説明

N−アルキル−アザシクロアルキルNMDA/NR2B拮抗物質

式(I)の化合物及び/又は薬剤として許容されるその塩、個々の鏡像異性体及び立体異性体は、とう痛、パーキンソン病、アルツハイマー病、てんかん、抑うつ、不安、脳卒中を含めた虚血性脳障害などの症状の治療に有用なNMDA/NR2B拮抗物質として有効である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N−アルキル−アザシクロアルキル化合物に関する。特に、本発明は、とう痛、パーキンソン病、アルツハイマー病、てんかん、抑うつ、不安、脳卒中を含めた虚血性脳障害、他の症状などの神経症状の治療に有用であるNMDA/NR2B拮抗物質であるN−アルキル−アザシクロアルキル化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
グルタミン酸などのイオンは、主にN−メチル−D−アスパラギン酸(「NMDA」)受容体を介して作用することによって、慢性痛及びとう痛に付随する神経毒性に関係するプロセスにおいて重要な役割を果たす。したがって、イオンチャネル拮抗物質、特にNMDA拮抗物質を使用することによってかかる作用を阻害することは、パーキンソン病及びとう痛の治療及び管理に有益となり得る。
【0003】
NMDA受容体は、NR1及びNR2と称する2種類の主要なサブユニットファミリーがクローン化された、サブユニットのヘテロマー構築体である。理論に拘泥するものではないが、ほ乳動物の中枢神経系(「CNS」)中の様々な機能的NMDA受容体は、グリシン及びグルタミン酸認識部位をそれぞれ発現するNR1サブユニットとNR2サブユニットの組合せによってのみ形成されていると一般に考えられている。NR2サブユニットファミリーは、4種類の別個のサブユニットタイプ:NR2A、NR2B、NR2C及びNR2Dに分類される。T. Ishii, et al., J. Biol. Chem., 268:2836−2843(1993)及びD.J. Laurie et al., Mol. Brain Res., 51:23−32(1997)は、多様な組合せの結果、イオンゲート特性、マグネシウム感受性、薬理学的プロファイルなどの生理学的及び薬理学的諸特性、並びに解剖学的分布が異なる種々のNMDA受容体が生成される仕方を記載している。
【0004】
例えば、NR1は脳全体に見られるが、NR2サブユニットは偏って分布する。特に、NR2Bの分布地図は、パーキンソン病又はとう痛の治療中に起こる副作用の確率を低下させると考えられる。したがって、NR2B受容体を標的にする新規NMDA拮抗物質を提供することが望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、式Iの化合物又は薬剤として許容されるその塩に関する。
【0006】
【化8】

(式中、W、X、A、B、R、R、R及びRは本明細書に記載されている。)本発明は、さらに、本化合物及び組成物を利用して、とう痛、パーキンソン病、アルツハイマー病、てんかん、抑うつ、不安、脳卒中を含めた虚血性脳障害及び他の症状を含めた神経症状を治療し、予防する方法も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の化合物は、式I、並びに薬剤として許容されるその塩及び個々の鏡像異性体及び立体異性体によって表される。
【0008】
【化9】

【0009】
Wはアリール又はヘテロアリールであって、前記アリール又はヘテロアリールはハロゲン、C3−6シクロアルキル、シアノ、C1−4アルコキシ及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択される1−5個の置換基で置換されていてもよく、前記アルコキシは1個以上のハロゲンで置換されていてもよく、前記アルキルは水素、ハロゲン及びヒドロキシルからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
Xは、存在せず、又は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、(=O)及びシアノからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい、C1−4アルコキシ及びC1−3アルキルからなる群から選択され、
Aは、結合であり、又は水素、ハロゲン、ヒドロキシル及びC1−3アルキルからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC1−3アルキルであって、前記アルキルはハロゲン、ヒドロキシル、C1−4アルコキシ及びシアノからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
Bは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル及びC1−3アルキルからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいCアルキルであって、前記アルキルはハロゲン、ヒドロキシル、C1−4アルコキシ及びシアノからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、環はAとBを含んで形成され、A中の個々の炭素原子とB中の個々の炭素原子は結合して、前記環を架橋していてもよく、
及びRは、水素及びC1−3アルキルからなる群から各々独立に選択され、
及びRは、水素、ヒドロキシル、シアノ及びC1−3アルキルからなる群から各々独立に選択され、前記アルキルはハロゲン、ヒドロキシル、C1−4アルコキシ及びシアノからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
とRは、これらが結合している環と一緒に、結合して架橋シクロアルキルを形成していてもよい。
【0010】
本発明の一実施形態は、化学式(I)の化合物、及び/又は薬剤として許容されるその塩、個々の鏡像異性体及び立体異性体を提供する。
【0011】
Wは、ハロゲン、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択される1−5個の置換基で置換されていてもよいアリールであって、前記アルキルは水素、ハロゲン及びヒドロキシルからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
Xは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル及び(=O)からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい、C1−4アルコキシ及びC1−3アルキルからなる群から選択され、
及びRは、水素及びC1−3アルキルからなる群から各々独立に選択され、
及びRは各々独立に水素であり、
Aは、結合であり、又は水素及びハロゲンからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC1−3アルキルであり、
Bは、水素及びハロゲンからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいCアルキルであり、環はAとBを含んで形成され、A中の個々の炭素原子とB中の個々の炭素原子は結合して、前記環を架橋していてもよい。
【0012】
本発明の別の実施形態は、式Iaの化合物及び/又は薬剤として許容されるその塩、個々の鏡像異性体及び立体異性体を含む。
【0013】
【化10】

式中、
Wは、ハロゲン、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択される1−5個の置換基で置換されていてもよいアリールであって、前記アルキルは水素、ハロゲン及びヒドロキシルからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
Xは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル及び(=O)からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC1−3アルキルであり、
及びRは、水素及びC1−3アルキルからなる群から各々独立に選択され、
Aは、結合であり、又は水素及びハロゲンからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC1−3アルキルである。
【0014】
本発明の別の実施形態は、式Ibの化合物及び/又は薬剤として許容されるその塩、個々の鏡像異性体及び立体異性体を含む。
【0015】
【化11】

式中、
Wは、ハロゲン、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択される1−5個の置換基で置換されていてもよいアリールであって、前記アルキルは水素、ハロゲン及びヒドロキシルからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
Xは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル及び(=O)からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC1−3アルキルであり、
Bは、水素及びハロゲンからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいCアルキルである。
【0016】
本発明の別の実施形態は、式Icの化合物及び/又は薬剤として許容されるその塩、個々の鏡像異性体及び立体異性体を含む。
【0017】
【化12】

式中、
Wは、ハロゲン、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択される1−5個の置換基で置換されていてもよいアリールであって、前記アルキルは水素、ハロゲン及びヒドロキシルからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
Xは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル及び(=O)からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC1−3アルキルである。
【0018】
本発明の別の実施形態は、式Idの化合物及び/又は薬剤として許容されるその塩、個々の鏡像異性体及び立体異性体を含む。
【0019】
【化13】

式中、
Wは、ハロゲン、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択される1−5個の置換基で置換されていてもよいアリールであって、前記アルキルは水素、ハロゲン及びヒドロキシルからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
Xは、水素及びハロゲンからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC1−3アルキルであり、
Aは、結合であり、又は水素及びハロゲンからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC1−3アルキルであり、
及びRは、水素、ヒドロキシル、シアノ及びC1−3アルキルからなる群から各々独立に選択され、前記アルキルはハロゲン、ヒドロキシル、C1−4アルコキシ及びシアノからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
とRは、これらが結合している環と一緒に、結合して架橋シクロアルキルを形成し得る。
【0020】
本発明の別の実施形態は、式Ieの化合物及び/又は薬剤として許容されるその塩、個々の鏡像異性体及び立体異性体を含む。
【0021】
【化14】

