説明

MAOB阻害剤としての純粋な4−ピロリジノフェニルベンジルエーテル誘導体の製造方法

【課題】鏡像的に純粋な4−ピロリジノフェニルベンジルエーテル誘導体の製造方法の提供
【解決手段】ピロリジン−3−カルボン酸型のラセミ体を分割剤で分割した後、対応する第一級アミドへの変換し、ついで(ジアセトキシヨード)ベンゼン等と反応させて下記4−ピロリジノフェニルベンジルエーテル誘導体を得る方法。


(式中R1は、ハロゲン等、R21からR24は独立して、水素及びハロゲンでかつnは、0、1、2又は3である)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鏡像的に純粋な4−ピロリジノフェニルベンジルエーテル誘導体の製造方法に関するものである。本発明はまた、本発明の方法に有用な中間体及びその塩にも関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、
式(I):
【0003】
【化1】

【0004】
で示される、鏡像的に純粋な4−ピロリジノフェニルベンジルエーテル誘導体の製造方法に関するものであり:
【0005】
上記方法は:
a)式(II):
【0006】
【化2】

【0007】
で示されるラセミ体を、分割剤で分割して
式(S)−(II):
【0008】
【化3】

【0009】
で示される、その(S)−鏡像体を得る工程、
b)式(S)−(II)で示される鏡像体を、
式(III):
【0010】
【化4】

【0011】
で示される、対応する第一級アミドに変換する工程、
c)式(III)で示される化合物を、少なくとも酢酸及び/又は無水酢酸の存在下、
式(IV):
【0012】
【化5】

【0013】
で示される化合物と直接反応させて、式(I)の化合物を得る工程、
d)あるいは、式(III)で示される化合物を、式(IV)で示される化合物と反応させて、
式(V):
【0014】
【化6】

【0015】
で示される化合物を得て、
次に、式(V)で示される化合物をアセチル化剤と反応させて、式(I)で示される化合物を得る工程
を含み;
上記の式中、
Arは、ハロゲン、ニトロ、シアノ又はC1-6−アルキルからなる群より選択される一つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されたアリールであり;かつ
Rは、一つ又はそれ以上のハロゲンで場合により置換されたC1-6−アルキルであり;
1は、ハロゲン、ハロゲン−(C1〜C6)−アルキル、シアノ、(C1〜C6)−アルコキシ又はハロゲン−(C1〜C6)−アルコキシであり;
21、R22、R23及びR24は、互いに独立して、水素及びハロゲンからなる群より選択され;かつ
nは、0、1、2又は3である。
【0016】
式(I)のMAO−B阻害剤の製造は、本出願人が権利者であるWO/2004/026825に既に開示されている。にも関わらず、この書類には、本発明独自の方法が開示されていない。更に、驚くべきことに、本発明独自の方法は、式(I)の化合物を高い収率及び純度で得られることが見出されている。
【0017】
一般式(I)で示される化合物は、選択的モノアミンオキシダーゼB阻害剤である。
【0018】
モノアミンオキシダーゼ(MAO、EC1.4.3.4)は、例えばドーパミン、セロトニン、アドレナリン又はノルアドレナリン等の内因性モノアミン神経伝達物質、及び微量アミン、例えばフェニルエチルアミン、並びに多数の生体異物アミンの酸化的脱アミノ化に関与するフラビン含有酵素である。この酵素は、異なる遺伝子によりコードされるMAO−A及びMAO−Bの二つの形態で存在し[Bach et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:4934-4938 (1988)]、組織分布、構造及び基質特異性において異なっている。MAO−Aは、セロトニン、オクトパミン、アドレナリン及びノルアドレナリンに対してより高い親和性を有し;一方、MAO−Bの天然基質は、フェニルエチルアミン及びチラミンである。ドーパミンは、両方のイソ型により酸化されると考えられている。MAO−Bは、脳を含む数個の器官内に幅広く分布している[Cesura and Pletscher, Prog. Drug Research 38:171-297 (1992)]。脳のMAO−B活性は、年齢に伴い増大するようである。この増大は、加齢に関連した神経膠症に起因する[Fowler et al, J. Neural. Transm. 49:1- 20 (1980)]。加えて、MAO−B活性は、アルツハイマー病を有する患者の脳内で有意に高く[Dostert et al., Biochem. Pharmacol. 38:555-561 (1989)]、また、老人斑の周囲の星状膠細胞に高度に発現していることが見出されている[Saura et al., Neuroscience 70:755-774 (1994)]。この文脈において、MAOによる第一級モノアミンの酸化的脱アミノ化は、確立した又は潜在的な毒性を有する作用物質であるNH3、アルデヒド及びH22を生成するため、認知症及びパーキンソン病の治療における選択的MAO−B阻害剤の使用についての理論的根拠が存在することが示唆される。MAO−Bの阻害は、ドーパミンの酵素的不活性化を低下させ、それによりドーパミン作動性ニューロンにおける神経伝達物質のアベイラビリティを延長する。年齢並びにアルツハイマー病及びパーキンソン病に関連した変性過程は、MAO活性の増大、及びその結果のMAO−BによるH形成の増加を原因とする酸化ストレスにも起因し得る。したがって、MAO−B阻害剤は、酸素ラジカル形成の低下と、脳内モノアミンレベルの上昇の両方により作用し得る。
【0019】
上記した神経疾患にMAO−Bが関与すると仮定して、この酵素活性を制御できる強力かつ選択的な阻害剤を得るための相当の興味が存在する。数種の公知のMAO−B阻害剤の薬理は、例えばBentue-Ferrer et al. [CNS Drugs 6:217-236 (1996)]により説明されている。不可逆的かつ非選択的なMAO阻害剤の活性の主な限界が、食事由来のチラミン消化の際の高血圧性クリーゼの危険による、食事上の予防の順守の必要性、及び他の薬剤との相互作用の可能性[Gardner et al., J. Clin. Psychiatry 57:99-104 (1996)]である一方、これらの有害な事象に対する心配は、可逆的かつ選択的なMAO阻害剤、特にMAO−Bでは比較的少ない。したがって、高い選択性を有し、また酵素に対する選択性が低い不可逆的MAO阻害剤に一般的な有害な副作用を起こさない、MAO−B阻害剤が必要とされる。
【0020】
本明細書において使用する一般的用語の以下の定義は、問題とする用語が、単独又は組み合わせのいずれで出現しても適用される。明細書及び添付の特許請求の範囲に使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、別に明白に指示しない限り、複数形も含むことに留意するべきである。
【0021】
本明細書に示す構造式において、くさび形の結合
【化7】


