説明

ICパッケージ用トレイ及びICパッケージの検査方法

【課題】トレイに収納したままで複数のICパッケージの連続的な検査を容易にするとともに、ハンドリング時等にICパッケージに誤って触れることがなく破壊等が生じにくくする。
【解決手段】厚さ方向に貫通しかつ格子状枠体11により区画された空所4内に、ICパッケージ3のパッケージ本体6が載置されるステージ部16と、ICパッケージ3の端子部7を避けた位置でステージ部16を格子状枠体11に連結する複数のアーム部17とからなるパッケージ支持体15が設けられてなり、パッケージ支持体15は、ICパッケージ3を支持したときに端子部7の下端面7aを格子状枠体11の下端面18のレベルから浮かせた状態とする高さ位置に設けられるとともに、少なくとも一部は、ICパッケージ3を上方から押圧したときに端子部7の下端面7aが格子状枠体11の下端面18のレベルを超える位置まで変位可能な弾性材料により形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICパッケージを収納するトレイ、及びこのトレイに収納したICパッケージの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICパッケージの取り扱いには、多数の凹部をマトリクス状に形成したトレイが用いられている。このトレイは、各凹部にICパッケージを一つずつ収納した状態で、保管、搬送等の用に供される。また、ICパッケージの電気的特性を検査する場合、ICパッケージの端子部に検査ソケットのプローブを接触させることが行われるが、トレイから一つずつ取り出して検査する煩雑さを解消するため、特許文献1では、収納したまま検査できるようにしたトレイが提案されている。
【0003】
この特許文献1に開示のトレイは、図7(a)に図示したように、トレイ51の表面に、ICパッケージ(被検査部品)52を収納する複数の凹部(溝)53が形成されるとともに、その凹部53の底面からトレイ51の裏面に達する複数の貫通孔54が形成され、各貫通孔54内に導体55が埋め込まれている。そして、凹部53にICパッケージ52を収納すると、ICパッケージ52の端子部56と凹部53内底面に露出する各導体55の上端面とが接触するようになっており、トレイ51の裏面に露出する導体55の下端面が検査ソケット57に対するコンタクト部55aとされている。一方、検査装置は、トレイ51をトレイホルダによって保持し、トレイ51の裏面に露出するコンタクト部55aに検査ソケット57のプローブ58を接触させる構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−345262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、トレイは本来、ICパッケージの取り扱いを容易にするためのものであるから、トレイに収納された状態で作業員によりハンドリングされ、台やパレット等の上に載せられる。特許文献1記載のトレイであると、トレイ51を作業員が手に持った場合や、トレイ51の置き場所の周辺環境等によっては、トレイ51の裏面に露出しているコンタクト部55aを経由してICパッケージ52に静電気が流れてしまい、ICパッケージ52を破壊してしまうおそれがある。
【0006】
この場合、図7(b)に示すように、各貫通孔54内の導体55を貫通孔54の長さよりも短くして、コンタクト部55aをトレイ51の裏面と面一ではなく、貫通孔54の途中位置に配置することにより、誤ってコンタクト部55aに触れるなどの事故を少なくすることができると考えられる。しかしながら、そのコンタクト部55aに検査ソケット57のプローブ58を接触させる場合には、貫通孔54内にプローブを挿入する必要が生じ、ポゴピンなどの可動式のプローブピン59を設ける必要があるとともに、トレイ51をICソケット57上に配置し、またICソケット57上から退避させる場合には、矢印で示すように、そのプローブピン59の挿入方向に沿ってトレイ51を移動させる作業を伴うため、多数の凹部53内のICパッケージ52を連続的に検査する場合に作業が煩雑になる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、トレイに収納したままで複数のICパッケージの連続的な検査を容易にするとともに、ハンドリング時等にICパッケージに誤って触れることがなく破壊等が生じにくいトレイ及びそのトレイを用いたICパッケージの検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のICパッケージ用トレイは、パッケージ本体の周縁部から端子部が下方に突出してなるICパッケージを収納するトレイであって、前記ICパッケージを収納可能な大きさの空所が、厚