式中、
Wは、ハロゲン、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択される1−5個の置換基で置換されていてもよいアリールであって、前記アルキルは水素、ハロゲン及びヒドロキシルからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
Xは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル及び(=O)からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC1−3アルキルであり、
Aは、結合であり、又は水素及びハロゲンからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC1−3アルキルであり、
Bは、水素及びハロゲンからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいCアルキルであり、環はAとBを含んで形成され、A中の個々の炭素原子とB中の個々の炭素原子は結合して、前記環を架橋していてもよい。
【0022】
本明細書では「アルキル」及び、例えば、アルカン、アルカノイル、アルケニル、アルキニルなどの接頭語「アルク(alk)」を含む他の用語は、線状でも分枝状でもそれらの組合せでもよい炭素鎖を意味する。適切なアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル及びヘプチルが挙げられる。したがって、C1−6アルキルは、線状又は分枝状配列の1、2、3、4、5又は6個の炭素を有する基であると定義され、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。同様に、C1−4アルキルは、線状又は分枝状配列の1、2、3又は4個の炭素を有する基であると定義され、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチルなどが挙げられる。同様に、CアルキルにおけるようなCは、アルキルが末端基であるときには水素原子置換基であり、アルキルが架橋基であるときには直接の結合である。「アルケニル」、「アルキニル」及び他の同様の用語は、少なくとも1個の不飽和C−−C結合を含む炭素鎖を含む。
【0023】
本明細書では「アルコキシ」という用語は、単独で、又は組み合わせて、アルキルエーテル基を含む。ここで、「アルキル」という用語は上で定義されており、「エーテル」は、酸素原子をその間に有する2個のアルキル基を意味する。適切なアルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、(「ジメチルエーテル」とも称される)メトキシメタン及び(「エチルメチルエーテル」とも称される)メトキシエタンが挙げられる。
【0024】
本明細書では「シクロアルキル」という用語は、ヘテロ原子を含まない炭素環を意味し、単環、二環及び三環の飽和炭素環並びに縮合環構造を含む。かかる縮合環構造は、ベンゾ縮合炭素環などの縮合環構造を形成するベンゼン環など、部分又は完全不飽和である1個の環を含み得る。シクロアルキルは、スピロ縮合環構造のような縮合環構造を含む。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、デカヒドロナフタレン、アダマンタン、インダニル、インデニル及びフルオレニル、1,2,3,4−テトラヒドロナファレン(tetrahydronaphalene)が挙げられる。
【0025】
本明細書では「アリール」は、少なくとも1個の環が芳香族であり、各環が最高7員の安定な単環式又は二環式の炭素環を意味するものとする。かかるアリールの例としては、フェニル、ナフチル(napthyl)及びトリルが挙げられる。
【0026】
本明細書では「架橋シクロアルキル」は、隣接原子又は非隣接原子によって連結された、2個以上のシクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基又はこれらの組合せを意味するものとする。かかる架橋シクロアルキル基の例としては、8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル及び3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−6−イルが挙げられる。
【0027】
本明細書では「ヘテロアリール」という用語は、特に断らない限り、芳香環を含む安定な5から7員の単環式又は安定な9から10員の縮合二環式複素環構造であって、そのうちの任意の環はピペリジニルなどの飽和でも、部分飽和でも、ピリジニルなどの不飽和でもよく、炭素原子並びにN、O及びSからなる群から選択される1個から4個のヘテロ原子からなり、窒素及び硫黄ヘテロ原子は場合によっては酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は場合によっては第四級でもよく、上記複素環のいずれかがベンゼン環に縮合した二環式基を含む構造を意味するものとする。複素環は、任意のヘテロ原子又は炭素原子において結合し、安定な構造を生成し得る。かかるヘテロアリール基の例としては、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ピロール、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール及び1,2,4−トリアゾールが挙げられるが、これらだけに限定されない。
【0028】
「ヘテロ」という用語は、特に断らない限り、1個以上のO、S又はN原子を含む。例えば、ヘテロシクロアルキル及びヘテロアリールは、1個以上のO、S又はN原子をかかる原子の混合を含めて環中に含む環構造を含む。ヘテロ原子は環炭素原子を置換する。したがって、例えば、ヘテロシクロCアルキルは、4個から0個の炭素原子を含む5員環である。ヘテロシクロアルキルの例としては、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、イミダゾリニル、ピロリジン−2−オン、ピペリジン−2−オン及びチオモルホリニルが挙げられる。
【0029】
本願を通して記述する構造においては、非置換窒素原子上の水素原子は、明示的な場合も暗黙的な場合もある。
【0030】
同じ規則をすべての一般構造及び個々の種を表す構造にも適用する。窒素原子が、本願に示す水素以外の原子及び/又は部分でも置換され得ることは言うまでもない。
【0031】
本明細書ではハロ、すなわちハロゲンという用語は、クロロ、フルオロ、ブロモ及びヨードを含むことを当業者は理解されたい。
【0032】
「置換されていてもよい」という用語は、置換と非置換の両方を含むものとする。すなわち、例えば、置換されていてもよいアリールは、ペンタフルオロフェニル環又はフェニル環を表し得る。また、例えばアルキルアリールなど、置換されていてもよい複数の部分は、アルキル基とアリール基が置換されていてもよいことを意味するものとする。複数の部分の1個のみが置換されていてもよい場合には、「アルキルアリール、該アリールはハロゲン又はヒドロキシルで置換されていてもよい。」など、具体的に記述する。
【0033】
本明細書に記載の化合物は1個以上の不斉中心を含むことができ、したがってジアステレオマー及び光学異性体が生じ得る。本発明は、かかる可能な全ジアステレオマー並びにそのラセミ混合物、その実質的に純粋な分離鏡像異性体、可能な全幾何異性体、及び薬剤として許容されるその塩を含む。(式Ia、Ib、Ic、Id及びIeを含めて)式Iは、特定の位置における立体化学が限定されていない。本発明は、式Iの全立体異性体、及び薬剤として許容されるその塩を含む。また、立体異性体の混合物、及び単離された特定の立体異性体も含む。かかる化合物の調製に用いる合成手順の過程で、又は当業者に公知のラセミ化若しくはエピマー化手順を用いる際に、かかる手順の生成物は立体異性体の混合物であり得る。
【0034】
これらのジアステレオマー又はそのクロマトグラフィー分離物は、当分野で知られているように、本明細書に開示する方法を適切に改変することによって個別に合成することができる。その絶対立体配置は、絶対配置が知られている不斉中心を含む試薬を必要に応じて用いて誘導体化された結晶性生成物又は結晶性中間体のx線結晶学によって決定することができる。
【0035】
所望であれば、化合物のラセミ混合物を分離して、個々の鏡像異性体を単離することができる。分離は、当分野で周知の方法によって実施することができる。例えば、化合物のラセミ混合物を、鏡像異性的に純粋な化合物とカップリングさせてジアステレオマー混合物を形成し、続いて、分別結晶、クロマトグラフィーなどの標準方法によって個々のジアステレオマーに分離することができる。カップリング反応は、鏡像異性的に純粋な酸又は塩基を用いた塩の形成であることが多い。次いで、付加した鏡像異性残基の開裂によって、ジアステレオマー誘導体を純粋な鏡像異性体に転化することができる。化合物のラセミ混合物は、当分野で周知である、キラル固定相を利用したクロマトグラフィー法によって直接分離することもできる。
【0036】
或いは、化合物の任意の鏡像異性体を、立体配置が既知である光学的に純粋な出発材料又は試薬を用いて、当分野で周知の方法による立体選択的合成によって得ることができる。
【0037】
本明細書では「薬剤として許容される塩」という用語は、薬剤として許容される無毒の塩基又は酸から調製される塩を指す。本発明の化合物が酸性であるときには、その対応する塩は、無機塩基及び有機塩基を含めて、薬剤として許容される無毒の塩基から都合良く調製することができる。かかる無機塩基から誘導される塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅((II)及び(I))、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン((III)及び(II))、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩が挙げられる。薬剤として許容される無毒の有機塩基から誘導される塩としては、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、環式アミン及び天然置換アミン、合成置換アミンなどの置換アミンの塩などが挙げられる。塩を形成し得る、他の薬剤として許容される無毒の有機塩基としては、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどのイオン交換樹脂が挙げられる。
【0038】
本発明の化合物が塩基であるときには、その対応する塩は、無機酸及び有機酸を含めて、薬剤として許容される無毒の酸から都合良く調製することができる。かかる酸としては、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。薬剤として許容される塩の例としては、アミンなどの塩基性残基の無機酸塩又は有機酸塩、カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩又は有機塩などが挙げられるが、これらだけに限定されない。薬剤として許容される塩としては、例えば、無毒の無機酸又は有機酸から形成された親化合物の従来の無毒の塩又は第四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、かかる従来の無毒の塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸から誘導された塩、及び酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などの有機酸から調製される塩が挙げられる。
【0039】
本方法において治療を受ける対象又は患者は、一般に、NMDA/NR2B受容体活性の拮抗が求められる、ヒトなどのオス又はメスのほ乳動物である。本方法において治療を受ける対象又は患者は、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ウシなどの動物でもあり得る。「治療有効量」という用語は、研究者、獣医、医師又は他の臨床家によって求められる、組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を誘発する対象化合物の量を意味する。本明細書では「治療」という用語は、特にかかる疾患又は障害に罹り易い患者における、上記症状の治療と予防又は予防治療の両方を指す。
【0040】
本明細書では「組成物」という用語は、指定成分を指定量で含む生成物、及び各指定成分を各指定量で組み合わせて直接的又は間接的に得られる任意の生成物を包含するものとする。薬剤組成物に関係するかかる用語は、活性成分と担体を構成する不活性成分とを含む生成物を包含し、また、任意の2種類以上の成分の組合せ、複合若しくは集合から、又は1種類以上の成分の解離から、又は1種類以上の成分の他のタイプの反応若しくは相互作用から、直接的若しくは間接的に得られる任意の生成物を包含するものとする。したがって、本発明の薬剤組成物は、本発明の化合物と薬剤として許容される担体とを混合することによって調製される任意の組成物を包含する。「薬剤として許容される」とは、担体、希釈剤又は賦形剤が、製剤の他の成分と適合性でなければならず、かつそのレシピエントに無害でなければならないことを意味する。
【0041】
化合物の「投与」及び又は化合物を「投与すること」という用語は、治療を必要とする個体に本発明の化合物又は本発明の化合物のプロドラッグを投与することを意味すると理解すべきである。
【0042】
本発明の薬剤組成物は、活性成分として式Iの化合物(及び/又は薬剤として許容されるその塩)、薬剤として許容される担体を含み、他の治療成分又はアジュバントを場合によっては含んでいてもよい。本組成物は、経口、直腸、局所及び(皮下、筋肉内及び静脈内を含めた)非経口投与に適切な組成物を含むが、任意の所与の症例において最も適切な経路は、個々の宿主、並びに活性成分が投与される症状の性質及び重症度に応じて決まる。薬剤組成物は、好都合には単位剤形とすることができ、薬学分野で周知の方法のいずれかによって調製することができる。
【0043】
本発明は、さらに、本発明の化合物と薬剤担体又は希釈剤とを組み合わせることを含む、ヒト及び動物におけるNMDA/NR2B受容体活性の拮抗用医薬品を製造する方法を対象とする。
【0044】
実際には、本発明の式Iの化合物又は薬剤として許容されるその塩は、均質混合物中の活性成分として、従来の薬剤配合技術によって薬剤担体と混合することができる。担体は、投与、例えば、経口又は(静脈内を含めた)非経口投与に望ましい剤形に応じて多種多様な形をとり得る。したがって、本発明の薬剤組成物は、活性成分の所定量を各々が含むカプセル剤、カシェ剤、錠剤など、経口投与に適切な分離単位であり得る。また、本組成物は、散剤、顆粒剤、溶液剤、水系懸濁液剤、非水系液剤、水中油型乳剤又は油中水型液体乳剤であり得る。一般的な上記剤形に加えて、式Iの化合物及び/又は薬剤として許容されるその塩は、制御放出手段及び/又は送達装置によって投与することもできる。本組成物は、調剤方法のいずれかによって調製することができる。一般に、かかる方法は、活性成分を1種類以上の必要な成分を構成する担体と会合させる段階を含む。一般に、本組成物は、活性成分を液体担体、微粉担体又はその両方と均一に十分混合することによって調製される。次いで、生成物を所望の形(presentation)に都合良く成形することができる。
【0045】
したがって、本発明の薬剤組成物は、薬剤として許容される担体と式Iの化合物又は薬剤として許容されるその塩とを含み得る。式Iの化合物又は薬剤として許容されるその塩は、1種類以上の他の治療上有効な化合物と組み合わせて薬剤組成物中に含めることもできる。
【0046】
使用する薬剤担体は、例えば、固体、液体又は気体であり得る。固体担体の例としては、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸が挙げられる。液体担体の例は、糖シロップ、落花生油、オリーブ油及び水である。気体担体の例としては二酸化炭素及び窒素が挙げられる。
【0047】
経口剤形用組成物を調製する際には、任意の好都合な薬剤媒体を使用することができる。例えば、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、防腐剤、着色剤などを使用して懸濁液剤、エリキシル剤、溶液剤などの経口液体製剤を形成することができる。また、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの担体を使用して、散剤、カプセル剤、錠剤などの経口固体製剤を形成することができる。錠剤及びカプセル剤は、投与が容易なので好ましい経口投与単位であり、それによって固体薬剤担体が使用される。錠剤を標準の水系又は非水系技術によって被覆してもよい。
【0048】
本発明の組成物を含む錠剤は、1種類以上の副成分又はアジュバントと場合によっては一緒に、圧縮又はモールディングによって調製することができる。圧縮錠剤は、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤又は分散剤と混合されていてもよい、散剤、顆粒剤などの易流動性の活性成分を適切な機械で圧縮することによって調製することができる。モールディングされた錠剤は、不活性希釈液で湿らせた粉末化合物の混合物を適切な機械でモールディングすることによって製造することができる。各錠剤は活性成分約0.5mgから約5gを好ましくは含有し、各カシェ剤又はカプセル剤は活性成分約0.5mgから約5gを好ましくは含有する。
【0049】
本発明の薬剤組成物は、活性成分として式Iの化合物(又は薬剤として許容されるその塩)、薬剤として許容される担体を含み、1種類以上の追加の治療薬又はアジュバントを場合によっては含んでいてもよい。本組成物は、経口、直腸、局所及び(皮下、筋肉内及び静脈内を含めた)非経口投与に適切な組成物を含むが、任意の所与の症例において最も適切な経路は、個々の宿主、並びに活性成分が投与される症状の性質及び重症度に応じて決まる。薬剤組成物は、好都合には単位剤形とすることができ、薬学分野で周知の方法のいずれかによって調製することができる。
【0050】
非経口投与に適切な本発明の薬剤組成物は、活性化合物の水溶液又は水懸濁液として調製することができる。例えばヒドロキシプロピルセルロースなどの適切な界面活性剤を含むことができる。分散剤は、グリセリン中で、液状ポリエチレングリコール中で、オイル中のそれらの混合物中で調製することもできる。また、微生物の有害な増殖を防止するために防腐剤を添加することができる。
【0051】
注射用に適切な本発明の薬剤組成物としては、無菌水溶液又は分散液が挙げられる。また、本組成物は、かかる無菌注射用溶液又は分散液を即座に調製するための無菌散剤の形とすることができる。すべての場合において、最終注射用剤形は無菌でなければならず、注射を容易にするために効果的に流動性でなければならない。本薬剤組成物は、製造及び貯蔵条件下で安定でなければならず、したがって、細菌、真菌などの微生物の汚染作用に対して好ましくは保護されるべきである。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール及び液状ポリエチレングリコール)、植物油及びこれらの適切な混合物を含む溶媒又は分散媒とすることができる。
【0052】
本発明の薬剤組成物は、例えば、エアゾール剤、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、散布粉剤など局所用に適切な剤形とすることができる。また、本組成物は、経皮装置に使用するのに適切な剤形とすることができる。これらの製剤は、本発明の式Iの化合物又は薬剤として許容されるその塩を利用して、従来の加工方法によって調製することができる。例として、クリーム剤又は軟膏剤は、親水性材料と水を本化合物約5重量%から約10重量%と混合して、所望の粘ちゅう性を有するクリーム剤又は軟膏剤を製造することによって調製される。
【0053】
本発明の薬剤組成物は、担体が固体である、直腸投与に適切な形とすることができる。混合物は単位用量坐剤を形成することが好ましい。適切な担体としては、カカオ脂、当分野で通常使用される他の材料などが挙げられる。坐剤は、本組成物を軟化又は溶融担体とまず混合し、続いて型の中で冷却及び成形することによって好都合には形成することができる。
【0054】
上記薬剤は、上述の担体成分に加えて、希釈剤、緩衝剤、香味剤、結合剤、界面活性剤、増粘剤、潤滑剤、(抗酸化剤を含めた)防腐剤などの1種類以上の追加の担体成分を適宜含むことができる。また、製剤を対象レシピエントの血液と等張性にするために他のアジュバントを含むことができる。式Iの化合物を含む組成物及び/又は薬剤として許容されるその塩は、粉体又は濃縮液体の形で調製することもできる。
【0055】
NMDA/NR2B受容体活性の拮抗物質としての本発明による化合物の有用性は、当分野で既知の方法によって証明することができる。NMDA受容体との結合阻害、及びNMDAチャネルを通るカルシウム流出の機能的拮抗作用を、以下の通り確認した。
【0056】
NR2B拮抗物質のIC50を決定する細胞ベースの機能アッセイ
NR1a/NR2B受容体媒介性Ca2+流入によって測定される、選択化合物のNR1a/NR2B NMDA受容体阻害能力を、以下のカルシウム流入アッセイ手順によって評価した。
【0057】
NR1a/NR2B受容体を形質移入したL(tk−)細胞を96ウェル形式で3×10細胞/ウェルで蒔き、通常の増殖培地(ピルビン酸Na、グルコース4500mg、pen/strep、グルタミン、10%FCS及び0.5mg/mLジェネテシンを含むダルベッコMEM)中で1日から2日増殖させた。これらの細胞におけるNR1a/NR2B発現は、4−20nMのデキサメタゾンを500μMケタミンの存在下で16−24時間添加することによって誘導された。NR2B拮抗物質溶液をDMSO中で調製し、DMSOで連続希釈して濃度が3倍異なる10個の溶液を得た。DMSO溶液をアッセイ緩衝剤(20mM HEPES、2mM CaCl、0.1%BSA及び250μMプロベネシド(Sigma # P−8761)を含みMg2+を含まないハンクス平衡塩類溶液(HBSS)(Gibco #14175−079))に250倍希釈することによって96ウェル薬物プレートを調製した。誘導後、細胞をアッセイ緩衝剤で2回洗浄し(Labsystem細胞洗浄液、3倍希釈して100μLにする。)、Pluronic F−127(Molecular Probes # P−3000)及び10μMケタミンを含むアッセイ緩衝剤中の4μMカルシウム蛍光指示薬fluo−3 AM(Molecular Probes # P−1241)を37℃で1時間添加した。次いで、細胞をアッセイ緩衝剤で8回洗浄し、各ウェルに緩衝剤100μLを残した。蛍光強度は、FLIPR(Fluorometric Imaging Plate Reader、Molecular Devices)によって488nmの励起及び530nmにおける発光を使用して直ちに測定された。蛍光強度の記録開始から5秒後に作動物質溶液(40μMグルタミン酸/グリシン、最終濃度10μM)50μLを添加し、1分後に、蛍光シグナルが安定であれば、薬物プレートからNR2B拮抗物質50μL及び対照溶液を添加し、蛍光強度をさらに30分間記録した。IC50値は、終点蛍光値を下記式#1に非線形最小二乗フィッティングさせて求められた。
【0058】
【化15】

式中、Yminは、AMD−2 1μMを含む対照ウェルの平均終点蛍光であり、Ymaxは、0.1%DMSOアッセイ緩衝溶液を含むウェルの平均終点蛍光である。
【0059】
NR2B拮抗物質を求める結合アッセイ
放射性リガンド結合アッセイを、96ウェルマイクロタイタープレートにおいて150mM NaClを含有する20mM Hepes緩衝剤(pH7.4)中1.0mLの最終アッセイ体積で室温で実施した。NR2B拮抗物質溶液をDMSO中で調製し、DMSOで連続希釈して濃度が3倍異なる10個の溶液各20μLを得た。非特異的結合(NSB)を、AMD−1(最終濃度10μM)を用いて評価し、全結合量(TB)を、DMSO(最終濃度2%)を添加して測定した。NR1a/NR2B受容体(最終濃度40pM)を発現する膜、及びトリチウム化AMD−2(最終濃度1nM)を、マイクロタイタープレートの全ウェルに添加した。室温で3時間インキュベーション後、試料を(0.05%PEI、ポリエチレンイミン(polyethyleninine)Sigma P−3143にあらかじめ浸漬した)Packard GF/Bフィルターに通してろ過し、1回の洗浄につき冷20mM Hepes緩衝剤1mLで10回洗浄する。ろ板を真空乾燥させた後、Packard Microscint−20 40μLを添加し、結合放射能をPackard TopCountで測定した。結合放射能(結合CPM)を下記式#2に非線形最小二乗フィッティングさせて、見掛け解離定数(K)、最大阻害率(%Imax)、最小阻害率(%Imin)及び傾き(hill slope)(nH)を求めた。
【0060】
【化16】

式中、Kは、加熱飽和実験(hot saturation experiment)によって求められた、受容体の放射性リガンドに対する見掛け解離定数であり、SBは、TBとNSB対照ウェルの差から求められた特異的結合放射能である。
【0061】
AMD−1及びAMD−2は、以下の反応スキームによって合成することができる。
【0062】
【化17】

【0063】
放射能標識AMD−1の合成用前駆体Eは、以下の手順に従って合成することができる。
【0064】
反応1
【0065】
【化18】

【0066】
反応1の手順に従って、塩化水素をけい皮酸ニトリルAのメタノール溶液に室温で通気させる。揮発分を減圧除去し、生成する残渣をエーテルを用いてすり潰し、ろ過して中間体イミダートBを得る。イミダートBをメタノールに周囲温度で溶解させ、(Acros Chemicalsから市販されている)アミンDを用いて周囲温度で処理し、アルゴン下で撹拌する。揮発性物質を減圧除去し、残渣を分取用HPLCによって精製し、又はエーテルを用いてすり潰して、アミジンEを得る。
【0067】
トリチウム化AMD−2を以下の手順によって合成することができる。
【0068】
反応2
【0069】
【化19】

【0070】
トリチウム化AMD−2を、上記反応2に示した以下の手順によって調製した。すなわち、前駆体E(2mg、0.008mmol)をジメチルホルムアミド(0.6mL)及び炭酸カリウム(1.2mg)に1時間溶解した。高比活性トリチウム化ヨウ化メチル(50mCi、0.0006mmol、トルエン1mL溶液、American Radiolabeled Chemicals、St. Louis、Missouriから市販されている。)を室温で添加し、2時間撹拌した。反応混合物をWhatman PTFE 0.45μmシリンジレスフィルター装置を用いてろ過して、不溶性炭酸カリウムを除去し、無水エタノール(2mL、Pharmcoから市販されている。)で洗浄し、混合ろ液をロータリーエバポレーターによって室温で濃縮乾固させた。これによって未反応トリチウム化ヨウ化メチルも除去された。残渣をPhenomenx Luna C8 semi−prepカラム(Luna 5 micro C8(2)、250×10.0mm)を用いたHPLCクロマトグラフィーにかけ、0.1%トリフルオロ酢酸を含む20/80アセトニトリル/水から0.1%トリフルオロ酢酸を含む100%アセトニトリルまでの20分間の勾配システムを用いて精製した。生成物の全活性は8mCiであった。カラム(Waters Corporation、Milford、Massachusettsから市販されているWaters Sep−Pak(登録商標)PLUS C18カラム)で吸収し、水、続いて無水エタノールで溶出させてさらに精製した。生成物を、最終分析に供する前に無水エタノール(10mL)で希釈した。
【0071】
AMD−1は、C.F. Claiborne等(Bioorganic & Med. chem. Letters 13, 697−700(2003)に記載の一般的手順に従って合成することができる。
【0072】
非標識AMD−2を以下の通り調製する。
【0073】
反応3
【0074】
【化20】

