説明

III−V族発光デバイスを成長させるための基板

【課題】特性および信頼性を低下させることなくIII−V族発光デバイスを成長させるための基板を提供すること。
【解決手段】ホストおよび該ホストに接合されたシード層を含む基板が準備され、次いで、n型領域およびp型領域の間に配置された発光層を含む半導体構造が、前記シード層上に成長される。幾つかの実施形態では、接合層が、前記ホストを前記シード層に結合させる。シード層は、前記シード層に形成される転位によって、または前記シード層と前記接合層の間、即ちこれら二つの層間の界面での滑りによって半導体構造における歪みが解除されるように、前記半導体構造における歪みの緩和のための臨界圧力よりも薄くすることができる。幾つかの実施形態において、前記ホストは、前記接合層をエッチング除去することにより前記半導体構造およびシード層から分離されてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードのような半導体発光デバイス、特に、そのような発光デバイスを成長させ得る成長基板に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)、共振器型発光ダイオード(RCLED)、垂直共振器型面発光レーザダイオード(VCSEL)、およびエッジ放出レーザを含む半導体発光デバイスは、現在入手可能な最も効率的な光源の中に含まれる。可視スペクトルの全体に亘って動作できる高輝度発光デバイスの製造において、現在興味を持たれている材料系には、III−V族半導体、特に、III族−窒化物材料とも称されるガリウム、アルミニウム、インジウム、および窒素の二元系、三元系、四元系合金が含まれる。典型的には、III族−窒化物発光デバイスは、有機金属化学気相成長(MOCVD)、分子線エピタキシー(MBE)、または他のエピタキシャル技術によって、異なる組成および異なるドーパント濃度の半導体層のスタックを、サファイヤ、炭化ケイ素、III族−窒化物、または他の適切な基板上にエピタキシャル成長させることによって製造される。このスタックは、屡々、前記基板を覆って形成された例えばSiをドープした1以上のn型層と、該n型層を覆って形成された1以上の発光領域または活性領域と、該活性領域を覆って形成された例えばMgをドープされた1以上のp型層とを含んでいる。電気的コンタクトが、前記n型領域およびp型領域に形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
天然のIII族−窒化物基板は一般に高価であり、広く入手可能ではないので、サファイア基板またはSiC基板上にIII族−窒化物を成長させる。このような非III族−窒化物基板は、幾つかの理由で最適とは言い難い。
【0004】
第一に、サファイアおよびSiCは、その上に成長されるIII族−窒化物層とは異なる格子定数を有しており、該III族−窒化物層に歪みおよび結晶欠陥を生じさせるので、特性および信頼性を低下させる問題を生じる可能性がある。
【0005】
第二に、幾つかのデバイスでは、例えば、デバイスの光学特性を改善させるため、または該成長基板上に成長させた半導体層への電気的アクセスを得るために、成長基板を除去することが望まれる。サファイア基板の場合、成長基板は、サファイアと半導体層との界面において、III族−窒化物材料、典型的にはGaNのレーザ解離によって除去されることが多い。レーザ解離は半導体層においてショック波を発生させ、これが半導体層またはコンタクト層に損傷を与えて、潜在的に当該デバイスの特性を劣化させる可能性がある。他の基板は、エッチングのような他の技術によって除去されてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に従えば、ホストおよび該ホストに接合されたシード層を含む基板が提供され、次いで、n型領域およびp型領域の間に配置される発光層を含んだ半導体構造が、前記シード層上に成長される。幾つかの実施形態では、接合層が、前記ホストを前記シード層に結合させる。幾つかの実施形態において、該シード層は、前記半導体構造における歪み緩和のための臨界厚さよりも薄くてよく、その結果、前記半導体構造における歪みは、前記シード層中に形成される転位によって、または前記シード層および前記接合層の界面におけるこれら層間の滑りによって解放される。幾つかの実施形態において、前記半導体構造におけるシード層の格子定数と、核形成層の格子定数の間の差は1%未満である。幾つかの実施形態において、前記ホストの熱膨張係数は、前記半導体構造の少なくとも一つの層の熱膨張係数の少なくとも90%である。幾つかの実施形態では、前記半導体構造における歪みを低減するために、前記シード層に溝が形成される。幾つかの実施形態では、前記半導体構造を覆う接合層を選択的に攻撃するエッチング剤で前記接合層をエッチング除去することにより、前記ホストを前記半導体構造およびシード層から分離してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、ホスト基板、接合層およびシード層を含む複合成長基板上に成長された、III族−窒化物半導体構造を図示している。
【図2】図2は、第二のホスト基板に接合された図1の構造を示している。
【図3】図3は、シード層、接合層および第一のホスト基板の除去後で、且つエピタキシャル層の露出表面にコンタクトを形成した後の図2の構造を示している。
【図4】図4は、ホスト基板および接合層を示している。
【図5】図5は、シード層材料の厚いウエハーに接合された、図4の構造を示している。
【図6】図6は、シード層材料の厚いウエハーの一部を除去して、所望の厚さのシード層を残した後の複合基板を示している。
【図7】図7は、シード層材料の厚いウエハーへのバブル層のインプラントを示している。
【図8】図8は、図4の構造に接合された図7の構造を示している。
【図9】図9は、パターン化されたシード層を含む複合基板を備えたデバイスを示している。