さ方向に貫通しかつ格子状枠体により区画された状態で複数設けられ、各空所内に、ICパッケージの前記パッケージ本体が載置されるステージ部と、ICパッケージの前記端子部を避けた位置で前記ステージ部を前記格子状枠体に連結する複数のアーム部とからなるパッケージ支持体が設けられてなり、前記パッケージ支持体は、ICパッケージを支持したときに前記端子部の下端面を前記格子状枠体の下端面のレベルから浮かせた状態とする高さ位置に設けられるとともに、前記ステージ部及び前記アーム部の少なくとも一部は、ICパッケージを上方から押圧したときに前記端子部の下端面が前記格子状枠体の下端面のレベルを超える位置まで変位可能な弾性材料により形成されていることを特徴とする。
【0009】
このICパッケージ用トレイは、ICパッケージを各空所に収納すると、空所内のパッケージ支持体がICパッケージを下方から支持することになる。このパッケージ支持体は、ステージ部をアーム部によって格子状枠体に連結しており、そのステージ部にICパッケージのパッケージ本体を載置するようにして収納すると、アーム部の間に端子部が臨ませられた状態に配置される。この収納状態では、端子部の下端面は格子状枠体の下端面のレベルよりも上方に配置される。したがって、この収納状態でトレイごと取り扱う場合に、ICパッケージの端子部に誤って触れてしまうことはない。
【0010】
そして、このトレイの空所をICソケットの上に配置し、その空所に収納状態のICパッケージを上方から押圧すると、パッケージ支持体の弾性により、ICパッケージが下降して端子部の下端面が格子状枠体の下端面を超えて変位するので、この押し下げ状態で検査ソケットのプローブに端子部を接触させることができ、電気的検査が可能である。
また、ICパッケージへの押圧を解除すれば、パッケージ支持体の弾性力により元の位置に復帰して、ICパッケージの端子部の下端面が格子状枠体の下端面から浮かされた状態となるので、そのままトレイを水平にスライドして移動することが可能であり、複数の凹所内のICパッケージを連続的に検査する場合に、トレイを水平スライドするだけで、ICパッケージを検査ソケット上に位置決めし、また検査ソケット上のICパッケージを退避することができ、作業性がよい。
【0011】
すなわち、本発明のICパッケージの検査方法は、前記空所内にICパッケージを収納した前記ICパッケージ用トレイの前記空所を検査ソケット上に配置した状態で、前記空所内のICパッケージを押し下げることにより前記パッケージ支持体を弾性変形させ、前記アーム部の間の前記端子部の下端面を前記検査ソケットのプローブに接触させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のICパッケージ用トレイにおいて、前記空所の内周面を形成する前記格子状枠体の表面は、その上端から下端に向かうにしたがい前記空所の横断面を漸次小さくするように傾斜しているものとするとよい。
ICパッケージを押し下げるにしたがい、格子状枠体の表面の傾斜に沿って左右方向の芯合わせを行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ICパッケージを収納した状態では、空所内のパッケージ支持体がICパッケージの端子部の下端面を格子状枠体の下端面のレベルよりも浮かせた高さ位置に支持するので、ハンドリング時に誤って端子部に触れてしまうことが防止され、ICパッケージが破壊されにくく、確実に保護することができる。そして、電気的な検査を行う場合は、ICパッケージを収納したまま検査ソケットの上にトレイの空所を配置してICパッケージを押し下げるだけでよく、押し下げ状態を解除すれば、パッケージ支持体の弾性変形によって再び格子状枠体の下端面のレベルから端子部の下端面が上昇するので、トレイごと水平方向にスライドさせながら順次検査することができ、作業性がよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る一実施形態のICパッケージ用トレイの空所にICパッケージを収納した状態を示す要部の縦断面図であり、(a)は検査ソケット上に配置した状態、(b)は検査ソケットのプローブにICパッケージの端子部を接触させた状態をそれぞれ示している。
【図2】図1のトレイの一つの空所の平面図である。
【図3】図1のトレイの全体平面図である。
【図4】本発明が適用されるICパッケージの例を示す(a)が平面図、(b)が側面図である。
【図5】本発明の他の実施形態を示す図1(a)同様の縦断面図である。
【図6】本発明のさらに他の実施形態を示す図2同様の平面図である。
