説明

ICのシールド用メッキ膜を製造する設備及びICの金属シールド膜層

【課題】ICのシールド用メッキ膜を製造する設備及びICの金属シールド膜層を提供する。
【解決手段】ベース31は、チャンバー311を有している。ワーク支持具32は、チャンバー311に内設されており、かつ複数の回転軸と回転自在に接続され、各回転軸は、少なくとも一つのジグを有し、そのジグでは、少なくとも一つのICを取付ける。各中周波マグネトロンターゲット33及び各多重アークイオンターゲット34は、それぞれチャンバー311に内設され、中周波マグネトロンターゲット33及び多重アークイオンターゲット34が、金属材料をIC上にスパッターリングを行うように用いられることによって、ICの表面に少なくとも一つの金属シールド膜層が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICのシールド用メッキ膜を製造する設備及びICの金属シールド膜層に関し、特に物理蒸着法(Physical Vapor Deposition,PVD)プロセスを利用可能で、ICの表面に電磁遮蔽効果を与えるICのシールド用メッキ膜を製造する設備及びICの金属シールド膜層に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の進歩に従い、電子製品がますます小型化されてきているが、小型化とは裏腹にその機能が強化されてきている。そのため、電子製品の内部に組み込まれる集積回路(Integrated Circuit,以下、ICと示すこともある。)の複雑度と密度とが高度化となってきており、その内部の導線と電源部などの部分や電気回路板上に取り付けられている高い稼働周波数の電子素子のいずれも外部に向けて電磁波を放出しているため、他の素子との電磁干渉(Electromagnetic Interference,EMI)が生じやすくなってしまい、電気回路の正常な働きが妨げられることになる。よって、電磁干渉による電気回路への影響を克服することは、すでに重要な課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的に言えば、従来の電気回路板において、電気回路板に電磁干渉の影響を受けないように保護するために、金属ハウジングで電気回路板の一部を覆うようにすることがよくある。図1に示すように、金属ハウジング11により、電気回路板1のICチップ12を覆うようにすることによって、電磁干渉の問題が解決される。しかし、金属ハウジング11は、独立した作製プロセスが必要のほか、追加的な人手により電気回路板1上に取り付けなければならず、コストが非常に高くなるという問題がある。このほか、金属ハウジング11は、はんだ付け或いは他の方法で、電気回路板1上に固定しているため、電気回路板1のサイズが増大する。また、ICチップ12がメンテナンスや交換作業などが必要となった場合には、金属ハウジング11の取外しと取付けが必要となり、非常に不便で、かつ電気回路板1の損害を容易に引き起こす恐れがある。さらに、熱を如何にして放散するかも大きな課題の一つである。
【0004】
次に、図2に示されているもう一つよくあるICシールド層を参照する。この方式は、複数のICチップ22を備えた電気回路板2上に、シールド層21が形成されている。このような方式は、電気回路板2の製造プロセスに、シールド層21の製造プロセスを加える必要があり、従来の生産プロセスを変更することとなり、使用上不便である。しかも、このような方式では、ICチップ上のシールド層の形成は一回のみ行われ、それぞれICチップ単体に切り離されて使用されるので、ICチップ単体に直接にシールド層を形成することができないから、柔軟性もそれなりの制限がある。したがって、本発明で解決しようとする問題点は、公知技術においてIC金属ハウジングが重く、コストが高く、放熱性が悪いなどの点にあり、並びに複数のICチップ上にシールド層を形成した場合の作業性の不便及び柔軟性が欠けている点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記公知技術の問題点に鑑み、公知技術のように金属ハウジングをICの電磁遮蔽として利用するときに、プロセス上では新たな機械の使用による作製及び組み立てをする必要があることから、作製の時間とコストが増加する問題点を解決するためのICのシールド用メッキ膜を製造する設備及びICの金属シールド膜層を提供することを目的とする。
【0006】