【0075】
反応3に従って、塩化水素をけい皮酸ニトリルAのメタノール溶液に室温で通気させる。揮発分を減圧除去し、生成する残渣をエーテルを用いてすり潰し、ろ過して中間体イミダートBを得る。イミダートBをメタノールに周囲温度で溶解させ、アミンFを用いて周囲温度で処理し、アルゴン下で撹拌する。揮発性物質を減圧除去し、残渣を分取用HPLCによって精製し、又はエーテルを用いてすり潰して、アミジンGを得る。
【0076】
本発明の化合物のIC50及びK値はそれぞれ機能アッセイ及び結合アッセイにおいて50μM未満である。IC50及びK値は、それぞれ機能アッセイ及び結合アッセイにおいて5μM未満であることが有利である。IC50及びK値は、それぞれ機能アッセイ及び結合アッセイにおいて1μM未満であることがより有利である。IC50及びK値は、それぞれ機能アッセイ及び結合アッセイにおいて0.1μM未満であることがさらに有利である。
【0077】
本化合物は、NMDA NR2B受容体拮抗物質であり、したがってNR2B受容体によって媒介される疾患及び障害の治療、予防、管理、改善又はリスク低減に有用である。かかる疾患及び障害としては、(帯状ほう疹後神経痛、神経損傷、「ジニア類(dynias)」、例えば、会陰部痛、幻肢痛、神経根引き抜き損傷、有痛性糖尿病性神経障害、圧迫性単神経障害、虚血性神経障害、有痛性外傷性単神経障害、有痛性多発性神経障害などの)神経因性とう痛、(神経系のあらゆるレベルにおける実質的にあらゆる病変に起因し得る)中枢痛症候群、及び術後とう痛症候群(例えば、乳房切除後症候群、開胸術後症候群、断端痛))、骨痛及び関節痛(骨関節炎、リウマチ様関節炎、強直性脊椎炎)、反復運動痛、手根管症候群、歯痛、癌とう痛、筋筋膜とう痛(筋肉の傷害、線維筋痛)、術中のとう痛(一般外科、婦人科)、慢性痛、月経困難症、並びにアンギナに付随するとう痛、及び種々の起源(例えば、骨関節炎、リウマチ様関節炎、リウマチ性疾患、腱鞘炎及び痛風)の炎症性とう痛、頭痛、片頭痛及び群発性頭痛、抑うつ、不安、統合失調症、脳卒中、外傷性脳損傷、アルツハイマー病、脳虚血、脊髄損傷、脳血管疾患、メニエール病、めまい、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、感音難聴、耳鳴、黄斑変性症、緑内障、てんかん発作による又は神経毒中毒による又は脳へのグルコース及び/若しくは酸素低下による神経障害、視覚伝導路の神経変性に起因する失明、下肢静止不能症候群、多系統萎縮症、非血管性頭痛、一次性痛覚過敏、二次性痛覚過敏、一次性異痛症(primary allodynia)、二次性異痛症(secondary allodynia)、又は中枢性感作に起因する他のとう痛などが挙げられるが、これらだけに限定されない。
【0078】
式Iの化合物は、パーキンソン病、(正常用量のLドーパに付随する副作用を含めた)ジスキネジア、遅発性ジスキネジア、薬剤性パーキンソニズム、脳炎後パーキンソニズム、進行性核上性麻ひ、多系統萎縮症、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病様−ALS認知症複合症、大脳基底核石灰化、無動症、無動−硬直(akinetic−rigid)症候群、運動緩徐、ジストニア、薬剤誘発パーキンソン病、ジル・ド・ラ・トゥーレット症候群、ハンチントン(Huntingon)病、振戦、舞踏病、筋クローヌス、マダニ障害(tick disorder)、ジストニアなどの運動障害の治療又は予防に有用である。
【0079】
本明細書では「運動障害」という用語は、(神経遮断薬誘発パーキンソン症、神経遮断薬悪性症候群、神経遮断薬誘発急性ジストニア、神経遮断薬誘発急性静坐不能、神経遮断薬誘発遅発性ジスキネジア、薬剤誘発姿勢振戦などの)無動症及び無動−硬直症候群、ジスキネジア及び薬剤誘発パーキンソン症を含む。「無動−硬直症候群」の例としては、パーキンソン病、薬剤性パーキンソニズム、脳炎後パーキンソニズム、進行性核上性麻ひ、多系統萎縮症、大脳皮質基底核変性症、パーキンソニズム−ALS認知症複合症及び大脳基底核石灰化が挙げられる。「ジスキネジア」の例としては、(安静時振戦、姿勢振戦及び企図振戦を含めた)振戦、(シデナム舞踏病、ハンチントン病、良性遺伝性舞踏病、神経有きょく赤血球症、症候性舞踏病、薬物性舞踏病、片側バリズムなどの)舞踏病、(全身性筋クローヌス及び限局性筋クローヌスを含めた)筋クローヌス、(単純なチック、複雑なチック及び症候性チック)チック及びジストニア(特発性(iodiopathic)ジストニア、薬物性ジストニア、症候性ジストニア、発作性(paroxymal)ジストニアなどの全身性ジストニア、及び眼けんけいれん、顎口腔ジストニア、けいれん性発声障害、けい性斜頚、軸性ジストニア、筋緊張異常の書けい及び片麻痺性ジストニアなどの限局性ジストニア)が挙げられる。
【0080】
また、式Iの化合物は、とう痛のオピオイド治療に対する耐性及び/又は依存性の減少による、及び/又は例えばアルコール、オピオイド、ヘロイン及びコカインの離脱症候群の治療によるものを含めて、物質乱用障害の治療に使用することができる。本明細書では「物質乱用障害」という用語は、生理的依存を含む、又は含まない、物質依存又は乱用を含む。これらの障害に関連する物質は、アルコール、アンフェタミン(又はアンフェタミン様物質)、カフェイン、大麻、コカイン、幻覚薬、吸入薬、マリファナ、ニコチン、オピオイド、フェンシクリジン(又はフェンシクリジン様化合物)、鎮静薬−催眠薬又はベンゾジアゼピン、他の(又は未知の)物質及び上記全部の組合せである。
【0081】
特に、「物質乱用障害」という用語は、知覚障害のある、又はない、アルコール離脱;アルコール離脱せん妄;アンフェタミン離脱;コカイン離脱;ニコチン離脱;オピオイド離脱;知覚障害のある、又はない、鎮静薬、催眠薬又は抗不安薬離脱;鎮静薬、催眠薬又は抗不安薬離脱せん妄;他の物質による離脱症状などの薬物離脱障害を含む。ニコチン離脱の治療という表記は、禁煙に関連する症候の治療を含むことを理解されたい。
【0082】
他の「物質乱用障害」としては、離脱中に発症する物質誘発性不安障害、離脱中に発症する物質誘発性気分障害、離脱中に発症する物質誘発性睡眠障害などが挙げられる。
【0083】
特に、構造式Iの化合物は、禁煙を助けるのに有用であり、ニコチン依存及びニコチン離脱の治療に有用である。式Iの化合物は、喫煙者などのニコチン消費者に、完全な禁煙又はある程度の禁煙をもたらす。また、離脱症状が緩和され、禁煙に一般に付随する体重増加が抑制され、又はない。禁煙の場合、式Iの化合物を、ニコチン作動物質若しくはニコチン部分作動物質、又はモノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)、又は禁煙を助ける効力がある別の活性成分、例えば、ブプロピオン、ドキセピン、ノルトリプチリンなどの抗うつ薬、又はブスピロン、クロニジンなどの抗不安薬と併用することができる。
【0084】
本発明の化合物は、HIV誘発性神経障害、HIV治療誘発性神経障害、慢性骨盤痛、神経腫とう痛、複合性局所とう痛症候群、慢性関節炎痛及び関係する神経痛の治療又は予防、慢性腰痛の治療又は予防、並びに外傷性神経損傷、神経圧迫又は絞やく、帯状ほう疹後神経痛、三叉神経痛、糖尿病性神経障害、癌及び化学療法に起因する、又は付随する、とう痛の治療又は予防にも有用である。
【0085】
本発明の化合物は、上記症状の予防、及びNMDA NR2B受容体によって媒介される他の症状の予防のために、予防に有効な投与レベルで投与できることを理解されたい。
【0086】
式Iの化合物は、式Iの化合物が有用である疾患又は症状の治療/予防/抑制又は改善に使用される他の薬物と併用することができる。かかる他の薬物は、そのために通常使用される経路及び量で、式Iの化合物と同時に、又は連続して、投与することができる。式Iの化合物を1種類以上の他の薬物と同時に使用するときには、式Iの化合物に加えてかかる他の薬物を含有する薬剤組成物が好ましい。したがって、本発明の薬剤組成物は、式Iの化合物に加えて、1種類以上の他の薬物又は治療薬も含む、薬剤組成物を含む。式Iの化合物と併用することができ、別個に、又は同じ薬剤組成物として、投与することができる、他の治療薬又は薬物の例としては、(1)非ステロイド性抗炎症剤、(2)COX−2阻害剤、(3)ブラジキニンB1受容体拮抗物質、(4)ナトリウムチャネル遮断薬及び拮抗物質、(5)一酸化窒素シンターゼ(NOS)阻害剤、(6)グリシン部位拮抗物質、(7)カリウムチャネル開口薬、(8)AMPA/カイニン酸受容体拮抗物質、(9)カルシウムチャネル拮抗物質、(10)GABA−A受容体調節物質(例えば、GABA−A受容体作動物質)、(11)マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)阻害剤、(12)血栓溶解剤、(13)モルフィンなどのオピオイド、(14)好中球抑制因子(NIF)、(15)Lドーパ、(16)カルビドパ、(17)レボドパ/カルビドパ、(18)ブロモクリプチン、ペルゴリド、プラミペキソール、ロピニロールなどのドーパミン作動物質、(19)抗コリン薬、(20)アマンタジン、(21)カルビドパ、(22)エンタカポン、トルカポンなどのカテコールO−メチルトランスフェラーゼ(「COMT」)阻害剤、(23)モノアミンオキシダーゼB(「MAO−B」)阻害剤、(24)オピエート作動物質又は拮抗物質、(25)5HT受容体作動物質又は拮抗物質、(26)NMDA受容体作動物質又は拮抗物質、(27)NK1拮抗物質、(28)選択的セロトニン再取り込み阻害薬(「SSRI」)及び/又は選択的セロトニン及びノルエピネフリン再取り込み阻害薬(「SSNRI」)、(29)三環系抗うつ薬、(30)ノルエピネフリン調節物質、(31)リチウム、(32)バルプロエート並びに(33)ニューロンチン(ガバペンチン)、(34)プレガバリン、(35)抗血小板薬、(36)VR1拮抗物質、(37)COX−3阻害剤、(38)抗酸化剤、(39)金属キレート剤、(40)CGRP拮抗物質及び(41)メマンチンが挙げられるが、これらだけに限定されない。
【0087】
デラムシクラン(deramcicline)と併用される適切な抗パーキンソン病薬としては、(カルビドパ、ベンセラジドなどの選択的脳外デカルボキシラーゼ阻害剤と一緒の、又はかかる阻害剤のない)レボドパ、(その塩酸塩又は乳酸塩であってもよい)ビペリデン、トリヘキシフェニジル(ベンズヘキソール)塩酸塩などの抗コリン薬、アレンテモール、ブロモクリプチン、フェノルドパム、リスリド、ナキサゴリド、ペルゴリド、プラミペキソールなどのドーパミン作動薬などが挙げられる。ドーパミン作動薬は、薬剤として許容される塩、例えば、アレンテモール臭化水素酸塩、ブロモクリプチンメシラート、フェノルドパムメシラート、ナキサゴリド塩酸塩及びペルゴリドメシラートの形とすることができることを理解されたい。リスリド及びプラミペキソールは、一般に、塩以外の形で使用される。
【0088】
デラムシクラン又は薬剤として許容されるその塩は、アセトフェナジン、アレンテモール、ベンズヘキソール、ブロモクリプチン、ビペリデン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ジアゼパム、フェノルドパム、フルフェナジン、ハロペリドール、レボドパ、レボドパとベンセラジド、レボドパとカルビドパ、リスリド、ロクサピン、メソリダジン、モリンドロン(molindolone)、ナキサゴリド、オランザピン、ペルゴリド、ペルフェナジン、ピモジド、プラミペキソール、リスペリドン、スルピリド、テトラベナジン、トリヘキシフェニジル、チオリダジン、チオチキセン及びトリフルオペラジンからなる群から選択される化合物と組み合わせて投与することができる。
【0089】
デラムシクラン又は薬剤として許容されるその塩と併用される適切な神経遮断薬としては、神経遮断薬のフェノチアジン、チオキサンテン、複素環式ジベンゾアゼピン、ブチロフェノン、ジフェニルブチルピペリジン及びインドロンの各クラスが挙げられる。フェノチアジンの適切な例としては、クロルプロマジン、メソリダジン、チオリダジン、アセトフェナジン、フルフェナジン、ペルフェナジン及びトリフルオペラジンが挙げられる。チオキサンテンの適切な例としては、クロルプロチキセン及びチオチキセンが挙げられる。ジベンゾアゼピンの例はクロザピンである。ブチロフェノンの例はハロペリドールである。ジフェニルブチルピペリジンの例はピモジドである。インドロンの例はモリンドロンである。他の神経遮断薬としては、ロクサピン、スルピリド、リスペリドンなどが挙げられる。デラムシクランと併用するときの神経遮断薬は、薬剤として許容される塩の形、例えば、塩酸クロルプロマジン、ベシル酸メソリダジン、塩酸チオリダジン、マレイン酸アセトフェナジン、塩酸フルフェナジン、エナント酸(enathate)フルフェナジン、デカン酸フルフェナジン、塩酸トリフルオペラジン、塩酸チオチキセン、デカン酸ハロペリドール、コハク酸ロクサピン及び塩酸モリンドンであり得ることを理解されたい。ペルフェナジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ハロペリドール、ピモジド及びリスペリドンは、一般に、塩以外の形で使用される。
【0090】
本化合物を含有するクリーム剤、軟膏剤、ゼリー剤、溶液剤又は懸濁液剤は、局所用途に使用することができる。洗口剤及び含そう剤は、本発明では局所用途の範囲に含まれる。
【0091】
ヒトの経口投与製剤は、全組成物の約5から約95パーセントであり得る、適切で好都合な量の担体材料と配合された、活性薬剤約0.05mgから約5gを好都合には含み得る。単位剤形は、一般に、活性成分約0.05mgから約1000mgを含有し得る。
【0092】
本明細書に列挙する症状は、本化合物を約0.01mgから約140mg/キログラム体重/日で投与することによって治療又は予防することができる。
【0093】
しかし、個々の患者に対する具体的な用量レベルは、多様な要因に応じて決まることを理解されたい。かかる要因としては、患者の年齢、体重、全般的健康状態、性別、食事などが挙げられる。他の要因としては、投与時間及び経路、排出速度、薬物の組合せ、治療を受ける具体的な疾患のタイプ及び重症度などが挙げられる。例えば、炎症性とう痛は、本化合物の約0.01mgから約75mg/キログラム体重/日又は約0.5mgから約3.5g/患者/日を投与することによって効果的に治療することができる。神経因性とう痛は、本化合物の約0.01mgから約125mg/キログラム体重/日又は約0.5mgから約5.5g/患者/日を投与することによって効果的に治療することができる。
【0094】
本明細書で使用する略語は、別段の記載がない限り以下のとおりである。
【0095】
TEA トリエチルアミン
NaOAc 酢酸ナトリウム
DMF ジメチルホルムアミド
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
EtOAc 酢酸エチル
TFA トリフルオロ酢酸
TFAA 無水トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
RT 室温
H 時間
Min 分
DCM ジクロロメタン
MeCN アセトニトリル
Selectfluor 1−(クロロメチル)−4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンジテトラフルオロボラート
MeOH メタノール
EtOH エタノール
IPA 2−プロパノール
n−BuOH 1−ブタノール
EDC 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
HOBt 1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール
NMP N−メチル−2−ピロリジノン
DAST 三フッ化(ジエチルアミノ)硫黄
【0096】
本発明の化合物は、容易に利用可能な出発材料、試薬及び従来の合成手順を用いて、以下のスキーム及び具体例又はその改変例に従って容易に調製することができる。これらの反応においては、それ自体当業者に既知ではあるが、さほど詳細には述べられていない変異体を利用することもできる。当業者は、本発明において特許請求する化合物を生成する一般的手順を以下のスキームを考察することによって容易に理解し、評価することができる。
【0097】
式Iの化合物の調製は、中間体IIの構造などの構造を経由して進行し得る。
【0098】
【化21】

【0099】
式Iの化合物は、スキーム1に示すように、中間体IIを経由して合成することができる。一般に、中間体IIは、炭酸ナトリウム又はジイソプロピルエチルアミンを含めた塩基の存在下で、イソプロパノール又は1−ブタノールを含めた加熱アルコール溶媒などの標準アルキル化条件(R.K. Robins, J. Amer. Chem. Soc. 78, 784−790(1956))下で、4−クロロ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン1を用いてアルキル化される。中間体IIは、化合物1の適切に保護された誘導体を用いてアルキル化することもできる。適切な保護基としては、化合物2及びその異性体3によって示されるように、N−テトラヒドロピラニルなどのアルコキシメチル誘導体などが挙げられる。アルキル化反応に2及び3を使用すると、それぞれ中間体III及びIVが生成する。このタイプの適切な保護基は、中間体III又はIVを塩酸などのプロトン酸で処理することによって容易に除去され、式Iの化合物を形成する。
【0100】
【化22】

【0101】
ある種のアルコキシ複素環含有化合物の合成をスキーム2に示す。第一段階では、適切に保護されたアミン4を塩基性条件下でハロゲン化物5で処理して、アルキル化複素環6を得る。6中の窒素保護基を酸加水分解などの標準条件下で除去し、中間体7をスキーム1に示す反応シークエンスによって最終化合物に転化する。或いは、適切に保護されたアミノ複素環を(例えば、実施例6に示す)エポキシド、アルデヒド、又は(例えば、実施例12に示す)還元条件下のケトンでアルキル化する。或いは、適切に保護されたアミノ複素環を(例えば、実施例14に示す)アルファ−ブロモケトンでアルキル化する。これらの例の各々においては、窒素保護基の除去を含めた標準化学反応を用いて、スキーム1に示す反応シークエンスによって、中間体をさらに最終化合物にすることができる。
【0102】
【化23】

