説明

I.A.シクロデキストリン、ヒドロキシ酸を含むpH4〜7のフルオロキノロン水性処方

シプロフロキサシンなどのフルオロキノロン、シクロデキストリン、およびヒドロキシ酸を含む薬剤組成物を記載する。この組成物は水性組成物であることができ、そのような水性組成物は、好ましくは5から7のpHを有する。いくつかの好ましい実施形態において、この組成物は可溶性ポリマーをさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、シプロフロキサシンなどのフルオロキノロン抗菌剤を含む液体処方、特に薬剤処方、およびその製造方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
シプロフロキサシン(1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−7−(1−ピペラジニル)−3−キノリンカルボン酸)は、細菌感染の治療に広く用いられているフルオロキノロンである(Rookaya Mather等、American Journal of Ophthalmology、Vol.133、No.4、463〜466頁、2002;P.C.Appelbaum等、International Journal of Antimicrobial Agents、16、2000、5〜15頁)。シプロフロキサシン剤などのフルオロキノロン抗菌剤は、特に通常の抗生物質と比べてMIC90が低く、それらの抗菌剤に対する耐性細菌株の形成が遅いために好ましい。たとえば、ゲンタマイシンのMIC90が、10μg/gであるのに対し、シプロフロキサシンのMIC90は、一般に約0.5μg/gである(Tai−Lee Ke等、Journal of Ocular Pharmacology and Therapeutics、Vol.17、No.6、555〜562頁、2001)。シプロフロキサシンは、眼の細菌性結膜炎の治療、および角膜潰瘍の治療に広く用いられている(Physicians Desk Reference、Steven J.Lichenstein、Contemporary Pediatrics、2002、16〜19頁)。シプロフロキサシンの化学構造は以下のとおりである。
【0003】
【化1】

【0004】
シプロフロキサシンは、希塩酸(0.1N)に可溶性であり、水およびエタノールには実質的に不溶性である。シプロフロキサシンの水溶解度は、79μg/mLである(Danna L.Ross等、International Journal of Pharmaceutics、63(1990)、237〜250)。
【0005】
現在市販されているシプロフロキサシン処方CILOXAN(登録商標)において治療的使用に必要なシプロフロキサシンの濃度0.3%(3mg/mL)を得るために、pH4.5の酸性緩衝液が用いられる。シプロフロキサシン処方CILOXAN(登録商標)を眼に適用する際、頻繁な灼熱感および刺痛感が臨床上報告されている(Physicians Desk Reference)。これはpH4.5の酸性処方であるため、およびCILOXAN(登録商標)の処方に用いられる保存剤、塩化ベンザルコニウム(BAK)の侵襲性によるものである。さらに、pH4.5の酸性は、流涙を誘発し、これにより鼻涙管を通る薬剤の排液が増加する(V.H.L.Lee等、Journal of Ocular Pharmacology、2(1986)、67〜108頁;Thorsteinn Loftsson等、Advanced Drug Delivery Reviews、36(1999)、59〜79頁;Marco Fabrizio Saettone、Pharmatech、2002、1〜6頁)。そのような排液の増加は、眼における治療剤の可用性の低下に大いに関与する。これにより、問題の病原菌を排除するために、頻繁かつ持続的な薬剤の適用が必要となる。したがって、より高いpHで処方化され、現在用いられている抗菌性保存剤の有害な作用を持たないシプロフロキサシン処方を得ることが望ましい。
【0006】
より力価の高いシプロフロキサシン処方は、眼に局所的に送達される薬剤の有効濃度を上昇させるはずであり、それにより適用計画(dosing regimen)が縮小し、患者のコンプライアンスが増大し、治療期間が短縮されるため、臨床的に望ましいであろう(Steven J.Lichenstein、Contemporary Pediatrics、2002、16〜19頁)。さらなるpHの低下はさらに重大な副作用をもたらすため、現在の技術はそのような力価の高い処方を生産する実行可能な方法を提供していない。したがって、より力価の高い(0.3%超)、好ましくはより高いpH(4.5超)で処方化されたシプロフロキサシン処方を得ることが望ましい。
【0007】
フルオロキノロン耐性細菌株の形成が報告されている(Thomas J.Dougherty等、DDT、Vol.6、No.10、2001、529〜536頁)。この現象は、病原菌の存在下、MIC90(最小発育阻止濃度)未満の濃度に低下した治療剤の濃度によるものであると考えられている。「局所抗生物質に対する耐性の発生を回避するために、疑われる病原菌のMIC90を超えるように薬物濃度が確実に維持される適用頻度で、良好な溶解性を有する高濃度の殺菌剤が用いられるべきである」(Steven J.Lichenstein、Contemporary Pediatrics、2002、16〜19頁)。したがって、眼において、MIC90を超える薬物濃度を維持する、より力価の高い(0.3%超)処方を得ることが望ましい。そのような処方は、治療有効性を高め、細菌の耐性株形成の可能性を低減し、治療期間を短縮し、適用計画を縮小するはずである。
スルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体、および薬剤適用のための水不溶性薬剤用の可溶化剤としてのそれらの使用は、米国特許第5,134,127号明細書(’127号特許)にStella他によって開示されている。特定の例は、「ホスト−ゲスト」錯体として、種々の薬剤と組み合わせたスルホアルキルエーテルシクロデキストリンである。例示は、ジゴキシン、プロゲステロン、およびテストステロンと組み合わせてスルホアルキルエーテルシクロデキストリンを用いることによって行われている。特にこの特許は、包接(包接錯体)が処方化より前に形成されることを必要としている。同様にStella他による米国特許第5,376,645号明細書(’645号特許)は、’127号特許の継続出願である。’127号特許の例示に加えて、’645号特許のさらなる例は、フェニトイン、およびナプロキセンである。
【0008】
いずれもStella他による米国特許第5,874,418号明細書(’418号特許)およびその継続出願、米国特許第6,046,177号明細書は、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンをベースとした固体薬剤処方、およびそれらの使用を開示している。この組成物は、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンと治療剤との物理的混合物からなり、その主たる部分はシクロデキストリンと錯化していない。
【0009】
いずれもThorsteinn Loftssonによる米国特許第5,324,718号明細書およびその継続出願、米国特許第5,472,954号明細書は、シクロデキストリンと親油性薬剤との錯化を増強する方法を提供している。シクロデキストリンと併せて、共可溶化剤としてHPMCなどの水溶性ポリマーを用いることが開示されている。一実施形態において、ポリマーとシクロデキストリンとを水性媒質に溶解させ、その後、親油性薬剤を添加し、その溶液を指定された時間、30℃から150℃に維持する。
Chiesiの米国特許第5,855,916号明細書は、上昇した水溶性を示す塩基型薬剤、酸、およびシクロデキストリンを含有する可溶性多成分包接錯体の形成を記載している。’916号特許の例には、塩基型薬剤として、テルフェナジン、シンナリジン、ドンペリドン、アステミゾール、ケトコナゾール、タモキシフェン、クロミフェン、およびイトラコナゾールが含まれる。
【0010】
PCT出願、国際公開第02/39993号パンフレットは、コルチコステロイドなどの抗炎症剤、フルオロキノロンなどの抗感染症剤、錯化増強ポリマー、および包接現象を示す可溶化剤を含む配合剤の透明溶液またはゲル調剤を記載している。
【発明の概要】
【0011】