本発明の目的に基づき、ベースと、ワーク支持具と、複数の中周波マグネトロンターゲットと、複数の多重アークイオンターゲットと、を備えるICのシールド用メッキ膜を製造する設備を提案する。ベースは、チャンバーを有する。ワーク支持具は、チャンバーに内設されており、かつ複数の回転軸と回転自在に接続され、各回転軸は、少なくとも一つのジグを有し、そのジグでは、少なくとも一つのICを取付けるように提供される。各中周波マグネトロンターゲット及び各多重アークイオンターゲットは、それぞれチャンバーに内設され、中周波マグネトロンターゲット及び多重アークイオンターゲットが、金属材料をIC上にスパッターリングを行うように用いられることによって、ICの表面に少なくとも一つの金属シールド膜層が形成される。
【0007】
本発明のICのシールド用メッキ膜を製造する設備には、チャンバーに内設され、チャンバー内の空気を引いて真空引きするための真空引き装置をさらに備えることが好ましい。
【0008】
本発明のICのシールド用メッキ膜を製造する設備には、チャンバーに内設され、チャンバー内の温度を上げるための加熱装置をさらに備えることが好ましい。
【0009】
本発明のICのシールド用メッキ膜を製造する設備には、ICに対してイオン洗浄を行うためのバイアス装置をさらに備えることが好ましい。
【0010】
中周波マグネトロンターゲット及び多重アークイオンターゲットが、さらに化合物を少なくとも一つの金属シールド膜層上にスパッターリングを行うように用いられることによって、絶縁層が形成されることが好ましい。
【0011】
金属材料は、チタニウム、ニッケル、銅またはステンレス鋼のいずれかを含有することが好ましい。
【0012】
多重アークイオンターゲットまたは中周波マグネトロンターゲットが、チタニウムまたはニッケルをICの表面にスパッターリングを行うことによって、第1金属シールド膜層が形成され、続いて中周波マグネトロンターゲットまたは多重アークイオンターゲットにより、銅を第1金属シールド膜層上にスパッターリングを行うことによって、第2金属シールド膜層が形成され、そして多重アークイオンターゲットまたは中周波マグネトロンターゲットにより、ステンレス鋼またはニッケルを第2金属シールド膜層上にスパッターリングを行うことによって、第3金属シールド膜層が形成され、最後に中周波マグネトロンターゲット及び多重アークイオンターゲットにより、酸化物、窒化物、炭化物またはそれらの組合せのいずれかを含有する化合物を第3金属シールド膜層にスパッターリングを行うことによって、絶縁層が形成されることが好ましい。
【0013】
ワーク支持具は、中空状の円形盤であることが好ましい。
【0014】
ワーク支持具は、複数の接続端を有し、これらの接続端はそれぞれ等間隔に隔てて、ワーク支持具の一表面に設けられ、各接続端は、それぞれ回転軸と接続するように用いられることが好ましい。
【0015】
ワーク支持具は、多軸自転・公転式の構造であり、ワーク支持具及び接続端の転動につれて、回転軸が連動して公転または自転するようにさせることが好ましい。
【0016】
中周波マグネトロンターゲットは、ワーク支持具の外側と内側に位置しており、多重アークイオンターゲットは、ワーク支持具の外側に位置していることが好ましい。
【0017】
中周波マグネトロンターゲットの一部は、ワーク支持具の一端側に位置しており、中周波マグネトロンターゲットの他の一部は、ワーク支持具の相対的な他端側に位置していることが好ましい。
【0018】
各中周波マグネトロンターゲット及び各多重アークイオンターゲットは、それぞれ開閉自在なゲートを有し、これらのような開閉自在なゲートは、メッキ作業前の当該中周波マグネトロンターゲットまたは当該多重アークイオンターゲットを保護するように用いられ、メッキ作業中の中周波マグネトロンターゲットまたは多重アークイオンターゲットから飛び出した金属材料がメッキ作業前の当該中周波マグネトロンターゲットまたは当該多重アークイオンターゲットにスパッターリングしてしまうのを防止するようにさせることが好ましい。
【0019】
本発明の目的に基づき、上記したICのシールド用メッキ膜を製造する設備を利用することにより、ICの表面に少なくとも一つの金属シールド膜層を作製してなるように構成されたICの金属シールド膜層が提案される。
【発明の効果】
【0020】
上記のとおり、本発明のICのシールド用メッキ膜を製造する設備及びICの金属シールド膜層は、以下の一つまたは複数の長所を有する。
【0021】