【0103】
ある種のアリールジフルオロエチル含有化合物の合成をスキーム3に示す。第一段階においては、2−ブロモ−2,2−ジフルオロ酢酸エステル8を銅粉の存在下で4−クロロヨードベンゼン9を用いてアリール化すると、エステル10が生成する。エステル10の代替合成は、塩化アルミニウムなどのルイス酸の存在下で塩化エチルオキサリルなどの酸塩化物を用いてアリール環をアシル化し、続いてケトエステルをDASTなどの試薬を用いてハロゲン化するものである。エステル10を塩基性条件下で加水分解すると酸11が生成する。カルボン酸11を酸塩化物12に転化する。酸塩化物12を用いて、適切に保護されたアミン13を標準条件下でアシル化すると、アミド14が生成する。アミド14を酸加水分解などの標準条件下で脱保護すると、アミン15が生成する。アミン15をボラン−THF複合体又はLAHを用いた処理などの標準条件下で還元すると、中間体16が生成する。中間体16をスキーム1に示す反応シークエンスによって最終化合物に転化する。
【0104】
【化24】

【0105】
ある種のフルオロピペリジン含有化合物の合成をスキーム4に示す。第一段階においては、ケトン17を塩基性条件下でシリルトリフラートで処理してシリルエノールエーテル18に転化する。18を(Air Products and Chemicals, Inc., Allentown、Pa.から市販されている)Selectfluor(登録商標)などの求電子性フッ素源を用いて処理すると、α−フルオロケトン19が生成する。19を標準条件下で還元するとアルコール20が生成する。アルコール20をメシラート21などの適当な脱離基に転化し、アジドと反応させて、アジド22を得ることができる。保護基を標準条件下で除去するとアミン23が生成する。アミン23を酸塩化物24と標準条件下でカップリングさせると、アミド25を得ることができる。アミド25を標準条件下で還元すると中間体26が生成する。中間体26をスキーム1に示す反応シークエンスによって最終化合物に転化する。
【0106】
【化25】

【0107】
ある種のアザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−6−イル含有化合物は、tert−ブチルエキソ−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−6−イルカルバマートなどの適切に保護されたジアミンから、スキーム1及び3に示す反応シークエンスによって合成することができる。tert−ブチルエキソ−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−6−イルカルバマートは、文献の手順に従って調製することができる(Norris, T., Braish, T.F., Butters, M., DeVries, K.M., Hawkins, J.M., Massett, S.S., Rose, P.R., Santafianos, D., Sklavounos, C. J. Chem. Soc, Perkin Trans. 1 (2000) 1615−1622)。
【0108】
ある種のオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロル−4−イル含有化合物の合成をスキーム5に示す。第一段階においては、アミン27を酸性条件下でエノン28と反応させると、ケトン29が生成する。ケトン29を標準条件下で還元して、アルコール30を得ることができる。標準条件下で保護基を調節後、アルコール31をメシラート32などの脱離基に転化することができる。メシラートをアジドで置換すると33が生成する。酸加水分解などの標準条件下で脱保護すると、アミン34が生成する。アミン34を標準条件下で24とカップリングさせると、アミド35が生成する。アミド35を還元すると中間体36が生成する。中間体36をスキーム1に示す反応シークエンスによって最終化合物に転化する。
【0109】
【化26】

【0110】
ある種のアザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル含有化合物の合成をスキーム6に示す。第一段階においては、ケトン37をヒドロキシルアミン塩酸塩と反応させると、イミン38が生成する。イミン38を標準条件下で還元して、エンド39を得ることができる。(実施例45に示す)39に関係するエキソアミンは、還元条件をプロパノールなどのアルコール溶媒中のナトリウム金属に変更することによって利用可能である。エンド39の第一級アミンを適切な保護基を用いてブロックすると40が生成する。酸加水分解などの適切な条件下で第二級アミンを脱保護するとアミン41が生成する。アミン41を標準条件下で42とカップリングさせるとアミド43が生成する。アミド43を標準条件下で脱保護するとアミド44が生成する。アミド44を還元すると中間体45が生成する。中間体45をスキーム1に示す反応シークエンスによって最終化合物に転化する。
【0111】
【化27】

【0112】
最終生成物は、例えば、置換基操作によってさらに改変できる場合もある。この操作としては、当業者に一般に知られている還元、酸化、アルキル化、アシル化、ハロゲン化及び加水分解の各反応が挙げられるが、これらだけに限定されない。
【0113】
上記反応スキームを実施する順序は、反応を促進するために、又は望ましくない反応生成物を回避するために、変更し得る場合もある。以下の実施例によって、本発明をさらに理解することができるはずである。これらの実施例は、単なる説明のためのものにすぎず、本発明を限定するものと決して解釈すべきではない。
【実施例1】
【0114】
N−{1−[2−(ベンジルオキシ)エチル]ピロリジン−3−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0115】
【化28】

【0116】
段階A:tert−ブチル{1−[2−(ベンジルオキシ)エチル]ピロリジン−3−イル}カルバマート
【0117】
【化29】

【0118】
tert−ブチルピロリジン−3−イルカルバマート(1.5g、0.81mmol)とTEA(2.3mL 1.6mmol)の塩化メチレン(100mL)溶液に[(2−ブロモエトキシ)メチル]ベンゼン(1.7g、0.81mmol)を室温で添加した。1時間後、1M NaOH(500mL)を添加し、水層を塩化メチレンで抽出した。混合有機層を硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(1%イソプロパノール/塩化メチレン→30%イソプロパノール/塩化メチレン)によって精製して標記化合物(1.4g)を得た。MS:321(M+H)。
【0119】
段階B:1−[2−(ベンジルオキシ)エチル]ピロリジン−3−アミン
【0120】
【化30】

【0121】
tert−ブチル{1−[2−(ベンジルオキシ)エチル]ピロリジン−3−イル}カルバマート(1.2g、3.9mmol)にトリフルオロ酢酸(10mL)を添加し、生成した溶液を室温で撹拌した。60分後、反応混合物を濃縮して、標記化合物のトリフルオロ酢酸塩(1.2g)を得た。MS:221(M+H)。
【0122】
段階C:N−{1−[2−(ベンジルオキシ)エチル]ピロリジン−3−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0123】
【化31】

【0124】
1−[2−(ベンジルオキシ)エチル]ピロリジン−3−アミン(0.10g、0.35mmol)のイソプロパノール(5mL)溶液にDIPEA(2mL)及び4−クロロ−1−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(0.82g、0.35mmol)を添加した。次いで、溶液を85℃で4時間加熱後、室温に冷却し、濃縮した。生成した残渣をメタノール(3mL)に溶解させ、HCl飽和酢酸エチル溶液(10mL)で処理した。1時間後、混合物を濃縮し、生成した残渣を飽和炭酸水素ナトリウムで処理し、酢酸エチルで抽出した。混合有機層を硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。シリカゲルクロマトグラフィー(2%イソプロパノール/塩化メチレン→30%イソプロパノール/塩化メチレン)によって精製して、標記化合物(0.78g)を白色固体として得た。MS:339(M+H);H NMR(400MHz、DMSO−d):δ 13.48(s、1H)、11.08−10.75(m、2H)、8.78(s、1H)、8.25(s、2H)、7.32(s、5H)、4.78(s、1H)、4.48(s、1H)、3.98(s、1H)、3.78−3.22(m、4H)、2.48(s、2H)、2.09−1.94(m、2H)、1.81(m、1H)。
【0125】
以下の実施例2−5を、上記実施例1に記載の手順と類似した手順によって調製した。
【実施例2】
【0126】
N−{1−[2−(2−フェニルエトキシ)エチル]ピロリジン−3−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0127】
【化32】

【0128】
MS:353(M+H);H NMR(400MHz、DMSO−d):δ 10.78(s、1H)、8.58(s、1H)、7.38−7.15(m、5H)、4.86(s、1H)、4.00(m、1H)、3.90(m、1H)、3.78−3.15(m、10H)、2.38−2.10(m、2H)。
【実施例3】
【0129】
N−{1−[2−(ベンジルオキシ)エチル]ピペリジン−3−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0130】
【化33】

【0131】
MS:353(M+H)、H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.45(s、2H)、7.38−7.20(m、7H)、4.65(s、1H)、4.50−4.40(m、3H)、3.80−3.25(m、5H)、3.00−2.80(m、2H)、2.15−1.25(m、4H)。
【実施例4】
【0132】
N−{1−[2−(ベンジルオキシ)エチル]ピペリジン−4−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0133】
【化34】

【0134】
MS:353(M+H);H NMR(400MHz、DMSO−d):δ 10.78(s、1H)、8.52(s、2H)、7.40−7.22(m、5H)、4.85(s、1H)、4.08(m、1H)、3.85(m、1H)、3.78−3.20(m、10H)、2.40−2.08(m、2H)。
【実施例5】
【0135】
【化35】

【0136】
N−[1−(2−フェノキシエチル)ピペリジン−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0137】
MS:339(M+H);H NMR(400MHz、DMSO−d):δ 10.78(s、1H)、8.60(s、1H)、7.38−7.15(m、5H)、4.85(s、1H)、3.95(m、1H)、3.90(m、1H)、3.80−3.22(m、10H)、2.40−2.15(m、2H)。
【実施例6】
【0138】
1−フェニル−3−[3−(1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ)ピロリジン−1−イル]プロパン−2−オール
【0139】
【化36】

【0140】
段階A:tert−ブチル[1−(2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)ピロリジン−3−イル]カルバマート:
【0141】
【化37】

【0142】
tert−ブチルピロリジン−3−イルカルバマート(3.1g、16mmol)のエタノール(100mL)溶液に2−ベンジルオキシラン(2.2g、16mmol)を添加し、生成した反応混合物を100℃で加熱した。1時間後、反応混合物を濃縮して標記化合物(2.5g)を得た。MS:321(M+H)。
【0143】
段階B:1−(3−アミノピロリジン−1−イル)−3−フェニルプロパン−2−オール
【0144】
【化38】

【0145】
tert−ブチル[1−(2−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)ピロリジン−3−イル]カルバマート(1.5g、4.7mmol)にトリフルオロ酢酸(0.75mL)を添加し、生成した溶液を室温で撹拌した。30分後、反応混合物を濃縮して、標記化合物のトリフルオロ酢酸塩(1.3g)を得た。MS:221(M+H)。
【0146】
段階C:1−フェニル−3−[3−(1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ)ピロリジン−1−イル]プロパン−2−オール
【0147】
【化39】

【0148】
1−(3−アミノピロリジン−1−イル)−3−フェニルプロパン−2−オール(0.22g、0.77mmol)の1−ブタノール(0.5mL)溶液にDIPEA(0.5mL)及び4−クロロ−1−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(0.18g、0.77mmol)を添加し、溶液を150℃で10分間マイクロ波照射して加熱した。混合物を冷却し、濃縮した。生成した残渣をメタノール(3mL)に溶解させ、HCl飽和酢酸エチル溶液(10mL)で処理した。1時間後、溶液を濃縮し、残渣を飽和炭酸水素ナトリウムで処理し、酢酸エチルで抽出した。混合有機層を硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。シリカゲルクロマトグラフィー(1%イソプロパノール/塩化メチレン→30%イソプロパノール/塩化メチレン)によって精製して、標記化合物(0.12g)を白色固体として得た。HRMS(M+H):計算値=339.1928、実測値=339.1918。
【実施例7】
【0149】
N−[1−(2,2−ジフルオロ−3−フェニルプロピル)ピロリジン−3−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0150】
【化40】

【0151】
段階A:tert−ブチル[1−(2−オキソ−3−フェニルプロパノイル)ピロリジン−3−イル]カルバマート
【0152】
【化41】

【0153】
tert−ブチルピロリジン−3−イルカルバマート(4.4g、23mmol)の塩化メチレン(50mL)溶液に2−オキソ−3−フェニルプロパン酸(3.8g、23mmol)、HOBT(3.2g、23mmol)、DIPEA(3.0g、23mmol)及びEDC(4.5g、23mmol)を室温で添加した。1時間後、飽和炭酸水素ナトリウムを添加し、水層を酢酸エチルで抽出した。混合有機層を硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(2%イソプロパノール/塩化メチレン→30%イソプロパノール/塩化メチレン)によって精製して標記化合物(2.5g)を得た。MS:333(M+H)。
【0154】
段階B:tert−ブチル[1−(2,2−ジフルオロ−3−フェニルプロパノイル)ピロリジン−3−イル]カルバマート
【0155】
【化42】

【0156】
tert−ブチル[1−(2−オキソ−3−フェニルプロパノイル)ピロリジン−3−イル]カルバマート(2.5g、7.5mmol)の塩化メチレン(50mL)溶液にDAST(2.4g、15mmol)を添加し、生成した溶液を50℃に加熱した。5時間後、反応混合物を室温に冷却し、氷上に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。混合有機層を硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮して、標記化合物(2.2g)を得た。MS:335(M+H)。
【0157】
段階C:1−(2,2−ジフルオロ−3−フェニルプロピル)ピロリジン−3−アミン
【0158】
【化43】

【0159】
tert−ブチル[1−(2,2−ジフルオロ−3−フェニルプロパノイル)ピロリジン−3−イル]カルバマート(2.2g、6.4mmol)にトリフルオロ酢酸(15mL)を添加し、生成した溶液を室温で撹拌した。60分後、反応混合物を濃縮乾固させた。生成した残渣を1MボランTHF溶液(39mL、39mmol)で処理し、80℃に1時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、6N HCl(25mL)によってクエンチし、80℃に加熱した。1時間後、反応混合物を室温に冷却し、NaOHを用いてpH>8の塩基性にし、クロロホルムで抽出した。混合有機層を硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮して、標記化合物(1.7g)を得た。MS:241(M+H)。
【0160】
段階D:N−[1−(2,2−ジフルオロ−3−フェニルプロピル)ピロリジン−3−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0161】
【化44】

【0162】
1−(2,2−ジフルオロ−3−フェニルプロピル)ピロリジン−3−アミン(0.070g、0.29mmol)の1−ブタノール(0.5mL)溶液にDIPEA(0.5mL)及び4−クロロ−1−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(0.070g、0.29mmol)を添加し、溶液を150℃で10分間マイクロ波照射して加熱した。混合物を冷却し、濃縮した。生成した残渣をメタノール(3mL)に溶解させ、HCl飽和酢酸エチル溶液(10mL)で処理した。1時間後、溶液を濃縮し、残渣を飽和炭酸水素ナトリウムで処理し、酢酸エチルで抽出した。混合有機層を硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。シリカゲルクロマトグラフィー(2%イソプロパノール/塩化メチレン→30%イソプロパノール/塩化メチレン)によって精製して、標記化合物(0.50g)を白色固体として得た。HRMS(M+H):計算値=359.1751、実測値=359.1804;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.30(s、1H)、8.10(s、1H)、7.30−7.20(m、5H)、4.75(m、1H)、3.28−3.20(m、5H)、3.08−2.90(m、2H)、2.80−2.62(m、4H)、2.40(m、1H)、1.90(m、1H)。
【実施例8】
【0163】
N−[1−(2,2−ジフルオロ−3−フェニルプロピル)ピペリジン−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0164】
【化45】

【0165】
段階A:tert−ブチル[1−(2−オキソ−3−フェニルプロパノイル)ピペリジン−4−イル]カルバマート
【0166】
【化46】

【0167】
2−オキソ−3−フェニルプロパン酸(0.53g、3.2mmol)の塩化メチレン(3.0mL)溶液に塩化オキサリル(0.33mL、3.9mmol)及びDMF 1滴を室温で添加した。1時間後、DIPEA(2.5mL、14mmol)、続いてtert−ブチルピペリジン−4−イルカルバマート(0.71g、3.6mmol)を添加した。14時間後、反応混合物を1Mクエン酸に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。混合有機層を飽和炭酸水素ナトリウム、水、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮して、標記化合物(0.95g)を得た。MS:291(M−55)。
【0168】
段階B:tert−ブチル[1−(2,2−ジフルオロ−3−フェニルプロパノイル)ピペリジン−4−イル]カルバマート
【0169】
【化47】

【0170】
tert−ブチル[1−(2−オキソ−3−フェニルプロパノイル)ピペリジン−4−イル]カルバマート(0.95g、2.7mmol)のDCE(10mL)溶液にDAST(0.68mL、5.5mmol)を室温で添加した。反応混合物を60℃に加熱した。14時間後、反応混合物を室温に冷却し、氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。混合有機層を1Mクエン酸、1M NaOH、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮して、標記化合物(0.94g)を褐色固体として得た。MS:369(M+H)。
【0171】
段階C:1−(2,2−ジフルオロ−3−フェニルプロパノイル)ピペリジン−4−アミン
【0172】
【化48】