は、置換基が、本紙面の上方にあることを表す。
【0022】
本明細書に示す構造式において、点線の結合
【化8】


は、置換基が、本紙面の下方にあることを表す。
【0023】
本明細書において使用する用語「低級アルキル又は(C1〜C6)−アルキル」は、1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜3個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素残基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル等を無差別に表す。したがって、用語「(C1〜C3)−アルキル」は、1〜3個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素残基を意味する。
【0024】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を表す。
【0025】
「ハロゲン−(C1〜C6)−アルキル」又は「ハロゲン−(C1〜C6)−アルコキシ」は、各々、任意の位置において、本明細書に定義した一つ又はそれ以上のハロゲン原子で置換された、本明細書に定義した低級アルキル残基又は低級アルコキシ残基を意味する。ハロゲンアルキル残基の例は、1,2−ジフルオロプロピル、1,2−ジクロロプロピル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル及び1,1,1−トリフルオロプロピル等を含むが、これらに限定されるものではない。「ハロゲンアルコキシ」は、トリフルオロメチルオキシを含む。
【0026】
「(C1〜C6)−アルコキシ」は、残基−ORを意味し、式中、Rは、本明細書に定義したC1〜C6アルキル残基である。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ等を含むが、これらに限定されるものではない。
【0027】
化合物の「薬学的に許容される塩」は、一般に安全な、無毒の、かつ生物学的にも他の点でも望ましくないものではなく、また親化合物の所望の薬理活性を所有する、薬学的に許容される塩を意味する。これらの塩は、無機又は有機の酸又は塩基から誘導される。可能であれば、式(I)の化合物は、薬学的に許容される塩に変換され得る。薬学的に許容される塩は、本発明に含まれることを理解するべきである。
【0028】
「鏡像的に純粋な」という表現は、所望の鏡像体の鏡像体比率が、所望でない鏡像体に対して少なくとも95:5、好ましくは少なくとも98:2、尚より好ましくは少なくとも99.9:0.1であることを表す。鏡像体比率は、キラルカラム上のHPLCにより測定し得る。
【0029】
工程a)において、酵素以外の任意の適切な分割剤を使用し得ることを理解するべきである。本発明の所定の実施態様において、工程a)で使用する分割剤は、(R)−(−)−2−フェニルグリシノール=(R)−2−アミノ−2−フェニル−エタノール、(S)−(+)−2−フェニルグリシノール、シンコニジン、D−フェニルアラニノール、L−フェニルアラニノール、(+)−フェニルエチルアミン、(1S,2S)−(+)−チオミカミン(thiomicamine)、(1S,2S)−(+)−2−アミノ−1−フェニル−1,3−プロパンジオール、(1S,2R)−(−)−シス−1−アミノ−2−インダノール、L−フェニレフリン、(1S,2R)−(+)−N−メチルエフェドリン、L−プロリノール、(R)−(−)−2−アミノ−1−ブタノール及び(R)−(+)−1−(−ナフチル)−エチルアミンからなる群より選択される。好ましい分割剤は、(R)−フェニルグリシノールである。
【0030】
詳細には、式(S)−(II)の化合物は、ラセミ体(II)と共に(S)−(II)化合物の塩を形成可能な分割剤を用いて、(S)−(II)化合物の塩を直接調製することにより得られる。
【0031】
代替的に、式(S)−(II)の化合物は、ラセミ体(II)と共に(R)−(II)化合物の塩を形成可能な分割剤を用いて(R)−(II)化合物の塩を調製し、次にラセミ体から(R)−(II)化合物を除去して、(S)−(II)化合物を反応混合物中に保持することにより、間接的に得ることができる。
【0032】
ラセミ体(II)と共に(S)−(II)化合物の塩を形成可能な好ましい分割剤は、(R)−(−)−2−フェニルグリシノール、シンコニジン、D−フェニルアラニノール、(+)−フェニルエチルアミン、(1S,2R)−(−)−シス−1−アミノ−2−インダノール及びL−フェニレフリンであり、最も好ましい分割剤は、(R)−(−)−2−フェニルグリシノールである。
【0033】
ラセミ体(II)と共に(R)−(II)化合物の塩を形成可能な好ましい分割剤は、(S)−(+)−2−フェニルグリシノール、(1S,2S)−(+)−チオミカミン、(1S,2S)−(+)−2−アミノ−1−フェニル−1,3−プロパンジオール、(1S,2R)−(+)−N−メチルエフェドリン、L−プロリノール、(R)−(−)−2−アミノ−1−ブタノール及び(R)−(+)−1−(−ナフチル)−エチルアミンである。好ましい分割剤は、(S)−(+)−2−フェニルグリシノールである。
【0034】
本発明の所定の実施態様において、工程a)において溶媒を使用し得る。この溶媒は、アセトン、イソプロパノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、イソプロパノール、EtOH及びそれらの水との混合物からなる群より選択され得る。好ましい溶媒は、アセトニトリルと水との混合物である。
【0035】
式(II)のラセミ体を分割して、式(S)−(II)で示されるその鏡像体を直接得る、本発明による方法の工程a)は、適切には:
a1)ラセミ体、及び該ラセミ体(II)と共に(S)−(II)化合物の塩を形成可能な分割剤を含有する溶媒中で反応混合物を調製して、化合物(S)−(II)の塩を得る工程;
a2)化合物(S)−(II)の塩を反応混合物から単離し、上記化合物(S)−(II)をその塩から遊離する工程;
a3)工程a1)の反応混合物中に残存する化合物(R)−(II)を単離する工程;
a4)単離された化合物(R)−(II)をラセミ化して、再利用ラセミ体を得る工程;
a5)ラセミ体を再利用ラセミ体で置き換えて、工程a1)〜a4)を必要な回数だけ反復する工程
を含み得る。
【0036】
式(II)のラセミ体を分割して、式(S)−(II)で示されるその鏡像体を、(R)−(II)鏡像体を除去することにより間接的に得る、本発明による方法の工程a)は、適切には:
a1’)ラセミ体(II)、及び該ラセミ体(II)と共に(R)−(II)化合物の塩を形成可能な分割剤を含有する溶媒中で反応混合物を調製して、化合物(R)−(II)の塩を得る工程;
a2’)化合物(R)−(II)の塩を反応混合物から単離し、上記化合物(R)−(II)をその塩から遊離する工程;
a3’)工程a1’)の反応混合物中に残存する化合物(S)−(II)を単離する工程;
a4’)単離された化合物(R)−(II)をラセミ化して、再利用ラセミ体を得る工程;
a5’)ラセミ体を再利用ラセミ体で置き換えて、工程a1’)〜a4’)を必要な回数だけ反復する工程
を含み得る。
【0037】
工程a2)〜a4)及びa2’)〜a4’)は、例えば抽出、結晶化、濾過等の従来の方法及び装置を使用して実施し得る。
【0038】
本発明の所定の実施態様において、工程b)による、式(S)−(II)の鏡像体の、対応する式(III)の第一級アミドへの変換は、1,1’−カルボニルジイミダゾール及びアンモニア源、例えばアンモニア水溶液又酢酸アンモニウムを用いて実施し得る。
【0039】
本発明の一実施態様において、工程b)による、式(S)−(II)の鏡像体の、対応する式(III)の第一級アミドへの変換は、N−メチルモルホリン、クロロギ酸エチル及びアンモニア源、例えば気体アンモニアを用いて実施し得る。
【0040】
工程b)において、例えばテトラヒドロフラン(THF)等の溶媒を使用し得る。次に、得られた式(III)の化合物を、例えば真空濃縮、希釈、抽出、沈殿、濾過等の従来の方法及び装置を用いて単離及び精製し得る。
【0041】
工程c)において、好ましい
式(IV):
【0042】
【化9】