本発明の第1の態様は、シプロフロキサシンなどのフルオロキノロン活性剤、シクロデキストリン、ヒドロキシ酸、および水を含むか、または本質的にそれらからなる水性薬剤組成物であり、その組成物は、好ましくは4から7のpHを有する。
いくつかの好ましい実施形態において、組成物は、可溶性ポリマーをさらに含むか、または本質的にそれらからなる。
【0012】
いくつかの実施形態において、組成物は、ステロイド性または非ステロイド性抗炎症剤をさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、組成物は、ビタミンE誘導体、TweensまたはPluronicなどの洗浄剤などの、他の共可溶化剤をさらに含むか、または本質的にそれらからなる。
【0014】
本発明の組成物は、特に局所適用(たとえば、眼、耳/耳道、鼻/鼻道などに対する)、および注射適用(たとえば、皮下、筋内内、または腹腔内注射など)に有用である。
【0015】
本発明の第2の態様は、それを必要としている対象の眼の細菌感染および/または炎症を治療する方法であって、細菌感染および/または炎症を治療するのに有効な量で、対象の眼に上述の処方を局所的に適用するステップを含む方法である。
【0016】
本発明の他の態様は、耳、鼻、または他の皮膚表面などのそれを必要としている対象の局所表面の細菌感染および/または炎症を治療する方法であって、細菌感染および/または炎症を治療するのに有効な量で、対象の眼の局所表面に上述の処方を局所的に適用するステップを含む方法である。
【0017】
本発明の他の態様は、必要としている対象の眼にシプロフロキサシンまたは他のフルオロキノロン活性剤などの活性化合物を含有する薬剤組成物を局所的に適用する改良された方法であって、活性化合物は対象の角膜などの眼において前記組成物から沈殿し、その改良は、対象の角膜への活性化合物の沈殿を低減するのに有効な量で、前記組成物に可溶性ポリマーを含有することを含む。
【0018】
本発明の他の態様は、必要としている対象の眼に前記活性化合物を局所的に適用するために用いる活性化合物(シプロフロキサシンまたは他のフルオロキノロンなど)を含有する改良された局所薬剤組成物であって、活性化合物は組成物から対象の眼または角膜に沈殿し、その改良は、対象の眼または角膜において活性化合物の沈殿を低減するために、組成物に0.05から5重量%の可溶性ポリマーを含有することを含む。
【0019】
本発明の前述および他の目的および態様を、本明細書の図面、および以下の明細書に詳しく説明する。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0020】
本発明の方法および組成物によって治療される対象は、一般にヒト対象であるが、獣医学的目的のために、他の動物対象、特にイヌ、ネコ、ウマ、およびウサギなどの哺乳動物対象も含むことができる。
【0021】
上述のとおり、本発明は、
(a)使用目的に応じて概してシプロフロキサシンが1、3、5、または8mg/mLから10、20、30、50、60、または100mg/mLの量で含まれる、シプロフロキサシンなどのフルオロキノロン、
(b)含まれるときには、使用目的に応じて1、5、または15mg/mLから30、60、または100mg/mLまでの量で存在する、任意選択ではあるが、いくつかの実施形態では好ましいステロイド(コルチコステロイド、およびそのプロドラッグを含む)または非ステロイド性抗炎症化合物、
(c)概して1から7、12、15、25、30、40、または50重量%の量で含まれる、シクロデキストリン(シクロデキストリンの組合せを含む)、
(d)概して0.1から3、10、または25モル当量の量で含まれる、酸、好ましくはヒドロキシ酸、
(e)含まれるときには、水性処方の約0.05から1.5、4、または5重量%の量で含まれる、任意選択ではあるが、いくつかの実施形態では好ましい水溶性ポリマー、
(f)存在するときには、概して処方の1、2、または5%から10または20%の量で含まれる、任意選択の界面活性剤またはビタミンE TPGSなどの共可溶化剤、および
(h)残量の水、
を含む水性薬剤組成物(aqueous pharmaceutical composition)を提供し、その処方(formulation)は、好ましくは約4、4.5、または5から約7のpHを有する。
【0022】
水で再構成して上述の組成物を得ることのできる凍結乾燥組成物も、本発明の一態様である。
【0023】
上述の量で、上述のとおりシプロフロキサシン、シクロデキストリン、および酸からなる固体形態の組成物も、本発明の一態様である。
【0024】
その組成物は、本明細書に記載のとおり、無菌であり、発熱物質を含まず、対象への局所適用または非経口適用に適しているという点において、薬剤として許容される。
【0025】
本発明を実施するために用いることのできるフルオロキノロンには、これに限定されるものではないが、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、シタフロキサシン、ロメフロキサシン、グレパフロキサシン、ジェミフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン、トロバフロキサシン、シプロフロキサシンなどが含まれる。そのような化合物は知られており、商業的な供給業者から入手するか、当技術分野で知られている技法により製造することができる(たとえば、米国特許第4,670,444号明細書、Mather等、American Journal of Ophthalmology、Vol.133、No.4、463〜466頁、2002;P.C.Appelbaum等、International Journal of Antimicrobial Agents、16、2000、5〜15頁;Tai−Lee Ke等、Journal of Ocular Pharmacology and Therapeutics、Vol.17、No.6、555〜562頁、2001;Physicans Desk Reference、Lichenstein、Contemporary Pediatrics、2002、16〜19頁;Ross等、International Journal of Pharmaceutics、63(1990)、237〜250を参照のこと)。
【0026】
シプロフロキサシン(1−シクロプロピル−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−7−(1−ピペラジニル)−3−キノリンカルボン酸)は知られており、商業的な供給業者から入手するか、当技術分野で知られている技法により製造することができる(たとえば、米国特許第4,670,444号明細書、Mather等、American Journal of Ophthalmology、Vol.133、No.4、463〜466頁、2002;P.C.Appelbaum等、International Journal of Antimicrobial Agents、16、2000、5〜15頁;Tai−Lee Ke等、Journal of Ocular Pharmacology and Therapeutics、Vol.17、No.6、555〜562頁、2001;Physicians Desk Reference、Lichenstein、Contemporary Pediatrics、2002、16〜19頁;Ross等、International Journal of Pharmaceutics、63(1990)、237〜250を参照のこと)。
【0027】
本発明を実施するために用いることのできるステロイド(または「ステロイド性」)化合物には、これに限定されるものではないが、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、コルチコステロン、デオキシコルチコステロン、プレドニソロン、メチルプレドニソロン、メプレドニソン、トリアムシノロン、パラメタゾン、フルプレドニソロン、ベータメタゾン、デキサメタゾン、フルドロコルチゾン、それらの組合せなどが含まれ、それらは知られており、商業的な供給業者から得ることができる。本明細書では、「ステロイド」という用語には、コルチコステロイド、グルココルチコステロイド、それらすべてのプロドラッグが含まれる。
【0028】