【0173】
tert−ブチル[1−(2,2−ジフルオロ−3−フェニルプロパノイル)ピペリジン−4−イル]カルバマート(0.94g、2.6mmol)の塩化メチレン(10mL)溶液にHCl飽和酢酸エチル溶液(5.0mL)を室温で添加した。2時間後、反応混合物を濃縮した。生成した残渣をアセトニトリル/水(1:1)に溶解させ、(Varian Inc.、Walnut Creek、CAから市販されている)Mega BE−SCXイオン交換樹脂に載せ、アセトニトリルでリンスし、10%アンモニアのエタノール溶液で溶出させ、濃縮した。生成したオイルを塩化メチレン及びメタノールに溶解させ、HCl飽和酢酸エチル溶液で処理し、濃縮して、標記化合物の塩酸塩(0.10g)を得た。MS:269(M+H)。
【0174】
段階D:1−(2,2−ジフルオロ−3−フェニルプロピル)ピペリジン−4−アミン
【0175】
【化49】

【0176】
1−(2,2−ジフルオロ−3−フェニルプロパノイル)ピペリジン−4−アミン(0.10g、0.30mmol)のTHF(1mL)溶液に0℃で窒素下で1MボランTHF溶液(3.6mL、3.6mmol)を添加し、反応混合物を室温に加温し、次いで70℃に加熱した。2時間後、反応混合物を室温に冷却し、6N HCl(10mL)によってクエンチし、70℃に加熱した。1時間後、反応混合物を5M NaOHによってpH>8の塩基性にし、酢酸エチルで抽出した。混合有機層を水及び塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮した。粗生成物を塩化メチレン及びメタノールに溶解させ、HCl飽和酢酸エチル溶液で処理し、濃縮して、標記化合物の塩酸塩(0.10g)を得た。MS:255(M+H)。
【0177】
段階E:N−[1−(2,2−ジフルオロ−3−フェニルプロピル)ピペリジン−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0178】
【化50】

【0179】
1−(2,2−ジフルオロ−3−フェニルプロピル)ピペリジン−4−アミン(0.10g、0.31mmol)の1−ブタノール(2.5mL)溶液にDIPEA(2.5mL)及び4−クロロ−1−(テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(0.78g、0.33mmol)を添加し、溶液を90℃に4時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、濃縮した。生成した残渣を塩化メチレン及びメタノールに溶解させ、HCl飽和酢酸エチル溶液(5.0mL)で室温で2時間処理した。反応混合物を1M NaOHでクエンチし、酢酸エチルで抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮した。逆相クロマトグラフィー(5%アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸/水→95%アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸/水、Waters Corporation、Milford、Massachusettsから入手可能なXTerra(登録商標)MSC8カラム)によって精製して、生成物を得た。生成物を塩化メチレン及びメタノールに溶解させ、HCl飽和酢酸エチル溶液で処理し、濃縮して、標記化合物の塩酸塩(0.54g)を白色固体として得た。HRMS(M+H):計算値=373.1947、実測値=373.1964;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.60−8.52(s、2H)、7.41−7.31(m、5H)、4.69−4.51(s、1H)、3.86−3.68(m、4H)、3.46−3.33(m、4H)、2.41−2.31(m、2H)、2.19−2.03(m、2H)。
【実施例9】
【0180】
N−[1−(2−フェニルエチル)ピペリジン−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0181】
【化51】

【0182】
標記化合物を、上記実施例1に記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=323.1373、実測値=323.1999;H NMR(500MHz、CDOD):δ 8.68−5.85(m、2H)、7.40−7.25(m、5H)、4.75−4.65(m、1H)、3.86−3.79(m、2H)、3.44−3.38(m、1H)、3.17−3.10(m 2H)、2.47−2.39(m、2H)、2.18−2.07(m、2H)。
【実施例10】
【0183】
【化52】

【0184】
N−[1−(3−フェニルプロピル)ピペリジン−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0185】
標記化合物を、上記実施例1に記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=337.2135、実測値=337.2164;H NMR(500MHz、CDOD):δ 8.23−8.19(s、1H)、8.15−8.11(s、1H)、7.29−7.23(m、2H)、7.23−7.18(m、2H)、7.18−7.13(m、1H)、4.19−4.09(m、1H)、3.06−2.98(m、2H)、2.68−2.61(m、2H)、2.47−2.39(m、2H)、2.24−2.13(m、2H)、2.10−2.01(m、2H)、1.91−1.82(m、2H)、1.75−1.64(m、2H)。
【実施例11】
【0186】
N−[(1S,3R)−3−(3−フェニル−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル)シクロペンチル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0187】
【化53】

【0188】
段階A:tert−ブチル{1−[2−(4−メチルフェニル)エチル]ピペリジン−4−イル}カルバマート
【0189】
【化54】

【0190】
tert−ブチルピペリジン−4−イルカルバマート(0.40g、2.0mmol)のトルエン(1.0mL)溶液に2−(4−メチルフェニル)エタノール(0.27g、2.0mmol)、炭酸カリウム(0.014g、0.10mmol)及びジクロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)イリジウム(III)2量体(0.040g、0.050mmol)を窒素雰囲気下で添加し、反応混合物を110℃に加熱した。17時間後、反応混合物をろ過し、酢酸エチルでリンスし、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(1%イソプロパノール/塩化メチレン→40%イソプロパノール/塩化メチレン)によって精製して、標記化合物(0.25g)を固体として得た。HRMS(M+H):計算値=319.2380、実測値=319.2373。
【0191】
段階B:N−[(1S,3R)−3−(3−フェニル−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル)シクロペンチル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0192】
【化55】

【0193】
標記化合物を、上記実施例8、段階C及びEに記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=337.2135、実測値=337.2145;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.22(s、1H)、8.13(s、1H)、7.10(s、4H)、4.17(s、1H)、3.13−3.10(m、2H)、2.82−2.78(m、2H)、2.65−2.61(m、2H)、2.29(s、1H)、2.11−2.08(m、2H)、1.77−1.72(m、2H)。
【実施例12】
【0194】
N−{1−[1−メチル−2−(4−メチルフェニル)エチル]ピペリジン−4−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0195】
【化56】

【0196】
段階A:tert−ブチル{1−[1−メチル−2−(4−メチルフェニル)エチル]ピペリジン−4−イル}カルバマート
【0197】
【化57】

【0198】
tert−ブチルピペリジン−4−イルカルバマート(0.85g、4.2mmol)と1−(4−メチルフェニル)アセトン(0.55mL、3.5mmol)の純水混合物にチタンイソプロポキシド(2.1mL、7.1mmol)を室温で窒素下で添加した。20時間後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.44g、7.1mmol)のEtOH(10mL)溶液を室温で添加した。さらに16時間後、1M NaOHを添加して反応混合物を徐々にクエンチし、生成した沈殿をセライトに通してろ過し、酢酸エチルでリンスした。ろ液を水、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(1%イソプロパノール/塩化メチレン→20%イソプロパノール/塩化メチレン)によって精製して、標記化合物(0.86g)を黄色オイルとして得た。HRMS(M+H):計算値=333.2537、実測値=333.2527。
【0199】
段階B:N−{1−[1−メチル−2−(4−メチルフェニル)エチル]ピペリジン−4−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0200】
【化58】

【0201】
標記化合物を、上記実施例8、段階C及びEに記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=351.2292、実測値=351.2291;H NMR(500MHz、CDOD):δ 8.71−8.65(s、1H)、8.63−8.56(s、1H)、7.24−7.11(m、4H)、4.78−4.65(m、1H)、3.82−3.52(m、3H)、3.48−3.36(m、2H)、3.36−3.33(m、1H)、2.80−2.69(m、1H)、2.49−2.36(s、2H)、2.35−2.29(s、3H)、2.29−2.16(m 2H)、1.33−1.21(m、3H)。
【実施例13】
【0202】
N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0203】
【化59】

【0204】
標記化合物を、上記実施例1に記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=309.1822、実測値=309.1839;H NMR(500MHz、CDOD):δ 8.24−8.18(s、1H)、8.16−8.09(s、1H)、7.39−7.31(m、4H)、7.31−7.25(m、1H)、4.19−4.08(m、1H)、3.60−3.55(s、2H)、3.02−2.94(m、2H)、2.28−2.17(m、2H)、2.08−2.00(m、2H)、1.76−1.65(m、2H)。
【実施例14】
【0205】
1−フェニル−2−[4−(1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ)ピペリジン−1−イル]エタノール
【0206】
【化60】

【0207】
段階A:tert−ブチル[1−(2−オキソ−2−フェニルエチル)ピペリジン−4−イル]カルバマート
【0208】
【化61】

【0209】
2−ブロモ−1−フェニルエタノン(0.63g、3.2mmol)とtert−ブチルピペリジン−4−イルカルバマート(0.68g、3.4mmol)のTHF(5mL)溶液にDIPEA(0.57mL、3.5mmol)を添加し、混合物を130℃に10分間マイクロ波照射して加熱した。反応混合物を1M NaOHに注ぎ、酢酸エチルで抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン→100%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、標記化合物(0.79g)を黄色固体として得た。HRMS(M+H):計算値=319.2016、実測値=319.2022。
【0210】
段階B:2−(4−アミノピペリジン−1−イル)−1−フェニルエタノン
【0211】
【化62】

【0212】
標記化合物を上記実施例8、段階Cに記載の手順に従ってtert−ブチル[1−(2−オキソ−2−フェニルエチル)ピペリジン−4−イル]カルバマートから調製した。MS:219(M+H)。
【0213】
段階C:2−(4−アミノピペリジン−1−イル)−1−フェニルエタノール
【0214】
【化63】

【0215】
2−(4−アミノピペリジン−1−イル)−1−フェニルエタノン(0.35g、1.1mmol)のMeOH(3mL)溶液に水素化ホウ素ナトリウム(0.13g、3.3mmol)を室温で添加した。1時間後、水(3mL)を滴下して反応混合物をクエンチした。反応混合物を1M NaOHに注ぎ、酢酸エチルで抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮して、標記化合物(0.34g)を白色固体として得た。HRMS(M+H):計算値=221.1649、実測値=221.1657。
【0216】
段階D:1−フェニル−2−[4−(1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ)ピペリジン−1−イル]エタノール
【0217】
【化64】

【0218】
標記化合物を、上記実施例1、段階Cに記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=339.1928、実測値=339.1935;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.68−8.63(m、1H)、8.63−8.55(m、1H)、7.53−7.45(m、2H)、7.45−7.30(m、3H)、5.22−5.12(m、1H)、4.76−4.61(m、1H)、4.02−3.91(m、1H)、3.89−3.79(m、1H)、3.76−3.45(m、1H)、2.52−2.28(m、2H)、2.28−2.04(m、2H)。
【実施例15】
【0219】
1−フェニル−2−[4−(1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ)ピペリジン−1−イル]エタノン
【0220】
【化65】

【0221】
標記化合物を上記実施例1、段階Cに記載の手順に従って2−(4−アミノピペリジン−1−イル)−1−フェニルエタノン(実施例14、段階B)から調製した。HRMS(M+H):計算値=337.1772、実測値=337.1778;H NMR(500MHz、CDOD):δ 8.25(s、1H)、8.17(s、1H)、8.06−8.00(m、2H)、7.65−7.59(m、1H)、7.54−7.47(m、2H)、4.24−4.14(m、1H)、4.02(s、2H)、3.16−3.07(m、2H)、2.44−2.34(m、2H)、2.11−2.03(m、2H)、1.86−1.75(m、2H)。
【実施例16】
【0222】
(1R)−1−(2−フルオロフェニル)−2−[4−(1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ)ピペリジン−1−イル]エタノール
【0223】
【化66】

【0224】
標記化合物を上記実施例6に記載の手順に従って(2R)−2−フルオロフェニルオキシランから調製した。MS 357(M+H)。
【実施例17】
【0225】
N−[1−(2−フルオロ−2−フェニルエチル)ピペリジン−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0226】
【化67】

【0227】
段階A:メチルフルオロ(フェニル)アセタート
【0228】
【化68】

【0229】
窒素下のメチルヒドロキシ(フェニル)アセタート(2.0g、12mmol)の塩化メチレン(25mL)溶液にDAST(2.5mL、20mmol)を0℃で添加し、反応混合物を室温に加温した。1時間後、反応混合物を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮して、標記化合物(2.0g)を黄色オイルとして得た。MS:337(2M+H)。
【0230】
段階B:フルオロ(フェニル)酢酸
【0231】
【化69】

【0232】
メチルフルオロ(フェニル)アセタート(2.0g、12.0mmol)のメタノール(20mL)と水(5mL)の溶液に、粉砕したKOHペレット(2.0g、36mmol)を0℃で添加し、反応混合物を室温に加温した。3時間後、反応混合物を0℃に冷却し、6N HClを用いてpH<3に酸性化し、酢酸エチルで抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮して、標記化合物(1.8g)を褐色固体として得た。
【0233】
段階C:N−[1−(2−フルオロ−2−フェニルエチル)ピペリジン−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0234】
【化70】

【0235】
標記化合物を、上記実施例8、段階A、C、D及びEに記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=341.1885、実測値=341.1888;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.70−8.65(s、1H)、8.64−8.59(s、1H)、7.55−7.43(m、5H)、6.25−6.18(m、0.5H)、6.13−6.06(m、0.5H)、4.79−4.64(m、1H)、4.03−3.95(m、1H)、3.95−3.70(m、2H)、3.69−3.47(m、1H)、3.47−3.33(m、2H)、2.52−2.32(m、2H)、2.30−2.10(m、2H)。
【実施例18】
【0236】
N−[1−(2,2−ジフルオロ−2−フェニルエチル)ピペリジン−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0237】
【化71】

【0238】
標記化合物を、上記実施例8、段階A、C、D及びEに記載の手順に従ってジフルオロ(フェニル)酢酸(Hagele, G., Haas, A. J. of Fluorine Chemistry (1996) 76, 15−19)から調製した。HRMS(M+H):計算値=359.1791、実測値=359.1797;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.82−8.72(s、1H)、8.64−8.58(s、1H)、7.70−7.63(m、2H)、7.63−7.53(m、3H)、4.78−4.64(m、1H)、4.24−4.08(m、2H)、4.01−3.87(m、2H)、3.63−3.47(m、2H)、2.49−2.37(m、2H)、2.35−2.20(m、2H)。
【実施例19】
【0239】
N−{1−[2−(4−クロロフェニル)−2,2−ジフルオロエチル]ピペリジン−4−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0240】
【化72】

【0241】
段階A:(4−クロロフェニル)(ジフルオロ)酢酸
【0242】
【化73】

【0243】
1−クロロ−4−ヨードベンゼン(5.9g、25mmol)のDMSO(100mL)溶液にエチルブロモ(ジフルオロ)アセタート(5.0g、25mmol)及び銅粉末(3.1g、49mmol)を添加し、混合物を80℃で加熱した。20時間後、反応混合物をリン酸水素カリウム三水和物(56g、250mmol)の水(500mL)溶液に激しく撹拌しながら注いだ。懸濁液をろ過し、固体をエーテルでリンスした。ろ液を塩水に添加し、エーテル(2×)で抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮した。生成したオイルをメタノール(100mL)に溶解させ、50%KOH水溶液(250mL)で室温で処理した。2時間後、反応混合物を濃縮し、CHClに溶解させ、1M HClで抽出した。水層をNaOHで塩基性にし、CHClで抽出した。混合有機層を硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮して、標記化合物(3.5g)をワックス状固体として得た。
【0244】
段階B:tert−ブチル{1−[(4−クロロフェニル)(ジフルオロ)アセチル]ピペリジン−4−イル}カルバマート
【0245】
【化74】

【0246】
標記化合物を、上記実施例8、段階Aに記載の手順と類似した手順によって調製した。MS:389(M+H)。
【0247】
段階C:1−[2−(4−クロロフェニル)−2,2−ジフルオロエチル]ピペリジン−4−アミン
【0248】
【化75】

【0249】
tert−ブチル{1−[(4−クロロフェニル)(ジフルオロ)アセチル]ピペリジン−4−イル}(0.42g、1.1mmol)にトリフルオロ酢酸(5mL)を添加し、生成した溶液を室温で撹拌した。60分後、反応混合物を濃縮し、HCl飽和酢酸エチル溶液で処理し、濃縮した。生成した残渣に窒素下でTHF(1mL)及び1MボランTHF溶液(6.6mL、6.6mmol)を添加し、反応混合物を70℃に加熱した。2時間後、反応混合物を室温に冷却し、6N HCl(20mL)によってクエンチし、70℃に加熱した。1時間後、反応混合物を5M NaOHによってpH>8の塩基性にし、酢酸エチルで抽出した。混合有機層を水及び塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮して、標記化合物(0.25g)を得た。MS:275(M+H)。
【0250】
段階D:N−{1−[2−(4−クロロフェニル)−2,2−ジフルオロエチル]ピペリジン−4−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0251】
【化76】