【図7】従来のICパッケージ用トレイの例を示す縦断面図であり、(a)が特許文献1に示される例、(b)がポゴピンを用いた例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図3は一実施形態のICパッケージ用トレイ1の全体平面を示しており、その外形をなす矩形の支持枠2の中に、ICパッケージ3を収納するための空所4が、支持枠2の内側空間を区画する仕切り壁5によりマトリクス状に配列された状態で複数形成されている。
この場合、収納されるICパッケージ3は、図4に示すように、例えばQFP(Quad Flat Package)であり、IC回路を内蔵して樹脂封止されたパッケージ本体6が平面視矩形状に形成され、その周縁の四辺から多数のリードが突出して端子部7とされた構成である。この場合、端子部7は、図4(b)に示すように、パッケージ本体6の周縁から外方に突出し、その途中位置が下方に屈曲形成されており、パッケージ本体6の裏面よりも端子部7の先端部の下端面7aの方が高さhだけ下方に突出して配置されている。したがって、このICパッケージ3を端子部7の先端部を下にして基盤等の平面P上に載置すると、端子部7の下端面7aが平面Pに接触し、パッケージ本体6の裏面は平面Pから高さhの隙間をあけて浮いた状態に配置される。
【0016】
そして、このICパッケージ3が収納されるトレイ1は、合成樹脂の射出成形によって支持枠2及び仕切り壁5が一体に形成されており、その合成樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS等が用いられ、静電防止のためにカーボンブラック等の導電材が混入される。また、各空所4を区画する支持枠2及び仕切り壁5は、全体としてはトレイ1の厚さ方向に沿う格子形の枠状をなすように形成され、個々の空所4においては、その四辺を形成するように角筒状の壁を構成している。本発明では、この支持枠2及び仕切り壁5の一体構造により形成される格子形の枠体を格子状枠体11と称し、以下では、支持枠2又は仕切り壁5を特に区別しない場合には、これらを一括して格子状枠体11として説明する。
【0017】
この格子状枠体11の下端部には、図1及び図2に示すように、空所4内に向けて一定幅で突出する張り出し部12が一体に設けられており、この張り出し部12の内周縁は、平面視矩形状に形成されている。また、この張り出し部12より上方位置では、格子状枠体11の支持枠2及び仕切り壁5は一定の厚さで垂直に形成されている。したがって、各空所4は、トレイ1の厚さ方向に貫通しているとともに、トレイ1の下端においては張り出し部12の内周縁に囲まれた開口部13が形成され、トレイ1の上端においては格子状枠体11の支持枠2又は仕切り壁5の上端により囲まれた開口部14が形成され、下端の開口部13よりも上端の開口部14の方が大きく形成されている。
そして、各空所4における張り出し部12の内周縁、つまり空所4の下端の開口部13が、ICパッケージ3の端子部7の先端により形成される矩形状と相似形で、ICパッケージ3よりもわずかに大きい横断面形状とされている。
【0018】
また、各空所4には、収納されるICパッケージ3を空所4の高さ方向の途中位置で支持するパッケージ支持体15がそれぞれ設けられている。このパッケージ支持体15は、ICパッケージ3のパッケージ本体6が載置されるステージ部16と、このステージ部16を格子状枠体11に連結状態とする複数のアーム部17とから構成されている。
【0019】
ステージ部16は、ゴム膜により、パッケージ本体6の平面形状よりも若干小さい平面形状(図示例では楕円形状)に形成されている。一方、アーム部17は、本実施形態ではワイヤによって構成され、ステージ部16の周囲の四箇所と、格子状枠体11の上端部において各空所4の四隅部に対応する位置とに両端部が固着されることにより、格子状枠体11の上端部からステージ部16を吊り下げた状態に支持している。この吊り下げ状態において、ステージ部16は空所4の横断面よりも小さい平面に形成されているので、ステージ部16の周縁と空所4の内周面(格子状枠体11の壁面)との間には環状に間隔があけられており、その環状の間隔の部分を横断するように4本のアーム部17がステージ部16の周縁と格子状枠体11との間に張架されている。
【0020】
そして、このパッケージ支持体15のステージ部16上にICパッケージ3のパッケージ本体6を載置すると、このステージ部16がパッケージ本体6の平面よりも小さいため、パッケージ本体6から突出する端子部7は、ステージ部16の外方で格子状枠体11の壁面との間の環状の間隔の部分に配置される。この場合、この環状の間隔の部分を横断するアーム部17は、ステージ部16と横断面四角形の空所4の四隅部との間に配置されているので、パッケージ本体6の四辺から突出する端子部7は、これらアーム部17を避けた位置に配置される。
【0021】