本発明を実施するために用いることのできる非ステロイド性抗炎症剤には、これに限定されるものではないが、アスピリン、ジクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、テノキシカム、トルメチン、ケトロラク、オキサプロシン、メフェナム酸、フェノプロフェン、ナブメトン、アセトアミノフェン、およびCOX−2阻害剤、たとえばニメスリド(nimesulide)、NS−398、フロスリド(flosulid)、L−745337、セレコキシブ(celecoxib)、ロフェコキシブ(rofecoxib)、SC−57666、DuP−697、パレコキシブナトリウム(parecoxib sodium)、JTE−522、バルデコキシブ(valdecoxib)、SC−58125、エトリコキシブ(etoricoxib)、RS−57067、L−748780、L−761066、APHS、エトドラク(etodolac)、メロキシカム(meloxicam)、およびS−2474など、ならびにそれらの混合物から選択されるものが含まれる。
【0029】
本発明を実施するために任意の適切なシクロデキストリンを用いることができ、αシクロデキストリン、βシクロデキストリン、γシクロデキストリン、およびδシクロデキストリンが含まれる(シクロデキストリンは、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン、またはヒドロキシアルキルシクロデキストリンなどの誘導体の形態であってもよい)。シクロデキストリンの量は、一部には組成物に含まれる活性成分の量に依存するが、一般に約1から7、12、30、または40重量%(局所処方または注射用処方の場合)、あるいは約1から15、25、または50重量%(口腔/経口処方の場合)となる。
【0030】
本発明を実施するために用いることのできるスルホアルキルエーテルシクロデキストリンは、次式で表すことができ、
【0031】
【化2】


式中、
nは、α、β、γ、またはδシクロデキストリンに対応する4、5、6、または7であり、
からRは、独立して−O−、または−O−(CからCアルキレン)−SO基であり、RおよびRの少なくとも1つは、独立して−O−(CからCアルキレン)−SO基、好ましくは−O−(CH−SO基であり、mは、2から6であり、
からSは、独立してH、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、および有機カチオンを含む薬剤として許容されるカチオンである(国際公開第02/074200号パンフレット)。
【0032】
本発明を実施するために用いられるヒドロキシアルキルシクロデキストリンは、次式で表すことができ、
【0033】
【化3】


式中、
nは、α、β、γ、またはδシクロデキストリンに対応する4、5、6、または7であり、
からRは、独立して−O−、または−O−(CからCアルキレン)−O基であり、RおよびRの少なくとも1つは、独立して−O−(CからCアルキレン)O基、好ましくは−O−(CH基であり、mは、2から6である。O基は、任意のメチレン炭素に結合することができる。たとえば、CHCH(O)CHであり、SからSは、独立してHを含む薬剤として許容されるカチオンである。
【0034】
本発明を実施するために任意の適切なヒドロキシ酸を用いることができ、これに限定されるものではないが、クエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、および酒石酸、グルコン酸、乳酸、トレオン酸、ならびにα、β、γ、δ、またはより上位の脂肪族、脂環式、または芳香族ヒドロキシ酸が含まれる。含まれるヒドロキシ酸の量は、一部には組成物に含まれる活性成分の量に依存するが、一般に水性処方中約0.1から約3、10、または25モル当量となる。
【0035】
ヒドロキシ酸は一般に好ましいが、リン酸、硫酸、塩酸、酢酸などの無機酸または有機酸を含む、他の酸を用いることもできる。
【0036】
本発明には任意の適切な水溶性ポリマーを用いることができる。好ましい一実施形態において、ポリマーは、20℃溶液で2%水溶液に溶解させたとき、1から100mPa.sの見かけ粘度を有する。適切な水溶性ポリマーの例には、これに限定されるものではないが、メチルセルロースなどのアルキルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシブチルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのヒドロキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのカルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩、カルボキシメチルエチルセルロースなどのカルボキシアルキルアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロースエステル、デンプン、カルボキシメチルアミロペクチンナトリウムなどのペクチン、キトサンなどのキチン誘導体、アルギン酸、そのアルカリ金属塩およびアンモニウム塩、カラゲナン(carrageenans)、ガラクトマンナン(galactomannans)、トラガント(traganth)、寒天、アラビアゴム、グアーガム、およびキサンタンガムなどの多糖類、ポリアクリル酸およびその塩、メタクリル酸ポリビニルピロリドンコポリマー、ポリビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーを含むポリメタクリル酸およびその塩、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドなどのポリアルキレンオキシド、ならびにエチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマーなどが含まれる。一般に好ましくは、米国のDow Chemical Industries、および日本のShin−Etsu Chemical Company製のヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0037】
本発明を実施するために、任意の適切な共可溶化剤も用いることができる。そのような共可溶化剤には、これに限定されるものではないが、Pluronic(F−68、F−84、およびP−103)、Polaxamer、ビタミンE TPGS、Tweens(20、60、80)、脂肪族アルコール、および当業者に知られている他の媒介物が含まれる。
【0038】
本明細書に記載の組成物は、張度調整剤を含むことができる。例には、これに限定されるものではないが、NaCl、デキストロース、グリセリン、マンニトール、および塩化カリウムが含まれる。一般に、組成物の張度は、少なくとも100、180、または270ミリオスモル(mOsm)から、約330、540、または600mOsmであり、所望であれば上記範囲内のオスモル濃度を得るのに必要な量で張度調整剤を包含させることによって調整する。たとえば、張度調整剤としてNaClを用いる場合、0.01、0.2、または0.35重量%から約0.55、3、または10重量%の範囲の量で含有させることができる(0.45重量%のNaClが一般に好ましい)。
【0039】
本明細書に記載の組成物は、保存剤も含有することができる。本発明を実施するために任意の適切な保存剤を用いることができ、これに限定されるものではないが、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸の塩、EDTA、アルコール、ブロノポール、クロルヘキシジン、イミドウレア、およびプロピオン酸ナトリウムが含まれる。保存剤の量は重要ではないが、一般に水性処方の約0.001から約0.5、1、または2重量%となる。BAKなどの反対に荷電している保存剤は、錯化による活性損失の可能性があるため、SBECDからなる処方では推奨されない。それら自体で包接錯体を形成することのできるパラベンなどの抗菌剤も、活性剤の競合置換のために好ましくない。
【0040】
上述のとおり、シクロデキストリンによって有効に可溶化される分子の能力は、用いられるシクロデキストリンの空洞の大きさ、分子の大きさなど、様々な要因に依存する。一部の分子は、有効に二元錯体を形成するが(薬剤−シクロデキストリン錯体)、他の分子は形成しない可能性がある。二元錯体では、適切な温度および攪拌速度、ならびに適切な濃度で、シクロデキストリンの水溶液に適量のゲスト分子を添加することにより、概してホスト−ゲスト錯体の透明溶液が形成される。換言すると、疎水性分子は、エタノールなどの共可溶化剤の助力なしに、シクロデキストリンの水溶液に溶解する(J.Pitha等、International Journal of Pharmaceutics、80、1992、253〜258頁)。そのような二元錯体の例は、プロポフォル−SBECD(国際公開第02/074200号パンフレット)、およびボリコナゾール−SBECDである。