【図10】図10は、複合基板のシード層上に成長されたフリップチップデバイスを示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態に従えば、III族−窒化物発光デバイスのような半導体発光デバイスが、図1に示した複合成長基板10の上に成長される。基板10は、ホスト基板12、シード層16、およびホスト12をシード16に接合するための接合層14を含んでいる。基板10の各層は、当該デバイスにおける半導体層を成長させるための、必要な処理条件に耐えることができる材料から形成される。例えば、MOCVDにより成長されたIII族−窒化物デバイスの場合、基板10の各層は、1000℃を超える温度のH2雰囲気に耐えることができなければならず、MBEにより成長されたIII族−窒化物の場合、基板10の各層は、真空中において600℃を超える温度に耐えることができなければならない。
【0009】
ホスト基板12は、基板10および該基板10を覆って成長された半導体デバイス層18に対して、機械的支持を提供する。ホスト基板12は、一般には3〜500ミクロンの厚さであり、屡々100ミクロンよりも厚い。ホスト基板12がデバイスの一部として残る場合、ホスト基板12は、当該デバイスから基板12を通して光が抽出されるときには、少なくとも部分的に透明であってよい。デバイス層18はホスト基板12上に直接成長されないから、ホスト基板12は、一般には単結晶である必要はない。幾つかの実施形態において、ホスト基板12の材料は、デバイス層18のCTEおよびシード層16のCTEを一致させる熱膨張係数(CTE)を有するように選択される。半導体、セラミックおよび金属を含む、エピタキシャル層18の処理条件に耐えることができる如何なる材料も、本発明の実施形態において適切であり得る。望ましくはデバイス層18のCTEに近いCTEを有するが、MOCVDによりIII族−窒化物層を成長させるために必要な温度で昇華分解するGaAsのような材料は、該GaAsホストおよびシード層16の間に堆積される窒化シリコンのような不浸透性キャップ層と共に使用されてよい。下記の表1は、III族−窒化物材料のCTE、および幾つかの適切なホスト基板材料のCTEを示している。
【表1】

【0010】
シード層16は、その上にデバイス層18が成長される層であり、従って、その上にIII族−窒化物結晶が核形成できる材料でなければならない。シード層16は、約50Å〜1μmの厚さであってよい。幾つかの実施形態において、シード層16は、デバイス層18の材料に対してCTE適合される。屡々、その上にデバイス層18が成長されるシード層16の表面の結晶学的配向は、ウルツ鉱型[0001]c軸である。シード層16が仕上がりデバイスの一部に残る実施形態において、光がシード層16を通してデバイスから抽出されるならば、シード層16は透明または薄くてよい。表2は、幾つかのシード層材料の格子定数を示している。
【表2】

【0011】
1以上の接合層14が、ホスト基板12をシード層16に接合する。接合層14は、約100Å〜1μmの厚さでよい。適切な接合層の例には、SiO2のようなSiOX、Si34のようなSiNX、HfO2、それらの混合物、Mo、Tiのような金属、TiN、他の合金、および他の半導体または誘電体が含まれる。接合層14は、ホスト基板12をシード層16に結合するから、接合層14を形成する材料は、ホスト12およびシード16の間の良好な接着を提供するように選択される。幾つかの実施形態において、接合層14は、デバイス層18を攻撃しないエッチング剤でエッチングできる材料で形成され、それによって、デバイス層18およびシード層16をホスト基板12から放出する放出層である。例えば、接合層14はSiO2であってよく、これはIII族−窒化物デバイス層に損傷を生じさせることなく、HFによって湿式エッチングすることができる。接合層が仕上げられたデバイスの一部として残る実施形態において、接合層14は、好ましくは透明であるか、または非常に薄い。幾つかの実施形態において、接合層14は省略されてもよく、またシード層16はホスト基板12に直接接着されてもよい。
【0012】
デバイス層18は、当該技術において既知の成長技術により成長された、従来のIII族−窒化物デバイス層である。シード層16に隣接した層の組成は、その格子定数または他の性質、および/またはシード層16の材料上で核形成できるその能力で選択されてよい。
【0013】
本発明の幾つかの実施形態において、シード層16および接合層14は、膨張してホスト基板12に接触する厚い層である。例えば、接合層14およびシード層16は、100Åよりも厚くてよい。シード層16を覆って成長されるエピタキシャル層18は、エピタキシャル層18とシード層16の間の格子ミスマッチに起因して歪みを生じ、従って、歪みを制限するために、シード層の組成は、エピタキシャル層に合理的に格子適合するように選択される。加えて、シード層16のおよびホスト基板12の組成は、エピタキシャル層18のCTEに近接したCTEを有するように選択される。幾つかの実施形態において、ホスト基板およびシード層材料は、ホストのCTEが、発光層のような少なくとも一つのデバイス層におけるCTEの少なくとも90%であるように選択される。シード層/接合層/ホスト基板の可能な組合せの例には、Al23/オキサイド/Al23またはアルミナ;SiC/オキサイド/合理的に近いCTEを持った何れかのホスト;ZnO/オキサイド/合理的に近いCTEをもった何れかのホスト;およびGaNのようなIII族−窒化物材料/オキサイド/合理的に近いCTEをもった何れかのホストが含まれる。
【0014】
ホスト基板12のCTEがエピタキシャル層18のそれよりも大きければ、エピタキシャル層18は室温において圧縮応力の下にある。このエピタキシャル層18における圧縮応力は、高Siドーピングのn型層の成長を可能にし、また例えば2μmを超える厚いエピタキシャル領域18の成長を可能にする。対照的に、ホスト基板12のCTEがエピタキシャル層18のそれよりも小さければ、エピタキシャル層18は室温において引張り応力の下にある結果、エピタキシャル層18の厚さおよびその中のドーピングレベルは、クラック発生によって制限される。従って、ホスト基板12の組成は、一般に、該ホスト基板がエピタキシャル層18よりも大きいCTEを有するように選択される。
【0015】
本発明の幾つかの実施形態において、複合基板10を覆って成長されたエピタキシャル層18の歪みの軽減は、シード層16の厚さを、エピタキシャル層18の臨界厚さ未満または概ねこれに等しい厚さ、即ち、エピタキシャル層18が緩和されて歪みを受けない厚さに制限することによって提供される。例えば、サファイアまたは他のホスト基板12およびSiCシード層16の複合基板において、シード層16の厚さは50〜300Åであってよい。