また、パッケージ支持体15のステージ部16は、格子状枠体11の下端面18よりも上方で、空所4内の高さ方向の中間位置に配置されている。このステージ部16の空所4内の高さ位置は、ICパッケージ3においてパッケージ本体6の裏面から突出する端子部7の突出高さ(端子部7の先端部の下端面7aからパッケージ本体6の下面までの高さ)hよりも十分高く設定されており、これにより、図1(a)に示すように、このステージ部16上にICパッケージ3を載置した状態とすると、ステージ部16の外方に露出する端子部7の先端部の下端面7aが格子状枠体11の下端面18のレベルから上方に浮いた状態に支持されるようになっている。
【0022】
また、このICパッケージ3を載置するステージ部16は、前述したようにゴム膜から形成されているので弾性変形可能であり、空所4内に収納したICパッケージ3のパッケージ本体6を図1(b)の矢印で示すように上方から押し下げることにより、ステージ部16が弾性変形しながら破線矢印で示すように伸びてICパッケージ3を下降変位させ、少なくとも端子部7の先端部の下端面7aが格子状枠体11の下端面18のレベルを超えるまで変位させることができるようになっている。この格子状枠体11の下端面18を超える変位量は、後述する検査用ICソケットのプローブに対する接触圧を確保できる程度とされる。
なお、このステージ部16はゴム膜で平板状であり、また、アーム部17もワイヤによって形成されていることから、パッケージ支持体15全体として薄肉に形成することができ、トレイ1内に、その厚さを増大させることなく設置することができる。
【0023】
このように構成したICパッケージ用トレイ1にICパッケージ3を収納した状態で個々のICパッケージ3の電気的特性を検査用ICソケットにより検査する方法について説明する。
検査用ICソケット21は、図1に示すように、平板状のボード22の上面に、ICパッケージ3の端子部7と対応する配列で多数のプローブ23が配置されており、そのプローブ23が図示略の検査回路に接続された構成とされる。
【0024】
そして、この検査用ICソケット21を使用してICパッケージ3の電気的特性を検査する場合、ICパッケージ3を収納したトレイ1の空所4を図1(a)に示すようにICソケット21の上方に配置し、ICパッケージ3を上方から押圧すると、ICパッケージ3を支持しているパッケージ支持体15のステージ部16が伸ばされてICパッケージ3が下方に変位する。このICパッケージ3の変位により、ステージ部16とトレイ1の格子状枠体11の壁との間に配置されていた端子部7の先端部が空所4の下端開口部13から下方に突出して、図1(b)に示すように、その下端面7aがICソケット21のプローブ23に接触し、ICパッケージ3の電気的特性が検査される。
【0025】
また、検査終了後は、ICパッケージ3に対する上方からの押圧力を解除すると、ステージ部16が収縮し、そのときの弾性復元力によって元の高さ位置に復帰し、ICパッケージ3の端子部7の先端部も、格子状枠体11の下端面18よりも上方位置に引き込まれる。このICパッケージ3が元の位置に復帰した後は、トレイ1の下端面は、格子状枠体11の下端面18による平坦な面となり、トレイ1を水平にスライドすることができる。
【0026】
このため、トレイ1の特定の空所4をICソケット21の上方に配置して、その空所4内のICパッケージ3を押し下げて電気的検査をした後、その押し下げ力を解除してICパッケージ3を上方位置に復帰させ、その後、トレイ1を横方向にスライドさせることにより、次のICパッケージ3をICソケット21の上方に配置して、その電気的検査を実施することができ、その操作を繰り返すことにより、複数のICパッケージ3を連続的に検査することができる。そして、その場合に、トレイ1を水平にスライドして、ICパッケージ3を押し下げるという単純な操作の繰り返しにより、複数のICパッケージ3を連続的に検査することができ、従来技術のようなトレイの上下移動を伴わずに水平移動だけでICパッケージ3のICソケット21上への位置決めと退避とを行うことができ、作業性がよい。
【0027】
図5は、本発明に係るトレイの他の実施形態を示している。このトレイ31は、格子状枠体32の壁が上方から下方に向かうにしたがって漸次肉厚に形成され、その壁面が傾斜面33とされている。このため、ICパッケージ3が収納される空所4は、トレイ31の上端の開口部34から下端の開口部35にかけて横断面を徐々に小さくするように角錐台状に形成される。その他の構成は一実施形態のトレイと同様であり、共通要素に同一符号を付して説明を省略する。
【0028】
このトレイ31においては、空所4に収納したICパッケージ3を上方から押圧すると、一実施形態の場合と同様に、パッケージ支持体15のステージ部16が伸びてICパッケージ3が押し下げられるが、そのとき、格子状枠体32の壁が上方から下方に向けて空所4を小さくするように傾斜しているので、ICパッケージ3の収納状態が空所4の中心に対してずれている場合でも、その下降に伴って格子状枠体32の壁の傾斜面33に案内されて空所4の中心に芯合わせされ易く、ICソケット21のプローブ23に正確な位置で接触することができる。