【0041】
製造法。本明細書に記載の処方を製造する一方法において、最初にシクロデキストリンの水溶液を調製する。そこに薬剤を分散させ、続いて、ヒドロキシ酸を添加する。そこに水溶性ポリマー、保存剤、抗酸化剤、または薬剤として許容される他の任意の添加剤を添加する。別法において、ポリマー溶液、およびCD/薬剤/ヒドロキシ酸溶液を個別に調製して混合し、続いて、薬剤として許容される他の成分を添加する。他の方法には、任意の可能な組合せまたは順序で、任意のすべての試薬を添加することが含まれる。別法には、固体形態の任意またはすべての成分を混合し、その後、水または任意の有機溶媒を添加することが含まれる。プロセスの種々のパラメータは、所望どおりに操作することができ、たとえば温度制御または調節、攪拌、音波破砕、加圧滅菌、および加圧処理、または当業者に知られている他の任意の技法などである。別法には、上述のとおり、または別の方法で液体処方を調製し、その後、凍結乾燥、噴霧乾燥、噴霧凍結乾燥、抗溶媒沈殿、混練、および超臨界流体または超臨界近傍流体を含む方法、あるいは当業者に知られている固体または液体適用形態を製造する他の任意の方法によって固体材料を単離することが含まれる。
【0042】
治療濃度3mg/mLを得るために、シプロフロキサシンは37.5倍に可溶化されるべきであることに留意されたい。より高い力価の場合、可溶化はさらに高度でなければならない(6mg/mL溶液では75倍、9mg/mL溶液では112.5倍)。SBECDの4.5%溶液を用いる可溶化の試みによって、シプロフロキサシン溶解度は160μg/mLに上昇した。これは溶解度の2倍の上昇に相当し、所望である37.5倍の改善にははるかに及ばない。溶液処方中のCDの量が最小限に保持されるべきである理由は様々ある(Thorsteinn Loftsson等、Advanced Drug Delivery Reviews、36(1999)、59〜79頁;Thorsteinn Loftsson等、International Journal of Pharmaceutics、225、2001、15〜30頁)。溶液中のSBECDの比率(薬剤有用性レベル)を単に上げることによって、所望の濃度3mg/mLが得られる可能性は極めて低い。換言すると、必要な可溶化を達成するための、シプロフロキサシンとSBECDとの二元錯体の形成は実現可能ではない。HPCDの様々な濃度を用いる類似の実験も、所望の溶解度を得るための二元錯体の形成が実現可能でないことを示した。
【0043】
しかしながら、0.2%クエン酸などのヒドロキシ酸の存在下、シプロフロキサシンは、SBECDの4%溶液と有効に錯化した。達成された可溶化は、この特定の場合においては、112倍を超えた。したがって、シプロフロキサシン、または他のフルオロキノロン溶解度の上昇を達成するために、共可溶化剤として、クエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸などのヒドロキシ酸を有効に用いることができる。そのような上昇は好ましい実施形態において相乗的なものであり、単純な二元錯化では達成できない。シプロフロキサシン/SBECD/クエン酸を含むそのような多成分錯体は、文献に報告されていない。0.2%クエン酸の単独溶液中のシプロフロキサシンの溶解度は、相乗的多成分錯化によって達成される溶解度よりはるかに小さい(<3mg)ことに留意されたい。同様の相乗的錯化は、ガチフロキサシンからなる処方においても明確に認められる。より力価の高いガチフロキサシンの処方の場合(0.6%、0.9%、または0.9%以上)、相乗的多成分処方は、市販の処方に比べてpHを低減することなく高い濃度を得ることが可能となるので(Zymar、0.3%ガチフロキサシン、pH=約6)、極めて重要である。
【0044】
必要な可溶化を達成するのに必要とされるクエン酸の量も、本発明の態様である。本発明のpHが市販処方の4.5と同じであるか、それより低くなるように充分なクエン酸を用いなければならない場合、本発明の有用性はいくらか低減されることになる。当量決定試験は、それが当てはまらないことを実証した。有効な可溶化のために、シプロフロキサシン、または他のフルオロキノロンのモル当量ごとに、最小限の0.5モル当量のクエン酸のみを用いる必要がある。したがって本発明において、6mg/mL処方(2倍の力価)のpHは、約pH5.0である。これは、力価が半分しかない市販の処方より約0.5単位高い。本発明の臨床上の利益は容易に理解できる。
【0045】
角膜沈殿の低減。結膜炎、特に角膜潰瘍のために、CILOXAN(登録商標)シプロフロキサシン処方を用いる患者に対する望ましくない副作用として、角膜沈殿が報告されている(H.MLiebowitz、American Journal of Ophthalmology、1991、112、34S〜47;D.J.Parks等、American Journal of Ophthalmology、1993、115、471〜477、R.A.Eiferman、Journal of Cataract and Refractive Surgery、2001、27、1701〜1702頁;H.N.Madhavan、Cornea、1999、18、549〜552)。前に触れたように、この現象は、眼のpHがシプロフロキサシンのpKa(pKa=6.09、典型的に真溶液処方では約6分)より高く、充分な濃度の薬剤が依然として眼に残留しているときに生じる。本発明は少なくとも市販の処方と同じ程度の力価であり(3mg/mL)、好ましい処方は市販の処方と比べて2倍または3倍、あるいはそれ以上の力価であるため、そのような沈殿を回避することは、本発明においてなおさら重要である。角膜沈殿は、in vitro涙液代謝回転(tear turn−over)モデルを用いて、in vitroで観察できる。市販のCILOXAN(登録商標)シプロフロキサシン処方が実際に角膜沈殿をもたらすという事実は、Allergan Incによって単独に実証されている(B.A.Firestone等、International Journal of Pharmaceutics、164(1998)、119〜128頁)。これらのデータは本発明において確認されている。
【0046】
したがって、本発明の他の実施形態において、薬剤のpKaより高いpHにおける薬剤の角膜沈殿を低減する、最小限にする、制御する、防止するために、上述したような水溶性ポリマーが用いられる。好ましいポリマーは、MC、CMC、HPMC、PVP、PVA、およびポロクサマーである。もっとも好ましいポリマーは、HPMC、およびPVAである。
【0047】
本発明の他の実施形態において、フルオロキノロン、およびステロイド、コルチコステロイド、または非ステロイド剤などの抗炎症剤の水性複合処方が含まれる。そのような処方は、文献に報告されておらず、商業的にも入手できない。フルオロキノロンおよびステロイドの水溶性が低いため、これらの薬剤の水溶液を製造することは実現可能でない。本発明は、これら2種の薬剤の水性真溶液を製造する方法を提供する。この処方は、より高い力価を有し、5から7のpHを有することになる。
【0048】
本発明の組成物は、現在のフルオロキノロン組成物に用いられている方法と類似の方法で、本明細書に記載の対象を治療するために用いることができる。局所組成物は、眼の感染を治療するために、所望どおりの小滴として対象の眼に適用することができる。経口または注射用処方は、知られている技法に従って、同様に適用することができる。
【0049】
本明細書に記載の組成物、および局所または点眼適用法によって治療することのできる眼の細菌感染および/または炎症には、これに限定されるものではないが、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(メチシリン感染性およびメチシリン耐性株を含む)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、連鎖球菌(Streptococcus)(ビリダンス群)などのグラム陽性菌による感染、ならびにヘモフィルスインフルエンザ(Haemophilus influenzae)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、およびセラチアマルセッセンス(Serratia marcescens)などのグラム陰性菌による感染が含まれる。