【0016】
エピタキシャル層18の成長の際、層18の厚さが薄いシード層の厚さを超えて増大するときに、格子不適合のシード層16上での成長に起因してエピタキシャル層18内に負荷される歪みは、層18からシード層16へと伝達される。層18の厚さが緩和のための臨界点を超えると、層18内の歪みの軽減は、エピタキシャル層18を通って上方に伝播する転位によってではなく、シード層16内に形成される転位によって、また従順な接合層14およびシード層16の間の滑りによって与えられる。シード層16内の転位形成によって、負荷された歪みがエピタキシャル層18からシード層16へと伝達されるときに、シード層の格子定数は、緩和され且つ自立しているときのシード層の格子定数から、エピタキシャル層の格子定数に類似したまたは同一の格子定数へとシフトする。従って、エピタキシャル層18は概ね転位のない高品質の層である。例えば、デバイス層18における糸状転位の濃度は、109cm-2未満に制限され、より好ましくは108cm-2未満に制限され、更に好ましくは107cm-2未満に制限され、また更に好ましくは106cm-2未満に制限され得る。
【0017】
上記で述べたように、シード層16に隣接したIII族−窒化物層の組成は、一般に、シード層16上において核形成する能力で選択される。この実施形態のうち、SiCシード層16がサファイアホスト基板12に接合される上記の例において、シード層上に成長されるIII族−窒化物層はAlNであってよく、これはSiC上で十分に核形成し、且つSiCに合理的に近似した格子定数を有している。エピタキシャル層18の組成は、III−窒化物層の何れかの組合せの組成勾配または超格子によって、該層18の厚さに亘ってシフトされてよい。例えば、非常に薄いAlN層をSiCシード層16上に直接堆積させてよく、次いでGaNを添加することにより、AlN組成が減少するAlGaNを、AlN組成が0%に達してGaNになるまで形成してよい。次いで、該組成は、望ましいInGaN組成に到達するまでInNを添加および増大させることによって、GaNからInGaNへとシフトされてよい。
【0018】
薄いシード層はより良好に膨張し、転位を形成し、または接合層14との界面で滑リを生じてエピタキシャル層18における歪みを解放できるので、この実施形態においてシード層の厚さが減少するに伴って、シード層16、ホスト基板12、およびエピタキシャル層のCTE間における適合性、並びにシード層16およびエピタキシャル層18の格子定数間における適合性は重要性が低くなる。
【0019】
幾つかの実施形態において、シード層16、および該シード層を覆って成長される第一のエピタキシャル層18のための材料は、シード層16の格子定数と、該シード層上に成長された核形成層と称する第一のエピタキシャル層の格子定数との間の差が、1%未満であるように選択される。例えば、GaNもしくはInGaN核形成層は複合成長基板上に成長されてよく、該基板は、ZnOシード層に合理的に近いCTEを備えた何等かのホスト基板に、オキサイド接合層を介して接合されたZnOシード層16を含んでいる。ZnOの格子定数は3.24である。核形成層の格子定数は、核形成層のInN組成に応じて、例えば3.21〜3.27である。例えば、In0.09Ga0.91N核形成層は約3.21の格子定数を有し、またIn0.16Ga0.84N核形成層は約3.24の格子定数を有している。ZnOは、MOCVDによりInGaNを成長させるために必要な温度で分解し得るので、ZnOシード層を備えた複合基板上に成長された第一のIII族−窒化物層は、MBEのような低温技術によって成長されてよい。或いは、3.11の格子定数を有するAlN核形成層は、3.08の格子定数を有するSiCシード層上に成長されてよい。
【0020】
シード層および核形成層間の格子定数の差を制限することは、当該デバイスの歪みの量を低減し、潜在的に、当該デバイスのエピタキシャル層18に形成される転位の数を減少させることができる。幾つかのデバイスにおいて、核形成層のようなエピタキシャル層18における格子定数は、エピタキシャル層が引張り応力ではなく圧縮応力の下にあるように、シード層16の格子定数よりも大きくてよい。
【0021】
幾つかの実施形態において、ホスト基板材料は、加熱の際にシード層の格子定数を所望の量だけ広げて、エピタキシャル層18の格子定数に更に緊密に適合させるようなCTEを有するように選択される。ホスト基板12は、そのCTEが、III族−窒化物層18の成長温度において、シード層16内に引張り応力を生じるように選択される。従って、シード層16の格子定数はこの引張り応力により拡大されて、エピタキシャル層18の発光層が可視光を放出するために必要な、高InN組成(例えばIn0.15Ga0.85N)の格子定数に対して更に良好に適合するようになる。広げられたシード層の格子定数は、サファイアホスト基板12上のSiCシード層16、または多結晶SiCホスト基板12上のGaNシード層16を備えた複合基板において可能である。ホスト基板12によってシード層16に引張り応力が加わる場合、シード層16が薄いほど、該シード層16はクラックを伴わずに引張り応力に耐えることができる。一般に、特にシード層の引き伸ばされた格子定数が、核形成層の格子定数に適合することを目的とする場合には、シード層16の格子定数と核形成層の格子定数との間の差を約1%未満に制限することが望ましい。
【0022】