イ、本発明のICのシールド用メッキ膜を製造する設備によれば、PVDプロセスを利用して、一つまたは複数の金属材料層をICの一表面にスパッターリングして積層することによって、金属シールド膜層が形成されることで、ICに電磁遮蔽効果を持たせることができて、金属ハウジングによる遮蔽やマスク作業などを行う必要がなくなるため、余分な組立て作業を行う必要がなく、しかもメッキ方式による金属遮蔽マスクの形成について、ICと金属蓋プレートとの寸法対応問題への配慮が不要になり、コストを効果的に低減することもできる。
【0022】
ロ、本発明のICのシールド用メッキ膜を製造する設備によれば、ICのメッキ作業において、すべての生産プロセスは、一つのチャンバー内で完成することができるので、他の装置に移動する必要がない。さらに、この設備において、設計されたワーク支持具は多軸自転・公転式の構造であり、ワーク支持具には複数のICを載置することができるし、ワーク支持具の内外側の複数箇所にも複数の中周波マグネトロンターゲット及び多重アークイオンターゲットが設けられ、これにより、ICメッキ作業の速度がアップして、生産プロセスに掛かる時間を縮減することができる。
【0023】
ハ、本発明のICのシールド用メッキ膜を製造する設備によれば、金属シールド膜層をIC上にスパッターリングして完成した後、さらに中周波マグネトロンターゲット及び多重アークイオンターゲットを利用し、酸化物、窒化物、炭化物またはこれらの組合せのいずれかの化合物を最後に形成した金属シールド膜層上にスパッターリングを行うことによって、絶縁層が形成される。この絶縁層は、はんだ付けする際に、はんだが金属シールド膜層との導通を形成し、金属シールド膜層と回路との接触による短絡を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】公知技術におけるICの電磁遮蔽方式を示す概略図である。
【図2】他の公知技術におけるICの電磁遮蔽方式を示す概略図である。
【図3】本発明に係るICのシールド用メッキ膜を製造する設備の一実施例を示す概略図である。
【図4】本発明に係る回転軸の一実施例を示す概略図である。
【図5】本発明に係るICの金属シールド膜層の一実施例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明をより完全に理解するために、本発明の技術的特徴、内容と長所および達成できる効果については、添付図面を参照して、実施例の表現形式で以下のように詳細に説明される。しかし、図示された図面は、単に例示または明細書内容を補助することを目的としたものであって、本発明の実施後の原寸に比例したものや精確に配置したものにはなんら限定されない。よって、図示された図面は、添付図面の比例と配置関係で解釈されてはならず、本発明を実際に実施する権利範囲に制限することを意図したものではないことについて先に説明しておきたい。
【実施例】
【0026】
図3に示されている本発明のICのシールド用メッキ膜を製造する設備の一実施例の概略図を参照する。この図において、ICのシールド用メッキ膜を製造する設備は、ベース31と、ワーク支持具32と、複数の中周波マグネトロンターゲット33と、複数の多重アークイオンターゲット34と、複数の加熱管35と、一つのバイアス装置及び駆動装置36と、真空引き装置(図示しない)と、を備えるように構成される。なお、ここでの複数の加熱管35とは、本発明の加熱装置を意味する。ベース31は、チャンバー311を有し、ワーク支持具32と、複数の中周波マグネトロンターゲット33と、複数の多重アークイオンターゲット34と、複数の加熱管35と、一つのバイアス装置及び駆動装置36と、真空引き装置とは、それぞれチャンバー311に内設されている。ワーク支持具32は、複数の接続端321を有し、各接続端321は、それぞれ等間隔に隔てて、ワーク支持具32の一表面に設けられ、ワーク支持具32の外形は、中空状の円形盤であっても良いが、例えば、矩形の外形に形成しても良い。ここでは、好適な実施形態の一例を挙げて説明したが、ワーク支持具32の外形は、上述したものに何ら限定されるものではない。ワーク支持具32の各接続端321は、それぞれ各回転軸4と回転自在に接続され、それぞれの回転軸4は、少なくとも一つのジグ41を有し、ジグ41では、複数の集積回路(IC)5を取り付けるように提供することが可能で、回転軸4の概略図は、図4に示すように、ジグ41は、単体の集積回路5を取り付けることもできるため、メッキ作業を行った後のカッティングなどの加工作業は不要である。
【0027】