【0050】
本明細書に記載の組成物、および静脈内適用法によって治療することのできる、これに限定されるものではないが皮膚、関節、および気道の細菌感染を含む他の細菌感染には、エンテロコッカスフェカーリス(Enterococcus faecalis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(メチシリン感染性株のみ)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)(メチシリン感染性株のみ)、腐生ブドウ球菌(Staphylococcus saprophyticus)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)(ペニシリン感染性株)、および化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)などの好気性グラム陽性微生物による感染、ならびにシトロバクターディバーサス(Citrobacter diversus)モルガネラモルガニイ(Morganella morganii)、シトロバクターフロインディー(Citrobacter freunadii)プロテウスミラビリス(Proteus mirabilis)、エンテロバクタークロアカエ(Enterobacter cloacae)プロテウスブルガーリス(Proteus vulgaris)、大腸菌(Escherichia coli)プロビデンシアレットゲリ(Providencia rettgeri)、ヘモフィルスインフルエンザ(Haemophilus influenzae)プロビデンシアスチュアルティイ(Providencia stuartii)、ヘモフィルスパラインフルエンザ(Haemophilus parainfluenzae)緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、クレブシエラニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)セラチアマルセッセンス(Serratia marcescens)、モラクセラカタラーリス(Moraxella catarrhalis)、ブルクホルデリアピケッティ(Burkolderia picketti)、および吸入炭疽などの好気性グラム陰性微生物による感染が含まれる。
【0051】
本発明を以下の実施例でさらに詳しく説明するが、ここで「CD」はシクロデキストリンを意味し、「SBE7−β−CD」はスルホブチルエーテル7−β−シクロデキストリンを意味し、「HPCD」は2−ヒドロキシプロピルエーテル−β−シクロデキストリンを意味し、「HPMC」はヒドロキシプロピルメチルセルロースを意味し、「PVA」はポリビニルアルコールを意味する。
【0052】
実施例1
シプロフロキサシンおよびスルホアルキルエーテルシクロデキストリンの処方
以下の手順に従って、以下の処方を製造した。SBE7−β−CDを脱イオン蒸留水に溶解させて、約2%の濃度を得た。CD水溶液を攪拌しながら、最終的に3mg/mL溶液を提供する量で、シプロフロキサシンを分散させた。次いで、クエン酸を添加した(シプロフロキサシンのモル濃度に対して0.1当量から10.0当量)。この溶液を透明になるまで攪拌した。粘度増強剤、保存剤、および薬剤として許容される他の成分は添加しなかった。この溶液を、攪拌しながら、蒸留水で容量または重量を調整した。結果:pH=5.2、オスモル濃度=150mOsm
【0053】
実施例2
シプロフロキサシンおよびスルホアルキルエーテルシクロデキストリンのさらなる処方
適量のSBE7−β−CDを脱イオン蒸留水に溶解させて、約1%から約30%の濃度を得た。CD水溶液を攪拌しながら、最終的に1mg/mLから60mg/mLの濃度を提供する量で、シプロフロキサシンを分散させた。次いで、クエン酸を添加した(シプロフロキサシンのモル濃度に対して0.1当量から10.0当量)。この溶液を透明になるまで攪拌した。粘度増強剤、保存剤、および薬剤として許容される他の成分は添加しなかった。この溶液を、攪拌しながら、蒸留水で容量または重量を調整した。
【0054】
実施例3
ポリマーおよび保存剤を含むシプロフロキサシンおよびスルホアルキルエーテルシクロデキストリンの処方
適量のSBE7−β−CDを脱イオン蒸留水に溶解させて、約1%から約30%の濃度を得た。CD水溶液を攪拌しながら、最終的に1mg/mLから60mg/mLの濃度を提供する量で、シプロフロキサシンを分散させた。次いで、クエン酸を添加した(シプロフロキサシンのモル濃度に対して0.1当量から10.0当量)。この溶液を透明になるまで攪拌した。ポリマーの濃度が約0.1%から10%になるように、水溶性ポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(E50)を溶液に添加した。その濃度が0.1%から1%になるように、保存剤、クロロブタノールを添加した。必要に応じて、塩化ナトリウムなどの張度調整剤を添加した。この溶液を、攪拌しながら、蒸留水で容量または重量を調整した。
【0055】
実施例4
ポリマーおよび保存剤を含むシプロフロキサシンおよびスルホアルキルエーテルシクロデキストリンの凍結乾燥処方
適量のSBE7−β−CDを脱イオン蒸留水に溶解させて、約1%から約30%の濃度を得た。CD水溶液を攪拌しながら、最終的に1mg/mLから60mg/mLの濃度を提供する量で、シプロフロキサシンを分散させた。次いで、クエン酸を添加した(シプロフロキサシンのモル濃度に対して0.1当量から10.0当量)。この溶液を透明になるまで攪拌した。ポリマーの濃度が約0.1%から10%になるように、水溶性ポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(E50)を溶液に添加した。その濃度が0.1%から1%になるように、保存剤、クロロブタノールを添加した。この溶液を、攪拌しながら、蒸留水で容量または重量を調整した。必要に応じて、塩化ナトリウムなどの張度調整剤を添加した。この溶液を、孔径0.45μm以下のフィルタを通して濾過し、凍結乾燥した。
【0056】
実施例5
適量のSBE7−β−CDを脱イオン蒸留水に溶解させて、約1%から約30%の濃度を得た。CD水溶液を攪拌しながら、最終的に1mg/mLから60mg/mLの濃度を提供する量で、シプロフロキサシンを分散させた。次いで、クエン酸を添加した(シプロフロキサシンのモル濃度に対して0.1当量から10.0当量)。この溶液を透明になるまで攪拌した。ポリマーの濃度が約0.1%から10%になるように、水溶性ポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(粘度範囲2cpsから40,000cps)を溶液に添加した。その濃度が0.1%から1%になるように、保存剤、クロロブタノールを添加した。必要に応じて、塩化ナトリウムなどの張度調整剤を添加した。この溶液を、攪拌しながら、蒸留水で容量または重量を調整した。この溶液を、孔径0.45μm以下のフィルタを通して濾過し、さらに処理して、液体または固体処方を得た。
【0057】
実施例6
シプロフロキサシンHPLC法
本実施例は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)によって、本発明の組成物中のシプロフロキサシン含量を分析する方法を記載する。
カラム:Agilent Zorbax Eclipse XDB−C18、4.6×150mm、3.5μ
移動相:87:13、0.025Mリン酸pH3.0:アセトニトリル
注入量:10μl
UV検出@278nm
流速:1mL/分
カラム温度:40℃
精度:
0.05mg/mL溶液の応答
%RSD(n=10)=0.6%
真度:
同一濃度の第2の標準溶液と比較=98.6%
直線性:
5.0、7.5、10、12.5、および15.0μlの容量でシプロフロキサシン標準液0.05mg/mLの10回の注入を行ったが、これはカラムにロードしたシプロフロキサシン0.25、0.375、0.5、0.625、および0.75μgに相当した。これらの値は、名目上の濃度0.05mg/mLの50から150%に相当した。注入の各組の%RSD10は、すべて<1.3%であった。