ホスト基板材料がシード層の格子定数を引き伸ばすように選択される実施形態の一例において、約5×10-6-1のCTEおよび3.11の格子定数を有するAlN核形成層が、約4×10-6-1のCTEおよび3.08の格子定数を有するSiCシード層16を備えた基板上に成長される。ホスト基板12は、少なくとも10×10-6-1のCTEを有する可能性がある。ホスト基板が少なくとも15×10-6-1のCTEを有していれば、周囲温度がエピタキシャル層18の成長に適した温度(例えば約1000℃)まで上昇したときに、ホスト基板12の膨張は、SiCシード層16の格子定数を拡大させて、成長されたAlN核形成層の格子定数に適合させるであろう。シード層16と核形成層との間には格子定数のミスマッチは存在しないので、AlN核形成層は転位なしで、または極めて低い転位濃度で成長させることができる。少なくとも15×10-6-1のCTEを有する適切なホスト基板材料の一例は、ヘイネス(Haynes)合金(UNS#N07214)であり、これは18.6×10-6-1のCTEおよび1355℃の融点を有する75%Ni、16%Cr、4.5%Al、および3%Feの合金である。もう一つの例においては、AlNが50%以下のAlGaN核形成層が、AlNシード層16を備えた基板上に成長される。もう一つの例では、InGaN核形成層が、GaNシード層16を備えた基盤上に成長される。成長の後にウエハーが室温に冷却されて、シード層16の格子定数が再度収縮するとき転位が形成されるのを防止するために、デバイスのウエハー上に溝を形成してもよい。このような溝については、以下で図9を参照して述べる。
【0023】
幾つかの実施形態では、シード層を単一の一体的中断層としてではなく、ストライプ状または格子状に形成することにより、エピタキシャル層における更なる歪み緩和が提供されてよい。或いは、シード層は単一の一体的中断層として形成し、次いで歪み緩和を提供するために、例えば溝を形成することによって所定の場所を除去してもよい。図9は、ストライプとして形成されたシード層16を含んだ、複合基板を備えたデバイスの断面図である。単一の一体的中断シード層16は、接合層14を介してホスト基板12に接合され、次いで従来のリソグラフィー技術により、シード層の一部を除去してパターンニングすることによってストライプが形成されてよい。シード層の各ストライプの縁部は、エピタキシャル層18内の転位をシード層のストライプの縁部に集中させることによって、追加の歪み緩和を提供することができる。シード層16、接合層14、および核形成層の組成は、核形成層の材料が、シード層16の部分間のスペースにより露出している接合層14の上ではなく、シード層16上に優先的に核形成するように選択されてよい。
【0024】
発光デバイスのウエハー上において、図9に示したシード層16内の溝は、概ね一つのデバイス幅、例えば数百ミクロンまたは1ミリメータだけ離間していてよい。パターンニングされたシード層を備えた複合基板上に形成されたデバイスのウエハーは、シード層部分の縁部が発光層の下に位置しないように分割されてよい。何故なら、シード層の縁部に集中した転位は、低い特性または信頼性の問題を生じる可能性があるからである。或いは、一つのデバイス幅に複数の溝、例えば、約数ミクロンまたは数十ミクロンだけ離間した複数の溝が形成されてよい。このような基板上での成長条件は、シード層16を覆って形成された核形成層、またはその後のエピタキシャル層が、シード層16に形成された溝を覆って合体し、該ウエハー上のデバイスの発光層が、シード層16の溝によって中断されない連続的な層として形成されるように選択される。
【0025】
上記の実施形態および例に記載した複合基板の幾つかは、図4〜図6に示したようにして形成されてよい。図4〜図6は、シード層のためのバルク材料が容易に入手可能であるときの、複合基板;例えばSiC、Al23、ZnOのシード層、および潜在的にはAlNのような幾つかのIII族−窒化物層を備えた基板の形成を示している。図4に示したように、接合層14は、該接合層およびホスト基板材料に適した従来の技術によって、ホスト基板12上に形成されてよい。例えば、SiO2接合層14は、例えば化学的気相成長のような堆積技術によって、Al23ホスト基板上に堆積されてよい。幾つかの実施形態において、接合層14は、機械的研磨のような接合層14を平坦化する技術によって、堆積後に加工されてよい。
【0026】
次いで、シード層材料16Aの厚いウエハーが、図5に示すように、接合層14の露出された表面に接合される。接合層14に対する強い結合を形成するためには、シード層材料ウエハー16Aもまた平坦でなければならない。ホスト基板12およびウエハー16Aは、高温および高圧において接合される。
【0027】
次いで、望ましい厚さのシード層16を超えるシード層材料16Aの部分が、図6に示すようなシード層16の組成に適切な技術60によって除去される。例えば、Al23シード層材料は研磨によって除去されてよく、またSiCシード層材料はエッチングによって除去されてよい。得られる構造は、上記で述べた複合基板10である。
【0028】
図4、図7および図8は、上記で述べた複合体構造を形成するための別の方法を図示している。図4〜図6を参照して上記で述べた方法と同様に、接合層14が最初にホスト基板12に形成され、次いで、必要であれば、図4に示したように、接合層14を加工して平坦にする。
【0029】
別途、シード層材料16Bのウエハーには、水素、重水素、またはヘリウムのような材料72を注入して、最終的な複合基板におけるシード層16の望ましい厚さに対応する深さ72にバブル層を形成する。シード層材料ウエハー16Bは、Al23のような単一の材料であってもよく、或いは、それはAl23ウエハー上にエピタキシャル成長されたIII族−窒化物層のような異なる材料を含んでもよく、または以下で説明するようにホスト基板に接合されてもよい。
【0030】
ウエハー16Bは、ウエハー16Bの水素インプラント側を接合層14に接合させるようにして、接合層14に結合される。図5を参照して上記で説明したように、接合層14の露出表面およびウエハー16Bの表面は両方とも、上昇した温度および圧力で強力な結合を形成するために十分に平坦でなければならない。この得られた構造が図8に示されている。次いで、図8の接合された構造は、例えば不活性雰囲気において約500℃よりも高い温度に加熱され、この加熱により、ウエハー16Bのインプラントされたバブル層を拡大させ、ウエハー16Bの薄いシード層部分を、バブル層72がインプラントされた厚さでウエハー16Bの残りの部分から剥離し、上記で述べたような仕上げられた複合基板10がもたらされる。
【0031】
バルク材料として容易に入手可能でない材料のシード層を含む上記mp実施形態および例において、例えば、サファイアのような適切な成長基板上に、MOCVDまたはMBEのようなエピタキシャル技術により成長されたGaN、AlGaN、InGaN、InNおよびAlNのようなIII族−窒化物シード層の場合、該シード層は別途調製されなければならない。成長基板上で適切な厚さのシード層材料を成長させた後に、該シード層を適切なホストに結合してよく、また前記成長基板は、該成長基板に適した技術によって除去されてよい。
