選択され;
5は、フェニル、ナフチル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル及びピロリルよりなる群から選択され(ここで、該フェニル、該ナフチル、該ピリジニル、該ピリミジニル、該ピラジニル及び該ピロリル基は、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルスルフィニル、C1-6アルキルスルホニル、C1-6ハロアルコキシ、C1-6ハロアルキルチオ、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアシル、アシル、アルコキシカルボニル、カルバモイル、N−アルキルカルバモイル、N,N−ジアルキルカルバモイル、ニトロ及びシアノよりなる群から独立に選択される1〜3個の置換基で場合により置換されている);
6は、水素、C1-6アルキル、又はアシルであり;
7は、水素又はC1-6アルキル(場合により、ヒドロキシ、アルコキシ、チオール、アルキルチオ、C1-6アルキルスルフィニル、C1-6アルキルスルホニル、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、及びジアルキルアミノよりなる群から独立に選択される1個又は2個の置換基で置換されている)であり;
nは、0〜2の整数である]で示される化合物、並びにその水和物、溶媒和物、包接体及び酸付加塩(ただし、X2が、オルト−フェニレンであるならば、R5は、非置換フェニルではありえない)を、少なくとも1つの薬学的に許容しうる担体又は希釈剤と混合して含む、医薬組成物。
【請求項32】
1が、OR5又はOCH25であり、かつR5が、場合により置換されているアリール又はヘテロアリール残基であり、X2が、O、S、又はNR7であり、そしてR1〜R4及びR7が、上記と同義である、式(I):
【化4】


で示される複素環の製造方法であって、
(i)(a)X4が、水素、アルコキシカルボニル又はCNである、式(IIa)のアリール化合物を、(A)アリールボロン酸若しくはハロゲン化アリールと、又は(B)ハロゲン化アラルキルとカップリングさせ、式(IIb)のエーテルを製造する工程;そして、X4が水素であるならば、
(b)(A)メチル基をN−ブロモスクシンイミドで臭素化し、そして(B)臭化物(X4=Br)をシアン化ナトリウムで置換して、対応するニトリル(X4=CN)を製造し;そして場合により(C)このニトリルをアルコキシカルボニル(X4=CO2R)又はイミド酸O−アルキル塩酸塩(X4=C(=NH2+)OR Cl-)に加水分解する工程;
【化5】


(ii)(A)式(IIb)の化合物(X4=アルコキシカルボニル)を順にヒドラジン水和物で処理して、アシルヒドラジド(IIb;X4=CONHNH2)を生成させ、そして(a)ホスゲン、若しくはホスゲン均等物で処理して、X2がOである、式(I)のオキサジアゾロンを製造する工程;又は(b)次に順にイソシアン酸アルキル(R7NCO)で処理して、ジアシルヒドラゾン(IIb;X4=C(=O)NHNHC(=O)NHR7)を製造して、塩基で処理して、トリアゾロン(I)(X2=NR7)を製造する工程;或いは
(B)式(IIb)のニトリル(X4=CN)を順に(a)酸及びアルコールで処理して、イミド酸O−アルキル塩酸塩(X4=C(=NH2+)OR Cl-)を製造する工程、(b)O−メチルチオカルバジン(NH2NHC(=S)OMe)で処理して、(IIb)[ここで、X4は、式(III):
【化6】


で示されるメトキシチアジアゾリンである]を製造する工程、並びに(c)酸水溶液で処理して、X2がSである、式(I)のチアジアゾロン化合物を製造する工程
を含む方法。
【請求項33】
該エーテルが、銅(II)塩の存在下でのアリールボロン酸と(IIa)とのカップリングにより形成される、請求項32記載の方法。
【請求項34】
該エーテルが、銅(I)塩の存在下でのハロゲン化アリールと(IIa)とのカップリングにより形成される、請求項32記載の方法。
【請求項35】
該エーテルが、ハロゲン化アラルキル、ハロゲン化アリール又はハロゲン化ヘテロアリール[該ハロゲン化アリールは、電気陰性基で置換されており、そして該ハロゲン化ヘテロアリールは、場合により電子求引基で置換されている]と(IIa)とのカップリング[該カップリングは、塩基触媒反応である]により形成される、請求項32記載の方法。
【請求項36】
1が、OCH25であり、そして該エーテルが、アルコールと(IIa)とのカップリング[該カップリングは、アゾジカルボン酸ジアルキル及びトリアリール又はトリアルキルホスフィンにより触媒される]により形成される、請求項32記載の方法。
【請求項38】
該オキサジアゾロンが、アシルヒドラジドをホスゲンで環化することにより製造される、請求項32記載の方法。
【請求項39】
該オキサジアゾロンが、アシルヒドラジドをカルボニルジイミダゾールで環化することにより製造される、請求項32記載の方法。
【請求項40】
該トリアゾロンが、イソシアン酸メチル又はイソシアン酸エチル、及びメタノール性水酸化ナトリウムでの連続処理により形成される、請求項32記載の方法。
【請求項41】
該チアジアゾロンが、ヒドラジンカルボチオ酸O−メチルエステル及び酸水溶液での連続処理により形成される、請求項32記載の方法。
【請求項42】
医薬として使用するための、請求項1〜23のいずれか1項記載の化合物。
【請求項43】
本明細書に前述の発明。

【公表番号】特表2006−521319(P2006−521319A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504792(P2006−504792)
【出願日】平成16年3月22日(2004.3.22)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002995
【国際公開番号】WO2004/085411
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】