LOD/LOQ:
LOD/LOQの推定値を得るために、濃度0.0001から0.01mg/mLの範囲でシプロフロキサシン溶液の6回の注入を行った。
LOD=10(SD/S)
10μlの0.0001mg/mL(カラムロード0.001μg)X=18373、SD=1059
LOQ=10(1059/7.0×10)=0.0015μg
LOD=3.3(1059/7.0×10)=0.0005μg
【0058】
実施例7
分解試験
本実施例の目的は、上述のHPLC定量法を、安定性を示す分析法としても用いられることを実証することであった。
【0059】
手順:周囲条件および加熱条件下、2Mのメタノール酸(methanolic acid)(HClメタノール溶液)および0.2MのNaOH水溶液に活性剤の溶液を暴露することによって、意図的にシプロフロキサシン溶液を分解する。1.0mg/mLのシプロフロキサシンを2Mのメタノール酸と合わせ、同様に1.0mg/mLのシプロフロキサシンを0.2MのNaOH水溶液と合わせて、最終濃度0.5mg/mLのシプロフロキサシンを得る。溶液を約24時間、周囲条件および80℃で保存する。1.0mg/mLのシプロフロキサシンを適量の溶媒(メタノールまたは水)で希釈することによって、コントロール試料も調製し、それらも周囲条件および加熱条件下で保存する。
【0060】
方法:定量法と同じ
【0061】
結果:塩基または酸を用いた場合、または用いない場合、加熱条件下で、以下の相対保持時間(RRT、シプロフロキサシンの主要ピークに対して)において新しいピークが検出された。0.27、0.36、0.55、0.60、0.68、および0.72である。
【0062】
結論:充分に分離した追加のピークの存在が、この方法を定量と安定性を示す両方の目的に使用できることを示していることを、分解試験の結果は示している。
【0063】
実施例8
ガチフロキサシンおよびスルホアルキルエーテルシクロデキストリンの処方
以下の手順に従って、以下の処方を製造した。SBE7−β−CDを脱イオン蒸留水に溶解させて、約3%の濃度を得た。CD水溶液を攪拌しながら、最終的に6mg/mL溶液を提供する量で、ガチフロキサシンを分散させた。次いで、クエン酸を添加した(ガチフロキサシンのモル濃度に対して0.1当量から10.0当量)。この溶液を透明になるまで攪拌した。粘度増強剤、保存剤、および薬剤として許容される他の成分は添加しなかった。この溶液を、攪拌しながら、蒸留水で容量または重量を調整した。結果:pH=約6、オスモル濃度=約150mOsm
【0064】
実施例9
ガチフロキサシンおよびスルホアルキルエーテルシクロデキストリンの処方
適量のSBE7−β−CDを脱イオン蒸留水に溶解させて、約1%から約30%の濃度を得た。CD水溶液を攪拌しながら、最終的に1mg/mLから60mg/mLの濃度を提供する量で、ガチフロキサシンを分散させた。次いで、クエン酸を添加した(シプロフロキサシンのモル濃度に対して0.1当量から10.0当量)。この溶液を透明になるまで攪拌した。粘度増強剤、保存剤、および薬剤として許容される他の成分は添加しなかった。この溶液を、攪拌しながら、蒸留水で容量または重量を調整した。
【0065】
実施例10
ポリマーおよび保存剤を含むガチフロキサシンおよびスルホアルキルエーテルシクロデキストリンの処方
適量のSBE7−β−CDを脱イオン蒸留水に溶解させて、約1%から約30%の濃度を得た。CD水溶液を攪拌しながら、最終的に1mg/mLから60mg/mLの濃度を提供する量で、ガチフロキサシンを分散させた。次いで、クエン酸を添加した(ガチフロキサシンのモル濃度に対して0.1当量から10.0当量)。この溶液を透明になるまで攪拌した。ポリマーの濃度が約0.1%から10%になるように、水溶性ポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを溶液に添加した。その濃度が0.1%から1%になるように、保存剤、クロロブタノールを添加した。必要に応じて、塩化ナトリウムなどの張度調整剤を添加した。この溶液を、攪拌しながら、蒸留水で容量または重量を調整した。
【0066】
実施例11
ポリマーおよび保存剤を含むガチフロキサシン、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、およびスルホアルキルエーテルシクロデキストリンの処方
適量のSBE7−β−CDおよびHPCDを脱イオン蒸留水に溶解させて、約1%から約30%の濃度を得た。CD水溶液を攪拌しながら、最終的に1mg/mLから60mg/mLの濃度を提供する量で、ガチフロキサシンを分散させた。次いで、クエン酸を添加した(シプロフロキサシンのモル濃度に対して0.1当量から10.0当量)。この溶液を透明になるまで攪拌した。次いで、最終的に1mg/mLから60mg/mLの濃度を提供する量で、ヒドロコルチゾンを分散させた。溶液を透明にした後、ポリマーの濃度が約0.1%から10%になるように、水溶性ポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを溶液に添加した。その濃度が0.1%から1%になるように、保存剤、クロロブタノールを添加した。この溶液を、攪拌しながら、蒸留水で容量または重量を調整した。必要に応じて、塩化ナトリウムなどの張度調整剤を添加した。この溶液を、孔径0.45μm以下のフィルタを通して濾過し、さらに処理して、液体または固体処方を得た。
【0067】
実施例12
適量のHPCDおよびSBE7−β−CDを脱イオン蒸留水に溶解させて、約1%から約30%の濃度を得た。CD水溶液を攪拌しながら、最終的に1mg/mLから60mg/mLの濃度を提供する量で、ガチフロキサシンを分散させた。次いで、クエン酸を添加した(ガチフロキサシンのモル濃度に対して0.1当量から10.0当量)。この溶液を透明になるまで攪拌した。ヒドロコルチゾンを分散させ、溶液を透明にした後、ポリマーの濃度が約0.1%から10%になるように、水溶性ポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(粘度範囲2cpsから40,000cps)を溶液に添加した。その濃度が0.1%から1%になるように、保存剤、クロロブタノールを添加した。必要に応じて、塩化ナトリウムなどの張度調整剤を添加した。この溶液を、攪拌しながら、蒸留水で容量または重量を調整した。この溶液を、孔径0.45μm以下のフィルタを通して濾過し、さらに処理して、液体または固体処方を得た。
【0068】
実施例13
ガチフロキサシンHPLC法
カラム:Agilent Zorbax Eclipse XDB−C18、4.6×150mm、3.5μ
移動相:85:15、0.025Mリン酸pH3.0(TEAを含む):アセトニトリル
注入量:10μl
UV検出@293nm
流速:1mL/分
カラム温度:40℃
精度:
0.1005mg/mL標準溶液は、0.34AUの応答を有した。
10回の注入で0.1%RSDであった。
真度:
第2の標準溶液と比較して、コントロールは7(0、1、5、7)日にわたって99.8〜100.2%であった。
直線性:
濃度0.050025、0.07575、0.1005、0.1255、および0.1515mg/mLの5種のガチフロキサシン標準溶液を調製し、それぞれ10回注入した。これらの値は、名目上の濃度0.1mg/mLの50から150%に相当した。注入の各組の%RSD10は、すべて<0.2%であった。
LOD/LOQ:
LOD/LOQの推定値を得るために、0.00002367から0.0007575mg/mLの範囲でシプロフロキサシンの6回の注入を行った。
LOD=10(SD/S) LOQ=3.3(SD/S)
0.00002367mg/mLを使用(カラムロード0.0002367μg)X=2406、SD=275
LOQ=10(275/5.0×10)=0.00055μg
LOD=3.3(275/5.0×10)=0.0001815μg
【0069】
実施例14
可溶性ポリマーおよび角膜沈殿