以上のように、真空引き装置は、例えばチャンバー311内の空気を引いて真空引きするように用いられる。メッキ作業をサポートするために、各加熱管35は、チャンバー311内の作業温度を上げることができるように用いられ、加熱管35の加熱温度は、約150℃〜300℃に設定していて、かつ温度制御システムを採用して、温度制御を行い、温度制御の精度は、1℃〜5℃である。バイアス装置及び駆動装置36は、それぞれ各集積回路5に対してイオン洗浄を行ったりワーク支持具32を回転駆動したりするように用いられる。バイアス装置は、単極直流パルスバイアス電源が採用されており、直流電流またはパルス電圧は、調節可能に設計され、直流電流は、約20ボルト〜200ボルトに設定し、パルス電圧では、100ボルト〜1000ボルトの間に設定しても良い。ワーク支持具32は、多軸自転・公転式の構造であり、接続端321との転動につれて、回転軸4が連動して公転または自転するようにさせることができる。多軸自転・公転式の構造は、インバータにより、回転速度の調節が行なわれ、その回転速度は1〜60RPMである。
【0028】
中周波マグネトロンターゲット33と多重アークイオンターゲット34は、金属材料と化合物を集積回路5にスパッターリングするように用いられ、その金属材料としては、例えば、チタニウム、ニッケル、銅、ステンレス鋼などが挙げられ、また、その化合物としては、酸化物、窒化物、炭化物またはこれらの組合せが挙げられる。中周波マグネトロンターゲット33は、円柱状または平面のマグネトロンターゲットと円柱状または平面状の金属ターゲット材との組合せであり、また、円柱状のマグネトロンターゲットとしては、定方向回転スパッターリング構造が採用されており、その回転速度は、約1〜40RPMである。中周波マグネトロンターゲット33のターゲットの電源としては、中周波数マグネトロン電源が採用されている。多重アークイオンターゲット34としては、直流式多重アーク電源が採用されており、その電源の電流は、約100アンペア〜250アンペアである。各中周波マグネトロンターゲット33及び多重アークイオンターゲット34は、それぞれ開閉自在なゲート(図示しない)が設けられ、これらの開閉自在なゲートは、メッキ作業中の中周波マグネトロンターゲット33または多重アークイオンターゲット34から飛び出した金属材料がメッキ作業前の中周波マグネトロンターゲット33または多重アークイオンターゲット34にスパッターリングしてしまうのを防止するように保護される。
【0029】
各中周波マグネトロンターゲット33は、主にワーク支持具32の内側と外側に設置されており、また、中周波マグネトロンターゲット33の一部を、ワーク支持具32の一端側に設け、他の一部は、ワーク支持具32の他端側に設けることができる。複数の多重アークイオンターゲット34は、ワーク支持具32の外側に設けることができる。図3に示されているワーク支持具32と、複数の中周波マグネトロンターゲット33と、複数の多重アークイオンターゲット34と、複数の加熱管35と、一つのバイアス装置及び駆動装置36と、真空引き装置と、をチャンバー311に内設している位置や数量などは、単に一実施例に過ぎず、上述したものに何ら限定されるものではない。各上述した設定パラメータ、電流値、回転速度、金属材料や設計構造などは、単に一実施例に過ぎず、上述したものに何ら限定されるものではない。
【0030】
以上のように、ICのシールド用メッキ膜を製造する設備を利用して、集積回路5にメッキ作業を行う場合は、まず、真空引き装置により、チャンバー311内の空気を引いて真空引きした後、続いて、物理プロセスで集積回路5に対して表面の活性化するための洗浄処理を行い、さらに、メッキ作業が容易に行われるように、加熱管35とバイアス装置を用いて、それぞれチャンバー311内の作業温度を上げると共に、イオン洗浄を行う。続いて、多重アークイオンターゲット34または中周波マグネトロンターゲット33により、第1金属シールド膜層を形成するように、チタニウムまたはニッケルを集積回路5の表面にスパッターリングさせる。この実施例において、チタニウムまたはニッケルを集積回路5上にスパッターリングするため、第1金属シールド膜層は、チタニウムまたはニッケルの金属シールド膜層51として形成される。続いて、中周波マグネトロンターゲット33または多重アークイオンターゲット34により、銅の金属シールド膜層52(第2金属シールド膜層)を形成するように、銅をチタニウムまたはニッケルの金属シールド膜層51上にスパッターリングする。多重アークイオンターゲット34または中周波マグネトロンターゲット33により、ステンレス鋼またはニッケルの金属シールド膜層53(第3金属シールド膜層)を形成するように、ステンレス鋼またはニッケルを銅の金属シールド膜層52上にスパッターリングする。最後に、図5に示されているような絶縁層54を形成するように、酸化物、窒化物、炭化物またはこれらの組合せの化合物をステンレス鋼またはニッケル金属シールド膜層53上にスパッターリングする。