【0252】
標記化合物を、上記実施例8、段階Eに記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=393.1401、実測値=393.1421;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.20(s、1H)、8.10(s、1H)、7.58−7.42(m、4H)、4.10(m、1H)、3.10−2.95(m、2H)、2.86(m、2H)、2.48(m、2H)、1.85(m、2H)、1.58(m、2H)。
【実施例20】
【0253】
N−{1−[2,2−ジフルオロ−2−(4−メチルフェニル)エチル]ピペリジン−4−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0254】
【化77】

【0255】
標記化合物を、上記実施例19に記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=373.1947、実測値=373.1961;H NMR(500MHz、CDOD):δ 8.75−8.63(s、1H)、8.63−8.57(s、1H)、7.56−7.48(m、2H)、7.41−7.34(m、2H)、4.76−4.62(m、1H)、4.17−4.01(m、2H)、3.99−3.83(m、2H)、3.59−3.41(m、2H)、2.47−2.36(m、5H)、2.31−2.13(m、2H)。
【実施例21】
【0256】
N−{1−[2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェニル)エチル]ピペリジン−4−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0257】
【化78】

【0258】
標記化合物を、上記実施例19、段階B、C及びDに記載の手順と類似した手順によってジフルオロ(4−フルオロフェニル)酢酸(Hagele, G., Haas, A. J. of Fluorine Chemistry (1996) 76, 15−19)から調製した。HRMS(M+H):計算値=377.1696、実測値=377.1690;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.68−8.57(m、2H)、7.74−7.66(m、2H)、7.36−7.29(m、2H)、4.73−4.62(m、1H)、4.17−4.03(m、2H)、3.95−3.82(m、2H)、3.54−3.41(m、2H)、2.47−2.37(m、2H)、2.26−2.12(m、2H)。
【実施例22】
【0259】
N−{1−[2,2−ジフルオロ−2−(2−フルオロフェニル)エチル]ピペリジン−4−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0260】
【化79】

【0261】
標記化合物を、上記実施例19に記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=377.1696、実測値=377.1677;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.71−8.63(s、1H)、8.63−8.57(s、1H)、7.73−7.61(m、2H)、7.44−7.30(m、2H)、4.75−4.63(m、1H)、4.24−4.09(m、2H)、3.96−3.82(m、2H)、3.59−3.43(m、2H)、2.46−2.36(m、2H)、2.27−2.13(m、2H)。
【実施例23】
【0262】
N−{1−[2−(2,6−ジフルオロフェニル)−2,2−ジフルオロエチル]ピペリジン−4−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0263】
【化80】

【0264】
段階A:1,3−ジフルオロ−2−ヨードベンゼン
【0265】
【化81】

【0266】
2−ブロモ−1,3−ジフルオロベンゼン(5.7g、30mmol)の1,4−ジオキサン溶液にヨウ化銅(0.28g、1.5mmol)、ヨウ化ナトリウム(8.9g、59mmol)及びN,N’−ジメチルエタン−1,2−ジアミン(0.32mL、3.0mmol)を添加し、反応混合物を窒素雰囲気下で110℃で加熱した。48時間後、反応混合物を水酸化アンモニウム(水200mL中20mL)水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮して、標記化合物(5.1g)を得た。
【0267】
段階B:N−{1−[2−(2,6−ジフルオロフェニル)−2,2−ジフルオロエチル]ピペリジン−4−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0268】
【化82】

【0269】
標記化合物を上記実施例19に記載の手順に従って調製した。HRMS(M+H):計算値=395.1602、実測値=395.1598;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.65−8.61(s、1H)、8.61−8.58(s、1H)、7.71−7.62(m、1H)、7.23−7.15(m、2H)、4.70−4.59(m、1H)、4.23−4.06(m、2H)、3.88−3.76(m、2H)、3.50−3.38(m、2H)、2.43−2.34(m、2H)、2.21−2.07(m、2H)。
【実施例24】
【0270】
N−(1−{2,2−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}ピペリジン−4−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0271】
【化83】

【0272】
標記化合物を、上記実施例19に記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=427.1664、実測値=427.1645;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.73−8.65(s、1H)、8.64−8.57(s、1H)、7.94−7.84(m、4H)、4.76−4.63(m、1H)、4.22−4.08(m、2H)、3.96−3.84(m、2H)、3.56−3.43(m、2H)、2.47−2.37(m、2H)、2.29−2.15(m、2H)。
【実施例25】
【0273】
N−{1−[2−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジフルオロエチル]ピペリジン−4−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0274】
【化84】

【0275】
段階A:ジフルオロ(4−ブロモフェニル)酢酸
【0276】
【化85】

【0277】
塩化アルミニウム(2.2g、16mmol)とエチルクロロ(オキソ)アセタート(1.9mL、16mmol)の懸濁液にブロモベンゼン(1.5mL、14mmol)を室温で窒素雰囲気下で滴下した。24時間後、氷水と飽和炭酸水素ナトリウム溶液の溶液を滴下した。水層をジエチルエーテルで抽出し、混合有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(1%酢酸エチル/ヘキサン→10%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、ケト−エステル(1.4g)を黄色オイルとして得た。生成したオイル(1.4g、5.6mmol)のDCE(15mL)溶液にDAST(2.1mL、17mmol)を室温で添加した。反応混合物を60℃に加熱した。14時間後、反応混合物を室温に冷却し、氷水に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮して、ジフルオロエステルをオイルとして得た。生成したオイルをメタノール:水(100mL:20mL)に溶解させ、0℃に冷却し、KOHペレット(1.0g、17mmol)を撹拌しながら添加した。2時間後、反応混合物を塩化メチレンで洗浄した。次いで、混合水層を5M NaOHによってpH>8の塩基性にし、ジエチルエーテルで抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮して、標記化合物(1.4g)をワックス状固体として得た。
【0278】
段階B:N−{1−[2−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジフルオロエチル]ピペリジン−4−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0279】
【化86】

【0280】
標記化合物を、上記実施例19、段階B、C及びDに記載の手順と類似した手順によって、ジフルオロ(4−ブロモフェニル)酢酸から調製した。HRMS(M+H):計算値=437.0876、実測値=437.0846;H NMR(500MHz、CDOD):δ 8.72−8.66(s、1H)、8.63−8.60(s、1H)、7.79−7.74(m、2H)、7.61−7.56(m、2H)、4.75−4.65(m、1H)、4.17−4.07(m、2H)、3.95−3.87(m、2H)、3.55−3.43(m、2H)、2.47−2.38(m、2H)、2.28−2.16(m、2H)。
【実施例26】
【0281】
N−{1−[2−(4−シクロプロピルフェニル)−2,2−ジフルオロエチル]ピペリジン−4−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0282】
【化87】

【0283】
標記化合物を、上記実施例25に記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=399.2104、実測値=399.2110;H NMR(500MHz、CDOD):δ 8.70−8.64(s、1H)、8.64−8.58(s、1H)、7.54−7.48(m、2H)、7.29−7.23(m、2H)、4.76−4.63(m、1H)、4.14−4.01(m、2H)、3.97−3.85(m、2H)、3.56−3.41(m、2H)、2.47−2.37(m、2H)、2.27−2.14(m、2H)、2.04−1.96(m、1H)、1.09−1.03(m、2H)、0.79−0.73(m、2H)。
【実施例27】
【0284】
N−{1−[2,2−ジフルオロ−2−(4−メトキシフェニル)エチル]ピペリジン−4−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0285】
【化88】

【0286】
標記化合物を、上記実施例25に記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=389.1896、実測値=389.1905;H NMR(500MHz、CDOD):δ 8.22−8.18(s、1H)、8.14−8.07(s、1H)、7.49−7.44(m、2H)、7.01−6.96(m、2H)、4.13−4.02(m、1H)、3.85−3.82(s、3H)、3.06−2.98(m、2H)、2.94−2.88(m、2H)、2.49−2.40(m、2H)、1.98−1.90(m、2H)、1.68−1.57(m、2H)。
【実施例28】
【0287】
N−[(3R,4R)−3−フルオロ−1−(2−フェニルエチル)ピペリジン−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0288】
【化89】

【0289】
段階A:ベンジル4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボキシラート
【0290】
【化90】

【0291】
ベンジル4−オキソピペリジン−1−カルボキシラート(170g、750mmol)のDMF(400mL)溶液にDIPEA(195mL)及びtert−ブチル(ジメチル)シリルトリフルオロメタンスルホナート(220g、840mmol)を室温で添加した。5時間後、反応混合物を塩水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。混合有機層を硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮して、標記化合物(240g)を得た。MS:348(M+H)。
【0292】
段階B:ベンジル3−フルオロ−4−オキソピペリジン−1−カルボキシラート
【0293】
【化91】

【0294】
ベンジル4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボキシラート(240g、700mmol)のDMF(1.0L)溶液に1−(クロロメチル)−4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンジテトラフルオロボラート(310g、880mmol)を室温で添加した。2時間後、反応混合物を塩水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。混合有機層を硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮して、標記化合物(251g)を得た。MS:252(M+H)。
【0295】
段階C:シス−及びトランス−ベンジル3−フルオロ−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシラート
【0296】
【化92】

【0297】
ベンジル3−フルオロ−4−オキソピペリジン−1−カルボキシラート(24g、97mmol)のメタノール(250mL)溶液に水素化ホウ素ナトリウム(5.5g、150mmol)を0℃で、反応混合物が室温を超えないような速度で、分割添加した。4時間後、反応混合物を濃縮した。生成した残渣を酢酸エチルに溶解させ、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。シリカゲルクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/ヘキサン→60%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、両方の標記化合物を得た。
【0298】
【化93】

【0299】
シス−ベンジル3−フルオロ−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシラート:18g;無色オイル;MS:254(M+H);1H MMR(400MHz、CDCl):δ 7.40−7.32(m、5H)、5.20(s、2H)、4.72−4.52(m、1H)、4.15−3.25(m、6H)、2.17(s、1H)、1.88−1.67(m、2H);
【0300】
【化94】

【0301】
トランス−ベンジル3−フルオロ−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシラート:4.5g;無色オイル;MS:254(M+H);H NMR(400MHz、CDCl):δ 7.40−7.32(m、5H)、5.18(s、2H)、4.40−3.80(m、4H)、3.25−3.05(m、2H)、2.30(s、1H)、2.00(s、1H) 1.58(s、1H)。
【0302】
段階D:シス−ベンジル3−フルオロ−4−[(メチルスルホニル)オキシ]ピペリジン−1−カルボキシラート
【0303】
【化95】

【0304】
シス−ベンジル3−フルオロ−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシラート(24g、97mmol)の塩化メチレン(150mL)溶液にDIPEA(28mL、190mmol)及び塩化メタンスルホニル(9.0g、79mmol)を−10℃で添加し、反応混合物を室温に徐々に加温した。3時間後、反応混合物を塩水に注ぎ、塩化メチレンで抽出し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮して、標記化合物(31g)をオイルとして得た。MS:332(M+H)。
【0305】
段階E:トランス−ベンジル4−アジド−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシラート
【0306】
【化96】

【0307】
シス−ベンジル3−フルオロ−4−[(メチルスルホニル)オキシ]ピペリジン−1−カルボキシラート(10g、30mmol)のDMF(25mL)溶液にアジ化ナトリウム(9.8g、150mmol)を添加し、反応混合物を80℃に加熱した。48時間後、反応混合物を塩水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(0%イソプロパノール/塩化メチレン→10%IPA/塩化メチレン)によって精製して、標記化合物(6.6g)をオイルとして得た。MS:279(M+H)。
【0308】
段階F:トランス−4−アジド−3−フルオロピペリジン
【0309】
【化97】

【0310】
トランス−ベンジル4−アジド−3−フルオロピペリジン−1−カルボキシラート(15g、54mmol)のTFA(5mL)溶液にチオアニソール(13g、110mmol)を添加し、溶液を70℃で1時間加熱した。混合物を冷却し、濃縮した。生成した残渣を酢酸エチル(60mL)に溶解させ、HCl飽和酢酸エチル溶液(50mL)で室温で処理し、濃縮した。酢酸エチル及びヘキサンから再結晶させて、標記化合物(6.5g)を白色固体として得た。MS:145(M+H)。
【0311】
段階G:トランス−4−アジド−3−フルオロ−1−(フェニルアセチル)ピペリジン
【0312】
【化98】

【0313】
トランス−4−アジド−3−フルオロピペリジン(1.2g、8.7mmol)の塩化メチレン(25mL)溶液にDIPEA(3.8mL、26mmol)及び塩化フェニルアセチル(1.3g、8.7mmol)を室温で添加した。1時間後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウムに注ぎ、クロロホルムで抽出した。混合有機層を硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮して、標記化合物(1.7g)を得た。MS:263(M+H)。
【0314】
段階H:トランス−3−フルオロ−1−(2−フェニルエチル)ピペリジン−4−アミン
【0315】
【化99】

【0316】
トランス−4−アジド−3−フルオロ−1−(フェニルアセチル)ピペリジン(1.7g、6.5mmol)のTHF(20mL)溶液に室温で窒素下で1MボランTHF溶液(79mL、79mmol)を添加し、反応混合物を80℃に加熱した。1時間後、反応混合物を室温に冷却し、6N HCl(50mL)によってクエンチし、80℃に加熱した。1時間後、反応混合物を5M NaOHによってpH>8の塩基性にし、クロロホルムで抽出した。混合有機層を硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮して、標記化合物(1.0g)を得た。MS:223(M+H)。
【0317】
段階I:N−[トランス−3−フルオロ−1−(2−フェニルエチル)ピペリジン−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0318】
【化100】

【0319】
標記化合物を、上記実施例1、段階Cに記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=341.1878、実測値=341.1885;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.30(s、1H)、8.15(s、1H)、7.38−7.18(m、5H)、4.70−4.40(m、2H)、3.40(m、1H)、3.00(m、1H)、2.85−2.58(m、4H)、2.30(m、2H)、2.25(m、1H)、1.60(m、1H)。
【実施例29】
【0320】
N−[シス−3−フルオロ−1−(2−フェニルエチル)ピペリジン−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0321】
【化101】

【0322】
段階A:シス−4−アジド−3−フルオロピペリジン
【0323】
【化102】

【0324】
標記化合物を、上記実施例28、段階D、E及びFに記載の手順に類似した手順によって、トランス−ベンジル3−フルオロ−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシラート(実施例28、段階C)から調製した。MS:145(M+H)。
【0325】
段階B:N−[シス−3−フルオロ−1−(2−フェニルエチル)ピペリジン−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0326】
【化103】

【0327】
標記化合物を、上記実施例28、段階G、H及びIに記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=341.1876、実測値=341.1885;H NMR(400MHz、CDOD) 8.30−8.20(m、2H)、7.32−7.18(m、5H)、5.00−4.80(m、1H)、4.50−4.40(m、1H)、3.40(m、1H)、3.10(m、1H)、2.85−2.60(m、4H)、2.50−2.10(m、3H)、1.90(m、1H)。
【実施例30】
【0328】
N−{トランス−3−フルオロ−1−[2−(4−メチルフェニル)エチル]ピペリジン−4−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0329】
【化104】

【0330】
標記化合物を、上記実施例28、段階G、H及びIに記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=355.4317、実測値=355.4216;H NMR(400MHz、CDOD) 8.65(s、2H)、7.30−7.18(m、4H)、4.58−4.20(m、2H)、4.15−3.85(m、1H)、3.80−3.35(m、7H)、3.15(m、2H)、2.38(s、3H)。
【実施例31】
【0331】
N−{シス−3−フルオロ−1−[2−(4−メチルフェニル)エチル]ピペリジン−4−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0332】
【化105】

【0333】
標記化合物を、上記実施例29に記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=355.4317、実測値=355.4128;H NMR(400MHz、CDOD) 8.62(s、2H)、7.28−7.20(m、4H)、5.38−4.80(m、1H)、4.20−3.83(m、1H)、3.85−3.42(m、7H)、3.25(m、2H)、2.35(s、3H)。
【実施例32】
【0334】
N−[トランス−3−フルオロ−1−(2−フルオロ−2−フェニルエチル)ピペリジン−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0335】
【化106】

【0336】
段階A:2−[トランス−4−アジド−3−フルオロピペリジン−1−イル]−1−フェニルエタノール
【0337】
【化107】

【0338】
標記化合物を、上記実施例6、段階Aに記載の手順と類似した手順によって調製した。MS:265(M+H)。
【0339】
段階B:トランス−4−アジド−3−フルオロ−1−(2−フルオロ−2−フェニルエチル)ピペリジン
【0340】
【化108】