【0029】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、各実施形態ではパッケージ支持体のステージ部を平板状に形成したが、ICパッケージのパッケージ本体を下方から支持できるものであれば、必ずしも平板状に形成されていなくてもよく、図6に示すパッケージ支持体41のように線状又は帯状のものを組み合わせてステージ部42を構成するようにしてもよい。
また、パッケージ支持体のステージ部をゴム膜等の弾性体により形成し、これをワイヤからなるアーム部によって格子状枠体に支持したが、ステージ部を比較的剛性のある樹脂により形成し、アーム部をゴム等の弾性材料によって形成してもよい。また、これらステージ部及びアーム部を同じ弾性材料によって一体に形成してもよい。
【0030】
さらに、ICパッケージの電気的特性の検査をする場合、1個のICソケットにトレイの一つの空所を位置合わせして、ICパッケージを1個ずつ検査するように説明したが、複数のICソケットをトレイの空所と同じ配列で設けておき、これらICソケットの上にトレイの空所をそれぞれ配置し、これら空所内の各ICパッケージを同時又は順次押し下げて検査するようにしてもよい。その場合、トレイに設けられる空所と同じ個数のICソケットをトレイと同じ配列で設けておくことにより、トレイ単位で測定するようにしてもよい。
また、ICパッケージとしてQFPを例示したが、このQFPに代表される四辺から端子部が突出するタイプのもの、SOP(Small Outline Package)のように二辺から端子部が突出するタイプのものなど、端子部の下端面がパッケージ本体の下面よりも突出する形式のICパッケージであれば本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1…トレイ、2…支持枠、3…ICパッケージ、4…空所、5…仕切り壁、6…パッケージ本体、7…端子部、7a…下端面、11…格子状枠体、11a…下端面、12…張り出し部、13,14…開口部、15…パッケージ支持体、16…ステージ部、17…アーム部、21…ICソケット、22…ボード、23…プローブ、31…トレイ、32…格子状枠体、33…傾斜面、34,35…開口部、41…パッケージ支持体、42…ステージ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージ本体の周縁部から端子部が下方に突出してなるICパッケージを収納するトレイであって、
前記ICパッケージを収納可能な大きさの空所が、厚さ方向に貫通しかつ格子状枠体により区画された状態で複数設けられ、各空所内に、ICパッケージの前記パッケージ本体が載置されるステージ部と、ICパッケージの前記端子部を避けた位置で前記ステージ部を前記格子状枠体に連結する複数のアーム部とからなるパッケージ支持体が設けられてなり、前記パッケージ支持体は、ICパッケージを支持したときに前記端子部の下端面を前記格子状枠体の下端面のレベルから浮かせた状態とする高さ位置に設けられるとともに、前記ステージ部及び前記アーム部の少なくとも一部は、ICパッケージを上方から押圧したときに前記端子部の下端面が前記格子状枠体の下端面のレベルを超える位置まで変位可能な弾性材料により形成されていることを特徴とするICパッケージ用トレイ。
【請求項2】
前記空所の内周面を形成する前記格子状枠体の表面は、その上端から下端に向かうにしたがい前記空所の横断面を漸次小さくするように傾斜していることを特徴とする請求項1記載のICパッケージ用トレイ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のICパッケージ用トレイを用いてICパッケージの電気的特性を検査する方法であって、
前記空所内にICパッケージを収納した前記ICパッケージ用トレイの前記空所を検査ソケット上に配置した状態で、前記空所内のICパッケージを押し下げることにより前記パッケージ支持体を弾性変形させ、前記アーム部の間の前記端子部の下端面を前記検査ソケットのプローブに接触させることを特徴とするICパッケージの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−46408(P2011−46408A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195956(P2009−195956)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】