【0032】
III族−窒化物シード層材料のような幾つかの実施形態において、シード層は、成長基板上において歪みを受けた状態で成長される。シード層16がホスト基板12に接合され、前記成長基板から除去されると、シード層16とホスト基板16の間の結合が適合していれば(例えば適合した接合層14)、シード層16は少なくとも部分的に緩和される。こうして、シード層は歪みを受けた層として成長されるが、その組成は、該シード層が前記成長基板から解放および緩和された後には、その格子定数が、前記シード層を覆って成長されるエピタキシャル層の格子定数に合理的に近似し、または適合するように選択される。
【0033】
例えば、III族−窒化物デバイスがAl23上で便宜に成長されるときに、前記基板上に成長される前記第一の層は、一般には、格子定数が約3.19のGaN緩衝層である。該GaN緩衝層は、発光層(屡々InGaN)を含めて、該緩衝層を覆って成長される全てのデバイス層の格子定数を設定する。緩和された自立しているInGaNは、GaNよりも大きな格子定数を有しているので、発光層は、GaN緩衝層を覆って成長されるときに歪みを受ける。対照的に、本発明の実施形態において、InGaNシード層は、従来の基板上で歪みを受けて成長され、次いで、ホストに接合され、InGaNシード層が少なくとも部分的に緩和されるように、成長基板から放出されてよい。緩和の後に、InGaNシード層は、GaNよりも大きい格子定数を有している。このように、InGaNシード層の格子定数は、InGaN発光層と同じ組成の、緩和された自立している層の格子定数に更に緊密に適合している。InGaNシード層を覆って成長されたInGaN発光層を含むデバイス層は、InGaNシード層の格子定数を再現するであろう。従って、緩和されたInGaNシード層の格子定数をもったInGaN発光層は、GaN緩衝層の格子定数をもったInGaN発光層よりも歪みが少ない。発光層における歪みを低減することは、当該デバイスの特性を改善することができる。
【0034】
例えば、サファイア上において従来法で成長されたGaN緩衝層は、3.189Åの格子定数を有することができる。青色光を放出するInGaN層は、In0.12Ga0.88Nの組成、即ち、自立性の格子定数3.23Åをもった組成を有してよい。発光層における歪みは、発光層における実際の格子定数(従来のGaN緩衝層上で成長された層について3.189Å)と、同じ組成の自立層の格子定数との間の差であり、従って、この歪みは(afreestanding−aactual)/afreestandingとして表される。従来のIn0.12Ga0.88N層の場合、歪みは(3.23Å−3.189Å)/3.23Å、即ち、約1.23%である。同じ組成の発光層がInGaNシード層を備えた複合基板上で成長されれば、InGaNシード層の大きな格子定数が発光層における大きな実際の格子定数をもたらすので、この歪みは低減または排除される。本発明の幾つかの実施形態において、430〜480nmの光を放出するデバイスの発光層における歪みは、1%未満、更に好ましくは0.5%未満にまで低減され得る。シアン光を放出するInGaN層は、組成In0.16Ga0.84N、即ち、従来のGaN緩衝層上で成長されたときに、約1.7%の歪みを持った組成を有してよい。本発明の幾つかの実施形態において、480〜520nmの光を放出するデバイスの発光層における歪みは、1.5%未満に低減されてよく、より好ましくは1%未満にまで低減されてよい。緑色の光を放出するInGaN層は、In0.2Ga0.8Nの組成、即ち、3.26Åの自立層格子定数を持った組成を有し、GaN緩衝層上に成長されたときに約2.1%の歪みを生じる。本発明の幾つかの実施形態において、520〜560nmの光を放出するデバイスの発光層における歪みは、2%未満、より好ましくは1.5%未満に低減され得る。
【0035】
III族−窒化物シード層材料は、所望の配向性のIII族−窒化物層を備えた複合基板を形成するために、追加の接合工程を必要とするかもしれない。サファイアまたはSiC上に成長するIII族−窒化物層は、典型的にはc平面ウルツ鉱として成長される。このようなウルツ鉱型III族−窒化物構造は、ガリウム面および窒素面を有している。III族−窒化物は、成長する層の頂面がガリウム面であり、底面(成長基板に隣接する表面)が窒素面であるように、選択的に成長する。シード層材料を従来と同様にサファイアまたはSiC上に単純に成長させ、次いで該シード層材料をホストに結合し、成長基板を除去することによって、窒素面が露出されたIII族−窒化物シード層を備えた複合基板が生じるであろう。上記で述べたように、III族−窒化物はガリウム面上で選択的に、即ち、ガリウム面を頂面として成長し、従って、窒素面上での成長では結晶中に望ましくない欠陥が導入され、或いは、窒素面を頂面にした配向からガリウム面を頂面にした配向へと結晶配向が切替わるので、低品質の材料をもたらす。
【0036】
ガリウム面を頂面にしたIII族−窒化物シード層を備えた複合基板を形成するために、シード層材料は成長基板上で従来通り成長され、次いで、何れか適切な第一のホスト基板に接合され、続いて成長基板から分離される結果、シード層材料はガリウム面を介して前記第一のホスト基板に接合される一方、窒素面は成長基板の除去によって露出されたままとされる。次いで、前記シード層材料の窒素面は第二のホスト基板10に接合されるが、該ホスト基板は本発明の実施形態に従う複合基板である。この第二のホスト基板に接合された後、前記第一のホスト基板は、前記成長基板に適した技術によって除去される。この最終的な複合基板において、前記シード層材料16の窒素面が任意の接合層14を介してホスト基板12(第二のホスト基板)に接合される結果、III族−窒化物シード層16のガリウム面はエピタキシャル層18の成長のために露出される。
【0037】