【0043】
で示される化合物は、Arが、非置換のフェニルであり、Rが、Me、CF3若しくはCl3又はCCl3である化合物、例えば(ジアセトキシヨード)ベンゼンである。
【0044】
本発明の方法による工程c)及び工程d)は、式(III)の化合物から出発して式(I)の化合物を得る両方の選択肢を表す。
【0045】
工程c)は、式(III)の化合物を、少なくとも酢酸及び/又は無水酢酸の存在下、式(IV)の化合物と反応させることを含む一工程の選択肢であり、該反応は、直接式(I)の化合物に繋がる。
【0046】
工程c)の一実施態様において、式(III)の化合物の式(IV)の化合物との反応は、少なくとも酢酸の存在下で実施される。工程c)の別の実施態様において、式(III)の化合物の式(IV)の化合物との反応は、少なくとも無水酢酸の存在下で実施される。工程c)の尚別の実施態様において、式(III)の化合物の式(IV)の化合物との反応は、少なくとも酢酸及び無水酢酸の存在下で実施される。
【0047】
次に、例えば従来の抽出、濾過、蒸留、結晶化等の従来の方法及び装置を用いて、式(I)の化合物を単離し及び精製し得る。
【0048】
工程d)は、式(III)の化合物を、
式(IV):
【0049】
【化10】

【0050】
(式中、Ar及びRは、上記に定義したとおりである)
で示される化合物と反応させて、
式(V):
【0051】
【化11】

【0052】
で示される化合物を得て、次に、式(V)で示される化合物をアセチル化剤と反応させて、式(I)で示される化合物を得ることを含む、二工程の選択肢である。
【0053】
本発明による工程d)の所定の実施態様において、式(IV)の化合物は、(ジアセトキシヨード)ベンゼン:(PhI(OAc)2)である。
【0054】
本発明による工程d)の所定の実施態様において、アセチル化剤は、無水酢酸(Ac2O)又は塩化アセチルであり得る。
【0055】
本発明の所定の実施態様において、工程d)は、適切な溶媒、例えば約1:1の比の例えば水を伴うテトラヒドロフラン(THF)中で実施し得る。
【0056】
次に、従来の方法及び装置を使用して、式(I)の化合物を単離及び精製し得る。
【0057】
式(II)のラセミ体は、その内容が参照により本明細書に組み入れられるWO2004/026825に記載されているように調製し得る。
【0058】
したがって、本発明は、本発明の方法に関与する以下の新規な中間体を包含する:
【0059】
式(S)−(II)の化合物の、(R)−(−)−2−フェニルグリシノール、シンコニジン、D−フェニルアラニノール、(+)−フェニルエチルアミン、(1S,2R)−(−)−シス−1−アミノ−2−インダノール及びL−フェニレフリンからなる群より選択される分割剤、最も好ましくは(R)−(−)−2−フェニルグリシノールである分割剤との塩。
【0060】
及び
式(III):
【0061】
【化12】