【0031】
上記プロセスにおいて、一部の中周波マグネトロンターゲット33と多重アークイオンターゲット34を利用して、メッキ作業を実施するか、または全部の中周波マグネトロンターゲット33と多重アークイオンターゲット34を起動状態とし、メッキ作業を実施することができる。ワーク支持具32により、回転軸4が連動して公転または自転するようにすることができるため、一部の中周波マグネトロンターゲット33または多重アークイオンターゲット34を利用して、第1金属シールド膜層のメッキ作業を実施して、他の一部で第2金属シールド膜層のメッキ作業を実施した後、さらに他の一部で第3金属シールド膜層のメッキ作業を実施することによって、メッキ作業の速度を加速化できるのみならず、金属材料を集積回路の一表面へ均一にスパッターリングすることもできる。当然ながら、一部の中周波マグネトロンターゲット33または多重アークイオンターゲット34のみを利用して、第1金属シールド膜層、第2金属シールド膜層、第3金属シールド膜層及び絶縁層54のメッキ作業を完成することも可能である。上述したターゲット材のスパッターリング方式や各設備の稼働順番などは、単に一実施例に過ぎず、上述したものに何ら限定されるものではない。
【0032】
以上説明したように、従来の金属蓋プレートを利用して電磁波を遮蔽するといった従来技術に代えて、本発明に係るICのシールド用メッキ膜を製造する設備によれば、スパッターリング方式で、集積回路(IC)を保護するための電磁遮蔽効果を有するメッキ膜が形成されるように、金属材料を集積回路(IC)の一表面上にスパッターリングするように構成される。さらに、本発明を適用すれば、金属材料を単体の集積回路(IC)上にスパッターリングすることができることによって、集積回路(IC)のメッキ作業を行った後のカッティングなどの加工作業を省くことができる。本発明のICのシールド用メッキ膜を製造する設備で提案された各設備の配置方式を適用すれば、メッキ作業の速度を加速化できるのみならず、金属材料を集積回路(IC)の一表面へ均一にスパッターリングすることもでき、コストを効果的に低減し、プロセス全体に掛かる時間も大幅に縮減することができる。さらに、金属材料を集積回路(IC)にスパッターリングしてから、化合物をシールド膜層にスパッターリングすることによって、シールド膜層と回路との接触による短絡を防止することができる。
【符号の説明】
【0033】
1、2 電気回路板
11 金属ハウジング
12、22 ICチップ
21 シールド層
31 ベース
311 チャンバー
32 ワーク支持具
321 接続端
33 中周波マグネトロンターゲット
34 多重アークイオンターゲット
35 加熱管
36 バイアス装置及び駆動装置
4 回転軸
41 ジグ
5 集積回路
51 チタニウムまたはニッケルの金属シールド膜層
52 銅の金属シールド膜層
53 ステンレス鋼またはニッケルの金属シールド膜層
54 絶縁層



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICのシールド用メッキ膜を製造する設備であって、
チャンバーを有するベースと、
前記チャンバーに内設され、複数の回転軸と回転自在に接続されているワーク支持具と、
前記チャンバーに内設されている複数の中周波マグネトロンターゲット及び複数の多重アークイオンターゲットと、を備え、
各前記回転軸は、少なくとも一つのジグを有し、前記ジグでは、少なくとも一つのICを取付けるように提供され、
前記複数の中周波マグネトロンターゲット及び前記複数の多重アークイオンターゲットが、金属材料を前記IC上にスパッターリングを行うように用いられることによって、ICの表面に少なくとも一つの金属シールド膜層が形成されることを特徴とする、ICのシールド用メッキ膜を製造する設備。
【請求項2】
前記チャンバーに内設され、前記チャンバー内の空気を引いて真空引きするための真空引き装置をさらに備えることを特徴とする、請求項1記載のICのシールド用メッキ膜を製造する設備。
【請求項3】
前記チャンバーに内設され、前記チャンバー内の温度を上げるための加熱装置をさらに備えることを特徴とする、請求項1記載のICのシールド用メッキ膜を製造する設備。
【請求項4】
前記チャンバーに内設され、ICに対してイオン洗浄を行うためのバイアス装置をさらに備えることを特徴とする、請求項1記載のICのシールド用メッキ膜を製造する設備。