HPMCなどの可溶性ポリマーによる角膜沈殿の防止は、本発明のさらなる目的である。フルオロキノロンのpKaより高いpHで、HPMC、およびごくわずかに低い程度でPVAも、in vitroにおいて高濃度であっても角膜沈殿を防ぐことができる。これらの濃度は、処方中の濃度でのHPMCおよびPVA溶液へのフルオロキノロンの溶解度に比べてはるかに高い。公開されている種々の報告は、水溶性ポリマーがシクロデキストリンの存在下、疎水性薬剤を共可溶化するためにはミセルの形成が必要であると述べているので、この結果は特に予想外のものである(A.M.Sigurdardottir等、International Journal of Pharmaceutics、126、1995、73〜78頁;J.K.Kristinsson等、Investigations in Ophthalmology Visual Sciences、37、1996、1199〜1203頁;Thorsteinn Loftsson等、Advanced Drug Delivery Reviews、36(1999)、59〜79頁)。これらの報告はさらに、シクロデキストリンとポリマーのミセル形成は、120℃で加圧滅菌する、または数時間80℃で音波破砕するなど、激しい処理によってのみ可能であると述べている。本発明の方法は、穏やかに攪拌することのみを含む。
【0070】
図1は、HPMCを含むすべての成分を含む複合処方(シプロフロキサシン/ヒドロコルチゾン 0.6%/0.6%)が、in vitroで本質的に角膜沈殿を示さないことを示す。これは、実験誤差の範囲内で、涙液膜のpHは時間の関数として正常な涙液のpHに調節されるため、総濃度および可溶濃度が同じであるという事実から推論される。このin vitro涙液代謝回転実験は、一次鼻涙排液、および時間の関数としての涙液pHへの平衡化をシミュレートしているが、処方の粘度が増大するにつれ眼での滞留時間が増加したり、処方の作用に応じて流涙を誘発されたりするなど、他の重要なパラメータをシミュレートしていない。
【0071】
図2は、HPMCを除くすべての成分を含むコントロール複合処方(シプロフロキサシン/ヒドロコルチゾン、0.6%/0.6%)が、in vitroで角膜沈殿をもたらすことを示す。これは、6.1より高いpHにおいて、総濃度は可溶濃度に比べてはるかに高い(200%)という事実から推論される。「pH非依存性沈殿阻害剤」を含まない処方では、pKaより高いpHで沈殿が始まることは視覚的に明白である。溶液は非常に濁り、薬剤は溶液中に懸濁した微粒子として視覚的に観察することができる。これらのin vitro涙液代謝回転実験に関して、実験の論理および設計はすでに公開されている(B.A.Firestone等、International Journal of Pharmaceutics、164(1998)、119〜128頁)。
【0072】
図3は、CILOXAN(登録商標)(0.3%塩酸シプロフロキサシン)が、光安定性チャンバに暴露されたとき(ICH条件)、24時間にわたって実質的な分解を受けることを示す。この図はさらに、上述の本発明に従って構成された0.3%シプロフロキサシン処方が、CILOXAN(登録商標)自体に比べて相当に安定であることを示している。
【0073】
図4は、CILOXAN(登録商標)(0.3%塩酸シプロフロキサシン)が、光安定性チャンバに暴露されたとき(ICH条件)、24時間にわたって実質的な分解を受けることを示す。この図はさらに、本発明に従って構成された3倍の力価のシプロフロキサシン処方が、CILOXAN(登録商標)自体に比べて相当に安定であることを示している。
【0074】
図5は、それぞれシプロフロキサシン/ヒドロコルチゾン、およびガチフロキサシン/ヒドロコルチゾン複合処方における、シプロフロキサシンおよびガチフロキサシンの光安定性を示す。
【0075】
図6は、本発明の一部である処方が、加速度的安定性条件下においても、長期保存に安定であることを示す。全期間にわたって、活性剤の沈殿は観察されなかった。
【0076】
シプロフロキサシン溶液などのフルオロキノロン溶液が、酸性のpH(<5)で安定であり、高いpHでは相当な分解を生じることは、充分に立証されている(K Torniainen等、International Journal of Pharmaceutics、132、1996、53〜61頁;K Torniainen等、Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis、16、1997、439〜445頁;K Torniainen等、Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis、15、1997、887〜894頁)。安定性を増大したり、あるいは緩衝能を調節したりするための緩衝剤は添加していないが、本発明は予想外の緩衝を示した。処方の緩衝能は、一般に0.001以上の範囲である。包接錯体の形成に加えて、本発明に記載の処方は、この偶然の緩衝によってさらに安定化されていると考えられる。
【0077】
上記は本発明を例示するものであって、本発明を限定するものではない。本発明は請求の範囲によって記載されるものであり、請求の範囲の等価物は本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含むすべての成分を含む複合処方が、in vitroで本質的に角膜沈殿を示さないことを示す図である。
【図2】HPMCを除くすべての成分を含むコントロール複合処方が、in vitroで角膜沈殿を生じることを示す図である。
【図3】ジェネリック処方のCILOXAN(登録商標)が、照射に24時間にわたって暴露されたとき、分析値に相当な減少を示すことを示す図である。この図はさらに、同様の照射に24時間にわたって暴露されたとき、本発明の一部である組成物が、比較するとはるかに安定であることを示す図である。
【図4】照射に24時間にわたって暴露されたときの、複合処方の安定性を示す図である。
【図5】照射に24時間にわたって暴露されたときの、複合処方の安定性を示す図である。
【図6】本発明の一部である処方が、加速度的安定性条件下においても、長期保存に安定であることを示す図である。全期間にわたって、活性剤の沈殿は観察されなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1から100mg/mLのフルオロキノロン活性剤、
0から100mg/mLのステロイド性または非ステロイド性抗炎症剤、
1から50重量%のシクロデキストリン、
0.1から25モル当量のヒドロキシ酸、
0から20重量%の共可溶化剤、および
残量の水、
を含む水性薬剤組成物であって、前記処方が4から7のpHを有する組成物。
【請求項2】
前記シクロデキストリンが、αシクロデキストリン、βシクロデキストリン、γシクロデキストリン、およびδシクロデキストリンからなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記シクロデキストリンが、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン、およびヒドロキシアルキルシクロデキストリンからなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ヒドロキシ酸が、クエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、および酒石酸からなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
0.001から2重量%の保存剤をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
クロロブタノール、ソルビン酸、およびEDTAからなる群から選択された保存剤をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