【0062】
(式中、R1、R21、R22、R23、R24及びnは、本明細書において上記に定義したとおりである)で示される中間体。
【0063】
好ましい式(S)−(II)の化合物、及び上記に列挙した分割剤とのその塩は:
1が3−フルオロであり;
21、R22、R23及びR24が水素であり;かつ
nが1である化合物である。
【0064】
好ましい式(III)の中間体は:
1が3−フルオロであり;
21、R22、R23及びR24が水素であり;かつ
nが1である化合物である。
【0065】
本発明による方法の所定の実施態様において、ラセミ体(II)は、(RS)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸であり、(S)−(II)は、(S)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3カルボン酸であり、式(III)の化合物は、1,1’−カルボニルジイミダゾールを使用する(S)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸アミドであり、式(V)の化合物は、(S)−4−アミノ−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オンであり、かつ式(I)の化合物は、(S)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミドである。
【0066】
式(I)の化合物は、既に本明細書において上記に言及したように、モノアミンオキシダーゼB阻害剤であり、MAO−B阻害剤が有益であり得る疾病の治療又は予防のために使用し得る。これらの疾病は、急性及び慢性神経疾患、認知疾患及び記憶障害を含む。治療可能な神経疾患は、例えばアルツハイマー病、他のタイプの認知症、軽度認知機能障害又はパーキンソン病等の、神経系の外傷性又は慢性変性過程である。他の適応症は、例えば鬱病、不安症、パニック発作、社会恐怖症、統合失調症等の精神疾患、例えば肥満症等の摂食及び代謝疾患、並びにアルコール、ニコチン及び他の依存性薬物の乱用により誘発される離脱症候群の予防及び治療を含む。他の治療可能な適応症は、癌化学療法を原因とする末梢性ニューロパシー(WO97/33,572)、報酬欠乏症候群(reward deficiency syndrome)(WO01/34,172)又は多発性硬化症の治療(WO96/40,095)、及び他の神経炎症性疾患であり得る。
【0067】
式(I)の化合物は、アルツハイマー病及び老年認知症の治療及び予防に特に有用である。
【0068】
化合物の薬理活性は、以下の方法を用いて試験した:
Schlaeger and Christensen [Cytotechnology 15:1-13 (1998)]に記載されている手順により、ヒトMAO−A及びMAO−BをコードするcDNAを、EBNA細胞内に一過渡的にトランスフェクトした。トランスフェクション後、Polytronホモジナイザーを用いて、0.5mM EGTA及び0.5mMフェニルメタンスルホニルフロリドを含有する20mM Tris HCl緩衝液、pH8.0中で、細胞をホモジナイズした。45,000xgで遠心分離して細胞膜を得て、0.5mM EGTAを含有する20mM Tris HCl緩衝液、pH8.0による2回の濯ぎステップの後、膜を最終的に上記の緩衝液中に再懸濁し、使用時迄、アリコートを−80℃で保管した。
【0069】
Zhou and Panchuk- Voloshina [Analytical Biochemistry 253:169-174 (1997)]に記載されている方法から適合させた分光光度アッセイにより、MAO−A及びMAO−B酵素活性を、96−ウェルプレート内でアッセイした。即ち、膜アリコートを、異なる濃度の化合物を含有する0.1Mリン酸カリウム緩衝液、pH7.4中にて、37℃で30分間インキュベートした。この期間の後、MAO基質チラミンを、1U/ml西洋わさびペルオキシダーゼ(Roche Biochemicals)及び80μM N−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェノキサジン(Amplex Red, Molecular Probs)と共に加えることにより、酵素反応を開始させた。サンプルを更に、最終容積200μlにて37℃で30分間インキュベートした後、SpectraMaxプレートリーダー(Molecular Devices)を用いて、波長570nmにて吸収を測定した。MAO−Aに関しては10μMクロルジリン、MAO−Bに関しては10μM L−デプレニルの存在下、バックグラウンド(非特異的)吸収を測定した。9つの阻害剤濃度を2回用いて得た阻害曲線から、コンピュータープログラムを使用して、データを4パラメータのロジスティック方程式に当て嵌めることにより、IC50値を決定した。
【0070】
本発明の化合物は、特異的MAO−B阻害剤である。上述したアッセイで測定した、好ましい式(I)の化合物のIC50値は、1μM又はそれ未満、一般に0.1μM又はそれ未満、理想的には0.02μM又はそれ未満の範囲内にある。
【0071】
式(I)の化合物は、例えば医薬製剤の形態で、医薬として使用し得る。医薬製剤は、例えば錠剤、コーティング錠剤、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は縣濁剤の剤形で、経口投与し得る。しかしながら、例えば坐薬の剤形で直腸経由で投与しても、又は例えば注射剤の剤形で非経口投与してもよい。
【0072】
式(I)の化合物は、医薬製剤の製造のために、薬剤的に不活性な無機又は有機担体と共に加工され得る。例えば、錠剤、コーティング錠剤、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤等のための担体として、ラクトース、トウモロコシ澱粉若しくはその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩等を使用し得る。軟ゼラチンカプセル剤のための適切な担体は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、半固体及び液体ポリオール等である;しかしながら、軟ゼラチンカプセル剤の場合、活性物質の性質に応じて、通常、担体の使用は必要ではない。液剤及びシロップ剤製造のための適切な担体は、例えば、水、ポリオール、スクロース、転化糖、グルコース等である。式Iの化合物の水溶性塩の水性注射剤のために、例えばアルコール、ポリオール、グリセロール、植物油等の補助剤を使用し得るが、通常は必要としない。坐薬のための適切な担体は、例えば、天然又は硬化油、ロウ、脂肪、半固体又は液体ポリオール等である。