【0341】
標記化合物を、上記実施例17、段階Aに記載の手順と類似した手順によって調製した。MS:267(M+H)。
【0342】
段階C:トランス−3−フルオロ−1−(2−フルオロ−2−フェニルエチル)ピペリジン−4−アミン
【0343】
【化109】

【0344】
標記化合物を、上記実施例28、段階Hに記載の手順と類似した手順によって調製した。MS:241(M+H)。
【0345】
段階D:N−[トランス−3−フルオロ−1−(2−フルオロ−2−フェニルエチル)ピペリジン−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0346】
【化110】

【0347】
標記化合物を、上記実施例1、段階Cに記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=359.1780、実測値=359.1791;H NMR 400MHz、CDOD):δ 8.25−8.15(m、2H)、7.40−7.35(m、5H)、5.80−5.60(m、1H)、4.80−4.35(m、2H)、3.45(m、1H)、3.10−2.95(m、2H)、2.85−2.70(m、1H)、2.40(m、2H)、2.18(m、1H)、1.70(m、1H)。
【実施例33】
【0348】
N−[トランス−1−(2,2−ジフルオロ−2−フェニルエチル)−3−フルオロピペリジン−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0349】
【化111】

【0350】
段階A:トランス−4−アジド−1−[ジフルオロ(フェニル)アセチル]−3−フルオロピペリジン
【0351】
【化112】

【0352】
ジフルオロ(フェニル)酢酸(Hagele, G., Haas, A. J. of Fluorine Chemistry (1996) 76, 15−19)(1.7g、10.4mmol)の塩化メチレン(25mL)溶液に塩化オキサリル(5.2mL、2M塩化メチレン溶液、10.4mmol)及びDMF 1滴を室温で添加した。1時間後、反応混合物をトランス−4−アジド−3−フルオロピペリジン(1.5g、10mmol)と樹脂−DIPEA(40mmol当量)の塩化メチレン(50mL)懸濁液に室温で添加した。2時間後、反応混合物をろ過し、濃縮して、標記化合物(2.5g)を固体として得た。MS:299(M+H)。
【0353】
段階B:N−[(3R,4R)−1−(2,2−ジフルオロ−2−フェニルエチル)−3−フルオロピペリジン−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0354】
【化113】

【0355】
標記化合物を、上記実施例28、段階H及びIに記載の手順に従って、トランス−4−アジド−1−[ジフルオロ(フェニル)アセチル]−3−フルオロピペリジンから調製した。HRMS(M+H):計算値=377.1676、実測値=377.1696;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.20(s、1H)、8.10(s、1H)、7.55−7.45(m、5H)、4.51−4.31(m、2H)、3.17−3.10(m、3H)、2.80(m、2H)、2.52(m、2H)、2.00(m、1H)、1.51(m、1H)。
【実施例34】
【0356】
N−[シス−1−(2,2−ジフルオロ−2−フェニルエチル)−3−フルオロピペリジン−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0357】
【化114】

【0358】
標記化合物を、上記実施例33に記載の手順に類似した手順によって、シス−4−アジド−3−フルオロピペリジン(実施例29、段階A)から調製した。HRMS(M+H):計算値=377.1676、実測値=377.1696;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.22(m、2H)、7.56(m、2H)、7.44(m、3H)、4.84−4.70(m、1H)、4.39−4.33(m、1H)、3.31−3.12(m、3H)、2.87−2.57(m、3H)、2.07(m、1H)、1.70(m、1H)。
【実施例35】
【0359】
N−{トランス−1−[2,2−ジフルオロ−2−(4−メチルフェニル)エチル]−3−フルオロピペリジン−4−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0360】
【化115】

【0361】
標記化合物を、上記実施例33に記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=391.1853、実測値=391.1811;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.22(s、1H)、8.12(s、1H)、7.55−7.22(m、4H)、4.58−4.30(m、2H)、3.30−3.12(m、3H)、2.78(m、1H)、2.52(m、2H)、2.42(s、3H)、1.98(m、1H)、1.62(m、1H)。
【実施例36】
【0362】
N−(トランス−1−{2,2−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−3−フルオロピペリジン−4−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0363】
【化116】

【0364】
標記化合物を、上記実施例33に記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=445.1570、実測値=445.1567;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.31−8.22(m、2H)、7.81−7.62(m、4H)、4.42−4.20(m、1H)、3.21(m、2H)、2.89−2.62(m、4H)、2.04(m、2H)、1.73(m、1H)。
【実施例37】
【0365】
N−(シス−1−{2,2−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−3−フルオロピペリジン−4−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0366】
【化117】

【0367】
標記化合物を、上記実施例34に記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=445.1570、実測値=445.1539;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.70(s、1H)、8.62(s、1H)、7.82(m、4H)、5.18−5.12(m、1H)、3.88−3.78(m、4H)、3.52−3.19(m、2H)、2.42(m、2H)、2.08(m、1H)。
【実施例38】
【0368】
N−[1−(2,2−ジフルオロ−2−フェニルエチル)アゼパン−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0369】
【化118】

【0370】
段階A:1−[ジフルオロ(フェニル)アセチル]アゼパン−4−オン
【0371】
【化119】

【0372】
標記化合物を、上記実施例19、段階Bに記載の手順と類似した手順によって調製した。MS:268(M+H)。
【0373】
段階B:N−[1−(2,2−ジフルオロ−2−フェニルエチル)アゼパン−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0374】
【化120】

【0375】
標記化合物を、上記実施例28、段階C、D、E、H及びIに記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=373.1947、実測値=373.1955;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.67(s、1H)、8.57(s、1H)、7.66−7.55(m、5H)、4.72(m、1H)、4.19−4.10(m、2H)、3.89−3.65(m、4H)、2.42−2.34(m、3H)、2.21−2.08(m、1H)、1.98−1.90(m、1H)。キラルHPLC(15%イソプロパノール/ヘキサン/0.1%DEA→20%イソプロパノール/ヘキサン/0.1%DEA;Chiral Technologies, Inc.、Exton、Paから市販されているChiralpak AD)によって精製して、光学的に純粋な生成物を得た。これを無水塩酸の酢酸エチル溶液で処理し、濃縮して、標記化合物の塩酸塩を得た:(R又はS)−N−[1−(2,2−ジフルオロ−2−フェニルエチル)アゼパン−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン:ピーク1、HRMS(M+H):計算値=373.1947、実測値=373.1953;(S又はR)−N−{1−[2,2−ジフルオロ−2−(4−メチルフェニル)エチル]アゼパン−4−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン:ピーク2、HRMS(M+H):計算値=373.1947、実測値=373.1958。
【実施例39】
【0376】
N−[1−(2,2−ジフルオロ−2−(4−メチルフェニル)エチル)アゼパン−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0377】
【化121】

【0378】
標記化合物を、上記実施例38に記載の手順と類似した手順によって調製した。キラルHPLC(Chiralcel OJ、60%イソプロパノール/ヘキサン/0.1%DEA)によって精製して、標記化合物の鏡像異性体を得た:(R又はS)−N−{1−[2,2−ジフルオロ−2−(4−メチルフェニル)エチル]アゼパン−4−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン:ピーク1、HRMS(M+H):計算値=387.2104、実測値=387.2075;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.22(s、1H)、8.10(s、1H)、7.43(d、J=6.4Hz、2H)、7.27(d、J=6.4Hz、2H)、4.38(m、1H)、3.20(t、J=11.4Hz、2H)、2.88−2.77(m、4H)、2.38(s、3H)、1.99−1.96(m、1H)、1.80−1.71(m、3H)、1.64−1.62(m、1H);(S又はR)−N−{1−[2,2−ジフルオロ−2−(4−メチルフェニル)エチル]アゼパン−4−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン:ピーク2、HRMS(M+H):計算値=387.2104、実測値=387.2104;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.22(s、1H)、8.10(s、1H)、7.43(d、J=6.4Hz、2H)、7.27(d、J=6.4Hz、2H)、4.38(m、1H)、3.20(t、J=11.4Hz、2H)、2.88−2.77(m、4H)、2.38(s、3H)、1.99−1.96(m、1H)、1.80−1.71(m、3H)、1.64−1.62(m、1H)。
【実施例40】
【0379】
N−{エキソ−3−[2,2−ジフルオロ−2−(4−メチルフェニル)エチル]−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−6−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0380】
【化122】

【0381】
標記化合物を、上記実施例19に記載の手順に類似した手順によって、(文献:Norris, T., Braish, T.F., Butters, M., DeVries, K.M., Hawkins, J.M., Massett, S.S., Rose, P.R., Santafianos, D., Sklavounos, C. J. Chem. Soc, Perkin Trans. 1 (2000) 1615−1622の手順によって調製された)tert−ブチルエキソ−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ−6−イルカルバマートから調製した。HRMS(M+H):計算値=371.1791、実測値=371.1801;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.62−8.57(s、1H)、8.54−8.49(s、1H)、7.51−7.44(m、2H)、7.39−7.32(m、2H)、4.16−3.80(m、3H)、3.63−3.56(m、1H)、2.51−2.42(m、2H)、2.42−2.36(s、3H)。
【実施例41】
【0382】
ラセミ−N−[(3aS,4R,6aR)−2−(2−フェニルエチル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロル−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0383】
【化123】

【0384】
段階A:ラセミ−2−ベンジルヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロル−4(1H)−オン
【0385】
【化124】

【0386】
N−ベンジル−1−メトキシ−N−[(トリメチルシリル)メチル]メテナミン(11g、46mmol)とシクロペンタ−2−エン−1−オン(3.8g、46mmol)の塩化メチレン(50mL)溶液にTFA(12mL、68mmol)を室温で添加した。1時間後、反応混合物を1M NaOH(500mL)に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。混合有機層を硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。生成した残渣を酢酸エチルに溶解させ、HCl飽和酢酸エチル溶液で処理し、濃縮して、標記化合物のHCl塩(11g)を固体として得た。MS:216(M+H)。
【0387】
段階B:ラセミ−(3aS,4S,6aR)−2−ベンジルオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロル−4−オール
【0388】
【化125】

【0389】
ラセミ−2−ベンジルヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロル−4(1H)−オン(10g、46mmol)のTHF(50mL)溶液にL−Selectride(8.8g、46mmol、Sigma−Aldrich, Inc.、St. Louis、Moから市販されている。)を−78℃で添加し、反応混合物を室温に徐々に加温した。2時間後、反応混合物を1M NaOH(500mL)に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。混合有機層を硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(0%IPA/塩化メチレン→10%イソプロパノール/塩化メチレン)によって精製して、標記化合物(5.0g)を得た。MS:218(M+H)。
【0390】
段階C:ラセミ−tert−ブチル(3aS,4S,6aR)−4−ヒドロキシヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート
【0391】
【化126】

【0392】
ラセミ−(3aS,4S,6aR)−2−ベンジルオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロル−4−オール(1.4g、6.2mmol)のエタノール(100mL)溶液に、ジ−tert−ブチルジカルボナート(1.5g、7.0mmol)及び(Sigma−Aldrich, Inc.、St. Louis、Mo.から市販されている)水酸化パラジウム、炭素担持20wt%Pd(乾燥量基準)、ウェットを添加し、反応混合物を水素50psi(0.3MPa)下で室温で放置した。20時間後、反応混合物をろ過し、濃縮して、標記化合物(0.85g)を得た。MS:228(M+H)。
【0393】
段階D:ラセミ−tert−ブチル(3aS,4R,6aR)−4−アジドヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール−2(1H)−カルボキシラート
【0394】
【化127】

【0395】
標記化合物を、上記実施例28、段階D及びEに記載の手順と類似した手順によって調製した。MS:253(M+H)。
【0396】
段階E:ラセミ−N−[(3aS,4R,6aR)−2−(2−フェニルエチル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロル−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0397】
【化128】

【0398】
標記化合物を、上記実施例28、段階G、H及びIに記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=349.2135、実測値=349.2146;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.32(s、1H)、8.20(s、1H)、7.35−7.15(m、5H)、4.38(s、1H)、2.89−2.60(m、10H)、2.38(s、1H)、2.20−2.08(m、2H)、1.70(m、1H)、1.50(m、1H)。
【実施例42】
【0399】
ラセミ−N−[(3aS,4R,6aR)−2−(2,2−ジフルオロ−2−フェニルエチル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロル−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0400】
【化129】

【0401】
標記化合物を、上記実施例33に記載の手順に類似した手順によって、ラセミ−(3aS,4R,6aR)−4−アジドオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール(実施例41、段階D参照)から調製した。HRMS(M+H):計算値=385.1947、実測値=385.1923;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.28(s、1H)、8.15(s、1H)、7.60(s、2H)、7.38(m、3H)、4.32(s、1H)、3.10(m、2H)、2.80−2.42(m、6H)、2.00(m、2H)、1.52(m、1H)、1.40(m、1H)。
【実施例43】
【0402】
ラセミ−N−{(3aS,4R,6aR)−2−[2,2−ジフルオロ−2−(4−メチルフェニル)エチル]オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロル−4−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0403】
【化130】

【0404】
標記化合物を、上記実施例33に記載の手順に類似した手順によって、ラセミ−(3aS,4R,6aR)−4−アジドオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール(実施例41、段階E参照)から調製した。HRMS(M+H):計算値=399.2104、実測値=399.2095;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.82(s、1H)、8.60(s、1H)、7.58−7.40(m、4H)、4.70(s、1H)、4.28−4.10(m、4H)、3.29−3.08(m、3H)、2.50−2.30(m、4H)、2.28−2.00(m、2H)、1.80(m、1H)。
【実施例44】
【0405】
エンド−N−[8−(2,2−ジフルオロ−2−フェニルエチル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0406】
【化131】

【0407】
段階A:tert−ブチル3−(ヒドロキシイミノ)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボキシラート
【0408】
【化132】

【0409】
tert−ブチル3−オキソ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボキシラートジフルオロ(3.0g、13mmol)のメタノール(35mL)溶液に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(4.6g、67mmol)及び酢酸ナトリウム(11g、133mmol)を室温で添加した。72時間後、混合物を水に注ぎ、エーテルで抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮して、標記化合物(3.1g)を白色固体として得た。MS:241(M+H)。
【0410】
段階B:エンド−tert−ブチル3−アミノ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボキシラート
【0411】
【化133】

【0412】
以下の手順は、Suzuki, M., Ohuchi, Y., Asanuma, H., Kaneko, T., Yokomori, S., Ito, C, Isobe, Y., Muramatsu, M. Chem. Pharm. Bull. (2001) 49(1), 29−39によって報告された方法に基づく。tert−ブチル3−(ヒドロキシイミノ)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボキシラート(2.0g、8.3mmol)の酢酸(25mL)溶液に白金ジオキシド(0.10g)を添加し、溶液を(Parr Instrument Company、Moline、Ill.から市販されている)Parr水素化装置を用いて水素ガス50psi(0.3MPa)に曝した。17時間後、混合物をろ過し、濃縮した。残渣を5M NaOHに注ぎ、塩化メチレンで抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮して、標記化合物(2.0g)をオイルとして得た。MS:227(M+H)。
【0413】
段階C:エンド−tert−ブチル3−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボキシラート
【0414】
【化134】

【0415】
エキソ−tert−ブチル3−アミノ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボキシラート(2.0g、8.7mmol)の塩化メチレン(18mL)溶液に、DIPEA(3.0mL、17mmol)及びベンジルクロロギ酸(1.1mL、13mmol)を室温で添加した。2時間後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水、1Mクエン酸、水、1M NaOH、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮して、標記化合物(3.3g)を得た。MS:361(M+H)。
【0416】
段階D:エンド−ベンジル8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イルカルバマート
【0417】
【化135】

【0418】
標記化合物を、上記実施例1、段階Bに記載の手順と類似した手順によって調製した。MS:261(M+H)。
【0419】
段階E:エンド−ベンジル{8−[ジフルオロ(フェニル)アセチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル}カルバマート
【0420】
【化136】

【0421】
標記化合物を、上記実施例19、段階Bに記載の手順と類似した手順によって調製した。MS:415(M+H)。
【0422】
段階F:エンド−N−[8−(2,2−ジフルオロ−2−フェニルエチル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0423】
【化137】

【0424】
標記化合物を、上記実施例28、段階F、H及びIに記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=385.1947、実測値=385.1933;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.88(s、1H)、8.66(s、1H)、7.69−7.67(m、2H)、7.61−7.57(m、3H)、4.60(m、1H)、4.31(br s、2H)、4.00(m、2H)、2.75(m、2H)、2.59−2.45(m、6H)。
【実施例45】
【0425】
エキソ−N−[8−(2,2−ジフルオロ−2−フェニルエチル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0426】
【化138】

【0427】
段階A:エキソ−tert−ブチル3−アミノ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボキシラート
【0428】
【化139】