0.05から5重量%の可溶性ポリマーをさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記可溶性ポリマーが、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、およびポロクサマー(poloxamers)からなる群から選択される請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記フルオロキノロンが、ガチフロキサシン(Gatifloxacin)、モキシフロキサシン(Moxifloxacin)、シタフロキサシン(Sitafloxacin)、ロメフロキサシン(Lomefloxacin)、グレパフロキサシン(Grepafloxacin)、ジェミフロキサシン(Gemifloxacin)、ノルフロキサシン(Norfloxacin)、オフロキサシン(Ofloxacin)、レボフロキサシン(Levofloxacin)、トロバフロキサシン(Trovafloxacin)、シプロフロキサシン(Ciprofloxacin)、およびそれらの組合せからなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記ステロイド性または非ステロイド性抗炎症化合物が、ステロイド性化合物であり、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、コルチコステロン、デオキシコルチコステロン、プレドニソロン、メチルプレドニソロン、メプレドニソン、トリアムシノロン、パラメタゾン、フルプレドニソロン、ベータメタゾン、デキサメタゾン、フルドロコルチゾン、およびそれらの組合せからなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記ステロイド性または非ステロイド性抗炎症化合物が、非ステロイド性化合物であり、アスピリン、ジクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、テノキシカム、トルメチン、ケトロラク、オキサプロシン、メフェナム酸、フェノプロフェン、ナブメトン、アセトアミノフェン、ニメスリド、NS−398、フロスリド、L−745337、セレコキシブ、ロフェコキシブ、SC−57666、DuP−697、パレコキシブナトリウム、JTE−522、バルデコキシブ、SC−58125、エトリコキシブ、RS−57067、L−748780、L−761066、APHS、エトドラク、メロキシカム、およびS−2474、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
必要としている対象の眼の細菌感染を治療する方法であって、前記細菌感染を治療するのに有効な量で、前記対象の眼に請求項1に記載の処方を局所的に適用するステップを含む方法。
【請求項13】
1から100mg/mLのフルオロキノロン活性剤、
0から100mg/mLのステロイド性または非ステロイド性抗炎症剤、
1から50重量%のシクロデキストリン、
0.1から25モル当量のヒドロキシ酸を含む薬剤処方。
【請求項14】
水で再構成されたとき、4.5から7のpHを有し、
1から100mg/mLのフルオロキノロン活性剤、
1から50重量%のシクロデキストリン、
0.1から25モル当量のヒドロキシ酸、および残量の水を含む水性薬剤組成物を生成する凍結乾燥形態の請求項13に記載の薬剤処方。
【請求項15】
前記シクロデキストリンが、αシクロデキストリン、βシクロデキストリン、γシクロデキストリン、およびδシクロデキストリンからなる群から選択される請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記シクロデキストリンが、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン、およびヒドロキシアルキルシクロデキストリンからなる群から選択される請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
前記ヒドロキシ酸が、クエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、および酒石酸からなる群から選択される請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
0.001から2重量%の保存剤をさらに含む請求項13に記載の組成物。
【請求項19】
前記保存剤が、クロロブタノール、ソルビン酸、およびEDTAからなる群から選択される請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
0.05から5重量%の可溶性ポリマーをさらに含む請求項14に記載の組成物。
【請求項21】
前記可溶性ポリマーが、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、およびポロクサマーからなる群から選択される請求項21に記載の組成物。
【請求項22】
前記フルオロキノロンが、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、シタフロキサシン、ロメフロキサシン、グレパフロキサシン、ジェミフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン、トロバフロキサシン、シプロフロキサシン、およびそれらの組合せからなる群から選択される請求項13に記載の組成物。
【請求項23】
前記ステロイド性または非ステロイド性抗炎症化合物が、ステロイド性化合物であり、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、コルチコステロン、デオキシコルチコステロン、プレドニソロン、メチルプレドニソロン、メプレドニソン、トリアムシノロン、パラメタゾン、フルプレドニソロン、ベータメタゾン、デキサメタゾン、フルドロコルチゾン、およびそれらの組合せからなる群から選択される請求項13に記載の組成物。
【請求項24】
前記ステロイド性または非ステロイド性抗炎症化合物が、非ステロイド性化合物であり、アスピリン、ジクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、テノキシカム、トルメチン、ケトロラク、オキサプロシン、メフェナム酸、フェノプロフェン、ナブメトン、アセトアミノフェン、ニメスリド、NS−398、フロスリド、L−745337、セレコキシブ、ロフェコキシブ、SC−57666、DuP−697、パレコキシブナトリウム、JTE−522、バルデコキシブ、SC−58125、エトリコキシブ、RS−57067、L−748780、L−761066、APHS、エトドラク、メロキシカム、およびS−2474、ならびにそれらの組合せからなる群から選択される請求項13に記載の組成物。
【請求項25】
それを必要としている対象の眼に活性化合物を含有する薬剤組成物を局所的に適用する方法であって、活性化合物は、前記組成物から前記対象の角膜に沈殿し、改良は、前記対象の角膜への前記活性化合物の沈殿を低減するのに有効な量で、前記組成物に可溶性ポリマーを含有することを含む方法。
【請求項26】
前記可溶性ポリマーが、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、およびポロクサマーからなる群から選択される請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記活性化合物が、フルオロキノロンである請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記薬剤組成物が、ステロイド性または非ステロイド性抗炎症化合物をさらに含む請求項25に記載の方法。
【請求項29】
それを必要としている対象の眼に活性化合物を局所的に適用するために用いる活性化合物を含有する局所薬剤組成物であって、活性化合物は前記組成物から前記対象の角膜に沈殿し、改良は、前記対象の角膜への前記活性化合物の沈殿を低減するのに有効な量で、前記組成物に0.05から5重量%の可溶性ポリマーを含有することを含む組成物。
【請求項30】
前記可溶性ポリマーが、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、およびポロクサマーからなる群から選択される請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記活性化合物が、フルオロキノロンである請求項29に記載の組成物。
【請求項32】
前記組成物が、ステロイド性または非ステロイド性抗炎症化合物をさらに含む請求項29に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−523687(P2006−523687A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507868(P2006−507868)
【出願日】平成16年4月14日(2004.4.14)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000252
【国際公開番号】WO2004/089418
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(505220217)デーエスエム アイピー アセッツ ベー. ヴェー. (29)
【Fターム(参考)】