【0073】
加えて、医薬製剤は、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、矯味矯臭剤(flavorant)、浸透圧を変更するための塩、緩衝液、マスキング剤又は抗酸化剤を含有し得る。医薬製剤は、治療的に価値のある他の物質も含有し得る。
【0074】
前述のように、式(I)の化合物及び治療的に不活性な賦形剤を含有する医薬もまた、本発明の目的であり、また、一種又はそれ以上の式Iの化合物、及び所望であれば一種又はそれ以上の治療的に価値のある他の物質を、一種又はそれ以上の治療的に不活性な担体と共にガレヌス製剤投与形態にすることを含む、そのような医薬の製造方法も本発明の目的である。
【0075】
用量は、幅広い範囲内で変動し得、また勿論、各特定の場合における個人の要求に適合される。一般に、経口又は非経口投与のための有効な用量は、記載する全ての適応症に関して、0.01〜20mg/kg/日であり、用量0.1〜10mg/kg/日が好ましい。したがって、体重70kgのヒト成人のための一日用量は、0.7〜1400mg/日、好ましくは7〜700mg/日にある。
【0076】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供する。これらは、本発明の範囲を制限するものではなく、単に代表するものとして考慮するべきである。略語「RT」は、「室温」を意味する。
【0077】
実施例1
rac−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸の調製(式(II)の化合物)
【0078】
4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニルアミン(31.2g、144mmol)を、トルエン(208mL)及び酢酸(52mL)に溶解した。イタコン酸(18.96g、144mmol)を撹拌した混合物に加えた。混合物を加熱還流し(101℃)、この温度で3時間保持した。冷却すると、生成物が結晶化し始めた。10℃で、ヘプタン(125mL)を懸濁液に加え、それを0℃で1時間撹拌し、濾過した。結晶をトルエン/ヘプタン 1:1及びヘプタンで洗浄し、減圧下で乾燥して、粗生成物(43.2g)を得た。粗生成物を高温の酢酸イソプロピルでの処理により精製して、rac−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸(40.5g、86%;HPLC:99.2%面積)、融点148〜149℃(未補正)で得た。
【0079】
実施例2
所望でない豊富化(R)−(II)の回収を含む、(S)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸[(S)−(II)]の調製及びそのラセミ化
(本発明による工程a))
【0080】
a)式(S)−(II)の化合物の(R)−(−)−2−フェニルグリシノールとの塩の調製
rac−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸(15.0g、45.6mmol)を、アセトニトリル/水 95:5(150mL)に75℃で溶解した。この温度で、アセトニトリル/水 95:5(10mL)中の(R)−(−)−2−フェニルグリシノール(6.25g、45.6mmol)の溶液を加えた。加熱浴の電流を切り、種結晶を幾らか加えて結晶化を開始した。懸濁液をゆっくりと室温に冷却しながら撹拌を3時間続けた。結晶を濾過により回収し、温(40℃)アセトニトリルで洗浄し、減圧下で乾燥して、標記塩(9.9g、47%)を>99.9:0.1 dr(HPLCにより測定)で、[a]−4.7(c=1、MeOH)で得た。
【0081】
b)式(S)−(II)の化合物のその塩からの遊離
分離漏斗中で、上記塩の大部分(8.95g、19.2mmol)を酢酸エチル(140mL)に加えた。時々撹拌しながら、氷水(〜100mL)及び2N硫酸(〜25mL)をpH2に達するまで数回に分けて加えた。水相を分離し、酢酸エチル(140mL)で抽出した。有機層を希ブラインで洗浄し、合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、〜40mLの容量に濃縮した。ヘプタン(30mL)を懸濁液に加え、それを0℃で2時間撹拌した。結晶を濾過により回収し、ヘプタンで洗浄し、減圧下で乾燥した。生成物を高温の酢酸イソプロピルでの処理により精製して、(S)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸(6.37g、ラセミ酸に基づき47%)を白色の結晶として、融点157℃で得た。HPLC測定によると、純度は100%(面積)であり、鏡像体の比率は>99.9:0.1であった。
【0082】
c)豊富化(R)−(II)化合物の単離
セクションa)に記載のように(S)−(II)化合物のフェニルグリシノール塩の単離から得た母液を濃縮して、豊富化(R)−(II)化合物を含む粗フェニルグリシノール塩(11.4g)を得た。酢酸エチル(140mL)と共にこの物質を、セクションb)に記載の(S)−(II)化合物の遊離から残った酸性水相に加えた。塩を溶解した後に得られた水相は依然として酸性であった。混合した後、水相を分離し、酢酸エチルの他の部分(140mL)で抽出した。有機相を半濃縮塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、合わせ、硫酸ナトリウム(75g)で乾燥し、濃縮して〜40mLの容量にした。ヘプタン(30mL)を懸濁液に加え、それを0℃で2時間撹拌した。結晶を濾過により回収し、ヘプタンで洗浄し、減圧下で乾燥して、豊富化(R)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸(7.4g、ラセミ酸に基づき49%)を白色の固体として得た。HPLCによる物質の純度は98.8%(面積)であり、鏡像体の比率(R):(S)を、91.5:8.5で測定した。
【0083】
d)豊富化(R)−(II)化合物の1容器中でのラセミ化