【0429】
tert−ブチル3−(ヒドロキシイミノ)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボキシラート(1.0g、4.2mmol;実施例44、段階A)の1−プロパノール(15mL、4Åモレキュラーシーブ乾燥)溶液に、金属ナトリウム(1.0g、42mmol)を窒素雰囲気下で室温で10分間分割添加した。反応混合物を4.5時間加熱還流し、室温に冷却した。反応混合物を水でクエンチし、塩化メチレンで抽出した。混合有機層を2M HClで抽出し、混合水層を固体水酸化カリウムによって塩基性にし、塩化メチレンで抽出した。混合有機層を硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮して、標記化合物(0.36g)を無色オイルとして得た。MS:227(M+H)。
【0430】
段階B:エキソ−N−[8−(2,2−ジフルオロ−2−フェニルエチル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ−3−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0431】
【化140】

【0432】
標記化合物を、上記実施例44、段階C、D、E及びFに記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=385.1947、実測値=385.1960;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.18(s、1H)、8.07(s、1H)、7.57−7.55(m、2H)、7.45−7.43(m、3H)、4.49−4.48(m、1H)、3.14(br s、2H)、3.06(t、J=13.6Hz、2H)、1.95−1.93(m、2H)、1.80−1.76(m、4H)、1.70−1.64(m、2H)。
【実施例46】
【0433】
N−(1−{2−[4−(ジフルオロメチル)フェニル]−2,2−ジフルオロエチル}ピペリジン−4−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0434】
【化141】

【0435】
標記化合物を、上記実施例19に記載の手順と類似した手順によって調製した。HRMS(M+H):計算値=409.1759、実測値=4019.1725;H NMR(500MHz、CDOD):δ 8.74−8.65(s、1H)、8.65−8.58(s、1H)、7.83−7.73(m、4H)、7.01−6.75(m、1H)、4.77−4.64(m、1H)、4.22−4.07(m、2H)、3.98−3.87(m、2H)、3.58−3.44(m、2H)、2.48−2.37(m、2H)、2.29−2.15(m、2H)。
【実施例47】
【0436】
N−{1−[2−(4−エチルフェニル)−2,2−ジフルオロエチル]ピペリジン−4−イル}−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0437】
【化142】

【0438】
N−{1−[2−(4−ブロモフェニル)−2,2−ジフルオロエチル]ピペリジン−4−イル}−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン(実施例46、0.21g、0.39mmol)の無水トルエン(1.5mL)溶液に、エチルボロン酸(0.04g、0.59mmol)、三塩基無水リン酸カリウム(0.25g、1.18mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(Pd(dba))(0.01g、0.02mmol)及び1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1’−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン(Q−phos)(0.028g、0.04mmol)を添加した。溶液を撹拌しながら加熱油浴中で120℃で48時間加熱した。混合物を冷却し、酢酸エチル(30mL)に溶解させ、1M NaOH、次いで水、最後に塩水で洗浄した。混合有機層を硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ろ過し、濃縮乾固させた。生成した残渣をメタノール(2.5mL)に溶解させ、逆相クロマトグラフィー(5%アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸/水→95%アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸/水、Waters Corporation、Milford、Massachusettsから市販されているXTerra(登録商標)MSC8カラム)によって精製した。所望の画分を濃縮し、生成した残渣をメタノール(3mL)に溶解させ、HCl飽和酢酸エチル溶液(10mL)で室温で処理した。1時間後、固体が溶液から沈殿した。次いで、この溶液をろ過して、標記化合物の塩酸塩(0.014g)を黄色固体として得た。HRMS(M+H):計算値=387.2104、実測値=387.2055;H NMR(500MHz、CDOD):δ 8.64−8.54(m、2H)、7.57−7.51(m、2H)、7.43−7.38(m、2H)、4.72−4.60(m、1H)、4.14−3.98(m、2H)、3.96−3.82(m、2H)、3.54−3.39(m、2H)、2.77−2.69(m、2H)、2.46−2.36(m、2H)、2.26−2.12(m、2H)、1.30−1.22(m、3H)。
【実施例48】
【0439】
N−((3S,4S)−1−{2−[4−(ジフルオロメチル)フェニル]−2,2−ジフルオロエチル}−3−フルオロピペリジン−4−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0440】
【化143】

【0441】
標記化合物を、上記実施例33に記載の手順と類似した手順によって調製した。MS(M+H)=426.2;H NMR(500MHz、CDOD):δ 8.77(s、1H)、8.62(s、1H)、7.74(q、J=8.3Hz、4H)、6.86(t、J=55.9Hz、1H)、3.86(m、3H)、3.59(br s、1H)、3.22(br s、2H)、2.40(br s、1H)、2.03(s、1H)。
【実施例49】
【0442】
N−((3S,4S)−3−フルオロ−1−{2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}ピペリジン−4−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0443】
【化144】

【0444】
標記化合物を、上記実施例33に記載の手順と類似した手順によって調製した。MS(M+H)409.2;H NMR(500MHz、CDOD):δ 8.72(s、1H)、8.66(s、1H)、7.68(d、J=8.1Hz、2H)、7.56(d、J=7.8Hz、2H)、5.25(m、1H)、5.05(s、1H)、4.11(s、1H)、3.97(s、1H)、3.56(s、2H)、3.39(s、1H)、2.54(s、1H)、2.38−2.18(m、1H)、2.04(s、1H)。
【実施例50】
【0445】
N−(1−{2,2−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}アゼパン−4−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン
【0446】
【化145】

【0447】
標記化合物を、上記実施例38に記載の手順と類似した手順によって調製した。キラルHPLC(20%イソプロパノール/80%ヘキサン/0.1%DEA、Chiral Technologies, Inc.、Exton、Paから市販されているChiralpak AD)によって精製して、標記化合物の鏡像異性体を得た:(R又はS)−N−(1−{2,2−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}アゼパン−4−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン:ピーク1、HRMS(M+H):計算値=441.1821、実測値=441.1782;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.21(s、1H)、8.09(s、1H)、7.78(s、4H)、4.33(m、1H)、3.27(m、2H)、2.85−2.76(m、4H)、1.97−1.94(m、2H)、1.72−1.59(m、4H);(S又はR)−N−(1−{2,2−ジフルオロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}アゼパン−4−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン:ピーク2、HRMS(M+H):計算値=441.1821、実測値=441.1821;H NMR(400MHz、CDOD):δ 8.21(s、1H)、8.09(s、1H)、7.78(s、4H)、4.33(m、1H)、3.27(m、2H)、2.85−2.76(m、4H)、1.97−1.94(m、2H)、1.72−1.59(m、4H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物及び/又は薬剤として許容されるその塩、個々の鏡像異性体及び立体異性体。
【化1】

(式中、
Wはアリール又はヘテロアリールであって、前記アリール又はヘテロアリールはハロゲン、C3−6シクロアルキル、シアノ、C1−4アルコキシ及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択される1−5個の置換基で置換されていてもよく、前記アルコキシは1個以上のハロゲンで置換されていてもよく、前記アルキルは水素、ハロゲン及びヒドロキシルからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
Xは、存在せず、又は水素、ハロゲン、ヒドロキシル、(=O)及びシアノからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい、C1−4アルコキシ及びC1−3アルキルからなる群から選択され、
Aは、結合であり、又は水素、ハロゲン、ヒドロキシル及びC1−3アルキルからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC1−3アルキルであって、前記アルキルはハロゲン、ヒドロキシル、C1−4アルコキシ及びシアノからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
Bは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル及びC1−3アルキルからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいCアルキルであって、前記アルキルはハロゲン、ヒドロキシル、C1−4アルコキシ及びシアノからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、環はAとBを含んで形成され、A中の個々の炭素原子とB中の個々の炭素原子は結合して、前記環を架橋していてもよく、
及びRは、水素及びC1−3アルキルからなる群から各々独立に選択され、
及びRは、水素、ヒドロキシル、シアノ及びC1−3アルキルからなる群から各々独立に選択され、前記アルキルはハロゲン、ヒドロキシル、C1−4アルコキシ及びシアノからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
とRは、これらが結合している環と一緒に、結合して架橋シクロアルキルを形成していてもよい。)
【請求項2】
Wが、ハロゲン、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択される1−5個の置換基で置換されていてもよいアリールであって、前記アルキルは水素、ハロゲン及びヒドロキシルからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
Xが、水素、ハロゲン、ヒドロキシル及び(=O)からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい、C1−4アルコキシ及びC1−3アルキルからなる群から選択され、
及びRが水素及びC1−3アルキルからなる群から各々独立に選択され、
及びRが各々独立に水素であり、
Aが、結合であり、又は水素及びハロゲンからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC1−3アルキルであり、
Bが、水素及びハロゲンからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいCアルキルであり、環はAとBを含んで形成され、A中の個々の炭素原子とB中の個々の炭素原子は結合して、前記環を架橋していてもよい、
請求項1の化合物及び/又はその個々の鏡像異性体、ジアステレオマー、若しくは薬剤として許容される塩。
【請求項3】
式(Ia)の化合物及び/又はその個々の鏡像異性体、ジアステレオマー、若しくは薬剤として許容される塩。
【化2】

(式中、
Wは、ハロゲン、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択される1−5個の置換基で置換されていてもよいアリールであって、前記アルキルは水素、ハロゲン及びヒドロキシルからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
Xは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル及び(=O)からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC1−3アルキルであり、
及びRは、水素及びC1−3アルキルからなる群から各々独立に選択され、
Aは、結合であり、又は水素及びハロゲンからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC1−3アルキルである。)
【請求項4】
式(Ib)の化合物及び/又はその個々の鏡像異性体、ジアステレオマー、若しくは薬剤として許容される塩。
【化3】

(式中、
Wは、ハロゲン、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択される1−5個の置換基で置換されていてもよいアリールであって、前記アルキルは水素、ハロゲン及びヒドロキシルからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
Xは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル及び(=O)からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC1−3アルキルであり、
Bは、水素及びハロゲンからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいCアルキルである。)
【請求項5】
式(Ic)の化合物及び/又はその個々の鏡像異性体、ジアステレオマー、若しくは薬剤として許容される塩。
【化4】

(式中、
Wは、ハロゲン、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択される1−5個の置換基で置換されていてもよいアリールであって、前記アルキルは水素、ハロゲン及びヒドロキシルからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
Xは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル及び(=O)からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC1−3アルキルである。)
【請求項6】
式(Id)の化合物及び/又はその個々の鏡像異性体、立体異性体、若しくは薬剤として許容される塩。
【化5】

(式中、
Wは、ハロゲン、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択される1−5個の置換基で置換されていてもよいアリールであって、前記アルキルは水素、ハロゲン及びヒドロキシルからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
Xは、水素及びハロゲンからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC1−3アルキルであり、
Aは、結合であり、又は水素及びハロゲンからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC1−3アルキルであり、
及びRは、水素、ヒドロキシル、シアノ及びC1−3アルキルからなる群から各々独立に選択され、前記アルキルはハロゲン、ヒドロキシル、C1−4アルコキシ及びシアノからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
とRは、これらが結合している環と一緒に、結合して架橋シクロアルキルを形成していてもよい。)
【請求項7】
式(Ie)の化合物及び/又はその個々の鏡像異性体、立体異性体、若しくは薬剤として許容される塩。
【化6】

(式中、
Wは、ハロゲン、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択される1−5個の置換基で置換されていてもよいアリールであって、前記アルキルは水素、ハロゲン及びヒドロキシルからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく、
Xは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル及び(=O)からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC1−3アルキルであり、
Aは、結合であり、又は水素及びハロゲンからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいC1−3アルキルであり、
Bは、水素及びハロゲンからなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいCアルキルであり、環はAとBを含んで形成され、A中の個々の炭素原子とB中の個々の炭素原子は結合して、前記環を架橋していてもよい。)
【請求項8】
【化7】


から選択される化合物及び/又はその個々の鏡像異性体、ジアステレオマー、若しくは薬剤として許容される塩。
【請求項9】
不活性担体と請求項1に記載の化合物の治療有効量とを含む薬剤組成物。
【請求項10】
(i)非ステロイド性抗炎症剤、(ii)COX−2阻害剤、(iii)ブラジキニンB1受容体拮抗物質、(iv)ナトリウムチャネル遮断薬及び拮抗物質、(v)一酸化窒素シンターゼ(NOS)阻害剤、(vi)グリシン部位拮抗物質、(vii)カリウムチャネル開口薬、(viii)AMPA/カイニン酸受容体拮抗物質、(ix)カルシウムチャネル拮抗物質、(x)GABA−A受容体調節物質(例えば、GABA−A受容体作動物質)、(xi)マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)阻害剤、(xii)血栓溶解剤、(xiii)モルフィンなどのオピオイド、(xiv)好中球抑制因子(NIF)、(xv)Lドーパ、(xvi)カルビドパ、(xvii)レボドパ/カルビドパ、(xviii)ブロモクリプチン、ペルゴリド、プラミペキソール、ロピニロールなどのドーパミン作動物質、(xix)抗コリン薬、(xx)アマンタジン、(xxi)カルビドパ、(xxii)エンタカポン、トルカポンなどのカテコールO−メチルトランスフェラーゼ(「COMT」)阻害剤、(xxiii)モノアミンオキシダーゼB(「MAO−B」)阻害剤、(xiv)オピエート作動物質又は拮抗物質、(xv)5HT受容体作動物質又は拮抗物質、(xvi)NMDA受容体作動物質又は拮抗物質、(xvii)NK1拮抗物質、(xviii)選択的セロトニン再取り込み阻害薬(「SSRI」)及び/又は選択的セロトニン及びノルエピネフリン再取り込み阻害薬(「SSNRI」)、(xxix)三環系抗うつ薬、(xxx)ノルエピネフリン調節物質、(xxxi)リチウム、(xxxii)バルプロエート並びに(xxxiii)ニューロンチン(ガバペンチン)からなる群から選択される第2の治療薬をさらに含む、請求項9に記載の薬剤組成物。
【請求項11】
とう痛、パーキンソン病、アルツハイマー病、てんかん、抑うつ、不安及び脳卒中を含めた虚血性脳障害の治療に有用である、請求項9に記載の薬剤組成物。
【請求項12】
パーキンソン病の治療に有用である、請求項9に記載の薬剤組成物。
【請求項13】
とう痛、パーキンソン病、アルツハイマー病、てんかん、抑うつ、不安、脳卒中を含めた虚血性脳障害の治療又は予防を必要とする患者に、請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩の治療有効量又は予防有効量を投与することを含む、前記患者におけるとう痛、パーキンソン病、アルツハイマー病、てんかん、抑うつ、不安、脳卒中を含めた虚血性脳障害を治療又は予防する方法。
【請求項14】
慢性の内臓の炎症性及び神経因性とう痛症候群の治療又は予防を必要とする患者に、請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩の治療有効量又は予防有効量を投与することを含む、前記患者における慢性の内臓の炎症性及び神経因性とう痛症候群を治療又は予防する方法。
【請求項15】
外傷性神経損傷、神経圧迫又は神経絞やく、帯状ほう疹後神経痛、三叉神経痛、糖尿病性神経障害、癌及び化学療法に起因するとう痛、又は付随するとう痛の治療又は予防を必要とする患者に、請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩の治療有効量又は予防有効量を投与することを含む、前記患者における外傷性神経損傷、神経圧迫又は神経絞やく、帯状ほう疹後神経痛、三叉神経痛、糖尿病性神経障害、癌及び化学療法に起因するとう痛、又は付随するとう痛を治療又は予防する方法。
【請求項16】
慢性腰痛の治療又は予防を必要とする患者に、請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩の治療有効量又は予防有効量を投与することを含む、前記患者における慢性腰痛を治療又は予防する方法。
【請求項17】
幻肢痛の治療又は予防を必要とする患者に、請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩の治療有効量又は予防有効量を投与することを含む、前記患者における幻肢痛を治療又は予防する方法。
【請求項18】
HIV誘発性神経障害、HIV治療誘発性神経障害、慢性骨盤痛、神経腫痛、複合性局所とう痛症候群、慢性関節炎痛及び関係する神経痛の治療又は予防を必要とする患者に、請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩の治療有効量又は予防有効量を投与することを含む、前記患者におけるHIV誘発性神経障害、HIV治療誘発性神経障害、慢性骨盤痛、神経腫痛、複合性局所とう痛症候群、慢性関節炎痛及び関係する神経痛を治療又は予防する方法。
【請求項19】
てんかん並びに部分的及び全身性強直発作の治療又は予防を必要とする患者に、請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩の治療有効量又は予防有効量を投与することを含む、前記患者におけるてんかん並びに部分的及び全身性強直発作を治療又は予防する方法。

【公表番号】特表2008−536927(P2008−536927A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507751(P2008−507751)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/014139
【国際公開番号】WO2006/113471
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】