例えば、GaN緩衝層がサファイア基板上で従来通り成長され、続いて、複合基板のシード層を形成するInGaNが成長される。該InGaN層は、接合層を用いて、または用いずに、第一のホスト基板に接合される。前記サファイア成長基板は、該サファイアに隣接したGaN緩衝層のレーザ溶融によって除去され、次いで、サファイアの除去により露出された残りのGaN緩衝層がエッチングにより除去され、第一のホスト基板に結合されたInGaN層をもたらす。このInGaN層には、図7を参照して上記で説明したように、水素、重水素、またはヘリウムのような物質がインプラントされて、最終的な複合基板におけるシード層の望ましい厚さに対応した深さにバブル層が形成される。該InGaN層は、任意に、接合のために十分に平坦な表面を形成するように加工されてよい。次いで、該InGaN層は、接合層を用いて、または用いずに、最終的な複合基板におけるホストを形成するであろう第二のホスト基板に接合される。次いで、第一のホスト基板、InGaN層および第二のホスト基板を上記で述べたようにして加熱して、前記InGaN層にインプラントされたバブル層を膨張させ、前記InGaN層の薄いシード層部分をInGaN層の残部および第一のホスト基板から剥離させて、上記で述べたInGaNシード層がホスト基板に接合された仕上がり複合基板を生じさせる。
【0038】
前記シード層材料の結晶配向を2回反転させるために、前記シード層材料を第一のホスト基板に接合し、次いで第二のホスト基盤に接合する2回の接合の代りに、前記シード層材料を、窒素面を上にして成長基板上で成長させてもよい。上記で述べたように、窒素面シード層材料をホスト基板に結合するときに、該シード層のガリウム面はエピタキシャル層18の成長のために露出される。窒素面フィルムは、例えば、両者共に本明細書の一部として援用する“Morphological and structure characteristics of homoepitaxial GaN grown by metalorganic chemical vapour deposition (MOCVD)”, Journal of Crystal Growth 204 (1999) 419-428、および“Playing with Polarity”, Phys. Stat. Sol. (b) 228, No.2, 505-512 (2001)に更に詳細に記載された、気相エピタキシーまたはMOCVDによって成長されてよい。
【0039】
幾つかの実施形態において、前記シード層材料は、上記で述べたc−面材料としてではなく、m−面またはa−面材料として成長される。
【0040】
上記で説明した実施形態の何れかに従う複合基板上に成長されたIII族−窒化物デバイスは、図1〜図3に示したような薄膜デバイスに加工されてよい。上記で述べたように、デバイス層18が複合基板10上に成長される。次いで、デバイス層は新たなホスト基板に接合され、次いで複合基板10の全てまたは一部が除去されてよい。図1は、複合基板10上に成長されたデバイス層を示している。デバイス層18は、典型的には基板10を覆って成長されたn型領域を含んでおり、これは緩衝層または核形成層のような任意の調製層、および複合基板10の放出、または複合基板10の除去後のエピタキシャル層の薄化を容易にするように設計された任意の放出層を含んでよい。前記n型領域を覆って、1以上の発光層が典型的に成長され、続いてp型領域が成長される。デバイス層18の頂部表面は、例えば粗面化することにより、または光結晶のような構造を形成することによって、仕上げられたデバイスからの光抽出を増大させるように処理されてよい。
【0041】
図2に示すように、例えばオーミックコンタクト層、反射層、バリア層、および接合層を含む1以上の金属層20が、デバイス層18の頂面を覆って堆積される。次いで、該デバイス層は、金属層20の露出表面を介してホスト基板22に接合される。1以上の接合層(典型的には金属)は、エピタキシャルデバイス層18とホスト基板22との間の熱圧縮、または共晶接合のための適合性材料として働くことができる。適切な接合層金属の例には、金および銀が含まれる。ホスト基板22は、複合成長基板10が除去された後のエピタキシャル層に対する機械的支持を提供し、またデバイス層18の一つの表面に対する電気的コンタクトを提供する。ホスト基板22は、一般に、導電性(即ち、約0.1Ωcm未満)であるように、熱的に伝導性であるように、エピタキシャル層のそれに適合したCTEを有するように、また強力なウエハー接合を形成するのに十分に平坦(即ち、粗さの二乗平均平方根が約10nm未満)であるように選択される。適切な材料には、例えば、Cu、Mo,Cu/Mo、およびCu/Wのような金属;Si金属コンタクトを伴う半導体、例えばPd、Ge、Ti、Au、Ni、Agのうちの1以上を含むオーミックコンタクトを伴うSi、およびオーミックコンタクトを伴うGaAs;AlNのようなセラミック、圧縮されたダイアモンド、または化学的気相成長により成長されたダイアモンド層が含まれる。
【0042】
デバイス層18は、デバイス全体のウエハーがホストのウエハーに接合されるように、ウエハースケールでホスト基板22に接合され、次いで、接合後に個々のデバイスにダイシングされてよい。或いは、本明細書の一部として援用する2004年10月28日に提出された米国出願10/977,294号の「パッケージ集積された薄膜LED」に更に詳細に説明されているように、デバイスのウエハーを個別のデバイスにダイシングし、次いで各デバイスをダイスケールのホスト基板22に接合してもよい。
【0043】
ホスト基板22およびエピタキシャル層18は、上昇した温度および圧力で一緒に加圧されて、ホスト基板22および金属層20の間の界面に耐久性の接合が形成され、例えば、界面における金属接合層の間に耐久性の金属接合が形成される。接合のための温度および圧力の範囲は、下端は得られる接合の強度によって制限され、また上端はホスト基板構造、メタライゼーションおよびエピタキシャル構造の安定性によって制限される。例えば、高温および/または高圧は、エピタキシャル層の分解、金属コンタクトの剥離、拡散バリアの故障、またはエピタキシャル層中の成分材料のガス化脱離を生じる可能性がある。接合のための適切な温度範囲は、例えば室温〜約500℃である。接合のための適切な圧力範囲は、例えば、加圧なし〜約500psiである。
【0044】