セクションc)に記載のようにして得た豊富化(R)−(II)化合物(7.4g)を、メタノール(50mL)に懸濁した。懸濁液に濃硫酸(0.11g)及び2,2−ジメトキシプロパンを加えた。混合物を、HPLCでモニターして豊富化(R)−(II)化合物をメチルエステルに完全に変換するまで80℃で2時間撹拌した。5℃まで冷却した後、メタノール中の5.4Mナトリウムメトキシド(2.91mL)の溶液を、メタノール(4mL)で希釈し、10分以内に滴下した。得られた反応混合物を室温で20時間撹拌し、次に10℃に冷却した。この温度で、2N NaOH(40mL)を20分間かけて滴下した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次にメタノールを除去するまで減圧下で濃縮した。10℃で氷(25g)を残渣に加え、続いて2N硫酸をpH2に達するまで滴下した。得られた懸濁液をさらに1時間撹拌した。生成物を濾過により回収し、中和するまで水で洗浄し、減圧下で40℃で乾燥して、rac−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸(7.1g)を白色の粉末として得た。HPLC測定によると、純度は97.3%(面積)であり、鏡像体の比率は51.5:48.5であった。
【0084】
実施例3
0.7当量(R)−フェニルグリシノールを用いる分割
(本発明による工程a))
【0085】
(R)−(−)−2−フェニルグリシノールとの(S)−(II)化合物の塩を、実施例2a)に記載と同様に、アセトニトリル/水 95:5(50mL)中のrac−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸(5g、15.2mmol)から、アセトニトリル/水 95:5(3.3mL)中の(R)−(−)−2−フェニルグリシノール(10.6mmol、0.7当量)1.46gのみの溶液を使用して調製した。塩(3.2g、ラセミ酸に基づき45%)から鏡像体比率99.7:0.3で得た(S)−(II)化合物を、実施例2b)に記載と同様の方法で遊離し、精製して、(S)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸(2.21g、ラセミ酸に基づき44%)を高い純度(HPLC:99.4%面積)で、>99.9:0.1% erで得た。
【0086】
実施例4
0.6当量(R)−フェニルグリシノールを用いる分割
(本発明による工程a))
【0087】
a)(R)−(−)−2−フェニルグリシノールとの(S)−(II)化合物の塩の調製
(R)−(−)−2−フェニルグリシノールとの(S)−(II)化合物の塩を、実施例2a)に記載と同様の方法で、アセトニトリル(560mL)及び水(34mL)の混合物中のrac−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸(60.00g、0.182mol)から、アセトニトリル(72mL)及び水(6mL)の混合物中の(R)−(−)−2−フェニルグリシノール(0.109mol、0.6当量)15.00gのみの溶液を使用して調製し、塩34.49g(ラセミ酸に基づき40%)(dr 99.7:0.3)を得た。
【0088】
b)(S)−(II)化合物のその塩からの遊離
水(495mL)中の上記塩(33.00g、70.74mmol)の懸濁液を、硫酸(10%)55.2gで20〜25℃で処理し、得られた懸濁液(pH1.4〜1.7)を20〜25℃で2〜3時間撹拌した。結晶を濾過により回収し、水(2×125mL)で洗浄し、減圧下で乾燥して、(S)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸(22.94g、ラセミ酸に基づき40%)を白色の結晶として得た。HPLC測定によると、純度は99.9%(m/m)であり、鏡像体の比率は99.7:0.3であった。
【0089】
実施例5
0.5当量(R)−(−)−2−フェニルグリシノールを用いる塩形成
(本発明による工程a))
【0090】
(R)−(−)−2−フェニルグリシノールとの(S)−(II)化合物の塩を、実施例2a)に記載と同様の方法で、アセトニトリル/水 95:5(100mL)中のrac−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸(10g、30.4mmol)から、アセトニトリル/水 95:5(6.7mL)中の(R)−(−)−2−フェニルグリシノール(15.2mmol、0.5当量)2.083gのみの溶液を使用して調製した。塩(5.6g、ラセミ酸に基づき39.5%)を鏡像体比率99.8:0.2で得た。
【0091】
実施例6
イソプロパノール/水中での分割
(本発明による工程a))
【0092】
a)(R)−(−)−2−フェニルグリシノールとの(S)−(II)化合物の塩の調製
rac−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸(5.0g、15.2mmol)を、イソプロパノール(47.5mL)及び水(2.5mL)の混合物に75℃で溶解した。この温度で、(R)−(−)−2−フェニルグリシノール(2.08g、15.2mmol)を加えた。加熱浴の電源を切り、種結晶をいくらか加えて結晶化を開始した。30分後、加熱浴を除去し、懸濁液をゆっくりと室温に冷却しながら撹拌を続けた。4時間後、結晶を濾過により回収し、95%イソプロパノール水溶液で洗浄し、減圧下で乾燥して、粗塩(3.48g)を96.5:3.5 dr(HPLCにより測定)で得た。粗塩を高温の95%イソプロパノール水溶液中で処理して、単離した後、標記塩(3.24g、46%)を97.9:2.1 drで得た。
【0093】
b)(S)−(II)化合物のその塩からの遊離
上記塩(3.24g、6.94mmol)を、酢酸エチル(50mL)、氷(10g)及び2N硫酸(4mL)で処理した。水相を分離し、酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を希ブラインで洗浄し、合わせ、硫酸ナトリウム(5g)で乾燥し、濃縮した。残渣(2.21g)を、酢酸イソプロピル(8mL)を還流しながら20時間処理した。冷却した後、結晶を濾過により回収し、酢酸イソプロピル(2×3mL)で洗浄し、減圧下で乾燥して、(S)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸(2.02g、ラセミ酸に基づき40%)を>99.9:0.1 erで得た。
【0094】
実施例7〜23
別の分割剤を用いる分割実験(比較例)
(本発明による工程a))
【0095】
rac−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸(100mg)を、撹拌しながら95% EtOH水溶液(1mL)に50℃で溶解した。分割剤(1当量)を加え、得られた混合物をゆっくりと室温に冷却した。撹拌を一晩続けた。形成した結晶を濾過により単離した。結晶が現れない場合、ジイソプロピルエーテル(0.2mL)を加え、結晶を単離する前に撹拌をしばらくの間続けた。遊離酸を、結晶質塩から希硫酸を用いる酸性化の後に酢酸エチルでの抽出により単離した。鏡像体比率(S):(R)をHPLCによりキラルカラムで測定し、結果を表1に示す。
【0096】
【表1】