【請求項5】
前記複数の中周波マグネトロンターゲットと前記複数の多重アークイオンターゲットが、さらに化合物を少なくとも一つの金属シールド膜層上にスパッターリングを行うように用いられることによって、絶縁層が形成されることを特徴とする、請求項1記載のICのシールド用メッキ膜を製造する設備。
【請求項6】
前記金属材料は、チタニウム、ニッケル、銅またはステンレス鋼のいずれかを含有することを特徴とする、請求項5記載のICのシールド用メッキ膜を製造する設備。
【請求項7】
前記複数の多重アークイオンターゲットまたは前記複数の中周波マグネトロンターゲットが、チタニウムまたはニッケルを前記ICの前記表面にスパッターリングを行うことによって、第1金属シールド膜層が形成され、続いて前記複数の中周波マグネトロンターゲットまたは前記複数の多重アークイオンターゲットにより、銅を前記第1金属シールド膜層上にスパッターリングを行うことによって、第2金属シールド膜層が形成され、そして前記複数の多重アークイオンターゲットまたは前記複数の中周波マグネトロンターゲットにより、ステンレス鋼またはニッケルを前記第2金属シールド膜層上にスパッターリングを行うことによって、第3金属シールド膜層が形成され、最後に前記複数の中周波マグネトロンターゲットと前記複数の多重アークイオンターゲットにより、酸化物、窒化物、炭化物またはそれらの組合せのいずれかを含有する前記化合物を前記第3金属シールド膜層にスパッターリングを行うことによって、前記絶縁層が形成されることを特徴とする、請求項6記載のICのシールド用メッキ膜を製造する設備。
【請求項8】
前記ワーク支持具は、中空状の円形盤であることを特徴とする、請求項1記載のICのシールド用メッキ膜を製造する設備。
【請求項9】
前記ワーク支持具は、複数の接続端を有し、前記複数の接続端はそれぞれ等間隔に隔てて、前記ワーク支持具の一表面に設けられ、各前記接続端は、それぞれ各回転軸と接続するように用いられることを特徴とする、請求項8記載のICのシールド用メッキ膜を製造する設備。
【請求項10】
前記ワーク支持具は、多軸自転・公転式の構造であり、前記ワーク支持具と前記接続端の転動につれて、回転軸が連動して公転または自転するようにさせることを特徴とする、請求項9記載のICのシールド用メッキ膜を製造する設備。
【請求項11】
前記複数の中周波マグネトロンターゲットは、前記ワーク支持具の外側と内側に位置しており、前記複数の多重アークイオンターゲットは、前記ワーク支持具の外側に位置していることを特徴とする、請求項8記載のICのシールド用メッキ膜を製造する設備。
【請求項12】
前記複数の中周波マグネトロンターゲットの一部は、前記ワーク支持具の一端側に位置しており、前記複数の中周波マグネトロンターゲットの他の一部は、前記ワーク支持具の相対的な他端側に位置していることを特徴とする、請求項11記載のICのシールド用メッキ膜を製造する設備。
【請求項13】
各前記中周波マグネトロンターゲット及び各前記多重アークイオンターゲットは、それぞれ開閉自在なゲートを有し、前記開閉自在なゲートは、メッキ作業前の当該中周波マグネトロンターゲットまたは当該多重アークイオンターゲットを保護するように用いられ、メッキ作業中の前記複数の中周波マグネトロンターゲットまたは前記複数の多重アークイオンターゲットから飛び出した前記金属材料がメッキ作業前の当該中周波マグネトロンターゲットまたは当該多重アークイオンターゲットにスパッターリングしてしまうのを防止するようにさせることを特徴とする、請求項1記載のICのシールド用メッキ膜を製造する設備。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれか1項に記載のICのシールド用メッキ膜を製造する設備を利用することにより、ICの表面に少なくとも一つの金属シールド膜層を作製してなることを特徴とする、ICの金属シールド膜層。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−112897(P2013−112897A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−87084(P2012−87084)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【出願人】(512091213)晟銘電子科技股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】