次いで、図3に示すように、複合基板10の全部または一部を除去してよい。例えば、複合基板10のホスト基板12は、接合層14を攻撃するエッチング剤中でエッチングすることによって、除去されてよい。こうしてホスト基板および接合層14が除去され、第二のホスト基板22に接合されたシード層16およびデバイス層18が残される。シード層16もまた、例えばエッチング、ラッピング、研磨、またはそれらの組み合わせによって、除去されてよい。例えば、SiCシード層はエッチング除去されてよく、またAl23シード層は研削除去されてよい。幾つかの実施形態において、シード層16または全体の複合基板10は、仕上げられたデバイスの一部として残る。
【0045】
図3に示したデバイスにおけるように、全体の複合基板10を除去するのであれば、残存するデバイス層18を薄化して、例えばシード層16に最も近接し且つ材料品質の低いデバイス層の部分を除去してよい。エピタキシャル層は、例えば化学的機械的研磨、従来のドライエッチング、または光電子化学エッチング(PEC)によって薄くしてよい。エピタキシャル層の頂部表面は、抽出される光の量を増大させるために、肌理を形成しまたは粗面化してもよい。層18の露出表面上には、例えばリングまたは格子状のコンタクト26(屡々n型コンタクト)が形成される。該コンタクト下のデバイス層は、該コンタクト下の発光領域の部分からの発光を防止するために、例えば水素をインプラントされてもよい。当該技術において既知のように、燐のような波長変換層および/または二色性素子もしくは偏光器のような二次光学素子を、発光表面に適用してもよい。
【0046】
或いは、図10に示したように、発光領域をサンドイッチするn型領域およびp型領域の両方の一部が当該層の同じ側に露出されるように、図1のデバイスにおけるエピタキシャル層18の一部は除去されてよい。これらの露出された部分には、電気的コンタクト26および28が形成される。電気的コンタクト26および28が反射性であるならば、該構造は、図10に示すように光がシード層16を通して抽出されるように、コンタクト側を下にしてマウント24の上にマウントされてよい。複合基板の全部または幾つかは除去されてよく、例えば図10に示すように、シード層16をエピタキシャル層18に結合されたままに残してもよい。電気的コンタクト26および/または28が透明であれば、当該デバイスは、コンタクト26および28を通して光が抽出されるように、コンタクト側を上にしてマウントされてよい(図10には示されていない)。
【0047】
本発明を詳細に説明してきたが、当業者は、本開示が与えられれば、ここに記載した発現概念の精神を逸脱することなく、本発明に変更を加え得ることを理解するであろう。従って、本発明の範囲は、ここに図示し且つ説明した特定の実施形態に制限されるものではない。
【0048】
以下に本発明の他の実施態様を記載する。
[態様1]ホストと該ホストに接合されたシード層とを含む基板を準備することと、
前記基板上に、n型領域およびp型領域の間に配置された発光層を具備する半導体構造を成長させることと、
を含んでなる方法であって、
前記シード層は、前記半導体構造が歪み緩和を受ける厚さよりも薄い厚さを有する方法。
[態様2]態様1に記載の方法であって、前記基板が更に、前記ホストと前記シード層との間に配置された接合層を含んでなる方法。
[態様3]態様2に記載の方法であって、前記接合層が、シリコン酸化物およびシリコン窒化物のうちの一つを含んでなる方法。
[態様4]態様2に記載の方法であって、前記ホストの熱膨張係数が、前記半導体構造の層の熱膨張係数の少なくとも90%である方法。
[態様5]態様1に記載の方法であって、前記シード層が単結晶材料である方法。
[態様6]態様1に記載の方法であって、前記シード層は、Al23およびSiCのうちの一つを含んでなる方法。
[態様7]態様1に記載の方法であって、前記ホストは、Al23およびアルミナのうちの一つを含んでなる方法。
[態様8]態様1に記載の方法であって、前記半導体構造を成長させた後の前記シード層における平均転位密度が、前記半導体構造における平均転位密度よりも大きい方法。
[態様9]態様1に記載の方法であって、前記シード層は、前記シード層が除去されまたは形成されない領域によって分離された別々の部分に分割される方法。
[態様10]態様1に記載の方法であって、前記シード層が50〜300Åの厚さを有する方法。
[態様11]態様1に記載の方法であって、前記ホストは第一のホストであり、前記方法は更に、前記半導体構造を第二のホストに結合することと、
前記第一のホストを除去することと、
を含んでなる方法。
[態様12]態様11に記載の方法であって、前記第一のホストを除去することは、前記シード層と前記第一のホストの間に配置された接合層をエッチングすること、および、前記第一のホストを研削することのうちの一つを具備する方法。
[態様13]態様11に記載の方法であって、更に、前記シード層を除去することを含んでなる方法。
[態様14]態様1に記載の方法であって、前記発光層はIII族−窒化物層である方法。
[態様15]態様1に記載の方法であって、前記シード層と同じ組成を有する前記緩和された自立層が、前記半導体構造の少なくとも一部とは異なる格子定数を有する方法。
[態様16]態様1に記載の方法であって、前記ホストの熱膨張係数は、前記半導体構造における層の熱膨張係数の少なくとも90%である方法。
[態様17]ホストと該ホストに接合されたシード層とを含む基板を準備することと、
前記シード層の上に、n型領域およびp型領域の間に配置された発光層と、前記シード層上に直接成長された核形成層とを具備する半導体構造を成長させることと、
を含んでなる方法であって、
前記シード層の格子定数と前記核形成層の格子定数との間の差が1%未満である方法。
[態様18]態様17に記載の方法であって、前記シード層はSiCであり、前記核形成層はAlNである方法。
[態様19]態様17に記載の方法であって、前記シード層はZnOであり、前記核形成層はInGaNである方法。
[態様20]態様17に記載の方法であって、前記基板が、更に、前記ホストと前記シード層の間に配置された接合層を具備してなる方法。
[態様21]態様20に記載の方法であって、前記接合層は、シリコン酸化物およびシリコン窒化物のうちの一つを含んでなる方法。
[態様22]態様17に記載の方法であって、前記ホストの熱膨張係数が、前記半導体構造における層の熱膨張係数の少なくとも90%である方法。