【0097】
実施例24〜33
種々の溶媒(比較例を含む)における分割実験
(本発明による工程a)
【0098】
rac−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸を、撹拌しながら高温の溶媒に溶解した。分割剤(1当量)を加え、得られた混合物をゆっくりと室温に冷却した。撹拌を一晩続けた。形成した結晶を濾過により単離した。遊離酸を、結晶質塩のサンプルから希硫酸を用いる酸性化の後に酢酸エチルでの抽出により単離した。鏡像体比率(S):(R)をHPLCによりキラルカラムで測定した。結果を表2に示す。
【0099】
【表2】

【0100】
実施例34
1,1’−カルボニルジイミダゾールを用いる(S)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸アミドの調製(式(III)の化合物)
(本発明による工程b))
1,1’−カルボニルジイミダゾール(8.27g、51.0mmol)を懸濁し、テトラヒドロフラン(110mL)に18℃で部分的に溶解した。(S)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸(14.0g、42.5mmol;鏡像体純度(S):(R)=99.5:0.5)を、すすぎにテトラヒドロフラン(30mL)を一緒に使用して、固体で加えた。混濁溶液は15分後に白色の懸濁液になり、16〜20℃で1時間撹拌し、次に撹拌したテトラヒドロフラン(80mL)中の25%アンモニア水溶液(7.95mL)の中に移した。白色の懸濁液の最後の部分を、すすぐためにテトラヒドロフラン(10mL)の助けを借りて移した。0.5時間撹拌した後、反応混合物を減圧下で濃縮して〜70mLの容量にし、水(300mL)で希釈した。幾らかの氷を加え、温度を20〜25℃に保持した。白色の沈殿物を濾過により回収し、水/テトラヒドロフラン 80:20及びヘプタンで洗浄した。減圧下で20〜45℃で乾燥して、(S)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸アミド(13.5g、96%)を白色の固体として得た。HPLCによる物質の純度は96.9%(面積)であり、鏡像体の比率(S):(R)を99.7:0.3で測定した。
【0101】
実施例35
(S)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸アミド(式(III)の化合物)を調製するための別法
(本発明による工程b))
テトラヒドロフラン(40mL)中の(S)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸(2.0g、6.07mmol;鏡像体純度(S):(R)>99.9:0.1)に、N−メチルモルホリン(676mg、6.68mmol)を0℃で加えた。20分間撹拌した後、クロロギ酸エチル(725mg、6.68mmol)の溶液を10分間かけて滴下し、撹拌を0℃でさらに20分間続けた。次にアンモニア(過剰量)を得られた懸濁液に通して15分間泡立てた。反応混合物を室温まで温め、15分間撹拌した。水(50mL)を加え、テトラヒドロフランを減圧下で蒸発した。沈殿した生成物を濾過により回収し、水及びtert−ブチルメチルエーテルで洗浄し、減圧下で45℃で乾燥して、(S)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸アミド(1.75g、88%)を得た。HPLCによる生成物の純度は98.9%(面積)であり、鏡像体の比率(S):(R)を99.8:0.2で測定した。
【0102】
実施例36
(S)−4−アミノ−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オン(式(V)の化合物)の調製
(本発明による工程d))
(S)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸アミド(10.0g、30.5mmol;鏡像体純度(S):(R)=99.6:0.4、実施例34に記載の方法を用いて調製)を、テトラヒドロフラン(80mL)及び水(80mL)の混合物に懸濁した。(ジアセトキシヨード)ベンゼン(12.75g、39.6mmol)を20℃で撹拌しながら一度に加えた。撹拌を続け、水浴を使用して温度20℃に保持した。全反応時間3.5時間の後、HPLCによると0.5%未満の出発物質が残った。酢酸エチル(100mL)及び1Nメタンスルホン酸水溶液(50mL)の反応混合物を加えた。テトラヒドロフラン及び酢酸エチルを減圧下での蒸発により除去し、酢酸エチルの他の部分(100mL)を残留混合物に加えた。ウレア状副生成物を濾過により除去し、幾らかの酢酸エチル及び水で洗浄した。濾液を分液漏斗に移した。水相を分離し、酢酸エチルで抽出した。各有機相を0.1Nメタンスルホン酸水溶液(2×40mL)で洗浄した。水相を合わせ、溶解した酢酸エチルを減圧下で除去した。冷40%NaOH水溶液及び氷を加えて0℃でpHを11に調整した。沈殿物を濾過により回収し、濾液が中和するまで水で洗浄し、減圧下で乾燥して、(S)−4−アミノ−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オン(7.0g、76%)を、化学純度(面積):98.8%(HPLCにより測定)で得た。生成物を続く工程で更に精製しないで使用した。
【0103】
実施例37
(S)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド(式(I)の化合物)の調製
(本発明による工程d))
前記実施例に記載のように調製した(S)−4−アミノ−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オン(7.0g、23.3mmol)を、ジクロロメタン(70mL)と一緒に反応フラスコ中に充填した。ジクロロメタン(10mL)中の無水酢酸(2.97g、29.1mmol)の溶液を、撹拌しながら40℃で30分間かけて滴下した。反応時間1.5時間の後、HPLCによると出発物質が残らなかった。アセトン(250mL)を加え、混合物を減圧下で濃縮して〜50mLの容量にした。残渣をアセトン(250mL)に60℃で溶解した。温溶液を炭で処理し、得られた懸濁液を濾過し、炭を温アセトンで洗浄した。濾液を60℃で濃縮して〜50mLの容量にすると、生成物が結晶化し始めた。tert−ブチルメチルエーテル(100mL)を室温で加え、懸濁液をこの温度で一晩保持した。結晶を濾過により回収し、tert−ブチルメチルエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥して、(S)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド(7.0g、88%)をオフホワイトの粉末として得た。HPLCによる物質の純度は99.4%(面積)であり、鏡像体の比率(S):(R)を>99.9:0.1で測定した。元素分析の結果(C,H,N,F,O)は、予測値に相当した。
【0104】
実施例38
(S)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミド(式(I)の化合物)の調製
(本発明による工程c))
酢酸(190mL)中の(S)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸アミド(20.00g、60.91mmol)、(ジアセトキシヨード)ベンゼン(25.60g、79.48mmol)及び酢酸ナトリウム(10.00g、12.19mmol)の溶液に、無水酢酸(20mL)を加え、清澄な溶液を60℃まで加熱し、この温度で16〜20時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、10%亜硫酸ナトリウム水溶液(30mL)を滴下した。次に水(200mL)を加え、得られた懸濁液を50〜60℃で150〜100mbarで濃縮した。水の他の部分(200mL)を加え、懸濁液を濃縮した。これを水100mLで3回繰り返した。次に懸濁液に水(300mL)及びジクロロメタン(400mL)を加え、層を分離した。水相をジクロロメタン(200mL)で抽出した。合わせた有機層を水(3×200mL)で洗浄した。次にジクロロメタンを留去し、続けてエタノール(500mL)で置き換えて、最終容量を約300mLにした。次にこの混合物を加熱還流し、清澄な溶液を炭素(1.4g)で処理した。黒色の混合物を濾過し、濾液からエタノールを留去し、2−ブタノン(260mL)で置き換えた。混合物を75〜79℃まで加熱し、この温度で1時間撹拌した。冷却し播種すると、生成物が60℃で結晶化し始めた。混合物を0〜5℃に2〜3時間以内に冷却し、この温度で1〜2時間撹拌した。結晶を濾過により回収し、2−ブタノン(80mL)で洗浄し、減圧下で乾燥して、標記化合物15.79g(75%)を白色の結晶として得た。HPLC測定によると、純度は99.0%(m/m)であり、鏡像体の比率は99.9:0.1であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化13】