[態様23]態様17に記載の方法であって、更に、前記シード層に形成された複数の溝を含んでなる方法。
[態様24]ホストと該ホストに接合されたシード層を含む基板を準備することと、
前記シード層の上に、n型領域およびp型領域の間に配置された発光層と、前記シード層上に直接成長された核形成層とを具備する半導体構造を成長させることと、
を含んでなる方法であって、
前記ホストの熱膨張係数は、前記半導体構造における少なくとも一つの層の熱膨張係数の少なくとも90%である方法。
[態様25]態様24に記載の方法であって、前記基板が更に、前記ホストと前記シード層との間に配置された接合層を含んでなる方法。
[態様26]態様24に記載の方法であって、前記シード層が、SiC、GaN、InGaN、AlGaN、およびAlNのうちの一つである方法。
【符号の説明】
【0049】
10…複合成長基板、12…ホスト基板、14…接合層、16…シード層、18…エピタキシャル層、20…金属層、22…ホスト基板、24…マウント、26,28…コンタクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストと、該ホストに接合されたシード層と、該シード層に形成された複数の溝と、を含む基板を準備することと、
前記シード層の上に、n型領域およびp型領域の間に配置された発光層と、前記シード層上に直接成長された核形成層とを具備する半導体構造を成長させることと
を含んでなる方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記複数の溝が1ミクロン〜50ミクロンだけ離間している方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記複数の溝が50ミクロン〜2ミリメータだけ離間している方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記基板が更に、前記ホストと前記シード層の間に配置された接合層を具備してなる方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記溝が、前記シード層を通って前記接合層まで延びている方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記溝が、前記シード層を通って前記ホストまで延びている方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記シード層と同じ組成を有する緩和された自立層の格子定数と、前記核形成層の格子定数との間の差が1%未満である方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記シード層の熱膨張係数と前記ホストの熱膨張係数との間の差が、前記核形成層の成長温度での前記シード層の格子定数を増大させて、成長温度において、前記シード層の格子定数と前記核形成層の格子定数との間の差が1%未満であるようにする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記シード層がSiCであり、前記核形成層がAlNであり、前記ホストは少なくとも10×10-6-1の熱膨張係数を有する方法。
【請求項10】
ホストと該ホストに接合されたIII族−窒化物シード層を含む基板を準備することと、
前記シード層の上に、n型領域およびp型領域の間に配置された発光層と、前記シード層上に直接成長された核形成層とを具備する半導体構造を成長させることと
を含んでなる方法であって、
前記シード層は、前記半導体構造が前記シード層のガリウム面上に成長するように配向される方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記基板が前記シード層と前記ホストの間に配置された接合層を含んでなる方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、更に、前記シード層および前記半導体構造から前記ホストを除去することを含んでなる方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、更に、前記ホストを除去した後に前記シード層を除去することを含んでなる方法。
【請求項14】
請求項10に記載の方法であって、前記基板を提供することが、
前記III族−窒化物シード層を前記成長基板上に成長させ、ここで前記III族−窒化物層が歪みを受けることと、
前記III族−窒化物シード層が少なくとも部分的に緩和されるように、前記成長基板から前記III族−窒化物シード層を遊離させること、
を含んでなる方法。
【請求項15】
請求項10に記載の方法であって、前記ホストが第一のホストであり、また前記基板を準備することが、
成長基板上に前記III族−窒化物シード層を成長させることと、
前記III族−窒化物シード層を第一のホストに結合させることと、
前記成長基板を除去することと、
を含んでなる方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記基板を準備することが、更に、
前記III族−窒化物シード層の中にインプラント材料をインプラントすることと、 前記III族−窒化物シード層を第二のホストに接合することと、
前記III族−窒化物シード層を加熱して、前記インプラント材料が前記III族−窒化物シード層を分離するようにすること、
を含んでなる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−199578(P2012−199578A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−127712(P2012−127712)
【出願日】平成24年6月5日(2012.6.5)
【分割の表示】特願2006−290512(P2006−290512)の分割
【原出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(500507009)フィリップス ルミレッズ ライティング カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー (197)
【Fターム(参考)】