で示される、鏡像的に純粋な4−ピロリジノフェニルベンジルエーテル誘導体の製造方法であって、
a)式(II):
【化14】


で示されるラセミ体を分割剤で分割して、
式(S)−(II):
【化15】


で示される(S)−鏡像体を得る工程、
b)式(S)−(II)で示される鏡像体を、
式(III):
【化16】


で示される、対応する第一級アミドに変換する工程、
c)式(III)で示される化合物を、少なくとも酢酸及び/又は無水酢酸の存在下、
式(IV):
【化17】


で示される化合物と直接反応させて、式(I)の化合物を得る工程、
d)あるいは、式(III)で示される化合物を、式(IV)で示される化合物と反応させて、
式(V):
【化18】


で示される化合物を得て、
次に、式(V)で示される化合物をアセチル化剤と反応させて、式(I)で示される化合物を得る工程
を含み;
上記の式中、
Arは、ハロゲン、ニトロ、シアノ又はC1-6−アルキルからなる群より選択される一つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されたアリールであり;かつ
Rは、一つ又はそれ以上のハロゲンで場合により置換されたC1-6−アルキルであり;
1は、ハロゲン、ハロゲン−(C1〜C6)−アルキル、シアノ、(C1〜C6)−アルコキシ又はハロゲン−(C1〜C6)−アルコキシであり;
21、R22、R23及びR24は、互いに独立して、水素及びハロゲンからなる群より選択され;かつ
nは、0、1、2又は3である、方法。
【請求項2】
分割剤が、(R)−(−)−2−フェニルグリシノール、(S)−(+)−2−フェニルグリシノール、シンコニジン、D−フェニルアラニノール、(+)−フェニルエチルアミン、(1S,2S)−(+)−チオミカミン、(1S,2S)−(+)−2−アミノ−1−フェニル−1,3−プロパンジオール、(1S,2R)−(−)−シス−1−アミノ−2−インダノール、L−フェニレフリン、(1S,2R)−(+)−N−メチルエフェドリン、L−プロリノール、(R)−(−)−2−アミノ−1−ブタノール及び(R)−(+)−1−(−ナフチル)−エチルアミンからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
分割剤が、(R)−(−)−2−フェニルグリシノールである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
工程a)において、アセトン、イソプロパノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、イソプロパノール及びEtOHからなる群より選択される溶媒が使用される、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
溶媒が、アセトニトリルである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
工程b)において、式(S)−(II)で示される鏡像体の、対応する式(III)で示される第一級アミドへの変換が、1,1’−カルボニルジイミダゾール及びアンモニア源を用いて行われる、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
アンモニア源が、アンモニア水溶液又は酢酸アンモニウムから選択される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
工程b)において、式(S)−(II)で示される鏡像体の、対応する式(III)で示される第一級アミドへの変換が、N−メチルモルホリン、クロロギ酸エチル及びアンモニア源を用いて行われる、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
アンモニア源が、気体アンモニアである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
工程b)において、更に溶媒としてテトラヒドロフランが使用される、請求項6〜9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
工程c)において、式(IV)で示される化合物が、(ジアセトキシヨード)ベンゼンである、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
工程d)において、式(IV)で示される化合物が、(ジアセトキシヨード)ベンゼンである、請求項1〜11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
工程d)において、アセチル化剤が、無水酢酸又は塩化アセチルである、請求項1〜12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
工程d)において、溶媒としてテトラヒドロフランと水が、1:1の比で使用される、請求項1〜13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
ラセミ体(II)が、(RS)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸であり、(S)−(II)が、(S)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸であり、式(III)で示される化合物が、1,1’−カルボニルジイミダゾールを使用する(S)−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−カルボン酸アミドであり、式(V)で示される化合物が、(S)−4−アミノ−1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−ピロリジン−2−オンであり、かつ式(I)で示される化合物が、(S)−N−{1−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−5−オキソ−ピロリジン−3−イル}−アセトアミドである、請求項1〜14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
工程a)が:
a1)ラセミ体(II)、及びラセミ体(II)と共に(S)−(II)化合物の塩を形成可能な分割剤を含有する溶媒中で反応混合物を調製して、化合物(S)−(II)の塩を得る工程;
a2)化合物(S)−(II)の塩を反応混合物から単離し、上記化合物(S)−(II)をその塩から遊離する工程;
a3)工程a1)の反応混合物中に残存する化合物(R)−(II)を単離する工程;
a4)単離された化合物(R)−(II)をラセミ化して、再利用ラセミ体を得る工程;
a5)ラセミ体を再利用ラセミ体で置き換えて、工程a1)〜a4)を必要な回数だけ反復する工程
を含む、請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
工程a)が:
a1’)ラセミ体(II)、及びラセミ体(II)と共に(R)−(II)化合物の塩を形成可能な分割剤を含有する溶媒中で反応混合物を調製して、化合物(R)−(II)の塩を得る工程;
a2’)化合物(R)−(II)の塩を反応混合物から単離し、上記化合物(R)−(II)をその塩から遊離する工程;
a3’)工程a1’)の反応混合物中に残存する化合物(S)−(II)を単離する工程;
a4’)単離された化合物(R)−(II)をラセミ化して、再利用ラセミ体を得る工程;
a5’)ラセミ体を再利用ラセミ体で置き換えて、工程a1’)〜a4’)を必要な回数だけ反復する工程
を含む、請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
式(III):
【化19】


(式中、
1は、ハロゲン、ハロゲン−(C1〜C6)−アルキル、シアノ、(C1〜C6)−アルコキシ又はハロゲン−(C1〜C6)−アルコキシであり;
21、R22、R23及びR24は、互いに独立して、水素及びハロゲンからなる群より選択され;かつ、
nは、0、1、2又は3である)で示される中間体化合物。
【請求項19】
1が3−フルオロであり;
21、R22、R23及びR24が、水素であり;かつ
nが1である、請求項18記載の式(III)で示される中間体化合物。
【請求項20】
式(S)−(II):
【化20】


(式中、
1は、ハロゲン、ハロゲン−(C1〜C6)−アルキル、シアノ、(C1〜C6)−アルコキシ又はハロゲン−(C1〜C6)−アルコキシであり;
21、R22、R23及びR24は、互いに独立して、水素及びハロゲンからなる群より選択され;かつ
nは、0、1、2又は3である)で示される中間体化合物の、
(R)−(−)−2−フェニルグリシノール、シンコニジン、D−フェニルアラニノール、(+)−フェニルエチルアミン、(1S,2R)−(−)−シス−1−アミノ−2−インダノール及びL−フェニレフリンからなる群より選択される塩との塩。
【請求項21】
1が3−フルオロであり;
21、R22、R23及びR24が、水素であり;かつ
nが1である、請求項20記載の式(S)−(II)で示される中間体化合物の塩。
【請求項22】
請求項20又は21記載の式(S)−(II)で示される中間体化合物の(R)−(−)−2−フェニルグリシノールとの塩。
【請求項23】
上述したような発明。

【公開番号】特開2012−67122(P2012−67122A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−252413(P2011−252413)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【分割の表示】特願2008−501217(P2008−501217)の分割
【原出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】